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JP2012111849A - 微細繊維状セルロースの製造方法、微細繊維状セルロースシートの製造方法及び微細繊維状セルロース複合体 - Google Patents

微細繊維状セルロースの製造方法、微細繊維状セルロースシートの製造方法及び微細繊維状セルロース複合体 Download PDF

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JP2012111849A
JP2012111849A JP2010261995A JP2010261995A JP2012111849A JP 2012111849 A JP2012111849 A JP 2012111849A JP 2010261995 A JP2010261995 A JP 2010261995A JP 2010261995 A JP2010261995 A JP 2010261995A JP 2012111849 A JP2012111849 A JP 2012111849A
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JP2010261995A
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Takeshi Bansashi
豪 盤指
真代 ▲高▼崎
Masayo Takasaki
Makoto Iwasaki
誠 岩崎
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

【課題】繊維幅が1nm〜1000nmの微細繊維状セルロースを収率高く製造する方法、およびこの微細繊維状セルロースを用いた微細繊維状セルロースシートの製造方法、さらに、この微細繊維状セルロースに高分子を含浸し硬化させた微細繊維状セルロース複合体の退色性(200℃で加熱後のYI値で評価)も低い、透明な複合材料を製造する方法を提供する。
【解決手段】木粉を脱脂、脱リグニン、脱ヘミセルロース処理した後、漂白処理して残留するリグニンを除去した後、セルラーゼ系酵素で処理し、それを高速回転式解繊機または高圧ホモジナイザーで機械的に解繊することによって、収率が高く、しかも高分子と複合化した複合体の退色の少ない(加熱後のYI値が低い)微細繊維状セルロースが製造できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、化学処理した木粉を酵素処理した後、機械的に解繊することによって、繊維幅が1nm〜1000nmの微細繊維状セルロースを容易に得ることができる微細繊維状セルロースの製造方法、微細繊維状セルロースシートの製造方法及び微細繊維状セルロース複合体に関するもので、具体的には、着色の少ない微細繊維状セルロース複合体を提供可能な製造方法に関するものである。
近年、物質をナノメートルサイズの大きさにすることによりバルクや分子レベルとは異なる物性を得ることを目的としたナノテクノロジーが注目されている。一方で、石油資源の代替および環境意識の高まりから再生産可能な天然繊維の応用にも注目が集まっている。
天然繊維の中でもセルロース繊維、とりわけ木材由来のセルロース繊維(パルプ)は主に紙製品として幅広く使用されている。紙に使用されるセルロース繊維の幅は10〜50μmのものがほとんどである。このようなセルロース繊維から得られる紙(シート)は不透明であり、不透明であるが故に印刷用紙として幅広く利用されている。一方、セルロース繊維をレファイナーやニーダー、サンドグラインダーなどで処理(叩解、粉砕)し、セルロース繊維を微細化(ミクロフィブリル化)すると透明紙(グラシン紙等)が得られる。しかし、この透明紙の透明性は半透明レベルであり、光の透過性は高分子フィルムに比べると低く、曇り度合い(ヘーズ値)も大きい。
また、セルロース繊維は弾性率が高く、熱膨張率の低いセルロース結晶の集合体であり、セルロース繊維を高分子とコンポジット化することによって耐熱寸法安定性が向上するため、積層板などに利用されている。ただし、通常のセルロース繊維は結晶の集合体であり、筒状の空隙を有する繊維であるため寸法安定性には限界がある。
セルロース繊維を機械的に粉砕し、その繊維幅を50nm以下とした微細繊維状セルロースの水分散液は透明である。他方、微細繊維状セルロースシートは空隙を含むため白く乱反射し、不透明性が高くなるが、微細繊維状セルロースシートに高分子樹脂を含浸すると前記空隙が埋まるため、透明なシートが得られる。さらに、微細繊維状セルロースシートの繊維はセルロース結晶の集合体で、非常に剛直であり、また、繊維幅が小さいため、通常のセルロースシート(紙)に比べると同質量において繊維の本数が飛躍的に多くなる。そのため、高分子とコンポジット化すると高分子中で細い繊維がより均一かつ緻密に分散し、耐熱寸法安定性が飛躍的に向上する。また、繊維が細いため透明性が高い。このような特性を有する微細繊維状セルロースのコンポジットは、有機ELや液晶ディスプレイ用のフレキシブル透明基板(曲げたり折ったりすることのできる透明基板)として非常に大きな期待が寄せられている。
ただし、微細繊維状セルロースを用いて高分子と複合化し、透明基板が得られても、実際のデバイス化工程では、数回の加熱(170〜240℃程度)処理が必須である。加熱処理をすると、微細繊維状セルロースに残留する微量のリグニン、ヘミセルロースあるいはセルロースの還元末端基あるいは抽出成分が反応することによって着色するという問題があり、その指標としてYI値(Yellowing Index)が定められている。前記着色を防止するため、予め微細繊維状セルロースを製造する工程で、原料中に残留する微量のリグニン、ヘミセルロース、セルロースの還元末端基あるいは抽出成分を限りなく除去するか、またはそれらの含有量が少ない原料を選ぶことが、製造上求められている。
前記原料中に残留する微量のリグニン、ヘミセルロース、セルロースの還元末端基あるいは抽出成分を限りなく除去するにあたっては、セルロースは木材の中では層構造となっており、さらにリグニンやヘミセルロースといった成分と化学的に結合しているため、機械的な粉砕処理のみでは、それらは除去できない。そのため、そのような繊維と高分子とを複合化し、数時間の加熱(170〜240℃程度)処理を経た最終製品では、退色が起こってYI値が高くなり、しかも最大繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースを得ることが困難となる。そのため、化学的あるいは生物学的処理と機械的粉砕処理とを組合せた方法が一般に使用されている。
この組合せの方法としては、非特許文献1には、パルプを軽度に加水分解し、濾過水洗後、乾燥、粉砕して一部非晶領域を含むセルロース微粒子の製造方法や精製パルプを塩酸または硫酸で加水分解して結晶領域のみを残して微粉化する技術が開示されている。しかしながら、微細化のレベルは充分ではなく、得られた微細繊維状セルロースの水系懸濁液の透明性も不十分である。
また、特許文献1には、セルラーゼやキシラナーゼなどの酵素や薬品処理で前処理した繊維状セルロースを振動ミルで湿式粉砕し、水保持力210%以上の微細繊維状セルロースを得る技術が開示されている。しかし、この方法では微細化が十分に進まないという問題があり、また、酵素反応の効率が依然として低く、生産性の高い微細繊維状セルロースの製造方法とはいえない。
非特許文献2には、2.5N塩酸で精製した微結晶セルロースにTrichoderma EG IIを作用させて攪拌しならが40℃3日間処理すると、フィブリル化した微結晶繊維が得られ、フィブリル化した繊維の幅は11nm、長さは2300nmであった。しかし、このフィブリル化した繊維は凝集しており、バラバラになっていない。したがって、前記微細繊維状セルロースをシート化することは困難であり、工業的に利用が難しい。
