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JP2007268604A - 抵抗スポット溶接方法 - Google Patents

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JP2007268604A
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Yasuaki Okita
泰明 沖田
Tomomasa Ikeda
倫正 池田
Moriaki Ono
守章 小野
Koichi Yasuda
功一 安田
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Abstract

【課題】3枚以上の鋼板で構成される板厚比の大きい板組み、特に薄い亜鉛めっき鋼板が電極に接触する板組みにて十分なサイズのナゲットを形成できる抵抗スポット溶接方法を提供する。
【解決手段】溶接施工の工程を第1段階と第2段階とに分割し、第1段階を開始するにあたって電極がめっき鋼板に接触するときの加圧力がオーバーシュートしても2.5kNを超えないように制御し、第1段階では低加圧力かつ短時間で抵抗スポット溶接を行ない、第2段階では高加圧力かつ長時間で抵抗スポット溶接を行ない、さらに第1段階の通電開始前におけるめっき鋼板と電極との接触部位の半径d(mm)とめっき鋼板の板厚t(mm)がd<7tを満足する範囲で抵抗スポット溶接を行なう。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼板とめっき鋼板を重ねた板組みの抵抗スポット溶接を行なう方法に関し、特に板厚比(=板組みの全厚/最も薄い板厚)の大きい板組みの抵抗スポット溶接に好適な方法に関するものである
一般に、2枚以上の鋼板を重ねた板組みを接合する際には、抵抗スポット溶接が広く採用されている。たとえば自動車の車体では、1台あたり数千点もの抵抗スポット溶接を行なう。
抵抗スポット溶接は、板組みを一対の電極で挟み、かつ加圧力を加えながら通電して、板組みを構成する鋼板を接合する技術である。鋼板に通電した時の抵抗発熱と電極への抜熱のバランスによって、電極間中央部付近が溶融し、点状の溶接部が得られる。この点状の溶接部はナゲットと呼ばれ、板組みを構成する鋼板が溶融した後で凝固した部分である。
したがって、板厚のほぼ等しい鋼板2枚の抵抗スポット溶接は鋼板間の接触位置と発熱の中心となる位置が一致するので、良好なナゲットの形成が容易であるが、3枚以上の鋼板の抵抗スポット溶接を行なう場合は鋼板間の接触位置と発熱の中心となる位置が異なるので、良好なナゲットの形成は容易ではない。
たとえば自動車の車体のセンターピラー等のピラー類は、板厚の薄いアウターと板厚の厚いインナーの間に車体の衝突安全性向上の観点から、高強度,厚肉のリインフォースメントを配置した構造が採用されるようになり、このような3枚重ねの板組みを抵抗スポット溶接で接合する必要がある。
このような板厚の異なる鋼板を3枚以上重ねた板組みは、板厚比(=板組みの全厚/最も薄い鋼板の板厚)が大きくなる。板厚比の大きい板組みの中でも、ピラーのように薄い鋼板が外側に配置されて電極と接触する板組みでは、薄い鋼板と厚い鋼板の接触位置が発熱の中心位置から大きく外れ、かつ電極からの冷却の影響を受け易く、薄い鋼板と厚い鋼板との間に十分なサイズのナゲットが形成され難い。特に板厚比が5を超える板組みにおいて、その傾向が強いことが知られている。
またピラーのアウターは、強度よりも成形性が重要であり、軟鋼製の薄いアウターが使用される。一方、インナーおよびリインフォースメントは強度が要求され、厚い高張力鋼板製が使用される。このような板組みでは、通電によって発熱する位置が固有抵抗の大きい高張力鋼板(すなわちリインフォースメントおよびインナー側)に偏るので、薄いアウターと厚いリインフォースメントの間ではナゲットがさらに形成され難くなる。
