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JP2008209651A - 楕円偏光板の製造方法 - Google Patents

楕円偏光板の製造方法 Download PDF

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JP2008209651A
JP2008209651A JP2007046191A JP2007046191A JP2008209651A JP 2008209651 A JP2008209651 A JP 2008209651A JP 2007046191 A JP2007046191 A JP 2007046191A JP 2007046191 A JP2007046191 A JP 2007046191A JP 2008209651 A JP2008209651 A JP 2008209651A
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Ikuro Kawamoto
育郎 川本
Kazuya Hata
和也 秦
Hideyuki Yonezawa
秀行 米澤
Takuji Kamijo
卓史 上条
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Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Abstract

【課題】斜め方向のコントラストに優れ、広帯域且つ広視野角である楕円偏光板を、低コストで均一な光学特性を有するように製造可能な製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る楕円偏光板の製造方法は、保護フィルム12にラビング処理を施すラビング処理工程と、保護フィルム12上にnx>ny=nzの屈折率特性を有する第1の複屈折層13を形成する第1の複屈折層形成工程と、第1の複屈折層13上にnz>nx=nyの屈折率特性を有する第2の複屈折層14を形成する第2の複屈折層形成工程と、第2の複屈折層14上にnx>ny>nzの屈折率特性を有する第3の複屈折層15を形成する第3の複屈折層形成工程と、保護フィルム12の第1の複屈折層が形成されない側の面に偏光子11を積層する偏光子積層工程とを含み、ラビング処理は、ラビングロール4と、ラビングロール4の直下に位置する複数のバックアップロール51を用いて行われる。
【選択図】図1

Description

本発明は、楕円偏光板の製造方法に関し、特に、斜め方向のコントラストに優れ、広帯域且つ広視野角である楕円偏光板を、低コストで均一な光学特性を有するように製造可能な製造方法に関する。
液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等の各種画像表示装置には、一般に、光学的な補償を行うために、楕円偏光板が使用されている。かかる楕円偏光板は、通常、偏光フィルムと1/4波長板とを組み合わせることによって製造されている。
しかし、1/4波長板は、波長が短波長側になるに従って位相差値が大きくなる特性である、いわゆる「正の波長分散特性」を示し、また、その波長分散特性が大きいものが一般的である。このために、1/4波長板は、広い波長範囲にわたって、所望の光学特性(例えば、1/4波長板としての機能)を発揮できないという問題がある。このような問題を回避するために、近年、長波長側になるに従って位相差値が大きくなる波長分散特性である、いわゆる「逆分散特性」を示す位相差板として、例えば、変性セルロース系フィルム及び変性ポリカーボネート系フィルムが提案されている。しかし、これらのフィルムにはコストの面で問題がある。
そこで、現在では、正の波長分散特性を有する1/4波長板に、例えば、長波長側になるに従って位相差値が大きくなる位相差板や、1/2波長板を組み合わせることによって、上記1/4波長板の波長分散特性を補正する方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、近年、画像表示装置の高精細化が進み、これに伴って、楕円偏光板の斜め方向のコントラストや視野角等について、さらなる改善が求められている(第1の課題)。
一方、従来より、基材の表面上に液晶材料を塗布して配向させることにより製造される種々の位相差板などの光学フィルムが知られている。このような光学フィルムの製造工程においては、液晶材料を基材表面上で配向させるために、例えば起毛布によって基材表面を一方向に擦るラビング処理を施すのが一般的である。このようなラビング処理は、製造効率及びコスト面から、長尺のプラスチックフィルムを基材として用いた、いわゆるロール・ツー・ロール方式で連続的に行うことが好ましい。
従って、従来より、位相差板等の光学フィルムを製造するに際し、上記のようなロール・ツー・ロール方式によって長尺フィルムに連続的にラビング処理を施す種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献2には、鏡面仕上げをされた金属表面を有する搬送ベルトにて長尺フィルムを搬送しながら、搬送ベルト上に配置されたラビングロールで前記フィルム表面にラビング処理を施すことを特徴とするラビング方法が提案されている。
また、特許文献3には、長尺フィルムをラビングロールと該ラビングロールに対向して配置されたバックアップロールとの間に連続的に搬送させながら、前記ラビングロールで前記フィルム表面にラビング処理を施すことを特徴とするラビング方法が提案されている。
光学フィルムを製造するに際し、ラビング処理を施す基材としては、一般的に、直鎖状の構造を有する材料、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどが用いられている。また、ラビング処理を施した基材(フィルム)の表面に塗布する液晶材料としては、1つ又はそれ以上の官能基を有する液晶性分子が用いられている。そして、液晶性分子を適宜の有機溶媒などを用いて溶液化し、ラビング処理を施したフィルムの表面に塗布した後、乾燥・配向させ、適宜の紫外線などを露光して架橋させて固定することにより光学フィルムを製造している。
しかしながら、例えば、長尺のTACフィルム等を基材として用い、ロール・ツー・ロール方式によって連続的にラビング処理を施す場合、ラビング処理を施す前のロールに巻回した状態の基材にブロッキング(基材同士が光学的に界面を有さずに密着する現象)が生じる場合がある。
上記のような基材においては、ブロッキングが生じた部分の表面状態が変化するため、当該基材にラビング処理を施しても、ブロッキングが生じた部分とそれ以外の部分とでは配向特性が変化し、液晶性分子にドメインが発生することによって均一な配向状態が得られない場合があるという問題がある。例えば、製造する光学フィルムが、液晶表示装置に用いられる位相差板である場合、画面内での均一性が重要であるため、上記のような不均一な配向状態の位相差板では殆ど商品価値が得られないことになる(第2の課題)。
ブロッキングが生じた基材についても均一な配向特性を得るためには、例えば、特許文献2に記載の方法においてラビングロールの押し込み量を大きくすることが考えられる。しかしながら、特許文献2に記載の方法では、搬送ベルトの下面を支持するバックアップロールが無いため、押し込み量を大きくし過ぎると、搬送ベルトの弛み、ひいてはフィルムの弛みの影響等により安定した状態でラビング処理が施せないという問題がある。
また、特許文献3に記載の方法においてラビングロールの押し込み量を大きくすることによっても、ブロッキングが生じた基材について均一な配向特性が得られる可能性があると考えられる。しかしながら、特許文献3に記載の方法では、フィルムの搬送方向に沿って回転する1本のバックアップロールしか配置していないため、特にラビングロールの回転軸をフィルムの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた際に、フィルムの弛みの影響等により安定した状態でラビング処理が施せないという問題がある。
上記のような問題を解決するには、フィルムを支持する搬送ベルトの下面を、互いに略平行に配設され、搬送ベルトの搬送方向に沿って回転する複数の棒状のバックアップロールで支持することも考えられる。しかしながら、特にラビングロールの回転軸をフィルムの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた際には、搬送ベルトの弛み、ひいてはフィルムの弛みの影響を十分に回避できないという問題が残る。
特許第3174367号公報 特開2004−170454号公報 特開平6−110059号公報
本発明は、かかる従来技術における第1及び第2の課題を解決するべくなされたものであり、斜め方向のコントラストに優れ、広帯域且つ広視野角の楕円偏光板を、低コストで均一な光学特性を有するように製造可能な製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するべく、本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、第1の課題については、
(1)保護フィルム上にnx>ny=nzの屈折率特性を有する第1の複屈折層を形成し、第1の複屈折層上にnz>nx=nyの屈折率特性を有する第2の複屈折層を形成し、第2の複屈折層上にnx>ny>nzの屈折率特性を有する第3の複屈折層を形成し、保護フィルムの第1の複屈折層が形成されない側の面に偏光子を積層することにより、斜め方向のコントラストに優れ、広帯域且つ広視野角の楕円偏光板を製造できることを見出した。
また、第2の課題については、
(2)ラビング処理を施す際にラビング処理を施すフィルムを支持して搬送する搬送ベルトの下面に、ラビングロールの直下であってラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って複数のバックアップロールを配設することにより、ラビングロールの回転軸をフィルムの搬送方向に対して直角方向から傾斜させ、ラビングロールの押し込み量を大きくしたとしても、搬送ベルトの平坦度が向上して弛みが生じ難いこと、
(3)各バックアップロールが搬送ベルトの搬送方向に沿って回転するように構成することにより、各バックアップロールの回転が搬送ベルトの搬送方向への移動ひいてはラビング処理を施すフィルムの搬送を阻害しないこと、
(4)上記(2)及び(3)により、安定した状態でラビング処理を施すことが可能となり、ラビング処理を施すフィルムに均一な配向特性を付与することができ、ひいては均一な光学特性を有する楕円偏光板を製造可能であること、
を見出した。
本発明の発明者らは、上記の新しい知見(1)〜(4)に基づき、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、第1の手段として、長尺の保護フィルムの表面を保護フィルムの搬送方向に対して直角方向から回転軸を傾斜させたラビングロールによって擦るラビング処理工程と、前記ラビング処理工程を経た保護フィルムの表面に液晶性分子を塗工し、該塗工した液晶性分子を固定して、前記保護フィルム上にnx>ny=nzの屈折率特性を有する第1の複屈折層を形成する第1の複屈折層形成工程と、前記第1の複屈折層上にnz>nx=nyの屈折率特性を有する第2の複屈折層を形成する第2の複屈折層形成工程と、前記第2の複屈折層上にnx>ny>nzの屈折率特性を有する第3の複屈折層を形成する第3の複屈折層形成工程と、前記保護フィルムの前記第1の複屈折層が形成されない側の面に偏光子を積層する偏光子積層工程とを含み、前記ラビング処理工程において、金属表面を有する搬送ベルトによって前記長尺の保護フィルムを支持して搬送すると共に、前記保護フィルムを支持する搬送ベルトの下面を支持するバックアップロール機構を配設し、前記バックアップロール機構は、前記搬送ベルトの搬送方向に沿ってそれぞれ回転する複数のバックアップロールを備え、前記複数の各バックアップロールは、前記ラビングロールの直下であって、前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設されていることを特徴とする楕円偏光板の製造方法を提供するものである。
第1の手段に係る製造方法によれば、保護フィルム上にnx>ny=nzの屈折率特性を有する第1の複屈折層が形成され、第1の複屈折層上にnz>nx=nyの屈折率特性を有する第2の複屈折層が形成され、第2の複屈折層上にnx>ny>nzの屈折率特性を有する第3の複屈折層が形成され、保護フィルムの第1の複屈折層が形成されない側の面に偏光子が積層された楕円偏光板が得られる。かかる楕円偏光板は、斜め方向のコントラストに優れ、広帯域且つ広視野角である。このため、これを液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等の各種画像表示装置に配置することにより、各種画像表示装置における斜め方向のコントラストを改善できると共に、視野角を大きくすることができる。
