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JP2011076869A - 色素増感型太陽電池及びその製造方法、並びに、色素増感型太陽電池用の作用電極の製造方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池及びその製造方法、並びに、色素増感型太陽電池用の作用電極の製造方法 Download PDF

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JP2011076869A JP2009227302A JP2009227302A JP2011076869A JP 2011076869 A JP2011076869 A JP 2011076869A JP 2009227302 A JP2009227302 A JP 2009227302A JP 2009227302 A JP2009227302 A JP 2009227302A JP 2011076869 A JP2011076869 A JP 2011076869A
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美紀 村井
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Abstract

【課題】高導電性の電解質を適用した場合においても作用電極の透明導電膜と電解質との間の短絡を防止でき、これにより、光電変換特性及び耐久性が向上された、信頼性の高い色素増感型太陽電池等を提供すること。
【解決手段】色素担持金属酸化物層が形成されていない導電性表面上に、色素担持金属酸化物層の周囲を取り囲むように短絡防止層を枠状にパターン形成し、短絡防止層を色素担持金属酸化物層よりも薄く形成するとともに色素担持金属酸化物層を短絡防止層の枠内の導電性表面を覆うように且つ短絡防止層上に延出するように形成し、この短絡防止層を介して色素担持金属酸化物層と封止材とを離間して配設する。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池及びその製造方法、並びに、色素増感型太陽電池用の作用電極の製造方法に関する。
近年、色素増感型太陽電池は、低価格で製造でき、また、有機系太陽電池の中では高い光電変換効率を持つため注目されている。色素増感型太陽電池の主たる構成要素としては、作用電極、電解質、対極の3点が挙げられる。作用電極としては、基板に形成された透明導電膜上に多孔質の色素担持金属酸化物層が形成されたものが一般的に用いられている。色素担持金属酸化物層としては、金属酸化物半導体(金属酸化物層)に増感色素を担持(吸着)させたものが一般的である。また、対極としては、基板に形成された透明導電膜上に白金薄膜を形成したものが知られている。そして、この種の色素増感型太陽電池(セル)を製造するには、通常、作用電極及び対極を離間して対向配置し、これら両電極の対向面の外側端縁に封止材を配設して両電極間の周囲を封止接合し、これにより画成される封止空間内に電解質が封入される。
一方、色素増感型太陽電池に用いる電解質としては、有機溶媒を含む液系電解質(電解液)が広く知られている。しかしながら、かかる電解液の使用は、液漏れ、それにともなう引火や爆発、溶媒の揮発による環境汚染等を引き起こし得る。そのため、近年では、電解質の擬固体化(固体化・ゲル化等)が重要な課題になっている。
擬固体化した電解質としては、例えば、カーボンブラック等の高導電性炭素材料と微量の溶媒とを混練してペースト状にした擬固体電解質が知られている。かかる擬固体電解質は、対極に白金触媒を使用しなくても高い光電変換効率を得ることができるので、色素増感型太陽電池の光電変換特性の向上及び低コスト化の推進のための重要な要素の1つと考えられている。
ところが、上記の擬固体電解質は炭素材料の導電性が非常に高いため、金属酸化物半導体下の透明導電膜と擬固体電解質とがごくわずかに接触するだけでも、作用電極の透明導電膜と対極との間で短絡を生じさせ、その結果、作製される色素増感型太陽電池の光電変換特性が低下するという問題があった。すなわち、高導電性の電解質は、液系電解質に比べて太陽電池(セル)の封止が困難である問題を持ち合わせており、そのため、このような高導電性の電解質を用いてもセル作製時に短絡を生じさせずに封止可能な、信頼性の高いセル形状の開発が求められている。
色素増感型太陽電池における短絡防止技術として、例えば、特開2005−108807号公報には、ITO等の透明導電膜上にN型導電性ポリマーやフラーレン等からなる短絡防止層を形成し、この短絡防止層上にTiO等の多孔質の金属酸化層を形成した、固体型色素増感素子が記載されている(特許文献1参照)。
また、特開2008−059851号公報及び特開2004−087622号公報には、FTOやSnO等の透明導電膜上にTiO等の多孔質の金属酸化層を形成した後、透明導電膜上及び/又は金属酸化層上にフルオロカーボン膜等の短絡防止層や酸化マグネシウム等の短絡防止層を形成した、色素増感太陽電池が記載されている(特許文献2及び3参照)。
特開2005−108807号公報 特開2008−059851号公報 特開2004−087622号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、抵抗率が小さく膜質が緻密なN型導電性ポリマーやフラーレン等の材料を用いて薄くても緻密な抵抗率の小さい短絡防止層を形成しているため、そもそも絶縁性が不十分であり、高導電性の電解質、例えば、上述の擬固体電解質を適用した場合には透明導電膜と電解質との間で短絡が生じ得る。その一方、抵抗率が小さいとはいえ、短絡防止層を色素担持金属酸化物層と透明導電膜との間に形成しているため、短絡防止層が内部抵抗として機能してセル抵抗を上昇させ、その結果、光電変換特性を低下させ得る。さらには、N型導電性ポリマーやフラーレン等の物質は可視光域に吸収を持ち、作用電極に入射される光量そのものを低下させ得るので、光電変換特性を低下させ得る。
一方、特許文献2及び3の技術は、金属酸化物層の上から短絡防止層を形成しているので、金属酸化物層が形成されていない透明導電膜上のみを短絡防止層で完全に覆うことは実質的に不可能であり、透明導電膜と電解質との間で短絡を防止するには、信頼性に劣るものであった。かかる問題を回避するためには、金属酸化物層上にも短絡防止層を形成せざるを得ないが、このようにすると金属酸化物層の表面積を低下させ、光電変換特性の低下を引き起こす。
