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JP2006192564A - 作業補助装置と作業補助方法 - Google Patents

作業補助装置と作業補助方法 Download PDF

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JP2006192564A
JP2006192564A JP2005363144A JP2005363144A JP2006192564A JP 2006192564 A JP2006192564 A JP 2006192564A JP 2005363144 A JP2005363144 A JP 2005363144A JP 2005363144 A JP2005363144 A JP 2005363144A JP 2006192564 A JP2006192564 A JP 2006192564A
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JP2005363144A
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Masafumi Uchihara
誠文 内原
Masaaki Yamaoka
正明 山岡
Iwao Maeda
岩夫 前田
Masahito Yoshikawa
雅人 吉川
Yoshiki Matsuo
芳樹 松尾
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Tokyo Institute of Technology NUC
Toyota Motor Corp
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Tokyo Institute of Technology NUC
Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】作業対象物に対する処理用具の軌跡が重視される作業を補助する技術を提供する。
【解決手段】作業補助装置は、作業対象物の所定箇所に処理を施す人の作業を補助するために、人の操作に追従して処理用具の位置と姿勢を調節する作業補助装置であって、人が処理用具に加えている操作力を検出する操作力検出手段と、操作力検出手段で検出した操作力を、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が処理用具の姿勢から決まる所定の方向に規制されている処理用具モデルに加えたときに、所定時間後に現れる処理用具の位置と姿勢を計算する運動計算手段と、所定時間後の処理用具の位置と姿勢を運動計算手段で計算した位置と姿勢に調節するアクチュエータとを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、作業対象物の所定の箇所に処理を施す人の作業を補助する技術に関する。特に、処理を施すために用いる処理用具の位置と姿勢を、人の操作に追従するように調節することによって、作業対象物の所定の箇所に処理を施す人の作業を補助する技術に関する。
人の操作に追従するように処理用具の位置や姿勢をアクチュエータによって変えることによって、人の作業を補助する技術が開発されている。この種の技術では、人が処理用具に加えている操作力と、結果的に実現される処理用具の運動の間に、下記(1)式の関係が成立していると、人は良好な操作感を得えられ、作業性が向上することが知られている。
Figure 2006192564
ここで、qは処理用具の位置と姿勢のベクトルであり、dq/dtはその2階微分、dq/dtは1階微分である。Mは処理用具の加速度に対する比例マトリクスであり、処理用具に再現される質量に相当する。Dは処理用具の速度に対する比例マトリクスであり、処理用具に再現される粘性係数に相当する。Kは処理用具の位置に対する比例マトリクスであり、処理用具に再現されるばね定数マトリクスに相当する。fは人による操作力ベクトルである。
上記の知見を活用した技術が特許文献1に開示されている。特許文献1の装置では、重量物を支持する可動体と、その可動体を動かすアクチュエータと、そのアクチュエータを制御するコントローラを備えている。そのコントローラは、作業者が可動体に加える操作力と、操作力とアクチュエータによって実現される重量物の運動との間に、上記(1)式が成立するようにアクチュエータの出力を調節する。実現される重量物の運動には、上記(1)式によって運動特性が記述される搬送物モデルの運動が実現される。特許文献1は、重量物の搬送作業を複数の作業段階に大別するとともに、作業段階毎に上記(1)式の係数M、D、Kを切換えることが有効であることを報告している。
特開2000−84881号公報
