JP2010059792A - 流体噴射装置、流体噴射ユニット、制御装置、流体噴射装置の制御方法および手術装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流体噴射装置1は、圧電素子401の個体差を補正するための補正率βおよび温度特性の補正率αnを脈動発生部100の波形補正メモリ702に記憶し、脈動発生部100には、圧電素子401近傍の温度を検出する温度センサ701が設置されている。また、制御部30には、基本パルス波形を記憶したメモリ32が備えられている。そして、制御部30の制御回路33が駆動波形出力処理を実行することにより、温度センサ701によって検出された温度に応じた補正率αnと、圧電素子401の個体差を補正する補正率βとによって、圧電素子401に印加する電圧パルス波形を補正し、圧電素子401の出力が基準のレベルと一致するよう制御される。
【選択図】図4
Description
特許文献1記載の技術によれば、脈動する流体を高速で噴射することが可能であり、その制御も容易である。また、脈動する流体の噴射は手術等において組織の切開能力が高い一方、流体量が少なくてすむため、術野に流体が滞留することが少ない。従って、視認性が向上し、組織の飛散を防ぐ効果があった。
即ち、流体室の容積を圧電素子により変化させて流体の吐出動作を行う従来の流体噴射装置においては、流体の吐出制御をより高精度に行うことが望まれていた。
本発明の課題は、流体室の容積を圧電素子により変化させて流体の吐出動作を行う際に、流体の吐出制御をより高精度に行うことである。
流体が流入する流体室(例えば、図2の流体室501)と、前記流体室の容積を変更する圧電素子を備えた容積変更手段(例えば、図2の圧電素子401およびダイヤフラム400)と、前記流体室に連通する入口流路および出口流路と、を有する脈動発生部(例えば、図2の脈動発生部100)と、一端が前記出口流路に連通し、他端が流体噴射口に連通する接続流路を有する流路管(例えば、図2の接続流路管200)と、前記入口流路に流体を供給する流体供給手段(例えば、図1の流体容器10およびポンプ20)と、前記圧電素子に駆動信号を印加し、前記容積変更手段による前記流体室の容積の変更を制御する制御手段(例えば、図4の制御部30)と、前記圧電素子の特性に基づいて、前記圧電素子の駆動信号を補正する駆動信号補正手段(例えば、図4の制御部30、温度センサ701および波形補正メモリ702)とを備えることを特徴としている。
このような構成により、圧電素子の特性が想定した特性と異なっている場合であっても、圧電素子の特性に応じて駆動信号を補正し、流体室に目的とする圧力を発生させることができる。
したがって、流体室の容積を圧電素子により変化させて流体の吐出動作を行う際に、流体の吐出制御をより高精度に行うことが可能となる。
前記駆動信号補正手段が、個体差を有する前記圧電素子と基準とする圧電素子との特性の差に応じて、前記圧電素子の駆動信号を補正することを特徴としている。
このような構成により、圧電素子の個体差を補正して、基準とする圧電素子の特性と一致する出力を得ることができ、圧電素子の個体差によるばらつきをなくして、より高精度に流体の吐出制御を行うことができる。
前記駆動信号補正手段が、前記圧電素子が有する温度特性を基に、基準とする温度下における出力に合わせて前記圧電素子の駆動信号を補正することを特徴としている。
このような構成により、圧電素子の圧電特性が温度によって変化した場合であっても、圧電素子の温度特性に従って、基準温度下の圧電特性と一致する出力を得ることができ、温度変化による影響をなくして、より高精度に流体の吐出制御を行うことができる。
前記駆動信号補正手段は、前記圧電素子の温度を検出する温度検出手段(例えば、図4の温度センサ701)と、前記圧電素子の個体差を補正するための補正データ(例えば、図4の波形補正メモリ702が記憶する補正率β)および前記圧電素子の温度特性に基づく補正データ(例えば、図4の波形補正メモリ702が記憶する補正率αn)を記憶する波形補正メモリ(例えば、図4の波形補正メモリ702)と、前記圧電素子へ印加される基準となる駆動信号を記憶している基準駆動信号メモリ(例えば、図4のメモリ32)と、前記圧電素子の温度と、前記圧電素子の個体差を補正するための補正データおよび前記圧電素子の温度特性に基づく補正データと、前記基準となる駆動信号とに基づいて、前記圧電素子の個体差および温度特性に応じて前記基準となる駆動信号を補正した駆動信号を生成する制御回路(例えば、図4の制御回路33)とを備え、前記波形補正メモリは前記脈動発生部に実装され、前記基準駆動信号メモリは前記制御部に実装されていることを特徴としている。