しかもアウターは防錆性が要求され、亜鉛めっき鋼板が多く使用されている。亜鉛めっき層は融点が低いので、抵抗スポット溶接中に低温にて溶融し、アウターとリインフォースメントの接触面積を拡大する。その結果、薄いアウターと厚いリインフォースメントの接触部の電流密度が低下し、ナゲットの形成が一層困難になる。
そこで、3枚以上の鋼板を重ねた板組み、とりわけ薄い鋼板が電極に接触する板組みにおいて、十分なサイズのナゲットを形成する技術が種々検討されている。
たとえば特許文献1には、2枚の厚い鋼板を重ね合わせ、さらに薄い鋼板を重ねた板厚比の大きい板組みにおいて、薄い鋼板の溶接位置に座面を突出させるとともに、薄い鋼板に接触する電極の先端を球面状に加工して抵抗スポット溶接を行なう技術が開示されている。この技術は、まず低加圧力で座面を押し潰して薄い鋼板と厚い鋼板を接合し、次いで高加圧力で厚い鋼板同士を接合するものである。しかしながら特許文献1では、薄い鋼板の溶接位置に座面を予め形成しなければならず、さらにその座面の位置で溶接を行なう必要がある。
また特許文献2には、剛性の高い2枚の厚い鋼板を重ね合わせ、さらに剛性の低い薄鋼板を重ねた板組みにおいて、薄い鋼板に接触する電極の先端径を厚い鋼板に接触する電極の先端径よりも小さくして抵抗スポット溶接を行なう技術が開示されている。この技術は、薄い鋼板と電極との接触面積を、厚い鋼板と電極との接触面積よりも小さくして3枚の鋼板を接合するものである。しかしながら特許文献2では、薄い鋼板と電極との接触面積(加圧範囲)が小さいので、中散りを発生させずに得られるナゲットのサイズも縮小し、2枚の厚い鋼板の間に十分なナゲットを得ることが難しい。
特許文献3には、板厚比の大きい板組みを第1段階と第2段階に分割してスポット溶接を行なうにあたって、第1段階の通電が終了した後、通電を一旦停止し、次いで第2段階の通電を行なうものである。この技術は、第2段階の加圧力を第1段階よりも大きくして3枚の鋼板を接合するものである。しかしながら特許文献3では、板組みを構成する鋼板の中にめっき鋼板が含まれている場合に、電流を流すことによってめっき層が溶融して通電経路を拡大するので、ナゲットの形成が困難になる。
特開2003-71569号公報 特開2003-251468号公報 特開2004-358500号公報
本発明は上記のような問題を解消し、3枚以上の鋼板で構成される板厚比の大きい板組み、特に薄い亜鉛めっき鋼板が電極に接触する板組みにて十分なサイズのナゲットを形成できる抵抗スポット溶接方法を提供することを目的とする。
発明者らは、抵抗スポット溶接におけるナゲットの形成に影響を及ぼす各種要因について鋭意研究した。重ね合わせた2枚以上の厚い鋼板の片方に薄い鋼板を重ねた板厚比の大きい板組みの抵抗スポット溶接では、厚い鋼板同士の間には十分なサイズのナゲットが形成されるが、薄い鋼板とそれに接触する厚い鋼板との間に形成されるナゲットは十分なサイズに成長し難い。
そこで、薄い鋼板とそれに接触する厚い鋼板との間に十分なサイズのナケットを形成する方法を検討したところ、溶接施工の工程を第1段階と第2段階に分割し、第1段階では電極による加圧力を小さくし、第2段階では電極による加圧力を大きくすることが有効であるという知見を得た。
すなわち、電極による加圧力を第1段階から大きくすると、電極と薄い鋼板,薄い鋼板と厚い鋼板,厚い鋼板と厚い鋼板の接触面積が大きくなり電流密度が低下する。しかも、薄い鋼板が広い面積で電極に接触することによって電極による抜熱量も増加し、薄い鋼板とそれに接触する厚い鋼板との間にナゲットが形成され難い。
