JP2008166199A - 高分子電解質、高分子電解質膜及びこれを備える燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性があり且つ低湿状態でも優れたプロトン伝導性を有することにより、安価な原料を用いて簡便な化学合成法により生産性を向上させることが可能な高分子電解質、高分子電解質膜及びこれを備える燃料電池を提供する。
【解決手段】本発明の高分子電解質は、主鎖にオリゴエチレンオキシド構造を有する高分岐ポリマーを主成分とする高分子電解質であって、上記高分岐ポリマーの側鎖の末端官能基として、少なくとも酸性官能基及び架橋性官能基を有する。上記高分岐ポリマーとしては,例えば,ポリ〔ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート〕などがある。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の高分子電解質は、主鎖にオリゴエチレンオキシド構造を有する高分岐ポリマーを主成分とする高分子電解質であって、上記高分岐ポリマーの側鎖の末端官能基として、少なくとも酸性官能基及び架橋性官能基を有する。上記高分岐ポリマーとしては,例えば,ポリ〔ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート〕などがある。
【選択図】なし
Description
本発明は、プロトン伝導性を有する燃料電池用の高分子電解質、高分子電解質膜及びこれを備える燃料電池に関する。
プロトン伝導性の高分子電解質は、固体高分子型燃料電池をはじめとする電気化学デバイスに応用可能であり、特に、次世代のクリーンエネルギーとして注目される燃料電池においては、近年100℃以上の高温での運転が可能となるような無加湿あるいは低加湿下でプロトンが伝導可能な電解質膜の開発が注目されている。水に依存しない高温でプロトン伝導が可能な膜が提供されれば、燃料電池システムの簡略化が図られることから、例えば、家庭用コジェネレーション用途または自動車用用途等として普及が期待できる。
固体高分子型燃料電池は、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜が触媒とガス拡散層等で構成される燃料極と酸素極とによって挟まれた構造であり、燃料極に水素ガスを、酸素極に空気または酸素を供給することによって、次式の電気化学反応が生じ、起電力を得る仕組みである。
(燃料極)H2 → 2H++2e−
(酸素極)2H++(1/2)O2+2e− → H2O
(燃料極)H2 → 2H++2e−
(酸素極)2H++(1/2)O2+2e− → H2O
ところで、上述したプロトン伝導性を有する高分子電解質膜としては、パーフルオロカーボンスルホン酸膜(例えば、米国デュポン社製ナフィオン(登録商標)膜等)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、フルオロカーボンスルホン酸とポリビニリデンフロライドの混合膜、フルオロカーボンマトリックスにトリフルオロエチレンをグラフト化したもの、及びスルホン酸基を有するポリスチレン系の陽イオン交換膜をカチオン伝導性膜としたもの等が従来から知られている。これらの高分子電解質のプロトン伝導は、スルホン酸の周囲の水分子が伝導に介在しているため、加湿等によって一定の湿潤状態で燃料電池に応用されるのが一般的である。したがって、運転温度は一般的に80℃以下とされるが、この温度制限により、触媒の一酸化炭素被毒などの問題が生じるため、選択的一酸化炭素除去が必要となり、システムはより複雑かつ高コスト化とならざるを得ない状況である。
そのため、固体高分子電解質膜としては、(1)プロトン伝導性が優れていること、(2)電解質中の水分管理が容易であること、(3)耐熱性が優れていること、等の特性が要求される。
これらの要求特性を満足するため、例えば、特許文献1では、グラフト重合可能な基材ポリマーにポリビニルピリジンをグラフト重合し、そのグラフト基材にリン酸をドープすることにより、100℃以上の高温条件化でプロトン伝導性に優れた電解質膜を供給できるとされている。
また、特許文献2では、酸性のポリマー(例えば、パーフルオロスルホン酸等)に塩基性ポリマー(例えば、プロピレングリコール等)を含浸により導入して、150℃の高温低湿状態でも良好なプロトン伝導性を得ることができるとされている。
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載された発明では、高価な原料と複雑な工程を要し、生産コストも高くなるため、生産性が低いという問題があった。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、耐熱性があり且つ低湿状態でも優れたプロトン伝導性を有することにより、安価な原料を用いて簡便な化学合成法により生産性を向上させることが可能な、新規かつ改良された高分子電解質、高分子電解質膜及びこれを備える燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、リチウム電池用電解質材料として本発明者らが開発した樹木状構造を有する高分岐ポリマー(非特許文献1を参照)を基本高分子骨格とし、これを燃料電池の電解質膜用に改質する技術について鋭意検討を行った。ここで、上記樹木状構造を有する高分岐ポリマー(デンドリティックポリマーとも称される)は、コアとなる中心分子から枝分子が3次元的に樹木状に伸長した高分子である。この樹木状高分岐ポリマーは、通常の分岐高分子や線状高分子と比較して、立体的にかさ高く、溶解性が高く、非晶質で加工性に優れ、分子末端に多数の官能基を導入することができる、という特徴を有している。
上記検討の結果、本発明者らは、側鎖末端の官能基をアセチル基からフェニルスルホン酸等の酸性官能基に代えることにより、プロトン伝導性に優れた燃料電池用固体高分子電解質膜を製造できることを見出した(特許文献3を参照)。さらに、本発明者らは、側鎖末端の官能基をアセチル基からビニル基等の架橋性官能基に代えることにより、プロトン伝導性に優れ、且つ、自己支持性を有する燃料電池用固体高分子電解質膜を製造できることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のある観点によれば、主鎖にオリゴエチレンオキシド構造を有する高分岐ポリマーを主成分とする高分子電解質であって、高分岐ポリマーの側鎖の末端官能基として、少なくとも酸性官能基及び架橋性官能基を有する高分子電解質が提供される。
本発明の高分子電解質は、かかる構成を有することにより、高分岐ポリマーは、主鎖であるポリエチレンオキシド鎖を電荷移動媒体として機能し、酸性官能基がプロトン供与性のキャリアとして機能することから、水などの電荷移動媒体が存在しなくても、自己解離が可能であり且つプロトンを容易に伝導することができる。また、高分岐ポリマーの分子内に配置される架橋性末端官能基により、必要に応じて架橋反応を行うことも可能であり、ひいては自己支持性を有する電解質膜を提供することが可能となる。
ここで、上記酸性官能基の一部または全部は、ホスホン酸基であることが好ましい。これにより、高分子電解質の耐熱性が著しく向上することが期待できる。これは、例えば、特開2006−265497号公報に背景技術として、「高温使用中、経時的にスルホ基の脱離を生じ、イオン交換容量の低下をきたし、性能が低下するという現象が見られることがある。これらの現象は、特に高温で顕著になる。」に見られるように、ポリイミド系高分子電解質に限らず、スルホン酸基をイオン性官能基として配する高分子化合物は、高温でのスルホン酸の脱離に伴う特性の低下が予想されるが、リン酸基・ホスホン酸基に関しては同様な報告はなされておらず、また、リン酸型燃料電池に見られるように、リン酸あるいはリン酸化合物は一般的に高温で安定とされているためである。従って、例えば、高温で作動させる必要があるリン酸型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池等に使用する場合など、イオン伝導度をある程度のレベルに維持しつつ、耐熱性を重視する必要がある場合には、酸性官能基の一部としてホスホン酸基を有することが好ましい。
