JP2008258120A - 燃料電池のエージング装置およびその方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より短時間でしかも白金溶出を起こすことなく燃料電池のエージングを行えるようにする。
【解決手段】
燃料電池スタック1を予備運転させるためのエージング装置であって、前記予備運転時に燃料電池スタック1からの負荷電流を消費させる負荷器22と、エージング運転中は、燃料電池スタック1と負荷器22との間に接続されて前記負荷電流の大きさを時間の経過と共に段階的に増加させた後に段階的に減少させる制御部35とを有する。
【選択図】図3
【解決手段】
燃料電池スタック1を予備運転させるためのエージング装置であって、前記予備運転時に燃料電池スタック1からの負荷電流を消費させる負荷器22と、エージング運転中は、燃料電池スタック1と負荷器22との間に接続されて前記負荷電流の大きさを時間の経過と共に段階的に増加させた後に段階的に減少させる制御部35とを有する。
【選択図】図3
Description
本発明は、燃料電池のエージング装置およびその方法に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、燃料電池が車両用駆動源および定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんど無いクリーンな発電システムである。燃料電池は、その燃料となる水素または水素リッチな改質ガス、および空気を供給することによって電気化学反応を引き起こし、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。
燃料電池は、電解質の種類や電極の種類等により種々のタイプに分類され、代表的なものとしてはアルカリ型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子型がある。この中でも自動車用低公害動力源としては、あまり温度を上げずに(通常100℃以下)作動させることができるばかりでなく、他のタイプの燃料電池に比較して特に高い出力密度を有する固体高分子型燃料電池(PEFC)が注目を集めており、実用化に向けて開発が進められている。
固体高分子型燃料電池は、セルの組み立て後において、電池電圧が設計された所定の出力電圧(セル電圧)を示すまで、工場内でエージング運転と称される予備運転(慣らし運転)を行うのが通例である。エージング運転を行なうのは、製造直後の固体高分子型燃料電池の性能は設計性能よりも低い場合が多く、製造後に固体高分子型燃料電池の初期性能を確保する必要があるからである。
通常、エージング運転には、数時間から、場合によっては10数時間といった時間が必要になる。このため、セルの品質評価を迅速に行うことが難しく、また、エージング運転用の発電ガスのコストが嵩むなどの問題がある。従って、固体高分子型燃料電池の場合、エージング運転の時間をいかに短縮するかが課題となる。
この課題を解決するために、下記特許文献1から3に示すようなエージング運転の手法が開示されている。下記特許文献1には、燃料電池の出力電流をセル電圧が所定のエージング終了レベルになるまで増減させ、エージング時間を短縮させる技術が開示されている。また、下記特許文献2には、意図的なフラッディングを起こさせることによって高分子電解質膜を早期に高含水にしてエージング時間を短縮させる技術が開示されている。下記引用文献3には、0.75〜0.90Vの範囲で周期的に変動する負荷を与えることによってエージング時間を短縮させる技術が開示されている。
特開2005−251396号公報
特開2003−217622号公報
特開2005−340022号公報
ところが、従来のエージング運転では、エージング運転時に、出力電流を0にするためにセル電圧が高電位(0.9Vを超過する)になるという問題がある。また、セル電圧が高電位を繰り返すサイクルであるため、セルが備える電極触媒層の白金溶出が起こりやすく、繰り返しのエージング運転によって、電極触媒層の劣化の進行が懸念される。さらに、エージング初期における出力電流が小さいため、生成水量が少なく、高分子電解質が低含水状態となり、エージング時間の短縮が難しい。そして、高分子電解質が低含水状態となることによって、新たな劣化が生じる可能性もある。
本発明は、このような従来のエージング運転の問題を解消するためになされたものであり、より短時間でしかも白金溶出を起こすことなく燃料電池のエージングを行うことができる、燃料電池のエージング装置及びその方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池のエージング装置は、燃料電池を予備運転させるためのエージング装置であって、前記予備運転時に前記燃料電池からの負荷電流を消費させる負荷器と、エージング運転中は、前記燃料電池と前記負荷器との間に接続されて前記負荷電流の大きさを時間の経過と共に段階的に増加させた後に段階的に減少させる制御手段とを有する。
また、上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池のエージング方法は、燃料電池を予備運転させるためのエージング方法であって、エージング運転中は、前記予備運転時に前記燃料電池から出力される負荷電流の大きさを時間の経過と共に段階的に増加させた後に段階的に減少させるものである。
本発明によれば、燃料電池が有している電極触媒層の白金溶出を抑えつつ、燃料電池のエージング運転の時間を短縮することができる。
以下に、本発明に係る燃料電池のエージング装置およびその方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施形態の説明をする前に、本発明の理解を容易なものとするために、燃料電池の一例である固体高分子型燃料電池スタックの全体構成と固体高分子型燃料電池の発電原理を簡単に説明しておく。図1は固体高分子型燃料電池スタックの全体構成を示す斜視図であり、図2は、固体高分子型燃料電池スタックのセル構造を示す要部拡大斜視図である。
実施形態の説明をする前に、本発明の理解を容易なものとするために、燃料電池の一例である固体高分子型燃料電池スタックの全体構成と固体高分子型燃料電池の発電原理を簡単に説明しておく。図1は固体高分子型燃料電池スタックの全体構成を示す斜視図であり、図2は、固体高分子型燃料電池スタックのセル構造を示す要部拡大斜視図である。
