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JP2007217671A - 記録用インク、並びにインクメディアセット、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

記録用インク、並びにインクメディアセット、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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JP2007217671A
JP2007217671A JP2007006668A JP2007006668A JP2007217671A JP 2007217671 A JP2007217671 A JP 2007217671A JP 2007006668 A JP2007006668 A JP 2007006668A JP 2007006668 A JP2007006668 A JP 2007006668A JP 2007217671 A JP2007217671 A JP 2007217671A
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JP2007006668A
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Tamotsu Ariga
保 有賀
Masayuki Koyano
正行 小谷野
Akihiko Matsuyama
彰彦 松山
Hisafumi Habashi
尚史 羽橋
Hiroshi Goto
寛 後藤
Susumu Oshima
享 大嶋
Naoya Morohoshi
直哉 諸星
Kiyofumi Nagai
希世文 永井
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Abstract

【課題】普通紙に印字すると、高画像濃度であり、裏面濃度が低く、発色性の良好な、にじみのない画像が得られ、また平滑で水分吸収能力の小さな印刷用紙においても、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い画像が得られる記録用インク、並びにインクメディアセット、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法の提供。
【解決手段】着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分、水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分及び水を少なくとも含有し、前記液体成分の記録用インクにおける合計含有量が20質量%以下である記録用インクを使用することにより、平滑で水分吸収能力の小さな記録用メディアと組み合わせても、乾燥速度に関する問題を解消することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録に好適な記録用インク、並びに該記録用インクを用いたインクメディアセット、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、インクの小液滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。このインクジェット記録方法に用いるインクとしては、一般に、各種の染料や顔料の着色剤を水、又は水と高沸点有機溶剤とに溶解乃至分散させ、更に、保湿性を維持するため高沸点有機溶剤からなる湿潤剤を多く含有させたものを用いている。このような高沸点有機溶剤からなる湿潤剤は、その保水能力からノズルの乾燥防止に寄与する。しかし、浸透速度の速い紙、例えば、普通紙に印字する際には、湿潤剤が蒸発しにくいため、裏抜けが多くなるという欠点がある。
一方、印刷用のオフセットコート紙などの、水吸収能力の小さな紙では湿潤剤が蒸発しにくいため、乾燥に多くの時間がかかり実用的でない。
そこで、印刷用紙でも乾燥が速く、画像濃度も高く、普通紙においても高画質であり、しかも長期停止時においてもノズルの目詰まりの生じないインクジェット記録方法の提供が望まれている。
例えば、特許文献1には、湿潤剤の含有量を極端に少なくしたインクジェットインクが提案されている。この提案によれば、普通紙を用いても裏抜けのない高画像濃度の画質が得られる。しかし、この提案では、インク中に樹脂が含まれていないため、特に、顔料インクを使用する場合には、画像の定着性が劣るものである。また、オフセットコート紙へ印字する際の乾燥速度の向上については開示も示唆もされていない。
また、特許文献2には、速乾性の染料インクについて提案されている。しかし、この提案の実施例では、湿潤剤が15質量%以上と多く含まれており、樹脂の添加がなく、紙も上質紙を用いており、極めて吸水しにくい印刷用塗工紙は対象としていない。
また、特許文献3には、通電発熱方式のインクジェットに関する速乾性インクが提案されている。しかし、この提案でも、樹脂の添加がなく、電解質をかなり多く含み、画像の定着性に劣り、また、ピエゾ方式のインクジェットとは本質的に異なる飛翔方式を採用しているものである。
また、特許文献4及び特許文献5には、マイクロカプセル型顔料と印刷用紙との組み合わせについて提案されている。しかし、これらの提案では、通常のインク組成であるため、乾燥性を向上させるためには、マイクロ波による加熱が必要となる。
また、特許文献6には、ワックス微粒子と樹脂微粒子を含むインクが提案されている。この提案では、ワックス微粒子はその湿潤性を付与できる点から湿潤剤の代わりに用いられている。しかし、前記湿潤性のあるワックスは定着や乾燥の点で劣る傾向がある。
また、特許文献7では、樹脂エマルジョンと高分子分散剤と顔料とを含むインクが提案されている。この提案のインクでは、湿潤剤の含有量は少ないが、全固形分濃度が少ないため、十分な画像濃度や発色が得られないという問題がある。
したがって普通紙に印字すると、高画像濃度であり、裏面濃度が低く、発色のよい、にじみのない画像が得られ、また平滑で水分吸収能力の小さな印刷用紙においても、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い画像が得られる記録用インク、及び該記録用インクを用い、長期停止時においてもノズルの目詰まりの生じないインクジェット記録方法などについては、未だ充分満足できる性能を有するものは提供されていないのが現状である。
特開2004−115551号公報 特開昭60−34992号公報 特開平8−109343号公報 特開2002−67473号公報 特開2002−69346号公報 特開2002−301857号公報 特開平6−171072号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、普通紙に印字すると、高画像濃度であり、裏面濃度が低く、発色性の良好な、にじみのない画像が得られ、また、平滑で水分吸収能力の小さな印刷用紙に印字しても、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い画像が得られる記録用インク、並びに該記録用インクを用いたインクメディアセット、インクカートリッジ、インク記録物、長期停止時においてもノズルの目詰まりの生じないインクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分、水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分、及び水を少なくとも含有する記録用インクにおいて、
前記液体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以下であり、
前記固体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以上であり、かつ該固体成分における樹脂成分の合計含有量が前記固体成分の全量に対し、40〜95質量%であることを特徴とする記録用インクである。
<2> 樹脂が、樹脂微粒子を含有する前記<1>に記載の記録用インクである。
<3> 樹脂微粒子がアクリルシリコーン樹脂を含み、かつ該アクリルシリコーン樹脂のガラス転移温度が25℃以下である前記<2>に記載の記録用インクである。
<4> 樹脂微粒子の体積平均粒径が10〜1,000nmである前記<2>から<3>のいずれかに記載の記録用インクである。
<5> 着色剤が、ポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン型の顔料である前記<1>から<4>のいずれかに記載の記録用インクである。
<6> 着色剤が、アニオン性親水基を有する顔料である前記<1>から<4>のいずれかに記載の記録用インクである。
<7> 液体成分が湿潤剤を含有し、かつ該湿潤剤が、グリセリン、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、及び2−ピロリドンから選択される少なくとも1種である前記<1>から<6>のいずれかに記載の記録用インクである。
<8> 液体成分が浸透剤を含有し、かつ該浸透剤が、炭素数8〜11のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物の少なくともいずれかである前記<1>から<7>のいずれかに記載の記録用インクである。
<9> 液体成分が界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤がフッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤から選択される少なくとも1種である前記<1>から<8>のいずれかに記載の記録用インクである。
<10> フッ素系界面活性剤における、フッ素置換炭素数が2〜16である前記<9>に記載の記録用インクである。
<11> シリコーン系界面活性剤が、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤である前記<9>から<10>のいずれかに記載の記録用インクである。
<12> 25℃での表面張力が、35mN/m以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載の記録用インクである。
<13> 記録用インクと、記録用メディアとからなるインクメディアセットにおいて、前記記録用インクが、着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分、水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分、及び水を少なくとも含有し、該液体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以下であり、
前記記録用メディアが、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有し、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mであることを特徴とするインクメディアセットである。
<14> 樹脂が、樹脂微粒子を含有する前記<13>に記載のインクメディアセットである。
<15> 樹脂微粒子がアクリルシリコーン樹脂を含み、かつ該アクリルシリコーン樹脂のガラス転移温度が25℃以下である前記<14>に記載のインクメディアセットである。
<16> 樹脂微粒子の体積平均粒径が10〜1,000nmである前記<14>から<15>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<17> 着色剤が、ポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン型の顔料である前記<13>から<16>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<18> 着色剤が、アニオン性親水基を有する顔料である前記<13>から<17>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<19> 液体成分が湿潤剤を含有し、かつ該湿潤剤が、グリセリン、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、及び2−ピロリドンから選択される少なくとも1種である前記<13>から<18>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<20> 液体成分が浸透剤を含有し、かつ該浸透剤が、炭素数8〜11のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物の少なくともいずれかである前記<13>から<19>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<21> 液体成分が界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤がフッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤から選択される少なくとも1種である前記<13>から<20>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<22> フッ素系界面活性剤における、フッ素置換炭素数が2〜16である前記<21>に記載のインクメディアセットである。
<23> シリコーン系界面活性剤が、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤である前記<21>から<22>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<24> 25℃での表面張力が、35mN/m以下である前記<13>から<23>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<25> 記録用インクと、記録用メディアとからなるインクメディアセットにおいて、前記記録用インクが、ポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン型の顔料、水分散性樹脂微粒子、及び湿潤剤を少なくとも含有してなり、前記ポリマーエマルジョン型の顔料と前記水分散性樹脂微粒子との合計固形分量が20質量%以上であり、かつ前記湿潤剤の含有量が20質量%以上であり、
前記記録用メディアが、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mであることを特徴とするインクメディアセットである。
<26> 記録用インクと、記録用メディアとからなるインクメディアセットにおいて、前記記録用インクが、着色剤、水分散性樹脂、及び湿潤剤を少なくとも含有してなり、該記録用インクにおける固形分の合計含有量が20質量%以上であり、前記湿潤剤の含有量が20質量%以上であり、該湿潤剤がグリセリン単独であるか、又はグリセリンの前記湿潤剤における含有量が80質量%以上であり、
前記記録用メディアが、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mであることを特徴とするインクメディアセットである。
<27> 前記<1>から<12>のいずれかに記載の記録用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<28> (1)水からなる液媒体、(2)水を主成分とする液媒体、(3)水と水よりも高沸点の25℃で液体である液体成分を主成分とする液媒体、及び(4)記録用インクと同じ成分からなり該記録用インクよりも25℃で固体である固体成分の含有量が少ない液媒体から選択される少なくとも1種であることを特徴とする保湿液である。
<29> 前記<1>から<12>のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<30> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<29>に記載のインクジェット記録方法である。
<31> 長期間インクジェット記録を停止する際には、記録用インクを前記<28>に記載の保湿液で置換し、インクジェット記録を再開する際には、前記保湿液を前記記録用インクで置換することを特徴とするインクジェット記録方法である。
<32> 長期間インクジェット記録を停止する際には、記録ヘッドのノズル部を覆蓋する覆蓋手段に前記<28>に記載の保湿液を供給することを特徴とするインクジェット記録方法である。
<33> インクメディアセットにおける記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディア上に画像を記録するインク飛翔工程と、前記記録用メディア上に記録された画像を乾燥する乾燥工程とを少なくとも含むインクジェット記録方法であって、
前記インクメディアセットが、前記<25>から<26>のいずれかに記載のインクメディアセットであることを特徴とするインクジェット記録方法である。
<34> 前記<1>から<12>のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<35> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<34>に記載のインクジェット記録装置である。
<36> 記録用メディア上に前記<1>から<12>のいずれかに記載の記録用インクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
<37> 記録用メディアが、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有してなり、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mである前記<36>に記載のインク記録物である。
本発明の記録用インクは、着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分、水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分、及び水を少なくとも含有してなり、
前記液体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以下であり、
前記固体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以上であり、かつ該固体成分における樹脂成分の合計含有量が前記固体成分の全量に対し、40〜95質量%である。
本発明の記録用インクにおいては、前記固体成分における樹脂成分の合計含有量が、前記固体成分の全量に対し、40〜95質量%であることによって、着色剤の定着性及び光沢性が向上し、特に、普通紙に印字すると、高画像濃度であり、裏面濃度が低く、発色性の良好な、にじみのない画像が得られる。また、前記液体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以下であることによって、インクの乾燥時間を短くでき、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙に印字すると、乾燥速度が向上し、鮮明で印刷物に近い光沢のある優れた画像が得られる。また、前記固体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以上であることにより、水を吸収しにくい印刷用紙であっても乾燥が速く、普通紙でも裏抜けの少ない高色調の画像が得られる。
本発明のインクメディアセットは、第1形態では、記録用インクと、記録用メディアとからなり、
前記記録用インクが、着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分、水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分、及び水を少なくとも含有し、該液体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以下であり、
前記記録用メディアが、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有し、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mである。
本発明の第1形態にかかるインクディアセットにおいては、水吸収能力の小さな記録用メディアと、水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分が少ない記録用インクとを組み合わせることにより、乾燥が速く、光沢感があり、ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像を記録することができる。
この場合、前記第1形態に係るインクメディアセットにおいて、記録用インクにおける固体成分の合計含有量が20質量%以上であり、かつ固体成分における樹脂成分の含有量が40〜95質量%という要件は、定着性、及び乾燥性などへの補助的な効果を有するが、必ずしも必要条件ではなく、前記液体成分量が20質量%以下であれば、上記記載した記録用メディアのような水吸収能力の低い記録用メディアを用いても乾燥性の向上が図れる。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記記録用インクを容器中に収容してなる。該インクカートリッジは、インクジェット記録方式によるプリンタ等に好適に使用される。該インクカートリッジに収容されたインクを用いて記録を行うと、普通紙に印字すると、高画像濃度であり、裏面濃度が低く、発色のよい、にじみのない画像が得られ、また、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙に印字すると、乾燥速度が向上し、鮮明で印刷物に近い画像記録が行える。
本発明のインクジェット記録装置は、本発明の前記記録用インクにエネルギーを印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有してなる。該インクジェット記録装置においては、前記インク飛翔手段が、本発明の前記記録用インクにエネルギーを印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録する。その結果、普通紙に印字すると、高画像濃度であり、裏面濃度が低く、発色性の良好な、にじみのない画像が得られ、また、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙に印字すると、乾燥速度が向上し、鮮明で印刷物に近い画像が得られる。
本発明のインクジェット記録方法は、第1形態では、本発明の前記記録用インクにエネルギーを印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含んでなる。該インクジェット記録方法においては、前記インク飛翔工程において、本発明の前記記録用インクにエネルギーを印加し、該記録用インクを飛翔させて画像が記録される。その結果、普通紙に印字すると、高画像濃度であり、裏面濃度が低く、発色のよい、にじみのない画像が得られ、また、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙に印字すると、乾燥速度が向上し、鮮明で印刷物に近い画像が得られる。
本発明の保湿液は、(1)水からなる液媒体、(2)水を主成分とする液媒体、(3)水と水よりも高沸点の25℃で液体である液体成分を主成分とする液媒体、及び(4)記録用インクと同じ成分からなり該記録用インクよりも25℃で固体である固体成分の含有量が少ない液媒体から選択される少なくとも1種である。
前記(4)の記録用インクは、インクジェット記録に普通に用いられるインクである。
本発明のインクジェット記録方法は、第2形態では、長期間インクジェット記録を停止する際には、本発明の前記保湿液で記録用インクを置換し、インクジェット記録を再開する際には、前記保湿液を前記記録用インクで置換する。
前記記録用インクは、インクジェット記録に普通に用いられるインクである。
本発明のインクジェット記録方法は、第3形態では、長期間インクジェット記録を停止する際には、記録ヘッドのノズル部を覆蓋する覆蓋手段に、本発明の前記保湿液を供給する。
本発明の第2及び第3形態のいずれかに係るインクジェット記録方法においては、長期間停止時においてもノズルの目詰まりの生じないものである。
ここで、前記「長期間停止時」とは、ノズル部を覆蓋手段で覆蓋(キャップ)した状態で1日以上停止した状態で放置したことを意味する。
本発明のインクメディアセットは、第2形態では、記録用インクと、記録用メディアとからなり、
前記記録用インクが、ポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン型の顔料、水分散性樹脂微粒子、及び湿潤剤を少なくとも含有してなり、前記ポリマーエマルジョン型の顔料と前記水分散性樹脂微粒子との合計固形分量が20質量%以上であり、かつ前記湿潤剤の含有量が20質量%以上であり、
前記記録用メディアが、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mである。
本発明のインクメディアセットは、第3形態では、記録用インクと、記録用メディアとからなり、
前記記録用インクが、着色剤、水分散性樹脂、及び湿潤剤を少なくとも含有してなり、該記録用インクにおける固形分の合計含有量が20質量%以上であり、前記湿潤剤の含有量が20質量%以上であり、該湿潤剤がグリセリン単独であるか、又はグリセリンの前記湿潤剤における含有量が80質量%以上であり、
