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JP2006111572A - シャペロニン−タンパク質複合体及びその製造方法、並びに目的タンパク質の製造方法 - Google Patents

シャペロニン−タンパク質複合体及びその製造方法、並びに目的タンパク質の製造方法 Download PDF

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JP2006111572A
JP2006111572A JP2004300595A JP2004300595A JP2006111572A JP 2006111572 A JP2006111572 A JP 2006111572A JP 2004300595 A JP2004300595 A JP 2004300595A JP 2004300595 A JP2004300595 A JP 2004300595A JP 2006111572 A JP2006111572 A JP 2006111572A
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Junichi Hata
純一 秦
Masahiro Furuya
昌弘 古谷
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】 製造が容易であり、かつ天然のものよりも安定した複合体構造を保つことができるシャペロニン−タンパク質複合体を提供する。
【解決手段】 複数のシャペロニンサブユニットと目的タンパク質とが集合してなるシャペロニン−タンパク質複合体において、前記複数のシャペロニンサブユニットの一部と目的タンパク質とが融合タンパク質を形成しており、前記融合タンパク質は1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがペプチド結合を介して連結されたものであり、前記複数のシャペロニンサブユニットの残余は目的タンパク質とも他のシャペロニンサブユニットともペプチド結合を介して連結されていない単独のシャペロニンサブユニットであり、前記融合タンパク質と前記単独のシャペロニンサブユニットとが非共有結合的に会合していることを特徴とするシャペロニン−タンパク質複合体。
【選択図】 図1

Description

本発明はシャペロニン−タンパク質複合体及びその製造方法、並びに目的タンパク質の製造方法に関し、さらに詳細には、シャペロニンサブユニットと目的タンパク質との融合タンパク質と、単独のシャペロニンサブユニットとが非共有結合的に会合しているシャペロニン−タンパク質複合体及びその製造方法、並びに該シャペロニン−タンパク質複合体を使用する目的タンパク質の製造方法に関する。
組換え体によって目的タンパク質を大量生産する技術は、バイオテクノロジー分野における基本技術の一つである。この技術には、バクテリアや酵母等の微生物、あるいは動物細胞や植物細胞等の高等生物由来の細胞等が宿主細胞として用いられている。このうち、バクテリアを宿主細胞とする組換え体は、動物細胞等に比べてその増殖速度が格段に大きくかつ培養が容易であるので、工業スケールのタンパク質生産に好んで用いられている。
しかしながら、組換え体によって目的タンパク質を生産する場合は、以下のような問題が常に付随する。一つの例は、その目的タンパク質が宿主細胞に対して毒性を示すものである場合である。このときは、その目的タンパク質の遺伝子発現が抑制されたり、組換え体の増殖が阻害されたりして、結果的に目的タンパク質がほとんど得られないことがある。また他の例は、合成された目的タンパク質が宿主細胞由来のプロテアーゼの攻撃を受けて分解され、結果的にほとんど目的タンパク質が得られないことがある。さらに他の例は、合成された目的タンパク質が宿主細胞内で正しく折り畳まれず、正しい立体構造を有しない異常型タンパク質としてしか得られないことがある。特に、組換えタンパク質が正しく折り畳まれない場合は、不溶性の凝集体(インクルージョンボディ)を形成することが多い。そして、いったん封入体となった異常型タンパク質を折り畳み直して正しい立体構造に戻すことは困難な作業であり、成功しないことが多い。
上記した問題を解決する方法として、分子シャペロンの一種であるシャペロニンを利用する方法が知られている。シャペロニンは、バクテリアの細胞質、真核細胞のミトコンドリア、葉緑体に多量に存在している分子シャペロンの一種であり、タンパク質の折り畳みを促進する活性やタンパク質の変性を阻止する活性を有している。シャペロニンの多くは熱ショック等のストレスによって誘導される熱ショックタンパク質(ヒートショックプロテイン)であることが知られている。
シャペロニンは、分子量約6万のサブユニット(シャペロニンサブユニット)7〜9個からなるリング状構造体が2個重なった、総分子量80万〜100万程度のシリンダー状の巨大な複合タンパク質である。シャペロニンはそのリング状構造体の内部に空洞を有しており、その空洞内に折り畳み途中のタンパク質や変性したタンパク質を一時的に収納して複合体(以下、「シャペロニン−タンパク質複合体」という。)を形成する。そして、空洞内で収納したタンパク質を正しく折り畳み、続いて空洞から正しく折り畳まれたタンパク質を放出することが知られている。
大腸菌由来のシャペロニンであるGroELを例にとると、GroELはGroELサブユニット7個からなるリング状構造体が2個重なった構造を有しており、計14個のGroELサブユニットから形成されている(図10)。GroELのリング状構造体内部の空洞は、内径4.5nm、高さ14.6nmの大きさであり、これはちょうど60kDaの球状タンパク質が収まる大きさである。GroELはその空洞内に様々のタンパク質
を収納して、シャペロニン−タンパク質複合体を形成することができる。そして、その空洞内に収納されたタンパク質は正しく折り畳まれ、その後、空洞から放出される。
このようなシャペロニンの作用を利用して、目的タンパク質を正しく折り畳み、正しい立体構造をもつ正常型タンパク質として取得する試みがある。すなわち、目的タンパク質とシャペロニンを接触させてシャペロニン−タンパク質複合体を形成させ、シャペロニンの作用によって目的タンパク質を正しく折り畳み、目的タンパク質を正しい立体構造をもつ正常型タンパク質として取得する試みである。例えば、シャペロニンと目的タンパク質を同一宿主内で共発現させ、目的タンパク質を正常型タンパク質として取得できる場合がある。
このシャペロニン−タンパク質複合体は、格納したタンパク質を正しく折り畳む作用の他に、そのタンパク質をプロテアーゼの攻撃から守る作用を有する。さらに、格納したタンパク質が宿主細胞に毒性を示すものであっても、シャペロニン−タンパク質複合体の形であればその毒性は抑えられる。これらの現象は、シャペロニン−タンパク質複合体においては、そのタンパク質がシャペロニンの空洞内に収まっており、外部に露出していないためと考えられる。
上記したシャペロニン−タンパク質複合体は天然に存在するものであるが、一方で、シャペロニンと目的タンパク質との融合タンパク質によってもシャペロニン−タンパク質複合体を形成させることができる。例えば、特許文献1及び特許文献2には、GroELサブユニットと目的タンパク質とが(7:1)、(4:1)又は(7:2)の数比で連結された融合タンパク質を取得し、これらの融合タンパク質のみによってシャペロニン−タンパク質複合体が形成された旨が記載されている。
特開2004−24095号公報 特開2004−81199号公報
しかし、天然型のシャペロニンは、目的タンパク質の構造および分子量によって、空洞内に安定にタンパク質を収納することができないことがある。例えば、大腸菌内に存在する全タンパク質のうち天然型のシャペロニンに格納されうるタンパク質の割合は、20〜30%にすぎないと言われている。
一方、該融合タンパク質のみでシャペロニン−タンパク質複合体を形成させる場合は、該融合タンパク質は天然には存在しないので、該融合タンパク質をコードする融合遺伝子を構築する必要がある。そして、その融合遺伝子を適当な発現ベクターに組込み、該発現ベクターを適当な宿主に導入し、宿主内で融合遺伝子を発現させる必要がある。この際、組込まれる融合遺伝子のサイズが大きいほどその発現ベクターのサイズも大きくなるが、一般に、プラスミド等の発現ベクターはそのサイズが大きいほど宿主内で不安定になり、種々の問題が引き起こされることがある。例えば、発現ベクター自身の複製がうまく行われなくなったり、相同組換えを起こして組込まれたDNAが脱落することがあり、結果的にシャペロニン−タンパク質複合体が十分に生産されなくなる。宿主細胞が大腸菌の場合を例にとると、大腸菌の細胞内で安定に保持されるプラスミドの大きさは、その上限が10万塩基対程度である。ところが、上記した融合タンパク質の分子量は複数のシャペロニンサブユニットと目的タンパク質を合わせた分子量であるので、それをコードする融合遺伝子のサイズは大きく、該融合遺伝子が組込まれたプラスミドベクターのサイズは10万塩基対をはるかに超える。したがって、大腸菌に該融合遺伝子が組込まれたプラスミドベクターを保持させることは、プラスミドベクターの安定性の点でなお問題が残り、シャペ
ロニン−タンパク質複合体の生産性に支障をきたす恐れがある。
以上より、目的タンパク質を空洞内により安定的に収納でき、一方で生産性にも優れるシャペロニン−タンパク質複合体が求められている。
