JP2013205366A - 位置検出器 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精度な位置検出器を得ること。
【解決手段】実施の形態の位置検出器は、二相信号を出力するセンサ部と、それをデジタル信号に変換する変換部と、その位相誤差を補正する補正量を算出する位相補正量算出部と、補正信号を補正して補正後信号として出力する位相補正部と、補正後信号に逆正接演算を行って検出位置を算出する位置算出部を備えた位置検出器であって、位相補正量算出部は、基準信号算出手段と、補正後信号と基準信号の差分信号を算出する手段と、基準信号と差分信号の直交成分の積を誤差信号として算出する乗算手段と、誤差信号に基づき位相誤差から補正量を減算した誤差に符号一致し最大振幅が単調増加する補正入力を算出する補正入力算出手段と、それを積分する積分手段を備える。
【選択図】図2
【解決手段】実施の形態の位置検出器は、二相信号を出力するセンサ部と、それをデジタル信号に変換する変換部と、その位相誤差を補正する補正量を算出する位相補正量算出部と、補正信号を補正して補正後信号として出力する位相補正部と、補正後信号に逆正接演算を行って検出位置を算出する位置算出部を備えた位置検出器であって、位相補正量算出部は、基準信号算出手段と、補正後信号と基準信号の差分信号を算出する手段と、基準信号と差分信号の直交成分の積を誤差信号として算出する乗算手段と、誤差信号に基づき位相誤差から補正量を減算した誤差に符号一致し最大振幅が単調増加する補正入力を算出する補正入力算出手段と、それを積分する積分手段を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、機械装置の可動部の位置を検出する位置検出器に関わり、特に位相補正機能を備えた位置検出器に関する。
各種の機械装置において、機械装置の可動部の位置制御を行うために位置検出器が使用されている。位置検出器のセンサ部は機械装置の駆動軸または駆動軸に動力伝達機構を介して接続された可動部に取付けられる。回転位置検出器であればモータなどの駆動軸の回転軸の角度変化に同期したセンサ信号を、直線位置検出器であれば直動部の位置変化に同期したセンサ信号を出力する。
センサ部の検出方式は光学式、磁気式など様々であるが、センサ信号の出力方式は一定角度または一定距離に対して周期的に変化する直交性を持つアナログ二相正弦波信号(Aa,Ba)を出力するものが一般的である。これは二相正弦波信号の逆正接演算による内挿により位置を算出することで位置検出分解能を比較的安価に改善できるためである。
逆正接演算により得られる検出位置の精度は二相正弦波信号(Aa,Ba)に含まれる理想的な二相正弦波からの誤差に依存する。二相正弦波信号(Aa,Ba)において、各相信号のオフセットをオフセット誤差、各相信号間の振幅差をゲイン誤差、および各相信号間の位相差の90°からのずれを位相誤差と定義すると、これらの誤差は実位置をθ、検出位置をθ1としたときに、検出位置θ1の一周期に対して周期的に変動する位置誤差Δθ=θ−θ1として現れ、位置検出器の検出精度を劣化させる誤差要因となる。
上記誤差要因はセンサ部のアナログ回路素子、製造ばらつき、または取付精度などに依存する。従来はセンサ出力が理想的な二相正弦波になるようにアナログ回路で補正を実施していたが、要求される検出分解能・検出精度の向上に伴い、アナログ回路による調整が困難になり、コスト増加の要因となっていた。
これに対し、アナログ二相正弦波信号をデジタル信号に変換し、デジタル変換した信号に対してオフセット誤差、ゲイン誤差、および位相誤差の補正演算を行い、補正後の二相正弦波信号の逆正接演算から位置を算出することで、高精度な補正演算とコスト削減を実現するする方式として特許文献1および2に記載された技術などが存在する。また、デジタル信号に対してオフセット誤差、ゲイン誤差のみを補正し、位相誤差を含む二相正弦波信号の逆正接演算から求めた出力位置に対して位相誤差に起因する位置誤差成分を直接補正する方式として特許文献3および4に記載された技術などが存在する。
