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JP2008166559A - スピントランジスタ - Google Patents

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JP2008166559A JP2006355360A JP2006355360A JP2008166559A JP 2008166559 A JP2008166559 A JP 2008166559A JP 2006355360 A JP2006355360 A JP 2006355360A JP 2006355360 A JP2006355360 A JP 2006355360A JP 2008166559 A JP2008166559 A JP 2008166559A
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Takashi Asatani
崇史 麻谷
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Abstract

【課題】 実用的な電流変化率を得ることが可能なスピントランジスタを提供する。
【解決手段】 スピントランジスタ1は、強磁性体からなるソースSと、強磁性体からなるドレインDと、ソースS及びドレインDが設けられ、ソースSにショットキ接触した半導体SMと、半導体SM上にゲート絶縁層GIを介して設けられたゲート電極GEとを備えたスピントランジスタ1において、半導体SMとドレインDとの間にトンネル障壁を構成するトンネル障壁絶縁層TIを介在させている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スピントランジスタに関する。
近年、スピンエレクトロニクスに対する研究が注目されている。スピントランジスタは、電子のスピンを利用したトランジスタであり、新技術のイノベーションを起こすものとして期待されている。スピントランジスタは、新たな構造の記憶素子(特許文献1、特許文献2参照)や、多機能の論理回路(特許文献3参照)として利用することもでき、また、磁性体プロセスを用いて製造されることから、磁性素子の制御素子としての利用も考えられる。
特に、特許文献1においては、様々な構造のスピントランジスタが提案されており、特に、特許文献1の図11においては、ソース及びドレインを構成する2つの強磁性金属(FM)間に、非磁性の半導体層を設け、この半導体層上に、ゲート絶縁層を介して電極を設けたスピントランジスタが開示されている。ソース及びドレインと半導体層との界面には、ショットキ接触が形成されている。
スピン偏極した電子は、ソースからショットキ障壁を通過して半導体層に注入される。半導体層に注入される電子のスピンの偏極の方向は、ソースの磁化方向に依存し、半導体層に注入されるキャリアのスピン偏極率はソースのスピン偏極率に依存する。
半導体層のチャネルを通ってドレイン内に注入される電子は、その偏極の方向に依存して散乱される。換言すれば、ソースからショットキ障壁をトンネルして半導体チャネルに注入された電子は、ドレイン側でスピン依存散乱する。ソースとドレインの磁化の向きが平行の場合には、ソース・ドレイン間の磁気抵抗は小さくなり、反平行の場合には磁気抵抗は大きくなる。
特開2004−111904号公報 国際公開WO2004/079827号パンフレット 国際公開WO2004/086625号パンフレット
しかしながら、従来のスピントランジスタにおいては、半導体層とドレインとの界面電位は、磁気抵抗によって僅か数十mV程度の変化しか生じないものと予想される。したがって、ドレイン・ソース間電圧が数Vの場合には、ドレイン及びソースの磁化に依存して変化する電流変化率は数%以下となる。このような構造のスピントランジスタは、学術的なスピントランジスタとしては意義があるが、産業界における実用的なスピントランジスタへの応用へは更に改良の必要がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、実用的な電流変化率を得ることが可能なスピントランジスタを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明に係るスピントランジスタは、強磁性体からなるソースと、強磁性体からなるドレインと、ソース及びドレインが設けられ、ソースにショットキ接触した半導体と、半導体上に直接又はゲート絶縁層を介して設けられたゲート電極とを備えたスピントランジスタにおいて、半導体とドレインとの間にトンネル障壁を構成するトンネル障壁絶縁層を介在させたことを特徴とする。
