以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一の要素は、同一の参照番号を用いて示されている。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
(ハードディスク装置)
図1は、実施の形態に係るハードディスク装置の斜視図である。
ハードディスク装置1は、スピンドルモータ11の回転軸の回りを回転する複数の磁気記録媒体である磁気ディスク10、熱アシスト磁気ヘッド21をトラック上に位置決めするためのアセンブリキャリッジ装置12、この熱アシスト磁気ヘッド21の書き込み及び読み出し動作を制御し、さらに後に詳述する熱アシスト磁気記録用のレーザ光を発生させる光源である発光素子を制御するための記録再生及び発光制御回路(制御回路)13を備えている。
アセンブリキャリッジ装置12には、複数の駆動アーム14が設けられている。これらの駆動アーム14は、ボイスコイルモータ(VCM)15によってピボットベアリング軸16を中心にして揺動可能であり、この軸16に沿った方向に積層されている。各駆動アーム14の先端部には、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)17が取り付けられている。各HGA17には、熱アシスト磁気ヘッド21が、各磁気ディスク10の表面に対向するように設けられている。磁気ディスク10の表面に対向する面が熱アシスト磁気ヘッド21の媒体対向面S(エアベアリング面とも呼ばれる)である。なお、磁気ディスク10、駆動アーム14、HGA17及び熱アシスト磁気ヘッド21は、単数であってもよい。(HGA)
図2は、HGA17の斜視図である。同図は、HGA17の媒体対向面Sを上にして示してある。
HGA17は、サスペンション20の先端部に、熱アシスト磁気ヘッド21を固着し、さらにその熱アシスト磁気ヘッド21の端子電極に配線部材203の一端を電気的に接続して構成される。サスペンション20は、ロードビーム200と、このロードビーム200上に固着され支持された弾性を有するフレクシャ201と、フレックシャの先端に板ばね状に形成されたタング部204と、ロードビーム200の基部に設けられたベースプレート202と、フレクシャ201上に設けられておりリード導体及びその両端に電気的に接続された接続パッドからなる配線部材203とから主として構成されている。
なお、HGA17におけるサスペンションの構造は、以上述べた構造に限定されるものではないことは明らかである。なお、図示されていないが、サスペンション20の途中にヘッド駆動用ICチップを装着してもよい。
(熱アシスト磁気ヘッド)
図3は、図1に示した熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。
配線部材203は、記録信号用の一対の電極パッド237、237、読出信号用の一対の電極パッド238、238、光源駆動用の一対の電極パッド247、248に接続されている。
熱アシスト磁気ヘッド21は、スライダ22と、光源支持基板230及び熱アシスト磁気記録用の光源となる発光素子(レーザダイオード)40を備えた光源ユニット23とが、スライダ基板220の背面(第1面)2201及び光源支持基板230の接着面(第2面)2300を接面させて接着、固定された構成を有している。ここで、スライダ基板220の背面2201は、スライダ22の媒体対向面Sとは反対側の面である。また、光源支持基板230の底面2301がフレクシャ201のタング部204に、例えば、エポキシ樹脂等の接着剤により接着されている。
スライダ22は、スライダ基板220及びデータ信号の書き込み及び読み出しを行う磁気ヘッド部32を備えている。
スライダ基板220は、板状を呈し、適切な浮上量を得るように加工された媒体対向面Sを有する。スライダ基板220は導電性のアルティック(Al2O3−TiC)等から形成されている。
磁気ヘッド部32は、スライダ基板220の媒体対向面Sに対して略垂直な側面である集積面2202に形成されている。磁気ヘッド部32は、磁気情報を検出する磁気検出素子としてのMR効果素子33、磁界の生成により磁気情報を書き込む垂直(面内でも良い)磁気記録素子としての電磁コイル素子34、MR効果素子33及び電磁コイル素子34の間を通して設けられている平面導波路としての導波路のコア35、磁気ディスクの記録層部分を加熱するための近接場光を発生させるプラズモン・プローブ(近接場光発生部)36、及び、これらMR効果素子33、電磁コイル素子34、コア35及びプラズモン・プローブ36を覆うように集積面2202上に形成された絶縁層(クラッド)38とを備えている。
更に、磁気ヘッド部32は、絶縁層38の露出面上に形成され、MR効果素子33の入出力端子にそれぞれ接続された一対の信号端子用の電極パッド371、371、電磁コイル素子34の両端にそれぞれ接続された一対の信号端子用の電極パッド373、373、及び、スライダ基板220と電気的に接続されたグランド用の電極パッド375を備えている。ビアホール375aを介して、スライダ基板220と電気的に接続された電極パッド375は、フレクシャ201の電極パッド247と、ボンディングワイヤにより接続されており、スライダ基板220の電位は電極パッド247により、例えばグラウンド電位に制御されている。
MR効果素子33、電磁コイル素子34、及びプラズモン・プローブ36の各端面は、媒体対向面S上に露出している。また、発光素子40の両端は、それぞれ電極パッド47,48に接続されている。
図4は、図3に示した熱アシスト磁気ヘッド21のIV−IV矢印断面図である。
MR効果素子33は、MR積層体332と、このMR積層体332を挟む位置に配置されている下部シールド層330及び上部シールド層334とを含む。下部シールド層330及び上部シールド層334は、例えば、フレームめっき法を含むパターンめっき法等によって形成された厚さ0.5〜3μm程度のNiFe、CoFeNi、CoFe、FeN若しくはFeZrN等の磁性材料で構成することができる。上下部シールド層334及び330は、MR積層体332が雑音となる外部磁界の影響を受けることを防止する。
MR積層体332は、面内通電型(CIP(Current In Plane))巨大磁気抵抗(GMR(Giant Magneto Resistance))多層膜、垂直通電型(CPP(CurrentPerpendicular to Plane))GMR多層膜、又はトンネル磁気抵抗(TMR(Tunnel Magneto Resistance))多層膜等の磁気抵抗効果膜を含み、非常に高い感度で磁気ディスクからの信号磁界を感受する。
