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JP2012001675A - インクジェット記録用水系分散体 - Google Patents

インクジェット記録用水系分散体 Download PDF

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JP2012001675A
JP2012001675A JP2010139972A JP2010139972A JP2012001675A JP 2012001675 A JP2012001675 A JP 2012001675A JP 2010139972 A JP2010139972 A JP 2010139972A JP 2010139972 A JP2010139972 A JP 2010139972A JP 2012001675 A JP2012001675 A JP 2012001675A
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water
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colorant
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Taiyo Takeno
泰陽 竹野
Shigeki Nagashima
茂樹 永嶋
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

【課題】再分散性に優れたインクジェット記録用水系分散体、及び記録紙への定着性に優れたインクジェット記録用水系インクを提供する。
【解決手段】(1)着色剤を含有するポリマー粒子を架橋剤で架橋してなる架橋ポリマー粒子の水系分散体であって、前記着色剤を含有するポリマー粒子を構成するポリマーが、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位と、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位と、特定のノニオン性モノマー(c)由来の構成単位とを含み、前記モノマー(b)及び(c)の溶解度パラメータ(SP値)の差が0.5〜2.0であるポリマー(A)を含むインクジェット記録用水系分散体、及び(2)その水系分散体を含有するインクジェット記録用水系インクである。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用水系分散体及びそれを含有する水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインクの液滴を記録部材に直接吐出、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式はフルカラー化が容易でかつ安価、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触という数多くの利点があるため普及が著しい。中でも印字物の耐光性や耐水性の観点から顔料系インクが主流となってきており、家庭用インクジェットプリンターにおいて好適に使用されている。
近年は家庭用途からオフィス用途、商業印刷用途へもインクジェットプリンターの使用範囲が拡大し、高速化が技術の潮流となっている。高速化を実現するための方法としては、インク液滴の容量を増やしたり、印字ヘッドの改良等により、印字回数を減らして印字速度を上げる方法が採用されている。
高速化印字の課題としては従来のように2度打ち、3度打ちができないため、かすれや抜けといった印字品質の低下を招かないよう十分な分散安定性、吐出安定性を付与すること、また1回の印刷で高い印字濃度が発現するよう着色剤が高発色で、特に普通紙に印字した際には、紙内部への浸透を抑制できるインクが要望されている。
顔料系のインクジェット記録用水系分散体及び水系インクに関しては、分散安定性や保存安定性を改善するための種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1及び2には、着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマーのポリマー粒子の水系分散体を含有する水系インクであって、該ビニルポリマーが特定のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩生成基含有モノマー、及びそれらと共重合可能なモノマーを含むモノマー組成物を重合させてなるビニルポリマーである水系インクが開示されている。
特許文献3には、有機顔料と極性基を有する顔料誘導体とを含有する架橋ポリマー粒子を含有するインクジェット記録用水系分散体が開示されている。
特許文献4には、着色剤を含有する架橋ポリマー粒子を含有する水系インクであって、水の含有量が60重量%以下であり、かつ該架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたアニオン性基量が0.5mmol/g以上であるインクジェット記録用水系インクが開示されている。
しかしながら、特許文献1〜4の水系分散体及び水系インクは、再分散性、記録紙への定着性において十分に満足のいくものではない。ここで、再分散性とは、インクジェット記録方式において、インク液滴を吐出するノズル孔周辺に付着し乾燥したインクが、インク中に再溶解ないし再分散する性質をいう。再分散性が悪いと、インク中に粗大粒子が発生し、吐出性が悪化するという問題が発生する。
特開2004−2662号公報 特開2004−75988号公報 特開2008−156465号公報 国際公開第2009/025287号
本発明は、再分散性に優れたインクジェット記録用水系分散体、及び記録紙への定着性に優れたインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
本発明者らは、溶解度パラメータ(SP値)の差が0.5〜2.0である2種以上の特定のノニオン性モノマー由来の構成単位を含むポリマーを架橋してなる架橋ポリマー粒子に着色剤を含有させることにより、水系分散体の再分散性を向上させ、また、水系インクの記録紙への定着性等を向上できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕及び〔2〕を提供する。
〔1〕着色剤を含有するポリマー粒子を架橋剤で架橋してなる架橋ポリマー粒子の水系分散体であって、前記着色剤を含有するポリマー粒子を構成するポリマーが、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位と、下記式(1)で表されるポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位と、下記式(2)〜(4)で表されるモノマーから選ばれる1種以上のノニオン性モノマー(c)由来の構成単位とを含み、前記モノマー(b)及び(c)の溶解度パラメータ(SP値)の差が0.5〜2.0であるポリマー(A)を含む、インクジェット記録用水系分散体。
Figure 2012001675
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、mは2〜20の数を示す。)
Figure 2012001675
(式中、R1は前記と同じであり、R2は水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基を有するフェニル基を示し、nは2〜30の数を示す。)
Figure 2012001675
(式中、R1は前記と同じであり、R3は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基を有するフェニル基を示し、pは2〜30の数を示す。)
Figure 2012001675
(式中、R1及びR2は前記と同じであり、q及びrはそれぞれ1〜30の数を示す。オキシエチレン基及びオキシプロピレン基はブロック付加又はランダム付加している。)
〔2〕前記〔1〕の水系分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
本発明によれば、保存安定性、再分散性に優れたインクジェット記録用水系分散体、及びインク粘度が低く、保存安定性に優れ、高速印刷に対応した高印字濃度と吐出信頼性に優れ、吸光特性変化が少なく、記録紙への定着性に優れたインクジェット記録用水系インクを提供することができる。
本発明のインクジェット記録用水系分散体は、着色剤を含有するポリマー粒子を架橋剤で架橋してなる架橋ポリマー粒子の水系分散体であって、該ポリマーが、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位と、下記式(1)で表されるポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位と、下記式(2)〜(4)で表されるモノマーから選ばれる1種以上のノニオン性モノマー(c)由来の構成単位とを含み、前記モノマー(b)及び(c)の溶解度パラメータ(SP値)の差が0.5〜2.0であるポリマー(A)を含むことを特徴とし、また、本発明のインクジェット記録用水系インクは、その水系分散体を含有することを特徴とする。
従来、着色剤とポリマーを混合して十分な相溶状態を作り出すための知見は知られていなかった。本発明においては、着色剤を分散するポリマーとして、溶解度パラメータ(SP値)の差が0.5〜2.0である、即ち相溶性が適度に異なる2種以上の特定のノニオン性モノマー由来の構成単位を含むポリマーを用いることにより、着色剤とポリマーとの濡れ性や吸着性を最適化することができ、着色剤へのポリマーの付着性を高めて着色剤を安定に分散できるため、再分散性に優れた水系分散体、及び記録紙への定着性に優れた水系インクを得ることができると考えられる。また、前記水系分散体は保存安定性に優れ、前記水系インクは保存安定性、高印字濃度、吐出信頼性に優れ、吸光特性変化が少ないという驚くべき効果も奏する。
以下、本発明に用いられる各成分等について説明する。
<着色剤>
本発明に用いられる着色剤としては、水系インクの耐水性を向上させる観点から、顔料及び疎水性染料が挙げられ、中でも、近年要求が強い高耐候性を発現させるためには、顔料を用いるのが好ましい。顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらに体質顔料を併用することもできる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。また、キナクリドン固溶体顔料等の固溶体顔料を用いることもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム及びタルク等が挙げられる。