前記記録用メディアが、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mである。
本発明のインクジェット記録方法は、第4形態では、インクメディアセットにおける記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディア上に画像を記録するインク飛翔工程と、前記記録用メディア上に記録された画像を乾燥する乾燥工程とを少なくとも含み、
前記インクメディアセットが、本発明の第2形態及び第3形態のいずれかに記載のインクメディアセットである。
本発明の第2形態及び第3形態のいずれかに記載のインクメディアセットにおける記録用インクは、湿潤剤の含有量が20質量%以上であるため、長期間ノズル放置後の噴射信頼性に優れている。しかし、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mである記録用メディアではインクの吸収速度が遅いため、湿潤剤の含有量が多いと記録後の画像の乾燥速度が遅くなる。この点については、本発明の第4形態に係るインクジェット記録方法において、強制的な乾燥工程を行うことにより対応することができる。
また、前記記録用インクにおいて固形分量を20質量%以上と多くしているのは着色剤を記録用メディア上に残して画像濃度を高くするためである。固形分量がこのように多いと信頼性が悪化するため、湿潤剤の含有量を多くするだけでなく、固形分量が多くても比較的信頼性の高いポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン型の顔料を着色剤として使用する。また、固形分量が多いことは蒸発成分が少ないため乾燥性の改良にも寄与すると思われる。
また、湿潤剤としてのグリセリンの含有量を多くすると、グリセリンが他の湿潤剤に比べ平衡水分量が極めて高く、水分蒸発速度を抑制可能であるため、インク乾燥後のインクの凝固の抑制が可能である。なお、同じ量の湿潤剤を入れても、グリセリンは他の溶媒に比べインクの粘度をそれほど増加させないという利点がある。
本発明のインク記録物は、記録用メディア上に本発明の前記記録用インクを用いて形成された画像を有してなる。本発明のインク記録物においては、普通紙に印字すると、高画像濃度であり、裏面濃度が低く、発色のよい、にじみのない画像が得られ、また、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙に印字すると、乾燥速度が向上し、鮮明で印刷物に近い画像が前記記録用メディアに保持される。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、普通紙に印字すると、高画像濃度であり、裏面濃度が低く、発色性の良好な、にじみのない画像が得られ、また、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙に印字しても、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い画像が得られる記録用インク、並びに該記録用インクを用いたインクメディアセット、インクカートリッジ、インク記録物、長期停止時においてもノズルの目詰まりの生じないインクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
(記録用インク)
本発明の記録用インクは、着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分、水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分、及び水を少なくとも含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分>
前記水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分としては、大部分が所謂湿潤剤と呼ばれる高沸点水溶性有機溶剤であり、浸透剤、界面活性剤などのインク物性の制御剤も該当する。
本発明において、前記「水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分の合計含有量」とは、具体的には、湿潤剤、浸透剤、及び界面活性剤の合計量を示す。
前記水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以下であり、15質量%以下が好ましく、場合によって0質量%(無添加)であっても構わない。前記水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分の含有量が少ないほど、インクの乾燥時間は短くなるが、ノズルの乾燥による目つまり防止のためには、より厳しい管理が必要となる。また、前記湿潤剤及び前記浸透剤の添加量が少ないインクはオフセットコート紙等の水を吸収し難い紙であっても、乾燥が速やかに進行し、光沢のある優れた画像が得られる。ただし、界面活性剤が全く添加されていない高表面張力のインクの場合には、浸透がおそすぎて、乾燥が遅くなることがある。
前記含有量が20質量%を超えると、オフセットコート紙等の印刷用塗工紙での乾燥速度が低下し、普通紙での裏抜けが増加することがある。ただし、あくまでも相対的なもので液体成分のうち、水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分の量が相対的に少ないほど乾燥性は向上する。
ここで、前記水よりも高沸点の25℃で液体である成分としては、水よりも沸点の高い水溶性有機溶剤であれば特に制限なく、すべて含まれる。また、浸透剤、界面活性剤なども水よりも高沸点の25℃で液体であれば含まれる。要するに、水よりも乾燥しにくい液体の量をなるべく少なくして印刷用紙のような吸水能力の少ない紙でも乾燥時間を短くすることを目的としている。一般には、インクジェットの紙への印刷の乾燥性は浸透乾燥であり、インク蒸発の寄与は少ないと考えられていたが、今回の結果は比較的短時間の乾燥においても蒸発の寄与があることを示唆する結果となったが、その詳細については不明であるが推定機構については後述する。なお、このような水吸収能力の低いオフセット用紙の場合には、浸透性の低い高表面張力のインクは低表面張力のインクに比べて乾燥が遅くなる。本発明において湿潤剤量の乾燥時間への寄与が顕著に効いてくるのは単位面積当たりのインク付着量が比較的多い場合であると考えられる。
−湿潤剤(高沸点水溶性有機溶剤)−
前記水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分の代表である、所謂湿潤剤としては、25℃で液体であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。
前記多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオールなどが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタムなどが挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、チオジグリコールなどが挙げられる。
これらの中でも、インクの噴射安定性の点から、グリセリン、2−ピロリドン、ジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオールが好ましく、これらの中でも、グリセリン、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−ピロリドンが特に好ましい。
前記湿潤剤を主成分とした水よりも高沸点の25℃で液体である液体成分の合計含有量を20質量%以下、好ましくは15質量%以下とすることにより、乾燥性を向上させることができる。更に必要に応じて添加する、25℃で液体である水、湿潤剤以外の成分としては、以下に述べる浸透剤、界面活性剤がある。ここで、25℃で液体とは、通常インクジェット記録の使用環境である常温、常圧(25℃、1気圧)で液体の意味である。ただし、湿潤剤以外の成分の添加量は少ないので水よりも高沸点の25℃で液体である液体成分の合計量は湿潤剤量と近似しても殆ど変わらない。
−浸透剤−
前記浸透剤としては、水よりも高沸点であり、25℃で液体であれば本発明の前記水よりも高沸点の25℃で液体である液体成分に含めて計算する。なお、上述したように浸透剤の添加量が少ない場合には、計算上省略してもよい。
前記浸透剤としては、炭素数8〜11のポリオール化合物、又はグリコールエーテル化合物が用いられる。これらのポリオール化合物及びグリコールエーテル化合物の少なくともいずれかは、紙への浸透速度を速めると共にブリードを防止する効果を有し、25℃の水中において0.1〜4.5質量%の溶解度を有する部分的に水溶性の化合物である。
前記炭素数8〜11のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
前記グリコールエーテル化合物としては、例えば、多価アルコールアルキルエーテル化合物、多価アルコールアリールエーテル化合物などが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記水よりも高沸点の25℃で液体である液体成分としての浸透剤の前記記録用インクにおける含有量は、0〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。ただし、水よりも高沸点の25℃で液体である液体成分の合計含有量は20質量%以下であり、15質量%以下が好ましい。
−界面活性剤−
前記界面活性剤は、上述したように、必要に応じて添加され、水よりも高沸点であり、25℃で液体であれば本発明の前記水よりも高沸点の25℃で液体である液体成分に含めて計算する。なお、上述したように界面活性剤の添加量が少ない場合には、計算上省略してもよい。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、着色剤の種類や湿潤剤、浸透剤などの組合せによって、分散安定性を損なわない界面活性剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、特に、印刷用紙に印刷する場合には、表面張力が低く、レベリング性の高いものが好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、フッ素系界面活性剤が特に好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素が置換した炭素数が2〜16が好ましく、4〜16がより好ましい。前記フッ素置換炭素数が2未満であると、フッ素の効果が得られないことがあり、16を超えると、インク保存性などの問題が生じることがある。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、特に好ましい。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);Zonyl TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス製);PF−151N(オムノバ社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW及びオムノバ社製のPF−151Nが特に好ましい。
前記フッ素系界面活性剤の具体例としては、下記構造式で表されるものが好適である。
(1)アニオン性フッ素系界面活性剤
ただし、前記構造式中、Rfは、下記構造式で表されるフッ素含有疎水基の混合物を表す。Aは、−SOX、−COOX、又は−POX(ただし、Xは対アニオンであり、具体的には、水素原子、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、又はNH(CHCHOH)が挙げられる)を表す。
ただし、前記構造式中、Rf’は下記構造式で表されるフッ素含有基を表す。Xは、上記と同じ意味を表す。nは1又は2の整数、mは2−nを表す。
ただし、前記構造式中、nは3〜10の整数を表す。
ただし、前記構造式中、Rf’及びXは、上記と同じ意味を表す。
ただし、前記構造式中、Rf’及びXは、上記と同じ意味を表す。
(2)ノニオン性フッ素系界面活性剤
ただし、前記構造式中、Rfは上記と同じ意味を表す。nは5〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式中、Rf’は上記と同じ意味を表す。nは1〜40の整数を表す。
(3)両性フッ素系界面活性剤
ただし、前記構造式中、Rfは、上記と同じ意味を表す。
(4)オリゴマー型フッ素系界面活性剤
ただし、前記構造式中、Rf”は、下記構造式で表されるフッ素含有基を表す。nは0〜10の整数を表す。Xは、上記と同じ意味を表す。
ただし、前記構造式中、nは1〜4の整数を表す。
ただし、前記構造式中、Rf”は、上記と同じ意味を表す。lは0〜10の整数、mは0〜10の整数、nは0〜10の整数をそれぞれ表す。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越シリコーン株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社などから容易に入手できる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式で表されるポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物、などが挙げられる。
ただし、前記構造式中、m、n、a、及びbは整数を表す。R及びR’は、それぞれアルキル基、アルキレン基を表す。
前記ポリエーテル変性シリコーン化合物としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF643(いずれも、信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
また、前記フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤以外にも、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができる。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
前記アセチレングリコール系の界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。該アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品として、例えば、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなどが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン等が挙げられる。
このような界面活性剤としては、市販品として日光ケミカルズ株式会社、日本エマルジョン株式会社、日本触媒株式会社、東邦化学株式会社、花王株式会社、アデカ株式会社、ライオン株式会社、青木油脂株式会社、三洋化成工業株式会社などから容易に入手できる。
前記界面活性剤は、これらに限定されるものではなく、単独で用いても、複数のものを混合して用いてもよい。単独では記録用インク中で容易に溶解しない場合も、混合することで可溶化され、安定に存在することができる。
これら界面活性剤の中でも、下記構造式(1)〜(5)で示されるものが好適である。
−O−(CHCHO)−R ・・・構造式(1)
ただし、前記構造式(1)中、Rは、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基、又は炭素数6〜14の分岐していてもよいパーフルオロアルキル基を表す。Rは、水素原子、又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、5〜20の整数を表す。
−COO−(CHCHO)−R ・・・構造式(2)
ただし、前記構造式(2)中、Rは、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基を表す。Rは、水素原子、又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、5〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式(3)中、Rは、炭化水素基を表し、例えば、分岐していてもよい炭素数6〜14のアルキル基などが挙げられる。kは5〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式(4)中、Rは、炭化水素基を表し、例えば、分岐していてもよい炭素数6〜14のアルキル基を表す。Lは5〜10、pは5〜20の整数を表す。プロピレングリコール鎖、及びエチレングリコール鎖は、ブロック重合又はランダム重合していてもよい。
ただし、前記構造式(5)中、q及びrは、それぞれ5〜20の整数を表す。
前記界面活性剤の前記記録用インク中における含有量は、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。ただし、水よりも高沸点の25℃で液体である液体成分の合計含有量は20質量%以下であり、15質量%以下が好ましい。
前記含有量が0.01質量%未満であると、界面活性剤を添加した効果が無くなることがあり、3.0質量%を超えると、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
<着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分>
前記固体成分における樹脂成分の合計含有量は、前記着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分に対し、40質量%以上であり、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。また、95質量%以下が好ましい。前記含有量が40質量%未満であると、着色剤の定着性及び光沢感が劣ることがある。一方、画像濃度をある程度高くするためには、前記着色剤の含有量は前記固体成分の全量に対して、5質量%以上必要である。
このように固体成分のうち樹脂成分の含有量を多くしたのは、定着性、画像鮮明性、光沢性を向上させるためである。
ここで、前記樹脂成分とは、発色団を有する着色剤分子以外の高分子固体成分を意味し、着色剤を包んでいたり、着色剤を分散させている樹脂も含まれる。また、必要に応じて添加される樹脂エマルジョンも勿論含まれる。即ち、「前記固体成分における樹脂成分の合計含有量が前記固体成分の全量に対し」において、「樹脂成分の合計含有量を計算する場合」には、着色剤中の発色団を有する着色剤分子(例えば顔料分子)を包んでいたり、着色剤を分散させる樹脂も樹脂成分の量に含める。
なお、25℃で固体とは、通常インクジェット印刷の使用環境である常温、常圧(25℃、1気圧)で固体の意味である。
本発明において、前記「着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分の合計含有量」とは、着色剤、及び樹脂の合計量を表す。
−樹脂−
前記樹脂としては、25℃で固体であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂の添加量を多くできる点から樹脂微粒子が好ましい。
前記樹脂微粒子は、連続相としての水中に分散した樹脂エマルジョンとして存在しているものがインク製造時に使用される。樹脂エマルジョン中には必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有しても構わない。
前記分散相成分としての樹脂微粒子の含有量(樹脂エマルジョン溶液中の樹脂微粒子の含有量:製造後の記録用インク中の含有量ではない)は、一般的には10〜70質量%が好ましい。
また、前記樹脂微粒子の粒径は、特にインクジェット記録装置に使用することを考慮すると、体積平均粒径10〜1,000nmが好ましく、100〜300nmがより好ましい。これは樹脂エマルジョン中での粒径であるが、安定な記録用インクの場合、樹脂エマルジョン中の粒径と記録用インク中の樹脂微粒子粒径には大きな違いはない。前記体積平均粒径が大きいほどエマルジョンの添加量を多くすることができる。前記体積平均粒径が100nm未満であると、エマルジョンの添加量を多くすることができないことがあり、300nmを超えると、信頼性が低下することがある。ただし、必ずしもこれ以外の範囲の粒径のエマルジョンでも使用できないことはない。これらはエマルジョン種によらず一般的傾向である。
ここで、前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
具体的には、エマルジョン水溶液を信号レベル最適範囲内に希釈し、transparency-YES,仮にReflactive Index1.49, Partial Density1.19,Spherical Particles-YES,媒体-水の条件で測定する。ここでは、50%の値を体積平均粒径とした。
前記分散相の樹脂微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン‐ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
前記樹脂エマルジョンとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販の樹脂エマルジョンとしては、例えば、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製
)、プライマルAC−22、AC−61(アクリル系樹脂エマルジョン、ローム・アンド・ハース製)、ナノクリルSBCX−2821、3689(アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン、東洋インキ製造株式会社製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂エマルジョン、御国色素株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、定着性が良好である点からアクリルシリコーンエマルジョンが特に好ましい。
前記アクリルシリコーンエマルジョンにおける樹脂成分のガラス転移温度は、25℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。前記ガラス転移温度が25℃を超えると、樹脂自体が脆くなり定着性悪化の要因となる。特に、平滑で水吸収し難い印刷用紙では、定着性の低下が現れることがある。ただし、ガラス転移温度が25℃以上でも必ずしも使用できないわけではない。
前記ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(理学電気株式会社製)を用いて測定することができる。
具体的には、樹脂エマルジョン水溶液の常温乾燥膜の樹脂片を理学電気示差走査熱量計で−50℃付近より昇温し、段差が発生する温度で求めた。
−着色剤−
前記着色剤としては、25℃で固体であれば特に制限はなく、顔料及び染料のいずれでも好適に用いることができる。
前記着色剤として顔料を用いると、耐光性に優れたインクを得ることができる。前記顔料としては、特に制限はなく、通常のインクジェット用の顔料が用いられるが、次に挙げるものが好ましい。
(1)顔料表面に親水基を付与した顔料
(2)ポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン型の顔料
(3)顔料を親水基を有する樹脂で被覆したマイクロカプセル型の顔料
前記(1)の顔料では、顔料の表面に少なくとも1種の親水基が直接もしくは他の原子団を介して結合するように表面改質されたものである。該表面改質は、顔料の表面に、ある特定の官能基(スルホン基やカルボキシル基等の官能基)を化学的に結合させるか、あるいは、次亜ハロゲン酸又はその塩の少なくともいずれかを用いて湿式酸化処理するなどの方法が用いられる。これらの中でも、顔料の表面にカルボキシル基が結合され、水中に分散している形態が特に好ましい。このように顔料が表面改質され、カルボキシル基が結合しているため、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られるとともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上する。
また、この形態のインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず、簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行える。
前記自己分散型顔料の体積平均粒径は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
例えば、自己分散型カーボンブラックとしては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものやカチオン性に帯電したものが好適である。
前記アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SOM、−POHM、−PO、−SONH、−SONHCOR(ただし、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。Rは、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表す)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SOMがカラー顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
