JP2011188774A - キャピラリー電気泳動を利用する高精度一塩基多型変異の検出法 - Google Patents
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Abstract
【課題】標的遺伝子の種類に影響されない安価で簡便な、SNP又はその変異の有無のハイスループット分析方法を提供する。
【解決手段】一塩基多型における変異又は該一塩基多型に基づく遺伝子型の検出方法であって、(1)互いに等鎖長を有する、一塩基多型を含む遺伝子断片とその野生型遺伝子断片から夫々得られた標的配列及びその相補配列を一本鎖DNAとして強酸性条件下で同時にキャピラリー電気泳動法により泳動させて分離し、(2)電気泳動図に現れるピークの本数によって変異の有無を検出する、ことから成る前記方法。
【選択図】図6
【解決手段】一塩基多型における変異又は該一塩基多型に基づく遺伝子型の検出方法であって、(1)互いに等鎖長を有する、一塩基多型を含む遺伝子断片とその野生型遺伝子断片から夫々得られた標的配列及びその相補配列を一本鎖DNAとして強酸性条件下で同時にキャピラリー電気泳動法により泳動させて分離し、(2)電気泳動図に現れるピークの本数によって変異の有無を検出する、ことから成る前記方法。
【選択図】図6
Description
本発明は、キャピラリー電気泳動を利用する一塩基多型における変異又は遺伝子型の検出方法等に関する。
一塩基多型(SNP)は生物の個体間又は細胞間におけるゲノム塩基配列中に存在する一塩基の差異を意味し、SNP のタイプに応じて遺伝子に基づいて産生されるタンパク質の働きが変化する。従って、SNPは生物における疾患の発症に関連する遺伝子を見つけるためのマーカーとして有用であるだけでなく、病因関連遺伝子の解析や予測、薬剤応答性や副作用の程度を調べる上でも非常に重要である。このような背景から、既知のSNP の頻度や変異の内容(どの塩基に置換したか)の検出を目的とするSNP タイピング(一塩基多型における変異又は遺伝子型の検出)技術の開発が国内外を問わず精力的に行われている。
例えば、TaQman 法及び Invader 法等に代表される既存の大多数のSNP タイピング法の基本原理は、ターゲット配列に対し相補的な配列を持つ一本鎖オリゴDNA(プローブDNA)を予め準備し、それとターゲットとなる一本鎖オリゴDNA(ターゲットDNA)とのハイブリダイズ(二本鎖DNA の形成)の有無をなんらかの形(例:蛍光消光)で検出することにある。更に、このような方法以外にいくつかの改良法も提案されている。
例えば、特許文献1は核酸の一塩基変異を特異的に認識して増幅するプライマーを使用する核酸増幅反応をマイクロ流体デバイス上で行ったのち、増幅産物をそれと結合可能なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって検出する方法を提案している。又、特許文献2はサンプル核酸とハイブリダイズ可能なペプチド核酸プローブを利用する方法であって、サンプル核酸とプローブとの複合体をヌクレアーゼで処理し、ミスマッチ塩基の切断に基づいて一塩基多型を検出する方法を提案している。更に、オリゴDNA チップによって大量のSNP を検出する方法も知られている(非特許文献1)。
又、キャピラリー電気泳動法(CE)を用いる方法(ウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動法)も提案されている(特許文献3及び非特許文献2)。この方法は一塩基変異(SNP)の検出対象となる塩基変異部位を含む所与の長さの一本鎖DNA 試料をPCR 増幅して準備し、野生型(正常体)DNA の該塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な短い一本鎖核酸と水溶性高分子との複合体を導入したキャピラリー管を介して該一本鎖DNA 試料を電気泳動し、一塩基変異体及び野生型のピーク検出を行うことを含むものである。
更に、非特許文献3には、β-グロビン遺伝子断片のPCR産物(60bp)を試料に、10mMリン酸緩衝液pH3.0、7M尿素を泳動緩衝溶液とするCEによりSNPタイピング(SNPの検出)を行なったことが記載されている。