本発明のスピントランジスタによれば、ゲート電極に正電位を印加することにより、この正電位に対応して半導体内にn型のチャネルが形成されると同時に、ソースと半導体との間のショットキ接触によって形成されたポテンシャル障壁の厚みが減少し、半導体のチャネル内に流れ込む電子が増加する。なお、ソースは強磁性体からなるため、ソースから半導体内に注入された電子は、一方向の偏極スピンを有している。
ドレインの磁化の向きがソースとは逆向きの場合、この電子は、トンネル障壁絶縁層の存在によって大部分が反射され、ドレインには流れ込まない。
一方、ドレインの磁化の向きがソースと同一の場合、半導体内に注入された電子は、トンネル障壁絶縁層を通過して、ドレインに流れ込む。
ドレインの磁化の向きに応じてドレインに流れ込む電子量の変化率、すなわち、スピントランジスタの電流変化率は従来に比べて極めて大きくなる。したがって、実用的なスピントランジスタとすることが可能である。
ドレインの磁化の向きは、ドレインへのスピンの自己注入によって制御することも考えられるが、好ましくは、本発明に係るスピントランジスタは、ドレインの磁化の向きを制御する制御手段を更に備えることが好ましい。例えば、制御手段として、ドレイン近傍に、ドレインの磁化の向きに直交する方向に延在する配線を配置し、これに通電を行うと、通電の向きによってドレイン内の磁化の向きを制御することが可能である。
また、上述のトンネル障壁絶縁層は、SiO、Al、NiO、CoFeO、MgO,CaF及びZnOからなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
SiOはSiの熱酸化によって高品質のものを作製することが可能であるため、好適である。また、Alはバリア高さが高いので電子の熱励起による伝導が起こりにくいので好適である。NiOは低抵抗化が容易であるため、好適である。CoFeOは、低抵抗化が容易であるため、好適である。更に、MgOは、分極率をSiOよりも向上させることが可能であり、CaFはSiと格子定数が整合するため、ZnOは、低抵抗化が容易であるため、好適である。
また、第1のタイプのスピントランジスタでは、ソースは強磁性体金属であり、半導体の導電型はn型であり、強磁性体金属の仕事関数φm、及び半導体の仕事関数φsは、φm>φsの関係を満たしており、ソースと半導体とショットキ接触しており、ショットキ接触により形成されるポテンシャル障壁の厚みは、ゲート電極へ印加される電位に応じてトンネル効果が生じる厚み以下に減少可能であることが望ましい。
すなわち、仕事関数がφm>φsの関係を満たす場合には、ソースと半導体との間にスパイク状のポテンシャル障壁が形成される。このポテンシャル障壁により、ゲート電極に正電位(ソース・ゲート間に正電圧)を印加するまでは、平衡状態においては、ソースから半導体内には電子が流れ込みにくくなるが、ゲート電位を上昇させた場合には、印加された電位に応じて半導体のエネルギーが低下するため、スパイク状のポテンシャル障壁の厚みが減少し、トンネル効果によってソースから半導体内に電子が流れ込むことができる。
また、第2のタイプのスピントランジスタでは、ソースは強磁性体金属であり、半導体の導電型はp型であり、強磁性体金属の仕事関数φm、及び半導体の仕事関数φsは、φm<φsの関係を満たしており、ソースと半導体とはショットキ接触しており、半導体の伝導帯の下端の電位は、ゲート電極へ印加される電位に応じて、ソースから半導体へ電子が流れるように上昇可能であることが望ましい。
すなわち、仕事関数がφm<φsの関係を満たす場合には、価電子帯の上端と金属との間には、正孔に対するポテンシャル障壁が生じる一方で、半導体の金属との界面の近傍には電子に対する緩やかなエネルギー障壁が存在するため、キャリアの移動は生じず、平衡状態においては、ソースから半導体内には電子は流れ込まない。ゲート電位を上昇させた場合には、ゲート電位の上昇に応じてゲート電極直下に電子が集まってくるが、これと共に、印加された電位に応じて上記緩やかなエネルギー障壁は低下し、換言すれば、伝導帯の下端の電位が上昇し、ソースから半導体内に電子が流れ込むことができるようになる。