特許文献2には、セルロース繊維を水中に分散させた後、レファイナーや石臼式粉砕機で予備解繊し、温度105〜160℃で蒸煮処理した後に、セルラーゼやキシラナーゼ、ヘミセルラーゼなどの酵素で処理し、その後、高圧ホモジナイザーや二軸混練機などでナノファイバーを製造する技術が開示されている。この方法ではナノファイバーは得られるものの、生産効率(ミクロフィブリル化の収率)が低いという問題がある。
特許文献3に、ミクロフィブリルセルロースの凝集体あるいはミクロフィブリルセルロースそのものに、攪拌などの処理によって部分的に物理的な緩みを生じさせ、酵素のセルロースへの浸透性を向上させると同時に緩みを生じた非晶部分にエンドグルカナーゼを作用させることによって、ミクロフィブリルセルロースをさらにフィブリル化して、より細いセルロースナノファイバーを得る技術が開示されている。しかしながら、このナノファイバーを高分子で複合化し、加熱前および過熱後のYI値については、全く開示されていない。
特許文献4に、セルロース系の繊維原料を湿式で離解する工程、離解された繊維原料を粗繊維化する予備解繊工程、予備解繊された繊維原料に超音波を印加して微細繊維化する超音波処理工程の順番で微細化する製造方法で、超音波処理工程が終了するまでのいずれかの時点で繊維原料に酵素を作用させる技術が開示されている。しかし、酵素処理の効果が顕著ではなく、微細化の効率も低い。
特許文献5に、ヘミセルロースを含むパルプをヘミセルラーゼまたはセルラーゼあるいはその混合物で処理し、得られたパルプを精製(解繊)してミクロフィブリル化する技術が開示されているが、解繊効率が低いという問題がある。さらに、得られたナノファイバーを高分子で複合化し、加熱前および過熱後のYI値については、全く開示されていない。
特許文献6や特許文献7には、N−オキシル化合物および臭化物/ヨウ化物の存在下で、酸化剤を用いて広葉樹や針葉樹のパルプなどのセルロース系原料を酸化して、酸化されたセルロースを湿式微粒化処理し、そのセルロースナノファイバーを製紙用添加剤に用いて印刷用紙を製造する方法が記載されている。しかしながら、この方法では、セルロース繊維表面に親水基が導入されるので、疎水性高分子の含浸が問題になる。
木粉を原料として、それを脱脂し、亜塩素酸ナトリウムと酢酸で脱リグニンし、洗浄、脱ヘミセルロースした後、微細化して微細繊維状セルロースを製造する方法が提案されている(特許文献8)。また、木粉を原料として、亜塩素酸ナトリウムと酢酸で脱リグニンし、洗浄、脱ヘミセルロースした後、酵素処理した後、微細化する微細繊維状セルロースを製造する方法が提案されている(特許文献9)。しかし、塩素化合物である亜塩素酸ナトリウムを使用するため、木粉表面のリグニンは効率よく除去されるものの、浸透性が悪いため木粉内部にあるリグニンは残留してしまい、その結果、YI値の低い微細繊維状セルロースは得にくく、また、亜塩素酸ナトリウムは塩素化合物であるため、反応後の排水中に有機塩素化合物が含まれ、環境上の問題が発生する。
山口章「セルロースの微粉化・ミクロフィブリル化」紙パルプ技術タイムス28巻9号5頁以下(1985年) 林徳子、渋谷源「セルロースの酵素による微細化法」Cellulose communications Vol.16(2),P73〜78(2009)
特開平6−10288号公報 特開2008−75214号公報 特開2008−150719号公報 特開2008−169497号公報 特表2009−526140号公報 特開2009−263850号公報 特開2009−263849号公報 特開2008−24788号公報 特開2010−216021号公報
本発明は、木粉を化学処理後に、酵素処理し、その後に機械的に微細化することによって、繊維幅が1nm〜1000nmの微細繊維状セルロースを簡便な方法で収率が高く、しかも得られた微細繊維状セルロースを多孔性のシート化する方法を提供する。また、前記シートに高分子を含浸して複合化した場合、加熱前後のYI値の低い複合体を提供するものである。
本発明者らは、木粉を脱脂、脱リグニン、脱ヘミセルロース、さらに二酸化塩素等の漂白剤で漂白する化学処理後に、セルラーゼ系酵素で処理を行ない、続いて、高速回転式解繊処理あるいは高圧ホモジナイザー処理などの微細化処理を行うことで、繊維幅が1nm〜1000nmの微細繊維状セルロースを収率高く得られることを見出し、さらに、前記微細繊維状セルロースをシート化し、高分子で複合化した微細繊維状セルロース複合体の色もどりの指標となるYI値を低くできることも見出し、発明を完成させた。
本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)木材チップを粉砕処理により木粉化し、前記木粉を脱脂処理、脱リグニン処理、脱ヘミセルロース処理、漂白処理した後、セルラーゼ系酵素による処理を行ない、高速回転式解繊機または高圧ホモジナイザーで微細化処理を行う微細繊維状セルロースの製造方法である。
(2)前記漂白処理が、二酸化塩素漂白処理である(1)に記載の微細繊維状セルロースの製造方法である。
(3)前記脱リグニン工程において、過酢酸または過酢酸と過硫酸の混合液、あるいは亜塩素酸ナトリウムと酢酸を用いるWise法から選択される少なくとも1種を用いる(1)または(2)に記載の微細繊維状セルロースの製造方法である。
(4)セルラーゼ系酵素の添加率が木粉固形分に対して0.1質量%〜3質量%であり、酵素による処理時間が30分〜24時間である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの製造方法である。
(5)(1)〜(4)のいずれかの方法により製造された微細繊維状セルロース水系分散液に有機溶媒を添加し、抄紙して乾燥し、多孔性を有するセルロースシートを得る微細繊維状セルロースシートの製造方法である。
(6)前記(5)の方法で製造された微細繊維状セルロースシートに高分子を含浸して得た微細繊維状セルロース複合体である。
本発明者らは、微細繊維状セルロースの収率向上、微細繊維状セルロースシートの多孔化および微細繊維状セルロースシートに高分子(マトリックス)を複合化した複合体の加熱前後のYI値を低く制御する方法を種々検討した。最初に針葉樹や広葉樹からの木粉を脱脂、脱リグニンおよび脱ヘミセルロースの各工程で種々の方法で化学処理を行なった後、高速回転式解繊機や高圧ホモジナイザー式解繊機、超音波式解繊機などで微細繊維化を試みたが、得られた微細繊維の収率は高いものが得られる半面、複合体のYI値は、加熱前は低いものの、加熱後は高くなるものがあり、微細繊維状セルロースの収率と複合体の加熱前後のYI値の両者を満足できる結果は得られなかった。次に、脱脂、脱リグニンおよび脱ヘミセルロース処理後に二酸化塩素で漂白し、前記のような方法で微細繊維化を行ったところ、微細繊維状セルロースの収率は大幅に低下したものの、複合体の加熱前後のYI値は大幅に向上した。
本発明者らは、さらに鋭意検討を続け、前記二酸化塩素処理等の漂白処理後に、セルラーゼ系酵素で処理を行ない、その後、前記のような方法で微細繊維化を行ったところ、驚くべきことに、非常に高い収率で微細繊維状セルロースが得られ、しかも複合体の加熱前後のYI値も低く制御できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