また、上記架橋性官能基の一部または全部は、アクリロイル基であることが好ましい。これにより、高分子電解質の合成過程の簡易化が可能となる。
また、上記高分岐ポリマーとしては、例えば、下記一般式1で表されるポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]が挙げられ、このうち、特に、(CH2CH2O)m(m=1〜6)で表されるオリゴエチレンオキシド鎖と、ジオキシベンゾエートとから合成したA2B型モノマーを重合して得られる樹木状構造を有するポリマーであることが好ましい。直鎖状の高分子の末端は2つであるのに対し、このように、上記高分岐ポリマーが樹木状構造を有するようにすることにより、高分子の末端が多く形成され、これにより、多くの末端官能基を導入することが可能となる。本発明においては、末端官能基として酸性官能基を多く導入すれば、プロトン伝導性を向上させることができ、末端官能基として架橋性官能基を多く導入すれば、分子間の架橋結合により機械的強度を向上させることができる。
また、上記架橋性官能基は、高分岐ポリマー中の末端官能基全体に対して、10mol%以上60mol%未満含まれていることが好ましい。
また、本発明の別の観点によれば、上述した高分子電解質の主成分である高分岐ポリマーを架橋して形成される高分子電解質膜が提供される。
また、本発明のさらに別の観点によれば、上記高分子電解質膜を備える燃料電池が提供される。このように、上記高温・低加湿の条件においてもプロトン伝導性を示し、かつ自己支持性を有する上記高分子電解質膜を電荷移動媒体として利用することにより、燃料電池システムの簡略化を図ることができる。
本発明によれば、耐熱性があり且つ低湿状態でも優れたプロトン伝導性を有することにより、安価な原料を用いて簡便な化学合成法により生産性を向上させることができ、さらには、自己支持性を有する高分子電解質、高分子電解質膜及びこれを備える燃料電池を提供することができる。
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明者らは、上述したように、耐熱性があり且つ無加湿状態でも優れたプロトン伝導性を有することにより、安価な原料を用いて簡便な化学合成法により生産性を向上させることが可能な高分子電解質を得るために、リチウム電池用電解質材料として本発明者らが開発した樹木状構造を有する高分岐ポリマーを基本高分子骨格とし、側鎖末端の官能基をアセチル基から酸性官能基に代えることにより、プロトン伝導性に優れた燃料電池用の高分子電解質膜を製造できることを見出した。
しかしながら、上記酸性官能基を有する樹木状高分岐ポリマーは、単独では粘糊状の液体であり、その固定化(電解質膜形成)には架橋剤を第2成分として用いる必要があった。また、上記樹木状高分岐ポリマーは、架橋性高分子とともにsemi−IPN(Interpenetrating Polymer Network)型高分子を形成するため、酸素極側で発生する水にこの高分子の一部が溶解する可能性があり、さらに、この高分子中における架橋反応を強いられるため、架橋自体が不均一になりやすく、一部は糊状となって溶出する等により不均一な電解質膜(膜の一部に孔が存在する等)となってしまうという問題があった。
そこで、上記の問題を解決すべく本発明者らが検討を重ねた結果、本発明者らは、上記樹木状構造を有する高分岐ポリマーの側鎖の末端官能基として、酸性官能基に加えて架橋性官能基を導入することにより、樹木状構造を有する高分岐ポリマー単独で分子全体を完全に固定化することが可能となり、いわゆる自己支持性を有する固体高分子電解質膜が得られることを見出した。これにより、酸素極側で発生する水に対する溶解性もなくなり、均一な電解質膜を形成することができる。
ここで、一般に、スルホン酸基等の酸性官能基とアクリロイル基等の架橋性官能基を単一分子に導入する場合、架橋性官能基の反応性が高いため、酸性官能基と架橋性官能基の双方を導入することは技術的に容易ではないものと考えられる。すなわち、一段階の反応で酸性官能基と架橋性官能基の双方を導入することは不可能であり、また、酸性官能基を先に導入することもできないという知見も本発明者らが行った実験により得られている。これに対して、本発明者らは、架橋性官能基を先に導入し、一度得られた中間生成物を単離してから、再度、酸性官能基を導入すればよいことを見出し、本発明を完成させた。
なお、酸性官能基としてホスホン酸基を使用する場合には、ホスホン酸基が反応に寄与してしまうため、ホスホン酸基を上記樹木状高分岐ポリマーに直接導入することができない。そのため、ホスホン酸エステルを導入後、加水分解を行ってホスホン酸とすることで目的とする化合物(側鎖の末端に酸性官能基が導入された樹木状高分岐ポリマー)を得ることができる。
(本発明に係る高分子電解質の構造)
以下、このようにして完成された本発明に係る高分子電解質の構造について詳細に説明する。
以下、このようにして完成された本発明に係る高分子電解質の構造について詳細に説明する。
本発明に係る高分子電解質は、主鎖にオリゴエチレンオキシド構造を有する高分岐ポリマーを主成分とするものであって、この高分岐ポリマーの側鎖の末端官能基として、少なくとも酸性官能基及び架橋性官能基を有する。
かかる構成によれば、本発明の高分岐ポリマーは、オリゴエチレンオキシド主鎖を電荷移動媒体として、酸性官能基をプロトン供与性のキャリアとしての機能を備えることから、水などの電荷移動媒体が存在しなくても、自己解離が可能かつプロトンを伝導することができる高分子電解質を提供することができる。また、高分岐ポリマーの分子内に配置される架橋性末端官能基により、必要に応じて架橋反応を行うことも可能であり、ひいては自己支持性を有する電解質膜を提供することが可能となる。
ここで、主鎖にオリゴエチレンオキシド構造を有する高分岐ポリマーとしては、例えば、下記一般式1で示されるポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]が挙げられる。
このようなポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]としては、特に、(CH2CH2O)m(m=1〜6)で示されるオリゴエチレンオキシド鎖とジオキシベンゾエートとから合成したA2B型単量体を重合して得られる樹木状構造を有するポリマーであることが好ましい。
かかる構成によれば、直鎖状の高分子の末端は2つであるのに対し、このように、上記高分岐ポリマーが樹木状構造を有するようにすることにより、高分子の末端が多く形成され、これにより、多くの末端官能基を導入することが可能となる。本発明においては、末端官能基として酸性官能基を多く導入すれば、プロトン伝導性を向上させることができ、末端官能基として架橋性官能基を多く導入すれば、分子間の架橋結合により機械的強度を向上させることができる。
上記酸性官能基としては、例えば、スルホン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、メタンスルホン酸基等のアルキルスルホン酸基、フルオロメタンスルホン酸基等のフルオロアルキルスルホン酸基、カルボン酸基、フルオロホウ酸基等のプロトンを放出し得る官能基を挙げることができる。このような酸性官能基は、1種または2種以上を導入することができるが、特にホスホン酸基を含むことが好ましい。酸性官能基の一部、または架橋性官能基を除く全ての末端官能基としてホスホン酸を配することにより、高分岐ポリマーを含有する高分子電解質の耐熱性を著しく向上させることができる。
