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JP2012222314A - 有機薄膜太陽電池 - Google Patents

有機薄膜太陽電池 Download PDF

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JP2012222314A JP2011089895A JP2011089895A JP2012222314A JP 2012222314 A JP2012222314 A JP 2012222314A JP 2011089895 A JP2011089895 A JP 2011089895A JP 2011089895 A JP2011089895 A JP 2011089895A JP 2012222314 A JP2012222314 A JP 2012222314A
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登志子 溝黒
Nobutaka Tanigaki
宣孝 谷垣
Claire Heck
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Abstract

【課題】有機半導体層を光電変換層とする有機薄膜太陽電池において、より向上した光電変換特性を有する有機薄膜太陽電池を提供する。
【解決手段】透明電極が形成された透明基板上に、導電性高分子化合物が一定方向に配向したポリマー層と、該ポリマー層上に形成され、該導電性高分子化合物と同一方向に配向したp型有機半導体化合物又はn型有機半導体化合物からなる有機半導体層を有する、有機薄膜太陽電池、並びに
透明電極が形成された透明基板上に、導電性高分子化合物が基板に平行方向に一定方向に配向したポリマー層を形成し、次いで、該ポリマー層上に、真空蒸着法によって、p型半導体又はn型半導体としての性質を有する有機半導体化合物の層を形成する工程を含む、該有機薄膜太陽電池の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機薄膜太陽電池及びその製造方法に関する。
有機薄膜太陽電池は、電子受容材料と電子供与材料の2種類の有機半導体を組み合わせて作る次世代太陽電池の1つであり、印刷によって簡便、低コストで生産できることが期待されている。また、電解液等を用いない固体の太陽電池であるため、柔軟性や寿命向上の上でも有利とされている。
有機薄膜太陽電池としては、例えば、透明基板と、該透明基板上に形成された透明電極と、電子供与材料としてのp型有機半導体層と電子受容材料としてのn型有機半導体層からなる光電変換層と、該光電変換層上に形成された、透明電極と対向する電極である対向電極とを有するものが知られている。
しかしながら、光電変換層を形成するために用いる有機半導体材料は、導電性が低いことから、光電変換層の膜厚を入射する光を十分に吸収できる程度にまで厚くすることは困難であり、光を有効に利用することができないと いう問題がある。
このため、有機薄膜太陽電池は、これまで低いエネルギー変換効率しか得られておらず、実用化のためにはエネルギー変換効率の高効率化が課題とされている。
そこで、光電変換層の光の吸収率を向上させるために、透明基板、透明電極または対向電極の表面を凹凸化することにより、この凹凸によって入射光を散乱させ、光電変換層における光路長を長くする、いわゆる光閉じ込め効果を利用した太陽電池が数多く報告されている。例えば特許文献1には、透明基板上に、透明電極として凹凸状の酸化スズ膜を形成することにより、光閉じ込め効果を有する太陽電池用基板が提案されている。
しかしながら、上記のような凹凸を有する透明電極の上に光電変換層を形成する場合には、この凹凸の高低差が数百nm程度であり、光電変換層の膜厚が数百nm程度と薄いことから、この凹凸により透明電極と対向電極との間で短絡が生じ、太陽電池として機能しなくなるという問題がある。
特開2000−340815号公報
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、有機半導体層を光電変換層とする有機薄膜太陽電池において、より向上した光電変換特性を有する有機薄膜太陽電池を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、透明電極を形成した透明基板上に鎖状の共役系導電性高分子化合物の固形物を一定圧で押しつけて、一定方向に塗布することによって、基板面に平行に一定方向に配向したポリマー層を形成することができ、このようにして形成されたポリマー層上に、鎖状又は平面状のπ共役系のp型有機半導体化合物又はn型有機半導体化合物を真空蒸着することによって、該ポリマー層をテンプレートとして、p型有機半導体化合物又はn型有機半導体化合物が基板面に平行に一定方向に配向した有機半導体層を形成できることを見出した。そして、この様な方法で形成された有機半導体層は、p型有機半導体化合物又はn型有機半導体化合物が、基板面に平行に一定方向に配向することによってπ−πスタック構造が形成され、これによって該半導体層の基板に対して垂直方向の導電性が向上し、その結果、有機薄膜太陽電池におけるエネルギー変換効率が大きく向上することを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の有機薄膜太陽電池及びその製造方法を提供するものである。
項1. 透明電極が形成された透明基板上に、導電性高分子化合物が一定方向に配向したポリマー層と、該ポリマー層上に形成され、該導電性高分子化合物と同一方向に配向したp型有機半導体化合物又はn型有機半導体化合物からなる有機半導体層を有する、有機薄膜太陽電池。
項2. 導電性高分子化合物が、鎖状のπ共役系又はσ共役系の導電性高分子化合物である上記項1に記載の有機薄膜太陽電池。
項3. 有機半導体層を形成するp型有機半導体化合物及びn型有機半導体化合物が、平面状又は鎖状のπ共役系有機半導体化合物である上記項1又は2に記載の有機薄膜太陽電池。
項4. 下記(1)〜(3)のいずれかの構成を有する上記項1〜3のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池:
(1) 透明電極が形成された透明基板/(必要に応じて正孔注入材層)/p型半導体の性質を有さない導電性高分子化合物による配向したポリマー層/p型有機半導体化合物の蒸着層/n型有機半導体化合物のスピンコート層/(必要に応じて正孔ブロック材層)/金属電極、
(2) 透明電極が形成された透明基板/(必要に応じて正孔注入材層)/p型導電性高分子化合物による配向したポリマー層/n型有機半導体化合物の蒸着層/(必要に応じて正孔ブロック材層)/金属電極
