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JP2009000592A - 反応器および反応システム - Google Patents

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Tsutomu Kawamura
勉 河村
Tomofumi Shiraishi
朋史 白石
Takeyuki Kondo
健之 近藤
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Hitachi Ltd
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Abstract

【課題】 複数の反応液の合流部における副生成物の生成を抑制し、反応収率を高め、生産量の大きい反応器を提供する。
【解決手段】 反応器は、異なる2種類の流体5,6を流入させる合流部1と、これら2種類の流体を混合させる混合流路3と、合流部1と混合流路3とを連結する縮流部2と、混合した流体7を反応させる反応流路4とからなる。合流部1の水力等価直径は、混合流路3に比べて大きく、合流部1では、レイノルズ数は2,300未満で、層流となり、混合流路3では、レイノルズ数は2,300以上で、乱流となり、反応流路4の水力等価直径は、混合流路3の水力等価直径より大きい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、化学合成や化学分析などの分野における反応器および反応システムに係り、特に、液体または気体を混合して反応させる流体混合器および反応器の構造に関する。
近年、化学合成や化学分析の分野において、反応時間短縮および副反応抑制のために、マイクロ加工(MEMS:Micro Electro Mechanical System)技術により製作され、断面寸法が数十〜数百μmの流路を持つ流体混合器が使用され始めている。
このような流体混合器は、マイクロミキサまたはマイクロリアクタと呼ばれている。マイクロミキサでは、流路の水力等価直径が小さいので、流体の慣性力と粘性力との比を表す無次元数、すなわち、レイノルズ数が小さく、流れは層流となる。したがって、複数の異種の液体を混合する場合、分子拡散により混合が進む(例えば、非特許文献1参照)。
次に、代表的な反応である逐次反応を例にとり、マイクロ流路内での反応について検討する。この反応では、物質AとBとが反応して主生成物Rが生成され、
A+B→R ……(1)
R+B→S ……(2)
さらに、主生成物Rと物質Bとが反応して副生成物Sが生じる。
マイクロリアクタでは、お互いに交じり合う2種類の流体を複数に分割して、それぞれの流体を交互にマイクロ流路に流入させ、混合を促進させている。一般に、流れは、層流であるから、2流体は、層状となって流れている。
ここで、2流体のそれぞれの中心線の間隔を拡散距離Wと定義し、分子の拡散係数をDとすると、2流体の混合に必要な時間tmは、
tm=W/D ……(3)
で表される。拡散距離Wを小さくするほど、拡散時間が短縮されるので、流体の混合が促進される。
式(1)の主反応,式(2)の副反応の反応速度定数をk[L/(mol s)],k[L/(mol s)]とし、物質AおよびBの濃度を等濃度として反応させる場合の初期濃度をCとすると、生成物Rの反応時間trは、
tr=1/(k・C) ……(4)
で与えられる。
非特許文献1によると、マイクロ流路内での式1および式2に示す逐次反応では、式5に示すように、式3の拡散時間と式4の反応時間との比である混合反応数φが減少するほど、混合時間と比較して反応時間が長い反応律速の状態に近づき、
φ=tm /tr=k1・C0・W2/D ……(5)
原料Aに対する目的物質Rの生成量である反応収率は、増大する。
したがって、混合反応数φを小さくして反応収率を高めるには、通常、マイクロリアクタでは、流路幅を小さくしたり、2種類の流体の分割数を増加させたりする。
一般に、マイクロリアクタは、流路幅が1mm未満であるから、式6で示す水力等価直径dhが小さく、流速Vが低いので、
dh=4×流路断面積/流路断面の周囲の長さ ……(6)
式7に示すレイノルズ数Reは、2,300未満であり、
Re=V・dh/ν ……(7)
流れは、層流状態である。ここで、νは、流体の動粘性係数を示す。
Re>2,300となる乱流条件では、流れの乱れによる拡散係数(乱流拡散係数)Dtは、分子拡散係数Dmの数千倍以上に増大する。したがって、mmオーダの流路幅においても乱流条件にすると、混合反応数φは小さくなり、反応収率が高まることを示している。
図9は、従来のY字型反応器の一例の構造を示す水平断面図であり、図10は、従来の多層流型反応器の一例の構造を示す水平断面図である。