なお、本発明において、「nx」は、各層の面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率を、「ny」は、各層の面内で遅相軸に垂直な方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率を、「nz」は、各層の厚み方向の屈折率を意味する。また、「ny=nz」とは、nyとnzとが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzとが実質的に等しい場合も包含する意味である。実質的に等しいとは、楕円偏光板の全体的な偏光特性に実用上の影響を与えない範囲でnyとnzとが異なる場合も包含する意味である。
また、第1の手段に係る製造方法によれば、ロール・ツー・ロール方式によって長尺の保護フィルムに連続的にラビング処理を施すことが可能であるため、低コストで楕円偏光板を製造することが可能である。また、第1の手段に係る製造方法によれば、保護フィルムを支持する搬送ベルトの下面を支持するバックアップロール機構が、ラビングロールの直下であって、ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設された複数のバックアップロールを備える。そのため、ラビングロールの回転軸が搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜していても、各バックアップロールは、保護フィルム及び搬送ベルトを介して、傾斜したラビングロールの直下に配設されることになる。さらに、第1の手段に係る製造方法によれば、各バックアップロールが、搬送ベルトの搬送方向(保護フィルムの搬送方向)に沿ってそれぞれ回転するため、各バックアップロールの回転が搬送ベルトの搬送方向への移動ひいては保護フィルムの搬送を阻害することもない。従って、たとえラビングロールの回転軸が搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜した状態でラビングロールの押し込み量を大きくしたとしても、搬送ベルトの平坦度が向上して弛みが生じ難く且つ搬送ベルトの移動が阻害されることもなく、安定した状態でラビング処理を施すことが可能である。この結果、保護フィルムに均一な配向特性を付与することができ、均一な光学特性を有する第1の複屈折層、ひいては均一な光学特性を有する楕円偏光板を製造することが可能である。
また、本発明は、第2の手段として、保護フィルム上にnx>ny=nzの屈折率特性を有する第1の複屈折層を形成する第1の複屈折層形成工程と、前記第1の複屈折層上にnz>nx=nyの屈折率特性を有する第2の複屈折層を形成する第2の複屈折層形成工程と、前記第2の複屈折層上にnx>ny>nzの屈折率特性を有する第3の複屈折層を形成する第3の複屈折層形成工程と、前記保護フィルムの前記第1の複屈折層が形成されない側の面に偏光子を積層する偏光子積層工程とを含み、前記第1の複屈折層形成工程は、長尺のプラスチックフィルムの表面をプラスチックフィルムの搬送方向に対して直角方向から回転軸を傾斜させたラビングロールによって擦るラビング処理工程と、前記ラビング処理工程を経たプラスチックフィルムの表面に液晶性分子を塗工し、該塗工した液晶性分子を固定して、前記プラスチックフィルム上にnx>ny=nzの屈折率特性を有する第1の複屈折層を形成する複屈折層形成工程と、前記プラスチックフィルム上に形成された第1の複屈折層を前記保護フィルム上に転写する転写工程とを含んでおり、前記ラビング処理工程において、金属表面を有する搬送ベルトによって前記長尺のプラスチックフィルムを支持して搬送すると共に、前記プラスチックフィルムを支持する搬送ベルトの下面を支持するバックアップロール機構を配設し、前記バックアップロール機構は、前記搬送ベルトの搬送方向に沿ってそれぞれ回転する複数のバックアップロールを備え、前記複数の各バックアップロールは、前記ラビングロールの直下であって、前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設されていることを特徴とする楕円偏光板の製造方法を提供する。
保護フィルム上への第1の複屈折層の形成は、第2の手段に係る製造方法のように、長尺のプラスチックフィルムに第1の複屈折層を形成し、当該第1の複屈折層を長尺のプラスチックフィルムから保護フィルム上に転写することで行うことも可能である。なお、第2の手段に係る製造方法は、長尺のプラスチックフィルムがトリアセチルセルロースフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルムである場合に特に有効である。
好ましくは、前記第1の複屈折層は1/2波長板として機能し、前記第3の複屈折層は1/4波長板として機能する。
なお、本発明において、「1/2波長板」とは、光の波長(通常、可視光領域)に対して、面内位相差値(=(nx−ny)×d(d:層の厚み(nm)))が約1/2であるものを意味し、ある特定の振動方向を有する直線偏光を該直線偏光の振動方向と直交する振動方向を有する直線偏光に変換したり、右円偏光を左円偏光に(又は、左円偏光を右円偏光に)変換する機能を有する。また、本発明において、「1/4波長板」とは、光の波長(通常、可視光領域)に対して、面内位相差値が約1/4であるものを意味し、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(又は、円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する。
好ましくは、前記保護フィルムの厚み方向の位相差値Rth[590]の絶対値Aに対する、前記第2の複屈折層の厚み方向の位相差値Rth[590]の絶対値Bの比B/Aが、1.1≦B/A≦4.0を満足する構成とされる。
Rth[590]は、23℃における波長590nmの光で測定した測定対象の層の厚み方向の位相差値(=(nx−ny)×d(d:測定対象の層の厚み(nm)))を意味する。保護フィルムと第2の複屈折層の厚み方向の位相差値がこのような関係を有することにより、保護フィルムの位相差を良好に補償することが可能となり、結果として、斜め方向のコントラストが極めて優れた楕円偏光板が得られる。
好ましくは、前記バックアップロール機構は、前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設された台座部と、前記搬送ベルト表面の法線周りに回転可能に前記台座部上に軸支された複数の支持部とをさらに備え、前記複数の各バックアップロールは、前記複数の各支持部に前記搬送ベルトの搬送方向に沿って回転可能に軸支される。
かかる好ましい構成によれば、ラビングロールの回転軸が搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜していても、バックアップロール機構を構成する台座部を同じ様に傾斜させる(すなわち、前記傾斜したラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿うように台座部を傾斜させる)ことにより、搬送ベルトの移動に伴って(搬送ベルト下面から付与される摩擦力によって)支持部に軸支されたバックアップロールが搬送ベルトの搬送方向に沿って回転する向きとなるように、台座部に軸支された支持部が自然に回転することになる。換言すれば、ラビングロールの傾斜角度が固定ではなく、傾斜角度の設定値を変更したとしても、台座部をラビングロールと同様の傾斜角度に変更するだけで、各バックアップロールがラビングロールの直下に配設され且つ搬送ベルトの搬送方向に沿って回転する状態にすることが可能である。
より好ましくは、前記バックアップロール機構は、前記ラビングロールの回転軸を前記搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた場合に、これに伴って前記台座部も傾斜するように前記ラビングロールと前記台座部とを連結する連結機構をさらに備える。
かかる好ましい構成によれば、ラビングロールの回転軸を搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた場合に、これに伴って台座部も傾斜するようにラビングロールと台座部とを連結する連結機構を備えるため、ラビングロールとバックアップロール機構(台座部)とを個別に傾斜させる構成に比べて、設定が極めて容易であるという利点を有する。
なお、前記ラビングロールの回転軸は、プラスチックフィルムの搬送方向に対して直角方向から0°を超え45°以下に傾斜させることが好ましい。
ここで、前記複数のバックアップロールについて、隣接する各バックアップロールの回転軸方向の中心間距離を200mmよりも大きく設定する場合には、搬送ベルトの平坦度が低下することにより、配向ムラが生じ外観不良が発生する虞がある。一方、前記中心間距離を60mmよりも小さく設定する場合には、バックアップロールを支持する部材の幅が小さくなり、バックアップロールを安定して保持する強度が低下するため、搬送ベルトの平坦度が低下する。従って、上記のような問題を確実に回避するには、隣接する各バックアップロールの回転軸方向の中心間距離は、60mm以上200mm以下に設定することが好ましく、70mm以上150mm以下に設定することがより好ましい。
また、前記複数の各バックアップロールの回転軸方向の幅を20mmよりも小さく設定する場合には、摩擦熱により搬送ベルトを傷つける可能性が生じる。一方、前記幅を150mmよりも大きく設定する場合には、ラビングロールの回転軸をプラスチックフィルムの搬送方向に対して直角方向から傾斜させたときに、バックアップロールをラビングロールの直下に配置することが困難になり、搬送ベルトの平坦度が低下する結果、配向ムラが生じ外観不良が発生する虞がある。従って、上記のような問題を確実に回避するには、複数の各バックアップロールの回転軸方向の幅は、20mm以上150mm以下に設定することが好ましく、25mm以上70mm以下に設定することがより好ましい。
前記ラビングロールには、起毛布が巻回されていることが好ましく、この起毛布としては、例えば、レーヨン、コットン、ナイロン、トリアセテート及びこれらの混合物の何れかを用いることが好ましい。
さらに、前記搬送ベルトの厚みとしては、容易に弛まないようにする一方で可撓性を付与するべく、好ましくは0.5mm〜2.0mm(より好ましくは0.7〜1.5mm)とされる。
本発明に係る楕円偏光板の製造方法によれば、斜め方向のコントラストに優れ、広帯域且つ広視野角である楕円偏光板が得られる。このため、この楕円偏光板を各種画像表示装置に配置することにより、各種画像表示装置における斜め方向のコントラストが改善され、視野角を大きくすることができる。さらに、ラビングロールの回転軸をフィルムの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた場合であっても、低コストで均一な光学特性を有する楕円偏光板を製造することが可能である。具体的には、表面に異物の付着が生じ難く、良好な楕円偏光板の外観を維持することが可能である。これは、ラビングロールの直下に複数のバックアップロールをその回転軸方向の中心間距離を所定の値にして配置することにより、搬送ベルトの平坦度が向上するためである。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
I.楕円偏光板の構成
まず最初に、本発明に係る製造方法によって製造される楕円偏光板の構成例について説明する。
<楕円偏光板の全体構成>
図1は、本実施形態に係る製造方法によって製造される楕円偏光板の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る楕円偏光板10は、保護フィルム12と、保護フィルム12上に形成された第1の複屈折層13と、第1の複屈折層13上に形成された第2の複屈折層14と、第2の複屈折層14上に形成された第3の複屈折層15と、保護フィルム12の第1の複屈折層13が形成されない側の面に積層された偏光子11とを備える。なお、実用的には、本実施形態に係る楕円偏光板10は、偏光子11の保護フィルム12が積層されない側の面に積層された第2の保護フィルム16を備える。
第1の複屈折層13は、nx>ny=nzの屈折率特性を有する。第2の複屈折層14は、nz>nx=nyの屈折率特性を有する。第3の複屈折層15は、nx>ny>nzの屈折率特性を有する。さらに、保護フィルム12の厚み方向の位相差値Rth[590]の絶対値Aに対する、第2の複屈折層14の厚み方向の位相差値Rth[590]の絶対値Bの比B/Aは、好ましくは1.1≦B/A≦4.0の範囲、より好ましくは、1.5≦B/A≦3.0の範囲とされる。保護フィルム12と第2の複屈折層14との厚み方向の位相差値の絶対値がこのような関係を有することにより、保護フィルム12の位相差を良好に補償することが可能となり、結果として、楕円偏光板10の斜め方向のコントラストが極めて優れる。Rth[590]は、23℃における波長590nmの光で測定した測定対象の層の厚み方向の位相差値(=(nx−ny)×d(d:測定対象の層の厚み(nm)))を意味する。
