JP2011099844A - 抗原検出方法及び抗原検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1種の抗原を協働して認識し得る独立した一対のVH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの一方である非標識化ポリペプチドと、前記抗原の結合を阻害しない部位に環境応答性物質で標識化された前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの他方である標識化ポリペプチドと、前記抗原とを、試料中で接触させること、前記接触後の前記標識化ポリペプチド周囲の環境変化に応じた前記環境応答性物質の変化を検出することを含む抗原検出方法と、前記非標識化ポリペプチド及び前記標識化ポリペプチドを含む断片化抗体ポリペプチドセット。
【選択図】なし
Description
しかしながらこの方法では、2種類の断片化抗体それぞれに蛍光色素を標識する必要がある。また、FRETにより抗原検出する場合、FRETが起りやすい最適な位置関係で2種類の蛍光色素標識を行う必要性から分子設計が難しくなる。更に、抗原未結合時の2種類の蛍光色素それぞれの発光がバックグラウンドとなるため、2つの標識色素を測定サンプルの抗原含有濃度を考慮した最適な存在比に保持する必要がある。これらのことから、2種類の蛍光標識した断片化抗体を使用する検出系では、個々の標識化や、存在比を調整するといった手間がかかり、その上、存在比を最適化しないと抗原検出感度が低下することがある。
例えば非特許文献1には、簡便に迅速且つ長時間にわたって血管内皮細胞増殖因子(VEGF)をモニタリングするためのVEGF検出用蛍光分子プローブが開示されている。このVEGF用蛍光分子プローブは、VEGF受容体のVEGF結合部位としてのペプチド鎖と蛍光発色団とから構成されている。この蛍光分子プローブとVEGFとを、室温下、緩衝液中で混合すると、蛍光発色団近傍の環境が疎水的になり、蛍光強度が増加すると記載されている。
[1] 1種の抗原を協働して認識し得る独立した一対のVH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの一方である非標識化ポリペプチドと、前記抗原の結合を阻害しない部位に環境応答性物質で標識化された前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの他方である標識化ポリペプチドと、前記抗原とを、試料中で接触させること、前記接触後の前記標識化ポリペプチド周囲の環境変化に応じた前記環境応答性物質の変化を検出することを含む抗原検出方法。
[2] 前記環境変化が疎水性環境の形成であり、前記環境応答性物質が疎水場プローブである[1]記載の抗原検出方法。
[3] 前記環境応答性物質が、発光物質である[1]又は[2]記載の抗原検出方法。
[4] 前記環境応答性物質が、蛍光物質である[1]又は[2]記載の抗原検出方法。
[5] 前記環境応答性物質が、ダンシル色素及びDapoxyl色素並びに、これらの誘導体からなる群より選択された少なくとも1つである[1]又は[2]記載の抗原検出方法。
[6] 1種の抗原を協働して認識し得る独立した一対のVH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの一方である非標識化ポリペプチドと、前記抗原の結合を阻害しない部位に環境応答性物質で標識化された前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの他方である標識化ポリペプチドと、を含む断片化抗体ポリペプチドセット。
[7] 前記抗原の結合を阻害しない部位が、前記1種の抗原を協働して認識したときに前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドにより形成される複合体の内部であって、当該VH領域ポリペプチドとVL領域ポリペプチドとが対面する前記標識化ポリペプチド上の部位である[6]記載の断片化抗体ポリペプチドセット。
[8] 前記環境応答性物質が疎水場プローブである[6]又は[7]に記載の断片化抗体ポリペプチドセット。
[9] [6]〜[8]のいずれかに記載の断片化抗体ポリペプチドセットを含み、前記抗原の検出に用いられる抗原検出キット。
[10] それぞれ、1種の抗原を協働して認識し得る独立した一対のVH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドである前記非標識化ポリペプチド及び前記標識化ポリペプチドとから構成される[6]〜[8]のいずれかに記載の断片化抗体ポリペプチドセットと、前記非標識化ポリペプチド及び前記標識化ポリペプチドが前記抗原と接触して複合体を形成した場合に、前記接触後の前記標識化ポリペプチド周囲の環境変化に応じた前記環境応答性物質の変化を検出する検出部と、を備えた抗原検出装置。
