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JP2008221250A - 継目無鋼管の製造方法 - Google Patents

継目無鋼管の製造方法 Download PDF

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JP2008221250A
JP2008221250A JP2007059958A JP2007059958A JP2008221250A JP 2008221250 A JP2008221250 A JP 2008221250A JP 2007059958 A JP2007059958 A JP 2007059958A JP 2007059958 A JP2007059958 A JP 2007059958A JP 2008221250 A JP2008221250 A JP 2008221250A
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JP2007059958A
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Takamitsu Inage
孝光 稲毛
Katsunori Nagao
勝則 永尾
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

【課題】マンネスマン−マンドレルミル製管法で圧延される鋼管の内表面に発生するしわ疵を効率よく抑制し、内圧疲労に優れた継目無鋼管の製造方法を提供する。
【解決手段】マンネスマン製管法によって継目無鋼管を熱間加工する際に、マンネスマン穿孔圧延しマンドレル延伸圧延した後の再加熱条件を800〜1050℃とし、ストレッチレデューサーによる定径圧延の仕上寸法t/Dに応じて、孔型ロールの平均楕円率Yが下記(1)式を満足した条件で仕上圧延することを特徴とする継目無鋼管の製造方法である。但し、(1)式のLnは自然対数、(2)式のΣは、i=1〜Nで、孔型長径Ai(mm)および孔型短径Bi(mm)を示す。
Y(%)≦−2.56Ln(t/D×100)+10.29 ・・・ (1)
Y(%)=(Σ(Ai−Bi)/Ai×100)/N ・・・ (2)
熱間仕上げされた鋼管を、さらに肉厚加工度が10%以上で冷間引抜するのが望ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、鋼管内面に発生するしわ疵を抑制する継目無鋼管の製造方法に関し、さらに詳しくは、建設機械用や自動車用鋼管として、シリンダー、油圧配管、中空ドライブシャフト等に好適な、耐疲労特性に優れる継目無鋼管の製造方法に関するものである。
最近では、継目無鋼管の適用分野は、それが発揮する優れた性能を有効に適用するため、建設機械用や自動車用鋼管としてのシリンダー、油圧配管に加え、自動車車体の軽量化の要請から需要が増加しているドライブシャフト用鋼管等のように、耐疲労特性が要求される鋼管の用途への広がりを見せている。
このような用途に対応する継目無鋼管の製造方法には、通常、穿孔後の熱間製管としてマンドレルミル製管法およびプラグミル製管法に区分されるが、寸法精度や生産効率に優れることからマンネスマン製管法が採用されている。熱間製管により製造された素管は、要求される性能に応じて、適宜、外径、内径および肉厚の寸法精度の向上、表面性状の改善、並びに機械的強度の確保のため冷間引抜等の冷間加工が施されることが多い。
継目無鋼管を熱間製管するマンネスマン−マンドレルミル製管法は、中実のビレットの中心部に孔をあける穿孔圧延と、この穿孔されたホローシェルの肉厚加工を主たる目的とする延伸圧延と、素管外径を減径して目標寸法に仕上げる定径圧延とで構成される。通常、穿孔圧延ではマンネスマンピアサー、交叉型穿孔圧延機等の穿孔圧延機が、延伸圧延ではマンドレルミル等の圧延機が、さらに定径圧延ではストレッチレデューサー等の孔型圧延機が用いられる。
