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JP2008199916A - 微生物を用いた水素生産方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微生物を用いて連続水素生産を行う場合における水素生産量の急激な低下を防ぎ、安定的に水素を供給できる水素生産方法を提供する。
【解決手段】蟻酸脱水素酵素遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物に嫌気的条件下にて有機性基質を供給して連続的に水素生成反応を行う水素生産方法において、水素生成反応時における酸化還元電位の変化率を100mV/min以下になるように制御することを特徴とする水素生産方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、微生物を用いた水素生産方法に関するものである。
水素は、化石燃料と異なり、燃焼しても炭酸ガスや硫黄酸化物など環境問題より懸念される物質を発生せず、また、単位質量当たりの熱量は石油の3倍以上あり、燃料電池に供給すれば電気エネルギーおよび熱エネルギーに高い効率で変換できることから、究極のクリーンエネルギー源として注目されている。
水素の生産方法として、従来、種々の化学的ないし生物的生産方法が提案されている。化学的生産方法としては、例えば天然ガスやナフサの熱分解水蒸気改質法などの技術が提案されている。しかしこれら化学的生産方法は、高温高圧の反応条件を必要とすること、そして製造される合成ガスにはCO(一酸化炭素)が含まれるため、燃料電池用燃料として使用する場合には燃料電池電極触媒劣化防止のために技術的課題解決難度の高いCO除去を行う必要があることなど、多くの問題点をかかえている。
一方、微生物を利用する生物的水素生産方法は、常温常圧の反応条件で水素が生成可能であり、しかも発生するガスにはCOが含まれないためその除去も不要であるという利点がある。
このような観点から、微生物による生物的水素生産方法は、燃料電池用燃料供給のためのより好ましい水素生産方法として、注目されている。
生物的水素生産方法は、大別して、光合成微生物を使用する方法と非光合成微生物(主に嫌気性微生物)を使用する方法とに分けられる。前者の方法は水素発生に光エネルギーを用いるため、その低い光エネルギー利用効率を補うべく広大な集光面積を要することや、水素発生装置の価格問題や維持管理の難しさ等、解決しなければならない課題が多く実用的なレベルにはほど遠い。
後者の方法に関して、嫌気性微生物における水素生成に関する代謝経路が種々知られている。該代謝経路としては、例えば、グルコースのピルビン酸への分解経路において水素が発生する経路;ピルビン酸からアセチルCoAを経て酢酸が生成する過程において水素が発生する経路;又はピルビン酸由来の蟻酸より直接水素が発生する経路等が挙げられる。
中でも、ピルビン酸由来の蟻酸より直接水素を発生する経路は、FHLシステムとして、多くの微生物が有しており、FHLシステムに関してはエシェリキア コリ(Escherichia coli)において数多くの研究がなされている。かかる研究の成果として、例えば本発明者ら蟻酸脱水素酵素遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物を好気的条件で培養して菌体を増殖させ、その得られた菌体を蟻酸類含有培養液中で嫌気的条件下に培養することにより水素生成能力を有する微生物を得て、その微生物を用いて該微生物が実質的に増殖できない嫌気的条件下で水素生成反応を行うという、高効率な水素生産方法が提案されている(特許文献1)。
嫌気的条件下での反応に関しては、その嫌気的な度合いを測定する手段として、酸化還元電位センサーが一般的に用いられている。酸化還元電位センサーはまた、微生物による有機性廃棄物の処理方法において、それを用いて測定された酸化還元電位によって被処理物の負荷量を決定する手段としても提案されている(特許文献2)。
国際公開番号 WO 2004/074495 A1 のパンフレット 特開2002−059126号公報
