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JP2013236737A - 骨の損傷部位の治療方法 - Google Patents

骨の損傷部位の治療方法 Download PDF

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JP2013236737A
JP2013236737A JP2012111420A JP2012111420A JP2013236737A JP 2013236737 A JP2013236737 A JP 2013236737A JP 2012111420 A JP2012111420 A JP 2012111420A JP 2012111420 A JP2012111420 A JP 2012111420A JP 2013236737 A JP2013236737 A JP 2013236737A
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Katsuyuki Yamanaka
克之 山中
Tadashi Kaneko
正 金子
Yuudai Sakai
裕大 坂井
Yoshioshi Watabe
欣忍 渡部
Takashi Matsushita
隆 松下
Tetsushi Abe
哲士 阿部
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Teikyo University
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GC Corp
Teikyo University
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Abstract

【課題】骨の損傷部位が大きい場合にも骨組織を再生させることが可能な治療方法を提供する。
【解決手段】多孔質体に播種された軟骨細胞を培養する工程、又は多孔質体に播種された軟骨細胞に分化する幹細胞を軟骨細胞に分化して軟骨細胞を培養する工程と、前記軟骨細胞が培養された多孔質体を移植する工程と、を含むものとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、骨に関する疾患や事故等により受けた骨の損傷部位を修復して治療する方法に関する。
骨に関する疾患や事故等による骨折、骨の欠損等の骨の損傷部位を治療するためにいわゆる再生医療を適用する取り組みが行われている。再生医療は、生体が有している治癒能力では回復できなくなった生体組織を、細胞、細胞担体及び細胞成長因子等を用いて元の組織と同じような形態や機能を作り出す医療技術である。
このような再生医療における骨の治療においては、自家骨を用いた移植が最も好ましい。しかしながら、骨の損傷部位が大きいと自家骨を用いることが困難であり、人工の骨代替材料を用いる必要があった。例えばこのような骨代替材料としてハイドロキシアパタイトやリン酸カルシウム複合体等があり、これら骨代替材料を生体親和性、生体吸収性に優れる基材に組み合わせて移植することが行われていた。
これに対して、上記したように自家骨を用いた移植が最も好ましいという観点から、例えば特許文献1、2のような技術が開示されている。特許文献1には、多孔質シート上に間葉系細胞から分化させた間葉系組織前駆体細胞と細胞外基質とが付着している間葉系組織再生誘導用シートが記載されている。また特許文献2には、間葉系幹細胞をシート状に培養した培養細胞シートと生分解性物質をシート状に形成した生分解シートとを積層してなる骨再生シートが開示されている。
特開2006−116212号公報 特開2003−275294号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載されたシートは、培養骨芽細胞が付着したシートを体内に入れ、体内での膜性骨化によって骨芽細胞から皮質骨を形成させる方法で用いられる。この方法によると、骨芽細胞は積層して培養することができないという問題があるため骨芽細胞層を用いたこのようなシートでは細胞層の厚さが100μmを超えるシートを提供できなかった。従って損傷部位が大きい場合の治療には対応することが困難であった。
そこで本発明は、骨の損傷部位が大きい場合にも骨組織を再生させることが可能な骨の損傷部位の治療方法を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。