しかしながら、上記従来の技術によれば以下のような問題があった。例えば、特許文献1に記載の技術はオフセット誤差とゲイン誤差を補正した二相正弦波信号(A,B)の二乗和平方根、すなわちリサージュ波形の振幅を算出し、リサージュ波形の振幅の最大値と最小値の逆正接から位相誤差を含む位相差を算出する。更に算出した位相差と三角関数の加法定理を用いて正弦波Aに対する位相差を90°に補正した余弦波B’を求め、A/B‘の逆正接から位置θを求めている。しかしながら二乗和平方根と逆正接演算は演算負荷が高いため、位置データの高速更新が必要な高速回転するモータなどの位置検出器に位相誤差の算出を実装すると演算時間が不足してしまうという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術はオフセット誤差とゲイン誤差を補正した二相正弦波信号(A,B)の加算信号(A’=A+B)と減算信号(B’=A−B)の位相差が90°になることを利用し、加算波形A’とゲイン誤差を補正した減算波形B’ ’の逆正接から位置θ’を算出している。ゲイン誤差補正値の演算は各波形の大小比較による最大値・最小値演算と振幅比率演算により算出できるため、演算負荷が特許文献1と比較して低減できるとしている。しかしながら、加算波形A’とゲイン誤差を補正した減算波形B’ ’の逆正接演算で算出される位置θ’は実位置θに対して元々の位相差(Φ/2)のオフセットが加算された値θ’=(θ+Φ/2)であり、位相誤差による周期的な位置誤差は除去できるが、実位置θを直接求めることができないという問題がある。
また、特許文献3に記載の技術は、位相誤差αに起因する位置誤差ΔΦαを、出力角度Φを引数とする三角関数Sαで近似し、出力角度Φから近似した誤差Sαを減算することで直接補正する。三角関数の係数はΔΦαが二相正弦波の2倍の周波数となることを利用して出力角度Φの離散フーリエ変換により算出している。また、特許文献4に記載の技術は、前記三角関数の係数を前記位置誤差ΔΦαと前記近似式Sαの残差エネルギーが最小となる値とをして求めている。これらの方式はいずれも、一定速度で位置が変化した時の等サンプリング周期のデータが取得可能なことを前提としている。回転モータに接続する回転位置検出器ではモータの出荷調整時に回転位置検出器をモータ軸に取付け、外部からモータ軸を一定速回転させて所望のデータを取得することが可能である。ところがリニアスケールなどの直動位置検出器を機械装置に取付ける場合や、出荷後に回転モータの回転位置検出器のみを交換する場合などは、装置の構成上可動部を一定速運転できずに、正確な補正値が算出できないという問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、演算負荷を低減し、装置の運転を制約することなく、外部位置検出器を用いずに、高精度に位相補正することができる位置検出器を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、直交性を有するアナログ二相正弦波信号を出力するセンサ部と、前記アナログ二相正弦波信号のそれぞれをデジタル二相正弦波信号に変換するAD変換部と、前記デジタル二相正弦波信号の各信号の間の位相差の90°からの誤差である位相誤差を補正する位相補正量を算出する位相補正量算出部と、前記デジタル二相正弦波信号の前記位相差が90°に近づくように前記位相補正量を用いて前記デジタル二相正弦波信号を補正して位相補正後信号として出力する位相補正部と、前記位相補正後信号に対して逆正接演算を行うことにより検出位置を算出する位置算出部と、を備えた位置検出器であって、前記位相補正量算出部は、前記検出位置に基