JP2016036008A - 発光素子および発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フォトルミネッセンス材料を利用する発光素子の輝度、指向性、または偏光特性を制御することが可能な、新規な構造を有する発光素子およびそれを備える発光装置を提供する。
【解決手段】発光素子は、フォトルミネッセンス層110と、フォトルミネッセンス層110に近接して配置された透光層120Raと、フォトルミネッセンス層110および透光層120Raの少なくとも一方に形成され、フォトルミネッセンス層110または透光層120Raの面内に広がるサブミクロン構造とを有し、サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含む。
【選択図】図31
【解決手段】発光素子は、フォトルミネッセンス層110と、フォトルミネッセンス層110に近接して配置された透光層120Raと、フォトルミネッセンス層110および透光層120Raの少なくとも一方に形成され、フォトルミネッセンス層110または透光層120Raの面内に広がるサブミクロン構造とを有し、サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含む。
【選択図】図31
Description
本開示は、発光素子および発光装置に関し、特に、フォトルミネッセンス層を有する発光素子および発光装置に関する。
照明器具、ディスプレイ、プロジェクターといった光学デバイスでは、多くの用途において、必要な方向に光を出射することが求められる。蛍光灯、白色LEDなどで使用されるフォトルミネッセンス材料は等方的に発光する。よって、この様な材料は、特定の方向のみに光を出射させるために、リフレクターやレンズなどの光学部品とともに用いられる。例えば、特許文献1は、配光板および補助反射板を用いて指向性を確保した照明システムを開示している。
光学デバイスにおいて、リフレクターやレンズなどの光学部品を配置すると、そのスペースを確保するために、光学デバイス自身のサイズを大きくする必要があり、これら光学部品は無くすか、少しでも小型化することが望ましい。
本開示は、フォトルミネッセンス層の発光効率、指向性、または偏光特性を制御することが可能な、新規な構造を有する発光素子およびそれを備える発光装置を提供する。
本開示のある実施形態の発光素子は、フォトルミネッセンス層と、前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する。
本開示の他の実施形態の発光素子は、フォトルミネッセンス層と、前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造とを有し、前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとし、前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数の強度分布において最大強度を与える空間周波数に対応する周期をPmaxとすると、λa/nwav-a<Pmax<λaの関係を満足する。
上記の包括的または具体的な態様は、素子、装置、システム、方法、またはこれらの任意の組み合わせで実現されてもよい。
上記の包括的または具体的な態様は、素子、装置、システム、方法、またはこれらの任意の組み合わせで実現されてもよい。
本開示のある実施形態による発光素子および発光装置は、新規な構成を有し、新規なメカニズムに従って、輝度、指向性、または偏光特性を制御することができる。
本開示は、以下の項目に記載の発光素子および発光装置を含む。
[項目1]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、λa/nwav-a<Dint<λaの関係が成り立つ、発光素子。
[項目2]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、前記少なくとも1つの周期構造は、周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ第1周期構造を含む、項目1に記載の発光素子。
[項目3]
前記第1の光に対する前記透光層の屈折率nt-aは、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率nwav-aよりも小さい、項目1または2に記載の発光素子。
[項目4]
前記第1の光は、前記サブミクロン構造によって予め決められた第1の方向において強度が最大になる、項目1から3のいずれかに記載の発光素子。
[項目5]
前記第1の方向は、前記フォトルミネッセンス層の法線方向である、項目4に記載の発光素子。
[項目6]
前記第1の方向に出射された前記第1の光は、直線偏光である、項目4または5に記載の発光素子。
[項目7]
前記第1の光の前記第1の方向を基準としたときの指向角は、15°未満である、項目4から6のいずれかに記載の発光素子。
[項目8]
前記第1の光の波長λaと異なる波長λbを有する第2の光は、前記第1の方向と異なる第2の方向において強度が最大となる、項目4から7のいずれかに記載の発光素子。
[項目9]
前記透光層が前記サブミクロン構造を有する、項目1から8のいずれかに記載の発光素子。
[項目10]
前記フォトルミネッセンス層が前記サブミクロン構造を有する、項目1から9のいずれかに記載の発光素子。
[項目11]
前記フォトルミネッセンス層は、平坦な主面を有し、
前記透光層は前記フォトルミネッセンス層の前記平坦な主面上に形成されており、かつ、前記サブミクロン構造を有する、項目1から8のいずれかに記載の発光素子。
[項目12]
前記フォトルミネッセンス層は、透明基板に支持されている、項目11に記載の発光素子。
[項目13]
前記透光層は、前記サブミクロン構造を一方の主面に有する透明基板であって、
前記フォトルミネッセンス層は、前記サブミクロン構造の上に形成されている、項目1から8のいずれかに記載の発光素子。
[項目14]
前記第1の光に対する前記透光層の屈折率nt-aは、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率nwav-a以上であって、前記サブミクロン構造が有する前記複数の凸部の高さまたは前記複数の凹部の深さは150nm以下である、項目1または2に記載の発光素子。
[項目15]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、前記少なくとも1つの周期構造は、周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ第1周期構造を含み、
前記第1周期構造は、1次元周期構造である、項目1および3から14のいずれかに記載の発光素子。
[項目16]
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaと異なるλbの第2の光を含み、前記第2の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-bとするとき、
前記少なくとも1つの周期構造は、周期をpbとすると、λb/nwav-b<pb<λbの関
係が成り立つ第2周期構造をさらに含み、
前記第2周期構造は、1次元周期構造である、項目15に記載の発光素子。
[項目17]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも2つの周期構造を含み、前記少なくとも2つの周期構造は、互いに異なる方向に周期性を有する2次元周期構造を含む、項目1および3から14のいずれかに記載の発光素子。
[項目18]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された複数の周期構造を含み、
前記複数の周期構造は、マトリクス状に配列された複数の周期構造を含む、項目1および3から14のいずれかに記載の発光素子。
[項目19]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された複数の周期構造を含み、
前記フォトルミネッセンス層が有するフォトルミネッセンス材料の励起光の空気中における波長をλexとし、前記励起光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-exとすると、
前記複数の周期構造は、周期pexが、λex/nwav-ex<pex<λexの関係が成り立つ周期構造を含む、項目1および3から14のいずれかに記載の発光素子。
[項目20]
複数のフォトルミネッセンス層と、複数の透光層とを有し、
前記複数のフォトルミネッセンス層の少なくとも2つと前記複数の透光層の少なくとも2つとは、それぞれ独立に、項目1から19のいずれかに記載の前記フォトルミネッセンス層と前記透光層とにそれぞれ該当する、発光素子。
[項目21]
前記複数のフォトルミネッセンス層と前記複数の透光層は、積層されている、項目20に記載の発光素子。
[項目22]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の内部に擬似導波モードを形成する光を出射する、発光素子。
[項目23]
光が導波することができる導波層と、
前記導波層に近接して配置された周期構造と
を備え、
前記導波層はフォトルミネッセンス材料を有し、
前記導波層において、前記フォトルミネッセンス材料から発せられた光が前記周期構造と作用しながら導波する擬似導波モードが存在する、発光素子。
[項目24]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、前記フォトルミネッセンス層が有するフォトルミネッセンス材料の励起光の空気中における波長をλexとし、前記励起光に対する前記フォトルミネッセンス層または前記透光層に至る光路に存在する媒質の内で最も屈折率が大きい媒質の屈折率をnwav-exとすると、λex/nwav-ex<Dint<λexの関係が成り立つ、発光素子。
[項目25]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、前記少なくとも1つの周期構造は、周期をpexとすると、λex/nwav-ex<pex<λexの関係が成り立つ第1周期構造を含む、項目24に記載の発光素子。
[項目26]
透光層と、
前記透光層に形成され、前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、
前記サブミクロン構造に近接して配置されたフォトルミネッセンス層と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ、発光素子。
[項目27]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層よりも高い屈折率を有する透光層と、
前記透光層に形成され、前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ、発光素子。
[項目28]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に形成され、前記フォトルミネッセンス層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ、発光素子。
[項目29]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部と前記複数の凹部との双方を含む、項目1から21、24から28のいずれかに記載の発光素子。
[項目30]
前記フォトルミネッセンス層と前記透光層とが互いに接している、項目1から22、24から27のいずれかに記載の発光素子。
[項目31]
前記導波層と前記周期構造とが互いに接している、項目23に記載の発光素子。
[項目32]
項目1から31のいずれかに記載の発光素子と、
前記フォトルミネッセンス層に励起光を照射する、励起光源と、
を備える発光装置。
[項目33]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する、発光素子。
[項目34]
λa<3Dint(min)の関係をさらに満足する、項目33に記載の発光素子。
[項目35]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとし、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数の強度分布において最大強度を与える空間周波数に対応する周期をPmaxとすると、λa/nwav-a<Pmax<λaの関係を満足する、発光素子。
[項目36]
前記サブミクロン構造において、隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表すと、
前記空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、Pmax=Dint(min)である、項目35に記載の発光素子。
[項目37]
透光層と、
前記透光層に形成され、前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、前記サブミクロン構造に近接して配置されたフォトルミネッセンス層と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する、発光素子。
[項目38]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層よりも高屈折率を有する透光層と、
前記透光層に形成され、前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する、発光素子。
[項目39]
前記フォトルミネッセンス層と前記透光層とが互いに接している、項目33から38のいずれかに記載の発光素子。
[項目40]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に形成され、前記フォトルミネッセンス層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する、発光素子。
[項目41]
記サブミクロン構造は、前記複数の凸部と前記複数の凹部との双方を含む、項目33から40のいずれかに記載の発光素子。
[項目42]
項目33から41のいずれかに記載の発光素子と、
前記フォトルミネッセンス層に励起光を照射する、励起光源と、
を備える発光装置。
[項目1]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、λa/nwav-a<Dint<λaの関係が成り立つ、発光素子。
[項目2]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、前記少なくとも1つの周期構造は、周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ第1周期構造を含む、項目1に記載の発光素子。
[項目3]
前記第1の光に対する前記透光層の屈折率nt-aは、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率nwav-aよりも小さい、項目1または2に記載の発光素子。
