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JP2013012593A - 薄膜光電変換装置 - Google Patents

薄膜光電変換装置 Download PDF

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JP2013012593A JP2011144510A JP2011144510A JP2013012593A JP 2013012593 A JP2013012593 A JP 2013012593A JP 2011144510 A JP2011144510 A JP 2011144510A JP 2011144510 A JP2011144510 A JP 2011144510A JP 2013012593 A JP2013012593 A JP 2013012593A
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敏明 佐々木
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Abstract

【課題】透明電極層の凹凸が大きくヘイズ率が30%以上の場合においても、薄膜光電変換装置の開放電圧が低下して、変換効率が低くならない薄膜光電変換装置を提供する。
【解決手段】透明電極層2上に、p型半導体層31、実質的に真性半導体の光電変換層32、n型半導体層33が順次積層された光電変換ユニット3を1以上含む薄膜光電変換装置6において、透明電極層2は、光入射側から酸化亜鉛21、ITO(酸化インジウム錫)22を順次積層した構造であり、透明電極層2のヘイズ率が30%以上であり、かつITO22の膜厚が100nm以下であり、透明電極層2に接する光電変換ユニット3中のp型半導体層31は、シリコン含有p型非晶質半導体層からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜光電変換装置の改善に関し、特に凹凸の大きい酸化亜鉛の透明電極層を用いた薄膜光電変換装置の改善に関する。なお、本願明細書における「結晶質」および「微結晶」の用語は、当該技術分野において用いられているように、部分的に非晶質を含む場合にも用いられている。
近年、半導体内部の光電効果を用いて光を電気に変換する光電変換装置が注目され、開発が精力的行われているが、その光電変換装置の中でもシリコン系薄膜光電変換装置は、低温で大面積のガラス基板やステンレス基板上に形成できることから、低コスト化が期待できる。
このようなシリコン系薄膜光電変換装置は、一般に透明絶縁基板上に順に積層された透明電極層と、1つ以上の光電変換ユニットと、及び裏面電極層とを含んでいる。ここで、光電変換ユニットは一般にp型層、i型層、及びn型層がこの順、またはその逆順に積層されてなり、その主要部を占めるi型の光電変換層が非晶質のものは非晶質光電変換ユニットと呼ばれ、i型層が結晶質のものは結晶質光電変換ユニットと呼ばれている。
光電変換層は、光を吸収して電子・正孔対を発生させる層である。一般に、シリコン系薄膜光電変換装置では、pin接合のうちi型層が光電変換層である。光電変換層であるi型層が、光電変換ユニットの主要な膜厚を占める。
i型層は、理想的には導電型決定不純物を含まない真性の半導体層である。しかし、微量の不純物を含んでいても、フェルミ準位が禁制帯のほぼ中央にあれば、pin接合のi型層として機能するので、これを実質的にi型の層と呼ぶ。一般に、実質的にi型の層は、導電型決定不純物を原料ガスに添加せずに作製する。この場合、i型層として機能する許容範囲で導電型決定不純物を含んでも良い。また、実質的にi型の層は、大気や下地層に起因する不純物がフェルミ準位に与える影響を取り除くために、微量の導電型決定不純物を意図的に添加して作製しても良い。
他方、p型やn型の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役目を果たし、この拡散電位の大きさによって薄膜光電変換装置の重要な特性の1つである開放端電圧の値が左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換には寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与せず損失となる。したがって、p型とn型の導電型層の厚さは、十分な拡散電位を生じさせる範囲内で可能な限り薄くすることが好ましい。
ところで、薄膜光電変換装置は、従来のバルクの単結晶や多結晶のシリコンを使用した光電変換装置に比べて光電変換層を薄くすることができるが、その反面において薄膜全体の光吸収が膜厚によって制限されるという問題がある。そこで、半導体層に入射した光をより有効に利用するために、半導体層に接する透明電極層または裏面電極層の表面を凹凸化(テクスチャ化)し、その界面で光を散乱させて半導体層内の光路長を延長せしめ、そうして光電変換層内での光吸収量を増加させる工夫がなされている。この技術は「光閉じ込め」と呼ばれており、高い光電変換効率を有する薄膜光電変換装置を実用化する上で重要な要素技術となっている。
薄膜光電変換装置に最適な透明電極層の表面凹凸形状を求めるために、その凹凸形状を定量的に表す指標が必要である。そのような表面凹凸形状を表す指標として、ヘイズ率と表面面積比(Sdr)が知られている。
ヘイズ率は透明な基板の表面凹凸を光学的に評価する指標であり、(拡散透過率/全光線透過率)×100[%]で表される(JIS K7136)。このようなヘイズ率は、市販されているヘイズメータによって自動測定され得る。その測定用の光源としては、一般的にC光源が用いられる。
