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JP2009001569A - アポトーシス調節剤 - Google Patents

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JP2009001569A JP2008158745A JP2008158745A JP2009001569A JP 2009001569 A JP2009001569 A JP 2009001569A JP 2008158745 A JP2008158745 A JP 2008158745A JP 2008158745 A JP2008158745 A JP 2008158745A JP 2009001569 A JP2009001569 A JP 2009001569A
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JP2008158745A
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English (en)
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Tetsuo Kimoto
哲夫 木本
Hiroto Chaen
博人 茶圓
Masashi Kurimoto
雅司 栗本
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Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Original Assignee
Hayashibara Biochemical Laboratories Co Ltd
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Abstract

【課題】顕著なアポトーシス調節作用を示しつつも、副作用を惹起し難い、安全なアポトーシス調節剤の提供。
【解決手段】有効成分として下式で表される3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸及び/又はその生理学的に許容される塩を含んでなるアポトーシス調節剤。

【選択図】なし

Description

この発明はアポトーシス調節剤、とりわけ、有効成分として3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸又はその生理学的に許容される塩を含んでなるアポトーシス調節剤に関する。
最近、生物学の分野では細胞の自然死、すなわち、「アポトーシス」が注目を浴びている。自然の摂理により、正常な個体においては、なべて細胞は発生、分化及び成熟という一連の過程を辿った後、自然に死滅し、老いた細胞が若い細胞に順次取り代わられるようにプログラムされている。ところが、悪性腫瘍においては、異常細胞のアポトーシスが負の方向に促され、細胞が定められたプログラムにしたがって分化・成熟することなく、個体が死滅するまで無限に発生を繰返す。一方、後天性免疫不全症候群(AIDS)やアルツハイマー症においては、正常なリンパ球やニューロンのアポトーシスが正の方向に促され、患者は免疫不全や痴呆の状態を呈することとなる。つまり、言うところの「難治性疾患」や「成人病」などの疾患は、なんらかの原因により、正常細胞や異常細胞のアポトーシスが本来の方向とは逆の方向に促されたのが原因であると言える。現在、細胞のアポトーシスを調節し得る物質が希求され、多くの研究者が鋭意検索しているけれども、未だ有効な物質は発見されていない。なお、アポトーシスの特徴は、細胞の死滅に際して、超微形態的には、細胞の萎縮や断片化が起こることであり、また、遺伝子的には、DNAの断片化が観察されることである。これらの特徴点によって、アポトーシスはその他の細胞死とは明確に区別されるものである。
このような情況に鑑み、この発明の目的は、異常細胞のアポトーシスを促進しつつ、正常細胞の正常なアポトーシスには実質的に影響を及ぼさないアポトーシス調節剤を提供することにある。
この課題を解決すべく、本発明者らが種々の天然抽出物、とりわけ、プロポリス抽出物を鋭意検索したところ、桂皮酸誘導体の一種である3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸及びその塩に顕著なアポトーシス調節作用のあることを見出した。なお、プロポリス抽出物は、古くから、抗菌作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用を始めとする種々の生理作用を有すると言われている。最近になって、プロポリス抽出物に近代科学のメスが入るようになり、例えば、松田忍『フーズ・アンド・フード・イングレディエンツ・オブ・ジャパン』、第160号、64乃至73頁(1994年)には、プロポリス抽出物中に含まれる種々の生理活性物質が記載されている。
