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JP2011118145A - 位相差フィルム - Google Patents

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JP2011118145A
JP2011118145A JP2009275320A JP2009275320A JP2011118145A JP 2011118145 A JP2011118145 A JP 2011118145A JP 2009275320 A JP2009275320 A JP 2009275320A JP 2009275320 A JP2009275320 A JP 2009275320A JP 2011118145 A JP2011118145 A JP 2011118145A
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Michiaki Kitamura
倫明 北村
Hideo Asano
英雄 浅野
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

【課題】低分子化合物からなる位相差向上剤と、主鎖に環構造を有するアクリル樹脂とを含む樹脂組成物からなる位相差フィルムであって、大きな位相差を実現できる位相差フィルムを提供する。
【解決手段】主鎖に環構造を有するアクリル樹脂(A)を含む樹脂組成物からなる位相差フィルムであって、樹脂組成物は、当該樹脂組成物100重量部中に、位相差フィルムが示す位相差を増大させる低分子化合物(B)を0.5〜20重量部含み、低分子化合物(B)は、4以上の炭素原子鎖長を有する炭化水素鎖の両末端に芳香族基が結合するとともに、前記炭化水素鎖および双方の前記芳香族基にわたるπ電子共役系が形成された分子構造を有する位相差フィルムとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、位相差フィルムに関する。
熱可塑性樹脂からなるフィルム(原フィルム)を延伸して得た延伸フィルムは、延伸により生じた高分子鎖の配向に基づく様々な光学特性を示す。このような延伸フィルムの一種に、高分子鎖の配向により生じる複屈折を利用した位相差フィルムがある。位相差フィルムは液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置に広く使用されるが、近年、画像表示装置の薄型化が進むにつれてその薄膜化が強く求められており、その要求に応えるために、薄いながらも大きな位相差を示す位相差フィルムが望まれる。
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)に代表されるアクリル樹脂は、高い光線透過率を有する一方で光弾性率が低いなど、その光学特性に優れるとともに、機械的強度、成形加工性および表面硬度のバランスに優れており、位相差フィルムに用いる熱可塑性樹脂として好適である。しかしアクリル樹脂は、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂など、位相差フィルムとして一般的な他の熱可塑性樹脂に比べて、延伸による位相差が現れにくく、大きな位相差を示す位相差フィルムとすることが難しい。
特開2008-9378号公報(特許文献1)には、ラクトン環構造を主鎖に有するアクリル樹脂を主成分とする位相差フィルムが開示されている。環構造の種類にもよるが、主鎖に環構造を有するアクリル樹脂を含むことによって、位相差フィルムが示す位相差が向上する。また、環構造によってアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)が向上するため、耐熱性に優れる位相差フィルムとなる。しかし、環構造が主鎖に入ることでアクリル樹脂が「硬く」なり、原フィルムの十分かつ均一な延伸が難しくなるため、環構造の導入のみによる位相差の向上には限界がある。また、硬くなった位相差フィルムは、折り曲げ時に破損したり、取扱時に裂けたりしやすく、いたずらに環構造の含有率を増加させることはできない。
ところで特許文献1には、位相差フィルムが示す位相差のさらなる向上を目的として、アクリル樹脂が示す複屈折性の符号と同じ符号を示す低分子物質を位相差フィルムに加えてもよいことが記載されており、低分子物質として、スチルベンなどが例示されている。このように、低分子の位相差向上剤の添加によっても、位相差フィルムが示す位相差の向上が期待される。
特開2006-241197号公報(特許文献2)には、このような位相差向上剤として、2以上の芳香環を含有する低分子化合物が記載されており、低分子化合物として、ビフェニル、ジヒドロキシビフェニル、ジフェニルスルフィド、ビスフェノール、スチルベン、ジフェニルアセチレン、アゾベンゼンなどが例示されている(段落0050)。
特開2008-9378号公報 特開2006-241197号公報
しかし、特許文献1、2に開示の低分子化合物が有する位相差の向上作用は必ずしも十分ではない。
そこで本発明は、低分子化合物からなる位相差向上剤と、主鎖に環構造を有するアクリル樹脂とを含む樹脂組成物からなる位相差フィルムであって、当該化合物の位相差向上作用が強く、大きな位相差を実現できる位相差フィルムの提供を目的とする。
本発明の位相差フィルムは、主鎖に環構造を有するアクリル樹脂(A)を含む樹脂組成物からなる位相差フィルムであって、前記樹脂組成物は、当該樹脂組成物100重量部中に、前記位相差フィルムが示す位相差を増大させる低分子化合物(B)を0.5〜20重量部含み、前記低分子化合物(B)は、4以上の炭素原子鎖長を有する炭化水素鎖の両末端に芳香族基が結合するとともに、前記炭化水素鎖および双方の前記芳香族基にわたるπ電子共役系が形成された分子構造を有する。
本発明の位相差フィルムでは、位相差フィルムが示す位相差を向上させる位相差向上剤として、上記分子構造を有する低分子化合物(B)を所定量含むことにより、大きな位相差を実現できる。
ベンゼン環部分における炭素原子鎖長を説明するための図である。
[アクリル樹脂(A)]
樹脂(A)は、主鎖に環構造を有するアクリル樹脂である限り、特に限定されない。