図1は、継目無鋼管を熱間で製造するマンネスマン−マンドレルミル製管法の製造工程の一例を説明する図である。この製管方法は、所定温度に加熱された中実の丸ビレット1を被圧延材とし、この丸ビレット1を穿孔圧延機3に送給して、その軸心部を穿孔してホローシェル(または中空素管)2を製造する。次いで、製造されたホローシェル2をそのまま、あるいは必要に応じて上記穿孔圧延機と同一構成のエロンゲータに通して拡径、薄肉化を行った後、後続するマンドレルミル4の延伸圧延装置に送給して延伸圧延する。
マンドレルミル4で延伸圧延される際に、ホローシェル2はその内面に挿入されたマンドレルバー4bとホローシェル外面を規制する圧延ロール4rによって延伸と同時に冷却される。このため、マンドレルミル4で圧延された中空素管2は、次いで再加熱炉5に装入され、再加熱される。その後、ストレッチレデューサー6に通して磨管、形状修正およびサイジングを行う定径圧延を経て熱間仕上げされた継目無鋼管となる。
ところが、上述のマンネスマン−マンドレルミル製管法において、ストレッチレデューサーでは中空素管2を圧延ロール6rに通して、マンドレルなどの内面規制工具を用いることなく、中空素管2を外径絞り圧延によって仕上げるので、熱間仕上げされた鋼管の内表面にしわ疵が発生し易い。通常、マンネスマン製管法によるしわ疵とは、熱間仕上げされた鋼管の内表面に存在する深さ0.005〜0.5mm(5〜500μm)程度の管長手方向の縦筋状の凹みをいう。
製管される対象が耐疲労特性が要求される鋼管の場合には、このしわ疵の発生を抑制することがその特性を確保する上で非常に重要な課題となる。例えば、継目無鋼管を自動車の中空部材としてドライブシャフトに用いる場合には、ドライブシャフト自体がエンジンの回転トルクを車輪に伝達する重要な保安部品であり、耐疲労特性の確保が必須の性能とされるが、その内表面にしわ疵が存在すると、これに起因して疲労寿命が著しく低下することになる。
また、油圧シリンダーに用いるシリンダー用鋼管には、耐疲労特性を確保するため継目無鋼管が適用されるが、この場合は、シリンダー内面に負荷される内圧の変動に伴なう疲労が問題となる(特に、「内圧疲労」という)。ドライブシャフト用鋼管と同様に、その内表面にしわ疵が発生すると、これに起因して疲労寿命が著しく低下する(耐内圧疲労特性を含め、内面からの疲労破壊に対する耐性を総称して、以下「耐内面疲労特性」という)。
このような問題に対して、特許文献1では、マンネスマン製管法でストレッチレデューサーを用いて能率的に継目無鋼管を製造し、この鋼管内面をショットブラスト研削等によって内面切削して、ドライブシャフト等の自動車用継目無鋼管を製造する方法が提案されている。この製造方法によれば、ショットブラストによる内面研削量が増加するものの、比較的僅少な内面切削によって、ドライブシャフト用中空部材の疲労強度を適切に向上させることができるとしている。
しかし、特許文献1の製造方法では、熱間圧延された継目無鋼管の内面を20 〜500μm切削加工することによって、鋼管内面に発生したしわ疵を除去し、疲労強度の向上を図ることとしているので、ショットブラストによる内面研削に膨大な処理時間が必要になる。具体的には、ドライブシャフトに用いられる鋼管は、内径が15〜35mm程度の小径管が対象となるが、これらの管内面に対して、上記研削量を確保するためにショット加工を施すには、数十分から数時間に及ぶ膨大な処理時間が必要となる。
また、特許文献2においても、継目無鋼管を自動車用の中空スタビライザーに適用し、優れた耐久性を発揮させるため、鋼管内面を研削して疲労寿命を改善することを提案しているが、必要とされる内表面の研削量は最大で1200μm程度としており、特許文献1の製造方法と同様に、研削量を確保するために膨大な処理時間が必要となる。