図9のY字型リアクタでは、式5において、拡散距離Wに相当する流路幅をマイクロ化すると、収率を高めることができ、図10の多層流型リアクタでは、式5において、拡散距離Wに相当する2液の間隔をマイクロ化すると、収率を高めることができる。
河村ら:化学工学会第37回秋季大会,I205,(2005)(第1頁 図2)
マイクロリアクタを用いて物質を大量生産する場合、リアクタを多数並列化するナンバリングアップと呼ばれる方法が考えられている。
しかし、図9,10の従来技術では、反応収率を高めるには、拡散距離Wを数十μmにする必要があるので、流路幅は、通常1mm以下となる。その場合、圧力損失の制限から流路内の流体の流速が小さくなるから、リアクタ1台当たりの物質生産量は、少量となり、ナンバリングアップ数は、数百台以上になると想定される。ナンバリングアップ数の増大に伴い部品点数が増加し、システムの信頼性や堅牢性が課題となる。このような背景から、ナンバリングアップ数を数十台に低減する要求があり、流路内の流れを高速にして乱流状態で流し、混合性を高め、かつ、1台当たりの生産量を増大させる方法が考えられている。
乱流状態にすると、流れの乱れによる拡散係数(乱流拡散係数)Dtは、層流状態における分子拡散係数Dmの数千倍以上に増大するので、1mm以上の流路幅でも、式5の混合反応数φを低下させることが可能となり、反応収率を高めることができる。図9に示すY字型流路の場合、乱流状態にして反応収率を高めながら流量を増大させることは可能である。Y字型流路よりも流路を大きくして圧力損失を低下させて流量を増大し、かつ、図10に示すように、流れを多層流にすると、流路が大きくても拡散距離である2液の間隔を小さくして、生産量を更に増大できる。
しかし、図10に示す多層流型リアクタの場合、2液が流路幅の大きい合流部に乱流状態で流入すると、乱流により2液が混合して反応し始め、反応収率が低下するおそれがある。
また、反応時間の長い物質を生産する場合、高速の乱流状態で流体を流すと、配管長が長くなり、圧力損失が増大する。
さらに、発熱反応の場合、高速で流体を流すと十分な温度制御ができない可能性が生じる。
本発明の課題は、複数の反応液の合流部における副生成物の生成を抑制し、反応収率を高め、生産量の大きい反応器を提供することである。
拡散距離Wの大きい合流部での反応を抑制し、拡散距離Wの小さい混合流路で混合させた後、反応流路で反応を開始して収率を高めることができる反応器を提供することである。
本発明の課題は、また、高速の乱流状態で流体を流しても圧力損失が増大しない反応器を提供することである。
本発明の課題は、さらに、高速で流体を流しても十分な温度制御が可能な反応システムを提供することである。
本発明は、上記課題を解決するために、複数の異種の流体を合流させる合流部と、合流した複数の流体を混合させる混合流路と、合流部と混合流路とを連結する縮流部とを有し、複数の異種の流体を反応させる反応器において、複数の流体が合流する合流部が、層流流路であり、複数の流体が混合する混合流路が、乱流流路である反応器を提案する。
本発明においては、拡散距離の大きい合流部での反応を抑制し、拡散距離の小さい混合流路で混合させるために、混合流路の少なくとも一部の内壁面に突起物を形成し、または、混合流路の少なくとも一部の内壁面に凹凸表面を形成する。
このような混合流路で反応が完結する場合は、本発明の基本的効果が十分なので、後続の反応流路に特別の工夫は必ずしも必要ではない。
混合した複数の異種の流体を反応させる反応流路を有する場合は、反応流路の水力等価直径を、前記混合流路の水力等価直径に比べて大きくする。反応流路は、複数に分岐させてもよい。
前記反応器に熱交換器または熱源を接触させて設置し、反応システムを構成する。反応流路の断面形状が扁平であれば、扁平な反応流路の断面形状の長い面に対向するように前記反応器に熱交換器または熱源を接触させて設置し、熱交換効率を良くする。
本発明によれば、拡散距離の大きい合流部において反応を防止し、拡散距離の小さい混合流路で混合した後に、反応流路で反応を開始させて副反応を抑制し、圧力損失を低減して高流量化するので、高い反応収率で生産量の大きい反応器を提供できる。
本発明では、複数の異種の流体の各々を複数に分流させた後に合流させる合流部と、複数の流体を混合させる混合流路と、合流部と混合流路を連結する縮流部と、混合流路下流の反応流路とを有し、複数の異種の流体を反応させる反応器において、複数の流体が合流する合流部のレイノルズ数が2,300未満で、層流であり、かつ、複数の流体が混合する縮流部下流の混合流路内のレイノルズ数が2,300以上で、乱流であり、さらに、混合流路の流路壁面に複数の突起物または凹凸表面を形成した構造を提案する。
このような構造にすると、合流部での副反応が防止され、混合部での混合性能が高まるので、反応収率が高く、生産量の多い製品を生産する反応器を提供できる。
