好ましい実施態様の詳細な説明
本明細書に記載の本発明は、これまでに刊行された研究および係属中の特許出願を参考にする。例えば、このような研究は、科学論文、特許、または係属中の特許出願からなる。本明細書で引用されるこのようなすべての刊行された研究は、参照として本明細書に援用される。本発明は、本明細書に援用される以下の定義によってより十分に理解され得る。
定義
本明細書で使用される場合、用語「オーファン結合部位」とは、別のペプチドまたはポリペプチド配列に結合し得るポリペプチド配列上のこれまでに同定されていない部位をいう。オーファン結合部位は、天然のリガンドが公知である結合部位とは区別され得る。本発明のオーファン結合部位は、標的ポリペプチド上の部位に結合し得るペプチド配列のファージ提示によって見出される。結合部位は、例えば、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーターレセプター(uPAR)が、他のリガンドまたはポリペプチド(例えば、ビトロネクチンおよびインテグリンなど)を結合する以外に、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター(uPA)を結合する場合、第3または第4のさらなるポリペプチドの結合を含み得る。
本明細書で使用される場合、用語「オーファンポリペプチド」とは、オーファン結合部位で結合し得るポリペプチド配列をいう。オーファンポリペプチドは、例えば、オーファン結合部位を決定するためにファージ提示スクリーニングで使用されるペプチドであり得、またはオーファン結合部位に結合する天然または合成分子のポリペプチド配列であり得、そしてオーファン結合部位の位置を決定するために使用されるペプチドと配列が相同である。
本発明で使用される場合、用語「潜在的リガンド」とは、標的ポリペプチドに潜在的に結合し得る任意のペプチド、ポリヌクレオチド、多糖、または他の分子をいう。
本発明で使用される場合、用語「潜在的リガンドライブラリー」とは、上で定義したような潜在的リガンドである少なくとも50の化合物のコレクションまたは混合物をいい、そしてより好ましくは、潜在的リガンドライブラリーは、少なくとも200の潜在的リガンド化合物であり、そしてさらにより好ましくは500を越える化合物である。
本明細書で使用される場合、用語「未知のリガンド」とは、未だ発見されていないが、本発明の方法によって発見され得る標識ポリペプチドのリガンドをいう。潜在的リガンドが標的ポリペプチドを結合し、そしてこれまでに未知のリガンドの結合に拮抗し得る場合、未知のリガンドの同定および存在は、標的ポリペプチドを結合する潜在的リガンドの構造分析によって、または結合がアンタゴニストによって破壊されていることを示す機能的変化によってのいずれかで決定され得る。未知のリガンドはまた、オーファン結合部位で標的ポリペプチドに結合した潜在的リガンドとの競合アッセイで、天然に存在する配列を含むポリペプチドのライブラリーをスクリーニングすることによって決定され得る。
本明細書で使用される場合、用語「バクテリオファージライブラリー」とは、提示のためにバクテリオファージの表面で発現されるペプチドのライブラリーを作成しそして潜在的標的ポリペプチドを接触させる、分子生物学における技術をいう。ライブラリーは、ペプチドとして発現可能でありそしてバクテリオファージによって提示されるポリヌクレオチドであり、そしてこの技術によって使用または生成されるDNAまたはアミノ酸部分であり得る。バクテリオファージパンニングまたは提示は、標的ポリペプチドのリガンドについてのスクリーニングのために本明細書に記載のような適用を有し、これはまた、同定された場合、標的ポリペプチド上のオーファン結合部位を同定する。
本明細書で使用される場合、用語「ペプチド」および用語「ポリペプチド」とは、分子生物学、生化学、または遺伝子治療の技術を使用してヒトによって操作された環境で、インビボまたはインビトロで産生されたペプチドまたはポリペプチドをいう。例えば、単離されたペプチドまたはポリペプチドは、自動化ペプチドまたはポリペプチド合成による無細胞系において、ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸配列および宿主細胞での発現のための調節配列で形質転換された異種宿主細胞において、およびペプチドまたはポリペプチドのコード配列が動物での発現のために導入されている動物において、産生され得る。本明細書の目的のために、天然の産物として細胞の内部に天然状態で存在しない程度まで、ペプチドまたはポリペプチドを単離した。例えば、このような単離されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、10%純粋、20%純粋、またはより高度な純度であり得る。
ペプチド、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドに関して本明細書で使用される場合、用語「誘導体」とは、誘導体であるペプチド、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドの機能性を保持するペプチド、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドを意味する。これらは、例えば、基礎になる核酸分子の部位特異的変異による、アミノ酸欠失、置換、挿入、または逆位によって種々に改変され得る。ペプチド、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドの誘導体はまた、そのフラグメントであり得る。いかなる場合も、誘導体またはフラグメントは、それが由来するペプチドまたはポリペプチドの機能の少なくともいくつか、および好ましくはすべてを保持する。
用語「薬学的組成物」とは、治療薬剤の投与のための組成物をいう。治療薬剤は、例えば、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、低分子、ペプトイド、またはこれらの任意の誘導体であり得、そして組成物を受ける個体に有害な抗体の産生をそれ自体が誘導しない任意の薬学的キャリアをいい、そしてこれは過度の毒性なしに投与され得る。
本発明の治療薬剤の投与は、本発明の薬剤の治療的有効量の投与を含む。本明細書で使用される場合、用語「治療的有効量」とは、本発明の組成物の投与によって処置可能な症状を処置または予防するために十分な治療薬剤の量をいう。この量は、検出可能な治療、予防、または回復効果を示すために十分な量である。この効果は、例えば、本明細書に挙げる症状の治療または予防を含み得る。被験体への正確な有効量は、被験体のサイズおよび健康、処置されるべき症状の性質および範囲、処置する医者の推奨、ならびに投与について選択された治療剤または治療剤の組み合わせに依存する。従って、予め正確な有効量を特定することは有用ではない。しかし、所定の状況の有効量は、日常的実験によって決定され得る。投与はポリペプチドの投与を含み、そしてポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの投与によって、動物においてポリペプチドを発現させ得る。
本明細書において「組換えベクター」とは、本発明の細胞中のポリヌクレオチドの輸送または発現のための任意のベクターをいい、例えば、ウイルスベクター、非ウイルスベクター、プラスミドベクター、ならびに異種宿主および発現系の調節配列に由来するベクターを含む。
本明細書において「調節配列」とは、遺伝子配列の発現に影響を及ぼすかまたは変化を起こし得る1つ以上のエレメントをコードする核酸配列をいい、遺伝子配列がその制御を受けるような位置に配置される場合、その転写または翻訳を含む。このような調節配列は、例えば、最小プロモーター配列、完全プロモーター配列、誘導された活性プロモーター、エンハンサー配列、上流活性化配列(「UAS」)、オペレーター配列、下流終結配列、ポリアデニル化配列、翻訳の開始を最適にするための最適5’リーダー配列、またはシャイン-ダルガーノ配列であり得る。あるいは、調節配列は、ハイブリッドエンハンサー/プロモーターエレメントのような、上記のいずれかのプロモーターのハイブリッドを含み得る。目的の遺伝子の発現に適切な調節配列は、構築物が発現されるべき宿主系に依存して異なる。本明細書での使用に適切な調節配列の選択は、当業者の能力の範囲内である。真核生物において、このような配列は、例えば、1つ以上のプロモーター配列および/または転写終結配列を含み得る。本明細書での使用に適切な調節配列は、原核生物供給源、真核生物供給源、ウイルス、ウイルスベクター、バクテリオファージ、または直線状もしくは環状プラスミドを含む任意の供給源に由来し得る。本明細書の調節配列はまた合成配列であり得、例えば、GADP/ADH2ハイブリッドプロモーターのような、1つの遺伝子のUASと別の遺伝子からの必須プロモーターの残りとを組み合わせることによって作成される配列である。調節配列はまた、リプレッサー配列であり得る。
本明細書で使用される場合、「哺乳動物細胞」とは、宿主細胞として本発明で有用な真核生物細胞のサブセットをいい、そしてヒト細胞、ならびにイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、マウス、ヤギ、ブタなど由来の細胞のような動物細胞を含む。使用される細胞は、遺伝子改変されなくてもよく、あるいは、例えば、適切な発現ベクター、マーカー遺伝子などでの形質転換によって遺伝子改変され得る。本発明の方法に適切な哺乳動物細胞は、目的の遺伝子を発現し得る任意の哺乳動物細胞、あるいはcDNAライブラリー、cRNAライブラリー、ゲノムDNAライブラリー、または本発明の方法に有用な任意のタンパク質もしくはポリペプチドを発現し得る任意の哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞はまた、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から入手可能な、不死化細胞株のような細胞株由来の細胞を含む。このような細胞株には、例えば、ラット褐色細胞腫細胞(PC12細胞)、胚性ガン細胞(P19細胞)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞ガン細胞(例えば、Hep G2)、ヒト胚腎臓細胞、マウスセルトリ細胞、イヌ腎臓細胞、バッファローラット肝細胞、ヒト肺細胞、ヒト肝細胞、マウス乳腺ガン細胞などが挙げられる。また、造血幹細胞、神経球細胞のような神経幹細胞、および胚幹細胞(ES細胞)も挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド配列」、「核酸分子」「核酸配列」、または「コード配列」とは、特定のアミノ酸配列またはその相補鎖をコードするRNAまたはDNAのいずれかをいう。核酸分子はまた、機能的ペプチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列またはリボザイム)をコードしてもまたはしなくてもよい、オリゴヌクレオチドプローブであり得る。
本明細書で使用される場合、用語「アナログ」とは、成熟タンパク質のスプライシング改変体、短縮型、改変体、対立遺伝子、および誘導体などをいう。他に特に指示がなければ、「アナログ」は、「成熟タンパク質」の1つ以上の生物活性を有し、またはペプチドの生物活性を有する。従って、ヒトまたは非ヒト供給源のいずれに由来しても、成熟タンパク質またはペプチドのアミノ酸配列と同一であるか、あるいは少なくとも60%、好ましくは70%、より好ましくは80%、および最も好ましくは90%のアミノ酸配列相同性を含むペプチドまたはポリペプチドは、この定義の範囲内に含まれる。
本明細書における「改変体」は、アミノ酸置換、欠失、または挿入を含む。アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換であり得るか、グリコシル化部位、リン酸化部位、アセチル化部位を改変するため、または機能に必要ではない1つ以上のシステイン残基の置換または欠失によってミスフォールディングを最小にするためのような、非必須アミノ酸残基を除去するための置換であり得る。保存的アミノ酸置換は、置換されたアミノ酸の疎水性/親水性および/または立体嵩の一般的変化を保存する置換であり、例えば、以下の基のメンバー間置換は保存的置換である:Gly/Ala、Val/Ile/Leu、Asp/Glu、Lys/Arg、Asn/Gln、Ser/Thr/Cys、およびPhe/Trp/Tyr。本明細書におけるアナログは、タンパク質の生物活性を有するペプトイドとしても公知である1つ以上のペプチド模倣物を有するペプチドをさらに含む。この定義の範囲内には、1つ以上のアナログアミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を含むポリペプチド、置換された連結を有するポリペプチド、ならびに当該技術分野で公知の天然に存在するおよび天然に存在しない両方の他の改変も含まれる。用語ポリペプチドもまた、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などの、ポリペプチドの発現後改変を排除しない。
用語「結合対」とは、分子の対をいい、通常はタンパク質/タンパク質対をいいうが、タンパク質/DNA対、またはタンパク質/RNA対、またはDNA/DNA対、DNA/RNA対、またはRNA/RNA対を排除せず、そしてタンパク質またはDNAまたはRNAに結合する低分子を含み得る。このような対の成分は、ランダムな分子よりも高い親和性で互いに特異的に結合し、そのため、結合(例えば、リガンド/レセプター相互作用の場合)の際、結合対は、細胞性または細胞内応答を引き起こすかまたは複合体を形成する。リガンド/レセプター結合対の例は、PDGF(血小板由来成長因子)とPDGFレセプターとの間で形成される対である。異なる結合対の例は、抗原/抗体対であり、この抗体は抗原を有する宿主の免疫によって生成される。有機分子−タンパク質結合対の例は、レチノイン酸と、そのタンパク質レセプターであるレチノイン酸レセプターとの結合である。特異的結合は、低い解離定数を有する結合相互作用を示し、これは非特異的なバックグラウンド結合と特異的結合とを区別する。低い解離定数は、例えば、1.0μM、より好ましくは10nM、さらにより好ましくは1.0nMまたはそれ以下である。
本明細書で使用される場合、用語「アンタゴニスト」とは、例えば、レセプターを結合し得るがレセプターによって細胞へ伝達されるべきシグナルを生じない分子のような、検出可能な程度までシグナリングをブロックする分子をいう。アンタゴニストペプチドの場合、ペプチドアンタゴニストは、例えば、インテグリン結合部位でまたはその近くでuPARレセプターに結合し、そしてインテグリンがuPARとの結合対を形成することを阻止し得る。