表面面積比は、表面凹凸の高低差の大きさだけでなく、凹凸の形状も含めて表す指標である。透明電極層の表面凹凸が先鋭化すれば薄膜光電変換装置の開放電圧や曲線因子が低下する場合があるので、表面面積比は薄膜光電変換装置における透明電極層の表面凹凸の指標として有効である。表面面積比は、ディベロップト・サーフェス・エリア・レシオ(Developed Surface Area Ratio)とも呼ばれ、略称としてSdrが用いられる。なお、表面面積比の定義については、K. J. Stout, P. J. Sullivan, W. P. Dong, E. Manisah, N. Luo, T. Mathia: "The development of methods for characterization of roughness on three dimensions", Publication no.EUR 15178 EN of the Commission of the European Communities, Lucembourg, 1994を参照されたい。
また、光電変換装置の変換効率を向上させる方法として、2つ以上の光電変換ユニットを積層した、積層型と呼ばれる構造を採用した光電変換装置が知られている。この方法においては、光電変換装置の光入射側に大きな光学的禁制帯幅を有する光電変換層を含む前方光電変換ユニットを配置し、その後ろに順に小さな光学的禁制帯幅を有する(たとえばSi−Ge合金などの)光電変換層を含む後方光電変換ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたる光電変換を可能にし、入射する光を有効利用することにより装置全体としての変換効率の向上が図られている。
たとえば非晶質シリコン光電変換ユニットと結晶質シリコン光電変換ユニットとを積層した2接合型薄膜光電変換装置の場合、i型の非晶質シリコン(a−Si)が光電変換し得る光の波長は長波長側において700nm程度までであるが、i型の結晶質シリコンはそれより長い約1100nm程度の波長の光までを光電変換することができる。ここで、光吸収係数の大きな非晶質シリコンからなる非晶質シリコン光電変換層では光電変換に充分な光吸収のためには0.3μm程度の厚さでも十分であるが、比較して光吸収係数の小さな結晶質シリコンからなる結晶質シリコン光電変換層では長波長の光をも十分に吸収するためには2〜3μm程度以上の厚さを有することが好ましい。すなわち、結晶質シリコン光電変換層は、通常は、非晶質シリコン光電変換層に比べて10倍程度の大きな厚さが必要となる。
上述のような光電変換ユニットは、透明電極層の上に形成され、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等の導電性金属酸化物が透明電極層として用いられ、CVD、スパッタ、蒸着等の方法で形成される。透明電極層はその表面に微細な凹凸を有することにより、入射光の散乱を増大させる効果を有することが望ましい。入射光を散乱させることによって、光電変換ユニット内の光路長が延びて、光電変換装置の短絡電流密度を増大させ、変換効率が向上する。透明電極層の中でも、SnOが薄膜光電変換装置に広く使われている。また、近年、長波長光に対する透過率、光閉じ込め効果の指標であるヘイズ率の制御性、さらには水素含有プラズマに対する対還元性の点で優れたZnOも薄膜光電変化装置用の透明電極層として使われるようになってきた。
光電変換ユニットを形成する方法として、一般的にはプラズマCVD(化学的気相成長)法が用いられる。前述のように、p型半導体層は、できるだけ透光性であってかつ高い導電率を有する事が好ましい。このようなp型半導体層としてシリコンを含むp型非晶質半導体層、例えばp型非晶質シリコン、p型非晶質シリコンカーバイドが、酸化錫(SnO2)の透明導電極上の光電変換ユニットにおいて広く採用され、高い変換効率が得られている。酸化錫の場合は、プラズマCVDでp型非晶質半導体層を形成するときにわずかに酸化錫が還元されて、オーミック接触を取りやすくなることが知られている。ただし、プラズマCVDの条件が高水素希釈や高パワーの場合には酸化錫が強く還元され、透明電極層の表面に金属が析出して透過率が低下して発電電流が減少する問題が発生する。
他方、透明電極層として酸化亜鉛層を使用した場合には、p型半導体層としてp型非晶質半導体層を用いると、光電変換装置の開放電圧(Voc)や曲線因子(F.F.)が低下して高い変換効率を得ることができない事が知られている。これは、酸化亜鉛層とp型非晶質半導体層との間の接触抵抗が高く、オーミック特性を得ることが難しいためである。酸化亜鉛の場合、プラズマに対して耐還元性が強いため、p型非晶質半導体層との間にオーミック特性を得ることが困難になっていると考えられる。
(先行例1)
非特許文献1に、酸化亜鉛の透明電極層とp型非晶質シリコン層との間に、p型微結晶シリコン層を挿入して、オーミック接触を改善できることが開示されている。p型微結晶シリコン層は、1S/cm以上の高い導電率を示すことにより、酸化亜鉛とのオーミック接触を改善していると考えられる。あるいはまた、p型微結晶シリコンを形成する条件が、H/SiH流量比が267倍という高水素希釈条件の還元性の強いプラズマを用いており、酸化亜鉛の表面が適度に還元されて、オーミック接触が改善されたと考えられる。
(先行例2)