(3) 透明電極が形成された透明基板/(必要に応じて正孔注入材層)/p型導電性高分子化合物による配向したポリマー層/p型有機半導体化合物の蒸着層/n型有機半導体化合物のスピンコート層/(必要に応じて正孔ブロック材層)/金属電極。
項5. 透明電極が形成された透明基板上に、導電性高分子化合物が基板に平行方向に一定方向に配向したポリマー層を形成し、次いで、該ポリマー層上に、真空蒸着法によって、p型半導体又はn型半導体としての性質を有する有機半導体化合物の層を形成する工程を含む、上記項1〜4のいずれかに記載された有機薄膜太陽電池の製造方法。
項6. 導電性高分子化合物が基板に平行に一定方向に配向したポリマー層を形成する方法が、鎖状のπ共役系又はσ共役系の導電性高分子化合物の固形成形体を、透明電極が形成された透明基板に一定圧力で押しつけて一定方向に掃引する方法である、上記項5に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
項7. p型半導体又はn型半導体としての性質を有する有機半導体化合物が、鎖状又は平面状のπ共役系有機化合物である上記項5又は6に記載の方法。
本発明の有機薄膜太陽電池は、透明電極が形成された透明基板上に、導電性高分子化合物からなる配向したポリマー層が形成され、その上に、真空蒸着法によってp型有機半導体層又はn型有機半導体層が形成された構造を有するものである。
以下、まず、上記した各層の形成方法について具体的に説明する。
(I)配向ポリマー層(テンプレート層)の形成
本発明では、まず、透明電極が形成された透明基板上に、導電性高分子化合物が基板に平行方向に一定方向に配向したポリマー層(以下、「配向ポリマー層」ということがある)を形成する。
配向ポリマー層を形成するための導電性高分子化合物としては、鎖状のπ共役系又はσ共役系の導電性高分子化合物を用いることが必好ましく、後述する方法で基板に固体状の導電性化合物を押しつけて一定方向に塗布することによって、塗布方向に沿って、分子軸が基板面に平行に一定方向に配向する。該高分子化合物は、側鎖を有する場合には、例えば、炭素数12程度以下の炭化水素基など比較的短い側鎖を有する高分子化合物が好ましい。
この様な導電性を有する共役系高分子化合物の内で、例えば、π共役系の鎖状導電性高分子化合物として、ポリアセチレン系ポリマー、ポリフェニレン系ポリマー、複素環系ポリマー、イオン性ポリマー、ラダーポリマーなどを用いることができる。これらのπ共役系鎖状導電性高分子化合物の具体例としては、ポリ(p−フェニレン)(PPP)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)、置換基としてアルコキシ基を有するポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体、レジオレギュラーポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリアニリン、ポリチオフェン(PT)、ポリフルオレン(PF)、ポリフルオレン誘導体、ポリピロール、これらの単量体成分を適宜組み合わせた共重合体などを挙げることができる。
また、σ共役系の鎖状導電性高分子化合物としては、ポリシラン、ポリゲルマン、ポリ(1,4−ジシラニレンフェニレン)等を例示できる。
上記した導電性を有する共役系高分子化合物の構造の一例を示すと次の通りである。
Figure 2012222314
上記したπ共役系鎖状高分子化合物及びσ共役系鎖状高分子化合物は、いずれもp型半導体としての特性を有するものであるが、本発明では、p型半導体としての特性を有する化合物だけではなく、半導体特性を有さない鎖状の共役系導電性高分子化合物も配向ポリマー層を形成するために用いることができる。
上記した導電性高分子化合物を用いて配向ポリマー層を形成するには、透明電極が形成された透明基板に、固体状の該導電性高分子化合物を押しつけて一定方向に塗布すればよい。通常は、該導電性高分子化合物をペレット状等の塗布が容易な形状に成形し、この固形成形体を透明電極面に押しつけながら一定方向に掃引すればよい。この際、均一なテンプレート層を形成するために、透明電極面に押しつける強さを一定として、一定の速度で導電性高分子化合物の固形成形体を掃引することが好ましい。この際、基板の温度を、使用する導電性高分子化合物のガラス転移点±20℃程度、好ましくはガラス転移点±10℃程度に加熱することによって、良好に配向したポリマー層を容易に形成することができる。
具体的な圧力や掃引速度などについては、実際に使用する導電性高分子化合物の種類や基板の加熱温度に応じて、均一な配向ポリマー層が形成されるように決めればよい。圧力が弱すぎる場合や掃引速度が速すぎる場合には、配向ポリマー層の厚さが不足することがあり、また、圧力が強すぎる場合や掃引速度が遅すぎる場合には、配向ポリマー層が不均一となることや、導電性高分子化合物の固体成形物が崩壊することがあるので好ましくない。
例えば、固体状の該導電性高分子化合物を0.5〜5MPa程度の圧力で基板に押しつけて、0.1〜3m/min程度の速度で掃引すればよい。
この方法によれば、上記した鎖状の共役系導電性高分子化合物の分子軸が、掃引方向に沿って、基板面に平行に一定方向に配向したポリマー層が形成される。
形成される配向ポリマー層の厚さについては特に限定的ではないが、通常、後述する真空蒸着工程において、良好に配向した有機半導体層を形成するためには、2〜60nm程度とすることが好ましい。
また、配向ポリマー層を形成する導電性高分子化合物として、p型半導体としての性質を有する化合物を用いた場合には、配向ポリマー層の厚さを10nm程度以上とすることによって、配向ポリマー層自体を有機薄膜太陽電池における電子供与体層としても利用できる。
(II)真空蒸着による有機半導体層の形成
次いで、上記した方法で形成された配向ポリマー層上に、真空蒸着法によってp型半導体又はn型半導体としての性質を有する有機半導体化合物の層を形成する。この際、p型半導体又はn型半導体としての性質を有する有機半導体化合物としては、鎖状又は平面状のπ共役系有機化合物を用いることが好ましく、これによって配向ポリマー層における導電性高分子化合物の配向方向に沿って、分子軸又は分子面が基板面に平行に配向したπ共役系有機半導体による層が形成される。この際、有機半導体化合物が、基板に平行に配向することによって、有機半導体化合物間において分子間相互作用(π−πスタッキング)が生じ、これによって、基板に対して垂直方向に正孔や電子が流れやすくなり、有機薄膜太陽電池を形成した際に、光電変換特性が大きく向上する。
真空蒸着に使用する有機半導体化合物としては、配向ポリマー層を形成するために用いた導電性高分子化合物が、p型半導体としての性質を持たない場合には、p型半導体としての性質を有する有機半導体化合物を用いて、p型有機半導体層を形成することが必要である。