他方、作用電極の透明導電膜と電解質との接触を避けるべく、セルを封止する封止材の内周壁と色素担持金属酸化物層の外周壁とを隙間なく密着するように形成し、電解質が封入されるセル内に、色素担持金属酸化物層が形成されずに露出した透明導電膜を存置させない構成にすることも考えられる。しかしながら、このように構成すると、封止材の硬化時に未硬化の樹脂が多孔質の金属酸化物層内へ浸み込み、光電変換特性の低下を引き起こすばかりか、長期使用時に色素担持金属酸化物層中で硬化或いは変質して、及び/又は、その存在が電解質や色素を分解させる或いは変質させる要因になる等して、色素型増感太陽電池の耐久性を低下させる。
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高導電性の電解質を適用した場合においても作用電極の透明導電膜と電解質との間の短絡を防止でき、これにより、光電変換特性及び耐久性が向上された、信頼性の高い色素増感型太陽電池及びその製造方法、並びに、色素増感型太陽電池用の作用電極の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、セル形状の再設計を行ない、作用電極の導電性表面、色素担持金属酸化物層及び封止材を所定形状の構成とすることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による色素増感型太陽電池は、作用電極、前記作用電極と離間して対向配置された対極、前記作用電極と前記対極との間に設けられた電解質、及び前記電解質を封止する封止材、を備える色素増感型太陽電池であって、前記電解質は、導電性粒子を含む擬固体電解質であり、前記作用電極は、導電性表面を有する基体及び前記導電性表面上の一部に形成された色素担持金属酸化物層を有し、前記色素担持金属酸化物層が形成されていない前記導電性表面上に、前記色素担持金属酸化物層の周囲を取り囲むように短絡防止層が枠状にパターン形成され、前記短絡防止層は前記色素担持金属酸化物層よりも薄く形成され、前記色素担持金属酸化物層は前記短絡防止層の枠内の前記導電性表面を覆うように且つ前記短絡防止層上に延出するように形成され、前記色素担持金属酸化物層と前記封止材とが短絡防止層を介して離間して配設されている、ものである。
ここで、本明細書において、「枠状」とは、色素担持金属酸化物層の周囲を取り囲む形状を意味し、具体的には、例えば、三角形状、矩形状、多角形状、星型状、幾何学状、円状、楕円状、不定形状及びこれらが複数連接したもの等を含む概念である。
本発明者らが、このように構成された色素増感型太陽電池の特性を測定したところ、従来に比して、光電変換特性及び耐久性が格別に向上されることが判明した。かかる効果が奏される作用機構の詳細は、未だ明らかではないものの、例えば、以下のとおり推定される。
上記構成の色素増感型太陽電池においては、色素担持金属酸化物層が形成されていない導電性表面上に、短絡防止層が色素担持金属酸化物層の周囲を取り囲むように枠状に形成され、また、色素担持金属酸化物層が短絡防止層の枠内の作用電極の導電性表面を覆うように且つ短絡防止層上に延出するように形成されているため、色素担持金属酸化物層が形成された領域/形成されていない領域の双方において、短絡が防止される。
すなわち、色素担持金属酸化物層が形成されていない領域においては、短絡防止層及び短絡防止層の内枠から短絡防止層上に向かって突出した色素担持金属酸化物層によって、構造上、電解質と作用電極の導電性表面とが隔離されているため、かかる色素担持金属酸化物層及び短絡防止層によって、電解質と作用電極の導電性表面との接触が遮断され、短絡が確実に防止される。
また、色素担持金属酸化物層が形成された領域においては、色素担持金属酸化物層が深部への擬固体電解質の浸み込みを許容しないので、構造上、従来技術の如く液系電解質の色素担持金属酸化物層への浸み込みによって生じる、色素担持金属酸化物層が形成された領域における電解質と作用電極の導電性表面との接触が遮断され、短絡が確実に防止される。
しかも、上記構成の色素増感型太陽電池においては、色素担持金属酸化物層が短絡防止層を介さずに導電性表面上に直接形成されているので、上記従来技術の如く短絡防止層に起因するセル抵抗の増大が抑制される。
その上さらに、上記構成の色素増感型太陽電池においては、色素担持金属酸化物層と封止材とが短絡防止層を介して離間して配設されており、色素担持金属酸化物層内への封止材の浸み込みが防止されるので、かかる封止材の浸み込みに起因する光電変換特性の低下及び耐久性の低下が抑制される。
上記の作用が相まった結果、上記構成の色素増感型太陽電池において、高導電性の電解質を適用した場合においても作用電極の透明導電膜と電解質との間の短絡が防止され、また、セル抵抗の増大が抑制され、光電変換特性及び耐久性が格別に向上されたものと考えられる。但し、作用はこれらに限定されない。
上記において、前記色素担持金属酸化物層の表面に前記短絡防止層が形成されていないことが好ましい。このように構成すると、受光部となる色素担持金属酸化物層の表面積を低下させないので、光電変換特性の低下が抑制される。
上記において、前記封止材は樹脂硬化物であることが好ましい。上記構成の色素増感型太陽電池においては、既述の如く色素担持金属酸化物層内への封止材の浸み込みが防止されているので、未硬化の樹脂組成物を硬化させて封止材を形成する態様において、殊に有効なものとなる。
また、本発明による色素増感型太陽電池用の作用電極の製造方法は、上記本発明による色素増感型太陽電池の作用電極を有効に作製し得る方法であって、導電性表面を有する基体を準備する工程、前記導電性表面上に枠状の短絡防止層をパターン形成する工程、及び前記短絡防止層の枠内の前記導電性表面上及び前記短絡防止層の枠上に色素金属酸化物層を形成する工程、をこの順に有する、ものである。
また、本発明による色素増感型太陽電池の製造方法は、上記本発明による色素増感型太陽電池を有効に作成し得る方法であって、導電性表面を有する基体を準備する工程、前記導電性表面上に枠状の短絡防止層をパターン形成する工程、及び前記短絡防止層の枠内の前記導電性表面上及び前記短絡防止層の枠上に色素金属酸化物層を形成して作用電極を作製する工程、をこの順に有し、さらに、対極を準備する工程、前記作用電極と前記対極との間に電解質を配置する工程、前記作用電極と前記対極の対向面の外側端縁に前記色素金属酸化物層と離間するように封止材を配設して前記作用電極と前記対極の周囲を封止接合する工程、を有する、ものである。