これに対して、第1段階にて電極による加圧力を小さくした場合の現象を、図1のような板厚比の大きい3枚重ねの板組みを例にあげて説明する。第1段階にて電極による加圧力を小さくすると、電極と薄い鋼板の接触面積が小さくなる。その結果、この接触部付近の電流密度が増加し、かつ電極による冷却作用が小さいので発熱し易くなる。その結果、図1に示すように、電極からわずかに離れた位置から発熱が開始する。このとき、図1中の発熱部4のように、板と板との境界が近くにあれば、板間の接触抵抗および板間の接触部における通電面積の制限によって、板間接触部での発熱が進行し、溶融部が形成される。このようにして薄い鋼板とそれに接触する厚い鋼板との間にナゲットが形成される。
ただし、低い溶接電流で長時間の通電を行なっても、図1中の発熱部4は電極による抜熱の影響で溶融に到らず、電極による抜熱の影響が小さい電極間中央部に発熱位置が移動し、薄い鋼板と厚い鋼板の間にナゲットは形成されない。
また、高い溶接電流にて通電を行なっても、電極による加圧力を溶接施工の全工程にわたって低下させると、薄い鋼板に生じる溶融部が薄い鋼板の表面にも拡大され、板表面から外部に激しく飛び出す現象(いわゆる表散り)が発生する。しかも、厚い鋼板−厚い鋼板間も加圧力が小さいので、厚い鋼板と厚い鋼板との間の溶融部が十分なサイズに成長する前に厚い鋼板と厚い鋼板との間から外部に激しく飛び出す現象(いわゆる中散り)が発生する。
そこで第1段階を短時間とし、第2段階にて高加圧力かつ長時間の抵抗スポット溶接を行なう。
つまり、第1段階(すなわち低加圧力の段階)で電極近傍の薄い鋼板を溶融させて、薄い鋼板とそれに接触する厚い鋼板との間にナゲットを形成する。このとき、薄い鋼板に生じる溶融部が過剰に拡大されるのを防止するために、第1段階は短時間とする。
次いで第2段階(すなわち高加圧力の段階)で、電極と薄い鋼板の接触面積を広げて電流密度を低下させるとともに、電極による抜熱効果によって、薄い鋼板とそれに接触する厚い鋼板との間に形成される溶融部の成長を停止する。同時に、電流による発熱領域が一対の電極の中間部に移動し、厚い鋼板−厚い鋼板間にナゲットが形成される。しかも、加圧力が大きいので厚い鋼板同士の接触面積が拡大され、ナゲットが成長しても散りが発生し難くなる。なお、厚い鋼板−厚い鋼板間にナゲットを形成し、さらに十分なサイズに成長させるために、第2段階は長時間とする。
このようにして板厚比が大きい板組みの抵抗スポット溶接を行なうにあたって、薄い鋼板−厚い鋼板間,厚い鋼板−厚い鋼板間に、それぞれ十分なサイズのナゲットを形成できる。
しかし、薄い鋼板および厚い鋼板のうち少なくとも一方がめっき鋼板である場合には、めっき層は、融点が低いので容易に溶融する。ここで、めっき鋼板とは、鉄より低い融点を持つ導電性を持つめっきを施された鋼板全てが該当し、たとえば電気亜鉛めっき鋼板,溶融亜鉛めっき鋼板,合金化溶融亜鉛めっき鋼板を指す。溶融しためっき層は、薄い鋼板−厚い鋼板間で広がっていき接触面積を拡大する。つまりめっき鋼板を用いた板組みでは電流密度が低下し、薄い鋼板−厚い鋼板間にナゲットが形成され難くなる惧れがある。
そこでめっき鋼板を用いた板組みにおいても、薄い鋼板−厚い鋼板間にナゲットを安定して形成するために、第1段階では大電流でかつ十分に低い加圧力にて短時間の抵抗スポット溶接を行なう。溶接初期に短時間で大電流を通電すると、図1の発熱部4に示すように、電極の近傍で鋼板が急激に加熱される。このとき加圧力を十分に低くしておくことによって図1の発熱部4付近の熱膨張,変形が生じ、図2のように薄い鋼板の浮き上がりが生じる。このとき、薄い鋼板と厚い鋼板の間は高温になるので、めっき層が溶融するが、浮き上がりによって薄い鋼板−厚い鋼板間に広く拡がることはなく、通電面積を狭めることができる。このようにして電流密度の低下を防止して、薄い鋼板−厚い鋼板間にナゲットを安定して形成することが可能となる。
