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JP2008034347A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池 Download PDF

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JP2008034347A JP2007069922A JP2007069922A JP2008034347A JP 2008034347 A JP2008034347 A JP 2008034347A JP 2007069922 A JP2007069922 A JP 2007069922A JP 2007069922 A JP2007069922 A JP 2007069922A JP 2008034347 A JP2008034347 A JP 2008034347A
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Akihiro Motegi
暁宏 茂出木
Takuma Nishida
琢磨 西田
Yoshiki Sakaguchi
善樹 坂口
Kiyotaka Yasuda
清隆 安田
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Mitsui Kinzoku Co Ltd
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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Abstract

【課題】非水電解液の流通が可能な経路が活物質層内に必要且つ十分に形成され、初期充電の過電圧を低くすることが可能な非水電解液二次電池用負極を提供すること。
【解決手段】非水電解液二次電池は、正極、負極及びこれらの間に介在配置されたセパレータを有する。負極は活物質の粒子12a及び導電性付与成分13を含む活物質層を備える。活物質層は、電池に対して電池容量の50%以上の充放電を少なくとも5回行った後、更に充放電を繰り返し行ったときに、活物質層に含まれる導電性付与成分13が、充放電の繰り返しにより漸次微粉化していく構造となっている。充放電の繰り返しによって活物質の粒子12aも微粉化してもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池などの非水電解液二次電池に関する。
本出願人は先に、表面が電解液と接する一対の集電用表面層と、該表面層間に介在配置された、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む活物質層とを備えた非水電解液二次電池用負極を提案した(特許文献1参照)。この負極の活物質層には、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が浸透しており、浸透した該金属材料中に活物質の粒子が存在している。活物質層がこのような構造になっているので、この負極においては、充放電によって該粒子が膨張収縮することに起因して微粉化しても、その脱落が起こりづらくなる。その結果、この負極を用いると、電池のサイクル寿命が長くなるという利点がある。
前記の活物質層中の粒子がリチウムイオンを首尾良く吸蔵放出するためには、リチウムイオンを含む非水電解液が活物質層内を円滑に流通できることが必要である。しかし前記の金属材料が過度に活物質層内へ浸透すると、非水電解液が活物質層内を流通しづらくなり、活物質層の表面及びその近傍の部位しか電極反応に寄与しない場合がある。また活物質の粒子の微粉化に伴い、電気的に孤立した微粉化粒子が発生する場合もある。
特許第3612669号公報
従って本発明の目的は、前述した従来技術の電池よりも性能が一層向上した非水電解液二次電池を提供することにある。
本発明は、正極、負極及びこれらの間に介在配置されたセパレータを有し、該負極が活物質の粒子及び導電性付与成分を含む活物質層を備えた非水電解液二次電池において、
前記活物質層は、前記電池に対して電池容量の50%以上の充放電を少なくとも5回行った後、更に充放電を繰り返し行ったときに、前記活物質層に含まれる前記導電性付与成分が、充放電の繰り返しにより漸次微粉化していく構造となっていることを特徴とする非水電解液二次電池を提供するものである。
本発明の電池においては、負極の活物質層に含まれる導電性付与成分が充放電の繰り返しによって次第に微粉化し、それによって活物質層が活物質と微粉化した導電性付与成分との混合状態となる。この混合状態においては、微粉化した導電性付与成分の粒子によって、活物質の粒子間の電気的接触が確保される。その結果、活物質が電気的に孤立しづらくなり、電池のサイクル特性が向上する。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1(a)〜(c)には、本発明の電池における負極活物質層の要部を拡大した模式図が示されている。これらの図のうち、図1(a)は、初回充電を行う前の状態である。充放電を行う前の状態の活物質層は、活物質の粒子12a及び導電性付与成分13を含んでいる。活物質としては、リチウムの吸蔵放出が可能な材料が用いられる。そのような材料としては、例えばシリコン系材料やスズ系材料、アルミニウム系材料、ゲルマニウム系材料が挙げられる。スズ系材料としては、例えばスズと、コバルトと、炭素と、ニッケル及びクロムのうちの少なくとも一方とを含む合金が好ましく用いられる。負極重量あたりの容量密度を向上させる上では、特にシリコン系材料が好ましい。