[11] 前記非標識化ポリペプチド及び前記標識化ポリペプチドを含む液体を収容する収容部を備えた[10]記載の抗原検出装置。
[12] 前記非標識化ポリペプチド及び前記標識化ポリペプチドが前記抗原に共に結合し得る位置関係でそれぞれ担体上に固定化された固定化担体を備えた[10]又は[11]記載の抗原検出装置。
[13] 前記環境応答性物質が発光物質であり、前記検出部が、前記環境応答性物質の変化として発光物質が発する光を検出する[10]〜[12]のいずれかに記載の抗原検出装置。
[14] 前記環境応答性物質が蛍光物質であり、前記検出部が、前記環境応答性物質の変化として蛍光物質が発する蛍光を検出する[10]〜[13]のいずれかに記載の抗原検出装置。
[15] 前記環境応答性物質が、ダンシル色素及びDapoxyl色素並びに、これらの誘導体からなる群より選択された少なくとも1つである[10]〜[14]記載の抗原検出装置。
[16] [6]〜[8]のいずれかに記載の断片化抗体ポリペプチドセットを構成する前記非標識化ポリペプチドと標識化ポリペプチドとが、前記抗原に共に結合し得る位置関係でそれぞれ固定化された固定化担体。
また、対になって抗体分子を形成するVH領域ポリペプチドとVL領域ポリペプチドの一方にのみ環境応答性物質を標識化すればよいため、標識による抗原親和性への影響を少なくすることができ、また製造コストと手間を低減することが可能となる。
ここで、「独立した断片化抗体」とは、互いが(例えば、ジスルフィド結合等により)結合していない断片化抗体を意味する。
以下に本発明を説明する。
VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドは、それらが対合した状態で対象抗原を結合することのできる長さであれば、抗体のVH領域およびVL領域よりも長くても短くてもよい。これらのポリペプチドは、ハイブリドーマ技術により作成されたモノクローナル抗体から常法により作製することができる。例えば、以下のようにして得ることができる。
抗体遺伝子からVH/VLコード配列を得るためには、所望の配列領域を制限酵素で切り出し、これをクローニングベクターで増幅させてもよく、あるいは所望の配列をPCR法で増幅してもよい。VHおよび/またはVLを宿主細胞で発現させる場合には、任意のレポーター分子をコードする遺伝子をも発現ベクターにクローニングし、VHおよび/またはVLをレポーター分子との融合蛋白またはキメラ蛋白として発現させることができる。
VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドと融合可能な生体分子としては、特に制限がなく、アルカリフォスフォターゼ、protein G、eGFP、eYFP、βガラクトシダーゼ、GST、chitin binding protein(CBP)、NusA、Thioredoxin、DsbA、DsbC、マルトース結合蛋白質(MBP)等をあげることができる。中でも安定性を高めたい場合には、MBP等を用いることが好ましい。
これらの融合体は、常法により作製することができ、例えば、上述した遺伝子クローニングの際に同時発現可能に生体分子の遺伝子をベクターに組み込むことにより得てもよく、VH領域ポリペプチド又はVL領域ポリペプチドにリンカーを設けて生体分子と結合してもよい。融合体の作製方法は、融合しようとする生体分子の種類やサイズに応じて、適宜選択することができる。
本発明における「環境応答性物質」とは、物質の周りの環境によって状態が変わる物質を指す。本発明において利用可能な環境変化としては、立体構造の変化、変性、リン酸化状態、相変化などを挙げることができる。例えば、「環境応答性物質」が蛍光色素であれば、立体構造の変化、変性、リン酸化状態、相変化などによって蛍光強度や蛍光波長が変化可能である。このような環境応答性物質としては、汎用性高く抗原を検出するために、VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドと抗原との結合反応を利用することが好ましく、この結合反応により生じる相変化、例えば疎水性環境の形成に基づき状態が変化する物質であることがより好ましい。
環境応答性物質としては、具体的には、フルオレセインとその誘導体、Dapoxyl色素とその誘導体、ダンシル色素とその誘導体、ナフタレンとその誘導体、フルオレスカミンとその誘導体、ナフトフルオロセインとその誘導体、アミノクマリン誘導体、ヒドロキシクマリンとその誘導体、BODIPY誘導体、ベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとその誘導体、Oregon Greenとその誘導体、ピリジルオキサゾールとその誘導体、ピレンとその誘導体などを挙げることができる。これらの環境応答性物質は、VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドのいずれか一方にのみ使用するのであれば、1種又は2種以上を組み合わせ使用してもよい。