本発明者らがプロポリス抽出物中の存在とアポトーシス調節作用を確認した3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸は自体公知の化合物であり、例えば、同じ特許出願人は特開平6−256177号公報において本化合物をプロポリス抽出物から単離し得ることを開示した。しかしながら、本発明者らが知るかぎりにおいて、本化合物のアポトーシス調節作用を教示又は示唆する刊行物は存在せず、有効成分として3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸又はその生理学的に許容される塩を含んでなるアポトーシス調節剤はこの発明をもって嚆矢とするものである。
3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸及びその生理学的に許容される塩は、ヒトにおいて、異常細胞のアポトーシスを促進しつつ、正常細胞の正常なアポトーシスには実質的に影響を及ぼさない作用を発揮する。しかも、実験動物を用いる急性毒性試験の結果によると、これらの化合物はいずれも毒性が極めて低い。
以下、この発明の実施の形態について説明するが、この発明のアポトーシス調節剤で用いる3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸及びその塩は、下記の化1に示す構造を有している。化1において、Xは生理学的に許容される陽イオンを表わし、斯かる陽イオンとしては、例えば、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオンなどが挙げられる。
この発明で用いる3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸及びその塩は天然の給源から採取しても化学合成してもよく、所期のアポトーシス調節作用を有するかぎり、出所・由来は問わない。天然の給源としては、プロポリスや、例えば、カワラヨモギなどのキク科植物の葉茎が挙げられ、例えば、特開平6−256177号公報、シー・ツェロら『フィトケミストリー』、第25巻、第12号、2,841乃至2,855頁(1986年)及びアイ・オクノら『ケミカル・ファーマシューティカル・ブレティン』、第36巻、第2号、769乃至775頁(1988年)には、それら給源から3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸を単離する方法が詳述されている。化学合成するには、例えば、特開昭60−163841号公報に開示された方法が有利に適用できる。
天然の給源から単離する方法について概説すれば、まず、原料のプロポリスやキク科植物の葉茎を破砕し、水若しくはメタノール、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸エチルなどの有機溶媒又はそれらの混液により抽出し、得られた抽出物を濃縮し、精製する。抽出物の濃縮・精製には類似の化合物を濃縮・精製するための通常の方法を適用すればよく、斯かる方法としては、例えば、塩析、透析、濾過、濃縮、分別沈澱、結晶化、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどが挙げられ、これらは必要に応じて適宜組合せて適用される。なお、3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸の生理学的に許容される塩を得るには、3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸に、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウムなどの水酸化物を作用させればよい。斯くして得られる塩は3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸に比べて水溶性良好であり、所望の形態への加工や使用の際の取扱いに優れている。
この発明のアポトーシス調節剤は、有効成分として斯かる3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸及び/又はその生理学的に許容される塩を含んでなるものである。これらの化合物は、ヒトにおいて異常細胞のアポトーシスを促進しつつ、正常細胞の異常なアポトーシスを抑制し、しかも、正常細胞の正常なアポトーシスには実質的に影響を及ぼさない。したがって、この発明のアポトーシス調節剤は、ヒトに摂取又は投与すると、細胞の異常なアポトーシスに起因する種々の疾患の治療・予防や健康回復、健康維持に顕著な効果を発揮する。なお、この発明において、アポトーシスの「調節」とは、異常細胞に対しては、そのアポトーシスを促進させ、正常細胞に対しては、その異常なアポトーシスを抑制する作用を言い、異常なアポトーシスを本来の状態に戻したり好ましい方向に促進したりする作用を言う。
