JP2007163597A - 波長選択性偏光変換素子、照明光学系、投射表示光学系および画像投射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の偏光変換素子と波長選択性位相差板とにより得られる偏光変換機能を有し、特に画像投射装置における光学部品点数の減少や構造の簡略化が図れる波長選択性偏光変換素子を提供する。
【解決手段】波長選択性偏光変換素子5は、第1の偏光方向の光Pおよび第2の偏光方向の光Sに対する透過率がそれぞれ、波長域に応じて、50%より高い透過率と50%より低い透過率との間で変化する特性を有する偏光分離膜32と、偏光分離膜で透過又は反射した光の偏光方向を第1の偏光方向と第2の偏光方向との間で変換する位相差板33とを有する。該偏光変換素子は、2つの波長域の光を第1および第2の偏光方向のうち一方の偏光方向を有する偏光光として射出し、他の波長域の光を第1および第2の偏光方向のうち他方の偏光方向を有する偏光光として射出する。
【選択図】 図2
【解決手段】波長選択性偏光変換素子5は、第1の偏光方向の光Pおよび第2の偏光方向の光Sに対する透過率がそれぞれ、波長域に応じて、50%より高い透過率と50%より低い透過率との間で変化する特性を有する偏光分離膜32と、偏光分離膜で透過又は反射した光の偏光方向を第1の偏光方向と第2の偏光方向との間で変換する位相差板33とを有する。該偏光変換素子は、2つの波長域の光を第1および第2の偏光方向のうち一方の偏光方向を有する偏光光として射出し、他の波長域の光を第1および第2の偏光方向のうち他方の偏光方向を有する偏光光として射出する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、無偏光光を波長域(色)に応じた偏光方向の光に変換する波長選択性偏光変換素子およびこれを備えた液晶プロジェクタ等の画像投射装置に関するものである。
偏光ビームスプリッタにより色分解および色合成を行う画像投射装置が、特許文献1,2に開示されている。該装置では、光源から射出された無偏光光をレンズアレイによって複数の光束に分割し、各光束により形成された2次光源像を、コンデンサレンズによって液晶パネル等の画像形成素子上に重畳させてこれを略均一な明るさで照明する。
ここで、レンズアレイから射出した各分割光束は、偏光変換素子に設けられた、レンズアレイのそれぞれのレンズセルに対応した複数の偏光変換セルに入射する。各偏光変換セルは、偏光分離膜と1/2波長板と反射面とを有する。各偏光変換セルに入射した無偏光光は、偏光分離膜でP偏光とS偏光とに分離される。P偏光は、偏光分離膜を透過した後、1/2波長板によってその偏光方向が90°回転させられてS偏光として射出する。一方、S偏光は、偏光分離膜によって反射され、反射面で反射してS偏光のまま射出される。
偏光変換素子から偏光方向が揃えられて射出したS偏光は、コンデンサレンズに入射する。さらに、コンデンサレンズから射出したS偏光は、ダイクロイック素子によって第1および第2の波長域光と第3の波長域光とに分離される。この段階では、第1および第2の波長域光は同じ光路を進み、かつ同じ偏光方向を有する。そしてこの後、偏光ビームスプリッタを用いて第1および第2の波長域光をそれぞれ第1および第2の画像形成素子に導くため、波長(色)選択性位相差板を通過させる。これにより、第1および第2の波長域光を、互いに異なる偏光方向を有する光に分離することができる。波長選択性位相差板は、延伸したフィルムを複数積層して作成され、入射した第1および第2の波長域光のうち、一方の波長域光の偏光方向のみを該偏光方向に直交する偏光方向に変換し、他方の波長域光を偏光方向を変えずに透過させる特性を有する。
このように偏光ビームスプリッタを用いて色分解を行う画像投射装置には、レンズアレイの近傍に配置される偏光変換素子と、偏光ビームスプリッタの近傍に配置される波長選択性位相差板とが用いられることが一般的である。
なお、特殊な例として、特許文献2や特許文献3にて開示された光学素子が用いられる場合もある。特許文献2には、所定波長域光を透過して他の波長域光を反射する第1ダイクロイック層と、該第1ダイクロイック層を透過した光の偏光面を90度回転させる位相差層と、該位相差層からの光を全反射する全反射層とからなる光学素子が開示されている。
従来の偏光ビームスプリッタは使用波長帯全域においてP偏光を透過、S偏光を反射することを目的としている。非特許文献1にはP偏光を反射、S偏光を透過する偏光ビームスプリッタが報告されている。いずれの偏光ビームスプリッタも使用波長帯全帯域に対して偏光分離する作用である。これに対して、ある波長帯のS偏光を透過、P偏光を反射、それと異なる波長帯のS偏光を反射、P偏光を透過させるような偏光ビームスプリッタはこれまで報告されていない。
また、ダイクロイックフィルタは斜入射によりP偏光に対する透過帯域が広がり、S偏光に対する透過帯域が狭くなるため、偏光分離する波長帯域が現れる。しかし、P偏光は透過、S偏光は反射するのみで、P偏光は反射、S偏光は透過することはなく、異なる波長帯域で偏光分離特性が逆になる特性となることはない。
特許文献3には、波長選択性を備え、光の偏光、検光、色分離および色合成を行う偏光ビームスプリッタが開示されている。同公報では、青波長帯域のP偏光を反射、S偏光を透過し、且つ緑と赤帯域のP偏光を透過、S偏光を反射する作用を有する偏光ビームスプリッタを用いた色分解色合成手段を開示している。しかし、この偏光ビームスプリッタについては機能のみが示されており、実際の実現方法に関しては開示されていない。
特開2001−154152号公報(段落0045、図1等)
特開2000−19455号公報(段落0013〜0014、図1等)
特開平11−153774号公報(段落0012〜0014、図1,2等)
Li Li and J. A. Dobrowolski, Appl. Opt., vol.39, p.2754, 2000.
