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JP2010060770A - 光学物品及び光学物品の製造方法 - Google Patents

光学物品及び光学物品の製造方法 Download PDF

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JP2010060770A JP2008225602A JP2008225602A JP2010060770A JP 2010060770 A JP2010060770 A JP 2010060770A JP 2008225602 A JP2008225602 A JP 2008225602A JP 2008225602 A JP2008225602 A JP 2008225602A JP 2010060770 A JP2010060770 A JP 2010060770A
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Abstract

【課題】線膨張係数の異なる光学部材と光学薄膜とを接合することができるとともに波面収差のバラツキがなく高精度な光学物品を提供。
【解決手段】第一光学部材11と第二光学部材12との間に複数層の光学薄膜13が設けられ、この光学薄膜13は、第一光学部材11に予め設けられた第一薄膜131と、第二光学部材12に予め設けられた第二薄膜132と、これらの第一薄膜131と第二薄膜132とを分子接合する接合層133とを備え、この接合層133をプラズマ重合膜とした。そのため、光学部材同士の接合のために接着剤を使用しないので、第一光学部材11と第二光学部材12との接合部分に厚さのバラツキがなくなって波面収差がなく、耐光性が向上するプリズム1を提供することができる。しかも、プラズマ重合膜を利用するので、高温での処理が不要となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、第一光学部材と第二光学部材との間に複数層の光学薄膜が設けられた光学物品、例えば、プリズム、偏光分離素子、及びこれらの光学物品の製造方法に関する。
光ピックアップや液晶プロジェクタ、その他の装置において、複数の光学部材の間に光学薄膜を挟んで形成された光学物品が用いられている。
この光学物品として、例えば、2つの三角柱部材の間に偏光分離膜を設けたプリズムや、それぞれ内部に偏光分離膜が設けられた2つのプリズムの底辺部の間に偏光分離膜を設けたクロスプリズムや、さらには、それぞれ内部に反射膜が設けられた2つの光学部材の間に偏光分離膜を挟んで順次積層し、これらの光学部材の前記偏光分離膜の光射出面側に位相差板を設けた偏光分離素子(PS変換素子)がある。
これらの光学物品は種々の方法で製造されており、その一つとして、光学部材と偏光分離膜との間を接着剤で接着固定する従来例がある。例えば、光ピックアップ用のプリズムでは、2つの三角柱状のプリズムブロックのうち一方のブロックの底辺部に光学薄膜を設け、この光学薄膜と他方のプリズムブロックの底辺部とを接着剤で固定する従来例(特許文献1)がある。
さらに、クロスプリズムでは、三角柱状の第一光学部材に予め偏光分離膜を形成し、この偏光分離膜と第二光学部材との間を接着剤で接着固定してプリズムを形成し、このプリズムを2個用意するとともに、このうち一方のプリズムに反射防止膜を形成しておき、この反射防止膜と他方のプリズムとを接着剤で接着固定する従来例(特許文献2)がある。
また、シリコンとガラス等の接合に際して、被接合面を酸素プラズマで親水処理(活性化)し、この親水処理した光学部材同士を直接接合し、400℃程度で高温加熱するものがある(特許文献3)。
特開2007−101866号公報 特開2007−78779号公報 特許第3751972号公報
特許文献1や特許文献2で示される従来例では、一方の光学部品に設けられた偏光分離膜と他方の光学部品とを接着剤で接合固定するため、接着剤の層の厚みがばらつき、その結果、波面収差がばらつくという課題がある。さらに、接着剤が劣化することで、耐熱性や耐光性が低下するという課題がある。
特許文献3で示される従来例では、被接合面が活性化された光学部材同士を直接接合するため、被接合面の表面粗さが大きかったり、うねりが大きかったりすると、接合することができない。
さらに、特許文献3の技術を特許文献1,2で示されるプリズムの製造に利用した場合、直接接合した部材を高温加熱するため、線膨張係数の異なる部材同士、例えば、ガラスからなる光学部材と光学薄膜とを接合することができない。つまり、高温下で光学部材同士を接合した後に常温に戻すと、線膨張係数が異なる光学薄膜と光学部材とにずれが生じる等、不具合が生じる。
本発明の目的は、線膨張係数の異なる光学部材と光学薄膜とを接合することができるとともに波面収差のバラツキがなく高精度な光学物品及び光学物品の製造方法を提供することにある。
[適用例1]
本適用例にかかる光学物品は、第一光学部材と、第二光学部材と、これらの第一光学部材と第二光学部材の間に設けられた光学薄膜とを有する光学物品であって、前記光学薄膜は、複数層からなり、かつ前記第一光学部材と前記第二光学部材とを接合する接合層を備え、この接合層は前記第一光学部材側の被接合部と前記第二光学部材側の被接合部とを分子接合するプラズマ重合膜であることを特徴とする。
この構成の本適用例では、第一光学部材と第二光学部材との接合のために、プラズマ重合膜を利用するので、高温での処理が不要となり、線膨張係数の異なる光学部材と光学薄膜とを直接接合することができる。そして、第一光学部材と第二光学部材との接合のために接着剤を使用しないので、第一光学部材と第二光学部材との接合部分に厚さのバラツキがなくなって波面収差(特に、非点収差)が少なくなり、耐光性が向上する。
[適用例2]
本適用例にかかる光学物品は、前記光学薄膜は、前記第一光学部材に予め設けられた第一薄膜と、前記第二光学部材に予め設けられた第二薄膜とを備え、前記接合層は、前記前記第一光学部材側の被接合部としての前記第一薄膜と前記第二光学部材側の被接合部としての前記第二薄膜とを分子接合する。
この構成の本適用例では、第一光学部材に設けられた第一薄膜と第二光学部材に設けられた第二薄膜とをプラズマ重合膜を介して接合するので、第一光学部材に光学薄膜をまとめて形成し、この光学薄膜の最外層を接合層として第二光学部材と接合する場合に比べて、一方の光学部材に形成される薄膜の層数を少なくすることができる。つまり、多層から光学薄膜が形成されても、これを2つの光学部材にわけて形成するので、多層化に伴って光学薄膜に生じるクラックを防止できる。
[適用例3]
本適用例にかかる光学物品は、前記光学薄膜は異なる材質の層が交互に積層される光学機能膜であり、この光学機能膜の中間に位置する層を前記接合層に置き換える。
この構成の本適用例では、接合層を中心として両側に配置される部材を対称なものにできるから、この部材を同じ工程で製造することが可能となり、光学物品を簡易に製造することができる。しかも、積層される層の数が多い場合には、光学薄膜にクラックが生じる恐れがあるが、本適用例では、多くの層から光学薄膜が構成される光学物品において、中間に位置する層を除いて半分の層をそれぞれ第一光学部材と第二光学部材とに分けて形成するから、光学薄膜にクラックが生じる恐れがより小さくなる。なお、この光学機能膜には、例えば偏光分離膜、波長選択膜等がある。
[適用例4]
本適用例にかかる光学物品は、前記第一光学部材及び前記第二光学部材はそれぞれ三角柱部材である。
この構成の本適用例では、第一光学部材と第二光学部材との底辺部同士の間に偏光分離膜を設けることで、光ピックアップ用として利用されるプリズムを簡易に製造することができる。しかも、プリズムの波面収差が少なくなり、高精度とすることができる。
[適用例5]
本適用例にかかる光学物品は、前記第一光学部材と前記第二光学部材とは前記光学機能膜を間に挟んで交互に配置され、隣り合う前記光学機能膜の間であって前記第一光学部材と前記第二光学部材とにはそれぞれ反射膜が設けられ、前記第一光学部材と前記第二光学部材との前記光学機能膜の光射出面側には選択的に位相差板が設けられている。
この構成の本適用例では、波面収差を少なくして高精度な偏光分離素子(PS変換素子)を提供することができる。なお、この光学機能膜には、例えば偏光分離膜、波長選択膜等がある。
[適用例6]
本適用例にかかる光学物品の製造方法は、第一光学部材と、第二光学部材と、これらの第一光学部材と第二光学部材の間に設けられた光学薄膜とを有する光学物品を製造する方法であって、前記光学薄膜を第一薄膜、第二薄膜及びこれらの第一薄膜と第二薄膜とを接合する接合層に区分けしておき、前記第一薄膜を前記第一光学部材に設け、前記第二薄膜を前記第二光学部材に設ける薄膜形成工程と、前記第一光学部材に設けられた前記第一薄膜と前記第二光学部材に設けられた第二薄膜とにそれぞれにプラズマ重合膜を形成する重合膜形成工程と、前記プラズマ重合膜を活性化する表面活性化工程と、前記第一薄膜に形成された前記プラズマ重合層と前記第二薄膜に形成された前記プラズマ重合層とを貼り合わせて一体化する貼合工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成の本適用例では、薄膜形成工程において、それぞれ蒸着等によって第一薄膜を第一光学部材の一面に形成し、第二薄膜を第二光学部材の一面に形成する。さらに、重合膜形成工程では、第一薄膜の第一光学部材が設けられていない一面にプラズマ重合膜を形成し、同様に、第二薄膜の第二光学部材が設けられていない一面にプラズマ重合膜を形成する。ここで、第一薄膜に形成されるプラズマ重合膜と第二薄膜に形成されるプラズマ重合膜とは重なり合って1つの接合層を構成するので、例えば、光学薄膜層数が奇数の薄膜構成である場合では、中心に位置する接合膜の半分の厚さにプラズマ重合膜が設定される。