また、上記架橋性官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、アクリロイル基、グリシジルエーテル基、イソシアネート基、チオイソシアネート基等の二重結合を有する官能基を挙げることができる。このような架橋性官能基は、1種または2種以上を導入することができるが、特にアクリロイル基を含むことが好ましい。架橋性官能基の一部、または酸性官能基を除く全ての末端官能基としてアクリロイル基を配することにより、高分子電解質の合成過程を簡易化することが可能となる。
また、本発明の高分子電解質においては、上記架橋性官能基は、上述した高分岐ポリマー中の末端官能基全体に対して、10mol%以上60mol%未満の導入率で含まれていることが好ましく、30mol%以上60mol%未満の導入率で含まれていることがより好ましい。
架橋性官能基の導入率が10mol%未満であると、分子間架橋の効果が不十分であるため、機械的強度が低く、また、自己支持性を有する電解質膜を得ることができない場合があり、架橋性官能基は、10mol%以上の導入率で含まれていることが好ましい。一方、架橋性官能基の導入率が60mol%以上であると、架橋密が高すぎて電解質膜が脆くなり、また、プロトン伝導性も低下するため、架橋性官能基は、60mol%未満の導入率で含まれていることが好ましい。
なお、架橋性官能基の導入率(末端官能基全体に対するアクリロイル基の割合)は、架橋性官能基を導入する反応の反応時間、触媒として用いるN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の量、及び架橋性官能基として導入されるアクリル酸等の架橋剤の量で決まる。具体的には、架橋性官能基の導入率を上記範囲にするためには、反応時間を24〜48時間、DCCの量を高分岐ポリマーの繰り返し単位のモル数に対し1〜4倍、架橋剤の量を高分岐ポリマーの繰り返し単位のモル数に対し0.5〜3倍とすることが好ましい。
このように、本発明の高分子電解質は、高分岐ポリマーの末端に適切な導入率で架橋性官能基が配され、この架橋性官能基が架橋反応により分子間架橋を形成することにより、自己支持性を有する電解質膜を得ることができ、ひいては、このような自己支持性を有する電解質膜を備える燃料電池等のプロトン伝導性を必要とする電気化学デバイスに応用することができる。
(本発明に係る高分子電解質膜の製造方法)
以上、本発明に係る高分子電解質の構造について説明した。次に、かかる高分子電解質膜の製造方法について説明する。なお、以下の説明では、主鎖にオリゴエチレンオキシド構造を有する高分岐ポリマーが、(CH2CH2O)m(m=1〜6)で表されるオリゴエチレンオキシド鎖と、ジオキシベンゾエートとから合成したA2B型モノマーを重合して得られる樹木状構造を有するポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]である場合を例に挙げて説明する。
以上、本発明に係る高分子電解質の構造について説明した。次に、かかる高分子電解質膜の製造方法について説明する。なお、以下の説明では、主鎖にオリゴエチレンオキシド構造を有する高分岐ポリマーが、(CH2CH2O)m(m=1〜6)で表されるオリゴエチレンオキシド鎖と、ジオキシベンゾエートとから合成したA2B型モノマーを重合して得られる樹木状構造を有するポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]である場合を例に挙げて説明する。
まず、(CH2CH2O)m(m=1〜6)で表されるオリゴエチレンオキシド鎖と、ジオキシベンゾエートを原料として合成したA2B型モノマーを重合させ、ポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]を合成する。次いで、ポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]の側鎖の末端に、アクリロイル基等の架橋性官能基を導入する。
上記側鎖末端への架橋性官能基の導入方法としては、例えば、アクリル酸等の分子末端に重合性官能基を1つ以上有し架橋結合が可能な物質を、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)や4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)等の物質とともに、上記ポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]と反応させることにより、分子末端に架橋性官能基が導入されたポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]を合成することができる。
さらに、架橋性官能基が導入されたポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]を単離後、この分子の側鎖の末端に、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性官能基を導入する。
上記側鎖末端への酸性官能基の導入方法としては、例えば、o−スルホ安息香酸、m−スルホ安息香酸またはp−安息香酸、あるいはジスルホ安息香酸のアルカリ金属塩により側鎖末端をエステル化した後、スルホン酸基に変換することによって、分子末端に架橋性官能基及び酸性官能基(この例ではスルホン酸基)が導入されたポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]を合成することができる。
また、上記側鎖末端への酸性官能基導入の別の方法としては、例えば、リン酸またはホスホン酸エステルを官能基として有する安息香酸化合物により側鎖末端をエステル化した後、官能基であるリン酸またはホスホン酸エステルの加水分解により、側鎖末端を酸性官能基に変換することによっても、分子末端に架橋性官能基及び酸性官能基(この例ではリン酸基またはホスホン酸基)が導入されたポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]を合成することができる。
このように、本発明に係る高分子電解質膜は、オリゴエチレンオキシド鎖やジオキシベンゾエートなどの安価な原料を用いて、簡便な化学合成法により製造することができる。そのため、高分子電解質膜の生産性を向上させることができる。また、上述したようにして製造された高分子電解質膜は、分子中に酸性官能基を有することから、耐熱性があり且つ低湿状態でも優れたプロトン伝導性を有するものである。さらに、本発明の高分子電解質膜は、分子中に酸性官能基のみならず架橋性官能基をも有することから、機械的強度が高く、自己支持性を有する膜を製造することができる。
なお、本発明に係る高分子電解質の製造の際には、上述したように、初めに架橋性官能基を導入した後に、酸性官能基を導入しなければならない。これは、酸性官能基と架橋性官能基を単一の分子に導入する場合には、架橋性反応基の反応性が高いため、一般的に、一段階の反応で同時に導入することは不可能であり、さらに、本発明者らの実験から、酸性官能基を先に導入することはできないことが明らかになったためである。従って、架橋性官能基を先に導入し、一度得られた中間生成物を単離してから、再度、酸性官能基を導入する必要がある。
また、上述したようにして製造された高分子電解質膜を利用して、公知の方法により、燃料電池等の電気化学デバイスを製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、下記実施例により本発明は限定されるものではない。
<実施例>
(A2B型モノマーの合成)