上記の製造方法において、上記と同様の理由により、前記色素担持金属酸化物層の表面に前記短絡防止層が形成されていないことが好ましい。また、前記封止材は樹脂硬化物であることが好ましい。
本発明によれば、高導電性の電解質を適用した場合においても作用電極の透明導電膜と電解質との間の短絡を防止でき、光電変換特性及び耐久性が向上された、信頼性の高い色素増感型太陽電池及びその製造方法、並びに、そのような高性能な色素増感型太陽電池を実現し得る作用電極の製造方法が実現される。
本実施形態の色素増感型太陽電池(セル)を示す概略断面図である。 本実施形態の作用電極(光電変換電極)及び色素増感型太陽電池(セル)の製造方法を示すフローチャートである。 本実施形態の作用電極(光電変換電極)の製造方法を示す概略斜視図である。 本実施形態の作用電極(光電変換電極)の製造方法を示す概略斜視図である。 実施例1,比較例1及び2の色素増感型太陽電池(セル)の光電変換特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1は、本発明による色素増感型太陽電池(太陽電池、セル)の一実施形態を概略的に示す模式断面図である。色素増感型太陽電池100は、作用電極としての光電変換電極21と、この光電変換電極21と離間して対向配置された対極31と、光電変換電極21及び対極31の間の周囲を取り囲むように形成された封止材41と、これら光電変換電極21、対極31及び封止材41により画成された封止空間内に封入された電解質51とを有する。光電変換電極21は、導電性表面12aを有する基体12を備え、その導電性表面12a上に、短絡防止層13及び色素担持金属酸化物層14aが形成されている。
導電性表面12aを有する基体12の具体例としては、例えば、導電性を有する基体や、導電性PETフィルムのように基体上の一部に又は全面に透明導電膜が製膜されたものが挙げられる。
基体12は、少なくとも短絡防止層13及び色素担持金属酸化物層14aを支持可能なものであれば、その種類や寸法形状は特に制限されず、例えば、板状やシート状の物が好適に用いられる。また、基体12は、透光性を有することが好ましく、可視光領域における透光性に優れるものであることがより好ましい。さらに、基体12は、可撓性を有することが好ましく、この場合、その可撓性を生かして、種々の形態の構造物を提供できる。基体12の具体例としては、例えば、ガラス基板の他、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のプラスチック基板、金属或いは合金基板、セラミックス基板、又は、これらの積層体等が挙げられる。
導電性表面12aとして機能し得る透明導電膜の具体例としては、例えば、ITO、SnO、InO、SnOにフッ素をドープしたFTO等が挙げられる。これら透明導電膜の形成方法は、特に限定されず、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、或いは浸漬法等の公知の手法を適用でき、その膜厚も適宜設定可能である。
基体12の導電性表面12aは、必要に応じて、各種公知の表面改質処理が施されたものであってもよい。そのような表面改質処理としては、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理、機械的研磨処理、水溶液への浸漬処理、電解液による予備電解処理、水洗処理、乾燥処理等の公知の表面処理が例示される。
基体12の導電性表面12a上には、短絡防止層13が枠状にパターン形成されている。本実施形態では、短絡防止層13は矩形枠状に形成され、その枠形状は、外寸及び内寸が色素担持金属酸化物層14aの外寸と略相似であり、枠幅(枠骨の幅)が△tとなっている。なお、短絡防止層13の形状(平面形状)は、特に限定されるものではなく、任意の形状を採用できるが、封止安定性を高める観点から、本実施形態では枠状に形成されている。
短絡防止層13は、基体12の導電性表面12aに比して、絶縁性が高いことが要求される。短絡防止層13の絶縁性は、電解質51と基体12の導電性表面12aとの短絡を防止すべく電解質51の導電性に応じて決定すればよく、特に限定されないが、好ましくは2MΩ以上、より好ましくは5MΩ以上、さらに好ましくは10MΩ以上である。短絡防止層13の絶縁性は、その素材や膜厚により適宜決定することができる。
短絡防止層13を構成する素材(絶縁性材料)は、特に限定されるものではなく、公知の素材から適宜選択すればよい。本実施形態においては、短絡防止層13を構成する素材は、電解質51に溶解し難く、封止材41の接着性に優れるものが好ましい。その具体例としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の無機酸化物や、UV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂組成物等が挙げられる。樹脂組成物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、反応性ポリイソブチレン樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂等の他、天然ゴム、合成ゴム、シランカップリング剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。短絡防止層13を構成する素材は、絶縁性及び製膜安定性を考慮すると、無機酸化物であることが好ましい。
短絡防止層13の厚みは、電解質51と基体12の導電性表面12aとの間の絶縁を確保でき且つ色素担持金属酸化物層14aよりも薄く形成されている限り特に限定されないが、1nm〜10μmであることが好ましく、より好ましくは10nm〜5μm、さらに好ましくは50nm〜1μmである。短絡防止層13の厚みが1nm未満であると、膜形成が困難で膜厚が不均一となって絶縁を担保し難くなる傾向にある。短絡防止層13の厚みが1μmを超えると、生産性及び経済性が悪化する傾向にある。なお、短絡防止層13の厚みが色素担持金属酸化物層14aと同等以上であると色素担持金属酸化物層14aの均一形成が困難になりセルの封止が難しくなる傾向にあるため、短絡防止層13の厚みは、色素担持金属酸化物層14aの厚みの1/10以下であることが好ましい。