しかしながら、従来の微生物を用いた水素生産方法において、一定の条件で連続的な水素生産を行った場合には、ある経時点において水素生産速度が急激に低下するという現象が見られる。一旦、水素生産速度が低下すると、水素生産性を回復させるために水素生成能力を有する微生物を新たに培養して反応容器に加えるなどの操作が必要となり、工程が複雑で長期間を要するなどの問題があった。かかる状況のもと、本発明は、微生物を用いて連続水素生産を行う場合における水素生産量の急激な低下を防ぎ、安定的に水素を供給できる水素生産方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の状況に鑑み、鋭意検討を行った結果、微生物細胞内の蟻酸および蟻酸塩より水素が生成する代謝経路を主として利用する水素生産方法において、水素生成反応溶液中の酸化還元電位を測定することで、微生物の水素生成能力の低下の度合を把握することが可能であることを見出した。即ち、酸化還元電位センサーにより検知される急激な酸化還元電位の変動を制御、防止すれば、急激な水素生成速度の低下を回避した生物的水素生産方法を提供できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は
[1] 蟻酸脱水素酵素遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物に嫌気的条件下にて有機性基質を供給して連続的に水素生成反応を行う水素生産方法において、水素生成反応時における酸化還元電位の変化率を100mV/min以下になるように制御することを特徴とする水素生産方法、
[2] 酸化還元電位の変化率の制御を行うための操作を、反応液の酸化還元電位の変化率が1mV/min〜50mV/minの範囲内にある時点で行うことを特徴とする前項[1]に記載の水素生産方法、
[3] 酸化還元電位の変化率の制御を、有機性基質の供給速度の増減により行うことを特徴とする前項[1]または[2]に記載の水素生産方法、
[4] 反応液のpHをモニターしながら、反応液のpHを4.0〜8.0に維持しつつ連続的に水素生成反応を行うことを特徴とする前項[1]〜[3]のいずれかに記載の水素生産方法、
[5] 有機性基質として蟻酸および/または蟻酸塩を用いることを特徴とする前項[1]〜[4]のいずれか1に記載の水素生産方法、
[6] 微生物として嫌気性細菌を用いることを特徴とする前項[1]〜[5]のいずれか1に記載の水素生産方法
に関する。
本発明によれば、蟻酸脱水素酵素遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物を用いた水素生成反応において、酸化還元電位の変化率を一定の範囲内に制御することにより、急激な水素生産量の低下を防ぐことが可能な水素生産方法を提供できる。
本発明は、微生物に嫌気的条件下にて有機性基質を供給して連続的に水素生成反応を行う水素生産方法である。
微生物は、一般的に原核生物と真核生物とに分けて考えられるが、本発明に用いる微生物としては、特に原核生物が好ましく用いられる。原核生物はさらに細菌とシアノバクテリアに分類されうるが、本発明においては、微生物として細菌を用いることが好ましい。
本発明においては、蟻酸脱水素酵素遺伝子(例えば、F.Zinoni,et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.83,pp4650−4654,July 1986 Biochemistry に記載されている。)およびヒドロゲナーゼ遺伝子(例えば、R.Boehm,et al.,Molecular Microbiology(1990)4(2),231−243 に記載されている。)を有する微生物が用いられる。かかる微生物は、微生物細胞内の蟻酸より水素が生成する代謝経路を有する嫌気性細菌であり、かかる微生物に有機性基質が供給されることにより、水素生成反応が行われる。
本発明における蟻酸脱水素酵素遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物としての、具体的な嫌気性細菌の例としては、例えばエシェリキア(Escherichia)属[例えばエシェリキア コリ(Escheritia coli ATCC9637、ATCC11775、ATCC4157等)]、クレブシェラ(Klebsiella)属[例えばクレブシェラ ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae ATCC13883、ATCC8044等)]、エンテロバクター(Enterobacter)属[例えばエンテロバクター アエロギネス(Enterobacter aerogenes ATCC13048、ATCC29007等)]およびクロストリジウム(Clostridium)属[例えばクロストリジウム ベイエリンキイ(Clostridium beijerinckii ATCC25752、ATCC17795等)]等が挙げられる。