請求項1に記載の発明は、多孔質体に播種された軟骨細胞を培養する工程、又は多孔質体に播種された軟骨細胞に分化する幹細胞を軟骨細胞に分化して軟骨細胞を培養する工程と、前記軟骨細胞が培養された多孔質体を移植する工程と、を含む、骨の損傷部位の治療方法である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の骨の損傷部位の治療方法において、軟骨細胞に分化する幹細胞は、間葉系幹細胞であることを特徴する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の骨の損傷部位の治療方法において、間葉系幹細胞は人の骨髄、滑膜、脂肪、及び骨膜の少なくとも1つから採取されたものであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の骨の損傷部位の治療方法において、多孔質体に播種された軟骨細胞、及び多孔質体に播種された軟骨細胞に分化する幹細胞は、他人、又は動物から採取された軟骨細胞又は軟骨細胞に分化する幹細胞に基づくものであり、当該採取された軟骨細胞、及び当該採取された幹細胞は、液体窒素による急凍結処理による脱細胞化等の、脱抗原免疫化処理がされていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の骨の損傷部位の治療方法において、多孔質体は、乳酸、グリコール酸、カプロラクトンの重合体又はそれぞれの共重合体により形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の骨の損傷部位の治療方法において、軟骨細胞が培養された多孔質体を粉砕して粉状にする工程を含み、移植する工程は、粉状にする工程により粉状となった多孔質体を移植するものである。
本発明によれば、軟骨細胞の骨化と周囲の骨形成促進効果により骨を再生させるので、骨の損傷部位が大きい場合にも骨組織を再生する治療をすることが可能となる。
骨の損傷部位の治療方法S10の一部を説明する図である。 骨の損傷部位の治療方法S10の一部を説明する他の図である。 骨の損傷部位の治療方法S20の一部を説明する図である。 骨の損傷部位の治療方法S20の一部を説明する他の図である。
本発明の作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。ただし本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
はじめに1つの実施形態に係る骨の損傷部位の治療方法S10(以下、「治療方法S10」と記載することがある。)について説明する。
本発明で適応となる疾患としては、例えば次のようなものを挙げることができる。
1)通常の骨移植で対処しきれない大きな骨欠損
2)骨折後の偽関節・遷延癒合
3)骨髄炎、感染性偽関節にともなう骨欠損
4)骨延長術後の骨癒合促進
5)骨欠損をともなう骨折の二期的再建
6)骨腫瘍切除後の骨欠損
7)脊椎前方固定術
8)脊椎後方固定術
9)脊椎後側方固定術
10)人工関節再置換術時における骨補填
11)採骨部骨欠損に対する骨移植
このように本発明は、骨形成促進のために従来は自家骨移植術や骨形成タンパクの適応となっていた領域、および骨欠損等に対して自家骨移植や人工骨、金属による補填や補強が必要になった場合に適用することが可能である。このときには本発明を単独で適用してもよいし、従来方法と併用してもよい。
また、歯科領域においてもインプラント埋入時の骨不足を補う骨増生やサイナスリフト、ソケットリフト、顎骨嚢胞摘出時の骨補填、などへの適応が可能である。ただし、これらに限定されるものではない。
治療方法S10は、細胞採取工程S11、増幅培養工程S12、細胞懸濁液作製工程S13、組織再生材料作製工程S14、軟骨組織培養工程S15、及び移植工程S16を備えている。以下、それぞれについて説明する。
細胞採取工程S11は、最終的に骨細胞とさせるための元となる細胞を採取する工程である。採取される細胞は、軟骨細胞、又は軟骨細胞に分化する幹細胞である(「軟骨細胞分化細胞」と記載することがある。)。採取される軟骨細胞及び軟骨細胞分化幹細胞は、軟骨細胞であればこれを直接用いればよく、軟骨細胞分化幹細胞であれば、骨髄由来間葉系幹細胞、脂肪由来間葉系幹細胞、間葉系細胞及び滑膜細胞などの軟骨細胞に分化し得る又はそれらの修復を促進し得る能力を有する幹細胞であればよい。これには例えば、骨盤(腸骨)や手足の長管骨(大腿骨、脛骨)の骨髄及び/又は骨膜、滑膜、脂肪、歯槽骨等の骨髄、口蓋又は歯槽骨等の骨膜等から採取される細胞を挙げることができる。