図2は、図1に示す楕円偏光板10を構成する各層の吸収軸と遅相軸との関係を説明する分解斜視図である(なお、図2においては、見易くするために第2の保護フィルム16を省略している。)。第1の複屈折層13は、その遅相軸Bが偏光子11の吸収軸Aに対して所定の角度αを成すように積層されている。角度αは、好ましくは、+8°≦α≦+38°または−38°≦α≦−8°、より好ましくは+13°≦α≦+33°または−33°≦α≦−13°、特に好ましくは+19°≦α≦+29°または−29°≦α≦−19°、とりわけ好ましくは+21°≦α≦+27°または−27°≦α≦−21°、最も好ましくは+23°≦α≦+24°または−24°≦α≦−23°とされる。なお、αの正、負は、吸収軸Aに対して反時計回りの方向を正、時計回りの方向を負としている。第1の複屈折層13の遅相軸Bと偏光子11の吸収軸Aとがこのような角度αを成すように積層されることにより、楕円偏光板10の偏光特性が非常に優れたものになる。さらに、図2に示すように、第3の複屈折層15は、その遅相軸Cが偏光子11の吸収軸Aに対して実質的に直交するように積層されている。「実質的に直交」とは、完全に直交する場合に限定されるものではなく、好ましくは90°±2.0°、より好ましくは90°±1.0°、最も好ましくは、90°±0.5°である。
本実施形態に係る楕円偏光板10の全体厚みは、好ましくは80〜250μm、より好ましくは110〜220μm、最も好ましくは140〜190μmとされる。
<第1の複屈折層の構成>
前述のように、第1の複屈折層13は、nx>ny=nzの屈折率特性を有する。好ましくは、第1の複屈折層13は、1/2波長板として機能する。第1の複屈折層13が1/2波長板として機能することにより、1/4波長板として機能する第3の複屈折層15の波長分散特性(特に、面内の位相差値がλ/4(λ:光の波長)を外れる波長の範囲)が適切に補正される。第1の複屈折層13の面内位相差値Re[590]は、好ましくは200〜300nm、より好ましくは220〜280nm、最も好ましくは230〜270nmとされる。なお、Re[590]は、23℃における波長590nmの光で測定した複屈折層の面内位相差値(=(nx−ny)×d(d:複屈折層の厚み(nm)))を意味する。
第1の複屈折層13の厚みは、1/2波長板として最も適切に機能し得るように設定することができる。換言すれば、第1の複屈折層13の厚みは、所望の面内位相差値が得られるように設定すればよい。具体的には、第1の複屈折層13の厚みは、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは1〜4μm、最も好ましくは1.5〜3μmとされる。
第1の複屈折層13を形成する材料としては、液晶性分子が用いられる。液晶相がネマチック相である液晶性分子であることが好ましい。液晶性分子を用いることにより、第1の複屈折層13のnxとnyとの差を非液晶性材料に比べて格段に大きくすることができる。その結果、所望の面内位相差値を得るための第1の複屈折層13の厚みを格段に小さくすることができる。このような液晶性分子としては、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、液晶モノマーなどが適宜用いられる。これらを組み合わせて用いてもよい。液晶性分子の液晶性の発現機構は、リオトロピック及びサーモトロピックの何れでもよい。また、液晶の配向状態は、ホモジニアス配向であることが好ましい。
第1の複屈折層13を形成する液晶性分子が液晶モノマーである場合、例えば、重合性モノマー又は架橋性モノマーであることが好ましい。これは、重合性モノマー又は架橋性モノマーを重合又は架橋させることによって、液晶性分子の配向状態を固定できるためである。液晶モノマーを配向させた後に、液晶モノマー(重合性モノマー又は架橋性モノマー)同士を重合又は架橋させれば、上記配向状態を固定できる。ここで、重合によりポリマーが形成され、架橋により3次元網目構造が形成されることとなるが、これらは非液晶性である。従って、形成された第1の複屈折層13は、液晶化合物に特有の、温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が生じることはない。この結果、第1の複屈折層13は、温度変化に影響されない極めて安定性に優れる複屈折層となる。なお、重合性モノマー及び架橋性モノマーは、組み合わせて用いてもよい。
前記液晶モノマーとしては、例えば、以下の化学式(1)〜(16)の何れかで表されるモノマーを選択することが可能である。
<第2の複屈折層の構成>
前述のように第2の複屈折層14は、nz>nx=nyの屈折率分布を有する。さらに、第2の複屈折層14の厚み方向の位相差値Rth[590]の絶対値Bが、保護フィルム12の厚み方向の位相差値Rth[590]の絶対値Aに対して、前述した好ましい割合を有することによって、保護フィルム12の位相差を良好に補償することが可能となり、結果として、楕円偏光板10の斜め方向のコントラストが極めて良好なものになる。
第2の複屈折層14の厚み方向の位相差値Rth[590]の絶対値Bは、保護フィルム12の厚み方向の位相差が良好に補償されるように設定される。例えば、第2の複屈折層14の厚み方向の位相差値Rth[590]の絶対値Bは、好ましくは50〜200nm、より好ましくは75〜150nm、最も好ましくは90〜120nmとされる。このような絶対値Bが得られる第2の複屈折層14の厚みは、使用される材料等に応じて変化し得る。例えば、第2の複屈折層14の厚みは、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.5〜8μm、最も好ましくは0.5〜5μmとされる。
第2の複屈折層14は、好ましくは、ホメオトロピック配向に固定された液晶性分子を含むフィルムからなる。ホメオトロピック配向させることができる液晶性分子(液晶化合物)は、液晶モノマーであっても液晶ポリマーであってもよい。代表的な液晶化合物としては、例えば、ネマチック液晶化合物が挙げられる。このような液晶化合物の配向技術に関する概説は、例えば、化学総説44(表面の改質、日本化学会編、156〜163頁)に記載されている。
また、ホメオトロピック配向を形成し得る液晶性分子としては、例えば液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)と非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)とを含有する側鎖型液晶ポリマーが挙げられる。このような側鎖型液晶ポリマーは、垂直配向剤も垂直配向膜も用いずにホメオトロピック配向を実現することができる。これは、アルキル鎖等を有する非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)の作用により、垂直配向膜を用いなくても、例えば熱処理により液晶状態(例えば、ネマチック液晶相)が発現して、ホメオトロピック配向が実現されるものと推察される。
モノマーユニット(a)はネマチック液晶性を有する側鎖を有するものであり、例えば、一般式(a)で表されるモノマーユニットが挙げられる。
式(a)において、Rは水素原子またはメチル基であり、aは1〜6の正の整数であり、Xは−CO−基または−OCO−基であり、Rはシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フルオロ基または炭素数1〜6のアルキル基であり、b及びcは、それぞれ1または2の整数を示す。
また、モノマーユニット(b)は、直鎖状側鎖を有するものであり、例えば、一般式(b)で表されるモノマーユニットが挙げられる。
式(b)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基、または一般式(b1)で表される基である。
式(b1)において、dは1〜6の正の整数であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基である。
また、モノマーユニット(a)とモノマーユニット(b)の割合は、目的及びモノマーユニットの種類に応じて適宜設定され得る。(b)/{(a)+(b)}は、好ましくは0.01〜0.8(モル比)、より好ましくは0.1〜0.5(モル比)とされる。これは、モノマーユニット(b)の割合が多くなると、側鎖型液晶ポリマーが液晶モノドメイン配向性を示さなくなる場合が多いからである。
また例えば、ホメオトロピック配向を形成し得る液晶性分子としては、前述の液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)と脂環族環状構造を有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(c)とを含有する側鎖型液晶ポリマーが挙げられる。このような側鎖型液晶ポリマーもまた、垂直配向剤や垂直配向膜を用いずにホメオトロピック配向を実現することができる。これは、モノマーユニット(c)の作用により、垂直配向膜を用いなくても、例えば熱処理により液晶状態(例えば、ネマチック液晶相)が発現して、ホメオトロピック配向が実現されるものと推察される。
モノマーユニット(c)は、ネマッチ液晶性を有する側鎖を有するものであり、例えば、一般式(c)で表されるモノマーユニットが挙げられる。
式(c)においては、Rは水素原子またはメチル基であり、hは1〜6の正の整数であり、Xは−CO−基または−OCO−基であり、e及びgは、それぞれ1または2の整数であり、fは0〜2の整数であり、Rはシアノ基、炭素数1〜12のアルキル基である。
また、モノマーユニット(a)とモノマーユニット(c)の割合は、目的及びモノマーユニットの種類に応じて適宜設定され得る。(c)/{(a)+(c)}は、好ましくは0.01〜0.8(モル比)、より好ましくは0.1〜0.6(モル比)とされる。これは、モノマーユニット(c)の割合が多くなると、側鎖型液晶ポリマーが液晶モノドメイン配向性を示さなくなる場合が多いからである。
上記のモノマーユニットは単なる例示であり、ホメオトロピック配向を形成し得る液晶ポリマーは、上記のモノマーユニットを有するものに限られないことは言うまでもない。また、上記例示のモノマーユニットは、適宜に組み合わせることができる。
側鎖型液晶ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは2,000〜100,000とされる。重量平均分子量をこのような範囲に調整することにより、液晶ポリマーとしての性能が良好に発揮され得る。重量平均分子量は、より好ましくは2,500〜50,000とされる。このような範囲であれば、配向層の成膜性に優れ、且つ、均一な配向状態が形成され得る。
上記例示の側鎖型液晶ポリマーは、モノマーユニット(a)、モノマーユニット(b)またはモノマーユニット(c)に対応するアクリル系モノマーまたはメタクリル系モノマーを共重合することにより調製され得る。モノマーユニット(a)、モノマーユニット(b)またはモノマーユニット(c)に対応するモノマーは、任意の適切な方法により合成され得る。共重合体の調整は、任意の適切なアクリル系モノマー等の重合方式(例えばラジカル重合方式、カチオン重合方式、アニオン重合方式)に準じて行うことができる。なお、ラジカル重合方式を適用する場合、各種の重合開始剤が用いられ得る。好ましい重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリルまたは過酸化ベンゾイルが挙げられる。適切な(高くもなく低くもない)温度で分解し得るので、適切なメカニズム及びスピードで重合を開始できるからである。
ホメオトロピック配向は、側鎖型液晶ポリマーを含む液晶性組成物から形成することもできる。このような液晶性組成物は、液晶ポリマーに加えて、光重合性液晶化合物を含み得る。当該光重合性液晶化合物は、光重合性官能基(例えばアクリロイル基またはメタクリロイル基等の不飽和二重結合)を少なくとも1つ有する液晶性化合物である。液晶性組成物としては、ネマチック液晶性を呈するものが好ましい。このような光重合性液晶化合物の具体例としては、モノマーユニット(a)としても用いられ得るアクリレートやメタクリレートが挙げられる。さらに好ましい光重合性液晶化合物としては、光重合性官能基を2つ以上有するものが挙げられる。これは、得られるフィルム(第2の複屈折層14)の耐久性を向上させることができるからである。光重合性官能基を2つ以上有する光重合性液晶化合物としては、例えば、下記式で表される架橋型ネマチック性液晶モノマーが挙げられる。また、光重合性液晶化合物としては、下記式における末端の「HC=CR−CO−」を、ビニルエーテル基またはエポキシ基に置換した化合物や、「−(CH)m−」及び/または「−(CH)n−」を「−(CH−CH(CH)−(CH−」または「−(CH−CH(CH)−(CH−」に置換した化合物を例示できる。
式(d)中、Rは水素原子またはメチル基であり、A及びDは、それぞれ独立して、1,4−フェニレン基または1,4−シクロへキシレン基であり、Yは、それぞれ独立して、−COO−基、−OCO−基または−O−基であり、Bは1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、4,4’−ビフェニレン基または4,4’−ビシクロへキシレン基であり、m及びnは、それぞれ独立して2〜6の整数を示す。
光重合性液晶化合物は、熱処理により液晶状態として、例えば、ネマチック液晶相を発現させて側鎖型液晶ポリマーとともにホメオトロピック配向させることができる。次いで、光重合性液晶化合物を重合または架橋させてホメオトロピック配向を固定することにより、第2の複屈折層14の耐久性をさらに向上させることができる。
液晶性組成物中の光重合性液晶化合物と側鎖型液晶ポリマーの比率は、目的、使用される側鎖型液晶ポリマー及び光重合性液晶化合物の種類、得られるホメオトロピック配向液晶フィルムの耐久性を考慮して適宜設定され得る。具体的には、光重合性液晶化合物:側鎖型液晶ポリマー(重量比)は、好ましくは0.1:1〜30:1程度、より好ましくは0.5:1〜20:1、最も好ましくは1:1〜10:1とされる。