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、複数のシャペロニンサブユニットと目的タンパク質とが集合してなるシャペロニン−タンパク質複合体において、前記複数のシャペロニンサブユニットの一部と目的タンパク質とが融合タンパク質を形成しており、前記融合タンパク質は1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがペプチド結合を介して連結されたものであり、前記複数のシャペロニンサブユニットの残余は目的タンパク質とも他のシャペロニンサブユニットともペプチド結合を介して連結されていない単独のシャペロニンサブユニットであり、前記融合タンパク質と前記単独のシャペロニンサブユニットとが非共有結合的に会合していることを特徴とするシャペロニン−タンパク質複合体である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体は、複数のシャペロニンサブユニットと目的タンパク質とが集合してなるものであり、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがペプチド結合を介して連結された融合タンパク質と、単独のシャペロニンサブユニットとが非共有結合的に会合している。このうち、該融合タンパク質内においては目的タンパク質とシャペロニンサブユニット間、及び各シャペロニンサブユニット間(シャペロニンサブユニットが複数の場合)は共有結合で強固に連結されている。一方、単独のシャペロニンサブユニットは融合タンパク質とも他の単独のシャペロニンサブユニットとも共有結合では連結されていない。すなわち、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、共有結合と非共有結合が混在した様式で目的タンパク質と複数のシャペロニンサブユニットが集合し、複合体を形成している。かかる構成により、融合タンパク質の分子量がある程度抑えられてその遺伝子発現が容易になり、すなわち製造が容易であり、一方で、天然のシャペロニン−タンパク質複合体よりも安定した複合体構造を保つことができる。
ここで、シャペロニンサブユニットという語は、単独の分子である場合(単独のシャペロニンサブユニット)の他に、融合タンパク質の一部である場合にも用いる。また、シャペロニンサブユニット連結体とは、2個以上のシャペロニンサブユニットがタンデムに連結された人工タンパク質をいう。さらに、N個のシャペロニンサブユニットからなるシャペロニンサブユニット連結体を、シャペロニンサブユニットN回連結体と呼ぶこととする(ただし、N=1のときは、1個のシャペロニンサブユニットを指すものとする。)。さらに、「非共有結合的」とは、共有結合以外の結合様式、例えば、水素結合、疎水性相互作用、イオン結合、ファンデルワールス力等を指す。本明細書では、共有結合による結合にのみ「結合」という語を用い、非共有結合的な結合には「会合」という語を用いる。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体を構成する目的タンパク質の数は、1個でもよいし複数個でもよい。さらに、目的タンパク質が複数個の場合は、該複数の目的タンパク質は同一の融合タンパク質に含まれていてもよいし、それぞれ別の融合タンパク質に含まれていてもよい。換言すれば、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体を構成する融合タンパク質は、1個又は複数個の目的タンパク質を含む。また、融合タンパク質に含まれる目的タンパク質の結合部位は、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体のN末端側、C末端側のいずれでもよい。さらにシャペロニンサブユニット連結体のシャペロニンサブユニット間に結合することも可能である。融合タンパク質が複数個の目的タンパク質を含む場合は、上記したC末端、N末端、シャペロニンサブユニット間から複数の結合部位を選択することができる。また、目的タンパク質は、上記し
た結合部位に直接的に連結されていてもよいし、リンカーペプチド等を介して間接的に連結されていてもよい。
また請求項2に記載の発明は、前記目的タンパク質の数は1個であることを特徴とする請求項1に記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
シャペロニンが目的タンパク質と複合体を形成するためには、該タンパク質の分子量に上限値がある。すなわち、あまりに分子量が大きいタンパク質はシャペロニンと複合体を形成することができない。また、複数個のタンパク質がシャペロニンと複合体を形成するためには、該タンパク質の分子量の合計値が上限値以下である必要がある。すなわち、この場合はそれぞれのタンパク質の分子量は、上限値よりもかなり小さい必要がある。本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、タンパク質の数が1個である。かかる構成により、その分子量が上限値と略同じであるような大きいタンパク質を含むことができる。
また請求項3に記載の発明は、前記融合タンパク質は、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがリンカーペプチドを介して連結されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、目的タンパク質がリンカーペプチドを介して1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と連結されている。すなわち、リンカーペプチドに所望の機能を有するものを選択することにより、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体は新しい機能を備えることができる。
また請求項4に記載の発明は、前記リンカーペプチドは、限定分解型プロテアーゼの認識部位を含むことを特徴とする請求項3に記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
さらに請求項5に記載の発明は、前記限定分解型プロテアーゼはトロンビンであることを特徴とする請求項4に記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、リンカーペプチドに限定分解型プロテアーゼの認識部位を含む。かかる構成により、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体から遊離させた融合タンパク質に、認識部位に対する限定分解型プロテアーゼを作用させることにより、当該認識部位が加水分解されて切断され、目的タンパク質を切り出すことが可能になる。
また請求項6に記載の発明は、前記限定分解型プロテアーゼの作用によっては前記認識部位が切断されないことを特徴とする請求項4又は5に記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、限定分解型プロテアーゼの作用によってはリンカーペプチドに含まれる認識部位が切断されない。該認識部位がプロテアーゼによって切断されないことは、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体において該認識部位が外部に露出していないこと、すなわち、目的タンパク質が複数のシャペロニンサブユニットに囲まれて保護されていることと関係する。かかる構成により、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、目的タンパク質をより確実に正しく折り畳むことができ、正しい立体構造をもつ正常型タンパク質として得ることができる。なお、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体から目的タンパク質を切り出す場合は、本発明の
シャペロニン−タンパク質複合体を融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットに解離して、融合タンパク質を遊離させた上で、該融合タンパク質に限定分解型プロテアーゼを作用させる必要がある。
また請求項7に記載の発明は、前記複数のシャペロニンサブユニットはグループ1型シャペロニンのサブユニットであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
シャペロニンは、その活性発現にコファクターを必要とするグループ1型シャペロニン
と、コファクターを必要とせず単独で活性発現が可能なグループ2型シャペロニンに分類される。そして本発明のシャペロニン−タンパク質複合体は、グループ1型シャペロニンのシャペロニンサブユニットを構成要素としており、コファクターの補助を得て目的タンパク質を正しく折り畳む。なお、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、複数のグループ1型シャペロニンのサブユニットが全て同種の生物由来のものでもよいし、異なる生物由来のものが混じっていてもよい。
また請求項8に記載の発明は、前記グループ1型シャペロニンのサブユニットは全て同種の生物由来のものであることを特徴とする請求項7に記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、シャペロニンサブユニットが同種の生物由来である。かかる構成により、より確実に複合体が形成され、かつ複合体構造が安定である。
また請求項9に記載の発明は、前記グループ1型シャペロニンのサブユニットは全て大腸菌由来のものであることを特徴とする請求項7に記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
大腸菌由来のシャペロニンはグループ1型シャペロニンであり、その生化学的・物理化学的性質がよく研究されている。また、そのサブユニットの遺伝子も単離されている。したがって、融合タンパク質をコードする融合遺伝子を容易に構築することができる。かかる構成により、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体は、製造が容易であり、より簡便に目的タンパク質を正常型タンパク質として得ることができる。
また請求項10に記載の発明は、前記複数のシャペロニンサブユニットの合計数は、該シャペロニンサブユニットの由来によって決定される最適数であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
天然において、シャペロニンを形成しているシャペロニンサブユニットの合計数は、シャペロニンの由来によって概ね決まっている。例えば、細菌由来の場合は7個、古細菌由来の場合は8又は9個、真核生物由来の場合は8個である。すなわち、これらの数が各由来のシャペロニンにおける最適数である。そして、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、シャペロニンサブユニットの合計数が該シャペロニンサブユニットの由来によって決定される最適数である。したがって、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、その複合体構造が安定である。
また請求項11に記載の発明は、前記最適数は7個であることを特徴とする請求項10に記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、シャペロニンサブユニットの合