特許文献1に、酸化亜鉛とp型非晶質シリコンカーバイド層の間に、二層のp型微結晶シリコン層を形成して、オーミック接触を改善できることが開示されている。酸化亜鉛に近い第一のp型微結晶シリコン層は、ドーパント濃度を低くして結晶化させやすくし、それを下地層とする第二のp型微結晶シリコン層の結晶化度を高くできると開示している。特許文献1に酸化亜鉛の凹凸サイズについて表面面積比55%の開示があるが、ヘイズ率の開示はない。
T. Roschek, Ja.Muller, S.Wieder, B. Rech, H. Wagner, 16th European Photovoltaic Solar Energy Conference Proceedings, pp.561-564(2000)
特開2008−124325号公報
酸化亜鉛の透明電極層と光電変換ユニットの非晶質p型半導体層の間で良好なオーミック特性を形成するために、その間にp型微結晶シリコン層を挿入することが、先行例1、2のように開示されているが、光閉じ込め効果を増すために酸化亜鉛の凹凸を大きくしてヘイズ率を30%以上にすると、p型微結晶シリコン層を用いても開放電圧(Voc)が低くなって、変換効率(Eff)が低くなる課題があることを発明者は見出した。これは、酸化亜鉛の透明電極層の凹凸が大きい場合、凹凸の上を均一に覆うように膜を形成すること、いわゆる良好な「カバレッジ」を形成することが、薄いp型微結晶シリコン層では困難であるためと考えられる。また、p型層がp型微結晶シリコン層とp型非晶質半導体層の二層になることで、p型微結晶シリコン層の光吸収損失が増え、短絡電流密度(Jsc)の向上が十分でない課題がある。
上記を鑑み、本発明は凹凸の大きい酸化亜鉛の透明電極層を用いて、開放電圧の低下を抑制し、かつ、短絡電流密度を増加した変換効率の改善された薄膜光電変換装置を提供することを目的とする。
本発明による薄膜光電変換装置は、透明電極層上に、p型半導体層、実質的に真性半導体の光電変換層、n型半導体層が順次積層された光電変換ユニットを1以上含む薄膜光電変換装置において、該透明電極層は、光入射側から酸化亜鉛、ITO(酸化インジウム錫)を順次積層した構造であり、透明電極層のヘイズ率が30%以上であり、かつITOの膜厚が100nm以下であり、前記透明電極層に接する前記光電変換ユニット中のp型半導体層は、シリコン含有p型非晶質半導体層からなることを特徴とすることによって、課題を解決する。100nm以下のITOを酸化亜鉛の上に形成することで、酸化亜鉛とITOとの界面、ITOとp型非晶質半導体層との界面の接触抵抗が下がり、良好なオーミック特性を得ることが出来、開放電圧の低下を抑制して課題を解決する。また、p型非晶質半導体層を直接透明電極層の上に形成することで、凹凸の大きい膜の上でもカバレッジ良くp型層を形成することが可能となり、Vocの低下を抑制して課題を解決する。さらに、p型微結晶シリコンが不要のため、その光吸収損失を減らすことが出来、短絡電流密度を向上させることが出来る。
一般に、ITOのプラズマに対する耐還元性は、酸化亜鉛に比べて低いだけでなく、酸化錫に比べても低いので、ITOの強い還元による透明電極層の透過率の低下の問題を避けるために、普通は透明電極層のうえにプラズマCVDで製膜する光電変換ユニットがある場合、ITOを使わない。しかしながら、本発明ではITOを100nm以下と薄くしたこと、ITOの上につけるp型層を比較的還元性の弱いプラズマ条件で形成可能なシリコン含有p型非晶質半導体層としたことで、ITOが強く還元されることを抑制して、Vocの向上とJscの向上を両立させている。
本発明に用いるシリコン含有p型非晶質半導体層は、非晶質シリコンまたは、C、O、Nの少なくともひとつを含む非晶質シリコン合金で形成することが出来る。
また、本発明のヘイズ率30%以上の酸化亜鉛は、低圧熱CVD法で作製することが出来る。
本発明の光電変換ユニットはプラズマCVD法で作製することが出来る。
また、本発明に用いるITOは、RPD法(Reactive Plasma Deposition:反応性プラズマ蒸着法)で作製することができる。RPD法で作製したITOは、一般的なスパッタ法で作製したITOより導電率を高くできるので望ましい。
本発明によれば、ヘイズ率30%以上の酸化亜鉛の上に100nm以下のITO、シリコン含有p型非晶質半導体層を形成することによって、凹凸の大きい酸化亜鉛上でもカバレッジよく良好なオーミック接触を形成することが可能となり、Vocの向上とJscの向上を両立させて、変換効率の改善された薄膜光電変換装置を提供することができる。
本発明の一実施形態による薄膜光電変換装置を示す模式的断面図である。 実施例1、2および比較例2、4を含む薄膜光電変換装置の開放電圧(Voc)とその透明電極層におけるヘイズ率との関係を示すグラフである。 実施例1、2および比較例2、4を含む薄膜光電変換装置の短絡電流密度(Jsc)とその透明電極層におけるヘイズ率との関係を示すグラフである。 実施例1、2および比較例2、4を含む薄膜光電変換装置の曲線因子(FF)とその透明電極層におけるヘイズ率との関係を示すグラフである。 実施例1、2および比較例2、4を含む薄膜光電変換装置の変換効率(Eff)とその透明電極層におけるヘイズ率との関係を示すグラフである。
以下において本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお本願の各図において、厚さや長さなどの寸法関係については図面の明瞭化と簡略化のため適宜変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。また、各図において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表している。