しかしながら、特許文献1に開示されているように、偏光変換素子とは別に波長選択性位相差板を用いると、画像投射装置を構成する光学部品の数が増加する。また、波長選択性位相差板を位置決め支持したり、多層フィルムにより構成される該波長選択性位相差板を冷却したりする構造が必要となり、構造が複雑になる。
本発明は、従来の偏光変換素子と波長選択性位相差板とにより得られる偏光変換機能を有し、特に画像投射装置における光学部品点数の減少や構造の簡略化が図れるようにした波長選択性偏光変換素子を提供することを目的の1つとする。
本発明の一側面としての波長選択性偏光変換素子は、第1の波長域の光、第2の波長域の光および第3の波長域の光を含む無偏光光を偏光光に変換する偏光変換素子である。該波長選択性偏光変換素子は、透過および反射作用により光を分離する機能を有し、第1の偏光方向の光および該第1の偏光方向に直交する第2の偏光方向の光に対する透過率がそれぞれ、波長域に応じて、50%より高い透過率と50%より低い透過率との間で変化する特性を有する偏光分離膜を有する。さらに、該偏光分離膜で透過又は反射した光の偏光方向を第1の偏光方向と第2の偏光方向との間で変換する位相差板を有する。そして、該波長選択性偏光変換素子は、該2つの波長域の光を第1および第2の偏光方向のうち一方の偏光方向を有する偏光光として射出し、該他の波長域の光を第1および第2の偏光方向のうち他方の偏光方向を有する偏光光として射出することを特徴とする。
本発明によれば、上記のような特性を有する光分離膜と位相差板の作用により、第1から第3の波長域のうち2つの波長域の光と他の波長域の光とを互いに異なる偏光方向を有する偏光光として射出することができる。これにより、波長選択性偏光変換機能を有する単一の素子としての偏光変換素子を実現することができる。
したがって、該偏光変換素子からの上記2つの波長域の光のうち一方の光と上記他の波長域の光とを従来の波長選択性位相差板を介さずに同一光路から偏光ビームスプリッタに導くことができる。すなわち、この場合でも、偏光ビームスプリッタによってこれらの波長域光を偏光方向に応じて分離することができる。このため、偏光ビームスプリッタを用いて色分離を行い、第1から第3の波長光をそれぞれ対応する画像形成素子に導く投射表示光学系や画像投射装置の光学部品点数を、従来に比べて少なくすることができる。また、波長選択性位相差板が不要となることにより、これを支持したり冷却したりする構造も不要になり、画像投射装置の構造を簡略化することができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の実施例1である波長選択性偏光変換素子を用いた投射表示光学系およびこれを備えた液晶プロジェクタ(画像投射装置)の構成を示す。
白色光源1から射出した光束は、放物面リフレクタ2によって平行光束に変換されて射出される。なお、ここにいう平行光束は、完全に平行な光束だけでなく、光学系の特性上平行とみなせる程度に拡散又は収束する光束も含む意味である。このことは、以下の実施例でも同じである。
この平行光束は、第1のフライアイレンズ3によって複数の光束に分割され、各分割光束は集光される。各分割光束は、第2のフライアイレンズ4、波長選択性偏光変換素子5の近傍に集光され、光源の像(2次光源像)を作る。フライアイレンズ3,4は複数のレンズセルが2次元方向に配置されて構成されている。各レンズセルは、被照明面である後述する液晶パネル(画像形成素子)と相似形状である矩形のレンズ形状を有する。
第2のフライアイレンズ4を射出して波長選択性偏光変換素子5に入射する光束は、第1の偏光方向の直線偏光であるP偏光と第2の偏光方向の直線偏光であるS偏光とを含む無偏光光である。
波長選択性偏光変換素子5は、第2のフライアイレンズ4を射出した各分割光束のうち第1および第2の波長域である赤(R)帯域と緑(G)帯域の光をS偏光に変換する。また、第3の波長域である青(B)帯域の光をP偏光に変換する。
ここで、一般に、B帯域の波長は430〜500nm、G帯域の波長は500〜580nm、R帯域の波長は580〜670nmと言われている。但し、本実施例のプロジェクタにおいては、必ずしも上記の定義に基づいたBGR帯域の光を用いている訳ではなく、BGR帯域の波長として以下のような波長の光を用いている。例えば、B帯域としては、430nm以上490nm以下(435nm以上485nm以下でもよい)の光を用いている。G帯域としては、510nm以上570nm以下(515nm以上565nm以下でもよい)の光を用いている。R帯域としては、600nm以上660nm以下(605nm以上655nm以下でもよい)の光を用いている。このことは、以下に説明する他の実施例でも同様である。なお、上記波長の範囲は例であり、本発明を限定するものではない。
波長選択性偏光変換素子5から射出したR帯域およびG帯域のS偏光とB帯域のP偏光は、ミラー20で反射される。その後、コンデンサレンズ6によって集光され、色分解合成光学系7を経てR帯域、G帯域およびB帯域用の反射型液晶パネル15,10,14をそれぞれ重畳的に照明する。なお、光源1から少なくともコンデンサレンズ6までを照明光学系という。このことは、以下に説明する実施例でも同様である。
色分解合成光学系7は、コンデンサレンズ6を透過した偏光光のうちB帯域とR帯域の光を反射し、G帯域光を透過するダイクロイックミラー8を有する。ダイクロイックミラー8を透過したG帯域の偏光光は、第1の偏光ビームスプリッタ9で反射され、G帯域用反射型液晶パネル10に入射する。
ここで、各反射型液晶パネルは、駆動回路Dに接続されている。該投射表示光学系を搭載したプロジェクタ(画像投射装置)の一部である駆動回路Dには、パーソナルコンピュータ、DVDプレーヤ、ビデオデッキ、テレビチューナ等の画像情報供給装置IPから画像信号が入力される。これらによって、画像表示システムが構成される。駆動回路Dは、入力された画像信号のR,G,B成分に基づいてそれぞれの色に対応する反射型液晶パネルを駆動する。これにより、各反射型液晶パネルは、各波長帯の入射光を反射するとともに変調して画像光として射出する。なお、このような構成は、以下の実施例でも、図示しないが、同じである。
G帯域用液晶パネル(以下、G液晶パネルという)10からの画像光(偏光光)は、第1の偏光ビームスプリッタ9を透過し、さらに第2の偏光ビームスプリッタ11を透過して投射レンズ12によって不図示のスクリーン上に投影される。
一方、ダイクロイックミラー8で反射したB帯域およびR帯域の偏光光のうちB帯域の偏光光は第3の偏光ビームスプリッタ13を透過し、R帯域の偏光光は該第3の偏光ビームスプリッタ13で反射する。そして、第3の偏光ビームスプリッタ13から射出したR帯域の偏光光およびB帯域の偏光光はそれぞれ、R帯域用液晶パネル(以下、R液晶パネルという)15およびB帯域用液晶パネル(以下、B液晶パネルという)14上に集光する。