また、前記親水基中における「M」は、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、等が挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、例えば、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。前記アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法としては、カラー顔料表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられる。
前記カチオン性親水基としては、例えば、第4級アンモニウム基が好ましく、下記に挙げる第4級アンモニウム基がより好ましく、本発明においては、これらのいずれかがカーボンブラック表面に結合されたものが色材として好適である。
前記親水基が結合されたカチオン性の自己分散型カーボンブラックを製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式で表されるN−エチルピリジル基を結合させる方法として、カーボンブラックを3−アミノ−N−エチルピリジウムブロマイドで処理する方法が挙げられる。
前記親水基は、他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合されていてもよい。他の原子団としては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基が挙げられる。上記した親水基が他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合する場合の具体例としては、例えば、−CCOOM(ただし、Mは、アルカリ金属、又は第4級アンモニウムを表す)、−PhSOM(ただし、Phはフェニル基を表す。Mは、アルカリ金属、又は第4級アンモニウムを表す)、−C10NH 等が挙げられる。
前記(2)の顔料では、色材を含有したポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子中に顔料を封入したもの、及びポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させたものの少なくともいずれかを意味する。例えば、特開2001−139849号公報に記載されたものなどが挙げられる。
この場合、全ての顔料がポリマー微粒子中に封入及び/又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で該顔料がエマルジョン中に分散にしていてもよい。
前記「水不溶性又は水難溶性」とは、20℃で水100質量部に対し色材が10質量部以上溶解しないことを意味する。また、前記「溶解する」とは、目視で水溶液表層又は下層に色材の分離や沈降が認められないことを意味する。
前記ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマーが特に好ましい。
前記色材を含有させたポリマー微粒子(着色微粒子)の体積平均粒径は、前記インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
前記(2)の顔料を用いると、耐光性、定着性に優れたインクを得ることができる。
前記(3)の顔料は、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆し、該顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散するようにしたものであり、例えば、特開2002−67473号公報に記載されたものなどが挙げられる。
前記(3)の顔料を用いると、耐光性、定着性に優れたインクを得ることができる。
前記(2)及び(3)の顔料は、顔料と樹脂とが一体化したものであるという点では、類似したものと考えられ、本発明では、いずれも好適に用いることができる。
前記(1)、(2)、及び(3)の顔料は、本発明のインクの組成比にすると、乾燥性向上、高色調化が特に発揮される。
前記着色剤の発色成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料、有機顔料のいずれであってもよい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。なお、前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記顔料の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
前記カラー用のものとしては、黄色インク用では、例えばC.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、153、などが挙げられる。
マゼンタ用では、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、などが挙げられる。
シアン用では、例えばC.I.ピグメントブルー1、2、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63などが挙げられる。
また、中間色としてはレッド、グリーン、ブルー用として、C.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,37、C.I.ピグメントグリーン7,36などが挙げられる。
前記着色剤として染料を用いると、色調に優れたインクを得ることができる。前記染料としては、例えば、水溶性染料、油溶性染料、分散染料等が挙げられる。
前記水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料であり、好ましくは耐水、耐光性が優れたものが用いられる。
前記酸性染料及び食用染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142;C.I.アシッドレッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289;C.I.アシッドブルー 9,29,45,92,249;C.I.アシッドブラック 1,2,7,24,26,94;C.I.フードイエロー 3,4;C.I.フードレッド 7,9,14;C.I.フードブラック 1,2などが挙げられる。
前記直接性染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144;C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227;C.I.ダイレクトオレンジ 26,29,62,102;C.I.ダイレクトブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202;C.I.ダイレクトブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171などが挙げられる。
前記塩基性染料としては、例えば、C.I.べーシックイエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91;C.I.ベーシックレッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112;C.I.べーシックブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155;C.I.ベーシックブラック 2,8などが挙げられる。
前記反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラック 3,4,7,11,12,17;C.I.リアクティブイエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67;C.I.リアクティブレッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97;C.I.リアクティブブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95などが挙げられる。
前記固体成分の全量(例えば、樹脂と着色剤の合計量)における樹脂成分の含有量が40〜95質量%であり、70〜95質量%が好ましい。したがって前記着色剤の含有量は60質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。ここでの計算における樹脂成分の中には着色剤中の発色団を有する着色剤分子(例えば顔料分子)を包んだ樹脂も含まれる。即ち、全固形分=樹脂+着色剤のうちの、着色剤中の発色団を有する着色剤分子(例えば顔料分子)を包んだ樹脂も含めての全樹脂量の割合が40質量%以上であるという意味である。
前記固体成分の全量(樹脂と着色剤の固形分総量)は20質量%以上であり、20〜60質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。前記固形分量が60質量%を超えると、粘度も高くなり、現状の装置では印写が難しくなるが、本発明にように種々の維持対策を採ったことにより、使用できないことはない。ただし、にじみ防止のためには固形分はより多い方が好ましい。なお、後述するように湿潤剤量との組合せにより固形分量はあまり多くできない。一方、固形分全量が20質量%未満であると、湿潤剤量が少ないこととあわせて粘度が低くなりすぎ画像鮮明性に劣ることがある。
ただし、水吸収能力の低い記録用メディアへの記録に対して乾燥性を向上させるためには、記録用インク中の湿潤剤量を少なくすれることが効果的である。インク中の固形分量、樹脂比率は乾燥性の向上においては必ずしも必須条件でない。インク中の固形分量を多くすると信頼性が劣る場合もあるので、水吸収能力の小さい記録用メディアに記録する際、乾燥性、及び信頼性を重視する場合は、湿潤剤量(あるいは25℃で液体である成分量)を20質量%以下として、固形分量は10質量%付近にとどめることもできる。なお、乾燥性を向上させるためには湿潤剤量を10質量%以下にするとより効果的である。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤、比抵抗調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、粘度調整剤、などが挙げられる。
前記消泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点でシリコーン系消泡剤が好ましい。
前記シリコーン系消泡剤としては、例えば、オイル型シリコーン消泡剤、コンパウンド型シリコーン消泡剤、自己乳化型シリコーン消泡剤、エマルジョン型シリコーン消泡剤、変性シリコーン消泡剤、などが挙げられる。該変性シリコーン系消泡剤としては、例えば、アミノ変性シリコーン消泡剤、カルビノール変性シリコーン消泡剤、メタクリル変性シリコーン消泡剤、ポリエーテル変性シリコーン消泡剤、アルキル変性シリコーン消泡剤、高級脂肪酸エステル変性シリコーン消泡剤、アルキレンオキサイド変性シリコーン消泡剤、などが挙げられる。これらの中でも、水系媒体である前記記録用インクへの使用を考慮すると、前記自己乳化型シリコーン消泡剤、前記エマルジョン型シリコーン消泡剤などが好ましい。
前記消泡剤としては、市販品を使用してもよく、該市販品としては、信越化学工業株式会社製のシリコーン消泡剤(KS508、KS531、KM72、KM85等)、東レ・ダウ・コーニング株式会社製のシリコーン消泡剤(Q2−3183A、SH5510等)、日本ユニカー株式会社製のシリコーン消泡剤(SAG30等)、旭電化工業株式会社製の消泡剤(アデカネートシリーズ等)、などが挙げられる。
前記消泡剤の前記記録用インクにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.001〜3質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%がより好ましい。
前記防腐防黴剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、などが挙げられる。
前記比抵抗調整剤としては、無機塩類、例えば、アルカリ金属ハロゲン化物又はハロゲン化アンモニウム(例えば、塩化リチウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム)等を含有させることにより、記録用インクを帯電するタイプのインクジェット記録方法に使用される記録液を調製することができる。
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼすことなくpHを7以上に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて任意の物質を使用することができ、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどが挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイドなどが挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイトなどが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤などが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、などが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、などが挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、などが挙げられる。
本発明の記録用インクは、着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分、水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分、及び水、更に必要に応じてその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。なお、一般に、着色剤、樹脂は、予め水中に溶解乃至分散しているものを使用する。前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
本発明の記録用インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
前記記録用インクの粘度は、25℃で、20mPa・s以下が好ましく、15mPa・s以下がより好ましい。前記粘度が20mPa・sを超えると、吐出安定性の確保が困難になることがある。ただし、ヘッド構造によっては必ずしも使用できないわけではない。
前記記録用インクの表面張力としては、25℃で、35mN/m以下が好ましく、30mN/m以下がより好ましい。前記表面張力が、35mN/mを超えると、記録媒体上のインクのレベリングが起こりにくく、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
前記記録用インクのpHとしては、例えば、7〜10が好ましい。
本発明の記録用インクの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどが挙げられる。これらの着色を2種以上併用したインクセットを使用して記録を行うと、多色画像を記録することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行うと、フルカラー画像を記録することができる。
本発明の記録用インクは、インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで,インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などいずれのインクジェットヘッドを搭載するプリンタにも良好に使用できる。
本発明の記録用インクは、各種分野において好適に使用することができ、インクジェット記録方式による画像記録装置(プリンタ等)において好適に使用することができ、例えば、印字又は印字前後に被記録用紙及び前記記録用インクを50〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するもののプリンタ等に使用することもでき、以下の本発明のインクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法に特に好適に使用することができる。
(インクカートリッジ)
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記記録用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で
形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
次に、インクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す図であり、図2は図1のインクカートリッジのケース(外装)も含めた図である。
インクカートリッジは、図1に示すように、インク注入口42からインク袋41内に充填され、排気した後、該インク注入口42は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口43に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋41は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋41は、図2に示すように、通常、プラスチックス製のカートリッジケース44内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
(インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段、などを有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程、などを含んでなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
−インク飛翔工程及びインク飛翔手段−
前記インク飛翔工程は、前記本発明の記録用インクに、刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、前記本発明の記録用インクに、刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種の記録ヘッド(インク吐出ヘッド)が挙げられ、特に複数のノズル列を有するヘッドと、液体保管用タンクから供給される液体を収容して前記ヘッドに液体を供給するサブタンクとを有するものが好ましい。
前記サブタンクは、該サブタンク内に負圧を発生するための負圧発生手段と、該サブタンク内を大気開放するための大気開放手段と、電気抵抗の差によりインクの有無を検知する検知手段とを有するものが好ましい。
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
なお、前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられる。具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ、などが挙げられる。
前記記録用インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記記録用インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記記録用インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、該記録ヘッドのノズル孔から該記録用インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から該記録用インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
ピエゾ素子に電圧を印加して記録用インクを飛翔させる方法が好ましい。ピエゾ方式は発熱しないため、樹脂を含有するインクを飛翔させるのに有利であり、特に湿潤剤の含有量の少ないインクを用いた場合にノズル詰まりが少ない有効な方法である。
また、ノズル抜けを防止するため、ピエゾ素子にインクを吐き出さない強さの電圧を印加して空スキャンを行うことが好ましい。更に、1ページ印刷分の空スキャンに達する前に、インク溜め部にインクを吐き出す動作を行うことが好ましい。
また、空吐出受けに固着したインクを掻き落とす掻き落とし手段を有することが好ましい。該掻き落とし手段としては、ワイパー及びカッターのいずれかが好ましい。
本発明のような湿潤剤量の少ない記録用インクを用いて、インクジェット画像形成する場合に、ノズル抜けをなくす方法として、1日間以上にわたって長期停止する際は(インクジェット記録を行わない場合は)、保湿液で記録ヘッドのノズル近傍の記録用インクを置換し、インクジェット記録を再開する際に、該保湿液を記録用インクで置換してから画像形成することが好ましい。前記記録用インクとしては、特に制限はなく、インクジェット記録に普通に用いられるインクが使用できるが、本発明の記録用インクが特に好ましい。
長期停止する場合において、このように保湿液でノズル近傍のインクを置換することにより、水が蒸発して着色剤及び樹脂が乾固することによるノズルの目詰まりを防ぐことができる。また、インクジェット記録を再開する際に、保湿液を記録用インクで置換してから画像形成することにより、高濃度の画像を形成することができる。
前記保湿液としては、水でもよいし、湿潤剤を含んだ水(その他の少量の添加剤、pH調整剤、界面活性剤など含んでもよい)でもよい。本発明の記録用インクに比べて水蒸発による目詰まりに強い溶液であり、本発明の記録用インクと混合しても固形分の沈殿が発生せず、なおかつ、本発明の記録用インクの乾燥固着物を再分散、あるいはクリーニング可能な液体であればよい。即ち、水あるいは湿潤剤を含んだ水溶液、あるいは水、湿潤剤を含み、着色剤、樹脂などの25℃で固体である固形分の少ない(あるいは全くない)液体である。特に、乾燥しにくいオフセットコート紙に印刷する場合には、乾燥性の向上を図るため湿潤剤量の少ないインクで印刷するので、停止時にはノズル近傍の記録用インクを保湿液で置換すれば目詰まりを防止できる。
前記保湿液としては、(1)水からなる液媒体、(2)水を主成分とする液媒体、(3)水と水よりも高沸点の25℃で液体である液体成分を主成分とする液媒体、及び(4)記録用インクと同じ成分からなり該記録用インクよりも25℃で固体である固体成分の含有量が少ない液媒体、のいずれかが好ましい。
前記(4)の記録用インクとしては、特に制限はなく、インクジェット記録に普通に用いられるインクを使用できるが、本発明の前記記録用インクが特に好ましい。
ここで、水を主成分とするとは、水を90質量%以上含有することを意味する。
また、水と水よりも高沸点の25℃で液体成分を主成分とするとは、水と水よりも高沸点の25℃で液体成分を合わせて90質量%以上含有することを意味する。
また、前記保湿液は、本発明の前記記録用インクと同じ成分であって、湿潤剤量を記録用インクよりも増やして逆に着色剤など固形分を減らした液体でもよい。この場合は、保湿液自体が低濃度着色剤インク、所謂、淡濃度インクとしても利用できる。
前記保湿液は、記録用インクとは別のタンクに保存しておき、長期停止前にノズル部に供給することが好ましい。この場合、インクタンク自体を交換する方法でもよければ、保湿液のタンクも常設し、保湿液をノズルに供給する通路を記録用インク用通路と別に設けてもよい。ただし、これらの方法はあくまでもノズル目詰まりを完璧に防ぐための手段であり、停止後、多少目詰まりしてもクリーニングで回復するため、保湿液が特になくても本発明の記録用インクは使用可能である。
また、本発明のような湿潤剤量の少ない記録用インクを用いてインクジェット画像形成する場合に、ノズル抜けをなくす方法として、記録ヘッドのノズル部を覆蓋する覆蓋手段(保湿キャップ)に水を供給する手段を講ずる方法がある。
一般に、湿潤剤は平衡水分量が高いため、水の蒸発が遅くなり、その分、インクの凝固、乾燥を遅くする作用がある。一方、本発明のような低濃度の湿潤剤を含むインクはその作用が小さい。そこで、保湿キャップ内に水が供給されると少なくとも保湿キャップ内は湿度が100%近くなるため、たとえ、インクの湿潤剤量が少なくとも乾燥によるノズル目詰まりは抑制される。水を供給する手段としては水を主成分とし少量のpH調整剤、防腐防カビ剤を有する液を保管するカートリッジを別に用意し、ノズル印写などの方法によりキャップ内に水を噴射供給する方法がある。このキャップ内に供給する液としては水のほかに先に上げたすべての保湿液を用いることができるが、湿潤剤や固形分が少なく水の多いものが好ましい。長期放置時にノズル部分を液交換する保湿液とは別の、水分量の多い固形分の少ない液をキャップ内への水分供給液として別に用意すればより好ましい。
前記保湿液による信頼性の向上対策は、本発明の前記記録用インクを使用する場合に限定されるものでなく、一般の顔料インクで少なくともノズル乾燥による信頼性低下が懸念される場合にも有効であるが、特に本発明の前記記録用インクのように湿潤剤量が少なく、信頼性の低下の懸念がある場合にはより効果的である。