このような構成により、使用後に脈動発生部が使い捨てられるような使用形態であっても、基準となる駆動信号を記憶している基準駆動信号メモリは継続して使用できるため、ランニングコストの増大を抑制することができる。
圧電素子によって流体を噴射する流体噴射ユニット(例えば、図1の脈動発生部100)と、前記流体噴射ユニットに流体を供給する流体供給装置(例えば、図1の流体容器10およびポンプ20)と、前記流体噴射ユニットにおける流体の噴射を制御する制御装置(例えば、図1の制御部30)とを備える流体噴射装置の流体噴射ユニットであって、流体が流入する流体室と、前記流体室の容積を変更する圧電素子を備えた容積変更手段と、前記流体室に連通する入口流路および出口流路と、を有する脈動発生部と、一端が前記出口流路に連通し、他端が流体噴射口に連通する接続流路を有する流路管と、前記圧電素子の温度を検出する温度検出手段と、前記圧電素子の個体差を補正するための補正データおよび前記圧電素子の温度特性に基づく補正データを記憶する波形補正メモリとを備えることを特徴としている。
したがって、脈動発生部が使い捨てられるような使用形態であっても、基準となる駆動信号を記憶しているメモリは継続して使用できるため、ランニングコストの増大を抑制することができる。
また、脈動発生部を付け替えた場合、付け替えられた圧電素子の補正データを記憶している波形補正メモリも同時に付け替えられるため、脈動発生部を付け替えながら使用することが容易となる。
圧電素子によって流体を噴射する流体噴射ユニットと、前記流体噴射ユニットに流体を供給する流体供給装置と、前記流体噴射ユニットにおける流体の噴射を制御する制御装置とを備える流体噴射装置の制御装置であって、前記圧電素子へ印加される基準となる駆動信号を記憶している基準駆動信号メモリと、外部から取得した、前記圧電素子の温度と、前記圧電素子の個体差を補正するための補正データおよび前記圧電素子の温度特性に基づく補正データと、前記基準駆動信号メモリに記憶された前記基準となる駆動信号とに基づいて、前記圧電素子の個体差および温度特性に応じて前記基準となる駆動信号を補正した駆動信号を生成する制御回路とを備えることを特徴としている。
このような構成により、流体噴射ユニットを制御する制御装置に、基準となる駆動信号を記憶する基準駆動信号メモリを備えることができる。
したがって、脈動発生部が使い捨てられるような使用形態であっても、基準となる駆動信号を記憶している基準駆動信号メモリは継続して使用できるため、ランニングコストの増大を抑制することができる。
流体が流入する流体室と、前記流体室の容積を変更する圧電素子を備えた容積変更手段と、前記流体室に連通する入口流路および出口流路と、を有する脈動発生部と、一端が前記出口流路に連通し、他端が流体噴射口に連通する接続流路を有する流路管と、前記入口流路に流体を供給する流体供給手段と、前記圧電素子に駆動信号を印加し、前記容積変更手段による前記流体室の容積の変更を制御する制御手段と、を備える流体噴射装置の制御方法であって、前記圧電素子の特性に基づいて、前記圧電素子の駆動信号を補正する駆動信号補正ステップを含むことを特徴としている。
これにより、圧電素子の特性が想定した特性と異なっている場合であっても、圧電素子の特性に応じて駆動信号を補正し、流体室に目的とする圧力を発生させることができる。
したがって、流体室の容積を圧電素子により変化させて流体の吐出動作を行う際に、流体の吐出制御をより高精度に行うことが可能となる。
流体が流入する流体室と、前記流体室の容積を変更する圧電素子を備えた容積変更手段と、前記流体室に連通する入口流路および出口流路と、を有する脈動発生部と、一端が前記出口流路に連通し、他端が流体噴射口に連通する接続流路を有する流路管と、前記入口流路に流体を供給する流体供給手段と、前記圧電素子に駆動信号を印加し、前記容積変更手段による前記流体室の容積の変更を制御する制御手段と、前記圧電素子の特性に基づいて、前記圧電素子の駆動信号を補正する駆動信号補正手段とを備えることを特徴としている。
これにより、圧電素子の特性が想定した特性と異なっている場合であっても、圧電素子の特性に応じて駆動信号を補正し、流体室に目的とする圧力を発生させることができる。
したがって、流体室の容積を圧電素子により変化させて流体の吐出動作を行う際に、流体の吐出制御をより高精度に行うことが可能となる。