作業対象物の所定箇所に処理を施す場合、作業対象物に対する処理用具の軌跡が重要である作業も多い。作業対象物に対する処理用具の軌跡が重要である作業では、作業者が処置用具に加えた操作をすべての方向に均一に補助すると、作業対象物に対する処理用具の軌跡を意図したものに実現することが困難となる。軌跡に沿った操作を補助するだけでなく、軌跡から外れる操作をも補助してしまうと、作業対象物に対する処理用具の軌跡を意図したものに実現できない。従来の技術では、処理用具の軌跡が重要である作業を補助することは困難である。
例えば、自動車のウインドガラスには、周縁に沿って接着剤を塗布する作業が必要とされる。ウインドガラスを固定しておいて作業すると、作業者はウインドガラスの周りを一周しなければならない。自動車のウインドガラスは大型であり、一周する作業を繰返すと作業者にかかる負荷が高くなってしまう。そこで、ウインドガラスを回転しながら周縁に沿って接着剤を塗布する方式が有利となる。処理に必要な用具(例えば接着剤を吐出するガン)が重いこともあり、その場合には、処理用具の位置と姿勢をアクチュエータによって調節することが必要となる。
上記に例示されるように、作業空間内で回転している作業対象物の所定箇所に処理を施す作業を実施するために、処理用具の位置と姿勢をアクチュエータによって調節する技術が必要とされている。このとき、処理用具の位置と姿勢をアクチュエータによって完全に調節してしまう産業ロボット方式が多用されているが、その方式では多品種混合生産の場合にコストが増大してしまう。人の持つ優れた能力と、ロボットのパワーを併用することができれば、優れた品質の製品を生産性よく生産することが可能となる。人と機械の協調作業が可能なシステムが必要とされている。
すなわち、作業空間内で回転している作業対象物の所定箇所に処理を施す人の作業を補助するために、処理用具の位置と姿勢を調節するアクチュエータを制御し、人の操作に追従して処理用具の位置と姿勢が調節される作業補助技術が必要とされている。この技術でも、人の操作に追従して処理用具の位置と姿勢が調節することによって、作業対象物に対する処理用具の軌跡が意図した軌跡とよく一致する技術が必要とされている。
本発明は、上記の問題を解決する。本発明では、作業対象物に対する処理用具の軌跡が重視される作業を補助する技術を提供する。特に、処理用具の位置と姿勢を調節するアクチュエータを制御することによって得られる作業対象物に対する処理用具の軌跡が、作業者の意図した軌跡とよく一致する結果をもたらす技術を提供する。
本発明は、作業対象物の所定箇所に処理を施す人の作業を補助するために、人の操作に追従して、処理用具の位置と姿勢を調節する作業補助装置に具現化することができる。この装置は、人が処理用具に加えている操作力を検出する操作力検出手段と、操作力検出手段で検出した操作力を、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が処理用具の姿勢から決まる所定の方向に規制されている処理用具モデルに加えたときに、所定時間後に現れる処理用具の位置と姿勢を計算する運動計算手段と、所定時間後の処理用具の位置と姿勢を、運動計算手段で計算した位置と姿勢に調節するアクチュエータを備える。
例えば塗料を塗布する塗布ローラを用いて作業する場合、塗布ローラの転動方向に力を加えると簡単に移動するのに対し、それに直交する方向に力を加えても容易には移動しない。すなわち、処理用具の移動方向が処理用具の姿勢から決まる所定の方向に規制されている。
本発明の運動計算手段では、処理用具の移動方向が処理用具の姿勢から決まる所定の方向に規制されている処理用具モデルを利用し、その処理用具に操作力を加えたときに生じる運動を計算し、所定時間後に現れる処理用具の位置と姿勢を計算する。
もっとも、処理用具は広がりを持っており、処理用具の移動方向が処理用具の姿勢から決まる部位には選択の余地がある。処理用具の外部に位置する仮想的な部位の移動方向が処理用具の姿勢から決まるとする処理用具モデルを利用してもよい。
処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が処理用具の姿勢から決まる方向に規制されている処理用具モデルを用いると、移動が許される方向には効率的に補助される一方、移動が許されない方向には補助されない結果が実現される。
処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が処理用具の姿勢から決まる方向に規制されている処理用具モデルを用い、移動が許される方向には効率的に補助される一方、移動が許されない方向には補助されない装置を実験してみると、作業者は自己の希望する作業対象物の所定軌跡に沿って、処理用具を移動させやすい結果が得られることが確認されている。
本発明の作業補助装置によると、作業者が希望する作業対象物上の軌跡に沿って、アクチュエータが処理用具を移動させる結果が得られやすい。
前記したように、処理用具は広がりを持っており、処理用具の移動方向が処理用具の姿勢から決まる部位には選択の余地がある。
