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JP2013008759A - ペースト組成物、太陽電池素子の製造方法および太陽電池素子 - Google Patents

ペースト組成物、太陽電池素子の製造方法および太陽電池素子 Download PDF

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Takashi Watsuji
隆 和辻
Takeshi Kikuchi
健 菊地
Moeko Matsubara
萌子 松原
Masahiro Nakahara
正博 中原
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Abstract

【課題】ファイヤースルー性に優れ、かつ、良好なBSF効果を得ることが可能なペースト組成物、そのペースト組成物を用いて裏面電極を形成する太陽電池素子の製造方法、および、その裏面電極が形成された太陽電池素子を提供する。
【解決手段】ペースト組成物は、太陽電池用裏面電極を形成するためにパッシベーション膜の上に塗工されるペースト組成物であって、アルミニウム粉末と、ガラス粉末と、分散剤と、有機ビヒクルとを含む。太陽電池素子は、シリコン半導体基板1の受光面と反対側の裏面に形成されたパッシベーション膜3と、パッシベーション膜3を貫通するように形成された裏面電極8とを備え、裏面電極8は、上述の特徴を有するペースト組成物をパッシベーション膜3の上に塗工した後、焼成することにより形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、一般的にはペースト組成物、太陽電池素子の製造方法および太陽電池素子に関し、特定的には、太陽電池用裏面電極を形成するためにパッシベーション膜の上に塗工されるペースト組成物、そのペースト組成物を用いて裏面電極を形成する太陽電池素子の製造方法、および、その裏面電極が形成された太陽電池素子に関するものである。
従来から、結晶系太陽電池の受光面には入射光の表面反射率を低減するための反射防止膜が形成されている。代表的な反射防止膜としては、パッシベーション(不動態化処理ともいう)を兼ね備えた窒化シリコン膜が選ばれている。この反射防止膜を貫通するように、受光面に電極を形成する方法として、反射防止膜の上に銀(Ag)粉末を含有する導電性ペーストを塗布した後、焼成する方法(ファイヤースルー法)が用いられている。
一方、たとえば、特表2010‐538466号公報(以下、特許文献1という)に開示されているように、太陽電池の変換効率をさらに高めるために、太陽電池の受光面と反対側の裏面にも窒化シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム等のパッシベーション膜を形成し、そのパッシベーション膜を貫通するように裏面電極を形成して、電子の再結合を防止することによって、変換効率のさらなる向上を図ることが検討されている。特許文献1には、アルミニウム粉末、ガラス粉末、有機ビヒクルを含む裏面ペーストを裏面パッシベーション層の上に塗布した後、焼成することにより、シリコン‐アルミニウム界面にアルミニウム‐シリコン(Al‐Si)合金層を有し、かつ、裏面パッシベーション層を貫通する裏面電極を形成することが開示されている。
特表2010‐538466号公報
本願発明者らが特許文献1に開示された裏面ペーストを用いて裏面パッシベーション層を貫通する裏面電極を形成することを試みた。しかしながら、ファイヤースルー性が低く、良好なBSF効果が得られないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、ファイヤースルー性に優れ、かつ、良好なBSF効果を得ることが可能なペースト組成物、そのペースト組成物を用いて裏面電極を形成する太陽電池素子の製造方法、および、その裏面電極が形成された太陽電池素子を提供することである。
本願発明者らは、ペースト組成物のファイヤースルー性を向上させる方法を種々検討した。その結果、ペースト組成物に分散剤を添加することによって、良好かつ均一なファイヤースルー性が発現することを見出した。この知見に基づいて、本発明に従ったペースト組成物は、次のような特徴を備えている。
本発明に従ったペースト組成物は、太陽電池用裏面電極を形成するためにパッシベーション膜の上に塗工されるペースト組成物であって、アルミニウム粉末と、ガラス粉末と、分散剤と、有機ビヒクルとを含む。
本発明のペースト組成物において、ガラス粉末が、鉛、ビスマス、バナジウム、ホウ素、シリコン、スズ、リン、および、亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種を含有してもよい。
また、本発明のペースト組成物において、ガラス粉末が750℃以下の軟化点を有することが好ましい。
さらに、本発明のペースト組成物において、分散剤がアニオン性部位を有することが好ましい。
本発明のペースト組成物において、アルミニウム粉末を構成するアルミニウム粒子の短径に対する長径の比率が1以上1.5以下であることが好ましい。
また、本発明のペースト組成物において、アルミニウム粉末を構成するアルミニウム粒子の平均粒径が1μm以上10μm以下であることが好ましい。
本発明のペースト組成物は、アルミニウム粉末100重量部に対して、ガラス粉末を1重量部以上40重量部以下、分散剤を0.5重量部以上10重量部以下、有機ビヒクルを10重量部以上50重量部以下、含有することが好ましい。
本発明に従った太陽電池素子の製造方法は、太陽電池用シリコン基板の受光面と反対側の裏面に形成されたパッシベーション膜の上に、上述のいずれかの特徴を有するペースト組成物を塗工する塗工工程と、塗工工程の後に太陽電池用シリコン基板を焼成する焼成工程とを備える。
本発明の太陽電池素子の製造方法において、塗工工程では、ペースト組成物を太陽電池用裏面電極パターンの形状に塗工することが好ましい。
また、本発明の太陽電池素子の製造方法において、焼成工程では、ペースト組成物がパッシベーション膜を貫通する温度で太陽電池用シリコン基板を焼成することが好ましい。
また、本発明の太陽電池素子の製造方法において、パッシベーション膜は、SiN、TiO2、Al23、および、SiO2からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。
本発明に従った太陽電池素子は、太陽電池用シリコン基板の受光面と反対側の裏面に形成されたパッシベーション膜と、パッシベーション膜を貫通するように形成された裏面電極とを備え、裏面電極は、上述の特徴を有するペースト組成物をパッシベーション膜の上に塗工した後、焼成することにより形成されている。
以上のように、本発明のペースト組成物を用いることにより、ファイヤースルー性に優れ、かつ、良好なBSF効果を得ることができるので、太陽電池素子の変換効率をさらに高めることができる。
一つの実施の形態として本発明が適用される太陽電池素子の一般的な断面構造を模式的に示す図である。
<太陽電池素子>
図1に示すように、太陽電池素子は、たとえば、厚みが180〜250μmのp型シリコン半導体基板1を用いて構成される。シリコン半導体基板1の受光面側には、厚みが0.3〜0.6μmのn型不純物層2と、その上に、たとえば、窒化シリコン膜からなる反射防止膜(パッシベーション膜)3と、グリッド電極4とが形成されている。
また、シリコン半導体基板1の受光面と反対側の裏面には、たとえば、窒化シリコン膜からなる反射防止膜(パッシベーション膜)3が形成され、反射防止膜3を貫通するように所定のパターン形状に従ったアルミニウム電極層5が形成されている。アルミニウム電極層5は、アルミニウム粉末、ガラス粉末、分散剤および有機ビヒクルを含むアルミニウムペースト組成物をスクリーン印刷等によって塗布し、乾燥させた後、660℃(アルミニウムの融点)を超える温度にて短時間焼成することによって形成されている。この焼成の際にアルミニウムがシリコン半導体基板1の内部に拡散することにより、アルミニウム電極層5とシリコン半導体基板1との間にAl−Si合金層6が形成されると同時に、アルミニウム原子の拡散による不純物層としてp+層(BSF層)7が形成される。このp+層7の存在により、電子の再結合を防止し、生成キャリアの収集効率を向上させるBSF(Back Surface Field)効果が得られる。このようにして、シリコン半導体基板1の裏面側には、アルミニウム電極層5とAl−Si合金層6とからな構成される裏面電極8が形成されている。
<ペースト組成物>
ペースト組成物は、上記の裏面電極8を形成するために反射防止膜(パッシベーション膜)3の上に塗工されるペースト組成物であって、アルミニウム粉末、ガラス粉末、分散剤、および、有機ビヒクルを含有する。
<アルミニウム粉末>
ペースト組成物に含まれるアルミニウム粉末は、その導電性から電極としての効果を発揮する。また、アルミニウム粉末は、ペースト組成物を焼成した際にシリコン半導体基板1との間にAl‐Si合金層6とp+層7を形成するので、上述のBSF効果が得られる。
アルミニウム粉末を構成するアルミニウム粒子の短径に対する長径の比率が1以上1.5以下であることが好ましい。このような形状のアルミニウム粒子を含む粉末を用いることによって、アルミニウム電極層5におけるアルミニウム粒子の充填性が増し、電極としての電気抵抗を効果的に低下させることができる。また、シリコン半導体基板1とアルミニウム粒子との接点が増え、良好なAl‐Si合金層6を形成することができる。
アルミニウム粉末を構成するアルミニウム粒子の平均粒径は1μm以上10μm以下であることが好ましい。アルミニウム粒子の平均粒径が1μm以上10μm以下の範囲内であれば、良好な分散性を得ることができる。平均粒子径が1μm未満では、アルミニウム粒子同士が凝集するおそれがある。平均粒子径が10μmを越えると、アルミニウム粒子の分散性が悪くなるおそれがある。