本発明に係る固体高分子型燃料電池は、電解質膜と前記電解質膜の両面にアドード極及びカソード極の電極触媒層とガス拡散電極をそれぞれ配置してなる膜電極接合体(以下、MEA(membrane electrode assembly)とも称する。)と、前記アノード及び前記カソード極にそれぞれ燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ供給するためのガス流路が形成されたセパレータによって前記MEAを狭持してなるセルを少なくとも一つ有しており、その詳細な構成は図1及び図2に示すようになっている。
図1に示すように、燃料電池スタック1は、アノードガスとカソードガスの反応により起電力を生じる単位電池としてのセル2を所定数だけ積層した積層体3とされ、その積層体3の両端に集電板4、絶縁板5およびエンドプレート6を配置し、該積層体3の内部に貫通した貫通孔(図示は省略する)にタイロッド7を貫通させ、そのタイロッド7の端部にナット(図示は省略する)を螺合させることで構成されている。
この燃料電池スタック1においては、アノードガス、カソードガスおよび冷却水をそれぞれ各セル2のセパレータ(図示は省略する)に形成された流路溝に流通させるためのアノードガス導入口8、アノードガス排出口9、カソードガス導入口10、カソードガス排出口11、冷却水導入口12および冷却水排出口13を、一方のエンドプレート6に形成している。
アノードガスは、アノードガス導入口8より導入されてセパレータに形成されたアノードガス供給用の流路溝を流れ、アノードガス排出口9より排出される。カソードガスは、カソードガス導入口10より導入されてセパレータに形成されたカソードガス供給用の流路溝を流れ、カソードガス排出口11より排出される。冷却水は、冷却水導入口12より導入されてセパレータに形成された冷却水供給用の流路溝を流れ、冷却水排出口13より排出される。
セル2は、図2に示すように、膜電極接合体14と、このMEA14の両面にそれぞれ配置されるセパレータ15とから構成される。以下、MEA14のアノード側に配置されるセパレータ15を、アノードセパレータ15Aと称し、カソード側に配置されるセパレータ15をカソードセパレータ15Bと称する。
MEA14は、例えば水素イオンを通す高分子電解質膜である固体高分子電解質膜141と、アノード触媒層142Aとガス拡散層143Aからなるアノードとしてのアノード電極144Aと、電極触媒である触媒金属としてのカソード触媒層142Bとガス拡散層143Bからなるカソードとしてのカソード電極144Bとからなる。MEA14は、アノード電極144Aとカソード電極144Bによって、固体高分子電解質膜141をその両側から挟み込んだ積層構造とされている。
セパレータ15は、板厚の薄い金属板を金型で所定形状に成形することにより形成される。セパレータ15は、図に示すように、発電に寄与するアクティブ領域(MEA14と接する中央部分の領域)に、凸条部16と凹条部17を交互に形成した凹凸形状(いわゆるコルゲート形状)を有している。
MEA14のアノード電極144A側に接して配置されるアノードセパレータ15Aの凸部16Aと凹部17Aは、MEA14との間にアノードガス(水素;H2)を流通させる流路溝となりアノードガス流路18を形成する。一方、MEA14のカソード電極144B側に接して配置されるカソードセパレータ15Bの凸部16Bと凹部17Bは、MEA14との間にカソードガス(酸素;O2)を流通させる流路溝となりカソードガス流路19を形成する。 アノードガス流路18に水素を、カソードガス流路19に酸素を、それぞれ流通させると、水素はアノード触媒層142Aが備える白金などの金属の触媒作用で水素イオンに変わり電子を放出する。電子を放出した水素イオンは固体高分子電解質膜141を通過してカソード側に移動する。カソード触媒層142Bでは固体高分子電解質膜141を通過してきた水素と外部回路(図示せず)を経由してきた電子が酸素と電気化学反応を起こして水を生成する。この作用によってアノード電極144Aがマイナスに、カソード電極144Bがプラスになり、図2に示すように、アノード電極144Aとカソード電極144Bとの間で直流電圧が発生する。以上の固体高分子型燃料電池の動作は、エージングが完了し、通常の発電動作が可能になった場合の動作である。
本明細書では、アノード電極144Aとカソード電極144Bとの間に現れる電圧をセル電圧と称し、セル電圧は、セル電圧検出手段として機能するセル電圧計20によって検出される。なお、セル電圧は、燃料電池スタック1を構成する全てのセルから検出するようにしても良いし、燃料電池スタック1を構成するセルの内の複数の代表的なセルのみから検出するようにしても良い。
工場では、図2に示したようなMEA14、アノードセパレータ15A、カソードセパレータ15Bを積層してセル2を形成し、図1に示したようにセル2を複数積層して燃料電池スタック1を形成する。この状態でアノードガス流路18に水素を、そしてカソードガス流路19に酸素を供給しても、固体高分子型燃料電池の発電は正常には行われない。それは、MEA14を構成する固体高分子電解質膜141が発電に適した湿潤状態となっていないからである。発電が正常に行われるようにするためにはいわゆるエージング運転を行う必要がある。
工場では、図2に示したようなMEA14、アノードセパレータ15A、カソードセパレータ15Bを積層してセル2を形成し、図1に示したようにセル2を複数積層して燃料電池スタック1を形成する。この状態でアノードガス流路18に水素を、そしてカソードガス流路19に酸素を供給しても、固体高分子型燃料電池の発電は正常には行われない。それは、MEA14を構成する固体高分子電解質膜141が発電に適した湿潤状態となっていないからである。発電が正常に行われるようにするためにはいわゆるエージング運転を行う必要がある。