まず、オリゴエチレンオキシド鎖とジオキシベンゾエートとから合成したA2B型モノマーの一例として、Methyl 3,5−bis[(8’−hydroxy−3’,6’−dioxaoctyl)oxy]benzoate (3)を合成した。すなわち、下記反応式1に示すように、マグネティックスターラー、ジムロートを装備した300mlナスフラスコにMethyl 3,5−dihydroxybenzoate (1) (8.41g,50.0mmol)、Triethylene glycol monochlorohydrin (2) (18.5g,110mmol)、K2CO3 (49.8g,361mmol)、18−Crown−6 (0.30g,1.15mmol)、アセトニトリル200mlを計り取り、フラスコ内を窒素気流下にし、50時間還流した。析出した白色固体を吸引濾過で取り除き、エバポレーターにより、濾液から溶媒を留去しオイル状の生成物を得た。ジクロロメタンを用いて充填したシリカゲルカラムに得られたオイルを通し、未反応物を含む第1、2バンドを酢酸エチルにより取り除き、溶離液をメタノールに変えて第3バンドを集め、溶媒を減圧留去することにより、Methyl 3,5−bis[(8’−hydroxy−3’,6’−dioxaoctyl)oxy]benzoate (3)を淡黄色の透明オイル状の物質として得た。収量は15.3gであり、収率は71.0%であった。
(A2B型モノマーの合成)
まず、オリゴエチレンオキシド鎖とジオキシベンゾエートとから合成したA2B型モノマーの一例として、Methyl 3,5−bis[(8’−hydroxy−3’,6’−dioxaoctyl)oxy]benzoate (3)を合成した。すなわち、下記反応式1に示すように、マグネティックスターラー、ジムロートを装備した300mlナスフラスコにMethyl 3,5−dihydroxybenzoate (1) (8.41g,50.0mmol)、Triethylene glycol monochlorohydrin (2) (18.5g,110mmol)、K2CO3 (49.8g,361mmol)、18−Crown−6 (0.30g,1.15mmol)、アセトニトリル200mlを計り取り、フラスコ内を窒素気流下にし、50時間還流した。析出した白色固体を吸引濾過で取り除き、エバポレーターにより、濾液から溶媒を留去しオイル状の生成物を得た。ジクロロメタンを用いて充填したシリカゲルカラムに得られたオイルを通し、未反応物を含む第1、2バンドを酢酸エチルにより取り除き、溶離液をメタノールに変えて第3バンドを集め、溶媒を減圧留去することにより、Methyl 3,5−bis[(8’−hydroxy−3’,6’−dioxaoctyl)oxy]benzoate (3)を淡黄色の透明オイル状の物質として得た。収量は15.3gであり、収率は71.0%であった。
(樹木状構造を有する高分岐ポリマーの合成)
次に、上記のようにして合成したA2B型モノマーを重合して得られる樹木状構造を有する高分岐ポリマーの一例として、Poly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)を合成した。すなわち、下記反応式2に示すように、マグネティックスターラーを装備した30mlナスフラスコにMethyl 3,5−bis[(8’−hydroxy− 3’,6’−dioxaoctyl)oxy]benzoate (3) (4.01g,9.28mmol)を計り取り、触媒としてTributyltin(IV) Chloride (0.05g,0.15mmol)を加えた後、フラスコ内を窒素気流下にし、210℃に加熱して2時間重合させた。得られたゴム状固体を少量のTHFに溶解し、ヘキサンに沈殿させ、減圧下で乾燥させることにより、poly [bis(triethylene glycol) benzoate] (4)(分子量:Mn=4,000)を粘性固体として得た。収量は1.77gであり、収率は44.1%であった。
次に、上記のようにして合成したA2B型モノマーを重合して得られる樹木状構造を有する高分岐ポリマーの一例として、Poly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)を合成した。すなわち、下記反応式2に示すように、マグネティックスターラーを装備した30mlナスフラスコにMethyl 3,5−bis[(8’−hydroxy− 3’,6’−dioxaoctyl)oxy]benzoate (3) (4.01g,9.28mmol)を計り取り、触媒としてTributyltin(IV) Chloride (0.05g,0.15mmol)を加えた後、フラスコ内を窒素気流下にし、210℃に加熱して2時間重合させた。得られたゴム状固体を少量のTHFに溶解し、ヘキサンに沈殿させ、減圧下で乾燥させることにより、poly [bis(triethylene glycol) benzoate] (4)(分子量:Mn=4,000)を粘性固体として得た。収量は1.77gであり、収率は44.1%であった。
(末端にホスホン酸基及び架橋性官能基が導入された高分岐ポリマーの合成(1))
次に、上述したようにして合成されたPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)の側鎖の末端に、架橋性官能基及びホスホン酸基を導入すべく、末端高分岐ポリマー(HBP−PE−Ac) (8)を合成した。すなわち、下記反応式3に示すように、ナスフラスコにPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4) 3.64g(9.10mmol)(分子量:Mn=4,100)、精製アクリル酸(5) 0.66g(9.10mmol)、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 1.88g(9.10mmol)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP) 1.11g(9.10mmol)、塩化メチレン60mlを計り取り、窒素雰囲気下、室温で48時間攪拌し、Poly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)の側鎖の末端に、架橋性官能基を導入した。架橋性官能基が導入されたPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)を含む溶液に、4−(diethoxyphosphorylmethyl)benzoic acid (7) 2.48g(9.10mmol)、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド (DCC) 1.88g(9.10mmol)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン (DMAP) 1.10g(9.03mmol)加え、窒素雰囲気下、48時間攪拌した。吸引濾過後、濾液より溶媒を減圧留去した。得られた粘性固体を、塩化メチレンとエタノール混合溶媒とイソプロピルエーテルを用いた溶解―再沈殿法により精製し、淡黄色粘性固体としてHBP−PE−Ac (8)を得た。収量は3.64gであり、アクリロイル含量は、1H―NMRにより算出した結果、33%であった。