シリコン系材料としては、リチウムの吸蔵が可能で且つシリコンを含有する材料、例えばシリコン単体、シリコンと金属との合金、シリコン酸化物などを用いることができる。これらの材料はそれぞれ単独で、或いはこれらを混合して用いることができる。前記の金属としては、例えばCu、Ni、Co、Cr、Fe、Ti、Pt、W、Mo及びAuからなる群から選択される1種類以上の元素が挙げられる。これらの金属のうち、Cu、Ni、Coが好ましく、特に電子伝導性に優れる点、及びリチウム化合物の形成能の低さの点から、Cu、Niを用いることが望ましい。また、負極を電池に組み込む前に、又は組み込んだ後に、シリコン系材料からなる活物質に対してリチウムを吸蔵させてもよい。特に好ましいシリコン系材料は、リチウムの吸蔵量の高さの点からシリコン又はシリコン酸化物である。
初回充電前の活物質層12においては、粒子12aの表面に導電性付与成分13の被覆が位置している。つまり粒子12aの表面の少なくとも一部が、導電性付与成分13で被覆されている。この導電性付与成分13は、粒子12aの構成材料と異なる材料である。導電性付与成分13は粒子12a間に介在し、主として、粒子12a間の電子伝導性を確保する目的で用いられる。導電性付与成分13としては、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が好適に用いられる。その例としては銅、ニッケル、鉄、コバルト又はこれらの金属の合金などが挙げられる。特に金属材料は、活物質の粒子12aが膨張収縮しても該粒子12aの表面の被覆が破壊されにくい延性の高い材料であることが好ましい。そのような材料としては銅を用いることが好ましい。「リチウム化合物の形成能の低い」とは、リチウムと金属間化合物若しくは固溶体を形成しないか、又は形成したとしてもリチウムが微量であるか若しくは非常に不安定であることを意味する。
初回充電前の活物質層においては、導電性付与成分13で被覆された粒子12aの間には空隙Sが形成されている。つまり導電性付与成分13は、リチウムイオンを含む非水電解液が粒子12aへ到達可能なような隙間を確保した状態で該粒子12aの表面を被覆している。
初回充電前の活物質層においては、導電性付与成分13は、活物質層12の厚み方向全域にわたって存在していることが好ましい。そして金属材料13のマトリックス中に活物質の粒子12aが存在していることが好ましい。これによって、後述するように、充放電によって該粒子12aが膨張収縮することに起因して導電性付与成分13が微粉化した場合、粒子12aと微粉化した導電性付与成分13との混合状態が良好になる。その結果、導電性付与成分13を通じて活物質層12全体の電子伝導性が確保されるので、電気的に孤立した活物質の粒子12aが生成すること、特に活物質層12の深部に電気的に孤立した活物質の粒子12aが生成することが効果的に防止される。このことは、活物質として半導体であり電子伝導性の乏しい材料、例えばシリコン系材料を用いる場合に特に有利である。導電性付与成分13が活物質層12の厚み方向全域にわたって活物質の粒子12aの表面に存在していることは、初回充電前の活物質層について、導電性付与成分13を測定対象とした電子顕微鏡マッピングによって確認できる。
導電性付与成分13は、粒子12aの表面を連続に又は不連続に被覆している。導電性付与成分13が粒子12aの表面を連続に被覆している場合には、導電性付与成分13の被覆に、非水電解液の流通が可能な微細な空隙を形成することが好ましい。導電性付与成分13が粒子12aの表面を不連続に被覆している場合には、粒子12aの表面のうち、導電性付与成分13で被覆されていない部位を通じて該粒子12aへ非水電解液が供給される。このような構造の導電性付与成分13の被覆を形成するためには、例えば後述する条件に従う電解めっきによって導電性付与成分13を粒子12aの表面に析出させればよい。
図1(b)には、図1に示す状態の電池に対して50%以上の充放電を少なくとも5回行った後の活物質層の状態が示されている。充放電を行うことによって活物質の粒子12aにリチウムが吸蔵放出される。この吸蔵放出に対応して、粒子12aは膨張収縮する。該粒子12aの表面に存在する導電性付与成分13の被覆は、この膨張収縮に起因して発生する応力に耐えきれずに分割される。また、粒子12aが、膨張収縮の程度が大きい材料から構成されている場合には、膨張収縮に起因して粒子12a自体に応力が加わりクラック等が生じることによって、粒子12aに割れが生じることもある。粒子12aに割れが生じると、導電性付与成分13の被覆の分割は一層顕著になる。
前記の充放電の条件に特に制限はないが、充電終止電圧4.2、放電終止電圧2.7にて電池容量の50%の充放電を充放電レート0.2Cで行うことが、測定の再現性が最も良好になることから好ましい。
図1(b)に示す状態から更に充放電を繰り返すと、粒子12aの表面に存在する導電性付与成分13の被覆が、粒子12aの膨張収縮に追従して更に分割されて微粉化する。また、膨張収縮の程度が大きい材料から構成されている場合には、粒子12a自体の微粉化も進行しやすい。導電性付与成分13の微粉化が進行すると、活物質層が、粒子12aと微粉化した導電性付与成分13との混合状態になる。導電性付与成分13の微粉化に加えて粒子12aの微粉化も進行した場合には、図1(c)に示すように、活物質層が、微粉化した粒子12aと微粉化した導電性付与成分13との混合状態になる。これらの混合状態は、好適には活物質層の厚み方向全域において生じる。このときの充放電の条件に特に制限はない。一例として、電池の最大容量に対して50%に相当する電気量を5時間率(0.2Cレート)の電流密度にて充放電を行う条件を挙げることができる。
本発明でいう微粉化とは、負極を断面観察したときに把握される活物質の粒子や導電性付与成分の粒子の平均長径が小さくなっていく現象をいう。導電性付与成分においては、電気的接触を有する結晶粒子群は1粒子として定義される。微粉化の程度としては、充放電5サイクル以降60サイクル以前における導電性付与成分の粒子の平均長径が1μm以上、活物質の粒子の平均長径が2μm以上であり、且つ少なくとも充放電100サイクル後における導電性付与成分の粒子の平均長径が1μm未満、活物質の粒子の平均長径が2μm未満であることが好ましい。