この界面に標識化することによって、複合体が形成されたときには複合体の内部に位置するため各ポリペプチドが単独で存在するときよりも環境変化の程度を大きくすることができる。また、周囲の溶媒の影響を最小限にすることができるため、後述するような発光物質を用いた場合には発光強度の減衰を最小にすることができる。この結果、抗原のサイズや抗原の親水性・疎水性に関わらず検出可能となり、適用抗原範囲を広くすることができる。
具体的には、蛍光標識アミノ酸を結合させた4塩基コドン認識tRNAを用いることにより、特定の部位にピンポイントで蛍光色素1分子をつけることが可能である。
また、環境応答性物質の各ポリペプチドにおける標識化部位は、例えば、質量分析装置(MS)を用いて、その生体物質のアミノ酸配列から想定される分子量とMSから得られたデータと照らし合わせることにより、環境応答性物質が標識されているアミノ酸を特定でき、容易に確認することができる。
接触時の標識化ポリペプチドと非標識化ペプチドとの存在比は、一般的には1:1の量比で使用可能である。また接触時の標識化ポリペプチドと非標識化ペプチドとの存在比は、好ましくは、標識化ポリペプチドの環境変化に基づく感度を高めて検出時間を短縮する観点から、非標識化ポリペプチドは、標識化ポリペプチドの1倍量〜1000倍量としてもよく、1倍量〜100倍量とすることがより好ましく、2倍量〜10倍量とすることが更に好ましい。非標識化ポリペプチドを多量に添加しても蛍光のバックグランドは増加せず、非標識化ペプチドと抗原との衝突頻度が増加するため、検出時間が短くなる。
試料中における標識化ポリペプチド、非標識化ポリペプチド及び抗原の接触についても、特に制限はなく、標識化ポリペプチド及び非標識化ポリペプチドとなる一対の抗体分子が抗原を認識できる条件であればよい。
即ち、前記非標識化ポリペプチド及び標識化ポリペプチドが抗原を協働して認識して接触すると、これらの分子から、固有の立体構造を有する複合体が形成される。この複合体の形成によって、複合体の一部を構成する標識化ポリペプチドの周囲に、環境変化が生じる。
本抗原検出方法における環境応答性物質の変化の検出は、環境応答性物質の変化に応じた検出であれば特に制限はなく、環境応答性物質の性質に応じた変化を検出するために通常用いられる系を適用すればよい。例えば、環境応答性物質として発光物質を用いた場合には、発光物質の発光を検出するために通常用いられる方法が適用される。
本断片化抗体ポリペプチドセットによって、上記抗原検出方法に使用可能な非標識化ポリペプチドと標識化ポリペプチドとが提供されるので、上記抗原検出方法を簡便に実施することができる。
即ち、本発明の抗原検出装置は、1種の抗原を協働して認識し得る独立した一対のVH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの一方である非標識化ポリペプチドと、前記抗原の結合を阻害しない部位に環境応答性物質で標識化された前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの他方である標識化ポリペプチドと、前記非標識化ポリペプチド及び前記標識化ポリペプチドが前記抗原と接触して複合体を形成した場合に、前記接触後の前記標識化ポリペプチド周囲の環境変化に応じた前記環境応答性物質の変化を検出する検出部と、を備えた抗原検出装置である。
以下、本発明の抗原検出装置の一例を、図面を参照して説明する。
収容器12に収容される試料液16には、非標識化ポリペプチド22と標識化ポリペプチド24が含まれており、標識化ポリペプチド24には、環境応答性物質26(図1B参照)が結合されている。非標識化ポリペプチド22、標識化ポリペプチド24は、抗原Agを認識すると、互いに接近して抗原Agに結合し、複合体20を形成する。非標識化ポリペプチド22、標識化ポリペプチド24、環境応答性物質26、抗原Ag及び試料液16については、前述した事項がそのまま適用される。
また収容器12は、抗原検出装置10と一体化したものであっても、抗原検出装置10本体に対して着脱可能なものであってもよい。
なお、環境応答性物質26の変化が化学的な変化であれば、対応する別のセンサーとしてもよく、例えばpHセンサー、濃度センサーなどを挙げることができる。pHセンサーや濃度センサーなど、試料液16と接触して感知するセンサーの場合には、検出部14は、収容器12の内部に配置してもよい。
