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JP2008181753A - 燃料電池用電極、膜電極接合体および燃料電池 - Google Patents

燃料電池用電極、膜電極接合体および燃料電池 Download PDF

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JP2008181753A JP2007013948A JP2007013948A JP2008181753A JP 2008181753 A JP2008181753 A JP 2008181753A JP 2007013948 A JP2007013948 A JP 2007013948A JP 2007013948 A JP2007013948 A JP 2007013948A JP 2008181753 A JP2008181753 A JP 2008181753A
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Abstract

【課題】液体燃料電池の出力特性を向上することができる燃料電池用電極、その燃料電池用電極を含む膜電極接合体および燃料電池を提供する。
【解決手段】イオン伝導性物質と電子伝導性物質と触媒活性物質とを含む触媒層を備え、触媒活性物質がPtとPt以外の少なくとも1種の金属とを含み、触媒層中にPtの含有比率の異なる領域が少なくとも2つある燃料電池用電極、その燃料電池用電極を含む膜電極接合体および燃料電池である。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用電極、膜電極接合体および燃料電池に関する。
近年、小型携帯機器の普及、並びに屋外作業用およびレジャー用のエネルギ源の需要の高まりに伴い、携帯および搬送が可能な長時間使用することができる電源が要望されている。
このような状況において、メタノールまたはエタノール等の液体を燃料に用いる液体燃料電池が注目されており、液体燃料電池はエネルギ密度が高く、長時間使用できる電源として有効である。
たとえば、液体燃料電池としての高分子電解質形燃料電池(PEMFC)においては、固体高分子電解質膜の一方の表面に燃料極(負極)を設け、他方の表面に空気極(正極)を設けた構成の膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)が用いられている。
図5に、従来の膜電極接合体の一例の模式的な断面図を示す。ここで、膜電極接合体11は、固体高分子電解質膜18の一方の表面に触媒層14と拡散層16とが積層された構成の燃料極12が設けられており、他方の表面に触媒層15と拡散層17とが積層された構成の空気極13が設けられた構成を有している。
このような構成の膜電極接合体11においては、燃料極12にメタノール等の液体燃料が供給されるとともに空気極13に空気等の酸化剤が供給された場合には、燃料極12で発生した水素イオン(プロトン)が固体高分子電解質膜18を介して空気極13に移動し、空気極13で水になるという電気化学的反応を利用して電気エネルギが取り出される。
たとえば、燃料極12にメタノールが供給され、空気極13に酸素が供給されたときの液体燃料の電極反応は以下の反応となる。
(燃料極)CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-
(空気極)3/2O2+6H++6e-→3H2
上記の反応式で示されるような燃料極における反応において、燃料の酸化反応に対する触媒活性物質は白金(Pt)が最も有効であるとされている。その反応プロセスはPtの触媒作用により、燃料が脱プロトン化されていく形態をとり、脱プロトン後はPt上にCOが吸着した形となっている。
上記の燃料極における反応において、律速段階となっているのは、PtからのCOの脱離(CO被毒の解消)であるとされており、このCO被毒を緩和するために、CO被毒に対してより高い耐性を有する触媒活性物質が燃料極では好適に用いられている。