微細繊維化の収率と複合体の退色性の指標となる加熱処理後のYI値が飛躍的に向上したメカニズムについてはまだ完全には解明されてはいないが、本発明者らは以下のように考えている。木粉を二酸化塩素も含めた前記化学処理をすることにより、木材樹脂、リグニンおよびヘミセルロースが充分に除去され、精製されたセルロース繊維に酵素が吸着し易くなる。精製されたセルロース繊維の結晶部分は非常に結合が強固なため、酵素処理により構造が破壊されるのは主に非晶部分であると考えられる。その結果、酵素処理後のセルロース繊維には結晶部分が非常に多くなると推定される。このように非晶部分が分解したセルロース繊維を高速回転式解繊機や高圧ホモジナイザーで処理をすると、前記分解されたところをきっかけとして微細化され、容易にナノオーダーの繊維幅を有する微細繊維状セルロースを得ることができると考えられる。また、複合体のYI値が向上した理由としては、二酸化塩素等の漂白処理が加わることによって脱リグニンが促進されることやセルロースの還元末端基が酸化され、退色に寄与する成分が減少したためと推測される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においては、セルロース繊維を微細化するに当たり、繊維原料として植物由来のセルロース、動物由来のセルロース、バクテリア由来のセルロース等が挙げられ、より具体的には針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材系製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻や麦わら、バガス等の非木材系パルプ、あるいはホヤや海草等から単離されるセルロースが挙げられるが、入手し易く、安価である木材系原料(木材チップ)を木粉化して好適に使用される。前記木粉としては針葉樹の木粉や広葉樹の木粉などが挙げられ、なかでもベイマツやユーカリが好ましい。特にユーカリの植林木由来の原料は、材の均一性が高いので好ましい実施態様である。
本発明において使用可能である植林木由来のユーカリはグロブラス、グランディス、カマルドレンシス、ペリータ、サリグナ、ダニアイ、ナイテンス、カマルドレンシスとユーロフィラとのハイブリッド等から選択される少なくとも1種の材が挙げられる。
本発明において用いられる繊維原料としての木材チップは、通常パルプ製造に用いられる、例えばベイマツまたはユーカリチップ(厚みが2mm〜8mm)を含水率が10%以下になるように天日干しあるいは強制的に乾燥機で乾燥させた後、粉砕処理工程でチップを粉砕し、木粉を製造する。ここで、チップの粒径分布には特に制限はないが、厚みは2mm〜8mmのものが木粉化し易いので、好適に使用される。チップの含水率が10%超えると、最終の微細繊維状セルロースの結晶化度が大幅に低下するので、好ましくない。
本発明における木粉製造においては、粗粉砕機にはシュレッダー、カッターミルなどのせん断式粉砕機、ジュークラッシャーやコーンクラッシャーなどの圧縮式粉砕機、インパクトクラッシャーなどの衝撃式粉砕機、あるいはロールミル、スタンプミル、エッジランナーミル、ロッドミルなどの中砕機の中から、最終の用途やコストの点から適宜選択することができる。ここでは、特に粒径・形状を整える必要はなく、したがってスクリーンを用いることなく粉砕しても、問題はない。
粗粉砕後、分級することなく、前記木粉を微粉砕処理するが、微粉砕処理には自生粉砕ミル、竪型ローラーミル、高速回転ミル、分級機内蔵型高速回転ミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌式ミル、気流式粉砕機、圧密せん断ミルおよびコロイドミルなどがあるが、ジルコニューム製、アルミナ製、SUS製などのボールやロッドなどの媒体を用いて粉体化する衝撃方式が好ましい。
本発明において所望する微細繊維状セルロースを得るために、前記木粉を脱脂処理、脱リグニン処理、脱ヘミセルロース処理、漂白処理の順番に化学処理を行なう。
本発明において前記脱脂処理では、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、アルコール、アルコール−ベンゼンの1:2混合溶液であるアルベン、ベンゼン、脂肪酸のトリグリセリドを分解する酵素であるリパーゼなどを適宜用いることができ、常温で、攪拌しながら、あるいは高温高圧で処理する方法等が挙げられるが、薬剤としては安価で、かつ有機溶媒ではなく、さらに圧力容器を用いないで簡便に使用でき、しかも脱脂効率が高いという理由で炭酸ナトリウム法が好ましい。
脱リグニン処理の方法として過酢酸、過硫酸、過炭酸、過リン酸、次過塩素酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、過蟻酸、過プロピオン酸等の過酸法や亜塩素酸と酢酸を用いるWise法などが挙げられるが、本発明においては木材パルプの漂白にも使われ、扱い方が比較的容易な過酢酸、過酢酸と過硫酸の混合物あるいは亜塩素酸と酢酸を用いるWise法のいずれかを用いる方法が好ましい。(以下では上記過酢酸等の薬品類を脱リグニン剤と呼ぶことがある。)
過酢酸は過酸化水素のアセチル化またはアセトアルデヒドの自動酸化により製造し得るが、前者の方法が好ましい。その製法には、過酸化水素と氷酢酸を硫酸酸性条件下で反応させて製造する方法あるいは過酸化水素と無水酢酸を反応させて製造する方法があり、前者は平衡過酢酸と呼ばれ、工業用過酢酸として市販されているが、その組成の一例としては過酢酸42%、過酸化水素6%、酢酸37%、水14%、硫酸1%である。また、後者は、in situ法とも呼ばれ、その組成の一例としては過酢酸23%、過酸化水素8%である。さらには、前記過酢酸を共沸混合蒸留により得られる蒸留過酢酸水溶液も好ましく用いられる。
過硫酸には一過硫酸(カロ酸)、二過硫酸(マーシャル酸)があるが、効果および経済性の面から一過硫酸が好ましい。ここで、一過硫酸はペルオキシ二硫酸を加水分解して製造することもできるし、過酸化水素と硫酸を任意の割合で混合して製造することもできるが、その製造方法については特に限定するものではない。また、一過硫酸の複塩(2KHSO・KHSO・KSO)であるオキソンのようなものを使用することもできる。但し、経済性を考慮すると、高濃度の過酸化水素と高濃度の硫酸を混合して一過硫酸を製造し、使用するのが好ましい実施態様である。
高濃度の過酸化水素と高濃度の硫酸を混合して一過硫酸を製造する方法としては、20〜70質量%、好ましくは35〜60質量%濃度の過酸化水素水に80〜98質量%、好ましくは93〜96質量%の濃硫酸を滴下、混合する方法が好ましい。前記硫酸と過酸化水素の混合モル比は1:1〜5:1であり、好ましくは2:1〜4:1である。
本発明においては、前記過酢酸と過硫酸を併用することにより、得られる微細繊維状セルロース複合体のYI値を低くすることができるので、好ましい実施形態である。
過酢酸単独、過酢酸と過硫酸の混合液および亜塩素酸と酢酸を用いるWise法では、pHを4以下にできる濃度が好ましく、過酢酸と過硫酸の混合液ではpHを3以下にすると脱リグニン反応の進行が速まり、好ましい。脱脂された原料に対する前記脱リグニン剤の配合割合は50%〜500%が好ましく、さらには、90%〜250%が好ましい。脱リグニン処理時の温度は70℃〜99℃が好ましく、80℃〜98℃がさらに好ましく、90℃〜95℃が特に好ましい。温度が70℃未満であると脱リグニン反応の効率が低下し、色が着いた状態となり好ましくない。一方、99℃を超えると微細繊維化が困難となり好ましくない。処理時間は、過酢酸や過酢酸と過硫酸の混合液では0.5〜2時間が好ましく、Wise法では4〜6時間が好ましい。
本発明において前記脱ヘミセルロース化する方法としては、アルカリ金属の水酸化物の水溶液を用いて、室温で一晩浸漬処理したり、前記水溶液中で攪拌しながら高温で短時間処理したり、前記水溶液中で攪拌しながら高温高圧下で処理する方法などが挙げられる。なかでも用いる薬品としては安価で、常温常圧で使用でき、しかも脱ヘミセルロース反応の効率が高いという理由で水酸化カリウムが最も好ましい。