また、p型半導体としての性質を有する導電性高分子化合物を用いて配向ポリマー層を形成した場合であって、配向ポリマー層の厚さが薄く、電子供与体層として十分な性能を発揮できない場合、例えば、配向ポリマー層の厚さが10nm程度未満である場合には、p型半導体としての性質を有する有機半導体化合物を用いて真空蒸着を行うことによって、p型有機半導体層の厚さを増加させればよい。この場合、真空蒸着後のp型有機半導体層の厚さは、配向ポリマー層がp型半導体としての性質を有する場合には、配向ポリマー層との合計として、10nm程度以上、好ましくは15nm程度以上であることが好ましい。
また、p型半導体としての性質を有する導電性高分子化合物を用いて配向ポリマー層を形成した場合であって、形成された配向ポリマー層が太陽電池における電子供与体層として十分な性能を有する場合、例えば、配向ポリマー層の厚さが10nm程度以上、好ましくは15nm程度以上の場合には、真空蒸着に使用する有機半導体化合物として、n型半導体としての性質を有する有機半導体化合物を用いることによって、真空蒸着法によって配向ポリマー層上に電子受容体層を直接形成することができる。
真空蒸着に用いる有機半導体化合物としては、p型半導体又はn型半導体としての性質を有する鎖状又は平面状のπ共役系有機化合物を用いればよい。該有機半導体化合物としては、真空蒸着における圧力条件下、例えば、5×10−4Pa程度以下の圧力下において、分解温度以下で気化又は昇華する化合物であることが好ましい。以下、これらの有機半導体化合物の具体例を記載する。
(1)p型有機半導体化合物
p型半導体としての性質を有する化合物は、電子供与性のπ共役系有機化合物であればよい。
(i)鎖状p型有機半導体化合物
電子供与性のπ共役系有機化合物の内で、鎖状の化合物としては、次の化合物を例示できる。
(a)ヘテロ元素(N, O, S等)を有することのある鎖状の多環芳香族炭化水素化合物:具体例としては、クリセン、ペンタセン、テトラセン、アントラセン、アクリジン、ピセン、キナクリドン、ベンゾチエノベンゾチオフェン(BTBT)、これらの誘導体等を挙げることができる。
(b)ヘテロ元素(N, O, S等)を有することのある単環化合物のオリゴマー又はコオリゴマー:具体例としては、フラン、ピロール、イミダゾール、 チオフェン、 ホスホール、 ピラゾール、 オキサゾール、 イソオキサゾール、 チアゾール、ベンゼン(フェニレン)、 ピリジン、 ピラジン、 ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、これらの誘導体などの単環化合物の重合度12程度以下のオリゴマーを挙げることができる。
(c)ヘテロ元素(N, O, S等)を有することのある二環化合物のオリゴマー又はコオリゴマー:具体例としては、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、ベンゾチオフェン、ベンゾホスホール、ベンゾイミダゾール、プリン、インダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、これらの誘導体などの二環化合物の重合度6以下のオリゴマー又はコオリゴマーを挙げることができる。
(d)アリーレンビニレン(フェニレンビニレン、チエニンビニレンなど)を構成単位とする重合度6程度以下のオリゴマー。
(ii)平面状p型有機半導体化合物
p型半導体としての性質を有する電子供与性のπ共役系有機化合物の内で、平面状の化合物としては、次の化合物を例示できる。
(a)芳香族環を4〜10個有する平面状の多環芳香族炭化水素:具体例としては、ベンゾピレン、コロネン、コランヌレン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、オバレン、ベンゾペリレン、これらの誘導体等を例示できる。
(b)フタロシアニン化合物:具体例としては、フタロシアニン、フタロシアニン金属錯体等を例示できる。
(c)ポルフィリン化合物:具体例としては、ポルフィリン、ポリフィリン金属錯体等を例示できる。
(2)n型半導体有機化合物
n型半導体としての性質を有する化合物は、電子受容性のπ共役系有機化合物であれよい。この様な電子受容性のπ共役系有機化合物としては、置換基としてフッ素原子を有する共役系低分子化合物、置換基としてシアノ基を有する共役系低分子化合物、窒素原子を含む多環芳香族化合物などを例示できる。
(i) 鎖状n型半導体有機化合物
電子受容性のπ共役系有機化合物の内で、鎖状の化合物の具体例としては、フッ素化オリゴチオフェン等を挙げることができる。
(ii)平面状n型半導体有機化合物
n型半導体としての性質を有する電子受容性のπ共役系有機化合物の内で、平面状の化合物としては、フッ素化フタロシアニン、ペリレンおよびその誘導体(例えば、N,N’-ビス(2,6-ジメチルフェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド(PTCDI)、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)等)、テトラピリジルポルフィリン、フッ素化ポルフィリン等を例示できる。
(3)真空蒸着条件
真空蒸着の条件については特に限定的ではないが、使用する有機半導体化合物の種類に応じて、蒸着時の圧力、温度などを適宜設定して、0.1〜2nm/分程度の蒸着速度とすることが好ましい。この範囲の蒸着速度とすることによって、特に、良好に配向した有機半導体層を形成できる。
有機半導体層の厚さについては特に限定的ではないが、通常、10〜60nm程度とすればよい。
(III)n型有機半導体層の形成
上記した(II)工程において、p型半導体としての性質を有する有機半導体化合物を用いて真空蒸着を行った場合には、形成されたp型有機半導体層の上に、n型有機半導体層を形成する。この場合、n型有機半導体層は、スピンコート法によって形成することが好ましく、これによって、優れた光電変換性能を有する有機薄膜太陽電池を得ることができる。
n型有機半導体層を形成するために用いる有機半導体化合物としては、スピンコート法に使用する溶媒に対して可溶性のn型有機半導体化合物を用いることが好ましい。
スピンコートに用いる溶媒としては、p型有機半導体層およびテンプレート層に対して不溶性の溶媒を用いることが必要であり、使用するn型有機半導体化合物の種類に応じて適宜決めればよい。例えば、クロロホルム、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、メタンスルホン酸等を用いることができる。
この様なn型有機半導体化合物の具体例としては下記の化合物を挙げることができる。
(i) [6.6]-フェニル-C61-酪酸メチル(PCBM)(クロロホルム、クロロベンゼン可溶)等のフラーレンC60,C70誘導体