本明細書で使用される場合、用語「アゴニスト」とは、例えば、レセプターに結合し、そしてレセプターを介する細胞へのシグナル伝達を促進することによって、研究されている経路においてシグナリングを模倣する分子をいう。本発明の場合、uPARのペプチドアンタゴニストのアゴニストは、uPAR:インテグリン結合対の形成をブロックするためのペプチドアンタゴニストを模倣しまたはこれと競合し得る。低分子またはペプトイドは、uPAR:インテグリン結合対相互作用のペプチドアンタゴニストの同じまたは類似の機能を行う能力についてスクリーニングされ得る。
本明細書で使用される場合、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーターレセプター「uPAR」とは、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーターレセプターをいう。uPARは、グリコシルホスファチジル-イノシトール結合したウロキナーゼおよびビトロネクチンレセプターである。uPARは、Blasiら, J. Cell. Biol. 104: 801 (1987)に記載のように、サイトカイン刺激または悪性形質転換の結果として多くの細胞で発現される。
本明細書で使用される場合、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター「uPA」とは、ウロキナーゼプラスミノーゲンを活性化し得るセリンプロテアーゼをいう。その細胞表面レセプターuPARに結合した場合、uPAはプラスミノーゲンをプラスミンに変換する。
本明細書で使用される場合、「インテグリン」とは、細胞外マトリクスタンパク質への細胞接着を媒介することが公知であり、そして細胞能動性に重要な役割を果たすことも公知である、細胞接着レセプターのインテグリンファミリーをいう。
本明細書で使用される場合、用語「細胞骨格疾患」とは、患者の少なくとも1つの組織の細胞骨格における異常症状の形成によって、少なくとも一部を特徴づけられ得る患者における疾患をいう。細胞骨格異常は、種々の症状に関連し得、例えば、腫瘍増殖、転移性ガン、血管新生、創傷、および他の疾患を含む。
本明細書で使用される略号のいくつかは以下のとおりである:EGF、上皮増殖因子;uPA、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター;uPA1-48、ウロキナーゼのアミノ酸1〜48;uPAR、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーターレセプター;sUPAR、ウロキナーゼレセプターの可溶性の短縮形態;uPA13-32、Cys19がAlaに変換されたヒトウロキナーゼのアミノ酸13〜32;PAI-1、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1型;ATF、uPAのアミノ末端フラグメント;HRP、西洋ワサビペルオキシダーゼ;PBS、リン酸緩衝化生理食塩水;BSA、ウシ血清アルブミン。
本発明は、タンパク質上の新規な機能的部位を同定するためのバクテリオファージ提示の使用である。バクテリオファージ提示技術のこの新規な適用を使用して、発明者らは、ヒトウロキナーゼのレセプター結合領域の存在でのヒトウロキナーゼレセプターに結合する新規なペプチド配列を同定し、そしてこのようにして新規な機能的部位を同定した。
従って、同定されたペプチドは、ウロキナーゼレセプター上の2つの新しい機能的部位を定義する。第1は、ウロキナーゼ:ウロキナーゼレセプター複合体のビトロネクチンとの相互作用部位に対応し、そしてビトロネクチンのソマトメジンBドメインとの相同性を示す部位である。第2の機能的部位は、ウロキナーゼレセプターのインテグリンとのこれまでに予期されていない相互作用に関連し、そしておそらくインテグリン:ウロキナーゼレセプター界面を定義する。この第2の部位の調節は、インテグリン活性/特異性の変化を導き得、そして細胞接着および他のインテグリンが媒介する事象に影響を与える。
本発明は、uPAR:ビトロネクチン結合相互作用を阻害する3つのペプチドである、ペプチド7(配列番号1)、ペプチド9(配列番号2)、およびペプチド18(配列番号3)、ならびにuPAR:ビトロネクチン相互作用を阻害するためのこれらのペプチドの使用を包含する。ビトロネクチンは、Waltzら, J. Biol. Chem. 269: 14746-14750 (1994)に記載のように、uPARへの結合に関連している。Weiら, J. Biol. Chem. 269:32380-32388 (1994)に記載のように、ウロキナーゼレセプターが、ビトロネクチンに対するuPA依存性接着レセプターであり得ることが示されている。Preissnerら, Annu. Rev. Cell Biol. 7:275-310 (1991)に記載のように、ビトロネクチンは、循環および細胞外マトリクスの両方の形態で存在する調節ドメイン構造を有する複合糖タンパク質である。これは、Felding-Habermannら, Curr. Biol. 5, 864-868 (1993)に記載のように、α-vサブユニットを有するインテグリンを含む種々の細胞表面成分と、ならびにMimuroら, J. Biol. Chem. 264: 936-939 (1989)に記載のように、PAI-1の活性コンフォメーションと相互作用する。この後者の相互作用は、Seiffertら, J. Biol. Chem. 266: 2824-2830 (1991)およびSeiffertら, J. Biol. Chem. 269: 2659-2666 (1994)に記載のように、ビトロネクチンのソマトメジンBドメインを介するようである。より最近には、Ciambroneら, J. Biol. Chem. 267: 13617-13622 (1992)に記載のように、ビトロネクチンが、病巣接触で細胞外マトリクス中のuPAと同時に局在することが示されている。この現象の説明は、uPARが、ビトロネクチンに対する接着レセプターであるという実証によって提供され、この結合は、Weiら, J. Biol. Chem. 269: 32380-32388 (1994)に記載のようにuPAによって刺激される。
発明者らは、インビトロでuPA1-48:uPAR複合体のビトロネクチンへの結合を阻害し、そしてU937細胞のビトロネクチンへの接着をブロックする、バクテリオファージ提示由来の15マーペプチドを見出した。これらのペプチドは、ビトロネクチンのソマトメジンBドメインとの相同性を示す。この相同性は、uPAR:uPA1-48複合体およびPAI-1の結合部位が重複し得ることを示唆し、これは、PAI-1がこれらの複合体のビトロネクチンへの結合について競合するという事実によって示される。バクテリオファージ由来ペプチドおよびビトロネクチン配列の推定アライメントは、uPAR:uPA1-48複合体の結合が、uPAR結合部位のC末端から16アミノ酸のみ離れた残基45〜47で見られるRGD配列によって定義されるような、avインテグリンの結合部位に接近して生じることを示唆する。ビトロネクチン中のこれらの結合部位の近接は、uPARとインテグリンとの間の協同相互作用の可能性を示唆する。このような相互作用は、インテグリンビトロネクチンレセプターとの機能的カップリングを介するuPARのシグナリング能力についてのメカニズムを提供し得、ここで、ビトロネクチンはuPARおよびインテグリンを架橋結合するために作用する。これは、GPI結合した必須の膜タンパク質がどのように細胞にシグナルを伝達するかについての説明を提供する。
本発明はまた、ペプチド25(配列番号4)のようなuPAR:インテグリン部位の例を示す特定のペプチドを包含する。クローン25は、異なる配列モチーフを示し、そしてD23への等価結合に基づいて、suPAR上の独特の結合部位を同定する。uPARとインテグリンとの間の結合対相互作用を阻害するために必要であるが十分ではないと発明者らが決定した配列モチーフは、GYZYであり、ここでZはMまたはVである。ペプチド25は、ウロキナーゼレセプターに結合し、そしてインテグリン機能を調節することが示されている。ペプチド25の配列は、AESTYHHLSLGYMYTLNであり、ここで、アラニン置換によって、アミノ酸YHXLXXGYMYT(ここでXが任意のアミノ酸である)は、インテグリンへのuPARの結合を阻害するために重要であることを決定した。
本発明のさらなる局面は、同じ活性を有する他の分子(例えば、低分子およびペプトイド)のアッセイの開発のためのリード化合物および手段としてのペプチド25の使用である。
Xueら, J. Immunol. 152: 4630-4640 (1994)、Bohuslavら, J. Exp. Med. 181: 1381-1390 (1995)、Confortiら, Blood 83: 994-1005 (1994)、およびReinartzら, Exp. Cell Res. 220: 271-282 (1995)に記載のように、他の研究者らは、uPARおよび両方のb2インテグリン(特にMac-1、およびavb3およびavb5)が、細胞で同時に局在するようであることを示した。しかし、これらのいずれの場合も、uPARとインテグリンとの間の潜在的生化学的相互作用を調べるための直接的プローブは存在しなかった。
これまでの研究は、Goodsonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 7129-7133 (1994)に記載のように、uPAR上のuPA結合部位に対する高い親和性のペプチドリガンドの選択が、比較的効果的なプロセスであることを実証した。発明者らは、Stratton-Thomasら, Prot. Eng. 8: 463-470 (1995)に記載のように、uPA結合部位ペプチドの選択を減少させるために、uPA(uPA1-48)の過剰の組換えEGF様ドメインを含むことによって、uPAR上のさらなる機能的に重要な部位に対する親和性を有するペプチド提示バクテリオファージについて選択することによって、この分析を拡大した。EGF様ドメインは、レセプター結合モチーフであり、そしてuPAと同様の親和性(0.1〜5nM)でuPARに結合する。Devlinら, Science 249: 404-406 (1990)に記載のように、15マーランダムペプチドバクテリオファージライブラリーは、磁性ビーズに固定したsuPAR:uPA1-48複合体でアフィニティー選択された。
uPAR:ビトロネクチン相互作用における種々のペプチドリガンドの効果を分析するために、発明者らは、この相互作用についてのインビトロELLSAベースのアッセイを開発した。アッセイの条件下で、ビオチン化したuPARのビトロネクチンへの結合は、図1に示すように、uPA1-48に厳密に依存する。uPA1-48:suPAR複合体のビトロネクチンへの明らかな化学量論的結合は、この相互作用の親和性が複合体の濃度よりも高いこと(Kd<20nM)を示す。
次いで、種々のバクテリオファージ由来ペプチドがuPA1-48:uPAR複合体のビトロネクチンへの結合に影響を及ぼす能力を、ELISAアッセイで評価した。2つのクラスのペプチドは、このアッセイで有効なアンタゴニストであった。第1に、sUPARへのuPA1-48結合に直接的に競合するクローン20およびuPA13-32は、結合を減少させる。非常に減少したレセプター結合活性を示すクローン20ペプチドのアナログは、ビトロネクチンへの結合に影響を与えなかった。第2に、uPA1-48結合に対して非常に減少した競合を示すクローン7および18(図6の表を参照のこと)もまた複合体結合を阻害するが、クローン7のスクランブル化バージョン(クローン7と同じアミノ酸を有するが、異なる順序で)は阻害しない。単独で試験した場合、どのペプチドもビオチン化sUPARのビトロネクチンへの結合を増加させなかった。
バクテリオファージとしてsuPARに効果的に結合した第3のペプチドであるクローン25は、uPA1-48刺激したビトロネクチン結合にほとんどまたは全く効果を有さなかった。
クローン7および18ペプチドが、uPAR上のビトロネクチン結合部位に直接結合し、そしてその部位に対する直接的競合によってuPAR:uPA1-48によるビトロネクチン結合を阻害するかどうかを試験するために、発明者らは、これらのバクテリオファージの結合におけるビトロネクチンの効果を検査した。ビトロネクチンは、uPA1-48:suPAR複合体へのバクテリオファージ結合を5〜10倍減少させ、これは、これらのペプチドがuPARリガンドとしてビトロネクチンを模倣するという仮説に一致する。
これまでの結果は、Weiら, J. Biol. Chem. 269: 32380-32388 (1994)に記載のように、uPARによるビトロネクチン結合が、刺激されたU937細胞の細胞接着と相互関係があることを示した。クローン7ペプチドがこれらの細胞のuPARが媒介する接着をブロックし得るかどうかを次に試験し、その結果、クローン7はuPAR:ビトロネクチン相互作用の効果的ブロッカーであるが、一方同じペプチドのスクランブル化バージョンは効果を示さなかった。
本発明者らは、uPA1-48:uPAR複合体のビトロネクチンへの結合がPAI-1、ビトロネクチン、およびビトロネクチンのソマトメジンBドメインによってブロックされることを示した。ビトロネクチンのもう1つの機能は、PAI-1の活性コンフォメーションを安定化させることであり、これは、Seiffertら, J. Biol. Chem. 269: 2659-2666 (1994)に記載のようにビトロネクチンのソマトメジンBドメインを介して生じるようである。PAI-1は、ビトロネクチンへのuPA1-48:suPAR複合体結合の非常に効果的な競合物であり、10nMの見かけのIC50を有する。これは、uPARおよびPAI-1の結合部位が重複していることを示唆した。Seiffertら, J. Biol. Chem. 269: 2659-2666 (1994)に記載のように、活性PAI-1への高親和性ビトロネクチン結合が主としてソマトメジンBドメインを介することが示されてきた。本発明者らは、ビトロネクチンおよび組換えソマトメジンBドメインがまた、ビトロネクチンへのuPAR結合を阻害するか否かを試験し、そして両方の分子が阻害するが、ドメインの点変異によってその阻害を消失することを見いだした。
本発明者らは、PAI-1の結合部位である、ビトロネクチンのソマトメジンBドメインに相同であるバクテリオファージペプチドを同定した。ビトロネクチンのソマトメジンBドメインはuPAR結合をブロックし、従って、本発明者らは、このドメインに対する相同性について、バクテリオファージ由来のペプチド7および18の配列を調べた。図4に示すように、ソマトメジンBドメインの残基24-28とクローン7および18ペプチドとの間に、保存されたモチーフ、LXXArY(ここで、Xは親水性残基であり、そしてAr=F,Y)がある。さらに、クローン7および18は、保存されたロイシンのすぐN-末端に配列E-D-Lを共有するが、関連する配列D-E-Lは、保存された配列LCSYYに隣接する残基22-24でビトロネクチンのソマトメジンBドメインに見いだされる。