前記脱ヘミセルロース処理を施した木粉(以下パルプと略す)は、さらに酸化漂白剤または還元漂白剤を用いて漂白され、脱リグニン処理で除去されなかった残留リグニンの除去を行なう。ここで、酸化漂白剤として塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素、過酸化水素、酸素、オゾン、過酢酸が挙げられる。また、還元漂白剤としてハイドロサルファイト、ソジウムボロハイドライド、二酸化チオ尿素が挙げられる。これらの漂白剤のなかでも、脱リグニン効果も高く、パルプの白色度も高く維持できるため、二酸化塩素を用いて漂白することが好ましい。前記漂白剤の添加量はパルプあたり0.1〜10.0質量%であり、好ましくは0.5〜5.0質量%である。特に二酸化塩素漂白では、添加率はパルプあたり0.5〜4.0質量%であり、好ましくは1.0〜3.0質量%である。反応pHは、反応後でpH2〜6であり、好ましくは3〜5である。pHを調節するために公知の酸あるいはアルカリを二酸化塩素添加前、直後、あるいは同時に添加してもよい。二酸化塩素の添加方法は一括でも分割して添加しても構わない。処理温度は50〜99℃、好ましくは60〜90℃であり、処理時間は30〜360分間、好ましくは60〜240分であり、処理時のパルプ濃度は、1〜40%、好ましくは3〜15%である。
本発明においては前記のようにパルプ分散液を漂白処理した後、セルラーゼ系酵素による処理が施される。本発明で使用できるセルラーゼ系酵素は、セルロースのβ−1,4−グルコシド結合を加水分解によって開裂し、解重合を引き起こす酵素である。セルラーゼを産生する微生物は、好気性細菌、嫌気性細菌、また、動物や昆虫の消化器官に存在するルーメン細菌、さらに、放線菌、酵母、糸状菌(子嚢菌や担子菌など)などが挙げられ、それぞれ多様なセルラーゼを産生する。
セルラーゼ系酵素としては、トリコデルマ(Trichoderma、糸状菌)属、アクレモニウム(Acremonium、糸状菌)属、アスペルギルス(Aspergillus、糸状菌)属、ファネロケエテ(Phanerochaete、担子菌)属、トラメテス(Trametes、担子菌)属、フーミコラ(Humicola、糸状菌)属、バチルス(Bacillus、細菌)属、スエヒロタケ(Schizophyllum、担子菌)属、ストレプトミセス(Streptomyces、細菌)属、シュードモナス(Pseudomonas、細菌)属などが産生するセルラーゼ系酵素が挙げられる。このようなセルラーゼ系酵素は試薬や市販品として購入可能である。例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、セルラーゼ系酵素GC220(ジェネンコア社製)等が挙げられる。これらのセルラーゼ系酵素の中でも糸状菌セルラーゼ系酵素が好ましく、糸状菌セルラーゼ系酵素の中でもトリコデルマ菌(Trichoderma reesei、あるいはHyporea jerorina、糸状菌の一種である子嚢菌)が産生するセルラーゼ系酵素はセルラーゼ系酵素の種類が豊富で、産生性も高いため特に好ましい。
セルラーゼ系酵素は加水分解反応機能を有する触媒ドメインの高次構造に基づく糖質加水分解酵素ファミリーに分類される。一方、セルラーゼ系酵素はセルロース分解特性によってエンド型グルカナーゼ(endo−glucanase:EG)とセロビオヒドロラーゼ(cellobiohydrolase:CBH)に分類される。EGはセルロースの非晶部分や可溶性セロオリゴ糖、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体に対する加水分解性が高く、それらの分子鎖を内側からランダムに切断し、重合度を低下させる。しかし、EGは結晶性を有するセルロースミクロフィブリルへの反応性は低い。これに対して、CBHはセルロースの結晶部分を分解し、セロビオースを与える。また、CBHはセルロース分子の末端から加水分解し、エキソ型あるいはプロセッシブ酵素とも呼ばれる。
本発明においてはセルラーゼ系酵素としてEGおよびCBHのいずれも使用できる。それぞれを単体で用いてもよいし、EGとCBHを混合して使用してもかまわない。また、ヘミセルラーゼ系酵素と混合して用いてもかまわない。
本発明において使用できるヘミセルラーゼ系酵素とは、ヘミセルロースを加水分解する酵素である。ヘミセルラーゼ系酵素の中でもキシランを分解する酵素であるキシラナーゼ(xylanase)、マンナンを分解する酵素であるマンナーゼ(mannase)、アラバンを分解する酵素であるアラバナーゼ(arabanase)が挙げられる。また、ペクチンを分解する酵素であるペクチナーゼもヘミセルラーゼ系酵素として使用することができる。ヘミセルラーゼ系酵素を産生する微生物はセルラーゼ系酵素も産生する場合が多い。
ヘミセルロースは植物細胞壁のセルロースミクロフィブリル間にあるペクチン類を除いた多糖類である。ヘミセルロースは多種多様で植物の種類や細胞壁の壁層間でも異なる。木材においては針葉樹の2次壁ではグルコマンナンが主成分であり、広葉樹の2次壁では4−O−メチルグルクロノキシランが主成分である。そのため、針葉樹から微細繊維状セルロースを得るためにはマンナーゼを使用する方が好ましく、広葉樹の場合はキシラナーゼを使用する方が好ましい。
セルラーゼ系酵素のパルプに対する添加量は0.1質量%〜3質量%が好ましく、0.3質量%〜2.5質量%がより好ましい。添加量が0.1質量%未満であると酵素による解繊効率が低下するおそれがある。3質量%を超えて添加するとセルロースが糖化されて、微細繊維状セルロースの収率が低下するおそれがある。
セルラーゼ系酵素処理時のパルプスラリーのpHは弱酸性領域であるpH3.0〜6.9が好ましいが、セルラーゼ系酵素の種類により適宜最適なpH領域を選択してもよい。また、ヘミセルラーゼ系酵素処理時のパルプスラリーのpHは弱アルカリ性領域であるpH7.1〜10.0が好ましいが、ヘミセルラーゼ系酵素の種類により適宜最適なpH領域を選択してもよい。セルラーゼ系酵素あるいはヘミセルラーゼ系酵素の処理時の化学パルプのスラリー温度は30℃〜70℃が好ましく、35℃〜65℃がさらに好ましく、40℃〜60℃が特に好ましい。温度が30℃未満であると酵素活性が低下して処理時間が長くなるので好ましくない。温度が70℃を超えると酵素が失活するので好ましくない。処理時間は酵素の種類や温度、pHで調整するが、30分〜24時間処理が好ましい。処理時間が30分未満であると酵素処理の効果がほとんど発現しないおそれがある。24時間を超えると酵素によりセルロース繊維の分解が進みすぎて、得られる微細繊維状セルロースの加重平均繊維長が短くなりすぎるおそれがある。
なお、酵素が活性なままで残留していると前記のようにセルロース繊維の分解が進み過ぎるので、所定時間、酵素で反応させた後のパルプスラリーに20%の苛性ソーダをpHが12程度になるように添加して酵素を失活させるか、あるいはパルプスラリーの温度を90℃まで上昇させて、失活させる方法が通常とられる。苛性ソーダを加える方が簡便ではあるが、その後の洗浄段で脱水性が悪化するおそれがあるので、その対処が必要になる。水洗は、パルプの2から4倍量の水で行なうことによって、酵素はほとんど残留しなくなるので、好ましい。
前記酵素処理を施したパルプは水に分散され、水性懸濁液として微細化処理に供される。前記水性懸濁液の濃度としては0.1〜3質量%であることが好ましく、0.3〜1質量%であることがより好ましい。因みに、濃度が0.1質量%未満であると、後工程のセルロース解繊負荷低減効果がほとんどなくなるおそれがある。一方、濃度が3質量%を超えると、微細化処理中に粘度が上昇し過ぎ、取扱いが非常に困難になるおそれがある。