B液晶パネル14で反射され、かつ変調されたB帯域の偏光光は、第3の偏光ビームスプリッタ13で反射される。また、R液晶パネル15で反射され、かつ変調されたR帯域の偏光光は、第3の偏光ビームスプリッタ13を透過する。その後、波長選択性位相板16によってR帯域の偏光光の偏光方向のみが90度回転させられ、R帯域の偏光光とB帯域の偏光光の偏光方向が揃えられる。そして、両帯域の偏光光は、第2の偏光ビームスプリッタ11で反射され、投射レンズ12によってスクリーン上に投影される。これにより、RGBフルカラーの投射画像がスクリーン上に表示される。
次に、前述した波長選択性偏光変換素子5の構成および光学作用について図2を用いて詳しく説明する。波長選択性偏光変換素子5は、フライアイレンズ3,4を構成する複数のレンズセルに対応して設けられた、互いに同じ構成を有する複数の偏光変換セルCから構成されている。
なお、各偏光変換セルCの光入射面のうち、後述する波長選択性偏光分離膜32の位置からその下側の反射膜31までの領域には、光の入射を遮るための遮光板34が設けられている。これにより、光は各偏光変換セルCの入射面のうち波長選択性偏光分離膜32とその上方に配置された反射膜31との間の領域からのみ入射する。また、33は位相差板を示す。以下、波長選択性偏光分離膜32を、単に偏光分離膜と略記する。
偏光分離膜32は、光の入射光軸方向(図の左側から右側に向かう方向)に対して該45度の傾きを有する。また、反射膜31は、偏光分離膜32に対して平行に配置されている。また、偏光分離膜32は、実際には平行平板であるガラスやアクリル製の基板の表面に多層膜として形成されている。
また、位相差板33はフィルム状に形成され、波長選択性偏光変換素子5の射出面のうち、反射膜31の位置から上方向に偏光分離膜32の位置までの領域に形成されている。
なお、本実施例では、波長選択性偏光変換素子5の射出面に位相差板33を設けた場合について説明するが、図3に示すように、位相差板33を入射側に偏光分離膜32が形成された基板における射出側に形成してもよい。
偏光分離膜32は、R帯域とG帯域のP偏光に対する透過率が100%又はそれに近く(50%より高く)、B帯域光のP偏光に対する透過率が0%又はそれに近い(50%より低い)特性を有する。また、偏光分離膜32は、R帯域とG帯域のS偏光に対する透過率が0%又はそれに近く(50%より低く)、B帯域光のS偏光に対する透過率が100%又はそれに近い(50%より高い)特性を有する。
また、位相差板33は1/2波長板であり、入射した直線偏光の偏光方向を90度回転させる機能を有する。
このように構成された波長選択性偏光変換素子5には、白色の無偏光光が図の左側から入射する。該無偏光光のうちR帯域およびG帯域のP偏光は、偏光分離膜32を透過した後、位相差板33を透過してS偏光に変換されて波長選択性偏光変換素子5から射出する。R帯域およびG帯域のS偏光は、偏光分離膜32で反射し、さらに反射膜31で反射してS偏光として波長選択性偏光変換素子5から射出する。B帯域のP偏光は、偏光分離膜32で反射し、さらに反射膜31で反射してP偏光として波長選択性偏光変換素子5から射出する。B帯域のS偏光は、偏光分離膜32を透過した後、位相差板33を透過してP偏光に変換されて波長選択性偏光変換素子5から射出する。
このように、単一の素子として構成された波長選択性偏光変換素子5に入射した白色無偏光光は、R帯域およびG帯域のS偏光とB帯域のP偏光に変換されて該素子5から射出する。
したがって、該偏光変換素子5からB帯域光とR帯域光とを、従来用いられていた波長選択性位相差板を介さずにダイクロイックミラー8から第3の偏光ビームスプリッタ13に導くことができる。すなわち、この場合でも、第3の偏光ビームスプリッタ13によってこれらB帯域光とR帯域光をその偏光方向に応じて分離し、R液晶パネル15とB液晶パネル14にそれぞれ入射させることができる。このため、ダイクロイックミラー8から第3の偏光ビームスプリッタ13までの光路に波長選択性位相差板を設ける従来の場合に比べて、光学系の光学部品点数を少なくすることができる。しかも、波長選択性位相差板が不要となることにより、これを支持したり冷却したりする構造も不要になる。
ここで、R帯域およびG帯域の光に関してP偏光の透過率が高く、S偏光の透過率が低く、B帯域の光に関してP偏光の透過率が低く、S偏光の透過率が高い光学特性を有する偏光分離膜32の多層膜構造について示す。
偏光分離膜32の膜構造としては、R帯域およびG帯域のP偏光の透過率が高く、S偏光の透過率が低く、B帯域のP偏光の透過率が低く、S偏光の透過率が高い光学特性を直接有する膜構造がある。
また、他の膜構造として、光学特性が異なる2つの膜部を積層したものに相当する構造もある。例えば、第1の膜部として、R帯域,G帯域およびB帯域のP偏光の透過率が高く、R帯域およびG帯域のS偏光の透過率が低く、B帯域のS偏光の透過率が高い光学特性を有するものを用いる。また、第2の膜部として、R帯域およびG帯域のP偏光の透過率が高く、B帯域のP偏光の透過率が低く、R帯域,G帯域およびB帯域のS偏光の透過率が高い光学特性を有するものを用いる。なお、ここにいう「高い」、「低い」は基本的には50%よりも高い、低いことを表す。より詳細には、透過率が高い(反射率が低い)という表現は、偏光分離膜に対して所定の角度(ここでは45度)で入射する光の透過率が50%を越えている(好ましくは80%以上)ことを意味する(逆に反射率は50%より低い、好ましくは20%より低い)。逆に、透過率が低い(反射率が高い)という表現は、偏光分離膜に対して所定の角度(ここでは45度)で入射する光の透過率が50%より低い(好ましくは20%以下)ことを意味する(逆に反射率は50%より高い、好ましくは80%以上)。以下の説明でも、特に説明をしない限り同様である。
さらに、高屈折率入射プリズムから低屈折率媒質に臨界角以上で入射させ、エバネッセント波がしみ出している領域に薄膜が存在すると、光が透過し、位相変化する全反射減衰(Frustrated Total Internal Reflection:FTIR)を利用した膜構造もある。本発明はこれらの膜構造に限定されることはない。
表1には、上述した2つの膜部を積層したものに相当する構造を有する偏光分離膜32の例を示す。ここでは、ガラス基板としてはOHARA社製のPBH56を用いた。また、表中のH,M,Lはそれぞれ、高屈折率層、中屈折率層および低屈折率層を示し、H,M,Lの左側の数字は各層(膜)の厚み(nm)を示す。本構成例では、高屈折率層としてTiO2を、中屈折率層としてAl2O3を、低屈折率層としてMgF2を用いた。
前述した第1の膜部のように、R帯域,G帯域およびB帯域のP偏光の透過率が高く、R帯域およびG帯域のS偏光の透過率が低く、B帯域のS偏光の透過率が高い光学特性を有する膜構造は良く知られている。例えば、P偏光に対して多層膜の屈折率から求められるブリュースター角を満たし、S偏光入射に対してダイクロイックフィルタとして機能する膜である。また、ダイクロイックフィルタにおけるS偏光とP偏光のカットオフ波長を調整することによっても実現することができる。
このような第1の膜部を構成する多層膜の例として、
「Sub|(108M 100H)5|接」
の分光透過率特性のシミュレーション結果を図4に示す。Subは基板を、接は接着剤を示している。
「Sub|(108M 100H)5|接」
の分光透過率特性のシミュレーション結果を図4に示す。Subは基板を、接は接着剤を示している。