このように、本実施形態の電池における負極活物質層は、電池に対して50%以上の充放電を少なくとも5回行った後、更に充放電を繰り返し行ったときに、活物質層に含まれる導電性付与成分13が、充放電の繰り返しにより漸次微粉化していく構造となっている。このような構造となっている活物質層においては、微粉化した導電性付与成分の粒子によって、活物質の粒子12a間の電気的接触が確保される。その結果、活物質の粒子12aが電気的に孤立しづらくなる。それによって電池のサイクル特性が向上する。また、導電性付与成分の微粉化に加えて活物質の粒子12aの微粉化が進行した場合には、微粉化した活物質の粒子12a間の電気的接触が、同様に微粉化した導電性付与成分の粒子によって確保される。このように、活物質の粒子12aの微粉化の有無にかかわらず、微粉化した導電性付与成分の粒子によって、活物質の粒子12a間の電気的接触が確保され、電池のサイクル特性が向上する。即ち、導電性付与成分13が、充放電の繰り返しにより微粉化していく構造となっていることは、特に、活物質の粒子12aも、充放電の繰り返しにより漸次微粉化していく構造となっている場合に、活物質の粒子12a間の電気的接触が確保される点から極めて有利である。
これに対して従来の電池における負極活物質層、例えば活物質の粒子間が、リチウム化合物の形成能の低い金属材料で満たされている構造を有する活物質層においては、5回未満の充放電で活物質の粒子の微粉化がほぼ限界に達し、それ以降の充放電では微粉化は実質的に進行しなくなる。それに起因してリチウム化合物の形成能の低い金属材料の微粉化も実質的に進行しなくなる。この理由は、非水電解液の円滑な流通が可能な空隙が活物質の粒子間に十分に形成されていないことによって、活物質層の表面及びその近傍の部位に存在する粒子のみが集中的に電極反応に利用され、それによって加速度的に粒子の微粉化が進行するからである。従ってこのような構造の活物質層においては、表面から遠い部位に位置する活物質の粒子は電極反応に利用されず、初期充電前の状態を保ったままでいる。その結果、このような構造の活物質層を備えた負極を有する電池では、充放電サイクルの早期に容量劣化が生じてしまう。
ところで先行技術の負極のなかには、最初から負極活物質粒子と金属粉末とが混合されたスラリーを塗工して塗膜を形成し、該塗膜を焼結して得られるものがある(例えば特開2002−260637号公報)。かかる負極の活物質層は、活物質粒子と金属粉末とが混合状態になっている点において、本発明に係る負極の充放電後の活物質層の状態に似ているとも言える。しかし、先行技術に開示されているような負極において、超微粉末の活物質粒子や金属粉末を使用した場合には以下の不都合がある。
(1)それら超微粉末の活物質粒子や金属粉末の表面が著しく酸化され、電池内に多量の酸素が持ち込まれてしまう。
(2)多量の結合剤、例えばポリイミドやポリフッ化ビニリデンを必要とするため、充放電時のレート特性に劣る上、不可逆容量が著しいものとなってしまう。
(3)超微粉末の使用や多量のバインダの使用、及び活物質粒子の微細粒子化・高分散化は、経済的に不利である。
(4)活物質粒子や金属粉末間に形成される空隙の量が少ない。
本発明において、導電性付与成分13が充放電の繰り返しにより次第に微粉化していく基準を、充放電を少なくとも5回行った後とした理由は次の通りである。一般に市販されている二次電池では、1回以上の充放電による初期活性化を行い、電池を即使用可能な状態にして市場に出すことが通常である。従って前記の基準を、充放電を少なくとも5回行った後に設定すれば、即使用可能な状態を基準として、サイクル特性が良好であることを客観的に評価できる。このような理由によって、充放電を少なくとも5回行った後を基準としたものである。充放電の回数は少なくとも5回であれば上限値に特に制限はないが、あえて設定するとすれば10回が現実的な値である。充放電の程度を50%以上とした理由は、一般に市販されている二次電池では、充放電を行って電池を即使用可能な状態にして市場に出すときの充放電の程度が50%であることが通常であることによる。なお、ここでいう50%とは、電池の最大容量に対して50%の充放電を行ったという意味である。電池の最大容量は、正極及び負極の容量のうち、容量が小さい方の極の当該容量に依存する。充放電の程度は50%以上であれば上限値に特に制限はなく、100%でも構わない。なお、各回の充放電の程度は同じでもよく、或いは異なっていてもよいが、再現性の良好な結果を得る観点から、同じであることが好ましい。
充放電の繰り返しによる導電性付与成分13の微粉化、及び場合によっては活物質の粒子12aの微粉化は永続的なものではなく、或る程度の充放電を繰り返した時点でそれ以上進行しなくなる。この理由は、微粉化の最小単位は結晶子のサイズで決定され、結晶子のサイズ以上には微粉化が進行しないからである。本実施形態においては、サイクル特性の向上の観点からは、少なくとも200サイクル、特に少なくとも100サイクルの充放電までは導電性付与成分13の微粉化が進行することが好ましい。活物質の粒子12aも微粉化する場合には、前記と同様のサイクルまで微粉化が進行することが好ましい。微粉化が進行する充放電のサイクルを長くするためには、導電性付与成分13の結晶子のサイズを小さくすることが有利である。活物質の粒子12aが微粉化する場合も同様である。結晶子のサイズを小さくするための手段については後述する。
導電性付与成分13が充放電の繰り返しにより次第に微粉化していく構造であるためには、活物質の粒子12aが、リチウムイオンの吸蔵放出によって体積変化を生じる材料からなることが有利である。この場合、大きな体積変化を生じる材料ほど導電性付与成分13の微粉化の程度が大きい。この観点から、粒子12aは、大きな体積変化を生じる材料であるシリコン系材料からなることが好ましい。かかる大きな体積変化を生じる材料からなる活物質の粒子12aは、それ自体も充放電の繰り返しにより漸次微粉化を生じやすい。