セルラーゼ系酵素で処理したパルプを解繊する方法としては、高圧ホモジナイザーや高速回転型解繊機が用いられる。高圧ホモジナイザー処理は加圧によって高速に加速されたパルプ分散液が急激な減圧により微細化するため、微細化の過程で分散液の粘度が急激に上昇して配管などが詰まったり、過剰な力で処理されるため、短繊維化され易いということがあるので注意深く処理条件を設定することが必要となる。また、高圧条件の圧力が低い場合や、高圧から減圧条件への圧力差が小さい場合には、解繊効率が下がり、所望の繊維幅とするための繰り返し噴出回数が多く必要となるため好ましくない。さらに、セルロース繊維分散液を噴出させる細孔の細孔直径が大き過ぎる場合にも、十分な解繊効果が得られず、この場合には、噴出処理を繰り返し行っても、所望の繊維幅のセルロース繊維が得られないおそれもある。セルロース繊維分散液の噴出は、必要に応じて複数回繰り返すことにより、微細化度を上げて所望の繊維幅のセルロース繊維を得ることができる。この繰り返し回数(パス数)は、通常1回以上、好ましくは3回以上で、通常20回以下、好ましくは15回以下である。パス数が多い程、微細化の程度を上げることができるが、過度にパス数が多いとコスト高となるため好ましくない。
かかる高圧ホモジナイザーの具体例としては、スギノマシン社製の「スターバースト」、イズミフードマシナリ社製の「高圧ホモゲナイザー」、Rannie社製の「ミニラボ8.3H型」に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、Microfluidics社製の「マイクロフルイダイザー」、吉田機械興業社製の「ナノマイザー」、スギノマシン社製の「アルティマイザー」、白水化学社製の「ジーナスPY」、日本ビーイーイー社製の「DeBEE2000」等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
一方、高速回転型解繊機を用いる場合、パルプ分散液を高速回転させながら狭い空隙を通すことにより高いせん断速度を発生させることができるため、ブレンダー処理のように単に高速回転させる方式と比べて微細化処理を効果的に行うことができるため、最も好ましい実施態様である。高速回転型解繊機は回転体と固定部の間の空隙に処理対象となるパルプ繊維を通過させて分散するタイプのもの、一定方向に回転する内側回転体の外側を逆に回転する外側回転体とを有し、内側回転体と外側回転体の間の空隙に処理対象となるパルプ繊維を通過させて分散するタイプのものが一般的である。かかる高速回転型解繊機としては例えば、エム・テクニック社製の「クレアミックス」、プライミクス社製の「TKロボミクス」、「フィルミックス」、大平洋機工社製の「マイルダー」、「キャビトロン」、「シャープフローミル」等が挙げられる。
本発明により得られる微細繊維状セルロースは、通常製紙用途で用いるパルプ繊維よりもはるかに細いセルロース繊維あるいは棒状粒子である。微細繊維状セルロースは結晶部分を含むセルロース分子の集合体であり、その結晶構造はI型(平行鎖)である。微細繊維状セルロースの幅は電子顕微鏡で観察して1nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは4nm〜100nmである。繊維の幅が1nm未満であると、セルロース分子として水に溶解しているため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が発現しなくなる。1000nmを超えると微細繊維とは言えず、通常のパルプに含まれる繊維にすぎないため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が得られない。微細繊維状セルロースに透明性が求められる用途であると、微細繊維の幅は、50nm以下が好ましい。これらの微細繊維状セルロースから得られる複合材料は密度が高く、緻密な構造体となるために強度が高く、セルロース結晶に由来した高い弾性率が得られることに加え、可視光の散乱が少ないため高い透明性も得られる。
前記のようにして得られた微細繊維状セルロースを用いて、微細繊維状セルロースシートにすることができる。これにより、高分子を含浸、あるいは高分子シートで挟んで微細繊維状セルロース複合体とすることができる。微細繊維状セルロースシートを分散液である解繊セルロース繊維を濾過することによって製造する場合、濾過に供される分散液の濃度は、0.05〜1.0質量%が好ましく、濃度が低すぎると濾過に膨大な時間がかかり、逆に濃度が高すぎると均一なシートが得られないため好ましくない。分散液を濾過する場合、濾過時の濾布としては、微細化したセルロース繊維は通過せず、かつ濾過速度が遅くなりすぎないことが重要である。このような濾布としては、有機ポリマーからなるシート、織物、多孔膜が好ましい。有機ポリマーとしてはポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。具体的には孔径0.1〜20μm、例えば1μmのポリテトラフルオロエチレンの多孔膜、孔径0.1〜20μm、例えば1μmのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられる。
また、微細繊維状セルロースを含む水系懸濁液からシートを製造する方法として、例えば特願2009−173136に記載の微細繊維を含む分散液を無端ベルトの上面に吐出し、吐出された前記分散液から分散媒を搾水してウェブを生成する搾水セクションと、前記ウェブを乾燥させて繊維シートを生成する乾燥セクションとを備え、前記搾水セクションから前記乾燥セクションにかけて前記無端ベルトが配設され、前記搾水セクションで生成された前記ウェブが前記無端ベルトに載置されたまま前記乾燥セクションに搬送される製造装置を用いる方法等が挙げられる。
本発明において使用できる脱水方法としては紙の製造で通常に使用している脱水方法が挙げられ、長網、円網、傾斜ワイヤーなどで脱水した後、ロールプレスで脱水する方法が好ましい。また、乾燥方法としては紙の製造で用いられている方法が挙げられ、例えば、シリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、熱風乾燥、赤外線ヒーターなどの方法が好ましい。
微細繊維状セルロースシートはその製造方法により、様々な空隙率を保持せしめることができる。空隙率の大きなシートを得る方法としては、濾過による製膜工程において、シート中の水を最後にアルコール等の有機溶媒に置換する方法を挙げることができる。これは、濾過により水を除去し、セルロース含量が5〜99質量%になったところでアルコール等の有機溶媒を加えるものである。あるいは、微細繊維状セルロース分散液を濾過装置に投入した後、アルコール等の有機溶媒を分散液の上部に静かに投入することによっても置換することができる。微細繊維状セルロースシートに高分子を含浸させて複合体を得る場合には、空隙率が小さいと高分子が含浸されにくくなるため、10体積%以上、好ましくは20体積%以上の空隙率があることが好ましい。ここで用いるアルコール等の有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル等のアルコール類の他、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、トルエン、四塩化炭素等の1種又は2種以上の有機溶媒が挙げられる。前記有機溶媒として非水溶性有機溶媒を用いる場合は、水溶性有機溶媒との混合溶媒にするか水溶性有機溶媒で置換した後、非水溶性有機溶媒で置換することが好ましい。
空隙率を制御する方法として、前記のアルコール等より沸点の高い溶媒を混合させ、その溶媒の沸点より低い温度で乾燥させる方法が挙げられる。この場合は、必要に応じて、乾燥後に残っている高沸点の溶媒を、他の溶媒に置換した後に、高分子を含浸させる。濾過によって溶媒を除去したセルロース繊維シートは、その後、乾燥を行うが、場合によっては乾燥を行わずに次の工程に進んでも構わない。すなわち、加熱処理した分散液である微細繊維状セルロースを濾過して、次に高分子を含浸する場合、乾燥工程を経ずそのまま高分子を含浸することもできる。また、分散液である解繊セルロース繊を濾過して、そのシートを加熱処理する場合にも、乾燥工程を経ずに行うこともできる。