疎水性染料は、水溶性ポリマーにより乳化又は水溶性ポリマーに含有させることができるものであればよく、その種類には特に制限がない。疎水性染料は、ポリマー中に効率よく染料を含有させる観点から、ポリマーの製造時に使用する有機溶媒(好ましくメチルエチルケトン)に対して、2g/L以上、好ましくは20〜500g/L(25℃)溶解するものが望ましい。
疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられ、これらの中では記録紙への定着性を向上させる観点から油溶性染料が好ましい。油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック、C.I.ソルベント・イエロー、C.I.ソルベント・レッド、C.I.ソルベント・バイオレット、C.I.ソルベント・ブルー、C.I.ソルベント・グリーン、及びC.I.ソルベント・オレンジからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられ、オリエント化学株式会社、BASF社等から市販されている。
前記の着色剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができ、例えばイエロー着色剤としては、C.I.ピグメント・イエロー74等のアゾ顔料が使用できる。
(C.I.ピグメント・イエロー74)
C.I.ピグメント・イエロー74(以下、「PY74(A)」ともいう)としては、アセト酢酸アリリド系モノアゾ顔料が挙げられる。その化学名は、2−[(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)アゾ]−N−(2−メトキシフェニル)−3−オキソブタンアミドであり、下記式(5)で表される構造を有する化合物である。
PY74(A)は、DIC株式会社、大日精化工業株式会社、山陽色素株式会社、東洋インキ製造株式会社等のメーカから入手可能である。
Figure 2012001675
(その他のアゾ顔料(B))
本発明においては、PY74(A)を微細化し、保存安定性を向上させるために、下記式(6)で表されるアゾ顔料(B)(以下、「アゾ顔料誘導体」ともいう)を併用することが好ましい。
Figure 2012001675
式(6)中、R4びR5は、それぞれ独立に、メトキシ基及びニトロ基から選ばれる置換基を有していてもよいアリール基を示し、R4びR5の少なくとも一方は、スルホン酸基を有する。これらの中でも、水系インクの印字濃度を向上させる観点から、下記式(7)で表わされるアゾ顔料が好ましい。
Figure 2012001675
式(7)中、R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基又はアミノアルキル基を示し、R8は、単結合、メチレン基又はエチレン基を示す。
前記式(7)で表わされるアゾ顔料は、スルホンアミド基(−SO2NR67)とスルホン酸基(−R8−SO3H)とが置換した構造を有する。
前記スルホンアミド基(−SO2NR67)の中では、−NR67で表されるアミン残基として、印字濃度及び保存安定性を向上させ、インクにした時の水系インクを低粘度化し、吸光特性変化を抑制する観点から、−NH(CH2kNR910が好ましい。
これらの中でも、インクにした時の水系インクを低粘度化させ、吸光特性変化を抑制する観点から、N−アルキル(炭素数1〜3)−3−アミノプロピル基、及びN,N−ジアルキル(炭素数1〜3)−3−アミノプロピル基が好ましい。
スルホン酸基(−R8−SO3H)としては、スルホン酸基(−SO3H)、メチレンスルホン酸基(−CH2−SO3H)、エチレンスルホン酸基(−CH2CH2−SO3H)が挙げられるが、スルホン酸基(−SO3H)がより好ましい。R8が単結合の場合、ベンゼン環に直接スルホン酸基(−SO3H)が結合することを意味する。
本発明においては、例えばイエロー着色剤として、PY74(A)とアゾ顔料誘導体との顔料混合物、特にPY74(A)と前記式(7)で表されるアゾ顔料誘導体との顔料混合物を用いることが、水系インクの印字濃度を向上させる観点からより好ましい。
<ポリマー>
本発明の水系分散体及び水系インクは、ポリマーとして、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位と、前記式(1)で表されるポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位と、前記式(2)〜(4)で表されるモノマーから選ばれる1種以上のノニオン性モノマー(c)由来の構成単位とを含み、前記モノマー(b)及び(c)の溶解度パラメータ(SP値)の差が0.5〜2.0である2種以上のノニオン性モノマー由来の構成単位を含有するポリマー(A)を含む。
本発明の水系分散体及び水系インクは、保存安定性と再分散性の両立の観点から、2種以上のノニオン性モノマー(b)及び(c)由来の構成単位を含むポリマー(A)が水不溶性ポリマー(y)であることが好ましく、水不溶性ポリマー(y)を単独で含有するか、又は前記水不溶性ポリマー(y)と水溶性ポリマー(x)との両者を含有することが好ましく、水系分散体及び水系インクの微粒化を向上させ、印字濃度を向上させる観点から、水不溶性ポリマー(y)を単独で含有することが好ましい。
ここで、「水不溶性ポリマー(y)」及び「水溶性ポリマー(x)」とは、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、該ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和したもの10gに、25℃の純水100gを加え、十分撹拌したときに、全て溶解すれば、該ポリマーは本発明における「水溶性ポリマー(x)」である。なお、市販のポリマーを用いる場合、又は合成時に酢酸又は水酸化ナトリウム以外の中和剤で中和されたポリマー場合において、ポリマーが100%の中和度に満たない場合、酢酸又は水酸化ナトリウムを加え、100%中和として前記溶解性を判断する。
前記の溶解性試験を行い、100%の中和度で溶解しない部分があるポリマーの場合、純水がポリマー内に浸透し難いため、次のような手順(具体的には実施例の方法)で、水不溶性ポリマー(y)と水溶性ポリマー(x)とに分離することができる。
すなわち、予めポリマーをメチルエチルケトン等の有機溶媒に溶解しておき、その100%中和品を純水中に滴下し、有機溶媒を除去して濃度を10重量%にした水分散物を、遠心分離によって分離し、沈殿したポリマーを「水不溶性ポリマー(y)」、溶解しているポリマーを「水溶性ポリマー(x)」とする。但し、ポリマー中の「水不溶性ポリマー(y)」及び「水溶性ポリマー(x)」の各々の重量%は、小数点以下一桁目を四捨五入する。
(水不溶性ポリマー(y))
本発明には、顔料混合物を微粒化し、分散性を向上して、主に水系分散体の保存安定性を向上すると共に、水系インクの印字濃度を高める観点から、水不溶性ポリマー(y)を用いることが好ましい。水不溶性ポリマー(y)としては、ビニル単量体の付加重合により得られるビニルポリマーやウレタン結合を有するウレタンポリマーが好ましく、塩生成基含有モノマー(a)と、前記式(1)で表されるノニオン性モノマー(b)と、前記式(2)〜(4)で表されるモノマーから選ばれる1種以上のノニオン性モノマー(c)とを含み、モノマー(b)及び(c)の溶解度パラメータ(SP値)の差が0.5〜2.0である2種以上のノニオン性モノマーを含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニルポリマーがより好ましい。
この水不溶性ビニルポリマーは、前記(a)〜(c)成分由来の構成単位を有するポリマー(A)である。
〔塩生成基含有モノマー(a)〕
塩生成基含有モノマー(a)(以下「(a)成分」ともいう)は、得られるポリマー粒子の分散性を高める観点から用いられる。
塩生成基含有モノマー(a)としては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマーが挙げられ、アニオン性モノマーが好ましい。
塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられるが、中でもカルボキシ基が好ましい。
カチオン性モノマーの代表例としては、アミン含有モノマー、アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
アニオン性モノマーとしては、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを示す。
前記アニオン性モノマーの中では、ポリマー粒子の分散性を向上させる観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
〔式(1)で表されるポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(b)〕
ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(b)(以下「(b)成分」ともいう)は、得られるポリマー粒子の再分散性を高める観点から、下記式(1)で表されるモノマーが用いられる。
Figure 2012001675
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、平均付加モル数mは2〜20、好ましくは2〜18の数を示す。
商業的に入手しうる(b)成分の具体例としては、日油株式会社のブレンマーPP−500(R1はメチル基、付加モル数mは9、SP値:9.57)、同800(R1はメチル基、付加モル数mは12、SP値:9.37)、同1000(R1はメチル基、付加モル数mは5、SP値:10.13)等が挙げられる。
〔ノニオン性モノマー(c)〕
ノニオン性モノマー(c)(以下「(c)成分」ともいう)は、得られるポリマー粒子の着色剤への吸着性を高める観点から用いられる。
ノニオン性モノマー(c)としては、下記式(2)〜(4)で表されるモノマー(c−1)〜(c−3)から選ばれる1種以上のモノマーが用いられる。
式(1)で表されるノニオン性モノマー(b)と、式(2)〜(4)で表されるモノマー(c−1)〜(c−3)から選ばれる1種以上のノニオン性モノマー(c)との溶解度パラメータ(SP値)の差は0.5〜2.0、好ましくは0.5〜1.5、更に好ましくは0.7〜1.5である。なお、本発明において、ノニオン性モノマー(c)として、前記(c−1)〜(c−3)から選ばれる複数のノニオン性モノマーを含む場合は、いずれか一種のノニオン性モノマー(c)が前記ノニオン性モノマー(b)との溶解度パラメータ(SP値)の差が0.5〜2.0であればよいが、好ましくは、全てのノニオン性モノマー(c)との差が0.5〜2.0であることが好ましい。
