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JP2007109100A - 多入力多出力系の制御装置 - Google Patents

多入力多出力系の制御装置 Download PDF

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JP2007109100A
JP2007109100A JP2005300757A JP2005300757A JP2007109100A JP 2007109100 A JP2007109100 A JP 2007109100A JP 2005300757 A JP2005300757 A JP 2005300757A JP 2005300757 A JP2005300757 A JP 2005300757A JP 2007109100 A JP2007109100 A JP 2007109100A
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Yukio Kuroda
幸男 黒田
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Abstract

【課題】多入力多出力系のモデルを高い精度で構築し、内燃機関などのプラントを最適に制御すること。
【解決手段】実機を非線形モデルで近似した精密モデル10を作成する非線形モデル作成手段と、精密モデル10へ入力される複数の入力値U(t),U(t),・・・,Uj(t)の制約条件を設定する入力制約条件設定手段と、制約条件に基づいて、実現し得る複数の入力値U(t),U(t),・・・,Uj(t)の全ての組み合わせを精密モデル10へ入力する入力手段と、入力値U(t),U(t),・・・,Uj(t)に対応して精密モデル10から出力された複数の出力値Y(t),Y(t),・・・,Y(t)を評価する評価手段と、を備える。精密モデル10により実機の非線形性を加味した制御が可能となり、実現し得る入力値の全ての組み合わせの中から、制約条件を考慮した上で、最適な入力値と出力値の組み合わせを算出することが可能となる。
【選択図】図1

Description

この発明は、多入力多出力系の制御装置に関する。
従来、例えば特開平7−49049号公報には、多入力多出力系を制御する場合において、プラントを線形離散系モデルで近似し、それをもとにオブザーバや最適レギュレータ設計などの制御理論を用いて内燃機関の制御に適用する方法が開示されている。
特開平7−49049号公報 特開平6−95707号公報 特開平4−266101号公報
しかしながら、内燃機関などの実際のプラントは、外乱、機械的な公差、経年変化等の要因により非線形性を有しているため、線形モデルから得られた最適値を用いて実際のプラントを最適に制御することは困難である。このため、内燃機関の制御を想定した場合、線形モデルによる近似では計算精度が低下してしまい、制御性が低下するという問題が生じる。
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、多入力多出力系のモデルを高い精度で構築し、内燃機関などのプラントを最適に制御することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、実機を近似した非線形モデルを作成する非線形モデル作成手段と、前記非線形モデルへ入力される複数の入力値の制約条件を設定する入力制約条件設定手段と、前記制約条件に基づいて、実現し得る前記複数の入力値の組み合わせを前記非線形モデルへ入力する入力手段と、前記入力値に対応して前記非線形モデルから出力された複数の出力値を評価する評価手段と、を備えたことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記入力手段は、実現し得る前記複数の入力値の全ての組み合わせを前記非線形モデルへ入力することを特徴とする。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記評価手段での評価結果に基づいて、最適な前記入力値と前記出力値の組み合わせを決定する最適入出力決定手段を更に備えたことを特徴とする。
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれかにおいて、前記評価手段での評価結果に基づいて、前記制約条件を変更する制約条件変更手段を更に備えたことを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明において、前記制約条件変更手段は、前記評価手段による最新の評価結果が以前の評価結果よりも良好な場合は、前記制約条件を厳しくすることを特徴とする。
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれかにおいて、前記非線形モデルに含まれる構成要素の動作環境制約条件を設定する動作環境制約条件設定手段と、前記非線形モデルが前記入力値の入力を受けた際に、前記構成要素が前記動作環境制約条件の範囲で動作しているか否かを判定する動作判定手段と、前記構成要素が前記動作環境制約条件の範囲で動作していない場合は、前記複数の入力値を修正する入力修正手段と、を更に備えたことを特徴とする。
第7の発明は、第6の発明において、前記動作判定手段は、前記構成要素の内部変数に基づいて前記構成要素の動作を判定し、前記入力修正手段は、前記構成要素が前記動作環境制約条件の範囲で動作していない場合は、当該構成要素の内部変数が前記動作環境制約条件の境界値となるように前記複数の入力値の少なくとも一部を修正することを特徴とする。
第8の発明は、第6又は第7の発明において、前記構成要素が前記動作環境制約条件の範囲で動作していない場合は、前記入力値に対応した前記出力値を前記非線形モデルから出力しないことを特徴とする。
第9の発明は、第1〜第8の発明のいずれかにおいて、前記非線形モデルは内燃機関システムをモデル化したものであり、前記入力値及び前記出力値に基づいて当該内燃機関システムを制御することを特徴とする。
第10の発明は、第1〜第8の発明のいずれかにおいて、前記非線形モデルは内燃機関システムをモデル化したものであり、前記入力値及び前記出力値に基づいて当該内燃機関システムのアイドリング回転数を制御することを特徴とする。
第11の発明は、第1〜第8の発明のいずれかにおいて、前記非線形モデルはモータを含むハイブリッドシステムをモデル化したものであり、前記入力値及び前記出力値に基づいて当該ハイブリッドシステムを制御することを特徴とする。
第1の発明によれば、非線形モデルにより実機の非線形性を加味した制御が可能となり、実現し得る入力値の組み合わせの中から、制約条件を考慮した上で、最適な入力値と出力値の組み合わせを算出することが可能となる。従って、実機に対して極めて正確な制御を実現することが可能となる。
第2の発明によれば、実現し得る入力値の全ての組み合わせの中から、最適な入力値と出力値の組み合わせを算出することが可能となる。
第3の発明によれば、入力値と出力値の最適な組み合わせを決定することが可能となり、これに基づいて実機を最適に制御することが可能となる。
第4の発明によれば、評価手段での評価結果に基づいて制約条件を変更するため、制約条件の許容範囲を判定することが可能となる。
第5の発明によれば、評価手段による最新の評価結果が以前の評価結果よりも良好な場合は、制約条件を厳しくするため、制約条件を厳しくした場合に何処まで制御が成立するかを判定することが可能となる。従って、例えば制約条件がアクチュエータの作動能力で規定されている場合は、アクチュエータを小型化、小容量化、または低性能化した場合に制御が成立するか否かを判定することが可能となり、コストダウンの検討を行うことが可能となる。
第6の発明によれば、非線形モデル内の構成要素が動作環境制約条件の範囲で動作しているか否かを判定し、構成要素が動作環境制約条件の範囲で動作していない場合は、入力値を修正するため、構成要素の動作を考慮した上で最適な制御を実現することができる。
第7の発明によれば、構成要素が動作環境制約条件の範囲で動作していない場合は、当該構成要素の内部変数が動作環境制約条件の境界値となるように複数の入力値の少なくとも一部を修正するため、構成要素を動作環境制約条件の範囲で確実に動作させることが可能となる、
第8の発明によれば、構成要素が動作環境制約条件の範囲で動作していない場合は、入力値に対応した出力値を非線形モデルから出力しないため、計算負荷を最小限に抑えることが可能となる。
第9の発明によれば、内燃機関システムをモデル化して非線形モデルを作成するため、内燃機関システムを高精度に制御することが可能となる。
第10の発明によれば、内燃機関システムをモデル化して非線形モデルを作成するため、アイドリング回転数を高精度に制御することが可能となる。
第11の発明によれば、ハイブリッドシステムをモデル化して非線形モデルを作成するため、ハイブリッドシステムを高い精度で制御することが可能となる。
以下、図面に基づいてこの発明のいくつかの実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1を説明するための模式図である。図1は、実施の形態1に係る多入力多出力系のシステムを示している。このシステムは、複数の特性値の入力を受けて、入力に応じた複数の特性値を出力する精密モデル10を備えている。
精密モデル10は、実際のプラントを精密にモデル化したものであって、プラント内に存在する機械的なガタや、運転条件による遅れの変化などの非線形性を取り入れたものである。精密モデル10は、モデル化したプラントの制御に用いられるため、プラントが備えるECU(Electronic Control Unit)によって構築され、ECUによって制御される。なお、以下の各実施形態で説明する精密モデルは、実施の形態1の精密モデル10と同様の基本的機能を有している。
精密モデル10には、複数の特性値U(t),U(t),・・・,Uj(t)が入力される。また、これらの入力に基づいて、精密モデル10から複数の特性値Y(t),Y(t),・・・,Y(t)が出力される。入力U(t),U(t),・・・,Uj(t)、出力Y(t),Y(t),・・・,Y(t)は、それぞれ時間tの関数である。
例えば、精密モデル10によって表現されるプラントが内燃機関の場合、内燃機関は燃料、空気の供給を受けて出力を発生するため、入力U(t),U(t),・・・,Uj(t)は、それぞれ吸入空気量、燃料噴射量などの値となり、出力Y(t),Y(t),・・・,Y(t)は、空燃比、トルク、機関回転数などの値となる。
各入力U(t),U(t),・・・,Uj(t)には制約条件が設定されている。各入力U(t),U(t)の制約条件は、以下のように表される。
Ua1<U(t)<Ua2
Ub1<U(t)<Ub2
精密モデル10によって表現されるプラントが内燃機関であり、入力U(t)を吸入空気量とした場合、吸気管の直径、スロットルバルブの開度の最大値、最小値などから、入力U(t)の上限値(Ua1)、下限値(Ua2)が定まる。他の制約条件についても同様に、主としてハード的な要因から制約条件が課せられている。
また、各入力U(t),U(t),・・・,Uj(t)には、以下のようにアクチュエータの制御周期間(ECUによる制御周期)での動作速度可能範囲が設定されている。
ΔUmin<U(Δt)<ΔUmax
ΔUmin<U(Δt)<ΔUmax
ここで、U(Δt)は微小時間Δt(ECUによる制御周期間)における入力Uの変化量である。例えば、入力U(t)を吸入空気量とした場合、微小時間Δtにおける吸入空気量の変化量U(Δt)は、スロットルバルブの動作速度によって制約を受ける。スロットルバルブがアクチュエータによって駆動される場合、スロットルバルブの動作速度はアクチュエータの性能によって制約を受ける。アクチュエータの制御周期間での動作速度可能範囲は、このようなアクチュエータ等による動作速度に起因した制約条件を表している。
各入力U(t),U(t),・・・,Uj(t)は、上述した制約条件の範囲内で、
所定の刻み幅毎に複数の値が用意される。そして、各入力U(t),U(t),・・・,Uj(t)の全ての組み合わせが精密モデル10に入力される。刻み幅の値は、入力が出力に与える影響度合いから決定することができる。例えば、入力U(t)の出力への影響が少ない場合は、刻み幅を大きくして入力U(t)の数を減少させることが好適である。一方、入力U(t)の出力への影響が大きい場合は、刻み幅を少なくして入力U(t)の数を多くし、より緻密な演算を行うことが好適である。また、刻み幅によって入力の数が定まり、入力の数はECUによる演算の負荷に影響を与えるため、刻み幅はECUの処理能力に応じて決定することが好適である。
例えば、入力がU(t),U(t),U(t)の3種類であり、U(t)として100個の値が用意され、U(t)として50個の値が用意され、U(t)として200個の値が用意された場合、入力U=(U(t),U(t),U(t),・・・,U(t))の全ての組み合わせの数iは、100×50×200=1,000,000個となる。
精密モデル10は、上述した1,000,000個の入力を受けて、各入力に対応した1,000,000個の出力Y(i)=(Y(t),Y(t),Y(t),・・・,Y(t))を出力する。そして、精密モデル10から出力された各出力Y(i)は、評価関数Eにより評価される。
図2は、評価関数Eによる評価方法を示す模式図である。図2において、横軸は時間を、縦軸は出力Yを示している。評価関数は、目標出力Ytと実際の出力Yとのずれの総和、または目標出力Ytが与えられてから実際の出力Yが目標出力Ytに到達するまでの時間に基づいて、出力Yを評価する。