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位および/または(メタ)アクリル酸単位を構成単位として有する樹脂である。アクリル樹脂が有する全構成単位に占める(メタ)アクリル酸エステル単位および(メタ)アクリル酸単位の割合の合計は、通常50重量%以上であり、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。なお、ラクトン環構造など、(メタ)アクリル酸エステル単位の誘導体である環構造が樹脂の主鎖に存在する場合、その全構成単位に占める(メタ)アクリル酸エステル単位および(メタ)アクリル酸単位の割合と、当該樹脂における環構造の含有率との合計が50重量%以上であればアクリル樹脂とする。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの各(メタ)アクリル酸エステルの重合により形成される構成単位である。樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸エステル単位として、これらの構成単位を2種以上有してもよい。樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸メチル単位を有することが好ましく、この場合、位相差フィルムの光学特性および表面の硬度が向上する。
環構造は、例えばラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、無水マレイン酸構造およびN−置換マレイミド構造から選ばれる少なくとも1種である。これらの環構造は、樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)を上昇させ、位相差フィルムの耐熱性を向上させる。また、置換基の種類など、その具体的な構造によっては、位相差フィルムが示す位相差が向上する。特に、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造およびグルタルイミド構造は、樹脂(A)の固有複屈折を正に大きくし、位相差フィルムが示す位相差を正に向上させやすい。
環構造は、環構造としての安定性に優れること、また、光学特性に優れる位相差フィルムが得られることから、ラクトン環構造およびグルタルイミド構造から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ラクトン環構造がより好ましい。
樹脂(A)が主鎖に有していてもよいラクトン環構造は特に限定されず、例えば4〜8員環であってもよいが、環構造としての安定性に優れることから5員環または6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。6員環であるラクトン環構造は、例えば特開2004-168882号公報に開示されている構造であるが、前駆体(前駆体を環化縮合反応させることで、ラクトン環構造を主鎖に有する樹脂が得られる)の重合収率が高いこと、前駆体の環化縮合反応によって高いラクトン環含有率を有する樹脂が得られること、メタクリル酸メチル単位を構成単位として有する重合体を前駆体にできること、などの理由から、以下の式(1)に示す構造が好ましい。
Figure 2011118145
式(1)において、R1、R2およびR3は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の範囲の有機残基である。有機残基は酸素原子を含んでもよい。
有機残基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数が1〜20の範囲のアルキル基;エテニル基、プロペニル基などの炭素数が1〜20の範囲の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数が1〜20の範囲の芳香族炭化水素基;上記アルキル基、上記不飽和脂肪族炭化水素基および上記芳香族炭化水素基において、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基;である。
ラクトン環構造は、分子鎖内に水酸基およびエステル基を有する前駆体を脱アルコール環化縮合させて形成できる。式(1)に示すラクトン環は、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)との共重合体を形成した後、当該共重合体における隣り合ったMMA単位とMHMA単位とを脱アルコール環化縮合させることで形成できる。このとき、R1はH、R2およびR3はCH3である。
樹脂(A)が主鎖にラクトン環構造を有する場合、樹脂(A)におけるラクトン環構造の含有率は特に限定されないが、通常10〜70重量%であり、20〜60重量%が好ましい。また、当該含有率は、25〜55重量%、30〜55重量%になるほど、さらに好ましい。
樹脂(A)におけるラクトン環構造の含有率は、ダイナミックTG法により、以下のようにして求めることができる。最初に、ラクトン環構造を有する樹脂(A)に対してダイナミックTG測定を実施し、150℃から300℃の間の重量減少率を測定して、得られた値を実測重量減少率(X)とする。150℃は、樹脂(A)に残存する水酸基およびエステル基が環化縮合反応を開始する温度であり、300℃は、樹脂(A)の熱分解が始まる温度である。これとは別に、前駆体である重合体に含まれる全ての水酸基が脱アルコール反応を起こしてラクトン環が形成されたと仮定して、その反応による重量減少率(即ち、前駆体の脱アルコール環化縮合反応率が100%であったと仮定した重量減少率)を算出し、理論重量減少率(Y)とする。理論重量減少率(Y)は、前駆体における、脱アルコール反応に関与する水酸基を有する構成単位の含有率から求めることができる。なお、前駆体の組成は、樹脂(A)の組成から導くことが可能である。次に、式[1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))]×100(%)により、樹脂(A)の脱アルコール反応率を求める。樹脂(A)では、求めた脱アルコール反応率の分だけラクトン環構造が形成されていると考えられる。そこで、前駆体における、脱アルコール反応に関与する水酸基を有する構成単位の含有率に、求めた脱アルコール反応率を乗じ、ラクトン環構造の重量に換算することで、樹脂(A)におけるラクトン環構造の含有率を求めることができる。