固体高分子電解質膜141を発電に適した湿潤状態とするために、本発明では、燃料電池スタック1に流れる負荷電流を増減させている。負荷電流を増減させると、セル内で部分的な非平衡状態が形成され、この非平衡状態の形成によって固体高分子電解質膜141、アノード触媒層142A、カソード触媒層142Bの内部で水素や酸素、水、プロトンイオンなど電気化学反応に関わる反応種のミクロな脈動、拡散効果を得ることができる。この拡散効果によって、固体高分子電解質膜141の含水率の上昇や高分子電解質と触媒とのプロトンイオン伝導パスの形成が促進され、結果的にエージング運転の時間を短縮することができる。 図3は本実施形態に係る燃料電池のエージング装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態に係る燃料電池のエージング装置は、燃料電池を予備運転させるため、図に示すように、アノードガス(水素)とカソードガス(酸素)との供給によって発電する燃料電池スタック1、燃料電池スタック1を構成する全セルのセル電圧を検出するセル電圧計20、エージング運転するときに燃料電池スタック1からの負荷電流を消費させる負荷器22、カソードガスの流量を調整するカソードガス流量調整バルブ24、アノードガスの流量を調整するアノードガス流量調整バルブ26、カソードガスの湿度を調整するカソードガス湿度調整器28、アノードガスの湿度を調整するアノードガス湿度調整器30、燃料電池スタック1と負荷器22との間に接続されて、セル電圧計20の検出電圧を参照しながら、負荷電流の大きさを時間の経過と共に段階的に増加させた後に段階的に減少させる制御手段としての制御部35を備えている。
セル電圧計20は、燃料電池スタック1を構成する全てのアノード電極144Aとカソード電極144Bとの間のセル電圧を検出するものであって、セル電圧検出手段として機能する。
負荷器22は、エージング運転中、制御部35によって調整された燃料電池スタック1からの電流を熱として消費するものであり、具体的には大型の抵抗器である。
負荷器22は、エージング運転中、制御部35によって調整された燃料電池スタック1からの電流を熱として消費するものであり、具体的には大型の抵抗器である。
カソードガス流量調整バルブ24は、制御部35の指示に従って、燃料電池スタック1のカソードにカソードガスを供給するものであり、カソードガスの供給量を調節する機能を有している。
アノードガス流量調整バルブ26は、制御部35の指示に従って、燃料電池スタック1のアノードにアノードガスを供給するものであり、アノードガスの供給量を調節する機能を有している。
カソードガス湿度調整器28は、制御部35の指示に従って、燃料電池スタック1のカソードにカソードガスの湿度を調整する機能を有している。
アノードガス湿度調整器30は、制御部35の指示に従って、燃料電池スタック1のアノードにアノードガスの湿度を調整する機能を有している。
制御部35は、カソードガス流量調整バルブ24、アノードガス流量調整バルブ26の開度の調整を行なって供給量制御をしたり、カソードガス湿度調整器28、アノードガス湿度調整器30の制御を行なって湿度制御をしたり、燃料電池スタック1から負荷器22に流す負荷電流の大きさを時間の経過と共に段階的に増加させた後に段階的に減少させたり、さらには、段階的に増加減少させる負荷電流の大きさに応じてセル電圧があらかじめ定められた電圧以下になるようにセル電圧の調整をする機能を有している。
なお、制御部35は、セル電圧の値を、エージング運転を行なっている最中は0.85Vを越えることがないように制御する。セル電圧が0.85V以上になると、カソード触媒層142Bが備えている白金の溶出が進行しやすくなる。特にセル電圧が0.85Vを跨ぐエージング運転においては、酸化白金から白金への酸化還元過程を経験することになるため、カソード触媒層142Bの白金溶解・溶出を進行しやすくなり、エージング運転においてこれらの触媒層が劣化する可能性がある。したがって、本発明のように0.85V以下のセル電圧となるように電圧を制御することで、エージング運転中の電極触媒層の白金溶解・溶出を抑えることができる。
図4に示すように、制御部35は、負荷電流値調整部36と、セル抵抗値検出部37と、ガス流量調整部38とを有している。
負荷電流値調整部36は、燃料電池スタック1から負荷器22に供給する負荷電流の大きさを、セル電圧計20の検出値を参酌しながら、あらかじめ定めたパターンで、時間の経過と共に段階的に増加させた後に段階的に減少させる制御を行なう機能を有しているものである。また、後述するセル抵抗値検出部37からの負荷電流値調整制御中断信号を受けて負荷電流の調整制御を中断する機能も有している。
セル抵抗値検出部37は、セル抵抗値を検出する機能を有するものである。検出されたセル抵抗値が異常であるとき、具体的には、定められた一定の値を超えているときには、負荷電流値調整部36に負荷電流値調整制御中断信号を出力するとともに、ガス流量調整部38にガス流量調整信号を出力する機能をも有している。
ガス流量調整部38は、セル抵抗値検出部37によって検出されたセル抵抗値が定められた一定の値を超えているとき(セル抵抗値異常)には、カソードガス流量調整バルブ24またはアノードガス流量調整バルブ26のいずれかまたは双方の開度を調整してカソードガスの供給量またはアノードガスの供給量を調整する機能を有するものである。
以上のように構成された本発明に係る燃料電池のエージング装置は、図5から図7の動作フローチャートにしたがってエージング運転を行なう。図5から図7の動作フローチャートは制御部35によって実行されるものであるが、同時に、本発明に係る燃料電池のエージング方法を示すものでもある。エージング運転がどのように行なわれるかを、図8および図9のグラフを参照しながら説明する。
エージング運転の開始指令が制御部35に入力されると、制御部35は図8に示すようなA1からA9までの段階的な電流値制御(エージングサイクル)を繰り返し行うためのサイクル数を設定する。本実施形態の場合、エージングサイクルの設定は、制御部35の記憶装置(図示せず)にあらかじめ設定してあるエージングサイクル数によって行っている。本実施形態ではエージングサイクルを6に設定している(S10)。エージングサイクルの設定が終了すると、制御部35は、エージング運転中セル電圧が0.85Vを越えない範囲で、燃料電池スタック1に図8に示すようなA1からA9までの電流値を段階的に供給する負荷電流値調整制御(S20)と、セル抵抗値異常が生じている場合に負荷電流値調整制御を中断し、セル抵抗値が所定値になるまで、カソードガスの供給量またはアノードガスの供給量を調整するセル抵抗値調整制御(S30)とを並列的に行なう。次に、制御部35は、負荷電流値調整制御とセル抵抗値調整制御とが設定されたエージングサイクル数だけ繰り返されたか否かを判断し(S40)、エージングサイクルが設定値まで達していなければ負荷電流値調整制御とセル抵抗値調整制御とを繰り返し(S40:NO)、エージングサイクルが設定値まで達したら(S40:YES)、エージング運転を終了する。