図2の例では、時刻t0の時点から出力Yを目標出力Ytへ制御し、時刻t1で出力Yが目標出力Ytへ到達した場合を示している。評価関数は、時刻t0からt1までの間における出力Yと目標出力Ytとの偏差(図2中にハッチングで示す部分の面積)、または、時刻t0から時刻t1までの時間に基づいて出力Yの制御性を評価する。出力Yと目標出力Ytとの偏差が少ないほど、または時刻t0から時刻t1までの時間が短いほど、出力Yの制御性が良好であり、出力Yの評価が良好になる。
評価関数Eは各入力に対応した全ての出力Y(i)の評価を行う。上述の例では1,000,000個の入力U(i)に対応した1,000,000個の出力Y(i)を全て評価する。そして、評価関数Eにより評価が良好であると判定された出力Yと、この出力Yに対応する入力Uのセットは、最適な入出力のセット(組み合わせ)として保存される。
より詳細には、評価関数Eは、各出力Y(i)における特性値Y(t),Y(t),Y(t),・・・,Y(t)を個別に評価する関数と、特性値Y(t),Y(t),Y(t),・・・,Y(t)の評価に基づいて各出力Y(i)を総合的に評価する関数とを備えている。これにより、各特性値Y(t),Y(t),Y(t),・・・,Y(t)の優先順位を考慮して出力Y(i)を評価することができる。例えば、精密モデル10によって表現されるプラントが内燃機関であり、出力Y(i)にトルクと空燃比の特性値が含まれる場合、評価関数Eによってトルクよりも空燃比が優先して評価される場合は、空燃比の評価が高い出力Y(i)を最適な出力とすることができる。
このような手法によれば、全ての入力パターンの組み合わせの中から、最適な出力を求めることができる。従って、多入力多出力系において、入力の一部を固定し、他の入力を変化させて出力を求める方法に比べて、より正確に最適な入出力の組み合わせを求めることが可能となる。また、入力Uにハード的な制約条件を設定しているため、制約条件を加味した上で最適な制御量を計算することができる。更に、精密モデル10はプラントの非線形性を考慮したものであるため、制御遅れ、機械的なガタなどの要因を考慮して出力を評価することができる。従って、いかなるシステムに対しても正確な制御入力、出力を計算することが可能となる。
次に、図3のフローチャートに基づいて、本実施形態のシステムにおける処理の概略について説明する。先ず、ステップS1では、制御対象となるプラントの精密モデル10を作成する。次のステップS2では、各入力Uの制約条件を取り込む。
次のステップS3では、制約条件を満たす全ての入力U(i)を準備する。ここでは、N通りの組み合わせが得られたものとする。従って、iは1からNまでの整数である。次のステップS4では、各入力U(i)について、精密モデル10から出力Y(i)を算出する。
次のステップS5では、評価関数Eを用いて、出力Y(i)のそれぞれの制御性を示す評価値E(i)を求める。次のステップS6では、E(i)(i=1〜N)の結果から、最適な入出力のセットを選定する。ステップS6の後は、処理を終了する(RETURN)。
図3の処理によれば、全ての入力パターンの組み合わせに対して出力Y(i)を算出し、出力Y(i)を評価関数Eを用いて評価するため、最適な入出力のセットを確実に求めることが可能となる。
図4は、本実施形態のシステムによる処理の手順をより詳細に示すフローチャートである。先ず、ステップS101では、制御対象となるプラントの精密モデル10を作成する。次のステップS102では、各入力Uの制約条件を取り込む。次のステップS103では、各入力Uの刻み幅を決定する。
次のステップS104では、制約条件を満たす全ての入力Uの組み合わせ数Nを算出する。次のステップS105では、組み合わせによって得られた全ての入力パターンU(i)(i=1〜N)を準備する。
次のステップS106では、入力U(i)の変数iを1に設定する(i=1)。次のステップS107では、入力U(i)について、精密モデル10から出力Y(i)を算出する。次のステップS108では、評価関数Eを用いて出力Y(i)の制御性を示す評価値E(i)を求め、出力Y(i)の制御性を評価する。
次のステップS109では、i=Nであるか否かを判定し、i≠Nの場合は、ステップS110へ進み、現在のiの値に1を加算し、i=i+1としてステップS107へ戻る。一方、ステップS109でi=Nの場合はステップS111へ進む。
ステップS111では、各出力Y(i)の評価値E(i)に基づいて、最も評価の高い入力U(i)と出力Y(i)のセット(組み合わせ)を求める。ステップS111の後は処理を終了する(RETURN)。
図4の処理によれば、1からNまでの入力U(i)の組み合わせに対して、順次に対応するY(i)を算出することができ、各出力Y(i)を評価関数Eで評価することで、最適な入出力のセットを確実に求めることが可能となる。
なお、図4の処理において、最適な入出力のセットを求めた後、前回求めた最適値との比較に基づいて制約条件を変更するようにしても良い。図5のフローチャートは、評価結果に基づいて制約条件を変更する処理を示している。
先ず、ステップS121では、制御対象となるプラントの精密モデル10を作成する。次のステップS122では、各入力Uの制約条件を取り込む。次のステップS123では、各入力Uの刻み幅を決定する。
次のステップS124では、制約条件を満たす全ての入力Uの組み合わせ数Nを算出する。次のステップS125では、組み合わせによって得られた全ての入力パターンU(i)(i=1〜N)を準備する。
次のステップS126では、入力U(i)の変数iを1に設定する(i=1)。次のステップS127では、入力U(i)について、精密モデル10から出力Y(i)を算出する。次のステップS128では、評価関数Eを用いて出力Y(i)の制御性を示す評価値E(i)を求め、出力Y(i)の制御性を評価する。
次のステップS129では、i=Nであるか否かを判定し、i≠Nの場合は、ステップS130へ進み、現在のiの値に1を加算し、i=i+1としてステップS127へ戻る。一方、ステップS129でi=Nの場合はステップS131へ進む。
ステップS131では、各出力Y(i)の評価値E(i)に基づいて、最適な入出力のセットを求める。
次のステップS132では、今回の処理のステップS131で求めた最適な入出力のセットの評価が、前回のステップS131の処理で求めた最適な入出力のセットの評価よりも高いか否かを判定する。そして、今回の評価結果が前回の評価結果よりも良い場合は、ステップS133へ進む。
ステップS133では、入力Uについての制約条件が厳しくなるように制約条件を変更する。ステップS133の後はステップS122へ戻る。
一方、ステップS132において、今回の評価結果が前回の評価結果と同等又は前回の評価結果よりも悪い場合は、処理を終了する(RETURN)。
図5の処理によれば、今回の処理における評価結果が前回の処理における評価結果よりも良い場合は、入力Uの制約条件を厳しくして再度評価を行うため、制約条件を厳しくした場合に制御が成立するか否かを判定することが可能となる。従って、例えば制約条件がアクチュエータの作動能力で規定されている場合は、アクチュエータを小型化、小容量化、または低性能化した場合に制御が成立するか否かを判定することが可能となり、コストダウンの検討を行うことが可能となる。このように、図5の処理によれば、アクチュエータの性能を低下させた場合に制御が成立するか否かを検討することが可能となる。
なお、図5の処理において、制約条件が緩くなるように変更した場合の入出力の評価に基づいて、アクチュエータを高性能化した場合に出力の評価がどの程度まで高くなるかを検討しても良い。
以上説明したように実施の形態1によれば、精密モデル10によりプラントの非線形性を加味した制御が可能となり、想定される全ての入力パターンの組み合わせの中から、ハード的な制約条件を考慮した上で、最適な入力U(i)と出力Y(i)の組み合わせを算出することが可能となる。従って、従来の簡易線形モデルを用いた制御に比べて極めて正確な制御を実現することが可能となる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2も実施の形態1と同様に多入力多出力系のシステムに関するものである。
図6は、実施の形態2のシステムを示す模式図である。実施の形態1と同様に、精密モデル10は実際のプラントを精密にモデル化したものであり、複数の特性値U(t),U(t),・・・,Uj(t)の入力を受けて、入力に応じた特性値Y(t),Y(t),・・・,Y(t)を出力する。
図6に示すように、精密モデル10は、その内部に構成要素12,14を備えている。構成要素12,14は、例えばプラント10が内燃機関システムの場合、エンジン、トランスミッション、クラッチなどの構成要素に対応する。
各入力U(t),U(t),・・・,Uj(t)は、精密モデル10に入力された後、その一部が構成要素12,14に入力される。図6の例では、精密モデル10に入力された入力U(t)は、そのまま入力u1として構成要素12へ入力される。構成要素12は内部変数x1(t)を有しており、内部変数x1(t)は入力U(i)を受けて変化する。
また、図6に示すように、精密モデル10に入力された入力U(t)と入力Uj(t)は、入力u2として構成要素14へ入力される。構成要素14は内部変数x2(t)を有しており、内部変数x2(t)は入力u2を受けて変化する。
なお、図6の例では、精密モデル10への入力U(t),U(t),Uj(t)が直接的に構成要素12,14へ入力される例を示しているが、精密モデル10内の特定の構成要素からの出力が他の構成要素へ入力されるものであっても良い。
一般に、プラント内の各構成要素は、動作可能範囲、制御単位時間当たりの動作量、温度などの動作環境条件による制約を受ける。構成要素12,14の内部変数x1(t),x2(t)は構成要素12,14の動作状態を表しており、構成要素12,14が動作環境条件の範囲内で動作しているか否かは、内部変数x1(t),x2(t)に基づいて判定することができる。
実施の形態2は、プラント内部の各構成要素の動作環境制約条件を考慮した上で最適な制御入力を計算するものである。そして、この制御を実現するために、実施の形態2では精密モデル10内の構成要素に動作環境制約条件が与えられる。なお、入力Uについては実施の形態1と同様に制約条件が与えられる。
各構成要素12,14の動作環境制約条件は、以下のように表される。
L1<x1(t)<H1
L2<x2(t)<H2
例えば、構成要素12をモータなどのアクチュエータとした場合、アクチュエータの動作可能範囲、使用温度範囲などのパラメータによって構成要素12の動作は制約を受ける。上記の動作環境制約条件は、これらの制約を表したものである。
また、内部構成要素の制御周期間での動作環境制約範囲は以下のように表される。
ΔL1 min<x1(Δt)<ΔH1 max
ΔL2 min<x2(Δt)<ΔH2 max
ここで、x1(Δt)は微小時間Δtにおけるx1(t)の変化量である。構成要素12をアクチュエータとした場合、微小時間Δtにおけるアクチュエータの動作速度、温度変化量は、アクチュエータの性能に基づいて制約を受ける。内部構成要素の制御周期間での制約範囲は、このようなアクチュエータの動作速度、単位時間当たりの温度変化量などに起因した制約条件を表している。
実施の形態1と同様に、想定される全ての入力パターンが精密モデル10に入力される。そして、実施の形態2では、入力パターンU(i)に応じた出力Y(i)を精密モデル10から出力する際に、各構成要素が上記の動作環境制約条件の範囲内で動作しているか否かを確認する。そして、構成要素の内部変数が動作環境制約条件を逸脱している場合は、その構成要素への入力uを修正し、これをシステム全体の入力Uに反映する。
例えば、構成要素14の内部変数x2(t)が動作環境制約条件から逸脱している場合は、内部変数x2(t)が動作環境制約条件に収まるように構成要素14への入力u2が修正される。そして、入力u2は、入力U(t)と入力Uj(t)から決定されるため、入力U(t)と入力Uj(t)が修正される。
より具体的には、内部変数x2(t)が動作環境制約条件の範囲から外れている場合は、内部変数x2(t)が動作環境制約条件の上限値又は下限値となるように入力u2が変更され、入力u2は変更された値に固定される。そして、入力U(t)と入力Uj(t)は、入力u2に応じた値に固定される。一方、他の入力(U(t)など)については、通常通り入力の制約条件の範囲内で可変され、準備された入力Uを精密モデル10へ入力する。
このようにして、構成要素12,14の動作環境制約条件に応じて修正された入力Uで出力Yを計算し、評価することを繰り返すことで、最適な制御入出力のセットを求める。これにより、構成要素12,14の動作環境制約条件を満たした最適な入出力のセットを求めることができる。
また、内部変数x2(t)が動作環境制約条件の範囲から外れている場合に、内部変数x2(t)を動作環境制約条件の上限値又は下限値に固定することなく、内部変数x2(t)が動作環境制約条件の範囲内に収まるように新たに入力U(i)を設定してもよい。この場合、内部変数x2(t)を動作環境制約条件の上限値又は下限値に固定した場合に比べて演算処理量は大きくなるが、内部変数x2(t)の設定の自由度が高まるため、より最適な出力を求めることが可能となる。
次に、図7のフローチャートに基づいて、実施の形態2のシステムにおける処理の手順について説明する。先ず、ステップS201では、制御対象となるプラントの精密モデル10を作成する。次のステップS202では、各入力Uの制約条件を取り込む。次のステップS203では、各入力Uの刻み幅を決定する。
次のステップS204では、制約条件を満たす全ての入力U(i)の数(組み合わせ数)Nを算出する。次のステップS205では、組み合わせによって得られた全ての入力パターンU(i)を準備する。次のステップS206では、入力U(i)の変数iを1に設定する(i=1)。
次のステップS207では、入力U(i)を精密モデル10へ入力する。次のステップS208では、全ての構成要素12,14について、その内部変数が制約条件から外れているか否かを判定する。