たとえば、L Niedrach等、Electrochemical Technology、Vol.5、1967 p.318の開示によれば、一般的に使用されている一元金属のPtではなく、PtとRu(ルテニウム)との二元金属を触媒活性物質として含む触媒層を使用することにより、典型的なPEMFCの作動温度におけるCO被毒の作用が軽減されることがわかっている。
CO被毒の軽減機構としては、以下の2つの説が提案されている。まず、第1の説は、改良された触媒層の活性箇所がCOの吸着による被毒作用を受け難くなり、より多くの箇所が所定の酸化反応を行なうために残されているという説である。また、第2の説は、Ruが助触媒的作用を有するためであるとされており、Ruがヒドロキシル基(OH基)を吸着しやすく、Ruに吸着されたOH基がPtからCOを脱離するのに有効であるためにCO被毒が軽減されるという説である。
いずれにせよCO被毒の軽減機構は完全には解明されていないが、燃料極ではCO被毒耐性が良好であるため、PtとRuとの二元金属からなる触媒活性物質を含む触媒層が好適に用いられており、燃料電池の性能を最大限に引き出すために最適なPtとRuとの含有比率に関しても検討が行なわれており、PtとRuとの比が1:1の原子組成比であることがよいとされている(特許文献1参照)。
特開昭63−97232号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の液体燃料電池よりもさらに出力特性に優れた液体燃料電池が要望されている。
そこで、本発明の目的は、液体燃料電池の出力特性を向上することができる燃料電池用電極、その燃料電池用電極を含む膜電極接合体および燃料電池を提供することにある。
本発明は、イオン伝導性物質と電子伝導性物質と触媒活性物質とを含む触媒層を備え、触媒活性物質がPtとPt以外の少なくとも1種の金属とを含み、触媒層中にPtの含有比率の異なる領域が少なくとも2つある燃料電池用電極である。
ここで、本発明において「Ptの含有比率」とは、触媒層中に含まれるPtの原子数とPt以外の金属の原子数の総和との和に対するPtの原子数の割合((Ptの原子数)/(Ptの原子数+Pt以外の金属の原子数の総和))のことである。
また、本発明の燃料電池用電極においては、上記の金属としてRuを用いることが好ましい。
また、本発明の燃料電池用電極においては、触媒活性物質がPtとPt以外の少なくとも1種の金属との合金からなることが好ましい。
また、本発明の燃料電池用電極においては、触媒層が第1触媒層と第2触媒層とを含み、第1触媒層のPtの含有比率と第2触媒層のPtの含有比率とが相違していることが好ましい。
また、本発明の燃料電池用電極は、液体燃料が供給される燃料極として用いられることが好ましい。ここで、上記の液体燃料の燃料濃度が10mol/l以上であることがより好ましく、15mol/l以上であることがさらに好ましい。また、液体燃料の燃料としてはメタノールを用いることができる。
また、本発明は、上記のいずれかの燃料電池用電極が電解質膜の表面上に形成されている膜電極接合体である。
ここで、本発明の膜電極接合体においては、電解質膜と反対側の触媒層の表面におけるPt以外の金属の含有比率が電解質膜側の触媒層の表面におけるPt以外の金属の含有比率よりも高いことが好ましい。
また、本発明の膜電極接合体において、触媒層は、電解質膜と反対側の第1触媒層と電解質膜側の第2触媒層とを含んでおり、第1触媒層のPt以外の金属の含有比率が第2触媒層のPt以外の金属の含有比率よりも高いことが好ましい。
ここで、本発明において「Pt以外の金属の含有比率」とは、触媒層中に含まれるPtの原子数とPt以外の金属の原子数の総和との和に対するPt以外の金属の原子数の割合((Pt以外の金属の原子数)/(Ptの原子数+Pt以外の金属の原子数の総和))のことである。
さらに、本発明は、上記のいずれかの燃料電池用電極を含む燃料電池である。
本発明によれば、液体燃料電池の出力特性を向上することができる燃料電池用電極、その燃料電池用電極を含む膜電極接合体および燃料電池を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