本発明のスピントランジスタによれば、実用的な電流変化率を得ることができる。
以下、実施の形態に係るスピントランジスタについて説明する。なお、同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るスピントランジスタ1の縦断面構成を示す図である。
スピントランジスタ1は、強磁性体からなるソースSと、強磁性体からなるドレインDと、ソースS及びドレインDが設けられ、ソースSにショットキ接触した半導体SMと、半導体SM上にゲート絶縁層GIを介して設けられたゲート電極GEとを備えたスピントランジスタ1において、半導体SMとドレインDとの間にトンネル障壁を構成するトンネル障壁絶縁層TIを介在させている。
各ソースS、ドレインD、ゲート電極GE上には、それぞれ、バイアス印加用のコンタクト層S1、D1、G1が電気的に接触して設けられている。コンタクト層S1、D1を介してソースSとドレインDとの間には一定電圧VDSが印加され、コンタクト層S1、G1を介してソースSとゲート電極GEとの間にはゲート電圧VGSが印加される。ゲート電圧VGSの印加の有無は、ゲート電極GEとソースSとの間に介在するスイッチSW1によって決定される。
従来の半導体MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field Effect Transistor)においては、通常、キャリアの発生する方を「ソース」と定義しており、ゲート直下の半導体の導電型はソースの導電型とは異なっている。
本発明の実施形態のスピントランジスタにおいては、キャリアはスピン偏極した電子または正孔であり、半導体SMの導電型に拘わらず、キャリアが半導体SMに流れ込む方をソースとする。なお、ソースから注入されるのが正孔の場合には、正孔の保持するスピンとしては、抜けた電子の電子状態のスピンと反対のスピンを保持しているものとする。
同図では、ソースSの磁化の向きFSは、X軸の正方向を向いており、ドレインDの磁化の向きFDは、X軸の負方向を向いている。半導体SMは厚み方向はZ軸方向である。ドレインDの近傍には、ドレインDの磁化の向きFDを制御する制御手段Cが配置されている。本例の制御手段Cは、ドレインDの磁化の向きFDに直交する方向(Y軸方向)に延在する配線WをドレインDの近傍に備えており、配線Wに通電を行うと、配線Wの長手方向を囲む方向に磁界Hが発生する。磁界Hの向きは、ドレインDの位置においては、X軸方向の正方向又は負方向の成分を有する。この磁界HによってドレインDの磁化の向きFDが制御される。すなわち、配線Wへの通電の向きによって、ドレインD内の磁化の向きFDを制御することが可能である。
配線Wの一端には、磁界制御用の電源V1,V2が互いに逆極性で接続されており、配線Wの他端と各電源V1,V2との間には、通電の有無及び通電方向の切り替えスイッチSW2が接続されている。電源V1から電子eが配線Wに供給された場合、電流は逆向きに流れるが、右ねじの法則にしたがって、反時計回りの磁界Hが配線Wの周囲に発生する。一方、電源V2から電子eが配線Wに供給された場合、電流は逆向きに流れるが、右ねじの法則にしたがって、時計回りの磁界Hが配線Wの周囲に発生する。
ここで、各要素に用いることができる材料及び特記事項は以下の通りである。
Figure 2008166559
なお、トンネル障壁絶縁層TIは、SiO、Al、NiO、CoFeO、MgO,CaF及びZnOからなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
SiOはSiの熱酸化によって高品質のものを作製することが可能であるため、好適である。また、Alはバリア高さが高いので電子の熱励起による伝導が起こりにくいので好適である。NiOは低抵抗化が容易であるため、好適である。CoFeOは、低抵抗化が容易であるため、好適である。更に、MgOは、分極率をSiOよりも向上させることが可能であり、CaFはSiと格子定数が整合するため、ZnOは、低抵抗化が容易であるため、好適である。