上記の短絡防止層13の枠内には、基体12の導電性表面12aを覆うように、色素担持金属酸化物層14aが形成されている。具体的には、色素担持金属酸化物層14aは、短絡防止層13の枠内の基体12の導電性表面12a上及び短絡防止層13の枠上に形成され、これにより、色素担持金属酸化物層14aは短絡防止層13上に延出するように構成されている。そして、このような構成を採用することにより、光電変換電極21、対極31及び封止材41により画成された封止空間内に封入される電解質51は、基体12の導電性表面12aと隔離され、その結果、電解質51と基体12の導電性表面12aとの接触が防止されている。
色素担持金属酸化物層14aは、多孔性の金属酸化物層14に色素が担持(吸着)されたものである。色素担持金属酸化物層14a(金属酸化物層14)を構成する金属酸化物は、特に限定されるものはなく、例えば、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及びこれらの混合物等が挙げられる。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。また、金属酸化物は、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、カドミウム、鉛、アンチモン、ビスマス等の金属、これらの金属酸化物及びこれらの金属カルコゲニドを含んでいてもよい。これらの中でも、比較的に低コストで形成することができ高光電変換特性を有する点で、酸化チタン及び酸化亜鉛が好ましい。
色素担持金属酸化物層14aを構成する色素は、特に限定されるものはなく、例えば、水溶性色素、非水溶性色素、油溶性色素のいずれであっても構わない。光電変換電極として要求される性能に応じて、所望の光吸収帯・吸収スペクトルを有するものを適宜選択すればよい。高感度な色素を用いることにより、光電変換素子としてのより一層の性能向上を図ることが可能となる。
色素担持金属酸化物層14aを構成する色素の具体例としては、例えば、エオシンY等のキサンテン系色素、クマリン系色素、トリフェニルメタン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリピリジン金属錯体色素、ルテニウムビピリジウム系色素、アゾ色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリウム系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。色素担持量を増大させる観点から、金属酸化物と相互作用する吸着性基(例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等)を有する色素が好ましい。
色素担持金属酸化物層14aの厚みは、特に限定されるものではないが、0.05〜50μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜40μm、さらに好ましくは1〜30μmである。この膜厚が、0.05μm未満であると、色素が充分に担持されないことによる短絡光電流(JSC)の低下を招く場合があり、50μmを超えると、膜強度が不足したり、フィルファクター(ff)が低下したりする不都合が生じる場合がある。
対極31は、導電性表面32aを有する透明基板32を備えている。本実施形態では、導電性表面32aとして上述した透明導電膜が透明基板32に形成されている。これら透明基板32及び導電性表面32aは、上述した透光性を有する基体12及び導電性表面12aに各々対応し、これらの素材や種類、形成方法等は、基体12及び導電性表面12aと同様である。なお、ここで対極31として用いる電極は、本実施形態の構造に限定されるものではなく、例えば、金属板などの導電性を有する基体や、透明基板の導電膜上にさらに、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、モリブデン、チタン等の金属、カーボン、導電性ポリマー等の膜を形成したもの等、公知のものを適宜採用することができる。
光電変換電極21と対極31との間には、これら光電変換電極21及び対極31の間にある色素担持金属酸化物層14aの周囲を取り囲むように、封止材41が配設されている。封止材41は、内寸が色素担持金属酸化物層14aの外寸よりも幅広で且つ短絡防止層13の一部を覆うように略矩形枠状に形成され、これにより、色素担持金属酸化物層14aと封止材41とが、所定距離△s離間して配設された構造となっている。
封止材41を構成する素材(封止剤)は、公知のものを適宜採用することができ、特に限定されない。例えば、UV光照射による光硬化反応を利用する場合にはUV硬化性の素材を、熱硬化反応を利用する場合には熱硬化性の素材を選択すればよい。本実施形態においては、既述の如く色素担持金属酸化物層14a内への浸み込みが防止されているので、封止材41は、未硬化の樹脂組成物を硬化させたもの(樹脂硬化物)であることが好ましい。封止材41を構成する樹脂組成物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、等またはこれらの混合物が挙げられ、必要に応じこれらに反応性の官能基を導入し熱硬化又は光硬化性等させて使用することができる。また、所謂シール剤等と呼称されている素材、例えば、ポリエチレン、ポリフッ化エチレン、アイオノマー等の樹脂シート等を封止材41として使用することもできる。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、封止材41として、短絡防止層13との密着性に優れるものを用いることが好ましく、具体的には、短絡防止層13と同一又は同種の素材を選択することが好ましい。例えば、短絡防止層13としてシリコーン系樹脂や変性シリコーン系樹脂、シランカップリング剤を使用する場合、封止材41としてシロキサン結合を有する有機化合物、例えばシリコーン系樹脂やポリシロキサン化合物を含有する反応性ポリブタジエン樹脂を選択することが好ましい。また、生産性及び経済性を高める観点から、封止材41を構成する樹脂組成物は、UV硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂であることがより好ましく、UV硬化性樹脂であることがさらに好ましい。