一方、前述した第2の膜部のように、R帯域およびG帯域のP偏光の透過率が高く、B帯域のP偏光の透過率が低く、R帯域,G帯域およびB帯域のS偏光の透過率が高い光学特性を有するもの膜構造は従来知られていない。しかし、検討の結果、多くの膜構造で実現できることが分かった。このような第2の膜部を構成する多層膜の例として、
「Sub|(116M 171L 115M 75H)5|接」
の分光透過率特性のシミュレーション結果を図5に示す。なお、この例に示す第2の膜部において、R帯域のうち645nm以上の部分でS偏光の透過率が50%を下回るが、これについては、最終的に本実施例で得たい偏光分離膜32の特性から見れば許容範囲である。別の見方をすれば、該R帯域のS偏光の透過率は、第1の膜部のR帯域(およびG帯域)でのS偏光の透過率より高ければよい。
「Sub|(116M 171L 115M 75H)5|接」
の分光透過率特性のシミュレーション結果を図5に示す。なお、この例に示す第2の膜部において、R帯域のうち645nm以上の部分でS偏光の透過率が50%を下回るが、これについては、最終的に本実施例で得たい偏光分離膜32の特性から見れば許容範囲である。別の見方をすれば、該R帯域のS偏光の透過率は、第1の膜部のR帯域(およびG帯域)でのS偏光の透過率より高ければよい。
表1に示す偏光分離膜32の膜構造例は、これら2つの膜部を積層して、P偏光およびS偏光それぞれの透過帯および反射帯のリップルを低減させるために、膜厚を最適化した例である。なお、第1〜第32層までが第1の膜部に相当し、第33〜42層までが第2の膜部に相当する。但し、これらの膜部を積層してから全体として最適化を行ったので、各膜部の光学特性が完全に分かれるわけではない。
また、図6には、表1に示す偏光分離膜32の透過率特性のシミュレーション結果を示している。この図において、Tp45は、P偏光を該偏光分離膜32に対して45度の入射角で入射させたときの透過率特性を、Ts45は、S偏光を該偏光分離膜に対して45度の入射角で入射させたときの透過率特性を示している。
図6に示すように、偏光分離膜32は、R帯域とG帯域のP偏光に対する透過率が高く、B帯域光のP偏光に対する透過率が低く、R帯域とG帯域のS偏光に対する透過率が低く、B帯域光のS偏光に対する透過率が高い特性を有する。
なお、表1に示したガラス基板の材料、薄膜の材料、各薄膜の順番、層数および膜厚は例に過ぎず、本発明の偏光分離膜の構成はこれに限定されない。
次に、本実施例において、波長選択性偏光変換素子5を第2のレンズアレイ4とコンデンサレンズ6との間に配置した理由について説明する。レンズアレイ3,4はそれぞれ、放物面リフレクタ2から射出された平行光束を複数光束に分割する機能と、各分割光束を波長選択性偏光変換素子5の近傍に集光する機能とを有する。一方、コンデンサレンズ6は、第2のレンズアレイ4から射出した複数の分割光束が液晶パネル上にて重なり合うように集光する機能を有する。この場合、第2のレンズアレイ4による分割光束の波長選択性偏光変換素子5に向けた集光度合いと、コンデンサレンズ6による集光度合いとを比べると、前者の集光度合いの方が小さい。
ところで、一般に、ダイクロイック膜や偏光分離膜といった多層膜の分光特性は入射角度依存性が強く、45度の入射角度に対しては設計上の特性に近い良好な分光特性が得られるが、入射角度が45度から離れるにつれて分光特性がシフトする傾向がある。すなわち、分離する波長帯にずれが生じる。
前述したようにコンデンサレンズ6による光束の集光度合いは大きい。このため、仮に波長選択性偏光変換素子5をコンデンサレンズ6よりも液晶パネル側に配置すると、該波長選択性偏光変換素子5を構成する波長選択性偏光分離膜32での分光特性がシフトする。これにより、各液晶パネルに入射する各帯域光に予定外の偏光方向の光が多く混ざり、その結果、投射画像のコントラストが低下する。
このため、本実施例では、第2のレンズアレイ4とコンデンサレンズ6の間に波長選択性偏光変換素子5を配置して、該偏光変換素子5への入射光束の集光度合いを小さく(つまりは平行光束に近い状態と)している。これにより、波長選択性偏光変換素子5を構成する第1および第2の波長選択性偏光分離膜32において良好な分光特性が得られるようにしている。したがって、本実施例によれば、波長選択性偏光変換素子5による適正な分光特性を利用して、コントラストの高い投射画像を得ることができる。
以上説明した波長選択性偏光変換素子を第2のレンズアレイとコンデンサレンズとの間に配置する理由については、以下に説明する他の実施例でも同じである。
図7には、本発明の実施例2である波長選択性偏光変換素子を示す。この波長選択性偏光変換素子205を用いた投射表示光学系は、実施例1で図1に示した投射表示光学系と同じであり、該投射表示光学系を構成する波長選択性偏光変換素子以外の構成要素については実施例1と同符号を付す。本実施例でも、P偏光を第1の偏光方向の光とし、S偏光を第2の偏光方向とする。
本実施例の波長選択性偏光変換素子205の構成および光学作用について詳しく説明する。波長選択性偏光変換素子205は、フライアイレンズ3,4を構成する複数のレンズセルに対応して設けられた、互いに同じ構成を有する複数の偏光変換セルCから構成されている。なお、各偏光変換セルCの光入射面のうち、後述する波長選択性偏光分離膜42の位置からその下側の反射膜41までの領域には、光の入射を遮るための遮光板44が設けられている。これにより、光は各偏光変換セルCの入射面のうち波長選択性偏光分離膜42とその上方に配置された反射膜41との間の領域からのみ入射する。また、43は位相差板を示す。以下、波長選択性偏光分離膜42を、単に偏光分離膜と略記する。
偏光分離膜42は、光の入射光軸方向(図の左側から右側に向かう方向)に対して45度より大きい角度、例えば50度の傾きを有する。また、反射膜41は、偏光分離膜42に対して平行に配置されている。偏光分離膜42を45度より大きい角度に傾けたことにより、遮光板44を各偏光変換セルCの光入射面のうち、反射膜41の位置よりも下側まで延ばしている。これにより、光は入射面のうち反射膜41と偏光分離膜42との間の領域からのみ入射する。また、43は位相差板を示す。
また、偏光分離膜42は、実際には平行平板であるガラスやアクリル製の基板の表面に多層膜として形成されている。また、位相差板43はフィルム状に形成され、波長選択性偏光変換素子205の射出面のうち、反射膜41の位置から上方向に偏光分離膜42の位置までの領域に形成されている。
なお、本実施例でも、図3に示すように、位相差板43を入射側に偏光分離膜42が形成される基板の射出側に形成してもよい。
本実施例でも、偏光分離膜42は、R帯域とG帯域のP偏光に対する透過率が100%又はそれに近く(50%より高く)、B帯域光のP偏光に対する透過率が0%又はそれに近い(50%より低い)特性を有する。また、偏光分離膜42は、R帯域とG帯域のS偏光に対する透過率が0%又はそれに近く(50%より低く)、B帯域光のS偏光に対する透過率が100%又はそれに近い(50%より高い)特性を有する。
また、位相差板43は1/2波長板であり、入射した直線偏光の偏光方向を90度回転させる機能を有する。