ステップS208において、構成要素12,14の内部変数が動作環境制約条件から外れている場合は、ステップS209へ進む。ここでは、内部変数が動作環境制約条件を外れている構成要素(ここでは構成要素xmとする)を特定し、内部変数が制約条件の上限値又は下限値となるように構成要素xmへの入力umを固定する。より詳細には、内部変数が動作環境制約条件の上限値を超えている場合は、内部変数が上限値となるように入力umの値を固定する。一方、内部変数が動作環境制約条件の下限値を下回っている場合は、内部変数が下限値となるように入力umの値を固定する。
次のステップS210では、構成要素xmへの入力umを固定するための入力U(i)を作成する。ここでは、入力umを固定するために入力U(i)の一部を固定し、入力U(i)の残りを可変することで、入力U(i)を作成する。ステップS210の後は、ステップS207へ戻る。
一方、ステップS208で構成要素12,14の内部変数が動作環境制約条件から外れていない場合は、ステップS211へ進み、入力U(i)について精密モデル10から出力Y(i)を算出する。そして、次のステップS212では、評価関数Eを用いて出力Y(i)のそれぞれの制御性を示す評価値E(i)を求め、出力Y(i)の制御性を評価する。
次のステップS213では、i=Nであるか否かを判定し、i≠Nの場合は、ステップS214へ進み、現在のiの値に1を加算し、i=i+1としてステップS207へ戻る。一方、ステップS213でi=Nの場合はステップS215へ進む。
ステップS215では、各出力Y(i)の評価値E(i)に基づいて、最適な入出力のセットを求める。ステップS215の後は処理を終了する(RETURN)。
図7の処理によれば、構成要素xmの内部変数が動作環境制約条件の範囲外の場合は、内部変数が動作環境制約条件の上限値又は下限値となるように構成要素xmへの入力umを固定し、内部変数が動作環境制約条件の範囲に収まるまで、繰り返し入力U(i)を修正することができる。これにより、精密モデル10内の構成要素12,14の動作環境制約条件に応じて入力U(i)を修正することができ、構成要素12,14の内部変数を考慮した上で最適な入出力のセットを算出することが可能となる。また、構成要素の内部変数が動作環境制約条件を満たした場合にのみ精密モデル10から出力Y(i)を算出するため、動作環境制約条件を満たしていない出力Y(i)が算出されてしまうことを回避でき、精密モデル10による演算処理量を低減することができる。
また、図7の処理では、ステップS214の後に今回の評価と前回の評価を比較するステップを設け、今回の評価の方が前回の評価よりも良い場合は、動作環境制約条件がより厳しくなるように修正を行っても良い。これにより、図5の場合と同様の方法で、構成要素12,14に対応するアクチュエータ、部品を低性能化できるか否かを判定することができ、コストダウンの検討を行うことが可能となる。
以上説明したように実施の形態2によれば、精密モデル10の構成要素12,14の内部変数に応じて入力を修正することができるため、構成要素12,14の内部変数を考慮した上で最適な入出力のセットを算出することが可能となる。従って、最適な入出力のセットを高い精度で算出することが可能となる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態1では、一般的なプラントの制御について説明したが、実施の形態3は、実施の形態1の制御を実際のエンジン(内燃機関)に適用したものである。
図8は、実施の形態3のシステムを示す模式図である。図8に示すように、本実施形態のシステムは、制御対象としてのエンジンをモデル化した精密モデル20を備えている。精密モデル20は、エンジンにおける機械的なガタ、制御遅れなどの非線形性を考慮して構成されたものである。精密モデル20には、吸入空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)が入力される。そして、精密モデル20からは、空燃比AF(t)、トルクTQ(t)、回転数NE(t)が出力される。
図9は、精密モデルによって表現された実機の内燃機関システムの構成を示す模式図である。以下、図9に基づいて、内燃機関システムの構成を説明する。図9のシステムは、内燃機関110を備えている。内燃機関110には吸気通路112および排気通路114が連通している。吸気通路112は、上流側の端部にエアフィルタ116を備えている。エアフィルタ116には、吸気温THA(すなわち外気温)を検出する吸気温センサ118が組みつけられている。また、排気通路114には排気浄化触媒132が配置されている。
エアフィルタ116の下流には、エアフロメータ120が配置されている。エアフロメータ120の下流には、スロットルバルブ122が設けられている。スロットルバルブ122の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ124と、スロットルバルブ122が全閉となることでオンとなるアイドルスイッチ126とが配置されている。
スロットルバルブ122の下流には、サージタンク28が設けられている。また、サージタンク128の更に下流には、内燃機関10の吸気ポートに燃料を噴射するための燃料噴射弁130が配置されている。
内燃機関110は、吸気バルブ136および排気バルブ138を備えている。吸気バルブ136には、吸気バルブ136のリフト量、及び/又は作用角を可変するための可変動弁機構(VVT; Variable Valve Timing)144が接続されている。また、燃焼室内に噴霧された燃料に点火するため、内燃機関110の筒内には点火プラグが設けられている。更に、筒内には、その内部を往復運動するピストン134が設けられている。また、内燃機関10には、冷却水温を検出する水温センサ142が取り付けられている。
ピストン34には、その往復運動によって回転駆動されるクランク軸136が連結されている。車両駆動系と補機類(エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、トルクコンバータ、パワーステアリングのポンプ等)は、このクランク軸136の回転トルクによって駆動される。クランク軸136の近傍には、クランク軸136の回転角を検出するためのクランク角センサ138が取り付けられている。
図9に示すように、内燃機関システムはECU140を備えている。ECU140には、上述した各種センサに加え、ノッキングの発生を検知するKCSセンサや、車速、機関回転数、排気温度、潤滑油温度、触媒床温度などを検出するための各種センサ(不図示)が接続されている。また、ECU140には、上述した燃料噴射弁130、可変動弁機構144などの各アクチュエータが接続されている。精密モデル20はECU140によって構築され、精密モデル20による制御、演算はECU140によって行われる。
精密モデル20は、ECU40内でモデル化されている。ECU140は、精密モデル20に対して吸入空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)が入力されと、精密モデル20から空燃比AF(t)、トルクTQ(t)、回転数NE(t)を出力し、以下に示す方法によって最適な入出力のセットを算出する。
図10は、精密モデル20の具体的な構成を示す模式図である。精密モデル20内には、図9の内燃機関システムの各構成部品毎にモデルが構成されている。すなわち、精密モデル20内には、エアフィルタ116のモデル21、スロットルバルブ122のモデル22、インテークマニホールドのモデル23、内燃機関110のモデル24、エキゾーストマニホールドのモデル25、排気浄化触媒132のモデル26などが構築されている。
各モデル21,22,23,24,25,26は、空気、燃焼ガス等についての質量保存の法則と、エネルギー保存の法則を基本とする物理式によって表現されている。また、各構成部品毎のモデル間では、熱や圧力のやり取りについて平衡計算が行われる。このように、精密モデル20は物理式を主体として実機の内燃機関システムを表現したものであり、実機のシステムの挙動を精密に再現することができる。
精密モデル20への入力としての空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)の制約条件は以下のように表される。
0≦Ga(t)≦a1
0≦Tau(t)≦b1
c1≦St(t)≦c2
上記制約条件で示されるように、吸入空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)の値は、これらの特性値を制御するパラメータ(スロットルバルブの可動範囲、インジェクタの容量、ノッキングを考慮した点火時期の制御範囲など)に応じて、制約条件が課せられている。
また、入力(アクチュエータ)の制御周期間での動作速度可能範囲は、以下のように表される。
ΔGa min≦Ga(Δt)≦ΔGa max
ΔTau min≦Tau(Δt)≦ΔTau max
ΔST min≦St(Δt)≦ΔST max
このように、吸入空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)のそれぞれの動作速度Ga(Δt),Tau(Δt),St(Δt)は、これらの特性値を制御するアクチュエータの制御周期間での動作速度に応じて、制約条件が課せられている。
実施の形態1と同様に、これらの制約条件により入力Uが制約される。そして、制約条件の範囲内の全ての入力Uの組み合わせが、エンジンの精密モデル20に入力される。
これらの入力を受けて、精密モデル20は、入力に応じた空燃比AF(t)、トルクTQ(t)、回転数NE(t)を演算し、出力する。そして、これらの出力は、評価関数Eにより評価され、最適な入出力のセットが選ばれる。
このように、実施の形態1の処理をエンジン制御に適用することで、吸入空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)を精密モデル20に入力した場合に、空燃比AF(t)、トルクTQ(t)、回転数NE(t)を算出することができる。
この際、入力としての吸入空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)は、想定される全ての組み合わせが精密モデル20へ入力されるため、全ての入力に対応した空燃比AF(t)、トルクTQ(t)、回転数NE(t)を出力することができる。そして、最適な入出力のセットに基づいてエンジンを制御することで、エンジンを所望の運転状態で運転することができる。
通常のエンジン制御では、燃料噴射量を制御することで空燃比、トルク、回転数などのパラメータを制御することが一般的であるが、本実施形態の手法によれば、吸入空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)の全ての組み合わせに基づいて出力を算出するため、燃料噴射量以外のパラメータを制御することによって最適な出力を得ることも可能となる。従って、運転状態に応じた柔軟な制御が可能となり、評価関数Eの評価に基づいて入出力のセットを最適にすることで、目標とする制御を確実に行うことが可能となる。
例えば、評価関数Eにより空燃比が優先して評価される場合は、空燃比AF(t)が良好な出力Y(i)が最適な出力として選ばれる。そして、この出力Y(i)に対応する入力U(i)に基づいて実機の内燃機関システムを制御することで、空燃比を所望の値に制御することができ、排気のエミッションを良好にすることができる。
また、評価関数Eによりトルクが優先して評価される場合は、トルクTQ(t)が良好な出力Y(i)が最適な出力として選ばれる。そして、この出力Y(i)に対応する入力U(i)に基づいて実機の内燃機関システムを制御することで、トルクを所望の値に制御することができ、ドライバビリティを良好にすることができる。
次に、図11のフローチャートに基づいて、実施の形態3のシステムにおける処理の手順について説明する。先ず、ステップS301では、エンジンの精密モデル20を作成する。次のステップS302では、各入力Ga(t),Tau(t),St(t)の制約条件を取り込む。次のステップS303では、各入力Ga(t),Tau(t),St(t)の刻み幅を決定する。
次のステップS304では、制約条件を満たす全ての入力U(i)の数(各入力Ga(t),Tau(t),St(t)の組み合わせ数)Nを算出する。次のステップS305では、組み合わせによって得られた全ての入力U(i)(i=1〜N)を準備する。ここで準備される入力U(i)は、制約条件を満たすGa(t),Tau(t),St(t)の全ての組み合わせである。
次のステップS306では、入力U(i)の変数iを1に設定する。次のステップS307では、入力U(i)について、精密モデル20から出力Y(i)を算出する。ここで、出力されたY(i)は、入力U(i)に対応して出力された、空燃比AF(t)、トルクTQ(t)、回転数NE(t)の組み合わせである。
次のステップS308では、評価関数Eを用いて出力Y(i)の制御性を示す評価値E(i)を求め、出力Y(i)の制御性を評価する。
次のステップS309では、i=Nであるか否かを判定し、i≠Nの場合は、ステップS310へ進み、現在のiの値に1を加算し、i=i+1としてステップS307へ戻る。一方、ステップS309でi=Nの場合はステップS311へ進む。
ステップS311では、各出力Y(i)の評価値E(i)に基づいて、最も評価の高い入力と出力のセット(組み合わせ)を求める。ステップS311の後は処理を終了する(RETURN)。
図11の処理において、各出力Y(i)を評価した後、前回の評価結果に基づいて制約条件を変更するようにしても良い。図12のフローチャートは、評価結果に基づいて制約条件を変更する処理を示している。
先ず、ステップS321では、エンジンの精密モデル20を作成する。次のステップS322では、各入力Ga(t),Tau(t),St(t)の制約条件を取り込む。次のステップS323では、各入力Ga(t),Tau(t),St(t)の刻み幅を決定する。