そして、表面活性化工程では、プラズマ重合膜の表面を効率よく活性化する。表面活性化工程は、例えば、プラズマを照射する方法、オゾンガスに接触させる方法、オゾン水で処理する方法、あるいは、アルカリ処理する方法等を用いることができる。さらに、貼合工程ではプラズマ重合膜同士を押し付け、第一光学部材と第二光学部材とをプラズマ重合膜を介して接合する。
従って、本適用例では、前述の効果を奏することができる光学物品の製造方法を提供することができる。
[適用例7]
本適用例にかかる光学物品の製造方法は、前記第一光学部材と前記第二光学部材とは同じ構成であり、前記第一薄膜と前記第二薄膜とは同じ層構成である。
従って、本適用例では、薄膜形成工程において、第一光学部材に第一薄膜を形成する工程と、第二光学部材に第二薄膜を形成する工程とを同じにすることができるから、第一光学部材と第二光学部材の一方に全ての成膜を行う従来例に比べて生産効率が向上することになる。しかも、第一薄膜と第二薄膜とは同じ条件で成膜するから、第一光学部材側と第二光学部材側とで成膜厚みを同じにできるので、薄膜応力のバランスをとることができる。
[適用例8]
本適用例にかかる光学物品の製造方法は、前記薄膜形成工程は、前記第一光学部材を成形するための短冊状光学ブロックの互いに反対側の面に前記第一薄膜と前記第二薄膜とをそれぞれ形成するとともに、前記第二光学部材を形成するための短冊状光学ブロックの互いに反対側の面にそれぞれ前記第一薄膜と前記第二薄膜をそれぞれ形成し、前記重合膜形成工程は、前記短冊状光学ブロックに形成された前記第一薄膜と前記第二薄膜とにそれぞれにプラズマ重合膜を形成し、前記貼合工程は、前記短冊状光学ブロックを第一薄膜に形成された前記プラズマ重合層と前記第二薄膜に形成された前記プラズマ重合層とを貼り合わせるように複数枚を積層し、前記貼合工程で複数枚が積層された前記短冊状光学ブロックを切断して前記第一光学部材と前記第二光学部材との形状となるように成形する。
従って、本適用例では、薄膜形成工程で短冊状光学ブロックに第一薄膜や第二薄膜を形成した後、重合膜形成工程で、第一薄膜と第二薄膜とにそれぞれプラズマ重合膜を形成し、貼合工程で、複数本の短冊状光学ブロックをプラズマ重合層とプラズマ重合層とを重ねた状態で積層し、その後に、所定形状の光学物品となるように切断するので、簡易な方法で多量の光学部品を製造することができる。
[適用例9]
本適用例にかかる光学物品の製造方法は、前記第一光学部材と前記第二光学部材とはそれぞれ端面が直角三角形の柱状部材であり、これらの第一光学部材の一方の斜辺と第二光学部材の一方の斜辺との間に光学薄膜を設けてプリズムを成形するプリズム成形工程と、このプリズム成形工程で成形されたプリズムを2個用意し、これらのプリズムの間に光学薄膜を設けてクロスプリズムを成形するクロスプリズム形成工程とを備え、前記プリズム成形工程では、前記第一光学部材の一方の斜辺に前記第一薄膜を設けるとともに、前記第二光学部材の一方の斜辺に前記第二薄膜を設けて薄膜形成工程を実施し、前記第一光学部材に設けられた前記第一薄膜と前記第二光学部材に設けられた第二薄膜とにそれぞれにプラズマ重合膜を形成して前記重合膜形成工程を実施し、これらのプラズマ重合膜を活性化して前記表面活性化工程を実施し、前記第一薄膜に形成された前記プラズマ重合層と前記第二薄膜に形成された前記プラズマ重合層とを貼り合わせて前記貼合工程を実施して端面が直角三角形となる前記プリズムを成形し、前記クロスプリズム成形工程では、前記プリズム成形工程で形成された2個の前記プリズムのうち一方のプリズムにおいて、前記第一光学部材の他方の斜辺と前記第二光学部材の他方の斜辺とに連続して前記第一薄膜を設け、かつ、前記プリズム成形工程で形成された2個の前記プリズムのうち他方のプリズムにおいて、前記第一光学部材の他方の斜辺と前記第二光学部材の他方の斜辺とに連続して前記第二薄膜を設けて薄膜形成工程を実施し、前記2個のプリズムのうち一方のプリズムに設けられた前記第一薄膜と他方のプリズムに設けられた第二薄膜とにそれぞれにプラズマ重合膜を形成して前記重合膜形成工程を実施し、これらのプラズマ重合膜を活性化して前記表面活性化工程を実施し、前記第一薄膜に形成された前記プラズマ重合層と前記第二薄膜に形成された前記プラズマ重合層とを貼り合わせて前記貼合工程を実施して端面が正方形となる前記クロスプリズムを成形する。
4つの光学部材に光学薄膜を形成するとともにこれらを接着剤で接着固定する従来例では、4つの光学部材の間の厚み管理が複雑かつ煩雑であったが、本適用例では、プラズマ重合膜同士を接合することで4つの光学部材の間の寸法管理が容易に行えうるので、クロスプリズムを簡易に製造することができる。
しかも、このクロスプリズムは光学薄膜を接着するための接着層がないので、薄膜自体を薄くすることができ、薄膜厚みに起因する中心段差ずれを抑制することができる。
[適用例10]
本適用例にかかる光学物品の製造方法は、前記薄膜形成工程は、予め内部に反射膜が設けられ前記第一光学部材を成形するための短冊状光学ブロックの互いに反対側の面に前記第一薄膜と前記第二薄膜とをそれぞれ形成するとともに、予め内部に反射膜が設けられ前記第二光学部材を形成するための短冊状光学ブロックの互いに反対側の面に前記第一薄膜と前記第二薄膜とをそれぞれ形成し、前記重合膜形成工程は、前記短冊状光学ブロックに形成された前記第一薄膜と前記短冊状光学ブロックに形成された第二薄膜とにそれぞれにプラズマ重合膜を形成し、前記貼合工程は、前記短冊状光学ブロックを第一薄膜に形成された前記プラズマ重合層と、前記第二薄膜に形成された前記プラズマ重合層とを貼り合わせて複数枚積層するとともに前記第一薄膜、前記第二薄膜及びプラズマ重合膜から偏光分離膜を形成し、前記貼合工程で複数枚が積層された前記短冊状光学ブロックを前記偏光分離膜と前記反射膜とに交差するように切断して前記第一光学部材と前記第二光学部材を形成し、さらに、前記第一光学部材及び前記第二光学部材の前記偏光分離膜の光射出面側に選択的に位相差板を設ける。
従って、本適用例では、前述の効果を有する偏光分離素子を製造するにあたり、短冊状光学ブロックに薄膜形成工程、重合膜形成工程及び貼合工程を実施し、その後、短冊状光学ブロックを切断するから、簡易な方法で偏光分離素子を多量に製造することができる。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ここで、各実施形態において、同一構成要素は同一符号を付して説明を省略もしくは簡略にする。
第1実施形態を図1から図5に基づいて説明する。第1実施形態は光学物品としてプリズム1を例示したものである。このプリズム1は光ピックアップ用の偏光分離素子として利用される。
図1は第1実施形態にかかるプリズム1の端面を示す図であり、図2は図1の要部を示す断面図である。
図1及び図2において、プリズム1は、入射光側の第一光学部材11と、出射光側の第二光学部材12と、これらの第一光学部材11と第二光学部材12との間に設けられた光学薄膜13とを備えた構造である。
第一光学部材11と第二光学部材12とは、それぞれ端面が直角三角形とされた三角柱部材であり、その端面の形状及び長さは同じである。
第一光学部材11及び第二光学部材12は、ともにBK7等の光学ガラス、白板ガラス、ホウケイ酸ガラス、青板ガラスをはじめとするガラスから成形されており、同じ材質である。
光学薄膜13は偏光分離作用を有する誘導体多層膜からなる偏光分離膜であり、異なる材質の層、例えば、高屈折材料層である酸化チタン(TiO)の層と、低屈折材料層である酸化ケイ素(SiO)の層とが交互に積層される。これらの層は25層から構成されるものであり、第一光学部材11の底辺側を第1層1301とすると、第二光学部材12側に向かうに従って、第2層1302、第3層1303、…第11層1311、第12層1312、第13層1313、第14層1314、第15層1315、…第23層1323、第24層1324、第25層1325となり、この第25層1325が第二光学部材12の底辺部に直接設けられる。これらの層のうち奇数層、例えば、第1層1301、第3層1303、第15層1315、第23層1323、第25層1325が酸化ケイ素(SiO)の層であり、偶数層、例えば、第2層1302、第4層1304、第12層1312、第14層1314、第24層1324が酸化チタン(TiO)の層である。これらの層は第13層1313を中心として、材質並びに膜厚が対称とされる。
本実施形態では、第1層1301から第12層1312が第一光学部材11に予め設けられた第一薄膜131を構成し、第14層1314から第25層1325が第二光学部材12に予め設けられた第二薄膜132を構成し、中間に位置する第13層1313が第一薄膜131と第二薄膜132とを分子接合する接合層133に置き換えられる。この接合層133は、後述するプラズマ重合膜で形成されており、第13層1313と同じ屈折率及び膜厚とされる。第一薄膜131と第二薄膜132とは被接合部を構成する。
次に、第1実施形態にかかる光学物品の製造方法について説明する。
[薄膜形成工程]
第一薄膜131を第一光学部材11に設け、第二薄膜132を第二光学部材12に設ける。
まず、第一光学部材11と第二光学部材12とを従来と同様の方法で三角柱状に形成する。そして、第一光学部材11の底辺部に第1層1301から第12層1312を、真空蒸着,イオンアシスト蒸着、イオンプレーティング法、スパッタ法等の従来と同様の方法を用いて形成する。同様の方法で、第二光学部材12の底辺部に第25層1325から第14層1314を従来と同様の方法を用いて形成する。これにより、第一光学部材11に設けられる第一薄膜131と第二光学部材12に設けられる第二薄膜132とは同じ光学設計となる。
[重合膜形成工程]