しかし、空隙率、膜厚の制御、シートの構造をより強固にする意味でも、乾燥は行った方が好ましい。この乾燥は、送風乾燥、減圧乾燥、加圧乾燥、あるいは加熱乾燥しても構わない。加熱する場合、温度は、80℃〜150℃が好ましい。加熱温度が低すぎると乾燥に時間がかかったり、乾燥が不十分になるおそれがあり、逆に高すぎるとセルロース繊維シートが着色したり、セルロースが分解したりするおそれがある。また、加圧する場合は、0.1〜1MPaが好ましい。圧力が低すぎると乾燥が不十分になるおそれがあり、高すぎるとセルロースの平面構造体がつぶれたり、セルロースが分解する可能性がある。微細繊維状セルロースシートの厚みには特に限定はないが、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。又、通常1000μm以下、好ましくは5〜250μmである。
本発明の微細繊維状セルロース複合体は、前記で得られた微細繊維状セルロースシートと、セルロース以外の高分子(=マトリックス材料)とを複合化させたものである。ここでマトリックス材料とは、セルロース繊維シートと貼り合わせたり、空隙を埋めたり、造粒したセルロース繊維粒子を混練する高分子材料またはその前駆体(例えばモノマー)のことをいう。このマトリックス材料として好適であるのは、加熱することにより流動性のある液体になる熱可塑性樹脂、加熱により重合する熱硬化性樹脂、紫外線や電子線などを照射することにより重合硬化する光(活性エネルギー線)硬化性樹脂等から少なくとも1種の樹脂(高分子材料)またはその前駆体(いわゆるモノマー、オリゴマー)である。それらの熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂の各前駆体などを、微細繊維状セルロースのシートに含浸させ、加熱あるいは光で重合、硬化させることによって微細繊維状セルロース複合体を得ることができる。
本発明においては、以下のマトリックス材料(高分子材料またはその前駆体)のうち、高分子材料、または前駆体の場合にはその重合体が、非晶質でガラス転移温度(Tg)の高い合成高分子であるものが、透明性に優れた高耐久性のある微細繊維状セルロース複合体を得る上で好ましい。このうち非晶質の程度としては、結晶化度で10%以下、特に5%以下であるものが好ましく、また、Tgは110℃以上、特に120℃以上、とりわけ130℃以上のものが好ましい。Tgが低いと例えば熱水等に触れた際に変形するおそれがあり、実用上問題が生じる。
本発明において、微細繊維状セルロースシートに複合化させるセルロース以外のマトリックス材料を以下に例示するが、本発明で用いるマトリックス材料は何ら以下のものに限定されるものではない。すなわち、熱可塑性樹脂には、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の前駆体が挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂には、前記熱硬化性樹脂の説明で例示したエポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂等の前駆体が挙げられる。
微細繊維状セルロースシートとマトリックス材料(高分子)との複合化の方法としては、次の(a)〜(g)の方法が好ましく挙げられる。
(a)微細繊維状セルロースシートに液状の熱可塑性樹脂前駆体を含浸させて重合する方法
(b)微細繊維状セルロースシートに熱硬化性樹脂前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を含浸させて重合硬化させる方法
(c)微細繊維状セルロースシートに樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選択される1種以上の溶質を含む溶液)を含浸させて乾燥した後、加熱プレス等で密着させ、必要に応じて重合硬化する方法
(d)微細繊維状セルロースシートに熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法
(e)熱可塑性樹脂シートと微細繊維状セルロースシートを交互に配置し、加熱プレス等で密着させる方法
(f)微細繊維状セルロースシートの片面もしくは両面に液状の熱可塑性樹脂前駆体や熱硬化性樹脂前駆体もしくは光硬化性樹脂前駆体を塗布して重合硬化させる方法
(g)微細繊維状セルロースシートの片面もしくは両面に樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選択される1種以上の溶質を含む溶液)を塗布して溶媒を除去後、必要に応じて重合硬化することにより複合化する方法
本発明の微細繊維状セルロース複合体を形成するための硬化性組成物は、公知の方法で重合硬化させることができる。中でも簡便な方法としては、熱硬化、又は放射線硬化等が挙げられるが、放射線硬化の中では、好ましくは光硬化である。特に、波長が200nm〜450nm程度の光が好ましく、さらに好ましくは波長が250〜400nmの紫外線である。具体的には、予め硬化性組成物に加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤を添加しておき、加熱して重合させる方法(以下「熱重合」という場合がある)、予め硬化性組成物に紫外線等の放射線によりラジカルを発生する光重合開始剤を添加しておき、放射線を照射して重合させる方法(以下「光重合」という場合がある)、および熱重合開始剤と光重合開始剤を併用して予め添加しておき、熱と光の組み合わせにより重合させる方法が挙げられるが、本発明においては光重合がより好ましい。
光重合開始剤としては、通常、ベンゾフェノンなどに代表される光ラジカル発生剤が用いられる。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。光重合開始剤の配合量は、硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計を100質量部としたとき、好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上である。その上限は、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下である。配合量が多すぎると、重合が急激に進行し、得られる硬化物の複屈折を大きくするだけでなく、色相も悪化する。
硬化に際して照射する放射線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範囲であれば任意であるが、極端に少ない場合は重合が不完全となるため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されず、逆に極端に過剰な場合は硬化物の黄変等の光による劣化を生じるので、モノマーの組成及び光重合開始剤の種類、量に合わせて、波長300〜450nmの紫外線を、好ましくは0.1J/cm以上200J/cm以下の範囲で照射する。更に好ましくは1J/cm以上20J/cmの範囲で照射する。放射線を複数回に分割して照射すると、より好ましい。すなわち1回目に全照射量の1/20〜1/3程度を照射し、2回目以降に必要残量を照射すると、複屈折のより小さな硬化物が得られる。使用する紫外線ランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、紫外線LEDランプ等を挙げることができる。