ペプチド7のどの残基がuPAR結合およびビトロネクチン結合の阻害に重要であるかを決定するために、本発明者らは、各残基を別々にアラニンと置換し、そしてuPAへのバクテリオファージ結合の阻害、およびビトロネクチンへのuPA1-48:uPAR複合体の結合の妨害について、得られるペプチドを試験した。図5に示す結果は、ペプチドとビトロネクチンとの間に保存される残基が、これらのアッセイで活性に重要であることを示す。
さらに、本発明者らは、組換えuPARドメイン2-3フラグメントが、バクテリオファージを結合するが、uPA1-48は、結合しないとを決定した。uPARは、相同システイン含有ドメインの3つの繰り返しを含むLy6/CD59ファミリーの唯一のメンバーである、Ploughら, FEBS Lett. 349: 163-168 (1994)。本発明者らのこれまでの研究は、Weiら, J. Biol. Chem. 269: 32380-32388 (1994)に記載のように、uPAR上のビトロネクチンに対する結合部位がドメイン2および3(D23)にあることを示唆する。この質問をさらに提出するために、本発明者らは、バキュロウイスル感染したSf9昆虫細胞中でsuPARのフラグメント、残基93〜313を発現し、C末端の6アミノ酸エピトープタグを有する第2および第3のCD59相同ドメインを含むことを予測した。分泌されたタンパク質を、抗エピトープアフィニティーカラムで精製し、そしてsuPAR結合アッセイにおいて競合するその能力について最初に試験した。同じ条件下で0.1nMのIC50を示すインタクトなsuPARとは反対に、100nM D23でこのアッセイでの競合がなかった。
次いで、本発明者らは、種々のリガンドを提示したuPARバクテリオファージの固定化したD23に結合する能力を試験した。図6に示す結果は、リガンドがD23およびsUPARへの結合に関して3つの異なるクラスに分かれることを示す。クローン20および13-32は、インタクトなsUPARにのみ顕著に結合するが、クローン9および25はD23フラグメントおよび全長レセプターに等価に結合する。クローン7および18ペプチドを有するバクテリオファージは、中程度のD23への結合を示し、そしてインタクトなレセプターへの実質的により良好な結合を示す。
インテグリンは、Dustinら, Nature 329: 846 (1987)およびShattilら, Curr. Opin. Cell Biol. 6: 695 (1994)に記載のように、細胞分化、移動、および生存に重要な細胞輸送および細胞内シグナリング事象を調節する接着相互作用に関連するヘテロダイマーレセプターのクラスである。インテグリンを介する細胞の接着は、リガンド結合に加えて、Miyamotoら, Science 267:883 (1995)およびBurridgeら, Annu. Rev. Cell Biol. 4:487 (1998)に記載のように、インテグリン分布の再構築および細胞骨格にインテグリンを連結する連結エレメントの組み立てを必要とする。β1インテグリンは、この点に関して広く研究されてきた。β1鎖の細胞質テイルはテーリンおよびα-アクチンを結合し、これらはそれ自体が、Oteyら, J. Cell. Biol. 111: 721 (1990)およびSchallerら, J. Cell. Biol. 130: 1181 (1988)に記載のように、アクチンと直接的に相互作用する。さらに、このような細胞骨格連結の組み立ては、厳密には細胞表面発現の結果ではないが、Faullら, J. Cell. Biol. 121: 155 (1993)、Masumotoら, J. Biol. Chem. 268: 228 (1993)、およびBurnら, Proc. Nat’l. Acad. Sci. U.S.A. 85: 497 (1988)に記載のように二次細胞シグナリングをしばしば必要とする。本発明を生じる実験的事象の前に、インテグリンの機能的状態での動力学的変化を媒介するインテグリン関連タンパク質は、ほとんど不確定のままであった。
本発明者らは、uPARの発現が、ビトロネクチンに対する接着性を与えるだけでなく、胎児性腎細胞(293細胞)のフィブロネクチンへのβ1-依存性接着を顕著に減少させることを決定した。この研究は、293細胞でのuPARの発現が、インテグリン依存性フィブロネクチンおよびコラーゲン接着性を改変したという基づいた。ファージ提示ペプチドライブラリーを、uPAR結合ファージについてスクリーニングした。多くのuPAR結合ペプチドは、Goodsonら, Proc. Nat’l. Acad. Sci. U.S.A. 91: 7129 (1994)に記載されている。ペプチド25およびいくつかのコントロールを合成し、精製し、そして接着に対する効果についてスクリーニングした。ペプチド25では、ビトロネクチンへの293細胞のグリコホスファチジルイノシトール(GPI)結合uPAR依存性接着を廃止し、約60μMのIC50を有することを見いだしたが、コントロールでは見られなかった。ペプチド25は、接着をブロックする濃度の約100μMでβ1/カベオリン/uPAR複合体を大きく抑止したが、コントロールでは抑止されなかった。これらの観察は、細胞接着性を調節する細胞膜内のこれまでに認識されていない機能的ユニットを同定する。このユニットは、GPIアンカーレセプター(uPAR)、インテグリン、およびカベオリン、ならびに細胞骨格エレメントを含むβ1インテグリンおよびカベオリンの細胞質面と結合することが公知のおそらく他のタンパク質からなる。
uPARがインテグリンに結合するか否かを調べるために、トランスフェクトされていない293細胞を、組換え可溶性uPAR(suPAR)の存在下でフィブロネクチンまたはコラーゲンに接着させた。この結果は、suPARが用量依存様式でフィブロネクチンおよびコラーゲンの接着を阻害し、そしてインヒビター効果が100μMのペプチド25の添加で可逆的であるが、コントロールではそうではなかったことを示した。uPARが活性コンフォメーションであるインテグリンと相互作用し、そしてそうすることでインテグリン機能を顕著に改変すると結論した。ペプチド25(100μM)が、U937細胞株においてもう1つのインテグリンのMac-1とuPARとの間の相互作用を無効にすることも示した。
細胞移動に対するuPAR/インテグリン相互作用の機能的結果を決定するための研究もまた行われ、細胞移動を改変したという結果が、インテグリン依存性接着性の消失を生じることによってuPARの存在で観察された。安定な細胞接着の消失は、Huttenlocherら, Cell Biol. 7: 697 (1995)、Burchillら, BioEssays 16: 225 (1994)、およびLukashevら, J. Biol. Chem. 26: 18311 (1994)に記載のように、いくつかの実験的および臨床的状況での悪性形質転換、腫瘍細胞侵入、および転移に関連している。
本発明は、炎症および腫瘍進行を改変することに使用するための、uPAR/インテグリン結合を破壊し、そしてインテグリン機能を保存することが示されたペプチド25によってプロトタイプにされる試薬、あるいは、例えば、uPAR:インテグリン結合のインテグリン上の部位に対する抗体のような、インテグリン機能を損なう可溶性uPARに匹敵する試薬の開発を含む。
ペプチド7および25によって代表されるような、本研究で選択されたsuPARに結合する配列は、いくつかのラインの証拠に基づいて、異なる結合部位を有する。第1に、これらのペプチドは、図6の表に示すように、uPA1-48結合に対する競合物としてアニリノ-8-ナフタレンスルホネート(ANS)蛍光に対する種々の効果を示す。第2に、ペプチド7のみがビトロネクチンへの複合体結合を阻害する。第3に、バクテリオファージ25は、D23およびsuPARに等価な結合を示すが、7はD23への約50倍減少した結合を示す。ペプチド18は、配列レベルで顕著な相同性を示し、そして保存された残基が図5に示されるようにクローン7結合に重要であるので、7と同じリガンドファミリーであるようである。特に、モチーフELDおよびLxxArY中の確定された残基のすべては、アラニン置換によって判断されるように機能的に重要である。さらに、ペプチド18は、ペプチド7と同様にビトロネクチンへの複合体の結合をブロックする。
本発明はまた、例えば、uPAR:ビトロネクチンまたはuPAR:インテグリン結合相互作用の低分子またはペプトイドインヒビターを同定する目的で、本発明のペプチド(例えば、ペプチド7およびペプチド25)の阻害活性の分子模倣物についてのスクリーニングするための方法を包含する。uPAR相互作用のこのようなアンタゴニストは、例えば、ペプトイドのようなペプチド誘導体、低分子、またはポリヌクレオチドであり得る。これらのアンタゴニストは、uPAR:ビトロネクチン結合によって、あるいはuPAR:インテグリン結合によって、あるいはより一般的には、細胞接着が損なわれるuPAおよびuPARのアップレギュレーションによって特徴づけられる症状の処置のための治療剤の開発に有用である。本発明のペプチドおよびアンタゴニストは、uPAまたはuPARの生物学的活性によって引き起こされるかまたは悪化される病状または病気を処置することに有用であり得る。症状はまた、例えば、腫瘍細胞侵入、転移性疾患のような疾患で見られるような、例えば、細胞移動および侵入によって特徴づけられ得、そして症状はまた、慢性炎症であり得る。
代表的には、本発明のペプチドの分子模倣物、ペプトイド、または低分子;あるいは発明のアナログ、改変体、または誘導体は、huPARまたはhuPAR:インテグリンの複合体もしくはビトロネクチンで、10μM未満;より好ましくは5μM未満、さらにより好ましくは1μM未満;さらにより好ましくは100nM未満;さらにより好ましくは10nM未満のKdを示す。
本発明の全長、誘導体、またはポリペプチドもしくはペプチドインヒビター、またはアンタゴニストのいずれもが、標準的組換えDNAまたは化学的技法によって、クローニングされ得るか、発現され得るか、または合成され得る。これらの目的に適用され得るいくつかの例示的発現系は以下のとおりである。本発明のペプチド、ポリペプチド、およびポリヌクレオチド治療剤の投与は、合成されたペプチドまたはポリペプチドの投与によって、あるいは動物での発現のためのポリヌクレオチドの投与によって、あるいは非コードポリヌクレオチドインヒビターの投与によって行われ得る。所望の活性についてのスクリーニングのための低分子およびペプトイドライブラリープールを作製する方法も以下にさらに提供される。ポリヌクレオチドまたは核酸分子によってコードされるポリペプチドまたはペプチドを動物で発現する目的のために、本発明のポリヌクレオチドを患者に投与するための遺伝子治療技術も提供される。さらに、例えば、リボザイムおよびアンチセンス分子のような非コード核酸分子は、適切な薬学的に受容可能なキャリアとともに投与され得る。
発現系
以下に記載の方法論は、当業者が本発明を実施し得るために十分な詳細を含むと考えられるが、プラスミドのような特に例示されていない他の項目は、例えば、United States Dept. of HHS, NATIONAL INSTITUETE OF HEALTH (NLH) GUIDELINES FOR RECOMBINANT DNA RESEARCHに記載の現在の規定の下で、Sambrookら (1989), MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL, 第2版(Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)、およびAusubelら, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (1994), (Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons, New York, N.Y.)に記載の標準的組換えDNA技法を使用して構築および精製され得る。これらの参考文献は、以下の標準的方法についての手順を包含する:プラスミドを用いるクローニング手順、宿主細胞の形質転換、細胞培養、プラスミドDNA精製、DNAのフェノール抽出、DNAのエタノール沈殿、アガロースゲル電気泳動、アガロースゲルからのDNAフラグメントの精製、ならびに制限エンドヌクレアーゼおよび他のDNA改変酵素反応。
細菌細胞での発現
細菌での使用のための制御エレメントには、プロモーター(必要に応じてオペレーター配列を含む)、およびリボソーム結合部位が含まれる。有用なプロモーターには、ガラクトース、ラクトース(lac)、およびマルトースのような糖代謝酵素に由来する配列が含まれる。さらなる例には、トリプトファン(trp)、β-ラクタマーゼ(bla)プロモーター系、バクテリオファージλPL、およびT7のような生合成酵素に由来するプロモーター配列が含まれる。さらに、tacプロモーターのような合成プロモーターが使用され得る。β-ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系は、Changら, Nature (1978) 275:615、およびGoeddelら, Nature (1979) 281: 544に記載される;アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系は、Goeddelら, Nucleic Acids Res. (1980) 8: 4057およびEP 36,776に記載され、そしてtacプロモーターのようなハイブリッドプロモーターは、米国特許第4,551,433号およびde Boerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1983) 80: 21-25に記載される。しかし、真核生物タンパク質の発現に有用な他の公知の細菌プロモーターも適切である。当業者は、任意の必要とされる制限部位を供給するリンカーまたはアダプターを使用して、例えば、Siebenlistら, Cell (1980) 20:269に記載のように、このようなプロモーターを目的のコード配列に作動可能に連結し得る。細菌系での使用のためのプロモーターはまた、一般的には、標的ポリペプチドをコードするDNAに作動可能に連結されたShine-Dalgarno(SD)配列を含む。天然の標的ポリペプチドシグナル配列を認識およびプロセスしない原核生物宿主細胞について、シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列によって置換され得る。プラスミドpBR322からの複製起点は、ほとんどのグラム陰性細菌に適切である。