このように構成された波長選択性偏光変換素子205には、白色の無偏光光が図の左側から入射する。該無偏光光のうちR帯域およびG帯域のP偏光は、偏光分離膜42を透過した後、位相差板43を透過してS偏光に変換されて波長選択性偏光変換素子205から射出する。R帯域およびG帯域のS偏光は、偏光分離膜42で反射し、さらに反射膜41で反射してS偏光として波長選択性偏光変換素子205から射出する。B帯域のP偏光は、偏光分離膜42で反射し、さらに反射膜41で反射してP偏光として波長選択性偏光変換素子205から射出する。B帯域のS偏光は、偏光分離膜42を透過した後、位相差板43を透過してP偏光に変換されて波長選択性偏光変換素子205から射出する。
このように、単一の素子として構成された波長選択性偏光変換素子205に入射した白色無偏光光は、R帯域およびG帯域のS偏光とB帯域のP偏光に変換されて該素子205から射出する。このように、単一の素子として構成された波長選択性偏光変換素子205に入射した白色無偏光光は、R帯域およびG帯域のS偏光とB帯域のP偏光に変換されて該素子5から射出する。これにより、実施例1にて説明したものと同様の効果が得られる。
表1には、R帯域およびG帯域のP偏光の透過率が高く、B帯域のP偏光の透過率が低く、R帯域およびG帯域のS偏光の透過率が低く、B帯域のS偏光の透過率が高い光学特性を有する偏光分離膜42の多層膜構造の例を示す。ここでは、実施例1と同様に2つの膜部を積層したものに相当する膜構造を示す。第1の膜部としては、実施例1と同様に、R帯域,G帯域およびB帯域のP偏光の透過率が高く、R帯域およびG帯域のS偏光の透過率が低く、B帯域のS偏光の透過率が高い光学特性を有するものを用いる。また、第2の膜部として、R帯域およびG帯域のP偏光の透過率が高く、B帯域のP偏光の透過率が低く、R帯域,G帯域およびB帯域のS偏光の透過率が高い光学特性を有するものを用いる。
ガラス基板としてはOHARA社製のLAL14を用いた。また、表中のH,M,LおよびH,M,Lの左側の数字の意味は実施例1と同様である。本構成例でも、高屈折率層としてTiO2を、中屈折率層としてAl2O3を、低屈折率層としてMgF2を用いた。
表1に示す偏光分離膜42の膜構造例は、これら2つの膜部を積層して、P偏光およびS偏光それぞれの透過帯および反射帯のリップルを低減させるために、膜厚を最適化した例である。なお、第1〜第32層までが第1の膜部に相当し、第33〜44層までが第2の膜部に相当する。但し、これらの膜部を積層してから全体として最適化を行ったので、各膜部の光学特性が完全に分かれるわけではない。
また、図8には、表1に示す偏光分離膜42の透過率特性のシミュレーション結果を示している。この図において、Tp50は、P偏光を偏光分離膜42に対して50度の入射角で入射させたときの透過率特性を、Ts50は、S偏光を偏光分離膜42に対して50度の入射角で入射させたときの透過率特性を示している。このように、偏光分離膜に対しする入射角度は45度に限定されるものではない。
なお、表1に示したガラス基板の材料、薄膜の材料、各薄膜の順番、層数および膜厚は例に過ぎず、本発明の偏光分離膜の構成はこれに限定されない。
図9には、本発明の実施例3である波長選択性偏光変換素子を用いた投射表示光学系およびこれを備えた液晶プロジェクタの構成を示す。
白色光源301から射出した光束は、放物面リフレクタ302によって平行光束に変換されて射出される。この平行光束は、第1のフライアイレンズ303によって複数の光束に分割され、各分割光束は集光される。各分割光束は、第2のフライアイレンズ304,波長選択性偏光変換素子305の近傍に集光され、光源の像(2次光源像)を作る。
フライアイレンズ303,304は複数のレンズセルが2次元方向に配置されて構成されている。各レンズセルは、被照明面である後述する液晶パネルと相似形状である矩形のレンズ形状を有する。
第2のフライアイレンズ304を射出して波長選択性偏光変換素子305に入射する光束は、第1の偏光方向の直線偏光であるP偏光と第2の偏光方向の直線偏光であるS偏光とを含む無偏光光である。
波長選択性偏光変換素子305は、第2のフライアイレンズ304を射出した各分割光束のうち第1および第2の波長域であるR帯域とG帯域の光をP偏光に変換する。また、第3の波長域であるB帯域の光をS偏光に変換する。
波長選択性偏光変換素子305から射出したR帯域およびG帯域のP偏光とB帯域のS偏光は、ミラー320で反射される。その後、コンデンサレンズ306によって集光され、色分解合成光学系307を経てR帯域、G帯域およびB帯域用の反射型液晶パネル(R,G,B液晶パネル)315,310,314を重畳的に照明する。
色分解合成光学系307は、コンデンサレンズ306を透過した偏光光のうちR帯域とB帯域の光を反射し、G帯域光を透過するダイクロイックミラー308を有する。ダイクロイックミラー308を透過したG帯域の偏光光は、第1の偏光ビームスプリッタ309を透過して反射型のG液晶パネル310に入射する。
G液晶パネル310からの画像光(偏光光)は、第1の偏光ビームスプリッタ309で反射され、さらに波長選択性偏光ビームスプリッタ311で反射されて投射レンズ312によって不図示のスクリーン上に投影される。ここで、波長選択性偏光ビームスプリッタ311は、R帯域のS偏光を透過し、G帯域のS偏光を反射する。また、B帯域のS偏光を反射し、R帯域のP偏光を透過する。
一方、ダイクロイックミラー308で反射したR帯域およびB帯域の偏光光のうちR帯域の偏光光は、第2の偏光ビームスプリッタ313を透過し、B帯域の偏光光は該第2の偏光ビームスプリッタ313で反射される。そして、第2の偏光ビームスプリッタ313から射出したR帯域の偏光光およびB帯域の偏光光はそれぞれ、反射型のR液晶パネル315およびB液晶パネル314上に集光する。
R液晶パネル315で反射され、かつ変調されたR帯域の偏光光は、第2の偏光ビームスプリッタ313で反射される。また、B液晶パネル314で反射され、かつ変調されたB帯域の偏光光は、第2の偏光ビームスプリッタ313を透過する。
その後、両波長帯の光は、波長選択性ビームスプリッタ311を透過して、投射レンズ312によってスクリーン上に投影される。これにより、RGBフルカラーの投射画像がスクリーン上に表示される。
次に、前述した波長選択性偏光変換素子305の構成および光学作用について図10を用いて詳しく説明する。波長選択性偏光変換素子305は、フライアイレンズ303,304を構成する複数のレンズセルに対応して設けられた同じ構成の複数の偏光変換セルCから構成されている。なお、各偏光変換セルCの光入射面のうち、後述する波長選択性偏光分離膜32の位置からその下側の反射膜31の位置までの領域には、光の入射を遮るための遮光板34が設けられている。これにより、光は入射面のうち波長選択性偏光分離膜32とその上方に配置された反射膜31との間の領域からのみ入射する。また、36は位相差板を示す。以下、波長選択性偏光分離膜32を、単に偏光分離膜と略記する。
偏光分離膜32は、光の入射光軸方向(図の左側から右側に向かう方向)に対して45度の傾きを有する。また、反射膜31は、偏光分離膜32に対して平行に配置されている。また、偏光分離膜32は、実際には平行平板であるガラスやアクリル製の基板の表面に多層膜として形成されている。