図5の動作フローチャートに示した負荷電流値調整制御は次のような手順で行なわれる。図6は、負荷電流値調整制御の手順を示す動作フローチャートである。
まず、負荷電流値調整部36は、内部に備えるカウンタNの値を0にする(S21)。次にカウンタNの値を1だけインクリメントする(S22)。負荷電流調整部36は、現時点でのカウンタNの値が1なので、あらかじめ設定されているA1からA9までの負荷電流の内、A1の電流値を負荷電流A1として負荷器22に通電する(S23)。このとき、負荷電流値調整部36は、セル電圧計20によって検出されたセル電圧を入力し、そのセル電圧が、あらかじめ負荷電流A1からA9に対して設定されているセル電圧V1からV9までの電圧(0.85V>V1>V2>V3>V4>V5<V6<7<8<V9<0.85V)の内、負荷電流A1に対して設定されているセル電圧V1になっているか否かを判断する(S24)。検出されたセル電圧がV1になっていなければ(S24:NO)、負荷電流A1を所定時間負荷器22に通電する(S25)。一方、検出されたセル電圧が設定されているセル電圧V1になっていれば(S24:YES)、負荷電流値調整部36は、カウンタNの値が10になったか否かを判断する(S26)。カウンタNの値が10になっていれば(S26:YES)、1サイクル分の負荷電流値調整制御は終了したので、図5に示したS40のステップに進む。一方、カウンタNの値が10になっていなければ(S26:NO)、1サイクル分の負荷電流値調整制御が終了していないので、S22のステップに戻って、S22からS26のステップの処理を繰り返す。
負荷電流値調整制御は、カウンタNの値が1から9になるまでを1サイクルとして行なわれるが、具体的には、図8に示すように、負荷電流A1から負荷電流A5まではそれぞれの大きさの負荷電流について1分ずつ段階的に大きくしていき、負荷電流A5からA9まではそれぞれの大きさの負荷電流について1分ずつ段階的に小さくしていく。したがって、負荷電流値調整制御は1サイクルを10分間で行なう。
エージング運転に要する時間を決定する因子としては、高分子電解質膜141やアノード触媒層142A、カソード触媒層142Bを構成する高分子電解質の含水率や高分子電解質中の水素イオン移動速度、あるいはガス拡散層におけるガス拡散速度、触媒表面における電気化学反応速度の大小が考えられる。これらの値は製造直後には低く、エージング処理によって初めて発電に適した値になると考えられている。
したがって、本発明のように段階的に負荷電流の増減を行なうことによって、燃料電池スタック1の内部で部分的な非平衡状態が形成され、この非平衡状態の形成によって高分子電解質膜141、アノード触媒層142A、カソード触媒層142Bの内部で水素や酸素、水、プロトンイオンなど電気化学反応に関わる反応種のミクロな脈動、拡散効果を得ることができる。これにより、高分子電解質膜141の含水率の上昇や高分子電解質膜141とアノード触媒層142A、カソード触媒層142Bとのプロトンイオン伝導パスの形成などが促進でき、エージング時間の短縮が実現できる。 なお、以上で説明した動作フローチャートにおいては、それぞれの大きさの負荷電流を1分間継続して流すようにしたが、これに限らず、セル電圧VNが所定の値になったときには、1分以内であっても次の段階の負荷電流を流すようにしても良い。逆にそれぞれの大きさの負荷電流を1分間継続して流しても、セル電圧VNが所定の値にならなかったときであっても、次の段階の負荷電流を流すようにしても良い。
また、一定の負荷電流を維持する時間として1分間を例示したが、これに限らず、1分間から3分間の時間を選定するようにしても良い。ただ、一定の負荷電流を維持する時間を長くすると、その分エージング運転に要する時間が長くなるので、あまり長くすることは好ましくない。
また、図5の動作フローチャートに示したセル抵抗値調整制御は次のような手順で行なわれる。図7は、セル抵抗値調整制御の手順を示す動作フローチャートである。
セル抵抗値検出部37は、算出されたセル抵抗値が異常であるか否かを判断する(S31)。セル抵抗値が異常でなければ(S31:NO)、図5に示したS40のステップに進む。一方、セル抵抗値が異常であれば、具体的には、セル抵抗値が定められた一定の値以下の値であるときには(S31:YES)、セル抵抗値検出部37は、負荷電流値調整部36に負荷電流値調整制御中断信号を出力するとともにガス流量調整部38にガス流量調整信号を出力する。負荷電流値調整部36は、この負荷電流値調整制御中断信号を受けて、図5のS20に示されている負荷電流値調整制御を中断する(S32)。一方、ガス流量調整部38は、ガス流量調整信号を受けて、カソードガス流量調整バルブ24またはアノードガス流量調整バルブ26のいずれかのバルブの開度の調整を行ない、いずれかのガスの流量を増加させるガス流量調整を行なう(S33)。セル抵抗値検出部37は、検出されているセル抵抗値が所定値になったか否かを判断する(S34)。セル抵抗値が所定値になっていなければ(S34:NO)、ガス流量の調整を継続して行い、セル抵抗値が所定の抵抗値になっていれば(S34:YES)セル抵抗値検出部37は、負荷電流値調整部36に負荷電流値調整再開信号を出力する。負荷電流値調整部36は、この負荷電流値調整再開信号を受けて図5のS20に示されている負荷電流値調整制御を再開する(S35)。
なお、本実施形態では、カソードガス流量調整バルブ24またはアノードガス流量調整バルブ26のいずれかのバルブの開度の調整を行なっていずれかのガスの流量を増加させるとの説明をしたが、カソードガス流量調整バルブ24とアノードガス流量調整バルブ26の両方のバルブの開度の制御を行なって、カソードガス及びアノードガスの両方のガスの流量を増加させても良い。それぞれのガスの流量をどの程度増加させるかは、セル抵抗値とガス流量との関係が記述されているテーブルに基づいて決定される。このテーブルはガス流量調整部38が記憶している。