これらを採取する方法は通常医科で行われている方法が特に限定されずに使用でき、中でも採取の際、皮膚、筋肉の剥離切開が最小ですむ簡易な手術で行うことが可能な腸骨等の骨髄、口蓋又は歯槽骨等の骨膜等を採取源とすることが好ましい。
また採取される軟骨細胞及び軟骨細胞分化幹細胞は治療方法S10を適用される本人からの他、生死を問わない他人、又はウシ、ブタ、ウマ、トリ等の動物から採取することもできる。ただし他人や動物から採取する際には免疫拒絶反応が起こることを考慮して、最終工程において液体窒素による急凍結処理による脱細胞化等の脱抗原免疫化処理を行っておくことが必要である。このようなものによれば移植対象である本人への負担を減ずることができる。
増幅培養工程S12は、採取された軟骨細胞又は軟骨細胞分化幹細胞を公知の方法で組織培養用の培養容器を用いて1週間〜2週間増幅培養させる工程である。培養に用いられる培地は、公知の培地を使用できるが、例えば自己血清、ウシ胎児血清を含有した細胞培養用のαMEM培地を好適に使用できる。このとき、間葉系幹細胞の場合には、特定の成長因子(例えばbFGF)を作用させると、高い多分化能力を保ったまま増殖され、軟骨の分化を促進させることができる。
細胞懸濁液作製工程S13は、増幅培養工程S12で増幅培養された細胞を含む細胞懸濁液を作製する工程である。すなわち、軟骨分化用培養液に当該幹細胞を懸濁することにより細胞懸濁液を作製する。ここで用いられる培養液、軟骨分化用培養液は公知のものを用いることができる。作製される細胞懸濁液は、細胞密度が5×10cell/ml〜1×10cell/mlとされていることが好ましい。
組織再生材料作製工程S14は、細胞懸濁液作製工程S13で作製した細胞懸濁液を多孔質体に導入して細胞を播種し接着させ、組織再生材料を作製する工程である。ここで組織再生材料は、細胞が播種された多孔質体を意味する。
ここで用いられる多孔質体は、生体吸収性高分子材料で形成されており、孔径180μm〜3500μm、平均孔径350μm〜2000μmの連通した小孔構造を有し、気孔率が60%〜95%とされている。また、多孔質体の圧縮強度は0.05MPa〜1MPaとなるように構成されている。ここで、多孔質体の孔の孔径とは、10μmを下回るような液体のみを通す微小気孔は考慮に入れず、多孔質体全体において10μm以上の気孔の80%以上が孔径180μm〜3500μmであることを意味している。なお、「気孔率」は、使用された生体吸収性高分子材料の原料塊の重量に対する同体積の多孔質体の重量から算出された値である。
気孔率が60%よりも小さいと軟骨細胞、又は軟骨細胞分化幹細胞の培養効率が低くなり、95%を超えると多孔質体自体の強度が低下する。従って、気孔率は80%〜90%であることがさらに好ましい。また、孔径が180μmより小さいと軟骨細胞、又は軟骨細胞分化幹細胞を多孔質体内に導入することが困難となり、多孔質体の内部まで十分に軟骨細胞、又は軟骨細胞分化幹細胞を播種することができない。一方、孔径が3500μmよりも大きいと多孔質体自体の強度が低下してしまう。
また、平均孔径は540μm〜1200μmであることが好ましい。
上記圧縮強度について、圧縮強度が0.05MPaよりも小さいと多孔質体が、軟骨細胞、又は軟骨細胞分化幹細胞の伸展応力で収縮してしまう。一方、1MPaを超える多孔質体を作製することは技術的に困難がある。なお、「圧縮強度」とは直径10mm×高さ2mmの円柱状の試験体をクロスヘッドスピード1mm/分で圧縮させた際の圧縮破壊強度を意味する。
多孔質体の全体としての形状は特に限定されることはないが、移植される損傷部位の形状に見合った形状とすることができる。ただし汎用的な多孔質体として立方体、直方体、半球、円板等、各種基本的な形状が準備されていてもよい。多孔質体の厚さ(培養の際に上下方向となる大きさ)は好ましくは2mm〜100mm、さらに好ましくは2.1mm〜70mmである。厚さが100mmを超えると細胞を導入したり、長期間培養したりすることが難しくなる。
多孔質体を構成する材料は、生体吸収性高分子材料であり、一定期間体内でその形態を維持できれば特に限定することなく用いることができる。例えば、従来から用いられているポリグリコール酸、ポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体、ポリ−ε−カプロラクトン、乳酸−ε−カプロラクトン共重合体、ポリアミノ酸、ポリオルソエステル及びそれらの共重合体中から選択される少なくとも一種を例示することができる。その中でもポリグリコール酸、ポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体が、米国食品医薬庁(FDA)から人体に無害な高分子として承認されていること及びその実績の面から最も好ましい。生体吸収性高分子材料の重量平均分子量は5000〜2000000であることが好ましく、より好ましくは10000〜500000である。
