以下、本発明で使用する層状ケイ酸塩について、説明する。層状ケイ酸塩は、天然物であってもよく、人工的に合成された合成品であってもよく、これらの混合物であってもよい。合成品の合成方法としては、例えば、水熱合成反応法、固相反応法、溶融合成法等が挙げられる。該層状ケイ酸塩としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ソーコナイト、スチーブンサイト、ヘクトライト、ボルコンスコアイト、スインホルダイト等のスメクタイト;バーミキュライト;白雲母、金雲母、鉄雲母、イーストナイト、シデロフィライトテトラフェリ鉄雲母、ポリリシオナイト、セラドン石、鉄セラドン石、鉄アルミノセラドン石、アルミノセラドン石、砥部雲母、パラゴナイト等のマイカ;クリントナイト、ビテ雲母、真珠雲母等の脆雲母;クリノクロア、シャモサイト、ペナンタイト、ニマイト、ベイリクロア、クッケアイト、スドーアイト等の緑泥石;タルク;パイロフィライト;カオリン石、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アメサイト、ベルチェリン、クロンステダイト、ヌポア石、ケリアイト、フレイポナイト、ブリンドリアイト等のカオリナイト;アンチゴライト、クリソタイル、リザーダイト等の蛇紋石;等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも、得られるオキシム化合物(II)の選択率の点で、スメクタイトが好ましい。本発明においては、前記層状ケイ酸塩は、層状ケイ酸塩を含有する粘土鉱物の形態で用いてもよく、層状ケイ酸塩を含有する粘土鉱物としては、例えば、ベントナイト、酸性白土、活性白土等のモンモリロナイトを含有する粘土鉱物が挙げられる。前記層状ケイ酸塩は、焼成してから使用してもよく、該焼成の温度は、150〜600℃が好ましく、焼成の時間は0.1〜100時間が好ましい。
層状ケイ酸塩としては、層間に陽イオンを含有するものが好ましく、該陽イオンとしては、水素イオン、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、アルカリ金属元素の陽イオン、アルカリ土類金属元素の陽イオン、第3族金属元素の陽イオン、第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン、第7族金属元素の陽イオン、第8族金属元素の陽イオン、第9族金属元素の陽イオン、第10族金属元素の陽イオン、第11族金属元素の陽イオン、第12族金属元素の陽イオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、インジウムイオン、タリウムイオン、スズイオン、鉛イオン、ゲルマニウムイオン、正に荷電した第4族金属元素の酸化物、正に荷電した第5族金属元素の酸化物、正に荷電した第6族金属元素の酸化物、正に荷電した第7族金属元素の酸化物、正に荷電した第8族金属元素の酸化物、正に荷電した第9族金属元素の酸化物、正に荷電した第10族金属元素の酸化物、正に荷電した第11族金属元素の酸化物、正に荷電した第12族金属元素の酸化物、正に荷電したアルミニウムの酸化物、正に荷電したガリウムの酸化物、正に荷電したインジウムの酸化物、正に荷電したタリウムの酸化物、正に荷電したスズの酸化物、正に荷電した鉛の酸化物、正に荷電した酸化ゲルマニウム等が挙げられる。
本発明において好適に使用されるスメクタイトは、陽イオンと酸素とから構成される四面体シート、及び陽イオンと酸素又は水酸化物とから構成される八面体シートが、負に荷電した単位層を形成し、その単位層の層間に陽イオンが存在してなる層状化合物であり、一般には次式(A)
X0.2〜0.6(Y1,Y2)2〜3Z4O10(OH)2・nH2O (A)
〔式中、XはK+、Na+、1/2Ca2+及び1/2Mg2+からなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、Y1はMg2+、Fe2+、Mn2+、Ni2+及びZn2+からなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、Y2はAl3+、Li+、Fe3+、Mn3+及びCr3+からなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、ZはSi及びAlからなる群より選ばれる少なくとも1種(但し、ZがAlのみの場合を除く)を表し、n≧0である。〕
で示される層状ケイ酸塩である。尚、Xは層間の陽イオンを表し、Y1、Y2は八面体シートの陽イオンを表し、Zは四面体シートの陽イオンを表す。
本発明においては、得られるオキシム化合物(II)の選択率の点で、スメクタイトの中でも、モンモリロナイト、サポナイト、スチーブンサイト、ヘクトライトが好ましい。
本発明において好適に使用されるモンモリロナイトは、ケイ酸シート/アルミン酸シート/ケイ酸シートの2:1型構造を層の基本構造とし、アルミン酸シートのアルミニウムの一部がマグネシウムで置換されることにより層が負電荷を帯び、層と層との間に交換可能なカチオンが存在する層状ケイ酸塩であり、一般には次式(B)
Xm(Al2−mMgm)Si4O10(OH)2・nH2O (B)
〔式中、XはK+、Na+、1/2Ca2+及び1/2Mg2+からなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、0.2≦m≦0.6、n≧0である。〕