さらに、特許文献3においては、上記特許文献1、2ではショットブラスト研削により製造コストが嵩むとともに、量産性が阻害されることから、管内面に形成されるしわ形状や寸法を規定したドライブシャフト用継目無鋼管を提案している。さらに、その継目無鋼管の製造方法として、マンネスマン製管法により延伸圧延後の加熱条件を定め、最大孔型楕円率(長半径/短半径)を制限した定径圧延の後、熱間仕上げされた鋼管の内面をサンドブラストで研削し、その後冷間抽伸することを開示している。開示の製造方法によれば、20〜30μm程度の研削量で、充分な疲労強度の確保が図れるとしている。
特開平6−63613号公報 特開平7−215038号公報 WO 2004/071686 A1パンフレット
前述の通り、継目無鋼管を用いて耐内圧疲労特性等、耐内面疲労特性に優れた鋼管を製造する場合に、内表面に発生するしわ疵の抑制が重要な課題とされる。ここで、優れた耐内圧疲労特性とは、鋼管の内表面に繰り返される高圧負荷に対する高い疲労寿命を意味する。こうした内面のしわ疵に起因する疲労強度の低下を防止する対策として、従来技術では内面研削を必須のプロセスとしていた。しかも、充分な疲労寿命を確保するには、その研削量をかなり大きくすることが必要とされ、製造コストが嵩む要因となり、工業上必要とされる量産性を阻害することになる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、マンドレルミル製管法によって熱間仕上げされた鋼管の内表面に発生するしわ疵を効率よく抑制するとともに、さらに必要に応じて冷間加工を施して、従来では必須とされていた内面研削をなくした、もしくは研削量を軽減できる、耐内圧疲労特性等、耐内面疲労特性に優れた継目無鋼管の製造方法を提供することを目的としている。
従来のマンネスマン−マンドレルミル製管法におけるしわ疵を抑制する対策は、ストレッチレデューサーによる定径圧延においてしわ疵が発生することを前提として、熱間製管された鋼管の内面研削が主に検討され、熱間製管の条件については十分な検討がなされていない。
本発明者は、上記前提を覆して、マンドレルミル製管法の定径圧延におけるストレッチレデューサーでの圧延段取りについて種々の検討を加えた結果、定径圧延時のストレッチレデューサー出側での仕上肉厚t(mm)および仕上外径D(mm)とした場合に、t/Dと孔型ロールの平均楕円率Yとの関係を一定に保つことにより、熱間仕上げされた鋼管の内表面に発生するしわ疵の深さを十分抑制できることを知見した。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、下記の(1)〜(3)の継目無鋼管の製造方法を要旨としている。
(1)マンネスマン−マンドレルミル製管法によって継目無鋼管を熱間加工する際に、マンネスマン穿孔圧延しマンドレル延伸圧延した後の再加熱条件を800〜1050℃とし、ストレッチレデューサーによる定径圧延における出側での仕上肉厚t(mm)および仕上外径D(mm)とした場合に、孔型ロールの平均楕円率Yが下記(1)式を満足した条件で仕上圧延することを特徴とする継目無鋼管の製造方法である。
Y(%)≦−2.56Ln(t/D×100)+10.29 ・・・ (1)
但し、Yは下記(2)式で定義され、i=1〜Nであり、定径圧延スタンド数N、孔型長径Ai(mm)および孔型短径Bi(mm)を示し、また(1)式のLnは自然対数を示す。
Y(%)=(Σ(Ai−Bi)/Ai×100)/N ・・・ (2)
(2)上記(1)の製造方法では、前記マンネスマン穿孔圧延で形成されたホローシェル内面のスケールを前記マンドレル延伸圧延を行う前に、エアまたは水の噴射により除去するのが望ましい。さらに、上記(1)の製造方法で熱間仕上げされた鋼管を、さらに肉厚加工度が10%以上の条件で冷間引抜することができる。
(3)上記(1)の製造方法では、前記継目無鋼管の化学組成が、質量%で、C:0.12〜0.27%、Si:0.05〜0.40%およびMn:0.8〜2.0%を含有し、残部はFeおよびその他不純物からなり、不純物中のCaが0.001%以下、Pが0.02%以下およびSが0.01%以下であること、さらに、Feの一部に替えて、Cr:1%以下、Mo:1%以下、Ti:0.04%以下、Nb:0.04%以下およびV:0.1%以下のうちの1種または2種以上を含有させることが望ましい。