導電性付与成分13が充放電の繰り返しにより次第に微粉化していく構造であるためには、導電性付与成分13が微粉化しやすい構造であることも好ましい。具体的には、粒子12aを被覆する導電性付与成分13は、前記の金属材料の結晶子の集合体からなることが好ましい。導電性付与成分13の被覆が、結晶子単位で分割されやすくなるからである。なお先に述べた通り、前記の金属材料はリチウム化合物の形成能の低い材料であることから、導電性付与成分13はリチウムイオンの吸蔵放出を行わず、従って該成分13には体積変化も生じない。
導電性付与成分13の被覆が、金属材料の結晶子の集合体から構成されている場合であっても、結晶子のサイズによっては、活物質の粒子12a間を該結晶子が埋めることができず、粒子12a間の電気的接触が確保されにくい場合がある。また結晶子のサイズによっては、活物質の粒子12aと微粉化した導電性付与成分13との混合状態が良好になりにくい場合もある。その結果、電気的に孤立した粒子12aが発生しやすくなり、サイクル特性を向上させづらくなることがある。活物質の粒子12aも微粉化する場合にも、同様のことが言える。これらの観点から、結晶子の平均粒径は0.01〜1μm、特に0.05〜0.25μmであることが好ましい。このような平均粒径を有する結晶子は、例えば後述する条件で電解めっきを行い導電性付与成分13の被覆を形成することで得ることができる。結晶子の平均粒径は活物質層の断面をSEM観察やSIM観察することで測定される。なお先に述べた通り、導電性付与成分13は、その構成材料の性質に起因して、充放電によって体積変化を生じるものではないので、その結晶子の大きさは、充放電サイクルの全体にわたって実質的に変化しない。
サイクル特性を一層向上させるためには、活物質層の厚み方向の全域にわたって、粒子12aと微粉化した導電性付与成分13との混合状態を実現させることが有利である。粒子12aも微粉化する場合には、活物質層の厚み方向の全域にわたって、微粉化した粒子12aと微粉化した導電性付与成分13との混合状態を実現させることが有利である。このためには、活物質層の厚み方向の全域にわたって均一にリチウムイオンの吸蔵放出が行われる必要がある。この観点から、活物質層は、厚み方向の全域にわたってリチウムイオンを含む非水電解液が円滑に流通可能な空隙を有していることが好ましい。非水電解液が活物質の粒子12aへ容易に到達することは、初期充電の過電圧を低くすることができるという点からも有利である。負極の表面でリチウムのデンドライトが発生することが防止されるからである。デンドライトの発生は両極の短絡の原因となる。過電圧を低くできることは、非水電解液の分解防止の点からも有利である。非水電解液が分解すると不可逆容量が増大するからである。更に、過電圧を低くできることは、正極がダメージを受けにくくなる点からも有利である。
活物質層に空隙を首尾良く形成するためには、活物質の粒子12aの表面を被覆する導電性付与成分13の厚みが薄いことが好ましい。具体的には、活物質の粒子12aの表面を被覆している導電性付与成分13は、その厚みの平均が好ましくは0.05〜2μm、更に好ましくは0.1〜0.25μmという薄いものである。つまり導電性付与成分13は最低限の厚みで以て活物質の粒子12aの表面を被覆している。これによって、粒子12a間の電子伝導性を確保しつつ、必要且つ十分な程度の空隙が活物質層内に形成される。ここでいう「厚みの平均」とは、活物質の粒子12aの表面のうち、実際に金属材料13が被覆している部分に基づき計算された値である。従って活物質の粒子12aの表面のうち金属材料13で被覆されていない部分は、平均値の算出の基礎にはされない。
先に説明した図1(a)に示す状態の活物質層12は、後述するように、好適には粒子12a及び結着剤を含むスラリーを集電体上に塗布し乾燥させて得られた塗膜に対し、所定のめっき浴を用いた電解めっきを行い、粒子12a間に金属材料13を析出させることで形成される。
非水電解液の流通が可能な空隙を活物質層内に必要且つ十分に形成するためには、前記の塗膜内にめっき液を十分浸透させることが好ましい。これに加えて、該めっき液を用いた電解めっきによって金属材料13を析出させるための条件を適切なものとすることが好ましい。めっきの条件にはめっき浴の組成、めっき浴のpH、電解の電流密度などがある。めっき浴のpHに関しては、7.1〜11に調整することが好ましい。pHをこの範囲内とすることで、活物質の粒子12aの溶解が抑制されつつ、該粒子12aの表面が清浄化されて、粒子表面へのめっきが促進され、同時に粒子12a間に適度な空隙が形成される。pHの値は、めっき時の温度において測定されたものである。
先に述べた導電性付与成分13の結晶子のサイズを小さくするためには、めっき液中に光沢剤を所定量添加して、めっき核を多量に発生させることが好ましい。光沢剤としては電解めっきの技術分野において従来用いられているものと同様のものを用いることができる。例えばメルカプトチアゾールやメルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム等のチオール系化合物や、アンモニアを用いることができる。光沢剤の添加量は、用いるめっき液の種類に応じて適宜調整すればよい。特にめっき液として、以下に述べるピロリン酸銅浴を用いる場合には、光沢剤としてアンモニアを用いると、アンモニアが光沢剤としての働きに加えてpH調整剤としても作用するので好ましい。
導電性付与成分13として銅を用いる場合には、ピロリン酸銅浴を用いることが好ましい。ピロリン酸銅浴を用いると、活物質層12を厚くした場合であっても、該層の厚み方向全域にわたって、前記の空隙を容易に形成し得るので好ましい。また、活物質の粒子12aの表面には金属材料13が析出し、且つ該粒子12a間では金属材料13の析出が起こりづらくなるので、該粒子12a間の空隙が首尾良く形成されるという点でも好ましい。ピロリン酸銅浴を用いる場合、その浴組成、電解条件及びpHは次の通りであることが好ましい。