また、封止材41に、固体スペーサを併用することが好ましい。固体スペーサを併用することにより、光電変換電極21及び対極31の電極間距離が高精度に制御可能になるとともに、外部からの応力印加に対する機械強度が高められ、また、封止性能(密封性)の向上が図られる。固体スペーサの具体例としては、ガラスビーズ、各種樹脂成形体、シリカ、織布、不織布等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
本実施形態においては、電解質51として、導電性粒子を含む擬固体電解質が用いられる。ここで、本明細書において、「擬固体」とは、固体の他、流動性はほとんど認められないが応力の印加により変形可能であるゲル状固形物或いは粘土状固形物を包含する概念を意味し、具体的には、静置して一定時間を放置した後に、自重による形状変化がないか又はその形状変化がわずかなものを意味する。電解質51として、擬固体電解質を用いた場合において、上述した作用効果が殊に顕著に奏される。
電解質51に含まれる導電性粒子としては、特に限定されないが、導電性炭素材料が好ましく、その具体例としては、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイト、活性炭、フラーレン等が挙げられる。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。導電性及び経済性を考慮すると、カーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト及びカーボンナノチューブが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。カーボンブラックの具体例としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック及びオイルファーネスブラック等が挙げられる。導電性粒子の二次粒子の平均粒径は、色素担持金属酸化物層14aの深部への侵入が阻害される程度であればよく、特に限定されないが、一般的には、数nm〜数μmが好ましい。
導電性炭素材料の含有量は、要求性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、擬固体電解質の総量に対し、5〜80wt%であることが好ましく、20〜60wt%がより好ましい。
擬固体電解質は、酸化還元剤を含有することが好ましい。酸化還元剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ヨウ素とヨウ化物(例えば、金属ヨウ化物及び第四級アンモニウムヨウ化物等)の組み合わせ、臭素と臭化物(例えば、金属臭化物及び第四級アンモニウム臭化物等)の組み合わせ、塩素と塩素化合物(例えば、金属塩化物及び第四級アンモニウム塩化物等)の組み合わせが挙げられる。特にヨウ素系において高い光電変換効率が得られ易い傾向にある。酸化還元剤の含有量は、擬固体電解質の総量に対し、1×10−4〜1×10−2mol/gが好ましく、1×10−3〜1×10−2mol/gがより好ましい。
擬固体電解質は、擬固体の性状を維持可能である限りにおいて、溶媒を含んでいてもよい。溶媒の具体例としては、特に限定されないが、例えば、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、ブトキシプロピオニトリル、ベンゾニトリル、吉草酸ニトリル等のニトリル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類;エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等の一価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;酢酸エチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン等のエーテル類;γ‐ブチロラクトン、α‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、β‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、3‐メチル‐γ‐バレロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物;スルフォラン、ジジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性化合物等が挙げられる。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。溶媒の含有量は、擬固体電解質の総量に対し、1〜80wt%であることが好ましい。
擬固体電解質は、擬固体の性状を維持可能である限りにおいて、難燃性で低揮発性のイオン性液体を含んでいてもよい。イオン性液体としては、例えば、メチルプロピルイミダゾリウムヨージド、メチルブチルイミダゾリウムヨージドなどのイミダゾリウム系のヨウ素化合物が広く使用されているが、それらに特に限定されず公知のイオン性液体を用いることができる。例えば、イミダゾリウム系、ピリジン系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、アゾニウムアミン系のイオン性液体、欧州特許第718288号、国際公開95/18456号パンフレット、J.Electrochem.Soc.143巻,10号,3099頁(1996年)、Inorg.Chem.35巻,1168頁(1996年)に記載されたイオン性液体等が挙げられる。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。イオン性液体の含有量は、擬固体電解質の総量に対し、1〜80wt%であることが好ましい。
擬固体電解質は、粒子を含んでいてもよい。粒子の具体例としては、TiO、SnO、SiO、ZnO、Nb、In、ZrO、Al、WO、SrTiO、Ta、La、Y、Ho、Bi、CeO、C等が挙げられる。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。粒子の平均粒径は、特に限定されないが、2〜1000nm程度が好ましい。粒子を含ませることで、電解質中のヨウ素のイオン拡散のみならず、グロッタス機構による導電パスがコンポジット粒子表面に形成され得るので、特性が向上し得る。