このように、本発明によれば、流体室の容積を圧電素子により変化させて流体の吐出動作を行う際に、流体の吐出制御をより高精度に行うことが可能となる。
以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、以下の説明で参照する図は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明による流体噴射装置は、インク等を用いた描画、細密な物体及び構造物の洗浄、手術用のウォーターパルスメス等様々に採用可能であるが、以下に説明する実施の形態では、生体組織を切開または切除することに好適な流体噴射装置を例示して説明する。従って、実施の形態にて用いる流体は、水、生理食塩水、薬液等である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る流体噴射装置1の概略構成を示す説明図である。図1において、流体噴射装置1は、基本構成として流体を収容する流体容器10と、一定の圧力を発生して脈動発生部100に流体を供給するポンプ20と、流体の噴射を制御する制御部30と、ポンプ20から供給される流体を脈動流動する脈動発生部100と、を備えている。なお、本実施形態において、制御部30とポンプ20とは一体のユニットとして構成され、制御部30と脈動発生部100とは、各種信号を入出力するための信号線によって接続されている。
初めに、流体噴射装置1の流体経路の構成について説明する。
本実施形態において、脈動発生部100は、圧電素子によって発生させた圧力によって流体を噴射する流体噴射ユニットを構成している。なお、流体噴射ユニットは、液体噴射装置1をウォーターパルスメスとして構成した場合、手術等において術者が把持して使用するハンドピースに相当する。
脈動発生部100には、細いパイプ状の接続流路管200が接続され、接続流路管200の先端部には流路が縮小されたノズル211が挿着されている。
ポンプ20の吐出圧力は概ね3気圧(0.3MPa)以下に設定する。また、輸液バッグを用いる場合には、脈動発生部100と輸液バッグの液上面との高度差が圧力となる。輸液バックを用いるときには0.1〜0.15気圧(0.01〜0.15MPa)程度になるように高度差を設定することが望ましい。
また、特に、脳手術のときのように、機器の故障が重大な事故を引き起こす恐れがある場合には、接続チューブ25の切断等において高圧な流体が噴出することは避けなければならず、このことからも低圧にしておくことが要求される。
図2は、本実施形態に係る脈動発生部100の構造を示す図であり、(a)は断面図、(b)は分解図である。なお、図2(a)は、後述する図3におけるA−A’断面図である。
図2において、脈動発生部100には、流体の脈動を発生する脈動発生手段を含み、流体を吐出する流路としての接続流路201を有する接続流路管200が接続されている。
脈動発生部100は、上ケース500と下ケース301とをそれぞれ対向する面において接合され、4本の固定螺子(図示は省略)によって螺着されている。下ケース301は、鍔部を有する筒状部材であって、一方の端部は底板311で密閉されている。この下ケース301の内部空間に圧電素子401および温度センサ701が配設される。
また、ダイアフラム400は、円盤状の金属薄板からなり、下ケース301の凹部303内において周縁部が凹部303の底面に密着固着されている。圧電素子401に駆動信号を入力することで、圧電素子401の伸張、収縮に伴いダイアフラム400を介して流体室501の容積を変更する。
ダイアフラム400の上面には、中心部に開口部を有する円盤状の金属薄板からなる補強板410が積層配設される。
出口流路511は、流体室501から上ケース500の一方の端面から突設された出口流路管510の端部まで貫通されている。出口流路511の流体室501の封止面505との接続部は、流体抵抗を減ずるために滑らかに丸められている。
出口流路管510には接続流路管200が接続されている。接続流路管200には接続流路201が穿設されており、接続流路201の直径は出口流路511の直径より大きい。また、接続流路管200の管部の厚さは、流体の圧力脈動を吸収しない剛性を有する範囲に形成されている。
上ケース500の側面には、ポンプ20から流体を供給する接続チューブ25を挿着する入口流路管502が突設されており、入口流路管502に入口流路側の接続流路504が穿たれている。接続流路504は入口流路503に連通されている。入口流路503は、流体室501の封止面505の周縁部に溝状に形成され、流体室501に連通している。