づいて正弦波および余弦波の基準信号を算出する基準信号算出手段と、前記位相補正後信号と前記基準信号とのそれぞれの差分である差分信号を算出する差分手段と、前記基準信号と前記差分信号との直交する成分同士のそれぞれの積を誤差信号として算出する乗算手段と、前記誤差信号に基づき、前記位相誤差から前記位相補正量を減算した結果である位相補正誤差に対して符号が一致し最大振幅が単調増加する位相補正入力を算出する補正入力算出手段と、前記位相補正入力を積分して前記位相補正量として出力する積分手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、基準信号と補正後二相正弦波信号の減算、乗算、及び積分より位相補正量を算出できるので演算量を低減でき、高速データ更新が必要な位置検出器においても位相補正量をリアルタイムで更新できる。しかも、位相補正誤差に対して符号が一致し最大振幅が単調増加する位相補正入力を積分した値を位相補正量とするように構成したので、一定速運転できない装置に取付けられた位置検出器においても位相誤差を高精度に補正することができる。
以下に、本発明にかかる位置検出器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態にかかる位置検出器10のシステム構成を示すブロック図である。位置検出器10はセンサ部1を備える。センサ部1は機械装置の可動部に取り付けられており、可動部の位置変化に同期して周期性を有する以下の式(1)で表される直交性を有するアナログ二相正弦波信号(Aa,Ba)を出力する。式(1)において、A1,B1は各信号の振幅を、ΔA1,ΔB1は各信号のオフセットを、ΔΦ1はアナログ正弦波Aaに対するアナログ正弦波Baの位相差の90°からのずれである位相誤差をそれぞれ示す。
図1は、本発明の実施の形態にかかる位置検出器10のシステム構成を示すブロック図である。位置検出器10はセンサ部1を備える。センサ部1は機械装置の可動部に取り付けられており、可動部の位置変化に同期して周期性を有する以下の式(1)で表される直交性を有するアナログ二相正弦波信号(Aa,Ba)を出力する。式(1)において、A1,B1は各信号の振幅を、ΔA1,ΔB1は各信号のオフセットを、ΔΦ1はアナログ正弦波Aaに対するアナログ正弦波Baの位相差の90°からのずれである位相誤差をそれぞれ示す。
センサ部1が出力したアナログ二相正弦波信号(Aa,Ba)はAD変換部2にてアナログ信号からデジタル信号(A,B)に変換される。AD変換部2が出力したデジタル信号(A,B)はオフセット・振幅算出部3に入力され、オフセット・振幅算出部3は各信号の最大値と最小値からオフセット(ΔA,ΔB)及び振幅(Ka,Kb)を算出する。
AD変換部2が出力したデジタル信号(A,B)はオフセット・振幅補正部4にも入力される。オフセット・振幅補正部4はオフセット・振幅算出部3で算出されたオフセット・振幅を用いてデジタル信号(A,B)からオフセットを除去し、振幅比が同一である、オフセット・振幅補正信号(A’,B’)をデジタル二相正弦波信号として出力する。AD変換部2の出力であるデジタル信号(A,B)がオフセットや振幅の差を有しない場合はこれらを補正する必要はなく、デジタル信号(A,B)がデジタル二相正弦波信号(A’,B’)となる。ここで、デジタル二相正弦波信号(A’,B’)の各信号の間の位相差をΦとする。デジタル二相正弦波信号(A’,B’)を入力された位相補正部5は、後述する位相補正量算出部6で算出される位相補正量ΔΦと以下の式(2)を用いて位相差Φを補正した位相補正後信号(A’,B’’)を出力する。ここで、位相補正量ΔΦは、デジタル二相正弦波信号(A’,B’)の各信号の間の位相差Φの90°からの誤差であるの位相誤差ΔΦ1を補正する補正量である。位置算出部7は、位相補正部5から入力された位相補正後信号(A’,B’’)の逆正接演算を実施し、位置検出器10の一周期内位置を検出位置θ1として算出する。