擬固体電解質は、要求性能に応じて各種添加剤を含んでいてもよい。一般に電池や太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができる。添加剤の具体例としては、例えば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン及びそれらの誘導体等のp型導電性ポリマー;イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、トリアゾリウムイオン及びそれらの誘導体とハロゲンイオンとの組み合わせからなる溶融塩;ゲル化剤;オイルゲル化剤;分散剤;界面活性剤;安定化剤等が挙げられる。
なお、擬固体電解質の調製は、常法にしたがって行えばよい。例えば、導電性炭素材料を、必要に応じて配合される少量の溶媒やイオン性液体、酸化還元剤、各種添加剤と混合或いは混練することで、均一な擬固体電解質を調製することができる。
以下、本実施形態の光電変換電極21及び色素増感型太陽電池100の製造方法について説明する。
図2は、本実施形態の光電変換電極21及び色素増感型太陽電池100の製造方法を示すフローチャートである。まず、導電性表面12aを有する基体12を準備し(S1)、その導電性表面12a上に枠状の短絡防止層13をパターン形成した後(S2)、その短絡防止層13の枠内の導電性表面12a上及び短絡防止層13の枠上に金属酸化物層14を形成し(S3)、その金属酸化物層14に色素を担持(吸着)させて(S4)、色素担持金属酸化物層14aを形成することにより、作用電極である光電変換電極21を作製する。次いで、対極31を準備し(S5)、この対極31の導電性表面32aと光電変換電極21の色素担持金属酸化物層14aとの間に電解質51を配置し(S6)、光電変換電極21と対極31とを電解質51を介して貼り合わせて必要に応じてスペーサ等を用いながら光電変換電極21及び対極31の周囲を封止接合することにより(S7)、色素増感型太陽電池100を作製する。
図3は、本実施形態の光電変換電極21の製造方法を示す概略斜視図である。短絡防止層13をパターン形成する工程(S2)において、基板12の導電性表面12a上に短絡防止層13をパターン形成する方法は、特に限定されるものではなく、公知の薄膜形成方法を適用できる。具体的には、例えば、基体12の導電性表面12a上に、マスクを用いて上述した絶縁性材料を枠状に付与することにより短絡防止層13を形成することができる。絶縁性材料の付与方法としては、例えば、真空蒸着法、反応性蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVDやPVD等の気相法、スプレーコート、スピンコート、ディップコート、カレンダーコート、ディスペンサーコート等の塗布法や、転写法、スクリーン印刷法、インクジェット法、ゾルゲル法等の公知の手法を適宜選択して行うことができる。なお、必要に応じて、各種公知の処理を施してもよく、そのような処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ照射処理、UV光又はIR光照射処理、加熱処理、水洗処理、乾燥処理等が挙げられる。
図4は、本実施形態の光電変換電極21の製造方法を示す概略斜視図である。色素担持金属酸化物層14aを形成する工程S3−S4において、色素担持金属酸化物層14aの形成方法は、特に限定されるものではなく、公知の形成方法を適用できる。例えば、上記の金属酸化物を含有する溶液(分散液、懸濁液)を短絡防止層13の枠内の導電性表面12a上及び短絡防止層13の枠上に付与した後に焼成処理又は150℃程度の低温処理を施す等して金属酸化層14(半導体層)を作製し、この金属酸化層14に上記の色素を担持(吸着)させる方法や、真空蒸着法、反応性蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVDやPVD等の気相法、ゾルゲル法等にて短絡防止層13の枠内の導電性表面12a上及び短絡防止層13の枠上に金属酸化層14を作製し、この金属酸化層14に上記の色素を担持(吸着)させる方法を用いることができる。また、電解液を用いた電気化学的方法として、上記の金属酸化物を含有する電解液を用いてカソード電析を行うことにより短絡防止層13の枠内の導電性表面12a上及び短絡防止層13の枠上に金属酸化層14を作製し、この金属酸化層14に上記の色素を担持(吸着)させる方法や、上記の金属酸化物及び色素を含有する電解液を用いてカソード電析を行なう方法を用いることもできる。
ここで、カソード電析法により金属酸化物層14を形成する場合、金属塩及び色素を含む電解液を用いることで、金属酸化物層14の形成と色素担持とを同時に行って、色素担持金属酸化物層14aを直ちに形成することもできる。電解条件は、常法にしたがい、使用する材料の特性に応じて適宜設定すればよい。例えば、ZnOと色素からなる色素担持金属酸化物層14aを形成する場合には、還元電解電位は−0.8〜−1.2V(vs.Ag/AgCl)程度、pHは4〜9程度、電解液の浴温は0〜100℃程度が好ましい。また、電解液中の金属イオン濃度は、0.5〜100mM程度、電解液中の色素濃度は50〜500μM程度が好ましい。さらに、光電変換特性をより一層高めるために、色素担持金属酸化物層14aに担持された色素を脱着し、他の色素を再吸着させてもよい。
なお、色素を担持させる工程S4において、色素を金属酸化物層14に担持させる方法は、特に限定されるものではなく、公知の形成方法を適用できる。例えば、色素を含む溶液に金属酸化物層14を浸漬する方法、色素を含む溶液を金属酸化物層14に塗布する方法等が挙げられる。ここで、色素含有溶液の溶媒としては、使用する色素の溶解性又は相溶性等に応じて、水、エタノール系溶媒、ニトリル系溶媒、ケトン系溶媒等の公知の溶媒から適宜選定することができる。
また、電解質51を配置する工程S6において、擬固体電解質を配置する方法は、特に限定されるものではなく、公知の形成方法を適用できる。例えば、擬固体電解質を色素担持金属酸化物層14a上に直接塗布して押圧する手法、擬固体電解質を溶媒にて希釈した低粘度のものを色素担持金属酸化物層14a上に直接塗布した後に溶媒を除去する手法等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、電解質51を封入するタイミングは、上記のものに特に限定されない。例えば、光電変換電極21と対極31とを封止材41を介して貼り合わせて封止した後に、別途に形成した注入口(図示せず)から電解質51を封止空間内に注入し、その注入口を封止してもよい。