混合部下流の反応流路は、水力等価直径が混合流路の水力等価直径に比べて大きい、または、複数に分岐している構造を提案する。
このような構造にすると、反応部での圧力損失が低減され、高流量化し、生産量を増大できる。
次に、図1〜図8を参照して、本発明による反応器および反応システムの実施例を説明する。
図1は、本発明による反応器の実施例1の構造を示す水平断面図である。
本実施例1の反応器16の流路は、異なる2種類の流体5,6を流入させる合流部1と、これら2種類の流体5,6を混合させる混合流路3と、合流部1と混合流路3とを連結する縮流部2と、混合した2流体7を反応させる反応流路4とからなる。
合流部1の水力等価直径dhは、混合流路3の水力等価直径dhよりも大きいので、合流部1の流速は、混合流路3の流速に比べて低くなる。
本発明においては、与えられた反応器1台当たりの流量に対して、合流部1では、レイノルズ数Reが2,300未満で、層流条件となり、混合流路3では、レイノルズ数Reが2,300以上で、乱流条件となるように、それぞれの水力等価直径dhが決められている。
縮流部2では、混合部近傍で流速が増加して、レイノルズ数Reが2,300以上になる領域が発生する。しかし、一般に、縮流構造には整流効果があるので、乱流への遷移は起こりにくい。
以上のような流路構成により、合流部1では、層流状態にあり、2流体の混合が抑制されるので、拡散距離が大きい場合に生じる副生成物が抑制され、混合流路3では、乱流になり、高速混合される。
混合流体7は、混合流路3および反応流路4で反応を開始する。完全に混合した後、拡散距離の大小は無関係になり、反応に必要な滞留時間を確保できればよい。
そこで、本発明では、反応流路4の圧力損失を低減するために、混合流路3の水力等価直径dhよりも反応流路4の水力等価直径dhを大きくしている。反応流路4での流れは、層流または乱流のどちらでもよい。
本実施例1によれば、反応収率が高く、圧力損失が小さく、高収率で生産性の高い反応器を提供できる。
図2は、本発明による反応器の実施例2の構造を示す水平断面図である。
本実施例2は、反応流路4の構成以外は、図1の実施例1と同じである。
本実施例2では、混合流路3下流の反応流路4は、複数の流路に分岐され、かつ、複数の反応流路4の全流路断面積は、混合流路3の流路断面積よりも大きいので、反応流路4の流速は、混合流路3の流速よりも低くなる。
その結果、圧力損失を低減できる。また、対象反応が発熱反応のように温度制御を必要とする場合、反応流路4を複数にして全伝熱面積を増大させてあるので、効率的に熱交換できる。
本実施例2によれば、高速混合および精密温度制御により、反応収率を高め、かつ、生産量の大きい反応器を提供できる。
図3は、本発明による反応器の実施例3の構造を示す水平断面図である。
一般に、縮流部2の上流で層流状態の流れ11が縮流後に乱流に遷移する場合は、図4に示すように、乱流境界層9が、縮流後の混合流路3の入口8から発達し、混合流路3内は、水力等価直径dhの10倍の助走長さLdで、完全に乱流となる。すなわち、混合流路入口8から10dhの助走長さLdの領域においては、混合性が低下している。その結果、混合性が低下し、副生成物の増加および混合流路長の増大により、圧力損失が増加する可能性がある。
これに対して、本実施例3では、円形の混合流路3の入口近傍の壁面に周方向に突起物14を設置し、突起物14で生成する乱流渦10により、助走長さLdを短縮している。
混合流路3の混合流路形状および突起部形状は、図3の例に限らない。図5は、実施例3における混合流路形状および突起部形状の例を示す図3のA−A断面図である。混合流路3の断面は、円形でも矩形でもよく、突起物14は、混合流路断面の周方向および流れ方向に1ヵ所または複数箇所設置してもよい。
本実施例3によれば、高速混合および圧力損失低減が可能となり、高収率,高生産量の反応器を提供できる。
図6は、本発明による反応器の実施例4の構造を示す水平断面図である。
本実施例4では、混合流路3全体の内壁面に凹凸表面15を形成してある。
本実施例4によれば、凹凸表面15を形成してあるので、平滑な壁面と比較して、助走長さLdを短縮でき、高速混合および圧力損失低減が可能となり、高収率,高生産量の反応器を実現できる。
図7は、本発明による反応器の実施例5の構造を示す縦断面図である。
本実施例5は、反応器16の上下両面に熱交換器または熱源17を設置して、反応システムを構築してある。これらの熱交換器または熱源17は、加熱または冷却による温度制御が可能である。反応器16内の反応流路4の断面形状は、細長い長方形であり、流路の長辺は、流路中心と熱交換器または熱源17とを最短距離で結ぶ直線に対して直角に設置されている。