計数が7個である。かかる構成により、シャペロニンサブユニットが細菌由来のものである場合に、その複合体構造が安定である。なお、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、融合タンパク質に含まれるシャペロニンサブユニットの数と単独のシャペロニンサブユニットの数の和が7個となる。したがって、融合タンパク質に含まれるシャペロニンサブユニットの数と単独のシャペロニンサブユニットの数は、いずれも1乃至6個の範囲となる。
また請求項12に記載の発明は、前記複数のシャペロニンサブユニットは、内部に空洞を有するリング状構造体を形成し、目的タンパク質が該空洞内に格納されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
天然のシャペロニンにおいては、複数のシャペロニンサブユニットがリング状構造体を形成しており、そのリング状構造体の内部には空洞があるとされている。そして、その空洞内に他のタンパク質を格納し、シャペロニン−タンパク質複合体を形成する。本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、天然のシャペロニン−タンパク質複合体と同様の構造を有している。すなわち、リング状構造体を形成し、その内部には空洞があり、その空洞内に目的タンパク質が格納されている。本発明のシャペロニン−タンパク質複合体によれば、目的タンパク質はリング状構造体内部の空洞内で正しく折り畳まれる。さらに、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、目的タンパク質がリング状構造体内部の空洞に格納されているので、目的タンパク質が外部に露出していない。かかる構成により、目的タンパク質が外部からのプロテアーゼによる消化を受けにくく、目的タンパク質をより高収率で得ることができる。
また請求項13に記載の発明は、前記リング状構造体に、さらに、別のシャペロニンサブユニットによって形成されるリング状構造体が非共有結合的に会合していることを特徴とする請求項12に記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
天然においては、シャペロニンは2個のリング状構造体が非共有結合的に会合した構造(ダブルリング構造)をとっていることが多い。そして、2個のリング状構造体の一方が目的タンパク質を格納するシスリング、他方がトランスリングとして区別されており、シスリングにおいてシャペロニン−タンパク質複合体を形成する。本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、さらに、別のシャペロニンサブユニットによって形成されるリング状構造体が非共有結合的に会合しており、全体としてはダブルリング構造を形成している。かかる構成により、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体がシスリングとして機能し、空洞内に格納した目的タンパク質を正しく折り畳むことができる。なお、別のシャペロニンサブユニットによって形成されるリング状構造体においては、その内部は空洞のままでもよく、内部に目的タンパク質を格納していてもよい。内部が空洞のままの場合は、当該リング状構造体は天然型のシャペロニンと同様にトランスリングとして機能する。一方、内部に目的タンパク質を格納する場合は、両方のリング構造体において目的タンパク質が折り畳まれる。
また請求項14に記載の発明は、前記目的タンパク質は膜貫通型受容体であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
さらに請求項15に記載の発明は、前記膜貫通型受容体はGタンパク質共役型受容体であることを特徴とする請求項14に記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
さらに請求項16に記載の発明は、前記Gタンパク質共役型受容体はヒトエンドセリンA受容体であることを特徴とする請求項15に記載のシャペロニン−タンパク質複合体である。
膜貫通型受容体は疎水性が高く、単独では細胞膜に貫通した状態か不溶化した状態でしか得ることができない。しかし、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体によれば、膜貫通型受容体を可溶化した状態で得ることができ、膜貫通型受容体を用いた医薬品開発等の用途に利用することが可能になる。膜貫通型受容体の例としてはGタンパク質共役型受容体が挙げられ、さらにGタンパク質共役型受容体の例としてはヒトエンドセリンA受容体が挙げられる。
また請求項17に記載の発明は、複数のシャペロニンサブユニットと目的タンパク質とが集合してなるシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法において、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体をコードする遺伝子と目的タンパク質をコードする遺伝子とが連結された融合遺伝子を転写及び翻訳させて、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがペプチド結合を介して連結された融合タンパク質を合成し、該融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットとを非共有結合的に会合させることを特徴とするシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法は、複数のシャペロニンサブユニットと目的タンパク質とが集合してなるシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法であり、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがペプチド結合を介して連結された融合タンパク質と、単独のシャペロニンサブユニットとを非共有結合的に会合させる。そして、該タンパク質は、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体をコードする遺伝子と目的タンパク質をコードする遺伝子とが連結された融合遺伝子を転写及び翻訳させることにより合成する。なお、融合遺伝子を発現させる系は、宿主を用いる系でもよいし、無細胞翻訳系でもよい。
また請求項18に記載の発明は、前記融合遺伝子を有する組換え体を培養し、該組換え体内で前記融合遺伝子を転写及び翻訳させ、該組換え体の培養物から前記シャペロニン−タンパク質複合体を得ることを特徴とする請求項17に記載のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法は、宿主を用いる系によって行うものである。すなわち、融合タンパク質をコードする融合遺伝子を有する組換え体を培養し、該組換え体内で融合遺伝子を転写及び翻訳させ、該組換え体の培養物から前記シャペロニン−タンパク質複合体を得ることを特徴とする。本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法によれば、組換え体を培養することにより製造するので、スケールアップが容易であり、大量生産が可能である。なお、該組換え体は、例えば、適宜の発現ベクターに融合遺伝子を組込んで、適宜の宿主に導入することにより作製することができる。また、単独のシャペロニンサブユニットは、シャペロニンサブユニットをコードする遺伝子を適宜のベクターに組込んで宿主に導入して発現させてもよく、宿主が本来的に持っている宿主由来のシャペロニンサブユニットをゲノムDNA上の遺伝子から発現させてもよい。
また請求項19に記載の発明は、前記融合遺伝子は、発現ベクターに組込まれていることを特徴とする請求項18に記載のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法においては、融合遺伝子を発現ベクターに組込み、転写及び翻訳させる。かかる構成により、融合遺伝子の発現を容易に制御することができる。
また請求項20に記載の発明は、前記組換え体のゲノムDNA上に存在するシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子が転写及び翻訳されることにより、単独のシャペロニンサブユニットが合成されることを特徴とする請求項18又は19に記載のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法においては、組換え体のゲノムDNA上に存在するシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子が転写及び翻訳されることにより単独のシャペロニンサブユニットが合成される。すなわち、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法においては、単独のシャペロニンサブユニットが宿主のゲノムDNAから供給される。その結果、宿主は外来遺伝子として融合遺伝子のみを受け入れればよく、組換え体への負担が少ない。かかる構成により、組換え体をより安定的に培養することができ、シャペロニン−タンパク質複合体を高収率で製造することができる。
また請求項21に記載の発明は、発現ベクターに組込まれたシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子が転写及び翻訳されることにより、単独のシャペロニンサブユニットが合成されることを特徴とする請求項18又は19に記載のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法においては、発現ベクターに組込まれたシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子が転写及び翻訳されることにより、単独のシャペロニンサブユニットが合成される。かかる構成により、単独のシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子の発現を容易に制御することができる。