本実施形態の色素増感型太陽電池100においては、色素担持金属酸化物層14aが形成されていない領域においては短絡防止層13及び色素担持金属酸化物層14aによって、また、色素担持金属酸化物層14aが形成された領域においては色素担持金属酸化物層14aが電解質51の導電性粒子の侵入を許容しないことによって、基板12の導電性表面12aと電解質51との間の短絡が防止される。とりわけ、高導電性の電解質51を用いても、セル内の短絡が確実に防止することができる点で、色素増感型太陽電池100は、従来技術に対して有意である。しかも、色素担持金属酸化物層14aは、短絡防止層13を介さずに、基板12の導電性表面12a上に直接形成されているので、セル抵抗を不用意に増大させることがない。その上さらに、色素担持金属酸化物層14aと封止材41とが短絡防止層13を介して離間して配設されており、色素担持金属酸化物層14a内への封止材41の浸み込みが防止されるので、かかる封止材41の浸み込みに起因する光電変換特性の低下及び耐久性の低下が抑制される。したがって、本実施形態の色素増感型太陽電池100は、従来のものに比して、光電変換特性及び耐久性が向上されたものとなり、その結果、信頼性の高いものとなる。
また、本実施形態の色素増感型太陽電池100の製造方法においては、セル抵抗を不用意に増大させることなく、また、光電変換特性及び耐久性を不用意に損なうことなく、光電変換特性に優れる色素増感型太陽電池100を簡易に且つ安定して低コストで製造できる。したがって、かくして得られる色素増感型太陽電池100は、生産性及び経済性が高められたものとなる。
なお、本実施形態は、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更を加えることが可能である。
例えば、短絡防止層13の枠内の導電性表面12aのみを覆うように、色素担持金属酸化物層14aを形成してもよい。言い換えれば、色素担持金属酸化物層14aが短絡防止層13の一部を覆う構成を省略してしてもよい。同様に、封止材41が短絡防止層13の一部を覆う構成を省略してもよい。
また、基体12の一部のみに導電性表面12aを形成し、基体12及び導電性表面12a上に、及び/又は、基体12上に、短絡防止層13を形成した構成にしてもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、基体として、フッ素ドープしたSnOを透明導電膜とする透明ガラス基板(TCO:旭硝子(株)製、サイズ:縦25mm×横25mm)を用意し、これを予備洗浄した。次に、透明ガラス基板の透明導電膜上にカプトンテープを枠状に貼付してマスキングした後、スパッタリングにてシリカを約300nmの厚みで製膜し、透明ガラス基板からカプトンテープを剥がすことにより、枠状(外寸:縦10.0mm×横10.0mm、内寸:縦5.0mm×横5.0mm、枠幅△t:2.5mm)の短絡防止層をパターン形成した。
次いで、市販の酸化亜鉛粒子(商品名:nano ZINC100、本荘ケミカル製)をトルエンに対して30wt%添加し、ペイントシェーカーを用いて30分間分散処理を行うことで、酸化亜鉛スラリー液を得た。この酸化亜鉛スラリー液を、短絡防止層の枠内に位置する透明ガラス基板の透明導電膜上及び短絡防止層の枠上に塗布した後、電気炉を用いて100℃で30分間加熱処理して乾燥させた。昇温速度は2℃/minとした。この酸化亜鉛スラリー液の塗布と加熱処理を5回繰り返した。これにより、短絡防止層の枠内の透明導電膜を完全に覆い、且つ、短絡防止層上に約1.0mm程度延出するように形成された、平面視で矩形状(縦7.0mm×横7.0mm×厚み10μm)の金属酸化物層(亜鉛酸化物層)を形成した。
次に、色素含有溶液として、下記式で示す色素500μMを含有するCHCN溶液を調製した。そして、この色素含有溶液中に、カソード電析処理後に純水洗浄し乾燥した金属酸化物層を浸漬して、色素を金属酸化物層に吸着させた。その後、アセトニトリル溶液にて洗浄及び乾燥処理を行って、色素担持金属酸化物層を形成した。
以上の操作により、図1及び図4に示すものと同等の構造を有する、実施例1の光電変換電極を作製した。
次いで、カーボンブラックとテトラブチルアンモニウムアイオダイドと3−メトキシプロピオニトリルとを混練して得た擬固体電解質を、色素担持金属酸化物層を覆うように塗布した。その後、ディスペンサーを用いてUV硬化性接着剤(31×101C:スリーボンド製)を、光電変換電極の基板上に枠状に塗布した。このUV硬化性接着剤の塗布は、色素担持金属酸化物層と離間するように、光電変換電極の基板の外側端部から約1.0mm幅で行なった。
そして、フッ素ドープしたSnOを透明導電膜とする透明ガラス基板(TCO:旭硝子(株)製)をそのまま対極として用い、この対極を光電変換電極と擬固体電解質及びスペーサを介して貼り合わせ、UV光を照射してUV硬化性樹脂を硬化させて封止した。硬化したUV硬化性接着剤は、幅が約1.5mm程度であり、色素担持金属酸化物層と離間しているものの、その一部が、光電変換電極の基板から短絡防止層上へと延出していた。
以上の操作により、図1に示すものと同等の構造を有する、実施例1の色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例1)
短絡防止層の形成を省略し、マスクを用いて平面視で矩形状(縦7.0mm×横7.0mm×厚み10μm)の金属酸化物を形成すること以外は、実施例1と同様に操作して、比較例1の光電変換電極を作製した。
得られた比較例1の光電変換電極を用い、色素担持金属酸化物層の周囲に密着するように約1.0mm幅の枠状にUV硬化性樹脂を塗布すること以外は、実施例1と同様に操作して、比較例1の色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例2)
マスクを用いて平面視で矩形状(縦7.0mm×横7.0mm×厚み10μm)の金属酸化物層を形成した後に、この金属酸化物層をアルミニウムブトキシドのエタノール溶液に浸漬して乾燥させることにより金属酸化物層で覆われていない透明導電膜の表面に酸化アルミニウム膜を製膜し、その後、金属酸化物層に色素を担持させること以外は、実施例1と同様に操作して、比較例2の光電変換電極を作製した。
得られた比較例2の光電変換電極を用い、色素担持金属酸化物層と離間するように光電変換電極の基板の外側端部から約1.0mm幅でUV硬化性樹脂を枠状に塗布すること以外は、実施例1と同様に操作して、比較例2の色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例3)