次のステップS324では、制約条件を満たす全ての入力U(i)の数(各入力Ga(t),Tau(t),St(t)の組み合わせ数)Nを算出する。次のステップS325では、組み合わせによって得られた全ての入力U(i)(i=1〜N)を準備する。ここで準備される入力U(i)は、制約条件を満たすGa(t),Tau(t),St(t)の全ての組み合わせである。
次のステップS326では、入力U(i)の変数iを1に設定する。次のステップS327では、入力U(i)について、精密モデル20から出力Y(i)を算出する。ここで、出力されたY(i)は、入力U(i)に対応して出力された、空燃比AF(t)、トルクTQ(t)、回転数NE(t)の組み合わせである。
次のステップS328では、評価関数Eを用いて出力Y(i)の制御性を示す評価値E(i)を求め、出力Y(i)の制御性を評価する。
次のステップS329では、i=Nであるか否かを判定し、i≠Nの場合は、ステップS330へ進み、現在のiの値に1を加算し、i=i+1としてステップS327へ戻る。一方、ステップS329でi=Nの場合はステップS331へ進む。
ステップS331では、各出力Y(i)の評価値E(i)に基づいて、最も評価の高い入力と出力のセット(組み合わせ)を求める。
次のステップS332では、ステップS331で求めた最適な入出力のセットが前回の評価結果よりも良いか否かを判定する。そして、今回の評価結果が前回の評価結果よりも良い場合は、ステップS333へ進む。
ステップS333では、入力Uについての制約条件が厳しくなるように制約条件を変更する。ステップS333の後はステップS322へ戻る。
一方、ステップS332において、今回の評価結果が前回の評価結果と同等又は前回の評価結果よりも悪い場合は、処理を終了する(RETURN)。
図12の処理によれば、今回の処理における評価結果が前回の処理における評価結果よりも良い場合は、入力Uの制約条件を変更するようにしたため、制約条件を厳しくした場合に制御が成立するか否かを判定することが可能となる。従って、吸入空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)を制御するアクチュエータ等の作動能力によって制約条件が規定されている場合は、アクチュエータを小型化、小容量化、低性能化した場合に制御が成立するか否かを判定することが可能となり、コストダウンの検討を行うことが可能となる。
例えば、電子スロットルを備えた内燃機関システムにおいて、電子スロットルの径がより小さくなるように制約条件を厳しくした場合に、入出力の評価が以前の評価よりも良好である場合は、電子スロットルの径を縮小することができ、製造コストの低減、装置の小型化を達成できる。同様に、インジェクタのサイズがより小さくなるように制約条件を厳しくした場合に、以前の評価よりも良好な評価が得られた場合は、インジェクタのサイズを縮小することが可能となり、製造コストの低減、装置の小型化を達成できる。このように、図12の処理によれば、アクチュエータの性能を低下させてコストダウン、小型化等を図った場合に、制御が成立するか否かを検討することが可能となる。
以上説明したように実施の形態3によれば、エンジンの制御において、精密モデル20により非線形性を加味した制御が可能となる。そして、想定される全ての入力Ga(t),Tau(t),St(t)の組み合わせの中から、ハード的な制約条件を考慮した上で出力AF(t)、TQ(t)、NE(t)を算出するようにしたため、最適な入力U(i)と出力Y(i)の組み合わせを算出することが可能となる。従って、従来の簡易線形モデルを用いた制御に比べて正確な制御を実現することが可能となる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4は、実施の形態1の制御をアイドリング回転数の制御に適用したものである。
図13は、実施の形態4のシステムを示す模式図である。図13に示すように、本実施形態のシステムは、制御対象としてのエンジンをモデル化した精密モデル20を備えている。精密モデル20には、スロットル開度Ta(t)、点火時期St(t)が入力される。そして、精密モデル20からは、回転数NE(t)、冷却水温Tw(t)が出力される。
入力としてのスロットル開度Ta(t)、点火時期St(t)の制約条件は以下のように表される。
0≦Ta(t)≦b1
c1≦St(t)≦c2
上記制約条件で示されるように、スロットル開度Ta(t)、点火時期St(t)の値は、これらの特性値を制御するパラメータ(スロットルバルブの可動範囲、ノッキングを考慮した点火時期の制御範囲)に応じて、制約条件が課せられている。
また、入力(アクチュエータ)の制御周期間での動作速度可能範囲は、以下のように表される。
ΔTa min≦Ta(Δt)≦ΔTa max
ΔST min≦ST(Δt)≦ΔST max
このように、スロットル開度Ta(t)、点火時期St(t)のそれぞれの動作速度Ta(Δt),St(Δt)は、これらの特性値を制御するアクチュエータの制御周期間での動作速度に応じて、制約条件が課せられている。
実施の形態1と同様に、これらの制約条件により入力Uが制約される。そして、制約条件の範囲内の全ての入力Uの組み合わせが、エンジンの精密モデル20に入力される。
これらの入力を受けて、精密モデル20は、入力に応じた回転数NE(t)、冷却水温Tw(t)を演算し、出力する。そして、これらの出力は、評価関数Eにより評価され、最適な入出力のセットが選ばれる。アイドリング回転数の制御においては、回転数NE(t)が所望のアイドリング回転数となり、且つ冷却水温Tw(t)が所定温度以下となるように入出力のセットが選ばれ、アイドリング回転数が制御される。
次に、図14のフローチャートに基づいて、実施の形態4のシステムにおける処理の手順について説明する。先ず、ステップS401では、エンジンの精密モデル20を作成する。次のステップS402では、各入力Ta(t)、St(t)の制約条件を取り込む。次のステップS403では、各入力Ta(t)、St(t)の刻み幅を決定する。
次のステップS404では、制約条件を満たす全ての入力パターンU(i)の数(各入力Ta(t)、St(t)の組み合わせ数)Nを算出する。次のステップS405では、組み合わせによって得られた全ての入力U(i)(i=1〜N)を準備する。ここで準備される入力U(i)は、制約条件を満たすTa(t)、St(t)の全ての組み合わせである。
次のステップS406では、入力U(i)の変数iを1に設定する。次のステップS407では、入力U(i)について、精密モデル20から出力Y(i)を算出する。ここで、出力されたY(i)は、入力U(i)に対応して出力された、回転数NE(t)、冷却水温Tw(t)の組み合わせである。
次のステップS408では、評価関数を用いて出力Y(i)のそれぞれの制御性を示す評価値E(i)を求め、出力Y(i)の制御性を評価する。
次のステップS409では、i=Nであるか否かを判定し、i≠Nの場合は、ステップS410へ進み、現在のiの値に1を加算し、i=i+1としてステップS407へ戻る。一方、ステップS409でi=Nの場合はステップS411へ進む。
ステップS411では、各出力Y(i)の評価値E(i)に基づいて、最も評価の高い入力と出力のセット(組み合わせ)を求める。ステップS411の後は処理を終了する(RETURN)。
図14の処理においても、図12の処理と同様に、今回の評価と前回の評価を比較するステップを設け、今回の評価の方が前回の評価よりも良い場合は、制約条件がより厳しくなるように修正を行っても良い。これにより、アクチュエータを低性能化できるか否かを判定することができ、コストダウンの検討を行うことが可能となる。
以上説明したように実施の形態4によれば、アイドリングの制御において、精密モデル20により非線形性を加味した制御が可能となる。そして、想定される全ての入力Ta(t),St(t)の組み合わせの中から、ハード的な制約条件を考慮した上で出力NE(t),Tw(t)を算出するようにしたため、最適な入力U(i)と出力Y(i)の組み合わせを算出することが可能となる。従って、従来の簡易線形モデルを用いた制御に比べて正確な制御を実現することが可能となる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5は、実施の形態1の制御をエンジンとモータを備えたハイブリッドシステムに適用したものである。
図15は、実施の形態5のシステムを示す模式図である。図15に示すように、本実施形態のシステムは、制御対象としてのハイブリッドシステムをモデル化した精密モデル30を備えている。精密モデル30は、その内部にエンジン32、モータ34、トランスミッション(T/M)36の各モデルを備えている。精密モデル30は、エンジン32、モータ34、トランスミッション36における機械的なガタ、制御遅れなどの非線形性を考慮して構成されたものである。
精密モデル30には、空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)、電流Ib(t)が入力される。図15に示すように、Ga(t),Tau(t),St(t)はエンジン32に入力される。また、Ib(t)はモータ34へ入力される。
入力としての空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)、電流Ib(t)の制約条件は、以下のように表される。
0≦Ga(t)≦a1
0≦Tau(t)≦b1
c1≦St(t)≦c2
d1≦Ib(t)≦d2
上記制約条件で示されるように、吸入空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)の値は、これらの特性値を制御するパラメータ(スロットルバルブの可動範囲、インジェクタの容量、ノッキングを考慮した点火時期の制御範囲など)などに応じて、制約条件が課せられている。また、電流Ib(t)は、バッテリー等の特性に応じて制約条件が課せられている。
また、入力(アクチュエータ)の制御周期間での動作速度可能範囲は、以下のように表される。
ΔGa min≦Ga(Δt)≦ΔGa max
ΔTau min≦Tau(Δt)≦ΔTau max
ΔST min≦St(Δt)≦ΔST max
ΔIb min≦Ib(Δt)≦ΔIb max
このように、吸入空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)、電流Ib(t)のそれぞれの動作速度Ga(Δt),Tau(Δt),St(Δt),Ib(Δt)は、これらの特性値を制御するアクチュエータ、バッテリーの制御周期間での動作速度に応じて、制約条件が課せられている。
実施の形態1と同様に、これらの制約条件により入力Uが制約される。そして、制約条件の範囲内の全ての組み合わせが、精密モデル30に入力される。
図15に示すように、エンジン32は、Ga(t),Tau(t),St(t)の入力を受けて、空燃比AF(t)、エンジントルクTQe(t)およびエンジン回転数NEe(t)を出力する。これらの出力のうち、TQe(t)およびNEe(t)はトランスミッション36へ入力される。
また、モータ34は、電流Ib(t)の入力を受けて、モータトルクTQm(t)およびモータ回転数NEm(t)を出力する。これらの出力は、トランスミッション36へ入力される。
トランスミッション36は、TQe(t),NEe(t),TQm(t),NEm(t)の入力を受けて、トルクTQ(t)、回転数NE(t)を出力する。そして、エンジン32から出力された空燃比AF(t)、トランスミッション36から出力されたトルクTQ(t)、回転数NE(t)が、精密モデル30からの出力となる。これらの出力は評価関数Eにより評価され、最適な入出力のセットが算出される。従って、最適な入出力のセットに基づいて制御を行うことで、ハイブリッドシステムを所望の運転状態で制御することが可能となる。
次に、図16のフローチャートに基づいて、実施の形態5のシステムにおける処理の手順について説明する。先ず、ステップS501では、ハイブリッドシステムの精密モデル30を作成する。次のステップS502では、各入力Ga(t),Tau(t),St(t),Ib(t)の制約条件を取り込む。次のステップS503では、各入力Ga(t),Tau(t),St(t),Ib(t)の刻み幅を決定する。
次のステップS504では、制約条件を満たす全ての入力U(i)の数(各入力Ga(t),Tau(t),St(t),Ib(t)の組み合わせ数)Nを算出する。次のステップS505では、組み合わせによって得られた全ての入力U(i)(i=1〜N)を準備する。ここで準備される入力U(i)は、制約条件を満たすGa(t),Tau(t),St(t),Ib(t)の全ての組み合わせである。
次のステップS506では、入力U(i)の変数iを1に設定する。次のステップS507では、入力U(i)について、精密モデル30から出力Y(i)を算出する。ここで、出力されたY(i)は、入力U(i)に対応して出力された、空燃比AF(t)、トルクTQ(t)、機関回転数NE(t)の組み合わせである。
次のステップS508では、評価関数を用いて出力Y(i)のそれぞれの制御性を示す評価値E(i)を求め、出力Y(i)の制御性を評価する。
次のステップS509では、i=Nであるか否かを判定し、i≠Nの場合は、ステップS510へ進み、現在のiの値に1を加算し、i=i+1としてステップS507へ戻る。一方、ステップS509でi=Nの場合はステップS511へ進む。
ステップS511では、各出力Y(i)の評価値E(i)に基づいて、最も評価の高い入力と出力のセット(組み合わせ)を求める。ステップS511の後は処理を終了する(RETURN)。
図16の処理においても、図12の処理と同様に、今回の評価と前回の評価を比較するステップを設け、今回の評価の方が前回の評価よりも良い場合は、制約条件がより厳しくなるように修正を行っても良い。