次に、上述したようにして合成されたPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)の側鎖の末端に、架橋性官能基及びホスホン酸基を導入すべく、末端高分岐ポリマー(HBP−PE−Ac) (8)を合成した。すなわち、下記反応式3に示すように、ナスフラスコにPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4) 3.64g(9.10mmol)(分子量:Mn=4,100)、精製アクリル酸(5) 0.66g(9.10mmol)、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 1.88g(9.10mmol)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP) 1.11g(9.10mmol)、塩化メチレン60mlを計り取り、窒素雰囲気下、室温で48時間攪拌し、Poly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)の側鎖の末端に、架橋性官能基を導入した。架橋性官能基が導入されたPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)を含む溶液に、4−(diethoxyphosphorylmethyl)benzoic acid (7) 2.48g(9.10mmol)、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド (DCC) 1.88g(9.10mmol)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン (DMAP) 1.10g(9.03mmol)加え、窒素雰囲気下、48時間攪拌した。吸引濾過後、濾液より溶媒を減圧留去した。得られた粘性固体を、塩化メチレンとエタノール混合溶媒とイソプロピルエーテルを用いた溶解―再沈殿法により精製し、淡黄色粘性固体としてHBP−PE−Ac (8)を得た。収量は3.64gであり、アクリロイル含量は、1H―NMRにより算出した結果、33%であった。
(末端にホスホン酸基及び架橋性官能基が導入された高分岐ポリマーの合成(2))
最後に、上述のようにして得られたHBP−PE−Ac (8)の側鎖の末端に導入されたホスホン酸エステルを加水分解することにより、末端にホスホン酸基及び架橋性官能基が導入された高分岐ポリマーの一例として、HBP−PA−Ac(9)を合成した。すなわち、下記反応式4に示すように、ナスフラスコにHBP−PE−Ac (8) 3.64gを計り取り、塩化メチレン30mlに溶解させた。次いで、ブロモトリメチルシラン(TMSBr)2.2ml(17.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で17時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、メタノール40mlを加え、更に12時間攪拌した。溶媒を減圧留去して得た残留物を、N,N−ジメチルホルムアミドーイソプロピルエーテルを用いた溶解−再沈殿法により精製し、最後にイソプロピルアルコールで洗浄し、淡黄色固体として末端高分岐ポリマーであるHBP−PA−Ac (9)を得た。収量は3.59gであった。HBP−PA−Ac (9)のFT−IRスペクトルを図1に示す。
最後に、上述のようにして得られたHBP−PE−Ac (8)の側鎖の末端に導入されたホスホン酸エステルを加水分解することにより、末端にホスホン酸基及び架橋性官能基が導入された高分岐ポリマーの一例として、HBP−PA−Ac(9)を合成した。すなわち、下記反応式4に示すように、ナスフラスコにHBP−PE−Ac (8) 3.64gを計り取り、塩化メチレン30mlに溶解させた。次いで、ブロモトリメチルシラン(TMSBr)2.2ml(17.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で17時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、メタノール40mlを加え、更に12時間攪拌した。溶媒を減圧留去して得た残留物を、N,N−ジメチルホルムアミドーイソプロピルエーテルを用いた溶解−再沈殿法により精製し、最後にイソプロピルアルコールで洗浄し、淡黄色固体として末端高分岐ポリマーであるHBP−PA−Ac (9)を得た。収量は3.59gであった。HBP−PA−Ac (9)のFT−IRスペクトルを図1に示す。
(末端にスルホン酸基及び架橋性官能基が導入された高分岐ポリマーの合成)
また、上述したようにして合成されたPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)の側鎖の末端に、架橋性官能基及びスルホン酸基を導入すべく、末端高分岐ポリマー(HBP−Ac−OH) (10)を合成した。すなわち、下記反応式5に示すように、ナスフラスコにPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4) 1.99g(5.0mmol)(分子量:Mn=3,000)、精製アクリル酸(5) 0.72g(9.9mmol)、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 1.03g(5.0mmol)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP) 0.61g(5.0mmol)、塩化メチレン30mlを秤り取り、窒素雰囲気下、室温で60時間攪拌した。吸引濾過後、濾液より溶媒を減圧留去した。得られた粘性固体を、塩化メチレンとエタノール混合溶媒とイソプロピルエーテルを用いた溶解―再沈殿法により精製し、褐色粘性固体としてHBP−Ac−OH (6)を得た。収量は1.92gであり、アクリロイル含量は、1H―NMRにより算出した結果、46%であった。
また、上述したようにして合成されたPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)の側鎖の末端に、架橋性官能基及びスルホン酸基を導入すべく、末端高分岐ポリマー(HBP−Ac−OH) (10)を合成した。すなわち、下記反応式5に示すように、ナスフラスコにPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4) 1.99g(5.0mmol)(分子量:Mn=3,000)、精製アクリル酸(5) 0.72g(9.9mmol)、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 1.03g(5.0mmol)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP) 0.61g(5.0mmol)、塩化メチレン30mlを秤り取り、窒素雰囲気下、室温で60時間攪拌した。吸引濾過後、濾液より溶媒を減圧留去した。得られた粘性固体を、塩化メチレンとエタノール混合溶媒とイソプロピルエーテルを用いた溶解―再沈殿法により精製し、褐色粘性固体としてHBP−Ac−OH (6)を得た。収量は1.92gであり、アクリロイル含量は、1H―NMRにより算出した結果、46%であった。
フラスコにHBP−Ac−OH (6)(1.92g)、4−Sulfobenzoic Acid Monopotassium Salt (10)(2.06g、8.6mmol)、DMAP(0.52g,4.3mmol)、DCC(1.77g,8.6mmol),DMF30mLを秤り取り、窒素雰囲気下、26時間攪拌した。吸引濾過後、濾液より溶媒を減圧留去した。得られた粘性固体を、DMFとイソプロピルエーテルを用いた溶解―再沈殿法により精製し、黄色粘性固体としてHBP−SO3K−Ac (11)を得た。収量は1.95gであり、1H―NMRにより算出したアクリロイル含量とSO3K含量は、それぞれ44%と56%であった。HBP−SO3K−Ac (11)のFT−IRスペクトルを図2に示す。
(高分子電解質膜の製造)
以上のようにして合成された末端高分岐ポリマー HBP−PA−Ac (9)とCH2Cl2を質量比で50:50で溶液を調製し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上にキャストし、架橋反応を行った。架橋反応は、室温で24時間、真空中において室温で24時間、真空中において130℃に加熱して24時間の順で行った。重合した試料をCH2Cl2,H2O,MeOH,DMSO(ジメチルスルホキシド)に浸したが、溶解せずに膨潤したことから、加熱による架橋反応の進行が示唆された。