また請求項22に記載の発明は、前記組換え体は大腸菌であることを特徴とする請求項18乃至21のいずれかに記載のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法においては、組換え体が大腸菌であるので、培養が簡単かつ低コストで行える。
また請求項23に記載の発明は、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがペプチド結合を介して連結された融合タンパク質から、目的タンパク質を切り出して単離する目的タンパク質の製造方法において、
(1)前記融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットとを非共有結合的に会合させ、シャペロニン−タンパク質複合体を形成させる工程、
(2)工程(1)で形成させたシャペロニン−タンパク質複合体を、融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットに解離させ、融合タンパク質を遊離させる工程、
(3)工程(2)で遊離させた融合タンパク質から目的タンパク質を切り出して単離する工程、
を含むことを特徴とする目的タンパク質の製造方法である。
本発明の目的タンパク質の製造方法においては、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがペプチド結合を介して連結された融合タンパク質から、目的タンパク質を切り出して単離する際に、まず、融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットとを会合させて、シャペロニン−タンパク質複合体を形成させる。次に、このシャペロニン−タンパク質複合体を、融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットに解離させて、融合タンパク質を遊離させる。最後に、遊離させた融合タンパク質から目的タンパク質を切り出して単離する。かかる構成により、目的タンパク質が、その疎水性が高いために不溶化しやすい等の性質をもつものであっても、正
しく折り畳まれた正常型タンパク質として得ることができる。
また請求項24に記載の発明は、前記工程(1)において、前記融合タンパク質をコードする融合遺伝子を有する組換え体を培養し、該組換え体内で前記融合遺伝子を転写及び翻訳させ、シャペロニン−タンパク質複合体を形成させることを特徴とする請求項23に記載の目的タンパク質の製造方法である。
さらに請求項25に記載の発明は、前記組換え体は大腸菌であることを特徴とする請求項24に記載の目的タンパク質の製造方法である。
本発明の目的タンパク質の製造方法においては、大腸菌等の組換え体を培養することによってシャペロニン−タンパク質複合体を形成させる。かかる構成により、目的タンパク質が宿主細胞に毒性を示すもの又はプロテアーゼの攻撃を受けやすいものであっても、問題なく製造することができる。
また請求項26に記載の発明は、前記工程(2)において、変性剤の作用によってシャペロニン−タンパク質複合体を解離させることを特徴とする請求項23乃至25のいずれかに記載の目的タンパク質の製造方法である。
本発明の目的タンパク質の製造方法においては、変性剤の作用によってシャペロニン−タンパク質複合体を解離させる。変性剤の例としては、尿素、塩酸グアニジン等が挙げられる。
また請求項27に記載の発明は、前記融合タンパク質は1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とが限定分解型プロテアーゼの認識部位を介して結合したものであり、前記工程(3)において、該プロテアーゼの作用によって該認識部位を切断し、融合タンパク質から目的タンパク質を切り出して単離することを特徴とする請求項23乃至26のいずれかに記載の目的タンパク質の製造方法である。
本発明の目的タンパク質の製造方法においては、シャペロニン−タンパク質複合体を構成している融合タンパク質が限定分解型プロテアーゼの認識部位を有している。そして、該限定分解型プロテアーゼの認識部位は1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質との間に位置している。そして、本発明のタンパク質の製造方法においては、工程(3)において、遊離させた融合タンパク質に、対応する限定分解型プロテアーゼを作用させることにより、当該認識部位が加水分解されて切断され、融合タンパク質に含まれる目的タンパク質を切り出す。本発明のタンパク質の製造方法は、プロテアーゼによる処理を行うのみで目的タンパク質を切り出すことができ、簡便である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体は、製造が容易であり、かつ天然のシャペロニン−タンパク質複合体よりも安定した複合体構造を保つことができる。さらに、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体によれば、組換え体内で単独で発現させると正しく折り畳まれずに封入体を形成する目的タンパク質でも、正しく折り畳むことができる。さらに、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体によれば、目的タンパク質が宿主細胞に毒性を示すもの又はプロテアーゼの攻撃を受けやすいものである場合でも、宿主細胞内で安定に保持される。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法によれば、より容易に安定した複
合体構造を有するシャペロニン−タンパク質複合体を製造することができる。
本発明の目的タンパク質の製造方法によれば、目的タンパク質が封入体を形成しやすい、あるいは疎水性が高い場合であっても、正しく折り畳まれた正常型タンパク質として得ることができる。さらに、組換え体を使用する場合でも、宿主細胞に毒性を示す目的タンパク質やプロテアーゼの攻撃を受けやすい目的タンパク質を製造することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体は、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがペプチド結合を介して連結された融合タンパク質と、単独のシャペロニンサブユニットとが非共有結合的に会合したものである。本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の構成例を、シャペロニンサブユニットの合計数が7個の場合を例に、模式図をもって具体的に説明する。まず、図1(a)〜図1(f)に示される例は、シャペロニンサブユニットN回連結体(N=1〜6)(N=1は1個のシャペロニンサブユニットの場合を示す)のC末端又はN末端に、1個の目的タン
パク質が連結された融合タンパク質を有しているシャペロニン−タンパク質複合体である。図中、白丸はシャペロニンサブユニット、白四角は目的タンパク質、実線はペプチド結合を表す。すなわち、図1(a)に表されたシャペロニン−タンパク質複合体は、1個のシャペロニンサブユニットと1個の目的タンパク質との融合タンパク質と、6個の単独の
シャペロニンサブユニットから形成されている。図1(b)に表されたシャペロニン−タンパク質複合体は、シャペロニンサブユニット2回連結体と1個の目的タンパク質との融
合タンパク質と、5個の単独のシャペロニンサブユニットから形成されている。図1(c)に表されたシャペロニン−タンパク質複合体は、シャペロニンサブユニット3回連結体と1個の目的タンパク質との融合タンパク質と、4個の単独のシャペロニンサブユニット
から形成されている。図1(d)に表されたシャペロニン−タンパク質複合体は、シャペロニンサブユニット4回連結体と1個の目的タンパク質との融合タンパク質と、3個の単
独のシャペロニンサブユニットから形成されている。図1(e)に表されたシャペロニン−タンパク質複合体は、シャペロニンサブユニット5回連結体と1個の目的タンパク質と
の融合タンパク質と、2個の単独のシャペロニンサブユニットから形成されている。図1(f)に表されたシャペロニン−タンパク質複合体は、シャペロニンサブユニット6回連結体と1個の目的タンパク質との融合タンパク質と、1個の単独のシャペロニンサブユニ
ットから形成されている。
目的タンパク質がシャペロニンサブユニットN回連結体(N=2〜6)に連結されている場合は、その結合部位はシャペロニンサブユニット間に存在してもよい。そのような例を図2に示す。すなわち、図2に示されるシャペロニン−タンパク質複合体は、シャペロニンサブユニット5回連結体と1個の目的タンパク質との融合タンパク質と、2個の単独
のシャペロニンサブユニットから形成されており、さらに、目的タンパク質がシャペロニンサブユニット間に連結されている。
上記した例では、目的タンパク質の数が1個の場合を示したが、目的タンパク質の数は複数であってもよい。そのような例として、目的タンパク質の数が2個の例を図3(a)及び図3(b)に示す。図中、白四角と黒四角は互いに異なる又は同じ2個の目的タンパク質である。すなわち、図3(a)に示されるシャペロニン−タンパク質複合体は、シャペロニンサブユニット4回連結体の両端に各目的タンパク質が連結された融合タンパク質と、3個の単独のシャペロニンサブユニットとから形成されている。一方、図3(b)に示されるシャペロニン−タンパク質複合体は、1個のシャペロニンサブユニットと1個の目的タンパク質が連結された融合タンパク質と、シャペロニンサブユニット2回連結体と
別の1個の目的タンパク質が連結された融合タンパク質と、4個の単独のシャペロニンサブユニットとから形成されている。なお、上記した目的タンパク質が複数個であるシャペロニン−タンパク質複合体は、目的タンパク質が元来は全体として4次構造を有するタンパク質の場合に好適であり、例えば、目的タンパク質が免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の場合が挙げられる。