[項目4]
前記第1の光は、前記サブミクロン構造によって予め決められた第1の方向において強度が最大になる、項目1から3のいずれかに記載の発光素子。
[項目5]
前記第1の方向は、前記フォトルミネッセンス層の法線方向である、項目4に記載の発光素子。
[項目6]
前記第1の方向に出射された前記第1の光は、直線偏光である、項目4または5に記載の発光素子。
[項目7]
前記第1の光の前記第1の方向を基準としたときの指向角は、15°未満である、項目4から6のいずれかに記載の発光素子。
[項目8]
前記第1の光の波長λaと異なる波長λbを有する第2の光は、前記第1の方向と異なる第2の方向において強度が最大となる、項目4から7のいずれかに記載の発光素子。
[項目9]
前記透光層が前記サブミクロン構造を有する、項目1から8のいずれかに記載の発光素子。
[項目10]
前記フォトルミネッセンス層が前記サブミクロン構造を有する、項目1から9のいずれかに記載の発光素子。
[項目11]
前記フォトルミネッセンス層は、平坦な主面を有し、
前記透光層は前記フォトルミネッセンス層の前記平坦な主面上に形成されており、かつ、前記サブミクロン構造を有する、項目1から8のいずれかに記載の発光素子。
[項目12]
前記フォトルミネッセンス層は、透明基板に支持されている、項目11に記載の発光素子。
[項目13]
前記透光層は、前記サブミクロン構造を一方の主面に有する透明基板であって、
前記フォトルミネッセンス層は、前記サブミクロン構造の上に形成されている、項目1から8のいずれかに記載の発光素子。
[項目14]
前記第1の光に対する前記透光層の屈折率nt-aは、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率nwav-a以上であって、前記サブミクロン構造が有する前記複数の凸部の高さまたは前記複数の凹部の深さは150nm以下である、項目1または2に記載の発光素子。
[項目15]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、前記少なくとも1つの周期構造は、周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ第1周期構造を含み、
前記第1周期構造は、1次元周期構造である、項目1および3から14のいずれかに記載の発光素子。
[項目16]
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaと異なるλbの第2の光を含み、前記第2の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-bとするとき、
前記少なくとも1つの周期構造は、周期をpbとすると、λb/nwav-b<pb<λbの関
係が成り立つ第2周期構造をさらに含み、
前記第2周期構造は、1次元周期構造である、項目15に記載の発光素子。
[項目17]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも2つの周期構造を含み、前記少なくとも2つの周期構造は、互いに異なる方向に周期性を有する2次元周期構造を含む、項目1および3から14のいずれかに記載の発光素子。
[項目18]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された複数の周期構造を含み、
前記複数の周期構造は、マトリクス状に配列された複数の周期構造を含む、項目1および3から14のいずれかに記載の発光素子。
[項目19]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された複数の周期構造を含み、
前記フォトルミネッセンス層が有するフォトルミネッセンス材料の励起光の空気中における波長をλexとし、前記励起光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-exとすると、
前記複数の周期構造は、周期pexが、λex/nwav-ex<pex<λexの関係が成り立つ周期構造を含む、項目1および3から14のいずれかに記載の発光素子。
[項目20]
複数のフォトルミネッセンス層と、複数の透光層とを有し、
前記複数のフォトルミネッセンス層の少なくとも2つと前記複数の透光層の少なくとも2つとは、それぞれ独立に、項目1から19のいずれかに記載の前記フォトルミネッセンス層と前記透光層とにそれぞれ該当する、発光素子。
[項目21]
前記複数のフォトルミネッセンス層と前記複数の透光層は、積層されている、項目20に記載の発光素子。
[項目22]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の内部に擬似導波モードを形成する光を出射する、発光素子。
[項目23]
光が導波することができる導波層と、
前記導波層に近接して配置された周期構造と
を備え、
前記導波層はフォトルミネッセンス材料を有し、
前記導波層において、前記フォトルミネッセンス材料から発せられた光が前記周期構造と作用しながら導波する擬似導波モードが存在する、発光素子。
[項目24]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、前記フォトルミネッセンス層が有するフォトルミネッセンス材料の励起光の空気中における波長をλexとし、前記励起光に対する前記フォトルミネッセンス層または前記透光層に至る光路に存在する媒質の内で最も屈折率が大きい媒質の屈折率をnwav-exとすると、λex/nwav-ex<Dint<λexの関係が成り立つ、発光素子。
[項目25]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、前記少なくとも1つの周期構造は、周期をpexとすると、λex/nwav-ex<pex<λexの関係が成り立つ第1周期構造を含む、項目24に記載の発光素子。
[項目26]
透光層と、
前記透光層に形成され、前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、
前記サブミクロン構造に近接して配置されたフォトルミネッセンス層と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ、発光素子。
[項目27]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層よりも高い屈折率を有する透光層と、
前記透光層に形成され、前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ、発光素子。
[項目28]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に形成され、前記フォトルミネッセンス層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ、発光素子。
[項目29]
前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部と前記複数の凹部との双方を含む、項目1から21、24から28のいずれかに記載の発光素子。
[項目30]
前記フォトルミネッセンス層と前記透光層とが互いに接している、項目1から22、24から27のいずれかに記載の発光素子。
[項目31]
前記導波層と前記周期構造とが互いに接している、項目23に記載の発光素子。
[項目32]
項目1から31のいずれかに記載の発光素子と、
前記フォトルミネッセンス層に励起光を照射する、励起光源と、
を備える発光装置。
[項目33]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する、発光素子。
[項目34]
λa<3Dint(min)の関係をさらに満足する、項目33に記載の発光素子。
[項目35]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとし、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数の強度分布において最大強度を与える空間周波数に対応する周期をPmaxとすると、λa/nwav-a<Pmax<λaの関係を満足する、発光素子。
[項目36]
前記サブミクロン構造において、隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表すと、
前記空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、Pmax=Dint(min)である、項目35に記載の発光素子。
[項目37]
透光層と、
前記透光層に形成され、前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、前記サブミクロン構造に近接して配置されたフォトルミネッセンス層と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する、発光素子。
[項目38]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層よりも高屈折率を有する透光層と、
前記透光層に形成され、前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する、発光素子。
[項目39]
前記フォトルミネッセンス層と前記透光層とが互いに接している、項目33から38のいずれかに記載の発光素子。
[項目40]
フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に形成され、前記フォトルミネッセンス層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する、発光素子。
[項目41]
記サブミクロン構造は、前記複数の凸部と前記複数の凹部との双方を含む、項目33から40のいずれかに記載の発光素子。
[項目42]
項目33から41のいずれかに記載の発光素子と、
前記フォトルミネッセンス層に励起光を照射する、励起光源と、
を備える発光装置。
本開示の実施形態による発光素子は、フォトルミネッセンス層と、前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造とを有し、前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、λa/nwav-a<Dint<λaの関係が成り立つ。波長λaは、例えば、可視光の波長範囲内(例えば、380nm以上780nm以下)にある。
フォトルミネッセンス層は、フォトルミネッセンス材料を含む。フォトルミネッセンス材料は、励起光を受けて発光する材料を意味する。フォトルミネッセンス材料は、狭義の蛍光材料および燐光材料を包含し、無機材料だけなく、有機材料(例えば色素)を包含し、さらには、量子ドット(即ち、半導体微粒子)を包含する。フォトルミネッセンス層は、フォトルミネッセンス材料に加えて、マトリクス材料(即ち、ホスト材料)を含んでもよい。マトリクス材料は、例えば、ガラスや酸化物などの無機材料や樹脂である。
フォトルミネッセンス層に近接して配置される透光層は、フォトルミネッセンス層が発する光に対して透過率が高い材料で形成され、例えば、無機材料や樹脂で形成される。透光層は、例えば誘電体(特に、光の吸収が少ない絶縁体)で形成されていることが望ましい。透光層は、例えば、フォトルミネッセンス層を支持する基板であってよい。また、フォトルミネッセンス層の空気側の表面がサブミクロン構造を有する場合、空気層が透光層となり得る。
本開示の実施形態による発光素子においては、後に計算結果および実験結果を参照して詳述するように、フォトルミネッセンス層および透光層の少なくとも一方に形成されたサブミクロン構造(例えば、周期構造)によって、フォトルミネッセンス層および透光層の内部に、ユニークな電場分布を形成する。これは、導波光がサブミクロン構造と相互作用して形成されるものであり、擬似導波モードと表現することもできる。この擬似導波モードを活用することで、以下で説明するように、フォトルミネッセンスの発光効率の増大、指向性の向上、偏光の選択性の効果を得ることができる。なお、以下の説明において、擬似導波モードという用語を使って、本発明者らが見出した、新規な構成および/または新規なメカニズムを説明することがあるが、1つの例示的な説明に過ぎず、本開示をいかなる意味においても限定するものではない。
サブミクロン構造は、例えば複数の凸部を含み、隣接する凸部間の距離(即ち、中心間距離)をDintとすると、λa/nwav-a<Dint<λaの関係を満足する。サブミクロン構造は、複数の凸部に代えて複数の凹部を含んでもよい。以下では、簡単のために、サブミクロン構造が複数の凸部を有する場合を説明する。λは光の波長を表し、λaは空気中での光の波長であることを表現する。nwavはフォトルミネッセンス層の屈折率である。フォトルミネッセンス層が複数の材料を混合した媒質である場合、各材料の屈折率をそれぞれの体積比率で重み付けした平均屈折率をnwavとする。一般に屈折率nは波長に依存するので、λaの光に対する屈折率であることをnwav-aと明示することが望ましいが、簡単のために省略することがある。nwavは基本的にフォトルミネッセンス層の屈折率であるが、フォトルミネッセンス層に隣接する層の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率よりも大きい場合、当該屈折率が大きい層の屈折率およびフォトルミネッセンス層の屈折率をそれぞれの体積比率で重み付けした平均屈折率をnwavとする。この場合は、光学的には、フォトルミネッセンス層が複数の異なる材料の層で構成されている場合と等価であるからである。
擬似導波モードの光に対する媒質の有効屈折率をneffとすると、na<neff<nwavを満たす。ここで、naは空気の屈折率である。擬似導波モードの光を、フォトルミネッセンス層の内部を入射角θで全反射しながら伝搬する光であると考えると、有効屈折率neffは、neff=nwavsinθと書ける。また、有効屈折率neffは、擬似導波モードの電場が分布する領域に存在する媒質の屈折率によって決まるので、例えば、サブミクロン構造が透光層に形成されている場合、フォトルミネッセンス層の屈折率だけでなく、透光層の屈折率にも依存する。また、擬似導波モードの偏光方向(TEモードとTMモード)により、電場の分布は異なるので、TEモードとTMモードとでは有効屈折率neffは異なり得る。
サブミクロン構造は、フォトルミネッセンス層および透光層の少なくとも一方に形成される。フォトルミネッセンス層と透光層とが互いに接するとき、フォトルミネッセンス層と透光層との界面にサブミクロン構造が形成されてもよい。このとき、フォトルミネッセンス層および透光層がサブミクロン構造を有する。フォトルミネッセンス層はサブミクロン構造を有さなくてもよい。このとき、サブミクロン構造を有する透光層がフォトルミネッセンス層に近接して配置される。ここで、透光層(またはそのサブミクロン構造)がフォトルミネッセンス層に近接するとは、典型的には、これらの間の距離が、波長λaの半分以下であることをいう。これにより、導波モードの電場がサブミクロン構造に到達し、擬似導波モードが形成される。ただし、透光層の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率よりも大きいときには上記の関係を満足しなくても透光層まで光が到達するため、透光層のサブミクロン構造とフォトルミネッセンス層との間の距離は、波長λaの半分超であってもよい。本明細書では、フォトルミネッセンス層と透光層とが、導波モードの電場がサブミクロン構造に到達し、擬似導波モードが形成されるような配置関係にあるとき、両者が互いに関連付けられていると表現することがある。