上記の系は、Escherichia coliで特に適合性である。しかし、細菌宿主での使用のための多くの他の系には、Bacillus spp.、Streptococcus spp.、Streptomyces spp.のようなグラム陰性またはグラム陽性生物、P. aeruginosaのようなPseudomonas種、Salmonella typhimurium、またはSerratia marcescansが特に含まれる。これらの宿主中へ外因性DNAを導入するための方法は、代表的には、CaCl2、または二価カチオンおよびDMSOのような他の薬剤の使用を包含する。DNAはまた、Sambrookら (1989), MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL, 第2版(Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)に一般的に記載のように、エレクトロポレーション、核インジェクション、またはプロトプラスト融合によって細菌細胞に導入され得る。これらの例は、限定よりもむしろ例示である。好ましくは、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素を分泌すべきである。あるいは、クローニングのインビトロ方法(例えば、PCRまたは他の核酸ポリメラーゼ反応)が適切である。
本発明の標的ポリペプチドを産生するために使用される原核生物細胞は、Sambrookら (1989), MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL, 第2版(Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)に一般的に記載されるように、適切な培地中で培養される。
酵母細胞での発現
染色体外レプリコンまたは組込みベクターのいずれかの、発現および形質転換ベクターは、多くの酵母への形質転換について開発されている。例えば、発現ベクターは、とりわけ、以下の酵母について開発されている:Hinnenら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1978) 75: 1929;Itoら, J. Bacteriol. (1983) 153: 163に記載されるような、Saccharomyces cerevisiae;Kurtzら, Mol. Cell. Biol. (1986) 6: 142に記載のような、Candida albicans;Kunzeら, J. Basic Microbiol. (1985) 25: 141に記載のような、Candida maltosa;Gleesonら, J. Gen. Microbiol. (1986) 132: 3459およびRoggenkampら, Mol. Gen. Genet. (1986) 202: 302に記載のような、Hansenula polymorpha;Dasら, J. Bacteriol. (1984) 158:1165に記載のような、Kluyveromyces fragilis;De Louvencourtら, J. Bacteriol. (1983) 154: 737およびVan den Bergら, Bio/Technology (1990) 8: 135に記載のような、Kluyveromyces lactis;Kunzeら, J. Basic Microbiol. (1985) 25: 141に記載のような、Pichia guillerimondii;Creggら, Mol. Cell. Biol. (1985) 5: 3376ならびに米国特許第4,837,148号および同第4,929,555号に記載のような、Pichia pastoris;BeachおよびNurse, Nature (1981) 300: 706に記載のような、Schizosaccharomyces pombe;およびDavidowら, Curr. Genet. (1985) 10:380およびGaillardinら, Curr. Genet. (1985) 10: 49に記載のような、Yarrowia lipolytica、Ballanceら, Biochem. Biophys. Res. Commun. (1983) 112: 284-289;Tilburnら, Gene (1983) 26: 205-221およびYeltonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1984) 81: 1470-1474に記載のようなA. nidulansならびにKellyおよびHynes, EMBO J. (1985) 4:475479に記載のようなA. nigerasなどのAspergillus宿主;EP 244,234に記載のような、Trichoderma reesia、ならびにWO 91/00357に記載のような、例えば、Neurospora、Penicilliium、Tolypocladiumなどの糸状菌類。
酵母ベクターについての制御配列は公知であり、そしてEP 284,044に記載のようなアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、EP 329,203に記載のような、エノラーゼ、グルコキナーゼ、グルコース-6-ホスフェートイソメラーゼ、グルタルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPまたはGAPDH)、ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、およびピルビン酸キナーゼ(PyK)のような遺伝子からのプロモータ領域が含まれる。酸性ホスファターゼをコードする酵母PHO5遺伝子はまた、Myanoharaら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1983) 80: 1に記載のように、有用なプロモーター配列を提供する。酵母宿主での使用に適切な他のプロモーター配列には、Hitzemanら, J. Biol. Chem. (1980) 255: 2073に記載のような3-ホスホグリセレートキナーゼ、あるいはHessら, J. Adv. Enzyme Reg. (1968) 7: 149およびHollandら, Biochemistry (1978) 17:4900に記載のようなピルビン酸デカルボキシラーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、およびホスホグルコースイソメラーゼのような他の糖分解酵素についてのプロモーターが含まれる。増殖条件によって制御される転写のさらなる利点を有する誘導性酵母プロモーターには、上記のリストからのもの、ならびに、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、およびマルトースおよびガラクトース利用に寄与する酵素についての他のプロモーター領域が含まれる。酵母発現での使用に適切なベクターおよびプロモーターは、Hitzeman, EP 073,657にさらに記載される。酵母エンハンサーもまた酵母プロモーターとともに有利に使用される。さらに、天然に存在しない合成プロモーターも、酵母プロモーターとして機能する。例えば、1つの酵母プロモーターの上流活性化配列(UAS)は、別の酵母プロモーターの転写活性化領域と連結し得、合成ハイブリッドプロモーターを生じる。このようなハイブリッドプロモーターの例には、米国特許第4,876,197号および同第4,880,734号に記載のように、GAP転写活性化領域に連結したADH調節配列が含まれる。ハイブリッドプロモーターの他の例には、EP 164,556に記載のようにGAPまたはPyKのような解糖系酵素遺伝子の転写活性化領域と合わせて、ADH2、GAL4、GAL10、またはPHO5遺伝子のいずれかの調節配列からなるプロモーターが含まれる。さらに、酵母プロモーターは、酵母RNAポリメラーゼおよび転写開始を結合する能力を有する非酵母起源の天然に存在するプロモーターを含み得る。
酵母発現ベクターに含まれ得る他の制御エレメントは、例えば、Hollandら, J. Biol. Chem. (1981) 256: 1385に記載のようなGAPDHからおよびエノラーゼ遺伝子からのターミネーター、ならびに分泌についてのシグナル配列をコードするリーダー配列である。適切なシグナル配列をコードするDNAは、EP 012,873およびJP 62,096,086に記載のような酵母インベルターゼ遺伝子ならびに米国特許第4,588,684号、同第4,546,083号、および同第4,870,008号;EP 324,274;およびWO 89/02463に記載のようなa-因子遺伝子のような、分泌される酵母タンパク質についての遺伝子に由来し得る。あるいは、インターフェロンリーダーのような非酵母起源のリーダーもまた、EP 060,057に記載のように、酵母での分泌について提供される。
酵母宿主に外因性DNAを導入する方法は当該分野で周知であり、そして代表的には、アルカリカチオンで処理したスフェロプラストまたはインタクトの酵母細胞のいずれかの形質転換を含む。
酵母への形質転換は、Van Solingenら, J. Bact. (1977) 130:946およびHsiaoら, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) (1979) 76:3829に記載の方法に従って行われ得る。しかし、核インジェクション、エレクトロポレーション、またはプロトプラスト融合によるような細胞へDNAを導入するための他の方法または、Sambrookら, 前出に一般的に記載されるように使用され得る。
酵母分泌については、天然の標的ポリペプチドシグナル配列は、酵母インベルターゼ、α-因子、または酸性5-ホスファターゼリーダーによって置換され得る。2μプラスミド起源由来の複製起点は酵母に適切である。酵母での使用に適切な選択遺伝子は、Kingsmanら, Gene (1979) 7: 141またはTschemperら, Gene (1980) 10:157に記載される酵母プラスミドに存在するtrp1遺伝子である。trp1遺伝子は、トリプトファンで増殖する能力を欠く酵母の変異株についての選択マーカーを提供する。同様に、Leu2-欠失酵母株(ATCC20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を有する公知のプラスミドによって補足される。
酵母における本発明の細胞内産生について、酵母タンパク質をコードする配列は、発現に際して、酵母細胞によって細胞内で切断され得る融合タンパク質を産生するために、ポリペプチドのコード配列に連結され得る。このような酵母リーダー配列の一例は、酵母ユビキチン遺伝子である。
昆虫細胞での発現
バキュロウイルス発現ベクター(BEV)は、組換え昆虫ウイルスであり、ここで、発現されるべき外来遺伝子についてのコード配列は、SmithおよびSummers, 米国特許第4,745,051号に記載のように、ウイルス遺伝子(例えば、ポリヘドリン)のかわりにバキュロウイルスプロモーターの後ろに挿入される。
本明細書における発現構築物には、昆虫細胞系の感染または形質転換に対して中間体として有用なDNAベクターが含まれ、ベクターは、一般的に、バキュロウイルス転写プロモーターをコードするDNAを含み、必要に応じてであるが好ましくは、所望のタンパク質の分泌を指向可能な昆虫シグナルDNA配列、および外来タンパク質をコードする外来遺伝子の挿入のための部位が下流に続き、このシグナルDNA配列および外来遺伝子は、バキュロウイルスプロモーターの転写制御下に置かれ、この外来遺伝子は、本明細書においてポリペプチドのコード配列である。
本明細書での使用のためのプロモーターは、一般的に昆虫に感染する500を越えるバキュロウイルス(例えば、Autographo californica MNPV、Bombyx mori NPV、rrichoplusia ni MNPV、Rachlplusia ou MNPV、またはGalleria mellonella MNPVのウイルスDNAを含むがこれらに限定されない、Orders Lepidoptera、Diptera、Orthoptera、Coleoptera、およびHymenoptera)のいずれかに由来するバキュロウイルス転写プロモーター領域であり得る。したがって、バキュロウイルス転写プロモーターは、例えば、バキュロウイルス前初期遺伝子IEIまたはIENプロモーター;39Kおよび後初期遺伝子を含むHindIIIフラグメントからなる群より選択されるバキュロウイルス後初期遺伝子プロモーター領域と組み合わせた前初期遺伝子;またはバキュロウイルス後期遺伝子プロモーターであり得る。前初期または後初期プロモーターは、転写エンハンサーエレメントとともに増強され得る。
Friesenら (1986)「The Regulation of Baculovirus Gene Expression」:THE MOLECULAR BIOLOGY OF BACULOVIRUSES (W.Doerfler編);EP 127,839およびEP 155,476に記載のようなDNAインサートの高レベルの発現を指向するバキュロウイルスの強ポリヘドリンプロモーター;ならびにVlakら, J. Gen. Virol. (1988) 69:765-776に記載のようなp10タンパク質をコードする遺伝子からのプロモーターが、本明細書における使用に特に適切である。
本発明での使用のためのプラスミドは、Millerら、Ann. Rev. Microbiol. (1988) 42:177に記載されるようなポリヘドリンポリアデニル化シグナル、ならびにE. Coliにおける選択および増殖のための原核生物アンピシリン耐性(amp)遺伝子および複製起点もまた含有する。適切なシグナル配列をコードするDNAもまた含有され得、それらは一般に、Carbonellら、Gene (1988) 73:409に記載されるようなバキュロウイルスポリヘドリン遺伝子のような、分泌された昆虫またはバキュロウイルスのタンパク質についての遺伝子、ならびに、以下をコードする遺伝子に由来するような哺乳動物シグナル配列に由来し得る:Maedaら、Nature (1985) 315:592-594に記載されるようなヒトa-インターフェロン;Lebacq-Verheydenら、Mol. Cell. Biol. (1988) 8:3129に記載されるようなヒトガストリン放出ペプチド;Smithら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1985) 82:8404に記載されるようなヒトIL-2;Miyajimaら、Gene (1987) 58:273に記載されるようなマウスIL-3;および、Martinら、DNA (1988) 7:99に記載されるようなヒトグルコセレブロシダーゼ。