ここで、上ケース500と下ケース301とを組立てたとき、ダイアフラム400の周縁部と補強板410の周縁部とは、上ケース500の封止面505の周縁部と下ケース301の凹部303の底面によって密接されている。この際、パッキン450は上ケース500と下ケース301によって押し圧されて、流体室501からの流体漏洩を防止している。
図2に示すようにパッキン450を配設すると、流体室501から高圧で漏洩してくる流体の圧力によってパッキン450が圧縮され、パッキンボックス304,506内の壁にさらに強く押し圧するので、流体の漏洩を一層確実に阻止することができる。このことから、駆動時において流体室501内の高い圧力上昇を維持することができる。
続いて、上ケース500に形成される入口流路503について図面を参照してさらに詳しく説明する。
図3において、入口流路503は、上ケース500の封止面505の周縁部溝状に形成されている。
入口流路503は、一方の端部が流体室501に連通し、他方の端部が接続流路504に連通している。入口流路503と接続流路504との接続部には、流体溜り507が形成されている。そして、流体溜り507と入口流路503との接続部は滑らかに丸めることによって流体抵抗を減じている。
そして、中心部に集められた気泡は、出口流路511から排除される。このことから、出口流路511は旋回流の中心近傍、つまり回転形状体の軸中心部に設けられることがより好ましい。従って、本実施形態において、入口流路503は旋回流発生部である。図3では、入口流路503は平面形状が湾曲されている。入口流路503は、直線で流体室501に連通させてもよいが、狭いスペースの中で所望のイナータンスを得るために、入口流路503の流路長を長くする必要性から湾曲させている。
なお、図示は省略するが、補強板410とダイアフラム400とを接合し、一体に積層固着することができる。固着手段としては、接着剤を用いる貼着としても、固層拡散接合、溶接等を採用することが可能であるが、補強板410とダイアフラム400とが、接合面において密着されていることがより好ましい。
続いて、流体噴射装置1の制御系統の機能構成について説明する。
図4は、流体噴射装置1の制御系統を示す機能構成図である。
図4において、流体噴射装置1の制御系統は、主として制御部30と脈動発生部100とに備えられている。
脈動発生部100は、圧電素子401と、圧電素子401近傍の温度を検出する温度センサ701と、圧電素子401の個体差に基づく補正データおよび温度変化に基づく補正データを記憶している波形補正メモリ702とを備えている。なお、補正データとして、駆動電圧の補正量や補正率、あるいは、圧電素子401が有する個体差や温度特性自体を記憶しておくことが可能であるが、本実施形態においては、駆動電圧の補正率を記憶しておくものとする。
波形成形メモリ702は、圧電素子401の製造ばらつきによる個体差を補正し、基準の圧電特性に合わせるための補正率βと、温度特性に従って変化する圧電素子402の圧電特性を補正し、基準温度下(例えば25℃)の圧電特性に合わせるための補正率αn(nは自然数。以下、同様である。)を記憶している。これら個体差を補正する補正率βおよび温度特性を補正する補正率αnは、流体噴射装置1の製造過程において、圧電素子401が脈動発生部100に組み込まれた際に実測して得ることができる。
図5において、波形補正メモリ702の記憶領域には、番号0〜m(mは自然数)までのアドレスが付与されており、アドレス0には、個体差を補正する補正率βが記憶され、アドレス1以降には、所定の温度Tnと、その温度における補正率αnとが記憶されている。
個体差を補正する補正率βは、基準として想定した圧電素子の圧電特性(基準温度下における規定の圧電特性)に対し、圧電素子401の圧電特性が有しているずれ(基準温度下における規定の圧電特性との乖離度合い)に基づいて算出した補正率である。
具体的には、補正率βは、β=(基準の圧電特性)/(個体差を有する圧電素子の圧電特性)として定義される。
また、温度特性を補正する補正率αnについては、ある温度Tnと、それに対応する補正率αnとが1組のデータとして連続するアドレスに記憶されており、波形補正メモリ702のアドレス1以降には、それぞれ異なる温度Tnに対応する複数組の温度Tnおよび補正率αnが、規定された温度範囲にわたって記憶されている。
具体的には、温度特性における補正率αnは、αn=(基準温度下における圧電特性)/(特定の温度下における圧電特性)として定義される。