このとき、使用する溶接機はサーボモーター加圧式であれ、エア加圧式であれ、加圧力の追従性の良い溶接機を使用するのが好ましい。これは追従性が悪い場合には、熱膨張によって溶接の実質の加圧力が増加することになり、浮き上がりが生じ難くなってしまうためである。
また溶接施工の開始にあたって電極が鋼板に接触するときに、加圧力が過剰に上昇(いわゆるオーバーシュート)するのを防止する必要がある。その理由は、オーバーシュートによって電極に接触する鋼板に凹みが発生し、電極と鋼板の接触面積が拡大されるからであり、このオーバーシュートによって加圧力が2.5kNを超えると薄い鋼板−厚い鋼板間にナゲットを形成するのが困難になる。このオーバーシュートを防止するためにも、追従性の良い駆動機構を備えた溶接機を使用するのが好ましい。溶接機は、定置式溶接機を使用しても良いし、溶接ロボットを使用しても良い。溶接機の電源は、単相交流,交流インバーター,直流インバーター等を使用する。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、重ね合わせた2枚以上の鋼板の少なくとも一方の鋼板に板厚の薄い鋼板でかつ板厚の薄い鋼板とその鋼板と重なる鋼板の少なくともどちらか一方がめっき鋼板である板組みを、一対の電極によって挟み加圧力を加えながら抵抗スポット溶接を行なう抵抗スポット溶接方法において、溶接施工の工程を第1段階と第2段階とに分割し、第1段階を開始するにあたって電極が板厚の薄い鋼板に接触するときの加圧力がオーバーシュートを生じても2.5kNを超えないように制御し、第1段階では低加圧力かつ短時間で抵抗スポット溶接を行ない、第2段階では高加圧力かつ長時間で抵抗スポット溶接を行ない、さらに第1段階の通電開始前における板厚の薄い鋼板と電極との接触部位の半径d(mm)と板厚の薄い鋼板の板厚t(mm)がd<7tを満足する範囲で抵抗スポット溶接を行なう抵抗スポット溶接方法である。
本発明の抵抗スポット溶接方法においては、第1段階では低加圧力,大電流かつ短時間で抵抗スポット溶接を行ない、第2段階では高加圧力,小電流かつ長時間で抵抗スポット溶接を行なうことが好ましい。また、板厚の薄い鋼板と電極との接触部位の半径をd(mm)とし、板厚の薄い鋼板の板厚をt(mm)として、半径dと板厚tがd<7tを満足することが好ましい。
なお、板組みを構成する鋼板は、炭素鋼板であれば良く、成分や強度は特に規定しない。また表面にめっきを施した鋼板(たとえば合金化溶融亜鉛めっき鋼板)を用いて板組みを構成しても良い。
めっき鋼板は、表面に導電性のめっき層を有する炭素鋼板であれば良く、めっきの条件は特に規定しない。
また、高加圧力,低加圧力,大電流,小電流,長時間,短時間とは、特定の数値を規定するものではなく、相対的な大小関係を表わすものである。つまり、第1段階の加圧力と第2段階の加圧力を比べて、大きい方を高加圧力,小さい方を低加圧力と記す。また、第1段階の溶接電流と第2段階の溶接電流を比べて、大きい方を大電流,小さい方を小電流と記す。さらに、第1段階の通電時間と第2段階の通電時間を比べて、長い方を長時間,短い方を短時間と記す。
本発明によれば、3枚以上の鋼板で構成される板厚比の大きい板組み、特に薄い亜鉛めっき鋼板が電極に接触する板組みにて十分なサイズのナゲットを形成できる。
図1は、本発明を適用する板組みの例を模式的に示す断面図であり、(a)は2枚の厚い鋼板と1枚の薄いめっき鋼板で構成される板組み、(b)は2枚の厚い鋼板と2枚の薄いめっき鋼板で構成される板組みである。なお、図1は本発明を適用する板組みの一例を示すものであり、本発明を適用する板組みを限定するものではない。