本発明の継目無鋼管の製造方法によれば、マンネスマン−マンドレルミル製管法によって熱間加工する際に、定径圧延前の加熱条件をコントロールするとともに、ストレッチレデューサーによる定径圧延における出側でのt/Dと孔型ロールの平均楕円率Yとの関係を一定に保つことにより、熱間仕上げされた鋼管の内表面に発生するしわ疵を十分抑制することができ、従来では必須とされた内面研削をなくし、もしくは軽減し、耐疲労特性に優れる鋼管を得ることができる。
これにより、シリンダー用鋼管、油圧配管用鋼管や中空ドライブシャフト用鋼管等のように、耐疲労特性が要求される鋼管、特に耐内圧疲労特性が要求される鋼管やその他耐内面疲労特性が要求される用途向けの鋼管を低廉な製造コストで、かつ効率的に製造できる。
本発明が対象とする継目無鋼管は、シリンダー用鋼管や油圧配管用鋼管のようにその内表面に圧力を繰り返し受ける鋼管、またはドライブシャフト用鋼管のようにその内表面にせん断応力を繰り返し受ける鋼管であり、負荷される圧力または応力の形態には短時間に極めて高い圧力が作用する場合や常時高い圧力が作用する場合に加え、この負荷状態が変動する場合がある。
このような場合には、その衝撃による鋼管の疲労は極めて大きくなることから、その内表面にしわ疵が存在すると、そのしわ疵を起点とする疲労亀裂が容易に進展し、疲労強度の低下が顕著となる。したがって、本発明の継目無鋼管は、このような内面からの疲労破壊が問題となる鋼管の用途にも十分耐え得る疲労特性を具備することが必要になる。
このため、本発明の製造方法は、マンネスマン−マンドレルミル製管法によって継目無鋼管を熱間加工する際に、マンネスマン穿孔圧延し、マンドレル延伸圧延した後の再加熱条件を800〜1050℃とし、ストレッチレデューサーによる定径圧延における仕上寸法のt/D×100(%)と孔型ロールの平均楕円率Yとの関係が下記(1)式を満足した条件で仕上圧延することを特徴とする。
Y(%)≦−2.56Ln(t/D×100)+10.29 ・・・ (1)
図2は、ストレッチレデューサーの圧延に用いられる孔型ロールにおける孔型形状を示す図である。定径圧延に用いられるストレッチレデューサーには、入側から出側にかけて1〜N(スタンド数)の圧延スタンドが設けられる。通常、圧延ロール6rにおける孔型形状は、パスセンターCを基準として、孔型長径のAi(mm)寸法および孔型短径のBi(mm)寸法で管理されており、圧延用孔型ロールの平均楕円率Yは、下記(2)式で定義される。
Y(%)=(Σ(Ai−Bi)/Ai×100)/N ・・・ (2)
本発明者の検討によれば、上記孔型ロールの平均楕円率Yを、ストレッチレデューサーの仕上寸法t/Dを含む回帰式から算出された値以下に管理することにより、内表面のしわ深さを浅くし、しわ疵の発生を十分に抑制した鋼管を製管できることが明らかになる。
図3は、熱間仕上げされた鋼管内面の最大許容しわ深さを120μmとした場合の孔型ロールの平均楕円率Y(%)とt/D(×100%)との関係を示す図である。ストレッチレデューサー出側での仕上寸法は、外径を45.0mm、肉厚を3.15〜17.10mmとし、t/Dは7.0〜38.0%と変動させた。図中の○は最大しわ深さが120μm以下の場合を示し、×は最大しわ深さが120μmを超える場合を示している。
孔型ロールの平均楕円率Yを、図3で示す回帰式の(−2.56Ln(t/D×100)+10.29)値以下に管理することにより、最大しわ深さを120μm以下に抑制することができる。ここで、最大許容しわ深さを120μmとしたのは、対象とされる用途の鋼管は、通常、製品仕上後での内面切削が200μm程度行われることによる。
