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JP2016013996A - 抗肥満薬 - Google Patents

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範人 丸
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Abstract

【課題】前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化阻害効果および脂肪細胞内の脂肪滴の縮小効果を有する天然有機化合物、ならびにかかる天然有機化合物を有効成分として含有する医薬を提供すること。
【解決手段】沖縄県石垣島米原にて採取された藍藻から単離した次の化学式(1)で示される新規天然有機化合物、かかる化合物が前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化阻害活性および脂肪細胞内の脂肪滴の縮小活性を有することから、かかる化合物を有効成分として含有する抗肥満薬、および脂肪細胞内の細胞滴を縮小させることを特徴とする抗肥満薬。
Figure 2016013996

【選択図】図4

Description

本発明は、藍藻から得られた新規天然有機化合物、およびかかる天然有機化合物を有効成分として含有する抗肥満薬に関する。
海洋は地球上の表面積の約71%を占め、地球全体の生物の約90%が海洋に棲息するといわれている。海洋生物は、陸上生物と比較すると異なった環境で生存しており、海水という塩濃度の高い系に存在し、温度変化が比較的小さく、高い圧力を受けることがある。こうした特異な環境に生育する生物が生産する化学物質は多彩な構造を持ち、それらの中には、様々な生物活性を持つものが明らかになってきている。
現在、生物活性物質の探索源として有望視されている海洋生物として藍藻が挙げられる。藍藻は光合成を行う原核生物であり、淡水湖沼、汽水域、海洋、土壌など様々な環境下で生育している。生育環境によって特異な化学構造や生理活性を示す物質を生産することが知られており、例えば、発癌プロモーター活性を有するLyngbyatoxin A(非特許文献1)、骨吸収活性を阻害するBiselyngbyaside(非特許文献2)、また強力なプロテインキナーゼの阻害活性を示すBisebromoamide(非特許文献3)などが挙げられ、生物活性物質やそのリード化合物の探索源として藍藻が期待されている。
ヒトのからだの脂肪組織および種々の臓器における過度の脂肪の蓄積により引き起こされる肥満は、体質的因子、食餌性因子、精神的因子、代謝的因子、運動不足などが要因となり、結果的に摂取カロリーが消費カロリーを上回り、脂肪が蓄積して起こるものである。肥満は糖尿病、高血圧、脂質異常症など多くの生活習慣病の原因となっており、特に近年では高血圧や脂質異常症など複数の生活習慣病を合併していることをメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と呼称している。厚生労働省の平成18年度国民健康調査において、40〜74歳のメタボリックシンドロームの該当者数が約960万人、予備群者数が約980万人とされている。そのため、効果的な治療法や予防法が求められている。
また、日本人の死因の第1位はがん、第2位は脳卒中(脳梗塞や脳出血)、第3位は心臓病(心筋梗塞や狭心症)であり、2位と3位はどちらも動脈硬化や高血圧、脂質異常症などが大きな危険因子であるが、これらには食事や肥満が大きく関わっている。さらに、日本人の間で急激に増えている糖尿病、高尿酸血症や痛風、脂肪肝、膵炎なども、肥満との関わりが深い病気といわれている。
肥満の状態では、生体内の脂肪細胞に存在する脂肪滴、すなわちトリグリセリド量が増加し、細胞が肥大している。さらに、最近になって、成人となってからでも脂肪細胞の数が増加することが報告されている。したがって、脂肪細胞への分化を阻害すること、および脂肪細胞内の脂肪滴に作用することの両面から肥満の進行を阻害する試みが期待されている。
本発明者らは、前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化阻害または脂肪細胞の脂肪蓄積の阻害を通して抗肥満効果を示す医薬等について研究を続けており、特定のキノコ又は植物から抽出した成分を有効成分とする前駆脂肪細胞分化阻害剤(特許文献1)、環状ヘプタペプチドであるテルナチン:cyclo[−D−Ile1−(N−Me)−L−Ala2−(N−Me)−L−Leu3−L−Leu4−(N−Me)−L−Ala5−(N−Me)−D−Ala6−β―OH−D−Leu7−]を有効成分とする前駆脂肪細胞分化阻害剤(特許文献2)、および植物成分のビサボロールオキシド−A−β−グルコシドを有効成分とする前駆脂肪細胞分化阻害剤(特許文献3)を見出すことに成功した。