上記した例では、シャペロニンサブユニットの種類が全て同じであったが、本発明のシャペロニン−タンパク質複合体においては、複合体を形成できる組み合わせであれば、異なる種類のシャペロニンサブユニットが混在していてもよい。そのような例を図4(a)及び図4(b)に示す。図中、白丸と黒丸は互いに異なる2種類のシャペロニンサブユニットであり、その他は図1と同じである。すなわち、図4(a)に示されるシャペロニン−タンパク質複合体では、融合タンパク質を構成しているシャペロニンサブユニットと単独のシャペロニンサブユニットが別の種類である。このようなシャペロニン−タンパク質複合体は、例えば、組換え体によって製造されるシャペロニン−タンパク質複合体で、融合タンパク質を構成するシャペロニンサブユニットが宿主由来以外のものであり、単独のシャペロニンサブユニットが宿主のゲノムDNAから転写・翻訳されて補充されたものが挙げられる。また、図4(b)に示されるシャペロニン−タンパク質複合体は、融合タンパク質中に互いに異なる2種類のシャペロニンサブユニットが含まれており、さらに、単独のシャペロニンサブユニットも2種類である。なお、このように複合体を形成できる異種シャペロニンサブユニットの組み合わせは、同じグループ(グループ1又はグループ2)に属する複数種のシャペロニンサブユニットから選択することが好ましい。同じグループに属するシャペロニンサブユニットの例として、大腸菌とTherrmus属細菌のシャペロニンサブユニットの組み合わせ(いずれもグループ1)が挙げられる。例えば、宿主として大腸菌を用い、融合タンパク質中のシャペロニンサブユニットにThermus属細菌由来のもの用いた場合、単独のシャペロニンサブユニットは大腸菌由来であるが、シャペロニン−タンパク質複合体を形成することができる。なお、種類が異なるシャペロニンサブユニットとしては、上記のように由来が異なる場合が代表的であるが、その他に、アミノ酸残基の欠失・置換等により改変した変異体の場合も含まれる。
なお、図1〜図4に示したシャペロニン−タンパク質複合体は、シャペロニンサブユニットの合計数が7個であったが、合計数が7個以外の場合であっても全く同様の構成が可能である。例えば、古細菌由来のシャペロニンサブユニットであれば、8〜9個の合計数で同様の構成が可能である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の好ましい実施形態の一つは、シャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがリンカーペプチドを介して連結されている。このとき、該リンカーペプチドに特定の機能を有するものを選択すれば、シャペロニン−タンパク質複合体も特定の機能を有するものとなる。該リンカーペプチドが有する好ましい特定の機能としては、ペプチド結合を切断する機能が代表的であるが、限定分解型プロテアーゼの認識部位が特に好ましい。限定分解型プロテアーゼがトロンビンである場合を例にとると、トロンビンは配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する部位を特異的に認識し、当該部位を消化する。したがって、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むリンカーペプチドを設計し、当該リンカーペプチドを介してシャペロニンサブユニットと目的タンパク質がペプチド結合により連結された融合タンパク質を設計することにより、本実施形態のシャペロニン−タンパク質複合体はトロンビンの作用によって目的タンパク質が切り出される機能を獲得する。なお、他の限定分解型プロテアーゼの例としては、血液凝固第Xa因子、エンテロカイネース、プラスミン、キモトリプシン、プレシジョンプロテアーゼ、コラゲナーゼ等が挙げられる。また、プロテアーゼ以外では臭化シアン、ヒドロキシルアミン、NBSスカトーレも特定のアミノ酸配列を切断することができるので、これらの認識部位を該リンカーペプチドに含めることもできる
。また、インテイン等の自己切断ペプチドを該リンカーペプチドに含めることもできる。この場合は、プロテアーゼ等を外部から作用させる必要はなく、リンカーペプチドは自己触媒的に切断される。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の好ましい別の実施形態では、複数のシャペロニンサブユニットが内部に空洞を有するリング状構造体を形成し、目的タンパク質が該空洞内に格納されている。そして、前記リング状構造体に、さらに、別のシャペロニンサブユニットによって形成されるリング状構造体が非共有結合的に会合していることが特に好ましい。
本実施形態のシャペロニン−タンパク質複合体が形成するリング状構造体においては、例えば、電子顕微鏡観察によってその構造を確認することができる。図5に電子顕微鏡による観察例を示す。すなわち、図5に示されるシャペロニン−タンパク質複合体は、シャペロニンサブユニットが同心円状に配置されたリング状構造体を有している。また、リング状構造体を有する本実施形態のシャペロニン−タンパク質複合体をゲルろ過に供すると、その独特の構造に起因する挙動を示す。すなわち、TSK−GEL G4000SW(東ソー社。排除限界7×106。)を担体として用いて、流速0.5mL/分、25℃の
条件でゲルろ過クロマトグラフィーに供すると、リング状構造体を有するシャペロニン−タンパク質複合体は、滞留時間17分付近(溶出体積8.6mL、0.16カラム体積(CV))の位置に溶出される(Weissman,J.S.et al. Cell 84,481−490(1996))。さらに、リング状構造体を有する本実施形態のシャペロニン−タンパク質複合体を、Native−PAGEに供すると、その独特の構造に起因する挙動を示す。すなわち、ゲル濃度3%でDavis法によってpH8.8の緩衝液を用いたNative−PAGEに供することで、リング状構造体を有するシャペロニン−タンパク質複合体の検出が可能である(Mendoza,J.A.et al.Biochim.Biophys.Acta. 1247,209−214(1995))。またさらに、目的タンパク質とシャペロニンサブユニットの間に限定分解型プロテアーゼの認識部位を有する場合は、リング状構造体を有する本実施形態のシャペロニン−タンパク質複合体を該限定分解型プロテアーゼで処理しても、該認識部位は消化されない。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体における目的タンパク質としては特に制限はないが、封入体を形成しやすいタンパク質、疎水性が高いタンパク質、宿主細胞に毒性を示すタンパク質、プロテアーゼの攻撃を受けやすいタンパク質等が目的タンパク質として好適である。特に、疎水性が高く不溶化しやすいタンパク質として、膜貫通型タンパク質、膜結合型タンパク質等が挙げられる。より具体的には、ヒトエンドセリンA受容体等のGタンパク質共役型受容体(7回膜貫通型受容体)の他、イオンチャンネル型受容体、チロシンカイネース型受容体等が挙げられる。
本発明のシャペロニン−タンパク質の製造方法においては、宿主細胞内で融合タンパク質を発現させることが特に好ましい。用いる宿主細胞の例としては、バクテリア、酵母、植物細胞、動物細胞等が挙げられるが、増殖速度が大きくかつ培養が容易であるバクテリアが好ましい。さらに、大腸菌はいわゆる宿主−ベクター系が充実しているので、特に好ましい。宿主細胞内で融合タンパク質を発現させるためには、融合タンパク質をコードする融合遺伝子を宿主細胞内に導入する必要があるが、この際は、例えば、宿主細胞内で複製可能な適宜の発現ベクターに該融合遺伝子を組込んで、該発現ベクターを宿主に導入し、組換え体を作製すればよい。例えば、大腸菌で複製可能な発現ベクターの種類としては、ColEI系、pBR系、pACYC系等の各プラスミドベクターが挙げられる。さらに、発現ベクターは多コピーのものが大量生産のためには有利である。
本発明のシャペロニン−タンパク質の製造方法において、単独のシャペロニンサブユニ
ットを合成する方法は、2つある。1つは、単独のシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子を宿主細胞内で複製可能な適宜のベクターに組み込み、該発現ベクターを宿主細胞内に導入し、単独のシャペロニンサブユニットを発現させる方法である。この方法を用いる場合は、融合遺伝子が組みこまれた同一発現ベクター上に、融合遺伝子の発現を制御しているプロモーターの制御下にさらに単独のシャペロニンサブユニットの遺伝子を組み込む方法、同一発現ベクター上で異なるプロモーターの制御下に組み込む方法、さらには、融合遺伝子が組み込まれた発現ベクターとは異なり、同一宿主細胞内で共存可能なベクター上に組み込む方法がある。大腸菌の例では、上記したColE1系、pBR系、pACYC系のプラスミドベクターは大腸菌内で互いに共存可能である。
単独のシャペロニンサブユニットを合成するもう1つの方法は、宿主細胞が本来的に有しているシャペロニンサブユニットを宿主細胞のゲノムDNAから発現させる方法である。この方法によれば、単独のシャペロニンサブユニットをクローニングして発現ベクターに組込み、宿主細胞に導入するといった煩雑な操作は不要である。さらに、宿主細胞は融合遺伝子を有する発現ベクターのみを保持すればよいので、宿主細胞への負担が軽くなり、組換え体をより安定かつ容易に培養することができる。また、この方法の場合は、シャペロニンが熱ショックタンパク質であることを利用して、熱ショックによりゲノムDNAからのシャペロニンの発現を誘導することができる。熱ショックを与える方法としては、例えば、組換え体の培養時に一時的に培養温度を上げることが挙げられ、組換え体が大腸菌の場合は、培養温度を一時的に約42℃に上げればよい。
上記したシャペロニン−タンパク質の製造方法の例は、全て宿主細胞を用いたものであったが、本発明はそれらに限定されるものではなく、無細胞翻訳系を用いることも可能である。この際は、無細胞抽出液に融合タンパク質をコードする融合遺伝子と単独のシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子とを添加し、これらの遺伝子を発現させればよい。なお、無細胞抽出液には、さらに、RNAポリメラーゼ、各種ヌクレオチド3リン酸、各種アミノ酸、各種tRNA、リボゾームフラクション、各種リン酸化酵素等を含めてもよい。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体を精製する方法としては、タンパク質精製に一般に用いられている各種の手法を適用することができる。例えば、硫安分画、各種クロマトグラフィー、限外ろ過等の手法を組み合わせて、精製されたシャペロニン−タンパク質複合体を得ることができる。クロマトグラフィーの例としては、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー等が挙げられる。なお、耐熱性のシャペロニンサブユニットからなるシャペロニン−タンパク質複合体であれば、試料を精製前に加熱処理をすることで他の夾雑タンパク質を沈殿させて除くことができ、精製が容易になる。耐熱性のシャペロニンサブユニットの遺伝子は、例えば、耐熱性菌のゲノムDNAから得ることができる。