で示される層状ケイ酸塩である。なお、Xは層間の陽イオンを表し、陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも一種を有するものが好ましく使用される。
本発明においては、上記層状ケイ酸塩を、酸および金属元素化合物とともに混合することにより、層状ケイ酸塩触媒が調製される。
金属元素化合物としては、第4族金属元素化合物、第5族金属元素化合物、第6族金属元素化合物、ゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素化合物が例示される。
第4族金属元素の化合物としては、第4族金属元素の無機化合物および第4族金属元素の有機化合物が挙げられる。第4族金属元素の無機化合物としては、例えば、三塩化チタン(TiCl3)、四塩化チタン(TiCl4)、四臭化チタン(TiBr4)、四フッ化チタン(TiF4)、四ヨウ化チタン(TiI4)、三塩化ジルコニウム(ZrCl3)、四塩化ジルコニウム(ZrCl4)、三臭化ジルコニウム(ZrBr3)、四臭化ジルコニウム(ZrBr4)、四フッ化ジルコニウム(ZrF4)、四ヨウ化ジルコニウム(ZrI4)等の第4族金属元素のハロゲン化物;四硝酸チタン(Ti(NO3)4)、四硝酸ジルコニウム(Zr(NO3)4)等の第4族金属元素の硝酸塩;硝酸ジルコニル(ZrO(NO3)2)等の第4族金属元素のオキシ硝酸塩;二硫酸チタン(Ti(SO4)2)、二硫酸ジルコニウム(Zr(SO4)2)等の第4族金属元素の硫酸塩;リン酸チタン(Ti3(PO4)4)、リン酸ジルコニウム(Zr3(PO4)4)等の第4族金属元素のリン酸塩;等が挙げられる。第4族金属元素の有機化合物としては、例えば、Ti(OR3)4(以下、R3は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)、Zr(OR3)4等の第4族金属元素のアルコキシド化合物;TiCl(OR3)3、TiCl2(OR3)2、TiCl3(OR3)、ZrCl(OR3)3、ZrCl2(OR3)2、ZrCl3(OR3)等の第4族金属元素のハロゲン化アルコキシド化合物;四酢酸チタン(Ti(CH3COO)4)、四酢酸ジルコニウム(Zr(CH3COO)4)等の第4族金属元素の酢酸塩;等が挙げられる。また、必要に応じて、第4族金属元素の化合物の水和物を用いてもよいし、それらの2種以上を用いてもよい。第4族金属元素の化合物としては、製造装置の腐食を考慮すればハロゲン化物以外が好ましく、中でも、第4族金属元素の硫酸塩、第4族金属元素のアルコキシド化合物、第4族金属元素のオキシ硝酸塩が好ましく、第4族金属元素の硫酸塩がより好ましい。
第5族金属元素の化合物としては、第5族金属元素の無機化合物、第5族金属元素の有機化合物が挙げられる。第5族金属元素の無機化合物としては、例えば、三塩化バナジウム(VCl3)、四塩化バナジウム(VCl4)、三臭化バナジウム(VBr3)、三フッ化バナジウム(VF3)、四フッ化バナジウム(VF4)、三ヨウ化バナジウム(VI3)、三塩化ニオブ(NbCl3)、五塩化ニオブ(NbCl5)、三臭化ニオブ(NbBr3)、五臭化ニオブ(NbBr5)、五フッ化ニオブ(NbF5)、五ヨウ化ニオブ(NbI5)、三塩化タンタル(TaCl3)、五塩化タンタル(TaCl5)、五臭化タンタル(TaBr5)、五フッ化タンタル(TaF5)、五ヨウ化タンタル(TaI5))等の第5族金属元素のハロゲン化物等が挙げられる。第5族金属元素の有機化合物としては、例えば、Nb(OR3)5、Ta(OR3)5等の第5族金属元素のアルコキシド化合物等が挙げられる。また、必要に応じて、第5族金属元素の化合物の水和物を用いてもよいし、それらの2種以上を用いてもよい。
第6族金属元素の化合物としては、第6族金属元素の無機化合物、第6族金属元素の有機化合物が挙げられる。第6族金属元素の無機化合物としては、例えば、二塩化クロム(CrCl2)、三塩化クロム(CrCl3)、二臭化クロム(CrBr2)、三臭化クロム(CrBr3)、二フッ化クロム(CrF2)、三フッ化クロム(CrF3)、二ヨウ化クロム(CrI2)、三ヨウ化クロム(CrI3)、三塩化モリブデン(MoCl3)、五塩化モリブデン(MoCl5)、三臭化モリブデン(MoBr3)、四フッ化モリブデン(MoF4)、六フッ化モリブデン(MoF6)、四塩化タングステン(WCl4)、六塩化タングステン(WCl6)、五臭化タングステン(WBr5)、六フッ化タングステン(WF6)等の第6族金属元素のハロゲン化物;三硝酸クロム(Cr(NO3)3)等の第6族金属元素の硝酸塩;硫酸クロム(III)(Cr2(SO4)3)、等の第6族金属元素の硫酸塩;等が挙げられる。第6族金属元素の有機化合物としては、例えば、Mo(OR3)5、W(OR3)5、W(OR3)6等の第6族金属元素のアルコキシド化合物;三酢酸クロム(Cr(CH3COO)3)等の第6族金属元素の酢酸塩;等が挙げられる。また、必要に応じて、第6族金属元素の化合物の水和物を用いてもよいし、それらの2種以上を用いてもよい。