このような多孔質体を用いることにより、細胞懸濁液を多孔質体11(図1参照)の内部にまで適切に浸透させることができ、安定して無駄なく播種すべき細胞を多孔質中に導入して播種し、組織再生材料を作製することが可能となる。
多孔質体の作製方法は特に限定されないが、例えば、有機溶媒に生体吸収性高分子材料が溶解された溶液にその有機溶媒には溶解せず且つ生体吸収性高分子材料を溶解しない液で溶解する粒径が100μm〜2000μmの粒子状物質を略均一に混合し凍結する。その後に乾燥して有機溶媒を取り除くことによって粒子状物質を含有した孔径が5μm〜50μmの小孔構造を有する多孔質生体吸収性高分子を作製する。そして、この多孔質生体吸収性高分子をミル等で粉砕してから粒子状物質を生体吸収性高分子を溶解しない液で溶解して取り除いた後、篩にかけて100μm〜3000μmの平均粒径の生体吸収性顆粒状多孔質物質とし、これらの生体吸収性顆粒状多孔質物質を所定形状の容器内に入れて加圧し加熱する作製方法を挙げることができる。
組織再生材料作製工程S14は、載置工程S141、細胞懸濁液導入工程S142、及び反転工程S143を有している。図1、図2に組織再生材料作製工程S14を説明する図を示した。
載置工程S141は、図1(a)に示したように、保持板1上に多孔質体11を載置する工程である。ここで保持板1は接触角が水に対して15°〜90°の樹脂板又はガラス板であることが好ましい。このような保持板1は、従来から細胞を静置培養する容器として用いられている、シャーレ、フラスコ、マルチウェル等に使用されているガラス材料や、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料を板状に加工して用いることができる。これらの材料は疎水性が高いことがあるので必要に応じて、多孔質体11を接触させる面を、プラズマ(コロナ放電)処理等の化学的な方法で極性基を導入し親水性を高め、接触角が水に対して15°〜90°となるようにしておくことが好ましい。また、接触させる面にセラミックス皮膜を形成させておいてもよい。接触させる面は平滑であることが好ましいが、高さ数百μmの溝や筋状突起等が設けられていてもよい。
載置工程S141により保持板1の面に多孔質体11が載置された姿勢となり、次に細胞懸濁液導入工程S142で、図1(b)に示したように多孔質体11に細胞懸濁液作製工程S13で作製した細胞懸濁液12が、例えば滴下や注入等の方法によって導入される。これにより、図2(a)に示したように、細胞懸濁液12が多孔質体11内に浸透するとともに、多孔質体11が細胞懸濁液12により全体が満たされた状態となる。このとき、多孔質体11の体積に対して細胞懸濁液12の量が多すぎると、後述の反転工程S143が行い難くなったり、培養の効率が低下したりする傾向があるため、多孔質体11全体を浸し且つ多孔質体11から過剰に漏れ出ない量の細胞懸濁液を導入することが好ましい。
次に、反転工程S143により、図2(a)で示した状態から、保持板1が上、細胞懸濁液12が含まれた多孔質体11が下となるように反転させ、図2(b)に示したような姿勢とする。即ち、重力方向から見て保持板1が多孔質体11の上側となり、且つ保持板1の重さが多孔質体11に加わらない状態で気体中で静止させる。この状態で静止を維持し、導入された細胞を多孔質体11の孔の内壁に接着させて播種が完了する。これが組織再生材料10である。多孔質体に細胞を接着させるために気体中で静止させる時間は、多孔質体の材質や播種する細胞の種類により異なるが、一般的には20分〜300分である。
また、本実施形態のように多孔質体が下となるような姿勢で組織再生材料を作製する場合における多孔質体の形状は、反転工程S143を経て、重力方向から見て保持板1が上側となり且つ保持板1の重さが多孔質体11に加わらない状態で気体中で静止させ細胞を播種することが可能であれば特に限定されない。ただし、そのときの多孔質体11の底面積(保持板1に接する面の面積)は、厚さに対して十分な大きさの面積を有する形状であることが好ましい。具体的には、多孔質体の体積1cm〜50000cmの範囲において、底面積が0.5cm〜200cmであることが好ましい。0.5cm未満又は200cmを超えると保持板に吊り下げた状態で播種することが難しくなる。