短絡防止層の形成を省略し、マスクを用いて平面視で矩形状(縦7.0mm×横7.0mm×厚み10μm)の金属酸化物を形成すること以外は、実施例1と同様に操作して、比較例3の光電変換電極を作製した。
得られた比較例3の光電変換電極を用い、色素担持金属酸化物層と離間するように光電変換電極の基板の外側端部から約1.0mm幅でUV硬化性樹脂を枠状に塗布すること以外は、実施例1と同様に操作して、比較例3の色素増感型太陽電池を作製した。得られた比較例3の色素増感型太陽電池は、電解質と基板の透明導電膜とが接触した構造のものであった。
〔評価〕
実施例1及び比較例1〜3の色素増感型太陽電池(セル)につき、光電変換効率(η:%)をAM−1.5(1000W/m)のソーラーシミュレーターを用いて測定した。なお、光電変換効率(η:%)は、光電変換素子の電圧をソースメータにて掃引して応答電流を測定することで得られる、電圧と電流との積である最大出力を1cmあたりの光強度で除した値に100を乗じてパーセント表示したものであり、光電変換効率(η:%)=(最大出力/1cmあたりの光強度)×100で表される。
図5に、実施例1,比較例1及び2の色素増感型太陽電池(セル)の評価結果を示す。なお、比較例3は、基板の透明導電膜と擬固体電解質とが接触して短絡が生じることにより、色素増感型太陽電池として機能しなかったため、図5中の表示を割愛した。
図5に示す結果から明らかなように、実施例1の色素増感型太陽電池は、短絡防止層を省略した比較例1の色素増感型太陽電池に比して、光電変換特性及び耐久性に優れることが確認された。このことから、比較例1のように色素担持金属酸化物電極とUV硬化性樹脂を密着させた場合には、色素担持金属酸化物電極の多孔質内に未硬化のUV硬化性樹脂が侵入することにより、光電変換特性及び耐久性を劣化させることが示唆された。UV光の照射によるUV硬化性樹脂の硬化時に、色素担持金属酸化物電極がUV光を遮蔽する等して、未硬化のUV硬化性樹脂がセル内に残留し、この残留物に起因して光電変換特性及び耐久性が劣化したものと推察される。
また、図5に示す結果から明らかなように、実施例1の色素増感型太陽電池は、従来技術の如く金属酸化物電極の形成後に酸化アルミニウムの短絡防止層を形成した比較例2の色素増感型太陽電池に比して、光電変換特性及び耐久性に優れることが確認された。比較例2の色素増感型太陽電池は、電流・電圧ともに低下しており、このことから、素子性能そのものが劣化していることが示唆される。このことから、比較例2のように金属酸化物電極の形成後に短絡防止層を形成する場合は、金属酸化物電極の表面の一部が短絡防止層により被覆され、及び/又は、基板の透明導電膜の絶縁が不十分で短絡が生じ易く、その結果、光電変換特性及び耐久性が劣化したものと推察される。
また、実施例1及び比較例1の色素増感型太陽電池を85℃85%RHの高温高湿の信頼性試験にかけて光電変換効率の推移を測定したところ、500時間経過時に、短絡防止層を省略した比較例1の色素増感型太陽電池は初期の半分以下となったが、実施例1の色素増感型太陽電池は初期の90%以上を維持していた。このことから、実施例1の色素増感型太陽電池は、耐久性に優れることが判明した。この結果も、上記と同様に、UV硬化性樹脂の色素担持金属酸化物電極への侵入の有無(色素担持金属酸化物電極中に含まれる未硬化の樹脂成分の有無)に起因するものと推察される。
以上説明した通り、本発明の色素増感型太陽電池及びその製造方法、並びに、色素増感型太陽電池用の作用電極の製造方法は、高導電性の電解質を適用した場合においても作用電極の透明導電膜と電解質との間の短絡を防止でき、光電変換特性及び耐久性を向上させて信頼性を高めることができるので、これを備える電子・電気デバイス及びそれらを備える各種機器、設備、システム等に広く且つ有効に利用可能である。
12…基体、12a…導電性表面、13…短絡防止層、14…金属酸化物層、14a…色素担持金属酸化物層、21…光電変換電極、31…対極、32…透明基板、32a…導電性表面、41…封止材、51…電解質、100…色素増感型太陽電池。

Claims (5)

  1. 作用電極、前記作用電極と離間して対向配置された対極、前記作用電極と前記対極との間に設けられた電解質、及び前記電解質を封止する封止材、を備える色素増感型太陽電池であって、
    前記電解質は、導電性粒子を含む擬固体電解質であり、
    前記作用電極は、導電性表面を有する基体及び前記導電性表面上の一部に形成された色素担持金属酸化物層を有し、
    前記色素担持金属酸化物層が形成されていない前記導電性表面上に、前記色素担持金属酸化物層の周囲を取り囲むように短絡防止層が枠状にパターン形成され、
    前記短絡防止層は前記色素担持金属酸化物層よりも薄く形成され、前記色素担持金属酸化物層は前記短絡防止層の枠内の前記導電性表面を覆うように且つ前記短絡防止層上に延出するように形成され、
    前記色素担持金属酸化物層と前記封止材とが短絡防止層を介して離間して配設されている、
    色素増感型太陽電池。
  2. 前記色素担持金属酸化物層の表面に前記短絡防止層が形成されていない、
    請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 前記封止材は樹脂硬化物である、
    請求項1又は2に記載の色素増感型太陽電池。
  4. 導電性表面を有する基体を準備する工程、
    前記導電性表面上に枠状の短絡防止層をパターン形成する工程、及び
    前記短絡防止層の枠内の前記導電性表面上及び前記短絡防止層の枠上に色素金属酸化物層を形成する工程、をこの順に有する、
    色素増感型太陽電池用の作用電極の製造方法。
  5. 導電性表面を有する基体を準備する工程、
    前記導電性表面上に枠状の短絡防止層をパターン形成する工程、及び
    前記短絡防止層の枠内の前記導電性表面上及び前記短絡防止層の枠上に色素金属酸化物層を形成して作用電極を作製する工程、をこの順に有し、
    さらに、対極を準備する工程、
    前記作用電極と前記対極との間に電解質を配置する工程、
    前記作用電極と前記対極の対向面の外側端縁に前記色素金属酸化物層と離間するように封止材を配設して前記作用電極と前記対極の周囲を封止接合する工程、を有する、
    色素増感型太陽電池の製造方法。
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