この発明のアポトーシス調節剤は3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸又はその塩単独の形態はもとより、液状、ペースト状及び固状の食品、化粧品及び医薬品などの組成物としての形態をも包含する。すなわち、食品の場合には、例えば、水、アルコール、澱粉質、蛋白質、繊維質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、着香料、着色料、甘味料、調味料、安定剤、防腐剤のような食品に通常配合される原料又は素材との組成物として、化粧品の場合には、主剤、基剤、界面活性剤、起泡剤、湿潤剤、増粘剤、透明剤、着香料、着色料、安定剤、防腐剤、殺菌剤などとの組成物として、また、医薬品の場合には、例えば、担体、賦形剤、希釈剤、安定剤、さらには、必要に応じて、他の生理活性物質の1種又は2種以上との組成物としての形態をも包含する。上記のうちのいずれの形態にあっても、この発明のアポトーシス調節剤は、通常、3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸又はその塩を0.01重量%以上含有する。なお、3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸及びその塩には酸化され易い性質があるので、食品、化粧品又は医薬品に通常配合される抗酸化剤との併用が望ましい。個々の抗酸化剤としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、イソケルセチン、エデト酸ナトリウム、エルソルビン酸、塩酸システイン、γ−オリザノール、カテキン、カンゾウ抽出物、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ケルセチン、大豆レシチン、チオグリコール酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、トコトリエノール、トコフェロール、ビタミンE、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、1,3−ブチレングリコール、ベンゾトリアゾール、没食子酸、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸ナトリウム、リンゴ酸、ルチン、酵素処理ルチンなどが挙げられ、これらは、通常、この発明のアポトーシス調節剤における含量が約0.01乃至10重量%、望ましくは、約0.1乃至1重量%になるよう、単独又は適宜組み合わせて用いられる。
この発明のアポトーシス調節剤の使用方法について説明すると、この発明のアポトーシス調節剤は経口的に使用しても非経口的に使用しても、顕著なアポトーシス調節作用を発揮する。使用目的にもよるが、例えば、疾病の予防を目的とする場合には、通常、食品又は化粧品の形態にして経口的又は経皮的に摂取又は投与し、一方、疾病の治療を目的とする場合には、通常、医薬品の形態にして経口的又は注射、外用剤などにより非経口的に投与する。用量としては、通常、有効成分の投与量が成人当り約1μg乃至10mg、望ましくは、約10μg乃至1mgを1乃至4回/日又は1乃至5回/週になるよう経口的に摂取又は投与するか、皮内、皮下、筋肉内若しくは経皮的に非経口投与する。
この発明のアポトーシス調節剤は、細胞の異常なアポトーシスが原因となる種々の疾病の治療・予防に顕著な効果を発揮する。個々の疾患としては、例えば、感染症、免疫疾患及び悪性腫瘍などが挙げられ、この発明のアポトーシス調節剤を摂取又は投与することにより、これら疾患を効果的に治療・予防することができる。また、この発明のアポトーシス調節剤は、病人及び健常人が常用すると、健康回復、健康維持にも顕著な効果を発揮する。
次に、実験例を挙げて、この発明のアポトーシス調節剤の有効性と毒性について説明する。
<実験1>
〈3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸及びその塩の調製〉
<実験1−1>
〈3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸の調製〉
特開平6−256177号公報に記載された方法にしたがって、ブラジル産プロポリスから3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸を調製した。
すなわち、ブラジル産プロポリス塊153.3重量部を破砕し、酢酸エチルを加えて抽出した後、メタノールを加え、生じた沈澱部を遠心分離により除去する一方、エバポレータにより上清部を濃縮し、エタノールを加えた。新たに生じた沈澱部を遠心分離により除去し、残る上清部を上記と同様に濃縮した後、メタノールを加えて抽出液63.9重量部を得た。