多数のバキュロウイルス株および変異体、ならびにSpodoptera frugiperda(ケムシ)、Aedes aegypti(カ)、Aedes albopictus(カ)、Drosophila melanogaster(ミバエ)、およびBombyx mori宿主細胞のような宿主由来の対応する許容昆虫宿主細胞が同定されており、本発明で使用され得る。例えば、Luckowら、Bio/Technology (1988) 6:47-55、Millerら、GENETIC ENGINEERING(Setlow, J.K.ら編)第8巻(Plenum Publishing, 1986)277-279頁、およびMaedaら、Nature (1985) 315:592-594の記載を参照のこと。種々のこのようなウイルス株は公的に入手可能であり、例えば、Autographa californica NPVのL-1変異体およびBombyx mori NPVのBm-5株である。このようなウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞のような宿主細胞のトランスフェクションのためのウイルスとして使用され得る。
ポリヘドリンプロモーターに加えて他のバキュロウイルス遺伝子もまた、バキュロウイルス発現系において有利に使用され得る。これらは、それらが発現される間のウイルス感染期に従って、即時初期(α)、遅延初期(β)、後期(γ)、または極後期(δ)を含む。これらの遺伝子の発現は、おそらく転写調節の「カスケード」機構の結果として、連続して生じる。従って、即時初期遺伝子は、他のウイルス機能の非存在下で感染後直ちに発現され、そして1つ以上の得られた遺伝子産物が、遅延初期遺伝子の転写を誘導する。次いで、いくつかの遅延遺伝子産物が後期遺伝子転写を誘導し、そして最終的に、極後期遺伝子が、前に発現された遺伝子産物の制御下で、1つ以上のより早いクラスから発現される。この調節カスケードの1つの比較的よく規定された成分はIEIであり、これはAutographo californica核ポリヘドロシスウイルス(AcMNPV)の好ましい即時初期遺伝子である。IEIは、他のウイルス機能の非存在下で発現され、GuarinoおよびSummers, J. Virol. (1986) 57:563-571およびJ. Virol. (1987) 61:2091-2099に記載されるような好ましい39K遺伝子を含む、遅延初期クラスのいくつかの遺伝子、ならびにGuannoおよびSummers, Virol. (1988) 162:444-451に記載されるような後期遺伝子の転写を促進する産物をコードする。
上記のような即時初期遺伝子は、遅延初期カテゴリーのバキュロウイルス遺伝子プロモーター領域と組み合わせて使用され得る。即時初期遺伝子には類似せず、このような遅延初期遺伝子は、他のウイルス遺伝子または即時初期遺伝子の産物のような遺伝子産物の存在を必要とする。39Kのようないくつかの遅延初期遺伝子プロモーター領域の任意のもの、またはバキュロウイルスゲノムのHindIII上に見出される遅延初期遺伝子プロモーターの1つと、即時初期遺伝子の組み合わせが作製され得る。この例では、39Kプロモーター領域は、上記で引用のL.A. GuarinoおよびSummers (1986a);GuarinoおよびSummers (1986b) J. Virol. (1986)60:215-223、およびGuarinoら(1986c) J. Virol. (1986) 60:224-229に記載されるような、IEIの存在によって発現がさらに制御され得るように、発現されるべき外来遺伝子に連結され得る。
さらに、即時初期遺伝子と遅延初期遺伝子プロモーター領域との組み合わせが使用される場合には、異種遺伝子発現の促進は、遅延初期遺伝子プロモーター領域との直接cis連結におけるエンハンサー配列の存在によって、達成され得る。このようなエンハンサー配列は、即時初期遺伝子またはその産物が制限される状況で、遅延初期遺伝子発現の促進によって特徴づけられる。例えば、hr5エンハンサー配列は、遅延初期遺伝子プロモーター領域、39Kに直接cis連結され得、それにより、GuarinoおよびSummers(1986a)、(1986b)、およびGuarinoら(1986)に記載されるような、クローン化異種DNA発現を促進する。
ポリヘドリン遺伝子は、極後期遺伝子に分類される。従って、ポリヘドリンプロモーターからの転写は、未知であるがおそらく多数の他のウイルスおよび細胞遺伝子産物の前の発現を必要とする。ポリヘドリンプロモーターのこの遅延発現に起因して、例えば米国特許第4,745,051号にてSmithおよびSemmersによって記載される例示的なBEV系のような、最新技術BEVが、ウイルスゲノムの残りからの遺伝子発現の結果としてのみ、そしてウイルス感染がよく進行した後のみに、外来遺伝子を発現する。これは、現存するBEVの使用に対する制限を示す。新たに合成されたタンパク質をプロセスする宿主細胞の能力は、バキュロウイルス感染の進行に伴って減少する。従って、ポリヘドロンプロモーターからの遺伝子発現は、新たに合成されたタンパク質をプロセスする宿主細胞の能力が、ヒト組織プラスミノーゲン活性化物質のような特定タンパク質に対して潜在的に減少する場合に生じる。結果的に、BEV系での分泌糖タンパク質の発現は、クローン化遺伝子産物の不完全分泌に起因して複雑であり、それにより、細胞内のクローン化遺伝子産物を、不完全プロセス型で捕捉する。
昆虫シグナル配列が、切断されて成熟タンパク質を産生し得る外来タンパク質を発現するために使用され得ることが認識されてきたが、本発明は、好ましくは、発現される遺伝子に適切な哺乳動物シグナル配列によって実施される。
本発明に適切な例示的な昆虫シグナル配列は、Lepidopteran脂肪動態ホルモン(AKH)ペプチドをコードする配列である。AKHファミリーは、昆虫におけるエネルギー基質動員および代謝を調節する、ショートブロックニューロペプチドからなる。好ましい実施態様では、Lepidopteran Manduca sexta AKHシグナルペプチドをコードするDNA配列が使用され得る。Orthoptera Schistocerca gregaria遺伝子座に由来するペプチドのような、他の昆虫AKHシグナルペプチドもまた有利に使用され得る。他の例示的な昆虫シグナル配列は、CP1、CP2、CP3、またはCP4のようなDrosophila角質タンパク質をコードする配列である。
現在、外来遺伝子をAcNPVへ導入するために本発明において使用され得る、最も一般的に使用される移入ベクターは、pAc373である。当業者に周知である他の多数のベクターもまた、本発明において使用され得る。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のための材料および方法は、Invitrogen(San Diego CA)(「MaxBac」キット)のような会社から、キット形態で市販されている。本発明で利用される方法は、一般に当業者に周知であり、SummersおよびSmith, A MANUAL OF METHODS FOR BACULOVIRUS VECTORS AND INSECT CELL CULTURE PROCEDURES, Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555, Texas A&M University (1987);Smithら、Mol. Cell. Biol. (1983)3:2156、およびLuckowおよびSummers (1989)に十分に記載されている。これらは、例えば、ポリヘドリン開始コドンをATGからATTに変化させ、そしてLuckowおよびSummers, Virology (1989)17:31に記載されるように、ATTから32塩基対下流のBamHIクローニング部位を導入する、pVL985の使用を包含する。
従って、例えば、本発明のポリペプチドの昆虫細胞発現のために、所望のDNA配列が、公知の技術を用いて、移入ベクター中へ挿入され得る。昆虫細胞宿主は、野生型バキュロウイルスのゲノムDNAと共に挿入される所望のDNAを含有する移入ベクターで、通常は共トランスフェクションによって共トランスフェクトされ得る。ベクターおよびウイルスゲノムは、容易に同定および精製され得る、組換えウイルスをもたらすように組み換えられ得る。封入された組換えウイルスが、昆虫宿主細胞を感染して所望のポリペプチドを発現するために、使用され得る。
本発明に適用される他の方法は、昆虫細胞培養、共トランスフェクション、およびプラスミド調製の標準的な方法であり、これらは前記で引用のSummersおよびSmith(1987)に記載されている。これらの参考文献は、AcMNPV移入ベクター中への遺伝子のクローン化、プラスミドDNAの単離、AcmMNPVゲノムへの遺伝子トランスファー、ウイルスDNA精製、組換えタンパク質の放射標識、および昆虫細胞培養培地の調製の標準的な方法もまた記載する。ウイルスおよび細胞の培養手順は、VolkmanおよびSummers, J. Virol. (1975)19:820-832、およびVolkmanら、J. Virol. (1976) 19:820-832に記載されている。
哺乳動物細胞での発現
本発明のポリペプチドの哺乳動物細胞発現の代表的なプロモーターは、とりわけ、SV40初期プロモーター、CMVプロモーター、マウス乳癌ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター(Ad MLP)、および単純ヘルペスウイルスプロモーターを含む。マウスメタロチオネイン遺伝子由来のプロモーターのような、他の非ウイルスプロモーターもまた、哺乳動物構築物中での使用が見出される。哺乳動物発現は、プロモーターに依存して構成的または調節的(誘導的)のいずれかであり得る。代表的には、転写終結およびポリアデニル化配列はまた、翻訳終止コドンの3’末端に存在する。好ましくは、翻訳開始を最適化するための配列もまた、ポリペプチドをコードする配列の5’末端に位置して存在する。転写終結/ポリアデニル化シグナルの例は、前に引用のSambrookら(1989)に記載されるようなSV40由来のシグナルを含む。スプライスドナーおよびアクセプター部位を含有するイントロンもまた、本発明の構築物中に設計され得る。
エンハンサーエレメントもまた、哺乳動物構築物の発現レベルを増大するために、使用され得る。その例は、Dijkemaら、EMBO J. (1985)4:761に記載されるような、SV40初期遺伝子エンハンサー、ならびにGormanら、Proc.Natl. Acad. Sci. USA (1982b) 79:6777に記載されるようなラウス肉腫ウイルスの末端反復配列(LTR)に由来する、およびBoshartら、Cell (1985) 41:521に記載されるようなヒトサイトメガロウイルスに由来するエンハンサー/プロモーターを含む。シグナルペプチドをコードする配列を含むリーダー配列もまた、哺乳動物細胞において外来タンパク質の分泌を提供するために、存在し得る。好ましくは、リーダー配列がインビボまたはインビトロのいずれかで切断され得るように、リーダーフラグメントと目的遺伝子との間にコードされるプロセッシング部位が存在する。アデノウイルス三部構成(tripartite)リーダーは、哺乳動物細胞において外来タンパク質の分泌を提供するリーダー配列の例である。
一旦完成されると、哺乳動物発現ベクターは、数種の哺乳動物細胞の任意のものを形質転換するために使用され得る。異種ポリヌクレオチドの哺乳動物細胞への導入方法は、当該分野で公知であり、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈澱、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、ポリヌクレオチドのリポソーム中へのカプセル化、およびDNAの核への直接マイクロインジェクションを包含する。哺乳動物細胞宿主系形質転換の一般的な局面は、米国特許第4,399,216号においてAxelによって記載されている。
本発明で応答細胞または産生細胞として使用される哺乳動物宿主細胞は、種々の培地において培養され得る。Ham’s F10(Sigma)、最小必須培地([MEM]、Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、およびダルベッコ改変イーグル培地([DMEM]、Sigma)のような市販の培地は、宿主細胞を培養するのに適している。さらに、HamおよびWallace, Meth. Enz. (1979)58:44、BarnesおよびSato, Anal. Biochem. (1980)102:255、米国特許第4,767,704号、同第4,657,866号、同第4,927,762号、または同第4,560,655号、W0 90/103430号、WO 87/00195号、およびU.S. RE 30,985号に記載される任意の培地が、宿主細胞のための培養培地として使用され得る。これらの培地の任意のものが、本発明の方法に従って細胞機能についての最適条件を作製するために必要に応じて補充され得、これには、ホルモンおよび/または他の増殖因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩)、緩衝液(例えば、HEPES)、ヌクレオシド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシンTMM薬剤)、微量元素(通常は、マイクロモル範囲の最終濃度で存在する無機化合物と定義される)、およびグルコースまたは等価なエネルギー源の範囲の必要に応じた補充が含まれる。任意の他の必要な補充物もまた、当業者に周知である適切な濃度で含有され得る。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞と共に以前に使用した条件であり、当業者には明らかである。
本発明の構築物を送達するための遺伝子治療ストラテジーは、インビボまたはエキソビボ様式においてウイルスベクターまたは非ウイルスベクターのアプローチを利用し得る。このようなコード配列の発現は、内因性哺乳動物プロモーターまたは異種プロモーターを使用して、誘導され得る。インビボでのコード配列の発現は、構成的または調節的のいずれかであり得る。
ウイルスベクターを使用する送達のために、Jolly, Cancer Gene Therapy 1:51-64 (1994)に記載されるような、多数のウイルスベクターの任意のものが使用され得る。例えば、コード配列は、Kimuraら、Human Gene Therapy (1994)5:845-852に記載されるようなレトロウイルスベクターにおける発現用、Connellyら、Human Gene Therapy (1995)6:185-193に記載されるようなアデノウイルスベクターにおける発現用、Kaplittら、Nature Genetics (1994)6:148-153に記載されるようなアデノ随伴ウイルスベクターにおける発現用、およびシンドビスベクターでの発現用に設計されたプラスミド中へ、挿入され得る。これらのベクターによる使用に適切なプロモーターは、モロニーレトロウイルスLTR、CMVプロモーター、およびマウスアルブミンプロモーターを含む。複製不全でないウイルスが産生され得、そして動物またはヒトに直接的に注射され得るか、またはZatloukalら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1994)91:5148-5152に記載されるようなエキソビボでの自己細胞の形質導入に続くインビボ注射によって、注射され得る。