また、ゲート絶縁層GIとしては、酸化物の他、AlN、GaNなどの窒化物、CaFなどのフッ化物も用いることが可能である。
次に、上述のスピントランジスタ1の動作について説明する。
図2は、図1に示したスピントランジスタ1のゲート電極GE直下の半導体SM及びこれに隣接するソースS及びドレインDのエネルギーバンド図である。同図では、半導体SMの導電型がn型であって、図1のスイッチSW1を切断し、ゲート電極GEに電圧を印加していない場合を示している。なお、エネルギーバンド図においては、縦の正方向に大きいほどエネルギーが高く、縦の負方向に大きいほど電位が高い。
強磁性体金属のソースSに注入された電子emは、ソースSの磁化の向きFSと同じ方向(但し、電子の符号は負)の偏極スピンを有する。ソースSと半導体SMとの間のショットキ接触SJによって形成されたポテンシャル障壁(空乏層)PBの厚みtは、トンネル効果が生じる厚みよりも大きく、ソースS内の電子emは半導体SM内には注入されない。なお、同図中のEcは半導体SMの伝導帯の下端のエネルギー準位、Evは価電子帯の上端のエネルギー準位を示している。
図3は、スピントランジスタ1の図2と同じ箇所のエネルギーバンド図である。同図では、図1のスイッチSW1を接続し、ゲート電極GEに電圧を印加した場合を示している。
図1のゲート電極GEに正電位を印加することにより、この正電位に対応して半導体SM内にゲート電極GEの直下にn型のチャネルが形成されると同時に、ソースSと半導体SMとの間のショットキ接触SJによって形成されたポテンシャル障壁PBの厚みtが減少し、半導体SMのチャネル内に流れ込む電子esが増加する。
なお、ソースSは強磁性体からなるため、ソースSから半導体SM内に注入された電子esは、一方向のスピンを有している。また、磁化の向きFSに平行なスピンの電子の状態密度と、反平行なスピンの状態密度との比は、磁化の向きFSに平行な電子の数と、反平行な電子の数との比となる。
ドレインDの磁化の向きFDがソースSの磁化の向きFSとは逆向きの場合、この電子esは、トンネル障壁絶縁層TIの存在によって大部分が反射され、ドレインDには流れ込まない。
図4は、スピントランジスタ1の図3と同じ箇所のエネルギーバンド図である。同図では、図1のスイッチSW1を接続し、ゲート電極GEに電圧を印加し、且つ、スイッチSW2を電源V2に接続し、時計回りの磁界Hを配線Wの周囲に発生させることで、ドレインDの磁化の向きFDを反転させた状態を示している。なお、反転させた磁化の向きFDを元に戻すには、図1のスイッチSW2を電源V1に接続すればよく、また、図2及び図3の状態においては、スイッチSW2は電源V1に接続していてもよく、元の状態の磁化の向きFDがX軸方向の正方向である場合には、スイッチSW2は切断状態であってもよい。
図4に示す状態の場合、ドレインDの磁化の向きFDがソースSと磁化の向きFSと同一となるため、半導体SM内に注入された電子esは、トンネル障壁絶縁層TIを通過して、ドレインDに流れ込む。
なお、ドレインDを構成する強磁性体とは、自発磁化を有するものであり、外部磁場が存在しないときにおいても磁気モーメントを有するものである。磁気モーメントの方向に平行なスピンを持つ電子の状態と、反平行なスピンを持つ電子の状態では、エネルギーが異なる。そのため、金属のフェルミ面の状態密度が電子のスピンの向きによって異なる。スピン磁気モーメントが自発磁化に平行な方向にある電子状態のフェルミ面での状態密度の方が、スピン磁気モーメントが自発磁化に反平行な方向にある電子状態のフェルミ面での状態密度よりも大きければ、その強磁性体のスピン分極率は正である。伝導する電子の数は、金属のフェルミ面での状態密度に比例するのでスピンの向きによって伝導する電子の数が異なることになる。
また、半導体SMからドレインDに電子が流れ込む場合には、TMR効果が生じている。すなわち、電子がトンネル障壁をトンネルして強磁性体のドレインDに移動するときにおいては、電子のスピンの方向と、強磁性体の磁化の方向FDとの相対方向に依存して、電子がトンネル障壁をトンネルする確率が変化する。これにより、電流変化が生じて抵抗変化が生じる。この際の抵抗変化率は、電子のスピン磁気モーメントがドレインDを構成する強磁性体内の電子のフェルミ面における強磁性体の磁化方向と平行な状態の状態密度と、反平行な状態の状態密度の比に依存して決定される。