図1に、本発明の実施形態の一例による薄膜光電変換装置用基板および薄膜光電変換装置の断面図を示す。透明基板1上に、透明電極層2、前方光電変換ユニット3、後方光電変換ユニット4、および裏面電極層5の順に配置され、薄膜光電変換装置6を形成している。
透明基板1には、ガラス、透明樹脂等から成る板状部材やシート状部材が主に用いられる。特に透光性絶縁基板として主にガラス基板を用いると、透過率が高く、安価であることから、透光性絶縁基板として望ましい。
透明基板1は、例えば図1のように構成された薄膜光電変換装置6を構成した際に光入射側に位置することから、より多くの太陽光を透過させて非晶質または結晶質の光電変換ユニットに吸収させるために、できるだけ透明であることが好ましく、その材料としてはガラス板が好適である。同様の意図から、太陽光の光入射面における光反射ロスを低減させるように、透光性絶縁基板の光入射面に無反射コーティングを行うことが望ましい。
透明基板1にはガラス基板を単体で用いることが可能であるが、さらに、透明基板1は、透明電極層を形成する面に透光性下地層を形成することが望ましい(図示せず)。透光性下地層を形成することによって、透明電極層の密着性を向上するとともに、透明電極層の凹凸形状を制御して、ヘイズ率あるは表面面積比を望ましい値に制御してすることが可能である。このとき透光性下地層は透明電極層2側の界面に二乗平均平方根粗さが5〜50nmである微細な表面凹凸を有し、その凸部は曲面からなることを特徴とすることが好ましい。透光性下地層は、例えば、透光性微粒子として粒径50〜200nmのシリカ微粒子を、溶媒を含んだシリコン酸化物のバインダー形成材料と共に塗布することで作製できる。上記塗布液を塗布する方法としては、ディッピング法、スピンコート法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、ロールコート法、フローコート法等が挙げられるが、透光性微粒子を緻密かつ均一に形成するにはロールコート法が好適に用いられる。塗布操作が完了したら、直ちに塗布薄膜を加熱乾燥する。
透明基板1に配置される透明電極層2としては、第一透明電極層21としてZnO、第二透明電極層22としてITOを順次積層した構造を用いる。透明電極層2は光閉じ込め効果を高めるために、ヘイズ率30%以上の凹凸を有するものを用いる。透明電極層2のヘイズ率を30%以上にするために、主に第一透明電極層21で凹凸構造を形成する。ZnOのみでヘイズ率30%以上の凹凸構造を形成することが望ましい。
凹凸構造のZnOを形成する方法としては、蒸着またはスパッタ法で形成したZnOを塩酸または酢酸でエッチングして凹凸を形成して得ることが出来る。あるいは、低圧熱CVD法で凹凸のあるZnOを直接形成することが出来る。エッチングプロセスを必要とする前者の場合、再現性や大面積に均一に凹凸を形成することが困難なので、ZnO作製時に凹凸構造を形成可能な低圧熱CVD法が望ましい。
なお、「低圧熱CVD法」の用語は、本発明では大気圧より低い圧力の気体を用いた熱化学的気相成長法を指す。低圧熱CVD法は、減圧CVD法、ロー・プレッシャー・CVD法(Low Pressure CVD:略称LP−CVD)とも呼ばれ、大気圧より低い圧力の気体を用いた熱化学的気相成長法と定義される。通常、「CVD」の用語は、「プラズマCVD」、「光CVD」などエネルギー源を明示した場合を除いて、「熱CVD」のことを指すので、「低圧CVD法」の用語は、「低圧熱CVD法」と同義である。また、低圧熱CVD法が、減圧下の有機金属CVD法(略称、MO−CVD法)も包含することは明らかである。
低圧熱CVD法によるZnOの製膜は、具体的には、有機金属蒸気としてジエチル亜鉛(DEZ)またはジメチル亜鉛、酸化剤蒸気として水、ドーピングガスとしてBを用い、希釈ガスとしてH、He、Arのいずれかまたは複数を加えて、混合したガスを、圧力を5〜200Paに保持した真空槽に導入して、ZnOの製膜を行なうことが好ましい。製膜時の基板温度は200℃以下が好ましく、140度以上170℃以下がさらに好ましい。具体的には、DEZの流量は10〜1000sccm、水の流量は10〜1000sccm、Hの流量は100〜10000sccm、Arの流量は100〜10000sccmである。BはDEZに対して、0.1%〜10%で製膜することが好ましい。
ZnOの粒径は概ね50〜500nmで、かつ凹凸の高さが概ね20〜200nmの表面凹凸を有する薄膜であることが薄膜光電変換装置の光閉じ込め効果を得る点で好ましい。ZnOのシート抵抗は、15Ω/□以下が、抵抗損失を抑制するために望ましい。
ZnO膜の平均厚さは0.7〜5μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましい。なぜなら、ZnO膜が薄すぎれば、光閉じ込め効果に有効に寄与する凹凸を十分に付与すること自体が困難となり、また透明導電膜として必要な導電性が得にくく、厚すぎればZnO膜自体による光吸収により、ZnOを透過し光電変換ユニットへ到達する光量が減るため、効率が低下するからである。さらに、厚すぎる場合は、製膜時間の増大によりその製膜コストが増大する。