このようにして製造したセルロース繊維複合体を複数枚重ねて積層体を得ることもできる。その際、セルロース繊維を含む複合体と含まない高分子シートを積層してもよい。あるいはセルロース複合体同士や高分子シートとセルロース複合体を接合させるために、接着剤を塗布したり接着シートを介在させてもよい。また、積層体に加熱プレス処理を加えて一体化することもできる。
以下に本発明を更に詳しく説明するために実施例を挙げるが、いうまでもなく本発明はこれらに限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ質量部および質量%を示す。
<実施例1>
〔チップの処理〕
パルプの製造に供するベイマツをチップ厚み分級装置で、厚みが8mmパスで2mmオン分のチップに分級した後、天日でチップの含水率(水分量/水分量を含むチップ全量の割合)を約10%に調節し、木粉化の試料とした。
〔木粉化処理(粗粉砕と微粉砕)〕
前記チップを、(株)東洋油圧工業製の粗粉砕機(型式TYM−600−350−WS)を用いて、粗粉砕した。それを分級することなく、粉砕媒体にロッドを二段に用いる中央化工機(株)製のCDミル(型式CD−30型)を用いて、平均粒径が100μから250μ程度になるように、処理時間を変えて微粉砕した。
〔脱脂工程〕
前記木粉(BD15g)を2%炭酸ナトリウム水溶液中で攪拌しながら90℃で5時間処理した。処理後の原料は、10倍量の蒸留水で洗浄し、ブフナーで脱水した後、蒸留水を加えて濃度を調整した。
〔過酢酸による脱リグニン工程〕
無水酢酸と30%過酸化水素を液量として1:1に混合して調整し、これを、脱脂処理後の木粉(BD15g)に対して過酸化水素当量で4.5%に相当する量を添加し、90℃で1時間処理した。処理後の木粉は、10倍量の蒸留水で洗浄し、ブフナーで脱水した後、蒸留水を加えて濃度を調整した。
〔脱ヘミセルロース工程〕
スラリー状の脱リグニン処理した木粉(BD15g)に5%水酸化カリウム水溶液を用いて、室温で24時間浸漬し処理した。処理後は、10倍量の蒸留水で洗浄し、ブフナーで脱水した。
〔二酸化塩素漂白〕
脱ヘミセルロース処理された木粉(以下パルプ)を濃度15%に調製し、そこに二酸化塩素を3%(対絶乾原料)になるように二酸化塩素水を添加し、80℃で2時間保持し処理した。処理後は、10倍量の蒸留水で洗浄し、ブフナーで脱水した。
〔酵素処理〕
得られた二酸化塩素漂白されたパルプの1.0%水系懸濁液にセルラーゼ系酵素「GC220」(ジェネンコア社製)を、パルプ固形分に対して1.0%の割合で添加し、50℃で1時間処理した。処理後は10%水酸化ナトリウム溶液を用いてpH12に調整し、酵素を失活させた。その後、10倍量の蒸留水で洗浄し、ブフナーで脱水した。その後蒸留水を加え、0.5%の水懸濁液とした。
〔微細化処理と収率測定〕
前記の懸濁液を、高速回転型解繊機(エムテクニック社製「クレアミックス」)により、21,500回転、30分間解繊し(微細化処理)、微細繊維状セルロース水系懸濁液を得た。この懸濁液の上澄み液濃度を測定した。さらに、前記微細繊維状セルロース水系懸濁液について、遠心分離機(コクサン社製「H−200NR」)を用いて約12,000Gで10分間処理し、上澄み液濃度を測定し、以下のような計算式から収率を求めた。
収率(%)=(遠心分離後の上澄み液の濃度)÷(微細化処理後のスラリー濃度)×100
〔微細繊維状セルロース繊維幅の測定〕
遠心分離して得られた上澄み液中の微細繊維状セルロースを電子顕微鏡観察により以下のような方法で繊維幅の測定を行なった。濃度0.05〜0.1質量%の微細繊維状セルロースの水系懸濁液を調製し、前記懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。構成する繊維の幅に応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行なった。この際、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定した場合に少なくとも軸に対し、20本以上の繊維が軸と交差するような試料および観察条件(倍率等)とした。この条件を満足する観察画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維幅を目視で読み取っていった。こうして最低3枚の重なっていない表面部分の画像を電子顕微鏡で観察し、各々2つの軸の交錯する繊維の繊維幅の値を読み取った(最低20本×2×3=120本の繊維幅)。
〔多孔性のある微細繊維状セルロースシートの作製〕
遠心分離して得られた上澄み液を孔径0.45μmのメンブレンフィルター上で吸引濾過し、ウェットシートを作成した。得られたウェットシート上にエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル(東京化成工業社製、分子量118、沸点152℃)を2400%(対絶乾原料)添加し、再び吸引濾過を行った。その後、シリンダードライヤー(90℃)、オーブン(130℃)で2段階の乾燥を行い40g/mのシートを作製した。
〔細孔体積および細孔表面積の測定〕
微細繊維状セルロースシートの1μm径以下の細孔体積および細孔表面積を水銀ポロシメーター(島津製作所社製、商品名:「オートポアIV9505」)で測定し、多孔性の評価とした。この値が大きいほど高分子の含浸性が良好である。細孔体積は0.1mL/g以上、2mL/g以下が好ましい。0.1mL/g未満になると含浸できなくなり、2mL/gを超えると含浸する高分子に対する微細繊維状セルロースの割合が小さくなり好ましくない。また、細孔表面積が40m/g以上200m/g以下が好ましい。40m/g未満であると高分子の含浸性が悪くなり、200m/gを超えるとシートの強度が低下して好ましくない。
〔微細繊維状セルロース樹脂複合体の作製〕
前記の微細繊維状セルロースシートを、1,10−デカンジオールジアクリレート100質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「ルシリンTPO」)0.02質量部、ベンゾフェノン0.01質量部を混合した溶液に含浸させ、減圧下で一晩おいた。上記樹脂溶液を含浸させた微細繊維状セルロース集合体を2枚のガラス板にはさみ、無電極水銀ランプ(フュージョンUVシステムズ社製「Dバルブ」)を用いて、紫外線硬化させた。紫外線硬化の条件は、照射強度400mW/cm、ライン速度7m/minに表裏計2回通して半硬化させ、次いで、照射強度1900mW/cm、ライン速度2m/minで表裏各2回(計4回)通して完全硬化させる条件で行った。紫外線硬化後、ガラス板を外して微細繊維状セルロース複合体を得た。
〔微細繊維状セルロース複合体のYI値の測定〕
スガ試験機製カラーコンピュータを用いて、微細繊維状セルロース複合体の加熱前のYI値を測定した。また、200℃のオーブン(窒素ガス雰囲気)中で4時間加熱処理し、加熱後のYI値も測定した。YI値が大きい事は着色が強いことを示す。
前記のようにして測定した繊維幅、収率、1μm以下の細孔体積、加熱前YI値、加熱後YI値を表1に示す。
<実施例2>
脱リグニン工程ではWise法を用い、解繊化処理では高圧ホモジナイザーを使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロースシートおよび複合体を得た。実施例1と同様にして測定した繊維幅、収率、1μm以下の細孔体積、加熱前YI値、加熱後YI値を表1に示す。
〔Wise法による脱リグニン工程〕
脱脂処理後の木粉を1.8Lの水に懸濁させ、攪拌しながら2.4mLの酢酸を加え、続いて12gの亜塩素酸ナトリウムを加え、80℃、1時間処理した。その時のpHは4.0であった。この操作を5回繰り返して反応させた後、原料は過酢酸処理後と同様に洗浄、濃度調整した。