樹脂(A)は、以下の式(2)に示す環構造を主鎖に有してもよい。
Figure 2011118145
式(2)におけるR4およびR5は、互いに独立して、水素原子またはメチル基であり、X1は酸素原子または窒素原子である。X1が酸素原子のときR6は存在せず、X1が窒素原子のとき、R6は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基である。
1が窒素原子のとき、式(2)に示す環構造は、グルタルイミド構造である。グルタルイミド構造を主鎖に有する樹脂(A)は、例えば(メタ)アクリル酸エステル重合体をメチルアミンなどのイミド化剤によりイミド化して形成できる。
1が酸素原子のとき、式(2)に示す環構造は、無水グルタル酸構造である。無水グルタル酸構造を主鎖に有する樹脂(A)は、例えば(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体を、分子内で脱アルコール環化縮合させて形成できる。
樹脂(A)は、以下の式(3)に示す環構造を主鎖に有してもよい。
Figure 2011118145
式(3)におけるR7およびR8は、互いに独立して、水素原子またはメチル基であり、X2は、酸素原子または窒素原子である。X2が酸素原子のときR9は存在せず、X2が窒素原子のとき、R9は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基である。
2が窒素原子のとき、式(3)に示す環構造は、N−置換マレイミド構造である。N−置換マレイミド構造を主鎖に有する樹脂(A)は、例えばN−置換マレイミドと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合して形成できる。
2が酸素原子のとき、式(3)に示す環構造は、無水マレイン酸構造である。無水マレイン酸構造を主鎖に有する樹脂(A)は、例えば無水マレイン酸と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合して形成できる。
樹脂(A)が式(2)、(3)に示す環構造を主鎖に有する場合、樹脂(A)における式(2)、(3)に示す環構造の含有率は特に限定されないが、通常5〜90重量であり、10〜70重量%が好ましく、10〜60重量%がより好ましく、10〜50重量%がさらに好ましい。
樹脂(A)のTgは、主鎖に環構造を有することから、通常110℃以上である。環構造の種類およびその含有率によっては、樹脂(A)のTgは、115℃以上、120℃以上、さらには130℃以上となる。
110℃以上、場合によっては130℃以上、という樹脂(A)の高いTgは、樹脂(A)が主鎖に環構造を有することにより達成される。例えば、主鎖に環構造を有さない代表的なアクリル樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)のTgは約100℃である。即ち、樹脂(A)が主鎖に環構造を有することにより、耐熱性が向上した位相差フィルムとなる。このように耐熱性が向上した位相差フィルムは、光源などの発熱部近傍への配置が容易となるなど、画像表示装置に好適に使用できる。
樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸エステル単位および(メタ)アクリル酸単位以外の構成単位を有していてもよく、このような構成単位は、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、メタリルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレンなどの各単量体の重合により形成される構成単位である。樹脂(A)は、これらの構成単位を2種以上有してもよい。
樹脂(A)は、紫外線吸収能を有する構成単位(UVA単位)を有していてもよい。この場合、位相差フィルムの紫外線吸収能が向上する。また、UVA単位の構造によっては、樹脂(A)と低分子化合物(B)との相溶性が向上する。
UVA単位の起源となる単量体(C)は特に限定されず、例えば、重合性基を導入したベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン誘導体またはベンゾフェノン誘導体である。導入する重合性基は、樹脂(A)が有する構成単位に応じて適宜選択できる。
単量体(C)の具体例は、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ)エチルフェニル−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学製、商品名RUVA−93)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ)フェニル−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メタクリロイルオキシ)フェニル−2H−ベンゾトリアゾールである。
単量体(C)の上記とは別の具体例は、以下の式(4)、(5)、(6)により示されるトリアジン誘導体あるいは以下の式(7)により示されるベンゾトリアゾール誘導体である。
Figure 2011118145
Figure 2011118145
Figure 2011118145
Figure 2011118145
樹脂(A)がUVA単位を含む場合、樹脂(A)における当該単位の含有率は20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。樹脂(A)におけるUVA単位の含有率が過度に大きくなると、位相差フィルムの耐熱性が低下する。
樹脂(A)の重量平均分子量は、例えば1000〜300000の範囲であり、5000〜250000の範囲が好ましく、10000〜200000の範囲がより好ましく、50000〜200000の範囲がさらに好ましい。
樹脂(A)は公知の方法により製造できる。ラクトン環構造を主鎖に有する樹脂(A)は、例えば特開2006-96960号公報、特開2006-171464号公報、特開2007-63541号公報に記載の方法により製造できる。N−置換マレイミド構造を主鎖に有する樹脂(A)、無水グルタル酸構造を主鎖に有する樹脂(A)およびグルタルイミド構造を主鎖に有する樹脂(A)は、例えば特開2007-31537号公報、国際公開第2007/26659号、国際公開第2005/108438号に記載の方法により製造できる。無水マレイン酸構造を主鎖に有する樹脂(A)は、例えば特開昭57-153008号公報に記載の方法により製造できる。