液晶性組成物は、光重合開始剤をさらに含有し得る。光重合開始剤としては、任意の適切な光重合開始剤が採用され得る。具体的には、チバスペシャルティケミカルズ社製のイルガキュア(Irgacure)907、同184、同651、同369などを例示できる。光重合開始剤の含有量は、光重合性液晶化合物の種類、液晶性組成物の配合比等を考慮して、液晶性組成物のホメオトロピック配向性を乱さない程度に調製され得る。代表的には、光重合開始剤の含有量は、光重合性液晶化合物100重量部に対して、好ましくは、0.5〜30重量部程度、より好ましくは0.5〜10重量部とされる。
<第3の複屈折層の構成>
前述のように、第3の複屈折層15は、nx>ny>nzの屈折率特性を有する。好ましくは、第3の複屈折層15は、いわゆる1/4波長板として機能する。1/4波長板として機能する第3の複屈折層15の波長分散特性を、1/2波長板として機能する第1の複屈折層13の光学特性によって補正することにより、楕円偏光板10は、広い波長範囲での円偏光機能を発揮することができる。第3の複屈折層15の面内位相差値Re[590]は、好ましくは90〜180nm、より好ましくは90〜150nm、最も好ましくは105〜135nmとされる。第3の複屈折層15のNz係数(=(nx−nz)/(nx−ny))は、好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.2〜2.0、最も好ましくは1.4〜1.8とされる。なお、「Nz係数」は、23℃における波長590nmの光で測定した屈折率nx、ny、nzを用いて、Nz=(nx−ny)/(nx−ny)によって求められる。
第3の複屈折層15の厚みは、1/4波長板として最も適切に機能し得るように設定することができる。換言すれば、第3の複屈折層15の厚みは、所望の面内位相差値が得られるように設定すればよい。具体的には、第3の複屈折層15の厚みは、好ましくは10〜100μm、より好ましくは20〜80μm、最も好ましくは40〜70μmとされる。
第3の複屈折層15は、代表的には、ポリマーフィルムを延伸処理することにより形成される。例えば、ポリマーの種類、延伸条件(例えば、延伸温度、延伸倍率、延伸方向)、延伸方法等を適切に選択することにより、所望の光学特性(例えば、屈折率分布、面内位相差値Re[590]、厚み方向の位相差値Rth[590]、Nz係数)を有する第3の複屈折層15が得られる。より具体的には、延伸温度は、好ましくは120〜180℃、より好ましくは140〜170℃とされる。延伸倍率は、好ましくは1.05〜2.0倍、より好ましくは1.3〜1.6倍とされる。延伸方法としては、例えば、横一軸延伸が挙げられる。延伸方向は、好ましくは、偏光子11の吸収軸Aに対して実質的に直交する方向(ポリマーフィルムの幅方向、すなわち、長手方向に対して直交する方向)である。
ポリマーフィルムを構成するポリマーとしては、任意の適切なポリマーが採用され得る。具体例としては、ポリカーボネート系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー等の正の複屈折フィルムが挙げられ、このうち、ポリカーボネート系ポリマー、ノルボルネン系ポリマーが好ましい。
<偏光子の構成>
偏光子11としては、目的に応じて、任意の適切な偏光子を用いればよい。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子は、偏光二色比が高いため、特に好ましい。これら偏光子の厚みは特に制限されないが、一般的に、1〜80μm程度の厚みとされる。
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元の長さの3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じて、ホウ酸、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよいし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬してもよい。さらに、必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することで、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させて染色のムラなどの不均一を防止する効果も得られる。延伸は、ヨウ素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、或いは延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中の他、水溶中でも延伸することができる。
<保護フィルム及び第2の保護フィルムの構成>
保護フィルム12としては、その表面をラビング処理するか或いはその表面に形成した配向膜をラビング処理することにより、後述するように表面に塗工した液晶性分子を配向させることのできる機能が付与されると共に、偏光子11の保護層として使用できる限りにおいて、その材質に特に制限はない。第2の保護フィルム16としては、偏光子11の保護層として使用できる任意の適切なフィルムを用いることができる。好ましくは、保護フィルム12及び第2の保護フィルム16は、透明保護フィルムとされる。
このようなフィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、アクリル系、アセテート系などの透明樹脂等が挙げられる。また、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化型樹脂又は紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムを使用することもできる。このポリマーフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換又は非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換又は非置換のフェニル基及びニトリル基を有する熱可塑性樹脂とを含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテン及びN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。上記のポリマーフィルムは、例えば、前記樹脂組成物を押出成形したものであってもよい。保護フィルム12及び第2の保護フィルム16の材質としては、TAC、ポリイミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ガラス質系ポリマーが好ましく、TACがより好ましい。
保護フィルム12及び第2の保護フィルム16は、透明で、色付きが無いことが好ましい。具体的には、厚み方向の位相差値Rth[550]が、好ましくは−90nm〜+90nm、より好ましくは−80nm〜+80nm、最も好ましくは−70nm〜+70nmとされる。
保護フィルム12及び第2の保護フィルム16の厚みとしては、上記の好ましい厚み方向の位相差値が得られる限りにおいて、任意の適切な厚みとすることができる。具体的には、保護フィルム12及び第2の保護フィルム16の厚みは、好ましくは5mm以下、より好ましくは1mm以下、特に好ましくは1〜500μm、最も好ましくは5〜150μmとされる。
保護フィルム12及び第2の保護フィルム16は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。保護フィルム12及び第2の保護フィルム16には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等が施される。
<楕円偏光板のその他の構成要素>
本実施形態に係る楕円偏光板10は、さらに他の光学層を備える構成であってもよい。このような他の光学層としては、その目的や適用する液晶表示装置等の画像表示装置の種類に応じて、任意の適切な光学層を採用すればよい。具体例としては、液晶フィルム、光散乱フィルム、回折フィルムの他、前述した第1〜第3の複屈折層13、14、15とは別の複屈折層(位相差フィルム)等が挙げられる。
本実施形態に係る楕円偏光板10は、少なくとも一方の側に、最外層として粘着剤層又は接着剤層をさらに備えた構成としてもよい。このように、最外層として粘着剤層又は接着剤層を備えることにより、例えば、他の部材(例えば、液晶セル)との積層が容易になり、楕円偏光板10が他の部材から剥離するのを防止できる。上記の粘着剤層及び接着剤層を形成する材料としては、任意の適切な材料を用いることができる。好ましくは、吸湿性や耐熱性に優れる材料が用いられる。吸湿による発泡や剥離、熱膨張差等による光学特性の低下、液晶セルの反り等を防止できるからである。
実用的には、上記の粘着剤層又は接着剤層の表面は、楕円偏光板10が実際に使用されるまでの間、任意の適切なセパレータによって覆われ、汚染が防止される。セパレータは、例えば、任意の適切なフィルムに、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤による剥離コートを設ける方法等によって形成される。
楕円偏光板10を構成する各層は、例えば、サリチル酸エステル系化合物、べンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などの紫外線吸収剤による処理等によって、紫外線吸収能を付与したものであってもよい。
II.楕円偏光板の製造方法
次に、以上に説明した構成を有する楕円偏光板10の製造方法について説明する。
本実施形態に係る楕円偏光板10の製造方法は、保護フィルム12上にnx>ny=nzの屈折率特性を有する第1の複屈折層13を形成する第1の複屈折層形成工程と、第1の複屈折層13上にnz>nx=nyの屈折率特性を有する第2の複屈折層14を形成する第2の複屈折層形成工程と、第2の複屈折層14上にnx>ny>nzの屈折率特性を有する第3の複屈折層15を形成する第3の複屈折層形成工程と、保護フィルム12の第1の複屈折層13が形成されない側の面に偏光子11を積層する偏光子積層工程と、偏光子11の保護フィルム12が形成されない側の面に第2の保護フィルム16を積層する工程とを含む。なお、上記各工程の順序は適宜変更することが可能である。以下、各工程の詳細について、順次詳細に説明する。
<第1の複屈折層形成工程>
本実施形態における第1の複屈折層形成工程は、長尺のプラスチックフィルムの表面をプラスチックフィルムの搬送方向に対して直角方向から回転軸を傾斜させたラビングロールによって擦るラビング処理工程と、ラビング処理工程を経たプラスチックフィルムの表面に液晶性分子を塗工し、該塗工した液晶性分子を固定して、プラスチックフィルム上にnx>ny=nzの屈折率特性を有する第1の複屈折層13を形成する複屈折層形成工程と、プラスチックフィルム上に形成された第1の複屈折層13を保護フィルム12上に転写する転写工程とを含む。
(ラビング処理工程)
図3は、ラビング処理工程を実施するためのラビング処理装置の概略構成を示す正面図である。図4は、図3に示すバックアップロール機構の概略構成を示す図であり、図4(a)は平面図を、図4(b)はバックアップロール近傍の斜視図を、図4(c)は長尺のプラスチックフィルムの搬送方向から見た図をそれぞれ示す。図3に示すように、本実施形態に係るラビング処理装置100は、駆動ロール1、2と、駆動ロール1、2間に架設され、長尺のプラスチックフィルムFを支持して搬送する無限軌道の搬送ベルト3と、搬送ベルト3の上方において上下方向に昇降可能に配設されたラビングロール4と、長尺のプラスチックフィルムFを支持する搬送ベルト3の下面を支持するバックアップロール機構5とを備えている。なお、ラビング装置100の前後には、必要に応じて適切な静電気除去装置や除塵装置等を設置しても良い。
搬送ベルト3は、プラスチックフィルムFを支持する側の表面が鏡面仕上げされた金属表面(搬送ベルト3全体を金属製としてもよい)とされている。かかる金属としては、銅や鋼等の各種金属材料を用いることができるが、強度、硬度、耐久性の点よりステンレス鋼を用いることが好ましい。プラスチックフィルムFとの密着性を確保するため、鏡面仕上げの程度としては、表面粗さ(Ra)を0.02μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.01μm以下とされる。また、プラスチックフィルムFの弛みを防止するには、これを支持する搬送ベルト3の弛みを防止する必要がある。搬送ベルト3の弛みを防止すると共に、駆動ロール1、2間に架設するためにある程度の可撓性を付与する必要があることに鑑みれば、搬送ベルト3の厚みは、0.5mm〜2.0mmとすることが好ましく、より好ましくは0.7mm〜1.5mmとされる。また、搬送ベルト3の弛みを防止すると共に、搬送ベルト3の張力強度を考慮すれば、搬送ベルト3に付与する張力は、0.5〜20kg重/mm2とすることが好ましく、より好ましくは、2〜15kg重/mm2とされる。