ここで溶解度パラメーター(SP値)とは、下記式で示すように、凝集エネルギー密度と分子容の比の平方根で定義されるものである。
SP値((cal/cm31/2)=(△E/△V)1/2
前記式において、△Eは凝集エネルギー密度を表し、△Vは分子容を表す。その値は、Fedorsの方法〔「コーティングの基礎化学」原崎勇次著、槙書店、54頁、(1986年)〕により計算することができるが、本発明においては、ノニオン性モノマーの溶解度パラメーター(SP値)は、ホモポリマーの化学構造式から前記文献に基づいて計算して求めることができる。また、ノニオン性モノマーユニットを複数有する場合のSP値は、各モノマーユニットのSP値の加重平均として求める。
前記溶解度パラメータ(SP値)の差が0.5未満であると、着色剤表面にポリマーが付着しにくく、ポリマーエマルションとなってインク粘度が高くなり、安定性が悪化する。
一方、前記溶解度パラメータ(SP値)の差が2.0を超えると、高濃度の着色剤を含有する水系分散体を安定に保持できず、着色剤同士の相互作用により凝集し易く、混合状態が不均一で、ポリマーによる着色剤への付着状態が不充分になり、分散安定性のよい均一な着色剤を含有するポリマー粒子を得ることが困難となる。
前記ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(b)の溶解度パラメーター(SP値)は、好ましくは9.11〜11.37であり、より好ましくは9.15〜10.77であり、更に好ましくは9.20〜10.50である。ノニオン性モノマー(c)の溶解度パラメーター(SP値)は、好ましくは8.57〜12.11であり、より好ましくは8.57〜10.37であり、更に好ましくは8.70〜10.37である。
〔ノニオン性モノマー(c−1)〕
ノニオン性モノマー(c−1)(以下「(c−1)成分」ともいう)は、下記式(2)で表される。
Figure 2012001675
式(2)中、R1は前記と同じであり、R2は水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基を有するフェニル基を示し、nは2〜30の数を示す。なお、式(2)におけるR1は、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(b)と独立に水素原子又はメチル基である。
R2は、水系分散体及び水系インクの分散性を向上させる観点から、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基を有するフェニル基であり、より好ましくは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜2のアルキル基を有するフェニル基である。平均付加モル数nは好ましくは2〜18である。
(c−1)成分の好適例としては、メトキシポリエチレングリコール(n=2〜16)モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(n=2〜16)モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(n=2〜16)モノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(n=2〜16)モノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(n=2〜16)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
商業的に入手しうる(c−1)成分の具体例としては、日油株式会社のブレンマーPME−100(R1はメチル基、R2はメチル基、付加モル数nは2、SP値:9.55)、同200(R1はメチル基、R2はメチル基、付加モル数nは4、SP値:9.49)、同400(R1はメチル基、R2はメチル基、付加モル数nは9、SP値:9.44)、PLE−200(R1はメチル基、R2はラウリル基、付加モル数nは4、SP値:9.10)、PSE−200(R1はメチル基、R2はステアリル基、付加モル数nは4、SP値:9.00),同400(R1はメチル基、R2はステアリル基、付加モル数nは9、SP値:9.10)、新中村化学工業株式会社のNKエステルM−20G(R1はメチル基、R2はメチル基、付加モル数nは2、SP値:9.55)、同40G(R1はメチル基、R2はメチル基、付加モル数nは4、SP値:9.49)、同60G(R1はメチル基、R2はメチル基、付加モル数nは6、SP値:9.46)、同90G(R1はメチル基、R2はメチル基、付加モル数nは9、SP値:9.44)、NKエステルEH−4E(R1はメチル基、R2は2−エチルヘキシル基、付加モル数nは4、SP値:9.13)、同8E(R1はメチル基、R2は2−エチルヘキシル基、付加モル数nは8、SP値:9.20)、NKエステルPHG−2G(R1はメチル基、R2はフェニル基、付加モル数nは2、SP値:10.33)、同3G(R1はメチル基、R2はフェニル基、付加モル数nは3、SP値:10.19)、同6G(R1はメチル基、R2はフェニル基、付加モル数nは6、SP値:9.94)等が挙げられる。
〔ノニオン性モノマー(c−2)〕
ノニオン性モノマー(c−2)(以下「(c−2)成分」ともいう)は、下記式(3)で表される。
Figure 2012001675
式(3)中、は前記と同じであり、R3は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基を有するフェニル基を示し、pは2〜30の数を示す。
3は、水系分散体及び水系インクの分散性を向上させる観点から、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基を有するフェニル基であり、より好ましくは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜2のアルキル基を有するフェニル基である。平均付加モル数pは好ましくは2〜18である。
(c−2)成分の好適例としては、メトキシポリプロピレングリコール(n=2〜16)モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリプロピレングリコール(n=2〜16)モノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(p=2〜16)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
商業的に入手しうる(c−2)成分の具体例としては、日油株式会社のブレンマーPAP−350(R1はメチル基、R3はフェニル基、平均付加モル数pは6、SP値:9.33)、新中村化学工業株式会社のNKエステルEH−4P(R1はメチル基、R3は2−エチルヘキシル基、付加モル数pは4、SP値:8.80)、日立化成株式会社のFA−P200M(R1はメチル基、R3はメチル基、付加モル数pは4、SP値:8.57)等が挙げられる。
〔ノニオン性モノマー(c−3)〕
ノニオン性モノマー(c−3)(以下「(c−3)成分」ともいう)は、下記式(4)で表される。
Figure 2012001675
式(4)中、R1及びR2は前記と同じであり、q及びrはそれぞれ1〜30の数を示す。オキシエチレン基及びオキシプロピレン基はブロック付加又はランダム付加している。
式(4)におけるR2の好適範囲は、水系分散体及び水系インクの分散性を向上させる観点から、前記と同じであり、平均付加モル数q及びrは好ましくはそれぞれ1〜18であり、より好ましくはそれぞれ1〜12である。
(c−3)成分の好適例としては、メトキシポリ(エチレングリコール(q=1〜10)・プロピレングリコール(r=1〜10))モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリ(エチレングリコール(q=1〜10)・プロピレングリコール(r=1〜10))モノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリ(エチレングリコール(q=1〜10)・プロピレングリコール(r=1〜10))モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(q=1〜10)・プロピレングリコール(r=1〜10))モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
商業的に入手しうる(c−3)成分の具体例としては、日油株式会社のブレンマー43PMEP−650(R1はメチル基、R2はメチル基、付加モル数qは6、付加モル数rは6、SP値:9.06)、ブレンマー43PAPE−600B(R1はメチル基、R2はフェニル基、付加モル数qは6、付加モル数rは6、SP値:9.34)、ブレンマー50POEP−800B(R1はメチル基、R2は2−エチルヘキシル基、付加モル数qは8、付加モル数rは6、SP値:9.19)、ブレンマー10PEP−550B(R1はメチル基、R2は水酸基、付加モル数qは1、付加モル数rは8、SP値:9.65)、ブレンマー50PEP−300(R1はメチル基、R2は水酸基、付加モル数qは4、付加モル数rは3、SP値:10.23)、ブレンマー70PEP−350B(R1はメチル基、R2は水酸基、付加モル数qは5、付加モル数rは2、SP値:10.37)、ブレンマー75PEP−450B(R1はメチル基、R2は水酸基、付加モル数qは8、付加モル数rは2、SP値:10.14)等が挙げられる。
〔疎水性モノマー(d)〕
モノマー混合物には、水系分散体及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、疎水性モノマー(d)(以下「(d)成分」ともいう)が含有されていることが好ましい。
疎水性モノマー(d)は、ポリマーの着色剤への親和性を高める観点から用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられ、着色剤との親和性を高め、分散性、保存安定性を高める観点から、芳香族基含有モノマーが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。
芳香族基含有モノマーとしては、スチレン系モノマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、水系インクの高印字濃度を得る観点から、スチレン及び2−メチルスチレンが好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記(d)成分の中では、ポリマーの着色剤への親和性を高める観点から、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
〔マクロマー(e)〕
モノマー混合物には、更に、マクロマー(e)(以下「(e)成分」ともいう)が含有されていることが好ましい。
マクロマー(e)は、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500〜100,000の化合物であり、ポリマーの着色剤への親和性を高める観点から用いられる。
片末端に存在する重合性官能基としては、水系分散体及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。その数平均分子量は、500〜100,000であり、1,000〜10,000が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
マクロマー(e)としては、ポリマーの着色剤への親和性を高める観点から、芳香族基含有マクロマー及びシリコーン系マクロマーが好ましく、芳香族基含有マクロマーがより好ましく、芳香族基含有マクロマーの中では、スチレン系マクロマー、芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体の場合、ポリマーの着色剤への親和性を高める観点から、スチレン系モノマーの含有量は50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。共重合される他のモノマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレート又はアクリロニトリル等が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン等が挙げられる。
スチレン系マクロマーの具体例としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亜合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体の場合、ポリマーの顔料混合物への親和性を高める観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートの含有量は50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアリールアルキル基又はアリール基を有する(メタ)アクリレートであり、例えばベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。共重合される他のモノマーとしては、スチレン系モノマー及びアクリロニトリル等が挙げられる。
マクロマーはシリコーン系マクロマーであってもよく、シリコーン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
水不溶性ポリマー(y)におけるマクロマー(e)としては、後述する水溶性ポリマー(x)との親和性を高める観点から、スチレン系マクロマーであることがより好ましい。
水不溶性ポリマー(y)中の(a)〜(e)成分に由来する構成単位の含有量は以下のとおりである。
(a)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマー粒子の分散性を高める観点から、好ましくは4〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%、より好ましくは7〜30重量%、更に好ましくは7〜25重量%である。
(b)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマーの着色剤への親和性を高める観点から、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%である。
(c)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマーの着色剤への親和性を高める観点から、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%である。
(d)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマーの着色剤への親和性を高める観点から、好ましくは60重量%以下、より好ましくは10〜50重量%である。
(e)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマーの着色剤の親和性を高める観点から、好ましくは25重量%以下、より好ましくは5〜20重量%である。
また、(a)成分がアニオン性モノマーである場合の酸価は、50〜200が好ましく、50〜160がより好ましい。
(a)成分と(b)成分と(c)成分のそれぞれに由来する構成単位の合計含有量は、ポリマー粒子の分散性を高め、ポリマーの着色剤への親和性を高める観点から、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは25〜70重量%、更に好ましくは30〜65重量%、である。
(b)成分に由来する構成単位と(c)成分に由来する構成単位の重量比(b/c)は、再分散性に優れた水系分散体、及び記録紙への定着性に優れた水系インクを得る観点から、0.3〜3が好ましく、0.5〜2がより好ましく、0.5〜1.5がより好ましく、0.7〜1.3が更に好ましい。
水不溶性ポリマー(y)の重量平均分子量は、水系分散体及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、2万〜40万が好ましく、3万〜30万がより好ましく、5万〜20万が更に好ましい。なお、該ポリマーの重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
(水溶性ポリマー(x))
本発明には、着色剤を微粒化し、分散性を向上して、主にインクを低粘度化し、着色剤の吸光特性変化を抑制する観点から、着色剤を含有するポリマー粒子を構成するポリマー粒子として、水不溶性ポリマー(y)と共に水溶性ポリマー(x)を併用することも好ましい態様である。水溶性ポリマー(x)としては、ビニル単量体の付加重合により得られるビニルポリマーやウレタン結合を有するウレタン系ポリマーが好ましく、塩生成基含有モノマー(a)(前記の(a)成分と同じ)と疎水性モノマー(e)(前記の(d)成分と同じ)を含むモノマー混合物(前記の「モノマー混合物」と同じ)を共重合させてなるビニルポリマーがより好ましい。
〔塩生成基含有モノマー(a)〕
水溶性ポリマー(x)における塩生成基含有モノマー(a)の具体例、好適例は前記と同様である。それらの中では、ポリマー粒子の分散性を向上させる観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましく、水への溶解性を向上させる観点から、アクリル酸が更に好ましい。
〔疎水性モノマー(d)〕
水溶性ポリマー(x)における疎水性モノマー(d)の具体例、好適例は前記と同様である。それらの中では、ポリマーの顔料混合物への親和性を高める観点から、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
また、前記のとおり、水不溶性ポリマー(y)との親和性を高める観点から、水不溶性ポリマー(y)と水溶性ポリマー(x)における(d)成分は同一であることが好ましい。
水溶性ポリマー(x)は、水系分散体及び水系インクの保存安定性の観点から、(a)成分に由来する構成単位を好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜60重量%、更に好ましくは15〜40重量%含有し、(e)成分に由来する構成単位を、好ましくは15〜95重量%、より好ましくは25〜90重量%、更に好ましくは50〜80重量%含有し、(e)成分に由来する構成単位としては、スチレンモノマーに由来する構成単位が好ましく、スチレンモノマーに由来する構成単位を、水溶性ポリマー(x)の全モノマー中、好ましくは50〜90重量%、更に好ましくは50〜80重量%含有する。
水溶性ポリマー(x)は、着色剤の分散性を向上させる観点から、その重量平均分子量が、好ましくは1000〜300,000、より好ましくは10,000〜200,000である。なお、該ポリマーの重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、(a)成分がアニオン性モノマーである場合の酸価は、好ましくは150〜300KOHmg/g、より好ましくは170〜250KOHmg/gである。
水溶性ポリマー(x)の市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社のジョンクリル(登録商標)57J、同60J、同61J、同63J、同70J、同PD−96J、同501J等が挙げられる。これらの市販品ポリマーは中和されたものであり、必要に応じて別途更に中和剤を加えてもよい。
〔着色剤を含有するポリマー粒子を構成するポリマーの製造〕
本発明で用いられる水不溶性ポリマー(y)及び水溶性ポリマー(x)(以下、両者を総称して、単に「ポリマー」ともいう)は、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜3の脂肪族アルコール;炭素数3〜8のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、アゾ化合物や有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概にはいえないが、通常、重合温度は好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、公知の方法により生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
本発明で用いられるポリマーは、塩生成基含有モノマー(a)由来の塩生成基を中和剤により中和して用いることが好ましい。塩生成基がアニオン性基である場合、中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン等の塩基が挙げられる。
該ポリマーの塩生成基の中和度は、ポリマー粒子(A)のインク中での分散安定性を向上させる観点から、10〜300%であることが好ましく、20〜200%がより好ましく、30〜150%が更に好ましい。
ここで、塩生成基がアニオン性基の場合の中和度(%)は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価(KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
酸価は、ポリマーの構成単位から計算で算出することができるし、適当な溶媒(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
〔着色剤を含有するポリマー粒子及び着色剤を含有する架橋ポリマー粒子〕
本発明の水系分散体及び水系インクにおいては、着色剤がポリマーで分散されてなるが、保存安定性を向上させる観点から、着色剤がポリマーに含有された「着色剤を含有するポリマー粒子」を架橋してなる架橋ポリマー粒子を含有する。
着色剤を含有するポリマー粒子(以下、単に「ポリマー粒子(A)」ともいう)は、着色剤を水不溶性ポリマー(y)単独、又は水不溶性ポリマー(y)及び水溶性ポリマー(x)で分散処理して得ることができる。
着色剤の分散剤として、水不溶性ポリマー(y)単独で用いることにより、又は水溶性ポリマー(x)及び水不溶性ポリマー(y)を併用し、得られる着色剤を含有するポリマー粒子を架橋することにより印字濃度が高く、固形分濃度が高くとも保存安定性に優れるインクジェット記録用水系分散体及び水系インクを得ることができる。更に、水不溶性ポリマー(y)と水溶性ポリマー(x)とを併用する場合は、インクを更に低粘度化でき、着色剤(特に顔料)の吸光特性変化を抑制し、保存安定性を向上させることができる。これは、水不溶性ポリマー(y)が着色剤の表面に付着して着色剤を微細に分散させることができ、水溶性ポリマー(x)により、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子を安定化するためと考えられる。
水不溶性ポリマー(y)に対する着色剤の重量比〔着色剤/水不溶性ポリマー(y)〕は、印字濃度と保存安定性を両立する観点から、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、2〜6が更に好ましい。
水溶性ポリマー(x)に対する着色剤の重量比〔着色剤/水溶性ポリマー(x)〕は、水系インクを低粘度化させ、吸光特性変化を抑制する観点から10〜25が好ましく、14〜23がより好ましく、14〜20が更に好ましい。
分散に用いる水不溶性ポリマー(y)と水溶性ポリマー(x)の合計量[(y)+(x)]に対する着色剤の重量比〔着色剤/[(y)+(x)]〕は、印字濃度と保存安定性の両立に加えて、水系インクを低粘度化させ、吸光特性変化を抑制する観点から、50/50〜95/5が好ましく、60/40〜95/5がより好ましく、70/30〜95/5が更に好ましい。
水不溶性ポリマー(y)に対する水溶性ポリマー(x)の重量比〔(x)/(y)〕は、印字濃度と保存安定性の両立に加えて、インクを低粘度化させ、及び吸光特性変化を抑制する観点から、0〜0.5であり、0〜0.4が好ましく、0〜0.3がより好ましい。
ポリマー粒子(A)は、後述する水系分散体の製造法1又は2に記載した工程(1)(2)、又は工程(I)(II)を有する方法によって、水系分散体として製造することが効率的で好ましい。
本発明の水系分散体及び水系インクは、ポリマー(A)が架橋処理されてなる架橋ポリマーを含むものであり、同様の観点から、水不溶性ポリマー(y)、又は水溶性ポリマー(x)及び水不溶性ポリマー(y)が架橋処理されてなる架橋ポリマーを含むものであることが好ましい。
架橋ポリマーの架橋率(モル%)は、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜70モル%であるが、架橋率は、後述する方法で求めることができる。
該架橋ポリマー粒子は、後述の水系インクの製造方法に記載した、工程(3)、又は工程(III)を有する方法によって、水系分散体として製造することが効率的で好ましい。
〔インクジェット記録用水系分散体の製造法1〕
本発明において、ポリマーとして、水不溶性ポリマー(y)を用いる場合は、下記工程(1)〜(3)を有する方法によれば、水不溶性ポリマー(y)が架橋処理されてなる架橋ポリマーを含む架橋ポリマー粒子を含有するインクジェット記録用水系分散体を効率的に製造することができる。
工程(1):水不溶性ポリマー(y)、有機溶媒、着色剤、水、及び必要に応じて中和剤を含有する混合物を分散処理して、着色剤を含有する水不溶性ポリマー(y)粒子の分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、着色剤を含有する水不溶性ポリマー(y)粒子の水系分散体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた着色剤を含有する水不溶性ポリマー(y)粒子のポリマーを架橋剤で架橋させて、着色剤を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体を得る工程
本発明のインクジェット記録用水系インクは、前記工程(1)〜(3)で得られた分散体に、必要に応じて水系インクに通常用いられる湿潤剤等の添加剤を添加して得ることができる。
工程(1)
工程(1)では、まず、水不溶性ポリマー(y)を有機溶媒に溶解させ、次に着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。水不溶性ポリマー(y)の有機溶媒溶液に加える順序に制限はないが、中和剤、水、着色剤の順に加えることが好ましい。
混合物中、着色剤は、水系分散体及び水系インクの保存安定性と高印字濃度を両立する観点から、3〜50重量%が好ましく、5〜40重量%が更に好ましく、有機溶媒は、3〜70重量%が好ましく、5〜50重量%が更に好ましく、水不溶性ポリマー(y)は、0.3〜40重量%が好ましく、0.5〜20重量%が更に好ましく、水は、10〜85重量%が好ましく、20〜85重量%が更に好ましい。
水不溶性ポリマー(y)の量に対する着色剤の量の重量比〔着色剤/水不溶性ポリマー(y)〕は、前記のとおりが好ましい。
ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましい。中和剤を用いて中和する場合の中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水系分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。中和剤としては、前記のものが挙げられる。また、ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。好ましくは、水100gに対する溶解量が20℃において、好ましくは5g以上、更に好ましくは10g以上であり、より具体的には、好ましくは5〜80g、より好ましくは10〜50gのものであり、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが更に好ましい。
工程(1)における混合物の分散方法に特に制限はない。本分散だけで着色剤を含有する水不溶性ポリマー(y)粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、着色剤を含有する水不溶性ポリマー(y)粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(1)の分散における系内の温度は、0〜40℃が好ましく、5〜30℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、1〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置、具体例としては、ウルトラディスパー、デスパミル(浅田鉄工株式会社、商品名)、マイルダー(株式会社荏原製作所、太平洋機工株式会社、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)等の高速撹拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社、商品名)、アルティマイザー、スターバースト(スギノマシン株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名)等が挙げられる。
工程(2)
工程(2)では、得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去することで、着色剤を含有する水不溶性ポリマー(y)粒子の水系分散体を得ることができる。得られた着色剤を含有する水不溶性ポリマー(y)粒子を含む水系分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよく、架橋工程を後に行う場合は、必要により架橋後に再除去すればよい。残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
得られた着色剤を含有する水不溶性ポリマー(y)粒子の水系分散体は、着色剤を含有する該ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤と水不溶性ポリマー(y)により粒子が形成されていればよい。例えば、該ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、該ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、該ポリマー粒子表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれ、これらの混合物も含まれる。
工程(3)
工程(3)は、工程(2)で得られた着色剤を含有する水不溶性ポリマー(y)粒子のポリマーを架橋剤で架橋させて、着色剤を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体を得る工程である。工程(3)は、水系インクの粘度を低減し、印字濃度を向上させる観点から、行う。
ここで、架橋剤としては、得られる水系分散体及び水系インクの再分散性と保存安定性を両立する観点から、ポリマーの塩生成基と反応する官能基を有する化合物が好ましく、該官能基を分子中に2以上、好ましくは2〜6有する化合物がより好ましい。
この架橋剤は、ポリマーの表面を効率よく架橋する観点から、25℃の水100gに溶解させたときの溶解量が、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下である。また、架橋剤の分子量は、水系インクを低粘度化させ、印字濃度を高める観点から、好ましくは120〜2000、より好ましくは150〜1500、更に好ましい150〜1000である。
(架橋剤)
架橋剤の好適例としては、次の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物:例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル。
(b)分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物:例えば、2,2'−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビスオキサゾリン、1,3−ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物、該化合物と多塩基性カルボン酸とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物。
(c)分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物:例えば、有機ポリイソシアネート又はイソシアネート基末端プレポリマー。
これらの中では、(a)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、特にエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが好ましい。
架橋剤の使用量は、インク中でのポリマー粒子(A)のインクを低粘度化させる観点から、使用する架橋剤と、ポリマー粒子(A)を構成するポリマーとの重量比〔架橋剤/ポリマー〕で5/100〜25/100が好ましく、7/100〜25/100がより好ましく、10/100〜25/100がより好ましく、16/100〜20/100が更に好ましい。
また、架橋剤の使用量は、該ポリマー1g当たりに対して、水系分散体と水系インクの保存安定性と再分散性を両立する観点から、架橋剤の反応性基のモル数として、0.05〜10mmolと反応する量であることが好ましく、0.1〜5mmolであることがより好ましく、0.1〜2mmolと反応する量であることが更に好ましい。
架橋反応時の条件は、好ましくは60〜95℃で0.5〜7時間である。
工程(3)で得られた、架橋ポリマー粒子の水系分散体における架橋ポリマーは、架橋ポリマー1g当たり、中和された塩生成基(好ましくはカルボキシ基)を0.5mmol以上含有することが好ましい。かかる架橋ポリマーは、水系分散体中で解離して、塩生成基同士の電荷反発により、着色剤を含有する架橋ポリマー粒子の安定性に寄与すると考えられる。
ここで、下記計算式(3)から求められる架橋ポリマーの架橋率(モル%)は、水系分散体と水系インクの保存安定性と再分散性を両立する観点から、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜70モル%である。架橋率は、架橋剤の使用量と反応性基のモル数、ポリマーの使用量と架橋剤の反応性基と反応できるポリマーの反応性基のモル数から計算で求めることができる。
架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数/ポリマーが有する架橋剤と反応し得る反応性基のモル数]×100 (3)
計算式(3)において、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤のモル数に架橋剤1分子中の反応性基の数を乗じたものである。
なお、ポリマーの架橋は、工程(1)で得られた着色剤を含有するポリマー粒子の分散体と架橋剤とを混合して行うこともできる。この場合は、該架橋工程で得られた架橋ポリマー粒子の水系分散体から、有機溶媒を除去する工程を前記工程(2)と同様に行うことにより、着色剤を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体を得ることができる。
〔インクジェット記録用水系分散体の製造法2〕
本発明において、ポリマーとして、水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)を用いる場合は、下記工程(I)〜(III)を有する方法によれば、インクジェット記録用水系分散体を効率的に製造することができる。
工程(I):着色剤を水溶性ポリマー(x)及び水で分散し、水系分散体を得る工程
工程(II):工程(I)で得られた水系分散体に水不溶性ポリマー(y)を添加して更に分散し、着色剤を含有するポリマー粒子(A)を含む分散体を得る工程
工程(III):工程(II)で得られた分散体、又は該分散体から溶媒を除去して得られた水系分散体に、架橋処理を行う工程
本発明のインクジェット記録用水系インクは、前記工程(I)〜(III)で得られた分散体に、必要に応じて水系インクに通常用いられる湿潤剤等の添加剤を添加して得ることができる。
工程(I)
工程(I)は、着色剤を水溶性ポリマー(x)で分散し、水系分散体を得る工程であるが、まず、水溶性ポリマー(x)、着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を混合し、混合物を得、該混合物を分散機にて分散する方法が好ましい。
混合物中、着色剤は、水系分散体及び水系インクの保存安定性と高印字濃度を両立する観点から、3〜50重量%が好ましく、5〜40重量%が更に好ましく、有機溶媒は、3〜70重量%が好ましく、5〜50重量%が更に好ましく、水不溶性ポリマー(y)は、0.3〜40重量%が好ましく、0.5〜20重量%が更に好ましく、水は、10〜85重量%が好ましく、20〜85重量%が更に好ましい。
水溶性ポリマー(x)と着色剤との好ましい重量比は前述のとおりである。
中和剤を用いて中和する場合、最終的に得られる水系分散体のpHが7〜11であるように中和することが好ましい。中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン等の塩基が挙げられる。また、水溶性ポリマー(x)を予め中和しておいてもよい。
なお、有機溶媒は前記と同様のものが挙げられる。
工程(I)における混合物の分散方法に特に制限はない。本分散だけで着色剤粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、水系分散体および水系インクの保存安定性を向上させる観点から、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、着色剤粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(I)の分散における温度は、5〜50℃が好ましく、5〜35℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、1〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、製造法1で用いる前記の高速撹拌混合装置を用いることができる。
本分散の剪断応力を与える手段としては、製造法1で用いると同様のものが挙げられる。
工程(II)
工程(II)は、工程(I)で得られた水系分散体に水不溶性ポリマー(y)を添加して更に分散し、着色剤を含有するポリマー粒子(A)を含む分散体を得る工程であるが、工程(I)で得られた水系分散体、水不溶性ポリマー(y)、有機溶媒、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を含有する混合物を調製し、分散する方法が好ましく、水不溶性ポリマー(y)、有機溶媒及び水を含有する水不溶性ポリマー(y)の分散体を用いることが好ましい。
前記混合物中、着色剤は、水系分散体及び水系インクの保存安定性と高印字濃度を両立する観点から、3〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、有機溶媒は、3〜70重量%が好ましく、5〜50重量%がより好ましく、水不溶性ポリマー(y)は、0.3〜40重量%が好ましく、0.5〜20重量%がより好ましく、水は、10〜85重量%が好ましく、20〜85重量%がより好ましい。
水不溶性ポリマー(y)と着色剤との好ましい重量比は、前記のとおりである。
中和剤を用いて中和する場合、最終的に得られる水系分散体のpHが7〜11であるように中和することが好ましい。また、アニオン性ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒の具体例、好適例は、製造法1で用いる前記の有機溶媒と同様である。
工程(II)における混合物の分散方法は、工程(I)と同様に、特に制限はなく、本分散だけでポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行ってもよい。工程(II)の分散における系内の温度は、5〜50℃が好ましく、5〜35℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、2〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、前記の混合撹拌装置等が好ましく用いられる。
本分散の剪断応力を与える手段としては、前記の混練機、高圧ホモジナイザー、メディア式分散機が挙げられる。これらの中では、ポリマー粒子(A)を小粒子径化する観点及び分散体を安定化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
(溶媒除去工程)
前記水系インクの製造方法においては、任意の工程として、工程(II)の後に、工程(II)で得られたポリマー粒子(A)を含む分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去して水系にすることで、ポリマー粒子(A)の水系分散体を得ることができる。本工程は工程(II)の後に行ってもよい。
得られたポリマー粒子(A)の水系分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよく、架橋工程を後に行う場合は、必要により架橋後に追加で除去すればよい。最終的に得られたポリマー粒子(A)の水系分散体中の残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
得られたポリマー粒子(A)の水系分散体は、該ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子(A)の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤とポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、該ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、該ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、該ポリマー粒子表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
工程(III)
工程(III)は、工程(II)で得られたポリマー粒子(A)を含む分散体、又は該分散体から溶媒を除去して得られた水系分散体に架橋処理を行う工程である。前記工程(II)で得られたポリマー粒子(A)を含む分散体、又は工程(II)で得られた分散体に溶媒が含まれている場合、該分散体から溶媒を除去して得られたポリマー粒子(A)の水系分散体に架橋剤を添加して、水不溶性ポリマー(y)及び水溶性ポリマー(x)を架橋した架橋ポリマー粒子を含有する水系分散体を得ることができる。工程(III)は、水系インクの粘度を低減し、印字濃度を向上させる観点から行う。
ポリマーの架橋は、前記工程(II)で得られた着色剤を含有するポリマー粒子(A)の分散体と架橋剤とを混合して行う場合は、該架橋工程で得られた架橋ポリマー粒子の分散体から、有機溶媒を除去する工程を前記溶媒除去工程と同様に行うことによっても、水系分散体を得ることができる。
ここで、架橋剤の具体例、好適例としては、前記と同様のものが挙げられる。
架橋剤の使用量、架橋ポリマー1g当たりの中和された塩生成基(好ましくはカルボキシ基)量、架橋ポリマーの架橋率(モル%)は、前記と同じである。
[インクジェット記録用水系分散体]
本発明のインクジェット記録用水系分散体は、前記の製造方法によって得られたものであり、そのまま水を主媒体とする水系インクとして用いてもよい。
本発明の水系分散体中の各成分の含有量は、下記のとおりである。
着色剤の含有量は、水系インクの印字濃度を高める観点から、好ましくは1〜35重量%、より好ましくは7〜30重量%、更に好ましくは10〜28重量%である。本発明の水系分散体は、着色剤を含有する架橋ポリマー粒子の含有量が高くとも、保存安定性に優れているという特別な効果を奏する。本発明の水系分散体中、着色剤を含有する架橋ポリマー粒子の含有量は、保存安定性を向上させる観点及び水系インクの配合の観点から、好ましくは1〜35重量%、より好ましくは7〜30重量%、更に好ましくは10〜28重量%である。
水の含有量は、好ましくは20〜90重量%,より好ましくは30〜80重量%である。
[インクジェット記録用水系インク]
本発明のインクジェット記録用水系インクは、前記の水系分散体を含有することを特徴とする。ここで、「水系」とは、水系インクに含まれる媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味するものであり、媒体が水のみの場合もあり、水と一種以上の有機溶媒との混合溶媒の場合も含まれる。この水系インクには、水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加することができる。
本発明の水系インク中の各成分の含有量は、下記のとおりである。
着色剤の含有量は、印字濃度と保存安定性等を両立する観点から、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは4〜20重量%、より好ましくは4〜15重量%、更に好ましくは4〜12重量%である。水の含有量は、好ましくは20〜90重量%,より好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。
また、水系インクとしての平均粒径は、高速プリンター適性、印字性能の観点から、好ましくは30nm〜300nm、より好ましくは50nm〜200nmである。
本発明の水系インクを適用するインクジェットの方式は制限されないが、特にピエゾ方式のインクジェットプリンターに好適である。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
なお、製造例、実施例及び比較例で得られたポリマーの重量平均分子量、平均粒子径、水系分散体及び水系インクの各種物性を、下記方法により測定、評価した。
(1)ポリマーの重量平均分子量の測定
溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するN,N−ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK-GEL、α-M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)平均粒径の測定
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システム「ELS−8000」(キュムラント解析) を用いて測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。測定濃度は、通常5×10-3重量%程度で行った。
(3)水系分散体及び水系インクの粘度の測定
E型粘度計(東機産業株式会社製、RE80L)を用いて20℃で粘度を測定した。
(評価基準)
A:インク粘度が11mPa・s未満
B:インク粘度が11mPa・s以上13mPa・s未満
C:インク粘度が13mPa・s以上
(4)保存安定性の評価
スクリュー管に固形分30%の着色剤含有(架橋)ポリマー粒子の水系分散体及び水系インクを充填、密閉し、70℃の恒温槽にて1週間保存した。保存前後の粘度を前記(3)により測定し、下記計算式により粘度変化率(%)(数値が100%に近い方が、保存安定性が良い)の値として求め、以下の基準により評価した。
粘度変化率(%)=100−〔[保存後の粘度]/[保存前の粘度]〕×100
(評価基準)
A:粘度の変化率が±10%以内
B:粘度の変化率が±10%を超えて、±15%以内
C:粘度の変化率が±15%を超える
(5)再分散性の評価
ガラスシャーレ上に水系分散体を1滴下(20μL)し、恒温槽(乾燥条件;40℃、常圧、12h)にて乾燥させる。室温で約30分放置後、ガラスプレート上の乾燥インクを再分散性試験液(分散体を除いたインク配合組成)2mlを添加して10.0分浸漬し、振とう機で振とう(振とう条件;100rpm、常温、5.0min)し、以下の基準により評価した。
(評価基準)
A:水系分散体固着物が再分散する
B:水系分散体固着物が一部再分散する
C:水系分散体固着物が再分散しないが、再分散性試験液が黄色く染まる
D:水系分散体固着物が全く再分散しない
(6)吸光特性変化の評価
前記(3)保存安定性で用いた水系インクを水で1万倍に希釈し、その希釈液の吸収スペクトルを分光光度計(株式会社日立製作所製、型番:U−3010)を用いて、吸収波長370〜800nmの範囲にわたって測定した。70℃で一週間保存前の吸収スペクトルの最大吸収波長に対する変化量を算出し、以下の基準により評価した。
(評価基準)
A:最大吸収波長の変化が1nm以下
B:最大吸収波長の変化が1nmを超えて、3nm以下
C:最大吸収波長の変化が3nmを超える
(7)吐出信頼性の評価
市販のセイコーエプソン株式会社のインクジェットプリンター(品番:EM−930C、ピエゾ方式)を用いて、23℃、相対湿度50%で、普通紙「4024」(富士ゼロックス株式会社製)に2000文字/枚を100枚連続印刷した後、文字、ベタ画像及び罫線を含むテスト文書を印字し、(i)シャープでハッキリとした文字、(ii)均一なベタ画像、及び(iii)ヨレのない罫線の3項目を評価し、以下の基準により評価した。
(評価基準)
A:3項目をいずれも満足する(問題なし)
B:3項目をいずれもほぼ満足する(実使用上問題なし)
C:1項目以上満足しない(実使用上問題あり)
(8)印字濃度の測定
前記プリンターを用い、前記(7)と同じ普通紙「4024」に、ベタ画像を印字し、1日放置後、光学濃度計SpectroEye(グレタグマクベス社製)を用いて任意の10箇所を測定し、平均値を求めた。
(9)定着性の評価
前記プリンターを用い、前記(7)と同じ普通紙「4024」に対し、20mm×20mmの大きさのベタ画像を印字し、10秒後の印字画像の上から別の普通紙「P」(富士ゼロックス株式会社製)の裏面を重ね、さらに上から490g(荷重面積43mm×30mm)の荷重をかけた状態で、ベタ画像表面を移動させ、重ねた紙の汚れを測定した。評価は以下の基準により行った。
(評価基準)
A:印字物はとれず、周りが汚れない。
B:ほとんど印字物はとれず、周りが汚れない。
C:ほとんど印字物はとれず、僅かに周りが汚れるが、実用上問題ないレベル。
D:印字物が擦りとられ、周りがひどく汚れ、指も相当汚れる。
製造例1〜7(水不溶性ポリマーの製造)
反応容器内に、メチルエチルケトン20部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.05部、及び表1に示す各モノマーの200部の10%を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマーの残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部、及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ビニル系水不溶性ポリマー溶液(ポリマー固形分40%)を得た(表1)。なお、溶解度パラメータ(SP値)は、ホモポリマーの化学構造式から〔「コーティングの基礎化学」原崎勇次著、槙書店、54頁、(1986年)〕に基づいて計算して求めた。
Figure 2012001675
製造例8(PY74とアゾ顔料誘導体(A)との顔料混合物の製造)
(1)2−メトキシ−4−ニトロアニリン168部(1モル)を水2000部と35%塩
酸260部とからなる溶液に溶解し、これに氷1000部を加え0℃に冷却した。水20
0部と亜硝酸ナトリウム70部からなる溶液を加え、3℃以下で60分間撹拌してジアゾ
成分を得た。
(2)一方、2−メトキシアセトアセトアニリド200部(0.966モル)、及び下記
式(8)で表される化合物7.9部(0.019モル)を水5000部と水酸化ナトリウ
ム10部とからなる溶液に溶解した。これに80%酢酸200部を少しづつ加えて懸濁液
としカップラー成分とした。
Figure 2012001675
(3)上記(2)で得られたカップラー成分に、上記(1)で得られたジアゾ成分を60分かけて加えた。この間のカップリング反応は約20℃に保持した。得られた顔料混合物スラリーを90℃まで加熱し30分保持後、濾過、水洗、圧搾、90℃で15時間乾燥し、500部のモノアゾ顔料であるピグメント・イエロー74と下記式(9)で表されるアゾ顔料誘導体(A)との顔料混合物を得た。この顔料混合物を粉砕して顔料混合物粉末とした。
Figure 2012001675
製造例9(PY74とアゾ顔料誘導体(B)との顔料混合物の製造)
水960gと35%塩酸327g(3.139モル)との混合溶液中に、3−ニトロ−4−トルイジン162.6g(1.07モル)と下記式(10)で表されるモノアゾ黄色有機顔料17.01g(0.03モル)を加えて、撹拌して分散させた。この分散液に、氷を約700g加えて冷却後、水130gに亜硝酸ソーダ87g(1.27モル)を溶解した液を加え、10℃以下を保持しつつ1時間撹拌し、スルファミン酸で過剰の亜硝酸を消失させた後、濾過を行ってジアゾ化液とした。
Figure 2012001675
一方、水5300gに酢酸ソーダ96g(0.706モル)溶解した後、アセトアセチルアニライド200.9g(1.13モル)を加えて分散させ、次に、80%酢酸90g(1.199モル)を滴下してpH6とし、温度25℃に調整してカップラー液とした。このカップラー液に、上記のジアゾ化液を120分で滴下してカップリング反応を行った。次に、90℃に昇温して30分間熱処理した後、濾過、水洗して副生塩等を除去し、乾燥機で80℃乾燥した。この乾燥顔料を粉砕して下記式(11)で表される黄色アゾ顔料誘導体(B)とC.I.ピグメント・イエロー74との顔料混合物を得た。
Figure 2012001675
実施例1
(1)顔料分散体の調製
水溶性ポリマー(ジョンクリル61J:BASFジャパン株式会社製、重量平均分子量16000)30.5%水溶液41.9部にイオン交換水1042.6部及びメチルエチルケトン134.0部を加え、ポリマー水溶液を得た。
得られたポリマー水溶液に25%アンモニア水溶液を13.2部、イエロー顔料として顔料の製造例8で得られた顔料混合物を200.0部加え、ディスパー翼を用いて20℃で1時間混合して予備分散体を得た(工程(I)予備分散)。
得られた予備分散体1432部をウルトラ・アペックス・ミル:型式UAM-05(寿工業株式会社、メディア式分散機、商品名)を用いて、メディア粒子として粒径0.05mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズ充填率85体積%、撹拌翼周速8m/s、循環流量200cc/minの条件で1時間(ミル内における総平均滞留時間:7.5分)、循環方式による分散処理を行い、顔料分散体を得た(工程(I)(a))。
(2)水不溶性ポリマーエマルジョンの調製
製造例1で得られたポリマー溶液110.1部に5N水酸化ナトリウム水溶液15.3部、メチルエチルケトン11.4部及びイオン交換水149.5部を加え、スターラーにより混合しポリマーエマルジョンを調製した(工程(I)(b))。
次に、前記(1)で得られた顔料分散体をスターラーで混合しながら、調製したポリマーエマルジョンを添加して、混合物を得た(工程(I)(c))。
(3)顔料分散体/水不溶性ポリマーエマルジョン混合物の分散処理
前記(2)で得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、高圧ホモジナイザー、商品名)を用いて、150MPaの圧力で15パスの連続方式による分散処理を行って、分散体を得た(工程(II))。
(4)有機溶媒の除去
前記(3)で得られた分散体を、減圧下、温水加熱媒体を用いてメチルエチルケトンを除去し(工程(III))、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度32%の水系分散体を得た。
(5)顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体の調製(工程IV)
前記(4)で得られた水系分散体100部に、架橋率が54モル%となるように架橋剤(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、商品名:デナコールEX321L、エポキシ当量129、水100部への溶解量約27部(25℃)、ナガセケムテックス株式会社製)を1.32部、水を37.5部加えて、密閉下、90℃下で1.5時間撹拌を行った。撹拌後、冷却し、5.0μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を用いて濾過を行い、固形分濃度が24%の顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体1を得た。
(6)水系インクの製造
前記で得られた顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体55.7部、グリセリン10.0部、2−{2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ}エタノール5.0部、1,2−ヘキサンジオール2.0部、アセチレングリコールEO付加物(n=10)0.5部及びイオン交換水26.8部を混合し、得られた混合液を1.2μmのメンブランフィルター〔Sartorius社製、商品名:Minisart〕で濾過し、水系インク1を得た。
インク配合組成を表2に示し、結果を表3に示す。
実施例2
実施例1において、工程IVの架橋剤を0.49部(架橋率が20モル%)、水を34.9部に変更した以外は、実施例1と同様にして、顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体2及び水系インク2を得た。
実施例3
実施例1において、工程Iの水溶性ポリマーを水不溶性ポリマー31.9部、イオン
交換水1052.6部に変更した以外は、実施例1と同様にして、顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体を得た。また実施例1において工程IVの架橋剤を1.20部(架橋率が20モル%)、水を37.1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体3及び水系インク3を得た。
実施例4〜6
実施例1において、工程I(b)の水不溶性ポリマー(製造例1)を製造例2〜4に
各々変更した以外は実施例1と同様にして、顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体4〜6及び水系インク4〜6を得た。
実施例7
実施例1において、顔料混合物を、製造例8で得られた顔料混合物に代えて、製造例9で得られた顔料混合物にした以外は実施例1と同様にして、顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体7及び水系インク7を得た。
比較例1〜3
実施例1において、工程I(b)の水不溶性ポリマー(製造例1)を製造例5〜7に
各々変更した以外は実施例1と同様にして、顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体8〜10及び水系インク8〜10を得た。
比較例4
実施例1において、工程IVの架橋剤を0.0部(架橋率が0モル%)、イオン交換水33.3部に変更した以外は、製造例1と同様にして、顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水系分散体11及び水系インク11を得た。
比較例5
実施例7において、工程IVの架橋剤を0.0部(架橋率が0モル%)、イオン交換水33.3部に変更した以外は、実施例7と同様にして、顔料混合物を含有するポリマー粒子の水系分散体12及び水系インク12を得た。
Figure 2012001675
Figure 2012001675
表3から、実施例1〜6の水系分散体は保存安定性、再分散性に優れており、また実施例1〜6の水系インクは、インク粘度が低く、吸光特性変化が少なく、保存安定性、吐出信頼性、印字濃度、記録紙への定着性が優れていることが分かる。これに対して、比較例1〜4の水系分散体及び水系インクは、実施例1〜6の水系分散体及び水系インクに比べて、前記の特性が大幅に劣ることが分かる。

Claims (6)

  1. 着色剤を含有するポリマー粒子を架橋剤で架橋してなる架橋ポリマー粒子の水系分散体であって、前記着色剤を含有するポリマー粒子を構成するポリマーが、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位と、下記式(1)で表されるポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(b)由来の構成単位と、下記式(2)〜(4)で表されるモノマーから選ばれる1種以上のノニオン性モノマー(c)由来の構成単位とを含み、前記モノマー(b)及び(c)の溶解度パラメータ(SP値)の差が0.5〜2.0であるポリマー(A)を含む、インクジェット記録用水系分散体。
    Figure 2012001675
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、mは2〜20の数を示す。)
    Figure 2012001675
    (式中、R1は前記と同じであり、R2は水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基を有するフェニル基を示し、nは2〜30の数を示す。)
    Figure 2012001675
    (式中、R1は前記と同じであり、R3は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基を有するフェニル基を示し、pは2〜30の数を示す。)
    Figure 2012001675
    (式中、R1及びR2は前記と同じであり、q及びrはそれぞれ1〜30の数を示す。オキシエチレン基及びオキシプロピレン基はブロック付加又はランダム付加している。)
  2. ポリマー(A)が水不溶性ポリマー(y)を含む、請求項1に記載のインクジェット記録用水系分散体。
  3. 水不溶性ポリマー(y)が芳香族基含有マクロマー(e)由来の構成単位を含む、請求項2に記載のインクジェット記録用水系分散体。
  4. 架橋剤の使用量が、〔架橋剤/着色剤を含有するポリマー粒子を構成するポリマー〕の重量比で5/100〜25/100である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水系分散体。
  5. 着色剤が、C.I.ピグメント・イエロー74を含むアゾ顔料である、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水系分散体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の水系分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
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