ここで、位相補正誤差ΔΦ_errを前述した位相誤差ΔΦ1と位相補正量ΔΦとの偏差とする。即ち、ΔΦ_err=ΔΦ1−ΔΦとおく。図3は、位相誤差ΔΦ1=15°、位相補正量ΔΦ=0°、位相補正誤差ΔΦ_err=15−0=15°としたときの位相補正後信号(A’,B’’)を実位置θの関数として示した波形図である。実線がA’を点線がB’’を示している。図4は、図3の位相補正後信号(A’,B’’)から逆正接演算により算出した検出位置θ1と実位置θを、実位置θの関数として示した波形図であり、実線が実位置θを、点線が検出位置θ1を示している。図5は、位相誤差ΔΦ1に起因する位置誤差Δθ=θ1−θを実位置θの関数として示した波形図である。
図4、図5より位相誤差ΔΦ1により位置誤差Δθは実位置θの一周期(360°)に対して振幅とオフセットが共にΔΦ1/2で、実位置θの2倍の周波数で変動していることが分かり、以下の式(3)の三角関数で近似できる。
図2は、本実施の形態における位相補正量算出部6の詳細構成を示すものである。基準信号算出手段61は位置算出部7の出力である検出位置θ1を入力とし、以下の式(4)で表される正弦波および余弦波の基準信号(Afb,Bfb)を出力する。
差分手段62は、位相補正部5の出力である位相補正後信号(A’,B’’)から基準信号算出手段61から入力された基準信号(Afb,Bfb)をそれぞれ減算し、差分信号(Adif,Bdif)として出力する。
乗算手段63は、基準信号算出手段61の出力である基準信号(Afb,Bfb)と差分手段62の出力である差分信号(Adif,Bdif)との積を以下の式(5)に示すようにそれぞれの成分が直交するように乗算して誤差信号(Aerr,Berr)として出力する。
ここで、差分信号(Adif,Bdif)および誤差信号(Aerr,Berr)の物理的な意味を説明する。
図6は、位相誤差ΔΦ1=15°、位相補正量ΔΦ=0°、位相補正誤差ΔΦ_err=ΔΦ1−ΔΦ=15−0=15°を持つ位相補正後信号(A’,B’’)と、その検出位置θ1を入力とする式(4)で表される基準信号(Afb,Bfb)を検出位置θ1の関数として示した波形図である。
図6において細い線は位相補正後信号(A’,B’’)を、太い線は基準信号(Afb,Bfb)を示しており、それぞれの実線は各信号の正弦波信号(A’,Afb)を、それぞれの点線は各信号の余弦波信号(B’’,Bfb)をそれぞれ示している。なお、位相補正後信号(A’,B’’)の振幅を1としているが、位相補正後信号は位置検出器10内の基準振幅に調整されるため、振幅値を1とおいても問題ない。以下の説明では位相補正後信号の振幅を1として説明する。
図6において横軸を検出位置θ1としているため、基準信号(Afb,Bfb)は歪みのない正弦波・余弦波信号となり、位相補正後信号(A’,B’’)は位相誤差ΔΦ1に起因する位置誤差Δθを検出位置θ1に含むため、歪んだ正弦波・余弦波信号となる。
次に、図6の基準信号(Afb,Bfb)と位相補正後信号(A’,B’’)との差分信号(Adif,Bdif)を図7に示す。図7において、横軸は検出位置θ1であり、実線がAdifを、点線がBdifを示す。図7より、差分信号(Adif,Bdif)は検出位置θ1と同一の周期(360°)で変動する波形と検出位置θ1の半分の周期(180°)で変動する波形との合成で表すことができることが分かる。
図8は、位相補正量ΔΦを0°に固定したときの、差分信号(Adif,Bdif)の最大振幅絶対値を、位相誤差ΔΦ1の関数として示したグラフである。図8より、差分信号(Adif,Bdif)の最大振幅絶対値は、位相誤差ΔΦ1の絶対値の増加にほぼ比例して最大振幅が増加することが分かる。したがって、差分信号(Adif,Bdif)の最大振幅絶対値を測定すれば、図8のグラフより位相誤差ΔΦ1の絶対値が算出できる。