図1に、本発明の燃料電池用電極の一例の模式的な断面図を示す。ここで、本発明の燃料電池用電極1は、電極基材2の表面上に第1触媒層3と第2触媒層4とがこの順序で積層されて形成された触媒層5を有する構成となっている。
ここで、第1触媒層3および第2触媒層4はそれぞれイオン伝導性物質と電子伝導性物質と触媒活性物質とを含んでおり、触媒活性物質はPtとPt以外の少なくとも1種の金属とを含んでいる。
また、第1触媒層3中のPtの含有比率と第2触媒層4中のPtの含有比率とは互いに異なっており、電極基材2側となる第1触媒層3中のPt以外の金属の含有比率が電解質膜側となる第2触媒層4中のPt以外の金属の含有比率よりも高くなっている。
本発明者は、上記の構成を有する燃料電池用電極1を燃料極として用いた場合には、より優れた出力特性を有する液体燃料電池が得られることを確認した。このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下の理由が考えられる。
通常、液体燃料として用いられるメタノールは水溶液の形態であり、電極反応に寄与する燃料としてのメタノールに加えて水を含んでいる。そして、たとえばPtとRuとからなる触媒活性物質を用いた場合には、液体燃料中のメタノール濃度によって反応を律速する段階が異なるものと考えられる。
すなわち、液体燃料におけるメタノール濃度が低い場合には、液体燃料中に相対的に水が多量に存在しているため、Ruに吸着するOH基は十分に存在し、酸化反応は液体燃料におけるメタノール濃度に律速されると考えられる。
一方、液体燃料におけるメタノール濃度が高い場合には、液体燃料中に相対的に燃料としてのメタノールが多量に存在しているため、酸化反応に関わる燃料濃度は十分に存在している。しかしながら、Ruに吸着されるOH基が相対的に少なくなるため、酸化反応がRuへのOH基の吸着量に律速されると考えられる。
それゆえ、液体燃料におけるメタノール濃度により酸化反応の律速段階が変化するため、Ptの含有比率の異なる領域が少なくとも2つあるように作り分けされた触媒層の方がPtが均一に含有されるように作られた触媒層よりも高い出力特性が得られたと本発明者は考えている。
本発明の燃料電池用電極を燃料極として使用する場合には、供給される液体燃料の燃料濃度が高い方が燃料濃度分布が大きくなり、Ptが均一に含有されるように作られた触媒層との差が出やすくなる観点から好適である。ただ、本発明の燃料電池用電極は燃料極に用いることは好適であるが、空気極としても用いることが可能である。
燃料濃度分布について説明する。液体燃料は通常、拡散層となる電極基材2側から供給される。そして、触媒層5に流入した液体燃料は、触媒層5中の触媒活性物質の表面上でその一部が消費されながら、拡散により電解質膜側に浸透していく。したがって、電解質膜側となる第2触媒層4と電極基材2側となる第1触媒層3とで比較した場合には、電解質膜側の第2触媒層4の方が電極基材2側の第1触媒層3よりも燃料濃度が低くなり、触媒層5中に燃料濃度が異なる領域が生じることになるため、触媒層5中に燃料濃度分布が生じることになる。
一方、別の側面からの考察でも、燃料極の触媒層5中に燃料濃度分布が生じることがわかる。すなわち、上述した反応式に示されるように、空気極に酸素を供給した場合には空気極の触媒層の電極基材側での反応により水が生成する。そして、生成した水の一部は蒸散して大気中に排出されるが、残りの水の少なくとも一部は電解質膜側に拡散し、燃料極の触媒層に浸透する。なお、物質の拡散は、一般的に高濃度領域から低濃度領域に向かって起こるため、反応により水を失う燃料極の触媒層、反応により水を生成する空気極の触媒層という事実を鑑みると、空気極の触媒層で生成した水の一部は燃料極の触媒層5に拡散すると考えられる。それゆえ、この観点からも、燃料極における電解質膜側の第2触媒層4では燃料濃度がより薄められ、燃料濃度分布が生じることになると考えられる。
したがって、図1に示す構成の本発明の燃料電池用電極1を燃料極として用い、触媒層5(第1触媒層3および第2触媒層4)に含まれる触媒活性物質としてPtおよびRuを用いた場合に、燃料極に液体燃料としてメタノール水溶液を供給すると、供給された液体燃料中のメタノール濃度が第1触媒層3よりも第2触媒層4の方が低くなる燃料濃度分布が生じる。