第一光学部材11に設けられた第一薄膜131と第二光学部材12に設けられた第二薄膜132とにそれぞれにプラズマ重合膜133Hを形成する。2層のプラズマ重合膜133Hから1層の接合層133が構成されるものであり、この接合層133が第13層1313に置き換わることになる。
図3は、第1実施形態で使用するプラズマ重合装置の概略図である。
図3において、プラズマ重合装置100は、チャンバー101と、このチャンバー101の内部にそれぞれ設けられる第1電極111及び第2電極112と、これらの第1電極111と第2電極112との間に高周波電圧を印加する電源回路120と、チャンバー101の内部にガスを供給するガス供給部140と、チャンバー101の内部のガスを排出する排気ポンプ150を備えた構造である。
第1電極111は、第一光学部材11や第二光学部材12を支持する支持部111Aを有するものであり、第一光学部材11や第二光学部材12を挟んで第1電極111と第2電極112とが対向配置されている。支持部111Aは第一光学部材11や第二光学部材12の斜辺部分を支持する三角溝状部が形成されており、この三角溝状部に第一光学部材11や第二光学部材12が支持された状態では、第一薄膜131や第二薄膜132が第2電極112と対向する。
電源回路120は、マッチングボックス121と高周波電源122とを備える。
ガス供給部140は、液状の膜材料(原料液)を貯蔵する貯液部141と、液状の膜材料を気化して原料ガスに変化させる気化装置142と、キャリアガスを貯留するガスボンベ143とを備えている。このガスボンベ143に貯留されるキャリアガスは、電界の作用によって放電し、この放電を維持するためにチャンバー101に導入するガスであって、例えば、アルゴンガスやヘリウムガスが該当する。
これらの貯液部141、気化装置142及びガスボンベ143とチャンバー101とが配管102で接続されており、ガス状の膜材料とキャリアガスとの混合ガスをチャンバー101の内部に供給するように構成されている。
貯液部141に貯留される膜材料は、プラズマ重合装置100によって第一光学部材11や第二光学部材12にプラズマ重合膜133Hを形成するための原材料であり、気化装置142で気化されて原料ガスとなる。
この原料ガスとしては、例えば、メチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルシロキサン等のオルガノシロキサン、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、トリメチル亜鉛、トリエチル亜鉛のような有機金属系化合物、各種炭化水素系化合物、各種フッ素系化合物等が挙げられる。
このような原料ガスを用いて得られるプラズマ重合膜133Hは、これらの原料が重合してなるもの(重合物)、つまり、ポリオルガノシロキサン、有機金属ポリマー、炭化水素系ポリマー、フッ素系ポリマー等で構成されることになる。
ポリオルガノシロキサンは、通常、撥水性を示すが、各種の活性化処理を施すことによって容易に有機基を脱離させることができ、親水性に変化することができる。つまり、ポリオルガノシロキサンは撥水性と親水性との制御を容易に行える材料である。
撥水性を示すポリオルガノシロキサンで構成されたプラズマ重合膜133Hは、それ同士を接触させても、有機基によって接着が阻害されることになり、極めて接着し難い。一方、親水性を示すポリオルガノシロキサンで構成されたプラズマ重合膜133Hは、それ同士を接触させると、特に容易に接着することができる。つまり、撥水性と親水性の制御を容易に行えるという利点は、接着性の制御を容易に行えるという利点につながるため、ポリオルガノシロキサンで構成されたプラズマ重合膜133Hは、本実施形態では好適に用いられることになる。そして、ポリオルガノシロキサンは比較的柔軟性に富んでいるので、第一光学部材11と第二光学部材12との構成材質がたとえ相違して線膨張係数が異なっても、第一光学部材11と第二光学部材12との間に生じる熱膨張に伴う応力を緩和することができる。さらに、ポリオルガノシロキサンは耐薬品性に優れているため、薬品類等に長期にわたって曝されるような部材の接合に効果的に用いることができる。
ポリオルガノシロキサンの中でも、特に、オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とするものが好ましい。オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とするプラズマ重合膜131は、接着性に優れていることから、本実施形態の接合方法で好適に用いられる。オクタメチルトリシロキサンの重合物は、常温で液状をなし、適度な粘度を有するため、取扱が容易である。
次に、プラズマ重合膜133Hの成形手順を図4に基づいて説明する。
図4(A)〜(C)に示される通り、第一光学部材11に設けられた第一薄膜131や第二光学部材12に設けられた第二薄膜132にプラズマ重合膜133Hを形成する。
この重合膜形成工程では、プラズマ重合装置100のチャンバー101の第1電極111の支持部111Aで第一光学部材11又は第二光学部材12を保持する。そして、チャンバー101の内部に酸素を所定量導入するとともに第1電極111と第2電極112との間に電源回路120から高周波電圧を印加して光学部材自体の活性化を実施する。
その後、ガス供給部140を作動させると、チャンバー101の内部に原料ガスとキャリアガスとの混合ガスが供給される。供給された混合ガスはチャンバー101の内部に充填され、図4(A)に示される通り、第一光学部材11に設けられた第一薄膜131や第二光学部材12に設けられた第二薄膜132に混合ガスが露出される。
混合ガスにおける原料ガスの割合(混合比)は、原料ガスやキャリアガスの種類や目的とする成膜速度等によって若干異なるが、例えば、混合ガス中の原料ガスの割合は20〜70%程度に設定することが好ましく、30〜60%程度に設定することがより好ましい。
第1電極111と第2電極112との間に印加する周波数は、特に限定されないが、1kHz〜100MHz程度であるのが好ましく、10〜60MHz程度がより好ましい。高周波の出力密度は特に限定されないが、0.01〜10W/cm程度であることが好ましく、0.1〜1W/cm程度であるのがより好ましい。
成膜時のチャンバー101の圧力は、133.3×10−5〜1333Pa(1×10−5〜10Torr)程度であるのが好ましく、133.3×10−4〜133.3Pa(1×10−4〜1Torr)程度であるのがより好ましい。
原料ガス流量は、0.5〜200sccm程度が好ましく、1〜100sccm程度がより好ましい。
キャリアガス流量は、5〜750sccm程度が好ましく、10〜500sccm程度がより好ましい。
処理時間は1〜10分程度であることが好ましく、4〜7分程度がより好ましい。
第一光学部材11又は第二光学部材12の温度は、25℃以上が好ましく、25〜100℃がより好ましい。
第1電極111と第2電極112との間に高周波電圧を印加することにより、これらの電極111,112の間に存在するガスの分子が電離し、プラズマが発生する。このプラズマのエネルギーにより原料ガス中の分子が重合し、図4(B)に示される通り、重合物が第一光学部材11の第一薄膜131又は第二光学部材12の第二薄膜132の表面に付着、堆積する。これにより、図4(C)に示される通り、第一光学部材11の第一薄膜131又は第二光学部材12の第二薄膜132にプラズマ重合膜133Hが形成される。
プラズマ重合膜133Hは、その平均厚さが10〜1000nmであり、50〜500nmが好ましい。プラズマ重合膜133Hの平均厚さが10nmを下回ると、十分な接合強度を得ることができず、1000nmを超えると、接合体の寸法精度が著しく低下する。
[表面活性化工程]
その後、図4(D)に示される通り、プラズマ重合膜133Hを活性化して表面を活性化させる。
表面活性化工程は、例えば、プラズマを照射する方法、オゾンガスに接触させる方法、オゾン水で処理する方法、あるいは、アルカリ処理する方法等を用いることができる。
ここで、活性化させる、とは、プラズマ重合膜133Hの表面及び内部の分子結合が切断されて終端化されていない結合手が生じた状態や、その切断された結合手にOH基が結合した状態、又は、これらの状態が混在した状態をいう。
この表面活性化工程では、プラズマ重合膜133Hの表面を効率よく活性化させるためにプラズマを照射する方法が好ましい。プラズマ重合膜133の表面に照射するとしたのは、プラズマ重合膜133Hの分子構造を必要以上に、例えば、プラズマ重合膜133と第一薄膜131又は第二薄膜132との境界に至るまで切断しないので、プラズマ重合膜133Hの特性の低下を避けるためである。
本実施形態で使用されるプラズマとしては、例えば、酸素、アルゴン、チッソ、空気、水等を1種又は2種以上混合して用いることができる。これらの中で、酸素を使用することが好ましい。
このようなプラズマを使用することで、プラズマ重合膜133Hの特性の著しい低下を防止するとともに、広範囲のムラをなくし、より短時間で処理することができる。そして、プラズマはプラズマ重合膜133Hを形成する装置と同設備で発生させることができるから、製造コストが低減できるという利点もある。
プラズマを照射する時間は、プラズマ重合膜133Hの表面付近の分子結合を切断し得る程度の時間であれば特に限定されるものではないが、5sec〜30min程度であるのが好ましく、10〜60secがより好ましい。
このようにして活性化されたプラズマ重合膜133Hの表面には、OH基が導入される。
なお、本実施形態では、プラズマ重合膜形成工程と表面活性化工程との間に第一光学部材11や第二光学部材12を洗浄する工程を設けてもよい。この洗浄工程は、薬品、水、その他の適宜な手段を用いて行われる。
[貼合工程]
貼合工程では、第一薄膜131に形成されたプラズマ重合層133Hと第二薄膜132に形成されたプラズマ重合層133Hとを貼り合わせて一体化して接合層133を形成する。
つまり、図5(A)(B)に示される通り、第一光学部材11と第二光学部材12とをそれぞれプラズマ重合膜133Hを対向させた状態で互いに押し付ける。
表面が活性化されたプラズマ重合膜133Hは、その活性状態が経時的に緩和するので、表面活性化工程の後速やかに貼合工程に移行する。具体的には、表面活性化工程の後、60分以内に貼合工程に移行するのが好ましく、5分以内に移行するのがより好ましい。この時間内であれば、プラズマ重合膜133Hの表面が十分な活性状態を維持しているので、貼り合わせに際して十分な結合強度を得ることができる。
プラズマ重合膜133H同士を貼り合わせることで、これらの膜同士が結合する。この結合は、次の(1)又は(2)、あるいは、(1)及び(2)のメカニズムに基づくものと推測される。
(1)2つの基材同士、本実施形態では、第一光学部材11と第二光学部材12とを貼り合わせると、各プラズマ重合膜133Hの表面にそれぞれ存在するOH基同士が隣接することになる。この隣接したOH基同士は、水素結合によって互いに引き合い、OH基同士の間に引力が発生する。また、この水素結合によって互いに引き合うOH基同士は温度条件によって脱水縮合を伴って表面から離脱する。その結果、2つのプラズマ重合膜133H同士の接触境界では、脱離したOH基が結合していた結合手同士が結合する。つまり、各プラズマ重合膜131Hを構成するそれぞれの母材同士が直接結合して一体化し、1層の接合層133が形成される。
(2)2つの基材同士を貼り合わせると、各プラズマ重合膜133Hの表面や内部に生じた終端化されていない結合手同士が再結合する。この再結合は、互いに重なり合う(絡み合う)ように複雑に生じることから、接合界面にネットワーク状の結合が形成される。これにより、各プラズマ重合膜131Hを構成するそれぞれの母材同士が直接接合して一体化し、一層の接合層133が形成される。
本実施形態では、図5(C)に示される通り、貼合工程の後に、必要に応じて、第一光学部材11と第二光学部材12とを加圧する(加圧工程)。これにより、図5(D)に示される通り、プリズム1が製造される。
この加圧工程では、接合強度を大きくするために、第一光学部材11と第二光学部材12とを大きな力で加圧することが好ましい。具体的には、加圧するための圧力は、第一光学部材11や第二光学部材12の形状寸法や装置等の条件によって異なるものの、1〜10MPa程度であるのが好ましく、1〜5MPaがより好ましい。加圧時間は特に限定されないが、10sec〜30min程度であるのが好ましい。
第一光学部材11と第二光学部材12とを加圧した後に、これらを加熱する(加熱工程)。プリズム1を加熱することで、接合強度を高めることができる。
この加熱工程は必要に応じて設けられるものであり、その加熱温度は、25〜100℃であり、好ましくは、50〜100℃である。100℃を超えると、プリズム1が変質・劣化するおそれがある。加熱時間は1〜30min程度であることが好ましい。
なお、この加熱工程は加圧工程の後で単独に行ってもよいが、加圧工程と同時に行うことが接合強度を強める上で好ましい。
なお、本実施形態では、活性化されていない重合膜は化学的に安定しているため、それぞれプラズマ重合膜133Hが設けられた第一光学部材11と第二光学部材12とを重合膜形成工程で多数製造しておき、これを保管する。そして、最終的に必要な個数のみ表面活性化工程を経て、プラズマ重合膜133Hを活性化し、速やかに、貼合工程に移行することで、プリズム1の製造効率を向上させることができる。
以上の構成の本実施形態では次の作用効果を奏することができる。
(1)第一光学部材11と第二光学部材12との間に複数層の光学薄膜13が設けられ、この光学薄膜13は、第一光学部材11に予め設けられた第一薄膜131と、第二光学部材12に予め設けられた第二薄膜132と、これらの第一薄膜131と第二薄膜132とを分子接合する接合層133とを備えてプリズム1を構成し、この接合層133をプラズマ重合膜133Hとした。そして、このプリズム1を製造するために、第一薄膜131を第一光学部材11に設け、第二薄膜132を第二光学部材12に設ける薄膜形成工程と、第一光学部材11に設けられた第一薄膜131と第二光学部材12に設けられた第二薄膜132とにそれぞれにプラズマ重合膜133Hを形成する重合膜形成工程と、プラズマ重合膜133Hを活性化する表面活性化工程と、第一薄膜131に形成されたプラズマ重合層133Hと第二薄膜132に形成されたプラズマ重合層133Hとを貼り合わせて一体化する貼合工程とを備えた。そのため、光学部材同士の接合のために接着剤を使用しないので、第一光学部材11と第二光学部材12との接合部分に厚さのバラツキがなくなって波面収差がなく、耐光性が向上するプリズム1を提供することができる。しかも、プラズマ重合膜133Hを利用するので、高温での処理が不要となる。
(2)光学薄膜13は低屈折層と高屈折層とが交互に積層される偏光分離膜であり、この偏光分離膜は第1層1301から第25層1325まで構成され、このうちの中間に位置する第13層1313を接合層133に置き換える構成とした。つまり、接合層133を中心として両側に配置される層構成を対称なものにしたから、薄膜形成工程を第一光学部材11と第二光学部材12とで共通させることができ、生産効率が向上する。
(3)第一光学部材11と第二光学部材12とは同じ構成であり、第一薄膜131と第二薄膜132とは同じ層構成であるから、薄膜形成工程において、第一光学部材11に第一薄膜131を形成する工程と、第二光学部材12に第二薄膜132を形成する工程とを同じにすることができ、生産効率が向上する。しかも、第一薄膜131と第二薄膜132とは同じ条件で成膜するから、第一光学部材側と第二光学部材側とで薄膜応力のバランスをとることができる。
(4)プラズマ重合膜133Hの主材料はポリオルガノシロキサンであり、このポリオルガノシロキサンが比較的に柔軟性に富んでいるので、第一光学部材11と第二光学部材12とを接合する際に、両光学部材の熱膨張に伴う応力を緩和することができる。そのため、第一光学部材11と第二光学部材12との剥離を確実に防止することができる。しかも、ポリオルガノシロキサンは、耐薬品性に優れているため、薬品等に長期に曝されるプリズム1に効果的に用いることができる。
次に、本発明の第2実施形態を図6から図10に基づいて説明する。第2実施形態は第1実施形態とはプリズム1の製造方法が異なるものであり、プリズム1自体の構造は第1実施形態と同じである。
第2実施形態のプリズムの製造方法は、第1実施形態と同様に、薄膜形成工程、重合膜形成工程、表面活性化工程及び貼合工程から構成されるが、第1実施形態では、それぞれ三角柱状に予め成形した第一光学部材11と第二光学部材12とに前述の工程を実施したのに対して、第2実施形態では、前述の工程を施した短冊状光学ブロックを最後に所定形状に切断する点で第1実施形態とは異なる。
第2実施形態にかかる光学物品の製造方法を具体的に説明する。
[薄膜形成工程]
第2実施形態では第一光学部材11を成形するための短冊状光学ブロック11A(図7参照)と第二光学部材12を形成するための短冊状光学ブロック12A(図7参照)とを予め用意する。本実施形態では、短冊状光学ブロック11Aと短冊状光学ブロック12Aとはともに同じ所定肉厚の長尺状平板であり、その材質は第一光学部材11や第二光学部材12と同じである。
薄膜成形工程では、短冊状光学ブロック11Aの互いに反対側の面に第一薄膜131と第二薄膜132とをそれぞれ形成するとともに、短冊状光学ブロック12Aの互いに反対側の面に第一薄膜131と第二薄膜132とをそれぞれ形成する。
第一薄膜131と第二薄膜132との形成方法は第1実施形態と同じである。
[重合膜形成工程]
短冊状光学ブロック11Aに設けられた第一薄膜131にプラズマ重合膜133Hを形成し、その後、短冊状光学ブロック11Aに設けられた第二薄膜132にプラズマ重合膜133Hを形成する。同様に、短冊状光学ブロック12Aに設けられた第一薄膜131にプラズマ重合膜133Hを形成し、その後、短冊状光学ブロック12Aに設けられた第二薄膜132にプラズマ重合膜133Hを形成する。
図6は、第2実施形態で使用するプラズマ重合装置の概略図である。
図6で示されるプラズマ重合装置100は、図3で示されるプラズマ重合装置100に比べて第1電極111の支持部111Aの形状が異なる。つまり、第2実施形態では、第一薄膜131や第二薄膜132が形成された短冊状光学ブロック11A,12Aを第1電極111で支持するために、支持部111Aは平板部を有する。
次に、プラズマ重合膜133Hの成形手順を図7に基づいて説明する。
この重合膜形成工程では、チャンバー101の内部に配置された第1電極111の支持部111Aで短冊状光学ブロック11Aを保持し、チャンバー101の内部に酸素を所定量導入するとともに第1電極111と第2電極112との間に電源回路120から高周波電圧を印加して光学部材自体の活性化を実施する。
その後、チャンバー101の内部に原料ガスとキャリアガスとの混合ガスが供給される。供給された混合ガスはチャンバー101の内部に充填され、図7(A)に示される通り、短冊状光学ブロック11Aに設けられた第一薄膜131に混合ガスが露出される。
第1電極111と第2電極112との間に高周波電圧を印加することにより、これらの電極111,112の間に存在するガスの分子が電離し、プラズマが発生する。このプラズマのエネルギーにより原料ガス中の分子が重合し、図7(B)に示される通り、重合物が短冊状光学ブロック11Aの第一薄膜131の表面に付着、堆積する。これにより、図7(C)に示される通り、第一薄膜131プラズマ重合膜133Hが形成される。その後、短冊状光学ブロック11Aの表裏を反転させ、この短冊状光学ブロック11Aの第二薄膜132に前述の同様の方法でプラズマ重合膜133Hを形成する。さらに、短冊状光学ブロック12Aの第一薄膜131と第二薄膜132とにプラズマ重合膜133Hを形成する。