しかし、位相補正には位相誤差ΔΦ1の絶対値以外にその符号が必要である。ここで、誤差信号として、上記式(5)に示すように、正弦波の基準信号Afbと余弦波の差分信号Bdifとの積をAerr、余弦波の基準信号Bfbと正弦波の差分信号Adifとの積をBerrとして定義する。すると、誤差信号(Aerr,Berr)は、いずれも最大振幅が位相誤差ΔΦ1の絶対値に比例し、かつ最大振幅の符号が位相誤差ΔΦ1の符号と一致する、検出位置θ1の半分の周期で変動する波形となる。また、誤差信号(Aerr,Berr)の符号は、検出位置θ1が90°の整数倍付近の値を除いて位相誤差ΔΦ1の符号と一致する。
図9は、位相誤差ΔΦ1=15°、位相補正量ΔΦ=0°、位相補正誤差ΔΦ_err=15−0=15°とした時の誤差信号(Aerr,Berr)を検出位置θ1の関数として示した波形図である。図9より、2つの誤差信号(Aerr,Berr)は一致しており、検出位置θ1が90°の整数倍の付近の値を除き、かつ誤差信号(Aerr,Berr)が最大振幅を取る範囲において、その符号がΔΦ1の符号(+)と一致する波形となることが分かる。また、図10は、位相誤差ΔΦ1=−15°、位相補正量ΔΦ=0°、位相補正誤差ΔΦ_err=−15−0=−15°とした時の誤差信号(Aerr,Berr)を検出位置θ1の関数として示した波形図である。図10より、誤差信号(Aerr,Berr)の値は検出位置θ1が90°の整数倍の付近の値を除き、かつ誤差信号(Aerr,Berr)が最大振幅を取る範囲において、その符号がΔΦ1の符号(−)と一致する波形となることが分かる。
図11は、位相補正量ΔΦを0°に固定したときに、誤差信号(Aerr,Berr)の最大振幅を、位相誤差ΔΦ1の関数としてプロットしたグラフである。図11より、誤差信号(Aerr,Berr)の最大振幅は、位相誤差ΔΦ1の絶対値の増加と共にその振幅が増加し、符号が位相誤差ΔΦ1の符号と一致することが分かる。
したがって、位相補正量ΔΦを0°に設定したときに実位置θを変化させ、そのときの検出位置θ1に対する誤差信号(Adif,Bdif)の最大振幅を測定すれば、図11のグラフより位相誤差ΔΦ1の絶対値とその符号が算出できる。
次に、位相補正量ΔΦが0°でない場合の誤差信号(Aerr,Berr)の最大振幅が位相補正誤差ΔΦ_errの絶対値に対して単調増加し、符号が位相補正誤差ΔΦ_errの符号と一致することを示す。
図12は、位相誤差ΔΦ1=15°、位相補正量ΔΦ=10°、位相補正誤差ΔΦ_err=15−10=5°としたときの誤差信号(Aerr,Berr)を検出位置θ1の関数として示した波形図である。誤差信号(Aerr,Berr)の波形は、図9の誤差信号と比較すると、振幅の変動は大きくなるが最大振幅自体は減少している。つまり、同じ位相誤差ΔΦ1=15°に対して位相補正誤差ΔΦ_errが15°から5°に減少した分、誤差信号(Aerr,Berr)の最大振幅が減少しており、誤差信号の最大振幅が位相補正誤差ΔΦ_errの絶対値と相関があることが分かる。また、誤差信号の最大振幅における符号は、位相補正誤差ΔΦ_errの符号と一致することが分かる。
図13は、位相誤差ΔΦ1を固定し、位相補正量ΔΦを変化させた時の誤差信号(Aerr,Berr)の最大振幅を位相補正誤差ΔΦ_errの関数としてプロットしたグラフである。実線がΔΦ1=0°、破線がΔΦ1=−15°、点線がΔΦ1=15°の時の誤差信号(Aerr,Berr)の最大振幅をそれぞれ示している。図13より、未知の位相誤差ΔΦ1により最大振幅の曲線の勾配は変化するものの、位相補正誤差ΔΦ_errに対して誤差信号(Aerr,Berr)の最大振幅は単調増加の関係にあることが分かる。