さらに、本発明においては、水素生成能力が向上した組み換え微生物を用いることが好ましい。このような水素生成能力が向上した組み換え微生物を得る方法としては、FHLシステムの生成を強化する遺伝子を高発現させる方法、あるいは、FHLシステムの生成に関する抑制遺伝子を不活性化させる方法などが挙げられる。ここで、高発現とは、目的遺伝子(例えば fhlA遺伝子)の発現量が増加していることを意味し、目的遺伝子をニつ以上有することにより発現量が増加していることや、目的遺伝子が一つであってもプロモーターの改変等により発現量が増加していること等も含む。
このような水素生成能力が向上した組み換え微生物の例としては、FHLシステムの転写アクティベーター遺伝子が高発現させられた微生物、および、FHLシステムの転写アクティベーター遺伝子が高発現させられ、かつFHLシステムの生成に関する抑制遺伝子が不活性化された微生物が挙げられる。具体的には、エシェリキア・コリ(ATCC27325)の形質転換体であり、W3110/ fhlA−pMW118と命名された、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託されている(受託番号:FERM BP−10444)微生物、または、W3110 ΔhycA / fhlA−pMW118と命名された、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託されている(受託番号:FERM BP−10443)微生物等が、本発明において好適に使用される。
有機性基質としては、蟻酸類を用いることが好ましい。ここで蟻酸類とは、ヒドロカルボキシル基(化学構造式HCOO)を有する化合物、すなわち蟻酸および蟻酸塩である。中でも、蟻酸、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、蟻酸カルシウム、蟻酸マンガン、蟻酸ニッケル、蟻酸セシウム、蟻酸バリウム、蟻酸アンモニウム等が挙げられる。それらの中でも、水に対する溶解度の面から蟻酸、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、蟻酸カルシウム、および蟻酸アンモニウムが好ましく、さらに、コストの面から蟻酸、蟻酸ナトリウムおよび蟻酸アンモニウムが好ましい。
有機性基質は、これを含有する液体として供給されることが好ましく、かかる液体における有機性基質の濃度は、水素生成反応の反応液の体積をなるべく増加させないという観点から、それぞれの物質の飽和濃度に近いものが好ましい。かかる観点から、上記した蟻酸類の中でも、純度の高い液体原料である蟻酸が最も好ましい。蟻酸類としては、蟻酸および蟻酸塩の中から選択される1種を用いることができ、2種以上を選択して併用することもできる。
また、本発明においては、上記微生物の栄養源として、炭素源、窒素源、ミネラル源その他の栄養源を用いることができる。
炭素源としては、例えばグルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ラクトース、スクロース、セルロース、廃糖蜜、グリセロール等が挙げられる。また、窒素源としては、無機態窒素源では、例えばアンモニア、アンモニウム塩、硝酸塩等が挙げられ、有機態窒素源では、例えば尿素、アミノ酸類、タンパク質等が挙げられる。また、ミネラル源としては、おもにK、P、Mg、Sなどを含む、例えばリン酸一水素カリウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。その他の栄養源としては、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー、カザミノ酸、ビオチン、チアミン等各種ビタミン等が挙げられる。これらの栄養源は、必要に応じて所望の方法で用いることができ、例えば有機性基質を含有する液体に添加して用いることができる。
図1に、本発明を実施するための装置の一例として、反応容器に酸化還元電位センサーおよびpH指示計を載置した水素生産装置の概略構成図を例示する。以下ではこの装置図を引用しつつ本発明を説明するが、本発明はこの装置により限定されるものではない。
水素生成反応を行うための反応容器1には、蟻酸脱水素酵素遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物と培地成分を含む反応液が入れられている。有機性基質の入った原料タンク2から有機性基質供給ポンプ3を用いて上記反応容器に有機性基質が供給されることにより、上記反応液中の微生物の作用で水素生成反応が行われ、水素を含むガスが生産される。このとき、反応容器に載置された酸化還元電位センサー4によって、反応液の酸化還元電位を測定することができる。