改変コード配列もまた、インビボまたはエキソビボでのuPARポリペプチド発現のためにプラスミドへ挿入され得る。インビボ治療については、コード配列は、直接にまたは静脈注射によって組織へ送達され得る。この様式における使用に適切なプロモーターは、CMVのような内因性および異種プロモーターを含む。さらに、合成T7T7/T7OBプロモーターが、Chenら、(1994), Nucleic Acids Res. 22:2114-2120に従って構築され得、そこではT7ポリメラーゼがそれ自身のプロモーターの調節制御下にあり、uPARコード配列の転写を駆動し、それはまたT7プロモーターの制御下に置かれている。コード配列は、Zhuら、Science (1993) 261:209-211に記載されるように、コード配列を安定にし得、コード配列の細胞への形質導入を促進し得、そして/または標的化を提供し得る緩衝液を含有する処方物中で、注射され得る。
ウイルスまたは非ウイルスベクターによる遺伝子治療目的のための送達に際してのコード配列のインビボ発現は、Gossenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992)89:5547-5551に記載されるように、調節遺伝子発現プロモーターの使用によって、最大の効果および安全性のために調節され得る。例えば、uPARコード配列は、テトラサイクリン応答プロモーターによって調節され得る。これらのプロモーターは、レギュレーター分子での処理によって、ポジティブまたはネガティブ様式で調節され得る。
コード配列の非ウイルス送達については、配列は、高レベル発現用の従来の制御配列を含有する従来のベクター中に挿入され、次いで、WuおよびWu、J. Biol. Chem. (1987)262:4429-4432に記載されるような、アシアロオロソムコイドのような細胞標的リガンドに連結された、ポリマー性DNA結合カチオン様ポリリシン、プロタミン、およびアルブミン;Huckedら、Biochem. Pharmacol. 40:253-263 (1990)に記載されるようなインスリン;Plankら、Bioconjugate Chem. 3:533-539 (1992)に記載されるようなガラクトース;Midouxら、Nucleic Acids Res.21:871-878 (1993)に記載されるようなラクトース;または、Wagnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:3410-3414 (1990)に記載されるようなトランスフェリンのような、合成遺伝子移入分子と共にインキュベートされ得る。他の送達システムは、Nabelら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11307-11311 (1993)、およびPhilipら、Mol. Cell Biol. 14:2411-2418 (1994)に記載されるような、種々の組織特異的プロモーターまたは遍在的活性(ubiquitously-active)プロモーターの制御下での、uPAR遺伝子を含有するDNAをカプセル化するためのリポソームの使用を含む。使用に適切なさらなる非ウイルス送達は、Woffendinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1994)91(24):11581-11585に記載されるような、微粒子銃アプローチのような機械的送達システムを含む。さらに、uPARコード配列およびこのような配列の発現産物は、光重合ヒドロゲル物質の沈着を介して送達され得る。uPARコード配列の送達に使用され得る、遺伝子送達のための他の従来方法は、例えば、米国特許第5,149,655号に記載されるような、手動の遺伝子移入パーティクルガンの使用;米国特許第5,206,152号およびPCT出願WO92/11033号に記載されるような、移入遺伝子を活性化するための電離放射線の使用を含む。
本発明のペプチドおよびポリペプチド、ならびにそれらのアナログまたは改変体に関する遺伝子治療技術の適用が、例えば、uPARの任意のものの活性が患者に対して有害である疾患状態において、なされ得る。本発明のポリペプチドおよびペプチド、ならびにそれらのアナログまたは変異体を使用する遺伝子治療が、細胞骨格破壊の状態(例えば、例えばuPAR:インテグリン結合対形成を遮断するためのアンタゴニストまたはドミナントネガティブのインビボ発現、およびuPARとインテグリンとの結合対形成からもたらされる細胞移動のような細胞応答)を処置する場合に適切であることもまた、発明者らによって着想されている。
一般的に、遺伝子治療は、uPARが、ビトロネクチンまたはインテグリンと結合対相互作用を形成し、そして細胞骨格完全性を調節するように作用し、そして細胞移動に影響を与える全ての状況において、例えば、uPAR結合対相互作用の通常活性を調節するために十分な量の、本発明のペプチドまたはそのアナログ、変異体、もしくはドミナントネガティブの遺伝子治療プロトコルに従う投与によって、本発明に従って適用され得る。
本発明のペプチドの適用は、遺伝子治療プロトコルによって投与されるか否かに関係なく、細胞骨格破壊および/または細胞移動を含む他によっても特徴づけられる症状に羅患した患者の治療状況においてなされ得る。癌の状態および/または炎症状態が、このような状態の例である。
本発明の目的のために、本発明の新規ペプチドの配列および機能に基づくアッセイが、例えば細胞骨格破壊および細胞移動の制御における使用のための、機能性uPAR:ビトロネクチンおよびuPAR:インテグリンのインヒビター、アンタゴニスト、およびアゴニストについての低分子ライブラリープールをスクリーニングするために、開発され得る。これらのインヒビター、アンタゴニスト、またはアゴニストは、動物に投与され得、そして、例えばDepofoamTMのようなリポソーム組成物、および、例えばFocalgelTMのような他のキャリアを含む、薬学的に受容可能なキャリアとともに投与され得る。
低分子ライブラリーは、低分子がSIPの任意の作用を模倣するか、相乗効果を与えるか、または減弱させる能力についてスクリーニングするために使用され得、そして以下のようになされ得る。ペプチドの「ライブラリー」は、米国特許第5,010,175号(’175号特許)およびPCT WO91/17823号に開示されている方法に従って、合成されそして使用され得る。’175号特許の方法では、適切なペプチド合成支持体(例えば樹脂)は、適切に保護された活性化アミノ酸混合物にカップリングされる。
WO91/17823号に記載される方法も同様である。しかし、合成樹脂の活性化アミノ酸混合物との反応の代わりに、樹脂は20の等しい部分に分割されるか、またはその工程に添加される個々のアミノ酸の数に対応する多数の部分に分割され、各アミノ酸はその樹脂部分に独立してカップリングされる。次いで、樹脂部分は組み合わされ、混合され、そして第二アミノ酸との反応のために多数の部分に再び分割される。さらに、各工程で全樹脂を組み合わせるのではなく、並行して部分を処理することによって、別々の「サブプール」が維持され得る。これは、いずれのペプチドが、応答細胞における遺伝子発現の任意の観察される変化を担っているかを決定するプロセスを単純化する。
WO91/17823号および米国特許第5,194,392号に記載される方法は、全ての合成および再合成が数日間で実施され得るような並行しての自動化技術によって、このようなプールおよびサブプールの調製を可能する。
さらなる代替試薬は、遺伝子発現の刺激物質またはインヒビターとして、あるいはリガンドまたはアンタゴニストとして作用し得る、ペプチドのアナログおよび誘導体を含む、低分子を含む。ペプチド、アナログ、または誘導体の産生のために考慮されるいくつかの一般的な方法は、CHEMISTRY AND BIOCHEMISRY OF AMINO ACIDS, PEPTIDES, AND PROTEINS -- A SURVEY OF RECENT DEVELOPMENTS, Weinstein, B.編、Marcell Dekker, Inc.発行、New York (1983)に概説されている。さらに、D-アミノ酸によって通常のL-立体異性体を置換することが、分子の半減期を増加するために実施され得る。
少なくともいくつかの置換アミノ酸のモノマーユニットからなるポリマーであるペプトイドが、本発明の低分子刺激物質またはインヒビターとして作用し得、そしてPCT 91/19735号に記載されるように合成され得る。現在好ましいアミノ酸置換は、グリシンのN-アルキル化誘導体であり、これは容易に合成されそしてポリペプチド鎖に組み込まれ得る。しかし、多様な分子のプールの配列特異的合成を可能にする任意のモノマーユニットが、ペプトイド分子の産生における使用に適切である。本発明の目的のためのこれらの分子の利点は、それらが、ペプチドとは異なる立体配置空間を占有し、そのためにプロテアーゼ作用に対してより耐性であることである。
ペプトイドは、標準的な化学方法によって容易に合成される。好ましい合成方法は、R. Zuckermannら、J. Am. Chem. Soc. (1992)114:10646-7に記載される「サブモノマー」技術である。N-置換グリシンモノマーユニットが骨格を形成する複素環式有機化合物の固相技術による合成は、1995年6月7日に出願された「Synthesis of N-Substituted Oligomers」と称する同時係属出願に記載されており、その全体が本明細書中で参考として援用されている。次いで、このような複素環式有機化合物の混合物のコンビナトリアルライブラリーは、遺伝子発現を変化させる能力についてアッセイされ得る。
コンビナトリアルライブラリーにおける他の複素環式有機化合物の固相による合成もまた、1995年6月7日に出願された「Combinatorial Libraries of Substrate-Bound Cyclic Organic Compounds」と称する同時係属出願の米国特許出願第08/485,006号に記載されており、その全体が本明細書中で参考として援用されている。高度に置換された環状構造が、サブモノマー法を強力な液相化学と組み合わせることによって、固体支持体上で合成され得る。1、2、3、またはそれ以上の融合された環を含有する環状化合物が、同じ出願に記載されるような、最初の直鎖状骨格の合成に続く分子内環化または分子間環化による、サブモノマー法によって形成され得る。
患者における投与のための本発明の治療に適切なキャリアは、本発明のペプチドの阻害効果に拮抗し得る分子(例えば、ペプチド7、9、18、および25、ならびにこれらのアナログまたは変異体)を含むがこれらに限定されず、例えば、低分子、ペプチド、ペプトイド、ポリヌクレオチド、およびポリペプチドを含み、例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性ウイルス粒子のような、大きくて緩徐に代謝される高分子であり得る。このようなキャリアは、当業者に周知である。薬学的に受容可能な塩類、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などのような鉱酸塩;および、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などのような有機酸塩が、そこでは使用され得る。薬学的に受容可能な賦形剤の詳細な議論は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Mack Pub. Co., N.J. 1991)において入手可能である。治療的組成物中の薬学的に受容可能なキャリアは、水、生理食塩水、グリセロール、およびエタノールのような液体を含有し得る。さらに、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などのような補助物質が、このような賦形剤中に存在し得る。代表的には、治療的組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかのような注射可能形態として調製され得;注射前の液体ビヒクル中への溶解または懸濁に適切な固体形態もまた調製され得る。リポソームが、薬学的に受容可能なキャリアの定義内に含まれる。用語「リポソーム」は、例えば、米国特許特許第5,422,120号、WO 95/13796号、WO 94/23697号、WO 91/14445号、および欧州特許第524,968 B1号に記載されるリポソーム組成物をいう。リポソームは、本発明のペプチド、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドのための、あるいはこれらの治療剤の組み合わせのための薬学的キャリアであり得る。
本発明のさらなる目的、特徴、および利点が、以下の詳細な記載から明らかになる。しかし、本発明の精神および範囲内での種々の変化または改変が、この詳細な記載から当業者には明らかになるので、この詳細な記載は、本発明の好ましい実施態様を示すが、例示のみの目的で与えられていることが理解されるべきである。本発明はまた、本発明の要素の作用のいかなる理論にも限定されない。
実施例1
UPAR:uPA1-48複合体上での15マーランダムペプチドライブラリーのアフィニティー選択
可溶性組換えヒトウロキナーゼレセプター(suPAR)を発現させ、そしてGoodsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91: 7129-7133 (1994)に記載のようにバキュロウイルス感染sf9昆虫細胞から分泌させた。ヒトウロキナーゼのEGF様ドメイン(uPA残基1−48)を、Stratton-Thomasら、Prot.Eng. 8: 463-470 (1995)に記載のように組換え酵母から発現させた。UPA1-48を、還元性条件下でのイオン交換クロマトグラフィーおよび逆相HPLC、続いて再フォールディング工程および酸化物質の逆相HPLC上での再クロマトグラフィーを含む、公開された手順の修正により精製した。可溶性uPARを、固定化uPA1-48のカラム上で精製し、低いpHで溶出させ、Kaufmanら、Anal.Biochem. 211: 261-266 (1993)に従ってビオチン化し、そしてSoft-Avidinカラム(Promega Corporation, Madison, WI)上で精製した。Grussenmeyerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82: 7952-7954 (1985)に記載のように、E-Y-M-P-M-EのC末端エピトープタグを有するドメイン2および3(アミノ酸93〜313)を含むuPARフラグメントを、バキュロウイルス感染Sf9昆虫細胞において発現させ、そして抗エピトープ抗体カラム上でのアフィニティークロマトグラフィーにより、馴化培地から精製した。遊離アミノ末端およびアミド化カルボキシル末端を有するペプチドを、Chiron Mimotopes(Melbourne, Australia)で合成し、そしてこれはHPLCおよびMS分析により70%を越えて純粋であった。クローン20ペプチドの改変体を、配列:AE PMPHSLNFSQYAWYT(配列番号7)を用いて調製した。クローン7のスクランブル化バージョン(scrambled version)は、配列:VEYRDAYSYPQYLSYLE(配列番号8)を有した。組換えPAI-1をAmeican Diagnosticaから入手した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ストレプトアビジンはPierce Chemical, Rockford, ILに由来する。抗M13抗体は、Pharmacia, Piscataway, NJに由来する。