本発明の目的タンパク質の製造方法は、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがペプチド結合を介して連結された融合タンパク質から、目的タンパク質を切り出して単離するものであり、3つの主たる工程を含む。第1の工程は、融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットとを非共有結合的に会合させてシャペロニン−タンパク質複合体を形成させる工程である。すなわち、第1の工程は、主に、目的タンパク質を正しく折り畳み、正しい立体構造を有する正常型タンパク質とすることを目的としている。シャペロニン−タンパク質複合体を形成させる方法としては、上記した本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法と同様の構成が適用できる。すなわち、融合タンパク質は宿主細胞内で発現させることが特に好ましく、宿主としては大腸菌が好ましく用いられる。また、単独のシャペロニンサブユニットは、その遺伝子を組込んだ発現ベクターを宿主細胞に導入して発現させてもよいし、宿主細胞が
本来的に有しているシャペロニンサブユニットを宿主細胞のゲノムDNAから発現させてもよい。本工程では、シャペロニン−タンパク質複合体を形成させることによって、目的タンパク質が宿主細胞に毒性を示すものであっても、その毒性発現を抑制でき、さらに、目的タンパク質がプロテアーゼの攻撃を受けやすいものであっても、目的タンパク質は攻撃を受けずに保護される。一方、無細胞翻訳系で融合タンパク質及び単独のシャペロニンサブユニットを発現させて、シャペロニン−タンパク質複合体を形成させることもできる。このようにして得られたシャペロニン−タンパク質複合体が、第2の工程に供される。
第2の工程は、第1の工程で形成させたシャペロニン−タンパク質複合体を、融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットに解離させて融合タンパク質を遊離させる工程である。すなわち、第2の工程は、シャペロニン−タンパク質複合体から融合タンパク質を遊離させることにより、融合タンパク質から目的タンパク質を切り出すことができる状態にすることを目的としている。シャペロニン−タンパク質複合体を、融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットに解離させるためには、融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットの間の非共有結合的な会合力、すなわち、水素結合、疎水性相互作用、イオン結合、ファンデルワールス力等を弱める処理を行う。具体的には、変性剤の添加、界面活性剤の添加、キレート剤の添加、アデノシン3リン酸の除去、加熱等の処理により、非共有結合的な会合力は弱められ、シャペロニン−タンパク質複合体を、融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットに解離させることができる。変性剤の例としては、尿素、塩酸グアニジンが挙げられる。なお、これらの処理は目的タンパク質が不可逆的に変性しないような穏やかな条件で行うことが好ましく、例えば、尿素の場合は3M以下の濃度で使用することが好ましい。
第3の工程は、第2の工程で遊離させた融合タンパク質から目的タンパク質を切り出して単離する工程である。すなわち、第3の工程は、目的タンパク質を回収することを目的としている。目的タンパク質を切り出す方法としては、例えば、限定分解型プロテアーゼを利用する方法が挙げられる。すなわち、まず、融合タンパク質として、シャペロニンサブユニットと目的タンパク質とが限定分解型プロテアーゼの認識部位を介して連結されているものを使用する。そして、本工程において、遊離させた融合タンパク質に当該限定分解型プロテアーゼを作用させ、その認識部位を消化し、目的タンパク質を切り出すことができる。また、限定分解型プロテアーゼによる処理以外の方法としては、臭化シアン等による限定分解、インテイン等の自己切断ペプチドを利用する方法が挙げられる。
なお、上記した限定分解型プロテアーゼを利用する場合においては、第1の工程の直後にシャペロニン−タンパク質複合体に対して限定分解型プロテアーゼを作用させても、プロテアーゼ認識部位は消化されず、目的タンパク質を切り出すことはできない。すなわち、第2の工程によってシャペロニン−タンパク質複合体から融合タンパク質を遊離させて、該融合タンパク質に対してプロテアーゼを作用させる必要がある。これは、上記したシャペロニン−タンパク質複合体においては、プロテアーゼ認識部位が外部に露出しておらず、プロテアーゼの作用を受けないためと考えられる。
本発明の目的タンパク質の製造方法は、全ての目的タンパク質の製造に適用可能であるが、特に、疎水性が高いタンパク質、宿主細胞に毒性を示すタンパク質、プロテアーゼの攻撃を受けやすいタンパク質に好適である。
以下に、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.GroELサブユニット遺伝子の単離
大腸菌HMS174(DE3)株(ノバジェン社)からゲノムDNAを抽出・精製した。次に、精製したゲノムDNAを鋳型とし、配列番号1及び2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマー対としてPCRを行い、配列番号3に示す塩基配列を有するGroELサブユニット遺伝子を含むDNA断片を増幅した。
2.ヒトエンドセリンA受容体遺伝子の単離
ヒト胎盤cDNAライブラリー(タカラバイオ社)を鋳型とし、配列番号4及び5に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマー対としてPCRを行い、配列番号6に示す塩基配列を有するエンドセリンA受容体(ETAR)遺伝子を含むDNA断片を増
幅した。なお、この増幅されたDNA断片には、プライマーに由来して、5’末端にBglIIサイト、3’末端にFLAGタグ(FLAG Tag、配列番号7)をコードする配列及びXhoIサイトを設けた。
3.GroELサブユニットN回連結体(N=1〜6)とヒトエンドセリンA受容体との融合タンパク質を発現するための各ベクターの構築
プラスミドpTrc99A(アマシャムバイオサイエンス社)を制限酵素NcoIとXbaIで消化し、バクテリア由来アルカリフォスファターゼ(BAP)にて末端を脱リン酸化処理した後、配列番号8に示されるオリゴヌクレオチドを挿入し、プラスミドpTrc99ATCを構築した。なお、配列番号8に示されるオリゴヌクレオチドにより、プラスミドpTrc99ATCには、NcoIサイト、XbaIサイト、トロンビン認識部位をコードする塩基配列、BglIIサイト、XhoIサイト、及び終止コドンが導入された。次に、pTrc99ATCを制限酵素XbaIで消化し、BAPにて末端を脱リン酸化処理した後、上記1で増幅したGroELサブユニット遺伝子を含むDNA断片を挿入し、プラスミドpTrcG1TCを構築した。プラスミドpTrcG1TCは、GroELサブユニット遺伝子1個を含み、その下流に目的タンパク質をコードする遺伝子を挿入す
ることができる制限酵素サイトを有している。
次に、プラスミドpTrcG1TCをXbaIで消化し、BAPにて末端を脱リン酸化
処理した後、上記1で増幅したGroELサブユニット遺伝子を含むDNA断片を挿入し、プラスミドpTrcG2TCを構築した。プラスミドpTrcG2TCは、GroELサブユニット2回連結体をコードするGroELサブユニット遺伝子2個がタンデムに連結された遺伝子と、その下流に目的タンパク質をコードする遺伝子を挿入することができる制限酵素サイトを有している。さらに、同様の手順にて、pTrcG3TC、pTrcG4TC、pTrcG5TC、及びpTrcG6TCの各種プラスミドを構築した。以下、これら6種のプラスミドを「pTrcGNTC(N=1〜6)」と総称する。
さらに、6種のプラスミドpTrcGNTC(N=1〜6)を、それぞれ制限酵素Bg
lII及びXhoIで消化し、BAPにて末端を脱リン酸化処理した後、上記2で得られたETARを含む増幅DNA断片を挿入して、6種の発現ベクターpTrcGNTCF−ETAR(N=1〜6)を構築した。図6にpTrcGNTCF−ETAR(N=1〜6)の
構成を示す。図中、groELnはGroELサブユニットN回連結体をコードする、N
個のGroELサブユニット遺伝子がタンデムに連結された遺伝子を表し、「トロンビン認識部位」はトロンビン認識部位をコードする塩基配列を表し、ETARはETAR遺伝子を表し、FLAGタグはFLAGタグ遺伝子を表す。また、ATGは開始コドン、TAATAGは終止コドンを含む塩基配列を表す。すなわち、pTrcGNTCF−ETAR(N=1〜6)は、trcプロモーターの下流に、順に、開始コドン、GroELサブユニットN回連結体(N=1〜6)をコードする遺伝子、トロンビンの認識部位をコードする塩基配列、ETAR遺伝子、FLAGタグ遺伝子、及び終止コドンを有する。すなわち、p
TrcGNTCF−ETAR(N=1〜6)によれば、GroELサブユニットN回連結体(N=1〜6)とETARの融合タンパク質を発現することができる。
4.GroELサブユニットN回連結体(N=1〜6)とヒトエンドセリンA受容体との融合タンパク質を発現する各組換え体の作製
上記3で得られた6種の発現ベクターpTrcGNTCF−ETAR(N=1〜6)をそれぞれ大腸菌BLR(DE3)株(ノバジェン社)に導入し、6種の組換え大腸菌BLR(DE3)/pTrcGNTCF−ETAR(N=1〜6)を得た。
5.融合タンパク質の発現
6種の組換え大腸菌BLR(DE3)/pTrcGNTCF−ETAR(N=1〜6)を、それぞれ、100μg/mLカルベニシリンを含む2×YT培地(16g/L バクトトリプトン、10g/L 酵母エキス、5g/L NaCl)にて25℃で24時間培養した。培養終了後、各菌体を遠心分離(30000g、30分、4℃)にて回収した。回収した各菌体をPBSで洗浄した後、懸濁用バッファー(50mM Tris−HCl、150mM NaCl、5mM MgCl2、1mM EDTA)に懸濁し、超音波処理