したがって、例えば、同一の電圧を印加した場合に、圧電素子401の基準温度下(例えば25℃)における圧電特性に対し、5℃高い温度下(例えば30℃)では、10%低く出力されるものである場合、基準温度下における圧電特性に合わせるためには、圧電素子401の出力を100/90≒1.11に補正する必要があり、この補正率1.11が、基準温度+5℃における圧電素子の補正率αnとして記憶される。
ADC31は、脈動発生部100の温度センサ701から出力された温度信号をAD変換し、デジタル信号として制御回路33に出力する。
メモリ32は、基準として想定した圧電素子を用いる場合の電圧パルス波形(以下、「基本パルス波形」と言う。)を記憶している。
図6において、メモリ32の記憶領域には、番号0〜x(xは自然数)までのアドレスが付与されており、基本パルス波形ひとつ分の電圧値がデジタル値として記憶されている。具体的には、メモリ32のアドレス0から順に、基本パルス波形における電圧値Vxが所定時間(サンプリング間隔)毎のデジタル値として記憶されている。
制御回路33は、流体噴射装置1全体を制御する機能を有している。具体的には、制御回路33は、ADC31から入力されたデジタルの温度信号と、波形補正メモリ702に記憶された補正率αn,βと、メモリ32に記憶された基本パルス波形と、不図示のフットスイッチ等から入力される吐出開始信号とを用いて、圧電素子401に印加する電圧パルス波形をデジタル信号として駆動波形増幅回路34に出力する駆動波形出力処理(後述)を実行する。なお、吐出開始信号は、対象部位の切開等を行う際、流体噴射装置1から流体の噴射を開始させるために術者がスイッチを操作して入力する信号である。
駆動波形増幅回路34は、制御回路33から入力された電圧パルス波形のデジタル信号(以下、「DAC制御信号」と言う。)をアナログ信号に変換し、そのアナログ信号を増幅して脈動発生部100の圧電素子401に印加する。
図7は、駆動波形増幅回路34の機能構成を示す概略図である。
図7において、駆動波形増幅回路34は、D/Aコンバータ(以下、「DAC」と言う。)34aと、プッシュプル回路34bとを備えている。
DAC34aには、制御回路33から出力された二次クロック信号と、DAC制御信号とが入力される。
プッシュプル回路34bは、極性の異なる2つのトランジスタ(NPN型およびPNP型)が入出力間において対称に接続されている。
プッシュプル回路34bの動作周波数は、10MHz程度のオーダーであるため、DAC34aから入力された階段状の電圧パルス波形は、プッシュプル回路34bを通過することや配線抵抗と容量性負荷である圧電素子のフィルタ効果により波形が平滑化され、滑らかに変化する信号となる。
図4に戻り、電源回路35は、商用電源を流体噴射装置1の電源規格に変換する変換回路であり、流体噴射装置1の各部に変換後の電力を供給する。なお、電源回路35は、リチウムイオン等の二次電池によって構成することも可能である。
次に、本実施形態における動作について説明する。
(流体噴射装置1の制御動作)
図8は、制御回路33が実行する駆動波形出力処理を示すフローチャートである。
駆動波形出力処理は、流体噴射装置1の電源投入と共に実行が開始され、電源投入中は繰り返し実行される。
図8において、駆動波形出力処理が開始されると、制御回路33は、脈動発生部100の波形補正メモリ702のデータ全体を読み出す(ステップS1)。
次に、制御回路33は、読み出した波形補正メモリ702のデータの中から、個体差の補正率βを取得する(ステップS2)。
一方、吐出開始信号が入力されていると判定した場合、制御回路33は、基本パルス波形の時系列に対応するパラメータiをリセット(i=0)する(ステップS4)。
次に、制御回路33は、脈動発生部100の温度センサ701から出力される温度信号を受信し(ステップS5)、ステップS1において読み出した波形補正メモリ702のデータの中から、温度信号が示す温度に対応する補正率αnを取得して、処理に使用する補正率αに設定する(ステップS6)。
そして、制御回路33は、タイマの値が二次クロック信号の周期tclockの1/2になっているか否かを判定し(ステップS8)、タイマの値が二次クロック信号の周期tclockの1/2になっていないと判定した場合、ステップS8の処理を繰り返して、タイマのカウントアップを待つ。
一方、タイマの値が二次クロック信号の周期tclockの1/2になっていると判定した場合、制御回路33は、二次クロック信号をハイレベルからローレベルに立ち下げる(ステップS9)。