サブミクロン構造は、上記のように、λa/nwav-a<Dint<λaの関係を満足するので、サブミクロンオーダーの大きさで特徴づけられる。サブミクロン構造は、例えば、以下に詳細に説明する実施形態の発光素子におけるように、少なくとも1つの周期構造を含む。少なくとも1つの周期構造は、周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ。すなわち、サブミクロン構造は、隣接する凸部間の距離Dintがpaで一定の周期構造を有する。サブミクロン構造が周期構造を含むと、擬似導波モードの光は、伝搬しながら周期構造と相互作用を繰り返すことにより、サブミクロン構造によって回折される。これは、自由空間を伝播する光が周期構造により回折する現象とは異なり、光が導波しながら(即ち、全反射を繰り返しながら)周期構造と作用する現象である。したがって、周期構造による位相シフトが小さくても(即ち、周期構造の高さが小さくても)効率よく光の回折を起こすことができる。
以上のようなメカニズムを利用すれば、擬似導波モードにより電場が増強される効果によって、フォトルミネッセンスの発光効率が増大するとともに、発生した光が擬似導波モードに結合する。擬似導波モードの光は、周期構造で規定される回折角度だけ進行角度が曲げられる。これを利用することによって、特定の波長の光を特定の方向に出射することができる(指向性が顕著に向上)。さらに、TEとTMモードで有効屈折率neff(=nwavsinθ)が異なるので、高い偏光の選択性を同時に得ることもできる。例えば、後に実験例を示すように、特定の波長(例えば610nm)の直線偏光(例えばTMモード)を正面方向に強く出射する発光素子を得ることができる。このとき、正面方向に出射される光の指向角は例えば15°未満である。なお、指向角は正面方向を0°とした片側の角度とする。
逆に、サブミクロン構造の周期性が低くなると、指向性、発光効率、偏光度および波長選択性が弱くなる。必要に応じて、サブミクロン構造の周期性を調整すればよい。周期構造は、偏光の選択性が高い1次元周期構造であってもよいし、偏光度を小さくできる2次元周期構造であってもよい。
また、サブミクロン構造は、複数の周期構造を含み得る。複数の周期構造は、例えば、周期(ピッチ)が互いに異なる。あるいは、複数の周期構造は、例えば、周期性を有する方向(軸)が互いに異なる。複数の周期構造は、同一面内に形成されてもよいし、積層されてもよい。もちろん、発光素子は、複数のフォトルミネッセンス層と複数の透光層とを有し、これらが複数のサブミクロン構造を有してもよい。
サブミクロン構造は、フォトルミネッセンス層が発する光を制御するためだけでなく、励起光を効率よくフォトルミネッセンス層に導くためにも用いることができる。すなわち、励起光がサブミクロン構造により回折されフォトルミネッセンス層および透光層を導波する擬似導波モードに結合することで、効率よくフォトルミネッセンス層を励起することができる。フォトルミネッセンス材料を励起する光の空気中における波長をλexとし、この励起光に対するフォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-exとすると、λex/nwav-ex<Dint<λexの関係が成り立つサブミクロン構造を用いればよい。nwav-exはフォトルミネッセンス材料の励起波長における屈折率である。周期をpexとすると、λex/nwav-ex<pex<λexの関係が成り立つ周期構造を有するサブミクロン構造を用いてもよい。励起光の波長λexは、例えば、450nmであるが、可視光よりも短波長であってもよい。励起光の波長が可視光の範囲内にある場合、フォトルミネッセンス層が発する光とともに、励起光を出射するようにしてもよい。
[1.本開示の基礎となった知見]
本開示の具体的な実施形態を説明する前に、まず、本開示の基礎となった知見を説明する。上述のように、蛍光灯、白色LEDなどで使われるフォトルミネッセンス材料は等方的に発光するので、特定の方向を光で照らすためには、リフレクターやレンズなどの光学部品が必要である。しかしながら、もしフォトルミネッセンス層自身が指向性をもって発光すれば、上記のような光学部品は不要になるので(若しくは小さくできるので)、光学デバイスや器具の大きさを大幅に小さくすることができる。本発明者らは、このような着想に基づき、指向性発光を得るために、フォトルミネッセンス層の構成を詳細に検討した。
本開示の具体的な実施形態を説明する前に、まず、本開示の基礎となった知見を説明する。上述のように、蛍光灯、白色LEDなどで使われるフォトルミネッセンス材料は等方的に発光するので、特定の方向を光で照らすためには、リフレクターやレンズなどの光学部品が必要である。しかしながら、もしフォトルミネッセンス層自身が指向性をもって発光すれば、上記のような光学部品は不要になるので(若しくは小さくできるので)、光学デバイスや器具の大きさを大幅に小さくすることができる。本発明者らは、このような着想に基づき、指向性発光を得るために、フォトルミネッセンス層の構成を詳細に検討した。
本発明者らは、まず、フォトルミネッセンス層からの光が特定の方向に偏るようにするため、発光自体に特定の方向性をもたせることを考えた。発光を特徴付ける指標である発光レートΓは、フェルミの黄金則により、以下の式(1)で表される。
式(1)において、rは位置を表すベクトル、λは光の波長、dは双極子ベクトル、Eは電場ベクトル、ρは状態密度である。一部の結晶性物質を除く多くの物質では、双極子ベクトルdはランダムな方向性を有している。また、フォトルミネッセンス層のサイズと厚さが光の波長よりも十分に大きい場合、電場Eの大きさも向きに依らずほとんど一定である。よって、ほとんどの場合、<(d・E(r))>2の値は方向に依らない。即ち、発光レートΓは方向に依らず一定である。このため、ほとんどの場合においてフォトルミネッセンス層は等方的に発光する。
一方、式(1)から、異方的な発光を得るためには、双極子ベクトルdを特定の方向に揃えるか、電場ベクトルの特定方向の成分を増強するかのいずれかの工夫が必要である。これらのいずれかの工夫を行うことで、指向性発光を実現できる。本開示では、フォトルミネッセンス層へ光を閉じ込める効果により、特定方向の電場成分が増強された擬似導波モードを利用するための構成について検討し、詳細に分析した結果を以下に説明する。
[2.特定の方向の電場のみを強くする構成]
本願発明者らは、電場が強い導波モードを用いて、発光の制御を行うことを考えた。導波構造自体がフォトルミネッセンス材料を含む構成とすることで、発光を導波モードに結合させることができる。しかし、ただ単にフォトルミネッセンス材料を用いて導波構造を形成しただけでは、発せられた光が導波モードとなるため、正面方向へはほとんど光は出てこない。そこで、フォトルミネッセンス材料を含む導波路と周期構造(複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方で形成された)とを組み合わせることを考えた。導波路に周期構造が近接し、光の電場が周期構造と重なりながら導波する場合、周期構造の作用により擬似導波モードが存在する。つまり、この擬似導波モードは、周期構造により制限された導波モードであり、電場振幅の腹が周期構造の周期と同じ周期で発生することを特徴とする。このモードは、光が導波構造に閉じ込められることにより特定方向への電場が強められたモードである。さらに、このモードは周期構造と相互作用することで、回折効果により特定方向の伝播光へと変換されるため、導波路外部へと光を出射することができる。さらに、擬似導波モード以外の光は導波路内に閉じ込められる効果が小さいため、電場は増強されない。よって、発光のほとんどは大きな電場成分を有する擬似導波モードへと結合することになる。
本願発明者らは、電場が強い導波モードを用いて、発光の制御を行うことを考えた。導波構造自体がフォトルミネッセンス材料を含む構成とすることで、発光を導波モードに結合させることができる。しかし、ただ単にフォトルミネッセンス材料を用いて導波構造を形成しただけでは、発せられた光が導波モードとなるため、正面方向へはほとんど光は出てこない。そこで、フォトルミネッセンス材料を含む導波路と周期構造(複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方で形成された)とを組み合わせることを考えた。導波路に周期構造が近接し、光の電場が周期構造と重なりながら導波する場合、周期構造の作用により擬似導波モードが存在する。つまり、この擬似導波モードは、周期構造により制限された導波モードであり、電場振幅の腹が周期構造の周期と同じ周期で発生することを特徴とする。このモードは、光が導波構造に閉じ込められることにより特定方向への電場が強められたモードである。さらに、このモードは周期構造と相互作用することで、回折効果により特定方向の伝播光へと変換されるため、導波路外部へと光を出射することができる。さらに、擬似導波モード以外の光は導波路内に閉じ込められる効果が小さいため、電場は増強されない。よって、発光のほとんどは大きな電場成分を有する擬似導波モードへと結合することになる。
つまり、本願発明者らは、周期構造が近接して設けられた導波路を、フォトルミネッセンス材料を含むフォトルミネッセンス層(あるいはフォトルミネッセンス層を有する導波層)とすることで、発光を特定方向の伝播光へと変換される擬似導波モードへ結合させ、指向性のある光源を実現することを考えた。
導波構造の簡便な構成として、スラブ型導波路に着目した。スラブ型導波路とは、光の導波部分が平板構造を有する導波路のことである。図30は、スラブ型導波路110Sの一例を模式的に示す斜視図である。導波路110Sの屈折率が導波路110Sを支持する透明基板140の屈折率よりも高いとき、導波路110S内を伝播する光のモードが存在する。このようなスラブ型導波路をフォトルミネッセンス層を含む構成とすることで、発光点から生じた光の電場が導波モードの電場と大きく重なりをもつので、フォトルミネッセンス層で生じた光の大部分を導波モードに結合させることができる。さらに、フォトルミネッセンス層の厚さを光の波長程度とすることにより、電場振幅の大きい導波モードのみが存在する状況を作り出すことができる。
さらに、フォトルミネッセンス層に周期構造が近接する場合には、導波モードの電場が周期構造と相互作用することで擬似導波モードが形成される。フォトルミネッセンス層が複数の層で構成されている場合でも、導波モードの電場が周期構造に達していれば、擬似導波モードが形成されることになる。フォトルミネッセンス層の全てがフォトルミネッセンス材料である必要はなく、その少なくとも一部の領域が発光する機能を有していればよい。
また、周期構造を金属で形成した場合には、導波モードとプラズモン共鳴の効果によるモードが形成され、上で述べた擬似導波モードとは異なる性質となる。また、このモードは金属による吸収が大きいためロスが大きくなり、発光増強の効果は小さくなる。したがって、周期構造としては、吸収の少ない誘電体を用いるのが望ましい。
本発明者らは、まずこのような導波路(例えば、フォトルミネッセンス層)の表面に、周期構造を形成することで、特定の角度方向の伝播光として出射することのできる擬似導波モードに発光を結合させることについて検討を行った。図1Aは、そのような導波路(例えば、フォトルミネッセンス層)110と周期構造(例えば、透光層)120とを有する発光素子100の一例を模式的に示す斜視図である。以下、透光層120が周期構造を形成している場合(即ち、透光層120に周期的なサブミクロン構造が形成されている場合)、透光層120を周期構造120ということがある。この例では、周期構造120は、各々がy方向に延びるストライプ状の複数の凸部がx方向に等間隔に並んだ1次元周期構造である。図1Bは、この発光素子100をxz面に平行な平面で切断したときの断面図である。導波路110に接するように周期pの周期構造120を設けると、面内方向の波数kwavをもつ擬似導波モードは、導波路外の伝播光へと変換され、その波数koutは以下の式(2)で表すことができる。
式(2)におけるmは整数であり、回折の次数を表す。
式(2)におけるmは整数であり、回折の次数を表す。
これらの式において、λ0は光の空気中の波長、nwavは導波路の屈折率、noutは出射側の媒質の屈折率、θoutは光が導波路外の基板または空気に出射するときの出射角度である。式(2)〜(4)から、出射角度θoutは、以下の式(5)で表すことができる。
式(5)より、nwavsinθwav=mλ0/pが成立するとき、θout=0となり、導波路の面に垂直な方向(即ち、正面)に光を出射させることができることがわかる。
以上のような原理に基づけば、発光を特定の擬似導波モードに結合させ、さらに周期構造を利用して特定の出射角度の光に変換することにより、その方向に強い光を出射させることができると考えられる。
なお、図1Aおよび図1Bに示すような周期構造を設けた場合には、mが2以上の高次の回折効率は低いため、m=1である1次の回折光を主眼に設計すると良い。このため、本実施形態における周期構造では、m=1として、式(10)を変形した以下の式(11)を満足するように周期pが決定される。
図1Aおよび図1Bに示すように、導波路(フォトルミネッセンス層)110が透明基板に接していない場合には、noutは空気の屈折率(約1.0)となるため、以下の式(12)を満足するように周期pを決定すればよい。
一方、図1Cおよび図1Dに例示するような透明基板140上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120を形成した構造を採用してもよい。この場合には、透明基板140の屈折率nsが空気の屈折率よりも大きいことから、式(11)においてnout=nsとした次式(13)を満足するように周期pを決定すればよい。
なお、式(12)、(13)では、式(10)においてm=1の場合を想定したが、m≧2であってもよい。すなわち、図1Aおよび図1Bに示すように発光素子100の両面が空気層に接している場合には、mを1以上の整数として、以下の式(14)を満足するように周期pが設定されていればよい。
以上の不等式を満足するように周期構造の周期pを決定することにより、フォトルミネッセンス層110から発生した光を正面方向に出射させることができるため、指向性を有する発光装置を実現できる。
[3.計算による検証]
[3−1.周期、波長依存性]
本発明者らは、以上のような特定方向への光の出射が実際に可能であるかを光学解析によって検証した。光学解析は、サイバネット社のDiffractMODを用いた計算によって行った。これらの計算では、発光素子に対して外部から垂直に光を入射したときに、フォトルミネッセンス層における光の吸収の増減を計算することで、外部へ垂直に出射する光の増強度を求めた。外部から入射した光が擬似導波モードに結合しフォトルミネッセンス層で吸収されるという過程は、フォトルミネッセンス層における発光が擬似導波モードへと結合し、外部へ垂直に出射する伝播光へと変換される過程と逆の過程を計算していることに対応する。また、擬似導波モードの電場分布の計算においても、同様に外部から光を入射した場合における電場を計算した。