本発明のインクジェット記録方法においては、湿潤剤の含有量を多くした記録用インクを用いる場合には、乾燥速度を上げるため、前記記録用メディア上に記録された画像を乾燥する乾燥工程を含む。乾燥方法としては記録前に乾燥工程を設ける方法でも、記録後に設ける方法のどちらでもよい。
前記乾燥手段としては、マイクロ波エネルギーを使用して記録用メディアにマイクロ波エネルギーを与えるようなもの、ヒーティングワイヤー方式のもののような非接触式のものでもよい。また接触式のもの(例えば加熱ローラ)を別に設けてもよい。ローラ自身を直接加熱するもの、あるいは他の熱源からローラを間接的に加熱するものでもよい。
なお、片面印字後の画像サンプルも同様に加熱してその後、両面コピーを行ってもよい。記録前に乾燥する場合には記録画像のドットの乾燥が遅いことによるビーディングと言われる液偏りによる濃度ムラの防止が可能である。記録後に乾燥する場合は、記録用メディアのカールが比較的でにくくなる。またプリンタ本体への影響が比較的少ない。
なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明においては、インクを飛翔させるインクジェットヘッドのインク吐出用開口部が形成されているプレート面に撥インク層を有することが好ましい。
前記撥インク層の表面粗さ(Ra)は、0.2μm以下が好ましい。表面粗さ(Ra)を0.2μm以下にすることで、ワイピング時の拭き残しを低減することができる。
図19、及び図20A〜図20Cは、本発明に用いられるインクジェットヘッドのノズル板の断面図である。
本実施形態では、インクジェットヘッドのプレート基材であるノズル板32がNiの電鋳により作製され、その表面に膜厚1Å(0.1nm)以上のシリコーン樹脂皮膜である撥インク層31が形成されており、その表面粗さはRa=0.2μm以下にすることが好ましい。また、撥インク層31の膜厚は0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。
インク3の充填時には、図20Cに示すように、シリコーン樹脂皮膜による撥インク層31とノズル板32の境界部分にメニスカス(液面)Pが形成される。
インクジェットヘッドのインク吐出用の開口部(ノズル)が開設されたプレート面に形成された撥インク層は、該開口部近傍における該開口部の中心線に垂直な平面での撥インク層の断面積が、プレート基材表面から離れるにつれて漸次大きくなっていくように形成されている。
前記撥インク層の開口部近傍における形状は、曲面形状であることが好ましい。また、前記開口部の中心線を含む平面での断面における撥インク層の当該開口部近傍の曲線の曲率半径が、該撥インク層の厚み以上であることが好ましい。
また、前記開口部の中心線を含む平面での断面における撥インク層の当該開口部縁端から当該開口部近傍の曲線が略円弧曲線をなし、該円弧の曲率半径が、該撥インク層の厚み以上であることが好ましい。
また、前記開口部の中心線を含む平面での断面における撥インク層の当該開口部縁端を通る接線が、当該端部を含むノズル部材表面からの角度が90度未満であることが好ましい。
ノズル板32の開口部は、図20A〜図20C中に一点鎖線で示す中心線に垂直な平面による断面が、この中心線を中心とした略円形となるよう開設されている。また、ノズル板32におけるインク吐出面に形成された撥インク層31は、この中心線に垂直な平面による開口部分の断面積がノズル板32から離れるにつれて漸次大きくなっていくよう形成されている。
より詳細には、撥インク層31の開口部分は、図20Aに示すように、ノズル板32の開口部縁端から開口部近傍の曲線が曲率半径rのラウンド形状となっている。この曲率半径rは、撥インク層31の開口部分近傍以外における厚みd以上であることが好ましい。
この厚みdは、撥インク層31の開口部分であるラウンド部分以外の部分における厚みであり、好ましくは撥インク層の最大厚みであってよい。
このように、ノズル板32の開口部と連接される撥インク層31の開口部分が、略尖鋭端のない形状(尖形部分のないなめらかな曲線)で、引っ掛かり部分のない曲線になっていることにより、ゴムなどの材料で形成されたワイパーでワイピングした場合であっても、尖形部分がワイパーに引っ掛かって撥インク層31がノズル板32から剥離するといった不具合のないようすることができる。
また、図20Bに示すように、ノズル板32の開口部の中心線を含む平面での断面における、撥インク層31の開口部分縁端を通る接線は、この開口部分縁端に連接されるノズル板32の開口部縁端を含むノズル板32表面からの角度θが90度未満となっていることが好ましい。
このように、撥インク層31の開口部分縁端での接線とノズル板表面32との角度θが90度未満であることにより、図20Cに示すように、撥インク層31とノズル板32との境界部分にメニスカス(液面)Pが安定的に形成され、他の部分にメニスカスPが形成される可能性を大きく減らすことができる。その結果、メニスカスの形成面を安定させることができるため、ノズル板32を含むインクジェットヘッドを用いた画像形成装置で画像形成を行う際のインクの噴射安定性を良好なものとすることができる。
本実施形態で用いるシリコーン樹脂としては、室温硬化型の液状シリコーンレジンが好ましく、加水分解反応を伴うものがより好ましい。後述する実施例では東レ・ダウコーニング株式会社製のSR2411を用いた。
下記の表Aは、本実施形態でのインクジェットヘッドでの撥インク層31における、ノズル板32の開口部縁端から開口部縁端近傍の形状と、ノズル周囲のインク溜まり、エッジ剥離、噴射安定性に関して評価した結果である。
表Aの結果から、撥インク層31のエッジ部(開口部分縁端近傍)に略尖鋭端が含まれる形状のものでは、ノズル周囲にインク溜まりが見られ、ワイピングによるエッジの剥離が発生した。
ラウンド形状のものでは、何れもインク溜まりは発生しなかったが、比較として、図21Aに例示するようなr<dのものでは一部エッジの剥離が発生し、図21Bに例示するようなθ>90度のものでは液滴の噴射が不安定な結果であった。
また、図21Cに示すように、r<dのものや、θ>90度のものでは、インクの充填時に、撥インク層31とノズル板32の境界部分にメニスカス(液面)Pが形成される場合と、撥インク層31’における開口部分中心に向けての凸部(開口部分における中心線に垂直な断面積が最も小さくなる部分)にメニスカスQが形成される場合がある。このため、ノズル板32を含むインクジェットヘッドを用いたインクジェット記録装置で画像記録を行う際のインクの噴射安定性にばらつきが発生してしまうことがある。
次に、上述した本実施形態に係るインクジェットヘッドのノズル部材の製造方法について説明する。
図22は、本実施形態に係るディスペンサ34を用いた塗布により、シリコーン樹脂を塗布して撥インク層31を形成する構成を示す図である。
Ni電鋳によるノズル32のインク吐出面側にシリコーン溶液を塗布するためのディスペンサ34が配置され、ノズル板32とニードル35先端とが予め定められた一定の距離間隔を保ったままとなるように、ニードル35先端からシリコーンを吐出しながらディスペンサ34を走査することにより、上述した図19、及び図20A〜図20Cに示したようにノズル板32のインク吐出面に選択的にシリコーン樹脂皮膜を形成することができた。
本実施形態で使用したシリコーン樹脂は、常温硬化型シリコーンレジンSR2411(東レ・ダウコーニング株式会社製、粘度:10mPa・s)を用いた。ただし、ノズル孔及びノズル板裏面に若干のシリコーンの周り込みが見られた。このようにして選択的に形成したシリコーン樹脂皮膜の厚みは1.2μmであり、表面粗さ(Ra)は0.18μmであった。
本実施形態に係るニードル35先端の塗布口は、図23Aに示すように、塗布対象であるノズル板32への塗布幅だけの幅が確保されている。このことにより、ディスペンサ34を塗布方向に1回走査するだけで、塗布対象全体への塗布を完了させることができる。
即ち、塗布動作のための走査方向を1方向のみとすることができ、図23Bのように方向を変えたり、反対方向に走査したりといった必要を無くすることができる。
ここで、一般のニードル35の先端は、図23Bに示すように、塗布対象であるノズル板32への塗布幅よりはるかに狭いため、塗布対象全体への塗布を完了させるためには、塗布動作のための走査方向を90度変えて移動させたり、反対方向に走査したりして複数方向に走査する必要があり、塗布対象全体への均一な厚みでの塗布が困難であった。
本実施形態によれば、ニードル35先端の塗布口の幅が塗布対象であるノズル板32への塗布幅だけ確保されることにより、塗布対象全体に渡って塗布する厚みを均一とすることができ、精度のよい表面仕上がりとすることができる。
図24は、本実施形態に係るディスペンサ34を用いた塗布動作を示す図である。基本構成は図22と同様であるが、ノズル板32のノズル孔(開口部)から気体36を噴射しながらシリコーンを塗布する。この気体36としては、塗布するシリコーンと化学反応を起こしにくい気体であれば各種のものを用いることができ、例えば空気であってもよい。
このように気体36をノズル孔から噴射しながら塗布を行うことにより、ノズル板32のノズル孔を除くノズル表面だけにシリコーン樹脂皮膜を形成することができる。
また、上述のように気体36を噴射しないで同様のシリコーン樹脂を用いて塗布し、予め定められた深さまでシリコーン樹脂が進入した後、ノズル32から気体36を噴射させると、図25に示すように、ノズル内壁の所望の深さ(例えば数μm程度)までシリコーン樹脂の撥インク層を形成することができる。即ち、上述したインク吐出面の撥インク層31に加えて、ノズル板32の開口部縁端から予め定められた深さまでごく薄い撥インク層31a(開口部内壁の撥インク層)を形成することができる。
このようにして作製したノズル板の撥インク層31に対して、EPDMゴム(ゴム硬度50度)を用いてワイピングを実施した。その結果、1000回のワイピングに対してもノズル板の撥インク層31は、良好な撥インク性を維持することができた。また撥インク層が形成されたノズル部材を、70℃のインクに14日間浸漬処理した。その結果、その後も初期と変わらない撥インク性を維持することができた。
図26は、本発明のインクジェットヘッドの一例を示す図であり、エキシマレーザ加工でノズル孔が形成された状態を示している。ノズル板43は樹脂部材121と高剛性部材125とを熱可塑性接着剤126で接合したもので、樹脂部材121の表面はSiO薄膜層122とフッ素系撥水層123を順次積層形成したものであり、樹脂部材121に所要径のノズル孔44を形成し、高剛性部材125にはノズル孔44に連通するノズル連通口127を形成している。SiO薄膜層122の形成には、比較的熱のかからない、即ち、樹脂部材に熱的影響の発生しない範囲の温度で成膜可能な方法で形成する。具体的にはスパッタリング、イオンビーム蒸着、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)、P−CVD(プラズマ蒸着法)などが好適である。
SiO薄膜層122の厚みは、密着力が確保できる範囲で必要最小限の厚さとするのが工程時間,材料費から見て有利である。この膜厚があまり厚くなると、エキシマレーザでのノズル孔加工に支障がでてくる場合があるからである。即ち、樹脂部材121はきれいにノズル孔形状に加工されていても、SiO薄膜層122の一部が十分に加工されず、加工残りになることがある。したがって、具体的には密着力が確保でき、エキシマレーザ加工時にSiO薄膜層122が残らない範囲として、膜厚1Å〜300Å(0.1〜30nm)の範囲が適しているといえる。より好適には、10Å〜100Å(1〜10nm)の範囲が適している。実験結果では、SiO膜厚が30Å(3nm)でも密着性は十分であり、エキシマレーザによる加工性についてはまったく問題がなかった。また、300Å(30nm)では僅かな加工残りが観察されたが使用可能範囲であり、300Å(30nm)を超えるとかなり大きな加工残りが発生し、使用不可能なほどのノズル異形が見られた。
前記撥インク層の材料はインクをはじく材料であればいずれも用いることができるが、具体的には、フッ素系撥水材料、シリコーン系撥水材料を挙げることができる。
前記フッ素系撥水材料については、いろいろな材料が知られているが、ここでは、パーフルオロポリオキセタン及び変性パーフルオロポリオキセタンの混合物(ダイキン工業社製、商品名:オプツールDSX)を1Å〜30Å(0.1〜3nm)の厚さに蒸着することで必要な撥水性を得ている。実験結果では、オプツールDSXの厚さは、10Å、20Å、30Åでも撥水性,ワイピング耐久性能に差は見られなかった。よって、コストなどを考慮するとより好適には、1Å〜20Å(0.1〜2nm)が好ましい。但し、使用するインクによっては信頼性の観点から撥水膜厚を厚くした方がより長期間性能維持ができることもあるので、その場合には100Å〜200Å(10〜20nm)の厚さにするのが好ましい。また、フッ素系撥水層123の表面には樹脂製のフィルムに粘着材を塗布した粘着テープ124が貼り付けられていて、エキシマレーザ加工時の補助機能をはたしている。また、シリコーン系撥水材料を用いることもできる。
前記シリコーン系撥水材料としては、室温硬化型の液状シリコーンレジンもしくはエラストマーがあり、基材表面に塗布され、室温で大気中に放置することにより重合硬化して撥インク性の皮膜が形成されることが好ましい。
上記したシリコーン系撥水材料は加熱硬化型の液状シリコーンレジンもしくはエラストマーであり、基材表面に塗布され、加熱処理することにより硬化し撥インク性の皮膜を形成することであってもよい。
シリコーン系撥水材料は紫外線硬化型の液状シリコーンレジンもしくはエラストマーであり、基材表面に塗布され、紫外線を照射することにより硬化し撥インク性の皮膜を形成することであってもよい。
シリコーン系撥水材料の粘度が1,000cp(センチポイズ)以下であることが好ましい。
図27は、ノズル孔を加工する際に使用するエキシマレーザ加工機の構成を示した図で、レーザ発振器81から射出されたエキシマレーザビーム82はミラー83,85,88によって反射され、加工テーブル90に導かれている。レーザビーム82が加工テーブル90に至るまでの光路には、加工物に対して最適なビームが届くように、ビームエキスパンダ84、マスク86、フィールドレンズ87、結像光学系89が所定の位置に設けられている。加工物(ノズルプレート)91は加工テーブル90の上に載置され、レーザビームを受けることになる。加工テーブル90は、周知のXYZテーブル等で構成されていて、必要に応じて加工物91を移動し所望の位置にレーザビームを照射することができるようになっている。ここでレーザは、エキシマレーザを利用して説明したが、アブレーション加工が可能である短波長な紫外光レーザであれば、種々なレーザが利用可能である。
図28A〜図28Eは、本発明のインクジェットヘッドの製造方法におけるノズル板製造工程を模式的に示した図である。
図28Aは、ノズル形成部材の基材となる材料を示しており、ここでは、樹脂フィルム121として、例えばDupont社製ポリイミドフィルムであるカプトン(商品名)の粒子無しのフィルムを使用している。一般的なポリイミドフィルムはロールフィルム取り扱い装置での取り扱い性(滑り性)からフィルム材料の中にSiO(シリカ)などの粒子が添加されている。エキシマレーザでノズル孔加工を行う場合には、SiO(シリカ)の粒子がエキシマレーザによる加工性が悪いためノズル異形が発生することがある。よって、本発明では、SiO(シリカ)の粒子が添加されていないフィルムを使用している。また、プレート基材材料として宇部興産製ポリイミドフィルムであるユーピレックスを使用してもよい。ユーピレックスは粒子が非常に微細であり、加工に支障が出ないためそのまま使用可能である。
図28Bは、樹脂フィルム121の表面にSiO薄膜層122を形成する工程を示す図である。このSiO薄膜層122の形成は真空チャンバ内で行われるスパッタリング工法が適しており、膜厚は1Å〜300Å(0.1〜30nm)程度が適している。ここでは10Å〜100Å(1〜10nm)の厚さに形成している。スパッタリングの方法としては、Siをスパッタした後、Si表面にOイオンを当てることでSiO膜を形成する方法を用いることが、SiO膜の樹脂フィルム121への密着力が向上すると共に、均質で緻密な膜が得られ、撥水膜のワイピング耐久性向上により効果的である。
図28Cは、フッ素系撥水剤123aを塗布する工程を示す図である。塗布方法としては、スピンコータ、ロールコータ、スクリーン印刷、スプレーコータなどの方法が使用可能であるが、真空蒸着で成膜する方法が撥水膜の密着性を向上させることにつながるので、より効果的である。また、その真空蒸着は、図28BでのSiO薄膜層122を形成した後、そのまま真空チャンバ内で実施することで更によい効果が得られる。従来は、SiO薄膜層122を形成後、一旦真空チャンバからワークを取り出すので、不純物などが表面に付着することにより密着性が損なわれるものと考えられる。なお、フッ素系撥水材料については、いろいろな材料が知られているが、ここでは、フッ素非晶質化合物としてパーフルオロポリオキセタン、変形パーフルオロポリオキセタン又は双方の混合物を使用することで、インクに対する必要な撥水性を得ることができる。前述のダイキン工業社製「オプツールDSX」は「アルコキシシラン末端変性パーフルオロポリエーテル」と称されることもある。
図28Dは、撥水膜蒸着後の空中放置工程を示す図である。この工程により、フッ素系撥水剤123aとSiO薄膜層122とが、空気中の水分を仲介として化学的結合をし、フッ素系撥水層123が形成される。
図28Eは、粘着テープ124を貼り付ける工程を示す図である。フッ素系撥水層123の塗布された面に粘着テープ124を貼り付ける。この粘着テープ124を貼るときには気泡が生じないように貼り付ける。気泡があると、気泡のある位置に開けたノズル孔は、加工時の付着物などで品質のよくないものになってしまうことがあるからである。
図28Fは、ノズル孔44の加工工程を示す図である。この工程では、ポリイミドフィルム121側からエキシマレーザを照射してノズル孔44を形成する。ノズル孔44の加工後は、粘着テープ124を剥がして使用する。なお、ここでは、図26で説明したノズル板43の剛性を上げるために用いられる高剛性部材125は説明を省略したが、この工程に適用すれば、図28D工程と図28E工程の間に実施するのが適当である。
図29は、本発明におけるインクジェットヘッド製造方法によりインクジェットヘッドを製造する際に使用する装置についての概要を示す図である。
この装置は、米国のOCLI(OPTICAL COATING LABORATORY INC.)が開発した、「メタモードプロセス」と呼ばれる工法を装置化したものであり、ディスプレイなどの反射防止膜や防汚膜の作製に使用されている。図29に示すように、ドラム210の周囲4個所にステーションであるSiスパッタ202、Oイオンガン203、Nbスパッタ204、オプツール蒸着205が配置されて、全体が真空引きできるチャンバの中にある。まず、Siスパッタ202によりSiをスパッタし、その後、Oイオンガン203によりOイオンをSiに当ててSiOとする。その後、Nbスパッタ204、オプツール蒸着205でNb,オプツールDSXを適宜蒸着する。反射防止膜の場合は、NbとSiOを所定の厚さで必要層数重ねた後蒸着する。本発明の場合は、反射防止膜の機能は必要ないので、Nbは不要でSiO,オプツールDSXを1層ずつ付ければよい。この装置を使用することで、上述したように、SiO薄層122を形成した後、そのまま真空チャンバ内でオプツールDSXの真空蒸着を実施するのが可能となる。
前記撥インク層の臨界表面張力は5〜40mN/mが好ましく、5〜30mN/mがより好ましい。前記臨界表面張力が30mN/mを超えると、長期の使用においてノズルプレートがインクで濡れすぎる現象が生じるため、繰り返し印刷をしているとインクの吐出曲がりや粒子化異常が生じてしまうことがあり、40mN/mを超えると、初期からノズルプレートに対してインクが濡れすぎる現象が生じるため、初期からインクの吐出曲がりや粒子化異常が生じてしまうことがある。
実際に、表Bに示す撥インク材料をアルミニウム基盤上に塗布し、加熱乾燥することで撥インク層付きノズルプレートを作製した。撥インク層の臨界表面張力を測定したところ表Bに示すようになった。
ここで、前記臨界表面張力はZisman法により求めることができる。つまり、表面張力が既知の液体を撥インク層の上にたらし、接触角θを測定し、液体の表面張力をx軸にcosθをy軸にプロットすると右肩下がりの直線が得られる(Zisman Plot)。この直線がY=1(θ=0)となるときの表面張力を臨界表面張力γcとして算出することができる。その他の方法としては、Fowkes法、Owens and Wendt法、Van Oss法を用いて臨界表面張力を求めることもできる。
また、前記ヘッド作製方法と同様に撥インク層付きノズルプレートを用いてインクジェットヘッドを作製した。これに下記のシアンインク(後述する製造例1のシアンインク)を用いてインクを噴射させた。インクの飛翔過程をビデオ撮影して観察したところ、いずれのノズルプレートを用いた場合にも正常に粒子化しており、吐出安定性が良好であることが確認できた。結果を表Bに示す。
<シアンインク>
銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール23.0質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、フッ素系界面活性剤としてのFS−300(DuPont社製)2.5質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、シアンインクを調製した。
ここで、本発明のインクジェット記録装置により本発明のインクジェット記録方法を実施する一の態様について、図面を参照しながら説明する。図3は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す概略図である。この図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体1と、該装置本体1に装着した用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3と、インクカートリッジ装填部6とを有する。インクカートリッジ装填部6の上面には、操作キーや表示器などの操作部7が配置されている。インクカートリッジ装填部6は、インクカートリッジ10の脱着を行うための開閉可能な前カバー8を有している。
装置本体1内には、図4及び図5に示すように、図示を省略している左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド11とステー12とでキャリッジ13を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ(不図示)によって図5で矢示方向に移動走査する。
キャリッジ13には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色の記録用インク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド14を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド14を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを記録用インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ13には、記録ヘッド14に各色のインクを供給するための各色のサブタンク15を搭載している。サブタンク15には、図示しない記録用インク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部6に装填された本発明のインクカートリッジ10から本発明の前記記録用インクが供給されて補充される。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)21上に積載した用紙22を給紙するための給紙部として、用紙積載部21から用紙22を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ23)、及び該給紙コロ23に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド24を備え、この分離パッド24は給紙コロ23側に付勢されている。
この給紙部から給紙された用紙22を記録ヘッド14の下方側で搬送するための搬送部として、用紙22を静電吸着して搬送するための搬送ベルト31と、給紙部からガイド25を介して送られる用紙22を搬送ベルト31との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ32と、略鉛直上方に送られる用紙22を略90°方向転換させて搬送ベルト31上に倣わせるための搬送ガイド33と、押さえ部材34で搬送ベルト31側に付勢された先端加圧コロ35とが備えられ、また、搬送ベルト31表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ36が備えられている。
搬送ベルト31は、無端状ベルトであり、搬送ローラ37とテンションローラ38との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。搬送ベルト31の裏側には、記録ヘッド14による印写領域に対応してガイド部材77が配置されている。なお、記録ヘッド14で記録された用紙22を排紙するための排紙部として、搬送ベルト31から用紙22を分離するための分離爪51と、排紙ローラ52及び排紙コロ53とが備えられており、排紙ローラ52の下方に排紙トレイ3が配置されている。
装置本体1の背面部には、両面給紙ユニット61が着脱可能に装着されている。両面給紙ユニット61は、搬送ベルト31の逆方向回転で戻される用紙22を取り込んで反転させて再度カウンタローラ32と搬送ベルト31との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット61の上面には手差し給紙部62が設けられている。
このインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙22が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙22は、ガイド25で案内され、搬送ベルト31とカウンタローラ32との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド33で案内されて先端加圧コロ35で搬送ベルト31に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ36によって搬送ベルト37が帯電されており、用紙22は、搬送ベルト31に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ13を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド14を駆動することにより、停止している用紙22にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙22を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙22の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙22を排紙トレイ3に排紙する。
そして、サブタンク15内の記録用インクの残量が少なくなってきたことが検知されると、インクカートリッジ10から所要量の記録用インクがサブタンク15に補給される。
なお、ここでは、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
ここで、記録ヘッド14(複数のヘッドを総称する意味で用いる)は、例えば、図6に示すように、イエロー(Y)のインク滴を吐出する多数のノズルNからなるノズル列14yn及びマゼンタ(M)のインク滴を吐出する多数のノズルNからなるノズル列14mnを有する液滴吐出ヘッド14aと、シアン(C)のインク滴を吐出する多数のノズルNからなるノズル列14cn及びブラック(Bk)のインク滴を吐出する多数のノズルNからなるノズル列14knとを有するヘッド14bとで構成している。
なお、この場合は一つの記録ヘッドに2個の別のサブタンクより2色を供給し、4個のサブタンク2ヘッドでYMC及び黒の4色印写する場合の図であるが、2列のノズル列を有するヘッドを4個設けそれぞれに1個ずつの別色のサブタンクを用意し2列のノズル列を有する4個のヘッド、4個のサブタンクでYMC及び黒の4色を印写するようにしてもよい。
この図6の例は、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G505)を示し、同じヘッドに異なる色のインクを吐出するノズルが並んで設けられている。
また、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G707)では、図示を省略しているが、同じ構造のヘッドを4個設け、それぞれにイエロー、マゼンタ、シアン、及び黒のインクを供している。
記録ヘッド付近には、更に、保湿液を供給するカートリッジ、サブタンク、及び記録ヘッドを設け、該記録ヘッドのノズル部を覆蓋する覆蓋手段(保湿キャップ)に長期休止時に保湿液を噴射してノズル部の乾燥を防止するようにできる。このようにキャップ内に噴射する場合は保湿液としては着色剤など固形分の少ない(あるいは全くない)、水が主体の液体である方が好ましい。
また、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G505)では、同じヘッドに2本のサブタンク、ノズル列があるが、この片側を保湿液のサブタンク、ノズル列としてもよい。この場合、保湿液のサブタンクと着色インクのサブタンクを設けたヘッドをシアン、マゼンタ、イエロー、及び黒の4個設けることになる。
この場合、同一ヘッドに保湿液と記録用インクがあるため、ヘッドクリーニング時に保湿液が着色記録用インクの洗浄液としても作用する。
この保湿液と着色インクのサブタンクとの間、あるいはサブタンクからノズル部に至る通路間のどこかに弁機構を設け、長期停止時にはこの弁を開いて保湿液を着色インクのノズル部に供給し、着色インクのノズル部を乾燥し難い保湿液に置換する機構にすることも可能である。
このような保湿液による維持機構を設けなくても、ピエゾ素子にインクを吐き出さない強さの電圧を印加する空スキャンを行いノズル部の固着を防止したり、インクを記録媒体以外の空吐出受け部(インク溜め部)に吐き出す、所謂空吐出を頻繁に行うことによりノズル抜けを防止できる。少なくとも1ページ印刷分の間には空吐き出しを必ず行うことが好ましい。
記録ヘッド14を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。なお、後述する実施例では、圧電アクチュエータ(圧電素子)をエネルギー発生手段に用いたヘッドを搭載している。
また、キャリッジ13には、記録ヘッド14の各ノズル列14yn、14mn、14cn、14knにそれぞれ各色のインクを供給するための各色の液体容器であるサブタンク15(各色を区別する場合には、ノズル列に対応して15y、15m、15c、15kの符号を用いる。)を搭載している。このサブタンク15にはインク供給チューブ16を介して前述した各色のメインタンク(インクカートリッジ)10(各色を区別する場合には、ノズル列に対応して10y、10m、10c、10kの符号を用いる。)からインクが補充供給される。ここで、メインタンク10は、それぞれ各色に対応してイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインクを収容しているが、ブラックインクを収容するメインタンク10kは、他のカラーインクを収容するメインタンク10y、10m、10cよりもインクの収容容量を大きくしている。
次に、この記録装置における液体供給装置であるインク供給装置の詳細について図7〜図9を参照して説明する。なお、図7は同インク供給装置に係わる部分の分解斜視説明図、図8はその詳細図、図9は同サブタンクの模式的側面説明図である。
このインク供給装置は、前述したようにキャリッジ13に搭載されて各記録ヘッド14(14a、14b)にインクを供給する液体容器であるサブタンク15と、このサブタンク15に供給チューブ16を介してインクを供給補充するためのメインタンク(インクカートリッジ)10とによって構成される。
1つのサブタンク15は、インクを収容するインク収容部100を形成する容器本体(ケース本体)101に、インク収容部100の開口(サブタンク15の一面)を封止する可撓性を有するフィルム状部材(可撓性フィルム状部材)102を接着又は溶着などで貼り付け、更にインク収容部100内部にはケース本体101とフィルム状部材102との間にフィルム状部材102を外方に付勢するための弾性部材であるバネ(スプリング)103を設けている。
ここで、前記フィルム状部材102は単層構成でもよいが、図10Aに示すように、種類の異なる第1層102aと第2層102bとをラミネートした二層構成、例えば、ポリエチレンとナイロンのフィルム状部材をラミネートした構成としたり、また、図10Bに示すように、第1層102aにシリカ蒸着層102cを形成した構成とすることができる。このような構成とすることにより、インクに対する耐液性を確実に確保することができる。また、フィルム状部材102にシリカ蒸着層を含むことでも収容するインクに対する耐液性の向上を図れる。
また、フィルム状部材102の厚みは10〜100μmが好ましい。前記厚みが10μm未満であると、経時的劣化による破損などが生じ易くなることがあり、100μmを超えると、可撓性が低下して負圧の効率的な発生が困難になることがある。
更に、フィルム状部材102にはバネ103に対応して凸部形状となる膨らみ部102aを形成してその外面に補強部材104を貼り付けている。このように、可撓性フィルム状部材102に凸部を設けることで弾性部材(ここではバネ)103を安定して保持することができる。この場合、可撓性フィルム状部材102は、シート状のフィルム部材を凸形状に成形して作製することで、容易に凸部を形成することができる。
また、ケース101にはインク収容部100にインクを補充するためのインク導入路部111を設け、このインク導入路部111とインクカートリッジ10に接続された供給チューブ16とを接続するための連結手段112を着脱自在に装着できるようにしている。なお、インクカートリッジ10とサブタンク15との間にはインクカートリッジ10からサブタンク15にインクを圧送するために後述するような送液ポンプを設けている。
更に、ケース101の下部にはインク収容部100から記録ヘッド14にインクを供給するための連結部材113を取り付け、この連結部材113には記録ヘッド14のインク供給路114を形成し、インク収容部100との間にはフィルタ115を介装している。
そして、ケース101の上部分にはインク収容部100から空気を出すための空気流路121を形成している。この空気流路121は、インク収容部100に開口が臨む入口流路部分122と、この入口流路部分122に続く流路部分(これを「直交流路部分」という。)123と、を含み、下流側でケース101に設けた大気開放穴131に連通し、更に大気開放穴131よりも使用状態で下側になる部分に蓄積部126を連続して形成している。
この大気開放穴131にはサブタンク15内の密閉状態及び大気開放状態を切り替えるための大気開放手段である大気開放弁機構132を設けている。この大気開放弁機構132はホルダ133内に弁座134、弁体であるボール135及びこのボール135を弁座134側に付勢するスプリング136を収納して構成している。
なお、蓄積部126の作用について説明すると、装置本体が傾けられたり、揺らされたりしたときには、空気流路121内にインクが侵入する可能性が高くなる。そこで、空気流路121から侵入したインクを蓄積部126に蓄積できるようにして、輸送時に落下等されインクが侵入しても、大気開放口131及びこれを開閉する大気開放弁機構132内にインクが侵入して固まるなどして大気開放弁機構132が作動不良になることを防止している。
また、ケース101の上部にはサブタンク15内のインク量が所定量以下になったこと(この状態を「インク無し」とする)を検知するための2本の検知電極141、142を装着している。検知電極141、142がいずれもインクに浸されている状態と少なくとも一方がインクに浸されていない状態とで検知電極141、142間の導通状態が変化することによって「インク無し」を検知することができる。
本発明のインクジェット記録装置は、図11及び図12に示すように、キャリッジ13の走査方向の一方側(又は両側でもよい)の非印字領域には、記録ヘッド14のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構(以下、「サブシステム」と称することもある)71を配置している。図11は、維持回復機構の上方向から見た図であり、図12は維持ユニットの概略説明図である。このサブシステム71には、記録ヘッド14a、14bの各ノズル面をキャピングするためのキャップ部材72A、72Bと、ノズル面をワイピングするためのワイパーブレード73と、を備えている。このキャップ部材72Aとワイパーブレード73との間にインクを空吐出する際の空吐出受けが設けられている。この空吐出受けは、ここにインクが吐き出され下部の廃液タンクまで流れるように構成されており、この部分(吐き出された部分)にインクが固着し易いので、固着したインクを自動的に掻き落すワイパーが設けられている。
次に、本発明のインクジェット記録装置に係る維持回復機構71について説明する。
図11及び図12に示すように、まず、モータ231が正転すると、モータギヤ232、ポンプギヤ234、中間ギヤ235、中間ギヤ236、中間ギヤ237までが回転し、チューブポンプ220が作動してポンプとチューブ219で連結された一番右(記録領域側)のキャップ内を吸引する。その他のギヤは、一方向クラッチ237が不連結となり作動しない。
モータ231が逆転すると、一方向クラッチ237が連結され、モータ〜カム軸までが回転する。チューブポンプ220は逆転するが、ポンプとしては作動しない構造となっている。
カム軸221には、キャリッジロックカム227とキャップカム222B及び222Aとワイパーカム224及びワイパークリーナカム228及びホームポジションセンサ用カム241が一体的に回転するように取付けられている。
キャリッジロック215は圧縮ばね(不図示)により上方(ロック方向)に付勢されている。キャリッジロックカム227のカム面と接触したキャリッジロックアーム217によりキャリッジロック215は上下させられる。
キャップ72A及び72B、キャップホルダ212Aは、キャップカム222A及び222Bにより上下させられる。
ワイパー73は、ワイパーカム228により上下させられる。
ワイパークリーナ218は、バネによりワイパー73から離れる方向に付勢されていて、ワイパークリーナカム218によりワイパー方向に動作する。ワイパー73はワイパークリーナ218と空吐出受けに挟まれながら下降することにより、ワイパー73のインクが空吐出内へ掻き落とされる。
維持ユニット本体にはセンサ(ホトインタラプタ/不図示)が固定されており、ホームポジションカムにてキャップが最下端にきた時にHPレバー(不図示)を動作させセンサが開状態になってモータ(ポンプ以外の)ホームポジションを検知する(それ以外は、HPレバーは動作せずにセンサは常時閉)構成となっている。
電源ON時には、キャップ72A及び72B、キャップホルダ212A及び212Bの位置に関係なく上下し(移動開始までは位置検出を行わない)、キャップのホーム位置(上昇途中)を検知した後に、定められた量を移動して最下端へ移動する。その後、キャリッジが左右に移動して位置検知後キャップ位置に戻り、キャッピングされる。
モータ逆転時の動作順序は、キャップ上昇(キャリッジロックもほぼ同時)、キャップ下降(キャリッジロックもほぼ同時)、ホームポジションセンサ開、ワイパー上昇、ワイパークリーナ動作開始(ワイパーを空吐出受けに押し付ける)、ワイパー下降(ワイパーをワイパークリーナでしごく)、ワイパークリーナ戻りへ戻る一連の動作を繰り返す。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
(インクメディアセット)
本発明のインクメディアセットは、第1形態では、記録用インクと、記録用メディアとからなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
前記記録用インクが、着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分、水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分、及び水を少なくとも含有し、該液体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以下である。
本発明のインクメディアセットは、第2形態では、記録用インクと、記録用メディアとからなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
前記記録用インクが、ポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン型の顔料、水分散性樹脂微粒子、及び湿潤剤を少なくとも含有してなり、前記ポリマーエマルジョン型の顔料と前記水分散性樹脂微粒子との合計固形分量が20質量%以上であり、かつ前記湿潤剤の含有量が20質量%以上である。
本発明のインクメディアセットは、第3形態では、記録用インクと、記録用メディアとからなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
前記記録用インクが、着色剤、水分散性樹脂、及び湿潤剤を少なくとも含有してなり、該記録用インクにおける固形分の合計含有量が20質量%以上であり、前記湿潤剤の含有量が20質量%以上であり、該湿潤剤がグリセリン単独であるか、又はグリセリンの前記湿潤剤中における含有量が80質量%以上である。
このように湿潤剤としてグリセリンの割合を多くするのは、グリセリンが他の湿潤剤に比べ平衡水分量が極めて高く、水分蒸発速度を抑制可能で、インク乾燥後のインクの凝固の抑制が可能なためであり、同じ量の湿潤剤を添加しても、グリセリンは他の溶媒に比べインクの粘度をそれほど増加させないという利点がある。
このような湿潤剤の含有量を多くした第2及び第3形態の記録用インクの場合、乾燥速度を上げるためには、乾燥を行うことが好ましい。乾燥としては記録前に乾燥を行う方法でも、記録後に乾燥を行う方法のどちらでもよい。
前記乾燥手段としては、マイクロ波エネルギーを使用して紙にマイクロ波エネルギーを与えるもの、ヒーティングワイヤー方式のもののような非接触式のものでもよい。また接触式のもの(例えば加熱ローラ)を別に設けてもよい。ローラ自身を直接加熱するもの、あるいは他の熱源からローラを間接的に加熱するものでもよい。
前記第1形態から第3形態のいずれかのインクメディアセットにおける記録用メディアとしては、以下のものが用いられる。
<記録用メディア>
前記記録用メディアは、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記記録用メディアにおいては、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量は、2〜35ml/mであり、2〜10ml/mが好ましい。
前記接触時間100msでの前記インク及び純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
動的走査吸液計で測定した接触時間400msにおける純水の前記インクの前記記録用メディアへの転移量は、3〜40ml/mであり、3〜10ml/mが好ましい。
前記接触時間400msでの転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。
ここで、前記動的走査吸収液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88〜92頁、空閑重則)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置である。前記動的走査吸液計は、吸液の速度をキャピラリー中のメニスカスの移動から直読する、試料を円盤状とし、この上で吸液ヘッドをらせん状に走査する、予め設定したパターンに従って走査速度を自動的に変化させ、1枚の試料で必要な点の数だけ測定を行う、という方法によって測定を自動化したものである。紙試料への液体供給ヘッドはテフロン(登録商標)管を介してキャピラリーに接続され、キャピラリー中のメニスカスの位置は光学センサで自動的に読み取られる。具体的には、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水又はインクの転移量を測定した。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めることができる。
−支持体−
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが挙げられる。
前記紙としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材パルプ、古紙パルプなどが用いられる。前記木材パルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、NBSP、LBSP、GP、TMPなどが挙げられる。
前記古紙パルプの原料としては、財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。具体的には、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙等のプリンタ用紙;PPC用紙等のOA古紙;アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗工紙;上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗工紙、などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記古紙パルプは、一般的に、以下の4工程の組み合わせから製造される。
(1)離解は、古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵は、古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びゴミをスクリーン、クリーナー等により除去する。
(3)脱墨は、繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、又は洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白は、酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
前記古紙パルプを混合する場合、全パルプ中の古紙パルプの混合比率は、記録後のカール対策から40%以下が好ましい。
前記支持体に使用される内添填料としては、例えば、白色顔料として従来公知の顔料が用いられる。前記白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のような白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような有機顔料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記支持体を抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、例えば、中性抄紙に用いられる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤などが挙げられる。これらの中でも、中性ロジンサイズ剤又はアルケニル無水コハク酸が特に好適である。前記アルキルケテンダイマーは、そのサイズ効果が高いことから添加量は少なくて済むが、記録用紙(メディア)表面の摩擦係数が下がり滑りやすくなるため、インクジェット記録時の搬送性の点からは好ましくない場合がある。
−塗工層−
前記塗工層は、顔料及びバインダー(結着剤)を含有してなり、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。
前記顔料としては、無機顔料、もしくは無機顔料と有機顔料を併用したものを用いることができる。
前記無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クロライトなどが挙げられる。これらの中でも、カオリンは光沢発現性に優れており、オフセット印刷用の用紙に近い風合いとすることができる点から特に好ましい。
前記カオリンには、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、表面改質等によるエンジニアードカオリン等があるが、光沢発現性を考慮すると、粒子径が2μm以下の割合が80質量%以上の粒子径分布を有するカオリンが、カオリン全体の50質量%以上を占めていることが好ましい。
前記カオリンの添加量は、前記バインダー100質量部に対し50質量部以上が好ましい。前記添加量が50質量部未満であると、光沢度において十分な効果が得られないことがある。前記添加量の上限は特に制限はないが、カオリンの流動性、特に高せん断力下での増粘性を考慮すると、塗工適性の点から、90質量部以下がより好ましい。
前記有機顔料としては、例えば、スチレン−アクリル共重合体粒子、スチレン−ブタジエン共重合体粒子、ポリスチレン粒子、ポリエチレン粒子等の水溶性ディスパージョンがある。これら有機顔料は2種以上が混合されてもよい。
前記有機顔料の添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対し2〜20質量部が好ましい。前記有機顔料は、光沢発現性に優れていることと、その比重が無機顔料と比べて小さいことから、嵩高く、高光沢で、表面被覆性の良好な塗工層を得ることができる。前記添加量が2質量部未満であると、前記効果がなく、20質量部を超えると、塗工液の流動性が悪化し、塗工操業性の低下に繋がることと、コスト面からも経済的ではない。
前記有機顔料には、その形態において、密実型、中空型、ドーナツ型等があるが、光沢発現性、表面被覆性及び塗工液の流動性のバランスを鑑み、平均粒子径は0.2〜3.0μmが好ましく、より好ましくは空隙率40%以上の中空型が採用される。
前記バインダーとしては、水性樹脂を使用するのが好ましい。
前記水性樹脂としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の少なくともいずれかを好適に用いられる。前記水溶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールの変性物;ポリウレタン;ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、四級化したビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムの共重合体等のポリビニルピロリドンの変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等セルロース;カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースの変性物;ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、メラミン樹脂、又はこれらの変性物、ポリエステルとポリウレタンの共重合体等の合成樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、又は各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、インク吸収性の観点から、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルとポリウレタンの共重合体、などが特に好ましい。