このとき、誤差信号を積分した値を位相補正量ΔΦとすることを考える。例えば位相補正量の初期値をΔΦ=0°、位相誤差ΔΦ1=15°とすると、位相補正誤差ΔΦ_err=15−0=15>0より、誤差信号は検出位置θ1が90°の整数倍の付近の値を除いた領域では、位相補正誤差ΔΦ_errの符号と一致して正の値となる。よって、その積分は位相補正量ΔΦを増加させ、誤差信号(Aerr,Berr)の最大振幅を減少させる方向に働く。
誤差信号(Aerr,Berr)の最大振幅は位相補正誤差ΔΦ_errに対して単調増加するため、位相補正誤差ΔΦ_errが大きい程、積分による位相補正誤差の減少率も大きくなる。もし、位相補正量ΔΦが位相誤差ΔΦ1より大きくなっても、位相補正誤差ΔΦ_errが負となるため、誤差信号(Aerr,Berr)の振幅も負となり位相補正量ΔΦが減少する。したがって最終的に誤差信号の振幅がゼロとなる位相補正量ΔΦ=ΔΦ1に収束する。
同様にして、位相誤差ΔΦ1が負の値の場合も誤差信号の振幅がゼロとなるように位相補正量ΔΦ=ΔΦ1に収束する。
よって、検出位置θ1が90°の整数倍の付近の値を除いた領域では、誤差信号の符号が位相補正誤差ΔΦ_errの符号と一致しているため、停止していたり、装置の制約上で一定速運転が出来ずに、誤差信号の最大値のサンプリングを取り逃すような場合でも、位相補正誤差ΔΦ_errを0に収束させることができる。
一方、検出位置θ1が90°の整数倍の付近の領域では、誤差信号(Aerr,Berr)の符号が位相補正誤差ΔΦ_errの符号に対して反転する。よってその積分は位相補正誤差ΔΦ_errの絶対値を増加させ、誤差信号(Aerr,Berr)の最大振幅が増加し、位相誤差ΔΦ1が増加する方向に働くので望ましくない。
図12によれば、検出位置θ1が90°の整数倍の付近であって、誤差信号の符号が位相補正誤差ΔΦ_errの符号に対して反転する領域において、誤差信号の振幅は、符号が一致する領域における最大振幅と比較して十分小さい。
したがって積分の入力に不感帯を設け、誤差信号(Aerr,Berr)の振幅が設定した閾値以下では積分しないように積分動作を構成すれば、符号が反転する領域では振幅が閾値以下となるため積分動作を停止し、符号が一致する領域では位相補正誤差ΔΦ_errが減少するように積分動作を実行する。これにより、その積分動作は位相補正誤差ΔΦ_errの絶対値を減少させる方向にのみ働く。
不感帯の閾値としては、位相補正誤差の絶対値の許容可能な最大値をΔΦ_limとおいたとき、位相補正誤差の絶対値である|ΔΦ_err|が、|ΔΦ_err|=ΔΦ_limとなる場合の誤差信号(Aerr,Berr)の最大振幅である閾値E_maxとして求められる。
図2に示した補正入力算出手段64は乗算手段63の出力である誤差信号(Aerr,Berr)を入力に取り、最大振幅が位相補正誤差ΔΦ_errに対して単調増加し、その符号が位相補正誤差ΔΦ_errの符号と一致する位相補正入力(Ain,Bin)を出力する。
具体的には、以下の式(6)で示すように誤差信号(Aerr,Berr)の絶対値が設定した閾値E_max未満の場合は補正入力としてゼロを出力し、誤差信号(Aerr,Berr)の絶対値が閾値E_max以上の場合は位相補正入力(Ain,Bin)として誤差信号(Aerr,Berr)を出力する。積分手段65は位相補正入力(Ain,Bin)を積分して算出した位相補正量ΔΦを位相補正部5に出力する。
このように構成した補正入力算出手段64によれば、位相補正入力(Ain,Bin)は位相補正誤差ΔΦ_errに対して最大振幅が単調増加し、符号が一致した波形となるため、その積分値である位相補正量ΔΦは位相補正誤差ΔΦ_errを減少させる方向にのみ動作し、最終的に位相補正誤差ΔΦ_errは許容可能な位相補正誤差ΔΦ_limに収束する。
したがって、装置の制約上、位置検出器10の検出位置θ1を一定速で変化させることが困難な場合でも、位相誤差ΔΦ1を許容可能な位相補正誤差ΔΦ_limまで高精度に補正することが可能である。
実施の形態2.