[3−1.周期、波長依存性]
本発明者らは、以上のような特定方向への光の出射が実際に可能であるかを光学解析によって検証した。光学解析は、サイバネット社のDiffractMODを用いた計算によって行った。これらの計算では、発光素子に対して外部から垂直に光を入射したときに、フォトルミネッセンス層における光の吸収の増減を計算することで、外部へ垂直に出射する光の増強度を求めた。外部から入射した光が擬似導波モードに結合しフォトルミネッセンス層で吸収されるという過程は、フォトルミネッセンス層における発光が擬似導波モードへと結合し、外部へ垂直に出射する伝播光へと変換される過程と逆の過程を計算していることに対応する。また、擬似導波モードの電場分布の計算においても、同様に外部から光を入射した場合における電場を計算した。
フォトルミネッセンス層の膜厚を1μm、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造の高さを50nm、周期構造の屈折率を1.5とし、発光波長および周期構造の周期をそれぞれ変えて、正面方向に出射する光の増強度を計算した結果を図2に示す。計算モデルは、図1Aに示すように、y方向には均一な1次元周期構造とし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるとして計算を行った。図2の結果から、増強度のピークが、ある特定の波長と周期との組み合わせにおいて存在することがわかる。なお、図2において、増強度の大きさは色の濃淡で表されており、濃い(即ち黒い)方が増強度が大きく、淡い(即ち白い)方が増強度が小さい。
上記の計算において、周期構造の断面は、図1Bに示すような矩形であるものとしている。式(10)におけるm=1およびm=3の条件を図示したグラフを図3に示す。図2と図3とを比較すると、図2におけるピーク位置はm=1とm=3に対応するところに存在することがわかる。m=1の方が強度が強いのは、3次以上の高次の回折光よりも1次の回折光の回折効率の方が高いからである。m=2のピークが存在しないのは、周期構造における回折効率が低いためである。
図3で示したm=1およびm=3のそれぞれに対応する領域内において、図2では複数のラインが存在することが確認できる。これは、擬似導波モードが複数存在するからであると考えられる。
[3−2.厚さ依存性]
図4は、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造の周期を400nm、高さを50nm、屈折率を1.5とし、発光波長およびフォトルミネッセンス層の厚さtを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。フォトルミネッセンス層の厚さtが特定の値であるときに光の増強度がピークに達することがわかる。
図4は、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造の周期を400nm、高さを50nm、屈折率を1.5とし、発光波長およびフォトルミネッセンス層の厚さtを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。フォトルミネッセンス層の厚さtが特定の値であるときに光の増強度がピークに達することがわかる。
図4においてピークが存在する波長600nm、厚さt=238nm、539nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を図5Aおよび図5Bにそれぞれ示す。比較のため、ピークが存在しないt=300nmの場合について同様の計算を行った結果を図5Cに示す。計算モデルは、上記と同様、y方向に均一な1次元周期構造であるとした。各図において、黒い領域ほど電場強度が高く、白い領域ほど電場強度が低いことを表している。t=238nm、539nmの場合には高い電場強度の分布があるのに対して、t=300nmでは全体的に電場強度が低い。これは、t=238nm、539nmの場合には、導波モードが存在し、光が強く閉じ込められているからである。さらに、凸部または凸部の直下に電場が最も強い部分(腹)が必ず存在しており、周期構造120と相関のある電場が発生している特徴が見て取れる。つまり、周期構造120の配置に従って、導波するモードが得られていることがわかる。また、t=238nmの場合とt=539nmの場合とを比較すると、z方向の電場の節(白い部分)の数が1つだけ異なるモードであることが分かる。
[3−3.偏光依存性]
次に偏光依存性を確認するために、図2の計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードである場合について光の増強度の計算を行った。本計算の結果を図6に示す。TMモードのとき(図2)に比べ、ピーク位置は多少変化しているものの、図3で示した領域内にピーク位置が納まっている。よって、本実施形態の構成は、TMモード、TEモードのいずれの偏光についても有効であることが確認できた。
次に偏光依存性を確認するために、図2の計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードである場合について光の増強度の計算を行った。本計算の結果を図6に示す。TMモードのとき(図2)に比べ、ピーク位置は多少変化しているものの、図3で示した領域内にピーク位置が納まっている。よって、本実施形態の構成は、TMモード、TEモードのいずれの偏光についても有効であることが確認できた。
[3−4.2次元周期構造]
さらに、2次元の周期構造による効果の検討を行った。図7Aは、x方向およびy方向の両方向に凹部および凸部が配列された2次元の周期構造120’の一部を示す平面図である。図中の黒い領域が凸部、白い領域が凹部を示している。このような2次元周期構造では、x方向とy方向の両方の回折を考慮する必要がある。x方向のみ、あるいはy方向のみの回折に関しては1次元の場合と同様であるが、x、y両方の成分を有する方向(例えば、斜め45°方向)の回折も存在するため、1次元の場合とは異なる結果が得られることが期待できる。このような2次元周期構造に関して光の増強度を計算した結果を図7Bに示す。周期構造以外の計算条件は図2の条件と同じである。図7Bに示すように、図2に示すTMモードのピーク位置に加えて、図6に示すTEモードにおけるピーク位置と一致するピーク位置も観測された。この結果は、2次元周期構造により、TEモードも、回折により変換されて出力されていることを示している。また、2次元周期構造については、x方向およびy方向の両方について、同時に1次の回折条件を満足する回折も考慮する必要がある。このような回折光は、周期pの√2倍(即ち、21/2倍)の周期に対応する角度の方向に出射する。よって、1次元周期構造の場合のピークに加えて、周期pの√2倍の周期についてもピークが発生すると考えられる。図7Bでは、このようなピークも確認できる。
さらに、2次元の周期構造による効果の検討を行った。図7Aは、x方向およびy方向の両方向に凹部および凸部が配列された2次元の周期構造120’の一部を示す平面図である。図中の黒い領域が凸部、白い領域が凹部を示している。このような2次元周期構造では、x方向とy方向の両方の回折を考慮する必要がある。x方向のみ、あるいはy方向のみの回折に関しては1次元の場合と同様であるが、x、y両方の成分を有する方向(例えば、斜め45°方向)の回折も存在するため、1次元の場合とは異なる結果が得られることが期待できる。このような2次元周期構造に関して光の増強度を計算した結果を図7Bに示す。周期構造以外の計算条件は図2の条件と同じである。図7Bに示すように、図2に示すTMモードのピーク位置に加えて、図6に示すTEモードにおけるピーク位置と一致するピーク位置も観測された。この結果は、2次元周期構造により、TEモードも、回折により変換されて出力されていることを示している。また、2次元周期構造については、x方向およびy方向の両方について、同時に1次の回折条件を満足する回折も考慮する必要がある。このような回折光は、周期pの√2倍(即ち、21/2倍)の周期に対応する角度の方向に出射する。よって、1次元周期構造の場合のピークに加えて、周期pの√2倍の周期についてもピークが発生すると考えられる。図7Bでは、このようなピークも確認できる。
2次元周期構造としては、図7Aに示すようなx方向およびy方向の周期が等しい正方格子の構造に限らず、図18Aおよび図18Bのような六角形や三角形を並べた格子構造であってもよい。また、方位方向によって(例えば、正方格子の場合x方向およびy方向)の周期が異なる構造であってもよい。
以上のように、本実施形態では、周期構造とフォトルミネッセンス層とによって形成される特徴的な擬似導波モードの光を、周期構造による回折現象を利用して、正面方向にのみ選択的に出射できることが確認できた。このような構成で、フォトルミネッセンス層を紫外線や青色光などの励起光で励起させることにより、指向性を有する発光が得られる。
[4.周期構造およびフォトルミネッセンス層の構成の検討]
次に、周期構造およびフォトルミネッセンス層の構成や屈折率などの各種条件を変えたときの効果について説明する。
次に、周期構造およびフォトルミネッセンス層の構成や屈折率などの各種条件を変えたときの効果について説明する。
[4−1.周期構造の屈折率]
まず、周期構造の屈折率に関して検討を行った。フォトルミネッセンス層の膜厚を200nm、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造は図1Aに示すようなy方向に均一な1次元周期構造とし、高さを50nm、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとして計算を行った。発光波長および周期構造の屈折率を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を図8に示す。また、同様の条件でフォトルミネッセンス層の膜厚を1000nmにした場合の結果を図9に示す。
まず、周期構造の屈折率に関して検討を行った。フォトルミネッセンス層の膜厚を200nm、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造は図1Aに示すようなy方向に均一な1次元周期構造とし、高さを50nm、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとして計算を行った。発光波長および周期構造の屈折率を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を図8に示す。また、同様の条件でフォトルミネッセンス層の膜厚を1000nmにした場合の結果を図9に示す。
まず、フォトルミネッセンス層の膜厚に着目すると、膜厚が200nmの場合(図8)に比べ、膜厚が1000nmの場合(図9)のほうが、周期構造の屈折率の変化に対する光強度がピークとなる波長(ピーク波長と称する。)のシフトが小さいことがわかる。これは、フォトルミネッセンス層の膜厚が小さいほど、擬似導波モードが周期構造の屈折率の影響を受けやすいからである。即ち、周期構造の屈折率が高いほど、有効屈折率が大きくなり、その分ピーク波長が長波長側にシフトするが、この影響は、膜厚が小さいほど顕著になる。なお、有効屈折率は、擬似導波モードの電場が分布する領域に存在する媒質の屈折率によって決まる。
次に、周期構造の屈折率の変化に対するピークの変化に着目すると、屈折率が高いほどピークが広がり強度が下がっていることがわかる。これは、周期構造の屈折率が高いほど擬似導波モードの光を外部に放出するレートが高いため、光を閉じ込める効果が減少する、すなわちQ値が低くなることが原因である。ピーク強度を高く保つためには、光を閉じ込める効果が高い(即ちQ値が高い)擬似導波モードを利用して、適度に光を外部に放出する構成にすればよい。これを実現するためには、屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率に比べて大き過ぎる材料を周期構造に用いるのは望ましくないことがわかる。したがって、ピーク強度およびQ値をある程度高くするためには、周期構造を構成する誘電体(即ち、透光層)の屈折率を、フォトルミネッセンス層の屈折率と同等以下にすればよい。フォトルミネッセンス層がフォトルミネッセンス材料以外の材料を含むときも同様である。
[4−2.周期構造の高さ]
次に、周期構造の高さに関して検討を行った。フォトルミネッセンス層の膜厚を1000nm、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造は図1Aに示すようなy方向に均一な1次元周期構造で屈折率をnp=1.5、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとして計算を行った。発光波長および周期構造の高さを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を図10に示す。同様の条件で、周期構造の屈折率をnp=2.0とした場合の計算結果を図11に示す。図10に示す結果では、ある程度以上の高さではピーク強度やQ値(即ち、ピークの線幅)が変化していないのに対して、図11に示す結果では、周期構造の高さが大きいほどピーク強度およびQ値が低下していることがわかる。これは、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが周期構造の屈折率npよりも高い場合(図10)には、光が全反射するので、擬似導波モードの電場の染み出し(エバネッセント)部分のみが周期構造と相互作用することに起因する。電場のエバネッセント部分と周期構造との相互作用の影響は、周期構造の高さが十分大きい場合には、それ以上高さが変化しても一定である。一方、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが周期構造の屈折率npよりも低い場合(図11)は、全反射せずに周期構造の表面にまで光が到達するので、周期構造の高さが大きいほどその影響を受ける。図11を見る限り、高さは100nm程度あれば十分であり、150nmを超える領域ではピーク強度およびQ値が低下していることがわかる。したがって、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが周期構造の屈折率npよりも低い場合に、ピーク強度およびQ値をある程度高くするためには、周期構造の高さを150nm以下に設定すればよい。