本発明では嫌気的条件下にて水素生成反応を行うので、反応液としては、嫌気的条件に準じて、還元状態下の培養液を用いる。嫌気的条件下とは、反応液の酸化還元電位が−100mV〜−600mV程度の条件下であり、好ましくは−200mV〜−600mV程度の条件下である。かかる嫌気的条件を調整する方法としては、特に限定されず、培養液中の溶存酸素を除去する方法であれば、いずれも好ましく用いることができる。例えば培養液の加熱処理や減圧処理あるいは培養液中への窒素ガス等のバブリング等により溶存酸素を除去する方法が挙げられる。嫌気的条件の培養液を得るために溶存酸素を除去する方法の具体例としては、13.33×10Pa以下、好ましくは6.67×10Pa以下、より好ましくは4.00×10Pa以下の減圧下で約1〜60分間、好ましくは5〜60分間程度の脱気処理をする方法が挙げられる。
反応液における微生物濃度としては、商業的実用化に必要と考えられている50L(H)/hr/L(反応容積)以上の水素生産性を得ることが可能となる観点から、10質量%〜80質量%(湿潤状態菌体質量基準)が好ましい。10質量%よりも小さい場合には、50L(H)/hr/L(反応容積)の水素生産性を得ることは難しくなるので好ましくない。
反応液の酸化還元電位(ORP)としては、−100mV〜−600mVが好ましく、−300mV〜−600mVがより好ましい。
本発明において重要なことは、水素生成反応時における上記の酸化還元電位の変化を一定の範囲内に制御することである。本発明者らは、反応液のpHを一定に保持して連続的に上記の水素生成反応を行う際、菌体の水素生成能力が減少しはじめる時点において反応液中の酸化還元電位の変化率が上昇する傾向があり、この酸化還元電位の変化率が菌体の水素生成能力の低下度合いを示す指標となることを見出し、かかる指標を利用することによって、水素生成速度が低下するのを防ぐことに成功した。
すなわち、一定のpH条件下、上記の反応液に一定の供給速度で有機性基質を供給して連続的に水素生成反応を行う際に、反応液の酸化還元電位の変化率が連続して上昇してくると、菌体の水素生成能力が低下してくる。そこで何らの措置も施さずにそのままの条件で反応を続けようとすると、急激に水素生成速度が低下する。本発明では、かかる水素生成速度の低下を回避するために、反応液の酸化還元電位の変化率を100mV/min以下になるように制御するのである。かかる酸化還元電位の変化率を制御するための操作は、酸化還元電位の変化率が1mV/minに達した時点以後に開始すれば足りるが、好ましくは酸化還元電位の変化率が1mV/min〜50mV/minの範囲内にある時点で行うようにする。酸化還元電位の変化率が50mVを超えてから行ったのでは、酸化還元電位の変化率を100mV以下になるように制御することが困難になる傾向にあるので好ましくない。
上記の酸化還元電位の変化率を制御するための操作方法としては、例えば、有機性基質の供給速度を低下させる方法、水素生成能力を有する微生物を添加する方法、反応液の攪拌速度を増加させる方法等が挙げられる。かかる方法を用いて、酸化還元電位センサーで測定される酸化還元電位の変化率をモニターしつつ制御することにより、水素生成速度の急激な低下を防ぐことが可能となる。上記した方法の中でも、有機性基質の供給速度を増減させる方法、水素生成能力を有する微生物を添加する方法が、制御方法として好ましい。有機性基質の供給速度を増減させる方法においては、酸化還元電位の変化率を小さくするために有機性基質の供給速度を低下させる操作を行うが、この操作により該変化率が定常期に戻れば、再び有機性基質の供給速度を上昇させることができる。
上記の酸化還元電位の変化率を制御する方法として特に好ましいのは、酸化還元電位の変化率を上記の範囲に収めるべく、有機性基質の供給速度を増減させる方法である。例えば図1に示される装置においては、酸化還元電位測定センサー4および有機性基質供給ポンプ3に測定および制御装置15が接続されており、酸化還元電位センサー4からの入力信号により測定される酸化還元電位の変化率に応じて有機性基質供給ポンプ3に向けて該ポンプの流量を制御する信号が出力され、有機性基質の供給速度が増減される。
また水素生成能力を有する微生物を添加する方法としては、該微生物の菌体液を滴下する方法、凍結乾燥菌体を添加する方法などが挙げられる。中でも、反応液量を一定に保つことが可能となるために、凍結乾燥菌体を用いることが好ましい。水素生成能力を有する微生物としては、当初の反応液に含まれるのと同種の、蟻酸脱水素酵素遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物が好ましく、これを追加的に反応液に添加することが好ましい。