上述の構造のスピントランジスタ1においては、ドレインDの磁化の向きFDに応じてドレインDに流れ込む電子量の変化率、すなわち、スピントランジスタ1の電流変化率は従来に比べて極めて大きくなる。したがって、実用的なスピントランジスタとすることが可能である。
以上のように、上述のスピントランジスタ1では、ソースSは強磁性体金属であり、半導体SMの導電型はn型であり、この強磁性体金属の仕事関数φm、及び半導体SMの仕事関数φsは、φm>φsの関係を満たしている。
すなわち、ソースSと半導体SMとはショットキ接触SJを形成しており、ショットキ接触SJにより形成されるポテンシャル障壁PBの厚みtは、ゲート電極GEへ印加される電位に応じてトンネル効果が生じる厚み以下に減少可能である。
仕事関数がφm>φsの関係を満たす場合には、ソースSと半導体SMとの間にスパイク状のポテンシャル障壁PBが形成される。このポテンシャル障壁PBにより、ゲート電極GEに正電位(ソース・ゲート間に正電圧)を印加するまでは、平衡状態においては(図2)、ソースSから半導体SM内には電子emが流れ込みにくくなるが、ゲート電位を上昇させた場合には(図3、図4)、印加された電位に応じて半導体SMのエネルギーが低下するため、スパイク状のポテンシャル障壁PBの厚みtが減少し、トンネル効果によってソースSから半導体SM内に電子emが流れ込むことができる。
なお、ドレインDの磁化の向きFDは、ソースからドレインへのスピンの自己注入によって制御することも考えられる。
また、図2〜図4を参照すると、ドレインDを構成する金属のフェルミ準位Eと、これに隣接する半導体SMの伝導帯Eの下端との間には、電位差φが存在している。ゲート電圧の印加により、半導体SMのエネルギーバンドが曲がる結果、ポテンシャル障壁PBが薄くなるので、電子emがソースSから半導体の伝導帯にトンネルするようになり、スピントランジスタ1に電流が流れる。ドレインDでは、拡散伝導または、全く散乱が無い理想的な場合にはバリスティック伝導により、半導体SMからドレインDに電子esが移動し、この結果としてドレインDと半導体SMとの界面での電位差φが定まる。
ソースSとドレインDの磁化方向FS,FDが平行である場合(図4)、これらが反平行な場合(図2、図3)と比較して、ドレイン界面での電位差φが小さくなるが、その差は半導体SMとドレインD間の伝導が拡散伝導である場合、ドレインDでのスピン蓄積電位程度であり、半導体SMとドレインD間の伝導が熱放出伝導である場合には、室温の熱エネルギー程度である。
上述のトンネル障壁絶縁層TIが存在しない場合、強磁性体の蓄積電位は、強磁性体が強磁性半導体であるか完全なハーフメタルである場合のいずれかでない限り、数mV程度であり、半導体SMとドレインD間の伝導が熱放出伝導である場合には、室温の熱エネルギーが数十mEV程度なので、ソースS−ドレインDの磁化方向の相対的な変化によるドレイン界面での電位差の変化(減少)もせいぜい数十mV程度である。これは、ソースS−ドレインD間に通常加えられる数Vという電圧に対して僅かであるので、ソースS−ドレインD間の半導体内部電界の変化(増加)は僅かである。その結果として、ソースS−ドレインDの磁化方向が反平行な場合に対しての電流の変化(増加)も僅かなものとなる。
一方、本実施形態では、トンネル障壁絶縁層TIが存在するため、電流変化率は大きくなる。すなわち、半導体SMとドレインDの間の伝導がトンネル伝導であれば、そのトンネル確率は、キャリアのスピンの方向とドレインDの磁化方向との相対方向に強く依存するため、大きな電流変化が期待出来る。ドレインDと半導体SMとの界面に印加される電圧(=数百mV)は、半導体SM−ドレインD界面において拡散伝導で生じる電位差φ(数十mV)よりもずっと大きくなるものと期待される。ソースS−ドレインD間電圧を1V程度とすれば、磁化の向きFDの制御によって、1Vに対して無視が出来ない大きさの半導体SM−ドレインD間電圧の変化、すなわち、トランジスタを流れる電流の変化が生じる。
また、電位差φDが小さくなることにより、ポテンシャル障壁PBの厚みtが更に薄くなり、電子emの半導体SMへの注入確率が更に増加している。