[表面活性化工程]
その後、図7(D)に示される通り、プラズマ重合膜133Hの表面を活性化させる。この活性化方法は第1実施形態と同じである。
[貼合工程]
貼合工程では、第一薄膜131に形成されたプラズマ重合層133Hと第二薄膜132に形成されたプラズマ重合層133Hとを貼り合わせて一体化して接合層133を形成する。
まず、図8(A)で示される通り、基台Bの上に短冊状光学ブロック11Aや短冊状光学ブロック12Aを複数積層する。隣り合う短冊状光学ブロック11Aと短冊状光学ブロック12Aとは第一薄膜131と第二薄膜132にそれぞれ設けられたプラズマ重合膜133Hが当接されるようにする。第2実施形態では、基台Bの平面に対して45°傾斜したプレートPに端部下端がそれぞれ当接するように短冊状光学ブロック11A、12Aを水平方向にずらして配置する。
そして、図8(B)で示される通り、複数が積層された短冊状光学ブロック11Aと短冊状光学ブロック12Aとをプラズマ重合膜133Hを互いに対向させた状態で押し付ける。
[切断工程]
複数枚が積層された短冊状光学ブロック11A,12Aを所定形状に切断する工程を図9及び図10に基づいて説明する。
図9(A)で示される通り、積層された短冊状光学ブロック11A,12Aに光学素子平面に対してプレートPの配置方向と平行、つまり、光学素子の平面に対して45°の方向Lに沿って所定間隔毎に切断する。切断された1つのブロック11Cを図9(B)に示す。図9(B)に示される通り、ブロック11Cは端面が平行四辺形とされる。そして、ブロック11Cには第一薄膜131、第二薄膜132及び接合層133からなる光学薄膜13が所定間隔毎に配置された構造となる。
その後、図10(A)に示される通り、ブロック11Cの端部を揃えて上下に複数積層し、左右両側部分をトリミングする。つまり、最も左側に位置する光学薄膜13の上縁同士をつなげ、かつ、最も右側に位置する光学薄膜13の下縁同士をつなげるようにブロック11Cの平面に対して垂直な方向V1に沿って切断する。切断された状態が図10(B)に示されている。この図10(B)では、複数(図では4個)のプリズム1が並んで一体に形成された状態であるので、これらをブロック11Cの平面に対して垂直な方向V2に沿って切断する。これにより、複数(図では4個)のプリズム1が同時に成形されることになる。
従って、第2実施形態では、第1実施形態の効果(1)〜(4)と同様な効果を奏することができる他、次の効果を奏することができる。
(5)第一光学部材11を成形するための短冊状光学ブロック11Aと第二光学部材12を成形するための短冊状光学ブロック12Aとを予め用意しておき、薄膜形成工程では短冊状光学ブロック11A,12Aに第一薄膜131や第二薄膜132を形成し、重合膜形成工程では、第一薄膜131と第二薄膜132とにそれぞれプラズマ重合膜133Hを形成し、貼合工程では、複数本の短冊状光学ブロック11A,12Aをプラズマ重合層133Hとプラズマ重合層133Hとを重ねた状態で積層し、その後に、プリズム1となるように切断するので、簡易な方法で多量のプリズム1を製造することができる。
次に、本発明の第3実施形態を図11から図13に基づいて説明する。第3実施形態は光学物品としてクロスプリズム2を例示したものである。このクロスプリズム2は、例えば、液晶プロジェクタ装置に用いられている。
図11は第3実施形態にかかるクロスプリズム2の端面を示す図であり、図12は図11の要部を示す断面図である。
図11において、クロスプリズム2は、それぞれ端面が直角三角形状の第一光学部材21及び第二光学部材22と、これらの第一光学部材21と第二光学部材22との斜辺の間に設けられた光学薄膜23Bとを備えたプリズム20が光学薄膜23Rを間に挟んで2個接合された構造である。
第一光学部材21と第二光学部材22とは、ともにBK7等の光学ガラス、白板ガラス、ホウケイ酸ガラス、青板ガラスをはじめとするガラスから成形され、その端面形状及び長さ寸法が同じ三角柱状部材である。
2個のプリズム20は、その底辺同士が光学薄膜23Bを間に挟んで互いに対向配置されており、クロスプリズム2の全体としては端面が正方形の角柱状に形成されている。
換言すれば、クロスプリズム2は、端面が正方形とされ、その対角線を結ぶように光学薄膜23R,23Bが十字に形成されている。互いに対向する一対の対角線を結ぶ光学薄膜23Rは、赤を反射し緑と青とを透過させる波長選択膜であり、他の一対の対角線を結ぶ光学薄膜23Bは青を反射し緑と赤とを透過させる波長選択膜である。
図12に示される通り、光学薄膜23Rは波長選択作用を有する波長選択膜であり、異なる材質の層、例えば、高屈折材料層である酸化タンタル(Ta)の層と、低屈折材料層である酸化ケイ素(SiO)の層とが交互に積層される。これらの層は29層から構成されるものであり、第一光学部材21の底辺側に直接設けられた層を第1層2301とすると、第二光学部材22側に向かうに従って、第2層2302、第3層2303、…第13層2313、第14層2314、第15層2315、第16層2316、第17層2317、…第27層2327、第28層2328、第29層2329となり、この第29層2329が第二光学部材22の底辺部に直接設けられる。これらの層のうち奇数層、例えば、第1層2301、第3層2303、第15層2315、第23層2323、第25層2325が酸化ケイ素(SiO)の層であり、偶数層、例えば、第2層2302、第4層2304、第14層2314、第28層2328が酸化タンタル(Ta)の層である。
本実施形態では、第1層2301から第14層2314が第一光学部材21に予め設けられた第一薄膜231を構成し、第16層2316から第29層2329が第二光学部材22に予め設けられた第二薄膜232を構成し、中間に位置する第15層2315が第一薄膜231と第二薄膜232とを分子接合する接合層233に置き換えられる。この接合層233は、後述するプラズマ重合膜で形成されており、第15層2315と同じ屈折率及び膜厚とされる。
光学薄膜23Bは波長選択作用を有する波長選択膜であり、異なる材質の層、例えば、高屈折材料層である酸化タンタル(Ta)の層と、低屈折材料層である酸化ケイ素(SiO)の層とが交互に積層される。これらの層は25層から構成されるものであり(図示省略)、一方のプリズム20の底辺側に直接設けられた層を第1層とすると、他方のプリズム20の底辺部に直接設けられる層が第25層となる。これらの層のうち奇数層酸化ケイ素(SiO)の層であり、偶数層が酸化タンタル(Ta)の層である。第1層から第12層が一方プリズム20側に予め設けられた第一薄膜231を構成し、第14層から第25層が他方のプリズム側に予め設けられた第二薄膜232を構成し、中間に位置する第13層が第一薄膜231と第二薄膜232とを分子接合する接合層233に置き換えられる。
次に、第3実施形態にかかる光学物品の製造方法について説明する。
[プリズム成形工程]
まず、図13(A)に示される通り、1個のプリズム20を製造する。
そのため、第3実施形態の光学物品の製造方法は、第1実施形態と同様に、薄膜形成工程、重合膜形成工程、表面活性化工程及び貼合工程から構成される。
[薄膜形成工程]
第一光学部材21と第二光学部材22とを従来と同様の方法で三角柱状に形成する。そして、第一光学部材21の斜辺部に第1薄膜231を形成し、第二光学部材22の斜辺部に第2薄膜232を形成する。薄膜の形成方法は従来と同じ蒸着等を用いる。
[重合膜形成工程]
第一光学部材21に設けられた第一薄膜231と第二光学部材22に設けられた第二薄膜232とにそれぞれにプラズマ重合膜233Hを第1実施形態と同様の方法で形成する。2層のプラズマ重合膜233Hから1層の接合層233が構成されるものであり、この接合層233が第15層2315に置き換わることになる。
[表面活性化工程]
その後、第1実施形態と同様に、プラズマ重合膜233Hを活性化して表面を活性化させる。
[貼合工程]
貼合工程では、第一薄膜231に形成されたプラズマ重合層233Hと第二薄膜232に形成されたプラズマ重合層233Hとを貼り合わせて一体化して接合層233を形成する。これにより、1個のプリズム20が成形される。
以上の工程によってプリズム20を複数個まとめて製造しておく。
[クロスプリズム形成工程]
次に、図13(B)に示される通り、2個のプリズム20の底辺部同士を接合して1個のクロスプリズム2を製造する。この工程は前述と同様に、第1実施形態と同様に、薄膜形成工程、重合膜形成工程、表面活性化工程及び貼合工程から構成される。
[薄膜形成工程]
一方のプリズム20の底辺部に第1薄膜231を形成し、他方のプリズム20の底辺部に第2薄膜232を形成する。
[重合膜形成工程]
一方のプリズム20に設けられた第一薄膜231と他方のプリズム20に設けられた第二薄膜232とにそれぞれにプラズマ重合膜233Hを第1実施形態と同様の方法で形成する。
[表面活性化工程]
その後、プラズマ重合膜233Hを活性化して表面を活性化させる。
[貼合工程]
貼合工程では、第一薄膜231に形成されたプラズマ重合層233Hと第二薄膜232に形成されたプラズマ重合層233Hとを貼り合わせて一体化して接合層233を形成する。これにより、1個のクロスプリズム2が成形される。
第3実施形態では、第1実施形態の効果(1)〜(4)と同様な効果を奏することができる他、次の効果を奏することができる。