例えば、モータ34へ電力を供給するバッテリーのサイズがより小さくなるように制約条件を厳しくした場合に、以前の評価よりも良好な評価が得られた場合は、バッテリーのサイズを縮小することが可能となり、製造コストの低減、装置の小型化を達成できる。従って、コストダウン、小型化等を図った場合に、制御が成立するか否かを検討することが可能となる。
以上説明したように実施の形態5によれば、エンジン32、モータ34、トランスミッション36を備えたハイブリッドシステムにおいて、精密モデル30により非線形性を加味した制御が可能となる。そして、想定される全ての入力Ga(t),Tau(t),St(t),Ib(t)の組み合わせの中から、ハード的な制約条件を考慮した上で出力AF(t),TQ(t),NE(t)を算出するようにしたため、最適な入力U(i)と出力Y(i)の組み合わせを算出することが可能となる。従って、従来の簡易線形モデルを用いた制御に比べて正確な制御を実現することが可能となる。
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6について説明する。実施の形態6は、実施の形態1の制御を2つのモータと2つのクラッチを備えたハイブリッドシステムに適用したものである。
図17は、実施の形態6のシステムを示す模式図である。図17に示すように、本実施形態のシステムは、制御対象としてのハイブリッドシステムをモデル化した精密モデル40を備えている。精密モデル40は、第1のモータ42、第2のモータ44、第1のクラッチ46、第2のクラッチ48、結合器49を備えている。精密モデル40は、各モータ42,44、クラッチ46,48、結合器49における機械的なガタ、クラッチの滑り、制御遅れなどの非線形性を考慮して構成されたものである。特に、実際のクラッチは滑りを伴いながら動力を伝達するため、強い非線形性を有している。従って、クラッチを含むシステムにおいて、非線形性を考慮して精密モデル40を構築することで、実機と同様の制御性を再現することができる。
精密モデル40には、4つの電流Ic1(t)、電流Ic2(t)、電流Im1(t)、電流Im2(t)が入力される。これらの入力のうち、電流Ic1(t)は第1のクラッチ46に入力され、電流Ic2(t)は第2のクラッチ48に入力される。これにより、クラッチ46,48が電磁駆動される。また、電流Im1(t)は第1のモータ42に入力され、電流Im2(t)は第2のモータ44に入力される。
入力としての電流Ic1(t)、電流Ic2(t)、電流Im1(t)、電流Im2(t)の制約条件は、以下のように表される。
0≦Ic1(t)≦a1
b1≦Im1(t)≦b2
c1≦Im2(t)≦c2
0≦Ic2(t)≦d2
E1≦Σ{I(t)}≦E2
なお、ΣI=Ic1+Im1+Im2+Ic2
である。
上記制約条件で示されるように、電流Ic1(t)、電流Ic2(t)、電流Im1(t)、電流Im2(t)の値は、これらの特性値を制御するバッテリー等の特性に応じて制約条件が課せられている。
また、入力(アクチュエータ)の制御周期間での動作速度可能範囲は、以下のように表される。
ΔIc1 min≦Ic1(Δt)≦ΔIc1 max
ΔIm1 min≦Im1(Δt)≦ΔIm1 max
ΔIm2 min≦Im2(Δt)≦ΔIm2 max
ΔIc2 min≦Ic2(Δt)≦ΔIc2 max
ΔΣ{I min}≦Σ{I(Δt)}≦ΔΣ{I max}
このように、電流Ic1(t)、電流Ic2(t)、電流Im1(t)、電流Im2(t)のそれぞれの動作速度Ic1(Δt),Im1(Δt),Im2(Δt),Ic2(Δt)は、これらの特性値を制御するバッテリー等の制御周期間での動作速度に応じて、制約条件が課せられている。
実施の形態1と同様に、これらの制約条件により入力Uが制約される。そして、制約条件の範囲内の全ての入力Uの組み合わせが、精密モデル40に入力される。
図17に示すように、第1のモータ42は、電流Im1(t)の入力を受けてモータトルクTm1(t)、回転数Nm1(t)を出力する。これらの出力は第1のクラッチ46へ入力される。また、第2のモータ44は、電流Im2(t)の入力を受けてモータトルクTm2(t)、回転数Nm2(t)を出力する。これらの出力は第2のクラッチ48へ入力される。結合器49は、第1のクラッチ46および第2のクラッチ48からの出力を受けて、トルクTQ(t)および回転数NE(t)を出力する。トルクTQ(t)および回転数NE(t)は、精密モデル40からの出力となる。トルクTQ(t)および回転数NE(t)は評価関数Eにより評価され、最適な入出力のセットが算出される。従って、最適な入出力のセットに基づいて制御を行うことで、ハイブリッドシステムを所望の運転状態で制御することが可能となる。
次に、図18のフローチャートに基づいて、実施の形態6のシステムにおける処理の手順について説明する。先ず、ステップS601では、ハイブリッドシステムの精密モデル40を作成する。次のステップS602では、各入力Ic1(t),Ic2(t),Im1(t),Im2(t)の制約条件を取り込む。次のステップS603では、各入力Ic1(t),Ic2(t),Im1(t),Im2(t)の刻み幅を決定する。
次のステップS604では、制約条件を満たす全ての入力パターンU(i)の数(各入力Ic1(t),Ic2(t),Im1(t),Im2(t)の組み合わせ数)Nを算出する。次のステップS605では、組み合わせによって得られた全ての入力U(i)(i=1〜N)を準備する。ここで準備される入力U(i)は、制約条件を満たすIc1(t),Ic2(t),Im1(t),Im2(t)の全ての組み合わせである。
次のステップS606では、入力U(i)の変数iを1に設定する。次のステップS607では、入力U(i)について、精密モデル40から出力Y(i)を算出する。ここで、出力されたY(i)は、入力U(i)に対応して出力されたトルクTQ(t)、回転数NE(t)の組み合わせである。
次のステップS608では、評価関数を用いて出力Y(i)のそれぞれの制御性を示す評価値E(i)を求め、出力Y(i)の制御性を評価する。
次のステップS609では、i=Nであるか否かを判定し、i≠Nの場合は、ステップS610へ進み、現在のiの値に1を加算し、i=i+1としてステップS607へ戻る。一方、ステップS609でi=Nの場合はステップS611へ進む。
ステップS611では、各出力Y(i)の評価値E(i)に基づいて、最も評価の高い入力と出力のセット(組み合わせ)を求める。ステップS611の後は処理を終了する(RETURN)。
図18の処理においても、図12の処理と同様に、今回の評価と前回の評価を比較するステップを設け、今回の評価の方が前回の評価よりも良い場合は、制約条件がより厳しくなるように修正を行っても良い。これにより、電力を供給するバッテリー、アクチュエータなどを低性能化できるか否かを判定することができ、コストダウンの検討を行うことが可能となる。
以上説明したように実施の形態6によれば、非線形性の強い2モータ、2クラッチを備えたハイブリッドシステムにおいて、精密モデル40により非線形性を加味した制御が可能となる。そして、想定される全ての入力Ic1(t),Im1(t),Im2(t),Ic2(t)の組み合わせの中から、ハード的な制約条件を考慮した上で出力TQ(t),NE(t)を算出するようにしたため、最適な入力U(i)と出力Y(i)の組み合わせを算出することが可能となる。従って、従来の簡易線形モデルを用いた制御に比べて正確な制御を実現することが可能となる。
実施の形態7.
次に、本発明の実施の形態7について説明する。実施の形態7は、実施の形態2の制御をエンジンの制御に適用したものである。
図19は、実施の形態7のシステムを示す模式図である。図19に示すように、本実施形態のシステムは、制御対象としてのエンジンをモデル化した精密モデル50を備えている。精密モデル50は、その内部に構成要素52,54を有している。
実施の形態3と同様に、精密モデル50には、空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)が入力される。図19に示すように、空気量Ga(t)と燃料量Tau(t)は、構成要素52への入力u1となる。一方、点火時期St(t)は構成要素54への入力u2となる。そして、精密モデル50からは、空燃比AF(t)、トルクTQ(t)、回転数NE(t)が出力される。
構成要素52は、内部変数x1(t)を有している。内部変数x1(t)は、入力u1を受けて変化する。また、構成要素54は、内部変数x2(t)を有している。内部変数x2(t)は、入力u2を受けて変化する。構成要素52,54として、エンジンが備えるアクチュエータや、部品など各種の要素を適用することが可能である。
入力としての空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)の制約条件は実施の形態3と同様であり、以下のように表される。
0≦Ga(t)≦a1
0≦Tau(t)≦b1
c1≦St(t)≦c2
また、入力(アクチュエータ)の制御周期間での動作速度可能範囲についても実施の形態3と同様であり、以下のように表される。
ΔGa min≦Ga(Δt)≦ΔGa max
ΔTau min≦Tau(Δt)≦ΔTau max
ΔST min≦St(Δt)≦ΔST max
そして、実施の形態7では、実施の形態2と同様に精密モデル50内の各構成要素52,54に動作環境制約条件が与えられる。各構成要素52,54の動作環境制約条件は以下のように表される。
a1≦x1(t)≦a2
b1≦x2(t)≦b2
また、各構成要素52,54の動作環境制約条件として、内部構成要素の制御周期間での制約範囲は以下のように表される。
Δx1 min≦x1(Δt)≦Δx1 max
Δx2 min≦x2(Δt)≦Δx2 max
これらの動作環境制約条件は、動作可能範囲、制御単位時間当たりの動作量、動作可能温度範囲などによって各構成要素52,54が受ける制約条件である。例えば、構成要素52がモータの場合、内部変数x1(t)としてはモータの動作範囲、モータの単位時間当たりの動作量、モータの使用可能温度範囲などが該当し、動作環境制約条件はモータのこれらの特性に基づく制約条件となる。
また、構成要素52がエンジン内の一部品であるエキゾーストマニホールドである場合、内部変数x1(t)はエキゾーストマニホールドの温度として表すことができる。この場合、動作環境制約条件は、エキゾーストマニホールドが使用可能な温度に基づく制約条件となる。
実施の形態3と同様に、想定される全ての入力パターンのうち、入力の制約条件を満たすものが精密モデル50に入力される。
精密モデル50は、入力を受けると、各構成要素52,54の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件の範囲内で動作しているか否かを確認する。そして、いずれかの構成要素の内部変数が動作環境制約条件を逸脱している場合は、その構成要素の入力uを修正し、これをシステム全体の入力U(i)=(Ga,Tau,St)に反映する。
例えば、構成要素52の内部変数x1(t)が動作環境制約条件から外れている場合は、内部変数x1(t)が動作環境制約条件に収まるように構成要素52への入力u1が修正される。このとき、入力u1は、吸入空気量Ga(t)と燃料量Tau(t)から決定されるため、内部変数x1(t)を動作環境制約条件に収めるようにGa(t)とTau(t)が修正される。
より具体的には、構成要素52の内部変数x1(t)が動作環境制約条件の上限値を超えている場合は、内部変数x1(t)が上限値となるように入力u1の値が固定される。一方、内部変数x1(t)が動作環境制約条件の下限値を下回っている場合は、内部変数x1(t)が下限値となるように入力u1の値が固定される。そして、入力u1を固定するため、吸入空気量Ga(t)と燃料量Tau(t)の値が修正される。Ga(t),Tau(t)の値は修正された値に固定される。
これにより、構成要素52の内部変数x1(t)が動作環境制約条件の範囲を外れてしまうことが回避される。そして、構成要素52の内部変数x1(t)が上限値又は下限値となるように入力u1の値を固定した状態では、入力u1に影響を与えない点火時期St(t)のみが入力の制約条件の範囲内で可変されて入力U(i)が準備される。
このようにして、構成要素52,54の動作環境制約条件に応じて修正された入力Uで出力Yを計算し、評価することを繰り返すことで、最適な制御入出力のセットを求める。これにより、構成要素52,54の動作環境制約条件を満たした最適な入出力のセットを求めることができる。
また、内部変数x1(t)が動作環境制約条件の範囲から外れている場合は、内部変数x1(t)が動作環境制約条件の範囲内に収まるように新たに入力U(i)を設定してもよい。この場合、内部変数x1(t)を動作環境制約条件の上限値又は下限値に固定した場合に比べて演算処理量は大きくなるが、内部変数x1(t)の設定の自由度が高まるため、より最適な出力を求めることが可能となる。
次に、図20のフローチャートに基づいて、実施の形態7のシステムにおける処理の手順について説明する。先ず、ステップS701では、エンジンの精密モデル50を作成する。次のステップS702では、各入力Ga(t),Tau(t),St(t)の刻み幅を決定する。
次のステップS703では、各入力Ga(t),Tau(t),St(t)の制約条件を取り込む。次のステップS704では、入力U(i)を準備する。ここで準備される入力U(i)は、制約条件を満たすGa(t),Tau(t),St(t)の全ての組み合わせである。次のステップS705では、入力U(i)の組み合わせを表す係数iを初期値1に設定する(i=1)。
次のステップS706では、Ga(t),Tau(t),St(t)の組み合わせからなる入力U(i)を精密モデル50へ入力する。
次のステップS707では、精密モデル50内の構成要素52,54の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件から外れているか否かを判定する。ステップS707において、いずれかの構成要素の内部変数が制約条件から外れている場合は、ステップS708へ進む。