また、ZnOの製膜条件で表面面積比(Sdr)は、55%以上200%以下が望ましい。Sdrが大きすぎる場合は、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)が低下して、Effが低下する。場合によっては、短絡電流密度(Jsc)が低下して、変換効率(Eff)が低下する。Sdrが大きいときにVoc、FFが低下するのは、薄膜光電変換装置用基板の凹凸が鋭角的になって、透明導電膜上のシリコン半導体層のカバレッジが悪くなって、接触抵抗の増加またはリーク電流の増加がおきるためと考えられる。また、Sdrが大きいときにJscが低下するのは、透明導電膜上の半導体層の成長が阻害されて、半導体層の膜質が低下して、キャリア再結合による損失が多くなるためと考えられる。逆に、Sdrが小さすぎる場合は、薄膜光電変換装置用基板の凹凸の大きさが小さくなるため、光閉じ込めの効果が弱くなり、短絡電流密度(Jsc)が低下してEffが低下するといえる。表面面積比は、ZnOの製膜条件で制御して最適な値とすることが可能である。例えば、低圧熱CVD法で、ZnOの表面面積比は、基板温度、原料ガス流量、圧力などの製膜条件によって大きく変わるので、それらを制御して表面面積比を所望の値とすることが可能である。
第二透明電極層22のITOとしては、プラズマによる還元での透過率低下を抑制するために、ITOの膜厚を100nm以下に薄くする。ITOの形成方法としては、蒸着、スパッタ、低圧熱CVD、RPD法(Reactive Plasma Deposition、リアクティブ・プラズマ・デポジション:反応性プラズマ蒸着法)などで作成することができる。
具体的にスパッタ法の場合、SnOを1〜20重量%添加したInのターゲットを用い、Arに酸素を0.1〜30%添加したガスを用いて、0.1〜0.5Paの圧力で放電させることにより、ITOを形成することが出来る。
また、特にRPD法は、上記のスパッタ法に比べてITOの導電率を2〜3倍に向上することが出来るので望ましい。なお、RPD法は、プラズマイオンプレーティング法とも呼ばれ、そのプラズマの形成方法は浦本ガン(特開昭55−148337)とも呼ばれる。具体的にRPD法は、プラズマガンと呼ばれる100〜200Aの大電流の直流放電で形成したArプラズマから、引き出し電極、収束マグネットを適宜配置することにより、製膜室に電子線を引き出して、タブレットと呼ばる材料に電子線を当てて材料を蒸発させ、基板上に膜を形成する。タブレットには、スパッタとほぼ同様にSnOを1〜20重量%添加したInを焼結したものを用い、プラズマガン内部にはAr、製膜室には、Arに酸素を0.1〜30%添加したガスを用いる。製膜室の圧力は0.1〜0.5Paの圧力で、タブレット材料を電子線で蒸発させることにより、ITOを形成することが出来る。
ITOの膜厚は、5nm以上100nm以下が望ましく、20nm以上80nm以下が更に望ましい。ITOがカバレッジ良くZnOの上に形成するためには、ITOの膜厚5nm以上が望ましい。ITOの膜厚を5nm以上にすることでZnOをカバレッジ良く均一に覆って、接触抵抗を低減して、FF、Vocが高くなる。また、ITOを20nm未満に薄くすると、抵抗率が急激に増加するので、ITOの膜厚を20nm以上にすることが望ましい。ITOの還元による吸収損失を抑制するために100nm以下が望ましく、80nm以下が更に望ましい。
透明電極層2に接する光電変換ユニットのp型半導体層は、シリコン含有p型非晶質半導体層とすることが本発明の重要な構成要件である。薄膜光電変換装置の開放電圧(Voc)を高くするためには、凹凸の大きい透明電極層2の上にp型半導体層をカバレッジよく形成することが必要であり、p型半導体層を結晶質ではなく、非晶質半導体層とすることで課題を解決する。透明電極層の上に部分的にp型半導体層がついていないところがあると、Vocが著しく低下する。p型半導体層が結晶質シリコンの場合にカバレッジが悪くなる理由は、p型微結晶シリコンの成長過程が、まず種結晶が発生し、その上に結晶が成長するため、島状に成長しやすく、膜厚が薄い場合に、部分的にp型微結晶シリコンがつかなくなるためと考えられる。特に下地となる層である透明電極層の凹凸が大きい場合、p型微結晶シリコンが島状成長しやすく、カバレッジが悪くなって、Vocが低下すると考えられる。これに対して、p型半導体層をシリコン含有p型非晶質半導体層とすることで、その成長過程に種結晶の発生を必要とせず、凹凸の大きい透明電極の上にカバレッジよくp型半導体層を形成することが可能となり、Vocが向上すると考えられる。
ZnOと、シリコン含有p型非晶質半導体層が接するとオーミック特性を取ることが困難であるが、100nm以下の薄いITOを両者の間に配置することで、オーミック特性を実現することが出来る。
シリコン含有p型非晶質半導体層としては、非晶質シリコンまたは、C、O、Nの少なくともひとつを含む非晶質シリコン合金で形成することが出来る。非晶質シリコン合金の材料としては、例えば非晶質シリコンカーバイド(a−SiC)、非晶質シリコンオキサイド(a−SiO)、非晶質シリコンナイトライド(a−SiN)、非晶質シリコンオキシカーバイド(a−SiCO)、非晶質シリコンオキシナイトライド(a−SiON)などが用いられる。特に、a−SiC、a−SiOが、透過率が高くかつ導電率を容易に高くできるので望ましい。
具体的にp型a−SiCの形成条件として、反応ガスとしてSiH4、H2、B及びCHを用い、水素希釈倍率H2/SiH4を5〜30倍、CH/SiH4流量比を1〜10倍、B/SiH4流量比を0.001〜0.05倍、圧力10〜1500Pa、放電周波数10〜100MHz、放電パワー密度10〜30mW/cmで作製することができる。
これに対して、p型微結晶シリコンの形成条件の具体例としては、反応ガスとしてSiH4、H2、Bを用い、水素希釈倍率H2/SiH4を50〜300倍、B/SiH4流量比を0.001〜0.05倍、圧力10〜1500Pa、放電周波数10〜100MHz、放電パワー密度50〜500mW/cmで作製することができる。