前記水分散性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリビニルエーテル、シリコーン−アクリル系共重合体、などが挙げられる。また、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等の架橋剤を含有してよいし、N−メチロールアクリルアミドなどの単位を含む共重合体で自己架橋性を持つものでもよい。これら水性樹脂の複数を同時に用いることも可能である。
前記水性樹脂の添加量は、前記顔料100質量部に対し、2〜100質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましい。前記水性樹脂の添加量は記録用メディアの吸液特性が所望の範囲に入るように決定される。
前記着色剤として水分散性の着色剤を使用する場合には、カチオン性有機化合物は必ずしも配合する必要はないが、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択使用することができる。例えば、水溶性インク中の直接染料や酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と反応して不溶な塩を形成する1級〜3級アミン、4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマーなどが挙げられ、これらの中でも、オリゴマー又はポリマーが好ましい。
前記カチオン性有機化合物としては、例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン縮合物、ポリ(メタクリル酸トリメチルアミノエチル・メチル硫酸塩)、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ポリ(ジアリルアミン塩酸塩・二酸化イオウ)、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリ(アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩)、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・塩化アンモニウム・尿素・ホルムアルデヒド縮合物、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・二酸化イオウ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・ジアリルアミン塩酸塩誘導体)、アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、アクリル酸塩・アクリルアミド・ジアリルアミン塩酸塩共重合物、ポリエチレンイミン、アクリルアミンポリマー等のエチレンイミン誘導体、ポリエチレンイミンアルキレンオキサイド変性物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ポリアリルアミン塩酸塩等の低分子量のカチオン性有機化合物と他の比較的高分子量のカチオン性有機化合物、例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)等とを組み合わせて使用するのが好ましい。併用により、単独使用の場合よりも画像濃度を向上させ、フェザリングが更に低減される。
前記カチオン性有機化合物のコロイド滴定法(ポリビニル硫酸カリウム、トルイジンブルー使用)によるカチオン当量は3〜8meq/gが好ましい。前記カチオン当量がこの範囲であれば上記乾燥付着量の範囲で良好な結果が得られる。
ここで、前記コロイド滴定法によるカチオン当量の測定に当たっては、カチオン性有機化合物を固形分0.1質量%となるように蒸留水で希釈し、pH調整は行わないものとする。
前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量は0.3〜2.0g/mが好ましい。前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量が0.3g/mより低いと、充分な画像濃度向上やフェザリング低減の効果が得られないことがある。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アニオン活性剤、カチオン活性剤、両性活性剤、非イオン活性剤のいずれも使用することができる。これらの中でも、非イオン活性剤が特に好ましい。前記界面活性剤を添加することにより、画像の耐水性が向上するとともに、画像濃度が高くなり、ブリーディングが改善される。
前記非イオン活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙られる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビトール、ショ糖などが挙げられる。また、エチレンオキサイド付加物については、水溶性を維持できる範囲で、エチレンオキサイドの一部をプロピレンオキサイドあるいはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに置換したものも有効である。置換率は50%以下が好ましい。前記非イオン活性剤のHLB(親水性/親油性比)は4〜15が好ましく、7〜13がより好ましい。
前記界面活性剤の添加量は、前記カチオン性有機化合物100質量部に対し、0〜10質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。
前記塗工層には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて、その他の成分を添加することができる。該その他の成分としては、アルミナ粉末、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤が挙げられる。
前記塗工層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記支持体上に塗工層液を含浸又は塗布する方法により行うことができる。前記塗工層液の含浸又は塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレス、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機で塗工することも可能であるが、コストの点から、抄紙機に設置されているコンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレスなどで含浸又は付着させ、オンマシンで仕上げてもよい。
前記塗工層液の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、固形分で、0.5〜20g/mが好ましく、1〜15g/mがより好ましい。
前記含浸又は塗布の後、必要に応じて乾燥させてもよく、この場合の乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜250℃程度が好ましい。
前記記録用メディアの坪量は、50〜250g/mが好ましく、50〜200g/mがより好ましい。前記坪量が50g/m未満であると、コシがないために搬送経路の途中で記録用メディアが詰まってしまうなどの搬送不良が生じやすい。一方、前記坪量が250g/mを超えると、コシが大きくなりすぎるため搬送経路の途中にある曲線部で記録用メディアが曲がりきれず、やはり記録用メディアが詰まってしまうなどの搬送不良が生じやすい。
前記記録用メディアは、更に支持体の裏面にバック層、支持体と塗工層との間、また、支持体とバック層間にその他の層を形成してもよく、塗工層上に保護層を設けることもできる。これらの各層は単層であっても複数層であってもよい。
前記記録用メディアは、吸液特性が上記本発明の範囲であれば、インクジェット記録用メディアの他、市販のオフセット印刷用コート紙、グラビア印刷用コート紙などであってもよい。
(インク記録物)
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録されたインク記録物は、本発明のインク記録物である。本発明のインク記録物は、記録用メディア上に本発明の前記記録用インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録用メディアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、普通紙、印刷用塗工紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、普通紙及び印刷用塗工紙の少なくともいずれかが好ましい。
前記普通紙は安価である点で有利である。また、前記印刷用塗工紙は光沢紙に比べ比較的安価でしかも平滑な光沢ある画像を与える点で有利である。しかし、乾燥性が悪く一般にインクジェット用には使用困難であったが、本発明の記録用インクにより乾燥性が向上し使用可能となった。
前記印刷用塗工紙は、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を設けてなる記録用メディアであって、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mである。これらは市販インクジェット用紙に比べ転移量、即ち、水吸収能力が小さいものである。
これらのうち特に転移量の少ない、即ち、水吸収能力の低い記録用メディアにおいて本発明の記録用インクが特に有効である。具体的には、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量が2〜10ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量が3〜10ml/mである。
前記接触時間100msにおける液体の転移量が上記範囲を下回る場合には、ビーディングが発生しやすく、上回る場合には記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。接触時間400msにおける液体の転移量が上記範囲を下回る場合には、乾燥性が不十分であるために拍車痕が発生しやすく、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすい。ただし、これらはあくまでも乾燥時間に関係し、高沸点の液体成分を減少した本発明の記録用インクは上記範囲を下回る紙にても乾燥性向上にある程度の効果を有する。
これらの水吸収能力の小さな紙は、市販のオフセット用コート紙などとして入手可能である。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
−ポリマー溶液Aの調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液A 800gを調製した。
(製造例1−1)
−マゼンタ顔料ポリマー微粒子水分散体の作製−
次に、得られたポリマー溶液Aを28g、C.I.ピグメントレッド122を42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去して、顔料15質量%含有、固形分20質量%の製造例1−1のマゼンタ顔料ポリマー微粒子の水分散体を作製した。
(製造例1−2)
−シアン顔料ポリマー微粒子水分散体の作製−
製造例1−1において、C.I.ピグメントレッド122の代わりに銅フタロシアニン顔料を用いた以外は、製造例1−1と同様にして、製造例1−2のシアン顔料ポリマー微粒子の水分散体を作製した。なお、固形分20質量%、顔料着色剤12質量%となるように調製した。
(製造例1−3)
−イエロー顔料ポリマー微粒子水分散体の作製−
製造例1−1において、C.I.ピグメントレッド122の代わりにC.I.ピグメントイエロー74を用いた以外は、製造例1−1と同様にして、製造例1−3のイエロー顔料ポリマー微粒子の水分散体を作製した。なお、固形分20質量%、顔料着色剤12質量%となるように調製した。
(製造例2)
−表面処理顔料分散液の調製−
CTAB比表面積が150m/g、DBP吸油量100ml/100gのカーボンブラック90gを、2.5Nの硫酸ナトリウム溶液3,000mlに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行った。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。得られたカーボンブラックを水洗いし乾燥させて、固形分20質量%となるよう純水中に分散させて、製造例2のブラック顔料分散液を作製した。
(製造例3)
−ポリマー微粒子分散体Bの調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、ラテムルS−180 8.0g、イオン交換水350gを加え混合し、65℃に昇温した。昇温後、反応開始剤であるt−ブチルパーオキソベンゾエート3.0g、イソアスコルビン酸ナトリウム1.0gを加え、5分後にメタクリル酸メチル45g、メタクリル酸2エチルヘキシル160g、アクリル酸5g、メタクリル酸ブチル45g、メタクリル酸シクロヘキシル30g、ビニルトリエトキシシラン15g、ラテムルS−180 8.0g、及びイオン交換水340gを混合し、3時間かけて滴下を行った。その後、80℃で2時間加熱熟成を行った後、常温まで冷却し水酸化ナトリウムでpHを7〜8に調整した。エバポレータ用いてエタノールを留去し、水分調節をして、固形分40質量%の製造例3のポリマー分散体B溶液730gを作製した。
(実施例1)
−記録用インクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、記録用インクを作製した。
<インク組成>
・製造例1−2の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体(固形分=約20質量%、残りは水、固形分中の着色剤/樹脂(質量比)=6/4)・・・32質量%
・製造例3のアクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・50質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・3.2質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・2質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・1質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・0.6質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
上記インク組成のうち、常温(25℃)で液体の湿潤剤としてのグリセリン、1,3−ブタンジオール、常温(25℃)で液体の浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び界面活性剤との合計含有量は8.2質量%であった。これらが、水よりも高沸点の25℃で液体の液体成分に該当する。
水は64.7質量%であり、常温(25℃)で液体の成分における水の割合は88質量%であった。
常温(25℃)で固体の着色剤の含有量は、3.8質量%であった。
樹脂成分は、銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体からの樹脂と、アクリルシリコーンエマルジョンからの樹脂とで合計22.6質量%であった。
樹脂成分の合計含有量は、前記着色剤と前記樹脂成分との合計量に対し、〔22.6/(22.6+3.8)〕×100より、85質量%であった。
なお、ここでの樹脂成分には、銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体からの樹脂も含める。以後の実施例及び比較例についても同様である。
(実施例2)
−記録用インクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、記録用インクを作製した。
<インク組成>
・製造例1−1のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子分散体(固形分=約20質量%、残りは水、固形分中の着色剤/樹脂(質量比)=7.5/2.5)・・・32質量%
・製造例3のアクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・50質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・3.2質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・2質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・1質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・0.6質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
上記インク組成のうち、常温(25℃)で液体の湿潤剤としてのグリセリン、1,3−ブタンジオールと、常温(25℃)で液体の浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び界面活性剤との合計含有量は8.2質量%であった。これらが、水よりも高沸点の25℃で液体の液体成分に該当する。
水は64.7質量%であり、常温(25℃)で液体の成分のうちの水の割合は89質量%であった。
常温(25℃)で固体の着色剤の含有量は4.8質量%であった。
樹脂成分は、顔料分散体からのものと、アクリルシリコーンエマルジョンからのものとで合計21.6質量%であった。
樹脂成分の合計含有量は、前記着色剤と前記樹脂成分との合計量に対し、〔21.6/(21.6+4.8)〕×100より、82.0質量%であった。
(実施例3)
−記録用インクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、記録用インクを作製した。
<インク組成>
・製造例1−3の黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体(固形分=約20質量%、残りは水、固形分中の着色剤/樹脂(質量比)=6/4)・・・32質量%
・製造例3のアクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・50質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・3.2質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・2質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・1質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・0.6質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
上記インク組成のうち、常温(25℃)で液体の湿潤剤としてのグリセリン、1,3−ブタンジオール、常温(25℃)で液体の浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、及び界面活性剤との合計8.2質量%であった。これらが、水よりも高沸点の25℃で液体の液体成分に該当する。
水は64.7質量%であり、常温(25℃)で液体の成分のうち水の割合は89質量%であった。
常温(25℃)で固体の着色剤の含有量は3.8質量%であった。
樹脂成分は、顔料分散体からのものと、アクリルシリコーンエマルジョンからのものとで合計22.6質量%であった。
樹脂成分の合計含有量は、前記着色剤と前記樹脂成分との合計量に対し、〔22.6/(22.6+3.8)〕×100より、85.5質量%であった。
(実施例4)
−記録用インクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、記録用インクを作製した。
<インク組成>
・製造例2の親水基を有するカーボンブラック分散液(固形分20質量%、残りは水、固形分中の着色剤/樹脂(質量比)=10/0)・・・30質量%
・製造例3のアクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・45質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・5質量%
・湿潤剤としての2−ピロリドン・・・2質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・1質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・安定剤・・・0.0005質量%
・有機pH調整剤(2種)・・・0.65質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
上記インク組成のうち、常温(25℃)で液体の湿潤剤としての1,3−ブタンジオール、2−ピロリドン、常温(25℃)で液体の浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び界面活性剤の合計10質量%であった。これらが、水よりも高沸点の25℃で液体の液体成分に該当する。
水は65質量%であり、常温(25℃)で液体の成分のうち水の割合は87質量%であった。
常温(25℃)で固体の着色剤の含有量は6質量%であった。
樹脂成分の含有量は、アクリルシリコーンエマルジョンからのもので18質量%であった。
樹脂成分の合計含有量は、前記着色剤と前記樹脂成分との合計量に対し、〔18/(18+6)〕×100より、75質量%であった。
得られた実施例1〜4の各記録用インクについて、以下のようにして、表面張力、pH、及び粘度を測定した。結果を表1に示す。
<pHの測定>
pHは、pHメーター MODEL HM3A(東亜電波工業株式会社製)を使用して、23℃で測定した。
<粘度の測定>
粘度は、RE500形粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、コーン34×R24、180rpm、3分間後の条件により、25℃で測定した。
<表面張力の測定>
表面張力は、表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z)を用い、白金プレートを使用して25℃で測定した静的表面張力である。
<印写実験>
得られた各記録用インクを使用して、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、G707)にて印写を行った。
紙として、普通紙(株式会社リコー製、T6200紙)、及び水を吸収しにくい印刷用紙(王子製紙株式会社製、PODグロスコート100g/m紙)を使用した。PODグロスコート100g/m紙について動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量は3.1ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量は3.5ml/mであった。
その結果、いずれの記録用インクにおいても、普通紙の株式会社リコー製造T6200紙では裏抜けのない、画像濃度の高い、しかも普通紙にも関わらず、発色のよいにじみのない画像が得られた。
また、水が浸透しにくいPODグロスコート紙においては、印字後1分間以内で擦っても殆ど色汚れがしない、乾燥時間に殆ど問題のない画像が得られた。更に、PODグロスコート100g/m紙の画像は鮮明で印刷物に近い画像が得られた。
(比較例1)
−記録用インクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、記録用インクを作製した。
<インク組成>
・製造例1−1のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体(固形分=約20質量%、残りは水、固形分中の着色剤/樹脂(質量比)=7.5/2.5)・・・33.5質量%
・製造例3のアクリルシリコーンエマルジョン〔固形分=約40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・25質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・7.5質量%
・湿潤剤としての3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・22.5質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤・・・1質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・0.6質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