次に、半導体SMの導電型がp型である場合について説明する。この場合のスピントランジスタ1の構造は図1に示したものと同一である。
図5は、図1に示したスピントランジスタ1のゲート電極GE直下の半導体SM及びこれに隣接するソースS及びドレインDのエネルギーバンド図である。同図では、半導体SMの導電型がp型であって、図1のスイッチSW1を切断し、ゲート電極GEに電圧を印加していない場合を示している。
ソースSと半導体SMと界面はショットキ接触SJを形成しており、ゲート電圧を印加しないときには、半導体SM内の正孔はソースS及びドレインDのいずれにも注入されず、ソースS内の電子emは、半導体SMのエネルギーバンドの曲がりの山を越えられないため、半導体SM内には注入されない。
図6は、スピントランジスタ1の図5と同じ箇所のエネルギーバンド図である。同図では、図1のスイッチSW1を接続し、ゲート電極GEに電圧を印加した場合を示している。
図1のゲート電極GEに正電位を印加することにより、この正電位に対応して半導体SM内にゲート電極GEの直下にn型のチャネルが形成されると同時に、半導体SMのエネルギーバンドの山の高さ(エネルギー)が低下し、ソースS内の電子emは、半導体SM内には注入される。ソースSは強磁性体からなるため、ソースSから半導体SM内に注入された電子esは、一方向のスピンを有している。
ドレインDの磁化の向きFDが、ソースSの磁化の向きFSとは逆向きの場合、この電子esは、トンネル障壁絶縁層TIの存在によって大部分が反射され、ドレインDには流れ込まない。
図7は、スピントランジスタ1の図5と同じ箇所のエネルギーバンド図である。同図では、図1のスイッチSW1を接続し、ゲート電極GEに電圧を印加し、且つ、スイッチSWを電源V2に接続し、時計回りの磁界Hを配線Wの周囲に発生させることで、ドレインDの磁化の向きFDを反転させた状態を示している。なお、反転させた磁化の向きFDを元に戻すには、スイッチSW2を電源V1に接続すればよく、また、図5及び図6の状態においては、スイッチSW2は電源V1に接続していてもよく、元の状態の磁化の向きFDがX軸方向の正方向である場合には、スイッチSW2は切断状態であってもよい。
図7に示す状態の場合、ドレインDの磁化の向きFDがソースSと磁化の向きFSと同一となるため、半導体SMの反転チャネル内に注入された電子esは、トンネル障壁絶縁層TIを通過して、ドレインDに流れ込む。なお、ドレイン界面に生じる電位差φは、ドレインDの磁化の向きFDがソースSの磁化の向きFSと平行の場合には、反平行の場合よりも小さい。
以上のように、半導体SMの導電型がp型のスピントランジスタ1では、ソースSは強磁性体金属であり、ソースSを構成する強磁性体金属の仕事関数φm、及び半導体SMの仕事関数φsは、φm<φsの関係を満たしており、ソースSと半導体SMとはショットキ接触しており、半導体SMの伝導帯の下端の電位は、ゲート電極GEへ印加される電位に応じて、ソースSから半導体SMへ電子が流れるように上昇可能である。
仕事関数がφm<φsの関係を満たす場合には、価電子帯の上端Evと金属との間には、正孔に対するポテンシャル障壁PBが生じる一方で、半導体SMの金属との界面の近傍には電子emに対する緩やかなエネルギー障壁EPが存在するため(図5参照)、キャリアの移動は生じず、平衡状態においては、ソースSから半導体SM内には電子は流れ込まない。ゲート電位を上昇させた場合には、ゲート電位の上昇に応じてゲート電極GEの直下に電子が集まってくるが、これと共に、印加された電位に応じて緩やかなエネルギー障壁EPは低下し、換言すれば、伝導帯Ecの下端の電位が上昇し、ソースSから半導体SM内に電子emが流れ込むことができるようになる。
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係るスピントランジスタの縦断面構成を示す図である。
