JP2008240128A - 銅合金管 - Google Patents
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【解決手段】Co:0.03乃至0.15質量%、Sn:0.1乃至1.0質量%、P:0.004乃至0.08質量%、S:0.005質量%以下、O:0.005質量%以下、及びH:0.0002質量%以下を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有する。更に、Zn:0.01乃至1.0質量%を含有することが好ましい。Fe、Ni、Mn、Mg、Cr、Ti及びAgからなる群から選択された1種以上の元素を総計で0.07質量%未満含有することが好ましい。更に、管の引張強さが250乃至300N/mm2、伸びが40%以上、平均結晶粒径が10乃至35μmであることが好ましい。
【選択図】図2
Description
Coは本発明の銅合金管において、Pとの化合物により析出物を形成して、引張強さを向上させる成分である。Coの含有量が0.15質量%を超えると、強度が高くなりすぎて、伸びが低下してしまい、加工性に悪影響を及ぼすことになる。また、本発明の銅合金のCo含有量が0.03質量%未満であると、所望の強度を得ることができない。従って、Coの含有量を0.03乃至0.15質量%とすることが必要である。
Snは固溶硬化によって、引張強さを向上させたり、りん銅ろうなどのろう付けによる熱影響に対して結晶粒度の粗大化が抑制されて耐熱性が向上する。Snの含有量が1.0質量%を超えると、鋳塊における凝固偏析が激しくなり、通常の熱間押出及び/又は加工熱処理により偏析が完全に解消しないことがあり、銅合金管の組織、機械的性質、曲げ加工性、ろう付け後の組織及び機械的性質の不均一性をもたらす。また、押出圧力が高くなり、Snが1質量%以下の合金と同一押出圧力とするには、押出温度を上げることが必要になり、それにより押出材の表面酸化が増加し、生産性の低下及び銅合金管の表面欠陥が増加する。また、本発明の合金へのSn含有量が0.1質量%未満であると、焼鈍後及びろう付け加熱後に十分な引張強さが得られず、細かい結晶粒径を得ることができなくなる。また、りん銅ろうなどによるろう付け加熱時に強度が低下することを抑制する効果及び結晶粒が粗大化することを防止する効果が、不十分なものとなってしまう。従って、Snの含有量を0.1乃至1.0質量%とすることが必要である。
Pは本発明の合金中において、前述のように、Coとの化合物により析出物CoPを形成して、引張強さを向上させる成分である。本発明の銅合金へのP含有量が0.08質量%を超えると、導電率が低下したり、熱間加工性及び冷間加工性が阻害されることになる。一方、P含有量が0.004質量%未満であると、CoP析出物による所定の強度を得ることができず、また脱酸が不十分となり、酸化物が鋳塊に巻き込まれ、鋳塊の健全性が低下すると共に、製造された管の曲げ加工性が低下しやすくなる。従って、Pの含有量を0.004乃至0.08質量%にすることが必要である。
Sは本発明の合金中において、Cuと化合物を形成して母相中に存在する。Sの含有量が増えると、鋳塊時の鋳塊割れ及び熱間押出割れが増加する。また、熱間押出割れが発生しなくても、押出材を冷間圧延し、抽伸すると、材料内部のCu−S化合物は管の軸方向に伸張し、Cu−S化合物界面で割れが発生しやすく、製品加工中や製品において表面疵、割れ等になり、製品の歩留りを低下させる。また、Cu−S化合物界面で割れが発生しない場合でも、本発明の合金管に曲げ加工を行う際、割れ発生の起点となり、曲げ部で割れが発生する頻度が高くなる。このような問題を改善するために、本発明の銅合金管は、S含有量を0.005%以下、望ましくは0.003%以下、更に望ましくは0.0015%以下にする必要がある。Sは、銅地金、スクラップなどの原料、スクラップに付着する油、溶解鋳造雰囲気(溶湯を被覆する木炭/フラックス、溶湯と接触する雰囲気中のSOxガス、炉材等)より比較的簡単に溶湯中に取り込まれるため、S含有量を0.005質量%以下とするには、低品位のCu地金及びスクラップの使用量低減、溶解雰囲気のSOxガス低減、適正な炉材の選定、Mg、Ca等Sと親和性の強い元素を溶湯に微量添加する等の対策が有効である。
本発明の銅合金管において、Oの含有量が0.005質量%を超えると、Cu、Sn及びCoの酸化物の1種又は2種以上が鋳塊に巻き込まれ、鋳塊の健全性が低下すると共に、製造された管の曲げ加工性が低下しやすくなる。このため、Oの含有量を0.005質量%とする必要がある。曲げ加工性をより改善するには、Oの含有量を0.003質量%以下とすることが望ましく、0.0015%以下とすることが更に望ましい。