<ガラス粉末>
ガラス粉末は、アルミニウム粉末とシリコン半導体基板との反応と、アルミニウム粉末自身の焼結とを助ける作用があるとされている。
ガラス粉末としては、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、バナジウム(V)、ホウ素(B)、シリコン(Si)、スズ(Sn)、リン(P)、および、亜鉛(Zn)からなる群より選ばれた1種、または2種以上を含有してもよい。また、鉛を含むガラス粉末、または、ビスマス系、バナジウム系、スズ−リン系、ホウケイ酸亜鉛系、アルカリホウケイ酸系等の無鉛のガラス粉末を用いることができる。特に人体への影響を考慮すると、無鉛のガラス粉末を用いることが望ましい。
また、ガラス粉末の軟化点は750℃以下であることが好ましい。軟化点が750℃を超えるガラス粉末では、特定のパッシベーション膜を用いた際にパッシベーション膜の性能を著しく損なわせてしまうおそれがある。
さらに、ガラス粉末を構成するガラス粒子の平均粒径は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
なお、本発明のペースト組成物中に含まれるガラス粉末の含有量は、特に限定されないが、アルミニウム粉末100重量部に対して、1重量部以上40重量部以下であることが好ましい。ガラス粉末の含有量が1重量部未満では、ファイヤースルー性が低下するおそれがある。ガラス粉末の含有量が40重量部を越えると、形成されるアルミニウム電極層5の電気抵抗が増加してしまうおそれがある。
<分散剤>
分散剤としては、ペースト組成物中におけるアルミニウム粉末の分散性を良好にするために、たとえば、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル等を用いることができる。
分散剤はアニオン性部位を有することが好ましい。アニオン性部位とは、溶媒中で解離したときに陰イオンとなり得る官能基、および、このような性質を有する部位をいう。また、アニオン性部位を有する分散剤として、負の電荷を持つ非極性部分を有するように分散剤を構成することもできる。たとえば、アニオン性部位を有する分散剤には、カルボン酸、スルホン酸、リン酸構造を有するもの等が含まれる。このようなアニオン性部位を有する分散剤としては、リン酸エステルを好適に用いることができる。ペースト組成物にアニオン性部位を有する分散剤を含ませることによって、アルミニウム粉末とガラス粉末の分散性が向上し、良好なファイヤースルー性が得られる。すなわち、良好なAl‐Si合金層6とp+層7の形成が可能となる。
なお、本発明のペースト組成物中に含まれる分散剤の含有量は、特に限定されないが、アルミニウム粉末100重量部に対して、0.5重量部以上10重量部以下であることが好ましい。分散剤の含有量が0.5重量部未満では、優れた分散性が得られないおそれがある。分散剤の含有量が10重量部を越えると、ペースト組成物の粘度がスクリーン印刷に適さない粘度になってしまうおそれがある。
<有機ビヒクル>
有機ビヒクルとしては、溶剤に、必要に応じて各種添加剤および樹脂を溶解したものが使用される。溶剤としては公知のものが使用可能であり、具体的には、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。各種添加剤としては、たとえば、酸化防止剤、腐食抑制剤、消泡剤、増粘剤、タックファイヤー、カップリング剤、静電付与剤、重合禁止剤、チキソトロピー剤、沈降防止剤等を使用することができる。具体的には、たとえば、ポリエチレングリコールエステル化合物、ポリエチレングリコールエーテル化合物、ポリオキシエチレンソルビタンエステル化合物、ソルビタンアルキルエステル化合物、脂肪族多価カルボン酸化合物、燐酸エステル化合物、ポリエステル酸のアマイドアミン塩、酸化ポリエチレン系化合物、脂肪酸アマイドワックス等を使用することができる。樹脂としては公知のものが使用可能であり、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリビニールブチラール、フェノール樹脂、メラニン樹脂、ユリア樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート化合物、シアネート化合物等の熱硬化樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ4フッ化エチレン、シリコン樹脂等の二種以上を組み合わせて用いることができる。本発明のペースト組成物に含められる有機ビヒクルとして、溶剤に溶解させないで樹脂を用いてもよい。
なお、本発明のペースト組成物中に含まれる有機ビヒクルの含有量は、特に限定されないが、アルミニウム粉末100重量部に対して、10重量部以上50重量部以下であることが好ましい。有機ビヒクルの含有量が10重量部未満、または、50重量部を越えると、ペースト組成物の印刷性が低下するおそれがある。