上記インク組成のうち、常温(25℃)で液体の湿潤剤としてのグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、常温(25℃)で液体の浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、及び界面活性剤の合計33質量%であった。これらが、水よりも高沸点の25℃で液体の液体成分に該当する。
水は49.5質量%であり、常温(25℃)で液体の成分のうち水の割合は60質量%であった。
常温(25℃)で固体の着色剤の含有量は5質量%であった。
樹脂成分は、顔料分散体からのものと、アクリルシリコーンエマルジョンからのものとの合計で11.7質量%であった。
樹脂成分の合計含有量は、全固形分に対し70質量%であった。
(比較例2)
−記録用インクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、記録用インクを作製した。
<インク組成>
・製造例1−1のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体(固形分=約20質量%、残りは水、固形分中の着色剤/樹脂(質量比)=7.5/2.5)・・・54質量%
・製造例3のアクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・9質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・7質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・22.5質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・1質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・0.6質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
上記インク組成のうち、常温(25℃)で液体の湿潤剤としてのグリセリン、1,3−ブタンジオール、常温(25℃)で液体の浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、及び界面活性剤の合計32.5質量%であった。これらが、水よりも高沸点の25℃で液体の液体成分に該当する。
水は52.3質量%であり、常温(25℃)で液体の成分のうち水の割合は61.7質量%であった。
常温(25℃)で固体の着色剤の含有量は8.1質量%であった。
樹脂成分は、顔料分散体からのものと、アクリルシリコーンエマルジョンからのものとの合計で6.3質量%であった。
樹脂成分の合計含有量は、前記着色剤と前記樹脂成分との合計量に対し、〔6.3/(6.3+8.1)〕×100より、44質量%であった。
(比較例3)
−記録用インクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、記録用インクを作製した。
<インク組成>
・製造例1−1のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体(固形分=約20質量%、残りは水、固形分中の着色剤/樹脂(質量比)=7.5/2.5)・・・74質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・7質量%
・湿潤剤としての3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・15質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤(ソフタール EP−5035、株式会社日本触媒製)・・・1質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・0.2質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
上記インク組成のうち、常温(25℃)で液体の湿潤剤としてのグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、常温(25℃)で液体の浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、及び界面活性剤の合計25質量%であった。これらが、水よりも高沸点の25℃で液体の液体成分に該当する。
水は59.9質量%であり、常温(25℃)で液体の成分のうち水の割合は71質量%であった。
常温(25℃)で固体の着色剤の含有量は11質量%であった。
樹脂成分は、顔料分散体からのもので3.7質量%であった。
樹脂成分の合計含有量は、固形分全量に対し、25質量%であった。
(比較例4)
−記録用インクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、記録用インクを作製した。
<インク組成>
・製造例1−1のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体(固形分=約20質量%、残りは水、固形分中の着色剤/樹脂(質量比)=7.5/2.5)・・・29質量%
・製造例3のアクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・43質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・6質量%
・湿潤剤としての3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・19質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・1.7質量%
・フッ素系界面活性剤・・・0.85質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・安定剤・・・0.0005質量%
・アミン系有機pH調整剤(2種)・・・0.2質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
上記インク組成のうち、常温(25℃)で液体の湿潤剤としてのグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、常温(25℃)で液体の浸透剤としての2−ピロリドン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、及び界面活性剤の合計28質量%であった。これらが、水よりも高沸点の25℃で液体の液体成分に該当する。
水は49質量%であり、常温(25℃)で液体の成分のうち水の割合は64質量%であった。
常温(25℃)で固体の着色剤の含有量は4.4質量%であった。
樹脂成分の含有量は、顔料分散体からのものと、アクリルシリコーンエマルジョンからのものとの合計で18.7質量%であった。
樹脂成分の合計含有量は、固形分全量に対し81質量%であった。
次に、比較例1〜4の各記録用インクについて、実施例1〜4と同様にして、表面張力(25℃)及び粘度(25℃)を測定した。結果を表2に示す。
<比較例1〜4の印写実験>
比較例1〜4の各記録用インクを用いて、実施例1〜4と同様にして、印写実験を行った。その結果、比較例1、2、及び3のインクは、実施例に比べると印刷用紙(王子製紙株式会社製、PODグロスコート100g/m紙)での乾燥性に劣っていた。特に比較例2において、同一組成の他の色と重ねて二次色を作る場合の乾燥性の悪化を確認した。溶媒量が大きいこと、溶媒のうち蒸発し易い水の比率が小さいためと思われる。しかし、比較例1は実施例1に比べると前記のグロス紙での乾燥性は劣るが、固形分が比較的高く、樹脂が多いため画像は良好である。印写時のインク付着量を低めに調整すればグロス紙でも使用可能である。特に比較例1は樹脂、固形分が多いため比較例2に比べると前記印刷用紙(王子製紙株式会社製、PODグロスコート100g/m紙)での画質も普通紙での画質も向上していた。
これに対し、実施例1〜4のように固形分が20質量%以上で、かつ、液体である成分のうち、水の割合が85質量%以上あれば(即ち、水より高沸点の25℃で液体成分が少なければ)印刷用塗工紙のような水を吸収しにくい紙でも乾燥速度が速く、画像も良好になる。比較例4は固形分が多く、固形分中の樹脂比率も多いが湿潤剤比率も多いため、インク粘度が高くなるため、マシンによっては噴射が困難になる(ただし、固形分が多いため、印写時のインク付着量を調整し、噴射安定化のための維持の工夫により前記のグロス紙でも使用可能である)。また、比較例3は、樹脂比率が少ないため画像光沢性及び耐マーカー性がやや劣った。
表3には、実施例1〜4及び比較例1〜4の成分割合を示した。
また、25℃で固体である成分の割合は、固形分が多くなるとインク粘度が増加する。インク粘度はそれほど大きくはできないため、せいぜい50質量%が限度である。固体分量の下限は、特にないが画像濃度を確保するためには10質量%は必要である。また、湿潤剤が低濃度の場合には、粘度がある程度高く画像をよくするには固形分量は20質量%以上が好ましい。粘度が低く固形分量を変化させた場合についての課題を下記表5にまとめて示す。ただし、特に噴射信頼性を重視する場合には固形分は20質量%以下にし、低粘度化する場合もあるが、その場合も湿潤剤量(あるいは25℃で液体である成分量)が20質量%以下であれば、本発明の前記記録用メディアのような水吸収能力の小さな記録媒体での乾燥性向上に役立つ。
表5に示すように、オフセットコート紙の乾燥速度の点からは湿潤剤量は20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。ただし、乾燥に影響されない遅い印写速度ではその限りでない。一方、湿潤剤量が3質量%未満であると固形分が多い場合、噴射信頼性に問題がある。ただし、各種維持機構の工夫で使用できないことはない。
ここでの印刷用塗工紙とは、例えば、王子製紙株式会社製、PODグロスコート100g/m紙のような、通常のインクジェット専用紙あるいは普通紙に比べて水を吸水しにくい平滑な紙を意味する(必ずしもメーカーの指定する用途とは一致しない)。これらの紙はインクジェット専用紙、あるいは上質紙のような水を吸収する能力はなく、通常のインクジェットインクでは乾燥に非常に時間がかかる。
<長期停止時後の印写試験>
次に、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、G707)を用いて、実施例1〜4の各記録用インクを印写した。その際、保湿キャップを閉じた状態にしてその中に水を0.1ccほど入れた状態にして印字を停止し、保管した。その後、3日間経過しても目詰まりせずに印字再開できた。このことから、停止時には水を保湿キャップに供給することが有効であることが認められた。水をキャップ内に入れないと再開時に多少目つまりは生じたがクリーニングで回復した。
また、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、G707)を用いて、実施例1〜4の各記録用インクを印写した後、1日間停止した後、シアン、イエローについては全チャンネル印写可能であったが、マゼンタはノズル抜けが10%ほど発生した。そこで、湿潤剤量の多い比較例2のマゼンタインクに置換して保管した。保管後、オフセットコート紙印写時は、実施例2の低湿潤剤インクに置換して印写したところ、問題なく印写可能であった。
このように紙媒体に応じて使用するインクを低湿潤剤インクとし、保管時は高湿潤剤濃度インクとすることにより、吸水性の悪い印刷用紙でも乾燥の速い印写が可能となる。
また、実施例1〜4の各記録用インクのかわりに、グリセリン5質量%、ブタンジオール20質量%、残部水を含有し、アミン系pH調整剤でpH=9とした保湿液を使用したところ、長期停止時はこの保湿液に変えると問題なく印写を継続可能であった。
(実施例5)
−記録用インクの作製−
実施例1において、フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)を、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤(信越化学工業株式会社製、製品名:KF−642)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の記録用インクを作製した。
(実施例6)
−記録用インクの作製−
実施例2において、フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)を、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤(信越化学工業株式会社製、製品名:KF−642)に変えた以外は、実施例2と同様にして、実施例6の記録用インクを作製した。
(実施例7)
−記録用インクの作製−
実施例3において、フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)を、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤(信越化学工業株式会社製、製品名:KF−642)に変えた以外は、実施例3と同様にして、実施例7の記録用インクを作製した。
(実施例8)
−記録用インクの作製−
実施例4において、フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)を、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤(信越化学工業株式会社製、製品名:KF−642)に変えた以外は、実施例4と同様にして、実施例8の記録用インクを作製した。
得られた実施例5〜8の各記録用インクは、25℃での表面張力が、いずれも26±2mN/mの範囲であり、粘度5.3±0.4mPa・s(25℃)であった。これらのインクは、長期保存しても表面張力が変化しにくいものであった。
<印写実験>
得られた各記録用インクについて、実施例1〜4と同様にして、印写実験を行った。その結果、いずれのインクを用いた場合にも、レベリング性がよく、吸水性の悪いPODグロスコート100g/m紙でもきれいな画像が得られた。しかも乾燥性に問題はなかった。
(実施例9)
実施例1において、フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)を、ノニオン系のポリオキシエチレン系界面活性剤に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例9の記録用インクを作製した。
得られた実施例9の記録用インクは、25℃での表面張力が30mN/mであり、pH9.1、粘度5.3mPa・s(25℃)であった。
<印写実験>
得られた記録用インクについて、実施例1〜4と同様にして、印写実験を行った。その結果、画像はある程度良好であったが、シリコーン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤を用いた場合よりもやや劣る結果となった。
(比較例5)
−記録用インクの作製−
実施例2において、フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)、及び浸透剤を添加しない以外は、実施例2と同様にして、比較例5の記録用インクを作製した。
得られた比較例5の記録用インクの25℃での表面張力は40mN/m以上であり、pH9.2、粘度4.8mPa・s(25℃)であった。
<印写実験>
得られた記録用インクについて、実施例1〜4と同様にして、印写実験を行った。その結果、インクの表面張力が高く、ノズルが濡れにくいためか印写が不安定であった。
(比較例6)
実施例4において、カーボンブラック分散液を55質量%に変え、アクリルシリコーンエマルジョンを17質量%に変えた以外は、実施例4と同様にして、記録用インクを調製した。このインクは固形分中樹脂比率が38質量%、25℃で液体の高沸点液体成分の含有量が7質量%である。
<印写実験>
得られた記録用インクについて、実施例1〜4と同様にして、印写実験を行った。その結果、印刷用紙での乾燥は速いものの、樹脂が少ないため、色調もくすみ、やや定着性が劣った。
(実施例10)
−インクセット及びインクメディアセットの調製−
実施例1〜4の各インクを組み合わせて、実施例10のインクセットを作製した。このインクセットと、下記の各種記録用紙を用いて、以下のようにして、性能評価を行った。
<記録用紙(1)>
市販の用紙(商品名;オーロラコート、坪量=104.7g/m、日本製紙株式会社)製)
<記録用紙(2)>
王子製紙株式会社製、PODグロスコート100g/m
<記録用紙(3)>
市販のインクジェット用マットコート紙(商品名;スーパーファイン専用紙、セイコーエプソン株式会社製)
前記記録用紙(1)〜(3)について、以下のようにして、純水の転移量を測定した。結果を表6に示す。
<動的走査吸液計による水及びインクの転移量の測定>
前記記録用紙(1)〜(3)について、動的走査吸液計(型式:KS350D、協和精工株式会社製)を用いて、純水の吸収曲線を測定した。吸収曲線は転移量(mL/m)と接触時間の平方根√(ms)でプロットして一定の傾きを持つ直線とし、内挿により一定時間後の転移量の値を測定した。
次に、実施例10のインクセットを用い、記録用メディアとして、上記記録用紙(1)〜(3)を使用し、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G707)にインクを充填し、ハイグレード・高画質モードで印字を行った。
次に、得られた画像プリントについて、以下のようにして、ビーディング、光沢感を評価した。結果を表7に示す。
<ビーディング>
グリーン及びレッドのべた画像部のビーディングの程度を目視で観察し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:ビーディングの発生なく均一な印刷である。
○:かすかにビーディングの発生が認められる。
△:明確にビーディングの発生が認められる。
×:甚だしいビーディングの発生が認められる。
<光沢感の評価>
画像部の光沢感の程度を目視で観察し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:高い光沢感がある。
○:光沢感がある。
×:光沢感が認められない。
(比較例7)
−インクセットの作製−
比較例2のマゼンタインク、及び該比較例2のマゼンタインクとマゼンタ顔料以外は同一組成のシアンインク(顔料:銅フタロシアニン)と、イエローインク(顔料:C.I.ピグメントイエロー74)とからなる比較例7のインクセットを調製した。
この比較例7のインクセットを用いて、上記記録用紙(2)に印字を行った。上記実施例1〜4の画像部のインク付着量と同程度のインク付着量で比較した場合、乾燥性に劣り、二次色でのビーディングも発生した。結果を表8に示す。
表7及び表8の結果から、比較例7のインクセットに比べて、実施例10のインクセットは、純水転移量の小さな紙の場合に画質向上に効果的であることがわかる。記録用紙(1)及び(2)は、比較例7のインクセットでは乾燥が遅くビーディングが認められる。また、20秒後の印刷物は紙を重ねると裏移りしてしまう。更に、実施例10のインクセットはビーディング、及び裏移りが殆ど見られない。
記録用紙(2)と比較例7のインクセットはインク滴量の調整で使用可能な場合もあるが同じインク滴量でも実施例10のインクセットはビーディングがでない。総合的にみて、実施例10のインクセットと動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mであるメディアの組合せが好ましい。
更に、画像の光沢感からみて、接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量が2〜15ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量が3〜20ml/mであるメディアの組合せが更に好ましい。ただし、画質は多少劣るものの記録用紙(3)も使用可能である。
(実施例11)
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、マゼンタインクAを作製した。
−マゼンタインクAの処方−
・製造例1−1のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・32質量%
・製造例3のアクリルシリコーンエマルジョン・・・36質量%
・グリセリン・・・3質量%
・フッ素系界面活性剤・・・1質量%
・防腐坊カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系pH調整剤・・・0.6質量%
・シリコーンエマルジョン消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
(実施例12)
−シアンインクAの処方−
実施例11において、ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体を製造例1−2の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体に変更した以外は、実施例11と同様にして、実施例12のシアンインクAを調製した。
(実施例13)
−イエローインクAの調製−
実施例11において、ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体を製造例1−3の黄色顔料含有ポリマーに変更した以外は、実施例11と同様にして、実施例13のイエローインクAを調製した。
(実施例14)
−マゼンタインクBの調製−
実施例11において、グリセリンの含有量を13質量%に変更した以外は、実施例11と同様にして、実施例14のマゼンタインクBを調製した。
(実施例15)
−シアンインクBの調製−
実施例12において、グリセリンの含有量を13質量%に変更した以外は、実施例12と同様にして、実施例15のシアンインクBを調製した。
(実施例16)
−イエローインクBの調製−
実施例13において、グリセリンの含有量を13質量%に変更した以外は、実施例13と同様にして、実施例16のイエローインクBを調製した。
(実施例17)
−マゼンタインクCの調製−
実施例11において、グリセリンの含有量を28質量%に変更した以外は、実施例11と同様にして、実施例17のマゼンタインクCを調製した。
(実施例18)
−シアンインクCの調製−
実施例12において、グリセリンの含有量を28質量%に変更した以外は、実施例12と同様にして、実施例18のシアンインクCを調製した。
(実施例19)
−イエローインクCの調製−
実施例13において、グリセリンの含有量を28質量%に変更した以外は、実施例13と同様にして、実施例19のイエローインクCを調製した。
次に、実施例11〜19の各記録用インクについて、上記実施例1〜4と同様にして、表面張力及び粘度を測定した。結果を表9に示す。
また、実施例11〜19において、固形分量、固形分中の樹脂比率、液体中の水の割合、及び液体成分の合計量を算出した。結果を表10に示す。なお、水より高沸点の液体の計算としては、ここでは湿潤剤のほかにフッ素系界面活性剤を計算に入れている。
実施例17〜19のような湿潤剤の含有量が29質量%である記録用インクは実施例11〜16の湿潤剤の含有量が20質量%以下の記録用インクに比べると長期間ノズル放置後の噴射信頼性に優れていた。しかし、特に動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mである記録用メディアではインクの吸収速度が遅いため湿潤剤の含有量が多いと記録後の画像の乾燥速度が遅くなった。
乾燥速度を重視すれば、湿潤剤の含有量を20質量%以下と少なくし、噴射信頼性は、長期間インクジェット記録を停止する際には、記録用インクを保湿液で置換し、インクジェット記録を再開する際には、保湿液を録用インクで置換するインクジェット記録方法、及び長期間インクジェット記録を停止する際には、記録ヘッドのノズルを覆蓋する覆蓋手段に保湿液を供給する方法で対応する。
一方、噴射信頼性を重視する場合、湿潤剤の含有量を多くして、上記のようなインク吸収速度の遅い紙に対しては、乾燥が遅いことによる記録画像を重ねることによる裏移りを防止するため、記録後の乾燥時間を多く取るか、強制的な乾燥装置を設けて対応する。
従来のインクに比べ固形分量を20質量%以上と多くしているのは着色剤を紙面上に残し画像濃度を高くするためである。固形分量がこのように多いと信頼性は悪化するため、湿潤剤の含有量を多くするだけでなく、固形分量が多くても比較的信頼性の高いポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン型の顔料を使用している。また、固形分量が多いことは乾燥性の改良にも寄与する。
また、湿潤剤としてグリセリンの割合を多くするのは、グリセリンが他の湿潤剤に比べ平衡水分量が極めて高く、水分蒸発速度を抑制可能で、インク乾燥後のインクの凝固の抑制が可能なためである。なお、同じ量の湿潤剤を入れても、グリセリンは他の溶媒に比べインクの粘度をそれほど増加させない利点がある。
また、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mである記録用メディアでは比較的着色剤を隠蔽する力が強いため、着色剤が表面に留まることが画像濃度を上げるには必須である。そのため、染料インクでは着色剤が内部に侵入してしまい画像濃度が殆どでない。このような記録用メディアは顔料インクを高樹脂濃度及び高固形分濃度とすることにより、更に着色剤が記録用メディア上に留まって画像濃度に優れる。
以上のことは実際に下記の実験により確認することができた。
(実施例20)
下記処方の記録用インクを作製した。
・製造例1−2の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体(固形分=20質量%、残りは水、固形分中の着色剤/樹脂(質量比)=6/4)・・・38質量%