次いで、制御回路33は、二次クロック信号を生成するためのタイマをクリアした後、タイマのカウントを開始する(ステップS11)。
そして、制御回路33は、タイマの値が二次クロック信号の周期tclockの1/2になっているか否かを判定し(ステップS12)、タイマの値が二次クロック信号の周期tclockの1/2になっていないと判定した場合、ステップS12の処理を繰り返して、タイマのカウントアップを待つ。
さらに、制御回路33は、メモリ32に記憶された電圧値Viのうち、時系列における最終の電圧値(以下、「最終電圧値」と言う。)Viを既に読み込んで、DAC制御信号が示すデジタル値を算出したか否かを判定する(ステップS15)。このとき、制御回路33は、パラメータiがメモリ32のアドレスの最大値xを超えているか否かを判定することによって、最終電圧値Viを既に読み込んだか否かを判定することができる。
ステップS16において、吐出開始信号の入力が中止されていないと判定した場合、制御回路33は、ステップS4の処理に移行し、吐出開始信号の入力が中止されたと判定した場合、駆動波形出力処理を繰り返す。
駆動波形出力処理が実行されることにより、圧電素子401の個体差の補正率βおよび温度特性の補正率αnを反映させて、基準温度下における規定の圧電特性と一致させた電圧パルス波形を出力することができる。
図9において、駆動波形出力処理が実行されることにより、吐出開始信号が入力されている場合(ハイレベルの場合)に、二次クロック信号が生成される。また、二次クロック信号の1周期毎に、メモリ32内の時系列に沿う電圧値Vxの順序(即ち、アドレス番号の小さい順序)にDAC制御信号が示すデジタル値が更新される。
このような動作がメモリ32のアドレス0〜xまでの電圧値について一度繰り返されると、DAC制御信号は、1つの電圧パルス波形を示すデジタル値を出力することとなる。
続いて、上記制御動作が行われた場合の流体噴射装置1全体の動作について説明する。
本実施形態の脈動発生部100の流体吐出は、入口流路側のイナータンスL1(合成イナータンスL1と呼ぶことがある)と出口流路側のイナータンスL2(合成イナータンスL2と呼ぶことがある)の差によって行われる。
まず、イナータンスについて説明する。
イナータンスLは、流体の密度をρ、流路の断面積をS、流路の長さをhとしたとき、L=ρ×h/Sで表される。流路の圧力差をΔP、流路を流れる流体の流量をQとした場合に、イナータンスLを用いて流路内の運動方程式を変形することで、ΔP=L×dQ/dtという関係が導き出される。
また、複数の流路の並列接続や、複数の形状が異なる流路の直列接続に関する合成イナータンスは、個々の流路のイナータンスを電気回路におけるインダクタンスの並列接続、または直列接続と同様に合成して算出することができる。
また、出口流路側のイナータンスL2は、接続流路201の直径が出口流路よりもはるかに大きく、接続流路管200の管部(管壁)の厚さが薄いためイナータンスL2への影響は軽微である。従って、出口流路側のイナータンスL2は出口流路511のイナータンスに置き換えてもよい。
そして、本実施形態では、入口流路側のイナータンスL1が出口流路側のイナータンスL2よりも大きくなるように、入口流路503の流路長及び断面積、出口流路511の流路長及び断面積を設定する。
ポンプ20によって入口流路503には、常に一定圧力の液圧で流体が供給されている。その結果、圧電素子401が動作を行わない場合、ポンプ20の吐出力と入口流路側全体の流体抵抗値の差によって流体は流体室501内に流動する。
ここで、フットスイッチ等の操作により、制御部30に吐出開始信号が入力され、駆動波形増幅回路34から圧電素子401に電圧パルス波形が印加されたとする。
そして、このような電圧パルス波形が圧電素子401に入力され、急激に圧電素子401が伸張すると、流体室501内の圧力は、入口流路側及び出口流路側のイナータンスL1,L2が十分な大きさを有していれば急速に上昇して数十気圧に達する。
しかし、入口流路503のイナータンスL1は、出口流路511のイナータンスL2よりも大きいため、入口流路503から流体が流体室501へ流入する流量の減少量よりも、出口流路から吐出される流体の増加量のほうが大きいため、接続流路201にパルス状の流体吐出、つまり、脈動流が発生する。この吐出の際の圧力変動が、接続流路管200内を伝播して、先端のノズル211の流体噴射開口部212から流体が噴射される。