本実施例5によれば、反応流路4内の伝熱面積が増加するので、熱交換効率が改善され、精密温度制御により反応収率を高めることが可能となる。
図8は、本発明による反応器の実施例6の構造を示す縦断面図である。
本実施例6は、反応器16の上下両面に熱交換器または熱源17を設置して、反応システムを構築してある。これらの熱交換器または熱源17は、加熱または冷却による温度制御が可能である。反応器16内の反応流路4は、複数に分岐されている。
本実施例6によれば、反応流路4内の伝熱面積が更に増加するので、熱交換効率が改善され、精密温度制御により反応収率を更に高めることが可能となる。
このように、本発明の反応器および反応システムによれば、医薬品や化学工業製品などの合成プロセスにおける複数の流体の反応において、反応収率を高め、生産量を増大させることができる。
本発明による反応器の実施例1の構造を示す水平断面図である。 本発明による反応器の実施例2の構造を示す水平断面図である。 本発明による反応器の実施例3における混合流路の構造を示す水平断面図である。 従来の反応器における混合流路の構造を示す水平断面図である。 実施例3における混合流路形状および突起部形状の例を示す図3のA−A断面図である。 本発明による反応器の実施例4の構造を示す水平断面図である。 本発明による反応器の実施例5の構造を示す図1のB−B断面図である。 本発明による反応器の実施例6の構造を示す図2のC−C断面図である。 従来のY字型反応器の一例の構造を示す水平断面図である。 従来の多層流型反応器の一例の構造を示す水平断面図である。
符号の説明
1 合流部
2 縮流部
3 混合流路
4 反応流路
5 流体A
6 流体B
7 混合流
8 混合流路入口
9 乱流境界層
10 乱流渦
11 層流の流れ
12 乱流の流れ
13 助走長さ
14 突起
15 凹凸表面
16 反応器
17 熱交換器または熱源

Claims (13)

  1. 複数の異種の流体を合流させる合流部と、合流した複数の流体を混合させる混合流路と、前記合流部と前記混合流路とを連結する縮流部とを有し、複数の異種の流体を反応させる反応器において、
    複数の流体が合流する前記合流部が、層流流路であり、
    複数の流体が混合する前記混合流路が、乱流流路であることを特徴とする反応器。
  2. 請求項1に記載の反応器において、
    前記混合流路の少なくとも一部の内壁面に突起物を形成したことを特徴とする反応器。
  3. 請求項1に記載の反応器において、
    前記混合流路の少なくとも一部の内壁面に凹凸表面を形成したことを特徴とする反応器。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の反応器において、
    前記混合流路の幅が、1mm以上10mm未満であることを特徴とする反応器。
  5. 複数の異種の流体を合流させる合流部と、合流した複数の流体を混合させる混合流路と、前記合流部と前記混合流路とを連結する縮流部と、混合した複数の異種の流体を反応させる反応流路とを有し、複数の異種の流体を反応させる反応器において、
    複数の流体が合流する前記合流部が、層流流路であり、
    複数の流体が混合する前記混合流路が、乱流流路であることを特徴とする反応器。
  6. 請求項5に記載の反応器において、
    前記混合流路の少なくとも一部の内壁面に突起物を形成したことを特徴とする反応器。
  7. 請求項6に記載の反応器において、
    前記混合流路の少なくとも一部の内壁面に凹凸表面を形成したことを特徴とする反応器。
  8. 請求項5ないし7のいずれか一項に記載の反応器において、
    前記混合流路の幅が、1mm以上10mm未満であることを特徴とする反応器。
  9. 請求項5ないし8に記載の反応器において、
    前記反応流路の水力等価直径が、前記混合流路の水力等価直径に比べて大きいことを特徴とする反応器。
  10. 請求項5ないし9に記載の反応器において、
    前記反応流路が、複数に分岐していることを特徴とする反応器。
  11. 請求項10に記載の反応器において、
    複数に分岐した前記反応流路の幅が、1mm未満であることを特徴とする反応器。
  12. 請求項1ないし11のいずれか一項に記載の反応器を含む反応システムにおいて、
    前記反応器に熱交換器または熱源を接触させて設置したことを特徴とする反応システム。
  13. 請求項5ないし11のいずれか一項に記載の反応器を含む反応システムにおいて、
    前記反応流路の断面形状が扁平であり、
    扁平な前記反応流路の断面形状の長い面に対向するように前記反応器に熱交換器または熱源を接触させて設置したことを特徴とする反応システム。
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