以上のようにして合成された末端高分岐ポリマー HBP−PA−Ac (9)とCH2Cl2を質量比で50:50で溶液を調製し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上にキャストし、架橋反応を行った。架橋反応は、室温で24時間、真空中において室温で24時間、真空中において130℃に加熱して24時間の順で行った。重合した試料をCH2Cl2,H2O,MeOH,DMSO(ジメチルスルホキシド)に浸したが、溶解せずに膨潤したことから、加熱による架橋反応の進行が示唆された。
また、合成された末端高分岐ポリマー HBP−SO3K−Ac (11)とDMAcを質量比で50:50で溶液を調製し、PETフィルム上にキャストし、架橋反応を行った。架橋反応は、80℃のホットプレート上で24時間加熱、真空中において120℃に加熱して48時間の順で行った。重合した試料をH2O,MeOH,DMFに浸したが、溶解せずに膨潤したことから、加熱による架橋反応の進行が示唆された。さらに、重合した試料フィルムを1N塩酸に24時間浸漬するとスルホン酸カリウム塩からスルホン酸(架橋HBP−SO3H−Ac)へ変換される。架橋HBP−SO3H−AcのFT−IRスペクトルを図3に示す。
(固体高分子燃料電池の作製と評価)
上記末端高分岐ポリマー HBP−PA−Ac (9)を架橋して得られるプロトン伝導性固体高分子電解質膜(以下、「架橋HBP−PA−Ac膜」という。)を用いた固体高分子型燃料電池を作製すべく、市販のElectrochem社製の触媒付ガス拡散電極(白金1mg/cm2担持カーボンペーパー)を3cm角に2枚切り出して、それぞれ、正極および負極とした。HBP−PA−Ac (9)を架橋して得られるプロトン伝導性固体高分子電解質膜を5cm角に切り取り、電解質層として中央に配置されるように挟み込み,膜電極接合体を形成した。このときに特にホットプレス等は行わなかった。また、作製した膜電極接合体の電解質部からガスリークを避けるため、フッ素ゴムのガスケットを配した上、ガス流路となる溝を形成した2枚のカーボンセパレータで挟み、更にカーボンセパレータの上からエンドプレートを配置してトルクレンチを用いて5kgf/cm2で締め付けて固体高分子型燃料電池を作製した。そして、この固体高分子型燃料電池を用い、アノードガスに水素、カソードガスに酸素を使用して発電試験を行った。電池温度(セル温度)を130℃(試験温度130℃のまま2時間保持)とし、水素及び酸素の供給量はそれぞれ、100ml/分,100ml/分とし、供給ガスの加湿は行わなかった。固体高分子燃料電池の評価は、北斗電工株式会社製の電気化学測定装置HZ−3000を用いて、電流走査を行うことによって、変化する電圧(直流分極特性)を調べた。図4に、本実施例の燃料電池セルの直流分極特性を示したグラフを示す。なお、図4の縦軸は電圧[V]、横軸は電流[mA]を示してある。
上記末端高分岐ポリマー HBP−PA−Ac (9)を架橋して得られるプロトン伝導性固体高分子電解質膜(以下、「架橋HBP−PA−Ac膜」という。)を用いた固体高分子型燃料電池を作製すべく、市販のElectrochem社製の触媒付ガス拡散電極(白金1mg/cm2担持カーボンペーパー)を3cm角に2枚切り出して、それぞれ、正極および負極とした。HBP−PA−Ac (9)を架橋して得られるプロトン伝導性固体高分子電解質膜を5cm角に切り取り、電解質層として中央に配置されるように挟み込み,膜電極接合体を形成した。このときに特にホットプレス等は行わなかった。また、作製した膜電極接合体の電解質部からガスリークを避けるため、フッ素ゴムのガスケットを配した上、ガス流路となる溝を形成した2枚のカーボンセパレータで挟み、更にカーボンセパレータの上からエンドプレートを配置してトルクレンチを用いて5kgf/cm2で締め付けて固体高分子型燃料電池を作製した。そして、この固体高分子型燃料電池を用い、アノードガスに水素、カソードガスに酸素を使用して発電試験を行った。電池温度(セル温度)を130℃(試験温度130℃のまま2時間保持)とし、水素及び酸素の供給量はそれぞれ、100ml/分,100ml/分とし、供給ガスの加湿は行わなかった。固体高分子燃料電池の評価は、北斗電工株式会社製の電気化学測定装置HZ−3000を用いて、電流走査を行うことによって、変化する電圧(直流分極特性)を調べた。図4に、本実施例の燃料電池セルの直流分極特性を示したグラフを示す。なお、図4の縦軸は電圧[V]、横軸は電流[mA]を示してある。
図4に示したように、上記燃料電池では、電流が約15mAまで発電可能であった。上記燃料電池は、130℃という高温においても、供給ガスの加湿を行わなかったにもかかわらず発電が可能であった。このことから、一般的には燃料電池を高温作動させる場合には加湿器が必要とされているが、本発明によれば、加湿器を必要とせずに高温作動が可能な燃料電池を供給することが可能となることが示唆された。
<イオン伝導性試験>
上記の方法により得られた高分子電解質膜のフィルム(架橋HBP−PA−Acのフィルム)について、イオン伝導率の測定を行った。このフィルムは、予備試験にて高温でも軟化に伴う形状変化が起こらないことを確認し、機械的強度が十分であることから、特にOリング等の支持具を用いずに、イオン伝導率測定用のセルを作製した。サンプルは、60℃雰囲気に半日放置した後、150℃まで昇温して半日放置した。その後、10℃毎の降温条件で、複素交流インピーダンス測定装置により、ブロッキング電極で交流2端子法(1MHz〜1Hz)10mmVの振幅で、抵抗を測定した。そして、測定した抵抗値から各温度におけるイオン伝導率を求めた。
上記の方法により得られた高分子電解質膜のフィルム(架橋HBP−PA−Acのフィルム)について、イオン伝導率の測定を行った。このフィルムは、予備試験にて高温でも軟化に伴う形状変化が起こらないことを確認し、機械的強度が十分であることから、特にOリング等の支持具を用いずに、イオン伝導率測定用のセルを作製した。サンプルは、60℃雰囲気に半日放置した後、150℃まで昇温して半日放置した。その後、10℃毎の降温条件で、複素交流インピーダンス測定装置により、ブロッキング電極で交流2端子法(1MHz〜1Hz)10mmVの振幅で、抵抗を測定した。そして、測定した抵抗値から各温度におけるイオン伝導率を求めた。
上記イオン伝導率の測定の結果を図5に示した。なお、図5は、本実施例に係る高分子電解質膜(架橋HBP−PA−Acのフィルム)のイオン伝導率を示すアレニウスプロットであり、縦軸にイオン伝導度[Scm−1]、横軸に温度のパラメータとして(1000/T)[K−1]を示してある。図5からわかるように、本実施例に係る高分子電解質膜は、150℃という高温かつ無加湿の条件化においても、10−5S/cm2〜10−6S/cm2と実用上十分なイオン伝導率を示した。一方、工業的に使用されているナフィオン膜は、無加湿条件下では絶縁体であり電解質膜として使用することができない。
<耐熱性試験>
また,上記のようにして合成した酸性官能基(ここではホスホン酸基)及び架橋性官能基を有する高分岐ポリマー(9)を,熱重量分析(TG/DTA)にて測定した結果を図6に示した。図6は、本発明の実施例に係る高分子電解質の熱重量分析の結果を示すグラフである。この結果,上記高分岐ポリマーの熱的性質に関しては,200℃以下の重量損失は殆ど無く,202.2℃においての重量損失は0.5%であり,耐熱性のあることが確認された。
また,上記のようにして合成した酸性官能基(ここではホスホン酸基)及び架橋性官能基を有する高分岐ポリマー(9)を,熱重量分析(TG/DTA)にて測定した結果を図6に示した。図6は、本発明の実施例に係る高分子電解質の熱重量分析の結果を示すグラフである。この結果,上記高分岐ポリマーの熱的性質に関しては,200℃以下の重量損失は殆ど無く,202.2℃においての重量損失は0.5%であり,耐熱性のあることが確認された。
<機械的強度試験>
さらに、本発明の実施例に係る高分子電解質膜(架橋HBP−PA−Acのフィルム)に対して、機械的強度の試験を行った。具体的には、上述したようにして得られた高分子電解質膜の試験片を5枚積み重ねて、針侵入モードにて熱機械測定(TMA:Thermal Mechanical Analysis)を行った。TMA測定は、室温から150℃までを5℃/分で昇温し、その間、針侵入圧を50mNの一定に設定し、高分子電解膜の変位を調査した。