ステップS708では、内部変数が動作環境制約条件を外れている構成要素(ここでは構成要素xmとする)を特定し、構成要素xmの内部変数が動作環境制約条件の上限値または下限値となるように構成要素xmへの入力umを固定する。
次のステップS709では、入力umの値を確実に固定するため、現ルーチンでの入力(Ga(t),Tau(t),St(t))のうち、入力umに関係する入力値を所定値に固定する。例えば、図19に示す構成要素54への入力u2の値を固定する場合、入力u2は点火時期St(t)のみによって変化するため、点火時期St(t)を所定値St2に固定する。但し、所定値St2が入力U(i)の制約条件から外れている場合は、点火時期St(t)を制約条件の範囲に収まる所定値St3に修正する。
次のステップS710では、ステップS709で固定した入力以外の入力を変化させて、新たに入力U(i)を準備する。例えば、上述のように点火時期St(t)を所定値St2に固定した場合は、他の入力Ga(t),Tau(t)を変化させて新たな入力U(i)を準備する。
ステップS710の後はステップS706へ戻る。ステップS706では、ステップS710で準備した入力U(i)を精密モデル50へ入力する。
このように、ステップS707からステップS710の処理によれば、構成要素52,54の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件を外れている場合は、制約条件を外れた要因となる入力を固定して、他の入力を可変することで新たな入力U(i)が準備される。そして、新たな入力がステップS707の判定を通過するまで、ステップS707からステップS710に至る処理を繰り返すことで、構成要素52,54の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件を満たすような入力U(i)を求めることができる。
ステップS707において、構成要素52,54の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件の範囲内であることが判定された場合は、ステップS711へ進む。ステップS711では、精密モデル50から出力Y(i)を算出し、保存する。ここで出力されたY(i)は、ステップS706での入力U(i)に対応して出力された、空燃比AF(t)、トルクTQ(t)、回転数NE(t)の組み合わせである。
次のステップS712では、評価関数を用いて出力Y(i)のそれぞれの制御性を示す評価値E(i)を求め、出力Y(i)の制御性を評価する。
次のステップS713では、i=Nであるか否かを判定し、i≠Nの場合は、ステップS714へ進み、現在のiの値に1を加算し、i=i+1としてステップS706へ戻る。一方、ステップS713でi=Nの場合はステップS715へ進む。
ステップS715では、各出力Y(i)の評価値E(i)に基づいて、最も評価の高い入力と出力のセット(組み合わせ)を求める。ステップS715の後は処理を終了する(RETURN)。
図20の処理によれば、構成要素xmの内部変数が動作環境制約条件から外れている場合は、構成要素xmへの入力umを固定し、内部変数が動作環境制約条件の範囲内に収まるような入力U(i)を作成することができる。従って、構成要素の内部変数が動作環境制約条件の範囲に収まるように、最適な入出力のセットを算出することが可能となる。これにより、構成要素52,54の内部変数が制約条件から外れてしまうことを確実に抑止することができ、精密モデル50に基づく制御を最適に行うことが可能となる。また、構成要素52,54が動作環境制約条件を満たした場合にのみ精密モデル50から出力Y(i)を算出するため、動作環境制約条件を満たしていない出力Y(i)が算出されてしまうことを回避でき、精密モデル50による演算処理量を低減することができる。
以上説明したように実施の形態7によれば、精密モデル50内の構成要素52,54の内部変数を考慮して入力U(i)を設定することができるため、構成要素52,54の内部変数が動作環境制約条件から外れてしまうことを確実に抑止することができる。従って、各構成要素52,54を正常に動作させた状態で、最適な入力U(i)と出力Y(i)の組み合わせを算出することが可能となり、精密モデル50に基づくエンジンの制御を最適に行うことが可能となる。
実施の形態8.
次に、本発明の実施の形態8について説明する。実施の形態8は、実施の形態2の制御をエンジンのアイドリング回転数の制御に適用したものである。
図21は、実施の形態8のシステムを示す模式図である。図21に示すように、本実施形態のシステムは、制御対象としてのエンジンをモデル化した精密モデル60を備えている。精密モデル60は、その内部に構成要素62,64を備えている。実施の形態7と同様に、構成要素62,64として、エンジンが備えるアクチュエータや、部品など各種の要素を適用することが可能である。
実施の形態4と同様に、精密モデル60には、スロットル開度Ta(t)、点火時期St(t)が入力される。図21に示すように、スロットル開度Ta(t)と点火時期St(t)は、構成要素62への入力u1となる。また、点火時期St(t)は構成要素64への入力u2となる。そして、精密モデル60からは、回転数NE(t)、冷却水温Tw(t)が出力される。
構成要素62は、内部変数x1(t)を有している。内部変数x1(t)は、入力u1を受けて変化する。また、構成要素64は、内部変数x2(t)を有している。内部変数x2(t)は、入力u2を受けて変化する。
入力としてのスロットル開度Ta(t)、点火時期St(t)の制約条件は実施の形態4と同様であり、以下のように表される。
0≦Ta(t)≦b1
c1≦St(t)≦c2
また、入力(アクチュエータ)の制御周期間での動作速度可能範囲についても実施の形態4と同様であり、以下のように表される。
ΔTa min≦Ta(Δt)≦ΔTa max
ΔST min≦St(Δt)≦ΔST max
そして、実施の形態8では、実施の形態2と同様に精密モデル60内の各構成要素62,64に動作環境制約条件が与えられる。各構成要素62,64の動作環境制約条件は以下のように表される。
a1≦x1(t)≦a2
b1≦x2(t)≦b2
また、各構成要素52,54の動作環境制約条件として、内部構成要素の制御周期間での制約範囲は以下のように表される。
Δx1 min≦x1(Δt)≦Δx1 max
Δx2 min≦x2(Δt)≦Δx2 max
実施の形態4と同様に、想定される全ての入力パターンのうち、入力の制約条件を満たすものが精密モデル60に入力される。
精密モデル60は、入力を受けると、各構成要素62,64の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件の範囲内で動作しているか否かを確認する。そして、いずれかの構成要素の内部変数が動作環境制約条件を逸脱している場合は、その構成要素の入力uを修正し、これをシステム全体の入力U(i)=(Ta,St)に反映する。
例えば、構成要素62の内部変数x1(t)が動作環境制約条件から外れている場合は、内部変数x1(t)が動作環境制約条件に収まるように構成要素52への入力u1が修正される。このとき、入力u1は、スロットル開度Ta(t)と点火時期St(t)から決定されるため、内部変数x1(t)を動作環境制約条件に収めるようにTa(t)とSt(t)が修正される。
より具体的には、構成要素62の内部変数x1(t)が動作環境制約条件の上限値を超えている場合は、内部変数x1(t)が上限値となるように入力u1の値が固定される。一方、内部変数x1(t)が動作環境制約条件の下限値を下回っている場合は、内部変数x1(t)が下限値となるように入力u1の値が固定される。そして、入力u1を固定するため、スロットル開度Ta(t)と点火時期St(t)の値が修正される。Ta(t),St(t)の値は修正された値に固定される。これにより、構成要素62の内部変数x1(t)が動作環境制約条件の範囲を外れてしまうことが回避される。
このようにして、構成要素62,64の動作環境制約条件に応じて修正された入力Uで出力Yを計算し、評価することを繰り返すことで、最適な制御入出力のセットを求める。これにより、構成要素62,64の制約条件を満たした最適な入出力のセットを求めることができる。
次に、図22フローチャートに基づいて、実施の形態8のシステムにおける処理の手順について説明する。先ず、ステップS801では、エンジンの精密モデル60を作成する。次のステップS802では、各入力Ta(t),St(t)の刻み幅を決定する。
次のステップS803では、各入力Ta(t),St(t)の制約条件を取り込む。次のステップS804では、入力U(i)を準備する。ここで準備される入力U(i)は、制約条件を満たすTa(t),St(t)の全ての組み合わせである。次のステップS805では、入力U(i)の組み合わせを表す係数iを初期値1に設定する(i=1)。
次のステップS806では、Ta(t),St(t)の組み合わせからなる入力U(i)を精密モデル60へ入力する。
次のステップS807では、精密モデル60内の構成要素62,64の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件から外れているか否かを判定する。ステップS807において、いずれかの構成要素の内部変数が制約条件から外れている場合は、ステップS808へ進む。
ステップS808では、内部変数が制約条件を外れている構成要素(ここでは構成要素xmとする)を特定し、構成要素xmの内部変数が動作環境制約条件の上限値または下限値となるように構成要素xmへの入力umを固定する。
次のステップS809では、入力umの値を確実に固定するため、現ルーチンでの入力(Ta(t),St(t))のうち、入力umに関係する入力値を所定値に固定する。例えば、図21に示す構成要素62への入力u1の値を固定する場合、入力u1はスロットル開度Ta(t)と点火時期St(t)によって変化するため、スロットル開度Ta(t)と点火時期St(t)を所定値に固定する。但し、ここで固定されたスロットル開度Ta(t)と点火時期St(t)の値が入力U(i)の制約条件から外れている場合は、これらの値が制約条件に収まるように修正が行われる。
次のステップS810では、ステップS809で固定した入力以外の入力を変化させて、新たに入力U(i)を準備する。上述の例で構成要素62への入力u1の値を固定した場合は、全ての入力であるスロットル開度Ta(t)と点火時期St(t)が所定値に固定されるため、この値が新たな入力U(i)となる。
ステップS810の後はステップS806へ戻る。ステップS806では、ステップS810で準備した入力U(i)を精密モデル60へ入力し、出力Y(i)を算出する。
このように、ステップS807からステップS810の処理によれば、構成要素62,64の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件を外れている場合は、制約条件を外れた要因となる入力を固定して、他の入力を可変することで新たな入力U(i)が準備される。そして、新たな入力がステップS807の判定を通過するまで、ステップS807からステップS810に至る処理を繰り返すことで、構成要素62,64の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件を満たすような入力U(i)を求めることができる。
ステップS807において、構成要素62,64の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件の範囲内であることが判定された場合は、ステップS811へ進む。ステップS811では、精密モデル60から出力Y(i)を算出し、保存する。ここで出力されたY(i)は、ステップS806での入力U(i)に対応して出力された、回転数NE(t)、冷却水温Tw(t)の組み合わせである。
次のステップS812では、評価関数を用いて出力Y(i)のそれぞれの制御性を示す評価値E(i)を求め、出力Y(i)の制御性を評価する。
次のステップS813では、i=Nであるか否かを判定し、i≠Nの場合は、ステップS814へ進み、現在のiの値に1を加算し、i=i+1としてステップS806へ戻る。一方、ステップS813でi=Nの場合はステップS815へ進む。
ステップS815では、各出力Y(i)の評価値E(i)に基づいて、最も評価の高い入力と出力のセット(組み合わせ)を求める。ステップS815の後は処理を終了する(RETURN)。
図22の処理によれば、構成要素xmの内部変数が動作環境制約条件から外れている場合は、構成要素xmへの入力umを固定し、内部変数が動作環境制約条件の範囲内に収まるような入力U(i)を作成することができる。従って、構成要素の内部変数が動作環境制約条件の範囲に収まるように、最適な入出力のセットを算出することが可能となる。これにより、構成要素62,64の内部変数が制約条件から外れてしまうことを確実に抑止することができ、精密モデル60に基づく制御を最適に行うことが可能となる。また、構成要素62,64が動作環境制約条件を満たした場合にのみ精密モデル60から出力Y(i)を算出するため、動作環境制約条件を満たしていない出力Y(i)が算出されてしまうことを回避でき、精密モデル60による演算処理量を低減することができる。
以上説明したように実施の形態8によれば、精密モデル60内の構成要素62,64の内部変数を考慮して入力U(i)を設定することができるため、構成要素62,64の内部変数が動作環境制約条件から外れてしまうことを確実に抑止することができる。従って、各構成要素62,64を正常に動作させた状態で、最適な入力U(i)と出力Y(i)の組み合わせを算出することが可能となり、精密モデル60に基づくアイドリング回転数の制御を最適に行うことが可能となる。
実施の形態9.