そこで、液体燃料中のメタノール濃度が相対的に高く、水分濃度が相対的に低い電極基材2側の第1触媒層3においては、Ptの含有比率を低く、Ruの含有比率を高くすることによって、相対的に供給量が少量となる水分からOH基を多量のRuに吸着しつつ、相対的に多量に供給されるメタノールによる酸化反応を少量のPtの存在により進行させて発電することができる。
一方、液体燃料中のメタノール濃度が相対的に低く、水分濃度が相対的に高い電解質膜側の第2触媒層4においては、Ptの含有比率を高く、Ruの含有比率を低くすることによって、相対的に多量に供給される水分からOH基を少量のRuに吸着しつつ、相対的に供給量が少量となるメタノールによる酸化反応を多量のPtの存在により進行させて発電することができる。
そして、上記の電解質膜側の第2触媒層4における発電および吸着と、電極基材2側の第1触媒層3における発電および吸着と、が相俟って、液体燃料電池の出力特性が向上するものと考えられる。
すなわち、上述したように、液体燃料におけるメタノール濃度が高い場合には酸化反応がRuへのOH基の吸着量に律速され、液体燃料におけるメタノール濃度が低い場合には酸化反応は液体燃料におけるメタノール濃度に律速される。したがって、本発明においては、液体燃料におけるメタノール濃度が相対的に高くなる電極基材2側の第1触媒層3においてはPtよりもRuの含有比率を高くすることによってOH基を多量のRuに吸着させて酸化反応を促進させることができるとともに、液体燃料におけるメタノール濃度が相対的に低くなる電解質膜側の第2触媒層4においてはRuよりもPtの含有比率を高くすることによってメタノールの消費を促進して酸化反応を促進させることができる。
このように、本発明の燃料電池用電極1においては、触媒層5に生じる燃料濃度分布に応じてPtの含有比率が変更されるように領域を作り分けることによって、液体燃料電池の出力特性を向上することできるのである。
なお、上記においては、第1触媒層3と第2触媒層4とによって触媒層5中にPtの含有比率が異なる領域が作製されているが、本発明においては、Ptの含有比率の異なる領域が少なくとも2箇所存在するように触媒層5が形成されていればよいため、その領域は必ずしも層として存在する必要はない。
また、本発明において、触媒活性物質としては、PtとPt以外の少なくとも1種の金属を含む材質を用いることができる。ここで、触媒活性物質を構成するPt以外の金属としては、たとえば、Ru、Au(金)、Re(レニウム)、Sn(スズ)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ir(イリジウム)、Os(オスミウム)、Ag(銀)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)またはこれらの金属の2種以上を含む合金等を用いることができる。なかでも、触媒活性物質としては、PtとRuを含む触媒活性物質、またはPtとSnを含む触媒活性物質を用いることが好ましい。また、触媒活性物質の形態としては、PtとPt以外の少なくとも1種の金属との合金であることが好ましい。
また、本発明において、触媒活性物質の粒径は、単位質量当たりの表面積を大きくし、触媒活性物質の単位質量当たりの活性を高くする観点から、5nm以下であることが好ましい。なお、本発明の燃料電池用電極における触媒活性物質の粒径は、たとえば透過型電子顕微鏡にて得られた像から実測する方法またはX線回折分析により得られたデータによりシェラーの式を用いることにより見積もることができる。
また、本発明において、触媒層5中の触媒活性物質の含有量は、後述する電子伝導性物質の含有量100質量部に対して、10質量部以上80質量部以下であることが好ましく、30質量部以上80質量部以下であることが好ましい。電子伝導性物質の含有量100質量部に対して触媒活性物質の含有量が10質量部未満である場合には触媒活性物質量が少なく、所望の出力特性が得られにくい傾向にある。また、現行の技術では、電子伝導性物質の含有量100質量部に対して触媒活性物質の含有量を80質量部よりも多くすることは困難である。なお、触媒層5中の触媒活性物質の含有量は、たとえば、触媒活性物質担持前後の質量変化から算出することができ、熱質量分析装置を用いて電子伝導性物質のみを燃焼させる方法から仕込み量および燃焼後残量を調べることによっても算出することができる。