ゲルマニウム化合物としては、ゲルマニウムの無機化合物、ゲルマニウムの有機化合物が挙げられる。ゲルマニウムの無機化合物としては、例えば、四塩化ゲルマニウム(GeCl4)、四臭化ゲルマニウム(GeBr4)、四フッ化ゲルマニウム(GeF4)、四ヨウ化ゲルマニウム(GeI4)等のゲルマニウムのハロゲン化物;硫化ゲルマニウム(GeS)等のゲルマニウムの硫化物;等が挙げられる。ゲルマニウムの有機化合物としては、例えば、Ge(OR3)4等のゲルマニウムのアルコキシド化合物;GeCl(OR3)3、GeCl2(OR3)2、GeCl3(OR3)等のゲルマニウムのハロゲン化アルコキシド化合物;等が挙げられる。また、必要に応じて、ゲルマニウム化合物の水和物を用いてもよいし、それらの2種以上を用いてもよい。ゲルマニウム化合物としては、中でも、ゲルマニウムのハロゲン化物、ゲルマニウムのアルコキシド化合物が好ましい。
第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の使用量は、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物に含まれる金属元素に換算して、層状ケイ酸塩100重量部に対して、0.01〜100重量部が好ましく、0.05〜50重量部がより好ましい。第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる二種以上の化合物を使用する場合、その合計使用量が前記範囲となればよい。
層状ケイ酸塩、金属元素化合物と共に混合する酸としては、有機酸、無機酸が挙げられ、中でも、無機酸が好ましい。無機酸としては、例えば、塩化水素、硫酸、リン酸、硝酸等の水溶液が挙げられ、製造装置の腐食を考慮するなら、塩化水素以外の酸が好ましく、中でも、硝酸及び硫酸の水溶液が好ましい。該酸性水溶液のpHは、4以下が好ましい。該酸性水溶液には、メタノール、エタノール、アセトン、1,2−ジメトキシエタン等の極性有機溶媒が含まれてもよい。該酸性水溶液の調製において、第4族金属元素化合物、第5族金属元素化合物、第6族金属元素化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物として、加水分解性のハロゲン化物、アルコキシド化合物、オキシ硝酸塩等の酸性条件で加水分解される化合物を用いると、化合物が加水分解され酸化物となり、層間の陽イオンが、正に荷電した第4族金属元素の酸化物、正に荷電した第5族金属元素の酸化物、正に荷電した第6族金属元素の酸化物及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種でイオン交換された層状ケイ酸塩を調製することができる。また、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物又は第6族金属元素の化合物として、加水分解性のハロゲン化物、アルコキシド化合物、オキシ硝酸塩等の酸性条件で加水分解される2種以上の第4族金属元素の化合物、2種以上の第5族金属元素の化合物又は2種以上の第6族金属元素の化合物を用い、それらの2種以上の化合物に含まれる第4族金属元素、第5族金属元素又は第6族金属元素が化合物間で同一でない場合には、2種以上の第4族金属元素、2種以上の第5族金属元素又は2種以上の第6族金属元素を構成元素とする複合酸化物も生成し得るため、層間の陽イオンとして、2種以上の第4族金属元素、2種以上の第5族金属元素又は2種以上の第6族金属元素を構成元素とする正に荷電した複合酸化物が導入され得る。また、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる二種以上の化合物を使用する場合、層間の陽イオンとして、第4族金属元素、第5族金属元素、第6族金属元素及びゲルマニウムからなる群より選ばれる二種以上の金属元素を構成元素とする正に荷電した複合酸化物が導入され得る。
第4族金属元素化合物、第5族金属元素化合物、第6族金属元素化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む溶液には、第4族金属元素化合物、第5族金属元素化合物、第6族金属元素化合物及びゲルマニウム化合物以外に、他の元素の化合物が含まれてもよい。また、かかる溶液と接触させる前及び/又は接触させた後に、他の元素の化合物を含む溶液との接触を行ってもよい。他の元素の化合物としては、例えば、アルカリ金属元素の化合物、アルカリ土類金属元素の化合物、第3族金属元素の化合物、第7族金属元素の化合物、第8族金属元素の化合物、第9族金属元素の化合物、第10族金属元素の化合物、第11族金属元素の化合物、第12族金属元素の化合物、アルミニウム化合物、ガリウム化合物、インジウム化合物、タリウム化合物、スズ化合物、鉛化合物、ケイ素化合物、ヒ素化合物、アンチモン化合物、ビスマス化合物、セレン化合物、テルル化合物等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも、第8族金属元素の化合物、第9族金属元素の化合物、第10族金属元素の化合物、第11族金属元素の化合物、アルミニウム化合物、ケイ素化合物が好ましい。他の元素の化合物として、アルコキシド化合物等の酸性条件で加水分解される化合物を用い、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物と、前記の他の元素の化合物とを含む溶液が酸性水溶液である場合、層間の陽イオンが、以下のi)、ii)及び/又はiii)、
i)第4族金属元素、第5族金属元素、第6族金属元素及びゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素の陽イオンと、他の元素の正に荷電した酸化物との混合物