また、位相差板36はフィルム状に形成され、波長選択性偏光変換素子305の射出面のうち、偏光分離膜32の位置から下方向に反射膜31の位置までの領域に形成されている。
なお、図3に示すように、位相差板36を、偏光分離膜32が入射側に形成される基板の射出側に形成してもよい。
本実施例の偏光分離膜32としては、実施例1と同じものが用いられている。また、位相差板36も、実施例1の位相差板33と同様に、1/2波長板であり、入射した直線偏光の偏光方向を90度回転させる機能を有する。
このように構成された波長選択性偏光変換素子305には、白色の無偏光光が図の左側から入射する。該無偏光光のうちR帯域およびG帯域のP偏光は、偏光分離膜32を透過して波長選択性偏光変換素子305から射出する。R帯域およびG帯域のS偏光は、偏光分離膜32で反射し、さらに反射膜31で反射した後、位相差板36を透過してP偏光に変換されて波長選択性偏光変換素子305から射出する。また、B帯域のP偏光は、偏光分離膜32で反射し、さらに反射膜31で反射した後、位相差板36を透過してS偏光に変換されて波長選択性偏光変換素子305から射出する。B帯域のP偏光は、偏光分離膜32を透過して波長選択性偏光変換素子305から射出する。
このように、単一の素子として構成された波長選択性偏光変換素子305に入射した白色無偏光光は、R帯域およびG帯域のP偏光とB帯域のS偏光に変換されて該素子305から射出する。これにより、実施例1にて説明したものと同様の効果が得られる。
本実施例では、偏光分離膜32に対する光束の入射角度が45度の場合を示したが、本発明においては、実施例2のように入射角度は45度に限定されない。また、偏光分離膜が形成されるガラス基板の材料や、薄膜の材料、各薄膜の順番、層数、膜厚も表1に示した実施例1と同じものに限定されない。
図11には、本発明の実施例4である波長選択性偏光変換素子を用いた投射表示光学系およびこれを備えた液晶プロジェクタの構成を示す。
白色光源401から射出した光束は、放物面リフレクタ402によって平行光束に変換されて射出される。この平行光束は、第1のフライアイレンズ403によって複数の光束に分割され、各分割光束は集光される。各分割光束は、第2のフライアイレンズ404、波長選択性偏光変換素子405の近傍に集光され、光源の像(2次光源像)を作る。
フライアイレンズ403,404は複数のレンズセルが2次元方向に配置されて構成されている。各レンズセルは、被照明面である後述する液晶パネルと相似形状である矩形のレンズ形状を有する。
第2のフライアイレンズ404を射出して波長選択性偏光変換素子405に入射する光束は、第1の偏光方向の直線偏光であるP偏光と第2の偏光方向の直線偏光であるS偏光とを含む無偏光光である。
波長選択性偏光変換素子405は、第2のフライアイレンズ404を射出した各分割光束のうち第1および第3の波長域であるR帯域とB帯域の光をP偏光に変換する。また、第2の波長域であるG帯域の光をS偏光に変換する。
波長選択性偏光変換素子405から射出したR帯域およびB帯域のP偏光とG帯域のS偏光は、コンデンサレンズ406によって集光される。さらに、ミラー407で反射され、色分解合成光学系408を経てR帯域、B帯域およびG帯域用の反射型液晶パネル(RB,G液晶パネル)413,414,411を重畳的に照明する。
色分解合成光学系408は、偏光光のうちR帯域とB帯域の光を透過し、G帯域光を反射する偏光ビームスプリッタ409を有する。偏光ビームスプリッタ409で反射したG帯域の偏光光は、ガラスブロック410を透過して反射型のG液晶パネル411に入射する。
G液晶パネル411からの画像光(偏光光)は、ガラスブロック410を透過し、偏光ビームスプリッタ409を透過して投射レンズ415によって不図示のスクリーン上に投影される。
一方、偏光ビームスプリッタ409を透過したR帯域およびB帯域の偏光光のうちB帯域の偏光光は、ダイクロイックプリズム412で反射し、R帯域の偏光光は該ダイクロイックプリズム412を透過する。そして、ダイクロイックプリズム412から射出したB帯域の偏光光およびR帯域の偏光光はそれぞれ、反射型のB液晶パネル414およびR液晶パネル413上に集光する。
B液晶パネル414で反射され、かつ変調されたB帯域の偏光光は、ダイクロイックプリズム412で反射される。また、R液晶パネル413で反射され、かつ変調されたR帯域の偏光光は、ダイクロイックプリズム412を透過する。その後、両波長帯の光は、偏光ビームスプリッタ409で反射して、投射レンズ312によってスクリーン上に投影される。これにより、RGBフルカラーの投射画像がスクリーン上に表示される。
次に、前述した波長選択性偏光変換素子405の構成および光学作用について図12を用いて詳しく説明する。波長選択性偏光変換素子405は、フライアイレンズ403,404を構成する複数のレンズセルに対応して設けられた、互いに同じ構成を有する複数の偏光変換セルCから構成されている。なお、各偏光変換セルCの光入射面のうち、後述する偏光分離膜52の位置からその下側の反射膜51の位置までの領域には、光の入射を遮るための遮光板54が設けられている。これにより、光は入射面のうち波長選択性偏光分離膜52とその上方に配置された反射膜51との間の領域からのみ入射する。また、53は位相差板を示す。
偏光分離膜52は、光の入射光軸方向(図の左側から右側に向かう方向)に対して45度の傾きを有する。また、反射膜51は、偏光分離膜52に対して平行に配置されている。また、偏光分離膜52は、実際には平行平板であるガラスやアクリル製の基板の表面に多層膜として形成されている。
また、位相差板53はフィルム状に形成され、波長選択性偏光変換素子405の射出面のうち、偏光分離膜52の位置から上方向に反射膜51の位置までの領域に形成されている。
なお、図3に示すように、位相差板53を、入射側に偏光分離膜52が形成される基板の射出側に形成してもよい。
本実施例の偏光分離膜52は、R帯域とB帯域のP偏光に対する透過率が100%又はそれに近く(50%より高く)、G帯域光のP偏光に対する透過率が0%又はそれに近い(50%より低い)特性を有する。また、偏光分離膜52は、R帯域とB帯域のS偏光に対する透過率が0%又はそれに近く(50%より低く)、G帯域光のS偏光に対する透過率が100%又はそれに近い(50%より高い)特性を有する。
また、位相差板53は1/2波長板であり、入射した直線偏光の偏光方向を90度回転させる機能を有する。
このように構成された波長選択性偏光変換素子405には、白色の無偏光光が図の左側から入射する。該無偏光光のうちR帯域およびB帯域のP偏光は、偏光分離膜52を透過して波長選択性偏光変換素子405から射出する。R帯域およびB帯域のS偏光は、偏光分離膜52で反射し、さらに反射膜51で反射した後、位相差板53を透過してP偏光に変換されて波長選択性偏光変換素子405から射出する。G帯域のP偏光は、偏光分離膜52で反射し、さらに反射膜51で反射した後、位相差板53を透過してS偏光に変換されて波長選択性偏光変換素子405から射出する。G帯域のS偏光は、偏光分離膜52を透過して波長選択性偏光変換素子405から射出する。