収容器12に収容された試料液16に抗原Agが存在する場合には、非標識化ポリペプチド22と標識化ポリペプチド24とが抗原Agを認識して互いに接近し、抗原Agと共に複合体20を形成する(図1B参照)。このとき、標識化ポリペプチド24の環境応答性物質26の周囲の環境が変化する。検出部14は、収容器12内部で生じた環境応答性物質26の変化量を演算し、この変化量又は抗原Agが存在することを制御部へ出力する。制御部は、この変化量又は抗原Agが存在することを結果表示部に表示する。
このように抗原検出装置10では、試料液中の抗原Agの存在を検出することができる。
なお、固定化担体30は、収容器12の内部に載置する形態として説明したが、これに限定されず、収容器12の一部を構成するものであってもよく、固定化担体30の一部に収容器12を設けたものであってもよい。
固定化担体は、1種の抗原を協働して認識し得る独立した一対のVH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの一方である非標識化ポリペプチドと、前記抗原の結合を阻害しない部位に環境応答性物質で標識化された前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの他方である標識化ポリペプチドと、当該抗原とを接触させて、前記ポリペプチドと前記抗原とが結合した複合体を形成する形成工程と、前記複合体を、当該複合体中のポリペプチドを介して担体に固定化する固定化工程と、前記複合体から前記抗原を除去して、前記抗原に結合した場合と同一の位置関係で前記担体上に前記ポリペプチドがそれぞれ独立に固定化されている固定化担体を得る除去工程と、を含む方法によって製造したものであることが好ましい。
この製造方法によれば、独立したポリペプチドと抗原とで構成された複合体を担体上に固定化した後に抗原を除去するので、抗原が存在する際には抗原に結合可能な位置でポリペプチドがそれぞれ担体上に独立して固定化された本発明の固定化担体を容易に作製することができる。
VH領域ポリペプチド又はVL領域ポリペプチドと抗原との混合比は、抗原に対する結合形態に応じて適宜設定することができるが、効率性と過剰な抗原が固定化されることを防ぐ観点から好ましくは、抗原の個数と、当該ポリペプチドの組み合わせで構成される分子の結合価との比は、0.1:1〜10:1とすることができ、0.1:1〜1:1とすることがより好ましく、0.1:1〜0.3:1であることが更に好ましい。一方、アフィニティーが一般的に低い又は担体へ直接的に固定化され難いと予想される抗原、例えば低分子化合物等を抗原とする場合には、抗原の量を多くすることがより好ましく、例えば0.5:1〜5:1とすることが更に好ましい。
抗原の除去は、適当な洗浄液を用いることにより容易に行うことができる。ここで用いられる洗浄液は、複合体中の抗原と各ポリペプチドとの結合力を低下させるものであればよい。このような結合力の低下の条件としては、pHを酸性側又はアルカリ側へ変更することや、塩濃度を高くすることなどを上げることができる。ポリペプチド及び抗原の種類等によって異なるが、例えば、pHを2以下又は10以上にするための酸性グリシンバッファーやアルカリ性のNaOH溶液や、0.5M以上の塩濃度とするためのホウ酸塩バッファーを挙げることができる。
他にもアルギニン含有酸性バッファーや、グアニジン、ウレア含有バッファー等を適宜用いることが可能である。
なお、本発明の抗原検出方法を適用可能な検出系であれば、上述したようなバイオセンサー等に限定されない他のセンサーに適用することも可能である。
即ち、本発明の他の抗原検出装置は、1種の抗原を協働して認識し得る独立した一対のVH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチド(前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの一方が非標識化ポリペプチドであり、他方が標識化ポリペプチドである)と、前記標識化ポリペプチド上の前記抗原との結合を阻害しない部位に位置し、且つ前記標識化ポリペプチド及び非標識化ポリペプチドが前記抗原と接触して複合体を形成した場合に、前記接触後の前記標識化ポリペプチド周囲の環境変化に応じて変化する環境応答性物質と、を備えた抗原検出装置である。これにより、上述した抗原検出装置と同様に抗原を検出することができると共に、より簡単な構成で抗原の検出を行うことができる。
以下に本発明の抗原検出方法についての実施例を示す。なお、特に断わらない限り、「部」、「%」は、それぞれ「質量部」、「質量%」を表す。
(1)抗リゾチームVH領域ポリペプチド、抗リゾチームVL領域ポリペプチドの作製
以下の実施例で使われる略語は以下の通りである。
LB:1%バクトトリプトン、0.5%イーストエクストラクト、0.5%NaClを含む培地