ii)第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が酸性条件で加水分解される化合物である場合、正に荷電した第4族金属元素の酸化物、正に荷電した第5族金属元素の酸化物、正に荷電した第6族金属元素の酸化物及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種と、他の元素の正に荷電した酸化物との混合物
iii)第4族金属元素、第5族金属元素、第6族金属元素及びゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素と、他の元素とを構成元素とする正に荷電した複合酸化物でイオン交換された層状ケイ酸塩を調製することができる。酸性条件で加水分解される他の元素を含む化合物としては、例えば、ケイ素アルコキシド化合物が挙げられ、ケイ素アルコキシド化合物としては、例えば、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル等のオルトケイ酸テトラアルキルが挙げられる。ケイ素アルコキシド化合物を使用することにより、正に荷電したケイ素の酸化物を含有する層状ケイ酸塩を調製することができる。
層状ケイ酸塩、金属元素化合物および酸の混合は、回分式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。回分式で行う方法としては、例えば、撹拌槽中、層間に交換可能な陽イオンを有する層状ケイ酸塩を、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む溶液に浸漬し撹拌混合する方法等が挙げられる。連続式で行う方法としては、例えば、層間に交換可能な陽イオンを有する層状ケイ酸塩を充填した管状容器に、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む溶液を流通させる方法や、層間に交換可能な陽イオンを有する層状ケイ酸塩を入れた撹拌槽に、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む溶液を供給しながら、混合物の液相を抜き出す方法等が挙げられる。
層状ケイ酸塩、金属元素化合物および酸を混合して得られた混合物には、熱処理が行われる。熱処理温度は通常70〜170℃であり、好ましくは70〜120℃、さらに好ましくは70〜90℃である。時間は通常0.1〜240時間であり、好ましくは0.5〜120時間である。圧力は、通常、絶対圧で0.1〜1MPa、好ましくは大気圧である。また、該熱処理は、層状ケイ酸塩、金属元素化合物、酸を混合した時点から開始できるよう、あらかじめ構成物の1つまたは2つの混合物を加熱した状態に、他の構成物を混合して開始してもよい。また、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む溶液の使用量は、層状ケイ酸塩に対して、適宜設定される。なお、上述の層状ケイ酸塩、金属元素化合物および酸を混合して行う熱処理は、必要に応じて複数回行ってもよく、金属元素化合物および酸を異なる化合物に変えて行ってもよい。
層状ケイ酸塩、金属元素化合物および酸を混合して得られた混合物のスラリーは、層状ケイ酸塩の量がスラリー中の水分に対して、通常、2重量%以上、好ましくは5重量%以上である。層状ケイ酸塩の量は、スラリー中の水分に対して、20重量%以下とするのが好ましい。
層状ケイ酸塩、金属元素化合物および酸の混合後に、熱処理して得られた層状ケイ酸塩触媒の固体は、通常、溶媒蒸発、濾過やデカンテーション等により分離した後、洗浄される。前記溶媒蒸発の方法としてはスプレードライヤー、ディスクドライヤー、気流乾燥機、箱型乾燥機等の乾燥機器を利用したものがあげられる。前記ろ過の方法としては、加圧ろ過、減圧ろ過、遠心ろ過、が挙げられる。洗浄液としては、水、水酸性水溶液、水と混和性の溶媒(例えば、低級アルコール)があげられ、これらは、任意の順に使用するかこれらの混合物として使用してもよい。洗浄は、分離した固体に洗浄液を接触させればよく、典型的には、リンス、リパルプにより行われる。洗浄液としては、水が好ましい。洗浄の際には、分離した固体と混合した状態での洗浄液、および洗浄液をろ過してえられたろ液のpHを4以下に保つことが好ましい。洗浄液として、水を用いた場合、層状ケイ酸塩触媒が湿潤することにより粘度が上がりやすく、取り扱い性が悪化する傾向があるので、洗浄液のpHを前記範囲に保つことが特に有効である。
洗浄後は、生成した層状ケイ酸塩を乾燥することにより、層状ケイ酸塩を回収して触媒として使用することができる。
乾燥は、常圧下、減圧下のいずれでも行うことができ、乾燥温度は、0〜600℃が好ましく、乾燥時間は、0.5〜100時間が好ましい。前記乾燥は、空気等の酸素含有ガスの雰囲気下で行ってもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素等の不活性ガスの雰囲気下で行ってもよい。
乾燥の後、必要に応じて焼成してもよい。該焼成の温度は、150〜600℃が好ましく、焼成の時間は0.1〜100時間が好ましい。