<太陽電池素子の製造方法>
本発明に従った太陽電池素子の製造方法は、太陽電池用シリコン基板の受光面と反対側の裏面に形成されたパッシベーション膜の上に、上述の特徴を有するペースト組成物を塗工する塗工工程と、塗工工程の後に太陽電池用シリコン基板を焼成する焼成工程とを備える。なお、ここでいうパッシベーション膜とは、太陽電池用シリコン基板の受光面の裏面側に、たとえば、SiN、TiO2、Al23、および、SiO2からなる群より選ばれた1種または2種以上の化合物を含有する層であってもよい。
上記の塗工工程は、ペースト組成物を太陽電池用裏面電極パターンの形状に塗工する工程であってもよい。塗工工程は、一般的には、公知慣用の塗工方法または印刷方法によって上記のペースト組成物をシリコン半導体基板の上に塗工または印刷することにより行われる。塗工方法としては、たとえば、ディップコート、あるいは、公知のロール塗工方法等を挙げることができ、具体的には、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押し出しコート、エアーナイフコート、スクイズコート、含侵コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート等を挙げることができる。また、印刷方法としては、凹版印刷のように最適粘度領域が比較的低粘度領域にある印刷方法と、スクリーン印刷のように最適粘度領域が比較的高粘度領域にある印刷方法とを挙げることができ、具体的には、孔版印刷方法、凹版印刷方法、平版印刷方法等を挙げることができる。
上記の焼成工程は、ペースト組成物がパッシベーション膜を貫通する温度で太陽電池用シリコン基板を焼成する工程であってもよい。焼成温度は、たとえば、700℃以上950℃以下の温度であることが好ましい。
以上のようにして製造された太陽電池素子は、太陽電池用シリコン基板の受光面と反対側の裏面に形成されたパッシベーション膜と、パッシベーション膜を貫通するように形成された裏面電極とを備え、裏面電極は、上述の特徴を有するペースト組成物をパッシベーション膜の上に塗工した後、焼成することにより形成されている。
以下、本発明の実施例と比較例について説明する。
(ペースト組成物の準備)
ペースト組成物を次のようにして準備した。公知のアトマイズ法により製造された、純度が99.7%以上で、アルミニウム粒子の短径に対する長径の比率が1以上1.5以下であるアルミニウム粉末を100重量部、SnO‐P25、Bi23‐ZnO‐B23、PbO‐B23、PbO‐SiO2のそれぞれを主成分とする各ガラス粉末を10重量部、分散剤としてリン酸エステルを8重量部、有機ビヒクルを30重量部、周知の混合機にて混合した。
(アルミニウム電極層の形成)
片面に厚みが60nmの窒化シリコン(SiN)膜が形成されている厚みが180μmのシリコン半導体基板を準備した。上記で得られたペースト組成物を、窒化シリコン膜の上に、メッシュのスクリーン印刷機を用いて、厚みが50μm、幅が500μmの線状に塗布した。ペースト組成物が塗布されたシリコン半導体基板を、100℃の温度で10分間乾燥させた後、赤外線連続焼成炉にて、空気雰囲気中で焼成した。焼成では、焼成炉の焼成ゾーンの温度を830℃、860℃、890℃の各々の温度に設定し、基板の滞留時間(焼成時間)を6〜10秒に設定した。この焼成により、アルミニウム電極層が形成された。
(ファイヤースルー性の評価)
焼成後、得られた焼成基板を塩酸水溶液(15重量%濃度)に浸漬することにより、アルミニウム電極層を除去した。
アルミニウム電極層を除去した後の焼成基板を光学顕微鏡(200倍)で観察し、視野域において、焼成基板の表面上でペースト組成物が塗工された位置に、シリコン半導体基板の表面がどの程度の割合で露出しているかを評価した。ペースト組成物を塗工した位置にシリコン半導体基板の表面が露出している割合が大きいほど、アルミニウム電極層が窒化シリコン膜を貫通するように形成されていたことになるので、ファイヤースルー性が高いと評価することができる。ペースト組成物を塗工した位置において、塗工された面積に対する、シリコン半導体基板の表面が見えている部分の面積の比率を算出することにより、シリコン半導体基板の表面が露出している割合を評価した。シリコン半導体基板の表面が75%以上露出していたものを「◎」、75%未満〜50%以上露出していたものを「○」、50%未満〜25%以上露出していたものを「△」、25%未満露出していたものを「×」とした。
(BSF層の評価)
焼成基板の断面を光学顕微鏡(200倍)で観察し、Al‐Si合金層の形成割合を算出し、算出されたAl‐Si合金層の形成割合からp+層(BSF層)の形成割合を評価した。評価方法としては、ペースト組成物を塗工した位置におけるシリコン半導体基板の界面幅に対する、Al‐Si合金層が形成された界面幅の比率を算出することにより、Al‐Si合金層の形成割合を評価した。Al‐Si合金層の形成割合が75%以上であったものを「◎」、75%未満〜50%以上であったものを「○」、50%未満〜25%以上であったものを「△」、25%未満であったものを「×」とした。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2013008759