(ii)N,N’-ビス(2,6-ジメチルフェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド(ジメチルホルムアミド(DMF)可溶)、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物等のペリレンおよびその誘導体
(iii)フッ素化ポルフィリン、テトラピリジルポルフィリン
(iv) フッ素化フタロシアニン
(v) フッ素化オリゴチオフェン
(vi) テトラシアノキノジメタン(TCNQ)およびその誘導体
(vii)ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物等のナフタレンおよびその誘導体
(viii)シアノ基を導入した PPV 誘導体(CN-PPV)(クロロホルム可溶)
(ix) ポリ(ベンゾイミダゾベンゾフェナントロリン) (BBL)(メタンスルホン酸可溶)
(x) ポリ[(2,5-ジデシロキシ-1,4-フェニレン)(2,4,6-トリイソプロピルフェニルボラン)](クロロホルム、クロロベンゼン可溶)。
スピンコート法によって形成されるn型有機半導体層の厚さについては特に限定的ではないが、電子受容体層としての機能を十分に発揮するためには、10〜50nm程度であることが好ましい。
有機薄膜太陽電池の素子構造
上記した方法で形成されるp型有機半導体層とn型有機半導体層を有する有機薄膜太陽電池素子の具体的な構造については特に限定はなく、通常の有機薄膜太陽電池素子と同様の構造とすることができる。例えば、透明電極が形成された透明基板上にp型有機半導体層とn型有機半導体層が順次積層され、更に、この上に金属電極が形成された構造とすることができる。この場合、透明電極が形成された透明基板とp型半導体層の間には、正孔注入材層が形成されていてもよく、また、n型有機半導体膜と金属電極との間には、正孔ブロック材料層が形成されていてもよい。この様な有機薄膜太陽電池の各種構成要素の材料、即ち、透明基板、透明電極、正孔注入材、正孔ブロック材、金属電極などの材料としては、公知の有機薄膜太陽電池で使用されている材料を用いることができ、各構成要素の形成方法も常法に従えばよい。
本発明により得られる有機薄膜太陽電池素子のより具体的な構造としては、例えば、p型半導体としての性質を有さない導電性高分子化合物によって配向ポリマー層を形成した場合には、下記(1)に示す各層が順次積層した構造とすることができる。
(1) 透明電極が形成された透明基板/(必要に応じて正孔注入材層)/p型半導体の性質を有さない導電性高分子化合物による配向ポリマー層/p型有機半導体化合物の蒸着膜/n型有機半導体化合物のスピンコート層/(必要に応じて正孔ブロック材層)/金属電極。
また、配向ポリマー層をp型半導体としての性質を有する導電性高分子化合物によって形成した場合には、下記(2)又は(3)に示す各層が順次積層した構造とすることができる。
(2) 透明電極が形成された透明基板/(必要に応じて正孔注入材層)/p型導電性高分子化合物による配向ポリマー層/n型有機半導体化合物の蒸着層/(必要に応じて正孔ブロック材層)/金属電極
(3) 透明電極が形成された透明基板/(必要に応じて正孔注入材層)/p型導電性高分子化合物による配向ポリマー層/p型有機半導体化合物の蒸着層/n型有機半導体化合物のスピンコート層/(必要に応じて正孔ブロック材層)/金属電極
本発明の有機薄膜太陽電池では、真空蒸着によって形成される鎖状又は平面状のp型有機半導体化合物又はn型有機半導体化合物が、基板面に平行に一定方向に配向したものとなる。これにより、有機半導体層においてπ−πスタック構造が形成されて該半導体層の基板に対して垂直方向における導電性が向上する。このため、本発明の有機薄膜太陽電池は、高いエネルギー変換効率を有するものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
参考例1
ポリチオフェン粉末を圧縮成型した断面が1mm×10mmの半円形のペレットを、250℃に加熱した溶融石英ガラス基板(10mm×38mm×0.7mm)に1.96MPaの圧力で押圧して、基板の長辺方向に沿って1m/minの掃引速度で掃引し、基板上に幅10mmのポリチオフェンの配向薄膜を形成した。膜厚は約5nmであった。
次いで、α-セキシチオフェン約30mgを直径10mm、長さ30mmの石英ルツボに入れ、真空チャンバー内において、該ルツボの上方約20cmのところにポリチオフェン配向処理した石英ガラス基板をホルダーに固定した。次いで、真空チャンバーを5×10-4Paの圧力に脱気し、水晶振動子で膜厚をモニターしながら、膜厚が5nm又は25nmになるように1〜3nm/minの蒸着速度で室温に保った基板にα-セキシチオフェンを蒸着した。
このようにして得られた薄膜に、ポリチオフェンペレットの掃引方向にそれぞれ平行と垂直の偏光を照射して吸収スペクトルを測定し、吸収の2色比を計算した。ここで、2色比は、(掃引方向に平行方向の吸収強度)/(掃引方向に垂直方向の吸収強度)として定義する。5nmのα-セキシチオフェン蒸着膜と25nmのα-セキシチオフェン蒸着膜の2色比はそれぞれ4.2と5.5であった。これは、α-セキシチオフェンの分子が、一軸配向したポリチオフェン配向薄膜におけるポリチオフェン分子鎖の方向に沿って一軸配向していることを示すものである。
一方、ポリチオフェン粉末のペレットを用いてポリチオフェンの配向薄膜を形成する操作を行うことなく、それ以外は上記した方法と同様にして、溶融石英ガラス基板上に、α-セキシチオフェンを厚さが8nmとなるように真空蒸着させた。このα-セキシチオフェン膜について、上記した方法と同様にして吸収の2色比を計算したところ、2色比は1となり、一軸配向していないことが判った。
参考例2
n型シリコン(100)ウェハー(15mm×20mm×0.65mm)上に、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルフォネート)(PEDOT:PSS, Baytron P AI 4083)を滴下し、3000回転/分で90秒の条件でスピンコートして、厚さ約45nmのPEDOT:PSS膜を形成した。このPEDOT:PSS膜上に参考例1と同様の方法で幅10mmのポリチオフェンの配向薄膜を形成し、次いで、参考例1と同様の方法で、真空蒸着法によってα-セキシチオフェンを50nm堆積させた。
このようにして得られた薄膜の微小角入射X線回折(GIXD)測定を行ったところ、α-セキシチオフェンは下地のポリチオフェン配向薄膜におけるポリチオフェン分子鎖の方向に沿って一軸配向していることが明らかになった。
一方、ポリチオフェンの配向薄膜を形成する操作を行うことなく、それ以外は上記した方法と同様にして、真空蒸着法によってPEDOT:PSS膜上にα-セキシチオフェンを厚さが50nmとなるように堆積させた。
このようにして得られた薄膜の微小角入射X線回折(GIXD)測定を行ったところ、α-セキシチオフェンは基板に対してほぼ垂直方向に配列していることが明らかになった。
実施例1
ガラス上に幅2mm、長さ38mmの透明導電膜を2本形成した基板(13mm×38mm×0.7mm)の上に、正孔注入剤であるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルフォネート)(PEDOT:PSS, Baytron P AI 4083)を滴下し、3000回転/分で90秒の条件でスピンコートすることで、厚さ約45nmのPEDOT:PSS膜を形成した。
一方、p型半導体であるポリチオフェン粉末を圧縮成形して断面が1mm×10mmの半円形のペレット状とし、これを250℃に加熱した上記基板のPEDOT:PSS膜上に1.96MPaの圧力で押圧して、基板長辺方向に沿って1m/minの掃引速度で掃引し、基板上に膜厚約5nm、幅10mmのポリチオフェンの配向薄膜を形成した。
次いで、p型半導体であるα-セキシチオフェン約30mgを直径10mm、長さ30mmの石英ルツボに入れ、真空チャンバー内において、該ルツボの上方約20cmのところに上記基板をホルダーに固定した。次いで、真空チャンバーを5×10-4Paの圧力に脱気し、水晶振動子で膜厚をモニターしながら、膜厚が15nmになるように1〜3nm/minの蒸着速度で室温に保った基板にα-セキシチオフェンを蒸着した。
上記した方法でα-セキシチオフェン膜を形成した基板を一度真空チャンバーから取り出し、α-セキシチオフェン上に、n型半導体である[6.6]-フェニル-C61-酪酸メチル(PCBM)の1.2wt%クロロベンゼン溶液を滴下し、3000回転/分で90秒の条件でスピンコートすることで、厚さ約40nmのPCBM膜を形成した。
次いで、正孔ブロック材料であるバトクプロイン(BCP)約30mgを直径10mm、長さ30mmの石英ルツボに入れ、真空チャンバー内で、該ルツボの上方約20cmのところに上記基板をホルダーに固定した。基板ホルダーは真空チャンバー内で搬送することができ、フッ化リチウム約30mgを入れた蓋付タングステンボートと、アルミニウム約0.5gを入れたタングステン製フィラメントバスケットを共に、基板ホルダーの下方20cmの位置となるよう、真空チャンバー内に設置した。
次いで、真空チャンバーを5×10-4Paの圧力に脱気し、水晶振動子で膜厚をモニターしながら、膜厚が12nmになるように、BCPを1〜5nm/minの蒸着速度で室温に保った基板に蒸着した。次いで、幅2mm、長さ25mmのスリットが3本入ったマスクの直上に基板ホルダーを搬送し、スリットを介してフッ化リチウムを0.6nm/min以下の蒸着速度で基板に0.5nm堆積し、最後にAlを5〜15nm/minの蒸着速度で基板に50nm堆積し、金属電極とした。なお、マスクのスリットは、基板の透明電極と直交するように設置した。
こうして得た有機薄膜太陽電池素子を真空チャンバーより取り出した。透明電極と金属電極は直交しており、直交部分の面積は2×2mm2だった。窒素置換したグローブBOX中で、エポキシ系接着剤を塗布したガラス板(26mm×9mm×0.8mm)を有機薄膜太陽電池素子上に設置し、封止した。
こうして封止した有機薄膜太陽電池を、気温25度、湿度25%に制御された暗室に移動させ、正極側が透明電極、負極側が金属電極となるようにサブフェムトアンペアリモートソースメータ(KEITHLEY、6430)を接続し、-1Vから1Vの電圧印加下での暗電流値を測定した。
次いで、100mW/cm2の擬似太陽光(AM-1.5、関西科学機械株式会社、XES-502S)を照射し、-1Vから1Vの電圧印加下での光電流値を測定した。
0Vから1Vに電圧を引加したときに、電流Iと電圧Vの積の絶対値、|IV|が最大になる点で最大電力Pmaxを得ることができる。入射光エネルギーをPinとすると、光を電気に変換する効率(光電変換効率; η)は、
η=(Pmax/Pin)×100 [%] (1)
で表される。こうして光電変換効率を算出したところ、0.90%となった。
比較例1
p型半導体であるポリチオフェン粉末のペレットを用いてポリチオフェンの配向薄膜を形成する操作を行うことなく、それ以外は、実施例1と同様にして、エポキシ系接着剤を塗布したガラス板による封止までの処理を行って有機薄膜太陽電池を得た。得られた有機薄膜太陽電池について、実施例1と同様にして光電変換効率を測定したところ、0.20%となった。
以上の参考例1、参考例2、実施例1及び比較例1の結果から明らかなように、ポリチオフェン配向膜上に真空蒸着法で堆積させたα-セキシチオフェンは基板に平行に配向し、この薄膜を用いて有機薄膜太陽電池を形成した場合には(実施例1)、基板に垂直に配向したα-セキシチオフェン膜を用いた比較例1の有機薄膜太陽電池よりも光電変換効率が向上した。これは、実施例1の有機薄膜太陽電池では、基板に平行に配向したα-セキシチオフェンは、π-πスタッキングにより基板に垂直方向に正孔が移動しやすくなり、これにより有機薄膜太陽電池の光電変換効率が向上したと考えられる。
参考例3
ポリ(p-パラフェニレン)粉末を圧縮成形して得た断面が1mm×10mmの半円形のペレットを、220℃に加熱した溶融石英ガラス基板(10mm×38mm×0.7mm)に4MPaの圧力で押圧して、基板長辺方向に沿って0.34m/minの掃引速度で掃引し、基板上に膜厚約10nm、幅10mmのポリ(p-パラフェニレン)の配向薄膜を形成した。
次いで、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(PTCDI)約30mgを直径10mm、長さ30mmの石英ルツボに入れ、真空チャンバー内において、該ルツボの上方約20cmのところに上記基板をホルダーに固定した。次いで、真空チャンバーを5×10-4Paの圧力に脱気し、水晶振動子で膜厚をモニターしながら、膜厚が27nmになるように0.5〜2.5nm/minの蒸着速度で室温に保った基板にPTCDIを蒸着した。
このようにして得られた薄膜にポリ(p-パラフェニレン)の掃引方向にそれぞれ平行と垂直の偏光を照射して吸収スペクトルを測定し、吸収の2色比を計算した。27nmのPTCDIを蒸着した膜の2色比は11であった。これは、下地のポリ(p-パラフェニレン)の一軸配向薄膜上に、基板に平行方向にPTCDIのペリレン骨格平面が配列することから生み出されると考えられる。
また、この薄膜のX線回折測定を行ったところ、PTCDIのペリレン骨格平面が基板に平行方向に配列していることが明らかになった。
一方、ポリ(p-パラフェニレン)配向薄膜を形成する操作を行うことなく、それ以外は上記した方法と同様にして、溶融石英ガラス基板上に、PTCDIを厚さが27nmとなるように真空蒸着させた。このα-セキシチオフェン膜について、上記した方法と同様にして吸収の2色比を計算したところ、2色比は1となり、基板面内でPTCDIは配向していないことが判った。