ここで多孔質体11が比較的大きな孔を有していれば、細胞懸濁液12を多孔質体11の内部にまで適切に浸透させることができる。そして、最終的に細胞懸濁液を上記のように重力方向から見て保持板1が多孔質体11の上側となり、且つ保持板1の重さが多孔質体11に加わらない状態で気体中に静止させることにより、多孔質体11から細胞懸濁液12が漏れないように保持することができる。従って、細胞懸濁液12を安定して無駄なく導入して細胞を多孔質体中に播種することが可能となる。
軟骨組織培養工程S15は、組織再生材料作製工程S14で作製された組織再生材料10から骨再生用軟骨組織材料を作製する工程である。軟骨組織培養工程S15では、組織再生材料10に播種された細胞が軟骨細胞であればこれを培養して増幅させる。また、組織再生材料10に播種された細胞が軟骨細胞分化幹細胞であれば、これを軟骨細胞に分化して培養することにより軟骨細胞を増幅させる。
従って、骨再生用軟骨組織材料は、組織再生材料10から培養の過程を経た後における、多孔質体と、この多孔質体中に培養されて含まれる軟骨細胞とにより構成されている。すなわち、骨再生用軟骨組織材料は、上記した組織再生材料について、ここに含まれる軟骨細胞、軟骨細胞分化幹細胞から分化した軟骨細胞を培養することにより作製された材料である。
これら軟骨細胞の増幅・分化(培養)は公知の方法により行うことができる。例えば増殖培養液により増幅させることができる。また、増殖させた後に軟骨分化用培養液を用いて分化、培養することが可能である。
移植工程S16は、軟骨組織培養工程S15により作製した骨再生用軟骨組織材料を、骨に関する疾患や事故により損傷した骨部分に移植する工程である。これにより体内において内軟骨性骨化によって骨の再生がなされる。一方、多孔質体は生体吸収性高分子材料により形成されているので、時間とともに消滅する。
次に他の実施形態にかかる骨の損傷部位の治療方法S20(以下、「治療方法S20」と記載することがある。)について説明する。本実施形態のうち、上記した治療方法S10で説明したものと共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。
治療方法S20は、治療方法S10の組織再生材料作製工程S14の代わりに組織再生材料作製工程S24を備えている。当該組織再生材料作製工程S24は、仮載置工程S241、細胞懸濁液導入工程S242、挟持工程S243、及び保持工程S244を含んで構成されている。図3、図4に組織再生材料作製工程S24を説明する図を示した。
仮載置工程S241は、図3(a)のように、撥水性が高い板状部材である仮載置板2に多孔質体11を載置する工程である。仮載置板2は接触角が水に対して90°より大きい樹脂板又はガラス板であることが好ましい。
細胞懸濁液導入工程S242は、上記した細胞懸濁液導入工程S142と同様、多孔質体11に細胞懸濁液12が導入される。これにより、図3(b)に示したように、細胞懸濁液12が浸透して多孔質体11全体に満たされた状態となる。
挟持工程S243は、図4(a)に示したように、細胞懸濁液で満たされた多孔質体11を仮載置板2との間に挟むように保持板1の面に多孔質体11を接触させる工程である。
保持工程S244は、図4(b)に示したように、多孔質体11を接触させた保持板1を引き上げ、多孔質体11を保持板1側に保持させ、仮載置板2から離脱させる工程である。これにより、多孔質体11は上記1つの実施形態と同様に、重力方向から見て保持板1が多孔質体11の上側となり、且つ保持板1の重さが多孔質体11に加わらない状態で気体中で静止させる。この状態で静止を維持し、導入された細胞を多孔質体11の内壁に接着させて播種が完了する。これが組織再生材料10とされる。
ここで仮載置板2は撥水性のある板、保持板1は親水性のある板により構成されているので、細胞懸濁液で満たされた多孔質体の上記したような保持、離脱が適切に行われる。
以上のような治療方法S10、S20によれば、体積の大きな軟骨を作製し、これから内軟骨性骨化の作用で体積の大きな骨を作製することが可能となる。従って骨の損傷が大きい場合であってもこの軟骨を移植することによって短期間に骨を再生することが可能となる。すなわち、多孔質体の大きさに対応する大きなバルク状の軟骨を作製し、これを損傷部位に移植することにより、内軟骨性骨化によって大きな体積の骨を再生する。また、バルク状の軟骨を砕いて粉状とし、移植箇所に適用しやすくして移植することも可能である。
以下、実施例について説明する。
<実施例1>
実施例1は次のような過程を経て骨再生用軟骨組織材料D1を作製し、移植工程により移植をおこなった。
(細胞採取工程及び増幅培養工程による細胞A1の準備)