アフィニティー選択を、ストレプトアビジンコート磁性ビーズ(Dynal, Rochester, NY)上で実施した。ビオチン化suPAR(1.5μg)を、100μlの総容量において、3.5μgのuPA1-48と30分間室温にて混合した。磁性ビーズをPBS/1%BSA(PSB/BSA)で30分間ブロックし、次いでsuPAR:uPA1-48複合体をPBS/0.1%BSA中に添加し、そして2時間室温にてインキュベートした。次いで、ビーズをPBS/BSAで3回洗浄し、そして15マーランダムペプチドライブラリーの500μlのアリコートで再懸濁した。比較のために、ビーズの同一のアリコートを、親バクテリオファージベクター(LP67、Devlinら、Science 249: 404-406(1990)に記載される)とインキュベートした。バクテリオファージを室温にて45分間結合させ、次いで2mlのPBS/BSAで7回洗浄し、そして結合バクテリオファージを500μlの60mMグリシン、1.5M尿素(pH2.5)で溶出した。溶出バクテリオファージを力価測定し、そしてGoodsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91: 7129-7133 (1994)、およびDevlinら、Science 249: 404-406 (1990)に記載のように増幅した。次いで、増幅バクテリオファージを、上記のようにsuPAR:uPA1-48複合体上でのさらなる回(round)のために選択した。DNA配列決定を、ジデオキシ法により、各々のバクテリオファージプラークからのPCR増幅インサート上で行った。
実施例2
sUPARへのバクテリオファージ結合
50mMのNa2CO3(pH9.6)中のストレプトアビジン100μl(0.1mg/ml)を、MaxiSorpウェル(Nunc)に添加し、4℃にて一晩インキュベートし、次いでPBS/BSAで洗浄した。ビオチン化sUPAR(PBS/BSA中25nM)をウェルに添加し、そして洗浄の前に室温にて2時間インキュベートした。競合ペプチドインヒビターを、バクテリオファージの添加の直前にウェルに添加した。ウェルを室温にて1時間インキュベートし、次いで洗浄して、そして結合バクテリオファージを0.1N HCl(pH2.5)中の6M尿素で溶出した。15分後、尿素溶出物を2M Tris baseの添加によって中性pHにし、そしてインプットストックおよび溶出物のバクテリオファージ力価をプラーク形成アッセイにより測定した。結果は、ウェルに結合するインプットバクテリオファージのパーセントとして表される。あるいは、ELISAにおいてバクテリオファージの量を決定した。ここで、ファージをHRP結合抗M13抗体と室温にて30分間プレインキュベートし、次いで上記のように調製したウェルに分配し、そして室温にて1時間インキュベートした。最終抗M13結合希釈は1:4000であった。洗浄の後、TMB基質(100μl/ウェル)を添加し、そして呈色を0.8N H2SO4(100μl/ウェル)で停止させた。次いで、96ウェルプレートリーダーで450nmでの吸光度を測定した。
uPA1-48:uPAR複合体のパンニングにより、新規なペプチド配列を得た。uPAR上のuPA結合部位についての高親和性ペプチドリガンドの選択は、Goodsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:7129-7133 (1994)に記載のように、比較的効率的なプロセスであり、Stratton-Thomasら、Prot.Eng. 8: 463-470 (1995)に記載のように、uPA結合部位ペプチドの選択を減少するために、過剰なuPAの組換えEFG様ドメイン(uPA1-48)を含むことによって、UPAR上のさらに機能的に重要な部位に対する親和性を有するペプチド提示(displaying)バクテリオファージを選択することにより、拡張した。EGF様ドメインは、Appellaら、J.Biol.Chem. 262: 4437-4440 (1987)およびRobbiatiら、Fibrinol. 4: 53-60 (1990)に記載のように、レセプター結合モチーフであり、そしてMazarら、Fibrinol. 6: 49-55 (1992)に記載のように、uPAと同様の親和性(0.1〜5nM)でuPARに結合する。Devlinら、Science 249: 404-406 (1990)に記載の15マーランダムペプチドバクテリオファージライブラリーを、磁性ビーズ上で固定化されたsuPAR:uPA1-48複合体上でアフィニティー選択した。バクテリオファージの収率は、2回目の0.008%から3回目の0.24%へ30倍増大し、このことは、結合バクテリオファージの富化を示唆した。
28個の非依存性バクテリオファージを単離し、そしてランダムペプチドをコードするDNAセグメントを配列決定した。これら28のバクテリオファージから、23の異なる配列を得たが、固定化sUPAR上で別々にアフィニティー選択した場合、4つのクローン(7、9、18、および25)のみが実質的な収率(>2%)を有した。これは、選択した結合バクテリオファージのほとんどが実質的な収率を有した、Goodsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91: 7129-7133 (1994)に記載された、uPAR単独でのアフィニティー選択の以前の結果と対照的である。これらの4つのバクテリオファージの収率を、suPAR上でuPA1-48の存在下および非存在下で決定した。さらに、コードされたペプチドを合成し、そしてStratton-Thomasら、Prot.Eng. 8: 463-470 (1995)およびKaufmanら、Anal.Biochem. 211: 261-266 (1993)に記載のように、suPAR結合アッセイにおいて競合物として試験した。これらの結果を、図6の表に要約する。
選択したバクテリオファージの結合は、1000倍モル過剰のuPA1-48の存在によりほとんど影響されなかった。対照的に、以前記載された、uPA結合部位に結合するバクテリオファージ(クローン20およびuPA13-32)は両方とも、suPAR上で2〜5%の収率を得たが、Goodsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91: 7129-7133 (1994)に報告されたように、uPA1-48の存在下ではバックグラウンドレベル(500倍より大きい減少)まで減少した。これらの結果は、uPA1-48:uPAR複合体上で選択したバクテリオファージが、クローン20およびuPA13-32とは異なるクラスのuPARリガンドを提示することを示唆した。
本発明者らは、バクテリオファージがsUPARドメイン2-3フラグメントに結合することもまた示した。100μlの50mM Na2CO3(pH9.6)中の1mg/ml プロテインGをMaxiSorpウェルに添加し、4℃にて一晩インキュベートし、次いでPBS/BSAで洗浄した。エピトープタグEYMPMEに対する50μlのモノクローナル抗体を1mg/mlでPBS/BSAに添加し、そして室温にて2時間インキュベートした。ウェルを洗浄し、組換えsUPARドメイン2-3(PBS/BSA中1.7μM)を添加し、そして室温にて1.5時間インキュベートした。ウェルをバクテリオファージの添加(約108pfu)の前に洗浄し、次いでsuPARへの結合について前節に記載のように処理した。
実施例3
ビトロネクチン結合アッセイ
ビトロネクチンを、Yatohgoら、Cello Struct. and Funct. 13: 281-292 (1988)の方法により、ヒト血漿から精製した。精製ビトロネクチンを、1mM CaCl2および0.5mM MgCl2を含むPBS中において20μg/mlまで希釈し、50μl/ウェルでImmulon IIウェル(Dynatech, Chantilly, VA)に分配し、4℃にて一晩インキュベートし、そしてPBS/BSAで洗浄した。ビオチン化sUPARをPBS/BSA中において20nMまで希釈し、試験リガンドを伴ってまたは伴わずに室温(22℃)にて30分インキュベートし、100μl/ウェルで分配し、そして90分間インキュベートした。次いでウェルを洗浄し、そしてPBS/2%BSA中0.4μg/mlの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ストレプトアビジンを1時間添加し、次いで洗浄し、100μl/ウェルTMB基質を添加した。呈色を100μlの0.8N H2SO4で停止させ、そして96ウェルプレートリーダー(Dynatech, Chantilly, VA)で450nmでの吸光度を測定した。試験リガンドのアンタゴニスト的効果を、リガンドを20nM uPA1-48の存在下で20nMビオチン化sUPARと共にインキュベートしたことを除いて、上記のように測定した。
uPA1-48:uPAR複合体は高い親和性でビトロネクチンに結合することが見出された。種々のペプチドリガンドのuPAR:ビトロネクチン相互作用に対する効果を分析するために、本発明者らは、この相互作用についてのインビトロELISAに基づくアッセイを開発した。ここでは、ビオチン化suPARおよびuPA1-48が、固定し尿素精製したビトロネクチンに結合し、そして結合sUPARをHRP結合ストレプトアビジンで検出する。図1に示すように、このアッセイの条件下で、ビオチン化uPARのビトロネクチンとの結合は、uPA1-48に厳密に依存する。uPA1-48:suPAR複合体のビトロネクチンとの明らかに化学量論的な結合は、この相互作用の親和性が複合体の濃度(Kd<20nM)よりも高いことを示す。
バクテリオファージ由来のペプチドが複合体結合およびビトロネクチンへの細胞接着をブロックすることもまた見出された。種々のバクテリオファージ由来のペプチドがuPA1-48:uPAR複合体のビトロネクチンとの結合に影響する能力を、ELISAアッセイにおいて評価した。2つのクラスのペプチドが、このアッセイにおいて効果的なアンタゴニストであった。第1に、sUPARへのuPA1-48結合に直接的に競合するクローン20およびuPA13-32は結合を減少させた。非常に減少したレセプター結合活性を示すクローン20ペプチドのアナログは、ビトロネクチンへの結合に影響しなかった。第2に、非常に減少したuPA1-48結合に対する競合を示すクローン7および18(図6の表を参照)もまた複合体結合を阻害したが、一方クローン7のスクランブル化バージョンは阻害しなかった。単独で試験した場合、ペプチドはビオチン化suPARのビトロネクチンとの結合を増加させなかった。バクテリオファージとしてsuPARに効果的に結合する第3のペプチドであるクローン25は、uPA1-48刺激ビトロネクチン結合にほとんどまたは全く影響しなかった。クローン7および18ペプチドがuPAR上のビトロネクチン結合部位に直接的に結合し、そしてuPAR:uPA1-48によるビトロネクチン結合をこの部位についての直接的競合により阻害するかどうかを試験するために、本発明者らは、これらのバクテリオファージの結合に対するビトロネクチンの効果を試験した。ビトロネクチンは、uPA1-48:suPAR複合体へのバクテリオファージ結合を5〜10倍減少させ、これらのペプチドがuPARリガンドとしてのビトロネクチンを模倣するという仮説に一致した。
Weiら、J.Biol.Chem. 269: 32380-32388 (1994)に記載されるように、以前の結果は、uPARによるビトロネクチン結合が、刺激U937細胞の細胞接着に相関することを示した。クローン7ペプチドがこれらの細胞のuPAR媒介接着をブロックし得るが、一方同じペプチドのスクランブル化バージョンは影響を有さないこともまた見出された。
さらに、uPA1-48:uPAR複合体のビトロネクチンとの結合がPAI-1、ビトロネクチン、およびビトロネクチンのソマトメジンBドメインによってブロックされることが示された。ビトロネクチンの別の機能は、PAI-1の活性コンホメーションの安定化であると決定されており、これはSeiffertら、J.Biol.Chem. 269: 2659-2666 (1994)に記載のように、ビトロネクチンのソマトメジンBドメインを介して生じるようである。PAI-1は、uPA1-48:suPAR複合体のビトロネクチンとの結合の非常に効果的な競合物であり、10nMの見かけのIC50を有する。これは、uPARおよびPAI-1の結合部位が重複していることを本発明者らに示唆した。Seiffertら、J.Biol.Chem. 269: 2659-2666 (1994)に記載のように、活性PAI-1との高親和性ビトロネクチン結合は、主にソマトメジンBドメインを介することが以前に実証されている。従って、本発明者らは、ビトロネクチンおよび組換えソマトメジンBドメインもまた、ビトロネクチンとのuPAR結合を阻害するかどうかを試験した。結果的に、本発明者らは、分子は阻害するが、ドメインの点変異は阻害しないことを示した。
次いで、バクテリオファージペプチドはビトロネクチンのソマトメジンBドメインと相同であり、これはまたPAI-1の結合部位であることもまた決定した。バクテリオファージ由来のペプチド7および18の配列を、このドメインに対する相同性について試験した。図3に示すように、ソマトメジンBドメインの残基24〜28とクローン7および18ペプチドとの間に保存されたモチーフLXXArY(ここで、Xは親水性残基であり、そしてAr=F、Yである)が存在する。さらに、クローン7および18は、保存されたロイシンのすぐN末端側に配列E-L-Dを共有し、一方関連配列D-E-Lが、保存された配列LCSYYに隣接して、ビトロネクチンのソマトメジンBドメインの残基22〜24に見出される。
ペプチド7のどの残基がuPAR結合およびビトロネクチン結合の阻害に重要であるかを決定するために、本発明者らは各残基を別々にアラニンに置換し、そして生じたペプチドをuPARとのバクテリオファージ結合の阻害およびuPA1-48:uPAR複合体のビトロネクチンとの結合の妨害について試験した。図4に示す結果は、これらのアッセイにおいて、ペプチドとビトロネクチンとの間で保存された残基が活性のために重要であることを示す。
実施例4