実施例2
ガラス上に幅2mm、長さ38mmの透明導電膜を2本形成した基板(13mm×38mm×0.7mm)の上に、正孔注入剤であるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルフォネート)(PEDOT:PSS, Baytron P AI 4083)を滴下し、3000回転/分で90秒の条件でスピンコートすることで、厚さ約45nmのPEDOT:PSS膜を形成した。
一方、p型半導体であるポリ(p-パラフェニレン)粉末を圧縮成形して断面が1mm×10mmの半円形のペレット状とし、これを220℃に加熱した上記基板のPEDOT:PSS膜上に4MPaの圧力で押圧して、基板長辺方向に沿って0.34m/minの掃引速度で掃引し、基板上に膜厚約10nm、幅10mmのポリ(p-パラフェニレン)の配向薄膜を形成した。
次いで、n型半導体であるペリレンテトラカルボン酸ジイミド(PTCDI)約30mgを直径10mm、長さ30mmの石英ルツボに入れ、正孔ブロック材料であるバトクプロイン(BCP)約30mgを直径10mm、長さ30mmの別の石英ルツボに入れ、真空チャンバー内で、これらのルツボの上方約20cmのところに上記基板をホルダーに固定した。基板ホルダーは真空チャンバー内で搬送することができ、フッ化リチウム約30mgを入れた蓋付タングステンボートと、アルミニウム約0.5gを入れたタングステン製フィラメントバスケットを共に、基板ホルダーの下方20cmの位置となるよう、真空チャンバー内に設置した。
次いで、真空チャンバーを5×10-4Paの圧力に脱気し、水晶振動子で膜厚をモニターしながら、膜厚が25nmになるように0.5〜2.5nm/minの蒸着速度で室温に保った基板にPTCDIを蒸着した。次に、水晶振動子で膜厚をモニターしながら、膜厚が12nmになるように、BCPを1〜5nm/minの蒸着速度で室温に保った基板に蒸着した。次いで、幅2mm、長さ25mmのスリットが3本入ったマスクの直上に基板ホルダーを搬送し、スリットを介してフッ化リチウムを0.6nm/min以下の蒸着速度で基板に0.5nm堆積し、最後にAlを5〜15nm/minの蒸着速度で基板に50nm堆積して、金属電極とした。なお、マスクのスリットは、基板の透明電極と直交するように設置した。
こうして得た有機薄膜太陽電池素子を真空チャンバーより取り出した。透明電極と金属電極は直交しており、直交部分の面積は2×2mm2だった。窒素置換したグローブBOX中で、エポキシ系接着剤を塗布したガラス板(26mm×9mm×0.8mm)を有機薄膜太陽電池素子上に設置し、封止した。
こうして得た有機薄膜太陽電池について、実施例1と同様にして光電変換効率を算出したところ、1.9×10-3%となった。
比較例2
ガラス上に幅2mm、長さ38mmの透明導電膜を2本形成した基板(13mm×38mm×0.7mm)の上に、正孔注入剤であるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルフォネート)(PEDOT:PSS, Baytron P AI 4083)を滴下し、3000回転/分で90秒の条件でスピンコートすることで、厚さ約45nmのPEDOT:PSS膜を形成した。
次いで、p型半導体であるポリ(p-パラフェニレン)の0.50wt%クロロベンゼン溶液を上記基板のPEDOT:PSS膜上に滴下し、500回転/分で90秒の条件でスピンコートし、真空中で130℃、一時間加熱することで、厚さ約10nmのポリ(p-パラフェニレン)薄膜を形成した。
この様にして基板上にポリ(p-パラフェニレン)薄膜を形成した後、n型半導体であるペリレンテトラカルボン酸ジイミドを蒸着する操作以降を実施例2と同様にして行い、エポキシ系接着剤を塗布したガラス板で封止した有機薄膜太陽電池を得た。得られた有機薄膜太陽電池について、実施例1と同様にして光電変換効率を測定したところ、7.5×10-6%となった。
以上の参考例3、実施例2及び比較例2の結果から、ポリ(p-パラフェニレン)配向膜上に真空蒸着法で堆積させたPTCDIは、ペリレン骨格が基板に平行に配向しており、この薄膜を用いて有機薄膜太陽電池を形成した場合には(実施例2)、スピンコート法で形成したポリ(p-パラフェニレン)上にランダムに配向したPTCDIを用いた比較例2の有機薄膜太陽電池よりも光電変換効率が向上した。
これは、実施例2の有機薄膜太陽電池では、基板に平行に配向したPTCDIは、π-πスタッキングにより基板に垂直方向に電子が移動しやすくなり、これにより有機薄膜太陽電池の光電変換効率が向上したと考えられる。
実施例3
ガラス上に幅2mm、長さ38mmの透明導電膜を2本形成した基板(13mm×38mm×0.7mm)を用い、これを180℃に加熱し、導電性ポリマーであるポリアニリン粉末を圧縮成形して得た断面が1mm×10mmの半円形のペレットを2.1MPaの圧力で該基板に押圧して、基板長辺方向に沿って1m/minの掃引速度で掃引し、基板上に膜厚約2nm、幅10mmのポリアニリンの配向薄膜を形成した。
次いで、p型半導体である銅フタロシアニン約50mgを直径10mm、長さ30mmの石英ルツボに入れ、真空チャンバー内で、ルツボの上方約30cmのところに上記基板をホルダーに固定した。次いで、真空チャンバーを2×10-4Paの圧力に脱気し、水晶振動子で膜厚をモニターしながら、膜厚が50nmになるように1〜3nm/minの蒸着速度で室温に保った基板に銅フタロシアニンを蒸着した。
銅フタロシアニンを蒸着した基板を一度真空チャンバーから取り出し、銅フタロシアニン薄膜上に、n型半導体であるN,N’-ビス(2,6-ジメチルフェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミドの1.0wt%クロロベンゼン溶液を滴下し、2000回転/分で90秒の条件でスピンコートすることで、厚さ約30nmのN,N’-ビス(2,6-ジメチルフェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド膜を形成した。
真空チャンバー内において、基板ホルダーを幅2mm、長さ25mmのスリットが3本入ったマスクの直上に設置し、マグネシウム約100mgを入れたタンタル製ボートと、銀約50mgを入れたタングステン製ボートを共に基板ホルダーの下方30cmの位置となるよう、真空チャンバー内に設置した。
真空チャンバーを2×10-4Paの圧力に脱気し、N,N’-ビス(2,6-ジメチルフェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド膜を形成した基板に対して、スリットを介してマグネシウムを9〜15nm/minの蒸着速度で、銀を0.9〜1.5nm/minの蒸着速度で共蒸着して50nm堆積させて金属電極を形成した。なお、マスクのスリットは、基板の透明電極と直交するように設置した。