(6)三角柱状の第一光学部材21の一方の斜辺と第二光学部材22の一方の斜辺との間に光学薄膜23Rを設けてプリズム20を成形するプリズム成形工程と、このプリズム成形工程で成形されたプリズム20を2個用意し、これらのプリズム20の底辺間に光学薄膜23Bを設けてクロスプリズム2を成形するクロスプリズム形成工程とを備えてクロスプリズム2を製造する。そして、プリズム成形工程では、第一光学部材21の一方の斜辺に第一薄膜231を設けるとともに、第二光学部材22の一方の斜辺に第二薄膜232を設けて薄膜形成工程を実施し、第一光学部材21に設けられた第一薄膜231と第二光学部材22に設けられた第二薄膜232とにそれぞれにプラズマ重合膜233Hを形成して重合膜形成工程を実施し、これらのプラズマ重合膜を活性化して表面活性化工程を実施し、プラズマ重合層233H同士を貼り合わせて貼合工程を実施して端面が直角三角形となるプリズム20を成形する。そして、クロスプリズム成形工程では、2個のプリズム20のうち一方のプリズム20の底辺に第一薄膜231を設け、他方のプリズム20の底辺に第二薄膜232を設けて薄膜形成工程を実施し、2個のプリズム20の第一薄膜231と第二薄膜232にそれぞれにプラズマ重合膜233Hを形成して重合膜形成工程を実施し、これらのプラズマ重合膜233Hを活性化して表面活性化工程を実施し、これらのプラズマ重合層233Hとを貼り合わせて貼合工程を実施してクロスプリズム2を成形する。従って、プラズマ重合膜233H同士を接合することで4つの光学部材21,22の間の寸法管理が容易に行えうるので、クロスプリズム2を簡易に製造することができる。
(7)クロスプリズム2はその正方形の対角線同士を結ぶように光学薄膜23R,23Bが形成されているので、薄膜厚みに起因する中心段差ずれを抑制することができる。これに対して、三角柱状の光学部材に予め波長選択膜を形成し、この波長選択膜と光学部材との間を接着剤で接着固定してプリズムを2個製造し、これらのプリズムの一方に波長選択膜を形成し、この波長選択膜と他方のプリズムとを接着剤で接着固定する従来のクロスプリズムでは、接着剤の厚さ分だけよけいに中心段差ずれを大きくすることになる。
次に、本発明の第4実施形態を図14から図20に基づいて説明する。第4実施形態は光学物品としてPS変換素子と称される偏光分離素子3を例示したものである。この偏光分離素子3は、例えば、液晶プロジェクタ装置に用いられている。
図14は第4実施形態にかかる偏光分離素子3の端面を示す図であり、図15は図14の要部を示す断面図である。
図14において、偏光分離素子3は、第一光学部材31と第二光学部材32とが光学薄膜33を間に挟んで交互に配置された平板状部材である。第一光学部材31と第二光学部材32とにはそれぞれ反射膜34が設けられている。第一光学部材31と第二光学部材32との光学薄膜33の光射出面側には選択的に位相差板35が設けられている。反射膜34は隣り合う光学薄膜33の間の中間位置に配置されている。
第一光学部材31及び第二光学部材32は、その光入射側の平面と光出射側の平面とが平行とされ、これらの平面に対して45°の角度をもって反射膜34と光学薄膜33とが互いに平行に配置されている。本実施形態では、偏光分離素子3は左右対称構造とされ、その中心部には位相差板35が並んで配置されている。
第一光学部材31や第二光学部材32は、BK7等の光学ガラス、白板ガラス、ホウケイ酸ガラス、青板ガラスをはじめとするガラスから成形されている。
光学薄膜33は誘電体多層膜で形成された偏光分離膜であり、入射した光線束(S偏光光とP偏光光)を、S偏光の部分光束(S偏光光)とP偏光の部分光束(P偏光光)とに分離し、S偏光光を反射し、P偏光光を透過する機能を有する(図15(A)参照)。
図15(B)に示される通り、光学薄膜33は、異なる材質の層、例えば、酸化ケイ素(SiO)の層、ランタンアルミネートの層及びフッ化マグネシウム(MgF)の層が積層されて構成される。これらの層は45層から構成されるものであり、第一光学部材31側を第1層3301とすると、第二光学部材32側に向かうに従って、第2層3302、第3層3303、…第21層3321、第22層3322、第23層3323、第24層3324、第25層3325、…第43層3343、第44層3344、第45層3345となり、この第45層3345が第二光学部材32に直接設けられる。これらの層のうち第1層3301、第23層3323及び第45層3345が酸化ケイ素(SiO)の層であり、第1層3301、第23層3323及び第45層3345以外の奇数層、例えば、第3層3303,第5層3305、第43層3343がフッ化マグネシウム(MgF2)の層であり、偶数層、例えば、第2層3302、第4層3304、第22層3322、第24層3324、第44層3344がランタンアルミネートの層である。これらの層は第23層3323を中心として、材質並びに膜厚が対称とされる。
本実施形態では、第1層3301から第22層3322が第一光学部材31に予め設けられた第一薄膜331を構成し、第24層3324から第45層3345が第二光学部材32に予め設けられた第二薄膜332を構成し、中間に位置する第23層3323が第一薄膜331と第二薄膜332とを分子接合する接合層333に置き換えられる。この接合層333は、後述するプラズマ重合膜で形成されており、第23層2313と同じ屈折率及び膜厚とされる。
反射膜34は誘電体多層膜又は金属膜で形成され、反射膜34に入射したS偏光光をそのまま反射する機能を有する。反射膜34を構成する多層膜は、例えば、二酸化ケイ素、酸化チタン等の物質を蒸着することで形成される。
位相差板35は、短冊状の1/2波長板であり、その幅寸法は光学薄膜33と反射膜34との間の寸法と対応している。位相差板35はSiOの単結晶からなる水晶から形成され、この水晶は人工水晶でも天然水晶でもよい。
次に、第4実施形態にかかる光学物品の製造方法について説明する。
[反射膜形成工程]
第一光学部材31を成形するための短冊状光学ブロック31Aと第二光学部材32を形成するための短冊状光学ブロック32A(図16参照)とを予め用意する。これらの短冊状光学ブロック31A,32Aの材質は第一光学部材31や第二光学部材32と同じである。
短冊状光学ブロック31A,32Aの厚さ方向における中間位置に反射膜34を予め設けておく。
[薄膜形成工程]
短冊状光学ブロック31A,32Aの互いに反対側の面に第一薄膜331と第二薄膜332とをそれぞれ形成する。第一薄膜331と第二薄膜332との形成方法は第1実施形態と同じで蒸着等である。
[重合膜形成工程]
短冊状光学ブロック31Aに設けられた第一薄膜331にプラズマ重合膜333Hを形成し、その後、短冊状光学ブロック31Aに設けられた第二薄膜332にプラズマ重合膜333Hを形成する。同様に、短冊状光学ブロック32Aに設けられた第一薄膜331にプラズマ重合膜333Hを形成し、その後、短冊状光学ブロック32Aに設けられた第二薄膜332にプラズマ重合膜333Hを形成する。
プラズマ重合膜333Hの成形手順を図16に基づいて説明する。
この重合膜形成工程では、図6で示されるプラズマ重合装置100を用いる。この装置のチャンバー101の内部に短冊状光学ブロック31A,32Aを配置し、チャンバー101の内部に酸素を所定量導入するとともに第1電極111と第2電極112との間に電源回路120から高周波電圧を印加して光学部材自体の活性化を実施する。
その後、チャンバー101の内部に原料ガスとキャリアガスとの混合ガスが供給される。供給された混合ガスはチャンバー101の内部に充填され、図16(A)に示される通り、短冊状光学ブロック31A,32Aに設けられた第一薄膜331に混合ガスが露出される。なお、図16では、短冊状光学ブロック31A,32Aの一方の面にのみ第一薄膜331が形成された状態が図示されている。
第1電極111と第2電極112との間に高周波電圧を印加することにより、プラズマが発生する。このプラズマのエネルギーにより原料ガス中の分子が重合し、図16(B)に示される通り、重合物が短冊状光学ブロック31A,32Aの第一薄膜331の表面に付着、堆積する。これにより、図16(C)に示される通り、第一薄膜331プラズマ重合膜333Hが形成される。その後、短冊状光学ブロック31A,32Aの表裏を反転させ、この短冊状光学ブロック31A,32Aの第二薄膜332に前述の同様の方法でプラズマ重合膜333Hを形成する。
[表面活性化工程]
その後、図17(A)に示される通り、プラズマ重合膜333Hの表面を活性化させる。この活性化方法は第1実施形態と同じである。
[貼合工程]
貼合工程では、短冊状光学ブロック31Aの第一薄膜331に形成されたプラズマ重合層333Hと、短冊状光学ブロック32Aの第二薄膜332に形成されたプラズマ重合層333Hとを貼り合わせて一体化して接合層333を形成する。
まず、短冊状光学ブロック31Aや短冊状光学ブロック32Aを複数積層する。そのため、図17(B)に示される通り、隣り合う短冊状光学ブロック31Aと短冊状光学ブロック32Aとは第一薄膜331と第二薄膜332にそれぞれ設けられたプラズマ重合膜333Hが互いに対向するようにし、さらに、図18(A)に示される通り、複数が積層された短冊状光学ブロック31Aと短冊状光学ブロック32Aとをプラズマ重合膜333Hを互いに対向させた状態に積層し、さらに、図18(B)に示される通り、短冊状光学ブロック31Aと短冊状光学ブロック32Aとを押し付ける。これにより、2枚のプラズマ重合膜333Hから接合層333が形成され、この接合層333、第一薄膜331及び第二薄膜332から偏光分離膜である光学薄膜33が形成される。
[切断工程]
複数枚が積層された短冊状光学ブロック31A,32Aを所定形状に切断する。
図19(A)で示される通り、複数が積層された短冊状光学ブロック31A,32Aを用意する。これらの短冊状光学ブロック31A,32Aは、両端部が揃えられた状態とされる。
その後、図19(B)に示される通り、積層された短冊状光学ブロック31A,32Aに、その平面に対して45°の方向Lに沿って所定間隔毎に切断する。切断された1つのブロック31Cを図20(A)に示す。図20(A)に示される通り、ブロック31Cは端面が平行四辺形とされる。そして、ブロック31Cには光学薄膜33と反射膜34とが所定間隔毎に配置された構造となる。その後、ブロック31Cの所定位置をその平面に対して垂直な方向V1に沿って切断する。