例えば図1に示される装置においては、酸化還元電位測定センサー4および微生物有供給ポンプ12に測定および制御装置15が接続されており、酸化還元電位センサー4からの入力信号により測定される酸化還元電位の変化率に応じて微生物供給ポンプ12に向けて該ポンプの流量を制御する信号が出力され、微生物の入ったタンク11から微生物が適宜追加的に添加される。
また、上記したような酸化還元電位の変化率を制御する方法は、1つの方法のみを用いること、複数の方法を組み合わせて用いることのいずれも可能である。
なお、上記の水素生成反応における反応液のpH条件は、用いる微生物種や反応液中の緩衝成分によって好ましい範囲が異なってくるものの、本発明において通常好ましい反応液のpHは4.0〜8.0であり、さらに好ましくは5.5〜7.0である。本発明においては、例えば図1の反応容器1に載置されたpHメーター16により反応液のpHをモニターしながら、該pHを4.0〜8.0の範囲に維持しつつ水素生成反応を行うことができる。pHを所望の範囲に維持する手段としては、例えばモニターされたpHの値に応じてアルカリ(例えば濃度5M程度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液)を適宜加えてpHを調整することが挙げられる。例えば図1に示す装置では、このためのNaOH水溶液の入ったタンク17が備えられており、pHメーターによりモニターされたpHの値に応じてNaOH供給水溶液供給ポンプの流量が調節される。
水素生成反応の反応温度条件は、用いる微生物の種類によっても異なるが、一般的に常温微生物を用いた場合、反応温度としては、20〜45℃が好ましく、微生物のライフの面から30〜40℃がより好ましい。かかる範囲に反応温度を制御する方法としては、通常の方法に準じて公知の反応温度制御手段を用いればよい。
本発明を実施するための水素生産装置としては、図1に示したような装置に限られず、水素生成反応を行う反応容器、有機性器質の供給手段および酸化還元電位の測定手段を備えることを条件として種々の変形が可能であり、公知の装置や機器を適宜組み合わせて利用することによってもかかる水素生産装置を構築できる。
水素生産装置における各種タンク、容器および配管等の材質としては、耐酸性の、もしくは耐酸性コーティング処理が施された金属類、ガラス類やプラスチック類を好適に用いることができる。また水素生産装置においては、嫌気性微生物を用いるために、反応容器(リアクター)内部へ酸素を透過させない構造が好ましく、攪拌装置の回転部等にはパッキン等を用いてシール性を高めることが推奨される。
以下、実施例により具体的に本発明を説明するが、本発明はこれによりなんら制限されるものではない。
[実施例1]組み換え大腸菌(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター受託番号:FERM BP−10443、W3110ΔhycA/fhlA―PMW118)による水素生産:
上記に示した組み換え大腸菌を、下記表1に示される組成にさらにアガー15gを添加して調製した寒天培地に、白金耳を用いてスプレッドし、37℃、24時間で培養した。得られたシングルコロニーを、下記表1に示される組成の培養液10mlに植菌し、好気的条件下、37℃で一晩振盪培養(前培)を行った。
Figure 2008199916
次に、上記の一晩振盪培養(前培)を行った培養液の一部(約10ml)を採取し、これを下表2で示される組成の培養液に加え、嫌気的条件下、37℃で12時間の振盪培養(本培)を行った。なお、培養時に培養液のpHが概ね6.0を保つように、適時5M水酸化ナトリウム溶液の添加を行った。
Figure 2008199916
ついで、上記の本培を行った後の培養液を遠心分離機にかけ(5000回転、15分)、上澄み液を除去し、水素生成能力を有する微生物を得た。この水素生成能力を有する微生物を遠心分離により分離後、下記表3で示される組成の、上記本培用の培養液と同じ成分で構成される還元状態下での水素生成反応用の反応液500ml(ミリリットル)に懸濁調製した(微生物濃度約40% 湿潤状態菌体質量基準)。
Figure 2008199916
図1に示される装置を用い、反応容器1に上記で調製した反応液を投入し、また、有機性基質の入ったタンク2には99.9%(試薬特級レベル)の蟻酸を準備した。攪拌装置7のモーター6を回転させ、反応溶液を攪拌させた。
本実施例に用いた図1に示される装置は、嫌気雰囲気制御された恒温槽8内に載置され、本恒温槽内の酸素濃度は0.01ppm未満であることが確かめられた。