ヒト腸骨骨髄液から採取した細胞を20%FBS、αMEM培地で有核細胞数1×10cell/mlの濃度で懸濁した後、直径10cmの培養皿へ10ml播種した。37℃にて5%炭酸ガス存在下で増殖培養した。3日目で培地を交換し、非接着細胞(造血系細胞)を除いた。以後3日に1回培地を交換した。bFGFは5日目から3ng/mlで培地に添加した。10日前後でほぼ集密的にまで増殖した。これらの培養皿をトリプシン(0.05%)+EDTA(0.2mM)で5分間インキュベートして、細胞を単離した。細胞数をCoulterカウンター(Z1シングル、コールター社製)で計測し、5000cell/cmの密度で細胞を播種した。この操作を繰り返して、ほぼ集密的(コンフルエント)になった二代目の継代培養皿から得た三代目の細胞を用いた。
これにより、ヒト腸骨骨髄液から採取した間葉系幹細胞である細胞A1を得た。
(多孔質体B1の準備)
分子量250000のDL−乳酸/グリコール酸共重合体をジオキサンに溶解させた後、粒径500μm前後の塩化ナトリウムと混合して凍結乾燥し、粉砕して脱塩することで得られるパウダー状材料を圧縮加熱成型し、γ線滅菌することによって、平均孔径540μm、気孔率90%、圧縮強度0.2MPa、直径9mmで厚さ3mmの生体吸収性合成高分子からなる円盤ブロック状の多孔質体を作製した。これにより、ポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)ブロックの多孔質体B1を得た。
(細胞懸濁液作製工程及び組織再生材料作製工程による組織再生材料C1の作製)
上記多孔質体B1の円盤状の底面をプラズマ処理ポリスチレン60mm培養皿(水に対する接触角70°)の上面に接触させ載置した。軟骨分化用培養液(αMEM、グルコース4.5mg/ml、10−7Mデキサメサゾン、50μg/mlのアスコルビン酸−2−リン酸、10ng/mlのTGF−β、6.25μg/mlのインスリン、6.25μg/mlのトランスフェリン、6.25ng/mlのセレン酸、5.33μg/mlのリノレイン酸、1.25mg/mlのウシ血清アルブミン)に2×10cell/mlの密度で懸濁させた0.19mlの上記細胞A1を多孔質体B1に滴下して導入した。そして、培養皿を反転させ逆さまにした状態で37℃、湿度100%、5%CO条件下で100分間材料に細胞を接着させることで多孔質体B1に細胞A1を播種し組織再生材料C1を得た。
(軟骨組織培養工程による骨再生用軟骨組織材料D1の作製)
その後、軟骨分化細胞液で満たした50ml遠沈管に組織再生材料C1を入れて37℃にて3日間毎に培地を交換しながら4週間培養して骨再生用軟骨組織材料D1を作製した。
(移植工程による移植及びその評価)
スキッドマウスの背部皮下に骨再生用軟骨組織材料D1を移植し、8週間経過した後に移植体を回収し、μCT及び病理組織学的に評価した。その結果、移植体はカルシウムが多く沈着した成熟した骨組織であり、実施例1に係る治療方法は異所性の骨を再生できる方法であることが確認できた。
<実施例2>
実施例2は次のような過程を経て骨再生用軟骨組織材料D2を作製し、移植工程により移植をおこなった。
(細胞採取工程及び増幅培養工程による細胞A2の準備)
ラット大腿骨、頸骨を採取し、培養液を用いて骨髄液をフラッシュアウトして回収した細胞を10%FBS、αMEM培地で有核細胞数1×10cell/mlの濃度で懸濁した後、直径10cmの培養皿へ10ml播種した。37℃にて5%炭酸ガス存在下で増殖培養した。3日目で培地を交換し、非接着細胞(造血系細胞)を除いた。以後3日に1回培地を交換した。bFGFは5日目から3ng/mlで培地に添加した。10日前後でほぼ集密的にまで増殖した。これらの培養皿をトリプシン(0.05%)+EDTA(0.2mM)で5分間インキュベートして、細胞を単離した。細胞数をCoulterカウンター(Z1シングル、コールター社製)で計測し、5000cell/cmの密度で細胞を播種した。この操作を繰り返して、ほぼ集密的(コンフルエント)になった二代目の継代培養皿から得た三代目の細胞を用いた。
これにより、ラット大腿骨、頸骨骨髄液から採取した間葉系幹細胞である細胞A2を得た。
(多孔質体B2の準備)
分子量250000のDL−乳酸/グリコール酸共重合体をジオキサンに溶解させた後、粒径500μm前後の塩化ナトリウムと混合して凍結乾燥し、粉砕して脱塩することで得られるパウダー状材料を圧縮加熱成型し、γ線滅菌することによって、孔のサイズが平均600μm、有孔率80%、圧縮強度0.6MPa、3mm×5mm×20mmの生体吸収性合成高分子材料からなるブロック状の多孔質体を作製した。これにより、ポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)ブロックの多孔質体B2を得た。