また、公知の抗菌作用を有する天然有機化合物であるオーレオシンにはトリグリセリドの生合成阻害活性があり、血液中のトリグリセリド濃度を低下させることが報告されている(特許文献4)。
しかしながら、これまで得られた天然物からの抽出成分や天然有機化合物は、必ずしも抗肥満薬として満足のいくものではなく、とりわけ、脂肪細胞内の脂肪滴に作用することによる抗肥満薬といった観点からは満足のいくものはなく、より優れた効果を発揮する天然有機化合物についての検討が不可欠であった。
特開2004−075640号公報 特開2005−220074号公報 特開2006−213648号公報 特開平9−194366号公報
J.H.Cardellina II,F.J.Marner,R.E.Moore,Science,204,193(1979) T.Yonezawa,N.Mase,H.Sasaki,T.Teruya,S.Hasegawa,B.Cha,K.Yagasaki,K.Suenaga,K.Nagai,J.Woo,Cell Biochem.,2012,2,440 T.Teruya,H.Sasaki,H.Fukazawa,and K.Suenaga, Org.Lett.,2009,11,5062
本発明の課題は、上記に記載した背景の下、前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化阻害活性および脂肪細胞内の脂肪滴の縮小活性を有する新規天然有機化合物、ならびにかかる天然有機化合物を有効成分として含有する医薬を提供することにある。
本発明者らは、沖縄県石垣島米原にて採取した藍藻(Leptolyngbya sp.)から新規天然有機化合物である化学式(1)で示される化合物を単離し、かかる化合物が前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化阻害活性および脂肪細胞内の脂肪滴の縮小活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
Figure 2016013996
(化学式(1))
すなわち、本発明は、化学式(1)で示される化合物に関する。
Figure 2016013996
(化学式(1))
また、本発明は、上記化学式(1)で示される化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗肥満薬に関する。
さらに、本発明は、脂肪細胞内の脂肪滴を縮小させることを特徴とする上記化学式(1)で示される化合物を有効成分として含有する抗肥満薬に関する。
本発明によれば、化学式(1)で示される新規化合物は、前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化阻害活性を有すると共に、脂肪細胞内の脂肪滴の縮小活性を有することから、脂肪の蓄積や肥満の予防、改善に寄与するものである。
本発明に係る化学式(1)で示される化合物の分画・精製過程を示す図である。 本発明に係る化学式(1)で示される化合物の分画・精製過程を示す図である。 本発明に係る化学式(1)で示される化合物の脂肪細胞への分化阻害活性を示すグラフである。 本発明に係る化学式(1)で示される化合物の脂肪細胞内のトリグリセリドレベルへの影響を示すグラフである。 本発明に係る化学式(1)で示される化合物の細胞内の乳酸レベルへの影響を示すチャートである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る化学式(1)で示される化合物は藍藻から抽出し、精製することにより得ることができる。より詳細には、本発明に係る化学式(1)で示される化合物は沖縄県石垣島米原にて採取した藍藻(Leptolyngbya sp.)から抽出し、精製することにより得た。
藍藻は光合成を行う原核生物であり、淡水湖沼、汽水域、海洋、土壌など様々な環境下で広く生育しているものであるが、本発明で使用する藍藻としては、沖縄県石垣島米原近辺に生息する藍藻(Leptolyngbya sp.)を用いるのが好ましい。本発明に係る化学式(1)で示される化合物を含有する藍藻(Leptolyngbya sp.)またはその部位は、それ自身を乾燥させた乾燥物、その粉砕物、それら自身を圧搾抽出することにより得られる搾汁、水あるいはアルコール、エーテル、アセトンなどの有機溶媒による粗抽出物、および粗抽出物を分配、カラムクロマトなどの各種クロマトグラフィーなどで段階的に精製して得られた抽出物画分など、すべてを利用することができる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上混合してもよい。
例えば、藍藻を採取した後に冷凍保存し、含水メタノールにて粉砕・抽出し、粗抽出物を得、粗抽出物を酢酸エチル層と水層とに分配し、さらに、有機層としての酢酸エチル層をODSシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより画分することができる。