セル抵抗値が所定値以下の場合に、ガス流量を増加させるのは、フラッディング(フラッディングとは燃料電池スタック1の発電条件によって燃料電池スタック1の内部に液体の水が滞留する現象を指す)の発生による燃料電池スタック1の出力低下を抑制することができるからである。
セル抵抗値が所定値を超えた場合に負荷電流値調整制御を中断するのは、アノード触媒層142A、カソード触媒層142Bが低含水状態になることによって回復不可能なほどの触媒層内の高分子電解質の劣化が生じたり、膜の劣化が生じたりすることを、事前に回避することができるからである。
燃料電池スタック1のエージング運転中にフラッディングが発生した場合、フラッディングの程度にもよるが、エージング後の燃料電池スタック1の出力電圧が低下する可能性がある。したがって、セル抵抗値検出部37を持つシステムとし、フラッディングが発生した場合、少なくともカソードガス、アノードガスのどちらか一方のガス流量を増加させる制御を行うことで、エージング運転中のフラッディングの発生を防止することができ、燃料電池スタック1の出力低下を抑制することができる。
以上のように、負荷電流値調整制御とセル抵抗値調整制御とを設定されたエージングサイクル数だけ繰り返すと、燃料電池スタック1から正常な発電量が得られるようになる。
図9は、本実施形態に係る燃料電池のエージング装置でエージング運転の繰り返しサイクル数によって出力電圧がどのように変化するかを示した図である。
この図を見れば分かるように、負荷電流値調整制御とセル抵抗値調整制御とを2サイクル行った場合よりも、4サイクル行なった場合の方が、また、4サイクル行った場合よりも、6サイクル行なった場合の方が、同じ電流密度に対するセルの出力電圧が大きくなっていることがわかる。つまり、エージングのサイクル数の多い方が燃料電池スタック1から取り出せる出力が増加していることがわかる。
次に、セル抵抗値調整制御を行なう場合の他の実施形態を2例説明する。第1例目はカソードガス又はアノードガスのいずれか一方の湿度を調整することによってセル抵抗値調整制御を行なうものであり、第2例目は燃料電池スタック1の温度を調整することによってセル抵抗値調整制御を行なうものである。
図10は、第1例目の実施形態を示したものであって、カソードガス又はアノードガスのいずれか一方の湿度を調整することによってセル抵抗値調整制御を行なうようにした制御部35の具体的な構成を示すブロック図である。
図10に示すように、制御部35は、負荷電流値調整部36と、セル抵抗値検出部37と、ガス湿度調整部39とを有している。 負荷電流値調整部36、セル抵抗値検出部37は、図5に示したものと全く同一の機能を有しているのでそれらのここでの説明は省略する。ただ、ここでのセル抵抗値検出部37は、検出されたセル抵抗値が異常であるとき、具体的には、定められた一定の値を超えているときにガス湿度調整部39にガス湿度調整信号を出力する点が異なっている。
図10に示すように、制御部35は、負荷電流値調整部36と、セル抵抗値検出部37と、ガス湿度調整部39とを有している。 負荷電流値調整部36、セル抵抗値検出部37は、図5に示したものと全く同一の機能を有しているのでそれらのここでの説明は省略する。ただ、ここでのセル抵抗値検出部37は、検出されたセル抵抗値が異常であるとき、具体的には、定められた一定の値を超えているときにガス湿度調整部39にガス湿度調整信号を出力する点が異なっている。
ガス加湿量調整部39は、セル抵抗値検出部37から出力されたガス湿度調整信号を受けて、カソードガス又はアノードガスのいずれか一方の湿度を低湿度に調整する。
図5の動作フローチャートに示したセル抵抗値調整制御は次のような手順で行なわれる。図11は、第1例目におけるセル抵抗値調整制御の手順を示す動作フローチャートである。
セル抵抗値検出部37は、算出されたセル抵抗値が異常であるか否かを判断する(S31)。セル抵抗値が異常でなければ(S31:NO)、図5に示したS40のステップに進む。一方、セル抵抗値が異常であれば、具体的には、セル抵抗値が定められた一定の値以下の値であるときには(S31:YES)、セル抵抗値検出部37は、負荷電流値調整部36に負荷電流値調整制御中断信号を出力するとともにガス湿度調整部39にガス湿度調整信号を出力する。負荷電流値調整部36は、この負荷電流値調整制御中断信号を受けて、図5のS20に示されている負荷電流値調整制御を中断する(S32)。一方、ガス湿度調整部39は、ガス湿度調整信号を受けて、カソードガスまたはアノードガスのいずれかのガスの湿度を低湿度にするガス湿度調整を行なう(S33A)。セル抵抗値検出部37は、検出されているセル抵抗値が所定値になったか否かを判断する(S34)。セル抵抗値が所定値になっていなければ(S34:NO)、ガス湿度の調整を継続して行い、セル抵抗値が所定の抵抗値になっていれば(S34:YES)セル抵抗値検出部37は、負荷電流値調整部36に負荷電流値調整再開信号を出力する。負荷電流値調整部36は、この負荷電流値調整再開信号を受けて図5のS20に示されている負荷電流値調整制御を再開する(S35)。
なお、本実施形態では、カソードガスまたはアノードガスのいずれかのガスの湿度を低下させるとの説明をしたが、カソードガスとアノードガスの両方のガスの湿度を減少させても良い。それぞれのガスの湿度をどの程度低下させるかは、セル抵抗値とガス湿度との関係が記述されているテーブルに基づいて決定される。このテーブルはガス湿度調整部39が記憶している。
セル抵抗値が所定値以下の場合に、ガス湿度を低下させるのは、フラッディングの発生による燃料電池スタック1の出力低下を抑制することができるからである。
図12は、2例目の実施形態を示したものであって、燃料電池スタック1の温度を調整することによってセル抵抗値調整制御を行なうようにした制御部35の具体的な構成を示すブロック図である。
図10に示すように、制御部35は、負荷電流値調整部36と、セル抵抗値検出部37と、セル運転温度調整部40と、セル温度検出部42を有している。 負荷電流値調整部36、セル抵抗値検出部37は、図5に示したものと全く同一の機能を有しているのでそれらのここでの説明は省略する。ただ、ここでのセル抵抗値検出部37は、検出されたセル抵抗値が異常であるとき、具体的には、定められた一定の値を超えているときにセル運転温度調整部40にセル運転温度調整信号を出力する点が異なっている。