一方、流体室501内は、入口流路503からの流体流入量の減少と出口流路511からの流体流出の増加との相互作用で、圧力上昇直後に真空状態となる。その結果、ポンプ20の圧力と、流体室501内の真空状態の双方によって一定時間経過後、入口流路503の流体は圧電素子401の動作前と同様な速度で流体室501内に向かう流れが復帰する。
入口流路503内の流体の流動が復帰した後、圧電素子401の伸張があれば、ノズル211からの脈動流を継続して噴射することができる。
続いて、流体室501内の気泡の排除動作について説明する。
上述した脈動発生部100の動作において、流体室501が、略回転体形状を有し旋回流発生部としての入口流路503を備えていることと、出口流路511が略回転体形状の回転軸近傍に開設されていることから、流体室501内において旋回流が発生し、流体内に含まれる気泡は速やかに出口流路511から外部に排出される。
従って、前述した第1実施形態によれば、ポンプ20により一定圧力で入口流路503に流体を供給するため、脈動発生部100の駆動を停止した状態においても入口流路503及び流体室501に流体を供給するため、呼び水動作をしなくても初期動作を開始することができる。
また、出口流路511の直径よりも縮小された流体噴射開口部212から流体を噴出するため、液圧を出口流路511内よりも高めることから、高速の流体噴射を可能にする。
また、入口流路503のイナータンスを、出口流路511のイナータンスよりも大きく設定していることから、入口流路503から流体室501への流体の流入量の減少よりも大きい流出量の増加が出口流路511に発生し、接続流路管200内にパルス状の流体吐出を行うことができる。従って、前述した特許文献1のように入口流路503側に逆止弁を設けなくてもよく、脈動発生部100の構造を簡素化できるとともに、内部の洗浄が容易になる他、逆止弁を用いることに起因する耐久性の不安を排除することができるという効果がある。
また、容積変更手段として圧電素子401とダイアフラム400とを採用する構造にすることにより構造の簡素化と、それに伴う小型化を実現できる。また、流体室501の容積変化の最大周波数を1KHz以上の高い周波数にすることができ、高速脈動流の噴射に最適である。
また、流体室501の封止面505の外周縁部に、溝形状の入口流路503を形成しているので、部品数を増やすことなく旋回流発生部としての入口流路503を形成することができる。
また、ダイアフラム400の上面に補強板410を備えていることにより、ダイアフラム400は補強板410の開口部外周を支点として駆動するため、応力集中が発生しにくく、ダイアフラム400の耐久性を向上させることができる。
また、補強板410とダイアフラム400とを積層し、一体に固着すれば、脈動発生部100の組立性を向上させることができる他、ダイアフラム400の外周縁部の補強効果もある。
また、ポンプ20から流体を供給する入口側の接続流路504と入口流路503との接続部に、流体を滞留する流体溜り507を設けているために、接続流路504のイナータンスが入口流路503に与える影響を抑制することができる。
以上のように、本実施形態に係る流体噴射装置1は、圧電素子401の個体差を補正するための補正率βおよび温度特性の補正率αnを脈動発生部100の波形補正メモリ702に記憶し、脈動発生部100には、圧電素子401近傍の温度を検出する温度センサ701が設置されている。また、制御部30には、基本パルス波形を記憶したメモリ32が備えられている。
したがって、流体室において発生される圧力を目的の圧力と一致させることができるため、流体室の容積を圧電素子により変化させて流体の吐出動作を行う場合に、流体の吐出制御をより高精度に行うことが可能となる。
また、本実施形態に係る流体噴射装置1においては、圧電素子401の個体差の補正率βおよび温度特性の補正率αnが脈動発生部100に備えられた波形補正メモリ702に記憶され、基本パルス波形が制御部30のメモリ32に記憶されている。
また、流体噴射装置1に新たな脈動発生部が接続された場合、その脈動発生部に備えられた圧電素子401の個体差を補正する補正率βおよび温度特性の補正率αnを記憶した波形補正メモリからデータが読み出され、目的とする出力となるように、制御部30によって圧電素子401が駆動される。
したがって、液体噴射装置1の脈動発生部を付け替えた場合に、付け替えられた圧電素子の補正データを記憶している波形補正メモリも同時に付け替えられることから、脈動発生部を付け替えながら使用することが容易となる。
Claims (8)
- 流体が流入する流体室と、前記流体室の容積を変更する圧電素子を備えた容積変更手段と、前記流体室に連通する入口流路および出口流路と、を有する脈動発生部と、