LBA:100μg/mlアンピシリンを含むLB
LBAG:100μg/mlアンピシリン及び0.1%グルコースを含むLB
LBAGプレート:100μg/mlアンピシリン及び0.1%グルコースを含むLB寒天培地
SOC:2%バクトトリプトン、0.5%イーストエクストラクト、0.05% NaCl、2.5mM KCl、20mMグルコース、10mM MgCl2を含む培地
PBS:137mM NaClと2.7mM KClを含む10mM phosphate buffer(pH7.2)
5% IBPBS:5%(v/v)イムノブロック(大日本住友製薬,大阪)を含むPBS
20% IBPBS:20%(v/v)イムノブロックを含むPBS
PBST:0.1% Triton−X100を含むPBS
TAEバッファー:1mM EDTAを含む40mMTris−acetate(pH8.3)
TALONバッファー:300mM NaClを含む50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)
TALON溶出液:500mMイミダゾールを含むTALONバッファー(pH7.0)
IPTG:イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド
HBS−Nバッファー(10mM HEPES,150mM NaCl、pH7.4)
(a)実験に使用したベクター
pET-MBPp-His6: ヒスチジン6残基のHis-Tag(His6)が付加されたマルトース結合蛋白質(MBP)の遺伝子が挿入されたpET15bベクター(Merck Chemicals Ltd., Darmstadt, Germany)。(配列番号7)
pIT2-LxE16: 東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻蛋白質工学研究室で単離された抗ニワトリ卵白リゾチーム(HEL)抗体LxE16の一本鎖抗体(scFv)遺伝子が挿入されたpIT2ベクター(MRC Cambridge, UKより提供)。(配列番号8、アミノ酸:配列番号9)
抗リゾチーム抗体LxE16の重鎖及び軽鎖の可変領域ドメインであるVH(HEL)とVL(HEL)のN末端側及びC末端側に、それぞれMBPとヒスチジン10残基のHis-tag(His10)が融合した蛋白質MBP-VH(HEL)-His10及びMBP-VL(HEL)-His10をコードする発現ベクター(pET-MBPp-VH(HEL)-His10、pET-MBPp-VL(HEL)-His10)は、図3のスキームに示す通り、pET-MBPp-His6を元に作成された。まずpET-MBPp-His6のHis6を含むDNA断片(1)を切り出し、そこにHis10をコードするDNA断片(2)を挿入してpET-MBPp-His10を作成した。さらにpET-MBPp-His10に、VH(HEL)遺伝子(配列番号10、表3)もしくはVL(HEL)遺伝子(配列番号11、表4)を挿入することで、pET-MBPp-VH(HEL)-His10及びpET-MBPp-VL(HEL)-His10を完成させた。
約10μgのpET-MBPp-His6を含む74μlの水溶液に、3μl Sca I (Roche Applied Science, Basel, Switzerland, 10 U)、3μl Not I (Roche Applied Science 10 U)、10μl 10x BSA溶液、10μl 10x Hバッファー(Roche Applied Science)を添加し、37℃で約3時間静置した。その後、1%アガロースゲル(TAEバッファー)で電気泳動した後、4100bp付近のバンドを切り出して、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega Co., Madison, WI)を用いて抽出し、50μlのmilliQ水に溶解した。
pET-MBPp-His6を鋳型として、プライマー(1)(配列番号1)とプライマー(2)(配列番号2)を用いてPCRを行った。プライマー(1)は、His6をコードする領域の下流側にアニールサイトを持ち、ヒスチジン10残基に対応する塩基配列と、NotIサイトを有するリバースプライマーである。またプライマー(2)は、pETベクター上に存在するScaIサイトの約500塩基下流にアニールサイトを持つフォワードプライマーである。
PCRの条件は、以下の通りである。
pET-MBPp-His6 (約100μg/ml) 0.5μl
プライマー(1)(50μM) 0.5μl
プライマー(2)(50μM) 0.5μl
10x Pfu buffer (Mg2+ 20 mM) (Agilent Technologies, Inc. Santa Clara, CA)