焼成は、空気等の酸素含有ガスの雰囲気下で行ってもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素等の不活性ガスの雰囲気下で行ってもよい。酸素含有ガスや不活性ガスには、水蒸気が含まれていてもよい。焼成は、酸素含有ガス又は不活性ガスの雰囲気下、多段階で行ってもよい。焼成は、流動層式で行ってもよいし、固定床式で行ってもよい。前記焼成に用いられる装置としては、加熱できる装置であれば特に制限はないが、例えば、熱風循環式焼成炉、静置式焼成炉、トンネル炉、ロータリーキルン、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉等を使用することができる。
本発明の方法で得られた層状ケイ酸塩は、必要に応じてバインダーを用いて、成形してから酸化反応の触媒として使用してもよいし、担体に担持して使用してもよい。かかる成形処理又は担持処理は、層状ケイ酸塩、金属元素化合物および酸の混合の前に行ってもよいし、層状ケイ酸塩、金属元素化合物および酸の混合液の熱処理後に行ってもよいし、層状ケイ酸塩、金属元素化合物および酸の混合液の熱処理後に洗浄した後に行ってもよい。成形処理は、例えば、押出、圧縮、打錠、流動、転動、噴霧等の方法により行うことができ、所望の形状、例えば粒状、ペレット状、球状、円柱状、板状、リング状、クローバー状等に成形することができる。
式(I)および(II)及び(III)において、R1及びR2で表される置換基を有していてもよい炭化水素基、または置換基を有していてもよい複素環基置換基において、炭化水素基(例えば、直鎖または環状の、飽和または不飽和の脂肪族基、芳香族基(アリール基)あるいはアラルキル基)および複素環基は、それぞれ独立に、その一部または全部の水素原子が、他の置換基で置換されていてもよい。R1及びR2において、炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数が1〜24のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数が2〜24のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、2−メチルアリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−メチル−1−ペンテニル基、2−メチル−1−ペンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、2−エチル−1−ブテニル基、2−ヘプテニル基、2−オクテニル基、2−ノネニル基、2−デセニル基、2−ウンデセニル基、2−ドデセニル基、2−トリデセニル基、2−テトラデセニル基、2−ペンタデセニル基、2−ヘキサデセニル基、2−ヘプタデセニル基、2−オクタデセニル基、2−ノナデセニル基、2−イコセニル基、2−エイコセニル基、2−ヘンイコセニル基、2−ヘンエイコセニル基、2−ドコセニル基、2−トリコセニル基、2−テトラコセニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数が2〜24のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−3−ブチニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、2−ヘプチニル基、2−オクチニル基、2−ノニニル基、2−デシニル基、2−ウンデシニル基、2−ドデシニル基、2−トリデシニル基、2−テトラデシニル基、2−ペンタデシニル基、2−ヘキサデシニル基、2−ヘプタデシニル基、2−オクタデシニル基、2−ノナデシニル基、2−イコシニル基、2−エイコシニル基、2−ヘンイコシニル基、2−ヘンエイコシニル基、2−ドコシニル基、2−トリコシニル基、2−テトラコシニル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数が3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
シクロアルケニル基としては、炭素数が3〜8のシクロアルケニル基が好ましく、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
R1及びR2において、炭化水素基の有していてもよい置換基としては、以下のような置換基が例示される。炭化水素基がアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基の場合、その置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;シクロプロピル基、1−メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数が3〜6のシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数が1〜4のアルコキシ基;チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオブトキシ基等の炭素数が1〜4のチオアルコキシ基;アリルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、2−メチル−3−プロペニルオキシ基等の炭素数が3〜4のアルケニルオキシ基;炭素数が7〜20のアラルキルオキシ基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基等の炭素数が6〜18のアリール基;フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;炭素数が2〜7のアルカノイル基;炭素数が7〜19のアリロイル基;炭素数が1〜6のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。炭化水素基がアルキル基の場合、炭素数が6〜18のアリール基で置換されたアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、トリフェニルエチル基、(1−ナフチル)メチル基、(2−ナフチル)メチル基等のアラルキル基が挙げられる。