このように、単一の素子として構成された波長選択性偏光変換素子405に入射した白色無偏光光は、R帯域およびB帯域のP偏光とG帯域のS偏光に変換されて該素子405から射出する。これにより、実施例1にて説明したものと同様の効果が得られる。
表1には、R帯域およびB帯域の光に関してP偏光の透過率が高く、S偏光の透過率が低く、G帯域の光に関してP偏光の透過率が低く、S偏光の透過率が高い光学特性を有する偏光分離膜52の多層膜構造について示す。
ここでは、実施例1と同様に2つの膜部を積層したものに相当する膜構造を示す。第1の膜部としては、R帯域,G帯域およびB帯域のP偏光の透過率が高く、R帯域およびB帯域のS偏光の透過率が低く、G帯域のS偏光の透過率が高い光学特性を有するものを用いる。また、第2の膜部として、R帯域およびB帯域のP偏光の透過率が高く、G帯域のP偏光の透過率が低く、R帯域,G帯域およびB帯域のS偏光の透過率が高い光学特性を有するものを用いる。
ガラス基板としてはOHARA社製のPBH56を用いた。また、表中のH,M,LおよびH,M,Lの左側の数字の意味は実施例1と同様である。本構成例でも、高屈折率層としてTiO2を、中屈折率層としてAl2O3を、低屈折率層としてMgF2を用いた。
表1に示す偏光分離膜52の膜構造例は、これら2つの膜部を積層して、P偏光およびS偏光それぞれの透過帯および反射帯のリップルを低減させるために、膜厚を最適化した例である。なお、第1〜第28層までが第1の膜部に相当し、第29〜52層までが第2の膜部に相当する。但し、これらの膜部を積層してから全体として最適化を行ったので、各膜部の光学特性が完全に分かれるわけではない。
また、図13には、表1に示す偏光分離膜52の透過率特性のシミュレーション結果を示している。この図において、Tp45は、P偏光を偏光分離膜52に対して45度の入射角で入射させたときの透過率特性を、Ts45は、S偏光を偏光分離膜52に対して45度の入射角で入射させたときの透過率特性を示している。
なお、実施例2で説明したように、偏光分離膜52に対する入射角度は45度に限定されるものではない。また、ガラス基板の材料や、薄膜材料、各薄膜の順番、層数、膜厚は表1のものに限定されない。
図14には、本発明の実施例5である波長選択性偏光変換素子を用いた投射表示光学系およびこれを備えた液晶プロジェクタの構成を示す。
白色光源501から射出した光束は、放物面リフレクタ502によって平行光束に変換されて射出される。この平行光束は、第1のフライアイレンズ503によって複数の光束に分割され、各分割光束は集光される。各分割光束は、第2のフライアイレンズ504,波長選択性偏光変換素子505の近傍に集光され、光源の像(2次光源像)を作る。
フライアイレンズ503,504は複数のレンズセルが2次元方向に配置されて構成されている。各レンズセルは、被照明面である後述する液晶パネルと相似形状である矩形のレンズ形状を有する。
第2のフライアイレンズ504を射出して波長選択性偏光変換素子505に入射する光束は、第1の偏光方向の直線偏光であるS偏光と第2の偏光方向の直線偏光であるP偏光とを含む無偏光光である。
波長選択性偏光変換素子505は、第2のフライアイレンズ504を射出した各分割光束のうち第1および第3の波長域であるR帯域とB帯域の光をS偏光に変換する。また、第2の波長域であるG帯域の光をP偏光に変換する。
波長選択性偏光変換素子505から射出したR帯域およびB帯域のS偏光とG帯域のP偏光は、コンデンサレンズ506によって集光される。さらに、色分解合成光学系522を経てR帯域、G帯域およびB帯域用の透過型液晶パネル(以下、R,G,B液晶パネルという)510,521,519を重畳的に照明する。
色分解合成光学系522は、R帯域光を透過し、B帯域光およびG帯域光を反射する第1のダイクロイックミラー507を有する。該第1のダイクロイックミラー507を透過したR帯域の偏光光は、反射ミラー508で反射し、フィールドレンズ509を介して、R液晶パネル510に入射する。R液晶パネル510で変調された光(画像光)は、ダイクロイックプリズム511で進行方向を90度変えられ、投射レンズ512によって不図示のスクリーンに投影される。
一方、第1のダイクロイックミラー507で反射したB帯域の偏光光およびG帯域の偏光光のうちG帯域の偏光光は、第2のダイクロイックミラー513で反射し、B帯域の偏光光はこれを透過する。第2のダイクロイックミラー513で反射したG帯域の偏光光は、フィールドレンズ520を透過して、G液晶パネル521に入射する。G液晶パネル521で変調された光は、ダイクロイックプリズム511を透過し、投射レンズ512によってスクリーンに投影される。
また、第2のダイクロイックミラー513を透過したB帯域の偏光光は、リレーレンズ514,516、反射ミラー515,517およびフィールドレンズ518を介してB液晶パネル519に入射する。B液晶パネル519で変調された光(画像光)は、ダイクロイックプリズム511で進行方向を90度変えられ、投射レンズ512によってスクリーンに投影される。これにより、RGBフルカラーの投射画像がスクリーンに表示される。
次に、前述した波長選択性偏光変換素子505の構成および光学作用について図15を用いて詳しく説明する。波長選択性偏光変換素子505は、フライアイレンズ503,504を構成する複数のレンズセルに対応して設けられた、互いに同じ構成を有する複数の偏光変換セルCから構成されている。なお、各偏光変換セルCの光入射面のうち、後述する波長選択性偏光分離膜52の位置からその下側に設けられた反射膜51の位置までの領域には、光の入射を遮るための遮光板54が設けられている。これにより、光は入射面のうち波長選択性偏光分離膜52とその上方に配置された反射膜51との間の領域からのみ入射する。また、56は位相差板を示す。なお、波長選択性偏光分離膜52を、以下、単に偏光分離膜と略記する。
偏光分離膜52は、光の入射光軸方向(図の左側から右側に向かう方向)に対して45度の傾きを有する。また、反射膜51は、偏光分離膜52に対して平行に配置されている。また、偏光分離膜52は、実際には平行平板であるガラスやアクリル製の基板の表面に多層膜として形成されている。
また、位相差板56はフィルム状に形成され、波長選択性偏光変換素子505の射出面のうち、偏光分離膜52の位置から下方向に反射膜51の位置までの領域に形成されている。
なお、図3に示すように、位相差板56を、偏光分離膜52が入射側に形成される基板の射出側に形成してもよい。
本実施例の偏光分離膜52としては、実施例4と同じものが用いられている。また、位相差板56も、実施例4の位相差板53と同様に、1/2波長板であり、入射した直線偏光の偏光方向を90度回転させる機能を有する。
このように、単一の素子として構成された波長選択性偏光変換素子505に入射した白色無偏光光は、R帯域およびB帯域のS偏光とG帯域のP偏光に変換されて該素子505から射出する。
なお、実施例2で説明したように、偏光分離膜52に対する入射角度は45度に限定されるものではない。また、ガラス基板の材料や、薄膜材料、各薄膜の順番、層数、膜厚は表1のものに限定されない。