p型a−SiCの形成条件は、p型微結晶シリコンの形成条件と比べて、水素希薄倍率が低く、放電パワー密度が低いことから、プラズマ中の水素原子の発生が相対的に小さく、還元性が弱いプラズマになる。このため、本発明では、ITOの上にp型微結晶シリコンではなく、p型非晶質半導体層を作製するので、強い還元が起こらず、ITOの透過率の低下を抑制することが出来る。
光電変換ユニットとしては、光電変換ユニットを1つだけ含む単接合の薄膜光電変換装置にしても良いが、広い波長の範囲の光を有効に利用するには複数の光電変換ユニットを積層した積層型薄膜光電変換装置にすることが望ましい。
前方光電変換ユニット3として非晶質シリコン系材料を選べば、約360〜800nmの光に対して感度を有し、後方光電変換ユニット4に結晶質シリコン系材料を選べばそれより長い約1200nmまでの光に対して感度を有する。したがって、光入射側から非晶質シリコン系材料の前方光電変換ユニット3、結晶質シリコン系材料の後方光電変換ユニット4の順で配置される薄膜光電変換装置6は、入射光をより広い範囲で有効利用可能となる。ただし、「シリコン系」の材料には、シリコンに加え、シリコンカーバイドやシリコンゲルマニウムなど、シリコンを含むシリコン合金半導体材料も含む。
前方光電変換ユニット3は、例えばpin層の順にプラズマCVD法により各半導体層を積層して形成される。具体的には、例えばp型非晶質シリコンカーバイド層を一導電型層31とし、真性非晶質シリコン層を光電変換層32とし、導電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン層を逆導電型層33として、この順に堆積すればよい。この例の場合、非晶質シリコン光電変換ユニットが形成される。
後方光電変換ユニット4は、例えばpin層の順にプラズマCVD法により各半導体層を積層して形成される。具体的には、p型微結晶シリコン層を一導電型層41とし、真性結晶質シリコン層を光電変換層42とし、導電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン層を逆導電型層43としてこの順に堆積すればよい。この例の場合、結晶質シリコン光電変換ユニットが形成される。
裏面電極層5としては、Al、Ag、Au、Cu、PtおよびCrから選ばれる少なくとも一つの材料を、少なくとも一層の金属層52としてスパッタ法または蒸着法により形成することが好ましい。また、1以上の光電変換ユニットとの間に、ITO、SnO、ZnO等の導電性酸化物層51を裏面電極層4の一部として形成するほうが好ましい。この導電性酸化物層51は、1以上の光電変換ユニットと裏面電極層5との間の密着性を高めるとともに、裏面電極層5の光反射率を高め、さらに、光電変換ユニットの化学変化を防止する機能を有する。
光電変換ユニットは図1に示した様に2つでもよいが、光電変換ユニットを1つ備える薄膜光電変換装置、いわゆるシングルセルでも良い。また、光電変換ユニットを3つ備える薄膜光電変換装置、いわゆるトリプルセルでも良く、さらに3つ以上の光電変換ユニットを積層してもよい。例えば、図1の前方光電変換ユニットに相当する非晶質シリコン光電変換ユニットのみを形成し、後方光電変換ユニット4がない非晶質シングルセルでもかまわない。また、トリプルセルの例として、非晶質シリコン光電変換ユニット/実質的なi層に非晶質シリコンゲルマニウムを用いた非晶質シリコンゲルマニウム光電変換ユニット/結晶質シリコン光電変換ユニットの順に3つの光電変換ユニットを積層しても良い。また、非晶質シリコン光電変換ユニット/結晶質シリコン光電変換ユニット/結晶質シリコン光電変換ユニットの順に3つの光電変換ユニットを積層しても良い。
本発明はレーザーパターニングを用いて同一の基板上に直列接続構造を形成した集積型薄膜光電変換装置においても有効であることは言うまでもない。集積型薄膜光電変換装置の場合、レーザーパターニングが容易にできるので図1に示すように基板側から光入射する構造が望ましい。
以下、本発明による実施例と、従来技術による比較例に基づいて詳細に説明する。各図において同様の部材には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、本発明はその趣旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1として、図1に示す構造の薄膜光電変換装置6を作製した。透明基板1は、厚さ0.7mmのガラス基板を用いた。
透明基板1の上にZnOからなる第一透明電極層21を低圧熱CVD法で形成した。第一透明電極層21は、基板温度160℃、圧力20Pa、気化したジエチル亜鉛(DEZ)の流量200sccm、気化した水の流量700sccm、ジボラン(B)流量1sccm、水素流量1000sccmで形成した。
得られたZnO膜からなる第一透明電極層21の反射スペクトルの干渉から求めた厚さは2.0μmであった。シート抵抗は13.7Ω/□であった。C光源を用いて測定したヘイズ率は30.3%であった。表面面積比(Sdr)は129%であった。なお、本発明におけるSdrは、一辺が5μmの正方形領域を観察した原子間力顕微鏡(AFM)像から求めている。このAFM測定にはNano−Rシステム(Pacific Nanotechnology社製)のノンコンタクトモードが用いられた。2次イオン質量分析(セカンダリー・イオン・マススペクトロスコピー、略称SIMS)で測定したH濃度は膜厚方向で分布を持つが、9×1020〜3×1021個/cmの範囲であった。SIMSは、Csイオン源を用いた。
第一透明電極層21の上にITOからなる第二透明電極層22をRPD法を用いて形成した。プラズマガンにArを流し放電電流150Aで放電を発生させて、製膜室に酸素を20%添加したArを導入し、圧力を0.3Pa、製膜時基板温度200℃でITOを作製した。原料となるタブレットには、SnOを5Wt.%添加したInを用いた。実施例1と同じ条件でITOをガラス基板に製膜したとき、分光エリプソメトリで測定した膜厚80nm、シート抵抗19.3Ω/□、波長400nm〜700nmの平均透過率91%であった。