(細胞懸濁液作製工程及び組織再生材料作製工程による組織再生材料C2の作製)
多孔質体B2の底面をプラズマ処理ポリスチレン60mm培養皿(水に対する接触角70°)の上面に接触させ載置した。軟骨分化用媒溶液(αMEM、グルコース4.5mg/ml、10−7Mデキサメサゾン、50μg/mlのアスコルビン酸−2−リン酸、10ng/mlのTGF−β、6.25μg/mlのインスリン、6.25μg/mlのトランスフェリン、6.25ng/mlのセレン酸、5.33μg/mlのリノレイン酸、1.25mg/mlのウシ血清アルブミン)に2×10cell/mlの密度で懸濁させた0.19mlの細胞A2を多孔質体B2に滴下して導入した。培養皿を反転させ逆さまにした状態で37℃、湿度100%、5%CO条件下で100分間材料に細胞を接着させることで多孔質体B2に細胞A2を播種し組織再生材料C2を得た。
(軟骨組織培養工程による骨再生用軟骨組織材料D2の作製)
その後、軟骨分化細胞液で満たした50ml遠沈管に組織再生材料C2を入れて37℃にて3日間毎に培地を交換しながら4週間培養して骨再生用軟骨組織材料D2を作製した。
(移植工程による移植及びその評価)
ラット大腿骨を創外固定器で固定して隙間5mmの骨欠損を作製したモデルに対し、骨再生用軟骨組織材料D2をメスで3mm×3mm×5mmとなるよう切断して移植し、移植後1、2、4、8、16週目の欠損部の治癒過程をレントゲン撮影により評価した。また、移植後16週目に大腿骨を取り出し、μCT及び病理組織学的に評価した。その結果、移植体はカルシウムが多く沈着した成熟した骨組織であり、実施例2に係る治療方法は大腿骨の隙間部位の骨の再生治療を可能とする治療方法であることが確認できた。
<実施例3>
実施例3は次のような過程を経て骨再生用軟骨組織材料D3を作製し、移植工程により移植をおこなった。
(細胞採取工程及び増幅培養工程による細胞A3の準備)
イヌ腸骨骨髄液から採取した細胞を10%FBS、αMEM培地で有核細胞数1×10cell/mlの濃度で懸濁した後、直径10cmの培養皿へ10ml播種した。37℃にて5%炭酸ガス存在下で増殖培養した。3日目で培地を交換し、非接着細胞(造血系細胞)を除いた。以後3日に1回培地を交換した。bFGFは5日目から3ng/mlで培地に添加した。10日前後でほぼ集密的にまで増殖した。これらの培養皿をトリプシン(0.05%)+EDTA(0.2mM)で5分間インキュベートして、細胞を単離した。細胞数をCoulterカウンター(Z1シングル、コールター社製)で計測し、5000cell/cmの密度で細胞を播種した。この操作を繰り返して、ほぼ集密的(コンフルエント)になった二代目の継代培養皿から得た三代目の細胞を用いた。
これにより、イヌ腸骨骨髄液から採取した間葉系幹細胞である細胞A3を得た。
(多孔質体B3の準備)
分子量250000のDL−乳酸/グリコール酸共重合体をジオキサンに溶解させた後、粒径500μm前後の塩化ナトリウムと混合して凍結乾燥し、粉砕して脱塩することで得られるパウダー状材料を圧縮加熱成型し、γ滅菌することによって、孔のサイズが平均600μm、有孔率80%、圧縮強度0.6MPa、外径14mm×内径8mm×30mmの生体吸収性合成高分子材料からなるドーナッツ状のブロック多孔質体を作製した。これにより、ポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)ブロックの多孔質体B3を得た。
(細胞懸濁液作製工程及び組織再生材料作製工程による組織再生材料C3の作製)
多孔質体B3の円盤状の底面をプラズマ処理ポリスチレン60mm培養皿(水に対する接触角70°)の上面に接触させ載置した。軟骨分化用媒溶液(αMEM、グルコース4.5mg/ml、10−7Mデキサメサゾン、50μg/mlのアスコルビン酸−2−リン酸、10ng/mlのTGF−β、6.25μg/mlのインスリン、6.25μg/mlのトランスフェリン、6.25ng/mlのセレン酸、5.33μg/mlのリノレイン酸、1.25mg/mlのウシ血清アルブミン)に2×10cell/mlの密度で懸濁させた0.19mlの細胞A3を多孔質体B3に滴下して導入した。培養皿を反転させ逆さまにした状態で37℃、湿度100%、5%CO条件下で100分間材料に細胞A3を接着させることで多孔質体B3に細胞A3を播種し組織再生材料C3を得た。
(軟骨組織培養工程による骨再生用軟骨組織材料D3の作製)
その後、軟骨分化細胞液で満たした50ml遠沈管に組織再生材料C3を入れて37℃にて3日間毎に培地を交換しながら4週間培養して骨再生用軟骨組織材料D3を作製した。
(移植工程による移植及びその評価)