ラビングロール4は、その外周面に起毛布4aが巻回されている。起毛布の材質や形状等は、ラビング処理を施されるプラスチックフィルムFの材質に応じて適宜選択すればよい。一般的には、起毛布4aとして、レーヨン、コットン、ナイロン、トリアセテート又はこれらの混合物等を適用することができる。本実施形態に係るラビングロール4の回転軸は、プラスチックフィルムFの搬送方向(図3の矢符Aで示す方向)に対して直角方向から傾斜(例えば、傾斜角度が0°を超え45°以下)させることができるように、すなわち、プラスチックフィルムFの長辺に対して任意の軸角度に設定できるように構成されている。また、ラビングロール4の回転方向は、ラビング処理の条件に応じて適宜選択可能である。なお、ラビングロール4(起毛布4aを含む)の外径は、好ましくは130mm以上170mm以下(より好ましくは140mm以上160mm以下)に設定される。
ラビングロール4によるプラスチックフィルムFのラビング方向(配向方向)は、プラスチックフィルムFと偏光子11とを積層した場合に、偏光子11の吸収軸A(図2参照)に対して所定の角度θを成すような方向とされる。このプラスチックフィルムFのラビング方向は、プラスチックフィルムFの表面に形成される第1の複屈折層13の遅相軸B(図2参照)の方向と実質的に同一である。従って、プラスチックフィルムFのラビング方向と偏光子11の吸収軸Aとの成す所定の角度θは、遅相軸Bと吸収軸Aとの成す角度αと同様に、好ましくは、+8°≦θ≦+38°または−38°≦θ≦−8°、より好ましくは+13°≦θ≦+33°または−33°≦θ≦−13°、特に好ましくは+19°≦θ≦+29°または−29°≦θ≦−19°、とりわけ好ましくは+21°≦θ≦+27°または−27°≦θ≦−21°、最も好ましくは+23°≦θ≦+24°または−24°≦θ≦−23°とされる。
なお、偏光子11が、二色性物質を吸着させたポリマーフィルムを一軸延伸したものである場合には、その延伸方向が吸収軸Aの方向と一致する。そして、偏光子11を大量生産する際には、長尺のポリマーフィルムを準備し、その長手方向に連続的に延伸処理を施すのが一般的である。このため、長尺の偏光子11と長尺のプラスチックフィルムFの表面に形成される第2の複屈折層14とを積層する場合には、両者の長手方向が偏光子11の吸収軸Aの方向と実質的に一致する。従って、プラスチックフィルムFのラビング方向と偏光子11の吸収軸Aとの成す角度θは、プラスチックフィルムFのラビング方向とプラスチックフィルムFの長手方向との成す角度と実質的に一致するため、プラスチックフィルムFのラビング方向とプラスチックフィルムFの長手方向とが上記所定の角度θを成すように、ラビングロール4の回転軸の傾斜角度を設定すればよい。
図4に示すように、バックアップロール機構5は、搬送ベルト3の搬送方向(図4(a)の矢符Aで示す方向)に沿ってそれぞれ回転する複数のバックアップロール51を備えている。そして、各バックアップロール51は、ラビングロール4の直下であって、ラビングロール4の回転軸と略平行な直線に沿って配設されている。
このように、プラスチックフィルムFを支持する搬送ベルト3の下面を支持するバックアップロール機構5が、ラビングロール4の直下であって、ラビングロール4の回転軸と略平行な直線に沿って配設された複数のバックアップロール51を備えるため、ラビングロール4の回転軸が搬送ベルト3の搬送方向に対して直角方向から傾斜している場合(例えば、図4(a)の直線C1がラビングロール4の回転軸である場合)であっても、各バックアップロール51は、プラスチックフィルムF及び搬送ベルト3を介して、傾斜したラビングロール4の直下に配設されることになる。さらに、各バックアップロール51が、搬送ベルト3の搬送方向(プラスチックフィルムFの搬送方向)に沿ってそれぞれ回転するため、各バックアップロール51の回転が搬送ベルト3の搬送方向への移動ひいてはプラスチックフィルムFの搬送を阻害することもない。従って、たとえラビングロール4の回転軸が搬送ベルト3の搬送方向に対して直角方向から傾斜した状態でラビングロール4の押し込み量を大きくしたとしても、搬送ベルト3の平坦度が向上して弛みが生じ難く且つ搬送ベルト3の移動が阻害されることもなく、安定した状態でラビング処理を施すことが可能である。この結果、プラスチックフィルムFに均一な配向特性を付与することができ、ひいては均一な光学特性を有する第1の複屈折層13、ひいては均一な光学特性を有する楕円偏光板10を製造することが可能である。
本実施形態に係るバックアップロール機構5は、好ましい構成として、ラビングロール4の回転軸と略平行な直線に沿って配設された台座部52と、搬送ベルト3表面の法線周りに回転可能に台座部52上に軸支された複数の支持部53とをさらに備え、各バックアップロール51は、各支持部53に搬送ベルト3の搬送方向に沿って回転可能に軸支されている。より具体的に説明すれば、本実施形態に係る支持部53は、軸部材54によって台座部52に軸支されており、軸部材54周りに回転可能とされている。また、本実施形態に係るバックアップロール51は、軸部材55によって支持部53に軸支されており、軸部材55周りに回転可能とされている。
かかる好ましい構成によれば、ラビングロール4の回転軸が搬送ベルト3の搬送方向に対して直角方向(図4(a)の直線C0の方向)から傾斜していても、バックアップロール機構5を構成する台座部52を同じ様に傾斜させる(すなわち、前記傾斜したラビングロール4の回転軸と略平行な直線に沿うように台座部52を傾斜させる)ことにより、搬送ベルト3の移動に伴って(搬送ベルト3下面から付与される摩擦力によって)支持部53に軸支されたバックアップロール51が搬送ベルト3の搬送方向に沿って回転する向きとなるように、台座部52に軸支された支持部53が自然に回転することになる。換言すれば、ラビングロール4の傾斜角度が固定ではなく、傾斜角度の設定値を変更したとしても、台座部52をラビングロール4と同様の傾斜角度に変更するだけで、各バックアップロール51がラビングロール4の直下に配設され且つ搬送ベルト3の搬送方向に沿って回転する状態にすることが可能である。
さらに、図4(c)に示すように、本実施形態に係るバックアップロール機構5は、好ましい構成として、ラビングロール4の回転軸を搬送ベルト3の搬送方向に対して直角方向から傾斜させた場合に、これに伴って台座部52も傾斜するようにラビングロール4と台座部52とを連結する連結機構56を備えている。より具体的に説明すれば、本実施形態に係る連結機構56は、ラビングロール4を回転軸周りに回転可能に且つ上下方向に昇降可能に支持すると共に、台座部52を支持する断面略コの字状の枠体とされており、その頂部に取り付けられたモータMによって、図4(c)の矢符Bの方向に回転可能とされている。モータMによって、連結機構56が図4(c)の矢符Bの方向に回転することにより、連結機構56に支持されたラビングロール4及び台座部52は、同じ方向に同じ角度だけ回転(傾斜)することになる。従って、ラビングロール4と台座部52とを個別に傾斜させる構成に比べて、設定が極めて容易となる。なお、本実施形態では、モータMを用いて自動的に連結機構56を回転させる構成について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、連結機構56を手動で回転させる構成を採用することも可能である。
なお、本実施形態では、好ましい構成として、隣接する各バックアップロール51の回転軸方向の中心間距離L1(図4(a)参照)は、60mm以上200mm以下(より好ましくは、70mm以上150mm以下)に設定される。また、各バックアップロール51の回転軸方向の幅L2(図4(a)参照)は、20mm以上150mm以下(より好ましくは25mm以上70mm以下)に設定される。その他、隣接する各バックアップロール51の離間距離L3(図4(a)参照)は、40mm以上60mm以下(より好ましくは45mm以上55mm以下)に、各バックアップロール51の外径は70mm以上110mm以下(より好ましくは80mm以上100mm以下)に、台座部52の長さは1500mm以上2500mm以下(ただし、搬送ベルト3の幅よりも大きい値とされる)に、それぞれ設定される。
以上に説明した構成を有するラビング装置100を用いてプラスチックフィルムFにラビング処理を施すに際し、所定のロール(図示せず)に巻回した状態の長尺のプラスチックフィルムFの先端が、複数の搬送ロール(図示せず)を経て搬送ベルト3上に供給される。そして、駆動ロール1、2を回転駆動させることにより、搬送ベルト3が図3の矢符Cで示す方向に移動し、これに伴いプラスチックフィルムFも搬送ベルト3と共に搬送され、ラビングロール4によってラビング処理が施されることになる。このように、ラビング装置100を用いることで、ラビング処理をロール・ツー・ローツで行うことができるため、ラビング処理を製造効率良く、且つ、低コストで行うことができる。
なお、本実施形態に係る製造方法の適用対象となるプラスチックフィルムFとしては、その表面をラビング処理するか或いはその表面に形成した配向膜をラビング処理することにより、表面に塗工した液晶性分子を配向させることのできる機能が付与される限りにおいて、その材質に特に制限はない。プラスチックフィルムFの材料としては、前述の保護フィルム12及び第2の保護フィルム16の構成において、保護フィルム12及び第2の保護フィルム16の具体例として説明した材料を用いることができる。長尺のプラスチックフィルムFの材料は、トリアセチルセルロースフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。プラスチックフィルムFは、透明で、色付きが無いことが好ましい。具体的には、厚み方向の位相差値Rth[590]は、好ましくは−90nm〜+90nm、より好ましくは−80nm〜+80nm、最も好ましくは−70nm〜+70nmとされる。また、プラスチックフィルムFの厚みは、上記の好ましい厚み方向の位相差値が得られる限りにおいて、任意の適切な厚みとすることができる。具体的には、好ましくは5mm以下、より好ましくは1mm以下、特に好ましくは1〜500μm、最も好ましくは5〜150μmとされる。さらに、プラスチックフィルムFは、保護フィルム12及び第2の保護フィルム16と同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、プラスチックフィルムFには、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等が施される。
また、プラスチックフィルムFの表面に形成する配向膜としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアミド等を挙げることができる。また、配向膜の形成方法としては、例えば、スピンコート法、バーコート法、スロットダイコート法、ディップコート法などを挙げることができる。
なお、装置仕様等の関係上、一般的には、プラスチックフィルムFの搬送速度は1〜50m/min、好ましくは1〜10m/minの範囲で、ラビングロール4の回転数は1〜3000rpm、好ましくは500〜2000rpmの範囲で、ラビングロール4の押し込み量は100〜2000μm、好ましくは100〜1000μmの範囲とされる。なお、上記「ラビングロール4の押し込み量」とは、プラスチックフィルムF表面に対してラビングロール4の位置を変動させた場合において、ラビングロール4に巻回した起毛布の毛先が最初にプラスチックフィルムF表面に接した位置を原点(0点)とし、当該原点からプラスチックフィルムFに向けてラビングロール4を押し込んだ量(位置の変動量)を意味する。
(複屈折層形成工程)
以上のようにしてラビング処理を施されたプラスチックフィルムFの表面又は配向膜表面には、液晶性分子が塗工され、当該塗工した液晶性分子を硬化又は固化することによって第1の複屈折層13が形成される。
液晶性分子を塗工する際には、一般的に、液晶化合物が溶解された溶液が用いられる。前記溶液に含有される液晶性分子としては、前述のように、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、液晶モノマーなどが適宜用いられる。
液晶ポリマーを用いる場合、液晶ポリマー溶液をプラスチックフィルムFの表面又は配向膜表面に塗布した後、液晶相を示す温度領域以上になるまで加熱し、乾燥させた後、液晶相を示す状態のままで室温まで急冷することにより、光学異方性を示す液晶状態を固定化することが可能である。
液晶プレポリマーや液晶モノマーを用いる場合、これらの溶液をプラスチックフィルムFの表面又は配向膜表面に塗布した後、液晶相を示す温度領域以上になるまで加熱し、乾燥させた後、液晶相を示す状態の温度まで冷却し、紫外線などを露光することにより架橋させて、光学異方性を示す液晶状態を固定化することが可能である。
液晶性分子として液晶ポリマーを用いる場合、液晶モノマー溶液には、好ましくは、重合剤や架橋剤が含まれる。これら重合剤及び架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、以下のようなものが使用できる。前記重合剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が使用でき、前記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート架橋剤等が使用できる。これらは何れか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