また、本発明において、イオン伝導性物質としては、たとえば、燃料電池分野において広く用いられているイオン伝導性物質を特に限定されることなく用いることができる。なかでも、イオン伝導性物質としては、フッ素系または炭化水素系のイオン伝導性物質を好ましく用いることができ、フッ素系のイオン伝導性物質を特に好ましく用いることができる。具体的には、パーフルオロスルホン酸ポリマーのイオン交換樹脂であるデュポン社製のナフィオン(登録商標)を好適に用いることができる。
また、本発明において、触媒層5中のイオン伝導性物質の含有量は、特に制限されるものではないが、後述する電子伝導性物質の含有量100質量部に対し、10質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましい。電子伝導性物質の含有量100質量部に対してイオン伝導性物質の含有量が10質量部未満である場合には、三相界面の形成割合が低く、触媒活性物質が有効に利用されない傾向にある。なお、触媒層5中のイオン伝導性物質の含有量は、たとえば、電子伝導性物質とイオン伝導性物質との混練時におけるイオン伝導性物質の仕込み量を調節することによって制御することができ、容易に算出することが可能である。
また、本発明において、電子伝導性物質としては、燃料電池分野において広く用いられている電子伝導性物質を特に限定されることなく用いることができる。なかでも、電子伝導性物質としては、その表面積が大きいことから、カーボン材料を用いることが好ましい。なお、表面積がカーボンブラックと同等以上であれば、電子伝導性物質としてたとえば半導体や金属粒子を使用することもできる。
また、本発明において、触媒層5中の電子伝導性物質の含有量は、特に制限されるものではない。ただし、触媒層5中における電子伝導性物質の含有比率が低すぎる場合には触媒層5の単位体積内にある触媒活性物質量が少なくなるため十分な出力特性を引き出せない傾向にあり、電子伝導性物質の含有比率が高すぎるとイオン伝導性物質との量的なバランスが悪く、十分な出力特性を引き出すことができない傾向にある。なお、触媒層5中の電子伝導性物質の含有量は、たとえば、電子伝導性物質とイオン伝導性物質との混練時における電子伝導性物質の仕込み量を調節することによって制御することができ、容易に算出することが可能である。
また、本発明における触媒層5の厚さは、十分な発電量の確保のため触媒層5中に触媒活性物質を数mg/cm2含有する必要があることから、たとえば、20μm以上30μm以下とすることができる。ただし、液体燃料の燃料としてメタノール等の触媒活性物質を被毒させる燃料を用いる場合には、触媒活性物質の被毒による電圧損失分を補うこと等を目的として、触媒層5を通常よりも厚く形成することができる。触媒層5を厚く形成した場合には、液体燃料電池の単位セル当たりの電圧を増加させることができる。
また、触媒層5を厚く形成した場合には、触媒層5中での電極基材側の領域と電解質膜側の領域との燃料濃度の違いがより顕著になると考えられるため、本発明の燃料電池用電極の構造の優位性が際立つ形となり、より好ましいと考えられる。
また、本発明の燃料電池用電極1の構造の優位性をさらに際立たせ、本発明の燃料電池用電極1を用いた燃料電池の出力特性をさらに向上するためには、本発明の燃料電池用電極1を燃料極として用いる場合の燃料電池用電極1に供給される液体燃料としては燃料濃度が好ましくは10mol/l(モル/リットル)以上、より好ましくは15mol/l以上の高濃度の液体燃料を用いることが望ましい。ここで、液体燃料中の燃料としては、メタノールを用いることが好ましい。
図2に、本発明の膜電極接合体の一例の模式的な断面図を示す。ここで、膜電極接合体10においては、電解質膜6の一方の表面上に第2触媒層4と第1触媒層3とが順次積層された構成の触媒層5が形成されており、触媒層5の表面上に拡散層となる電極基材2が形成されている。そして、触媒層5と電極基材2とから燃料極としての燃料電池用電極1が構成されている。また、電解質膜6の他方の表面上には触媒層7と拡散層となる電極基材8とが順次積層されることによって空気極9が構成されている。