MR積層体332は、例えば、TMR効果多層膜を含む場合、IrMn、PtMn、NiMn、RuRhMn等からなる厚さ5〜15nm程度の反強磁性層と、例えば強磁性材料であるCoFe等、又はRu等の非磁性金属層を挟んだ2層のCoFe等から構成されており反強磁性層によって磁化方向が固定されている磁化固定層と、例えばAl、AlCu等からなる厚さ0.5〜1nm程度の金属膜が真空装置内に導入された酸素によって又は自然酸化によって酸化された非磁性誘電材料からなるトンネルバリア層と、例えば強磁性材料である厚さ1nm程度のCoFe等と厚さ3〜4nm程度のNiFe等との2層膜から構成されておりトンネルバリア層を介して磁化固定層との間でトンネル交換結合をなす磁化自由層とが、順次積層された構造を有している。
MR効果素子33とコア35との間には、下部シールド層330と同様の材料からなる素子間シールド層148が形成されている。素子間シールド層148は、MR効果素子33を、電磁コイル素子34より発生する磁界から遮断して読み出しの際の外来ノイズを防止する役割を果たす。また、素子間シールド層148とコア35との間に、さらに、バッキングコイル部が形成されていてもよい。バッキングコイル部は、電磁コイル素子34から発生してMR効果素子33の上下部電極層を経由する磁束ループを打ち消す磁束を発生させて、磁気ディスクへの不要な書き込み又は消去動作である広域隣接トラック消去(WATE)現象の抑制を図るものである。
MR積層体332の媒体対向面Sとは反対側のシールド層330、334間、シールド層330、334、148の媒体対向面Sとは反対側、下部シールド層330とスライダ基板220との間、及び、素子間シールド層148とコア35との間にはアルミナ等から形成された絶縁層38が形成されている。
なお、MR積層体332がCIP−GMR多層膜を含む場合、上下部シールド層334及び330の各々とMR積層体332との間に、アルミナ等により形成されたアルミナ等の絶縁用の上下部シールドギャップ層がそれぞれ設けられる。さらに、図示は省略するが、MR積層体332にセンス電流を供給して再生出力を取り出すためのMRリード導体層が形成される。一方、MR積層体332がCPP−GMR多層膜又はTMR多層膜を含む場合、上下部シールド層334及び330はそれぞれ上下部の電極層としても機能する。この場合、上下部シールドギャップ層とMRリード導体層とは不要であって省略される。
MR積層体332のトラック幅方向の両側には、磁区の安定化用の縦バイアス磁界を印加するための、CoTa,CoCrPt,CoPt等の強磁性材料からなるハードバイアス層HM(図7参照)が形成される。
電磁コイル素子34は、垂直磁気記録用が好ましく、図4に示すように、主磁極層340、ギャップ層341a、コイル絶縁層341b、コイル層342、及び補助磁極層344を備えている。
主磁極層340は、コイル層342によって誘導された磁束を、書き込みがなされる磁気ディスク(媒体)の記録層まで収束させながら導くための導磁路である。ここで、主磁極層340の媒体対向面S側の端部のトラック幅方向(図4の紙面奥行き方向)の幅及び積層方向(図4の左右方向)の厚みは、他の部分に比べて小さくすることが好ましい。この結果、高記録密度化に対応した微細で強い書き込み磁界を発生可能となる。
主磁極層340に磁気的に結合した補助磁極層344の媒体対向面S側の端部は、補助磁極層344の他の部分よりも層断面が広いトレーリングシールド部を形成している。補助磁極層344は、主磁極層340の媒体対向面S側の端部とアルミナ等の絶縁材料により形成されたギャップ層(クラッド)341a,コイル絶縁層341bを介して対向している。このような補助磁極層344を設けることによって、媒体対向面S近傍における補助磁極層344と主磁極層340との間において磁界勾配がより急峻になる。この結果、信号出力のジッタが小さくなって読み出し時のエラーレートを小さくすることができる。
補助磁極層344は、例えば、厚さ約0.5〜約5μmの、例えばフレームめっき法、スパッタリング法等を用いて形成されたNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つからなる合金、又はこれらを主成分として所定の元素が添加された合金等から構成されている。
ギャップ層341aは、コイル層342と主磁極層340とを離間しており、例えば、厚さ約0.01〜約0.5μmの、例えばスパッタリング法、CVD法等を用いて形成されたAl2O3又はDLC等から構成されている。
コイル層342は、例えば、厚さ約0.5〜約3μmの、例えばフレームめっき法等を用いて形成されたCu等から構成されている。主磁極層340の後端と補助磁極層344の媒体対向面Sから離れた部分とが結合され、コイル層342はこの結合部分を取り囲むように形成されている。
コイル絶縁層341bは、コイル層342と、補助磁極層344とを離間し、例えば、厚さ約0.1〜約5μmの熱硬化されたアルミナやレジスト層等の電気絶縁材料から構成されている。
図5は、熱アシスト磁気ヘッド21の回路図である。
配線部材203を構成する配線の1つは、電極パッド247及び電極パッド47を介して発光素子40のカソードに電気的に接続されており、別の配線は電極パッド248及び電極パッド48を介して発光素子40のアノードに電気的に接続されている。電極パッド247,248間に駆動電流を供給すると発光素子40が発光する。この光は、平面導波路のコア及び媒体対向面S(図4参照)を介して磁気記録媒体の記録領域Rに照射される。
配線部材203を構成する別の一対の配線は、電極パッド237、ボンディングワイヤBW及び電極パッド371を介して電磁コイル素子34の両端にそれぞれ接続されている。一対の電極パッド237間に電圧を印加すると、磁気記録素子としての電磁コイル素子34に通電が行われ、書き込み磁界が発生する。熱アシスト磁気ヘッド21では、発光素子40から出射された光は、平面導波路のコア35の光入射面354に入射して、媒体対向面Sに設けられた光出射面から出射し、磁気記録媒体の記録領域Rに照射される(図4参照)。したがって、媒体対向面に対向する磁気記録媒体の記録領域Rの温度が上昇し、記録領域Rの保持力が一時的に低下する。この保持力の低下期間内に電磁コイル素子34に通電を行い、書き込み磁界を発生させることで、記録領域Rに情報を書き込むことができる。
配線部材203を構成する別の一対の配線は、電極パッド238、ボンディングワイヤBW及び電極パッド373を介してMR効果素子33の両端にそれぞれ接続されている。一対の電極パッド238に電圧を印加するとMR効果素子33にセンス電流が流れる。記録領域Rに書き込まれた情報は、MR効果素子33にセンス電流を流すことで読み出すことができる。