ここで、従来の偏光変換素子と透過型液晶パネルを用いた構成では、図14に示したフィールドレンズ520とG液晶パネル521との間に、入射した直線偏光の偏光方向を90°回転させる位相板を配置していた。これは、G帯域をP偏光、R,B帯域をS偏光とすることで、ダイクロイックプリズムの損失を抑えるためである。
これに対し、本実施例の波長選択性偏光変換素子505を用いることで、これと同様の効果を、フィールドレンズ520とG液晶パネル521との間に位相板を配置しなくても実現することができる。なお、本実施例では、液晶パネル510,519,521をそれぞれR帯域用、B帯域用およびG帯域用とした場合について説明したが、液晶パネルの配置と帯域との組み合わせはどのようなものであってもよい。
なお、波長選択性偏光変換素子としては、上記各実施例にて説明したもの以外の構成を採ることもできる。R,G,Bのうちいずれか1つの波長帯域光をP偏光に、他の2つの波長帯域光をS偏光に変換したり、いずれか1つの波長帯域光をS偏光に、他の2つの波長帯域光をP偏光に変換したりすることができる。この波長選択性偏光変換素子を用いて上記各実施例にて説明したもの以外の構成を採ることもできる。
なお、本実施例では、画像形成素子として反射型液晶パネルや透過型液晶パネルを用いる場合について説明したが、本発明では、他の画像形成素子、例えばDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いてもよい。
1,301,401,501:光源
2,302,402,502:リフレクタ
3,303,403,503:第1のフライアイレンズ
4,304,404,504:第2のフライアイレンズ
5,205,305,405,505:波長選択性偏光変換素子
6,306,406,506:コンデンサレンズ
7,307,408,522:色分解合成光学系
8,308,507,513:ダイクロイックミラー
9,11,13,309,313,409:偏光ビームスプリッタ
10,14,15,310,314,315,411,413,414:反射型液晶パネル
12,312,415,512:投射レンズ
20,320,407,508,515,517:ミラー
16:波長選択波長板
31,41,51:反射膜
32,42,52:波長選択性偏光分離膜
33,36,43,53,56:位相差板
34,44,54:遮光板
311,412,511:ダイクロイックプリズム
410:ガラスブロック
2,302,402,502:リフレクタ
3,303,403,503:第1のフライアイレンズ
4,304,404,504:第2のフライアイレンズ
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34,44,54:遮光板
311,412,511:ダイクロイックプリズム
410:ガラスブロック
Claims (11)
- 第1の波長域の光、第2の波長域の光および第3の波長域の光を含む無偏光光を偏光光に変換する偏光変換素子であって、
透過および反射作用により光を分離する機能を有し、第1の偏光方向の光および該第1の偏光方向に直交する第2の偏光方向の光に対する透過率がそれぞれ、波長域に応じて、50%より高い透過率と50%より低い透過率との間で変化する特性を有する偏光分離膜と、
該偏光分離膜で透過又は反射した光の偏光方向を前記第1の偏光方向と前記第2の偏光方向との間で変換する位相差板とを有し、
該偏光変換素子は、前記第1、第2および第3の波長域のうち2つの波長域の光を前記第1および第2の偏光方向のうち一方の偏光方向を有する偏光光として射出し、前記第1、第2および第3の波長域のうち他の波長域の光を前記第1および第2の偏光方向のうち他方の偏光方向を有する偏光光として射出することを特徴とする波長選択性偏光変換素子。 - 前記偏光分離膜は、前記第1の偏光方向の光に対する前記2つの波長域での透過率が50%より高く、他の波長域での透過率が50%より低く、かつ前記第2の偏光方向の光に対する前記2つの波長域での透過率が50%より低く、前記他の波長域での透過率が50%より高い光学特性を有することを特徴とする請求項1に記載の波長選択性偏光変換素子。
- 前記2つの波長域における前記第1の偏光方向の光が、前記偏光分離膜を透過して、前記位相差板で前記第2の偏光方向の光に変換されて射出し、前記2つの波長域における前記第2の偏光方向の光が、前記偏光分離膜で反射して射出し、
前記他の波長域における前記第1の偏光方向の光が、前記偏光分離膜で反射して射出し、前記他の波長域における前記第2の偏光方向の光が、前記偏光分離膜を透過して、前記位相差板で前記第1の偏光方向の光に変換されて射出することを特徴とする請求項1又は2に記載の波長選択性偏光変換素子。 - 前記2つの波長域における前記第1の偏光方向の光が、前記偏光分離膜を透過して射出し、前記2つの波長域における前記第2の偏光方向の光が、前記偏光分離膜で反射して、前記位相差板で前記第1の偏光方向の光に変換されて射出し、
前記他の波長域における前記第1の偏光方向の光が、前記偏光分離膜で反射して、前記位相差板で前記第2の偏光方向の光に変換されて射出し、前記他の波長域における前記第2の偏光方向の光が、前記偏光分離膜を透過して射出することを特徴とする請求項1又は2に記載の波長選択性偏光変換素子。 - 前記偏光分離膜で反射した光を反射して、該偏光変換素子の射出方向に向かわせる反射面を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の波長選択性偏光変換素子。
- それぞれ前記偏光分離膜と前記位相差板とを含む偏光変換セルを複数有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の波長選択性偏光変換素子。
- 光源から射出された第1、第2および第3の波長域の光を含む無偏光光を偏光光に変換する請求項1から6のいずれか1つに記載の波長選択性偏光変換素子を含むことを特徴とする照明光学系。
- 光源から射出された第1、第2および第3の波長域の光を含む無偏光光を偏光光に変換する請求項1から6のいずれか1つに記載の波長選択性偏光変換素子を含む照明光学系と、
前記照明光学系からの前記第1、第2および第3の波長域の光をそれぞれ第1、第2および第3の画像形成素子に導き、該第1、第2および第3の画像形成素子からの光を合成する色分解合成光学系と、
該合成された光を投射する投射レンズとを有することを特徴とする投射表示光学系。 - 前記照明光学系は、前記無偏光光を複数の光束に分割するレンズアレイと、前記波長選択性偏光変換素子と、該波長選択性偏光変換素子からの光束を集光するコンデンサレンズとを有することを特徴とする請求項8に記載の投射表示光学系。
- 請求項8又は9に記載の投射表示光学系と、
入力された画像信号に基づいて前記第1、第2および第3の画像形成素子を駆動する駆動回路とを有することを特徴とする画像投射装置。 - 請求項10に記載の画像投射装置と、
該画像投射装置に画像信号を供給する画像供給装置とを有することを特徴とする画像表示システム。
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