イヌ大腿骨に隙間30mmの欠損部を作製してプレート固定したモデルに対し、骨再生用軟骨組織材料D3を埋植し、移植後1、2、4、8、16週目の欠損部の治癒過程をレントゲン撮影により評価した。また、移植後16週目に大腿骨を取り出し、μCT及び病理組織学的に評価した。その結果、移植体はカルシウムが多く沈着した成熟した骨組織であり、実施例3に係る治療方法は大腿骨の大規模骨欠損部の骨の再生修復治療を可能とする治療方法であることが確認できた。
<実施例4>
実施例4は骨再生用軟骨組織材料D2を作製し、移植工程により移植をおこなった。すなわち、実施例4では実施例2と同じ骨再生用軟骨組織材料D2を用いた。
(移植工程による移植及びその評価)
ラット上顎臼歯部頬側骨膜下に骨再生用軟骨組織材料D2をメスで3mm×3mm×2mmとなるよう切断して移植し、移植後8週目に上顎骨を取り出し、μCT及び病理組織学的に評価した。その結果、上顎骨上部に上顎骨と連続性のある厚さ2mmの成熟した骨組織の増生を確認した。実施例4に係る治療方法はインプラント治療が行えないような顎骨が吸収した患者の顎骨および歯槽骨の再生及び増生を可能とする治療方法であることが確認できた。
<実施例5>
実施例5は骨再生用軟骨組織材料D2を作製し、移植工程により移植をおこなった。すなわち、実施例5では実施例2と同じ骨再生用軟骨組織材料D2を用いた。
(移植工程による移植及びその評価)
ラット頭蓋骨骨膜下に骨再生用軟骨組織材料D2をメスで3mm×3mm×5mmとなるよう切断して移植し、移植後8週目に頭蓋骨を取り出し、μCT及び病理組織学的に評価した。その結果、頭蓋骨上部に頭蓋骨と連続性のある厚さ3mm以上の成熟した骨組織の増生を確認した。実施例5に係る治療方法は頭蓋骨および顎顔面領域の骨再生を可能とする治療方法であることが確認できた。
<実施例6>
実施例6は骨再生用軟骨組織材料D2を作製し、移植工程により移植をおこなった。すなわち、実施例6では実施例2と同じ骨再生用軟骨組織材料D2を用いた。
(移植工程による移植及びその評価)
ラット大腿骨膝関節から関節下骨方向にかけてφ2×10mmの筒状欠損部を作製したモデルに対して、骨再生用軟骨組織材料D2をメスで2mm×2mm×10mmとなるよう切断して移植し、移植後8週目に大腿骨を取り出し、μCT及び病理組織学的に評価した。その結果、膝関節から大腿骨中心にかけての骨欠損部が再生し、周囲組織との移行部位が確認できないほど連続性のある成熟した骨組織の再生を確認した。実施例6に係る治療方法は関節及び関節下骨の骨再生を可能とする治療方法であることが確認できた。
1 保持板
2 仮載置板
10 組織再生材料
11 多孔質体
12 細胞懸濁液

Claims (6)

  1. 多孔質体に播種された軟骨細胞を培養する工程、又は多孔質体に播種された軟骨細胞に分化する幹細胞を軟骨細胞に分化して軟骨細胞を培養する工程と、
    前記軟骨細胞が培養された前記多孔質体を移植する工程と、を含む、骨の損傷部位の治療方法。
  2. 前記軟骨細胞に分化する幹細胞は、間葉系幹細胞であることを特徴する請求項1に記載の骨の損傷部位の治療方法。
  3. 前記間葉系幹細胞は人の骨髄、滑膜、脂肪、及び骨膜の少なくとも1つから採取されたものであることを特徴とする請求項2に記載の骨の損傷部位の治療方法。
  4. 前記多孔質体に播種された前記軟骨細胞、及び前記多孔質体に播種された前記軟骨細胞に分化する幹細胞は、他人、又は動物から採取された軟骨細胞又は軟骨細胞に分化する幹細胞に基づくものであり、当該採取された軟骨細胞、及び当該採取された幹細胞は、液体窒素による急凍結処理による脱細胞化等の、脱抗原免疫化処理がされていることを特徴とする請求項1に記載の骨の損傷部位の治療方法。
  5. 前記多孔質体は、乳酸、グリコール酸、カプロラクトンの重合体又はそれぞれの共重合体により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の骨の損傷部位の治療方法。
  6. 前記軟骨細胞が培養された前記多孔質体を粉砕して粉状にする工程を含み、前記移植する工程は、前記粉状にする工程により粉状となった前記多孔質体を移植する、請求項1に記載の骨の損傷部位の治療方法。
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WO2020145394A1 (ja) * 2019-01-10 2020-07-16 富士ソフト株式会社 軟骨一体化閉塞材及び軟骨一体化閉塞材キット
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