次に、本発明の実施の形態9について説明する。実施の形態9は、実施の形態2の制御をハイブリッドシステムの制御に適用したものである。
図23は、実施の形態9のシステムを示す模式図である。図23に示すように、本実施形態のシステムは、制御対象としてのハイブリッドシステムをモデル化した精密モデル70を備えている。精密モデル70は、実施の形態5の精密モデル30と同様の構成であり
、エンジン72、モータ74、トランスミッション(T/M)76を備えている。図23に示すように、エンジン72は、その内部に構成要素78を備えている。また、モータ74は、その内部に構成要素80を備えている。構成要素78として、エンジン72が備えるアクチュエータや、部品など各種の要素を適用することが可能である。同様に、構成要素80として、モータ74が備えるコイル、回転子などの各種要素を適用することが可能である。
実施の形態5と同様に、精密モデル70には、空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)、電流Ib(t)が入力される。これらの入力のうち、Ga(t),Tau(t),St(t)はエンジン72に入力される。また、Ib(t)はモータ74へ入力される。
エンジン72は、Ga(t),Tau(t),St(t)の入力を受けて、空燃比AF(t)、エンジントルクTQe(t)およびエンジン回転数NEe(t)を出力する。これらの出力のうち、TQe(t)およびNEe(t)はトランスミッション76へ入力される。また、モータ74は、電流Ib(t)の入力を受けて、モータトルクTQm(t)およびモータ回転数NEm(t)を出力する。これらの出力は、トランスミッション76へ入力される。
トランスミッション76は、TQe(t),NEe(t),TQm(t),NEm(t)の入力を受けて、トルクTQ(t)、回転数NE(t)を出力する。そして、エンジン72から出力された空燃比AF(t)、トランスミッション76から出力されたトルクTQ(t)、回転数NE(t)が、精密モデル70からの出力となる。
図23に示すように、空気量Ga(t)および点火時期St(t)は、エンジン72内の構成要素78への入力u1となる。一方、電流Ib(t)はモータ74内の構成要素80への入力u2となる。
入力としての空気量Ga(t)、燃料量Tau(t)、点火時期St(t)、電流Ib(t)の制約条件は実施の形態5と同様であり、以下のように表される。
0≦Ga(t)≦a1
0≦Tau(t)≦b1
c1≦St(t)≦c2
d1≦Ib(t)≦d2
また、入力(アクチュエータ)の制御周期間での動作速度可能範囲についても実施の形態5と同様であり、以下のように表される。
ΔGa min≦Ga(Δt)≦ΔGa max
ΔTau min≦Tau(Δt)≦ΔTau max
ΔST min≦St(Δt)≦ΔST max
ΔIb min≦Ib(Δt)≦ΔIb max
そして、実施の形態9では、エンジン72内の構成要素78、およびモータ74内の構成要素80に動作環境制約条件が与えられる。各構成要素78,80の動作環境制約条件は以下のように表される。
a1≦x1(t)≦a2
b1≦x2(t)≦b2
また、各構成要素78,80の動作環境制約条件として、内部構成要素の制御周期間での制約範囲は以下のように表される。
Δx1 min≦x1(Δt)≦Δx1 max
Δx2 min≦x2(Δt)≦Δx2 max
例えば、構成要素78がエンジンの触媒である場合、内部変数x1(t)は触媒温度として表すことができる。この場合、動作環境制約条件は、触媒が動作可能な温度に基づく制約条件となる。同様に、構成要素80がモータのコイルである場合、内部変数x2(t)はコイルの温度として表すことができる。この場合、動作環境制約条件は、コイルが動作可能な温度に基づく制約条件となる。また、構成要素80がモータの回転子である場合、内部変数x2(t)は回転子の回転数として表すことができる。この場合、動作環境制約条件は、回転子が動作可能な回転数に基づく制約条件となる。
実施の形態5と同様に、想定される全ての入力パターンのうち、入力の制約条件を満たすものが精密モデル70に入力される。
精密モデル70は、入力を受けると、各構成要素78,80の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件の範囲内で動作しているか否かを確認する。そして、いずれかの構成要素の内部変数が動作環境制約条件を逸脱している場合は、その構成要素の入力uを修正し、これをシステム全体の入力U(i)=(Ga,Tau,St,Ib)に反映する。
例えば、構成要素78の内部変数x1(t)が動作環境制約条件から外れている場合は、内部変数x1(t)が動作環境制約条件に収まるように構成要素78への入力u1が修正される。このとき、入力u1は、空気量Ga(t)および点火時期St(t)から決定されるため、内部変数x(t)を動作環境制約条件に収めるようにGa(t),St(t)が修正される。
より具体的には、構成要素78の内部変数x1(t)が動作環境制約条件の上限値を超えている場合は、内部変数x1(t)が上限値となるように入力u1の値が固定される。一方、内部変数x1(t)が動作環境制約条件の下限値を下回っている場合は、内部変数x1(t)が下限値となるように入力u1の値が固定される。そして、入力u1の値を固定するため、空気量Ga(t)および点火時期St(t)の値が修正される。Ga(t)、St(t)の値は修正された値に固定される。
これにより、構成要素78の内部変数x1(t)が動作環境制約条件の範囲から外れてしまうことが回避される。そして、構成要素78の内部変数x1(t)が上限値又は下限値となるように入力u1の値を固定した状態では、入力u1に影響を与えない燃料量Tau(t)と電流Ib(t)が制約条件の範囲内で可変されて入力U(i)が準備される。
このようにして、構成要素78,80の動作環境制約条件に応じて修正された入力Uで出力Yを計算し、評価することを繰り返すことで、最適な制御入出力のセットを求める。これにより、構成要素78,80の動作環境制約条件を満たした最適な入出力のセットを求めることができる。
次に、図24のフローチャートに基づいて、実施の形態9のシステムにおける処理の手順について説明する。先ず、ステップS901では、ハイブリッドシステムの精密モデル70を作成する。次のステップS902では、各入力Ga(t),Tau(t),St(t),Ib(t)の刻み幅を決定する。
次のステップS903では、各入力Ga(t),Tau(t),St(t),Ib(t)の制約条件を取り込む。次のステップS904では、入力U(i)を準備する。ここで準備される入力U(i)は、制約条件を満たすGa(t),Tau(t),St(t),Ib(t)の全ての組み合わせである。次のステップS905では、入力U(i)の組み合わせを表す係数iを初期値1に設定する(i=1)。
次のステップS906では、Ga(t),Tau(t),St(t),Ib(t)の組み合わせからなる入力U(i)を精密モデル70へ入力する。
次のステップS907では、精密モデル70内の構成要素78,80の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件から外れているか否かを判定する。ステップS907において、いずれかの構成要素の内部変数が制約条件から外れている場合は、ステップS908へ進む。
ステップS908では、内部変数が動作環境制約条件を外れている構成要素(ここでは構成要素xmとする)を特定し、構成要素xmの内部変数が動作環境制約条件の上限値または下限値となるように構成要素xmへの入力umを固定する。
次のステップS909では、入力umの値を確実に固定するため、現ルーチンでの入力(Ga(t),Tau(t),St(t),Ib(t))のうち、入力umに関係する入力値を所定値に固定する。例えば、図23に示す構成要素80への入力u2の値を固定する場合、入力u2は電流Ib(t)のみによって変化するため、電流Ib(t)の値を所定値Ib2に固定する。但し、所定値Ib2が入力U(i)の制約条件から外れている場合は、電流Ib(t)の値を制約条件の範囲に収まる所定値Ib3に修正する。
次のステップS910では、ステップS909で固定した入力以外の入力を変化させて、新たに入力U(i)を準備する。例えば、上述のように電流Ib(t)を所定値Ib2に固定した場合は、他の入力Ga(t),Tau(t),St(t)を変化させて新たな入力U(i)を準備する。
ステップS910の後はステップS906へ戻る。ステップS906では、ステップS910で準備した入力U(i)を精密モデル70へ入力し、出力Y(i)を算出する。
このように、ステップS907からステップS910の処理によれば、構成要素78,80の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件を外れている場合は、制約条件を外れた要因となる入力を固定して、他の入力を可変することで新たな入力U(i)が準備される。そして、新たな入力がステップS907の判定を通過するまで、ステップS907からステップS910に至る処理を繰り返すことで、構成要素78,80の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件を満たすような入力U(i)を求めることができる。
ステップS907において、構成要素78,80の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件の範囲内であることが判定された場合は、ステップS911へ進む。ステップS911では、精密モデル70から出力Y(i)を算出し、保存する。ここで出力されたY(i)は、ステップS906での入力U(i)に対応して出力された、空燃比AF(t)、トルクTQ(t)、回転数NE(t)の組み合わせである。
次のステップS912では、評価関数を用いて出力Y(i)のそれぞれの制御性を示す評価値E(i)を求め、出力Y(i)の制御性を評価する。
次のステップS913では、i=Nであるか否かを判定し、i≠Nの場合は、ステップS914へ進み、現在のiの値に1を加算し、i=i+1としてステップS906へ戻る。一方、ステップS913でi=Nの場合はステップS915へ進む。
ステップS915では、各出力Y(i)の評価値E(i)に基づいて、最も評価の高い入力と出力のセット(組み合わせ)を求める。ステップS915の後は処理を終了する(RETURN)。
図24の処理によれば、構成要素xmの内部変数が動作環境制約条件から外れている場合は、構成要素xmへの入力umを固定し、内部変数が動作環境制約条件の範囲内に収まるような入力U(i)を作成することができる。従って、構成要素の内部変数が動作環境制約条件の範囲に収まるように、最適な入出力のセットを算出することが可能となる。これにより、構成要素78,80の内部変数が制約条件から外れてしまうことを確実に抑止することができ、精密モデル70に基づく制御を最適に行うことが可能となる。また、構成要素78,80が動作環境制約条件を満たした場合にのみ精密モデル70から出力Y(i)を算出するため、動作環境制約条件を満たしていない出力Y(i)が算出されてしまうことを回避でき、精密モデル70による演算処理量を低減することができる。
以上説明したように実施の形態9によれば、精密モデル70内の構成要素78,80の内部変数を考慮して入力U(i)を設定することができるため、構成要素78,80の内部変数が動作環境制約条件から外れてしまうことを確実に抑止することができる。従って、各構成要素78,80を正常に動作させた状態で、最適な入力U(i)と出力Y(i)の組み合わせを算出することが可能となり、精密モデル70に基づくハイブリッドシステムの制御を最適に行うことが可能となる。
実施の形態10.