次に、周期構造の高さに関して検討を行った。フォトルミネッセンス層の膜厚を1000nm、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造は図1Aに示すようなy方向に均一な1次元周期構造で屈折率をnp=1.5、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとして計算を行った。発光波長および周期構造の高さを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を図10に示す。同様の条件で、周期構造の屈折率をnp=2.0とした場合の計算結果を図11に示す。図10に示す結果では、ある程度以上の高さではピーク強度やQ値(即ち、ピークの線幅)が変化していないのに対して、図11に示す結果では、周期構造の高さが大きいほどピーク強度およびQ値が低下していることがわかる。これは、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが周期構造の屈折率npよりも高い場合(図10)には、光が全反射するので、擬似導波モードの電場の染み出し(エバネッセント)部分のみが周期構造と相互作用することに起因する。電場のエバネッセント部分と周期構造との相互作用の影響は、周期構造の高さが十分大きい場合には、それ以上高さが変化しても一定である。一方、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが周期構造の屈折率npよりも低い場合(図11)は、全反射せずに周期構造の表面にまで光が到達するので、周期構造の高さが大きいほどその影響を受ける。図11を見る限り、高さは100nm程度あれば十分であり、150nmを超える領域ではピーク強度およびQ値が低下していることがわかる。したがって、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが周期構造の屈折率npよりも低い場合に、ピーク強度およびQ値をある程度高くするためには、周期構造の高さを150nm以下に設定すればよい。
[4−3.偏光方向]
次に、偏光方向に関して検討を行った。図9に示す計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードであるものとして計算した結果を図12に示す。TEモードでは、擬似導波モードの電場の染み出しがTMモードに比べて大きいため、周期構造による影響を受けやすい。よって、周期構造の屈折率npがフォトルミネッセンス層の屈折率nwavよりも大きい領域では、ピーク強度およびQ値の低下がTMモードよりも著しい。
次に、偏光方向に関して検討を行った。図9に示す計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードであるものとして計算した結果を図12に示す。TEモードでは、擬似導波モードの電場の染み出しがTMモードに比べて大きいため、周期構造による影響を受けやすい。よって、周期構造の屈折率npがフォトルミネッセンス層の屈折率nwavよりも大きい領域では、ピーク強度およびQ値の低下がTMモードよりも著しい。
[4−4.フォトルミネッセンス層の屈折率]
次に、フォトルミネッセンス層の屈折率に関して検討を行った。図9に示す計算と同様の条件で、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavを1.5に変更した場合の結果を図13に示す。フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが1.5の場合においても概ね図9と同様の効果が得られていることがわかる。ただし、波長が600nm以上の光は正面方向に出射していないことがわかる。これは、式(10)より、λ0<nwav×p/m=1.5×400nm/1=600nmとなるからである。
次に、フォトルミネッセンス層の屈折率に関して検討を行った。図9に示す計算と同様の条件で、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavを1.5に変更した場合の結果を図13に示す。フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが1.5の場合においても概ね図9と同様の効果が得られていることがわかる。ただし、波長が600nm以上の光は正面方向に出射していないことがわかる。これは、式(10)より、λ0<nwav×p/m=1.5×400nm/1=600nmとなるからである。
以上の分析から、周期構造の屈折率はフォトルミネッセンス層の屈折率と同等以下にするか、周期構造の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率以上の場合には、高さを150nm以下にすれば、ピーク強度およびQ値を高くできることがわかる。
[5.変形例]
以下、本実施形態の変形例を説明する。
以下、本実施形態の変形例を説明する。
[5−1.基板を有する構成]
上述のように、発光素子は、図1Cおよび図1Dに示すように、透明基板140の上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120が形成された構造を有していてもよい。このような発光素子100aを作製するには、まず、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110を構成するフォトルミネッセンス材料(必要に応じて、マトリクス材料を含む、以下同じ。)で薄膜を形成し、その上に周期構造120を形成する方法が考えられる。このような構成において、フォトルミネッセンス層110と周期構造120とにより、光を特定の方向に出射する機能をもたせるためには、透明基板140の屈折率nsはフォトルミネッセンス層の屈折率nwav以下にする必要がある。透明基板140をフォトルミネッセンス層110に接するように設けた場合、式(10)における出射媒質の屈折率noutをnsとした式(15)を満足するように周期pを設定する必要がある。
上述のように、発光素子は、図1Cおよび図1Dに示すように、透明基板140の上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120が形成された構造を有していてもよい。このような発光素子100aを作製するには、まず、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110を構成するフォトルミネッセンス材料(必要に応じて、マトリクス材料を含む、以下同じ。)で薄膜を形成し、その上に周期構造120を形成する方法が考えられる。このような構成において、フォトルミネッセンス層110と周期構造120とにより、光を特定の方向に出射する機能をもたせるためには、透明基板140の屈折率nsはフォトルミネッセンス層の屈折率nwav以下にする必要がある。透明基板140をフォトルミネッセンス層110に接するように設けた場合、式(10)における出射媒質の屈折率noutをnsとした式(15)を満足するように周期pを設定する必要がある。
このことを確認するために、屈折率が1.5の透明基板140の上に、図2に示す計算と同じ条件のフォトルミネッセンス層110および周期構造120を設けた場合の計算を行った。本計算の結果を図14に示す。図2の結果と同様、波長ごとに特定の周期において光強度のピークが現れることが確認できるが、ピークが現れる周期の範囲が図2の結果とは異なることがわかる。これに対して、式(10)の条件をnout=nsとした式(15)の条件を図15に示す。図14において、図15に示される範囲に対応する領域内に、光強度のピークが現れていることがわかる。
したがって、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110と周期構造120とを設けた発光素子100aでは、式(15)を満足する周期pの範囲において効果が得られ、式(13)を満足する周期pの範囲において特に顕著な効果が得られる。
[5−2.励起光源を有する発光装置]
図16は、図1A、1Bに示す発光素子100と、励起光をフォトルミネッセンス層110に入射させる光源180とを備える発光装置200の構成例を示す図である。上述のように、本開示の構成では、フォトルミネッセンス層を紫外線や青色光などの励起光で励起させることにより、指向性をもつ発光が得られる。そのような励起光を出射するように構成された光源180を設けることにより、指向性をもつ発光装置200を実現できる。光源180から出射される励起光の波長は、典型的には紫外または青色領域の波長であるが、これらに限らず、フォトルミネッセンス層110を構成するフォトルミネッセンス材料に応じて適宜決定される。なお、図16では、光源180がフォトルミネッセンス層110の下面から励起光を入射させるように配置されているが、このような例に限定されず、例えば、フォトルミネッセンス層110の上面から励起光を入射させてもよい。
図16は、図1A、1Bに示す発光素子100と、励起光をフォトルミネッセンス層110に入射させる光源180とを備える発光装置200の構成例を示す図である。上述のように、本開示の構成では、フォトルミネッセンス層を紫外線や青色光などの励起光で励起させることにより、指向性をもつ発光が得られる。そのような励起光を出射するように構成された光源180を設けることにより、指向性をもつ発光装置200を実現できる。光源180から出射される励起光の波長は、典型的には紫外または青色領域の波長であるが、これらに限らず、フォトルミネッセンス層110を構成するフォトルミネッセンス材料に応じて適宜決定される。なお、図16では、光源180がフォトルミネッセンス層110の下面から励起光を入射させるように配置されているが、このような例に限定されず、例えば、フォトルミネッセンス層110の上面から励起光を入射させてもよい。
励起光を擬似導波モードに結合させることで、効率よく光を出射させる方法もある。図17は、そのような方法を説明するための図である。この例では、図1C、1Dに示す構成と同様、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120が形成されている。まず、図17(a)に示すように、発光増強のためにx方向の周期pxを決定し、続いて、図17(b)に示すように、励起光を擬似導波モードに結合させるためにy方向の周期pyを決定する。周期pxは、式(10)においてpをpxに置き換えた条件を満足するように決定される。一方、周期pyは、mを1以上の整数、励起光の波長をλex、フォトルミネッセンス層110に接する媒質のうち、周期構造120を除く最も屈折率の高い媒質の屈折率をnoutとして、以下の式(16)を満足するように決定される。
ここで、noutは、図17の例では透明基板140のnsであるが、図16のように透明基板140を設けない構成では、空気の屈折率(約1.0)である。
ここで、noutは、図17の例では透明基板140のnsであるが、図16のように透明基板140を設けない構成では、空気の屈折率(約1.0)である。
このように、式(16)の条件(特に式(17)の条件)を満足するように周期pyを設定することで、励起光を擬似導波モードに変換することができる。その結果、フォトルミネッセンス層110に効率的に波長λexの励起光を吸収させることができる。
図17(c)、(d)は、それぞれ、図17(a)、(b)に示す構造に対して光を入射したときに光が吸収される割合を波長ごとに計算した結果を示す図である。この計算では、px=365nm、py=265nmとし、フォトルミネッセンス層110からの発光波長λを約600nm、励起光の波長λexを約450nm、フォトルミネッセンス層110の消衰係数は0.003としている。図17(d)に示すように、フォトルミネッセンス層110から生じた光だけでなく、励起光である約450nmの光に対して高い吸収率を示している。これは、入射した光が効果的に擬似導波モードに変換されることで、フォトルミネッセンス層に吸収される割合を増大させることができているためである。また、発光波長である約600nmに対しても吸収率が増大しているが、これは、もし約600nmの波長の光をこの構造に入射した場合には、同様に効果的に擬似導波モードに変換されるということである。このように、図17(b)に示す周期構造120は、x方向およびy方向のそれぞれに周期の異なる構造(周期成分)を有する2次元周期構造である。このように、複数の周期成分を有する2次元周期構造を用いることにより、励起効率を高めつつ、出射強度を高めることが可能になる。なお、図17では励起光を基板側から入射しているが、周期構造側から入射しても同じ効果が得られる。
さらに、複数の周期成分を有する2次元周期構造としては、図18Aまたは図18Bに示すような構成を採用してもよい。図18Aに示すように六角形の平面形状を有する複数の凸部または凹部を周期的に並べた構成や、図18Bに示すように三角形の平面形状を有する複数の凸部または凹部を周期的に並べた構成とすることにより、周期とみなすことのできる複数の主軸(図の例では軸1〜3)を定めることができる。このため、それぞれの軸方向について異なる周期を割り当てることができる。これらの周期の各々を、複数の波長の光の指向性を高めるために設定してもよいし、励起光を効率よく吸収させるために設定してもよい。いずれの場合も、式(10)に相当する条件を満足するように各周期が設定される。
[5−3.透明基板上の周期構造]
図19Aおよび図19Bに示すように、透明基板140上に周期構造120aを形成し、その上にフォトルミネッセンス層110を設けてもよい。図19Aの構成例では、基板140上の凹凸からなる周期構造120aに追従するようにフォトルミネッセンス層110が形成された結果、フォトルミネッセンス層110の表面にも同じ周期の周期構造120bが形成されている。一方、図19Bの構成例では、フォトルミネッセンス層110の表面は平坦になるように処理されている。これらの構成例においても、周期構造120aの周期pを式(15)を満足するように設定することにより、指向性発光を実現できる。
図19Aおよび図19Bに示すように、透明基板140上に周期構造120aを形成し、その上にフォトルミネッセンス層110を設けてもよい。図19Aの構成例では、基板140上の凹凸からなる周期構造120aに追従するようにフォトルミネッセンス層110が形成された結果、フォトルミネッセンス層110の表面にも同じ周期の周期構造120bが形成されている。一方、図19Bの構成例では、フォトルミネッセンス層110の表面は平坦になるように処理されている。これらの構成例においても、周期構造120aの周期pを式(15)を満足するように設定することにより、指向性発光を実現できる。
この効果を検証するため、図19Aの構成において、発光波長および周期構造の周期を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した。ここで、フォトルミネッセンス層110の膜厚を1000nm、フォトルミネッセンス層110の屈折率をnwav=1.8、周期構造120aはy方向に均一な1次元周期構造で高さを50nm、屈折率をnp=1.5、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとした。本計算の結果を図19Cに示す。本計算においても、式(15)の条件を満足する周期で光強度のピークが観測された。
[5−4.粉体]
以上の実施形態によれば、周期構造の周期や、フォトルミネッセンス層の膜厚を調整することで任意の波長の発光を強調することができる。例えば、広い帯域で発光するフォトルミネッセンス材料を用いて図1A、1Bのような構成にすれば、ある波長の光のみを強調することが可能である。よって、図1A、1Bのような発光素子100の構成を粉末状にして、蛍光材料として利用してもよい。また、図1A、1Bのような発光素子100を樹脂やガラスなどに埋め込んで利用してもよい。