ここで、図2に示す膜電極接合体10は、たとえば以下のようにして作製することができる。まず、触媒活性物質を担持させた電子伝導性物質とイオン導電性物質と有機溶媒とを混合することによって第1触媒層3の形成用の触媒ペーストを作製する。また、触媒活性物質を担持させた電子伝導性物質とイオン導電性物質と有機溶媒とを混合することによって第2触媒層4の形成用の触媒ペーストを作製する。ここで、第2触媒層4の形成用の触媒ペースト中のPtの含有比率は第1触媒層3の形成用の触媒ペースト中のPtの含有比率よりも高くなるように作製される。
次に、第1触媒層3の形成用の触媒ペーストを電極基材2の表面上に塗布した後に第2触媒層4の形成用の触媒ペーストを第1触媒層3の形成用の触媒ペーストの表面上に塗布し、その後乾燥させることによって、電極基材2の表面上に順次積層された第1触媒層3と第2触媒層4とを形成する。
続いて、触媒活性物質を担持させた電子伝導性物質とイオン導電性物質と有機溶媒とを混合することによって触媒層7の形成用の触媒ペーストを電極基材8の表面上に塗布した後に乾燥させて電極基材8の表面上に触媒層7を形成する。
その後、電極基材2の表面上に形成された第2触媒層4の表面を電解質膜6の一方の表面上に設置するとともに電極基材8の表面上に形成された触媒層7の表面を電解質膜6の他方の表面上に設置した後に熱圧着する。これにより、電極基材2および電極基材8が電解質膜6の両面にそれぞれ接合されて、膜電極接合体10が作製される。
上記のようにして作製された膜電極接合体10においては、燃料極となる燃料電池用電極1の触媒層5は、電解質膜6と反対側の第1触媒層3と電解質膜6側の第2触媒層4とが積層されることによって構成されており、第1触媒層3のPt以外の金属の含有比率が第2触媒層4のPt以外の金属の含有比率よりも高くなっている。したがって、電解質膜6と反対側の触媒層5の表面におけるPt以外の金属の含有比率が電解質膜6側の触媒層5の表面におけるPt以外の金属の含有比率よりも高くなっている。
このような構成を有する膜電極接合体10を液体燃料電池に用いた場合には、上述した理由と同様の理由から、液体燃料電池の出力特性が向上するものと考えられる。
なお、上記の触媒ペーストの塗布方法としては、たとえば従来から公知のスクリーン印刷法、スプレー法、ドクターブレード法またはロールコータ法等を用いることができる。
また、空気極9の触媒層7に含まれる触媒活性物質としては、Pt、PtとRu、Au、ReまたはSnとの合金、Rh、Pd、Ir、Os、Ru、Sn、Re、Au、Ag、Ni、Coまたはこれらの金属の2種以上を含む合金等を用いることができる。触媒層7に含まれる触媒活性物質としては、なかでも、Pt、PtとRuとの合金、またはPtとSnとの合金を用いることが好ましい。
また、電解質膜6としては、たとえば従来から公知のナフィオン(登録商標)等のプロトン伝導性の電解質膜を用いることができる。
さらに、本発明は、上記構成の燃料電池用電極1を備えた燃料電池をも含む。本発明の燃料電池においては、上記構成の燃料電池用電極1を備えていることによって、触媒活性物質の利用率の向上が達成され、低コストで出力特性に優れたものとなる。
<サンプルA〜C>
以下の触媒活性物質を担持した電子伝導性物質(サンプルA〜C)を用意した。
サンプルA:TEC66E50(Pt−Ru合金を担持したケッチェンブラック、Pt:32.6質量%、Ru:16.9質量%、田中貴金属工業株式会社製)
サンプルB:TEC61E54(Pt−Ru合金を担持したケッチェンブラック、Pt:30.1質量%、Ru:23.4質量%、田中貴金属工業株式会社製)
サンプルC:TEC62E58(Pt−Ru合金を担持したケッチェンブラック、Pt:27.9質量%、Ru:29.0質量%、田中貴金属工業株式会社製)
<燃料電池用電極の作製>
まず、サンプルAを20mg、フッ化ビニリデン樹脂ポリマーを9mg、およびN−メチルピロリドンを3ml、同一のスクリュー管瓶内に入れ、超音波洗浄機を用いて30分間よく混合した。そして、その混合物をマイクロシリンジにて、直径が6mmのグラッシーカーボン電極の表面に8μl塗布し、乾燥機にて60℃で一昼夜乾燥させて、電極Aを作製した。また、サンプルBおよびサンプルCをそれぞれ用いたこと以外は上記のサンプルAと同一の方法で電極B(サンプルBが混合された混合物を塗布)および電極C(サンプルCが混合された混合物を塗布)をそれぞれ作製した。