中村祐輔編,SNP 遺伝子多型の戦略,2000 年,中山書店
T. Anada et al., Electrophoresis 2002, 23, 2267-2273.
C.Gelfi et al., Electrophoresis(2000) 21:780-784
数十の塩基長を持つDNA のハイブリダイズにおいて、もとの配列に対したった一つの塩基が異なる場合のフルマッチ、ミスマッチ間の結合に伴う熱力学的エネルギーの差は極めて小さく、かつその識別は一段階で行われるため、従来法では原理的にミスハイブリダイズによるミスハイブリダイズの可能性を否定できない。一方、これらハイブリダイズに基づく手法では、塩基配列によって二本鎖DNAの融解温度(Tm)が異なるため、プローブ毎にその最適温度条件を決定し,実験系の温度をそれに合わせて厳密に調整する必要がある。従って、これらの手法は、その条件設定に係る労働負担の大きさに加え、実験系のわずかな温度のずれによって容易にミスハイブリダイズに起因する誤判定が起こるという根本的な問題点を抱えている。
更に、従来法の多くは蛍光消光(又は発光)によって判定を行うが、多くの蛍光試薬はバックグラウンド蛍光を有しているため、実質的には消光又は発光は完全なon-offではなく、発光強度の強弱で判定を行うため、判定が明瞭ではない。このような原理的な不明瞭さは,自動化判定時の大きなデメリットとなる。更に、標的遺伝子ごとにプローブデザインが必要であり、またプローブ合成費用や分析装置価格は一般に高い、という問題点も有している。
又、上記のCE用いる方法ではターゲットDNA の配列が変わる度にそれ専用の配列の分離用オリゴDNA とそれを結合させた特殊な高分子ゲルを合成・調整する必要があり、コスト及び労働負荷の面で問題がある。
更に、非特許文献3に記載された方法は、殆どの遺伝子断片試料に対しては実際には有効なSNPタイピングが不可能であった。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、酸性条件下における核酸塩基の酸解離特性の差異を利用して、互いに等鎖長を有する、一塩基多型を含む遺伝子断片(検出試料)とその野生型遺伝子断片から夫々得られた標的配列及びその相補配列(一本鎖DNA )を同時にキャピラリー電気泳動(CE)にかけて分離することによって、遺伝子断片のセンス配列(鎖)及びアンチセンス配列(鎖)の双方から得られるピークパターン(ピークの本数)という極めて明確な基準に基づき、SNPにおける変異の有無又は該一塩基多型に基づく遺伝子型を高精度で検出(判定)することが出来ることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下に示す各態様に係るものである。
[態様1]
一塩基多型における変異又は該一塩基多型に基づく遺伝子型の検出方法であって、
(1)互いに等鎖長を有する、一塩基多型を含む遺伝子断片(検出試料)とその野生型遺伝子断片(対照試料)から夫々得られた標的配列及びその相補配列を一本鎖DNAとして強酸性条件下で同時にキャピラリー電気泳動法により泳動させて分離し、
(2)電気泳動図に現れるピークの本数によって変異の有無を検出する、ことから成る前記方法。
[態様2]標的配列及びその相補配列が一塩基多型部位を含む遺伝子断片の増幅産物である、態様1記載の検出方法。
[態様3]遺伝子断片の増幅産物がPCRで得られたものである、態様2記載の検出方法。
[態様4]強酸性条件がpH3以下である、態様1〜3のいずれか一項に記載の検出方法。
[態様5]キャピラリー電気泳動における緩衝溶液に泳動緩衝溶液モディファイアーが含まれる、態様1〜4のいずれか一項に記載の検出方法。
[態様6]泳動緩衝溶液モディファイアーが尿素である、態様5記載の検出方法。
[態様7]尿素濃度が6M以上である、態様6記載の検出方法。
[態様8]キャピラリー電気泳動内壁が予めコーティング処理されている、1〜7のいずれか一項に記載の検出方法。
[態様1]