一端が前記出口流路に連通し、他端が流体噴射口に連通する接続流路を有する流路管と、
前記入口流路に流体を供給する流体供給手段と、
前記圧電素子に駆動信号を印加し、前記容積変更手段による前記流体室の容積の変更を制御する制御手段と、
前記圧電素子の特性に基づいて、前記圧電素子の駆動信号を補正する駆動信号補正手段と、
を備えることを特徴とする流体噴射装置。 - 前記駆動信号補正手段は、個体差を有する前記圧電素子と基準とする圧電素子との特性の差に応じて、前記圧電素子の駆動信号を補正することを特徴とする請求項1記載の流体噴射装置。
- 前記駆動信号補正手段は、前記圧電素子が有する温度特性を基に、基準とする温度下における出力に合わせて前記圧電素子の駆動信号を補正することを特徴とする請求項1または2記載の流体噴射装置。
- 前記駆動信号補正手段は、
前記圧電素子の温度を検出する温度検出手段と、
前記圧電素子の個体差を補正するための補正データおよび前記圧電素子の温度特性に基づく補正データを記憶する波形補正メモリと、
前記圧電素子へ印加される基準となる駆動信号を記憶している基準駆動信号メモリと、
前記圧電素子の温度と、前記圧電素子の個体差を補正するための補正データおよび前記圧電素子の温度特性に基づく補正データと、前記基準となる駆動信号とに基づいて、前記圧電素子の個体差および温度特性に応じて前記基準となる駆動信号を補正した駆動信号を生成する制御回路とを備え、
前記波形補正メモリは前記脈動発生部に実装され、前記基準駆動信号メモリは前記制御部に実装されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の流体噴射装置。 - 圧電素子によって流体を噴射する流体噴射ユニットと、前記流体噴射ユニットに流体を供給する流体供給装置と、前記流体噴射ユニットにおける流体の噴射を制御する制御装置とを備える流体噴射装置の流体噴射ユニットであって、
流体が流入する流体室と、
前記流体室の容積を変更する圧電素子を備えた容積変更手段と、
前記流体室に連通する入口流路および出口流路と、を有する脈動発生部と、
一端が前記出口流路に連通し、他端が流体噴射口に連通する接続流路を有する流路管と、
前記圧電素子の温度を検出する温度検出手段と、
前記圧電素子の個体差を補正するための補正データおよび前記圧電素子の温度特性に基づく補正データを記憶する波形補正メモリと、
を備えることを特徴とする流体噴射ユニット。 - 圧電素子によって流体を噴射する流体噴射ユニットと、前記流体噴射ユニットに流体を供給する流体供給装置と、前記流体噴射ユニットにおける流体の噴射を制御する制御装置とを備える流体噴射装置の制御装置であって、
前記圧電素子へ印加される基準となる駆動信号を記憶している基準駆動信号メモリと、
外部から取得した、前記圧電素子の温度と、前記圧電素子の個体差を補正するための補正データおよび前記圧電素子の温度特性に基づく補正データと、前記基準駆動信号メモリに記憶された前記基準となる駆動信号とに基づいて、前記圧電素子の個体差および温度特性に応じて前記基準となる駆動信号を補正した駆動信号を生成する制御回路と、
を備えることを特徴とする制御装置。 - 流体が流入する流体室と、前記流体室の容積を変更する圧電素子を備えた容積変更手段と、前記流体室に連通する入口流路および出口流路と、を有する脈動発生部と、
一端が前記出口流路に連通し、他端が流体噴射口に連通する接続流路を有する流路管と、
前記入口流路に流体を供給する流体供給手段と、
前記圧電素子に駆動信号を印加し、前記容積変更手段による前記流体室の容積の変更を制御する制御手段と、
を備える流体噴射装置の制御方法であって、
前記圧電素子の特性に基づいて、前記圧電素子の駆動信号を補正する駆動信号補正ステップを含むことを特徴とする流体噴射装置の制御方法。 - 流体が流入する流体室と、前記流体室の容積を変更する圧電素子を備えた容積変更手段と、前記流体室に連通する入口流路および出口流路と、を有する脈動発生部と、
一端が前記出口流路に連通し、他端が流体噴射口に連通する接続流路を有する流路管と、
前記入口流路に流体を供給する流体供給手段と、
前記圧電素子に駆動信号を印加し、前記容積変更手段による前記流体室の容積の変更を制御する制御手段と、
前記圧電素子の特性に基づいて、前記圧電素子の駆動信号を補正する駆動信号補正手段と、
を備えることを特徴とする手術装置。
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