本発明に係る化学式(1)で示される化合物は新規な化合物であり、本発明により前駆脂肪細胞の分化阻害活性、および脂肪細胞内の脂肪滴の縮小活性に優れることを見出されたものである。
本発明に係る化学式(1)で示される化合物は、優れた前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化阻害活性および脂肪細胞内の脂肪滴の縮小活性を有することから、抗肥満剤として使用可能である。
本発明に係る化学式(1)で示される化合物は、特に脂肪細胞内の脂肪滴の縮小活性を有することから、脂肪細胞内の脂肪滴を縮小させることによる抗肥満薬として使用可能である。
本発明に係る化学式(1)で示される化合物を有効成分として含む医薬組成物は抗肥満薬として使用され得るものであるが、ここで「肥満」とは一般的には体内に脂肪組織が一定以上多量に蓄積した状態をいう。本明細書においては「肥満」は広義に解釈されるものとし、その概念に肥満症を含む。「肥満症」とは肥満に起因ないし関連する健康障害(合併症)を有するか又は将来的に有することが予測される場合であって、医学的に減量が必要とされる病態をいう。
肥満の判定法としては、通常、国際的に広く使用されているBMI(Body Mass Index)を尺度としたものが用いられている。BMIは、体重(kg)を身長(m)の二乗で除した数値(BMI=体重(kg)/身長(m))である。BMI<18.5は低体重、18.5≦BMI<25は普通体重、25≦BMI<30は肥満(1度)、30≦BMI<35は肥満(2度)、35≦BMI<40は肥満(3度)、40≦BMIは肥満(4度)と判定される。もっとも、標準体重(理想体重)は性別、年齢、職業または生活習慣の差異などによって個人ごとに相違するものであることから、肥満の判定をこの方法で一律に行い、本発明の抗肥満薬を厳格に適用することを意図するものではない。
本発明の抗肥満薬の製剤化は常法に従って行うことができる。製剤化する場合には、製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水など)を含有させることができる。賦形剤としては乳糖、デンプン、ソルビトール、D−マンニトール、白糖等を用いることができる。崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。乳化剤としてはアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。懸濁剤としてはモノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。無痛化剤としてはベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等と用いることができる。
製剤化する場合の剤型も特に限定されず、例えば錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、注射剤、外用剤、および座剤などとして本発明の医薬を提供できる。
本発明の医薬組成物には、期待される治療効果(予防効果も含む)を得るために必要な量(即ち治療上有効量)の有効成分が含有される。本発明の医薬組成物中の有効成分量は一般に剤型によって異なるが、所望の投与量を達成できるように有効成分量を例えば約0.1重量%〜約95重量%の範囲内で設定する。
本発明の抗肥満薬はその剤型に応じて経口投与又は非経口投与(静脈内、動脈内、皮下、筋肉、又は腹腔内注射、経皮、経鼻、経粘膜など)によって対象に適用される。ここでの「対象」は特に限定されず、ヒトおよびヒト以外の哺乳動物(ペット動物、家畜、実験動物を含む。)を含む。好ましい態様としては、本発明の抗肥満薬はヒトに対して適用される。
本発明の抗肥満薬(有効成分)の投与量は、期待される治療効果が得られるように設定される。治療上有効な投与量の設定においては一般に症状、患者の年齢、性別、および体重などが考慮される。なお、当業者であればこれらの事項を考慮して適当な投与量を設定することが可能であり、例えば、成人(体重約60kg)を対象として一日当たりの有効成分量が約1mg〜約6g、好ましくは約6mg〜約600mgとなるよう投与量を設定することができる。投与スケジュールとしては例えば一日一回〜数回、二日に一回、或いは三日に一回などを採用できる。投与スケジュールの作成においては、患者の病状や有効成分の効果持続時間などを考慮することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明の具体的態様を示すものであるが、本発明の技術的範囲は実施例の記載により何ら限定されるものではない。
本発明に係る化学式(1)で示される化合物の単離・精製・構造決定