一塩基多型における変異又は該一塩基多型に基づく遺伝子型の検出方法であって、
(1)互いに等鎖長を有する、一塩基多型を含む遺伝子断片(検出試料)とその野生型遺伝子断片(対照試料)から夫々得られた標的配列及びその相補配列を一本鎖DNAとして強酸性条件下で同時にキャピラリー電気泳動法により泳動させて分離し、
(2)電気泳動図に現れるピークの本数によって変異の有無を検出する、ことから成る前記方法。
[態様2]標的配列及びその相補配列が一塩基多型部位を含む遺伝子断片の増幅産物である、態様1記載の検出方法。
[態様3]遺伝子断片の増幅産物がPCRで得られたものである、態様2記載の検出方法。
[態様4]強酸性条件がpH3以下である、態様1〜3のいずれか一項に記載の検出方法。
[態様5]キャピラリー電気泳動における緩衝溶液に泳動緩衝溶液モディファイアーが含まれる、態様1〜4のいずれか一項に記載の検出方法。
[態様6]泳動緩衝溶液モディファイアーが尿素である、態様5記載の検出方法。
[態様7]尿素濃度が6M以上である、態様6記載の検出方法。
[態様8]キャピラリー電気泳動内壁が予めコーティング処理されている、1〜7のいずれか一項に記載の検出方法。
従来のSNP検出法はいずれもセンス配列だけに注目してSNPの検出を行うものであって、センス鎖及びアンチセンス鎖の双方に注目し、双方から得られる情報(ピークパターン)を総合してSNP検出を行う方法派これまでになかった。
それに対して、本発明方法は、理論段数にして数十万〜百万段という高い分離効率を有するCE 分離システムを用いて、検査の対象である一塩基多型を含む遺伝子断片と等鎖長を有するその野生型遺伝子断片のセンス配列及びアンチセンス配列(一本鎖DNA )の双方から得られるピークパターン(ピークの本数)という極めて明確な判定基準に基づきSNP又はその変異の有無を検出するので、誤判定のリスクが極めて少なく、極めて高精度な検出が達成できる。更に、従来法ではターゲットごとに専用のプローブDNA の調製と個別の実験条件の設定を必要とするのに対し、本発明方法では全く同一の条件においてすべての変異パターンの検出が可能であるため、標的遺伝子の種類に影響されない安価で簡便な、SNPにおける変異の有無又は該SNPに基づく(該SNPにより特徴づけられる)遺伝子型のハイスループット分析を実現することが可能である。
本発明は一塩基多型(SNP)における変異又は該SNPに基づく遺伝子型の検出方法に係るものである。その主な特徴は、(1)互いに等鎖長を有する、一塩基多型を含む遺伝子断片とその野生型(正常型)遺伝子断片から得られた標的配列(鎖)及びその相補配列(鎖)を一本鎖DNA の状態で強酸性条件下でキャピラリー電気泳動法(CE)により同時に分離し、
(2)電気泳動図(パターン)に現れるピークの本数によって変異の有無を検出する、ことから成る。
(2)電気泳動図(パターン)に現れるピークの本数によって変異の有無を検出する、ことから成る。
CEにおける分離の対象となる塩基多型を含む、互いに等鎖長を有する遺伝子断片(野性型(正常型)及び変異型)から得られる標的配列及びその相補配列は、PCR等の当業者に公知の任意の手段で予め増幅させることが好ましい。得られたPCR産物はカラム等の当業者に公知の任意の方法で精製することが好ましい。又、CE自体は当業者に公知の任意の方法及び装置で実施することが出来る。
本発明方法においては、CEを強酸性条件で行なうことによって、等鎖長を有する遺伝子断片から得られる一本鎖DNAが、各々異なった酸解離特性を有する核酸塩基を含むことによる電気泳動移動度のpH依存性に基づき、標的配列及びその相補配列を高分離能で分離することが出来る。ここで、「強酸性条件」とは、使用する緩衝溶液の種類・イオン強度等にもよるが、例えば、リン酸緩衝溶液の場合には、通常、pH3以下程度、例えば、pH2〜3の範囲である。このような強酸性条件は、例えば、「リン酸1 M」という、高いイオン強度を有する緩衝液を用いることによって調製することが可能である。