SuPAR:1-アニリノ-8-ナフタレンスルホン酸(ANS)蛍光測定
種々のペプチドリガンドのsUPAR/ANS蛍光に対する効果の決定を、Plougら、Biochem. 33:8991-8997 (1994)の手順と同様の手順に従って行なった。競合物を含むかまたは含まないsUPAR/ANS溶液の蛍光発光スペクトルを、386nmの励起波長、5nm帯域励起および発光スリット、ならびに10mm透過長石英キュベットを有するHitachi F-4500蛍光分光光度計を使用して得た。400から600nmの発光スペクトルを記録した。競合測定のために、sUPAR/ANSストック溶液の希釈物を作製して、10% DMSOを含有するPBS中に2μM sUPAR、10μM ANS、および0から20μM競合物の最終濃度を有する個々の0.5mlアリコートを得た。蛍光の測定を25℃で1時間のインキュベーション後に行なった。
ANS蛍光増強がペプチド配列を識別したことを見出した。これらのペプチドリガンドの結合部位をさらに分析するために、本発明者らは、ANSの蛍光増強に対するそれらの効果を試験した。ANSの蛍光増強は、uPAR結合の際に生じ、そしてuPAR分子のuPA結合部位の占有および機能状態と相関することが示されている(Plougら、Biochem. 33:8991-8997 (1994))。いくつかのペプチドuPARリガンドのuPARの存在下でのANS蛍光増強に対する効果は、uPA1-48およびクローン20がANS蛍光を減少するという予想された結果を有した。このことは、レセプター結合アッセイにおけるそれらの強力な活性と一致する。クローン7はまた、より高い濃度においてであるが、用量依存様式で蛍光を減少した。一方、クローン25のペプチドは20μMまで効果を有さない。これらの結果は、クローン7、20およびuPA1-48が、ANSとのuPARのいくつかの共通の結合決定基または共通の結合構造を共有するが、クローン25は異なる部位と結合することを示唆した。
実施例5
組換えUPARドメイン2-3フラグメントはバクテリオファージに結合するがuPA1-48には結合しない
UPARは、Ploughら、FEBS Lett. 349:163-168 (1994)に記載の相同システイン含有ドメインの3つの反復を含むLy6/CD59ファミリーの唯一のメンバーである。本発明者らによる先の研究は、uPAR上のビトロネクチンの結合部位が、Weiら、J. Biol. Chem. 269:32380-32388 (1994)に記載のドメイン2および3(D23)中にあることを示唆した。この疑問についてさらに取り組むために、本発明者らは、バキュロウイルス感染Sf9昆虫細胞において、C末端6アミノ酸エピトープタグとともに第2および第3のCD59相同ドメインを含むことが予想されるsuPARのフラグメント(残基93-313)を発現させた。分泌タンパク質を抗エピトープアフィニティーカラム上で精製し、そして最初にsuPAR結合アッセイにおいて競合するその能力について試験した。100nM D23でのこのアッセイにおいては、同じ条件下では0.1nMのIC50を示すインタクトなsuPARとは対照的に、競合は存在しなかった。
次いで、本発明者らは、種々のuPARバクテリオファージ提示リガンドの固定D23に結合する能力を試験した。図5に示す結果は、リガンドがD23およびsUPARへの結合に関して3つの異なるクラスに分かれることを示す。クローン20および13-32はインタクトなsUPARにのみ有意に結合する一方で、クローン9および25はD23フラグメントおよび全長レセプターに等しく結合する。クローン7および18のペプチドを保有するバクテリオファージはD23に対し中程度の結合を示し、そしてインタクトなレセプターに対して実質的により良好な結合を示す。
実施例6
uPAR:インテグリン結合および結合部位の同定
インテグリン依存性接着に重要である細胞骨格結合エレメントがまたuPARにより媒介される接着に関与するかどうかを確かめるために、胚腎臓細胞(293細胞)を操作して、相補性決定領域4(CD4)の膜貫通ドメインに融合したβ1細胞質テイルからなるキメラタンパク質とともにuPARを同時発現させた。このキメラβ1構築物の発現は、Lukashevら、J. Biol. Chem. 26:18311 (1994)に記載のβ鎖に結合する細胞質エレメントを隔離することによりインテグリン媒介性接着に対して優勢ネガティブ効果を働かせることが先に示されている。uPARのβ1細胞質ドメインとの同時発現は、uPAR依存性ビトロネクチン接着を完全に排除した。Lukashevら、J. Biol. Chem. 26:18311 (1994)におけるように調製した全長または短縮β1細胞質テイルを発現するクローンを、GPI-uPARのcDNAでトランスフェクトし、そしてWeiら、J. Biol. Chem. 169:32380 (1994)におけるように選択した。キメラβ1発現をカドミウムにより6時間誘導した後、ビトロネクチンへの接着を37℃でアッセイした。全長β1キメラの誘導後、細胞はビトロネクチンコート表面に本質的に全く接着しなかったが、短縮β1を発現する同時トランスフェクタントは良く接着した。
uPARと、コントロール(Lukashevら、J. Biol. Chem. 26:18311 (1994)に記載の細胞骨格タンパク質と結合し得ない短縮β1細胞質ドメイン)とを同時発現する細胞は、正常に接着した。37℃における接着の阻害が、共トランスフェクト間で、4℃における匹敵するウロキナーゼおよびビトロネクチン結合にもかかわらず生じ、これは接着に重要な細胞骨格結合エレメントについてのβ1細胞質テイルとuPARとの間の競合を示唆した。
これらの結果に基づいて免疫沈降実験を行なって、uPARが天然のβ1インテグリンと物理的に会合するかどうかを決定した。IL-2R α膜貫通ドメインおよび短い細胞質テイルに融合したuPARの細胞外ドメインから構成されるキメラuPAR(TM-uPAR)を発現する安定なトランスフェクタントをコントロールとして生成した。このキメラuPARは、Huiら、J. Biol. Chem. 269:8153 (1994)における記載のようにGPI-uPARに匹敵して、ウロキナーゼを結合する。ヒトウロキナーゼレセプターおよびヒトインターロイキン-2レセプターの全長cDNAを、ヒトマクロファージおよびヒトT細胞から、それぞれ、逆転写およびポリメラーゼ連鎖反応により単離した。uPARの細胞外ドメイン(アミノ酸1-281)およびIL-2R αの膜貫通/細胞質ドメイン(アミノ酸218-251)をコードするキメラcDNA構築物を調製した。キメラcDNAをpBluescriptにサブクローニングし、ヌクレオチド配列決定(Sequenase, United States Biochemical Corp)により確認し、次いでXbaIおよびXhoIで消化し、そして最終的にpCEP4発現ベクターにサブクローニングした。同時トランスフェクタントは、Weiら、J. Biol. Chem. 269:32380 (1994)に記載の方法によって、等量のビトロネクチンおよびウロキナーゼに4℃で結合することを示した。
イムノブロッティングにより、293細胞におけるGPI-uPARおよびTM-uPARの匹敵する発現、ならびに匹敵するウロキナーゼおよびビトロネクチン結合を確認した。GPI-uPAR 293細胞のtriton X 100(0.2%)不溶性画分を極性界面活性剤中で可溶化した場合、β1の免疫沈降は、明らかに、Filardoら、J. Cell. Biol. 1995, 印刷中に記載のように、uPARを同時沈降する:細胞(5×106)を一晩培養し、微小管安定化緩衝液(0.1M PIPES(pH6.9)、2Mグリセロール、1mM EDTA、および1mM酢酸マグネシウム)で2回洗浄し、そして次いで氷上で5分間、0.2% Triton X 100およびインヒビター(1mMオルトバナジウム酸ナトリウム、1mMフェニルスルホニルフルオリド、10mg/mlロイペプチン)を含む緩衝液中で抽出した。不溶性残基を、4℃で20分間、プロテアーゼインヒビターを補充した1×RIPA緩衝液(150mM塩化ナトリウム、50mM Tris-HCl(pH7.5)、1%デオキシコール酸、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、1%Triton X-100)で可溶化した。triton可溶性画分を、2×RIPA緩衝液で1:1に希釈した。両画分を10分間、6000rpmで遠心分離し、次いで非免疫血清およびプロテインA-アガロースとの4℃で2時間のインキュベーションにより予備清澄化した。上清を新鮮なチューブに移し、そしてβ1またはカベオリンに対する抗体とともに4℃で2時間インキュベートした。免疫複合体をプロテインA-アガロースで回収した。洗浄した免疫沈降物を8%SDS-PAGEに供し、そしてニトロセルロースメンブレン上に移した。フィルターを5%脱脂粉乳でブロックし、そして1μg/mlの抗uPAR Mab R2(E. Ronne, Finsen Lab, Denmarkから)でプローブした。ブロットを洗浄し、そしてHRP結合抗体とともに1時間インキュベートした。洗浄後、メンブレンを増強化学ルミネセンス(NEN DuPont, Wilmington, DE)を使用して、製造業者のプロトコルに従って発色させた。
同様の結果を、ラットモノクローナルβ1抗体を置換した場合に得た。triton X 100界面活性剤可溶性画分のβ1免疫沈降物は全くuPARを示さなかった。さらに、uPARとβ1との非常に少ない会合またはそれらが全く会合しないことが、いずれのtriton画分にもおけるTM-uPARによって示された。
細胞接着アッセイを行って、観察されたuPAR/β1/カベリオン複合体が機能的に関連するかどうかを決定した。GPI-uPARおよびTM-uPARはともに4℃では同等にビトロネクチンに結合したが、GPI-uPAR発現細胞のみがビトロネクチンに対して増強した接着を示した。これは、β1とのuPARの会合が必要であることを示唆する。
この仮説をさらに試験するために、ファージ提示ペプチドライブラリーを、uPAR結合ファージについてスクリーニングした。多くのファージペプチドを、Goodsonら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91:7129 (1994)に記載のように単離した。1つのファージが、ウロキナーゼ/uPAR会合もビトロネクチン/uPAR会合もブロックしないuPAR結合ペプチドを提示した。このペプチド、ペプチド25およびいくつかのコントロールを合成し、精製し、そしてそれらの接着に対する効果についてスクリーニングした。ペプチド25(コントロールではなく)が、293細胞のビトロネクチンへのGPI-uPAR依存性接着を排除する(約60μMのIC50)ことが見出された。ペプチド25は、非トランスフェクト293細胞によるフィブロネクチンへの接着に効果を有さなかった。次いで、免疫沈降実験を行って、このペプチドおよびコントロールペプチドのuPARのβ1との会合に対する効果を評価した。ペプチド25(コントロールペプチドではなく)が、β1/カベオリン/uPAR複合体を、接着をブロックした濃度(100μM)で十分に分裂させた。最初のスクリーニングからのいくつかのさらなる非阻害性ペプチドを試験し、そしてβ1/uPAR同時沈降において効果を有さないことを見出した。これは、β1/GPI-uPAR/カベオリン複合体が接着単位として働くことを確証する。
さらに、ペプチド25についての最小モチーフを、uPARへの結合を探索するペプチド25のアラニンスキャンにより決定した:
これらのデータは、結合の阻害に必要な最小モチーフがクローン25中のYHXLXXGYMYT(配列番号5)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)であることを示唆する。
これらのデータは、uPARが特定のインテグリンと会合し、そしてその機能を修飾することを示す。この会合は、特定のマトリクスタンパク質(ビトロネクチン)への移動に対する接着を促進し、そしてインテグリンの正常な接着機能を不安定化する。インビボでは、uPARのインテグリン依存性付着を不安定化する能力は、プロテアーゼであるウロキナーゼの同時の結合により強化される。
実施例7
uPARに結合するさらなるリガンドの同定
uPAR結合アッセイにおいて、以下のアナログを、ファージが提示するペプチド25またはペプチド9のいずれかと競合させて試験した。アナログは天然および非天然のアミノ酸の両方を含む。
以下の表において、アナログ配列を左に印刷したアナログのアミノ末端とともに列挙した。アナログ配列には、特に記載しない限り、1文字アミノ酸略号を用いた。小文字は、D-アミノ酸を示す。例えば、「s」はD-セリンを示す。アナログ2-4および31-96は、遊離アミノ末端およびC末端カルボキサミドを有する。アナログ5-30はアセチル化末端(Ac-オリゴマー-NH2)を含む。
アナログを、実施例2に記載の方法に類似する、可溶性uPARを使用するアッセイにおいて試験した。アナログを、ファージが提示するペプチド9またはペプチド25のいずれかと競合するそれらの能力について試験した。アナログ3-61をペプチド25と競合させて試験した。アナログ62-96をペプチド9と競合させて試験した。約108プラーク形成単位のファージをアッセイに使用した。
アナログ3-30の結果
アナログを、ファージが提示するペプチド25とのuPAR競合アッセイにおいて、40μMの濃度で試験した。アナログが活性であった結果を以下に示す。
アナログ31-61の結果
アナログ31-61を、ファージが提示するペプチド25と競合するそれらの能力について試験した。活性なアナログを、さらに2つの濃度(5μMおよび2.5μM)で試験した。これらの濃度を合成反応に基づいて計算した。しかし、配列
*をさらに試験したところ、多量のアミノ酸を含むことが決定され、試験した量は5μMまたは2.5μMより高くあり得た。
活性なアナログでの試験の結果を以下に示す:
オリゴマー62-79の結果
アラニンスキャンをペプチド9の配列を使用して行った。アナログ62-79の配列は、アラニン残基を配列中のある位置で置換した以外は、ペプチド9と同じである。アナログ62-79は、ペプチド9中の可能なアラニン置換物の全てである。
Alaスキャンの結果は、6位のLeu、11位のTyr、12位のVar、および13位のTyrのアラニン置換がレセプター結合活性を破壊したことを示す。2位のGlu、4位のPhe、または14位のLeuのアラニン置換は、ペプチド9に比較してオリゴマーのレセプター結合活性を減少したが、破壊しなかった。
アナログ80-96の結果
アナログ80-96を、ファージが提示するペプチド9と競合するそれらの能力について試験した。活性なアナログを、さらに2つの濃度(5μMおよび2.5μM)で試験した。これらの濃度を合成反応に基づいて計算した。しかし、配列*をさらに試験したところ、少量のアミノ酸を含むことが決定され、試験した量は5μMまたは2.5μMより低くあり得た。
活性なアナログでの試験の結果を以下に示す: