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JP2007277290A - インク組成物、及びこれを用いた記録方法、記録物 - Google Patents

インク組成物、及びこれを用いた記録方法、記録物 Download PDF

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JP2007277290A JP2006101818A JP2006101818A JP2007277290A JP 2007277290 A JP2007277290 A JP 2007277290A JP 2006101818 A JP2006101818 A JP 2006101818A JP 2006101818 A JP2006101818 A JP 2006101818A JP 2007277290 A JP2007277290 A JP 2007277290A
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Tetsuya Aoyama
哲也 青山
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】ワックスを含むインク組成物において、記録画像の発色性、光沢および耐擦過性に優れたインク組成物、及び該インク組成物を用いて印刷を行う記録方法並びに該記録方法によって印刷が行われた記録物を提供する。
【解決手段】少なくとも、水と、水不溶性ポリマーによって被覆された顔料と、平均粒子径の異なる少なくとも2種類のワックスと、を含むことを特徴とするインク組成物及び該インク組成物を用いて印刷を行う記録方法並びに該記録方法によって印刷が行われた記録物により解決する。
【選択図】なし

Description

本発明はインク組成物及び該インク組成物を用いて印刷を行う記録方法並びに該記録方法によって印刷が行われた記録物に関し、詳しくは、印刷画像の発色性、光沢および耐擦過性に優れたインク組成物及び該インク組成物を用いて印刷を行う記録方法並びに該記録方法によって印刷が行われた記録物に関する。
インクジェット記録方式は、インクの小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、これまで写真やオフセット印刷の分野であった高精細な画像記録(印刷)にもインクジェット記録方法が用いられるようになってきており、一般的に用いられる普通紙やインクジェット記録用の専用紙(マット紙、光沢系)に対してのみならず、印刷本紙等の記録媒体にも高品質な記録が求められてきている。
インクジェット記録に用いられるインクとしては、一般に着色剤となる色剤と水と水溶性有機溶剤、界面活性剤等を含むインク組成物が知られている。
色剤としては、染料あるいは顔料が用いられ、特にカラーインクは色の彩度の高さ、透明性、水への溶解性が高い等の理由から染料が使用される場合が多い。しかし、染料は一般的に耐光性や耐ガス性の点が不十分であり、また、水溶性であることから、耐水性にも問題があるため、染料を用いたインクにより記録された記録物は、記録画像の保存性に劣るという欠点を有している。これに対して、顔料はこうした耐光性、耐ガス性、耐水性に優れた色剤であるため、この色剤特性を活かした顔料インクの開発が進められてきており、例えば、顔料を界面活性剤や高分子分散剤で分散した水性顔料インクが提案されている。
従来の顔料インクでは、記録媒体へのインクの定着性(特に、インク中の顔料の定着性)が不十分で、耐擦性に劣るという問題があった。
そこで、例えば、顔料とポリオレフィンワックスを含むインク組成物であって、前記ポリオレフィンワックスが、該インク組成物の被記録面への吐着により形成される膜の乾燥膜厚よりも大きい粒子径を有することにより、記録直後からの耐擦性が向上した記録画像を得ることのできる旨が開示されている(特許文献1)。
また、少なくとも、顔料、2種類以上の樹脂微粒子、ワックスおよび水を含有するインクプリンタ用記録液が、記録紙上での記録液の滲みや浸透がなく、高い画像濃度で耐水性のある高画質画像を得ることが可能で、かつ目詰まりすることなく継続的、安定的に吐出できる旨が開示されている(特許文献2)。
さらに、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびこれと共重合可能なその他の単量体を、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物または共重合性界面活性剤の存在下で重合して得られる酸価が40以下の共重合体を、無機塩基によってpHを調整して製造した樹脂と、水と、顔料と、ワックスとを含むインク組成物が、耐擦性および耐スクラッチ性に優れた記録物を得ることができる旨開示されている(特許文献3)。
特開2005−48108号公報 特開2002−80761号公報 特開2003−261805号公報
上記のインク組成物は、ポリオレフィンワックス、特に、ポリエチレンワックスをインク成分として含み、主として該インク組成物の耐擦過性を向上させている。しかしながら、ポリエチレンワックスは、その添加量に比例して記録画像の耐擦過性が向上するものの、光沢は依然として改良の余地があった。
また、ワックス微粒子の粒子径の観点から見ると、小粒子径のポリエチレンワックスは、記録画像の発色性や光沢の低下の程度は比較的少ないものの、耐擦過性の能力は大粒子径のポリエチレンワックスよりも劣る。一方、大粒子径のポリエチレンワックスは、記録画像の耐擦過性の能力を向上させることは容易であるが、発色性や光沢の低下を招く原因となる。そのため、発色性、光沢および耐擦過性のすべてにおいて優れているインク組成物の開発が望まれていた。
そこで、本発明は、ワックスを含むインク組成物において、記録画像の発色性、光沢および耐擦過性に優れたインク組成物、及び該インク組成物を用いて印刷を行う記録方法並びに該記録方法によって印刷が行われた記録物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、少なくとも、水と、水不溶性ポリマーによって被覆された顔料と、平均粒子径の異なる少なくとも2種類のワックスと、を含むことを特徴とするインク組成物を提供するものである。このような構成により、発色性、光沢および耐擦過性に優れたインク組成物を得ることができる。