互いに等鎖長を有する、一塩基多型を含む遺伝子断片(検出試料)とその野生型遺伝子断片(対照試料)を、泳動に際して一本鎖DNAである夫々の標的配列及びその相補配列に変性させるために、尿素及びホルムアミド等の当業者に公知の任意のDNA変性剤を適宜、泳動緩衝溶液の含有させる。更に、泳動緩衝溶液の粘度を増加させ、泳動時間の増加及びサンプル拡散の抑制等を図り、その結果、ピークが尖鋭化し、分離能を向上させる目的で、泳動緩衝溶液モディファイアーを泳動緩衝溶液に添加することが好ましい。このような泳動緩衝溶液モディファイアーの好適例として、尿素、ホルムアミド、グリセリン、エチレングリコール,ポリエチレングリコール及びヒドロキシエチルセルロースをはじめとするセルロース誘導体等、若しくは、これらの任意の組み合わせを挙げることができる。尿素濃度は6M以上、好ましくは、約8Mである。
本発明方法を実施する際のCE 分離システムにおいて、試料を注入する前に、キャピラリー電気泳動内壁のコーティング処理をすることが好ましい。このような前処理としては、具体的には、例えば、キャピラリーに、0.1 M HClを10分間通液し、次いで、0.1 M HClを含む0.125% ポリエチレングリコール(PEG)(分子量:8,000,000)水溶液を5分間通液する。その後、キャピラリー内を泳動緩衝溶液で置換(通液時間10分程度)する。キャピラリー内壁のコーティング剤としては、PEG(例えば、分子量が100,000以上のもの)、ヒドロキシエチルセルロースをはじめとするセルロース誘導体や、ポリビニルピロリドンなど水素結合能を有する水溶性ポリマーを使用することが出来る。
以下に実施例を参照して本発明を具体的に説明するが、これらは単に本発明の説明のために提供されているものである。従って、これらの実施例は、本願で開示する発明の範囲を限定し、又は制限するものではない。本発明では、特許請求の範囲の請求項に記載された技術的思想に基づく様々な実施形態が可能であることは当業者には容易に理解される。
核酸塩基の酸解離平衡特性を利用するCE分離法:
酸性条件下において核酸塩基が各々異なった酸解離特性を有する(表1)ことによって、電気泳動移動度のpH依存性がa,c,g,t各々の核酸塩基毎に異なることを利用し、更に、尿素を泳動緩衝溶液モディファイアーとして導入することによって、K-ras 遺伝子断片の正常配列とその変異断片をからなる混合試料をキャピラリー電気泳動(CE)(溶融シリカキャピラリー(全長:31 cm, 有効長:22.5 cm, 内径:50μm)、印加電圧:−15kV、吸光検出(陽極側:260 nm)、分子量が8,000,000のPEGで、キャピラリー電気泳動内壁のコーティング処理)により分離した結果、分離能を飛躍的に向上することに成功した。
酸性条件下において核酸塩基が各々異なった酸解離特性を有する(表1)ことによって、電気泳動移動度のpH依存性がa,c,g,t各々の核酸塩基毎に異なることを利用し、更に、尿素を泳動緩衝溶液モディファイアーとして導入することによって、K-ras 遺伝子断片の正常配列とその変異断片をからなる混合試料をキャピラリー電気泳動(CE)(溶融シリカキャピラリー(全長:31 cm, 有効長:22.5 cm, 内径:50μm)、印加電圧:−15kV、吸光検出(陽極側:260 nm)、分子量が8,000,000のPEGで、キャピラリー電気泳動内壁のコーティング処理)により分離した結果、分離能を飛躍的に向上することに成功した。
即ち、pH 3の泳動緩衝溶液(20 mMリン酸)に尿素8 Mを添加した泳動条件(サンプル注入:加圧:50 mbar, 70 sec)で、図1に示したようなK-ras 遺伝子断片の正常配列(5’-gcaggtcaagag)とその塩基配列中の各々特定の1つのa,c,g,tについて可能な全ての変異パターンで変異した12(4×3)種のssDNAの混合試料(各約8μM)を各々独立した13のピークとして一斉相互分離することに成功した(図2)。変異前後の塩基のpKaの差が大きいほど(表2)正常配列との泳動時間の差が大きいことから、上記の系での分離は予想通り塩基間の酸解離平衡特性の差異を反映したものであることが明らかになった。