次に、本発明の実施の形態10について説明する。実施の形態10は、実施の形態2の制御をハイブリッドシステムの制御に適用したものである。
図25は、実施の形態10のシステムを示す模式図である。図25に示すように、本実施形態のシステムは、制御対象としてのハイブリッドシステムをモデル化した精密モデル90を備えている。ハイブリッドシステム90は、実施の形態6の精密モデル40と同様の構成であり、第1のモータ92、第2のモータ94、第1のクラッチ96、第2のクラッチ98、結合器100を備えている。図25に示すように、第1のモータ92は、その内部に構成要素102を備えている。また、第2のクラッチ98は、その内部に構成要素104を備えている。構成要素102として、第1のモータ92が備えるコイルなどの各種部品を適用することができる。また、構成要素104として、第2のクラッチ98が備えるクラッチプレート、電磁駆動用のアクチュエータなどの各種要素を適用することができる。
実施の形態6と同様に、精密モデル90には、電流Ic1(t)、電流Ic2(t)、電流Im1(t)、電流Im2(t)が入力される。これらの入力のうち、電流Ic1(t)は第1のクラッチ96に入力され、電流Ic2(t)は第2のクラッチ98に入力される。また、電流Im1(t)は第1のモータ92に入力され、電流Im2(t)は第2のモータ94に入力される。
第1のモータ92は、電流Im1(t)の入力を受けてモータトルクTm1(t)、回転数Nm1(t)を出力する。これらの出力は第1のクラッチ96へ入力される。また、第2のモータ94は、電流Im2(t)の入力を受けてモータトルクTm2(t)、回転数Nm2(t)を出力する。これらの出力は第2のクラッチ98へ入力される。結合器100は、第1のクラッチ96および第2のクラッチ98からの出力を受けて、トルクTQ(t)および回転数NE(t)を出力する。トルクTQ(t)および回転数NE(t)は、精密モデル90からの出力となる。
図25に示すように、電流Im1(t)は、第1のモータ92内の構成要素102への入力u1となる。また、電流Ic2(t)は、第2のクラッチ98内の構成要素104への入力u2となる。
入力としての電流Ic1(t)、電流Ic2(t)、電流Im1(t)、電流Im2(t)の制約条件は実施の形態6と同様であり、以下のように表される。
0≦Ic1(t)≦a1
b1≦Im1(t)≦b2
c1≦Im2(t)≦c2
0≦Ic2(t)≦d2
E1≦Σ{I(t)}≦E2
なお、ΣI=Ic1+Im1+Im2+Ic2
である。
また、入力(アクチュエータ)の制御周期間での動作速度可能範囲についても実施の形態6と同様であり、以下のように表される。
ΔIc1 min≦Ic1(Δt)≦ΔIc1 max
ΔIm1 min≦Im1(Δt)≦ΔIm1 max
ΔIm2 min≦Im2(Δt)≦ΔIm2 max
ΔIc2 min≦Ic2(Δt)≦ΔIc2 max
ΔΣ{I min}≦Σ{I(Δt)}≦ΔΣ{I max}
そして、実施の形態10では、第1のモータ92内の構成要素102、第2のクラッチ98内の構成要素104に動作環境制約条件が与えられる。各構成要素102,104の動作環境制約条件は以下のように表される。
a1≦x1(t)≦a2
b1≦x2(t)≦b2
また、各構成要素102,104の動作環境制約条件として、内部構成要素の制御周期間での制約範囲は以下のように表される。
Δx1 min≦x1(Δt)≦Δx1 max
Δx2 min≦x2(Δt)≦Δx2 max
例えば、上述のように構成要素102がモータ内のコイルである場合、内部変数x1(t)はコイルの温度として表すことができる。この場合、動作環境制約条件は、コイルが動作可能な温度に基づく制約条件となる。同様に、構成要素104がクラッチプレートである場合、内部変数x2(t)はクラッチプレートの温度として表すことができる。この場合、動作環境制約条件は、クラッチプレートが動作可能な温度に基づく制約条件となる。
実施の形態6と同様に、想定される全ての入力パターンのうち、入力の制約条件を満たすものが精密モデル90に入力される。
精密モデル90は、入力を受けると、各構成要素102,104の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件の範囲内で動作しているか否かを確認する。そして、いずれかの構成要素の内部変数が動作環境制約条件を逸脱している場合は、その構成要素の入力uを修正し、これをシステム全体の入力U(i)=(Ic1,Ic2,Im1,Im2)に反映する。
例えば、構成要素102の内部変数x1(t)が動作環境制約条件から外れている場合は、内部変数x1(t)が動作環境制約条件に収まるように構成要素102への入力u1が修正される。このとき、入力u1は、電流Im1(t)から決定されるため、内部変数x1(t)を動作環境制約条件に収めるようにIm1(t)の値が修正される。
より具体的には、構成要素102の内部変数x1(t)が動作環境制約条件の上限値を超えている場合は、内部変数x1(t)が上限値となるように入力u1の値が固定される。一方、内部変数x1(t)が動作環境制約条件の下限値を下回っている場合は、内部変数x1(t)が下限値となるように入力u1の値が固定される。そして、入力u1の値を固定するため、電流Im1(t)の値が修正される。電流Im1(t)の値は修正された値に固定される。
これにより、構成要素102の内部変数x1(t)が動作環境制約条件の範囲から外れてしまうことが回避される。そして、構成要素102の内部変数x1(t)が上限値又は下限値となるように入力u1の値を固定した状態では、入力u1に影響を与えない電流Ic1(t)、電流Ic2(t)、電流Im2(t)が制約条件の範囲内で可変されて入力U(i)が準備される。
このようにして、構成要素102,104の動作環境制約条件に応じて修正された入力Uで出力Yを計算し、評価することを繰り返すことで、最適な制御入出力のセットを求める。これにより、構成要素102,104の動作環境制約条件を満たした最適な入出力のセットを求めることができる。
次に、図26のフローチャートに基づいて、実施の形態10のシステムにおける処理の手順について説明する。先ず、ステップS1001では、ハイブリッドシステムの精密モデル90を作成する。次のステップS1002では、各入力Ic1(t),Ic2(t),Im1(t),Im2(t)の刻み幅を決定する。
次のステップS1003では、各入力Ic1(t),Ic2(t),Im1(t),Im2(t)の制約条件を取り込む。次のステップS1004では、入力U(i)を準備する。ここで準備される入力U(i)は、制約条件を満たすIc1(t),Ic2(t),Im1(t),Im2(t)の全ての組み合わせである。次のステップS1005では、入力U(i)の組み合わせを表す係数iを初期値1に設定する(i=1)。
次のステップS1006では、Ic1(t),Ic2(t),Im1(t),Im2(t)の組み合わせからなる入力U(i)を精密モデル90へ入力する。
次のステップS1007では、精密モデル90内の構成要素102,104の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件から外れているか否かを判定する。ステップS1007において、いずれかの構成要素の内部変数が制約条件から外れている場合は、ステップS1008へ進む。
ステップS1008では、内部変数が動作環境制約条件を外れている構成要素(ここでは構成要素xmとする)を特定し、構成要素xmの内部変数が動作環境制約条件の上限値または下限値となるように構成要素xmへの入力umを固定する。
次のステップS1009では、入力umの値を確実に固定するため、現ルーチンでの入力(Ic1(t),Ic2(t),Im1(t),Im2(t))のうち、入力umに関係する入力値を所定値に固定する。例えば、図25に示す構成要素104への入力u2の値を固定する場合、入力u2は電流Ic2(t)のみによって変化するため、電流Ic2(t)を所定値Ic22に固定する。但し、所定値Ic22が入力U(i)の制約条件から外れている場合は、電流Ic2(t)を制約条件の範囲に収まる所定値Ic22に修正する。
次のステップS1010では、ステップS1009で固定した入力以外の入力を変化させて、新たに入力U(i)を準備する。例えば、上述のように電流Ic2(t)を所定値Ic22に固定した場合は、他の入力Ic1(t),Im1(t),Im2(t)を変化させて新たな入力U(i)を準備する。
ステップS1010の後はステップS1006へ戻る。ステップS1006では、ステップS1010で準備した入力U(i)を精密モデル90へ入力し、出力Y(i)を算出する。
このように、ステップS1007からステップS1010の処理によれば、構成要素102,104の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件を外れている場合は、制約条件を外れた要因となる入力を固定して、他の入力を可変することで新たな入力U(i)が準備される。そして、新たな入力がステップS1007の判定を通過するまで、ステップS1007からステップS1010に至る処理を繰り返すことで、構成要素102,104の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件を満たすような入力U(i)を求めることができる。
ステップS1007において、構成要素102,104の内部変数x1(t),x2(t)が動作環境制約条件の範囲内であることが判定された場合は、ステップS1011へ進む。ステップS1011では、精密モデル90から出力Y(i)を算出し、保存する。ここで出力されたY(i)は、ステップS1006での入力U(i)に対応して出力された、トルクTQ(t)、回転数NE(t)の組み合わせである。
次のステップS1012では、評価関数を用いて出力Y(i)のそれぞれの制御性を示す評価値E(i)を求め、出力Y(i)の制御性を評価する。
次のステップS1013では、i=Nであるか否かを判定し、i≠Nの場合は、ステップS1014へ進み、現在のiの値に1を加算し、i=i+1としてステップS1006へ戻る。一方、ステップS1013でi=Nの場合はステップS1015へ進む。
ステップS1015では、各出力Y(i)の評価値E(i)に基づいて、最も評価の高い入力と出力のセット(組み合わせ)を求める。ステップS1015の後は処理を終了する(RETURN)。
図26の処理によれば、構成要素xmの内部変数が動作環境制約条件から外れている場合は、構成要素xmへの入力umを固定し、内部変数が動作環境制約条件の範囲内に収まるような入力U(i)を作成することができる。従って、構成要素の内部変数が動作環境制約条件の範囲に収まるように、最適な入出力のセットを算出することが可能となる。これにより、構成要素102,104の内部変数が制約条件から外れてしまうことを確実に抑止することができ、精密モデル90に基づく制御を最適に行うことが可能となる。また、構成要素102,104が動作環境制約条件を満たした場合にのみ精密モデル90から出力Y(i)を算出するため、動作環境制約条件を満たしていない出力Y(i)が算出されてしまうことを回避でき、精密モデル90による演算処理量を低減することができる。
以上説明したように実施の形態10によれば、精密モデル90内の構成要素102,104の内部変数を考慮して入力U(i)を設定することができるため、構成要素102,104の内部変数が動作環境制約条件から外れてしまうことを確実に抑止することができる。従って、各構成要素102,104を正常に動作させた状態で、最適な入力U(i)と出力Y(i)の組み合わせを算出することが可能となり、精密モデル90に基づく制御を最適に行うことが可能となる。
本発明の実施の形態1を説明するための模式図である。 評価関数Eによる評価方法を示す模式図である。 実施の形態1に係る具体的な処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る処理をより詳細に示すフローチャートである。 評価結果に基づいて制約条件を変更する処理を示すフローチャートである。 実施の形態2のシステムを示す模式図である。 実施の形態2に係る具体的な処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態3のシステムを示す模式図である。 精密モデルによって表現された実機の内燃機関システムの構成を示す模式図である。 精密モデルの具体的な構成を示す模式図である。 実施の形態3に係る具体的な処理の手順を示すフローチャートである。 評価結果に基づいて制約条件を変更する処理を示すフローチャートである。 実施の形態4のシステムを示す模式図である。 実施の形態4に係る具体的な処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態5のシステムを示す模式図である。 実施の形態5に係る具体的な処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態6のシステムを示す模式図である。 実施の形態6に係る具体的な処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態7のシステムを示す模式図である。 実施の形態7に係る具体的な処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態8のシステムを示す模式図である。 実施の形態8に係る具体的な処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態9のシステムを示す模式図である。 実施の形態9に係る具体的な処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態10のシステムを示す模式図である。 実施の形態10に係る具体的な処理の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10,20,30,40,50,60,70,90 精密モデル
12,14,52,54,62,64,78,80,102,104 構成要素

Claims (11)

  1. 実機を近似した非線形モデルを作成する非線形モデル作成手段と、
    前記非線形モデルへ入力される複数の入力値の制約条件を設定する入力制約条件設定手段と、
    前記制約条件に基づいて、実現し得る前記複数の入力値の組み合わせを前記非線形モデルへ入力する入力手段と、
    前記入力値に対応して前記非線形モデルから出力された複数の出力値を評価する評価手段と、
    を備えたことを特徴とする多入力多出力系の制御装置。
  2. 前記入力手段は、実現し得る前記複数の入力値の全ての組み合わせを前記非線形モデルへ入力することを特徴とする請求項1記載の多入力多出力系の制御装置。
  3. 前記評価手段での評価結果に基づいて、最適な前記入力値と前記出力値の組み合わせを決定する最適入出力決定手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の多入力多出力系の制御装置。
  4. 前記評価手段での評価結果に基づいて、前記制約条件を変更する制約条件変更手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多入力多出力系の制御装置。
  5. 前記制約条件変更手段は、前記評価手段による最新の評価結果が以前の評価結果よりも良好な場合は、前記制約条件を厳しくすることを特徴とする請求項4記載の多入力多出力系の制御装置。
  6. 前記非線形モデルに含まれる構成要素の動作環境制約条件を設定する動作環境制約条件設定手段と、
    前記非線形モデルが前記入力値の入力を受けた際に、前記構成要素が前記動作環境制約条件の範囲で動作しているか否かを判定する動作判定手段と、
    前記構成要素が前記動作環境制約条件の範囲で動作していない場合は、前記複数の入力値を修正する入力修正手段と、
    を更に備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多入力多出力系の制御装置。
  7. 前記動作判定手段は、前記構成要素の内部変数に基づいて前記構成要素の動作を判定し、
    前記入力修正手段は、前記構成要素が前記動作環境制約条件の範囲で動作していない場合は、当該構成要素の内部変数が前記動作環境制約条件の境界値となるように前記複数の入力値の少なくとも一部を修正することを特徴とする請求項6記載の多入力多出力系の制御装置。
  8. 前記構成要素が前記動作環境制約条件の範囲で動作していない場合は、前記入力値に対応した前記出力値を前記非線形モデルから出力しないことを特徴とする請求項6又は7記載の多入力多出力系の制御装置。
  9. 前記非線形モデルは内燃機関システムをモデル化したものであり、前記入力値及び前記出力値に基づいて当該内燃機関システムを制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の多入力多出力系の制御装置。
  10. 前記非線形モデルは内燃機関システムをモデル化したものであり、前記入力値及び前記出力値に基づいて当該内燃機関システムのアイドリング回転数を制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の多入力多出力系の制御装置。
  11. 前記非線形モデルはモータを含むハイブリッドシステムをモデル化したものであり、前記入力値及び前記出力値に基づいて当該ハイブリッドシステムを制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の多入力多出力系の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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