にて菌体を破砕した。各菌体破砕液を遠心分離(100000g、1時間、4℃)して上清を回収し、各菌体抽出液を得た。これらの菌体抽出液をそれぞれSDS−PAGEに供し、クマシーブリリアントブルー(CBB)にて染色した(SDS−PAGE/CBB)。対照として、融合蛋白質をコードする遺伝子を挿入していないプラスミドpTrc99ATCについても同様の操作を行った。結果を図7の各レーン1に示す。図7は左から順に、対照、N=1、2、3、4、5、6の場合のSDS−PAGE/CBBの結果である。なお、レーン6は分子量マーカーである。すなわち、各融合蛋白質GN−ETAR(N=1〜6)の分子量に相当する黒矢印の位置(G1−ETAR:109kDa、G2−ETAR:166kDa、G3−ETAR:223kDa、G4−ETAR:280kDa、G5−E
AR:337kDa、G6−ETAR:394kDa)に、対照には見られないバンドが
確認された。
さらに、得られた各菌体抽出液を抗FLAG抗体固定化ゲル(シグマ社)を用いた免疫沈降に供した。洗浄は、上記懸濁用バッファーを用い、吸着画分の溶出は100μg/mLのFLAGペプチド(配列番号7)を含む上記懸濁用バッファーを用いた。非吸着画分、洗浄画分、吸着画分をSDS−PAGE/CBBに供した結果を、それぞれ図7の各レーン2、各レーン3、各レーン4に示す。すなわち、吸着画分(レーン3)のみに融合タンパク質GN−ETAR(N=1〜6)に相当するバンドが検出された。また、吸着画分にはGN−ETARの他に、FLAGタグを有していない単独のGroELサブユニットに相当するバンドも同時に検出された(白矢印)。これらのことから、上記融合タンパク質と単独のGroELサブユニットが非共有結合的に会合していることが確認された。
さらに、上記の吸着画分にトロンビンを作用させ、GN−ETAR(N=1〜6)からETARが切り出されるか否かを確認した。反応条件は、10mg(BSA換算)のGN−ETAR(N=1〜6)に対してトロンビン(アマシャムバイオサイエンス社)2ユニット
を添加し、25℃で6時間処理した。結果を図7の各レーン5に示す。すなわち、いずれの場合もETARに相当するバンド(42kDa)は検出されず、GN−ETAR(N=1
〜6)からETARは切り出されなかった。以上より、GN−ETAR(N=1〜6)と単
独のGroELサブユニットが複合体を形成しており、ETARがそのリング状構造体の
内部に格納されていることが確認された。
上記と同様のSDS−PAGEを改めて行い、ウエスタンブロッティングを行った。ブロッティングにはPVDF膜(Immobilon−P、ミリポア社)を用いた。1次抗体として、FLAGペプチドに対するモノクローナル抗体(ANTI−FLAG M2 Monoclonal Antibody、シグマ社)を用いた。2次抗体として、ビオチン標識ユニバーサル2次抗体キット(Universal Quick Kit、ベク
ターラボラトリーズ社)を用いた。検出には、コニカイムノステインHRP−100(生化学工業社)を用いた。その結果、各融合タンパク質GN−ETAR(N=1〜6)の分子量に相当する位置に出現したバンドは、いずれもGN−ETAR(N=1〜6)であることが確認された。
6.GroEL−ヒトエンドセリンA受容体複合体の製造
調製した6種の組換え大腸菌のうち、N=3である大腸菌BLR(DE3)/pTrcG3TCF−ETARを、100μg/mLカルベニシリンを含む2×YT培地1Lで培養した。培養終了後、上記5と同様にして菌体破砕液上清を回収した。得られた上清を、以下の手順により抗FLAG抗体固定化ゲル(ANTI−FLAG M2−Agarose
from mouse、シグマ社)を用いたアフィニティクロマトグラフィー(カラムの体積:8mL、カラム内径:1cm)に供した。まず、平衡化バッファー(50mM Tris−HCl、150mM NaCl、1mM EDTA)にてカラムを平衡化し、得られた上清をアプライした。平衡化バッファーでカラムを洗浄した後、100μg/mLのFLAGペプチド(シグマ社)を含む平衡化バッファーにてステップワイズ溶出した。流速は2mL/分、カラム温度は約25℃(室温)とした。各画分をSDS−PAGE/CBBによって分析し、融合タンパク質G3−ETARを含む画分を特定し、それらを回収した。
次に、回収した画分に硫酸アンモニウムを終濃度10%(w/v)になるように加え、HiTrap Butyl FF 5mLカラム(アマシャムバイオサイエンス社)を用いた疎水性相互作用クロマトグラフィーに供した。溶出には、バッファーA(50mM Tris−HCl、150mM NaCl、5mM MgCl2、1mM EDTA、1
mM DTT、10%(w/v)硫酸アンモニウム)とバッファーB(50mM Tris−HCl、150mM NaCl、5mM MgCl2、1mM EDTA、1mM
DTT)を用い、バッファーBを0→100%にする直線グラジエントにて溶出した。流速は3mL/分、カラム温度は4℃とした。各画分をSDS−PAGE/CBBによって分析し、融合タンパク質G3−ETARを含む画分を特定し、それらを回収した。
次に、回収した画分を限外ろ過(Centriprep YM−50、分画分子量50000、ミリポア社)にて濃縮した後、TSK G4000SWXLカラム(直径7.5mm、長さ30cm、東ソー社)を用いたゲルろ過クロマトグラフィーに供した。展開液には、25mM HEPES−KOH(pH7.0)、300mM NaCl、40mM KCl、5mM MgCl2、1mM EDTA、1mM DTTの組成からなるバッファーを用いた。流速は0.5mL/分とした。対照として、N=7の場合について同様の操作を行った。ゲルろ過クロマトグラフィーの結果を図8(a)及び図8(c)に示す。図中、縦軸は波長280nmにおける吸光度(A280)を表し、横軸は溶出時間(分)を
表わす。すなわち、N=3の場合(図8(a))でもN=7の場合(図8(c))と同様に、14個のGroELサブユニットからなるリング状構造体の溶出位置である溶出体積8.6mL(0.16CV)付近にピークが検出された(Weissman,J.S.et al. Cell 84,481−490(1996))。さらに、ゲルろ過クロマトグラフィーのピーク位置の各画分についてSDS−PAGE/CBBを行った。その結果を図8(b)、(d)に示す。すなわち、N=3の場合(図8(b))にはG3−ETAR(223kDa)に相当するバンド(黒矢印)が検出され、対照のN=7の場合(図8(d))にはG7−ETAR(451kDa)に相当するバンド(黒矢印)が検出された。以上より、融合タンパク質G3−ETARが単独のGroELサブユニットを伴って、計14個のGroELサブユニットからなるダブルリング構造の複合体を形成していることが確認された。
図8(a)のピークを含む画分に対して0.2%酢酸ウラニルによるネガティブ染色を
行い、透過型電子顕微鏡による形態観察を行った。その写真を図5に示す。図5に示すように、シャペロニン又はシャペロニン−タンパク質複合体に特有なリング状構造体が観察された。このことより、融合タンパク質G3−ETARが組換え体のゲノムDNAに由来するGroELサブユニットを伴ってシャペロニン−タンパク質複合体(GroEL−ヒトエンドセリンA受容体複合体)を形成し、かつ該複合体がリング状構造体を形成していることがわかった。
1.ヒトエンドセリンA受容体の製造
実施例1と同様にして、N=3である大腸菌BLR(DE3)/pTrcG3TCF−
ETARを培養し、菌体抽出液を得た。さらに、実施例1と同様にして、菌体抽出液を各
種クロマトグラフィーに供し、GroEL−ヒトエンドセリンA受容体複合体を含むゲルろ過画分を得た。この画分に尿素を最終濃度が3Mになるように添加して室温で30分間処理し、GroEL−ヒトエンドセリンA受容体複合体を融合タンパク質G3−ETARとGroELサブユニットに解離し、融合タンパク質G3−ETARを遊離させた。次に、透析膜(分画分子量10000)を用いてこの反応液をPBSに対して数回透析し、尿素を除去した。次に、10mg(BSA換算)のG3−ETARに対し10ユニットとなるようにトロンビンを添加し、25℃で0〜6時間処理し、反応液の一部をSDS−PAGE/CBBによって分析した。対照として、N=7の場合について同様の操作を行った。結果を図9(a)及び図9(c)に示す。図中、レーン1は0分、レーン2は15分、レーン3は30分、レーン4は1時間、レーン5は1.5時間、レーン6は2時間、レーン7は2.5時間、レーン8は3時間、レーン9は4時間、レーン10は5時間、レーン11は6時間の各反応時間後のサンプルである。すなわち、N=3の場合、反応時間が1時間(レーン4)から6時間(レーン11)にかけて、ETARに相当する42kDa付近にバ
ンドが認められ、G3−ETARからETARを切り出すことができた(図8(a))。特
に、反応時間が6時間の場合は、G3−ETARに相当するバンドは消失し、トロンビンによってG3−ETARが完全に消化され、ETARが完全に切り出された。この結果は、対
照のN=7の場合(図9(c))と同様であった。以上より、融合タンパク質G3−ETARはトロンビンによってそのトロンビン認識部位が切断され、その結果、融合タンパク質G3−ETARからETARを切り出して単離することができた。
なお、尿素処理を行わなかった場合は、いずれの場合もSDS−PAGEでETARに
相当するバンドは認められず、トロンビン認識部位がトロンビンによって切断されなかった(図9(b)、図9(d))。このことより、GroEL−ヒトエンドセリンA受容体複合体はトロンビンの消化を受けないが、遊離させた融合タンパク質はトロンビンによって消化されることが分かった。GroEL−ヒトエンドセリンA受容体複合体がトロンビンの消化を受けないことは、トロンビン認識部位が外側に露出していないことを示すものであり、これはGroEL−ヒトエンドセリンA受容体複合体がリング状構造体を有していることの一証拠である。