R1及びR2において、炭化水素基がシクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基の場合、その置換基としては、例えば、上述のハロゲン原子、炭素数が3〜6のシクロアルキル基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、炭素数が1〜4のチオアルコキシ基、炭素数が3〜4のアルケニルオキシ基、炭素数が7〜20のアラルキルオキシ基、炭素数が6〜18のアリール基、アリールオキシ基、炭素数が2〜7のアルカノイル基、炭素数が7〜19のアリロイル基、炭素数が1〜6のアルコキシカルボニル基や、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数が1〜6のアルキル基や、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等の炭素数が2〜6のアルケニル基や、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等の炭素数が7〜20のアラルキル基等が挙げられる。
R1及びR2において、複素環基としては、例えば、ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基等が挙げられる。ヘテロアリール基としては、炭素数が3〜9のヘテロアリール基が好ましく、例えば、ピリジル基、キノニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、フリル基、インドリル基、チエニル基、オキサゾリル基等が挙げられる。ヘテロアラルキル基としては、炭素数が5〜10のヘテロアラルキル基が好ましく、例えば、ピリジルメチル基、キノリルメチル基、インドリルメチル基、フリルメチル基、ピロリルメチル基等が挙げられる。
R1及びR2において、複素環基は、置換基を有していてもよい。その場合、複素環基の有する置換基としては、例えば、上述のハロゲン原子、炭素数が3〜6のシクロアルキル基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、炭素数が1〜4のチオアルコキシ基、炭素数が3〜4のアルケニルオキシ基、炭素数が7〜20のアラルキルオキシ基、炭素数が6〜18のアリール基、アリールオキシ基、炭素数が2〜7のアルカノイル基、炭素数が7〜19のアリロイル基、炭素数が1〜6のアルコキシカルボニル基や、上述の炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が2〜6のアルケニル基、炭素数が7〜20のアラルキル基等が挙げられる。
式(I)において、R1及びR2が、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を表す場合、アミン化合物(I)としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン、エイコシルアミン、ヘンイコシルアミン、ヘンエイコシルアミン、ドコシルアミン、トリコシルアミン、テトラコシルアミン、1−メチルブチルアミン、2−メチルブチルアミン、シクロプロピルメチルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ベンジルアミン、2−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、1−フェニルエチルアミン、2−フェニルエチルアミン、3−アミノメチルピリジン、1−(4−クロロフェニル)エチルアミン、2−(2−クロロフェニル)エチルアミン、1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン、1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、2−(2−メトキシフェニル)エチルアミン、2−(3−メトキシフェニル)エチルアミン、2−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、1−(2−ナフチル)エチルアミン、1−フェニルプロピルアミン、3−フェニルプロピルアミン等が挙げられる。
前記式(I)及び(II)において、R1及びR2は、その末端で結合し、R1及びR2が結合する炭素原子と共に置換を有していてもよい炭素数3〜12の脂環式炭化水素基を形成していてもよく、その場合、その炭素数は6〜12が好ましい。ここで、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基とは、3〜12員環の脂環式炭化水素基をいい、「置換基を有する」とは、該脂環式炭化水素基中のメチレン基における水素原子の一部または全部が、他の置換基で置換されていてもよい脂環式炭化水素基のことをいう。他の置換基で置換されている場合、該置換基の炭素数は上記の炭素数には含まれない。R1及びR2が一緒になって、R1及びR2が結合する炭素原子と共に置換されていてもよい炭素数3〜12の脂環式炭化水素基を形成する場合、アミン化合物(I)としては、例えば、シクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロドデシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