さらに、本発明の実施例に係る高分子電解質膜(架橋HBP−PA−Acのフィルム)に対して、機械的強度の試験を行った。具体的には、上述したようにして得られた高分子電解質膜の試験片を5枚積み重ねて、針侵入モードにて熱機械測定(TMA:Thermal Mechanical Analysis)を行った。TMA測定は、室温から150℃までを5℃/分で昇温し、その間、針侵入圧を50mNの一定に設定し、高分子電解膜の変位を調査した。
上記TMA測定の結果を図7に示した。なお、図7は、温度の変化に対する高分子電解質膜の針侵入による変位を示すグラフであり、縦軸に膜の変位[μm]、横軸に温度[℃]を示してある。図7からわかるように、加熱と供に本発明の実施例に係る高分子電解質膜は膨張し、直線的に膜の変位が増加していることから、針の膜への侵入がない、すなわち、熱によって融解しない膜であることが確認された。換言すると、図7から、本発明の実施例に係る高分子電解質膜は、熱−加重応答に対して直線的に膨張することが明確である。本試験の場合には、140℃まで融解せずに膜形状を有していることがわかる。なお、比較例1に係る高分子電解質(高分子末端に架橋性官能基を有しないもの)については、自己支持性を有する膜を形成することができないため、本試験は不可能であった。
<比較例1>
比較例1として、高分岐ポリマーの一例としてのPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)の側鎖末端に酸性官能基のみを有し、架橋官能基を有しない高分岐ポリマーHBP−PA (11)を合成した。
比較例1として、高分岐ポリマーの一例としてのPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)の側鎖末端に酸性官能基のみを有し、架橋官能基を有しない高分岐ポリマーHBP−PA (11)を合成した。
(HBP−PEの合成)
具体的には、まず、下記反応式6に示すように、ナスフラスコにPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4) 3.62g(9.03mmol)(分子量:Mn=4,000)、4−(diethoxyphosphorylmethyl)benzoic acid (7) 2.50g(9.03mmol)、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド (DCC) 1.86g(9.03mmol)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン (DMAP) 1.10g(9.03mmol)加え、窒素雰囲気下で48時間攪拌した。吸引濾過後、濾液より溶媒を減圧留去した。得られた粘性固体を、塩化メチレンとエタノール混合溶媒とヘキサンを用いた溶解―再沈殿法により精製し、淡黄色粘性固体としてHBP−PE(10)(分子量 Mn=4,300)を得た。収量は5.56gであった。
具体的には、まず、下記反応式6に示すように、ナスフラスコにPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4) 3.62g(9.03mmol)(分子量:Mn=4,000)、4−(diethoxyphosphorylmethyl)benzoic acid (7) 2.50g(9.03mmol)、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド (DCC) 1.86g(9.03mmol)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン (DMAP) 1.10g(9.03mmol)加え、窒素雰囲気下で48時間攪拌した。吸引濾過後、濾液より溶媒を減圧留去した。得られた粘性固体を、塩化メチレンとエタノール混合溶媒とヘキサンを用いた溶解―再沈殿法により精製し、淡黄色粘性固体としてHBP−PE(10)(分子量 Mn=4,300)を得た。収量は5.56gであった。
(HBP−PAの合成)
次に、上記のようにして得られたHBP−PE (10) 5.56g(8.59mmol,Mn=4,300)を、ナスフラスコに計り取り、塩化メチレン70mlに溶解させた。次いで、下記反応式7に示すように、ブロモトリメチルシラン(TMSBr) 3.0ml(23.3mmol)を加え、窒素雰囲気下で14時間還流した。溶媒を減圧留去して得た残留物にメタノール70mlを加え、10時間攪拌した。反応物をN,N−ジメチルホルムアミドーイソプロピルエーテルを用いた溶解−再沈殿法により精製後、減圧加熱乾燥して、淡黄色固体としてHBP−PA (11)を得た。収量は3.13gであった。
次に、上記のようにして得られたHBP−PE (10) 5.56g(8.59mmol,Mn=4,300)を、ナスフラスコに計り取り、塩化メチレン70mlに溶解させた。次いで、下記反応式7に示すように、ブロモトリメチルシラン(TMSBr) 3.0ml(23.3mmol)を加え、窒素雰囲気下で14時間還流した。溶媒を減圧留去して得た残留物にメタノール70mlを加え、10時間攪拌した。反応物をN,N−ジメチルホルムアミドーイソプロピルエーテルを用いた溶解−再沈殿法により精製後、減圧加熱乾燥して、淡黄色固体としてHBP−PA (11)を得た。収量は3.13gであった。
得られた高分子 HBP−PA (11)は粘糊状の半固体であったが、この高分子単独で自己支持性のある膜の形成は不可能であった。このことから、高分子末端に架橋性官能基を導入することにより、自己支持性を有する膜を得ることができることが示唆された。
<比較例2>
一方、比較例2として、高分岐ポリマーの一例としてのPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)の側鎖末端に架橋性官能基のみを有し、酸性官能基を有しない高分岐ポリマーAcrylated Poly[bis(triethylene glycol)benzoate] (1d)(架橋性官能基の導入率=100%)を合成した。
一方、比較例2として、高分岐ポリマーの一例としてのPoly[bis(triethylene glycol) benzoate] (4)の側鎖末端に架橋性官能基のみを有し、酸性官能基を有しない高分岐ポリマーAcrylated Poly[bis(triethylene glycol)benzoate] (1d)(架橋性官能基の導入率=100%)を合成した。
具体的には、下記反応式8に示すように、マグネティックスターラーを装備した100ml ナスフラスコにPoly[bis(triethylene glycol)benzoate] (4) (4.05g,9.35mmol)、Acryloyl Chloride (2.30g,28.0mmol)を計り取り、攪拌しながら塩化メチレン25mlに溶解したTriethylamine (4.0g,28.0mmol)を滴下し、室温で24時間攪拌した。反応溶液を分液ロートに入れ、塩化メチレンと飽和食塩水を加えて分液し、抽出した塩化メチレン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過より溶媒を減圧留去した。得られたオイル状の生成物に少量の塩化メチレンを加え、その溶液をイソプロピルエーテルに沈殿させ精製した後、減圧下で乾燥させることによりAcrylated Poly[bis(triethylene glycol)benzoate] (1d) (Mn=3,200)を黄色粘性オイルとして得た。収量は3.23gであり、収率は76%であった。
次に、上記のようにして得られた黄色粘性オイル(高分子)に、過酸化ベンゾイル(BPO)を10質量%添加し、48時間重合を行った。その結果、得られた生成物は茶色の硬い膜であり水に不溶であった。このことから、高分岐ポリマーの末端に導入されたアクリロイル基により架橋結合が形成されていることが示唆された。