[低分子化合物(B)]
化合物(B)は、4以上の炭素原子鎖長を有する炭化水素鎖の両末端に芳香族基が結合するとともに、この炭化水素鎖ならびにその両末端に結合した双方の芳香族基にわたるπ電子共役系(π共役系)が形成された分子構造を有する限り、特に限定されない。
化合物(B)において、4以上の炭素原子鎖長を有する炭化水素鎖と、その両末端に結合した芳香環とにわたるπ共役系が形成されていることは、本発明の位相差フィルムを得るために必要である。このような分子構造は、ある長さ以上の共役長を有するπ共役系が化合物(B)に形成されていることを意味しており、このとき、化合物(B)における、共役π結合に沿う方向と当該方向に直交する方向との分極率差が非常に大きくなるとともに、4以上の炭素原子鎖長を有する炭化水素鎖の存在により、樹脂(A)の配向方向に化合物(B)の分子が効率良く並ぶため、化合物(B)が示す位相差向上作用が強くなる。これにより、化合物(B)を含む本発明の位相差フィルムは、大きな位相差を発現できる。
化合物(B)において、その両末端に位置する芳香族基は、当該芳香族基間に存在する炭化水素鎖とともにπ共役系を形成する限り、特に限定されない。芳香族基には、縮合環であってもよい多環式芳香族化合物ならびに複素芳香族化合物が含まれる。具体的な芳香族基は、例えば、フェニル基、アルコキシフェニル基、カルボキシフェニル基、アルキルオキシカルボニルフェニル基、シアノフェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピリジン基、チオフェニル基、オキサゾイル基、ベンゾトリアゾール基、カルバゾイル基、インドール基、トリアジン基である。両末端の芳香族基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
化合物(B)において、両末端の芳香族基の間を繋ぐ炭化水素鎖は、4以上の炭素原子鎖長を有するとともに、両末端の芳香環とともにπ共役系を形成する限り、特に限定されない。炭化水素鎖の構造は、直鎖であっても分岐を有していてもよいが、化合物(B)の位相差向上作用が強くなることから、直鎖が好ましい。炭化水素鎖は、その主鎖(両末端の芳香環を繋ぐ鎖を主鎖とする)内にベンゼン環を有していてもよく、この場合、ベンゼン環部分における炭素原子鎖長は、当該環におけるp(パラ)位で主鎖と結合しているときは「4」、m(メタ)位で主鎖と結合しているときは「3」、o(オルト)位で主鎖と結合しているときは「2」となる(図1参照)。なお、炭化水素鎖の主鎖中にベンゼン環が存在する場合においても、当該炭化水素鎖に分岐が存在しない場合、当該炭化水素鎖は直鎖とする。炭化水素鎖中のベンゼン環は置換基を有さないことが好ましい。炭化水素鎖における炭素原子鎖長の上限は特に限定されないが、過度に原子鎖長が長い場合、溶融押出による位相差フィルム成形時に加えられる熱によって化合物(B)が酸化分解されやすくなるため、例えば20であり、12程度が好ましい。
化合物(B)は、例えば、以下の式(8)に示す構造を有する。
Figure 2011118145
式(8)において、Ar1およびAr2は、芳香族基であって、互いに同一であっても異なっていてもよく、Y1およびY2は、エチレン基(−C=C−)またはアセチレン基(−C≡C−)であって、互いに同一であっても異なっていてもよく、Zは、単結合、または16以下の炭素原子鎖長を有する炭化水素鎖からなる炭化水素基である。
Ar1およびAr2は、例えば、フェニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基、カルボキシフェニル基、アルキルオキシカルボニルフェニル基、シアノフェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピリジン基、チオフェニル基、オキサゾイル基、ベンゾトリアゾール基、カルバゾイル基、インドール基、トリアジン基である。Ar1およびAr2は、高い位相差向上作用を示す化合物(B)となることから、フェニル基ならびに炭素数1〜5のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基が好ましく、化合物(B)の分子構造の対称性が低下することで溶融押出時における化合物(B)の昇華性が低下することから、炭素数1〜5のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基が好ましい。アルコキシフェニル基は、例えば、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、ブトキシフェニル基であり、位相差向上作用が特に高いことから、メトキシフェニル基が好ましい。なお、化合物(B)の昇華性が低い場合、溶融押出時に化合物(B)がブリードアウトしにくくなり、外観上あるいは光学的な欠点が少ない位相差フィルムとなる。
1およびY2は、高い位相差向上作用を示す化合物(B)となることから、置換基を有さないことが好ましい。
Zが炭化水素基である場合、Zを構成する炭化水素鎖は直鎖であっても分岐を有していてもよいが、高い位相差向上作用を示す化合物(B)となることから、直鎖が好ましい。炭化水素鎖は、その主鎖内にベンゼン環を有していてもよく、この場合、ベンゼン環部分における炭素原子鎖長は上述したとおりである。炭化水素鎖の主鎖中にベンゼン環が存在する場合においても、当該炭化水素鎖に分岐が存在しない場合、当該炭化水素鎖は直鎖とする。炭化水素鎖中のベンゼン環は置換基を有さないことが好ましい。Zを構成する炭化水素鎖における炭素原子鎖長の上限は特に限定されないが、過度に原子鎖長が長い場合、溶融押出による位相差フィルム成形時に加えられる熱によって化合物(B)が酸化分解されやすくなるため、例えば、16であり、8程度が好ましい。
Zは、例えば、以下の式(9)、(10)に示す炭化水素基である。式(9)に示す炭化水素基は、エチレン基(−C=C−)が連続して結合した構造を有し、式(10)に示す炭化水素基は、アセチレン基(−C≡C−)が連続して結合した構造を有する。式(9)、(10)におけるnは2以上の整数である。
Figure 2011118145
Figure 2011118145