アミン化合物(I)の中でも、シクロヘキシルアミンを原料として使用する場合に、高い選択率でシクロヘキサノンオキシムが得られる点で、本発明の方法は有利に採用される。シクロヘキシルアミンとしては、例えば、アニリン、ニトロベンゼン、ニトロシクロヘキサン等を水素化することにより得られたものであってもよいし、シクロヘキセン又はシクロヘキサノールと、アンモニアとのアミノ化反応により得られたものであってもよい。
酸化に用いられる酸素の酸素源としては、酸素含有ガスを用いることが好ましい。この酸素含有ガスは、例えば、空気であってもよいし、純酸素であってもよいし、空気又は純酸素を、窒素、アルゴン、ヘリウムのような不活性ガスで希釈したものであってもよい。また、空気に純酸素を添加した酸素富化空気を使用することもできる。酸素含有ガスを使用する場合、その酸素濃度は1〜30容量%が好ましい。
酸化においては、溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、有機溶媒、水、有機溶媒と水との混合溶媒が挙げられ、中でも、有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒が好ましく、有機溶媒がより好ましい。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等のアルコール;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル化合物等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。中でも、アルコール、芳香族炭化水素、ニトリルが好ましい。アルコールの中でも、メタノール、エタノール、t−ブタノールが好ましく、芳香族炭化水素の中でも、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンが好ましく、ニトリルの中でも、アセトニトリルが好ましい。
溶媒を使用する場合、その量は、アミン化合物(I)1重量部に対して、通常0.1〜300重量部、好ましくは0.5〜100重量部である。
酸化は、回分式で行ってもよく、半回分式で行ってもよく、連続式で行ってもよく、回分式、半回分式及び連続式の組み合わせで行ってもよい。連続式で行う場合、固定床方式、流動床方式、移動床方式、懸濁床方式や、撹拌混合式又はループ式の反応器内に反応原料を供給しながら、反応混合物の液相を抜き出す方式等の各種の方式で実施することができる。
酸化における反応温度は、50〜200℃が好ましく、より好ましくは70〜150℃である。また、反応圧力は、通常、絶対圧で0.1〜10MPa、好ましくは0.2〜7.0MPaである。前記酸化は、加圧下に行うのが好ましく、この場合、窒素やヘリウム等の不活性ガスを用いて、圧力を調整してもよい。前記酸化を、撹拌混合式の反応器内で、液相条件下、酸素含有ガスを使用して回分式又は連続式で実施する場合には、反応器の気相部に酸素含有ガスを供給してもよいし、液相中に酸素含有ガスを供給してもよいし、反応器の気相部及び液相中に酸素含有ガスを供給してもよい。
酸化においては、ラジカル開始剤、フェノール系連鎖移動剤等を共存させてもよく、オキシム化合物(II)の選択率を向上させる観点から、ラジカル開始剤を共存させるのが好ましい。該ラジカル開始剤としては、例えば、国際公開第2005/009613号に開示されているヒドラジルラジカル、ヒドラジン化合物や、特開2005−15381号公報に開示されているアゾ化合物、過酸化物等が挙げられ、必要に応じて2種以上のラジカル開始剤を使用してもよい。ヒドラジルラジカルとしては、2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル、2,2−ジ(4−tert−オクチルフェニル)−1−ピクリルヒドラジルが好ましい。ヒドラジン化合物としては、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジンが好ましい。本発明においては、前記ラジカル開始剤として、2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル及び1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジンからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく使用される。前記フェノール系連鎖移動剤としては、例えば、特開2005−15382号公報に開示されている化合物等が挙げられる。
酸化により得られたオキシム化合物(II)を含む反応混合物の後処理操作については、適宜選択でき、必要に応じて濾過、洗浄、蒸留、晶析、抽出、再結晶、クロマトグラフィー等の処理を組み合わせてオキシム化合物(II)を精製した後、各種用途に使用できる。前記酸化後に回収された触媒は、必要に応じて洗浄、焼成、イオン交換処理等の処理が施された後、再使用することができる。また、反応混合物中に溶媒や未反応原料が含まれる場合、回収された溶媒や未反応原料は再使用することができる。