また、この比較例2による高分子膜は、分子内にイオンと成り得る成分を有しないことから予想されるとおり、上記本発明の実施例に係る高分子電解質に対して行ったような複素交流インピーダンス測定は不可能であった。測定装置の性能から、107Ω以上の不導体であることが確認された。
以上の結果から、分子末端が架橋性官能基のみで、酸性官能基が存在しない場合には、イオン伝導性を有しないことがわかった。また、上述した本発明の実施例に係る高分子電解質に対して行ったイオン伝導度の試験の結果からも示唆されるように、架橋性官能基の増加(逆に言うと、酸性官能基の減少)に伴って、イオン伝導が低下するのは高分子内におけるイオンキャリアの減少に比例するのは明確である(下記表1を参照)。従って、良好なイオン伝導性を保つにはキャリア密度が高い、即ち、酸性官能基が多く、架橋性官能基が少ないことが好ましい。一方で、上述の通り、比較例1の高分子が自己支持性の膜を形成しないことからもわかるように、少なくとも高分子電解質の一部に架橋性官能基を有することが必要であり、特に、架橋性官能基の導入率が10%以上、60%未満であると、良好なイオン伝導性を保ちつつ、かつ、自己支持性を有する膜を形成することができるため、好ましい。
<イオン伝導度の熱安定性試験>
次に、上記本発明の実施例に係る高分子電解質(架橋HBP−PA−Acのフィルム)、及び一般的なパーフルオロスルホン酸型の高分子電解質として市販のナフィオンを用いた電解質膜(以下、「ナフィオン膜」という)に対して、イオン伝導度の熱に対する安定性の試験を行った。ナフィオン膜のサンプルの作製は以下のようにして行った。すなわち、市販のNafion(登録商標)の20%溶液(Aldrich社製 52,712−2)からドクターブレードを用いたキャスト法によって高分子電解質膜を得た。乾燥温度は40℃とし、得られた膜(本発明の実施例に係る高分子電解質膜及びナフィオン膜)を水中でガラス基材より剥離して湿潤状態の膜を用いて、高温における抵抗(ここでは、イオン伝導度の逆数に定数を乗じたもの)の熱安定性の比較評価を行った。
次に、上記本発明の実施例に係る高分子電解質(架橋HBP−PA−Acのフィルム)、及び一般的なパーフルオロスルホン酸型の高分子電解質として市販のナフィオンを用いた電解質膜(以下、「ナフィオン膜」という)に対して、イオン伝導度の熱に対する安定性の試験を行った。ナフィオン膜のサンプルの作製は以下のようにして行った。すなわち、市販のNafion(登録商標)の20%溶液(Aldrich社製 52,712−2)からドクターブレードを用いたキャスト法によって高分子電解質膜を得た。乾燥温度は40℃とし、得られた膜(本発明の実施例に係る高分子電解質膜及びナフィオン膜)を水中でガラス基材より剥離して湿潤状態の膜を用いて、高温における抵抗(ここでは、イオン伝導度の逆数に定数を乗じたもの)の熱安定性の比較評価を行った。
上記イオン伝導度の熱安定性試験の結果を図8に示した。なお、図8は、本発明の実施例に係る高分子電解質と比較例としてのパーフルオロスルホン酸型高分子電解質膜であるナフィオン膜の、経過時間に対する膜抵抗の変化を示したグラフであり、縦軸に膜抵抗の上昇率[%]、横軸に経過時間[時間]を示してある。図8に示すように、本発明の実施例に係る高分子電解質膜は、高温(本試験では150℃)の条件下においても、膜抵抗がほとんど上昇せず、安定したイオン伝導度を示すことがわかった。一方、ナフィオン膜は、時間の経過と共に(本実験においては8時間を経過した辺りから)、膜抵抗が急激に上昇し、イオン伝導度が顕著に低下することがわかった。
ナフィオン(登録商標)等のパーフルオロスルホン酸型高分子固体電解質は、水分を保持した状態で優れたイオン伝導性を有することから、高分子固体電解質膜を用いた燃料電池用途に適した膜である。しかしながら、水を媒体としたイオン伝導機構であることから、上記実験からも明らかなように、100℃以上の温度域においてはイオン伝導性の低下が著しい。しかしながら、本発明の電解質におけるイオン伝導は水を媒体としないため、150℃においても安定した膜抵抗、すなわち、安定したイオン伝導度を維持可能である。従って、以上の実験及び検討から、本発明の高分子電解質によれば、高温においても安定したイオン伝導を達成できることが示唆された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
Claims (8)
- 主鎖にオリゴエチレンオキシド構造を有する高分岐ポリマーを主成分とする高分子電解質であって、
前記高分岐ポリマーの側鎖の末端官能基として、少なくとも酸性官能基及び架橋性官能基を有することを特徴とする、高分子電解質。 - 前記酸性官能基の一部又は全部は、ホスホン酸基であることを特徴とする、請求項1に記載の高分子電解質。
- 前記架橋性官能基の一部又は全部は、アクリロイル基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高分子電解質。
- 前記ポリ[ビス(オリゴエチレングリコール)ベンゾエート]は、(CH2CH2O)m(m=1〜6)で表されるオリゴエチレンオキシド鎖と、ジオキシベンゾエートとから合成したA2B型モノマーを重合して得られる樹木状構造を有するポリマーであることを特徴とする、請求項4に記載の高分子電解質。
- 前記架橋性官能基は、前記高分岐ポリマー中の末端官能基全体に対して、10mol%以上60mol%未満含まれることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の高分子電解質。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質の主成分である高分岐ポリマーを架橋して形成される、高分子電解質膜。
- 請求項7に記載の高分子電解質膜を備える、燃料電池。
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| JP2006356450A JP2008166199A (ja) | 2006-12-28 | 2006-12-28 | 高分子電解質、高分子電解質膜及びこれを備える燃料電池 |
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Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPWO2005099010A1 (ja) * | 2004-04-09 | 2008-03-06 | 三星エスディアイ株式会社 | 固体高分子電解質膜,その製造方法及び固体高分子型燃料電池 |
| US10756348B2 (en) | 2015-08-26 | 2020-08-25 | Evonik Operations Gmbh | Use of certain polymers as a charge store |
| US10957907B2 (en) | 2015-08-26 | 2021-03-23 | Evonik Operations Gmbh | Use of certain polymers as a charge store |
| CN113234220A (zh) * | 2021-05-19 | 2021-08-10 | 浙江海洋大学 | 一种光降解环丙沙星用花状结构Fe3O4/Bi2WO6催化剂的制备方法 |
| CN119029233A (zh) * | 2024-09-24 | 2024-11-26 | 河南省科学院化学研究所 | 一种复合型高温质子交换膜及其制备方法和应用 |
-
2006
- 2006-12-28 JP JP2006356450A patent/JP2008166199A/ja not_active Withdrawn
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