透明電極層2、すなわちZnOとITOを積層した状態で測定したヘイズ率は30.1%、シート抵抗は8.1Ω/□であった。
この透明電極層2の上に、13.56MHzの周波数の平行平板電極を備えた容量結合型の高周波プラズマCVD装置を用いて、前方光電変換ユニットとして非晶質シリコン光電変換ユニット3、後方光電変換ユニットとして結晶質シリコン光電変換ユニット4を順次作製した。
透明電極層2の上に、非晶質シリコン光電変換ユニット3を作製した。まず、シリコン含有p型非晶質半導体層として、p型非晶質シリコンカーバイド層31を15nm形成した。反応ガスとしてSiH4、H2、CH4及びBを導入し、水素希釈倍率H2/SiH4を10倍、CH/SiH4流量比を2倍、B/SiH4流量比を0.01倍、圧力100Pa、放電パワー密度15mW/cmで作製した。その後、反応ガスとしてSiH4を導入し非晶質シリコン光電変換層32を300nm形成した。さらに、反応ガスとしてSiH4、H2及びPHを導入し逆導電型層としてn型微結晶シリコン層33を20nm形成することで非晶質シリコン光電変換ユニット3を作製した。
次に、結晶質シリコン光電変換ユニット4を作製した。反応ガスとしてSiH4、H2及びBを導入し一導電型層としてp型結晶質シリコン層41を10nm形成した。このとき、水素希釈倍率H2/SiH4を200倍、B/SiH4流量比を0.01倍、圧力100Pa、放電パワー密度75mW/cmで作製した。その後、反応ガスとしてSiH4とH2を導入し結晶質シリコン光電変換層42を1.5μm形成した。さらに、反応ガスとしてSiH4、H2及びPHを導入しn型微結晶シリコン層43を形成することで結晶質シリコン光電変換ユニット4を作製した。
その後、裏面電極層5として、厚さ90nmのAlドープされたZnO膜51と厚さ300nmのAg膜52がスパッタ法にて順次形成された。
裏面電極層5形成後、レーザースクライブ法により透明電極層2の上に形成された膜を部分的に除去して、1cm2のサイズに分離を行い、薄膜光電変換装置6(受光面積1cm2)を作製した。
以上のようにして得られた薄膜光電変換装置6(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例1に示すように、開放電圧(Voc)が1.342V、短絡電流密度(Jsc)が13.21mA/cm2、曲線因子(FF)が0.711、そして変換効率(Eff)が12.60%であった。
(比較例1)
比較例1として、実施例1に類似の薄膜光電変換装置を作製した。比較例1は、第二透明電極層2がないことを除いて、実施例1と同様の構造で同様に作製した。
表1に示すように、比較例1の光電変換装置の出力特性を実施例1と同様に測定したところ、Voc=0.764V、Jsc=10.93mA/cm、FF=0.526、Eff=4.39%であった。実施例1に比べて比較例1は、Vocが著しく低く、また、Jsc、FFが低くなり、Effが低くなった。これは、ITOがないために、透明電極層とp型非晶質シリコンカーバイド層との接触抵抗が高くなったためといえる。
(比較例2)
比較例2として、比較例1に類似の薄膜光電変換装置を作製した。比較例2は、非晶質シリコン光電変換ユニットのp型半導体層を、p型微結晶シリコン層としたことを除いて、比較例1と同様の構造で同様に作製した。p型微結晶シリコン層は、反応ガスとしてSiH4、H2及びBを導入し、水素希釈倍率H2/SiH4を200倍、B/SiH4流量比を0.01倍、圧力100Pa、放電パワー密度75mW/cmで、膜厚10nmで作製した。
表1に示すように、比較例2の光電変換装置の出力特性を実施例1と同様に測定したところ、Voc=1.130V、Jsc=10.68mA/cm、FF=0.477、Eff=5.75%であった。p型微結晶シリコン層をZnOの透明電極層と非晶質シリコンカーバイド層との間に配置しているにもかかわらず、実施例1に比べて比較例1は、Voc、Jsc、FFが低くなり、Effが低くなった。これは、ZnOの透明電極層のヘイズ率が30%以上と大きいため、p型微結晶シリコン層のカバレッジが悪く、接触抵抗が高くなったためと考えられる。
(比較例3)
比較例3として、実施例1に類似の薄膜光電変換装置を作製した。比較例3は、非晶質シリコン光電変換ユニットのp型半導体層を、p型微結晶シリコン層としたことを除いて、実施例1と同様の構造で同様に作製した。p型微結晶シリコン層は比較例2と同様の膜厚を同様に作製した。
表1に示すように、比較例3の光電変換装置の出力特性を実施例1と同様に測定したところ、Voc=1.339V、Jsc=9.85mA/cm、FF=0.695、Eff=9.17%であった。実施例1に比べて比較例3は、Jscが低くなり、Effが低くなった。これは、p型微結晶シリコン層を製膜時に、水素希釈倍率が200倍、放電パワー密度が75mW/cm2と高いために、H原子が多い還元性の強いプラズマにITO表面がさらされて、ITOが還元されて透過率が低下したためといえる。
(実施例2)
実施例2として、実施例1に類似の薄膜光電変換装置を作製した。実施例2は、ZnOの第一透明電極層1の膜厚を2.5umとしたことを除いて、実施例1と同様の構造で同様に作製した。第一透明電極層のシート抵抗は7.7Ω/□であった。C光源を用いて測定したヘイズ率は41.1%であった。表面面積比(Sdr)は154%であった。透明電極層2、すなわちZnOの第一透明電極層21とITOの第二透明電極層22を積層した状態で測定したヘイズ率は40.2%、シート抵抗は5.6Ω/□であった。