図14は、本発明の実施の形態2にかかる位置検出器10の位相補正量算出部6の詳細構成を示すブロック図である。本実施の形態の位相補正量算出部6においては、図2の補正入力算出手段64を補正入力算出手段66に変更した点を除いて、実施の形態1の位相補正量算出部6と同様の構成である。従って、以下は補正入力算出手段66の構成について説明する。
図14は、本発明の実施の形態2にかかる位置検出器10の位相補正量算出部6の詳細構成を示すブロック図である。本実施の形態の位相補正量算出部6においては、図2の補正入力算出手段64を補正入力算出手段66に変更した点を除いて、実施の形態1の位相補正量算出部6と同様の構成である。従って、以下は補正入力算出手段66の構成について説明する。
図12で示した、位相誤差ΔΦ1=15°、位相補正量ΔΦ=10°の誤差信号(Aerr,Berr)波形において、検出位置θ1が90°の整数倍の付近となる範囲で拡大したグラフを図15、16、17、および18に示す。図15〜図18において、誤差信号の符号が位相補正誤差ΔΦ_errの符号と異なる区間は、以下の(7)で示した角度の範囲に示すように検出位置θ1が90°の整数倍の位置角度から位相誤差ΔΦ1と位相補正量ΔΦとの差分平均(ΔΦ1−ΔΦ)/2を加算した角度の領域、または90°の整数倍の位置角度から位相誤差ΔΦ1と位相補正量ΔΦとの加算平均(ΔΦ1+ΔΦ)/2を減算した角度の領域となることが分かる。
いま、位置検出器10の製造誤差や取付け誤差に起因する位相誤差ΔΦ1の最大絶対値をΔΦ1_maxとする。このとき、位相補正量ΔΦの最大絶対値もΔΦ1_maxとすれば、誤差信号(Aerr,Berr)の符号が位相補正誤差ΔΦ_errの符号と異なる区間は、上記(7)より90°の整数倍に対して±ΔΦ1_maxの範囲で表すことができる。
したがって、本実施の形態における補正入力算出手段66は、以下の(8)に示すように検出位置θ1が90°の整数倍の位置から±ΔΦ1_maxの範囲内では位相補正入力(Ain,Bin)として0を出力し、検出位置θ1がそれ以外の範囲では位相補正入力(Ain,Bin)として誤差信号(Aerr,Berr)を出力するように構成したものである。
以上に述べた補正入力算出手段66の構成によれば、位相補正誤差ΔΦ_errの符号と誤差信号との符号が反転する検出位置θ1の領域において位相補正入力(Ain,Bin)が0となるため、位相補正入力は位相補正誤差ΔΦ_errに対して符号が一致し最大振幅が単調増加する波形となり、その積分値である位相補正量ΔΦは位相補正誤差ΔΦ_errを減少させる方向にのみ動作するので、最終的に位相補正誤差ΔΦ_errが0となる。したがって、装置の制約上、位置検出器10の検出位置θ1を一定速で変化させることが困難な場合でも、位相誤差ΔΦ1を0となるまで高精度に補正することが可能である。
なお、上記実施の形態1および2における位相補正部5または基準信号算出手段61において、式(2)、式(4)のsin関数およびcos関数の演算は、演算時間を短縮するために位相補正量ΔΦまたは検出位置θ1をアドレスとした図示しないROMテーブルの参照により算出するようにしてもよい。
また、上記実施の形態1および2においては、位相補正量算出部6の動作を常時実行する構成としているが、位置検出器10の装置への取付け時にのみ動作を有効にし、装置運転時の誤差信号の振幅が許容範囲内に収束した時点での積分手段65の出力を固定した位相補正量として使用するように構成してもよい。また、積分手段65の出力の上下限値の絶対値を、位置検出器10の取付け精度や製造精度から想定される位相誤差ΔΦ1の最大絶対値以下に設定し、位相補正量が過補正にならないように構成してもよい。