[インク組成物]
本発明の実施形態に係るインク組成物についてさらに詳細に説明する。本実施形態に係るインク組成物は、少なくとも、水と、水不溶性ポリマーに被覆された顔料と、平均粒子径の異なる少なくとも2種類のワックスと、を含む。
[ワックス]
本実施形態のインク組成物において、ワックスは、平均粒子径の異なる少なくとも2種類のワックスを用いる。粒子径が比較的小さいワックスがインク組成物中に存在すると、そのインク組成物を用いて画像を形成した場合に、記録画像の光沢が優れたものが得られる。一方、粒子径が比較的大きいワックスがインク組成物中に存在すると、そのインク組成物を用いて画像を形成した場合に、記録画像の耐擦過性を向上させることができる。従って、インク組成物中に両者を一定の割合で存在させると、両者の長所を活かしたインク組成物を得ることができる。
前記2種類のワックスのうち、平均粒子径が比較的小さいワックスをワックスAとすると、ワックスAの好ましい平均粒子径の範囲は、25〜75nmであり、より好ましくは30〜70nmである。平均粒子径が25nm以上であれば耐擦性の効果が得られやすく、また平均粒子径が75nm以下であれば記録画像の光沢が得られやすい。
前記2種類のワックスのうち、平均粒子径が比較的大きいワックスをワックスBとすると、ワックスBの好ましい平均粒子径の範囲は、100〜800nmであり、より好ましくは200〜800nmであり、更に好ましくは200〜400nmである。平均粒子径が100nm以上であれば耐擦性の効果がより発揮されやすく、また平均粒子径が800nm以下であれば、目詰まり回復性への影響が少ない。
ここで、平均粒子径は、Microtrac UPA150(Microtrac社製)や粒度分布測定機LPA3100(大塚電子社製)等の粒径測定によって得ることができる。
本実施形態において使用されるワックスは、水溶性、難溶性のいずれであってもよい。水溶性ワックスとしては、水酸基、カルボキシル基、エチレンオキサイド基、アミン基等の親水基を有するワックス、難溶性ワックスとしては、主として、ワックスエマルジョンとして使用することが好ましい。
具体的には、カルナバワックス、キャンデリワックス、みつろう、ライスワックス、ラノリン等の植物、動物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト等の鉱物系ワックス、カーボンワックス、へキストワックス、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸アミド等の合成ワックス類、αオレフイン・無水マレイン酸共重合体等の天然・合成ワックスエマルジョンや配合ワックス等が単独または複数種を混合して使用できる。
好ましいワックスの種類としては、ポリオレフィンワックス、特にポリエチレンワックスであり、より好ましくは、ポリオレフィンワックスのエマルジョン、特にポリエチレンワックスのエマルジョンである。また、その他のラテックス、コロイド溶液、懸濁液等も使用することができる。
ワックスは市販されているものを利用することも可能であり、その具体例としては、ノプコートPEM17(サンノプコ社製、ポリエチレンワックス、平均粒子径40〜60nm)、ケミパールW4005(三井化学社製、ポリエチレンワックス、平均粒子径200〜800nm)、AQUACER513(ビックケミージャパン社製、ポリエチレンワックス、平均粒子径100〜200nm)等を挙げることができる。
本実施形態のインク組成物において、ワックスの含有量は、印刷画像の光沢、耐擦過性及び目詰まり回復性の観点から適宜決定される。
前記ワックスAの含有量は、本実施形態のインク組成物の全量を基準として、0.01〜4.0重量%であることが好ましく、0.1〜2.0重量%であることがより好ましい。ワックスAの含有量が0.01重量%以上であれば耐擦性の効果を得られ、4.0重量%以下であれば印刷画像の光沢を良好な状態に保つことが可能であり、また目詰まり回復性を良好にすることができる。
また、前記ワックスBの含有量は、本実施形態のインク組成物の全量を基準として、0.001〜1.0重量%であることが好ましく、0.005〜1.0重量%であることがより好ましい。ワックスBの含有量が0.001重量%以上であれば耐擦性の効果を得られ、1.0重量%以下であれば印刷画像の光沢を得られる。
また、前記ワックスAとワックスBの合計含有量は、目詰まり回復性の観点から、本実施形態のインク組成物の全量を基準として、0.02〜4.0重量%であることが好ましく、0.1〜1.0重量%であることがより好ましい。
更に、前記ワックスAと前記ワックスBとの関係については、印刷画像の光沢、耐擦過性の観点より、前記ワックスBの含有量が、前記ワックスAと前記ワックスBとの合計の含有量を基準として、0.5〜50.0重量%であることが好ましく、1.0〜30重量%であることがより好ましく、1.0〜20重量%であることが更に好ましい。
[水不溶性ポリマー]
以下、水不溶性ポリマーについて説明する。本実施形態のインク組成物において、印刷画像の発色性の観点より、水不溶性ポリマーに被覆された顔料を用いることが好ましい。
この水不溶性ポリマーは、(a)マクロマー、(b)ポリオキシアルキレン基含有モノマー、及び(c)塩生成基含有モノマー、を少なくとも含むモノマー混合物を重合させてなるビニルポリマーが好適に用いられる。
水不溶性ポリマーの合成用原料の1つであるマクロマーとしては、片方の末端(以下「片末端」という)に重合性官能基を有し、好ましくは数平均分子量が500〜500000、より好ましくは1000〜10000であるマクロマーが挙げられる。
マクロマーの具体例としては、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するメチルメタクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するスチレン・アクリロニトリル系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するブチルアクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するイソブチルメタクリレート系マクロマー等が挙げられる。これらの中では、水不溶性ポリマーに着色材を十分に含有させる観点から、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。
また、そのスチレンの含有量は、顔料が十分に水不溶性ポリマーに含有されるようにする観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
水不溶性ポリマーにおける前記マクロマーの含有量は、耐水性及び耐擦過性の観点から、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%である。
水不溶性ポリマーの合成用原料の1つとして用いられるポリオキシアルキレン基含有モノマーとしては、下記一般式(I)で示されるものが好ましく、オキシアルキレン単位としてオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシテトラメチレン単位を構成単位として有するモノマーが好ましい。
Figure 2007277290
〔式中、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン単位を示す。但し、p個のオキシアルキレン単位は、同一でも異なってもよい。オキシアルキレン単位が異なる場合は、ブロック付加、ランダム付加、及び交互付加のいずれでもよい。R1は水素原子又はメチル基、pは1〜50の整数、R2は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。〕
ポリオキシアルキレン基含有モノマーの具体例としては、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
水不溶性ポリマーに前記ポリオキシアルキレン基含有モノマーが用いられていることにより、印刷画像の光沢に優れ、低粘度かつ吐出性が優れたインク組成物を得ることができるという利点がある。水不溶性ポリマーにおけるポリオキシアルキレン基含有モノマーの含有量は、インク組成物の吐出安定性や印刷画像の印字濃度の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%とされる。
水不溶性ポリマーの合成用原料の1つとして用いられる塩生成基含有モノマーとしては、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーが好ましい。アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アニオン性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等の不飽和カルボン酸モノマー、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等の不飽和スルホン酸モノマー、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等の不飽和リン酸モノマーが挙げられ、インク粘度及び吐出性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
カチオン性モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアリールアミン、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等の不飽和3級アミン含有ビニルモノマー及びN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等の不飽和アンモニウム塩含有ビニルモノマーが挙げられ、特に、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
水不溶性ポリマーにおける塩生成基含有モノマーの含有量は、得られる分散体の分散安定性及び吐出安定性の観点から、3〜40重量%、好ましくは5〜30重量%である。
さらに、前記水不溶性ポリマーの合成用原料として、前記(a)マクロマー、(b)ポリオキシアルキレン基含有モノマー、(c)塩生成基含有モノマーの他に、長鎖アルキル基含有モノマー、芳香環含有モノマー、(メタ)アクリル酸エステル等を含有してもよい。これらの中でも、インク組成物の調製時に添加する湿潤剤や分散剤によるインク組成物の粘度変化を抑制し、インク組成物の保存安定性を高める観点から長鎖アルキル基含有モノマー及び芳香環含有モノマーからなる群より選ばれた1種以上が含有されていることが好ましい。
長鎖アルキル基含有モノマーとしては、モノマーの入手容易性の観点から、長鎖アルキル基の炭素数が16〜30であることが好ましく、具体例としては、(イソ)セチル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、(イソ)ベヘニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、(イソ)ベヘニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
芳香環含有モノマーとしては、スチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸及びネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル等があげられる。これらの中ではスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のエステル部分が炭素数1〜18のアルキル基である(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
なお、前記(イソ又はターシャリー)及び(イソ)は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを示す。
水不溶性ポリマーは、前記の(a)マクロマー、(b)ポリオキシアルキレン基含有モノマー、及び(c)塩生成基含有モノマー、を少なくとも含むモノマー混合物を重合させることによって得られる。具体的には、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、各モノマー組成物を重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒は、例えば、炭素数1〜3の脂肪族アルコール、ケトン類、エステル類等の極性有機溶媒であることが好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。
なお、重合の際には、ラジカル重合開始剤、重合連鎖移動剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスブチレート、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物が好適である。また、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物を使用することもできる。
重合連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン等の炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、タービノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α−メチルスチレンダイマー、9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン等の不飽和環状炭化水素化合物;2,5−ジヒドロフラン等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられる。
水不溶性ポリマーによって被覆される顔料は、転相乳化法により得られるものである。すなわち、前記の水不溶性ポリマーをメタノール、エタノール、イソプロパノール、n− ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジブチルエーテルなどの有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に前記顔料を添加し、次いで中和剤及び水を添加して混練、分散処理を行うことにより水中油滴型の分散体を調整し、得られた分散体から有機溶媒を除去することによって、水分散体として得ることができる。混練、分散処理は、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速攪拌型分散機などを用いることができる。
中和剤は、エチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が好ましく、得られる水分散体のpHが6〜10であることが好ましい。
また、水不溶性ポリマーとしては、重量平均分子量が10000〜 150000程度のものが、着色剤、特に顔料を安定的に分散させる点で好ましい。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分析方法により測定することができる。
さらに、顔料を含む水不溶性ポリマーのインク組成物中での平均粒子径は、目詰まり回復性、分散安定性、発色性や光沢性の観点から、50〜250nmの範囲であることが好ましく、50〜150nmの範囲であることがさらに好ましい。尚、これらの平均粒子径は、Microtrac UPA150(Microtrac社製)や粒度分布測定機LPA3100(大塚電子社製)等の粒径測定によって得ることができる。
水不溶性ポリマーによって被覆される顔料としては、例えば、マゼンタ顔料、シアン顔料、イエロー顔料、ブラック顔料等を挙げることができる。
マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド、1、3、5、8、9、16、17、19、22、38、57:1、90、112、122、123、127、146、184、202、207、209、及びC.I.ピグメントバイオレット1、3、5:1、16、19、23、38等が挙げられる。これらマゼンタ顔料は、単独でも、2種以上混合して用いることができる。
シアン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、及びC.I.バットブルー4、60等が挙げられる。これらシアン顔料は、単独でも、2種以上混合して用いることができる。
イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、35、37、42、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、147、150、153、155、174、180、188、198等が挙げられる。これらイエロー顔料は、単独でも、2種以上混合して用いることができる。
ブラック顔料としては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、三菱化学製の#2300、#900、HCF88、#33、#40、#45、#52、MA7、MA8、MA100、#2200B等、コロンビア社製のRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等、キャボット社製のRegal 400R、同330R、同660R、Mogul L、同700、Monarch 800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等、デグッサ社製のColor Black FW1、同FW2V、同FW18、同FW200、Color Black S150,同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同140U、Specisal Black 6、同5、同4A、同4等を挙げることができ、これらの1種又は2種の混合物として用いてもよい。
なお、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水に不溶であればいずれも使用できる。これらの水不溶性ポリマーによって被覆された顔料は、0.1〜 15重量%の範囲でカラーインク組成物中に含有されることが好ましい。より好ましくは0.5〜10重量%であり、さらに好ましくは0.5〜8重量%である。含有量が0.1重量%未満では光学濃度(OD値)が不充分である場合があり、また8重量%よりも大きいと光沢メディア上での光沢性劣化やノズルの目詰まり、吐出の不安定を起こす等の信頼性に不具合が生じる場合がある。
さらに、顔料と水不溶性ポリマーの比率が、顔料:水不溶性ポリマー=1:0.2〜 1:1の比率にあることが、分散安定性や、インクの保存安定性やノズルの目詰まり防止等の観点、光沢メディア上での光沢性の観点から好ましい。詳しくは、水不溶性ポリマーが顔料に対して、20%より少ないと安定分散ができず、顔料の凝集が発生し、顔料に対して100%より多いと発色が低下し、光沢メディア上での光沢も劣化するためである。
なお、水不溶性ポリマーによって被覆された顔料は、顔料が水不溶性ポリマーによって完全に被覆されずに、一部の着色剤が露出した形状でもよい。
[水]
本実施形態に係る水性インク組成物は、主溶媒としての水を含む。水としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純粋又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
本実施形態に係る水性インク組成物は、浸透促進剤、表面張力調整剤、湿潤剤を含むことが好ましい。
[浸透促進剤]
本実施形態に係る水性インク組成物は、記録媒体への濡れ性を高めて有機顔料の浸透性を高めるためる観点から、浸透促進剤を添加することが好ましい。浸透促進剤としては、1,2−アルカンジオール及び/またはグリコールエーテルを含有することが好ましい。1,2−アルカンジオールの具体的な例としては、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。また、グリコールエーテルの具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は、1種又は2種以上を用いることができ、適切な浸透性及び乾燥性の確保という観点で、インク組成物中に2〜15重量%含まれることが好ましい。
[表面張力調整剤]
さらに、本発明のインク組成物は、表面張力調整剤を含有することが好ましい。表面張力調整剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤やポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の例としては、サーフィノール420、440、465、485、104、STG(エアープロダクツ社製品)、オルフィンPD001、PD002W、SPC、E1004、E1010(日信化学工業(株)製品)、アセチレノールE00、E40、E100、LH(川研ファインケミカル(株)製品)等が挙げられる。またポリエーテル変性シロキサン類としては、BYK−346、347、348、UV3530(ビックケミー社製品)などが挙げられる。これらは、インク組成物中に1種又は2種以上を用いることができ、表面張力20〜40mN/mに調整されることが好ましく、インク組成物中には0.1〜3.0重量%含まれる。
[湿潤剤]
また、本実施形態に係るインク組成物は、インク組成物の乾燥を防いでインクジェットプリンタのヘッドでの目詰りを防止する観点から、湿潤剤を添加することが好ましい。湿潤剤としては、例えば、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレンフリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等の多価アルコール類、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸類、尿素、1,2−ジメチル尿素、エチレン尿素、ジメチロールエチレン尿素、チオ尿素、セミカルバジッド、グアニジン、メラミン等の尿素誘導体、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられる。これらは、インク組成物中に1種又は2種以上を用いることができ、インク組成物の適正な物性値(粘度等)の確保、印刷品質、信頼性の確保という観点で、インク組成物中に5〜50重量%含まれることが好ましい。
[その他]
さらに、本実施形態に係る水性インク組成物には、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤、溶解助剤、酸化防止剤等から選ばれる材料を所望により添加することができる。これらの成分は、各種別に一種又は二種以上を混合して用いることができる。また、添加する必要がなければ添加しなくてもよい。当業者は本発明の効果を損なわない範囲で、選択された好ましい添加剤を好ましい量で用いることができる。
pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミン類等を用いることが出来るが、好ましくは、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンから選択される少なくとも1種類のpH調整剤を含み、pH6〜10に調整されることが好ましい。pHがこの範囲を外れると、インクジェットプリンタを構成する材料等に悪影響を与えたり、目詰まり回復性が劣化する。
防腐剤又は防カビ剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及び1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(AVECIA社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、及びプロキセルTN(以上商品名)等を例示できるが、これらに限定されない。
溶解助剤とは、インク組成物から不溶物が析出する場合に、その不溶物を溶解し、インク組成物を均一な溶液に保つための添加剤である。溶解助剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンなどのピロリドン類、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類などを挙げることができるがこれらに限定されない。
酸化防止剤の例としては、L−アスコルビン酸及びその塩類等が例示できるが、これらに限定されない。
[記録方法]
本実施形態における記録方法は、上述した水性インク組成物を用いた記録方法である。水性インク組成物を用いた記録方法とは、例えば、インクジェット記録方法、ペン等の筆記具による記録方法、その他各種の印刷方法が挙げられる。したがって、前記実施形態に係るインク組成物は、例えば水性ペンなどの筆記具類、インクジェット記録方法、印刷、スタンプなどの用途に好ましく用いることができる。
本実施形態の記録方法の別の態様によれば、前記実施形態の水性インク組成物の液滴を吐出し記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法が提供される。本実施形態によるインクジェット記録方法としては、前記水性インク組成物を微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に付着させる方法であればいかなる方法も使用することができる。そのような方法の具体例としては、種々の態様の方法が知られている。
そのような方法の一例としては、例えば、静電吸引方式が挙げられる。この方式では、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印可し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。また、この方法においては必要に応じて、インク滴を偏向させることなく印刷情報信号に対応して噴射させてもよい。
他の態様としては、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方法がある。この方法では、噴射したインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。別の態様としては、圧電素子を用いる方法が挙げられる。この方法では、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射させ、記録を行う。さらに別の態様としては、熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方法がある。この方法では、インク液を印刷情報信号に従って微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射させ、記録を行う。
記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、普通紙、インクジェット専用紙、プラスチック、フィルム、金属等の種々の記録媒体を用いることができる。
[記録物]
更に、本実施形態によれば、前記実施形態に係る記録方法により記録された記録物も提供される。この記録物は、少なくとも上述した水性インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着して記録が行われたものである。前記実施形態に係る記録方法により記録された記録物は、上述した水性インク組成物を用いて記録が行われたものであるため、発色性、光沢に優れていると共に、耐擦性にも優れたものとなる。なお、記録媒体の具体例としては、上記に示した記録媒体を用いることが可能である。
[顔料分散液の調製]
水不溶性ポリマーによって被覆されている顔料を分散粒子とする顔料分散液を下記の方法によって調整した。また、平均粒子径は、Microtrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定による値である。
有機溶媒(メチルエチルケトン)20重量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03重量部、重合開始剤、表1に示す各モノマーを用い、窒素ガス置換を十分に行った反応容器内に入れて75℃攪拌下で重合し、モノマー成分100重量部に対してメチルエチルケトン40重量部に溶解した2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル0.9重量部を加え、80℃で1時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。なお、表1に示す数値は、モノマー混合物の全量を基準(100%)としたときの各モノマーの割合(%)を意味する。
Figure 2007277290
(顔料分散液Y)
水不溶性ポリマーとして得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた5部をメチルエチルケトン15部に溶かし、水酸化ナトリウム水溶液を用いてポリマーを中和した。さらに、C.I.ピグメントイエロー74を15部加え、水を加えながら分散機で混練した。
得られた混練物にイオン交換水100部を加え攪拌した後、減圧下、60℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、固形分濃度が20重量%のイエロー顔料の分散液Yを得た。この分散体中の顔料の平均粒子径は90nmであった。
(顔料分散液M)
顔料分散液Yにおいて、C.I.ピグメントイエロー74の代わりにC.I.ピグメントバイオレット19を用いた以外は分散液Yと同様にして、マゼンタ顔料の分散液Mを得た。この分散体中の顔料の平均粒子径は95nmであった。
(顔料分散液C)
顔料分散液Yにおいて、C.I.ピグメントイエロー74の代わりにC.I.ピグメントブルー15:4を用いた以外は顔料分散液Yと同様にして、シアン顔料の水分散液Cを得た。この分散体中の顔料の平均粒子径は80nmであった。
[インク組成物の調製]