以上の実施形態によれば、周期構造の周期や、フォトルミネッセンス層の膜厚を調整することで任意の波長の発光を強調することができる。例えば、広い帯域で発光するフォトルミネッセンス材料を用いて図1A、1Bのような構成にすれば、ある波長の光のみを強調することが可能である。よって、図1A、1Bのような発光素子100の構成を粉末状にして、蛍光材料として利用してもよい。また、図1A、1Bのような発光素子100を樹脂やガラスなどに埋め込んで利用してもよい。
図1A、1Bのような単体の構成では、ある特定の波長しか特定の方向に出射できないため、例えば広い波長域のスペクトルを持つ白色などの発光を実現することは難しい。そこで、図20に示すように周期構造の周期やフォトルミネッセンス層の膜厚などの条件の異なる複数の粉末状の発光素子100を混ぜたものを用いることにより、広い波長域のスペクトルを持つ発光装置を実現できる。この場合、個々の発光素子100の一方向のサイズは、例えば数μm〜数mm程度であり、その中に例えば数周期〜数百周期の1次元または2次元の周期構造を含み得る。
[5−5.周期の異なる構造を配列]
図21は、フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の周期構造を2次元に配列した例を示す平面図である。この例では、3種類の周期構造120a、120b、120cが隙間なく配列されている。周期構造120a、120b、120cは、例えば、赤、緑、青の波長域の光をそれぞれ正面に出射するように周期が設定されている。このように、フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の構造を並べることによっても広い波長域のスペクトルに対し指向性を発揮させることができる。なお、複数の周期構造の構成は、上記のものに限定されず、任意に設定してよい。
図21は、フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の周期構造を2次元に配列した例を示す平面図である。この例では、3種類の周期構造120a、120b、120cが隙間なく配列されている。周期構造120a、120b、120cは、例えば、赤、緑、青の波長域の光をそれぞれ正面に出射するように周期が設定されている。このように、フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の構造を並べることによっても広い波長域のスペクトルに対し指向性を発揮させることができる。なお、複数の周期構造の構成は、上記のものに限定されず、任意に設定してよい。
[5−6.積層構造]
図22は、表面に凹凸構造が形成された複数のフォトルミネッセンス層110が積層された構造を有する発光素子の一例を示している。複数のフォトルミネッセンス層110の間には、透明基板140が設けられ、各層のフォトルミネッセンス層110の表面に形成された凹凸構造が上記の周期構造またはサブミクロン構造に相当する。図22に示す例では、3層の周期の異なる周期構造が形成されており、それぞれ、赤、青、緑の波長域の光を正面に出射するように周期が設定されている。また、各周期構造の周期に対応する色の光を発するように各層のフォトルミネッセンス層110の材料が選択されている。このように、周期の異なる複数の周期構造を積層することによっても、広い波長域のスペクトルに対し指向性を発揮させることができる。
図22は、表面に凹凸構造が形成された複数のフォトルミネッセンス層110が積層された構造を有する発光素子の一例を示している。複数のフォトルミネッセンス層110の間には、透明基板140が設けられ、各層のフォトルミネッセンス層110の表面に形成された凹凸構造が上記の周期構造またはサブミクロン構造に相当する。図22に示す例では、3層の周期の異なる周期構造が形成されており、それぞれ、赤、青、緑の波長域の光を正面に出射するように周期が設定されている。また、各周期構造の周期に対応する色の光を発するように各層のフォトルミネッセンス層110の材料が選択されている。このように、周期の異なる複数の周期構造を積層することによっても、広い波長域のスペクトルに対し指向性を発揮させることができる。
なお、層数や各層のフォトルミネッセンス層110および周期構造の構成は上記のものに限定されず、任意に設定してよい。例えば2層の構成では、透光性の基板を介して第1のフォトルミネッセンス層と第2のフォトルミネッセンス層とが対向するように形成され、第1および第2のフォトルミネッセンス層の表面に、それぞれ第1および第2の周期構造が形成されることになる。この場合、第1のフォトルミネッセンス層および第1の周期構造の対と、第2のフォトルミネッセンス層および第2の周期構造の対のそれぞれについて、式(15)に相当する条件を満足していればよい。3層以上の構成においても同様に、各層におけるフォトルミネッセンス層および周期構造について、式(15)に相当する条件を満足していればよい。フォトルミネッセンス層と周期構造との位置関係が図22に示すものとは逆転していてもよい。図22に示す例では、各層の周期が異なっているが、これらを全て同じ周期にしてもよい。その場合、スペクトルを広くすることはできないが、発光強度を大きくすることができる。
[5−7.保護層を有する構成]
図23は、フォトルミネッセンス層110と周期構造120との間に保護層150を設けた構成例を示す断面図である。このように、フォトルミネッセンス層110を保護するための保護層150を設けても良い。ただし、保護層150の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率よりも低い場合は、保護層150の内部に波長の半分程度しか光の電場が染み出さない。よって、保護層150が波長よりも厚い場合には、周期構造120に光が届かない。このため、擬似導波モードが存在せず、光を特定方向に放出する機能を得ることができない。保護層150の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率と同程度あるいはそれ以上の場合には、保護層150の内部にまで光が到達する。よって、保護層150に厚さの制約は無い。ただし、その場合でも、光が導波する部分(以下、この部分を「導波層」と呼ぶ。)の大部分をフォトルミネッセンス材料で形成したほうが大きな光の出力が得られる。よって、この場合でも保護層150は薄いほうが望ましい。なお、保護層150を周期構造(透光層)120と同じ材料を用いて形成してもよい。このとき、周期構造を有する透光層が保護層を兼ねる。透光層120の屈折率はフォトルミネッセンス層110よりも小さいことが望ましい。
図23は、フォトルミネッセンス層110と周期構造120との間に保護層150を設けた構成例を示す断面図である。このように、フォトルミネッセンス層110を保護するための保護層150を設けても良い。ただし、保護層150の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率よりも低い場合は、保護層150の内部に波長の半分程度しか光の電場が染み出さない。よって、保護層150が波長よりも厚い場合には、周期構造120に光が届かない。このため、擬似導波モードが存在せず、光を特定方向に放出する機能を得ることができない。保護層150の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率と同程度あるいはそれ以上の場合には、保護層150の内部にまで光が到達する。よって、保護層150に厚さの制約は無い。ただし、その場合でも、光が導波する部分(以下、この部分を「導波層」と呼ぶ。)の大部分をフォトルミネッセンス材料で形成したほうが大きな光の出力が得られる。よって、この場合でも保護層150は薄いほうが望ましい。なお、保護層150を周期構造(透光層)120と同じ材料を用いて形成してもよい。このとき、周期構造を有する透光層が保護層を兼ねる。透光層120の屈折率はフォトルミネッセンス層110よりも小さいことが望ましい。
[6.材料および製造方法]
以上のような条件を満たす材料でフォトルミネッセンス層(あるいは導波層)および周期構造を構成すれば、指向性発光を実現できる。周期構造には任意の材料を用いることができる。しかしながら、フォトルミネッセンス層(あるいは導波層)や周期構造を形成する媒質の光吸収性が高いと、光を閉じ込める効果が低下し、ピーク強度およびQ値が低下する。よって、フォトルミネッセンス層(あるいは導波層)および周期構造を形成する媒質として、光吸収性の比較的低いものが用いられ得る。
以上のような条件を満たす材料でフォトルミネッセンス層(あるいは導波層)および周期構造を構成すれば、指向性発光を実現できる。周期構造には任意の材料を用いることができる。しかしながら、フォトルミネッセンス層(あるいは導波層)や周期構造を形成する媒質の光吸収性が高いと、光を閉じ込める効果が低下し、ピーク強度およびQ値が低下する。よって、フォトルミネッセンス層(あるいは導波層)および周期構造を形成する媒質として、光吸収性の比較的低いものが用いられ得る。
周期構造の材料としては、例えば、光吸収性の低い誘電体が使用され得る。周期構造の材料の候補としては、例えば、MgF2(フッ化マグネシウム)、LiF(フッ化リチウム)、CaF2(フッ化カルシウム)、SiO2(石英)、ガラス、樹脂、MgO(酸化マグネシウム)、ITO(酸化インジウム錫)、TiO2(酸化チタン)、SiN(窒化シリコン)、Ta2O5(五酸化タンタル)、ZrO2(ジルコニア)、ZnSe(セレン化亜鉛)、ZnS(硫化亜鉛)などが挙げられる。ただし、前述のとおり周期構造の屈折率をフォトルミネッセンス層の屈折率よりも低くする場合、屈折率が1.3〜1.5程度であるMgF2、LiF、CaF2、SiO2、ガラス、樹脂を用いることができる。
フォトルミネッセンス材料は、狭義の蛍光材料および燐光材料を包含し、無機材料だけなく、有機材料(例えば色素)を包含し、さらには、量子ドット(即ち、半導体微粒子)を包含する。一般に、無機材料をホストとする蛍光材料は屈折率が高い傾向にある。青色に発光する蛍光材料としては、例えば、M10(PO4)6Cl2:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、BaMgAl10O17:Eu2+、M3MgSi2O8:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、M5SiO4Cl6:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を用いることができる。緑色に発光する蛍光材料としては、例えば、M2MgSi2O7:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、SrSi5AlO2N7:Eu2+、SrSi2O2N2:Eu2+、BaAl2O4:Eu2+、BaZrSi3O9:Eu2+、M2SiO4:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、BaSi3O4N2:Eu2+Ca8Mg(SiO4)4Cl2:Eu2+、Ca3SiO4Cl2:Eu2+、CaSi12-(m+n)Al(m+n)OnN16-n:Ce3+、β−SiAlON:Eu2+を用いることができる。赤色に発光する蛍光材料としては、例えば、CaAlSiN3:Eu2+、SrAlSi4O7:Eu2+、M2Si5N8:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、MSiN2:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、MSi2O2N2:Yb2+(M=SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、Y2O2S:Eu3+,Sm3+、La2O2S:Eu3+,Sm3+、CaWO4:Li1+,Eu3+,Sm3+、M2SiS4:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、M3SiO5:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を用いることができる。黄色に発光する蛍光材料としては、例えば、Y3Al5O12:Ce3+、CaSi2O2N2:Eu2+、Ca3Sc2Si3O12:Ce3+、CaSc2O4:Ce3+、α−SiAlON:Eu2+、MSi2O2N2:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、M7(SiO3)6Cl2:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を用いることができる。
量子ドットについては、例えば、CdS、CdSe、コア・シェル型CdSe/ZnS、合金型CdSSe/ZnSなどの材料を用いることができ、材質によって様々な発光波長を得ることができる。量子ドットのマトリクスとしては、例えば、ガラスや樹脂を用いることができる。
図1C、1Dなどに示す透明基板140は、フォトルミネッセンス層110の屈折率よりも低い透光性材料によって構成される。そのような材料として、例えば、MgF(フッ化マグネシウム)、LiF(フッ化リチウム)、CaF2(フッ化カルシウム)、SiO2(石英)、ガラス、樹脂が挙げられる。
続いて、製造方法の一例を説明する。
図1C、1Dに示す構成を実現する方法として、例えば、透明基板140上に蛍光材料を蒸着、スパッタリング、塗布などの工程によってフォトルミネッセンス層110の薄膜を形成し、その後、誘電体を成膜し、フォトリソグラフィなどの方法によってパターニングすることによって周期構造120を形成する方法がある。上記方法の代わりに、ナノインプリントによって周期構造120を形成してもよい。また、図24に示すように、フォトルミネッセンス層110の一部のみを加工することによって周期構造120を形成してもよい。その場合、周期構造120はフォトルミネッセンス層110と同じ材料で形成されることになる。
図1A、1Bに示す発光素子100は、例えば、図1C、1Dに示す発光素子100aを作製した後、基板140からフォトルミネッセンス層110および周期構造120の部分を剥がす工程を行うことで実現可能である。
図19Aに示す構成は、例えば、透明基板140上に半導体プロセスやナノインプリントなどの方法で周期構造120aを形成した後、その上にフォトルミネッセンス層110を構成する材料を蒸着やスパッタリングなどの方法で形成することによって実現可能である。あるいは、塗布などの方法を用いて周期構造120aの凹部をフォトルミネッセンス層110で埋め込むことによって図19Bに示す構成を実現することもできる。
なお、上記の製造方法は一例であり、本開示の発光素子は上記の製造方法に限定されない。
[実験例]
以下に、本開示の実施形態による発光素子を作製した例を説明する。
以下に、本開示の実施形態による発光素子を作製した例を説明する。
図19Aと同様の構成を有する発光素子のサンプルを試作し、特性を評価した。発光素子は以下の様にして作製した。