本発明の製造方法では、マンドレルミルによる圧延後の再加熱条件を800〜1050℃とする必要がある。再加熱温度が800℃未満であると、中空素管の加工性が低下し、ストレッチレデューサーでの定径圧延時にロール焼付きやロールの割損を生じやすい。望ましくは850℃以上である。一方、再加熱温度が1050℃を超えると、スケール発生量が増加し、デスケール後も管表面に残存し鋼管の表面性状が悪化し、歩留まり低下や手入れ等のコスト増加の要因となる。
上述の再加熱条件および孔型ロールの平均楕円率Yを規定することによって、ストレッチレデューサーによる定径圧延後の鋼管内面における最大しわ深さを120μmとし、しわ疵の発生を十分に抑制し、優れた耐内面疲労特性が要求される鋼管の内面品質を効率的に作り込める。
本発明の製造方法では、マンネスマン穿孔圧延後のホローシェルの内面スケールをマンドレルミルによる延伸圧延前に、エアまたは水の噴射により除去することが望ましい。穿孔圧延によりホローシェルの内面に生じたスケールを取り除くことにより、マンドレルバーによるスケールの押さえ込みをなくし、鋼管の内面性状をさらに改善することができる。
前述の通り、ストレッチレデューサーでの定径圧延では、中空素管がパスラインに対し圧延ロールによる圧下を受けるが、内面規制工具を用いないため、管長手方向の縦筋状のしわ疵が発生する。その後、熱間仕上された鋼管を冷間加工用素管として冷間引抜を行うことにより、内表面のしわ深さを低減し、内面品質を改善できるとともに、寸法精度の向上、機械的特性の向上を図ることができる。
冷間引抜によるしわ深さの低減に関しては、肉厚加工度が大きな影響を及ぼすものであるが、肉厚加工度が10%未満ではしわ深さを低減する効果は十分でない。本発明者の検討によれば、肉厚加工度を20%として冷間引抜を行うことにより、内表面のしわ深さを15〜40%程度低減でき、しわ深さの低減に有効であることが確認された。
したがって、本発明の製造方法において、熱間仕上げされた鋼管を冷間加工用素管として冷間引抜を行う場合には、肉厚加工度を10%以上とするのが望ましく、さらに20%以上とするのが望ましい。冷間引抜における肉厚加工度は、{(素管肉厚−引抜肉厚)/素管肉厚}×100(%)で表される。
本発明が対象とするシリンダー用鋼管、油圧配管用鋼管、さらにドライブシャフト用鋼管のように内面疲労の確保が課題となる鋼管では、疲労亀裂の起点となるしわ疵の深さを低減するとともに、寸法精度の向上や高強度化を図る必要もあることから、熱間仕上げされた鋼管をさらに冷間引抜を施すことにより、冷間仕上継目無鋼管を適用するのが最適である。
本発明の製造方法で得られた冷間仕上継目無鋼管を、シリンダー用鋼管として適用するには、冷間引抜を行った後応力除去焼鈍し、通常、管内面を切削してCrめっき等の表面処理を行う。シリンダー用鋼管でも内面疲労の確保が課題となるが、管内面の寸法精度がそれほど要求されない場合には、冷間引抜を行った後、管内面を切削して、Ac1以上の温度で焼きなましをすることも可能である。
本発明の継目無鋼管では、必ずしも対象とする鋼種の化学組成を限定するものではないが、シリンダー用鋼管等、特に耐内圧疲労特性の確保が必要な場合に好適な組成例として、質量%で、C:0.12〜0.27%、Si:0.05〜0.40%およびMn:0.8〜2.0%を含有し、残部はFeおよびその他不純物からなり、不純物中のCaが0.001%以下、Pが0.02%以下およびSが0.01%以下である組成が例示される。
さらに、疲労強度に加え焼入れ性、耐摩耗性等の諸特性を改善するには、上記の組成に加え、Cr:1%以下、Mo:1%以下、Ti:0.04%以下、Nb:0.04%以下およびV:0.1%以下のうちの1種または2種以上を含有させることができる。
本発明の継目無鋼管では、例示される化学組成を具備することにより、鋼管の内表面に発生するしわ疵を抑制するのに加え、鋼管の内表面付近に存在する非金属介在物を顕著に抑制することができる。