図6は、媒体対向面側から見た磁気ヘッド主要部の平面図である。
リーディング側すなわちスライダ基板220側の辺の長さがトレーリング側の辺の長さよりも短い逆台形となるように、媒体対向面S側の主磁極層340の先端は、先細り形状にされている。
主磁極層340の媒体対向面側の端面には、ロータリーアクチュエータでの駆動により発生するスキュー角の影響によって隣接トラックに不要な書き込み等を及ぼさないように、ベベル角θが付けられている。ベベル角θの大きさは、例えば、15°程度である。実際に、書き込み磁界が主に発生するのは、トレーリング側の長辺近傍であり、磁気ドミナントの場合には、この長辺の長さによって書き込みトラックの幅が決定される。
ここで、主磁極層340は、例えば、媒体対向面S側の端部での全厚が約0.01〜約0.5μmであって、この端部以外での全厚が約0.5〜約3.0μmの、例えばフレームめっき法、スパッタリング法等を用いて形成されたNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つからなる合金、又はこれらを主成分として所定の元素が添加された合金等から構成されていることが好ましい。また、トラック幅は、例えば、100nmとすることができる。
図7は、熱アシスト磁気ヘッド21の主要部の斜視図である。
コア35の厚み方向をX軸、幅方向をY軸、長手方向をZ軸とした場合、発光素子40の発光面からZ軸に沿って出射された光は、光入射面354に入射する。
コア35は、MR効果素子33と電磁コイル素子34との間に位置していて集積面(YZ平面)2202(図4参照)と平行に延びており、磁気ヘッド部32の媒体体対向面Sから、磁気ヘッド部32の媒体対向面Sとは反対側の面32aまで延びており、本例では楕円形の板状のものである。コア35は、共に媒体対向面SからZ方向に延び、トラック幅方向において対向する2つの側面351a,351b、集積面2202と平行な2つの上面352a、下面352b、媒体対向面Sを形成する光出射面353、及び、光出射面353とは反対側の光入射面354を有している。コア35の上面352a、下面352b、2つの側面351a、351bは、コア35よりも屈折率が小さくコア35に対するクラッドとして機能する絶縁層38と接している。
このコア35は、光入射面354から入射した光を、この両側面351a、351b、及び上面352a、下面352bで反射させつつ、媒体対向面S側の端面である光出射面353に導くことが可能となっている。コア35のトラック幅方向の最大幅W35は例えば、1〜200μmとすることができ、厚みT35は例えば2〜10μmとすることができ、高さH35は10〜300μmとすることができる。
コア35は、何れの部分においても、絶縁層38を形成する材料よりも高い屈折率nを有する、例えばスパッタリング法等を用いて形成された誘電材料から構成されている。例えば、クラッドとしての絶縁層38が、SiO2(n=1.5)から形成されている場合、コア35は、Al2O3(n=1.63)から形成されていてもよい。さらに、絶縁層38が、Al2O3(n=1.63)から形成されている場合、コア35は、Ta2O5(n=2.16)、Nb2O5(n=2.33)、TiO(n=2.3〜2.55)又はTiO2(n=2.3〜2.55)から形成されていてもよい。コア35をこのような材料で構成することによって、材料そのものが有する良好な光学特性によるだけではなく、界面での全反射条件が整うことによって、レーザ光の伝播損失が小さくなり、近接場光の発生効率が向上する。
プラズモン・プローブ36は、導波路のコア35の光出射面353のほぼ中央に配置されている板状部材である。プラズモン・プローブ36は、その端面が媒体対向面Sに露出するようにコア35の光出射面353に埋設されている。
磁気記録媒体は発光素子からの光を直接照射することによっても加熱されるが、本発明の熱アシスト磁気ヘッド21は、コア35の光出射面353に設けられたプラズモン・プローブ36を備えている。この場合、これに発光素子40からの光がプラズモン・プローブ36に照射されることで近接場光が発生する。プラズモン・プローブ36に光を照射すると、プラズモン・プローブ36を構成する金属内の電子がプラズマ振動し、その先端部において電界の集中が生じる。この近接場光の拡がりは、プラズモン・プローブ先端部の半径程度となるため、この先端部の半径をトラック幅以下とすれば、擬似的に出射光が回折限界以下にまで絞り込まれた効果を奏する。
また、コア36の光入射面354の外側には、発光素子40からの入射光の一部が漏れることになるが、この漏れ光が迷光として機能することは好ましくない。そこで、熱アシスト磁気ヘッド21は、コア35の周囲に設けられたクラッド(絶縁層38,ギャップ層341a)と、このクラッドに接触した金属とを備えることとした。すなわち、クラッドに金属を接触させておくと、漏れ光が金属に吸収される。この金属としては、絶縁層38(図4参照)に直接接触したCuなどの金属層ME又は、絶縁層38又はギャップ層341aに接触した金属製のコイル層(螺旋コイル)342を用いることができる。コイル層342は書き込み磁界の発生も兼用している。クラッドはコア35の周囲に設けられており、コア内に入射した光を閉じ込める。
主磁極層340は、コイル層342の螺旋中心から媒体対向面Sに向けて延びている。コイル層342に通電を行うと、主磁極層340を介して磁界が媒体対向面Sまで導かれ、媒体対向面Sから外方に広がる書き込み磁界を発生させることができるが、その一方で、コイル層342が金属からなり、クラッドに接触しているので、漏れ光も吸収することができる。また、光入射面354の周囲に遮光膜を設けても良い。
また、光入射面354は、XY平面(発光素子40の光出射面)に対して傾斜していることが好ましく、この場合には、光入射面354で反射された光が発光素子40側へ戻らなくなるため、発光素子40の寿命を延ばすことが可能となる。
以上の熱アシスト磁気ヘッド21は、媒体対向面S、媒体対向面Sの反対側に位置する第1面2201、及び媒体対向面と第1面2201との間に位置する側面を有するスライダ基板220と、媒体対向面S側に光出射面353を有する平面導波路のコア35と、光出射面353に近接した磁気記録素子34とを有し、スライダ基板220の側面の一つに固定された磁気ヘッド部32と、第1面2201に固定された第2面2300を有する光源支持基板230と、コア35の光入射面354に対向し、光源支持基板230に固定された発光素子40とを備えている(図4参照)。なお、近接とは光出射面353によって加熱された磁気記録媒体の記録領域が、元の温度に戻る前に磁気記録素子34からの磁界を当該記録領域に与えることが可能な距離である。また、コア35のX軸方向の厚みは一定であり、XY断面は四角形である。