5μl
dNTP Mixture (2.5mM each) 4μl
2.5 U/μl Pfu DNA polymerase (Agilent Technologies, Inc.)
0.5μl
milliQ 水 39μl
1. 94℃ 1 min
2. 94℃ 30 sec
3. 58℃ 30 sec
4. 72℃ 30 sec
(2から4を25回)
5. 72℃ 10 min
6. 16℃ ∞
DNA断片(1)を切除したpET-MBPp-His6を含む溶液とDNA断片(2)溶液は、それぞれ0.5μlと5μlずつ混合し、さらに5.5μlのDNA Ligation high ver2溶液(TOYOBO CO., LTD, 大阪)を加えて、16℃30分間ライゲーション反応を行った。約1μlのライゲーション反応液を、約50μlの大腸菌XL10-Goldケミカルコンピテントセルに加えて形質転換した。形質転換株をLBAGプレートにて37℃一晩培養し、シングルコロニーをLBAG 50mlにてさらに一晩培養した菌体よりWizard Plus Minipreps DNA Purification kit (Promega Co.)にてプラスミドDNAを抽出し、pET-MBPp-His10を得た。His10をコードするDNA配列は、Beckman Coulter社のプロトコールに従って確認した。
約7μgのpET-MBPp-His10を含む46μlの水溶液に、2μl Sfi I (Roche Applied Science 10 U/μl)、6μl 10x BSA溶液、6μl 10x Mバッファー(Roche Applied Science)を添加し、50℃で約3時間静置した。Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて精製後、50μlの水溶液に溶解し、2μl Not I (Roche Applied Science 10 U)、7μl 10x BSA溶液、7μl 10x Hバッファー(Roche Applied Science)、4μl milliQ水を添加し、37℃で約3時間静置した。その後、1%アガロースゲル(TAEバッファー)で電気泳動した後、4800bp付近のバンドを切り出して、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて抽出し、50μlのmilliQ水に溶解した。
pIT2-LxE16を鋳型として、プライマー(3)及び(4)を用いてPCRを行い、VH(HEL)遺伝子断片を増幅した。プライマー(3)は、VH(HEL)遺伝子断片の5’側にアニールサイトを持ち、SfiIサイトを有するリバースプライマーである。またプライマー(4)は、VH(HEL)遺伝子断片の3’側にアニールサイトを持ち、NotIサイトを有するフォワードプライマーである。
PCRの条件は、以下の通りである。
pIT2-LxE16 (約100 μg/ml) 0.5μl
プライマー(3)(50 μM) 0.5μl
プライマー(4)(50 μM) 0.5μl
10x Pfu buffer (Mg2+ 20 mM) (Agilent Technologies, Inc.) 5μl
dNTP Mixture (2.5 mM each) 4μl
2.5 U/μl Pfu DNA polymerase (Agilent Technologies, Inc.) 0.5μl
milliQ 水 39μl
1. 94℃ 1 min
2. 94℃ 30 sec
3. 58℃ 30 sec
4. 72℃ 30 sec
(2から4を25回)
5. 72℃ 10 min
6. 16℃ ∞
pIT2-LxE16を鋳型として、プライマー(5)及び(6)を用いてPCRを行い、VL(HEL)遺伝子断片を増幅した。プライマー(5)は、VL(HEL)遺伝子断片の5’側にアニールサイトを持ち、SfiIサイトを有するリバースプライマーである。またプライマー(6)は、VL(HEL)遺伝子断片の3’側にアニールサイトを持ち、NotIサイトを有するフォワードプライマーである。PCRや制限酵素処理、精製を、VH(LxE16)遺伝子断片の場合と同様に行い、VL(LxE16)遺伝子断片を含む溶液(VL(LxE16)溶液)を得た。
制限酵素処理pET-MBPp-His10を含む溶液とVH(LxE16)溶液もしくはVL(LxE16)溶液は、それぞれ0.5μlと5μlずつ混合し、さらに5.5μlのDNA Ligation high ver2(TOYOBO CO.)を加えて、16℃30分間ライゲーション反応を行った。約1μlのライゲーション反応液を、約50μlの大腸菌XL10-Goldケミカルコンピテントセルに加えて形質転換し、形質転換株をLBAGプレートにて37℃一晩培養し、さらにシングルコロニーをLBAG 50mlにてさらに一晩培養した菌体よりWizard Plus Midipreps DNA Purification kit (Promega Co.)にてプラスミドDNAを抽出した。pET-MBPp-VH(HEL)-His10及びpET-MBPp-VL(HEL)-His10のDNA配列は、Beckman Coulter社のプロトコールに従って確認した。