表1から、ガラス粉末と分散剤とを含むペースト組成物を用いた実施例1〜5では、アルミニウム電極層が窒化シリコン膜を良好に貫通するように形成されたこと(ファイヤースルー性)と、良好なBSF層が形成されたことがわかる。これに対して、比較例1では、ガラス粉末を含まないペースト組成物を用いているため、ファイヤースルー性が得られなかったので、BSF層が形成されなかったことがわかる。また、比較例2では、分散剤を含まないペースト組成物を用いているため、ファイヤースルー性が十分ではなく、またBSF層が十分に形成されなかったことがわかる。
以上に開示された実施の形態や実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態や実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
1:p型シリコン半導体基板、2:n型不純物層、3:反射防止膜(パッシベーション膜)、4:グリッド電極、5:アルミニウム電極層、6:Al‐Si合金層、7:p+層、8:裏面電極。

Claims (12)

  1. 太陽電池用裏面電極を形成するためにパッシベーション膜の上に塗工されるペースト組成物であって、
    アルミニウム粉末と、ガラス粉末と、分散剤と、有機ビヒクルとを含む、ペースト組成物。
  2. 前記ガラス粉末が、鉛、ビスマス、バナジウム、ホウ素、シリコン、スズ、リン、および、亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種を含有する、請求項1に記載のペースト組成物。
  3. 前記ガラス粉末が、750℃以下の軟化点を有する、請求項1または請求項2に記載のペースト組成物。
  4. 前記分散剤が、アニオン性部位を有する、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のペースト組成物。
  5. 前記アルミニウム粉末を構成するアルミニウム粒子の短径に対する長径の比率が、1以上1.5以下である、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のペースト組成物。
  6. 前記アルミニウム粉末を構成するアルミニウム粒子の平均粒径が、1μm以上10μm以下である、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のペースト組成物。
  7. 前記アルミニウム粉末100重量部に対して、前記ガラス粉末を1重量部以上40重量部以下、前記分散剤を0.5重量部以上10重量部以下、前記有機ビヒクルを10重量部以上50重量部以下、含有する、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のペースト組成物。
  8. 太陽電池用シリコン基板の受光面と反対側の裏面に形成されたパッシベーション膜の上に、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の前記ペースト組成物を塗工する塗工工程と、
    前記塗工工程の後に前記太陽電池用シリコン基板を焼成する焼成工程と、
    を備える、太陽電池素子の製造方法。
  9. 前記塗工工程は、前記ペースト組成物を太陽電池用裏面電極パターンの形状に塗工することを含む、請求項8に記載の太陽電子素子の製造方法。
  10. 前記焼成工程は、前記ペースト組成物が前記パッシベーション膜を貫通する温度で前記太陽電池用シリコン基板を焼成することを含む、請求項8または請求項9に記載の太陽電池素子の製造方法。
  11. 前記パッシベーション膜は、SiN、TiO2、Al23、および、SiO2からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を含有する、請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の太陽電池素子の製造方法。
  12. 太陽電池用シリコン基板の受光面と反対側の裏面に形成されたパッシベーション膜と、
    前記パッシベーション膜を貫通するように形成された裏面電極と、を備え、
    前記裏面電極は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のペースト組成物を前記パッシベーション膜の上に塗工した後、焼成することにより形成されている、太陽電池素子。

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