表1に示すように、実施例2の光電変換装置の出力特性を実施例1と同様に測定したところ、Voc=1.337V、Jsc=14.04mA/cm、FF=0.697、Eff=13.08%であった。実施例1に比べて実施例2は、Jscが増加してEffが向上した。ヘイズ率が40%以上の透明電極層2を用いることで光閉じ込め効果を高めるてjSCを増加するとともに、ITOとp型非晶質シリコンカーバイドによって凹凸が大きくても接触抵抗を下げてVocの低下を抑制して、Effが向上した。
(比較例4)
比較例4として、実施例2に類似の薄膜光電変換装置を作製した。比較例4は、ITOの第二透明電極層22がないこと、非晶質シリコン光電変換ユニットのp型半導体層を、p型微結晶シリコン層としたことを除いて、実施例2と同様の構造で同様に作製した。p型微結晶シリコン層は、比較例2と同様に作製した。
表1に示すように、比較例4の光電変換装置の出力特性を実施例1と同様に測定したところ、Voc=0.474V、Jsc=12.35mA/cm、FF=0.616、Eff=3.60%であった。実施例2に比べて、比較例4は、Vocが著しく低くなり、Effが低下した。透明電極層のヘイズ率が40%を超えて大きいため、p型微結晶シリコン層のカバレッジが悪く、接触抵抗が高くなったためVocが低下したと考えられる。
(実施例1、2、比較例2、4のまとめ)
図2〜4に、透明電極層のヘイズ率に対する薄膜光電変換装置のVoc、Jsc、FF、Effをそれぞれ示す。図中ZnO/ITO/a−SiC(p)の凡例の薄膜光電変換装置は、実施例1、2と同様の構造、作製方法でZnOの第一透明電極層21の膜厚を、1.5um〜2.5umまで変化させて、ヘイズ率を14.2%〜40.2%まで変化させた。ヘイズ率30.1%の点は実施例1、ヘイズ率40.2%の点は実施例2である。また、図中ZnO/uc−Si(p)/a−SiC(p)の凡例の薄膜光電変換装置は、比較例2、4と同様の構造、作製方法でZnOの膜厚を、1.5um〜2.5umまで変化させて、ヘイズ率を14.6%〜41.1%まで変化させた。ヘイズ率30.3%の点は比較例2、ヘイズ率41.1%の点は比較例4である。
図2からわかるように、ZnO/uc−Si(p)/a−SiC(p)の構造を含む薄膜光電変換装置の場合、ヘイズ率が30%以上に増加するとVocが著しく低下する。これに対して、ZnO/ITO/a−SiC(p)の構造を含む薄膜光電変換装置の場合、ヘイズ率が30%以上でもVocはほぼ一定に保たれている。
図3に示すように、ヘイズ率30%以上で、ZnO/uc−Si(p)/a−SiC(p)の構造を含む薄膜光電変換装置に比べて、ZnO/ITO/a−SiC(p)の構造を含む薄膜光電変換装置のJscが高くなっている。
図4に示すように、ヘイズ率30%以上で、ZnO/uc−Si(p)/a−SiC(p)の構造を含む薄膜光電変換装置に比べて、ZnO/ITO/a−SiC(p)の構造を含む薄膜光電変換装置のFFが高くなっている。
図5に示すように、ZnO/uc−Si(p)/a−SiC(p)の構造を含む薄膜光電変換装置は、ヘイズ率を増加するとEffがいったん増加して、ヘイズ率30%以上でEffが低下する。これに対して、ZnO/ITO/a−SiC(p)の構造を含む薄膜光電変換装置は、ヘイズ率の増加とともにEffが増加し、ヘイズ率30%以上でさらにEffが増加する。ヘイズ率40.2%でEffが13%以上の高い値が得れている。
Figure 2013012593
1 透明基板
2 透明電極層
3 非晶質シリコン光電変換ユニット
31 p型非晶質炭化シリコンカーバイド層
32 実質的に真性な非晶質シリコン光電変換層
33 n型微結晶シリコン層
4 結晶質シリコン光電変換ユニット
41 p型微結晶シリコン層
42 実質的に真性な結晶質シリコン層の光電変換層
43 n型微結晶シリコン層
5 裏面電極層
51 ZnO膜
52 Ag膜
6 薄膜光電変換装置

Claims (5)

  1. 透明電極層上に、p型半導体層、実質的に真性半導体の光電変換層、n型半導体層が順次積層された光電変換ユニットを1以上含む薄膜光電変換装置において、
    該透明電極層は、光入射側から酸化亜鉛、ITO(酸化インジウム錫)を順次積層した構造であり、透明電極層のヘイズ率が30%以上であり、かつITOの膜厚が100nm以下であり、
    前記透明電極層に接する前記光電変換ユニット中のp型半導体層は、シリコン含有p型非晶質半導体層からなることを特徴とする薄膜光電変換装置。
  2. 請求項1に記載のシリコン含有p型非晶質半導体層は、非晶質シリコンまたは、C、O、Nの少なくともひとつを含む非晶質シリコン合金であることを特徴とする薄膜光電変換装置。
  3. 請求項1または2に記載の薄膜光電変換装置の製造方法であって、前記酸化亜鉛は、低圧熱CVD法で作製することを特徴とする薄膜光電変換装置の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の薄膜光電変換装置の製造方法であって、前記光電変換ユニットは、プラズマCVD法で作製することを特徴とする薄膜光電変換装置の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の薄膜光電変換装置の製造方法であって、前記ITOはRPD法(反応性プラズマ蒸着法)で作製することを特徴とする薄膜光電変換装置の製造方法。
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