このとき、化合物(B)は、例えば、以下の式(11)、(12)に示す構造を有する。式(11)、(12)におけるAr1およびAr2は、上述した式(8)におけるAr1およびAr2と同様であり、nは2以上の整数である。
Figure 2011118145
Figure 2011118145
化合物(B)の具体例を、以下の式(13)〜(17)に示す。これらの具体例では、Ar1およびAr2は同一である。
Figure 2011118145
Figure 2011118145
Figure 2011118145
Figure 2011118145
Figure 2011118145
式(13)に示す化合物は(トランストランス)−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンであり、両末端の芳香族基はフェニル基、両末端の芳香族基を繋ぐ炭化水素鎖の炭素原子鎖長は4である。
式(14)に示す化合物は1,6−ジフェニル−1,3,5−ヘキサトリエンであり、両末端の芳香族基はフェニル基、両末端の芳香族基を繋ぐ炭化水素鎖の炭素原子鎖長は6である。
式(15)に示す化合物は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジインであり、両末端の芳香族基はフェニル基、両末端の芳香族基を繋ぐ炭化水素鎖の炭素原子鎖長は4である。
式(16)に示す化合物は1,4−ビススチリルベンゼンであり、両末端の芳香族基はフェニル基、両末端の芳香族基を繋ぐ炭化水素鎖はベンゼン環を含み、その炭素原子鎖長は8である。
式(17)を示す化合物は4,4'−ビス(2−メトキシスチリル)ビフェニルであり、両末端の芳香族基はメトキシフェニル基、両末端の芳香族基を繋ぐ炭化水素鎖は2つのベンゼン環を含み、その炭素原子鎖長は12である。
式(13)〜(17)に示す化合物の炭化水素鎖は、全て分岐を有さない直鎖である。
化合物(B)の分子量は特に限定されないが、例えば、200〜1000であり、250〜750が好ましい。分子量が過度に小さいと、溶融押出による位相差フィルム形成時に化合物(B)のブリードアウトが起きやすくなる。一方、分子量が過度に大きくなると、樹脂(A)との相溶性が低下する。
[位相差フィルム]
本発明の位相差フィルムは、樹脂(A)と化合物(B)とを含む樹脂組成物からなる。樹脂(A)と化合物(B)とを含む樹脂組成物から位相差フィルムを得る方法は特に限定されず、樹脂組成物を成形して得た原フィルムを延伸すればよい。
原フィルムは、樹脂(A)と化合物(B)とを含む樹脂組成物に対して、溶融押出あるいはキャストなどの公知のフィルム成形手法を適用することで製造できる。原フィルムの延伸は、一軸延伸(自由端一軸延伸、固定端一軸延伸など)または二軸延伸(逐次二軸延伸、同時二軸延伸など)などの公知の延伸法に基づいて実施すればよい。
本発明の位相差フィルムを構成する樹脂組成物について説明する。
樹脂組成物における化合物(B)の含有率は、当該樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜20重量部であり、1〜10重量部が好ましく、2〜6重量部がより好ましい。
樹脂組成物は、樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂を含んでもよい。この場合、位相差フィルムが含む熱可塑性樹脂全体に占める樹脂(A)の割合は、通常60重量%以上であり、70重量%以上が好ましく、85重量%以上がより好ましい。
樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのオレフィンポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂などのハロゲン含有ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレンポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴムあるいはアクリル系ゴムを配合したABS樹脂、ASA樹脂などのゴム質重合体;などである。ゴム質重合体は、その表面に、樹脂(A)と相溶し得る組成のグラフト部を有することが好ましく、また、ゴム質重合体が粒子状である場合、その平均粒子径は、位相差フィルムとしたときの透明性向上の観点から、300nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましい。
例示した熱可塑性樹脂のなかでも、樹脂(A)との相容性に優れることから、シアン化ビニル単量体に由来する構成単位と芳香族ビニル単量体に由来する構成単位とを有する共重合体が好ましい。当該共重合体は、例えばスチレン−アクリロニトリル共重合体である。
樹脂組成物は、本発明の効果が得られる限り、樹脂(A)および化合物(B)以外の材料、例えば添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、例えば、酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤に代表される帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラー、無機フィラー;樹脂改質剤;可塑剤;滑剤;難燃剤などである。樹脂組成物における添加剤の含有率は、例えば0〜5重量%であり、0〜2重量%が好ましく、0〜0.5重量%がより好ましい。
本発明の位相差フィルムは、化合物(B)に基づき、大きな位相差を発現できる。具体的には、本発明の位相差フィルムにおける、波長590nmの光に対する面内位相差Reは、例えば20〜350nmである。
化合物(B)が高い位相差向上作用を有することは、化合物(B)の添加量Wに対する原フィルムの応力光学係数Crの変化ΔCr/Wによって、より明確となる。ここで、ΔCrは、化合物(B)を添加して得られた原フィルム(未延伸フィルム)の応力光学係数から、化合物(B)を未添加として得られた原フィルムの応力光学係数を引いた値である。応力光学係数Crとは、樹脂組成物を成形して得た原フィルムを、そのTg以上の温度で延伸して位相差フィルムとし、その際、延伸のために原フィルムに加える応力σを変化させたときの、応力σに対する得られた位相差フィルムの位相差の変化の傾きのことである。応力光学係数Crは、樹脂組成物のTg以上の温度で測定されるため、原フィルムの延伸によってどの程度の位相差が当該フィルムに発現するかの指標となる。化合物(B)が高い位相差向上作用を有する場合、わずかな応力によって大きな位相差が発現するためCrは大きくなり、化合物(B)の添加量Wに対する応力光学係数Crの変化ΔCr/Wが大きくなる。