溶解鋳造時に溶湯に取り込まれる水素が多くなると、ピンホール、粒界に濃化等の状態で鋳塊中に存在し、熱間押出時の割れを発生させる。また、押出後も焼鈍時粒界にHの膨れが発生しやすくなり、製品歩留が低下する。このため、本発明の銅合金管においてはHの含有量を0.0002質量%以下とすることが必要である。製品歩留りをより向上させるにはHの含有量を0.0001質量%以下とすることが望ましい。
Znを添加することにより、銅合金管の熱伝導率を大きく低下させることなく、強度、耐熱性及び疲れ強さを向上させることができる。また、Znの添加により、冷間圧延、抽伸及び転造等に用いる工具の磨耗を低減させることができ、抽伸プラグ、溝付プラグ等の寿命を延命させる効果があり、生産コストの低減に寄与する。また、熱交換器の組み立て工程においても、ヘアピン曲げ時のマンドレルやアルミフィンへ伝熱管を密着させるときの拡管加工時の拡管ビュレットの磨耗も低減させることができる。
Fe、Ni、Mn、Mg、Cr、Ti、Zr及びAgはいずれも本発明の銅合金の強度、耐圧破壊強度及び耐熱性を向上させ、結晶粒を微細化して曲げ加工性を改善する。これらの元素の総含有量が0.05質量%を超えると、押出圧力が上昇するため、これらの元素を添加しないものと同一の押出力で押出加工しようとすると、熱間押出温度を上げることが必要になる。それにより、押出材の表面酸化が多くなるため、本発明の銅合金管において表面欠陥が多発し、製品歩留りが低下する。このため、Fe、Ni、Mn、Mg、Cr、Ti、Zr及びAgの群より選択する1種以上の元素を合計0.05質量%未満とすることが望ましい。また、この総計含有量は、0.03%未満とすることがより望ましく、0.02質量%未満とすることが更に望ましい。
引張強さは、管の強度を示す重要な指標であり、また前述したように管の引張強さは破壊強度にも関係して、引張強度が高いほど管の厚さを薄くすることができる。引張強さが250N/mm2未満であると、エアコン等の熱交換器に組み込んだときの強度が不十分であり、ろう付け後の強度を十分に維持できない。また、引張強さが300N/mm2を超えると、ヘアピン管の曲げ加工での割れ及び拡管加工時に拡管力が高くなりすぎて、拡管できなかったり、拡管のビュレットが固定されているバーが折れる等の不具合が発生する虞がある。従って、引張強さは250乃至300N/mm2にすることが必要である。ここでいう引張強さは、焼鈍して軟質材とした本発明の組成の銅合金管の管軸方向の引張強さである。
伸びは管の加工性を示している。伸びが40%未満であると、ヘアピン曲げ加工時に管が十分に伸びずに、曲げ部に割れが発生したり、機内配管の加工時に不都合が生じる。従って、伸びは40%以上であることが必要である。
結晶粒度は、素材の強度と加工性に重要な役割を果たしている。一般に結晶粒度が小さければ、強度は高いが加工性が低下し、結晶粒度が大きいと、強度が低くなり、加工性は向上する。結晶粒度が35μmを超えると、強度が低下して、エアコン等の熱交換器に組み込んだときの耐圧が不十分となり、またろう付け後の強度を十分に維持できない。また結晶粒度が10μmより低いと、硬すぎてヘアピン管の曲げ加工において割れが発生したり、拡管加工時に拡管力が高くなりすぎて拡管ができなかったり、拡管のビュレットが固定されているバーが折れるなどの不具合が発生する可能性が高くなる。
銅合金管が熱交換器に加工されたとき、銅合金管はろう付けによる熱影響を受ける。このろう付けによる熱影響を模擬して、800℃に15秒間加熱した後の強度を調べる。そして、この800℃に15秒間加熱した後の引張強さが235N/mm2未満であると、運転圧力が高いHFC系フロン冷媒及び炭酸ガス冷媒のとき、疲労破壊が起こりやすくなる。
熱交換器に加工されたとき、ろう付けによる熱影響を模擬した800℃15秒間加熱後に結晶粒径が粗大化するが、その値が100μmを超えると、ろう付け部において耐圧強度の低下が大きく、運転圧力が高いHFC系フロン冷媒及び炭酸ガス冷媒用の熱交換器に用いたとき信頼性が低下する。従って、管軸平行断面の肉厚方向の平均結晶粒径が100μm以下、更には60μm以下が望ましい。
本発明の銅合金管は、りん脱酸銅管に比べて引張強さを大きく、且つ結晶粒径を小さくすることができるので転造加工による内面溝付管の製造に好適である。特に、引張強さが大きいことから、転造加工時に引抜き方向に伸びにくいので溝付プラグの溝部への合金管の肉の充填が円滑であり、良好なフィン形状を有する内面溝付管を高速で加工することが可能になる。銅合金管の引張強さが不足していると、銅合金管が転造加工時に引き抜き方向に伸びてしまい、溝付プラグの溝が銅合金管の内面を押圧しても、銅合金管の内面部分が溝付プラグの溝内に十分に入り込まず、溝加工しにくく、加工速度を遅くせざるを得ない。