光源支持基板230には発光素子40が固定されており、スライダ基板220の第1面2201は光源支持基板230の第2面2300に固定されているので、スライダ基板220と発光素子40との位置関係が固定される。発光素子40はコアの光入射面354に対向しているので、従来のような長距離の光伝播は行われず、取り付け誤差や光の結合損失を許容して、発光素子の出射光を媒体対向面まで導くことができる。
また、光入射面354における入射光重心位置Gを含むXY平面内のX軸に沿った光強度分布のスポット径又は半値幅は、コア35の厚みT35よりも大きく設定されている。
ここで、導波路のコア35内には、一定の厚みを有する集光レンズ35Lが埋設されている。この熱アシスト磁気ヘッドは、光出射面353に設けられたプラズモン・プローブ36の隣に位置する磁気記録素子34を備えている。集光レンズ35Lは、発光素子40からコア35内に入射した光をプラズモン・プローブ36上に集光するものである。
図8は、コア35の平面図及び集光レンズ35Lの種類を示す説明図である。
集光レンズ35Lの重心位置は、コア35内の光入射面354から距離Z1の位置にあり、光出射面353から距離Z2の位置にある(図8(a)参照)。距離Z1は距離Z2よりも小さく、比較的大きな曲率半径の集光レンズでも、ある程度の強度まで絞られた光をプラズモン・プローブ36に照射することが可能となっている。
集光レンズ35Lの形状としては、種々のものが考えられる。
図8(b)は、単一の凸レンズ35L1を構成する集光レンズ35Lである。
図8(c)は、一対の凸レンズ35L1,35L2の間に凹レンズ35L3を介在させた一群のレンズからなる集光レンズ35Lである。
図8(d)は、Y方向長の異なる複数の直方体35L11,35L12,35L13,35L14,35L15,35L16,35L17,35L18をY軸に沿って離隔して並べてなるバイナリレンズであり、これらの屈折率は周囲のコア35の材料の屈折率よりも高い。高屈折率直方体35L11,35L12,35L13,35L14,35L15,35L16,35L17,35L18のY方向長は、これら全体の重心位置から遠くなるほど短くなり、離隔間隔も狭くなっている。
図8(e)は、Y方向長の異なる複数の階段状透明体35L21,35L22,35L23,35L24,35L25,35L26,35L27,35L28をY軸に沿って離隔して並べてなるバイナリレンズであり、これらの屈折率は周囲のコア35の材料の屈折率よりも高い。階段状とは、各透明体がXY平面に平行な2つの平面を光出射面353側に備えており、これらの2つの面間に段差が構成されていることを意味する。各透明体はXY平面に平行な1つの平面を光入射面354側に備えている。高屈折率の階段状透明体35L21,35L22,35L23,35L24,35L25,35L26,35L27,35L28のY方向長は、これら全体の重心位置から遠くなるほど短くなり、離隔間隔も狭くなっている。
図8(f)は、フレネルレンズ35L30からなる集光レンズ35Lであり、フレネルレンズ35L30のYZ断面は鋸波の形状を有している。
このように、集光レンズ35Lは、凸レンズ、バイナリレンズ、又は、フレネルレンズからなることが好ましく、いずれのレンズも、コア35内に埋設することが可能であり、集光を行うことができる。また、いずれの集光レンズ35Lにおいても、その集光レンズ35Lによる光の集光位置P(集光レンズ中心から距離fLDの位置)と、光出射面353の位置(焦点位置Q)とは、コア35の光軸ZAXに沿ってずれている。
図9は、集光レンズ35Lの一例として凸レンズを用いた場合のコア35の斜視図である。
発光素子(レーザダイオード)40の端面から指向角を持って出射されたレーザ光は、光入射面354を介してコア35内に入射する。この光は、集光レンズ35Lによって集光され、コア35の出射面353よりも遠い位置、すなわち、コア35の外部の位置Pにおいて集光する。集光レンズ35Lと集光位置Pとの間にはプラズモン・プローブ36が配置されている。集光レンズ35Lからの光をプラズモン・プローブ36に照射することにより、プラズモン・プローブ36から近接場光を発生させることができる。
近接場光は光出射面353から出射され、磁気記録媒体MRMの記録領域Rを加熱する。磁気記録媒体MRMの記録領域Rが加熱されると、記録領域Rの保持力が低下し、保持力Rの低下期間中において、磁気記録媒体MRMを移動させて記録領域Rをプラズモン・プローブ36の隣に位置する磁気記録素子34の直下に移動させ、磁気記録素子34への通電によって発生した磁界によって、容易に記録領域Rに書き込みを行うことができる。
ここで、集光レンズ35Lがコア35内に埋設されており、集光レンズ35Lによる光の集光位置(集光レンズ中心から距離fLDの位置)Pは、プラズモン・プローブ36の位置(集光レンズ中心から距離fLENSの位置:光出射面353の位置)Qからずれている。
発光素子40の存在位置が、Y軸に沿って、コア35の光軸ZAX上からずれたとする。位置ずれした場合の発光素子40’からの主光線は、集光レンズ35Lの焦点位置Qを通るが、発光素子40’からの光の集光位置は、Y軸方向に沿って位置Pからずれることになる。
しかしながら、集光レンズ35Lによる光の集光位置Pは、Z軸に沿ってレンズ焦点位置Qからずれているので、発光素子40のコア35に対する相対位置、換言すれば、光入射面354への光の入射位置が多少ずれた場合においても、プラズモン・プローブ36への入射光量があまり変化せず、安定した近接場光をプラズモン・プローブ36から発生させ、安定した加熱及び書き込みを行うことができる。
また、本例では、光出射面353の位置は、集光レンズ35Lの焦点位置Qに一致している。集光レンズ35Lの焦点位置Qは、平行光束が入力した場合における光の集光位置であるが、この位置は発光素子40のコア35に対する相対位置に拘わらず一意的に決定される。発光素子40からは発散光が出力されるので、この位置Qに光出射面353を配置すれば、発光素子40からの発散光は、著しい光強度の低下を伴うことなく、焦点位置Qからずれた位置Pに自動的に集光することになる。また、Y軸方向に沿って発光素子40がずれた場合においても、その主光線は焦点位置Qを通るため、プラズモン・プローブ36に光を照射することができるという利点もある。