ここで、非金属介在物とは、JIS G 0202で記載する「鉄鋼用語」の3131に定義される介在物である。非金属介在物の析出は、鋼管の組成や製造方法によって決定されるが、その析出の有無は、JIS G 0555に規定される鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法に沿って、鋼管断面を切り出して研磨した後、光学顕微鏡で研磨面を観察し確認できる。
そして、例示の化学組成を具備する継目無鋼管では、多数析出する非金属介在物のうち、高圧が負荷される内表面から少なくとも20μmまでの深さの領域において、最も大きい非金属介在物の直径、すなわち最大径が20μm以下とすることができる。ここで、非金属介在物の最大径は、介在物の長径相当長さをLとし、短径相当長さをSとした場合に、最大径=(L+S)/2と定義する。
非金属介在物の最大径が20μmを超えると、疲労破壊の形態が変わり、非金属介在物が疲労破壊の起点となりやすく、内圧疲労試験での評価が低下する傾向にある。しかし、鋼管の内表面から20μmを超える深さでは、非金属介在物の最大径が20μmを超えても疲労破壊の起点にはならないことから、非金属介在物の最大径が20μm以下が望ましいとするのは、鋼管の内表面から少なくとも20μmまでの深さの範囲である。
非金属介在物は、A系介在物、B系介在物およびC系介在物に分類される。そのうち、A系介在物の最大径を小さくするには、含有されるSを0.01質量%以下にすればよい。また、B系介在物の最大径を小さくするには、鋳込み時の鋳片の断面積を大きくすればよい。鋳込み後、凝固するまでの間に大きな介在物は浮上するからであり、鋳込み時の鋳片の断面積を200,000mm2以上にするのが望ましい。
さらに、C系介在物の最大径を小さくするには、鋼種のCa含有量を低減させるのが有効である。そのため、本発明の継目無鋼管に含まれるCaを0.001質量%以下にするのがよい。すなわち、CaはC系介在物を凝集させる作用を有するので、Ca含有量を制限することでC系介在物の凝集成長を抑え、C系介在物の悪影響を回避することができる。
付言すれば、A系介在物、B系介在物およびC系介在物のいずれであっても、鋳造速度を遅くすることにより、軽い非金属介在物をスラグとして浮上させることにより、鋼中の非金属介在物そのものを減少させることができる。
本発明の継目無鋼管では、上記で例示した化学組成が内圧疲労の確保を課題とする鋼管に好適な組成例であることを以下に説明する。以下の説明では、含有量に関する%は、すべて質量%を意味する。
C:0.12〜0.27%
Cは、鋼管素材の強度を向上させるために含有する。強度を向上させるには、C含有量を0.12%以上とする必要がある。しかし、C含有量が0.27%を超えると、加工性が低下し、鋼管に成形することが困難になる。望ましいC含有量は、0.12〜0.2%である。
Si:0.05〜0.40%
Siは、脱酸剤として含有させる。脱酸の効果を確実にするには、Si含有量を0.05%以上とする。しかし、Si含有量が0.40%を超えると、靱性の低下を招くことがある。
Mn:0.8〜2.0%
Mnは、鋼管素材の強度を向上させるため含有する。強度を向上させるには、Mn含有量を0.8%以上とする必要がある。しかし、Mn含有量が2.0%を超えると、偏析を助長し、靱性が劣化することがある。
本発明の継目無鋼管の組成例として、上記のC、Si、Mn成分の他、残部がFeと不純物で示すことができる。ただし、不純物中のCaは、前述の通り、0.001%以下にすることができ、さらに、PおよびSは次のように規定することができる。
P:0.02%以下、S:0.01%以下
PおよびSは、熱間加工性および靱性に悪影響を及ぼす不純物元素であり、これらの含有量は低いほどよい。P含有量およびS含有量がそれぞれ0.02%および0.01%を超える場合には、熱間加工性および靱性が著しく低下する。
本発明の継目無鋼管の組成例では、上記の成分に加えて以下に述べる成分の1種または2種以上を含有することができる。
Cr:1%以下