この抽出液を固形物換算で35重量部とり、片山化学工業製『シリカゲル60 G650』のカラムに負荷し、濃度勾配下、ヘキサンと酢酸エチルの混液を通液した。そして、ヘキサンと酢酸エチルの濃度比が59:41乃至57:43の範囲で溶出した画分を採取し、これをファルマシア製『セファデックスLH−20』のカラムに負荷し、メタノールをSV0.16で通液し、ゲル容量の1.1倍付近で溶出した画分を採取し、濃縮したところ、結晶が析出した。この結晶をヘキサンで洗浄した後、乾燥したところ、結晶性固状物が0.28重量部得られた。
この結晶性固状物の一部をとり、常法にしたがって元素分析法、質量分析法、紫外線分光法、赤外線分光法及び核磁気共鳴分光法により分析し、分析結果をアイ・オクノら『ケミカル・ファーマシューティカル・ブレティン』、第36巻、第2号、769乃至775頁(1988年)に報告されている3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸の分析結果と比較したところ、いずれも良好な一致を示した。斯くして、上記操作によりプロポリスから得られた結晶状の化合物(以下、「化合物1」と言う。)は3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸と同定された。
<実験1−2>
〈3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸塩の調製〉
実験1−1の方法により調製した化合物1を約10%(w/w)になるようにエタノールに溶解し、等モルの水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム又は水酸化カリウムを加えた後、遠心濃縮機により濃縮・乾燥して固状物を得た。実験1−1の方法により調製した化合物1及び本例において調製したそのナトリウム塩(以下、「化合物2」と言う。)、カルシウム塩(以下、「化合物3」と言う。)、マグネシウム塩(以下、「化合物4」と言う。)及びカリウム塩(以下、「化合物5」と言う。)を適宜濃度の水溶液とし、常法により滅菌濾過した後、次の実験に供した。
<実験2>
〈アポトーシス調節作用〉
<実験2−1>
〈異常細胞及び正常細胞におけるアポトーシス調節作用〉
実験1の方法により調製した化合物1乃至5につき、ヒトの異常細胞としての付着性悪性腫瘍細胞株と正常細胞株を用いる系により、アポトーシス調節作用を超微形態的に確認する実験を行った。
すなわち、10%(v/v)ウシ胎児血清を補足したMEM培地(pH7.0)をシャーレにとり、表1に示した6種類の細胞株のいずれかを細胞密度約1×10個/mlになるように播種し、5% COインキュベータ中、37℃で24時間培養した。培養物をアスピレータで吸引して上清を除去し、細胞を燐酸緩衝食塩水(pH7.2)で洗浄した後、化合物1乃至5のいずれかを0μg/ml、25μg/ml、50μg/ml又は100μg/ml含み、10%(v/v)ウシ胎児血清を補足した新鮮なMEM培地(pH7.0)を加え、上記と同様にしてさらに培養した。
18時間後、培養物をトリプシンで処理して細胞をシャーレから脱着させ、生理食塩水で洗浄し、遠心分離した後、常法にしたがって、まず、2.5%(w/v)グルタルアルデヒド水溶液で処理し、つぎに、1%(w/v)四酸化オスミウム水溶液で処理して固定した後、包埋標本とした。その後、標本を透過型電子顕微鏡下で観察するとともに、写真撮影した。撮影した写真のうち、化合物2を100μg/ml含む培養培地で培養したときの胃癌細胞株HGC及び正常皮膚細胞株SF−TYの写真をそれぞれ図1及び図2に示す。
同時に、電子顕微鏡下でアポトーシスの発生状況を観察し、アポトーシスの発生率が被験細胞の10%以上である場合を「+」、1%以上であって10%未満である場合を「±」、1%未満である場合を「−」と判定した。結果を表1に示す。なお、実験に供した細胞株に対する作用において、化合物1乃至5の間に実質的な違いが認められなかったので、表1においては化合物の種類を区別していない。
表1及び図1の結果は、化合物1乃至5がヒトの異常細胞である腫瘍細胞に作用し、そのアポトーシスを有意に促進することを示している。電子顕微鏡下の観察によっても、化合物1乃至5の存在下で培養した異常細胞においては、例えば図1の超微形態の場合、中央の細胞は、通常よりやや萎縮しており、しかも、その核(黒く見える部分)は断片化して細胞内に分散している。このような細胞の萎縮と核の断片化はアポトーシスに特徴的な現象であり、アポトーシスに特徴的な細胞の萎縮及び断片化が認められ、これは胃癌細胞株HGC、結腸癌細胞株RPMI−4788(FERM BP−2429)、肺癌細胞株HLC、肝細胞癌株PLC/PRF/5の順に顕著であった。一方、表1及び図2の結果にも見られるように、正常細胞の場合には、同様の処理をしても、斯かる所見は認められなかった。これらの事実は、3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸及びその生理学的に許容される塩が、ヒトにおいて、異常細胞のアポトーシスを促進しつつも、正常細胞のアポトーシスに実質的に影響を及ぼさないことを示している。