液晶モノマー溶液の塗工液は、例えば、前述した化学式(1)〜(16)の何れかで表される液晶モノマーを、適当な溶媒に溶解・分散することによって調製できる。前記溶媒としては、特に制限されないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、フェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、メトキシベンゼン、1、2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピルなどのエステル系溶媒、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2、4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル系溶媒、あるいは二硫化炭素、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ等が使用できる。これらの中でも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸エチルセロソルブである。これらの溶媒は、例えば、一種類でもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。
前記塗工液は、例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法等の従来公知の方法によって流動展開させればよく、この中でも、塗布効率の点からスピンコート法、エクストルージョン法が好ましい。
液晶モノマー溶液の塗工液をプラスチックフィルムFの表面又は配向膜表面に塗布した後の加熱処理の温度条件は、例えば、用いる液晶モノマーの種類、具体的には液晶モノマーが液晶性を示す温度に応じて適宜決定できるが、通常40〜120℃の範囲であり、好ましくは50〜100℃の範囲であり、より好ましくは60〜90℃の範囲である。前記温度が40℃以上であれば、通常、十分に液晶モノマーを配向することができ、前記温度が120℃以下であれば、例えば、耐熱性の面においてプラスチックフィルムFの選択肢が広がることになる。
前記溶解する液晶化合物としては、塗工可能なものである限り特に制限されないが、例えば、棒状液晶化合物、平板状液晶化合物、或いは、これらの重合物が用いられる。より具体的には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類などの液晶化合物や、これらの重合物が好ましく用いられる。
以上のようにして、プラスチックフィルムFの表面又は配向膜表面に、液晶性分子を塗工し、当該塗工した液晶性分子を硬化又は固化することにより、プラスチックフィルムFのラビング方向に沿って液晶性分子が配向するため、形成された第1の複屈折層13の遅相軸B(図2参照)の方向は、プラスチックフィルムFのラビング方向と実質的に同一となる。
(転写工程)
以上のようにプラスチックフィルムF表面に形成された第1の複屈折層13を、保護フィルム12に転写する。転写方法は、特に限定されるものではなく、例えば、プラスチックフィルムFの表面に形成された第1の複屈折層13を粘着剤や接着剤を介して保護フィルム12と貼り合わせることによって行われる。粘着剤としては、代表的には、アクリル系粘着剤が挙げられる。接着剤としては、代表的には、硬化型接着剤を挙げることができる。硬化型接着剤の代表例としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、熱硬化型接着剤が挙げられる。熱硬化型接着剤の具体例としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂及びポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂系接着剤が挙げられる。湿気硬化型接着剤の具体例としては、イソシアネート樹脂系の湿気硬化型接着剤が挙げられる。湿気硬化型接着剤は、空気中の水分や被着体表面の吸着水、水酸基やカルボキシル基等の活性水素基等と反応して硬化するので、接着剤を塗工後、放置することによって自然に硬化させることができ、操作性に優れる。さらに、硬化のために加熱する必要がないので、第1及び第2の複屈折層13、14が、貼り合わせ(接着)の際に加熱されない。このため、加熱収縮の虞がなく、第1及び第2の複屈折層13、14が極めて薄い場合であっても、貼り合わせの際に割れ等が生じることを顕著に防止することが可能である。なお、イソシアネート樹脂系接着剤とは、ポリイソシアネート系接着剤、ポリウレタン樹脂接着剤の総称である。
第1の複屈折層13を保護フィルム12と貼り合わせた後、第1の複屈折層13からプラスチックフィルムFを剥離する。
<第2の複屈折層形成工程>
第2の複屈折層形成工程においては、保護フィルム12上に転写された第1の複屈折層13上に第2の複屈折層14が形成される。かかる第2の複屈折層14の形成は、ホメオトロピック配向に固定された液晶性分子を含むフィルムを第1の複屈折層13の表面に積層することにより行われる。ホメオトロピック配向に固定された液晶性分子を含むフィルムは、液晶性分子(液晶モノマーまたは液晶ポリマー)及び/または液晶性組成物を基板上に塗工し、これらが液晶層を呈する状態においてホメオトロピック配向させ、その配向を維持した状態で固定化することにより作製される。以下、フィルムの詳細な作製手順について説明する。
前記基板としては、任意の適切な基板を採用することができる。具体例としては、ガラス基板、金属箔、プラスチックシートまたはプラスチックフィルムが挙げられる。基板の厚みは、通常、10〜1000μm程度である。金属箔としては、例えば、アルミニウム箔が挙げられる。なお、基板上に垂直配向膜は設けられなくてもよい。
前記プラスチックフィルムとしては、液晶性分子を配向させる温度で変化しない限り、任意の適切なフィルムが採用される。具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムが挙げられる。また、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムも挙げられる。さらに、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アクリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーやそれらのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなども挙げられる。これらの中でも、水素結合性が高く、光学フィルムとして用いられるトリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ノルボルネン系ポリオレフィン等のプラスチックフィルムが好適に用いられる。
前記基板には、基板側から順に任意の適切なバインダー層及びアンカーコート層を設けてもよい。バインダー層を構成する材料の具体例としては、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤)、有機系プライマーが挙げられる。アンカーコート層を構成する材料としては、金属アルコキシドが挙げられる。バインダー層及びアンカーコート層は、任意の適切な方法により形成される。
液晶性分子(液晶モノマーまたは液晶ポリマー)あるいは液晶性組成物を基板上に塗工する方法としては、当該液晶性分子または液晶性組成物を溶媒に溶解した溶液を用いる溶液塗工方法、あるいは液晶性分子または液晶性組成物を溶融して溶融塗工する溶融塗工方法が挙げられる。これらの方法のうち、溶液塗工方法が好ましい方法とされている。これは、ホメオトロピック配向を精密に、且つ容易に実現することができるからである。
溶液塗工の溶液を調整する際に用いられる溶媒としては、液晶性分子または液晶性組成物を溶解し得る任意の適切な溶媒が採用される。具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類、その他、アセトン、酢酸エチル、tert―ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレンブリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素、シクロヘキサノンなどが挙げられる。溶液の濃度は、用いる液晶性分子等の種類(溶解性)や目的とする厚み等に応じて変化し得る。具体的には、溶液の濃度は、好ましくは3〜50重量%、より好ましくは7〜30重量%とされる。
上記の溶液を基板(アンカーコート層)に塗工する方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、バーコート法などが挙げられる。このうち、大面積を均一に塗工し易いグラビアコート法及びバーコート法が好ましい方法とされる。
基板への溶液の塗工後、該溶液から溶媒を除去し、基板上に液晶性分子層または液晶性組成物層を形成させる。溶媒の除去条件は、特に限定されず、溶媒を実質的に除去でき、液晶性分子層または液晶性組成物層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければよい。溶媒の除去は、通常、室温での乾燥、乾燥炉での乾燥、ホットプレート上での加熱などを利用して行われる。
次いで、基板上に形成された液晶性分子層または液晶性組成物層を液晶状態とし、ホメオトロピック配向させる。例えば、液晶ポリマーまたは液晶性組成物が液晶状態を呈する温度になるように熱処理を行い、液晶状態において液晶性分子または液晶性組成物をホメオトロピック配向させる。熱処理は、上記の乾燥方法と同様の方法で行うことができる。熱処理温度及び熱処理時間は、使用する液晶性分子または液晶性組成物ならびに基板の種類に応じて変化し得る。熱処理温度は、好ましくは60〜300℃、より好ましくは70〜200℃、最も好ましくは80〜150℃とされる。一方、熱処理時間は、好ましくは10秒〜2時間、より好ましくは20秒〜30分、最も好ましくは30秒〜10分とされる。10秒〜2時間を好ましい時間とするのは、熱処理時間が10秒より短いと、ホメオトロピック配向形成が十分に進行しないおそれがあり、熱処理時間が2時間を越えると、ホメオトロピック配向形成がそれ以上進行しない場合が多く、作業性及び量産性の点から好ましくないためである。
熱処理終了後、冷却操作を行う。冷却操作としては、熱処理後のホメオトロピック配向液晶フィルムを、熱処理操作における加熱雰囲気中から室温中に出すことや、空冷、水冷などの強制冷却を挙げることができる。冷却操作によって、ホメオトロピック配向液晶フィルムがガラス転移温度以下に冷却されると、ホメオトロピック配向液晶層の配向が固定化される。
基板上に液晶性組成物を塗工した場合は、上記のように固定化されたホメトロピック液晶配向フィルムに対して、光照射または紫外線照射を行うことにより、光重合性液晶化合物を重合または架橋させて光重合性液晶化合物を固定化して、耐久性をさらに向上させることができる。例えば、紫外線照射条件は、重合または架橋反応を十分に促進するために、不活性気体雰囲気中とすることが好ましい。紫外線照射手段として、代表的には、約80〜160mW/cmの照度を有する高圧水銀紫外線ランプを用いることができる。また、メタルハライドUVランプや白熱管などの別種ランプを使用することもできる。なお、紫外線照射時における液晶層の表面温度が液晶状態を呈する温度範囲になるように、温度調節を行うことが好ましい。温度調節の方法としては、コールドミラー、水冷その他の冷却処理、あるいはライン速度を早くするなどが挙げられる。
以上のようにして、液晶性分子または液晶性組成物の薄膜を形成し、そのホメオトロピック配向を維持したまま固定化することにより、ホメオトロピック配向した液晶フィルムが得られる。このフィルム(第2の複屈折層14となる)を、接着剤または粘着剤を介して第1の複屈折層13表面に積層する。そして、この積層体(基板/第2の複屈折層14/第1の複屈折層13/保護フィルム12)から基板を剥離する。
<偏光子及び第2の保護フィルム積層工程>
保護フィルム12の第1の複屈折層13が形成されない側の面への偏光子11及び偏光子11の保護フィルム12が形成されない側の面への第2の保護フィルム16の積層は、本実施形態に係る楕円偏光板10の製造方法における任意の適切な時点で実施することができる。例えば、偏光子11及び第2の保護フィルム16の積層は、下記の(1)〜(3)の時点で実施することができる。
(1)第1の複屈折層形成工程の前
偏光子11及び第2の保護フィルム16を予め保護フィルム12(第1の複屈折層13が保護フィルム12に転写される前)に積層しておく。この場合、保護フィルム12/偏光子11/第2の保護フィルム16からなる積層体の保護フィルム12側の面に第1の複屈折層13を転写することになる。
(2)第1の複屈折層形成工程と第2の複屈折層形成工程との間
保護フィルム12に第1の複屈折層13を転写した後、保護フィルム12の第1の複屈折層13が形成されていない側の面に偏光子11及び第2の保護フィルム16を積層する。この場合、第1の複屈折層13/保護フィルム12/偏光子11/第2の保護フィルム16からなる積層体の第1の複屈折層13側の面に第2の複屈折層14を転写することになる。
(3)第2の複屈折層形成工程と第3の複屈折層形成工程の間