本発明の位相差フィルムにおけるΔCr/Wは、Wを樹脂組成物100重量部に対する化合物(B)の重量部、Crを応力σ(Pa)に対する、得られた位相差フィルムにおける面内方向の複屈折率(Δn=(nx−ny):測定波長590nm)の傾きとして評価したときに、例えば0.09×10-9Pa-1以上となり、化合物(B)の種類によっては、0.10×10-9Pa-1以上、さらには0.15×10-9Pa-1以上となる。なお、nxは、得られた位相差フィルムにおける面内方向の遅相軸の屈折率、nyは、同フィルムにおける面内方向の進相軸の屈折率である。
化合物(B)が高い位相差向上作用を有することによって、少ない添加量で大きな位相差が得られるため、化合物(B)が芳香族基を含むにもかかわらず、本発明の位相差フィルムが示す光弾性係数Cdは小さい。具体的には、本発明の位相差フィルムにおける光弾性係数Cd(測定波長590nm)の絶対値は、例えば8×10-12Pa-1以下であり、化合物(B)の種類およびその添加量によっては、5×10-12Pa-1となる。なお、光弾性係数Cdは、応力光学係数Crとは異なり、常温(23℃)で測定される。
本発明の位相差フィルムが示す光弾性係数Cdの値が、芳香環を含む位相差向上剤を添加して得られた位相差のわりに小さいことは、得られた位相差フィルムのΔCd/ΔCrの評価によって、より明確となる。ここで、ΔCdは、化合物(B)を添加したときに得られた位相差フィルムの光弾性係数から、化合物(B)を未添加として得られた位相差フィルムの光学弾性係数を引いた値である。本発明の位相差フィルムにおけるΔCd/ΔCr(測定波長590nm)は、例えば、12×10-3以下であり、化合物(B)の種類によっては、10×10-3以下、さらには8×10-3以下となる。
本発明の位相差フィルムは、主鎖に環構造を有する樹脂(A)に基づき、例えば110℃以上の高いTgを示す。樹脂(A)における環構造の種類およびその含有率ならびに位相差フィルムにおける樹脂(A)および化合物(B)の含有率によっては、位相差フィルムのTgは115℃以上、120℃以上、さらには125℃以上となる。
化合物(B)が高い位相差向上作用を有することによって、少ない添加量で大きな位相差が得られるため、化合物(B)が低分子化合物であるにもかかわらず、本発明の位相差フィルムが示すTgの低下量は少ない。
本発明の位相差フィルムが示すTgの低下が、低分子の位相差向上剤を添加して得られた位相差のわりに小さいことは、得られた位相差フィルムのΔTg/ΔCrの評価によって、より明確となる。ここで、ΔTgは、化合物(B)を添加したときに得られた位相差フィルムのTgから、化合物(B)を未添加として得られた位相差フィルムのTgを引いた値である。本発明の位相差フィルムにおけるΔTg/ΔCr(Crの測定波長590nm)は、例えば、−60×109Pa・℃以上であり、化合物(B)の種類によっては、−40×109Pa・℃以上、さらには、−20×109Pa・℃以上、−10×109Pa・℃以上となる。
本発明の位相差フィルムは、用途に応じて、他の光学部材と組み合わせて用いてもよい。
本発明の位相差フィルムの用途は特に限定されず、従来の位相差フィルムと同様の用途(例えば、液晶表示装置(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)などの画像表示装置)に使用が可能である。
具体的には、本発明の位相差フィルムは、LCDの光学補償部材として好適である。例えば、STN型LCD、TFT−TN型LCD、OCB型LCD、VA型LCD、IPS型LCDなどの各種LCDの位相差フィルム、光学補償フィルム、偏光板との積層フィルム、偏光板光学補償フィルムに好適に使用できる。本発明の位相差フィルムの好ましい光学特性は、使用する液晶の表示モードによって異なる。
また、本発明の位相差フィルムは、LCDの偏光板に用いる偏光子保護フィルムとして好適である。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
最初に、本実施例において作製した樹脂(A)、原フィルム(未延伸フィルム)および位相差フィルムの評価方法を示す。
[重合時の重合反応率]
重合により樹脂(A)を作製する際の重合反応率は、重合溶液に含まれる未反応の単量体の量をガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC17A)により測定することで評価した。
[樹脂(A)の重量平均分子量]
樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の測定条件に従って求めた:
測定システム:東ソー製GPCシステムHLC-8220
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)
溶媒流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS−オリゴマーキット)
測定側カラム構成:ガードカラム(東ソー製、TSK guardcolumn SuperHZ-L)、分離カラム(東ソー製、TSK Gel Super HZM-M)、2本直列接続
リファレンス側カラム構成:リファレンスカラム(東ソー製、TSK gel SuperH-RC)。
[樹脂(A)および原フィルムのTg]
樹脂(A)および原フィルムのガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC-8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。なお、延伸によってフィルムのTgは変化しないため、原フィルムのTgと位相差フィルムのTgとは同一である。
[位相差フィルムの位相差]
波長590nmの光に対する位相差フィルムの面内位相差Reは、位相差測定装置(王子計測機器製、KOBRA-WR)を用いて求めた。具体的には、測定項目として入射角依存性(単独N計算)を選択し、傾斜中心軸を遅相軸に、入射角を40°として、アッベ屈折率計で測定したフィルムの平均屈折率、膜厚dを入力して測定した。位相差フィルムの膜厚dは、デジマチックマイクロメータ(ミツトヨ製)を用いて測定した。