こうして得た有機薄膜太陽電池素子を真空チャンバーより取り出した。透明電極と金属電極は直交しており、直交部分の面積は2×2mm2だった。窒素置換したグローブBOX中で、エポキシ系接着剤を塗布したガラス板(26mm×9mm×0.8mm)を有機薄膜太陽電池素子上に設置し、封止した。
こうして封止した有機薄膜太陽電池について、実施例1と同様にして光電変換効率を算出したところ、3.0×10-1%となった。
比較例3
ガラス上に幅2mm、長さ38mmの透明導電膜を2本形成した基板(13mm×38mm×0.7mm)の上に、導電性ポリマーであるポリアニリンの0.30wt%N-メチルピロリドン溶液を滴下し、2500回転/分で60秒の条件でスピンコートすることで、厚さ約2nmのポリアニリン膜を形成した。
この様にしてポリアニリン膜を形成した後、銅フタロシアニン薄膜を蒸着する操作以降を実施例3と同様にして行い、エポキシ系接着剤を塗布したガラス板で封止した有機薄膜太陽電池を得た。得られた有機薄膜太陽電池について、実施例1と同様にして光電変換効率を測定したところ、2.0×10-2%となった。
以上の実施例3及び比較例3の結果から明らかなように、ポリアニリン配向膜上に、銅フタロシアニンを蒸着させて得た薄膜を用いて有機薄膜太陽電池を形成した場合には(実施例3)、スピンコート法で形成した無配向のポリアニリン薄膜上に銅フタロシアニンを蒸着させて得た薄膜を用いた比較例3の有機薄膜太陽電池よりも光電変換効率が向上した。
これは、実施例3の有機薄膜太陽電池では、銅フタロシアニンが基板に平行に配向し、π-πスタッキングにより基板に垂直方向に正孔が移動しやすくなり、これにより光電変換効率が向上したと考えられる。
実施例4
ガラス上に幅2mm、長さ38mmの透明導電膜を2本形成した基板(13mm×38mm×0.7mm)を用い、これを100℃に加熱し、p型半導体であるpoly(2,5-dioctyloxy-1,4-
phenylenevinylene) (DOPPV)粉末を圧縮成形して得た断面が1mm×10mmの半円形のペレットを2.94MPaの圧力で該基板に押圧して、基板長辺方向に沿って1m/minの掃引速度で掃引し、基板上に膜厚約30nm、幅10mmのDOPPVの配向薄膜を形成した。
次いで、n型半導体であるテトラピリジルポルフィリン約60mgを直径10mm、長さ30mmの石英ルツボに入れ、真空チャンバー内で、該ルツボの上方約30cmのところに上記基板をホルダーに固定した。次いで、真空チャンバーを3×10-4Paの圧力に脱気し、水晶振動子で膜厚をモニターしながら、膜厚が35nmになるように1〜4nm/minの蒸着速度で室温に保った基板にテトラピリジルポルフィリンを蒸着した。
真空チャンバー内において、基板ホルダーを幅2mm、長さ25mmのスリットが3本入ったマスクの直上に設置し、マグネシウム約100mgを入れたタンタル製ボートと、銀約50mgを入れたタングステン製ボートを共に基板ホルダーの下方30cmの位置となるよう、真空チャンバー内に設置した。真空チャンバーを2×10-4Paの圧力に脱気し、テトラピリジルポルフィリン膜を形成した基板に対して、スリットを介してマグネシウムを9〜15nm/minの蒸着速度で、銀を0.9〜1.5nm/minの蒸着速度で共蒸着して50nm堆積させて金属電極とした。なお、マスクのスリットは、基板の透明電極と直交するように設置した。
こうして得た有機薄膜太陽電池素子を真空チャンバーより取り出した。透明電極と金属電極は直交しており、直交部分の面積は2×2mm2だった。窒素置換したグローブBOX中で、エポキシ系接着剤を塗布したガラス板(26mm×9mm×0.8mm)を有機薄膜太陽電池素子上に設置し、封止した。
こうして封止をした有機薄膜太陽電池について、実施例1と同様にして光電変換効率を算出したところ、0.10%となった。
比較例4
ガラス上に幅2mm、長さ38mmの透明導電膜を2本形成した基板(13mm×38mm×0.7mm)の上に、p型半導体であるpoly(2,5-dioctyloxy-1,4-phenylenevinylene) (DOPPV)の1.5wt%水溶液を滴下し、1000回転/分で30秒の条件でスピンコートすることで、厚さ約30nmのDOPPV膜を形成した。
この様にしてDOPPV膜を形成した後、テトラピリジルポルフィリンを蒸着する操作以降を実施例4と同様にして行い、エポキシ系接着剤を塗布したガラス板で封止した有機薄膜太陽電池を得た。得られた有機薄膜太陽電池について、実施例1と同様にして光電変換効率を測定したところ、0.073%となった。
以上の実施例4及び比較例4の結果から明らかなように、DOPPV配向膜上にテトラピリジルポルフィリンを蒸着させて得た薄膜を用いて有機薄膜太陽電池を形成した場合には(実施例4)、スピンコート法で形成した無配向のDOPPV膜上にテトラピリジルポルフィリンを蒸着させて得た薄膜を用いた比較例4の有機薄膜太陽電池よりも光電変換効率が向上した。
これは、実施例4の有機薄膜太陽電池では、テトラピリジルポルフィリンが基板に平行に配向し、π-πスタッキングにより基板に垂直方向に電子が移動しやすくなり、これにより有機薄膜太陽電池の光電変換効率が向上したと考えられる。
実施例5
ガラス上に幅2mm、長さ38mmの透明導電膜を2本形成した基板(13mm×38mm×0.7mm)の上に、正孔注入剤であるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルフォネート)(PEDOT:PSS, Baytron P AI 4083)を滴下し、3000回転/分で90秒の条件でスピンコートすることで、厚さ約45nmのPEDOT:PSS膜を形成した。
一方、p型半導体であるコポリマー、poly(4-(3,4'-dihexyl-2,2'-bithiophen-5-yl)-7-(5'-(9,9-dioctyl-9H-fluoren-2-yl)-3,4'-dihexyl-2,2'-bithiophen-5-yl)benzo[c][1,2,5]-thiadiazole) (F8TTBTT)粉末を圧縮成形して断面が1mm×10mmの半円形のペレット状とし、これを100℃に加熱した上記基板のPEDOT:PSS膜上に1.96MPaの圧力で押圧して、基板長辺方向に沿って1m/minの掃引速度で掃引し、基板上に膜厚約40nm、幅10mmのF8TTBTTの配向薄膜を形成した。