ガラス基板に、周期400nm、高さ40nmの1次元周期構造(ストライプ状の凸部)を設け、その上からフォトルミネッセンス材料であるYAG:Ceを210nm成膜した。この断面図のTEM像を図25に示し、これを450nmのLEDで励起することでYAG:Ceを発光させたときの、正面方向のスペクトルを測定した結果を図26に示す。図26には、周期構造がない場合の測定結果(ref)と、1次元周期構造に対して平行な偏光成分を持つTMモードと、垂直な偏光成分を持つTEモードを測定した結果について示した。周期構造がある場合は、周期構造がない場合に対して、特定の波長の光が著しく増加していることが見て取れる。また、1次元周期構造に対して平行な偏光成分を持つTMモードの方が、光の増強効果が大きいことが分かる。
さらに、同じサンプルにおいて、出射光強度の角度依存性を測定した結果および計算結果を図27および図28に示す。図27は、1次元周期構造(周期構造120)のライン方向と平行な軸を回転軸として回転させた場合について、図28は、1次元周期構造(即ち、周期構造120)のライン方向に対して垂直な方向を回転軸として回転させた場合についての測定結果(上段)および計算結果(下段)を示している。また、図27および図28のそれぞれにおいて、TMモードおよびTEモードの直線偏光についての結果を示しており、図27(a)はTMモード、図27(b)はTEモード、図28(a)はTEモード、図28(b)はTMモードの直線偏光についての結果をそれぞれ示している。図27および図28から明らかなように、TMモードの方が増強する効果が高く、また増強される波長は角度によってシフトしていく様子が見て取れる。例えば、610nmの光においては、TMモードでかつ正面方向にしか光が存在しないため、指向性かつ偏光発光していることがわかる。また、各図の上段と下段とが整合していることから、上述の計算の妥当性が実験によって裏付けられた。
上記の測定結果から例えば、610nmの光において、ライン方向に対して垂直な方向を回転軸として回転させた場合の強度の角度依存性を示したのが図29である。正面方向に強い発光増強が起きており、そのほかの角度に対しては、ほとんど光が増強されていない様子がみてとれる。正面方向に出射される光の指向角は15°未満であることがわかる。なお、指向角は、強度が最大強度の50%となる角度であり、最大強度の方向を中心に片側の角度で表す。つまり、指向性発光が実現していることがわかる。さらにこれは、全てTMモードの成分であるため、同時に偏光発光も実現していることがわかる。
以上の検証は、広帯域の波長帯で発光するYAG:Ceを使って実験を行ったが、発光が狭帯域のフォトルミネッセンス材料で同様の構成としても、その波長の光に対して指向性や偏光発光を実現することができる。さらに、この場合、他の波長の光は発生しないために他の方向や偏光状態の光は発生しないような光源を実現することができる。
上記の説明では、本開示の発光素子が有するサブミクロン構造が周期構造である実施形態の発光素子を主に例示した。以下では、サブミクロン構造が、不規則(即ち、ランダム)に配置された複数の凸部および/または複数の凹部によって構成されている実施形態の発光素子を説明する。ここで、凸部および/または凹部の配置は、サブミクロン構造が形成されている面に対する法線方向、典型的にはフォトルミネッセンス層に対する法線方向、から見たときの、凸部および/または凹部の2次元的な配置をいう。
不規則に配置された凸部および凹部を有するサブミクロン構造を「ランダムなサブミクロン構造」ということにする。また、凸部および/または凹部のランダムな配置を「ランダムパターン」という。ランダムなサブミクロン構造は、上述のサブミクロン構造(即ち、周期構造)と同様に、フォトルミネッセンス層および/または透光層に形成される。ランダムなサブミクロン構造を有する発光素子は、ブロードな波長範囲の光を出射することができる。なお、本明細書における「ランダム」とは完全にランダムであることを意味せず、以下の説明から明らかになるように、前述の発光増強等の効果を奏する光の波長範囲をブロードにできる程度に不規則であればよい。
以下では、フォトルミネッセンス層上に形成された透光層がランダムなサブミクロン構造を有する場合を例示するが、これに限られず、上述した本開示の発光素子におけるサブミクロン構造をランダムなサブミクロン構造とすることができる。
図31〜図38を参照して、本開示の発光素子のサブミクロン構造が有するランダムパターンの例を説明する。
図31(a)は、第1のランダムパターンを有するサブミクロン構造120Raの模式的な平面図である。図31(b)は、第1のランダムパターンを構成する第1の単位パターン122aおよび第2の単位パターン123aを示す平面図である。図31(c)は、図31(a)中のC−C’線に沿った発光素子の断面図である。ここで例示する発光素子は、フォトルミネッセンス層110とフォトルミネッセンス層110上に形成されたサブミクロン構造(透光層)120Raとから構成されている。しかし、これに限られず、例えば、図1Cおよび図1Dに示した基板140を備えてもよいことは言うまでもない。
図31(a)に示すように、サブミクロン構造120Raは、第1の微小領域(図中、黒い領域)121bと第2の微小領域(図中、白い領域)121wとによって構成されている。第1の微小領域121bおよび第2の微小領域121wがランダムに配置されている。第1の微小領域121bおよび第2の微小領域121wの配置は、例えば、図31(b)に示す2つの単位パターン122aおよび123aを種々に組み合わせて配列することによって形成され得る。
第1の単位パターン122aおよび第2の単位パターン123aは正方形で、それぞれ、2個の第1の微小領域121bと2個の第2の微小領域121wとで構成されている。第1の微小領域121bおよび第2の微小領域121wは、それぞれ、一辺の長さがwの正方形である。第1の単位パターン122aおよび第2の単位パターン123aは、一辺の長さが2wの正方形である。第1の単位パターン122aおよび第2の単位パターン123aを構成する4つの微小領域を第1〜第4象限とみなすと、第1の単位パターン122aは、第1および第3象限に第2の微小領域121wを有し、第2および第4象限に第1の微小領域121bを有している。第2の単位パターン123aは、第1の単位パターン122aにおける第1の微小領域121bと第2の微小領域121wとを入れ替えた配置を有している。
第1の微小領域121bは、例えば、図31(c)に示すように、凸部121bで構成され、第2の微小領域121wは凹部121wで構成される。凸部121bおよび凹部121wには、それぞれ、第1の微小領域121bおよび第2の微小領域121wと同じ参照符号を付すことにする。
ここで、図31(a)に示した第1のランダムパターンを有するサブミクロン構造120Raを構成する凸部121bおよび凹部121wの大きさwは、隣接凸部間距離または隣接凹部間距離Dintの最小値(Dint(min)と表記することにする。)の2分の1ということになる。従って、2w=Dint(min)となる。これは、以下で例示する他のランダムパターンについても同様である。
凸部121bの頂面は、平坦な表面を有している。凹部121wの底面は、この例では、フォトルミネッセンス層110の平坦な表面である。凸部121bの頂面と、凹部121wの底面によって、厚さ方向に2つの高さのレベルを形成している。凸部121bの頂面および凹部121wの底面は、2つの異なる高さのレベルを識別できる構造を有していればよい。すなわち、凸部121bの頂面および凹部121wの底面の表面粗さは、2つの高さのレベルの差(凸部121bの厚さ)よりも十分に小さければよく、例えば、2つの高さのレベルの差の10%以下であればよい。このように、サブミクロン構造120Raのパターンにおける高さのレベルを2値にすることによって、半導体製造プロセスを利用して、容易に製造できるという利点が得られる。
凹部121wは、透光層120Raを貫通している必要はなく、透光層120Raの窪みとして形成されてもよい。また、透光層120Raを覆う表面保護層を設けてもよい。この場合、表面保護層の屈折率は、透光層120Raの屈折率よりも小さいことが望ましい。
サブミクロン構造120Raにおける凸部121bおよび凹部121wのランダムな配列パターンは、例えば、第1の単位パターン122aおよび第2の単位パターン123aを無作為に選択し、順に敷き詰めていくことによって形成され得る。例えば、特開2011−118327号公報または特開2011−118328号公報に開示されている方法を用いることができる。参考のために、これら2つの公報の開示内容をすべて本明細書に援用する。
なお、図31(a)に示した第1のランダムパターンは、第1の単位パターン122aの出現確率が50%(すなわち、第2の単位パターン123aの出現確率も50%)の場合であり、2つの単位パターンを用いて形成されるパターンの内で、最もランダム性が高いパターンである。
ここで、ランダムなパターンを特徴づけるために、パターンをフーリエ変換することによって得られる「空間周波数」および空間周波数の逆数として与えられる「周期」を用いる。ここで、「パターンをフーリエ変換する」とは、例えば、サブミクロン構造120Raにおける第1のランダムパターンにおいて、第1の微小領域121bおよび第2の微小領域121wによって生じる光の位相のずれをサブミクロン構造120Raの面上の座標x、yについての2次元関数として表したときのフーリエ変換(2次元フーリエ変換)を意味する。ここでは、第1の微小領域121bが凸部121b、第2の微小領域121wが凹部121wであるので、パターンのフーリエ変換は、サブミクロン構造120Raにおける平坦部の高さの2次元分布をフーリエ変換したものともいえる。
図32(a)〜(d)は、第1の単位パターン122aおよび第2の単位パターン123aの出現確率が異なるパターンを2次元フーリエ変換することによって得られた空間周波数の強度(即ち、振幅の絶対値の二乗)のある方向における分布を示すグラフである。図32(a)は第1の単位パターン122aの出現確率が100%、図32(b)は第1の単位パターン122aの出現確率が80%、図32(c)は第1の単位パターン122aの出現確率が70%、図32(d)は第1の単位パターン122aの出現確率が60%の場合をそれぞれ示す。図31(a)に示した第1のランダムパターン(第1の単位パターン122aの出現確率が50%)についての空間周波数の強度のある方向における分布を示すグラフは、図34(a)に示す。
図32(a)に示すように、第1の単位パターン122aの出現確率が100%である場合には、パターンの周期性が強く、空間周波数の強度の分布は、周期に対応した特定の空間周波数において鋭いピークを有している。それ以外の空間周波数の強度はほとんど零であり、ランダム性はほとんどない。図32(b)、図32(c)および図32(d)に示すように、第1の単位パターン122aの出現確率が80%、70%および60%と低くなる(即ち、50%に近づく)につれて、広い空間周波数の範囲にわたってゼロでない強度を有するようになり、ランダム性が増加していることが分かる。すなわち、空間周波数が0近傍から1/w近傍までの範囲にわたるなだらかな山および、1/w近傍から2/w近傍までの範囲にわたるなだらかな山が、第1の単位パターン122aの出現確率が低くなる(即ち、50%に近づく)につれて大きくなっている。一方、周期性に由来する特定の空間周波数における鋭いピークは、第1の単位パターン122aの出現確率が低くなる(即ち、50%に近づく)につれて小さくなり、60%(図32(d))ではほとんど見られない。2つの異なる単位パターンだけの組み合わせで形成されるパターンのランダム性は、出現確率が50%、すなわち2つの異なる単位パターンが同数だけ含まれる場合に最も高くなる。したがって、図31(a)に示した第1のランダムパターンは、図31(b)に示した第1の単位パターン122aおよび第2の単位パターン123aを用いて形成され得る最もランダム性の高いパターンということになる。なお、本明細書における「ランダムパターン」は、図31(a)に示したものに限られず、図32(b)〜(d)に示した空間周波数の強度分布のように、空間周波数が少なくとも0近傍から1/w近傍にわたって分布するものを含む。これらの空間周波数成分は回折格子でいうところの1次の成分であり、1/wから2/wにわたって分布している成分は2次の成分である。2次の成分は1次の成分と比べて強度が弱いため、2次の成分の影響は小さい。図では3次以降の成分は表示していない。2w=Dint(min)の関係から、wに代えてDint(min)を用いて表現すると、本明細書における「ランダムパターン」は、空間周波数が0超から2/Dint(min)に分布するパターンを含む。空間周波数が0超から2/Dint(min)にわたって分布するとは、空間周波数が0近傍および2/Dint(min)近傍において、空間周波数の強度が実質的にゼロでないことをいう。図32(b)および(c)のような、特定の周期に対応する空間周波数の強度が著しく高い(即ち、鋭いピークを有する)構成は、ランダム構造と周期構造の間の性質を示す。このような構成を利用することは、発光増強等の効果をブロードな波長領域で得たいという目的に対しては望ましくない。
次に、図33(a)および(b)を参照する。図33(a)は、第2のランダムパターンを有するサブミクロン構造120Rbの模式的な平面図である。図33(b)は、白色雑音のランダムパターンの一例を示す模式的な平面図である。
図33(a)に示す第2のランダムパターンは、上記の第1のランダムパターンにおける第1の単位パターン122aおよび第2の単位パターン123aに代えて、図示する第1の単位パターン122bおよび第2の単位パターン123bを用いることによって形成され得る。第1の単位パターン122bは、第1の微小領域121bのみで形成された一辺がwの正方形である。第2の単位パターン123bは、第2の微小領域121wのみで形成された一辺がwの正方形である。
図33(b)は、白色雑音のランダムパターンを示している。このパターンは、ランダムな大きさを有する構造をランダムな位置に並べたパターンである。つまり、白色雑音のランダムパターンは、面内の全ての方向に対して規則性のないランダムな場所に界面が存在する構造である。例えば、粗い表面における凹凸によって形成され得る。
次に、図34(a)および(b)を参照して、上記の3つのランダムなパターンを比較する。
図34(a)に、第1のランダムパターン、第2のランダムパターンおよび白色雑音のランダムパターンをそれぞれ2次元フーリエ変換することによって得られる空間周波数の強度の分布の内、ある方位における空間周波数の強度の1次元分布を示す。図34(a)において、横軸は、パターンの空間周波数(wで規格化した数値)を示し、縦軸は、空間周波数の強度(振幅の絶対値の二乗)を任意単位で示している。図31(a)に示した第1のランダムパターンの空間周波数の強度の1次元分布は太い実線で示されている。図33(a)に示した第2のランダムパターンの空間周波数の強度の1次元分布は破線で示されている。図33(b)に示した白色雑音のランダムパターンの空間周波数の強度の1次元分布は細い実線で示されている。図34(b)は、図34(a)の横軸を周期(単位w)に変換した図である。