また、位相補正入力は2つの信号(Ain,Bin)の内、どちらか一方のみ、または両方の信号の和を使用してもよいことは、両信号が同一の波形となることから自明である。
さらに、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、上記実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。更に、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以上のように、本発明にかかる位置検出器は、機械装置の可動部の位置を検出する位置検出器として有用であり、特に、位相補正が必要であるが、装置の制約上、外部の位置検出器を使用した補正や実位置を一定速で変化させることが困難な場合でも高精度な位置決め運転を必要とする機械装置の位置検出器として用いる場合に適している。
1 センサ部
2 AD変換部
3 オフセット・振幅算出部
4 オフセット・振幅補正部
5 位相補正部
6 位相補正量算出部
7 位置算出部
10 位置検出器
61 基準信号算出手段
62 差分手段
63 乗算手段
64、66 補正入力算出手段
65 積分手段
2 AD変換部
3 オフセット・振幅算出部
4 オフセット・振幅補正部
5 位相補正部
6 位相補正量算出部
7 位置算出部
10 位置検出器
61 基準信号算出手段
62 差分手段
63 乗算手段
64、66 補正入力算出手段
65 積分手段
Claims (4)
- 直交性を有するアナログ二相正弦波信号を出力するセンサ部と、
前記アナログ二相正弦波信号のそれぞれをデジタル二相正弦波信号に変換するAD変換部と、
前記デジタル二相正弦波信号の各信号の間の位相差の90°からの誤差である位相誤差を補正する位相補正量を算出する位相補正量算出部と、
前記デジタル二相正弦波信号の前記位相差が90°に近づくように前記位相補正量を用いて前記デジタル二相正弦波信号を補正して位相補正後信号として出力する位相補正部と、
前記位相補正後信号に対して逆正接演算を行うことにより検出位置を算出する位置算出部と、
を備えた位置検出器であって、
前記位相補正量算出部は、
前記検出位置に基づいて正弦波および余弦波の基準信号を算出する基準信号算出手段と、
前記位相補正後信号と前記基準信号とのそれぞれの差分である差分信号を算出する差分手段と、
前記基準信号と前記差分信号との直交する成分同士のそれぞれの積を誤差信号として算出する乗算手段と、
前記誤差信号に基づき、前記位相誤差から前記位相補正量を減算した結果である位相補正誤差に対して符号が一致し最大振幅が単調増加する位相補正入力を算出する補正入力算出手段と、
前記位相補正入力を積分して前記位相補正量として出力する積分手段と、
を備える
ことを特徴とする位置検出器。 - 前記位相補正誤差の絶対値が許容可能な最大値となる場合の前記誤差信号の最大振幅をE_maxとした場合に、前記補正入力算出手段は、
前記誤差信号の絶対値がE_maxより小さい場合は、前記位相補正入力をゼロとし、
前記誤差信号の絶対値がE_maxより大きい場合は、前記位相補正入力を前記誤差信号とする
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出器。
Priority Applications (1)
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-
2012
- 2012-03-29 JP JP2012077497A patent/JP2013205366A/ja active Pending
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