<燃料電池用電極の評価>
日厚計測製の回転リングディスク電極測定装置を用いて電極の評価を行なった。この評価は三極式を用い、電解液には0.5Mの硫酸を使用した。燃料には0.1〜20Mのメタノール水溶液を用い、それぞれの濃度で電極の触媒活性を評価した。ここで、「M」は「mol/l」の意味であることは言うまでもない。
上記の評価は、LSV(Linear Sweep Voltummetry)測定、すなわち電位を走査させたときの電流値を測定する方法により行なった。図3に、上記で作製した各電極の0.6V時のメタノール濃度(M)と電流値(mA・mg-1)の関係を示す。なお、図3において、サンプルAは上記の電極Aの評価結果を示し、サンプルBは上記の電極Bの評価結果を示し、サンプルCは上記の電極Cの評価結果を示している。
<実施例1>
上記のサンプルAにイオン伝導性物質としてのパーフルオロスルホン酸ポリマーのイオン交換樹脂であるデュポン社製のナフィオン(登録商標)のアルコール溶液(ナフィオン(登録商標)の含有量20質量%、アルドリッチ社製)、粘度調整用としての無機溶媒(純水)および有機溶媒(イソプロピルアルコール)を加えた後によく混合してペースト状にすることによって、サンプルAの触媒ペーストを作製した。
また、上記のサンプルAの代わりにサンプルCを用いたこと以外は上記と同様にして、サンプルCの触媒ペーストを作製した。
そして、燃料極を形成するため、一辺が22.5mmの正方形状の電極基材としてのカーボンペーパーの表面にサンプルCの触媒ペーストをスクリーン印刷法により均一に塗布した後、その上にサンプルAの触媒ペーストをスクリーン印刷法により均一に塗布した。その後、乾燥機にて、60℃で15分間乾燥させ、燃料極を作製した。
また、空気極を以下のようにして作製した。まず、TEC10E50E(Ptを担持したケッチェンブラック、Pt:46.5質量%、田中貴金属工業株式会社製)にイオン伝導性物質としてのパーフルオロスルホン酸ポリマーのイオン交換樹脂であるデュポン社製のナフィオン(登録商標)のアルコール溶液(ナフィオン(登録商標)の含有量20質量%、アルドリッチ社製)、粘度調整用としての無機溶媒(純水)および有機溶媒(イソプロピルアルコール)を加えた後によく混合してペースト状にすることによって空気極用の触媒ペーストを作製した。
そして、上記のようにして作製した空気極用の触媒ペーストを一辺が22.5mmの正方形状の電極基材としてのカーボンペーパーの表面にスクリーン印刷法により均一に塗布した後、乾燥機にて60℃で15分間乾燥させて空気極を作製した。
次に、上記のようにして作製した燃料極および空気極をそれぞれデュポン社製のナフィオン(登録商標)117からなる固体高分子電解質膜の両面にそれぞれ触媒層側が固体高分子電解質膜の表面に接するように熱圧着にて接合することによって、実施例1の膜電極接合体(MEA)を作製した。
<比較例1>
上記のサンプルAの触媒ペーストをカーボンペーパーの表面にスクリーン印刷法により均一に塗布した後、乾燥機にて60℃で15分間乾燥させて燃料極を作製したこと以外は実施例1と同様にして比較例1の膜電極接合体(MEA)を作製した。すなわち、比較例1の膜電極接合体においては、燃料極側の触媒層は1種の触媒ペーストから作製されているため、燃料極側の触媒層におけるPtの含有比率は一定となっている。
<評価試験>
上述のようにして作製した実施例1の膜電極接合体および比較例1の膜電極接合体をそれぞれ別々の燃料電池容器(長さ50mm、幅100mm、高さ100mm)に収容することによって、実施例1の膜電極接合体が収容された実施例1の燃料電池および比較例1の膜電極接合体が収容された比較例1の燃料電池がそれぞれ作製された。
そして、実施例1の燃料電池および比較例1の燃料電池のそれぞれの空気極に空気、燃料極にメタノール水溶液(メタノール濃度:10M)を供給することにより発電させ、それぞれの燃料電池における電流密度と電圧との関係を調べた。図4に、その結果を示す。