沖縄県石垣島米原で採取した藍藻(Leptolyngbya sp.)600g(湿重量)を用いた。採取後は冷凍保存し、小石を取り除いてから含水メタノール中にてブレンダーで粉砕した。抽出液を吸引濾過し、ロ液をエバポレーターを用いて濃縮した。粗抽出物を酢酸エチル(400ml×3)と水(400ml)とで分配した。得られた酢酸エチル層を減圧濃縮し、濃縮物を80%メタノール水溶液(250ml)とヘキサン(250ml×3)で脱脂した。得られた80%メタノール水溶液層を減圧濃縮し、濃縮物をODSカラムクロマトグラフィー[Cosmosil 75C18−OPN(φ 20×85mm)、メタノール/水(20/80→40/60→60/40→80/20→メタノール)]により5画分(Fr.1〜5)に分離した。
(図1参照)
得られた各溶出画分の内、60%メタノール溶出画分(Fr.3)15.2mgを逆相高速液体クロマトグラフィー[Develosil ODS HG−5(φ 10×250mm)、アセトニトリル/水(10/90)→(グラジェント30min)→(100/0)、検出UV215nm、流速 4.6mL/min]により9画分(Fr.3−1〜9)に分離した。得られた画分(Fr.3−5)において脂肪細胞への分化阻害活性が認められたため、この画分の精製を行った。得られたFr.3−5を逆相高速液体クロマトグラフィー[Develosil ODS HG−5(φ 10×250mm)、アセトニトリル/水(30/70)→(グラジェント30min)→(55/45)→(グラジェント5min)→(100/0)、検出UV215nm、流速 4.6mL/min]により9画分(Fr.3−5−1〜3−5−9)に分離した。得られた画分(Fr.3−5−5,7)において阻害活性が認められた。Fr.3−5−7(1.0mg、不定形白色粉末)は本発明に係る化学式(1)で示される化合物であった。
(図2参照)
図1および図2に示した操作により得られた不定形白色粉末である本発明に係る化学式(1)で示される化合物について、高分解能ESI−MSにより得られた分子イオンピークの値[m/z387.2163(M+Na)+,Δ+1.6mmu]より、分子式を求めたところ、C2132の化合物であることが判明した。
さらに、H−NMR、13C−NMRおよびHMBCを測定し、得られたスペクトルを解析することにより、不定形白色粉末であって、C2132の分子式を有する化合物の構造を以下のとおり決定した。
Figure 2016013996
図1および図2に示した操作により得られた不定形白色粉末である本発明の化学式(1)で示される化合物についてのH−NMR、および13C−NMRのスペクトルデータを以下に示す。
H−NMR(C,500MHz)
d 5.36(d,1H,J=8.5,H−14),5.16(t,1H,J=7.0,H−8),4.38(q,1H,J=6.5,8.5,H−15),3.29(dd,1H,J=5.5,7.5,H−12),3.23(s,3H,2−OMe),3.03(s,3H,12−OMe),2.86(d,2H,J=7.0,H−7),2.13(s,3H,3−Me),2.10(m,1H,H−10a),2.03(m,1H,H−10b),2.01(s,3H,5−Me),1.79(m,1H,H−11a),1.58(m,1H,H−11b),1.48(s,3H,13−Me),1.48(s,3H,9−Me),1.13(d,3H,J=6.5,15−Me)
13C−NMR(C,125MHz)
d 179.9(C−4),161.7(C−2),156.7(C−6),138.2(C−5),135.0(C−13),134.0(C14),119.9(C9),118.0(C−8),100.1(C−3),86.4(C−12),64.0(C−15),52.8(12−OMe),51.8(2−OMe),35.9(C−10),32.3(C−7),32.1(C−11),23.8(15−Me),15.9(9−Me),10.5(13−Me),10.0(5−Me),7.1(3−Me)
実施例1で得られた本発明の化学式(1)で示される化合物の生物活性
実施例1に記載の方法に従って、得られた本発明の化学式(1)で示される化合物の生物活性として、脂肪細胞への分化阻害、細胞生存率による細胞毒性、脂肪細胞からのトリグリセリドの減少および乳酸の増加を調べた。
実施例には、脂肪細胞への効率的な分化が実証されているマウス繊維芽細胞3T3−L1細胞を下記(A)〜(D)のとおり調整して用いた。
(A)3T3−L1細胞の増殖、保存
3T3−L1細胞は100mmディッシュ上で、5%ウシ血清を添加したDMEM増殖用培地で5%炭酸ガス−空気、飽和水蒸気下、37℃で培養した。なお、3T3−L1細胞は、最初に大量培養しておき、常法に従って、分注して凍結保存した。
(B)継代
PBS(−)5mlで細胞を洗浄し、0.25%トリプトシン1mM EDTA含有生理食塩水を1mlを加えて37℃で3分間静置した。増殖用培地5mlで細胞を懸濁して15mlの遠沈管に移して、1500rpm、3分間の遠心によって細胞を沈殿させた。1/4から1/5に希釈して、ディッシュにまいた。
(C)実施例用細胞の準備