Crは、積極的に含有させる必要はないが、焼入れ性および耐摩耗性を向上させる効果を有する。これらの効果を得るには、Cr含有量を0.3%以上とするのが望ましい。しかし、Cr含有量が1%を超えると、ベイナイトが大量に発生し靱性が低下する。
Mo:1%以下
Moは、積極的に含有させる必要はないが、焼入れ性を向上させる効果を有するとともに、靱性改善にも効果を発揮する。これらの効果を得るには、0.03%以上含有させるのが望ましい。しかし、Mo含有量が1%を超えると、ベイナイトが大量に発生し靱性が低下する。
Ti:0.04%以下
Tiは、積極的に含有させる必要はないが、強度および靱性を向上させる効果を有する。これらの効果を得るには、Ti含有量を0.005%以上とするのが望ましい。しかし、Ti含有量が0.04%を超えると、窒素化合物の介在物が鋼中に形成され、靱性が低下する。したがって、Ti含有量は0.01〜0.04%とするのがより望ましい。
Nb:0.04%以下
Nbは、Tiと同様に、積極的に含有させる必要はないが、強度および靱性を向上させる効果を有する。これらの効果を得るには、Nb含有量を0.005%以上とするのが望ましい。しかし、Nb含有量が0.04%を超えると、窒素化合物の介在物が鋼中に形成され、靱性が低下する。したがって、Nb含有量は0.01〜0.04%とするのがより望ましい。
V:0.1%以下
Vは、積極的に含有させる必要はないが、強度を向上させる効果を有する。これらの効果を得るには、V含有量を0.01%以上とするのが望ましい。しかし、V含有量が0.1%を超えると、靱性が低下する。
(実施例1)
本発明の効果を確かめるため、表1に示す化学組成の鋼種(A〜Kの11種)からなるビレットを用いてマンネスマン穿孔圧延を行った後、マンドレルミルで外径寸法が110mmの中空素管を延伸圧延した。このとき、マンネスマン穿孔圧延で形成されたホローシェル内面にエアを吹き込みスケール除去を行う場合と、エアを吹き込むことなくスケール除去を行わない場合とに区分した。
Figure 2008221250
延伸圧延で得られた中空素間を表2、表3に示した温度で再加熱した後、3ロールの26スタンドのストレッチレデューサーを用いて出口で仕上外径Dが45mmになるように定径圧延を行い、圧延後の管内面のしわ深さを評価した。この定径圧延による仕上肉厚tとt/D、孔型ロールの平均楕円率Y、および(−2.56Ln(t/D×100)+10.29)で算出される前記(1)右辺値を表2、表3に示した。
鋼管内面のしわ深さ評価は、ストレッチレデューサーで熱間仕上された鋼管の両端10mを除いた定常部より任意に10個のサンプルを採取し、各サンプルの長手方向に垂直な断面を光学顕微鏡で最大しわ深さを調査し、その調査結果に基づいて評価した。評価結果は、最大しわ深さが120μmを超える場合を×で、最大しわ深さが120μm以下の場合を○で、さらに最大しわ深さが80μm以下の場合を◎で示した。
表2、表3に示す評価結果から、ストレッチレデューサーを用いた定径圧延の際に、本発明で規定する(1)式の関係を満足する場合には最大しわ深さが120μm以下となり、内表面に発生するしわ疵を低減できることが分かる。さらに、マンネスマン穿孔圧延で形成されたホローシェルの内面スケールを除去することにより、熱間仕上された鋼管の内面性状を改善できる
Figure 2008221250
Figure 2008221250
(実施例2)
上記実施例1で製造された熱間仕上鋼管のうち、外径45mm、肉厚10.58〜11.48mmを冷間加工用の素管として冷間引抜を行った。冷間引抜の前処理として酸洗によるデスケールを行い潤滑処理を施して、冷間仕上寸法が外径φ36.0mm、肉厚9.7〜ら9.9mmになるように冷間加工を行い、その後は応力除去として焼きなましを施した。このときの冷間仕上された肉厚寸法、および肉厚加工度を表4に示した。
Figure 2008221250
図4は、実施例2で用いた内圧疲労試験の繰り返しパターンを示す図である。内圧疲労試験の供試管は、冷間引抜の後に焼きなましを施し、内表面を肉厚で0.1mm切削した鋼管から製作し、繰り返し内圧疲労試験に供した。内圧疲労試験は、図4に示す繰り返しパターンにおいて、最低内圧を1MPaとし、1サイクル/秒で200MPaの最大(ピーク)内圧を繰り返し負荷した。
内圧疲労試験の結果は、最低内圧とピーク内圧との繰り返しを100万回とし、それまでに破損がない供試管を良好として○で示し、その他は×で示した。
本発明の継目無鋼管の製造方法によれば、マンネスマン−マンドレルミル製管法によって熱間加工する際に、定径圧延前の加熱条件をコントロールするとともに、ストレッチレデューサーによる定径圧延における出側でのt/Dと孔型ロールの平均楕円率Yとの関係を一定に保つことにより、熱間仕上げされた鋼管の内表面に発生するしわ疵を十分抑制することができ、従来では必須とされた内面研削をなくし、もしくは軽減しても、耐疲労特性に優れる鋼管を得ることができる。これにより、シリンダー用鋼管、油圧配管用鋼管や中空ドライブシャフト用鋼管等のように、耐疲労特性、特に内面疲労が要求される鋼管を低廉な製造コストで、かつ効率的に製造できるので、建設機械用や自動車用鋼管として広く適用できる。
継目無鋼管を熱間で製造するマンネスマン−マンドレルミル製管法の製造工程の一例を説明する図である。 ストレッチレデューサーの圧延に用いられる孔型ロールにおける孔型形状を示す図である。 熱間仕上げされた鋼管内面の最大許容しわ深さを120μmとした場合の孔型ロールの平均楕円率Y(%)とt/D(×100%)との関係を示す図である。 実施例2で用いた内圧疲労試験の繰り返しパターンを示す図である。
符号の説明
1:丸ビレット、 2:ホローシェル、中空素管
3:穿孔圧延機、 4:マンドレルミル
5:再加熱炉、 6:ストレッチレデューサー

Claims (5)

  1. マンネスマン−マンドレルミル製管法によって継目無鋼管を熱間加工する際に、マンネスマン穿孔圧延しマンドレル延伸圧延した後の再加熱条件を800〜1050℃とし、ストレッチレデューサーによる定径圧延における出側での仕上肉厚t(mm)および仕上外径D(mm)とした場合に、孔型ロールの平均楕円率Yが下記(1)式を満足する条件で仕上圧延することを特徴とする継目無鋼管の製造方法。
    Y(%)≦−2.56Ln(t/D×100)+10.29 ・・・ (1)
    但し、Yは下記(2)式で定義され、i=1〜Nであり、定径圧延スタンド数N、孔型長径Ai(mm)および孔型短径Bi(mm)を示し、また(1)式のLnは自然対数を示す。
    Y(%)=(Σ(Ai−Bi)/Ai×100)/N ・・・ (2)
  2. 前記マンネスマン穿孔圧延で形成されたホローシェル内面のスケールを前記マンドレル延伸圧延を行う前に、エアまたは水の噴射により除去することを特徴とする請求項1に記載の継目無鋼管の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法で熱間仕上げされた鋼管を、さらに肉厚加工度が10%以上の条件で冷間引抜することを特徴とする継目無鋼管の製造方法。
  4. 前記継目無鋼管の化学組成が、質量%で、C:0.12〜0.27%、Si:0.05〜0.40%およびMn:0.8〜2.0%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のCaが0.001%以下、Pが0.02%以下およびSが0.01%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の継目無鋼管の製造方法。
  5. 前記継目無鋼管の化学組成が、Feの一部に替えて、Cr:1%以下、Mo:1%以下、Ti:0.04%以下、Nb:0.04%以下およびV:0.1%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項4に記載の継目無鋼管の製造方法。
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