<実験2−2>
〈異常細胞におけるアポトーシス調節作用〉
実験1の方法により調製した化合物1乃至5につき、ヒトの異常細胞として白血病細胞株U−937(ATCC CRL1593)及びHL−60(ATCC CCL240)を用いる系により、アポトーシス調節作用をDNAレベルで確認する実験を行った。
すなわち、10%(v/v)ウシ胎児血清を補足したRPMI−1640培地(pH7.0)を培養瓶にとり、表2に示した2種類の白血病細胞株のいずれかを細胞密度約4×10個/mlになるように播種し、実験1の方法により調製した化合物1乃至5のいずれかを0μg/ml、25μg/ml、50μg/ml又は100μg/mlになるように加えた後、5% COインキュベータ中、37℃で7時間又は24時間培養した。
遠心分離により培養物から細胞を採取し、燐酸緩衝食塩水で洗浄した後、その一部を実験2−1と同様に処理して包埋標本とし、これを電子顕微鏡下で観察するとともに、写真撮影した。さらに、残りの細胞の一部をとり、インビトロジェン製DNA抽出キット『Easy−DNA Kit』によりDNAを抽出し、これを常法にしたがってDNA分子量マーカー(100塩基対ラダー)とともに1.5%(w/v)アガロースゲルで電気泳動した後、ゲルをUVトランスイルミネーター上に移し、写真撮影した。
その後、撮影したゲル電気泳動像を調べ、アポトーシスに特徴的なDNAの断片化、すなわち、「ラダー」が認められた場合を「+」、認められなかった場合を「−」と表示し、結果を表2に纏めた。なお、実験に供した白血病細胞株に対する作用において、化合物1乃至5の間に実質的な違いが認められなかったので、表2おいては化合物の種類を区別していない。また、U−937細胞を化合物2を100μg/ml含む培養培地で24時間培養したときの超微形態及び同細胞から抽出したDNAのゲル電気泳動像を撮影した写真をそれぞれ図3及び図4に示す。
図3に見られるように、実験2−1で用いた付着性腫瘍細胞の場合と同様、本例の浮遊性腫瘍細胞も、化合物2を作用させると、例えば、中央よりやや右の細胞に見られるように、細胞が通常よりやや萎縮し、その核は断片化しかけている。しかも、図4のゲル電気泳動像に見られるように、細胞から抽出したDNAに顕著なラダーが認められたこと、さらには、表2に見られるように、ラダーの発生が化合物1乃至5の用量と培養時間に依存していることは、細胞の超微形態における萎縮及び断片化が、紛れもなく、アポトーシスに起因することを示している。
<実験3>
〈急性毒性試験〉
体重10乃至20gのddyマウス10匹を1群とし、その腹腔内に実験1−1及び1−2の方法により得た適宜濃度の化合物1乃至5と5%(w/w)アラビアガムを含む生理食塩水を注射投与するか、胃ゾンデにより経口投与し、その後7日間観察して死亡数を調べ、Van der Vaerdenの面積法によりLD50値を求めた。その結果、化合物1乃至5のLD50はいずれの投与経路によっても200mg/kg以上と著しく高かった。これは、3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸及びその塩が、通常、成人において数μg/回程度の用量で有効であることを考え併せれば、この発明のアポトーシス調節剤が極めて安全性の高いことを裏付けていると言える。
以下、実施例により、この発明の実施の形態を具体的に説明する。
〈健康食品〉
林原商事が販売する還元マルトース水飴『マビット』150重量部を減圧下で加熱して水分含量15%(w/w)まで濃縮し、これにゼラチン13重量部を水18重量部に溶解したものと、実験1の方法により得た化合物1乃至5のいずれかを0.05重量部、クエン酸1重量部、L−アスコルビン酸1重量部並びに適量の着色料及び着香料を均一に混合した後、成型し、包装して化合物1乃至5をそれぞれ含んだ5種類のグミキャンデーを得た。
抗酸化剤を含んでいるので、化合物1乃至5のアポトーシス調節作用が低下し難く、テキスチャー、風味ともに良好な本品は、健康食品として有用である。
〈健康食品〉
ガムベース3重量部を柔らかくなるまで加熱溶融し、これに蔗糖4重量部及びマルトース粉末3重量部を加え、実験1の方法により得た化合物1乃至5のいずれかを0.001重量部、ビタミンEを0.1重量部と適量の着色料を混合した後、常法により練り合わせ、成形し、包装して化合物1乃至5をそれぞれ含んだ5種類のチューインガムを得た。
抗酸化剤を含んでいるので、化合物1乃至5のアポトーシス調節作用が低下し難く、テキスチャー、風味ともに良好な本品は、健康食品として有用である。
〈健康飲料〉
脱脂乳10重量部を80℃で20分間加熱殺菌した後、40℃に冷却し、これにスタータ0.3重量部を加え、約37℃で10時間発酵させた。発酵物をホモゲナイズした後、イソマルトオリゴ糖シロップ5重量部、蔗糖1重量部及び異性化糖シロップ2重量部をそれぞれ加え、70℃に加熱して殺菌した。冷却後、実験1の方法により得た化合物1乃至5のいずれかとリンゴ酸をそれぞれ0.01重量部加え、ビン詰めして化合物1乃至5をそれぞれ含んだ5種類の乳酸飲料を得た。