位相差フィルムにおける面内位相差Reは、式Re=(nx−ny)×dにより示される。ここで、nxは位相差フィルムの面内における遅相軸方向(フィルム面内において最大の屈折率を示す方向)の屈折率、nyは位相差フィルムの面内における進相軸方向(フィルム面内におけるnxと垂直な方向)の屈折率、dは位相差フィルムの厚さ(nm)である。
[位相差フィルムの光弾性係数Cd]
波長590nmの光に対する位相差フィルムの光弾性係数Cdは、エリプソメーター(JASCO製、M−150)を用いて求めた。具体的には、作製した樹脂(A)を240℃で溶融プレスして得た原フィルム(厚さ100μm)を50mm×80mmに切り出して小片とし、この小片を恒温槽付きオートグラフ(島津製作所製、AG−X)を用いて、そのTg+5℃の延伸温度にて延伸倍率2倍で一軸延伸し、位相差フィルムとした。次に、作製した位相差フィルムを、延伸方向を長辺として20mm×50mmに切り出して測定試料とし、これをエリプソメーターの光弾性計測ユニットに装着して、延伸方向と平行に5〜25Nの応力荷重を印加しながら三点複屈折を計測し、波長590nmの光を使用したときにおける、応力に対する複屈折の傾きを光弾性係数Cdとした。
[原フィルムの応力光学係数Cr]
原フィルムを60mm×20mmに切り出し、原フィルムに取り付けたときに当該フィルムに1N/mm2以下の応力が加わるように重りを選択し、これを、切り出した原フィルムにおける短辺の一方に取り付けた。次に、全体を、原フィルムのTg+3℃に保持した定温乾燥機(アズワン製、DOV−450A)に収容し、原フィルムを30分間放置した。定温乾燥機に収容する際には、原フィルムにおける、重りを取り付けた一辺とは対向する一辺をチャックを用いて固定し、重りによって原フィルムに応力が加わり、原フィルムが鉛直方向に自由端一軸延伸されるようにした。チャックと重りを取り付けた部分との距離は40mmとした。約30分後、乾燥機のヒーターを切り、乾燥機内の温度が原フィルムのTg−40℃になるまで放置した後、フィルムを取りだして、そのフィルム長、厚さ、波長590nmの光に対する面内位相差ならびに用いた重りの重量を測定した。測定は、重りの重量を変えながら3〜4点行った。次に、測定した面内位相差をフィルムの厚さで除して当該フィルムの複屈折Δn(=nx−ny、測定波長590nm)を求め、これをy軸に、また、原フィルムに加えた応力σ(Pa)を重りの重量から求め、これをx軸にプロットして、最小二乗法により当該プロットの直線の傾きを算出してこれを原フィルムの応力光学係数Crとした。
(製造例1)
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた、内容積1000Lの反応容器に、30重量部のメタクリル酸メチル(MMA)、15重量部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、5重量部のメタクリル酸n−ブチル(BMA)、重合溶媒として50重量部のトルエンならびに酸化防止剤として0.025重量部のアデカスタブ2112(ADEKA製)を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤として0.03重量部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)を添加するとともに、0.7重量部のトルエンに0.06重量部のt−アミルパーオキシイソノナノエートを溶解させた溶液を6時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに2時間の熟成を行った。熟成後の重合反応率は96.2%であった。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として0.1重量部のリン酸2−エチルヘキシル(堺化学工業製、Phoslex A-8)を加え、約85〜105℃の還流下において2時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を、220℃に加熱した多管式熱交換機を通すことで環化縮合反応をさらに進行させた後、バレル温度250℃、回転速度170rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個およびフォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)のベントタイプスクリュー二軸押出機(Φ=42mm、L/D=42)に、樹脂量換算で15kg/時の処理速度で導入し、脱揮を行った。脱揮時には、第1ベントの後から、別途準備しておいた酸化防止剤・失活剤混合溶液を0.46kg/時の注入速度で注入した。
酸化防止剤・失活剤混合溶液には、0.8重量部のチバスペシャリティケミカルズ製Irganox1010、0.8重量部のADEKA製アデカスタブAO-412Sおよび9.8重量部のオクチル酸亜鉛(日本化学工業製、ニッカオクチクス亜鉛18%)をトルエン88.6重量部に溶解させた溶液を用いた。
次に、押出機内の溶融樹脂を、リーフディスク型のポリマーフィルタ(長瀬産業製、濾過精度5μ)を通した後に、ペレット化して、主鎖にラクトン環構造を有するアクリル樹脂(A)のペレット(A−1)を得た。得られたペレットは透明であり、その重量平均分子量は128000、Tgは131℃であった。
(実施例1)
製造例1で作製したペレット(A−1)98重量部と、化合物(B)として上記式(13)に示す(トランストランス)−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン2重量部とをドライブレンドし、ラボプラストミル(東洋精機製、R−60H)を用いて250℃で溶融混練(回転速度100rpm、5分間)して、主鎖にラクトン環構造を有するアクリル樹脂(A)と、化合物(B)との樹脂組成物からなる透明なペレットを得た。
次に、得られたペレットを溶融プレス成形して、厚さ100μmの未延伸フィルム(原フィルム)を作製した。得られた原フィルムのTgは125℃であり、応力光学係数Crは1.04×10-9Pa-1であった。