また、本例の集光レンズ35Lは凸レンズであって、その屈折率はコア35の屈折率よりも高く、コア35の光軸(ZAX)をZ軸とし、コア35の厚み方向をX軸、幅方向をY軸とすると、凸レンズ35Lは、X軸に平行な線分XAの群からなりXY平面に対して光入射面354方向に突出した光入射曲面35XAと、X軸に平行な線分XBの群からなりXY平面に対して光出射面353方向に突出した光出射曲面35XBとを有している。
発光素子40から出射された光は、指向性を有しているので、−Z軸方向への進行に伴って広がっていく傾向があるが、光入射曲面35XAを通過した後に内側に曲がり、更に、光出射曲面35XBを通過した時点で更に内側に曲がって所定の集光位置Pで集光する。
図10は、媒体対向面Sから見たプラズモン・プローブ36の斜視図である。
プラズモン・プローブ36は、媒体対向面Sから見て三角形状を呈し、導電材料により形成されている。三角形の底辺36dがスライダ基板220の集積面2202と平行すなわちトラック幅方向と平行に配置され、底辺と向き合う頂点36cが底辺36dよりも電磁コイル素子34の主磁極層340側に配置されており、具体的には、頂点36cが主磁極層340のリーディング側エッジEと対向するように配置されている。プラズモン・プローブ36の好ましい形態は、底辺36dの両端の2つの底角がいずれも同じとされた二等辺三角形である。
プラズモン・プローブ36の頂点36cの曲率半径rは5〜100nmとすることが好ましい。三角形の高さH36は、入射されるレーザ光の波長よりも十分に小さく、20〜400nmとすることが好ましい。底辺36dの幅Wは、入射されるレーザ光の波長よりも十分に小さく、20〜400nmとすることが好ましい。頂点36cの角度βは例えば60度である。
プラズモン・プローブ36の厚みT36は10〜100nmとすることが好ましい。
このような近接場光発光部36がコア35の光出射面353に設けられていると、近接場光発光部36の頂点36c近傍に電界が集中して頂点36c近傍から媒体に向かって近接場光が発生する。
近接場光は、入射されるレーザ光の波長及びコア35の形状にも依存するが、一般に、媒体対向面Sから見てプラズモン・プローブ36の境界で最も強い強度を有する。特に、本実施形態では、プラズモン・プローブ36に到達する光の電界ベクトルは、発光素子40の積層方向(X方向)となる。したがって、頂点36c近傍にて最も強い近接場光の放射が起こる。すなわち、磁気ディスクの記録層部分を光により加熱する熱アシスト作用において、この頂点36c近傍と対向する部分が、主要な加熱作用部分となる。
この近接場光の電界強度は、入射光に比べて桁違いに強く、この非常に強力な近接場光が、磁気ディスク表面の対向する局所部分を急速に加熱する。これにより、この局所部分の保磁力が、書き込み磁界による書き込みが可能な大きさまでに低下するので、高密度記録用の高保磁力の磁気ディスクを使用しても、電磁コイル素子34による書き込みが可能となる。なお、近接場光は、媒体対向面Sから磁気ディスクの表面に向かって、10〜30nm程度の深さまで到達する。従って、10nm又はそれ以下の浮上量である現状において、近接場光は、十分に記録層部分に到達することができる。また、このように発生する近接場光のトラック幅方向の幅や媒体移動方向の幅は、上述の近接場光の到達深さと同程度であって、また、この近接場光の電界強度は、距離が離れるに従って指数関数的に減衰するので、非常に局所的に磁気ディスクの記録層部分を加熱することができる。
図11は、プラズモン・プローブ36への入射光の波長λ(nm)と近接場光強度I(a.u.)との関係を示すグラフである。なお、プラズモン・プローブ36の長さH36=100nmである。
プラズモン・プローブ36としてAlを用いた場合には入射光の波長λ(nm)が350nm付近に近接場光の強度ピークを有し、Agを用いた場合には530nm付近に強度ピークを有し、Auを用いた場合には650nm付近に強度ピークを有する。プラズモン・プローブ36の材料としては、Al、Ag、Auの他、Cu、Pd、Pt、Rh又はIrを用いることができる。また、プラズモン・プローブ36の材料として、これらの金属材料のうちのいくつかの組合せからなる合金を採用することもできる。
図12は、プラズモン・プローブ36への入射光の波長λ(nm)と近接場光強度I(a.u.)との関係を示すグラフである。なお、プラズモン・プローブ36の材料はAuであり、長さH36は100nm、200nm、300nmである。長さH36は20〜400nmが好ましいが、短波長の光を入射させた方が、スペクトルの半値幅を狭くなる傾向にあり、入射光波長の揺らぎに対する近接場光強度変動の耐性が高くなる。
(光源ユニット)
次いで、図3及び図4を再び参照して、熱アシスト磁気ヘッド21の光源ユニット23の構成要素について説明する。
光源ユニット23は、光源支持基板230、及び、外形形状が板状の発光素子40を主として備えている。
光源支持基板230はアルティック(Al2O3−TiC)等からなる基板であり、スライダ基板220の背面2201に接着している接着面2300を有している。接着面2300にはアルミナ等の断熱層230aが形成されている。この接着面2300を底面とした際の一つの側面である素子形成面2302上に、アルミナ等の絶縁材料から形成された絶縁層41が設けられており、この絶縁層41の上に、電極パッド47、48が形成され、電極パッド47上に発光素子40が固定されている。
電極パッド47、48は、絶縁層41の表面かつ媒体対向面Sと交差する面411、言い換えると、スライダ基板220の集積面2202と平行な面411上に、レーザ駆動用に形成されている。
電極パッド47は、図4に示すように、絶縁層41内に設けられたビアホール47aにより光源支持基板230と電気的に接続されている。また、電極パッド47は、発光素子40駆動時の熱をビアホール47aを介して光源支持基板230側へ逃がすためのヒートシンクとしても機能する。
電極パッド47は、図3に示すように、絶縁層41の面411の中央部にトラック幅方向に延びて形成されている。一方、電極パッド48は、電極パッド47からトラック幅方向に離間した位置に形成されている。各電極パッド47、48は、半田リフローによるフレクシャ201との接続のために、さらに、フレクシャ201側に向かって延びている。
電極パッド47、48は、それぞれ、フレクシャ201の電極パッド247、248とリフロー半田により電気的に接続されており、これにより光源の駆動が可能となっている。また、電極パッド47は上述のように光源支持基板230と電気的に接続されているため、電極パッド247により光源支持基板230の電位を例えばグラウンド電位に制御することが可能となっている。