第1の複屈折層13に第2の複屈折層14を転写した後、保護フィルム12の第1の複屈折層13が形成されていない側の面に偏光子11及び第2の保護フィルム16を積層する。この場合、第2の複屈折層14/第1の複屈折層13/保護フィルム12/偏光子11/第2の保護フィルム16からなる積層体の第2の複屈折層14側の面に第3の複屈折層15を積層することになる。
(4)第3の複屈折層形成工程の後
第3の複屈折層15/第2の複屈折層14/第1の複屈折層13/保護フィルム12からなる積層体を形成した後、この積層体の保護フィルム12側の面に偏光子11及び第2の保護フィルム16を積層する。
偏光子11及び第2の保護フィルム16の保護フィルム12への積層方法としては、任意の適切な積層方法(例えば、接着)を用いることができる。接着は、任意の適切な接着剤または粘着剤を用いて行われる。接着剤または粘着剤の種類は、被着体(すなわち、偏光子11、保護フィルム12及び第2の保護フィルム16)の種類に応じて適宜選択され得る。接着剤の具体例としては、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤、イソシアネート系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。粘着剤の具体例としては、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、イソシアネート系、ゴム系等の粘着剤が挙げられる。
本実施形態に係る製造方法によれば、前述のように、プラスチックフィルムFのラビング処理工程において、ラビングロール4の傾斜角度を調整することにより、第1の複屈折層13の遅相軸Bを設定できるので、偏光子11として、長手方向に延伸された(すなわち、長手方向に吸収軸Aを有する)長尺の偏光フィルムを使用することができる。つまり、ラビング方向(配向方向)が長手方向に対して所定の角度をなすようにラビング処理が施された長尺のプラスチックフィルムFと、長尺の偏光子11とを、それぞれの長手方向を揃えて、ロール・ツー・ロール方式で連続的に貼り合せることができる。従って、極めて優れた製造効率で楕円偏光板10を得ることができる。さらに、本実施形態に係る製造方法によれば、プラスチックフィルムFや偏光子(偏光フィルム)11を長手方向に対して斜め方向に切り出して積層する必要がない。このため、切り出した各フィルムにおいて、配向方向や吸収軸の方向にばらつきが生じ難く、結果的に製品間で品質のばらつきが少ない楕円偏光板10が得られる。さらに、切り出しによる廃棄物も生じないので、低コストで楕円偏光板10を得ることができると共に、大型の楕円偏光板10の製造も容易になる。
<第3の複屈折層形成工程>
この工程では、前述のようにして形成された第2の複屈折層14上に第3の複屈折層が形成される。第3の複屈折層15の形成は、ポリマーフィルムを第2の複屈折層14の表面に積層することにより行われる。好ましくは、ポリマーフィルムは、延伸フィルムである。より具体的には、当該ポリマーフィルムは、幅方向に延伸されたフィルムである。このような延伸フィルムは、幅方向に遅相軸を有するので、このような延伸フィルムを第2の複屈折層14に積層すると、第3の複屈折層15の遅相軸が偏光子11の吸収軸(長手方向)に実質的に直交する。積層方法は、特に限定されず、任意の適切な接着剤または粘着剤(例えば、前述したように、保護フィルム12と偏光子11との積層に用いることができる接着剤または粘着剤)を用いて行うことができる。以上のようにして、本実施形態の楕円偏光板10が得られる。
なお、本実施形態に係る楕円偏光板10の製造方法における保護フィルム12上への第1の複屈折層13の形成は、保護フィルム12の表面を保護フィルム12の搬送方向に対して直角方向から回転軸を傾斜させた前述のラビング処理装置100のラビングロール4によって擦るラビング処理工程と、ラビング処理工程を経た保護フィルム12の表面に液晶性分子を塗工し、該塗工した液晶性分子を固定して、保護フィルム12上に第1の複屈折層13を形成する第1の複屈折層形成工程とを実施することによっても行うことができる。このように保護フィルム12をラビング処理する場合は、保護フィルム12は、その表面をラビング処理するか或いはその表面に形成した配向膜をラビング処理することにより、表面に塗工した液晶性分子を配向させることのできる機能が付与される限りにおいて、その材質に特に制限はない。配向膜の材質には、前述したプラスチックフィルムFの表面に形成される配向膜に用いることができるものを採用することができる。また、配向膜の形成は、前述したプラスチックフィルムFの表面への配向膜の形成と同様の方法で行うことができる。また、保護フィルム12へのラビング処理は、前述したプラスチックフィルムFに対するラビング処理と同様の方法で行うことができる。さらに、保護フィルム12への液晶性分子の塗工は、前述したプラスチックフィルムFへの液晶性分子の塗工と同様の方法で行うことができる。また、保護フィルム12に塗工された液晶性分子の固化は、前述したプラスチックフィルムFに塗工された液晶性分子を固化する方法と同様の方法で行うことができる。
III.楕円偏光板の用途
次に、楕円偏光板10の用途について説明する。
<楕円偏光板の用途>
楕円偏光板10は、各種の画像表示装置(例えば、液晶表示装置、自発光型表示装置)に好適に使用される。適用可能な画像表示装置の具体例としては、液晶表示装置、ELディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)が挙げられる。楕円偏光板10を液晶表示装置に用いる場合には、例えば、視野角補償に有用である。楕円偏光板10は、例えば、円偏光モードの液晶表示装置に用いられ、ホモジニアス配向型TN液晶表示装置、水平電極型(IPS)型液晶表示装置、垂直配向(VA)型液晶表示装置等に特に有用である。また、本発明の楕円偏光板をELディスプレイに用いる場合には、例えば、電極反射防止に有用である。
<画像表示装置>
本実施形態に係る楕円偏光板10を適用した画像表示装置として、液晶表示装置を例に挙げて具体的に説明する。ここでは、液晶表示装置が具備する液晶パネルの構成について説明するに留めるが、液晶表示装置が具備するその他の構成については、目的に応じて任意の適切な構成を採用すればよい。図5は、液晶パネルの概略断面図である。図5に示すように、液晶パネル300は、液晶セル20と、液晶セル20の両側に配置された位相差板30、30’と、それぞれの位相差板30、30’の外側に配置された偏光板10、10’とを備える。位相差板30、30’としては、目的及び液晶セルの配向モードに応じて任意の適切な位相差板が採用される。目的及び液晶セルの配向モードによっては、位相差板30、30’の一方または両方が省略され得る。偏光板10は、本実施形態に係る楕円偏光板である。偏光板10’は、任意の適切な偏光板である。偏光板10、10’は、代表的には、互いの吸収軸が直交するように配置されている。図5に示すように、液晶パネル300においては、楕円偏光板10は、視認側(上側)に配置されるのが好ましい。液晶セル20は、一対のガラス基板21、21’と、該基板21、21’間に配された表示媒体としての液晶層22とを有する。一方の基板(アクティブマトリクス基板)21’には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的にはTFT)と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線及びソース信号を与える信号線とが設けられている(何れも図示せず)。他方のガラス基板(カラーフィルター基板)21には、カラーフィルター(図示せず)が設けられている。なお、カラーフィルターは、アクティブマトリクス基板21’に設けてもよい。基板21、21’の間隔(セルギャップ)は、スペーサー(図示せず)によって制御されている。基板21、21’の液晶層22と接する側には、例えばポリイミドからなる配向膜(図示せず)が設けられている。
以下、実施例及び比較例を示すことにより、本発明の特徴をより一層明らかにする。
<実施例1>
(1)ラビング処理された保護フィルムの作製
ケン化処理を施したトリアセチルセルロースフィルムを保護フィルムとし、その保護フィルム表面に厚み1.0μmのポリビニルアルコール(PVA)を配向膜として形成したフィルムに対して、図3及び図4に示すラビング処理装置100を用いて、ラビング処理を施した。なお、搬送ベルト3表面の鏡面仕上げはRa=0.01μm、駆動ロール1、2の外径は550mm、フィルムの搬送速度は5m/min、各バックアップロール51の外径は全て90mm、隣接する各バックアップロール51の回転軸方向の中心間距離L1は全て80mm、各バックアップロール51の回転軸方向の幅L2は全て30mmとした。また、ラビングロール4(起毛布4aを含む)の半径は76.89mmとし、レーヨン製の起毛布を巻回したものを用いた。ラビングロール4の回転軸はフィルムの搬送方向に対して直角方向から22.5°傾斜させ、各バックアップロール51は、ラビングロール4の直下であって、上記回転軸と平行な直線に沿って配置した。ラビングロール4の回転数は1500rpm、押し込み量は0.4mmとした。なお、保護フィルム及び配向膜の厚み測定には、大塚電子製の分光光度計:MCPD2000を用いた。後述する実施例2、3、比較例1、2についても同様である。また、保護フィルムの厚み方向の位相差値Rth[590]は、自動複屈折測定装置(王子計測機器社製:自動複屈折計KOBRA31PR)により、測定温度23℃、測定波長590nmで測定した。
(2)第1の複屈折層/保護フィルムからなる積層体の作製
ネマチック液晶層を示す重合性液晶化合物(BASF社製:商品名「PaliocolorLC242」)10gと、この重合性液晶化合物に対する光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名「イルガキュア907」)0.5gとを、トルエン40gに溶解して、液晶組成物(塗工液)を調製した。
そして、前述のようにして作製した保護フィルムのラビング処理を施した配向膜表面に、上記の塗工液をバーコーターにより塗工した後、90℃で2分間加熱乾燥することにより、液晶を配向させた。このようにして形成された液晶層に、メタルハライドランプを用いて20mJ/cmの光を照射し、該液晶層を硬化させることによって、nx>ny=nzの屈折率特性を有する正の一軸フィルムである第1の複屈折層を形成した。第1の複屈折層の厚み及び面内位相差値Re[590]は、塗工液の塗工量を変化させることにより調整し、厚みは2.2μm、面内位相差値Re[590]は250nmであった。なお、第1の複屈折層の厚み測定には、大塚電子製の分光光度計:MCPD2000を用いた。また、第1の複屈折層の面内位相差値Re[590]は、自動複屈折測定装置(王子計測機器社製:自動複屈折計KOBRA31PR)により、測定温度23℃、測定波長590nmで測定した。後述する実施例2についても同様である。
(3)第1の複屈折層/保護フィルム/偏光子/第2の保護フィルムからなる積層体の作製
ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素を含む水溶液中で染色した後、ホウ酸を含む水溶液中で速比の異なるロール間にて6倍に一軸延伸して偏光子を作製した。この偏光子と、第2の保護フィルムとしてのTACフィルム(厚み40μm)と、第1の複屈折層/保護フィルムからなる積層体とを、接着剤を用いて積層(偏光子の吸収軸方向が長手方向となり、偏光子の吸収軸と第1の複屈折層の遅相軸との成す角度が22.5°又は−22.5°となる)し、第1の複屈折層/保護フィルム/偏光子/第2の保護フィルムからなる積層体を作製した。
(4)第2の複屈折層/第1の複屈折層/保護フィルム/偏光子/第2の保護フィルムからなる積層体の作製
下記化学式(式中の数字65及び35はモノマーユニットのモル%を示し、便宜的にブロックポリマー体で表している:重量平均分子量5000)で示される側鎖型液晶ポリマー20重量部、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:商品名PaliocolorLC242)80重量部及び光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガギュア907)5重量部をシクロペンタノン400重量部に溶解して、液晶塗工液を調製した。そして、TACフィルム(富士写真フィルム社製、厚み40μm:基板となる)に当該塗工液をバーコーターにより塗工した後、90℃で2分間加熱乾燥することによって液晶を配向させた。この液晶層に紫外線を照射し、当該液晶層を硬化させることによって、第2の複屈折層/基板からなる積層体を作製した。第2の複屈折層の面内位相差値Re[590]は、実質的にゼロ、厚み方向の位相差値Rth[590]は−68nm、厚みは0.7μmであった。なお、第2の複屈折層の厚み測定には、大塚電子製の分光光度計:MCPD2000を用いた。また、第2の複屈折層の面内位相差値Re[590]、及び、厚み方向の位相差値Rth[590]は、自動複屈折測定装置(王子計測機器社製:自動複屈折計KOBRA31PR)により、測定温度23℃、測定波長590nmで測定した。後述する実施例2についても同様である。