図10に示すように、制御部35は、負荷電流値調整部36と、セル抵抗値検出部37と、セル運転温度調整部40と、セル温度検出部42を有している。 負荷電流値調整部36、セル抵抗値検出部37は、図5に示したものと全く同一の機能を有しているのでそれらのここでの説明は省略する。ただ、ここでのセル抵抗値検出部37は、検出されたセル抵抗値が異常であるとき、具体的には、定められた一定の値を超えているときにセル運転温度調整部40にセル運転温度調整信号を出力する点が異なっている。
セル運転温度調整部40は、セル抵抗値検出部37から出力されたセル運転温度調整信号を受けて、燃料電池スタック1の温度を上げるように調整する。
セル温度検出部42は、燃料電池スタック1の温度を検出するセンサである。
図5の動作フローチャートに示したセル抵抗値調整制御は次のような手順で行なわれる。図13は、第2例目におけるセル抵抗値調整制御の手順を示す動作フローチャートである。
セル抵抗値検出部37は、その算出されたセル抵抗値が異常であるか否かを判断する(S31)。セル抵抗値が異常でなければ(S31:NO)、図5に示したS40のステップに進む。一方、セル抵抗値が異常であれば、具体的には、セル抵抗値が定められた一定の値以下の値であるときには(S31:YES)、セル抵抗値検出部37は、負荷電流値調整部36に負荷電流値調整制御中断信号を出力するとともにセル運転温度調整部40にセル運転温度調整信号を出力する。負荷電流値調整部36は、この負荷電流値調整制御中断信号を受けて、図5のS20に示されている負荷電流値調整制御を中断する(S32)。一方、セル運転温度調整部40はセル運転温度調整信号を受けて、セル温度検出部42によって検出される燃料電池スタック1の温度をフィードバックしながら燃料電池スタック1の温度を調整する。燃料電池スタック1の温度は、燃料電池スタック1に取り付けられているヒーターに通電させることによって行なう(S33B)。セル抵抗値検出部37は、検出されているセル抵抗値が所定値になったか否かを判断する(S34)。セル抵抗値が所定値になっていなければ(S34:NO)、燃料電池スタック1の温度の調整を継続して行い、セル抵抗値が所定の抵抗値になっていれば(S34:YES)セル抵抗値検出部37は、負荷電流値調整部36に負荷電流値調整再開信号を出力する。負荷電流値調整部36は、この負荷電流値調整再開信号を受けて図5のS20に示されている負荷電流値調整制御を再開する(S35)。
なお、燃料電池スタック1の温度をどの程度上昇させるかは、セル抵抗値と燃料電池スタック1の温度との関係が記述されているテーブルに基づいて決定される。このテーブルはセル運転温度調整部40が記憶している。
セル抵抗値が所定値以下の場合に、燃料電池スタック1の温度を上昇させるのは、フラッディングの発生による燃料電池スタック1の出力低下を抑制することができるからである。
図14〜図16は、本実施形態に係る燃料電池のエージング装置と従来の燃料電池のエージング装置との比較に供する図であり、燃料電池スタック1のセルに流す電流波形を示す。
[比較例1]
図14に示した電流波形は、I1がセル電圧が0.75Vを示すような電流密度を、I2がセル電圧が0.9Vを示すような電流密度を、それぞれ示している。電流はI1とI2との間で周期的に繰り返される。1サイクルの繰り返し周期は1分であり、この電流波形をセルに15サイクル繰り返し供給してエージングを行った。この結果、エージング後の1A/cm2の電流密度をセルに供給したときのセル電圧は0.67Vまでにしか達せず、エージングは不十分であった。また、サイクリックボルタンメトリーで測定した電気化学的有効表面積(ECA)は、エージング前が73.8であったのに対してエージング後は68.2であった。
[比較例2]
図15に示した電流波形は、電流密度を0A/cm2からI1=0.1A/cm2、I2=0.2A/cm2、I3=0.3A/cm2…I10=1A/cm2までを3サイクルずつ0.1A/cm2刻みで増加させる。このとき1サイクルは1分とし、この電流波形をセルに各電流密度で10サイクル繰り返し供給してエージングを行った。この結果、エージング後の1A/cm2の電流密度をセルに供給したときのセル電圧は設定の0.71−0.72Vを示した。また、サイクリックボルタンメトリーで測定したECAは、エージング前が74.8であったのに対してエージング後は53.1まで低下していた。
[比較例3]
図16に示した電流波形は、一定の電流密度1A/cm2で8時間のエージングを行なった。この結果、エージング後の1A/cm2の電流密度をセルに供給したときのセル電圧は設定の0.71−0.72Vを示した。また、サイクリックボルタンメトリーで測定したECAは、エージング前が75.2であったのに対してエージング後は74.8であった。
[本発明]
本発明は、図8に示したような電流の段階的な増減を格段1分間保持0.2A/cm2刻みで6サイクル行なってエージング運転を行なった。具体的には、A1=A9=0.2A/cm2、A2=A8=0.4A/cm2、A3=A7=0.6A/cm2、A4=A6=0.8A/cm2、A5=1.0A/cm2として、エージング運転を行なった。この結果、エージング後の1A/cm2の電流密度をセルに供給したときのセル電圧は設定の0.71−0.72Vを示した。また、サイクリックボルタンメトリーで測定したECAは、エージング前が73.3であったのに対してエージング後は72.6であった。
[比較例1]
図14に示した電流波形は、I1がセル電圧が0.75Vを示すような電流密度を、I2がセル電圧が0.9Vを示すような電流密度を、それぞれ示している。電流はI1とI2との間で周期的に繰り返される。1サイクルの繰り返し周期は1分であり、この電流波形をセルに15サイクル繰り返し供給してエージングを行った。この結果、エージング後の1A/cm2の電流密度をセルに供給したときのセル電圧は0.67Vまでにしか達せず、エージングは不十分であった。また、サイクリックボルタンメトリーで測定した電気化学的有効表面積(ECA)は、エージング前が73.8であったのに対してエージング後は68.2であった。
[比較例2]