核酸塩基の酸解離平衡特性を利用するPCR増幅産物のCE分離における電気泳動図パターンを用いるSNP判定法:
更に、実際のSNP検査では検体をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅したもの、つまりPCR産物が試料となる。そこで、長鎖長DNA(60塩基程度)への対応や試料に含まれる夾雑物(PCR処理に由来する)への対応を含む、PCR産物の分離を達成するためのCE分離条件の最適化を行なった。尚、使用したCEの条件は以下のとおりである。
N-ras遺伝子断片:
(Wild;5’-gactgagtacaaactggtggtggttggagcaggtggtgttgggaaaagcgcactgacaatccagctaa,68 mer)とその一塩基変異体(Cys,Arg及びSer; 変異箇所は塩基配列中下線部、変異パターンはそれぞれ順にg→t,g→c, g→a)をモデルとして用いた。Wild、Cys、Arg及びSerをそれぞれ鋳型として市販のキットを用いてPCR増幅を行い各々のPCR産物を得た。これらのうち、Wild と1種類のその一塩基変異体を混合し、3種類のPCR産物混合試料(Wild- Cys、Wild-Arg、Wild-Ser)を作成した。それぞれのPCR産物混合試料を市販カラムで精製し、そのCE分離(溶融シリカキャピラリー(全長:31 cm, 有効長:22.5 cm, 内径:15μm)、印加電圧:−15kV、吸光検出(陽極側:260 nm)分子量8,000,000のPEGで、キャピラリー電気泳動内壁のコーティング処理))を行った。尿素を8 M添加した泳動緩衝溶液 (リン酸1 M,pH 2)を用いたところ,PCR増幅により生成した二本鎖DNAは泳動緩衝溶液中で変性されて2本の一本鎖DNA(ターゲット鎖とその相補鎖)となり、それぞれ別々のピークとして検出された。さらに、各PCR産物混合試料(Wild-Cys、Wild-Arg、Wild-Ser)の分離において、Wild-Cysではターゲット鎖におけるWildとCysの分離(図3)、Wild-Argではターゲット鎖及びその相補鎖におけるWildとArgとの分離(図4)、Wild-Serではターゲット鎖及びその相補鎖におけるWildとSerとの分離(図5)がそれぞれ達成された。つまり、本発明方法により、これらの変異(g→t,g→c, g→a)を検出できることを意味している。従って、本発明方法が、PCR産物にも適用可能であり実用的なSNP検査法として有効であることが示された。
更に、実際のSNP検査では検体をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅したもの、つまりPCR産物が試料となる。そこで、長鎖長DNA(60塩基程度)への対応や試料に含まれる夾雑物(PCR処理に由来する)への対応を含む、PCR産物の分離を達成するためのCE分離条件の最適化を行なった。尚、使用したCEの条件は以下のとおりである。
N-ras遺伝子断片:
(Wild;5’-gactgagtacaaactggtggtggttggagcaggtggtgttgggaaaagcgcactgacaatccagctaa,68 mer)とその一塩基変異体(Cys,Arg及びSer; 変異箇所は塩基配列中下線部、変異パターンはそれぞれ順にg→t,g→c, g→a)をモデルとして用いた。Wild、Cys、Arg及びSerをそれぞれ鋳型として市販のキットを用いてPCR増幅を行い各々のPCR産物を得た。これらのうち、Wild と1種類のその一塩基変異体を混合し、3種類のPCR産物混合試料(Wild- Cys、Wild-Arg、Wild-Ser)を作成した。それぞれのPCR産物混合試料を市販カラムで精製し、そのCE分離(溶融シリカキャピラリー(全長:31 cm, 有効長:22.5 cm, 内径:15μm)、印加電圧:−15kV、吸光検出(陽極側:260 nm)分子量8,000,000のPEGで、キャピラリー電気泳動内壁のコーティング処理))を行った。