図34(a)からわかるように、白色雑音のランダムパターンは、広い空間周波数(0超2/w未満)にわたってほぼ一定の強度を有している。言い換えると、図34(b)からわかるように、白色雑音のランダムパターンは、広い周期(0.5w超100w以下)にわたってほぼ一定の強度を有している。2w=Dint(min)の関係から、wに代えてDint(min)を用いて表現すると、白色雑音のランダムパターンは、広い空間周波数(0超4/Dint(min)未満)にわたってほぼ一定の強度を有している(図34(a))。言い換えると、このパターンは、広い周期(0超50wDint(min)以下)にわたってほぼ一定の強度を有している(図34(b))。
したがって、λa/nwav-a<Dint(min)=2w<λaの関係(式(12)において、λ0に代えてλaを、pに代えてDint(min)を用いた式に相当)を満足する白色雑音のパターンは、λa/nwav-a<Dint=2w<λaの関係を満足するDintを含んではいるものの、その割合は小さい。このパターンは、λa/nwav-a<Dint=2w<λaの関係を満足しないDintを多く含むので、正面方向における発光を増強する効果等はほとんど得られない。
一方、図33(a)に示した第2のランダムパターンでは、図34(a)から分かるように、空間周波数が1/w近傍において、強度が低い。図34(b)からわかるように、第2のランダムパターンは、周期が1.6w以下の成分が、白色雑音のランダムパターンよりも抑制されている。
図34(a)からわかるように、第2のランダムパターンは、空間周波数が0.6/wより大きな領域において白色雑音のランダムパターンよりも強度が小さくなっており、かつ、空間周波数が0.6/wより小さい領域において白色雑音のランダムパターンよりも強度が大きくなっている。図34(b)を参照すると、周期が1.6wより大きな領域において、白色雑音のランダムパターンよりも強度が大きくなっている。周期が1.6wより小さい領域において白色雑音のランダムパターンよりも強度が小さくなっている。すなわち、図33(a)に示した第2のランダムパターンは、1.6wより大きい周期構造を多く含んでいる。
第2のランダムパターンを用いて、発光増強等の効果を効率よく発現させるためには、λa/nwav-a<Dint=2w<λaの関係を満足するDintができるだけ多くなるように、w(=Dint(min)/2)を設定すればよい。第2のランダムパターンは、周期が1.6wより大きい周期構造を多く含んでいるので、1.6w<λa/nwav-a、すわなち、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足するように設定すればよい。
さらに、図34(a)からわかるように、第1のランダムパターンは、空間周波数が0.6/wより大きな領域において白色雑音のランダムパターンよりも強度が小さくなっており、かつ、空間周波数が0.16/wより小さい領域において白色雑音のランダムパターンよりも強度が小さくなっている。第1のランダムパターンは、空間周波数が0.16/w〜0.6/wの強度が増加しており、0.5/wにおいて強度が最大となっている。図34(b)で見ると、第1のランダムパターンは、周期が1.6w〜6wの範囲の周期構造が他のランダムパターンよりも大きく増加しており、周期が2wの周期構造を最も多く含んでいる。
第1のランダムパターンと第2のランダムパターンの特徴を2次元のフーリエ変換の結果から説明する。図35(a)は、第1のランダムパターンを2次元フーリエ変換することによって得られた空間周波数の強度の分布を示す図である。図35(b)は、第2のランダムパターンを2次元フーリエ変換することによって得られた空間周波数の強度の分布を示す図である。これらの図は、グラフの中心付近ほど空間周波数が小さく(即ち、周期が大きく)、外側に離れるほど空間周波数が大きい(即ち、周期が小さい)ように、表示した図である。
図35(a)と図35(b)を比べると、第1のランダムパターン(図35(a))は、第2のランダムパターン(図35(b))に比べて、空間周波数が小さい(即ち、周期が大きい)周期構造が抑制されていることが分かる。
第1のランダムパターンを用いて発光増強等の効果を効率よく発現させるためには、λa/nwav-a<Dint=2w<λaの関係を満足するDintができるだけ多くなるように、w(=Dint(min)/2)を設定すればよい。第1のランダムパターンは、周期が1.6w〜6wの範囲の周期構造を多く含んでいる。したがって、1.6w<λa/nwav-a、すわなち、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係、および、λa<6w、すなわち、λa<3Dint(min)の関係を満足するように設定すればよい。
第1のランダムパターンにおいて、上記のようにDint(min)を設定することによって、第2のランダムパターンおよび白色雑音のランダムパターンに比較して、より大きな発光増強の効果等を得ることができる。
一方、第1のランダムパターンを用いて発光増強等の効果を効率よく発現させるため条件として、以下のような条件を設定してもよい。
空間周波数の強度分布において、最大強度を与える空間周波数に対応する周期(Pmax)が、λa/nwav-a<Pmax<λaの関係を満足するように、Dint(min)を設定すればよい。図34(a)を参照して上述したように、第1のランダムパターンは、空間周波数が0.5/wにおいて、強度が最大値をとるので、Pmax=2w=Dint(min)であり、λa/nwav-a<Dint(min)<λaの関係を満足すればよいことが分かる。
また、上記のPmaxに代えて、平均周期(Pavg)を用いることもできる。ここで、平均周期とは、パターンに含まる各周期について、それに対応する空間周波数の強度で重み付けして、平均することによって求められる。Pavgは、上述したように、パターンをフーリエ変換することによって得られた空間周波数の強度分布から求めることができる。平均周期Pavgがλa/nwav-a<Pavg<λaの関係を満足するようなパターンは、発光増強等の効果に寄与する周期を多く含むこととなる。
もちろん、λa/nwav-a<Pmax<λaおよびλa/nwav-a<Pavg<λaの条件は、例示した第1のランダムパターンに限られず、他のランダムパターンに広く適用できる。
ここで例示したランダムなサブミクロン構造は、あくまでもサブミクロン構造のランダム性の効果を説明するためのものである。もちろん、例示した構造のサブミクロン構造を形成してもよいが、このような明確な構造を有しなくてもよい。例えば、凸部および凹部の形状は正方形である必要はなく、長方形でもよいし、四角形以外の多角形であってもよいし、また、円あるいは楕円でもよい。複数の凹部と複数の凸部とは、必ずしも同数である必要はなく、両者の数が異なっていてもよい。複数の凹部および複数の凸部の各々は、典型的には同一のx方向サイズおよびy方向サイズを有するが、そのような構成に限らず、これらのサイズに偏りがあってもよい。さらに、製造工程における加工精度の影響による形状の変化(例えば、エッジが丸くなる、側面が傾斜する、表面が荒れる、あるいは丸くなる)があってもよい。
図36〜図38に示すサブミクロン構造120Rc〜120Reも、図31(a)に示したサブミクロン構造120Raと同様の効果を奏する。
図36(a)は、第3のランダムパターンを有するサブミクロン構造120Rcの模式的な平面図である。図36(b)は、第3のランダムパターンを構成する第1の単位パターン122cおよび第2の単位パターン123cを示す平面図である。図36(c)は、第3のランダムパターンを2次元フーリエ変換することによって得られた空間周波数の強度の分布を示す図である。
図36(a)に示す第3のランダムパターンは、上記の第1のランダムパターンにおける第1の単位パターン122aおよび第2の単位パターン123aに代えて、図36(b)に示す第1の単位パターン122cおよび第2の単位パターン123cを用いることによって形成され得る。第1の単位パターン122cおよび第2の単位パターン123cは、それぞれ一辺が4wの正方形である。
図36(c)に示すように、第3のランダムパターンの空間周波数は、図31に示した第1のランダムパターンと同様に、0.5/w近傍において強度の第1ピークを有している。よって、第3のランダムパターンの望ましいDint(min)の範囲は、第1のランダムパターンと同様である。隣接する凸部間の距離または隣接する凹部間の距離Dintの最小値Dint(min)は2wに対応する。
図37(a)は、第4のランダムパターンを有するサブミクロン構造120Rdの模式的な平面図である。図37(b)は、第4のランダムパターンを構成する第1の単位パターン122d、第2の単位パターン123d、第3の単位パターン124dおよび第4の単位パターン125dを示す平面図である。
図37(a)に示す第4のランダムパターンは、上記の第1のランダムパターンにおける第1の単位パターン122aおよび第2の単位パターン123aに代えて、図37(b)に示す第1の単位パターン122d、第2の単位パターン123d、第3の単位パターン124dおよび第4の単位パターン125dを用いることによって形成され得る。第1の単位パターン122d、第2の単位パターン123d、第3の単位パターン124dおよび第4の単位パターン125dは、それぞれ一辺が4wの正方形である。
図38(a)は、第5のランダムパターンを有するサブミクロン構造120Reの模式的な平面図である。第5のランダムパターンは、図38(b)に示す正六角形の単位パターン125eを用いて上記と同様にして形成され得る。これは、内接円の直径がwの六角形をランダムに並べるときに、同じ方向に連続して4つ以上並ばないようなルールで生成したパターンである。図38(c)に、2次元フーリエ変換することによって得られた空間周波数の強度の分布を示す。図31に示した第1のランダムパターンと同様に、空間周波数のピークが0.5/w近傍にあることが分かる。これは、図38(a)のパターンは、六角形が同じ方向に連続して並ぶ数の平均値がほぼ2であるために、2wの周波数成分を多く有するためである。したがって、第5のランダムパターンの望ましいDint(min)の範囲は、第1のランダムパターンと同様である。
図38(c)の空間周波数の強度の分布は、方位角に対して60°おきにピークが存在することが分かる。一方、図31(a)および図36(a)に示した第1および第3のランダムパターンは、それぞれ、図35(a)、図36(c)に示したように、空間周波数の強度の分布は方位角に対して90°おきにピークを有する。これは、図38(a)に示した第5のランダムパターンが正六角形を単位パターンとして構成されているのに対して、図31(a)および図36(a)のランダムパターンは正方形を単位パターンとして構成されているからである。平面形状が正六角形で構成されている方が、方位方向に対する周期成分の変化がより小さいので、方位方向に対する発光増強の効果の変化を小さくすることができる。
さらに、この現象は以下の解釈からも理解することができる。正方形の場合、対角の長さは辺の長さの√2倍(即ち、21/2倍)であり、正六角形の場合は対角の長さは辺の長さの2/√3倍(即ち、2/(31/2)倍)である。このため、正六角形の方が方位方向に対する依存性が小さい。すなわち、正方形を並べた場合は、辺の方向と対角の方向との周期成分が√2倍(即ち、21/2倍)異なるが、正六角形の場合は、方位によって周期成分が2/√3倍(即ち、2/(31/2)倍)しか異ならない。その結果、正六角形の方が方位方向に対して周波数成分の変化が小さい。したがって、第5のランダムパターンは、第1および第3のランダムパターンに比べて、方位方向に対する発光増強の効果の変化を小さくすることができる。
図37および図38に示したランダムパターンも、上述の第1および第3のランダムパターンと同様の特徴を有しており、第2のランダムパターンおよび白色雑音のランダムパターンよりも発光増強等の効果をより効率的に得ることができる。
本開示の発光素子および発光装置は、照明器具、ディスプレイ、プロジェクターをはじめ、種々の光学デバイスに適用され得る。
100、100a 発光素子
110 フォトルミネッセンス層(導波層)
120、120’、120a、120b、120c 透光層(周期構造、サブミクロン構造)
140 透明基板
150 保護層
180 光源
200 発光装置
110 フォトルミネッセンス層(導波層)
120、120’、120a、120b、120c 透光層(周期構造、サブミクロン構造)
140 透明基板
150 保護層
180 光源
200 発光装置
Claims (10)
- フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する、発光素子。 - λa<3Dint(min)の関係をさらに満足する、請求項1に記載の発光素子。
- フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとし、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数の強度分布において最大強度を与える空間周波数に対応する周期をPmaxとすると、λa/nwav-a<Pmax<λaの関係を満足する、発光素子。 - 前記サブミクロン構造において、隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表すと、
前記空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、Pmax=Dint(min)である、請求項3に記載の発光素子。 - 透光層と、
前記透光層に形成され、前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、前記サブミクロン構造に近接して配置されたフォトルミネッセンス層と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する、発光素子。 - フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層よりも高屈折率を有する透光層と、
前記透光層に形成され、前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する、発光素子。 - 前記フォトルミネッセンス層と前記透光層とが互いに接している、請求項1から6のいずれかに記載の発光素子。
- フォトルミネッセンス層と、
前記フォトルミネッセンス層に形成され、前記フォトルミネッセンス層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλaの第1の光を含み、
接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、その最小値をDint(min)で表し、
前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、
前記サブミクロン構造の前記複数の凸部または前記複数の凹部のパターンを2次元フーリエ変換して得られる空間周波数は、少なくとも0超から2/Dint(min)にわたって分布し、0.8Dint(min)<λa/nwav-aの関係を満足する、発光素子。 - 記サブミクロン構造は、前記複数の凸部と前記複数の凹部との双方を含む、請求項1から8のいずれかに記載の発光素子。
- 請求項1から9のいずれかに記載の発光素子と、
前記フォトルミネッセンス層に励起光を照射する、励起光源と、
を備える発光装置。
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