・製造例3のアクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕を濃縮して固形分55質量%としたもの・・・36質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・19質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・6質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・1質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・0.6質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
この実施例20の記録用インクは、湿潤剤の含有量が25質量%、総固形分量が26質量%である高固形分のシアンインクであった。
(実施例21)
実施例20において、製造例1−2の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体を、製造例1−1のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体に変えた以外は、実施例20と同様にして、湿潤剤の含有量25質量%、総固形分量が26質量%の高固形分マゼンタインクを作製した。
(実施例22)
実施例20において、製造例1−2の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体を、製造例1−3の黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体に変えた以外は、実施例20と同様にして、湿潤剤の含有量25質量%、総固形分量が26質量%の高固形分シアンインクを作製した。
次に、実施例20〜22の各記録用インクについて、上記実施例1〜4と同様の方法により25℃での粘度を測定した。結果を表11に示す。
(実施例23〜25)
実施例20〜22において、着色剤分散体の含有量を42質量%、アクリルシリコーンエマルジョンの含有量を42質量%に変え、湿潤剤としての1,3−ブタンジオールの含有量を11質量%、グリセリンの含有量を4質量%に変え、湿潤剤の含有量15質量%、総固形分量31質量%であるシアン、マゼンタ、イエローの実施例23〜25の各記録用インクを作製した。
次に、実施例23〜25の各記録用インクについて、上記実施例1〜4と同様の方法により25℃での粘度を測定した。結果を表12に示す。
実施例23〜25は固形分量をかなり多くし、湿潤剤の含有量を15質量%に抑えたものであり、実施例20〜22は固形分量を26質量%に抑え、その分湿潤剤の含有量を25質量%としたものである。
どちらも固形分量が20質量%以上とかなり高いため、普通紙(株式会社リコー製、T6200)での画像濃度は非常に高く、裏抜けも少なく、良好な画像であった(図16参照)。一方、このように高固形分濃度のインクであってもポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン型の顔料であるため噴射信頼性は良好であった。ただし、実施例23〜25の固形分31質量、湿潤剤の含有量15質量%としたものは、固形分量が非常に高いため、放置後、記録初期でノズル抜けが生じる場合があったが、実施例20〜22の湿潤剤の含有量25質量%としたものは固形分量26質量%と、かなり高い固形分であるにもかかわらず噴射が安定であった。なお、インクジェットプリンタとしては、株式会社リコー製のG707を使用した。
一方、王子製紙株式会社製のPODグロスコート100g/m紙に記録した場合の乾燥性を評価した。
実施例23〜25に比べて、湿潤剤の含有量が多い実施例20〜22は乾燥時間が長かった。図17は緑ベタ部の付着量と、ろ紙付着乾燥時間の関係を示す図である。
このPODグロスコート100g/m紙を記録前に乾燥機で加熱して実施例23〜25の記録用インクで記録した。
その結果、乾燥時間が1/2以下まで短縮した。記録中にドライヤーによる加熱、記録後の市販の加熱ローラ式乾燥機による乾燥にても乾燥時間が大幅に改良した。
このように高固形分濃度のインクであっても湿潤剤の含有量を25質量%以上にすることにより噴射信頼性は増加し、PODグロスコート100g/m紙のようなインク吸収能力の低い紙で、そのまま記録すると湿潤剤の含有量が多いため乾燥時間が長くなる場合でも、記録前後で紙を加熱し、乾燥させることにより高速記録に耐えられるようになることが分かった。
(実施例26)
下記処方の記録用インクを作製した。
・製造例1−2の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体(固形分=20質量%、残りは水、固形分中の着色剤/樹脂(質量比)=6/4)・・・45質量%
・製造例3のアクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・10質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・24質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・8質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・1質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・0.6質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
この実施例26の記録用インクは、湿潤剤の含有量が32質量%、総固形分が13質量%である高固形分のシアンインクであった。
(実施例27)
実施例26において、製造例1−2の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体を、製造例1−1のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体に変えた以外は、実施例26と同様にして、湿潤剤の含有量32質量%、総固形分13質量%の高固形分マゼンタインクを作製した。
(実施例28)
実施例26において、製造例1−2の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体を、製造例1−3の黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体に変えた以外は、実施例26と同様にして、湿潤剤の含有量32質量%、総固形分13質量%の高固形分シアンインクを作製した。
次に、実施例26〜28の各記録用インクについて、上記実施例1〜4と同様の方法により25℃での粘度を測定した。結果を表13に示す。
(実施例29〜31)
実施例26〜28において、湿潤剤としての1,3−ブタンジオールをすべてグリセリンに変えた以外は、実施例26〜28と同様にして、シアン、マゼンタ、イエローの実施例29〜31の各記録用インクを作製した。
次に、実施例29〜31の各記録用インクについて、上記実施例1〜4と同様の方法により25℃での粘度を測定した。結果を表14に示す。
表14の結果から、湿潤剤をグリセリンに変えると同じ湿潤剤の含有量でもインク粘度を低く抑えることが可能となり、その分高固形分化が容易になることがわかった。
また、それぞれのインクを湿度53%RH、温度23℃のエアコンの風下の環境でシャーレに0.5g取り蒸発量を求めた。
湿潤剤をグリセリンのみとした実施例29〜31の記録用インクは、初期から水の蒸発速度がわずかに遅く、時間経過後はかなり蒸発量に差が生じた(図18参照)。これは湿潤剤の平衡水分量の違いが蒸発速度に現れたためである。このように湿潤剤としてのグリセリンの含有量を多くすることにより低粘度化、水蒸発の防止に役立ち、特に高固形分インクの場合でも、インクの乾燥による固化が防止でき、信頼性が大きく向上した。
表15に示すインクセットA〜Cを用い、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、G707)を使用して、グロス紙(王子製紙株式会社製、PODグロスコート100g/m紙)に印写した。
その際のインク付着量と乾燥時間との関係を図13に示した。乾燥時間は1cm角にベタ印字した後、ろ紙を押し当てて、ろ紙に付着する量が大きく減少する時点での値を乾燥時間とし、インク付着量との関係を評価した。
乾燥時間が25℃で水より高沸点の液体量(大部分は湿潤剤のグリセリン)に関係しているのは明らかである。インクの付着量が20g/m必要である場合には、1分間以内で乾燥させるには、インクセットCでは不十分であり、湿潤剤(フッ素系界面活性剤を含めて)は20質量%以下であることが必要である。ただし、このことはあくまでも相対的なものであり、記録時間が十分遅くてもよければ湿潤剤量はもっと多くしても差し支えない。
以上の結果から、グロス紙のように水浸透性の少ない紙へのインクジェット印字においては、特に単位面積あたりのインク付着量が多い場合には、水の蒸発速度が効果的であることが認められる。
その場合、乾燥を十分速くするには湿潤剤量は少ない方がよい。これは従来、低表面張力の超浸透系のインクジェト印字で浸透律速のみを考慮した考え方とは本質的に異なる。一方、固形分量が多いほど許容量を超えた液体量は少なく、乾燥性によいと思われるが、湿潤剤量は同じで固形分量を増やしていくと、逆に、湿潤剤+平衡含水分が紙面上に残ってしまい乾燥性が悪くなる。要するに湿潤剤の量が乾燥性に効く、乾燥性には固形分量、湿潤剤量の最適な組合せがあると思われる。
このような乾燥に水蒸発が効果があるメカニズムを証明するには実際に水蒸発がこの速度で起こっていることを確認する必要がある。
図14は、グロス紙上で印字後のインクの蒸発速度をインクセットCを用いて緑ベタ部で直接測定したものである。図15はその蒸発量を積算したものである。ろ紙付着乾燥時間に関しては、ろ紙付着インク量が大きく減るのは1分間程度であるが、完全にろ紙付着しなくなるのは約3.5分間かかる。この時間はグリセリンの平衡含水分から求めた最終蒸発可能水分量の約70%の積算蒸発量であり、インクのろ紙付着乾燥時間にインクの水分蒸発量が十分関係してくることを示す。
このように、水吸収能力の低いグロス紙ではインクの蒸発も乾燥性に十分関係しており、低表面張力の超浸透のインクでもグロス紙ではインク水蒸発の乾燥への影響が考えられる。そのため、湿潤剤量がグロス紙での乾燥性に大きく関与していると思われる。
本発明の記録用インクは、普通紙に印字すると、高画像濃度であり、裏面濃度が低く、発色のよい、にじみのない画像が得られる。また、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙においても、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い画像が得られるので、インクメディアセット、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法に好適に用いることができる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す図である。 図2は、図1のインクカートリッジのケース(外装)も含めた図である。 図3は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す概略説明図である。 図4は、図3のインクジェット記録装置の内部構造の一例を示す概略説明図である。 図5は、本発明のインクジェットヘッドの一例を示す概略拡大図である。 図6は、本発明のインクジェットヘッドのノズル列を示す概略図である。 図7は、本発明のインクジェット記録装置における液体供給装置の分解斜視説明図である。 図8は、図7の拡大分解斜視図である。 図9は、サブタンクの模式的側面説明図である。 図10Aは、図9のA−A線での概略断面図である。 図10Bは、図9のA−A線での概略断面図である。 図11は、本発明のインクジェットプリンタの維持ユニットの上方向から見た図である。 図12は、本発明のインクジェットプリンタの維持ユニットの一例を示す概略説明図である。 図13は、インクセットA〜Cについて、付着量と乾燥時間との関係を示すグラフである。 図14は、インクセットCにおける印写後のインクの水蒸発速度の経時変化を示すグラフである。 図15は、インクセットCにおける積算水蒸発量の経時変化を示すグラフである。 図16は、実施例20〜22及び実施例23〜25について、普通紙での画像濃度及び裏抜けの結果を示すグラフである。 図17は、実施例20〜22及び実施例23〜25について、PODグロスコート100g/m紙での緑ベタ部の付着量と乾燥時間との関係を示すグラフである。 図18は、実施例26〜28及び実施例29〜31について、水分蒸発速度の結果を示すグラフである。 図19は、本発明で用いるインクジェットヘッドのノズル板の一例を示す概略断面図である。 図20Aは、本発明で用いるインクジェットヘッドのノズル板を示す概略説明図である。 図20Bは、本発明で用いるインクジェットヘッドのノズル板を示す概略説明図である。 図20Cは、本発明で用いるインクジェットヘッドのノズル板を示す概略説明図である。 図21Aは、比較のインクジェットヘッドのノズル板を示す概略説明図である。 図21Bは、比較のインクジェットヘッドのノズル板を示す概略説明図である。 図21Cは、比較のインクジェットヘッドのノズル板を示す概略説明図である。 図22は、ディスペンサを用いた塗布により、シリコーン樹脂を塗布して撥インク膜を形成する状態を示す図である。 図23Aは、本発明で用いるニードル先端の塗布口と塗布対象であるノズル板への塗布幅との関係を示す図である。 図23Bは、一般のニードルの先端と塗布対象であるノズル板への塗布幅との関係を示す図である。 図24は、ディスペンサを用いた塗布動作を示す図である。 図25は、ノズル内壁の所望の深さまでシリコーン樹脂の撥インク層を形成した状態を示す図である。 図26は、本発明で用いるインクジェットヘッドの一例を示し、エキシマレーザ加工でノズル孔が形成された状態を示す図である。 図27は、ノズル孔を加工する際に使用するエキシマレーザ加工機の構成を示した図である。 図28Aは、インクジェットヘッドの製造方法におけるノズル板製造工程におけるノズル形成部材の基材を示す図である。 図28Bは、樹脂フィルムの表面にSiO薄膜層を形成する工程を示す図である。 図28Cは、フッ素系撥水剤を塗布する工程を示す図である。 図28Dは、撥水膜蒸着後の空中放置工程を示す図である。 図28Eは、粘着テープを貼り付ける工程を示す図である。 図28Fは、ノズル孔の加工工程を示す図である。 図29は、インクジェットヘッド製造方法によりインクジェットヘッドを製造する際に使用する装置の概要を示す図である。
符号の説明
1 装置本体
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
6 インクカートリッジ装填部
7 操作部
8 前カバー
10 インクカートリッジ
11 ガイドロッド
12 ステー
13 キャリッジ
14 記録ヘッド
15 サブタンク
16 供給チューブ
22 用紙
23 給紙コロ
24 分離パッド
25 ガイド
31 搬送ベルト
32 カウンタローラ
33 搬送ガイド
34 押さえ部材
36 帯電ローラ
37 搬送ローラ
38 テンションローラ
41 インク袋
42 インク注入口
43 インク排出口
44 カートリッジ外装
71 維持回復機構(サブシステム)
100 インク収容部
101 ケース本体
102 フィルム状部材
103 バネ(スプリング)
113 連結部材
121 空気流路
126 蓄積部
131 大気開放穴
132 大気開放弁機構
133 ホルダ
134 弁座
135 ボール
136 スプリング

Claims (37)

  1. 着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分、水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分、及び水を少なくとも含有する記録用インクにおいて、
    前記液体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以下であり、
    前記固体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以上であり、かつ該固体成分における樹脂成分の合計含有量が前記固体成分の全量に対し、40〜95質量%であることを特徴とする記録用インク。
  2. 樹脂が、樹脂微粒子を含有する請求項1に記載の記録用インク。
  3. 樹脂微粒子がアクリルシリコーン樹脂を含み、かつ該アクリルシリコーン樹脂のガラス転移温度が25℃以下である請求項2に記載の記録用インク。
  4. 樹脂微粒子の体積平均粒径が10〜1,000nmである請求項2から3のいずれかに記載の記録用インク。
  5. 着色剤が、ポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン型の顔料である請求項1から4のいずれかに記載の記録用インク。
  6. 着色剤が、アニオン性親水基を有する顔料である請求項1から4のいずれかに記載の記録用インク。
  7. 液体成分が湿潤剤を含有し、かつ該湿潤剤が、グリセリン、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、及び2−ピロリドンから選択される少なくとも1種である請求項1から6のいずれかに記載の記録用インク。
  8. 液体成分が浸透剤を含有し、かつ該浸透剤が、炭素数8〜11のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物の少なくともいずれかである請求項1から7のいずれかに記載の記録用インク。
  9. 液体成分が界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤がフッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤から選択される少なくとも1種である請求項1から8のいずれかに記載の記録用インク。
  10. フッ素系界面活性剤における、フッ素置換炭素数が2〜16である請求項9に記載の記録用インク。
  11. シリコーン系界面活性剤が、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤である請求項9から10のいずれかに記載の記録用インク。
  12. 25℃での表面張力が、35mN/m以下である請求項1から11のいずれかに記載の記録用インク。
  13. 記録用インクと、記録用メディアとからなるインクメディアセットにおいて、
    前記記録用インクが、着色剤及び樹脂を含有し25℃で固体である固体成分、水よりも沸点が高く25℃で液体である液体成分、及び水を少なくとも含有し、該液体成分の前記記録用インクにおける合計含有量が20質量%以下であり、
    前記記録用メディアが、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有し、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mであることを特徴とするインクメディアセット。
  14. 樹脂が、樹脂微粒子を含有する請求項13に記載のインクメディアセット。
  15. 樹脂微粒子がアクリルシリコーン樹脂を含み、かつ該アクリルシリコーン樹脂のガラス転移温度が25℃以下である請求項14に記載のインクメディアセット。
  16. 樹脂微粒子の体積平均粒径が10〜1,000nmである請求項14から15のいずれかに記載のインクメディアセット。
  17. 着色剤がポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン型の顔料である請求項13から16のいずれかに記載のインクメディアセット。
  18. 着色剤がアニオン性親水基を有する顔料である請求項13から17のいずれかに記載のインクメディアセット。
  19. 液体成分が湿潤剤を含有し、かつ該湿潤剤が、グリセリン、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、及び2−ピロリドンから選択される少なくとも1種である請求項13から18のいずれかに記載のインクメディアセット。
  20. 液体成分が浸透剤を含有し、かつ該浸透剤が、炭素数8〜11のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物の少なくともいずれかである請求項13から19のいずれかに記載のインクメディアセット。
  21. 液体成分が界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤がフッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤から選択される少なくとも1種である請求項13から20のいずれかに記載のインクメディアセット。
  22. フッ素系界面活性剤における、フッ素置換炭素数が2〜16である請求項21に記載のインクメディアセット。
  23. シリコーン系界面活性剤が、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤である請求項21から22のいずれかに記載のインクメディアセット。
  24. 25℃での表面張力が、35mN/m以下である請求項13から23のいずれかに記載のインクメディアセット。
  25. 記録用インクと、記録用メディアとからなるインクメディアセットにおいて、
    前記記録用インクが、ポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン型の顔料、水分散性樹脂微粒子、及び湿潤剤を少なくとも含有してなり、前記ポリマーエマルジョン型の顔料と前記水分散性樹脂微粒子との合計固形分量が20質量%以上であり、かつ前記湿潤剤の含有量が20質量%以上であり、
    前記記録用メディアが、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mであることを特徴とするインクメディアセット。
  26. 記録用インクと、記録用メディアとからなるインクメディアセットにおいて、
    前記記録用インクが、着色剤、水分散性樹脂、及び湿潤剤を少なくとも含有してなり、該記録用インクにおける固形分の合計含有量が20質量%以上であり、前記湿潤剤の含有量が20質量%以上であり、該湿潤剤がグリセリン単独であるか、又はグリセリンの前記湿潤剤における含有量が80質量%以上であり、
    前記記録用メディアが、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mであることを特徴とするインクメディアセット。
  27. 請求項1から12のいずれかに記載の記録用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
  28. (1)水からなる液媒体、(2)水を主成分とする液媒体、(3)水と水よりも高沸点の25℃で液体である液体成分を主成分とする液媒体、及び(4)記録用インクと同じ成分からなり該記録用インクよりも25℃で固体である固体成分の含有量が少ない液媒体から選択される少なくとも1種であることを特徴とする保湿液。
  29. 請求項1から12のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  30. 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項29に記載のインクジェット記録方法。
  31. 長期間インクジェット記録を停止する際には、記録用インクを請求項28に記載の保湿液で置換し、インクジェット記録を再開する際には、前記保湿液を前記記録用インクで置換することを特徴とするインクジェット記録方法。
  32. 長期間インクジェット記録を停止する際には、記録ヘッドのノズル部を覆蓋する覆蓋手段に請求項28に記載の保湿液を供給することを特徴とするインクジェット記録方法。
  33. インクメディアセットにおける記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディア上に画像を記録するインク飛翔工程と、前記記録用メディア上に記録された画像を乾燥する乾燥工程とを少なくとも含むインクジェット記録方法であって、
    前記インクメディアセットが、請求項25から26のいずれかに記載のインクメディアセットであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  34. 請求項1から12のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  35. 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項34に記載のインクジェット記録装置。
  36. 記録用メディア上に請求項1から12のいずれかに記載の記録用インクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
  37. 記録用メディアが、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有してなり、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/mである請求項36に記載のインク記録物。
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