尿素を8 M添加した泳動緩衝溶液 (リン酸1 M,pH 2)を用いたところ,PCR増幅により生成した二本鎖DNAは泳動緩衝溶液中で変性されて2本の一本鎖DNA(ターゲット鎖とその相補鎖)となり、それぞれ別々のピークとして検出された。さらに、各PCR産物混合試料(Wild-Cys、Wild-Arg、Wild-Ser)の分離において、Wild-Cysではターゲット鎖におけるWildとCysの分離(図3)、Wild-Argではターゲット鎖及びその相補鎖におけるWildとArgとの分離(図4)、Wild-Serではターゲット鎖及びその相補鎖におけるWildとSerとの分離(図5)がそれぞれ達成された。つまり、本発明方法により、これらの変異(g→t,g→c, g→a)を検出できることを意味している。従って、本発明方法が、PCR産物にも適用可能であり実用的なSNP検査法として有効であることが示された。
更に、長鎖長DNAにおける変異パターンとそのCE分離の可否との関係について詳細に検討したところ、標的配列(ターゲット配列:センス配列)に変異がある場合にはその相補鎖(アンチセンス配列)にも変異があり、正常配列との間でこれらのいずれかは必ず分離可能な変異パターンとなること、即ち、標的配列においてpKaの差が小さい変異パターン(a⇔c)の場合には、その相補鎖における変異パターン(t⇔g)はpKaの差が大きいものになりCE分離可能となることを見出した。その結果、これを積極的に利用するこれまでにない全く新しい発想により本発明方法を開発した。即ち、本発明方法はターゲット鎖及びそれらの相補鎖を同時にCE分離に供することによって最大4種類(変異がない場合は2種類)の一本鎖DNAの分離を行い、その結果として得られるCE分離の電気泳動図上に現れるピークの本数によって変異の有無を検出することを特徴とするものである(図6)。
従来法ではターゲットごとに専用のプローブDNA の調製と個別の実験条件の設定を必要とするのに対し、本発明方法では全く同一の条件においてすべての変異パターンの検出が可能であるため、検査におけるプロトコルを大幅に省力化することができ、検査現場機関における検査従事者の労働負荷を大幅に低減することができる。これは、装置コスト以外の試薬及び人件費コストを大幅に削減できることを意味するため、本発明方法は低コストで良質なテーラーメイド医療を実現するための基本ツールとなる高性能・低コストSNP 検査法として大いに期待される。
Claims (8)
- 一塩基多型における変異又は該一塩基多型に基づく遺伝子型の検出方法であって、
(1)互いに等鎖長を有する、一塩基多型を含む遺伝子断片とその野生型遺伝子断片から夫々得られた標的配列及びその相補配列を一本鎖DNAとして強酸性条件下で同時にキャピラリー電気泳動法により泳動させて分離し、
(2)電気泳動図に現れるピークの本数によって変異の有無を検出する、ことから成る前記方法。 - 標的配列及びその相補配列が一塩基多型を含む遺伝子断片の増幅産物である、請求項1記載の検出方法。
- 遺伝子断片の増幅産物がPCRで得られたものである、請求項2記載の検出方法。
- 強酸性条件がpH3以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の検出方法。
- キャピラリー電気泳動における緩衝溶液に泳動緩衝溶液モディファイアーが含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の検出方法。
- 泳動緩衝溶液モディファイアーが尿素である、請求項5記載の検出方法。
- 尿素濃度が6M以上である、請求項6記載の検出方法。
- キャピラリー電気泳動内壁が予めコーティング処理されている、1〜7のいずれか一項に記載の検出方法。
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