次いで、n型半導体であるフッ素化フタロシアニン(F16CuPc)約30mgを直径10mm、長さ30mmの石英ルツボにいれ、正孔ブロック材料であるバトクプロイン(BCP)約30mgを直径10mm、長さ30mmの別の石英ルツボに入れ、真空チャンバー内で、これらのルツボの上方約20cmのところに上記基板をホルダーに固定した。基板ホルダーは真空チャンバー内で搬送することができ、フッ化リチウム約30mgを入れた蓋付タングステンボートと、アルミニウム約0.5gを入れたタングステン製フィラメントバスケットを共に、基板ホルダーの下方20cmの位置となるよう、真空チャンバー内に設置した。
真空チャンバーを8×10-5Paの圧力に脱気し、水晶振動子で膜厚をモニターしながら、膜厚が30nmになるように0.5〜2.0nm/minの蒸着速度で室温に保った基板にF16CuPcを蒸着した。次に、水晶振動子で膜厚をモニターしながら、膜厚が10nmになるように、BCPを1〜5nm/minの蒸着速度で室温に保った基板に蒸着した。次いで、幅2mm、長さ25mmのスリットが3本入ったマスクの直上に基板ホルダーを搬送し、スリットを介してフッ化リチウムを0.6nm/min以下の蒸着速度で基板に0.5nm堆積させ、最後にAlを5〜15nm/minの蒸着速度で基板に100nm堆積させ、金属電極を形成した。なお、マスクのスリットは、基板の透明電極と直交するように設置した。
こうして得た有機薄膜太陽電池素子を真空チャンバーより取り出した。透明電極と金属電極は直交しており、直交部分の面積は2×2mm2だった。窒素置換したグローブBOX中で、エポキシ系接着剤を塗布したガラス板(26mm×9mm×0.8mm)を有機薄膜太陽電池素子上に設置し、封止した。
こうして封止をした有機薄膜太陽電池について、実施例1と同様にして光電変換効率を算出したところ、0.21%となった。
比較例5
ガラス上に幅2mm、長さ38mmの透明導電膜を2本形成した基板(13mm×38mm×0.7mm)の上に、正孔注入剤であるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルフォネート)(PEDOT:PSS, Baytron P AI 4083)を滴下し、3000回転/分で90秒の条件でスピンコートすることで、厚さ約45nmのPEDOT:PSS膜を形成した。次いで、p型半導体であるコポリマー(F8TTBTT)の1.2wt%クロロベンゼン溶液を滴下し、2000回転/分で60秒の条件でスピンコートし、次いで真空中で130℃、一時間加熱することで、厚さ約40nmのF8TTBTT薄膜を形成した。
この様にして基板上にF8TTBTT薄膜を形成した後、n型半導体であるフッ素化フタロシアニン(F16CuPc)を蒸着する操作以降を実施例5と同様にして行い、エポキシ系接着剤を塗布したガラス板で封止した有機薄膜太陽電池を得た。得られた有機薄膜太陽電池について、実施例1と同様にして光電変換効率を測定したところ、0.068%となった。
以上の実施例5及び比較例5の結果から、p型半導体であるF8TTBTT配向膜上に真空蒸着法で堆積させたn型半導体である(F16CuPc)は、フタロシアニン骨格が基板に平行に配向しており、この薄膜を用いて有機薄膜太陽電池を形成した場合には(実施例5)、スピンコート法で形成したF8TTBTT膜上に、ランダムに配向したF16CuPc を用いた比較例5の有機薄膜太陽電池よりも光電変換効率が向上した。
これは、実施例5の有機薄膜太陽電池では、F16CuPcが基板に平行に配向し、π-πスタッキングにより基板に垂直方向に電子が移動しやすくなり、これにより有機薄膜太陽電池の光電変換効率が向上したと考えられる。

Claims (7)

  1. 透明電極が形成された透明基板上に、導電性高分子化合物が一定方向に配向したポリマー層と、該ポリマー層上に形成され、該導電性高分子化合物と同一方向に配向したp型有機半導体化合物又はn型有機半導体化合物からなる有機半導体層を有する、有機薄膜太陽電池。
  2. 導電性高分子化合物が、鎖状のπ共役系又はσ共役系の導電性高分子化合物である請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
  3. 有機半導体層を形成するp型有機半導体化合物及びn型有機半導体化合物が、平面状又は鎖状のπ共役系有機半導体化合物である請求項1又は2に記載の有機薄膜太陽電池。
  4. 下記(1)〜(3)のいずれかの構成を有する請求項1〜3のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池:
    (1) 透明電極が形成された透明基板/(必要に応じて正孔注入材層)/p型半導体の性質を有さない導電性高分子化合物による配向したポリマー層/p型有機半導体化合物の蒸着層/n型有機半導体化合物のスピンコート層/(必要に応じて正孔ブロック材層)/金属電極、
    (2) 透明電極が形成された透明基板/(必要に応じて正孔注入材層)/p型導電性高分子化合物による配向したポリマー層/n型有機半導体化合物の蒸着層/(必要に応じて正孔ブロック材層)/金属電極
    (3) 透明電極が形成された透明基板/(必要に応じて正孔注入材層)/p型導電性高分子化合物による配向したポリマー層/p型有機半導体化合物の蒸着層/n型有機半導体化合物のスピンコート層/(必要に応じて正孔ブロック材層)/金属電極。
  5. 透明電極が形成された透明基板上に、導電性高分子化合物が基板に平行方向に一定方向に配向したポリマー層を形成し、次いで、該ポリマー層上に、真空蒸着法によって、p型半導体又はn型半導体としての性質を有する有機半導体化合物の層を形成する工程を含む、請求項1〜4のいずれかに記載された有機薄膜太陽電池の製造方法。
  6. 導電性高分子化合物が基板に平行に一定方向に配向したポリマー層を形成する方法が、鎖状のπ共役系又はσ共役系の導電性高分子化合物の固形成形体を、透明電極が形成された透明基板に一定圧力で押しつけて一定方向に掃引する方法である、請求項5に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
  7. p型半導体又はn型半導体としての性質を有する有機半導体化合物が、鎖状又は平面状のπ共役系有機化合物である請求項5又は6に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018170383A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 新日鉄住金化学株式会社 有機電界発光素子用材料及びこれを用いた有機電界発光素子
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JP2019140316A (ja) * 2018-02-14 2019-08-22 国立大学法人京都工芸繊維大学 有機半導体結晶層と導電性ポリマー配向膜を有する積層体、それを含むデバイス及びそれらの製造方法

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