・ピロリン酸銅三水和物:85〜120g/l
・ピロリン酸カリウム:300〜600g/l
・硝酸カリウム:15〜65g/l
・浴温度:45〜60℃
・電流密度:1〜7A/dm2
・pH:7.1〜9.5
なおピロリン酸銅浴に、先に述べた光沢剤としてアンモニアを添加する場合には、その添加量は25重量%水溶液の場合、5〜40g/l、特に10〜20g/l程度とすることが、所望の粒径を有する結晶子を得ることができる点で好ましい。この範囲のアンモニアを添加すると、ピロリン酸銅浴のpHが上述の範囲外となる場合があるが、その場合には、ポリリン酸等の酸を適量添加してpHを調整すればよい。
ピロリン酸銅浴を用いる場合には特に、P27の重量とCuの重量との比(P27/Cu)で定義されるP比が5〜12であるものを用いることが好ましい。P比が5未満のものを用いると、活物質の粒子12aを被覆する金属材料が厚くなる傾向となり、粒子12a間に所望の空隙を形成させづらい場合がある。また、P比が12を超えるものを用いると、電流効率が悪くなり、ガス発生などが生じやすくなることから生産安定性が低下する場合がある。更に好ましいピロリン酸銅浴として、P比が6.5〜10.5であるものを用いると、活物質の粒子12a間に形成される空隙のサイズ及び数が、活物質層12内での非水電解液の流通に非常に有利になる。
前記のめっき浴に、タンパク質、活性硫黄化合物、セルロース等の銅箔製造用電解液に用いられる各種添加剤を加えることにより、金属材料13の特性を適宜調整することも可能である。
上述の各種方法によって形成される活物質層12における空隙の割合、つまり空隙率は、15〜45体積%程度、特に20〜40体積%程度であることが好ましい。空隙率をこの範囲内とすることで、非水電解液の流通が可能な空隙を活物質層12内に必要且つ十分に形成することが可能となる。空隙率は次の(1)〜(7)の手順で測定される。
(1)前記のスラリーの塗布によって形成された塗膜の単位面積当たりの重量を測定し、粒子12aの重量及び結着剤の重量を、スラリーの配合比から算出する。
(2)電解めっき後の単位面積当たりの重量変化から、析出しためっき金属種の重量を算出する。
(3)電解めっき後、負極の断面をSEM観察することで、活物質層12の厚さを求める。
(4)活物質層12の厚さから、単位面積当たりの活物質層12の体積を算出する。
(5)粒子12aの重量、結着剤の重量、めっき金属種の重量と、それぞれの配合比から、それぞれの体積を算出する。
(6)単位面積当たりの活物質層12の体積から、粒子12aの体積、結着剤の体積、めっき金属種の体積を減じて、空隙の体積を算出する。
(7)このようにして算出された空隙の体積を、単位面積当たりの活物質層12の体積で除し、それに100を乗じた値を空隙率(%)とする。
活物質の粒子12aの粒径を適切に選択することによっても、前記の空隙率をコントロールすることができる。この観点から、粒子12aはその最大粒径が好ましくは30μm以下であり、更に好ましくは10μm以下である。また粒子の粒径をD50値で表すと0.1〜8μm、特に0.3〜4μmであることが好ましい。粒子の粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定、電子顕微鏡観察(SEM観察)によって測定される。
本実施形態の電池においては、負極全体に対する活物質の量が少なすぎると電池のエネルギー密度を十分に向上させにくく、逆に多すぎると強度が低下し活物質の脱落が起こりやすくなる傾向にある。これらを勘案すると、活物質層12の厚みは、好ましくは10〜40μm、更に好ましくは15〜30μm、一層好ましくは18〜25μmである。
本実施形態の電池における負極は、集電体と、その少なくとも一面に形成された活物質層を備えている。負極における集電体としては、非水電解液二次電池用負極の集電体として従来用いられているものと同様のものを用いることができる。集電体は、先に述べたリチウム化合物の形成能の低い金属材料から構成されていることが好ましい。そのような金属材料の例は既に述べた通りである。特に、銅、ニッケル、ステンレス等からなることが好ましい。また、コルソン合金箔に代表されるような銅合金箔の使用も可能である。更に集電体として、常態抗張力(JIS C 2318)が好ましくは500MPa以上である金属箔、例えば前記のコルソン合金箔の少なくとも一方の面に銅被膜層を形成したものを用いることもできる。更に集電体として常態伸度(JIS C 2318)が4%以上のものを用いることも好ましい。抗張力が低いと活物質が膨張した際の応力によりシワが生じ、伸び率が低いと該応力により集電体に亀裂が入ることがあるからである。集電体の厚みは本実施形態において臨界的ではない。負極の強度維持と、エネルギー密度向上とのバランスを考慮すると、9〜35μmであることが好ましい。なお、集電体11として銅箔を使用する場合には、クロメート処理や、トリアゾール系化合物及びイミダゾール系化合物などの有機化合物を用いた防錆処理を施しておくことが好ましい。
本実施形態の電池における正極は、正極活物質並びに必要により導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、正極合剤を作製し、これを集電体の少なくとも一方の面に塗布、乾燥した後、ロール圧延、プレスし、更に裁断、打ち抜きすることにより得られる。正極活物質としては、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物等の含リチウム金属複合酸化物を始めとする従来公知の正極活物質が用いられる。また、正極活物質として、LiCoO2に少なくともZrとMgの両方を含有させたリチウム遷移金属複合酸化物と、層状構造を有し、少なくともMnとNiの両方を含有するリチウム遷移金属複合酸化物と混合したものも好ましく用いることができる。かかる正極活物質を用いることで充放電サイクル特性及び熱安定性の低下を伴うことなく、充電終止電圧を高めることが期待できる。正極活物質の一次粒子径の平均値は5μm以上10μm以下であることが、充填密度と反応面積との兼ね合いから好ましく、正極に使用する結着剤の重量平均分子量は350,000 以上2,000,000以下のポリフッ化ビニリデンであることが好ましい。低温環境での放電特性を向上させることが期待できるからである。