図4に示すように、実施例1の燃料電池は、比較例1の燃料電池と比べて、出力特性が向上することが確認された。なお、図4において、実線は実施例1の燃料電池の電流密度と電圧との関係を示し、破線は比較例1の燃料電池の電流密度と電圧との関係を示している。また、図4において、縦軸は電圧(V)を示し、横軸は電流密度(mA・cm-2)を示している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の燃料電池用電極を用いた場合には燃料電池の出力特性が向上するため、本発明の燃料電池用電極は燃料電池の膜電極接合体および燃料電池に利用することができる。
特に、メタノール水溶液等の液体燃料を供給することによって発電する液体燃料電池および液体燃料電池の形成に用いられる膜電極接合体に好適に利用することができる。
本発明の燃料電池用電極の一例の模式的な断面図である。 本発明の膜電極接合体の一例の模式的な断面図である。 サンプルA〜Cのそれぞれを用いて作製した各電極の0.6V時のメタノール濃度(M)と電流値(mA・mg-1)の関係を示す図である。 実施例1と比較例1のそれぞれの燃料電池における電流密度と電圧との関係を示す図である。 従来の膜電極接合体の一例の模式的な断面図である。
符号の説明
1 燃料電池用電極、2,8 電極基材、3 第1触媒層、4 第2触媒層、5,7,14,15 触媒層、6 電解質膜、9,13 空気極、10,11 膜電極接合体、12 燃料極、16,17 拡散層、18 固体高分子電解質膜。

Claims (12)

  1. イオン伝導性物質と、電子伝導性物質と、触媒活性物質と、を含む触媒層を備え、
    前記触媒活性物質が、白金と、白金以外の少なくとも1種の金属と、を含み、
    前記触媒層中に白金の含有比率の異なる領域が少なくとも2つあることを特徴とする、
    燃料電池用電極。
  2. 前記金属がルテニウムであることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極。
  3. 前記触媒活性物質が白金と白金以外の少なくとも1種の金属との合金からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の燃料電池用電極。
  4. 前記触媒層は、第1触媒層と、第2触媒層と、を含み、
    前記第1触媒層の白金の含有比率と前記第2触媒層の白金の含有比率とが相違していることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池用電極。
  5. 前記燃料電池用電極は液体燃料が供給される燃料極として用いられることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池用電極。
  6. 前記液体燃料の燃料濃度が10mol/l以上であることを特徴とする、請求項5に記載の燃料電池用電極。
  7. 前記液体燃料の燃料濃度が15mol/l以上であることを特徴とする、請求項5に記載の燃料電池用電極。
  8. 前記液体燃料の燃料がメタノールであることを特徴とする、請求項6または7に記載の燃料電池用電極。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の燃料電池用電極が電解質膜の表面上に形成されていることを特徴とする、膜電極接合体。
  10. 前記電解質膜と反対側の前記触媒層の表面における白金以外の金属の含有比率が前記電解質膜側の前記触媒層の表面における白金以外の金属の含有比率よりも高いことを特徴とする、請求項9に記載の膜電極接合体。
  11. 前記触媒層は、前記電解質膜と反対側の第1触媒層と前記電解質膜側の第2触媒層とを含んでおり、前記第1触媒層の白金以外の金属の含有比率が前記第2触媒層の白金以外の金属の含有比率よりも高いことを特徴とする、請求項9または10に記載の膜電極接合体。
  12. 請求項1から8のいずれかに記載の燃料電池用電極を含む、燃料電池。
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