抗酸化剤を含んでいるので、化合物1乃至5のアポトーシス調節作用が低下し難く、風味、呈味ともに良好な本品は、健康飲料として有用である。
〈化粧品〉
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル0.5重量部、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール1重量部、親油型モノステアリン酸グリセリン1重量部、ピルビン酸0.5重量部、ベヘニルアルコール0.5重量部、アボガド油1重量部、実験1の方法により得た化合物1乃至5のいずれかを0.05重量部、ビタミンE及び防腐剤の適量を混合し、常法にしたがって加熱溶解し、L−乳酸ナトリウム1重量部、1,3−ブチレングリコール5重量部、カルボキシポリマー0.1重量部及び精製水85.3重量部を加え、ホモゲナイザーにより乳化した後、適量の着香料を均一に混合して化合物1乃至5をそれぞれ含んだ5種類の乳液を得た。
抗酸化剤を含んでいるので、化合物1乃至5のアポトーシス調節作用が低下し難く、顕著な日焼止め作用と美肌作用を有する本品は、化粧品として有用である。
〈錠剤〉
L−アスコルビン酸10重量部に実験1の方法により得た化合物1乃至5のいずれかを0.5重量部、結晶性α−マルトース粉末19重量部及び東洋精糖製α−グリコシル・ルチン『αGルチン』1重量部を均一に混合した後、常法により打錠して化合物1乃至5をそれぞれ含んだ5種類の錠剤を得た。
抗酸化剤を含んでいるので、化合物1乃至5のアポトーシス調節作用が低下し難く、摂取し易く、安定な本品は、アポトーシス異常に起因する各種疾患の治療・予防や健康回復、健康維持に有用である。
〈液剤〉
塩化ナトリウム6重量部、塩化カリウム0.3重量部、塩化カルシウム0.2重量部、乳酸ナトリウム3.1重量部、マルトース45重量部、実験1の方法により得た化合物1乃至5のいずれかとL−アスコルビン酸のそれぞれ0.5重量部を2%(v/v)エタノール水溶液1,000重量部に溶解し、常法にしたがって精密濾過した後、滅菌したプラスチック容器に25mlずつ充填し、化合物1乃至5をそれぞれ含んだ5種類の液剤を得た。
抗酸化剤を含んでいるので、化合物1乃至5のアポトーシス調節作用が低下し難く、カロリー補給、ミネラル補給作用も有する本品は、アポトーシス異常に起因する各種疾患の治療促進、健康回復のための注射剤として有用である。
以上説明したごとく、この発明は3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸及びその生理学的に許容される塩が、ヒトにおいて、顕著なアポトーシス調節作用を発揮するという独自の知見に基づくものである。これらの化合物はもともと自然界から単離された物質であり、人工的に創成されたものと比べて安全性が高い。したがって、有効成分としてこれらの化合物を含んでなるこの発明のアポトーシス調節剤は食品、化粧品、医薬品などの形態にして、細胞の異常なアポトーシスが関与するヒトの疾患の治療・予防や健康回復、健康維持に安全に常用できる実益がある。また、抗酸化剤を含有せしめたこの発明のアポトーシス調節剤は、有効成分のアポトーシス調節作用が低下し難く、長期に亙って有効に用い得る特徴がある。
3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸塩の存在下で培養したヒトの胃癌細胞を電子顕微鏡下で撮影した写真である(倍率7,000倍)。 3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸塩の存在下で培養したヒトの正常な皮膚細胞を電子顕微鏡下で撮影した写真である(倍率5,000倍)。 3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸塩の存在下で培養したヒトの白血病を細胞電子顕微鏡下で撮影した写真である(倍率10,000倍)。 3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸塩の存在下で培養したヒトの白血病細胞からDNAを抽出し、これをアガロースゲル電気泳動して得られるゲル電気泳動像を撮影した写真である。

Claims (1)

  1. 3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(3−メチル−2−ブテニル)フェニル]−2−プロペン酸の生理学的に許容されるナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩又はカリウム塩を0.01重量%以上含み、抗酸化剤を0.01乃至10重量%含んでなる、異常細胞のアポトースシを促進しつつ、正常細胞の正常なアポトーシスには実質的に影響を及ぼさないアポトーシス促進剤。
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