正極と負極との間にはセパレータが介在配置される。セパレータとしては、合成樹脂製不織布、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、又はポリテトラフルオロエチレンの多孔質フィルム等が好ましく用いられる。特にセパレータとして、例えば多孔性ポリエチレンフィルム(旭化成ケミカルズ製;N9420G)が好ましく使用できる。電池の過充電時に生じる電極の発熱を抑制する観点からは、ポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面にフェロセン誘導体の薄膜が形成されてなるセパレータを用いることが好ましい。セパレータは、突刺強度が0.2N/μm厚以上0.49N/μm厚以下であり、巻回軸方向の引張強度が40MPa以上150MPa以下であることが好ましい。充放電に伴い大きく膨張・収縮する負極活物質を用いても、セパレータの損傷を抑制することができ、内部短絡の発生を抑制することができるからである。
また、正極と負極との間は非水電解液で満たされる。非水電解液は、支持電解質であるリチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液からなる。リチウム塩としては、LiClO4、LiA1Cl4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiSCN、LiCl、LiBr、LiI、LiCF3SO3、LiC49SO3等が例示される。有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。特に、非水電解液全体に対し0.5 〜5重量%のビニレンカーボネート及び0.1〜1重量%のジビニルスルホン、0.1〜1.5重量%の1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートを含有させることが充放電サイクル特性を更に向上する観点から好ましい。その理由について詳細は明らかでないが、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートとジビニルスルホンが段階的に分解して、正極上に被膜を形成することにより、硫黄を含有する被膜がより緻密なものになるためであると考えられる。
特に非水電解液としては、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン,4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン或いは4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどのハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体のような比誘電率が30以上の高誘電率溶媒を用いることも好ましい。耐還元性が高く、分解されにくいからである。また、上記高誘電率溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、或いはメチルエチルカーボネートなどの粘度が1mPa・s以下である低粘度溶媒を混合した電解液も好ましい。より高いイオン伝導性を得ることができるからである。更に、電解液中のフッ素イオンの含有量が14質量ppm以上1290質量ppm以下の範囲内であることも好ましい。電解液に適量なフッ素イオンが含まれていると、フッ素イオンに由来するフッ化リチウムなどの被膜が負極に形成され、負極における電解液の分解反応を抑制することができると考えられるからである。更に、酸無水物及びその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種の添加物が0.001質量%〜10質量%含まれていることが好ましい。これにより負極の表面に被膜が形成され、電解液の分解反応を抑制することができるからである。この添加物としては、環に−C(=O)−O−C(=O)−基を含む環式化合物が好ましく、例えば無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−スルホ安息香酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、無水ヘキサフルオログルタル酸、無水3−フルオロフタル酸、無水4−フルオロフタル酸などの無水フタル酸誘導体、又は無水3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、無水1,8−ナフタル酸、無水2,3−ナフタレンカルボン酸、無水1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などの無水1,2−シクロアルカンジカルボン酸、又はシス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物或いは3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物などのテトラヒドロフタル酸無水物、又はヘキサヒドロフタル酸無水物(シス異性体、トランス異性体)、3,4,5,6−テトラクロロフタル酸無水物、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、二無水ピロメリット酸、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