同図に示すように、ゲート電極GEは半導体SM上に直接設けられていてもよい。本実施形態のスピントランジスタは、図1のものとかかる点で異なる。また、伝導チャネルはゲートの直下のみn型であり、ゲート電圧が印加されない場合にはソースドレイン電流が流れる。ゲートに負の電圧を印加することで、n型の領域が反転し、消失することでソース‐ドレイン間電流が遮断される。なお、ゲート電極GEと半導体SMとはショットキ接触している。この場合、スピントランジスタは、MESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)構造を有することになる。半導体SMがSiである場合、Siとショットキ接触をする材料としては、Al,Mo,Pt,W,TiSi,WSi、Auなどが知られている。半導体SMが化合物半導体である場合、例えば、GaNである場合には、GaNとショットキ接触をする材料としては、Ti/Au、Au、Tiなどを用いることができる。半導体SMがダイヤモンドである場合、ショットキ接触をする材料としてはAl,Auを用いることができる。また、上述の例では、スピン偏極した電子が半導体SM内に注入されているが、これは、ソース及びドレインの材料を例えばCo、CoFe、Niなどとして、前記の実施例でのそれぞれの半導体SMの伝導型を逆にし、印可する電圧の極性を逆にすれば、偏極した正孔を半導体SM内に注入することもできる。
本発明は、スピントランジスタに利用することができる。
第1実施形態に係るスピントランジスタ1の縦断面構成を示す図である。 スピントランジスタのエネルギーバンド図である。 スピントランジスタのエネルギーバンド図である。 スピントランジスタのエネルギーバンド図である。 スピントランジスタのエネルギーバンド図である。 スピントランジスタのエネルギーバンド図である。 スピントランジスタのエネルギーバンド図である。 第2実施形態に係るスピントランジスタ1の縦断面構成を示す図である。
符号の説明
1・・・スピントランジスタ、C・・・制御手段、S・・・ソース、D・・・ドレイン、E・・・フェルミ準位、EP・・・エネルギー障壁、FS,FD・・・磁化方向、GE・・・ゲート電極、GI・・・ゲート絶縁層、H・・・磁界、PB・・・ポテンシャル障壁、SJ・・・ショットキ接触、SM・・・半導体、SW1・・・スイッチ、SW2・・・スイッチ、TI・・・トンネル障壁絶縁層、V1,V2・・・電源、W・・・配線。

Claims (5)

  1. 強磁性体からなるソースと、
    強磁性体からなるドレインと、
    前記ソース及び前記ドレインが設けられ、前記ソースにショットキ接触した半導体と、
    前記半導体上に直接又はゲート絶縁層を介して設けられたゲート電極と、
    を備えたスピントランジスタにおいて、
    前記半導体と前記ドレインとの間にトンネル障壁を構成するトンネル障壁絶縁層を介在させたことを特徴とするスピントランジスタ。
  2. 前記トンネル障壁絶縁層は、SiO、Al、NiO、CoFeO、MgO、CaF及びZnOからなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のスピントランジスタ。
  3. 前記ソースは強磁性体金属であり、
    前記半導体の導電型はn型であり、
    前記強磁性体金属の仕事関数φm、及び前記半導体の仕事関数φsは、
    φm>φs
    の関係を満たしており、
    前記ソースと前記半導体とショットキ接触しており、前記ショットキ接触により形成されるポテンシャル障壁の厚みは、前記ゲート電極へ印加される電位に応じてトンネル効果が生じる厚み以下に減少可能であることを特徴とする請求項1又2に記載のスピントランジスタ。
  4. 前記ソースは強磁性体金属であり、
    前記半導体の導電型はp型であり、
    前記強磁性体金属の仕事関数φm、及び前記半導体の仕事関数φsは、
    φm<φs
    の関係を満たしており、
    前記ソースと前記半導体はショットキ接触しており、前記半導体の伝導帯の下端の電位は、前記ゲート電極へ印加される電位に応じて、前記ソースから前記半導体へ電子が流れるように上昇可能であることを特徴とする請求項1又2に記載のスピントランジスタ。
  5. 前記ドレインの磁化の向きを制御する制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスピントランジスタ。
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