プラスミドpET-MBPp-VH(HEL)-His10及びpET-MBPp-VL(HEL)-His10を大腸菌OverExpress C41(DE3)にヒートショック法で形質転換し、発現させた。プラスミド1μl(約100ng)とOverExpress C41(DE3)コンピテントセル100μlを混合し氷上30min静置した後、42℃45秒ヒートショックしすぐに2分氷上静置した。その後、SOC培地200μlを加え30分キュアリングし、LBAGプレートに塗布して37℃で一晩培養した。
(C−1)Alexa 647標識
上記で得たMBP-VL(HEL)-His10溶液(HBS−N、約800μg/ml)300μLをAlexa Fluor(登録商標) 647(Molecular Probes社製)を用いて、バッファー水溶液中で混合することによって標識した。この標識時のpHはpH 7.0、pH8.0、pH10.0の3条件とした。
上記で得たMBP-VL(HEL)-His10溶液(HBS−N、約800μg/ml)300μLをDapoxyl(登録商標)(Molecular Probes社製)を用いて、バッファー水溶液中で混合することによって標識した。この標識時のpHはpH 7.0及びpH10.0とした。
上記で得たMBP-VL(HEL)-His10溶液(HBS−N、約800μg/ml)300μLをDansyl(登録商標)(Molecular Probes社製)を用いて、バッファー水溶液中で混合することによって標識した。この標識時のpHはpH 7.0とした。
上記(C−2)と同様にして、MBP-VL(HEL)-His10溶液(HBS−N、約800μg/ml)200μLをDapoxyl(Molecular Probes社製)を用いて、標識時のpH 7.0で標識した。得られたDapoxyl標識MBP-VL(HEL)-His10溶液(HBS−N、1.3μM)を、Envision(Perkin Elmer社製)により蛍光測定した(励起波長:405nm、測定波長:595nm)。
次いで、このDapoxyl標識MBP-VL(HEL)-His10溶液とMBP-VH(HEL)-His10溶液とを混合し、さらにLysozyme溶液を混合した。その結果、それぞれの終濃度1.3μM、2.6μM及び1.3μMとなった。Lysozyme溶液添加10分後に、Envision(Perkin Elmer社製)により蛍光測定した(励起波長:405nm、測定波長:595nm)。
MBP-VH(HEL)-His10溶液及びLysozyme溶液の添加前後の蛍光測定値から、蛍光強度変化率(添加後の蛍光量/添加前の蛍光量)を算出した。結果を表7に示す。
MBP-VH(HEL)-His10溶液の終濃度を2.6μMではなく、10μMにした以外は、実施例1のDapoxyl標識MBP-VL(HEL)-His10による抗原検出と同様にして、添加前後での蛍光強度変化率を求めた。結果を表7に示す。
MBP-VH(HEL)-His10溶液及びLysozyme溶液を添加する代わりに、Lysozyme溶液のみを添加した以外は、実施例1のDapoxyl標識MBP-VL(HEL)-His10による抗原検出と同様にして、添加前後での蛍光強度変化率を求めた。結果を表7に示す。
MBP-VH(HEL)-His10溶液及びLysozyme溶液を添加する代わりに、MBP-VH(HEL)-His10溶液のみを添加した以外は、実施例1と同様にして、添加前後での蛍光強度変化率を求めた。結果を表7に示す。
Dapoxyl標識時のpHを7.0の代わりに10.0にした以外は、実施例1と同様にして、添加前後での蛍光強度変化率を求めた。結果を表7に示す。
MBP-VL(HEL)-His10に、Dapoxylの代わりにダンシル(Molecular Probes社製)を標識し、ダンシル標識MBP-VL(HEL)-His10溶液を得た。このダンシル標識MBP-VL(HEL)-His10溶液とMBP-VH(HEL)-His10溶液とを混合し、さらにLysozyme溶液を混合した。その結果、それぞれの終濃度1.3μM、1.3μM及び1.3μMとなった。Lysozyme溶液を添加して、60分後にEnvision(Perkin Elmer社製)により蛍光測定(励起波長:320nm、測定波長:560nm)した以外は、実施例1のDapoxyl標識MBP-VL(HEL)-His10による抗原検出と同様にして、添加前後での蛍光強度変化率を求めた。結果を表8に示す。