電極パッド47、48は、例えば、厚さ10nm程度のTa、Ti等からなる下地層を介して形成された金属層であって、厚さ1〜3μm程度の、例えば真空蒸着法やスパッタリング法等を用いて形成されたAu、Cu等の層から形成することができる。
そして、発光素子40は、電極パッド47の上にAu−Sn等の導電性の半田材料からなる半田層42(図4参照)により電気的に接続されている。このとき、発光素子40は、電極パッド47の一部のみを覆うように電極パッド47に対して配置されている。
図13は、発光素子40の斜視図である。
発光素子(レーザダイオード)40は、通常、光学系ディスクストレージに使用されるものと同じ構造を有していてよく、例えば、n電極40aと、n−GaAs基板40bと、n−InGaAlPクラッド層40cと、第1のInGaAlPガイド層40dと、多重量子井戸(InGaP/InGaAlP)等からなる活性層40eと、第2のInGaAlPガイド層40fと、p−InGaAlPクラッド層40gと、*n−GaAs電流阻止層40hと、p−GaAsコンタクト層40iと、p電極40jとが順次積層された構造を有する。これらの多層構造の劈開面の前後には、全反射による発振を励起するためのSiO2、Al2O3等からなる反射膜50及び51が成膜されており、レーザ光が放射される出光端400には、一方の反射膜50における活性層40eの位置に開口が設けられている。このような発光素子40は、膜厚方向に電圧が印加されることにより、出光端400からレーザ光を出射する。
放射されるレーザ光の波長λLは、例えば600〜650nm程度である。ただし、プラズモン・プローブ36の金属材料に応じた適切な励起波長が存在することに留意しなければならない。例えば、プラズモン・プローブ36としてAuを用いる場合、レーザ光の波長λLは、600nm近傍が好ましい。
発光素子40の大きさは、上述したように、例えば、幅(W40)が200〜350μm、長さ(奥行き、L40)が250〜600μm、厚み(T40)が60〜200μm程度である。ここで、発光素子40の幅W40は、電流阻止層40hの対向端の間隔を下限として、例えば、100μm程度までに小さくすることができる。ただし、発光素子40の長さは、電流密度と関係する量であり、それほど小さくすることはできない。いずれにしても、発光素子40に関しては、搭載の際のハンドリングを考慮して、相当の大きさが確保されることが好ましい。
また、この発光素子40の駆動においては、ハードディスク装置内の電源が使用可能である。実際、ハードディスク装置は、通常、例えば2V程度の電源を備えており、レーザ発振動作には十分の電圧を有している。また、発光素子40の消費電力も、例えば、数十mW程度であり、ハードディスク装置内の電源で十分に賄うことができる。
発光素子40のn電極40aが電極パッド47にAuSn等の半田層42(図4参照)により固定されている。ここで、発光素子40の出光端(光出射面)400が図4の下向き(−Z方向)、すなわち出光端400が接着面2300と平行になるように発光素子40が光源支持基板230に固定されており、出光端400はスライダ22のコア35の光入射面354と対向可能となっている。実際の発光素子40の固定においては、例えば、電極パッド47の表面に厚さ0.7〜1μm程度のAuSn合金の蒸着膜を成膜し、発光素子40を乗せた後、熱風ブロア下でホットプレート等による200〜300℃程度までの加熱を行って固定すればよい。
また、電極パッド48と、発光素子40のp電極40jと、がボンディングワイヤにより電気的に接続されている。なお、電極パッド47と接続される電極は、n電極40aでなくp電極40jでもかまわず、この場合、n電極40aが電極パッド48とボンディングワイヤにより接続される。さらに、発光素子40の支持基板側を段差状に加工することにより、ボンディングワイヤを用いない電気的な接続構造も可能である。
ここで、上述したAuSn合金による半田付けをする場合、光源ユニットを例えば300℃前後の高温に加熱することになるが、本発明によれば、この光源ユニット23がスライダ22とは別に製造されるため、スライダ内の磁気ヘッド部がこの高温の悪影響を受けずに済む。
そして、上述のスライダ22の背面2201と光源ユニット23の接着面2300とが、例えば、UV硬化型接着剤等の接着剤層44(図4参照)により接着されており、発光素子40の出光端400がコア35の光入射面354と対向するように配置されている。
なお、発光素子40及び電極パッドの構成は、当然に、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、発光素子40は、GaAlAs系等、他の半導体材料を用いた他の構成のものであってもよい。さらに、発光素子40と電極との半田付けに、他のろう材を用いて行うことも可能である。さらにまた、発光素子40を、ユニット基板上に直接、半導体材料をエピタキシャル成長させることによって形成してもよい。
(製造方法)
続いて、上述の熱アシスト磁気ヘッドの製造方法について簡単に説明する。
まず、スライダ22を製造する。具体的には、スライダ基板220を用意し、公知の方法を用いてMR効果素子33及び素子間シールド層148を形成し、さらに下地としてアルミナ等の絶縁層38を形成する。
続いて、導波路及びプラズモン・プローブ36を形成する。この工程を、図14及び図15を参照して詳しく説明する。
図14及び図15は、導波路及びプラズモン・プローブ36の形成方法の一実施形態を説明する斜視図である。
まず、図14の(A)に示すように、最初に、Al2O3等の絶縁層38a上に、コア35の一部となる、絶縁層38aよりも屈折率の高いTa2O5等の誘電体膜35aを成膜し、その上に、Au等の金属層36aを製膜し、その上に、リフトオフ用の底部が窪んだレジストパターン1002を形成する。
次いで、図14の(B)に示すように、イオンミリング法等を用いて、レジストパターン1002の直下を除いて、金属層36aの不要部分を除去することにより、誘電体膜35aの上に下部が広い台形状の金属層36aが積層されたパターンが形成される。
その後、図14の(C)に示すように、レジストパターン1002を除去した後に、台形状の金属層36aの両斜面側からそれぞれイオンミリング法等により各斜面の一部をそれぞれ除去して、断面三角形状の金属層36aを形成する。