図15に示した電流波形は、電流密度を0A/cm2からI1=0.1A/cm2、I2=0.2A/cm2、I3=0.3A/cm2…I10=1A/cm2までを3サイクルずつ0.1A/cm2刻みで増加させる。このとき1サイクルは1分とし、この電流波形をセルに各電流密度で10サイクル繰り返し供給してエージングを行った。この結果、エージング後の1A/cm2の電流密度をセルに供給したときのセル電圧は設定の0.71−0.72Vを示した。また、サイクリックボルタンメトリーで測定したECAは、エージング前が74.8であったのに対してエージング後は53.1まで低下していた。
[比較例3]
図16に示した電流波形は、一定の電流密度1A/cm2で8時間のエージングを行なった。この結果、エージング後の1A/cm2の電流密度をセルに供給したときのセル電圧は設定の0.71−0.72Vを示した。また、サイクリックボルタンメトリーで測定したECAは、エージング前が75.2であったのに対してエージング後は74.8であった。
[本発明]
本発明は、図8に示したような電流の段階的な増減を格段1分間保持0.2A/cm2刻みで6サイクル行なってエージング運転を行なった。具体的には、A1=A9=0.2A/cm2、A2=A8=0.4A/cm2、A3=A7=0.6A/cm2、A4=A6=0.8A/cm2、A5=1.0A/cm2として、エージング運転を行なった。この結果、エージング後の1A/cm2の電流密度をセルに供給したときのセル電圧は設定の0.71−0.72Vを示した。また、サイクリックボルタンメトリーで測定したECAは、エージング前が73.3であったのに対してエージング後は72.6であった。
比較例1の場合、エージング運転には15分しかかけていないが、不十分なエージングしか行なわれず、かつ白金溶出の指標となるECAが大きく低下しているため、電極触媒層からの白金の溶出が起こっている。一方、比較例2の場合、エージング運転に5時間かかり、かつ白金溶出の指標となるECAが大きく低下しているため、電極触媒層からの白金の溶出が起こっている。比較例3の場合、エージング運転には8時間かかっているが十分なエージングが行なわれている。本発明の場合、エージング運転には1時間しかかけていないが十分なエージングが行なわれ、かつ電極触媒層からの白金の溶出が抑えられている。
このように、本発明によれば、従来に比較してかなり短い時間で十分なエージングができることがわかる。
以上のように、本発明によれば、セル電圧が0.85V以上にならないようにして、負荷電流を一定の時間保持しながら段階的に増加させその後段階的に減少させることを何サイクルか繰り返すという簡単な制御を行なうだけで、燃料電池スタックのエージング運転中に起こる電極触媒層の白金溶出を抑えつつ、エージング運転の時間を短縮化することができる。
なお、以上の実施形態では、エージングサイクルをあらかじめ設定した場合を例示したが、エージング運転を行なっている最中に、設定した負荷電流値において設定したセル電圧が得られるようになるまで、エージングサイクルを繰り返すようにしても良い。
以上の実施形態においては、燃料電池スタックが製造された後のエージング運転についてのみ述べたが、本発明は製造後だけではなく、燃料電池スタックを長期間放置後に再起動した場合や長期間発電を続けることによって出力電圧が低下した場合などの回復操作にも適用することができる。
燃料電池のエージングに利用可能である。
1 燃料電池スタック、
2 セル、
3 積層体、
4 集電板、
5 絶縁板、
6 エンドプレート、
7 タイロッド、
8 アノードガス導入口、
9 アノードガス排出口、
10 カソードガス導入口、
11 カソードガス排出口、
12 冷却水導入口、
13 冷却水排出口、
14 膜電極接合体、
15A アノードセパレータ、
15B カソードセパレータ、
15 セパレータ、
16 凸条部、
16A 凸部、
16B 凸部、
17 凹条部、
17A 凹部、
17B 凹部、
18 アノードガス流路、
19 カソードガス流路、
20 セル電圧計、
22 負荷器、
24 カソードガス流量調整バルブ、
26 アノードガス流量調整バルブ、
28 カソードガス湿度調整器、
30 アノードガス湿度調整器、
35 制御部、
36 負荷電流値調整部、
37 セル抵抗値検出部、
38 ガス流量調整部、
39 ガス加湿量調整部、
40 セル運転温度調整部、
42 セル温度検出部、
141 固体高分子電解質膜、
142A アノード触媒層、
142B カソード触媒層、
143A ガス拡散層、
143B ガス拡散層、
144A アノード電極、
144B カソード電極。
2 セル、
3 積層体、
4 集電板、
5 絶縁板、
6 エンドプレート、
7 タイロッド、
8 アノードガス導入口、
9 アノードガス排出口、
10 カソードガス導入口、
11 カソードガス排出口、
12 冷却水導入口、
13 冷却水排出口、
14 膜電極接合体、
15A アノードセパレータ、
15B カソードセパレータ、
15 セパレータ、
16 凸条部、
16A 凸部、
16B 凸部、
17 凹条部、
17A 凹部、
17B 凹部、
18 アノードガス流路、
19 カソードガス流路、
20 セル電圧計、
22 負荷器、
24 カソードガス流量調整バルブ、
26 アノードガス流量調整バルブ、
28 カソードガス湿度調整器、
30 アノードガス湿度調整器、
35 制御部、
36 負荷電流値調整部、
37 セル抵抗値検出部、
38 ガス流量調整部、
39 ガス加湿量調整部、
40 セル運転温度調整部、
42 セル温度検出部、
141 固体高分子電解質膜、
142A アノード触媒層、
142B カソード触媒層、
143A ガス拡散層、
143B ガス拡散層、
144A アノード電極、
144B カソード電極。
Claims (16)
- 燃料電池を予備運転させるためのエージング装置であって、
前記予備運転時に前記燃料電池からの負荷電流を消費させる負荷器と、
エージング運転中は、前記燃料電池と前記負荷器との間に接続されて前記負荷電流の大きさを時間の経過と共に段階的に増加させた後に段階的に減少させる制御手段と、
を有することを特徴とする燃料電池のエージング装置。 - 前記制御手段は、
前記燃料電池を構成するスタックのセル電圧を検出するセル電圧検出手段を有し、
エージング運転中は、前記セル電圧が0.85Vを越えない範囲で前記負荷電流の大きさを段階的に制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池のエージング装置。 - 前記制御手段は、