[位相差設置工程]
図20(B)に示される通り、切断されたブロック31Cを左右に並べて接合し、これらのブロック31Cの光学薄膜33の光射出面側に選択的に位相差板35を接着固定する。これにより、偏光分離素子3が成形される。
従って、第4実施形態では、第1実施形態の効果(1)〜(4)と同様な効果を奏することができる他、次の効果を奏することができる。
(8)第一光学部材31と第二光学部材32とを偏光分離膜である光学薄膜33を間に挟んで交互に配置し、隣り合う光学薄膜33の間であって第一光学部材31と第二光学部材32とにそれぞれ反射膜34を設け、第一光学部材31と第二光学部材32との光射出面側に選択的に位相差板35を設けて偏光分離素子3を構成し、光学薄膜33を第一薄膜331、第二薄膜332及びこれらをプラズマ重合膜333Hで分子接合する接合層333から構成した。そのため、第一光学部材31と第二光学部材32との接合を接着剤なしで行うことができるので、耐光性が向上するとともに、偏光分離膜を挟んで配置される第一光学部材31と第二光学部材32との間の厚さにバラツキがなくなって波面収差がなく、偏光分離素子3を高精度にすることができる。
(9)偏光分離素子3を製造するために、短冊状光学ブロック31A,32Aを用意し、これらの短冊状光学ブロック31A,32Aに予め反射膜34を設けておき、かつ、互いに反対側の面に第一薄膜331と第二薄膜332とをそれぞれ形成し、これらの第一薄膜331と第二薄膜332とにそれぞれにプラズマ重合膜333Hを形成し、その後、プラズマ重合層333H同士を貼り合わせて複数の短冊状光学ブロック31A,32Aを積層し、積層された短冊状光学ブロック31A,32Aを光学薄膜33及び反射膜34の配置方向に対して45°の角度をもって切断して第一光学部材31と第二光学部材32を形成し、さらに、第一光学部材31及び第二光学部材32の光射出面側に選択的に位相差板35を設ける方法を採用した。そのため、第1光学部材31や第二光学部材32を所定形状に形成した後に、薄膜形成や重合膜形成を行う場合に比べて、多量の偏光分離素子3を効率的製造することができる。
(11)本実施形態では、光学薄膜33は、45層構成であるが、この層のうち第1層3301から第22層3322までを第一薄膜331として短冊状光学ブロック31Aに形成し、第24層3324から第45層2345を第二薄膜332として短冊状光学ブロック32Aに形成した。従来では、第一光学部材31と第二光学部材32との一方に45層からなる光学薄膜を全て蒸着等により形成していたが、光学薄膜にクラックが生じる恐れがあるので、多くの層に酸化ケイ素(SiO)の層を用いていた。しかし、酸化ケイ素(SiO)の層を多く用いると、偏光分離特性が十分ではなくなる。これに対して、本実施形態では、短冊状光学ブロック31A,32Aにそれぞれ略半分の22層ずつを形成したから、光学薄膜におけるクラックの心配をすることなく、偏光分離特性が酸化ケイ素(SiO)より良好な材質のフッ化マグネシウム(MgF)の層を多く用いることで、偏光分離特性を従来例に比べて向上させることができる。
以下、本実施形態の効果を確認するために、実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1は第1実施形態及び第2実施形態に対応した実施例である。
実施例1は、光ピックアップとして用いられ赤(660nm)と赤外(785nm)とを合成する合成プリズムの例である。光学薄膜13の層構成を表1に示す。表1において、「n」は屈折率であり、「d」は各層の膜厚であり、「係数」は「光学膜厚係数」であり、設計波長との相対比較値である。
実施例1では、第13層を中心として第一光学部材側と第二光学部材側とで対称構造とされる。設計にあたり、入射角は45°であり、設計波長は700nmである。
Figure 2010060770









[比較例1]
比較例は実施例1と同じ合成プリズムであり、光学部材と光学薄膜との間を光硬化型接着剤(商品名UT20)で接着固定したものである。光学薄膜の層構成は実施例1と同じである。
以上の条件で作成した実施例1と比較例とを測定器(商品名FUJINON干渉計)で波面測定を行った。図21は実施例1と比較例1との透過波面収差を上記測定器で測定した結果を示す。図21(A)は実施例1を示し、図21(B)は比較例を示す。
図21(A)で示される通り、実施例1では、干渉縞が少なく、波面収差が極めて小さいことがわかる。これに対して、図21(B)で示される通り、比較例1では、干渉縞を明らかに認識することができるので、波面収差が極めて大きいことがわかる。
また、実施例1における波長と透過率との関係を図22に示す。
前述の通り、実施例1では、接着剤を用いないことから波面収差が小さいので、図22に示される通り、赤(660nm)と赤外(785nm)との合成された波長の領域である722.5nmあたりから高光波側にかけて透過率が急激に上昇して100%となることがわかる。
[実施例2]
実施例2は第3実施形態に対応した実施例である。
実施例2は、青を反射し緑と赤とを透過させる波長選択膜と赤を反射し緑と青とを透過させる波長選択膜とが設けられたクロスプリズムである。
青を反射し緑と赤とを透過させる波長選択膜の層構成を表2に示す。表2において、第13層を中心として第一光学部材側と第二光学部材側とで対称構造とされる。設計にあたり、入射角は45°であり、設計波長は558nmである。
赤を反射し緑と青とを透過させる波長選択膜の層構成を表3に示す。表3において、第15層を中心として第一光学部材側と第二光学部材側とで対称構造とされる。設計にあたり、入射角は45°であり、設計波長は803nmである。
Figure 2010060770








Figure 2010060770








[比較例2]
比較例2は実施例2と同じクロスプリズムであり、光学部材と光学薄膜との間を光硬化型接着剤(商品名UT20)で接着固定したものである。光学薄膜の層構成は実施例2と同じである。
以上の条件で作成した実施例2では、接合層の厚みが約2μmであった。これに対して、比較例2では、接着剤による接着層の厚みは約10μmであった。このように、実施例2は比較例2に比べて接合層(接着層)の厚さ寸法が1/5であるので、比較例2に比べて薄膜厚みに起因する中心段差ずれを大きく抑制することができる。
そして、実施例2において、青を反射し緑と赤とを透過させる波長選択膜(表2に対応)の場合における波長と透過率Tとの関係を図23に示す。赤を反射し緑と青とを透過させる波長選択膜(表3に対応)の場合における波長と透過率Tとの関係を図24に示す。
図23において、P偏光は透過率が青の領域にある430nm前後で最も低く、S偏光は青の領域にある500nmまでの透過率が低いことがわかる。つまり、P偏光S偏光とも青の領域の透過率が低い(反射率が高い)ことがわかるとともに、緑及び赤の領域での透過率が高い(反射率が低い)ことがわかる。
図24において、P偏光は透過率が赤の領域にある650nm前後で最も低く、S偏光は570nmから長波長に向かうに痛がって透過率が0となることがわかる。つまり、P偏光S偏光とも赤の領域の透過率が低い(反射率が高い)ことがわかるとともに、緑及び青の領域での透過率が高い(反射率が低い)ことがわかる。
[実施例3]
実施例3は第4実施形態に対応した偏光分離素子の実施例である。
第4実施形態に対応した偏光分離膜の層構成を表4に示す。表4において、第23層を中心として第一光学部材側と第二光学部材側とで対称構造とされる。設計にあたり、入射角は45°であり、設計波長は760nmである。
[比較例3]
比較例3は実施例3と同じ偏光分離素子であり、光学部材と光学薄膜との間を光硬化型接着剤(商品名UT20)で接着固定した従来例である。比較例3の層構成を表5に示す。表5では、クラック発生防止のために、第11層、第21層、第29層、第37層において酸化ケイ素(SiO)の層としている。従来例の設計にあたり、入射角は45°であり、設計波長は760nmである。
Figure 2010060770









Figure 2010060770









実施例3の分光特性を図25及び図26に示す。図25はP偏光における波長と透過率Tとの関係を示すものであり、図26はS偏光における波長と透過率Tとの関係を示す。これに対して、実施例3に対応した比較例3の分光特性を図27及び図28に示す。
図27はP偏光における波長と透過率Tとの関係を示すものであり、図28はS偏光における波長と透過率Tとの関係を示す。これらの図において、Aは光軸に対して0°の場合のデータであり、Bは光軸に対して−5°の場合のデータであり、Cは光軸に対して+5°の場合のデータである。
図25及び図26から、実施例3では、短波長から長波長の領域においてP偏光とS偏光ともに透過率が高いことがわかる。これに対して、図27及び図28から、比較例3では、P偏光では実施例3と比べて大きな透過率の差が見あたらないが、S偏光では短波長側領域と長波長側領域とで透過率が著しく低下していることがわかる。つまり、比較例3では、クラック防止のために酸化ケイ素(SiO)の層を多く用いているので、偏光分離特性が不十分となる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、第一光学部材11,21,31と第二光学部材12,22,32とをガラスから成形したが、本発明では、ガラス以外での材質、例えば、ポリカーボネートやアクリル系等の透明プラスチック材料から第一光学部材11,21,31と第二光学部材12,22,32とを成形するものでもよい。