続いて、図14の(D)に示すように、金属層36aを覆うように誘電体膜35a上に誘電体膜35aと同じ材料による誘電体膜35bを成膜し、将来媒体対向面が形成される側に金属層36aの端面を形成するためのレジストパターン1003を積層し、図15の(A)に示すように、将来媒体対向面が形成される側とは反対側において、金属層36a及び誘電体膜35bをイオンミリング法等により除去し、その後、除去した部分に誘電体膜35bと同じ材料により誘電体膜35cを成膜する。
さらに、図15の(B)に示すように、誘電体膜35b、35c上に、さらに、誘電体膜35bと同じ材料により誘電体膜35dを積層し、長方形状となるように誘電体膜35a,35b,35c,35dをパターニングすることにより、下部クラッドとなる誘電体38a、コア35を構成する誘電体層35a,35c,35dが完成する。
次に、コア35に集光レンズ35Lを形成する。この形成にあたっては、まず、集光レンズ35Lの平面形状の領域35L’が開口したレジストREを誘電体層35d上に形成する。なお、レジストREには、光入射面側の表面にも目印用の開口M’,M’を2つほど形成しておく(図15(C))。なお、マスクとしてはホトレジストを用いることができるが、これに代えて金属マスクなどのハードマスクを使用することも可能である。
しかる後、このレジストREをマスクとして、コア(誘電体層35d,35c,35a)をクラッド38aの表面が露出するまでエッチングする(図16(A))。
更に、コア(誘電体層35d,35c,35a)上に高屈折率材料HRを堆積し、コアの露出表面上、及び、エッチングによって形成された開口内の下部クラッド38a上に、この高屈折率材料HRを埋設する。高屈折率材料HRは、領域35L’内において集光レンズ35Lとなり、開口M’内において目印領域Mとなる(図16(B))。目印領域Mは、光の入射位置を画像認識によって観察するために形成する。
その後、レジストREを除去すると、集光レンズ35L及び目印領域M以外の領域の高屈折率材料HRが、リフトオフによって除去され、コア35の表面が露出する(図16(C))。
さらに、図16の(D)に示すように、コア35を覆うように絶縁層38aと同じ材料で絶縁層(上部クラッド)38bを更に形成することにより、クラッド層としての絶縁層38が完成する。そして、金属層36aが露出している側から所定距離ラッピングすることにより所定の厚みの近接場光発光部36及び媒体対向面Sが形成されるのである。
以上の工程により、プラズモン・プローブ36を備えたコア35を形成することができる。この平面導波路は、コア35、上部クラッド38b及び下部クラッド38aからなる。なお、エッチングには、イオンビームエッチング、反応性イオンエッチング、ウエットエッチングなどがあり、マスク除去にはウエットエッチング、化学機械研磨、アッシングなどの方法が挙げられる。なお、上述の方法では、リフトオフを用いたが、集光レンズ35Lの堆積形成の直前の工程においてレジストREを除去しておき、集光レンズを全面スパッタ法により形成した後、そのコアの表面が平坦になるまで化学機械研磨を行う方法を採用してもよい。
コアやクラッドの材料としては石英ガラスなどのガラス材料が知られており、コアの部分は酸化ゲルマニウムなどを添加して屈折率を上昇させ、クラッド部分はフッ素や酸化ボロンなどを添加して屈折率を低下させることができる。集光レンズでは、高屈折率を達成するための酸化ゲルマニウムなどの添加量がコア内よりも高く設定されている。
その後、図4に示すようにパターニング及びスパッタリングを用いた公知の方法により、電磁コイル素子34を形成し、その後、アルミナ等による絶縁層38を形成し、接続のための電極パッド371等を形成し、その後エアベアリング面やその裏面のラッピングを行うことによりスライダ22が完成する。この後、スライダ22の電磁コイル素子34やMR効果素子33のテストを各スライダごとに行い、良品を選別する。
続いて、光源ユニット23を製造する。まず、図4に示すように、アルティック製等の光源支持基板230を用意し、その表面に公知の方法により断熱層230a、絶縁層41及び電極パッド47、48を形成し、電極パッド47の上に発光素子40をAuSn等の導電性の半田材により固定し、その後、基板の切断分離等により所定の大きさに整形する。これにより、光源ユニット23が完成する。このようにして得た光源ユニットも、発光素子の特性評価、特に、高温連続通電試験による駆動電流のプロファイルを観察し、十分に寿命が長いと考えられるものを選択する。
その後、図17(A)に示すように、良品とされた光源ユニット23の接着面2300と、良品とされたスライダ22の背面2201のいずれか又は両方にUV硬化型接着剤44aを塗布する。UV硬化型接着剤としては、UV硬化型エポキシ樹脂や、UV硬化型アクリル樹脂等が挙げられる。
そして、図17(B)に示すように、光源ユニット23の接着面2300とスライダ22の背面2201とを重ね合わせた後、電極パッド47,48間に電圧を印加して発光素子40を発光させると共に、コア35の光出射面353に光検出器DTを対向配置し、光源ユニット23とスライダ22とを相対的に図17(B)の矢印方向に移動させ、最も光検出器DTの出力が高くなる位置を探し出し、その位置で、外部からUV硬化型接着剤に紫外線を照射することによりUV硬化型接着剤44aを硬化させ、これにより発光素子の光軸とコア35の光軸とを合わせた状態で光源ユニット23とスライダ22との接着をすることができる。
以上のように、上述の実施形態に係る熱アシスト磁気ヘッドの製造方法は、下部クラッド38a上にコア35(35a,35b,35c,35d)を堆積する工程(図15(B))と、コア35の一部をエッチングする工程(図16(A))と、エッチングによって除去された領域内にコア35よりも高屈折率の材料を堆積することで、集光レンズ35Lを形成する工程(図16(B))と、コア35及び集光レンズ35L上に上部クラッド38bを形成する工程(図16(D))と、光出射面にプラズモン・プローブ36を形成する工程(図14(A)〜図16(D))と、プラズモン・プローブ36の隣に電磁コイル34(図7)を形成する工程とを備えている。本発明の製造方法によれば、集光レンズ35Lをエッチング及び高屈折率材料の堆積工程によって簡単に形成することができるので、熱アシストヘッドを簡易に製造することができる。
続いて、本実施形態にかかる熱アシスト磁気ヘッド21の作用について説明する。
書き込み又は読み出し動作時には、熱アシスト磁気ヘッド21は、回転する磁気ディスク(媒体)10の表面上において流体力学的に所定の浮上量をもって浮上する。この際、MR効果素子33及び電磁コイル素子34の媒体対向面S側の端が磁気ディスク10と微小なスペーシングを介して対向することによって、データ信号磁界の感受による読み出しとデータ信号磁界の印加による書き込みとが行われる。