エージング運転中は、定められた電流値の負荷電流を前記燃料電池から出力させたときに、前記セル電圧が当該電流値に対して定められた電圧値を超えていれば当該定められた電流値の負荷電流を前記燃料電池から一定時間出力させる一方、前記セル電圧が当該電流値に対して定められた電圧値を超えていなければ前記負荷電流の大きさの段階を1段階変更することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池のエージング装置。 - 前記制御手段は、
前記負荷電流の大きさを時間の経過と共に段階的に増加させた後に段階的に減少させるサイクルを、定められた電流値の負荷電流を前記燃料電池から出力させたときに前記セル電圧が当該電流値に対して定められた電圧値になるまで繰り返してエージング運転を終了することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池のエージング装置。 - 前記制御手段は、
前記燃料電池を構成するスタックのセル抵抗値を検出するセル抵抗値検出手段と、
前記燃料電池に供給するアノードガスの流量を調整するアノードガス流量調整バルブまたはカソードガスの流量を調整するカソードガス流量調整バルブの少なくともいずれか一方と、を有し、
エージング運転中は、前記セル抵抗値が定められた抵抗値よりも低い場合、前記アノードガス流量調整バルブまたはカソードガス流量調整バルブの少なくともいずれか一方の開度を、前記セル抵抗値が定められた抵抗値になるように制御することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の燃料電池のエージング装置。 - 前記制御手段は、
前記燃料電池を構成するスタックのセル抵抗値を検出するセル抵抗値検出手段と、
前記燃料電池に供給するアノードガスの湿度を調整するアノードガス湿度調整器またはカソードガスの湿度を調整するカソードガス湿度調整器の少なくともいずれか一方と、を有し、
エージング運転中は、前記セル抵抗値が定められた抵抗値よりも低い場合、前記アノードガス湿度調整器またはカソードガス湿度調整器の少なくともいずれか一方の湿度を、前記セル抵抗値が定められた抵抗値になるように制御することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の燃料電池のエージング装置。 - 前記制御手段は、
前記燃料電池を構成するスタックのセル抵抗値を検出するセル抵抗値検出手段と、
前記燃料電池のスタックのセル温度を検出するセル温度検出手段と、を有し、
エージング運転中は、前記セル抵抗値が定められた抵抗値よりも低い場合、現在セル温度検出手段によって検出されているスタックのセル温度を前記セル抵抗値が定められた抵抗値になるように制御することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の燃料電池のエージング装置。 - 前記制御手段は、
前記燃料電池を構成するスタックのセル抵抗値を検出するセル抵抗値検出手段を有し、
エージング運転中は、前記セル抵抗値が定められた抵抗値よりも高くなった場合、前記燃料電池からの負荷電流の供給を中断させることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の燃料電池のエージング装置。 - 燃料電池を予備運転させるためのエージング方法であって、
エージング運転中は、前記予備運転時に前記燃料電池から出力される負荷電流の大きさを時間の経過と共に段階的に増加させた後に段階的に減少させることを特徴とする燃料電池のエージング方法。 - エージング運転中は、前記燃料電池を構成するスタックのセル電圧が0.85Vを越えない範囲で前記負荷電流の大きさを段階的に制御することを特徴とする請求項9に記載の燃料電池のエージング装置。
- エージング運転中は、定められた電流値の負荷電流を前記燃料電池から出力させたときに、前記セル電圧が当該電流値に対して定められた電圧値を超えていれば当該電流値に対して定められた電流値の負荷電流を前記燃料電池から一定時間出力させる一方、前記セル電圧が当該電流値に対して定められた電圧値を超えていなければ前記負荷電流の大きさの段階を1段階変更することを特徴とする請求項10に記載の燃料電池のエージング方法。
- 前記負荷電流の大きさを時間の経過と共に段階的に増加させた後に段階的に減少させるサイクルを、定められた電流値の負荷電流を前記燃料電池から出力させたときに前記セル電圧が当該電流値に対して定められた電圧値になるまで繰り返してエージング運転を終了することを特徴とする請求項10に記載の燃料電池のエージング方法。
- エージング運転中は、前記燃料電池を構成するスタックのセル抵抗値が定められた抵抗値よりも低い場合、前記燃料電池に供給するアノードガスの流量またはカソードガスの流量を前記セル抵抗値が定められた抵抗値になるように制御することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の燃料電池のエージング方法。
- エージング運転中は、前記燃料電池を構成するスタックのセル抵抗値が定められた抵抗値よりも低い場合、前記燃料電池に供給するアノードガスの湿度またはカソードガスの湿度を前記セル抵抗値が定められた抵抗値になるように制御することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の燃料電池のエージング方法。
- エージング運転中は、前記セル抵抗値が定められた抵抗値よりも低い場合、前記スタックのセル温度を前記セル抵抗値が定められた抵抗値になるように制御することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の燃料電池のエージング方法。
- エージング運転中は、前記セル抵抗値が定められた抵抗値よりも高くなった場合、前記燃料電池からの負荷電流の供給を中断させることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の燃料電池のエージング方法。
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