(a)溶解鋳造
電気銅を雰囲気中で溶解し、銅が溶解した後、Co及びSnを添加し、更にCu−15質量%P中間合金の添加によりP成分を調整する。所定成分に調整後、所定寸法のビレットに鋳造する。
(b)加熱
ビレットを650乃至850℃に加熱する。
(c)熱間押出
加熱ビレットに穿孔加工を行い、750乃至950℃で熱間押出する。熱間押出の加工率([穿孔されたビレットの断面積−熱間押出後の素管の断面積]/[穿孔されたビレットの断面積]×100%)は80%以上とすることが望ましく、90%以上とすることが更に望ましい。
(d)急冷処理
本件発明の銅合金管に所定の特性を発揮させるには、押出後Coを固溶させること及び再結晶による結晶粒の粗大化を防止することが必要であり、そのために、例えば水冷等の方法により熱間押出材を急冷する。熱間押出後、押出素管の表面温度が300℃になるまでの冷却速度が10℃/秒以上、望ましくは15℃/秒以上、更に望ましくは20℃/秒以上となるように冷却することが好ましい。
(e)圧延
押出素管に圧延加工を行なう。圧延加工率は断面減少率で95%以下、望ましくは90%以下とすることにより、製品不良を低減できる。
(f)抽伸加工
圧延素管に抽伸加工を行なって所定の寸法の素管を製造する。通常、抽伸加工は何台かの抽伸機を用いて行うが、各抽伸機による加工率(断面減少率)は40%以下にすることにより、表面欠陥や内部割れを低減できる。
(g)焼鈍
再結晶及びCo−P化合物の析出が発生する条件で抽伸管を焼鈍する。再結晶により伸びが回復して管の加工性が向上し、またCo−P化合物の析出により目的とする引張り強さと耐力を保持させることが可能になる。本発明の銅合金管を製造するには、抽伸管の実体温度:400乃至700℃で、5分乃至120分間程度保持することが望ましい。また、室温から所定温度までの平均昇温速度を5℃/分以上、望ましくは10℃/分以上とすることが望ましい。なお、通常、ローラーハース炉による連続焼鈍が行われるが、高周波誘導加熱炉を用い、高速昇温、短時間加熱、高速冷却、短時間加熱の焼鈍を行ってもよい。以上の工程で、平滑管が製造される。
(h)内面溝付加工
内面溝付管の場合は、更に、焼鈍した平滑管の内面に溝付転造加工を行う。
(i)焼鈍
その後、加工した内面溝付管に必要に応じて焼鈍する。焼鈍条件は前記(g)と同様である。これにより、内面溝付管が加工される。
先ず、平滑管の実施例について説明する。
次に、内面溝付管の実施例について説明する。溶解から抽伸加工までは、前述の平滑管の場合と同様である。抽伸加工後の平滑管を溝付転造用の素管として、この素管をインダクションヒーターにより中間焼鈍した。
曲げ試験は以下のようにして行った。供試材より長さ1000mmの管を10本採取し、第1実施例はピッチ25mm、第2実施例はピッチ20mmでヘアピン曲げ加工を行い、曲げ部の割れの有無を確認した。図1は供試管の曲げピッチを示す図である。この図1に示すように、曲げピッチとは曲げ加工後の平行部における管1の中心間隔である。
3 フローティングプラグ
4 供試管
3a ベアリング部
3b アプローチ部
5 部分
Claims (6)
- Co:0.03乃至0.15質量%、Sn:0.1乃至1.0質量%、P:0.004乃至0.08質量%、S:0.005質量%以下、O:0.005質量%以下、及びH:0.0002質量%以下を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする銅合金管。
- 更に、Zn:0.01乃至1.0質量%を含有することを特徴とする請求項1に記載の銅合金管。
- 更に、Fe、Ni、Mn、Mg、Cr、Ti及びAgからなる群から選択された1種以上の元素を総計で0.05質量%未満含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の銅合金管。
- 管の引張強さが250乃至300N/mm2、伸びが40%以上、平均結晶粒径が10乃至35μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の銅合金管。
- 800℃に15秒間加熱した後の引張強さが235N/mm2以上であり、平均結晶粒径が100μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の銅合金管。
- 管内面に溝が形成される内面溝付管であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の銅合金管。
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