上述と同様の方法でディッシュから剥離、遠心沈殿させた細胞は、適当な量の増殖用培地に懸濁し、細胞数を計測した。それをもとに、5×10個/wellとなるように96穴プレートに播種して48時間培養した。
(D)分化誘導培地の調製
上記増殖用培地100mlに1mMデキサメタゾン溶液1ml、3−イソブチル―1−メチルキサンチン11.1mg、5mg/mlインスリン溶液0.1ml、および抗生物質溶液(ペニシリンGカリウム塩317mg、ストレプトマイシン500mgを滅菌生理食塩水25mlに溶解して調整)0.45mlを添加し、溶解することで調整した。
(1)脂肪細胞への分化誘導率による分化阻害
3T3−L1細胞の脂肪細胞への分化誘導には、培地を増殖用培地から分化誘導培地に置き換えることで行った。この時、特定の濃度に調整した化学式(1)で示される化合物を分化誘導培地に添加し、ブランクとコントロールには分化誘導培地のみを添加した。プレートは5%炭酸ガス−空気、飽和水蒸気下、37℃で培養した。48時間後に、インスリンを加えた新鮮な増殖培地に置き換えた。その後、2日おきに培地を新鮮な増殖培地に置き換えた。
上記の方法で分化誘導開始より7〜10日間の培養後、細胞を顕微鏡で観察し、コントロールの細胞が十分に分化した時点で評価した。
脂肪細胞への分化誘導率は、細胞内に蓄積されたトリグリセリドの量を定量する事によって算出した。細胞をPBS(−)で洗浄して風乾させ、そこにラボアッセイトリグリセライドキットワコーを100μL/wellずつ添加した。室温で30〜60分間静置し、630nmの吸光度を測定してトリグリセリドを定量した。
結果を図3に示す。本発明に係る化学式(1)で示される化合物は濃度420nMで3T3−L1細胞の脂肪細胞への分化を50%阻害した。一方、Fr.3−5−5から分離された化合物(Fr.3−5−5−2,3−5−5−3)は、脂肪細胞への分化阻害活性を示さなかった。
(2)細胞生存率による細胞毒性
細胞毒性としては細胞生存率を指標として用いて評価した。上記(C)の方法で剥離、遠心分離して細胞数計測を行った細胞は、1×10個/wellとなるように96wellプレートに播種した。16時間培養後、特定濃度に調整した化学式(1)で示される化合物を含む増殖培地に置き換え、さらに48時間培養を続けた。Cell Counting Kit−8を5μL/wellずつ添加して1時間培養後、波長450nmの吸光度を測定し、細胞生存率を算出した。
本発明に係る化学式(1)で示される化合物は3T3−L1細胞に対しては50μMの濃度でも顕著な毒性を示さなかった。また、Hela細胞を用いた実験においても、同様に50μMの濃度で顕著な毒性を示さなかった。
(3)脂肪細胞内トリグリセリド減少
脂肪細胞内の脂肪滴の縮小を確認するために、脂肪細胞内グリセリドの減少を検討した。上記の方法で完全に分化させた3T3−L1脂肪細胞を、増殖培地で特定濃度に希釈した化学式(1)で示される化合物の存在下で培養を行い、培地は3日おきに試料を含む新鮮なものに置き換えた。7〜9日後に、上述のラボアッセイトリグリセライドキットワコーを用いて細胞内トリグリセリド量を定量した。結果を図4に示す。本発明に係る化学式(1)で示される化合物が脂肪細胞内のトリグリセリドレベルを減少させることから、本発明に係る化学式(1)で示される化合物は脂肪細胞内の脂肪滴の縮小に有効であることが判明した。
(4)乳酸の増加
3T3−L1を分化させた脂肪細胞あるいはHela細胞を、60mmディッシュに1×10個播種し、16時間培養し、その後、任意濃度の化学式(1)で示される化合物の存在下で、さらに72時間培養を続けた。その培養液を回収し、15000rpmで15分間遠心し、細胞残滓を除いた。これをHPLC(Develosil ODS HG−5 4.6X250mm)にて分析したところ、化学式(1)で示される化合物の濃度に依存して乳酸ピークが増加することが観察された。結果を図5に示す。チャートは、下から、それぞれ、0、0.05μM、0.1μMの化学式(1)で示される化合物で処理した3T3−L1を分化させた脂肪細胞、および0.1μMで同様に処理したHela細胞での結果を示す。11分過ぎのピークが乳酸を示しており、細胞種にかかわらず、化学式(1)で示される化合物の濃度に依存して乳酸ピークの増加を示している。
本発明の化学式(1)で示される化合物は、脂肪細胞への分化阻害活性を有すると共に、脂肪細胞内のトリグリセリドレベルを低減する活性を有することから、脂肪細胞内の脂肪滴の縮小活性を有するものであり、抗肥満剤としての医薬組成物として有用である。

Claims (3)

  1. 次の化学式(1)で示される化合物。
    Figure 2016013996
    (化学式(1))
  2. 請求項1記載の化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗肥満薬。
  3. 脂肪細胞内の細胞滴を縮小させることを特徴とする請求項2記載の抗肥満薬。
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