さらに、前記各実施形態では第一光学部材11,21,31と第二光学部材12,22,32とに、同じ層の薄膜を形成したが、この薄膜の層の割合は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、第一光学部材11,21,31と第二光学部材12,22,32の一方に光学薄膜13,23B,23R,33を全て蒸着等で設け、この光学薄膜13,23B,23R,33の最外層を接合層とし、この接合層で第一光学部材11,21と第二光学部材12,22の他方に接合する構成としてもよい。この構成では、特に、光学部材と薄膜との線膨張係数が大きく相違しても、両者を接合することができる。
また、本発明では、光学物品を光ピックアップ、液晶プロジェクタ以外の光学装置、例えば、カメラ等に用いることができる。
本発明は、光ピックアップ、液晶プロジェクタ、その他の装置に用いられる光学物品に利用できる。
本発明の第1実施形態の光学物品であるプリズムを示す端面図。 図1の要部拡大断面図。 第1実施形態で使用するプラズマ重合装置の概略図。 第1実施形態におけるプラズマ重合膜の成形手順を説明する概略図。 第1実施形態における貼合工程を説明する概略図。 本発明の第2実施形態で使用するプラズマ重合装置の概略図。 第2実施形態におけるプラズマ重合膜の成形手順を説明する概略図。 第2実施形態における貼合工程を説明する概略図。 第2実施形態における切断工程を説明する概略図。 第2実施形態における切断工程を説明する概略図。 本発明の第3実施形態の光学物品であるクロスプリズムを示す端面図。 図11の要部拡大断面図。 第3実施形態の製造方法を説明するための概略図。 本発明の第4実施形態の光学物品である偏光分離素子を示す端面図。 図14の要部拡大断面図。 第4実施形態におけるプラズマ重合膜の成形手順を説明する概略図。 第4実施形態における貼合工程を説明する概略図。 第4実施形態における貼合工程を説明する概略図。 第4実施形態における切断工程を説明する概略図。 第4実施形態における切断工程を説明する概略図。 実施例1と比較例1との透過波面収差を測定した結果を示す図。 実施例1の結果を示すグラフ。 実施例2の結果を示すグラフ。 実施例2の結果を示すグラフ。 実施例3の結果を示すグラフ。 実施例3の結果を示すグラフ。 実施例3に対応する従来例の結果を示すグラフ。 実施例3に対応する従来例の結果を示すグラフ。
符号の説明
1…プリズム(光学物品)、2…クロスプリズム(光学物品)、3…偏光分離素子(光学物品)、11,21,31…第一光学部材、12,22,32…第二光学部材、13,23B,23R,33…光学薄膜(偏光分離膜)、20…プリズム、34…反射膜、35…位相差板、131,231,331…第一薄膜(被接合部)、132,232,332…第二薄膜(被接合部)、133,233,333…接合層、133H,233H,333H…プラズマ重合膜

Claims (10)

  1. 第一光学部材と、第二光学部材と、これらの第一光学部材と第二光学部材の間に設けられた光学薄膜とを有する光学物品であって、
    前記光学薄膜は、複数層からなり、かつ前記第一光学部材と前記第二光学部材とを接合する接合層を備え、この接合層は前記第一光学部材側の被接合部と前記第二光学部材側の被接合部とを分子接合するプラズマ重合膜であることを特徴とする光学物品。
  2. 請求項1に記載された光学物品において、
    前記光学薄膜は、前記第一光学部材に予め設けられた第一薄膜と、前記第二光学部材に予め設けられた第二薄膜とを備え、前記接合層は、前記前記第一光学部材側の被接合部としての前記第一薄膜と前記第二光学部材側の被接合部としての前記第二薄膜とを分子接合することを特徴とする光学物品。
  3. 請求項2に記載された光学物品において、
    前記光学薄膜は異なる材質の層が交互に積層される光学機能膜であり、この光学機能膜の中間に位置する層を前記接合層に置き換えることを特徴とする光学物品。
  4. 請求項3に記載された光学物品において、
    前記第一光学部材及び前記第二光学部材はそれぞれ三角柱部材であることを特徴とする光学物品。
  5. 請求項3に記載された光学物品において、
    前記第一光学部材と前記第二光学部材とは前記光学機能膜を間に挟んで交互に配置され、隣り合う前記光学機能膜の間であって前記第一光学部材と前記第二光学部材とにはそれぞれ反射膜が設けられ、前記第一光学部材と前記第二光学部材との前記光学機能膜の光射出面側には選択的に位相差板が設けられていることを特徴とする光学物品。
  6. 第一光学部材と、第二光学部材と、これらの第一光学部材と第二光学部材の間に設けられた光学薄膜とを有する光学物品を製造する方法であって、
    前記光学薄膜を第一薄膜、第二薄膜及びこれらの第一薄膜と第二薄膜とを接合する接合層に区分けしておき、前記第一薄膜を前記第一光学部材に設け、前記第二薄膜を前記第二光学部材に設ける薄膜形成工程と、
    前記第一光学部材に設けられた前記第一薄膜と前記第二光学部材に設けられた第二薄膜とにそれぞれにプラズマ重合膜を形成する重合膜形成工程と、
    前記プラズマ重合膜を活性化する表面活性化工程と、
    前記第一薄膜に形成された前記プラズマ重合層と前記第二薄膜に形成された前記プラズマ重合層とを貼り合わせて一体化する貼合工程と、を備えたことを特徴とする光学物品の製造方法。
  7. 請求項6に記載された光学物品の製造方法において、
    前記第一光学部材と前記第二光学部材とは同じ構成であり、前記第一薄膜と前記第二薄膜とは同じ層構成であることを特徴とする光学物品の製造方法。
  8. 請求項7に記載された光学物品の製造方法において、
    前記薄膜形成工程は、前記第一光学部材を成形するための短冊状光学ブロックの互いに反対側の面に前記第一薄膜と前記第二薄膜とをそれぞれ形成するとともに、前記第二光学部材を形成するための短冊状光学ブロックの互いに反対側の面にそれぞれ前記第一薄膜と前記第二薄膜をそれぞれ形成し、
    前記重合膜形成工程は、前記短冊状光学ブロックに形成された前記第一薄膜と前記第二薄膜とにそれぞれにプラズマ重合膜を形成し、
    前記貼合工程は、前記短冊状光学ブロックを第一薄膜に形成された前記プラズマ重合層と前記第二薄膜に形成された前記プラズマ重合層とを貼り合わせるように複数枚を積層し、
    前記貼合工程で複数枚が積層された前記短冊状光学ブロックを切断して前記第一光学部材と前記第二光学部材との形状となるように成形することを特徴とする光学物品の製造方法。
  9. 請求項7に記載された光学物品の製造方法において、
    前記第一光学部材と前記第二光学部材とはそれぞれ端面が直角三角形の柱状部材であり、これらの第一光学部材の一方の斜辺と第二光学部材の一方の斜辺との間に光学薄膜を設けてプリズムを成形するプリズム成形工程と、このプリズム成形工程で成形されたプリズムを2個用意し、これらのプリズムの間に光学薄膜を設けてクロスプリズムを成形するクロスプリズム形成工程とを備え、
    前記プリズム成形工程では、前記第一光学部材の一方の斜辺に前記第一薄膜を設けるとともに、前記第二光学部材の一方の斜辺に前記第二薄膜を設けて薄膜形成工程を実施し、前記第一光学部材に設けられた前記第一薄膜と前記第二光学部材に設けられた第二薄膜とにそれぞれにプラズマ重合膜を形成して前記重合膜形成工程を実施し、これらのプラズマ重合膜を活性化して前記表面活性化工程を実施し、前記第一薄膜に形成された前記プラズマ重合層と前記第二薄膜に形成された前記プラズマ重合層とを貼り合わせて前記貼合工程を実施して端面が直角三角形となる前記プリズムを成形し、
    前記クロスプリズム成形工程では、前記プリズム成形工程で形成された2個の前記プリズムのうち一方のプリズムにおいて、前記第一光学部材の他方の斜辺と前記第二光学部材の他方の斜辺とに連続して前記第一薄膜を設け、かつ、前記プリズム成形工程で形成された2個の前記プリズムのうち他方のプリズムにおいて、前記第一光学部材の他方の斜辺と前記第二光学部材の他方の斜辺とに連続して前記第二薄膜を設けて薄膜形成工程を実施し、前記2個のプリズムのうち一方のプリズムに設けられた前記第一薄膜と他方のプリズムに設けられた第二薄膜とにそれぞれにプラズマ重合膜を形成して前記重合膜形成工程を実施し、これらのプラズマ重合膜を活性化して前記表面活性化工程を実施し、前記第一薄膜に形成された前記プラズマ重合層と前記第二薄膜に形成された前記プラズマ重合層とを貼り合わせて前記貼合工程を実施して端面が正方形となる前記クロスプリズムを成形することを特徴とする光学物品の製造方法。
  10. 請求項7に記載された光学物品の製造方法において、
    前記薄膜形成工程は、予め内部に反射膜が設けられ前記第一光学部材を成形するための短冊状光学ブロックの互いに反対側の面に前記第一薄膜と前記第二薄膜とをそれぞれ形成するとともに、予め内部に反射膜が設けられ前記第二光学部材を形成するための短冊状光学ブロックの互いに反対側の面に前記第一薄膜と前記第二薄膜とをそれぞれ形成し、
    前記重合膜形成工程は、前記短冊状光学ブロックに形成された前記第一薄膜と前記短冊状光学ブロックに形成された第二薄膜とにそれぞれにプラズマ重合膜を形成し、
    前記貼合工程は、前記短冊状光学ブロックを第一薄膜に形成された前記プラズマ重合層と、前記第二薄膜に形成された前記プラズマ重合層とを貼り合わせて複数枚積層するとともに前記第一薄膜、前記第二薄膜及びプラズマ重合膜から偏光分離膜を形成し、
    前記貼合工程で複数枚が積層された前記短冊状光学ブロックを前記偏光分離膜と前記反射膜とに交差するように切断して前記第一光学部材と前記第二光学部材を形成し、さらに、前記第一光学部材及び前記第二光学部材の前記偏光分離膜の光射出面側に選択的に位相差板を設けることを特徴とする光学物品の製造方法。
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