一対の電極3a,3bでこれらの板組みを挟み、加圧力を加えながら抵抗スポット溶接を行なう。本発明では溶接施工の工程を第1段階と第2段階に分割し、第1段階では低加圧力かつ短時間で抵抗スポット溶接を行ない、第2段階では電極による高加圧力かつ長時間で抵抗スポット溶接を行なう。
第1段階は、電極による加圧力を小さくすることによって、電極3a,3bとめっき鋼板1a,1bの接触面積が減少する。その結果、この接触部付近での電流密度が増加し、かつ電極による冷却作用が小さいので、電極からわずかに離れた位置が溶融する。このようしてめっき鋼板1a,1bに生じる溶融部は、めっき鋼板1a,1bと鋼板2a,2bとの間に広がっていき、めっき鋼板1a,1bとそれに接触する鋼板2a,2bとの間にナゲットが形成される。
ただし、めっき鋼板1a,1bの溶融部が過剰に広がって表散り(あるいは散り)が生じるのを防止するために、第1段階は短時間で終了させる。
また第1段階では、めっき鋼板1a,1bのめっき層も溶融して、めっき鋼板1a,1bと鋼板2a,2bとの間に広がっていき、めっき鋼板1a,1bと鋼板2a,2bの接触面積が拡大される。そこで、十分に低い加圧力で短時間に大電流を流してめっき鋼板1a,1bを選択的に加熱するのが好ましい。その結果、めっき鋼板1a,1bに熱膨張,変形が生じて、低加圧力の第1段階では、めっき鋼板1a,1bの浮き上がりが生じる。
浮き上がりによって離間した空間に溶融しためっき層が浸入することによって、めっき鋼板1a,1bと鋼板2a,2bの接触径の溶融しためっきによる拡大が抑制される。そのためには、追従性の良い機構を備えた溶接機を使用して、電極による加圧力を極めて高精度で制御するのが好ましい。溶接機は、定置式溶接機を使用しても良いし、溶接ロボットを使用しても良い。溶接機の電源は、単相交流,交流インバーター,直流インバーター等を使用する。
そのような追従性の良い機構を備えた溶接機は、溶接施工の開始にあたって電極が鋼板に接触するときに、加圧力のオーバーシュートを防止する効果も得られる。
第2段階は、電極による加圧力を大きくすることによって、電極3a,3bとめっき鋼板1a,1bの接触面積を広げて電流密度を低下させるとともに、電極3a,3bに接触することによる冷却効果によって、めっき鋼板1a,1bとそれに接触する鋼板2a,2bとの間に形成されるナゲットの成長を停止する。同時に、電流による発熱領域が一対の電極3a,3bの中間部に移動し、鋼板2aと鋼板2bとの間にナゲットが形成される。しかも、加圧力が大きいので鋼板2aと鋼板2bの接触面積が拡大され、ナゲットが成長しても散りが発生し難くなる。なお、鋼板2aと鋼板2bとの間にナゲットを形成し、さらに十分なサイズに成長させるために、第2段階は長時間とする。
また第2段階では、小電流を流してめっき鋼板1a,1bと鋼板2a,2bの離間を抑制するのが好ましい。
なお、高加圧力,低加圧力,大電流,小電流,長時間,短時間とは、特定の数値を規定するものではなく、相対的な大小関係を表わすものである。つまり、第1段階の加圧力と第2段階の加圧力を比べて、大きい方を高加圧力,小さい方を低加圧力と記す。また、第1段階の溶接電流と第2段階の溶接電流を比べて、大きい方を大電流,小さい方を小電流と記す。さらに、第1段階の通電時間と第2段階の通電時間を比べて、長い方を長時間,短い方を短時間と記す。
さらに本発明では第1段階の通電開始前において、電極3a,3bがめっき鋼板1a,1bに接触する部位の半径d(mm)が、めっき鋼板1a,1bの板厚t(mm)に対してd<7tを満足するのが好ましい。その理由は、d≧7tでは接触面積が大きく、電極による冷却作用が顕著になり、めっき鋼板1a,1bとそれに接触する鋼板2a,2bとの間に溶融部を形成することが困難になるからである。なお半径dは、市販されている極超低圧用感圧紙にて測定された0.2MPa以上の面圧が作用した領域の半径である。