ここで、データ信号の書き込みの際、光源ユニット23からコア35を通って伝播してきたレーザ光がプラズモン・プローブ36に到達し、プラズモン・プローブ36から近接場光が発生する。この近接場光によって、熱アシスト磁気記録を行うことが可能となる。
熱アシスト磁気記録方式を採用することにより、高保磁力の磁気ディスクに垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドを用いて書き込みを行い、記録ビットを極微細化することによって、例えば、1Tbits/in2級の記録密度を達成することも可能となり得る。
そして、本実施形態では、光源ユニット23を用いることによって、スライダ22のコア35の光入射面(端面)354に、コア35の層面に平行な方向に伝播するレーザ光を入射させることができる。すなわち、集積面2202と媒体対向面Sとが垂直である構成を有する熱アシスト磁気ヘッド21において、適切な大きさ及び方向を有するレーザ光が、確実に供給可能となる。その結果、磁気ディスクの記録層の加熱効率が高い熱アシスト磁気記録を実現可能とする。
そして、本実施形態によれば、磁気ヘッド部32がスライダ基板220に固定され、光源である発光素子40が光源支持基板230にそれぞれ別に固定されているので、スライダ基板220に固定された電磁コイル素子34と、光源支持基板230に固定された発光素子40とをそれぞれ独立に試験した上で、良品であるスライダ22と良品である光源ユニット23とを互いに固定することにより良品である熱アシスト磁気ヘッド21を歩留まり良く製造できる。
また、磁気ヘッド部32がスライダ基板220の側面に設けられているので、従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法を用いて磁気ヘッド部32の電磁コイル素子34やMR効果素子33等を容易に形成できる。
さらに、発光素子40が媒体対向面Sから離れた位置かつスライダ22の近傍にあるので、発光素子40から発生する熱による電磁コイル素子34やMR効果素子33等への悪影響や発光素子40と磁気ディスク10との接触等の可能性が抑制されると共に、光ファイバ、レンズ、ミラー等が必須では無いので光の伝播損失が低減でき、さらに、磁気記録装置全体の構造も簡単にできる。
また、本実施形態では、光源支持基板230の裏面に断熱層230aが形成されているので、発光素子40から発生する熱がより一層スライダ22に伝導しにくくなっている。
また、上記実施形態では、スライダ基板220と光源支持基板230とには、同じアルティック製の基板を採用しているが、異なる材料の基板を用いることも可能である。この場合でも、スライダ基板220の熱伝導率をλs、光源支持基板230の熱伝導率をλlとすると、λs≦λlを満たすようにすることが好ましい。これにより、発光素子40が発生する熱を、なるべくスライダ基板220に伝わらないようにしつつ光源支持基板230を通して外部に逃がすことが容易となる。
なお、スライダ22及び光源ユニット23の大きさは任意であるが、例えば、スライダ22は、トラック幅方向の幅700μm×長さ(奥行き)850μm×厚み230μmの、いわゆるフェムトスライダであってもよい。この場合、光源ユニット23は、これとほぼ同じ幅及び長さを有することができる。実際、例えば、通常用いられる発光素子の典型的な大きさは、幅250μm×長さ(奥行き)350μm×厚み65μm程度であり、例えば、この大きさの光源支持基板230の側面にこの大きさの発光素子40を設置することが、十分に可能となっている。なお、光源支持基板230の底面に溝を設け、この溝内に発光素子40を設けることも可能である。
また、コア35の光入射面354に達したレーザ光の遠視野像(ファーフィールドパターン)のスポットにおいて、トラック幅方向の径を、例えば0.5〜1.0μm程度とし、この径に直交する径を、例えば1〜5μm程度とすることができる。これに対応して、このレーザ光を受け取るコア35の厚みT35を、例えばスポットよりも大きな2〜10μm程度とし、コア35のトラック幅方向の最大幅(W35)を、例えば1〜200μm程度とすることが好ましい。
また、電磁コイル素子34が、長手磁気記録用であってもかまわない。この場合、主磁極層340及び補助磁極層344の代わりに、下部磁極層及び上部磁極層が設けられ、さらに、下部磁極層及び上部磁極層の媒体対向面S側の端部に挟持された書き込みギャップ層が設けられる。この書き込みギャップ層位置からの漏洩磁界によって書き込みが行われる。
また、プラズモン・プローブの形状も、上述のものに限られず、たとえば、三角形でなく頂点36cが平らになった台形状でも実施可能であり、また、三角形状または台形状の板を、その頂点同士または短辺同士が所定距離離間して対向するように一対配置した、いわゆる「蝶ネクタイ型」構造でも実施可能である。
図18は、「蝶ネクタイ型」構造のプラズモン・プローブ36の斜視図である。一対のプラズモン・プローブ36がX軸に沿って対向して配置されており、その頂点36c同士が所定の間隔を隔てて突き合されている。この「蝶ネクタイ型」構造においては、頂点36c間の中心部に非常に強い電界の集中が発生し、近接場光が生じる。
また、コイル層342は、図4等において1層であるが、2層以上又はヘリカルコイルでもよい。
また、他の実施形態として、プラズモン・プローブ36として、コア35の媒体対向面S側に光の波長よりも小さい微小な開口を設けてもよい。
また、断熱層230aは、スライダ基板220の背面2201に形成されていてもよく、全く設けなくても実施は可能である。
また、光源ユニット23とスライダ22との接着に、UV硬化型接着剤以外の接着剤例えば、発光素子40と電極パッド47との接着に用いたAuSn等の半田層を用いても実施は可能である。
また、上記熱アシスト磁気ヘッドを備えたHGA及びハードディスク装置では、安定した書き込みが高密度で記録できるようになる。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
1…ハードディスク装置、10…磁気ディスク(記録媒体)、17…ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)、20…サスペンション、21…熱アシスト磁気ヘッド、22…スライダ、220…スライダ基板、2202…集積面、23…光源ユニット、230…光源支持基板、32…磁気ヘッド部、33…MR効果素子(磁気検出素子)、34…電磁コイル素子(磁気記録素子)、35…導波路、354…光入射面(端面)、36…プラズモン・プローブ、40…発光素子(光源)、400…出光端、S…媒体対向面。