次に、本実施形態の電池における負極の好ましい製造方法について、図2を参照しながら説明する。本製造方法では、活物質の粒子及び結着剤を含むスラリーを用いて集電体上に塗膜を形成し、次いでその塗膜に対して電解めっきが行われる。
先ず図2(a)に示すように集電体11を用意する。そして集電体11上に、活物質の粒子12aを含むスラリーを塗布して塗膜15を形成する。スラリーは、活物質の粒子の他に、結着剤及び希釈溶媒などを含んでいる。またスラリーはアセチレンブラックやグラファイトなどの導電性炭素材料の粒子を少量含んでいてもよい。特に、活物質の粒子12aがシリコン系材料から構成されている場合には、該活物質の粒子12aの重量に対して導電性炭素材料を1〜3重量%含有することが好ましい。導電性炭素材料の含有量が1重量%未満であると、スラリーの粘度が低下して活物質の粒子12aの沈降が促進されるため、良好な塗膜15及び均一な空隙を形成しにくくなる。また導電性炭素材料の含有量が3重量%を超えると、該導電性炭素材料の表面にめっき核が集中し、良好な被覆を形成しにくくなる。
結着剤としてはスチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)などが用いられる。希釈溶媒としてはN−メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが用いられる。スラリー中における活物質の粒子12aの量は30〜70重量%程度とすることが好ましい。結着剤の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。これらに希釈溶媒を加えてスラリーとする。
形成された塗膜15は、粒子12a間に多数の微小空間を有する。塗膜15が形成された集電体11を、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を含むめっき浴中に浸漬する。めっき浴への浸漬によって、めっき液が塗膜15内の前記微小空間に浸入して、塗膜15と集電体11との界面にまで達する。その状態下に電解めっきを行い、めっき金属種を粒子12aの表面に析出させる(以下、このめっきを浸透めっきともいう)。浸透めっきは、集電体11をカソードとして用い、めっき浴中にアノードとしての対極を浸漬し、両極を電源に接続して行う。
浸透めっきによる金属材料の析出は、塗膜15の一方の側から他方の側に向かって進行させることが好ましい。具体的には、図2(b)ないし(d)に示すように、塗膜15と集電体11との界面から塗膜の表面に向けて導電性付与成分13の析出が進行するように電解めっきを行う。図2(b)ないし(d)においては、導電性付与成分13が、粒子12aの周囲を取り囲む太線として便宜的に表されている。導電性付与成分13をこのように析出させることで、活物質の粒子12aの表面を導電性付与成分13で首尾よく被覆することができると共に、導電性付与成分13で被覆された粒子12a間に空隙を首尾よく形成することができる。しかも、該空隙の空隙率を前述した好ましい範囲にすることが容易となる。
前述のように導電性付与成分13を析出させるための浸透めっきの条件には、めっき浴の組成、めっき浴のpH、電解の電流密度などがある。このような条件については既に述べた通りである。特に、導電性付与成分の結晶子のサイズを先に述べた好ましい範囲にするために、めっき浴中に先に述べた各種光沢剤を添加することが好ましい。
図2(b)ないし(d)に示されているように、塗膜15と集電体11との界面から塗膜の表面に向けて金属材料13の析出が進行するようにめっきを行うと、析出反応の最前面部においては、ほぼ一定の厚みで金属材料13のめっき核からなる微小粒子13aが層状に存在している。金属材料13の析出が進行すると、隣り合う微小粒子13aどうしが結合して更に大きな粒子となり、更に析出が進行すると、該粒子どうしが結合して活物質の粒子12aの表面を連続的に被覆するようになる。
浸透めっきは、塗膜15の厚み方向全域に金属材料13が析出した時点で終了させる。このようにして、図2(d)に示すように、目的とする負極が得られる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
厚さ18μmの電解銅箔からなる集電体を室温で30秒間酸洗浄した。処理後、15秒間純水洗浄した。集電体上にSiの粒子を含むスラリーを膜厚15μmになるように塗布し塗膜を形成した。スラリーの組成は、粒子:スチレンブタジエンラバー(結着剤):アセチレンブラック=100:1.7:2(重量比)であった。Siの粒子の平均粒径D50は2μmであった。平均粒径D50は、日機装(株)製のマイクロトラック粒度分布測定装置(No.9320−X100)を使用して測定した。
塗膜が形成された集電体を、以下の浴組成を有するピロリン酸銅浴に浸漬させ、電解により、塗膜に対して銅の浸透めっきを行い、活物質層を形成した。電解の条件は以下の通りとした。陽極にはDSEを用いた。電源は直流電源を用いた。
・ピロリン酸銅三水和物:105g/l
・ピロリン酸カリウム:450g/l
・硝酸カリウム:30g/l
・P比:7.7
・浴温度:50℃
・電流密度:3A/dm2
・pH:25重量%アンモニア水15g/lと、10重量%ポリリン酸を添加してpH8.2になるように調整した。
浸透めっきは、塗膜の厚み方向全域にわたって銅が析出した時点で終了させた。このようにして目的とする負極を得た。活物質層の縦断面のSEM観察によって、該活物質層においては、活物質の粒子は平均厚み300nmの銅の被膜で被覆されていたことを確認した。また銅の結晶子の大きさは平均で150nmであることを確認した。更に、上述の方法で測定した活物質層の空隙率は28%であった。