本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の構成例を示す模式図であり、(a)〜(f)はそれぞれシャペロニンサブユニットN回連結体のN=1〜6の例を示す。 本発明のシャペロニン−タンパク質複合体の別の構成例を示す模式図である。 本発明のシャペロニン−タンパク質複合体のさらに別の構成例を示す模式図であり、(a)はシャペロニンサブユニット連結体の両端に目的タンパク質が結合している例を示し、(b)は目的タンパク質が別々のシャペロニンサブユニット連結体に結合している例を示す。 本発明のシャペロニン−タンパク質複合体のまたさらに別の構成例を示す模式図であり、(a)はシャペロニンサブユニット連結体を構成しているシャペロニンサブユニットと単独のシャペロニンサブユニットとが異なる種類である例を示し、(b)は異なるシャペロニンサブユニットがシャペロニンサブユニット連結体と単独のシャペロニンサブユニットの両方に混在している例を示す。 本発明のシャペロニン−タンパク質複合体を電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。 プラスミドpTrcGNTCF−ETAR(N=1〜6)の構成を示す模式図である。 GroELサブユニットN回連結体(N=1〜6)とETARとの融合タンパク質を発現する組換え大腸菌の菌体抽出液、抗FLAG抗体非吸着画分、同洗浄画分、同吸着画分、及びトロンビン処理サンプルをSDS−PAGEに供した結果を示す写真である。 GroEL−ヒトエンドセリンA受容体複合体を含む試料をゲルろ過に供したときのクロマトグラムと、ゲルろ過の各フラクションをSDS−PAGEに供した結果を示す写真であり、(a)はN=3の場合のクロマトグラムを示し、(b)は(a)に対応するフラクションをSDS−PAGEに供した結果を示し、(c)及び(d)はN=7の場合の対照実験の結果を示す。 GroEL−ヒトエンドセリンA受容体複合体を尿素処理後又は尿素処理なしでトロンビン消化を行い、SDS−PAGEに供した結果を示す写真であり、(a)はN=3で尿素処理を行った例で、(b)はN=3で尿素処理を行わなかった例で、(c)及び(d)はN=7の場合の対照実験の結果を示す。 大腸菌GroELの立体構造を示す模式図である。

Claims (27)

  1. 複数のシャペロニンサブユニットと目的タンパク質とが集合してなるシャペロニン−タンパク質複合体において、前記複数のシャペロニンサブユニットの一部と目的タンパク質とが融合タンパク質を形成しており、前記融合タンパク質は1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがペプチド結合を介して連結されたものであり、前記複数のシャペロニンサブユニットの残余は目的タンパク質とも他のシャペロニンサブユニットともペプチド結合を介して連結されていない単独のシャペロニンサブユニットであり、前記融合タンパク質と前記単独のシャペロニンサブユニットとが非共有結合的に会合していることを特徴とするシャペロニン−タンパク質複合体。
  2. 前記目的タンパク質の数は1個であることを特徴とする請求項1に記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  3. 前記融合タンパク質は、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがリンカーペプチドを介して連結されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  4. 前記リンカーペプチドは、限定分解型プロテアーゼの認識部位を含むことを特徴とする請求項3に記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  5. 前記限定分解型プロテアーゼはトロンビンであることを特徴とする請求項4に記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  6. 前記限定分解型プロテアーゼの作用によっては前記認識部位が切断されないことを特徴とする請求項4又は5に記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  7. 前記複数のシャペロニンサブユニットはグループ1型シャペロニンのサブユニットであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  8. 前記グループ1型シャペロニンのサブユニットは全て同種の生物由来のものであることを特徴とする請求項7に記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  9. 前記グループ1型シャペロニンのサブユニットは全て大腸菌由来のものであることを特徴とする請求項7に記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  10. 前記複数のシャペロニンサブユニットの合計数は、該シャペロニンサブユニットの由来によって決定される最適数であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  11. 前記最適数は7個であることを特徴とする請求項10に記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  12. 前記複数のシャペロニンサブユニットは、内部に空洞を有するリング状構造体を形成し、目的タンパク質が該空洞内に格納されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  13. 前記リング状構造体に、さらに、別のシャペロニンサブユニットによって形成されるリング状構造体が非共有結合的に会合していることを特徴とする請求項12に記載のシャペ
    ロニン−タンパク質複合体。
  14. 前記目的タンパク質は膜貫通型受容体であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  15. 前記膜貫通型受容体はGタンパク質共役型受容体であることを特徴とする請求項14に記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  16. 前記Gタンパク質共役型受容体はヒトエンドセリンA受容体であることを特徴とする請求項15に記載のシャペロニン−タンパク質複合体。
  17. 複数のシャペロニンサブユニットと目的タンパク質とが集合してなるシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法において、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体をコードする遺伝子と目的タンパク質をコードする遺伝子とが連結された融合遺伝子を転写及び翻訳させて、1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがペプチド結合を介して連結された融合タンパク質を合成し、該融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットとを非共有結合的に会合させることを特徴とするシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法。
  18. 前記融合遺伝子を有する組換え体を培養し、該組換え体内で前記融合遺伝子を転写及び翻訳させ、該組換え体の培養物から前記シャペロニン−タンパク質複合体を得ることを特徴とする請求項17に記載のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法。
  19. 前記融合遺伝子は、発現ベクターに組込まれていることを特徴とする請求項18に記載のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法。
  20. 前記組換え体のゲノムDNA上に存在するシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子が転写及び翻訳されることにより、単独のシャペロニンサブユニットが合成されることを特徴とする請求項18又は19に記載のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法。
  21. 発現ベクターに組込まれたシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子が転写及び翻訳されることにより、単独のシャペロニンサブユニットが合成されることを特徴とする請求項18又は19に記載のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法。
  22. 前記組換え体は大腸菌であることを特徴とする請求項18乃至21のいずれかに記載のシャペロニン−タンパク質複合体の製造方法。
  23. 1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とがペプチド結合を介して連結された融合タンパク質から、目的タンパク質を切り出して単離する目的タンパク質の製造方法において、
    (1)前記融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットとを非共有結合的に会合させ、シャペロニン−タンパク質複合体を形成させる工程、
    (2)工程(1)で形成させたシャペロニン−タンパク質複合体を、融合タンパク質と単独のシャペロニンサブユニットに解離させ、融合タンパク質を遊離させる工程、
    (3)工程(2)で遊離させた融合タンパク質から目的タンパク質を切り出して単離する工程、
    を含むことを特徴とする目的タンパク質の製造方法。
  24. 前記工程(1)において、前記融合タンパク質をコードする融合遺伝子を有する組換え体を培養し、該組換え体内で前記融合遺伝子を転写及び翻訳させ、シャペロニン−タンパ
    ク質複合体を形成させることを特徴とする請求項23に記載の目的タンパク質の製造方法。
  25. 前記組換え体は大腸菌であることを特徴とする請求項24に記載の目的タンパク質の製造方法。
  26. 前記工程(2)において、変性剤の作用によってシャペロニン−タンパク質複合体を解離させることを特徴とする請求項23乃至25のいずれかに記載の目的タンパク質の製造方法。
  27. 前記融合タンパク質は1個のシャペロニンサブユニット又はシャペロニンサブユニット連結体と目的タンパク質とが限定分解型プロテアーゼの認識部位を介して結合したものであり、前記工程(3)において、該プロテアーゼの作用によって該認識部位を切断し、融合タンパク質から目的タンパク質を切り出して単離することを特徴とする請求項23乃至26のいずれかに記載の目的タンパク質の製造方法。
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