前述のように形成された第2の複屈折層/基板からなる積層体の第2の複屈折層を、第1の複屈折層/保護フィルム/偏光子/第2の保護フィルムからなる積層体の第1の複屈折層にアクリル系粘着剤を介して貼り合わせ、その後、第2複屈折層から基板を剥離して、第2の複屈折層/第1の複屈折層/保護フィルム/偏光子/第2の保護フィルムからなる積層体を作製した。
(5)楕円偏光板の作製
ノルボルネン系フィルム(日本ゼオン社製、商品名ZEONOR:厚み60μm)を138℃で1.5倍に横一軸延伸し、厚み39μmを有する第3の複屈折層を得た。この複屈折層はnx>ny>nzの屈折率分布を有しており、その面内位相差値Re[590]は120μm、Nz係数は1.6であった。かかる第3の複屈折層を、第2の複屈折層/第1の複屈折層/保護フィルム/偏光子/第2の保護フィルムからなる積層体にアクリル系粘着剤を介して貼り合わせ、第3の複屈折層/第2の複屈折層/第1の複屈折層/保護フィルム/偏光子/第2の保護フィルムからなる楕円偏光板を作製した。なお、第3の複屈折層の厚み測定には、大塚電子製の分光光度計:MCPD2000を用いた。また、第3の複屈折層の面内位相差値Re[590]及びNz係数は、自動複屈折測定装置(王子計測機器社製:自動複屈折計KOBRA31PR)により、測定温度23℃、測定波長590nmで測定した。後述する実施例2についても同様である。
<実施例2>
(1)第1の複屈折層/保護フィルムからなる積層体の作製
ポリエチレンテレフタレートフィルムをプラスチックフィルムとし、そのプラスチックフィルム表面に厚み1.0μmのポリビニルアルコール(PVA)を配向膜として形成したフィルムに対して、実施例1に使用したラビング処理装置100を用いて、実施例1と同様の条件でラビング処理を施した。次に、実施例1において使用した塗工液と同様の塗工液を調製し、該塗工液をプラスチックフィルムのラビング処理を施した配向膜表面に塗工して、液晶を配向させると共に硬化させて、nx>ny=nzの屈折率特性を有する第1の複屈折層をプラスチックフィルム上に形成し、第1の複屈折層/プラスチックフィルムからなる積層体を作製した。なお、塗工液の塗候方法、液晶の配向方法及び硬化方法は実施例1と同様の方法を用いた。次に、第1の複屈折層/プラスチックフィルムからなる積層体の第1の複屈折層を保護フィルムにアクリル系粘着剤を介して貼り合わせ、プラスチックフィルムを第1の複屈折層から剥離し、第1の複屈折層/保護フィルムからなる積層体を作製した。保護フィルムには、実施例1と同一のものを用いた。
(2)楕円偏光板の作製
第1の複屈折層/保護フィルムからなる積層体の作製後は、実施例1と同様の方法によって、楕円偏光板を作製した。なお、第1の複屈折層の面内位相差値Re[590]及び厚み、第2の複屈折層の面内位相差値Re[590]、厚み方向の位相差値Rth[590]及び厚み、第3の複屈折層の面内位相差値Re[590]、Nz係数及び厚み、保護フィルムの厚み方向の位相差値Rth[590]及び厚みは、実施例1と等しいものであった。
<実施例3>
保護フィルム表面に厚み2.0μmのポリビニルアルコール(PVA)を配向膜として形成したフィルムに対してラビング処理を施したこと以外は、実施例1に準じて楕円偏光板を作製した。
<比較例1>
ラビング処理において、図6に示すラビング処理装置100A(搬送ベルト3の下面に、互いに略平行に配設され、搬送ベルト3の搬送方向に沿って回転する複数(5本)の棒状のバックアップロール5Aで支持する構成)を用いたこと以外は、実施例1に準じて楕円偏光板を作製した。
<比較例2>
第2の複屈折層を形成しなかったこと以外は、実施例1に準じて楕円偏光板を作製した。
<評価結果>
(1)搬送ベルトの平坦度評価
実施例1〜3及び比較例1、2で用いたラビング処理装置について、搬送ベルト3の平坦度を評価した。具体的には、ラビングロール4の回転軸方向に沿った複数の箇所で、ラビングロール4と搬送ベルト3との間の隙間の寸法を隙間ゲージを用いて順次測定した。そして、ラビングロール4の回転軸方向に沿って測定した隙間の最大値と最小値との差を、搬送ベルト3表面の平坦度として評価した。
上記評価の結果、比較例1で用いたラビング処理装置100Aでは平坦度が130μmであったのに対し、実施例1〜3及び比較例2で用いたラビング処理装置100では平坦度が50μmであり、ラビング装置100を用いると搬送ベルト3の平坦度が向上することが分かった。
(2)輝点個数の評価
互いの吸収軸が直交するように配置した2枚の偏光板の間に、実施例1〜3及び比較例1、2において作製した第1の複屈折層/保護フィルムからなる積層体を挟み、視認側の偏光板の吸収軸と積層体の遅相軸(第1の複屈折層の遅相軸)とが平行になるように積層した状態で目視することにより、視認できた輝点の個数を評価した。なお、輝点個数は、積層体表面の10cm×10cmの領域で計数し、この個数を1m2当たりの個数に比例換算して評価した。また、第1の複屈折層/保護フィルムからなる積層体について視認できた輝点は、第2の複屈折層を第1の複屈折層に転写して楕円偏光板を作製した後にもほぼ残存することを確認した。
(3)コントラストの評価
実施例1の楕円偏光板同士を重ねた積層体、実施例2の楕円偏光板同士を重ねた積層体、実施例3の楕円偏光板同士を重ねた積層体、比較例1の楕円偏光板同士を重ねた積層体、比較例2の楕円偏光板同士を重ねた積層体について、それぞれの積層体をバックライトで照らし、白画像(偏光子の吸収軸が平行)及び黒画像(偏光子の吸収軸が直交)を表示させ、ELDIM社製 商品名 「EZ Contrast160D」により、視認側の偏光子の吸収軸に対して45°〜135°方向に、且つ、法線に対して−60°〜60°までスキャンさせた。そして、白画像におけるY値(YW)と、黒画像におけるY値(YB)とから、斜め方向のコントラスト比「YW/YB」を算出した。
上記(2)及び(3)の評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1、2及び比較例2において作製した第1の複屈折層/保護フィルムからなる積層体は、輝点個数が5であり、実施例3において作製した第1の複屈折層/保護フィルムからなる積層体は、輝点個数が4であり、比較例1において作製した第1の複屈折層/保護フィルムからなる積層体は、輝点個数が15であった。これは、実施例1〜3及び比較例2に係る保護フィルムの配向特性が比較例1に係るプラスチックフィルムの配向特性に比べて均一であり、これに起因する異物の付着が少なくなったものと考えられる。
また、表1に示すように、コントラストについては、実施例1〜3及び比較例1に係る楕円偏光板を重ねたそれぞれの積層体は、コントラスト10以上の角度が全方位において最小40度、最大50度、最小最大の差が10度であった。コントラスト10以上の角度が全方位において最小40度というのは実用上問題ないレベル(評価A)である。一方、比較例2に係る楕円偏光板を重ねた積層体は、コントラストが10以上の角度が全方位において最小30度、最大50度、最小最大の差が20度であった。コントラスト10以上の角度が全方位において最小30度というのは実用に供しないレベル(評価B)である。また、比較例2に係る楕円偏光板は、最小最大の差が20度と実施例1〜3及び比較例1に係る楕円偏光板より大きいため、実施例1〜3及び比較例1に係る楕円偏光板に比べて視認性が劣る。
以上のことから、実施例1〜3に係る楕円偏光板は、配向特性が比較的均一であり、且つ、コントラストが実用上問題のないレベルであることが分かった。
本実施形態に係る製造方法によって製造される楕円偏光板の概略構成を示す断面図である。 図1に示す楕円偏光板を構成する各層の吸収軸と遅相軸との関係を説明する分解斜視図である。 図3は、ラビング処理工程を実施するためのラビング処理装置の概略構成を示す正面図である。 図4は、図3に示すバックアップロール機構の概略構成を示す図であり、図4(a)は平面図を、図4(b)はバックアップロール近傍の斜視図を、図4(c)は長尺のプラスチックフィルムの搬送方向から見た図をそれぞれ示す。 図5は、楕円偏光板を適用した液晶パネルの概略断面図である。 図6は、本発明の比較例に係るラビング処理装置の概略構成を示す斜視図である。
符号の説明
1,2…駆動ロール
3…搬送ベルト
4…ラビングロール
4a…起毛布
5…バックアップロール機構
10…楕円偏光板
11…偏光子
12…保護フィルム
13…第1の複屈折層
14…第2の複屈折層
15…第3の複屈折層
16…第2の保護フィルム
51…バックアップロール
52…台座部
53…支持部
56…連結機構
100…ラビング装置
300…液晶パネル
F…プラスチックフィルム
M…モータ

Claims (6)

  1. 長尺の保護フィルムの表面を保護フィルムの搬送方向に対して直角方向から回転軸を傾斜させたラビングロールによって擦るラビング処理工程と、
    前記ラビング処理工程を経た保護フィルムの表面に液晶性分子を塗工し、該塗工した液晶性分子を固定して、前記保護フィルム上にnx>ny=nzの屈折率特性を有する第1の複屈折層を形成する第1の複屈折層形成工程と、
    前記第1の複屈折層上にnz>nx=nyの屈折率特性を有する第2の複屈折層を形成する第2の複屈折層形成工程と、
    前記第2の複屈折層上にnx>ny>nzの屈折率特性を有する第3の複屈折層を形成する第3の複屈折層形成工程と、
    前記保護フィルムの前記第1の複屈折層が形成されない側の面に偏光子を積層する偏光子積層工程とを含み、
    前記ラビング処理工程において、金属表面を有する搬送ベルトによって前記長尺の保護フィルムを支持して搬送すると共に、前記保護フィルムを支持する搬送ベルトの下面を支持するバックアップロール機構を配設し、
    前記バックアップロール機構は、前記搬送ベルトの搬送方向に沿ってそれぞれ回転する複数のバックアップロールを備え、
    前記複数の各バックアップロールは、前記ラビングロールの直下であって、前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設されていることを特徴とする楕円偏光板の製造方法。
  2. 保護フィルム上にnx>ny=nzの屈折率特性を有する第1の複屈折層を形成する第1の複屈折層形成工程と、
    前記第1の複屈折層上にnz>nx=nyの屈折率特性を有する第2の複屈折層を形成する第2の複屈折層形成工程と、
    前記第2の複屈折層上にnx>ny>nzの屈折率特性を有する第3の複屈折層を形成する第3の複屈折層形成工程と、
    前記保護フィルムの前記第1の複屈折層が形成されない側の面に偏光子を積層する偏光子積層工程とを含み、
    前記第1の複屈折層形成工程は、
    長尺のプラスチックフィルムの表面をプラスチックフィルムの搬送方向に対して直角方向から回転軸を傾斜させたラビングロールによって擦るラビング処理工程と、
    前記ラビング処理工程を経たプラスチックフィルムの表面に液晶性分子を塗工し、該塗工した液晶性分子を固定して、前記プラスチックフィルム上にnx>ny=nzの屈折率特性を有する第1の複屈折層を形成する複屈折層形成工程と、
    前記プラスチックフィルム上に形成された第1の複屈折層を前記保護フィルム上に転写する転写工程とを含んでおり、
    前記ラビング処理工程において、金属表面を有する搬送ベルトによって前記長尺のプラスチックフィルムを支持して搬送すると共に、前記プラスチックフィルムを支持する搬送ベルトの下面を支持するバックアップロール機構を配設し、
    前記バックアップロール機構は、前記搬送ベルトの搬送方向に沿ってそれぞれ回転する複数のバックアップロールを備え、
    前記複数の各バックアップロールは、前記ラビングロールの直下であって、前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設されていることを特徴とする楕円偏光板の製造方法。
  3. 前記第1の複屈折層は1/2波長板として機能し、前記第3の複屈折層は1/4波長板として機能することを特徴とする請求項1又は2に記載の楕円偏光板の製造方法。
  4. 前記保護フィルムの厚み方向の位相差値Rth[590]の絶対値Aに対する、前記第2の複屈折層の厚み方向の位相差値Rth[590]の絶対値Bの比B/Aが、1.1≦B/A≦4.0を満足することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の楕円偏光板の製造方法。
  5. 前記バックアップロール機構は、
    前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設された台座部と、
    前記搬送ベルト表面の法線周りに回転可能に前記台座部上に軸支された複数の支持部とを更に備え、
    前記複数の各バックアップロールは、前記複数の各支持部に前記搬送ベルトの搬送方向に沿って回転可能に軸支されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の楕円偏光板の製造方法。
  6. 前記バックアップロール機構は、前記ラビングロールの回転軸を前記搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた場合に、これに伴って前記台座部も傾斜するように前記ラビングロールと前記台座部とを連結する連結機構を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の楕円偏光板の製造方法。
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