また、電極3a,3bの先端は曲面とするのが好ましい。先端が曲面の電極3a,3bを使用することによって、低加圧力の第1段階では電極と鋼板との接触面積を小さく制限し、めっき鋼板1a,1bと鋼板2a,2bとの間に溶融部を形成し易くし、また第2段階で加圧力を増加したときに電極3a,3bとめっき鋼板1a,1bの接触面積が広がり、散りの発生を防止できる。
さらに図3(a)の板組みでは、電極3bの先端の曲率半径は電極3aの曲率半径よりも大きいことが好ましい。これは、鋼板2bの方がめっき鋼板1aよりも変形し難いので、同じ曲率半径では電極3とめっき鋼板1aの間の鋼板2bから表散りが第1段階で生じてしまうからである。
図3に示す2種類の板組みの抵抗スポット溶接を行なった。溶接機は、サーボモーター加圧式のCガン型溶接機を使用した。
板組みを構成するめっき鋼板1a,1bと鋼板2a,2bの組み合わせは、表1に示す通りである。抵抗スポット溶接の条件は、表2に示す通りである。なお、表2ではd<7tを満足するものを○、d≧7tとなるものを×で示した。
Figure 2007268604
Figure 2007268604
No.2,3,6〜10,12,13(発明例)は、第1段階と第2段階の抵抗スポット溶接の条件が、それぞれ本発明の範囲を満足する例である。なお発明例では、溶接施工の開始にあたって電極3a,3bがめっき鋼板1a,1bに接触するときにオーバーシュートは発生しなかった(図4(a)参照)。
一方、No.1,11(比較例)は、電極3a,3bがめっき鋼板1a,1bに接触するときにオーバーシュートを発生させた例である(図4(b)参照)。No.4,5,14は、d≧7tとなる例である。
これらの板組みの抵抗スポット溶接が終了した後、形成されたナゲットを観察して、そのサイズを調査した。その結果は、めっき鋼板1a,1bの板厚t(mm)に対してナゲットの直径が4t1/2以上のものを○とし、4t1/2未満のものを×として表2に示す。
表2から明らかなように、発明例では、いずれも十分なサイズのナゲットが形成された。
3枚重ねの板組みの例を模式的に示す断面図である。 図1の発熱部近傍の変形の例を模式的に示す断面図である。 本発明を適用する板組みの例を模式的に示す断面図である。 加圧力の推移の例を模式的に示すグラフである。
符号の説明
1a めっき鋼板
1b めっき鋼板
2a 鋼板
2b 鋼板
3a 電極
3b 電極
4 発熱部

Claims (2)

  1. 重ね合わせた2枚以上の鋼板の少なくとも一方の鋼板に板厚の薄い鋼板を重ねた板組みでかつ前記板厚の薄い鋼板とその鋼板と重なる鋼板の少なくともどちらか一方がめっき鋼板である板組みを、一対の電極によって挟み加圧力を加えながら抵抗スポット溶接を行なう抵抗スポット溶接方法において、溶接施工の工程を第1段階と第2段階とに分割し、前記第1段階を開始するにあたって前記電極が前記板厚の薄い鋼板に接触するときの加圧力がオーバーシュートを生じても2.5kNを超えないように制御し、前記第1段階では低加圧力かつ短時間で抵抗スポット溶接を行ない、前記第2段階では高加圧力かつ長時間で抵抗スポット溶接を行ない、さらに第1段階の通電開始前における前記板厚の薄い鋼板と前記電極との接触部位の半径d(mm)と前記板厚の薄い鋼板の板厚t(mm)がd<7tを満足する範囲で抵抗スポット溶接を行なうことを特徴とする抵抗スポット溶接方法。
  2. 前記第1段階では低加圧力、高電流かつ短時間で抵抗スポット溶接を行ない、前記第2段階では高加圧力、低電流かつ長時間で抵抗スポット溶接を行なうことを特徴とする請求項1に記載の抵抗スポット溶接方法。
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