得られたオキシム化合物(II)は、例えば、ベックマン転位反応させて式(III):
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す(但し、R
1及びR
2が共に水素原子であることはない。)か、あるいは
R
1及びR
2は一緒になって、R
1が結合する窒素原子と、R
2が結合する炭素原子と共に置換基を有していてもよい複素環を形成する。)
で表されるアミド化合物を製造するための原料として好適に使用される。
式(III)において、R1及びR2は、一緒になって、R1が結合する窒素原子と、R2が結合する炭素原子と共に置換を有していてもよい炭素数3〜12の脂肪族複素環を形成するアミド化合物は、式(II)において、R1及びR2が一緒になって、R1及びR2が結合する炭素原子と共に置換されていてもよい炭素数3〜12の脂環式炭化水素基を形成しているオキシム化合物をベックマン転位反応させてが得られる。
かかるベックマン転位反応としては、液相条件下に行う方法、気相条件下に行う方法が挙げられる。液相条件下のベックマン転位反応は、例えば、発煙硫酸等の強酸の存在下で行う方法等が挙げられ、特公昭48−4791号公報等に記載の方法に準じて行うことができる。気相条件下のベックマン転位反応は、例えば、ゼオライト等の固体触媒の存在下で行う方法等が挙げられ、特開平5−170732号公報等に記載の方法に準じて行うことができる。例えば、アミン化合物(I)としてシクロヘキシルアミンを使用した場合には、前記酸化により得られるシクロヘキサノンオキシムをベックマン転位反応させることにより、ε−カプロラクタムを製造することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない
実施例1
2Lフラスコ内に、1N 硝酸(和光純薬工業(株)製)444gと、モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンを含有するモンモリロナイト)25gを加え、攪拌した。次いで、ウォーターバスを使用して、撹拌しながら90℃に昇温後、35重量%の硫酸チタン溶液(和光純薬工業(株)製)31gを1時間かけて滴下し、滴下終了後、90℃で6時間混合液を攪拌しながら熱処理を実施した。6時間経過後、熱処理を終了して室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離したところ、ろ過時間は10分以内であった。また、この固体を1Lの水で洗浄し、再度加圧濾過により固体を分離したところ、ろ液のpHは1以下であり、ろ過時間は15分以内であった。洗浄後、得られた固体は110℃で一晩乾燥し、触媒A(層間にチタンイオンを含有するモンモリロナイト)を得た。
比較例1
実施例1において、1N 硝酸とモンモリロナイトの混合物を攪拌しながら50℃に昇温し、35%硫酸チタン滴下終了後、50℃で6時間熱処理した他は実施例1と同様の操作を行ったところ混合物を加圧ろ過した際のろ過時間は15分以内、1Lの水で洗浄後のろ液のpHは1以下であり、ろ過時間は1時間以上であった。
実施例2
1Lポリービーカー内に、1N 硝酸(和光純薬工業(株)製)266gと、モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンを含有するモンモリロナイト)15gを加え、攪拌した。次いで、ウォーターバスを使用して、撹拌しながら50℃に昇温後、35重量%の硫酸チタン溶液(和光純薬工業(株)製)19gを1時間かけて滴下し、滴下終了後、混合液をSUS製オートクレーブに移し、110℃に昇温した。その後110℃で4時間混合液を攪拌しながら熱処理を実施した。4時間経過後、熱処理を終了して室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離したところ、ろ過時間は5分以内であった。また、この固体を500mLの水で洗浄し、再度加圧濾過により固体を分離したところ、ろ液のpHは1以下であり、ろ過時間は10分以内であった。洗浄後、得られた固体は110℃で一晩乾燥し、触媒B(層間にチタンイオンを含有するモンモリロナイト)を得た。
実施例3
熱電対、マグネチックスターラー、ガス供給ライン及びガス排出ラインを備えたSUS316製反応器(容量:200mL)に、実施例1で得られた触媒Aを0.30g、シクロヘキシルアミン(和光純薬工業(株)製)を1.49g、及びアセトニトリル(和光純薬工業(株)製)を6.99g入れ、反応器内の気相部を窒素ガスで置換した後、密閉し、反応器内の気相部に酸素と窒素との混合ガス(酸素濃度:7体積%)を導入して反応器内の圧力を0.95MPa(ゲージ圧)とした。次いで、撹拌しながら反応器内の温度を86℃に昇温した。このときの反応器内の圧力は1.15MPa(ゲージ圧)であった。次いで、撹拌を継続しながら86℃で4時間保温した後、冷却した。得られた反応混合物にメタノールを加えて希釈した後、濾過し、得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は1.3%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は75.1%であった。