得られた負極を用いてリチウム二次電池を製造した。正極としてはLiCo1/3Ni1/3Mn1/32を用いた。電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの1:1体積%混合溶媒に1mol/lのLiPF6を溶解した溶液に対して、ビニレンカーボネートを2体積%外添したものを用いた。セパレータとしては、20μm厚のポリプロピレン製多孔質フィルムを用いた。
〔比較例1〕
浸透めっきの浴としてピロリン酸銅浴を用いることに代えて、以下の組成を有する硫酸銅の浴を用いた。電流密度は5A/dm2、浴温は40℃であった。陽極にはDSE電極を用いた。電源は直流電源を用いた。これ以外は実施例1と同様にして二次電池を得た。
・CuSO4・5H2O 250g/l
・H2SO4 70g/l
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた電池について、100サイクルまでの容量維持率を測定した。容量維持率は、各サイクル目の放電容量を測定し、それらの値を初期放電容量で除し、100を乗じて算出した。充電条件は0.5C、4.2Vで、定電流・定電圧とした。放電条件は0.5C、2.7Vで、定電流とした。但し、1サイクル目は0.05Cとし、2〜4サイクル目は0.1C、5〜7サイクル目は0.5C、8〜10サイクル目は1Cとした。その結果、実施例の電池の容量維持率は90%であったのに対し、比較例の電池の容量維持率は68%であった。
これとは別に、実施例で得られた電池について、50%の充放電を繰り返し行ったときの負極活物質層の状態をSEM観察した。充放電の条件は、充電終止電圧4.2V、放電終止電圧2.7V、充放電レート0.2Cとした。観察は、5サイクル目、50サイクル目及び150サイクル目とした。その結果を図3に示す。また、比較例で得られた電池について、初回充電前及び30サイクル目の負極活物質層の状態をSEM観察した。その結果を図4に示す。
図3に示すSEM像から明らかなように、実施例の電池は、充放電のサイクルを繰り返すことで、活物質層の微粉化が進行することが判る。具体的には、図3(a)に示す5サイクル目では、Siの粒子の周囲に銅の結晶子が多数形成されており、該結晶子は隣接する結晶子と密着状態でつながって集合体を構成している。図3(b)に示す50サイクル目では、Si粒子の微粉化が進行していることが判る。一方、図3(a)においてはつながっていた銅の結晶子が部分的に切断されて、やはり微粉化が進行していることが判る。図3(c)に示す150サイクル目では、Si粒子の微粉化が一層進行していることが判る。一方、銅の結晶子はほぼ切断されて個々の結晶子の状態になり、微粉化したSi粒子と混合状態になっていることが判る。
これに対して比較例の電池では、図4(a)に示すように初回充電前Siの粒子間が銅でほぼ満たされていることが判る。また図4(b)に示す30サイクル目では、既に微粉化が進行していないことが判る。即ち30サイクル目以降では、活物質の粒子の微粉化に起因して電極全体の導電性が失われ、容量が低下したものと推察される。留意すべきは、活物質層のうち、集電体に近い部位の状態は、初回充電前の状態から殆ど変化していないことである。このことは、比較例では、負極活物質層のうち表面から遠い部位に存在する活物質は電極反応に利用されていないことを意味している。
本発明の非水電解液二次電池における負極活物質層の要部を拡大して示す模式図である。 本発明の非水電解液二次電池における負極活物質層の製造方法を示す工程図である。 実施例の電池における負極活物質層のSEM像である。 比較例の電池における負極活物質層のSEM像である。
符号の説明
10 非水電解液二次電池用負極
11 集電体
12 活物質層
12a 活物質の粒子
13 導電性付与成分
15 塗膜

Claims (6)

  1. 正極、負極及びこれらの間に介在配置されたセパレータを有し、該負極が活物質の粒子及び導電性付与成分を含む活物質層を備えた非水電解液二次電池において、
    前記活物質層は、前記電池に対して電池容量の50%以上の充放電を少なくとも5回行った後、更に充放電を繰り返し行ったときに、前記活物質層に含まれる前記導電性付与成分が、充放電の繰り返しにより漸次微粉化していく構造となっていることを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 前記活物質層に含まれる前記活物質の粒子も、充放電の繰り返しにより漸次微粉化していく構造となっている請求項1記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記活物質層が、リチウムイオンの吸蔵放出によって体積変化を生じる材料からなる前記粒子と、該粒子の表面に位置し且つリチウム化合物の形成能の低い金属材料からなる前記導電性付与成分の被覆とを含み、
    前記被覆が、平均粒径が0.01〜1μmである前記金属材料の結晶子の集合体からなる構造となっている請求項1又は2記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記金属材料が、前記活物質層の厚み方向全域にわたって前記活物質の粒子の表面に存在している請求項1ないし3の何れかに記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記粒子が、シリコンを含み且つリチウムイオンの吸蔵放出可能な材料からなり、
    前記被覆が、光沢剤を含む銅めっき浴を用いた電解めっきによって形成されている請求項3又は4記載の非水電解液二次電池。
  6. 前記光沢剤がアンモニアであり、前記銅めっき浴がピロリン酸銅浴である請求項5記載の非水電解液二次電池。
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