有機性基質供給ポンプ3を用いて、42ml/hrの供給速度で連続的に蟻酸を反応容器に供給して、反応により発生するガス量、および酸化還元電位を測定した。発生するガス量の測定は、発生ガスフローメータ5としてマスフローメータ(MODEL3810 コフロック製)を用いて行い、酸化還元電位の測定は、酸化還元電位センサー4(Redox Fermprobe、BROADLEY JAMES社製)を用いて行った。蟻酸の供給と同時にガス発生が起こり、その捕集した発生ガスをガスクロマトグラフィー(GC14B 島津製作所製)により分析したところ、発生ガス中には50vol%の水素と残余の炭酸ガス等を含んでいた。
蟻酸の供給速度を一定のまま42ml/hrに保持して反応を続け、酸化還元電位の変化率が1mV/minを超えた時点(供給開始約12時間後)で蟻酸の供給速度を10ml/hrに変更して供給を継続し、合計30時間連続の水素生成反応による水素生産方法を実施した。この間のデータとして酸化還元電位の変化率、蟻酸供給速度、累積水素発生量をそれぞれ測定し、累積水素生成量の経時変化評価を行った。結果を図2に示す。
蟻酸の供給速度を10ml/hrに変更する時点を、酸化還元電位の変化率が1mV/minを超えた時点に代えて20mV/minを超えた時点(供給開始約12時間後)としたこと以外は、実施例1と同じことを行った。結果を図3に示す。
[比較例1]
途中で蟻酸の供給速度を変更する操作をしないこと以外は、実施例1と同じ操作を行った。すなわち、比較例1においては、酸化還元電位の変化率の値に応じて蟻酸の供給速度を制御することは行わず、基質の供給速度は常時42ml/hrを維持して30時間連続の水素生成反応を行い、実施例1と同様にデータとして酸化還元電位の変化率、蟻酸供給速度、累積水素発生量をそれぞれ測定し、累積水素生成量の経時変化評価を行った。結果を図4に示す。
30時間後の累積水素発生量は実施例1では408L(リットル)、実施例2では406L(リットル)であり、比較例では300L(リットル)であった。酸化還元電位の変化率が1mV(ミリボルト)/min(分)を検出した時点での水素生成条件の制御を行うことにより、累積水素生産量が顕著に増大することが確認された。
なお、図4のグラフは、比較例では酸化還元電位の変化率が急激に上昇して100mVを超え、その後は蟻酸が過多になったことにより定常状態となり酸化還元電位の変化率が低下したものの、水素生成反応は回復しないことを示している。つまり、酸化還元電位の変化率が100mV以下に制御されなかったために、急激に水素生成速度が低下したのである。
本発明の水素生産装置の概略構成図である。 実施例1における酸化還元電位、累積水素生産量および蟻酸供給速度を示すグラフである。 実施例2における酸化還元電位、累積水素生産量および蟻酸供給速度を示すグラフである。 比較例1における酸化還元電位、累積水素生産量および蟻酸供給速度を示すグラフである。
符号の説明
1:反応容器
2:有機性基質の入った原料タンク
3:有機性基質供給ポンプ
4:酸化還元電位センサー
5:発生ガスフローメータ
6:モーター
7:攪拌装置
8:恒温槽
9:栄養源の入ったタンク
10:栄養源供給ポンプ
11:微生物の入ったタンク
12:微生物供給ポンプ
13:有機性基質供給口
14:栄養源供給口
15:酸化還元電位測定装置、および制御装置
16:pHメーター
17:NaOH水溶液(5M)の入ったタンク
18:NaOH水溶液供給ポンプ

Claims (6)

  1. 蟻酸脱水素酵素遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物に嫌気的条件下にて有機性基質を供給して連続的に水素生成反応を行う水素生産方法において、水素生成反応時における酸化還元電位の変化率を100mV/min以下になるように制御することを特徴とする水素生産方法。
  2. 酸化還元電位の変化率の制御を行うための操作を、反応液の酸化還元電位の変化率が1mV/min〜50mV/minの範囲内にある時点で行うことを特徴とする請求項1に記載の水素生産方法。
  3. 酸化還元電位の変化率の制御を、有機性基質の供給速度の増減により行うことを特徴とする請求項1または2に記載の水素生産方法。
  4. 反応液のpHをモニターしながら、反応液のpHを4.0〜8.0に維持しつつ連続的に水素生成反応を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素生産方法。
  5. 有機性基質として蟻酸および/または蟻酸塩を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の水素生産方法。
  6. 微生物として嫌気性細菌を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の水素生産方法。
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