次に、得られた原フィルムを50mm×80mmに切り出し、切り出した原フィルムを恒温槽付きオートグラフ(島津製作所製、AG−X)を用いて延伸した。具体的には、フィルムを試験装置にセットする際のチャック間距離を40mmとし、チャックにセットしたフィルムを、当該フィルムのTg+7℃で3分間予熱した後、延伸倍率が2倍となるように自由端一軸延伸した。延伸時に原フィルムに加わる応力は、最大2.3N/mm2とした。
このようにして得られた位相差フィルムが示す面内位相差Reは201nmであり、光弾性係数Cdは3.26×10-12Pa-1であった。
(実施例2)
製造例1で作製したペレット(A−1)96重量部と、化合物(B)として(トランストランス)−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン4重量部とを用いた以外は実施例1と同様にして、原フィルムおよび位相差フィルムを作製した。
原フィルムのTgは119℃であり、応力光学係数Crは1.23×10-9Pa-1であった。位相差フィルムが示す面内位相差Reは226nmであり、光弾性係数Cdは4.48×10-12Pa-1であった。
(実施例3)
化合物(B)として、(トランストランス)−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンの代わりに上記式(17)に示す4,4'−ビス(2−メトキシスチリル)ビフェニルを用いた以外は実施例2と同様にして、原フィルムおよび位相差フィルムを作製した。
原フィルムのTgは126℃であり、応力光学係数Crは1.47×10-9Pa-1であった。位相差フィルムが示す面内位相差Reは237nmであり、光弾性係数Cdは7.05×10-12Pa-1であった。
(比較例1)
製造例1で得たペレット(A−1)を溶融プレス成形して、厚さ100μmの未延伸フィルム(原フィルム)を作製した。得られた原フィルムのTgは132℃であり、応力光学係数Crは0.85×10-9Pa-1であった。なお、これらの値は、実施例1〜3および比較例2、3における各原フィルムおよび位相差フィルムのΔCd、ΔCr、ΔTgを求める基準となる。
次に、得られた原フィルムを実施例1と同様に自由端一軸延伸して、位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムが示す面内位相差Reは154nmであり、光弾性係数Cdは1.78×10-12Pa-1であった。
(比較例2)
(トランストランス)−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンの代わりにトランススチルベンを用いた以外は、実施例2と同様にして、原フィルムおよび位相差フィルムを作製した。
原フィルムのTgは116℃であり、応力光学係数Crは1.08×10-9Pa-1であった。位相差フィルムが示す面内位相差Reは200nmであり、光弾性係数Cdは5.04×10-12Pa-1であった。
(比較例3)
(トランストランス)−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンの代わりにトランススチルベンを用い、ペレット(A−1)とトランススチルベンとの混合比を92重量部:8重量部とした以外は実施例2と同様にして、原フィルムおよび位相差フィルムを作製した。
原フィルムのTgは107℃であり、応力光学係数Crは1.24×10-9Pa-1であった。位相差フィルムが示す面内位相差Reは214nmであり、光弾性係数Cdは6.98×10-12Pa-1であった。
各実施例および比較例の評価結果を、以下の表1に示す。
Figure 2011118145
表1に示すように、化合物(B)を含むことにより、作製した位相差フィルムの位相差が向上した。その位相差向上作用は、比較例2、3で用いたスチルベンよりも大きく、これはΔCr/Wの値からも明らかであった。
また、化合物(B)は芳香族基を含むが、得られる位相差向上作用に比べて位相差フィルムの光弾性係数を増大させないこと、また、化合物(B)は低分子化合物であるが、得られる位相差向上作用に比べて位相差フィルムのTgを低下させないことが、それぞれ、ΔCd/ΔCrおよびΔTg/ΔCrの値から明らかである。
本発明の位相差フィルムは、従来の位相差フィルムと同様に、液晶表示装置(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)をはじめとする画像表示装置に広く使用できる。

Claims (7)

  1. 主鎖に環構造を有するアクリル樹脂(A)を含む樹脂組成物からなる位相差フィルムであって、
    前記樹脂組成物は、当該樹脂組成物100重量部中に、前記位相差フィルムが示す位相差を増大させる低分子化合物(B)を0.5〜20重量部含み、
    前記低分子化合物(B)は、4以上の炭素原子鎖長を有する炭化水素鎖の両末端に芳香族基が結合するとともに、前記炭化水素鎖および双方の前記芳香族基にわたるπ電子共役系が形成された分子構造を有する位相差フィルム。
  2. 前記低分子化合物(B)が、以下の式(8)に示す構造を有する請求項1に記載の位相差フィルム。
    Figure 2011118145
    式(8)におけるAr1およびAr2は、芳香族基であって、互いに同一であっても異なっていてもよく、
    1およびY2は、エチレン基(−C=C−)またはアセチレン基(−C≡C−)であって、互いに同一であっても異なっていてもよく、
    Zは、単結合、または8以下の炭素原子鎖長を有する炭化水素鎖からなる炭化水素基である。
  3. 前記式(1)におけるAr1およびAr2が、フェニル基、または炭素数1〜5のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基である請求項2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記式(1)におけるAr1およびAr2が互いに同一である請求項2に記載の位相差フィルム。
  5. 前記炭化水素鎖が直鎖である請求項2に記載の位相差フィルム。
  6. ガラス転移温度が110℃以上である請求項1に記載の位相差フィルム。
  7. 前記樹脂組成物を溶融押出して得た原フィルムを延伸してなる請求項1に記載の位相差フィルム。
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