実施例3のダンシル標識MBP-VL(HEL)-His10溶液に、MBP-VH(HEL)-His10溶液、Lysozyme溶液を混合する代わりに、MBP-VH(HEL)-His10溶液を混合した以外は、実施例3と同様にして、添加前後での蛍光強度変化率を求めた。結果を表8に示す。
実施例3のダンシル標識MBP-VL(HEL)-His10溶液に、MBP-VH(HEL)-His10溶液、Lysozyme溶液を混合する代わりに、Lysozyme溶液を混合した以外は、実施例3と同様にして、添加前後での蛍光強度変化率を求めた。結果を表8に示す。
12 収容器
14 検出部
16 試料液
20 複合体
22 非標識化ポリペプチド
24 標識化ポリペプチド
26 環境応答性物質
30 固定化担体
32 担体
Claims (16)
- 1種の抗原を協働して認識し得る独立した一対のVH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの一方である非標識化ポリペプチドと、前記抗原の結合を阻害しない部位に環境応答性物質で標識化された前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの他方である標識化ポリペプチドと、前記抗原とを、試料中で接触させること、
前記接触後の前記標識化ポリペプチド周囲の環境変化に応じた前記環境応答性物質の変化を検出すること
を含む抗原検出方法。 - 前記環境変化が疎水性環境の形成であり、前記環境応答性物質が疎水場プローブである請求項1記載の抗原検出方法。
- 前記環境応答性物質が、発光物質である請求項1又は請求項2記載の抗原検出方法。
- 前記環境応答性物質が、蛍光物質である請求項1又は請求項2記載の抗原検出方法。
- 前記環境応答性物質が、ダンシル色素及びDapoxyl色素並びに、これらの誘導体からなる群より選択された少なくとも1つである請求項1又は請求項2記載の抗原検出方法。
- 1種の抗原を協働して認識し得る独立した一対のVH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの一方である非標識化ポリペプチドと、
前記抗原の結合を阻害しない部位に環境応答性物質で標識化された前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドの他方である標識化ポリペプチドと、
を含む断片化抗体ポリペプチドセット。 - 前記抗原の結合を阻害しない部位が、前記1種の抗原を協働して認識したときに前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドにより形成される複合体の内部であって、当該VH領域ポリペプチドとVL領域ポリペプチドとが対面する前記標識化ポリペプチド上の部位である請求項6記載の断片化抗体ポリペプチドセット。
- 前記環境応答性物質が疎水場プローブである請求項6又は請求項7記載の断片化抗体ポリペプチドセット。
- 請求項6〜請求項8のいずれか1項記載の断片化抗体ポリペプチドセットを含み、前記抗原の検出に用いられる抗原検出キット。
- それぞれ、1種の抗原を協働して認識し得る独立した一対のVH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドである前記非標識化ポリペプチド及び前記標識化ポリペプチドとから構成される請求項6〜請求項8のいずれか1項記載の断片化抗体ポリペプチドセットと、
前記非標識化ポリペプチド及び前記標識化ポリペプチドが前記抗原と接触して複合体を形成した場合に、前記接触後の前記標識化ポリペプチド周囲の環境変化に応じた前記環境応答性物質の変化を検出する検出部と、
を備えた抗原検出装置。 - 前記非標識化ポリペプチド及び前記標識化ポリペプチドを含む液体を収容する収容部を備えた請求項10記載の抗原検出装置。
- 前記非標識化ポリペプチド及び前記標識化ポリペプチドが前記抗原に共に結合し得る位置関係でそれぞれ担体上に固定化された固定化担体を備えた請求項10又は請求項11記載の抗原検出装置。
- 前記環境応答性物質が発光物質であり、前記検出部が、前記環境応答性物質の変化として発光物質が発する光を検出する請求項10〜請求項12のいずれか1項記載の抗原検出装置。
- 前記環境応答性物質が蛍光物質であり、前記検出部が、前記環境応答性物質の変化として蛍光物質が発する蛍光を検出する請求項10〜請求項13のいずれか1項記載の抗原検出装置。
- 前記環境応答性物質が、ダンシル色素及びDapoxyl色素並びに、これらの誘導体からなる群より選択された少なくとも1つである請求項10〜請求項14のいずれか1項記載の抗原検出装置。
- 請求項6〜請求項8のいずれか1項記載の断片化抗体ポリペプチドセットを構成する前記非標識化ポリペプチドと標識化ポリペプチドとが、前記抗原に共に結合し得る位置関係で担体にそれぞれ固定化された固定化担体。
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