〔微細化処理〕
0.5%のパルプ懸濁液を高圧ホモジナイザー処理(スギノマシーン社製の「スターバーストシステム」)で、噴出時の高圧は245MPaを使用し、懸濁液を噴出させる細孔の直径は200μmを使用し、繰り返し12回処理を行なった。
<実施例3>
材種として樹齢8年の植林木ユーカリを用い、脱リグニン工程での過酢酸と過硫酸の混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明の微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロースシートおよび複合体を得た。実施例1と同様にして測定した繊維幅、収率、1μm以下の細孔体積、加熱前YI値、加熱後YI値を表1に示す。
〔過酢酸と過硫酸混合液による脱リグニン工程〕
100%質量%の酢酸、98%質量%の硫酸、60質量%の過酸化水素を1:1.5:1(モル比)に混合して使用した。れを、脱脂処理後の原料(BD15g)に対して過酸化水素当量で4.5%に相当する量を添加し、90℃で1時間処理した。処理後は過酢酸処理後と同様に洗浄、濃度調整した。
<実施例4>
脱リグニン工程では過酢酸を用い、解繊化処理では高圧ホモジナイザーを使用した以外は、実施例3と同様にして本発明の微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロースシートおよび複合体を得た。実施例1と同様にして測定した繊維幅、収率、1μm以下の細孔体積、加熱前YI値、加熱後YI値を表1に示す。
〔過酢酸による脱リグニン工程〕
無水酢酸と30%過酸化水素を液量として1:1に混合して調整し、これを、脱脂処理後の木粉(BD15g)に対して過酸化水素当量で4.5%に相当する量を添加し、90℃で1時間処理した。処理後の木粉は、10倍量の蒸留水で洗浄し、ブフナーで脱水した後、蒸留水を加えて濃度を調整した。
〔微細化処理〕
0.5%のパルプ懸濁液を高圧ホモジナイザー処理(スギノマシーン社製の「スターバーストシステム」)で、噴出時の高圧は245MPaを使用し、懸濁液を噴出させる細孔の直径は200μmを使用し、繰り返し12回処理を行なった。
<実施例5>
漂白処理工程で、二酸化塩素のかわりに次亜塩素酸(pH9.5、添加率2%、温度60℃、時間2時間)で漂白した以外は、実施例3と同様にして本発明の微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロースシートおよび複合体を得た。実施例1と同様にして測定した繊維幅、収率、1μm以下の細孔体積、1μm以下の細孔体積、加熱前YI値、加熱後YI値を表1に示す。
<比較例1>
漂白処理および酵素処理を行なわない以外は、実施例1と同様にして微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロースシートおよび複合体を得た。実施例1と同様にして測定した繊維幅、収率、1μm以下の細孔体積、加熱前YI値、加熱後YI値を表1に示す。
<比較例2>
脱リグニン処理で二酸化塩素を用い、漂白処理は行なわない以外は、実施例2と同様にして微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロースシートおよび複合体を得た。実施例1と同様にして測定した繊維幅、収率、1μm以下の細孔体積、加熱前YI値、加熱後YI値を表1に示す。
同様な方法で行なった。その結果を表1に示す。
<比較例3>
酵素処理を加えず温水処理(50℃、6時間)した以外は、実施例3と同様にして微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロースシートおよび複合体を得た。実施例1と同様にして測定した繊維幅、収率、1μm以下の細孔体積、加熱前YI値、加熱後YI値を表1に示す。
<比較例4>
微細化処理で、ブレンダーを使用した以外は、実施例4と同様にして微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロースシートおよび複合体を得た。実施例1と同様にして測定した繊維幅、収率、1μm以下の細孔体積、加熱前YI値、加熱後YI値を表1に示す。
〔微細化処理〕
ブレンダー攪拌処理では、Vita Mix(R)Corp.社製の「ABS−BU」で37、000回転、15分間解繊した。
<比較例5>
脱ヘミセルロース処理後に、二酸化塩素処理をせずに、酵素処理した以外は、実施例5と同様にして微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロースシートおよび複合体を得た。実施例1と同様にして測定した繊維幅、収率、1μm以下の細孔体積、加熱前YI値、加熱後YI値を表1に示す。
<比較例6>
微細繊維状ウェットシート上に、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテルを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして微細繊維状セルロース複合体を得た。実施例1と同様にして測定した繊維幅、収率、1μm以下の細孔体積、加熱前YI値、加熱後YI値を表1に示す。
<比較例7>
微細繊維状ウェットシート上に、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテルを添加しないこと以外は、実施例4と同様にして微細繊維状セルロース複合体を得た。実施例1と同様にして測定した繊維幅、収率、1μm以下の細孔体積、加熱前YI値、加熱後YI値を表1に示す。
Figure 2012111849
表1から明らかのように、本発明の微細繊維状セルロースの製造方法により高い収率で、しかも微細繊維状セルロース複合体では低いYI値となる微細繊維状セルロースを得ることができることがわかる。
本発明の製造方法によって、繊維幅が1nm〜1000nmの微細繊維状セルロースを、収率高く得ることができる。さらに、この微細繊維状セルロースからなるシートに高分子樹脂を含浸・硬化させて得られる透明な複合材料の加熱前後のYI値も非常に低いことから、退色の少ない有機ELや液晶ディスプレイ用のフレキシブル透明基板として有用である。

Claims (6)

  1. 木材チップを粉砕処理により木粉化し、該木粉を脱脂処理、脱リグニン処理、脱ヘミセルロース処理、漂白処理した後、セルラーゼ系酵素による処理を行ない、高速回転式解繊機または高圧ホモジナイザーで微細化処理を行うことを特徴とする微細繊維状セルロースの製造方法。
  2. 前記漂白処理が、二酸化塩素漂白処理であることを特徴とする請求項1に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
  3. 前記脱リグニン工程において、過酢酸または過酢酸と過硫酸の混合液、あるいは亜塩素酸ナトリウムと酢酸を用いるWise法から選択される少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
  4. 前記セルラーゼ系酵素の添加率が木粉固形分に対して0.1質量%〜3質量%であり、酵素による処理時間が30分〜24時間であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により製造された微細繊維状セルロース水系分散液に有機溶媒を添加し、抄紙して乾燥し、多孔性を有するセルロースシートを得ることを特徴とする微細繊維状セルロースシートの製造方法。
  6. 請求項5に記載の方法で製造された微細繊維状セルロースシートに高分子を含浸して得たことを特徴とする微細繊維状セルロース複合体。
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