表2に示す配合割合で各成分を混合し、この混合液を2時間攪拌した後、孔径約5μmのステンレス製フィルターにて濾過して、各インク組成物を調製した。なお、表2中に示す添加量はすべて重量%として表している。顔料分散液及びワックスの添加量はそれぞれ固形分濃度で表している。更に、イオン交換水の「残量」とは、インク組成物の全量が100重量%となるようにイオン交換水を添加することを意味している。
Figure 2007277290
[試験例1]光沢の評価
表2に示すインク組成物1〜20を用いて、以下の要領で光沢の評価を行った。EPSON写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)にインクジェットプリンタPX−A650(セイコーエプソン社製)を使用し、100%Dutyのパッチパターン(1440×720dpi)を印刷して記録物を得た。次に、得られた各記録物につき、光沢度計GM−268(コニカミノルタ社製)を用いて、記録物の20度鏡面光沢度(G20)を測定した。測定は各記録物ごとに5回行い、その平均値を求めた。そして、算出した平均値につき、以下の評価基準で光沢を評価した。評価結果を表3に示す。
A:65≦G20
B:50≦G20<65
C:G20<50
[試験例2]発色性の評価
表2に示すインク組成物1〜20を用いて、以下の要領で発色性の評価を行った。Xerox 4024(Xerox Co.製)にPX−A650(セイコーエプソン社製)を使用し、100%Dutyのパッチパターン(720×720dpi)を印刷して記録物を得た。各記録物のパッチ部の光学濃度(OD値)をグレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いて測定した。測定は各記録物ごとに5回行い、その平均値を求めた。そして、算出した平均OD値につき、以下の評価基準で発色性を評価した。評価結果を表3に示す。
A:1.05≦平均OD値
B:1.00≦平均OD値<1.05
C:0.95≦平均OD値<1.00
[試験例3]耐擦性の評価
試験例1で印刷した各記録物を用いて、耐擦性の評価を行った。各記録物を印刷した後、4時間を経過した時点で、各記録物の記録部分を指で強く擦った。そして、擦った記録部分の色剤がどの程度剥離するかを目視により評価した。評価結果を表3に示す。
A:記録部分における色剤の剥離は全く観察されなかった。
B:記録部分における色剤の剥離がわずかに観察された。
C:記録部分における色剤がほとんど剥離し、記録メディアが露出した。
[試験例4]目詰まり回復性の評価
表2に示すインク組成物1〜20を用いて、以下の要領で目詰まり回復性の評価を行った。インクジェットプリンタPX−A650(セイコーエプソン社製)を用いて、各インク組成物をインクカートリッジに充填し、前記インクジェットプリンタに装着して全ノズルが正常に吐出することを確認した後、前記インクジェットプリンタを停止し、前記カートリッジを前記インクジェットプリンタより抜き取り、さらにプリンタヘッドをキャップしない状態で、40℃の環境下で1週間放置した。放置後、同一のインク組成物を充填したインクカートリッジを装着し、再び全ノズルよりインク組成物が吐出するまでに要したクリーニングの回数を調べ、下記の基準に基づき目詰まり回復性の評価を行った。評価結果を表3に示す。
A:2回以内のクリーニングで全ノズルが回復した。
B:3〜5回のクリーニングで全ノズルが回復した。
C:6回のクリーニングでは全ノズル回復できなかった。
Figure 2007277290

Claims (11)

  1. 少なくとも、水と、水不溶性ポリマーに被覆された顔料と、平均粒子径の異なる少なくとも2種類のワックスと、を含むことを特徴とするインク組成物。
  2. 前記2種類のワックスが、平均粒子径25〜75nmであるワックスAと、平均粒子径100〜800nmであるワックスBであることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記ワックスが、ポリオレフィンワックスである請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記ワックスが、ポリエチレンワックスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 前記ワックスBの含有量が、前記ワックスAと前記ワックスBとの合計の含有量を基準として、0.5〜50.0重量%であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. 前記ワックスAの含有量が、インク組成物の全量を基準として、0.01〜4.0重量%であり、前記ワックスBの含有量が、インク組成物の全量を基準として、0.001〜1.0重量%であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
  7. 前記水不溶性ポリマーが、(a)マクロマー、(b)ポリオキシアルキレン基含有モノマー及び(c)塩生成基含有モノマー、を少なくとも含むモノマー混合物を重合させてなるビニルポリマーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
  8. さらに、浸透促進剤、表面張力調整剤及び/又は湿潤剤を含み、前記浸透促進剤が1,2−アルカンジオール及び/又はグリコールエーテルであり、表面張力調整剤がアセチレングリコール系界面活性剤又はポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物。
  9. インク組成物を付着させて記録媒体に印刷を行う記録方法であって、該インク組成物として請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク組成物を用いる記録方法。
  10. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、該インク組成物として、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク組成物を用いる記録方法。
  11. 請求項9又は10に記載の記録方法によって印刷が行われた記録物。

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