一つのモデルでは、処理用具の処理部位の移動方向が、処理用具の姿勢から決まる所定の方向に規制されているとする。
ここでいう処理部位とは、作業対象物に対して処理を施す処理用具内の部位を意味するものであり、例えば接着剤吐出ノズルの開口の位置をいう。
このモデルを用いると、作業者が処理用具を操作したときに、処理用具の処理部位が処理用具の姿勢から決まる方向にのみに移動する結果をもたらす作業補助が実行される。処理用具の処理部位を、目標とする軌跡に沿わせて移動させやすい。
あるいは、処理用具の処理部位から所定方向に所定距離だけオフセットした部位の移動方向が、処理用具の姿勢から決まる方向に規制されているモデルを利用してもよい。
このことを比喩的に例示すると、方位が固定されている前輪と、方位が自在に回転する後輪を持つ台車の後輪位置に処理部位を備えている処理用具を用いて作業する場合に相当する。処理用具は、後輪位置に存在する処理部位から所定方向に所定距離だけオフセットした位置にある前輪の方向にしか移動できない。
このモデルを用いると、処理用具の姿勢の変化と、処理用具の処理部位の移動方向の変化の間に、位相差が生じる。その位相差によって、目標とする軌跡の曲率が大きく変化している場合でも、作業者は処理用具の処理部位を目標とする軌跡に沿わせて移動させやすい。
あるいは、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が、処理用具の姿勢の変化よりも遅れて変化するモデルを利用してもよい。
このことを比喩的に例示すると、トレーラ型の処理用具を用いることに相当する。駆動力を持つ台車が方位を変えても、牽引される台車の方位はすぐには変わらない。牽引される台車の移動可能方向は、遅れて回転する。
このモデルを用いると、牽引される台車の側に処理部位が存在する処理用具を用いて作業しているときに得られる結果をもたらす作業補助が実行される。この場合にも、処理用具の姿勢の変化と、処理用具の処理部位の移動方向の変化の間に、位相差を生じさせることができる。その位相差によって、目標とする軌跡の曲率が大きく変化している場合でも、作業者は処理用具の処理部位を目標とする軌跡に沿わせて移動させやすい。
処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が、処理用具の姿勢の変化よりも遅れて変化するモデルを利用する場合、処理用具の姿勢の変化速度が大きいときほど、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向と処理用具の姿勢との角度差が大きくなることが好ましい。
このモデルを用いると、作業者は、処理用具の姿勢の変化と、処理用具の処理部位の移動方向の変化の間に生じる位相差を、処理用具に加えた操作によって調節することが可能となる。それにより、目標とする軌跡の曲率が大きく変化している場合でも、作業者は処理用具の処理部位を目標とする軌跡に沿わせて移動させやすい。
処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が、処理用具の姿勢の変化よりも遅れて変化するモデルを利用する場合、運動計算手段は、検出した操作力に、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向と処理用具の姿勢との角度差に所定の係数を乗じたトルクを加算して、処理用具の位置と姿勢を計算することが好ましい。
この作業補助装置では、作業者が処理用具に姿勢を変化させる操作を加えた時に、作業者は処理用具から姿勢変化に抗する反力を感じることができる。作業者は、処理用具から受ける反力によって、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向と処理用具の姿勢との角度差を知得することができる。目標とする軌跡の曲率が大きく変化している場合でも、作業者は処理用具の処理部位を目標とする軌跡に沿わせて移動させやすい。
前記トルクを計算する所定の係数は、前記角度差が大きいときほど、小さく設定することが好ましい。
例えば目標とする軌跡の曲率が大きい場合、作業者は処理用具の姿勢を大きく変化させる必要がある。処理用具の姿勢を大きく変化させている状態では、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向と処理用具の姿勢との角度差は大きくなる。この場合、前記した角度差に乗ずる係数を小さく設定することによって、作業者に過剰な反力を与えてしまうことを防止することができる。一方、例えば目標とする軌跡が直線である場合、作業者は処理用具の姿勢を一定に維持するために、処理用具の姿勢を細かに操作する必要がある。処理用具の姿勢を細かに操作している状態では、前記した角度差は極めて小さくなる。この場合、トルクを計算する係数を大きく設定することによって、作業者が知得できる大きさの反力を作業者に与えることができる。
この作業補助装置によると、目標とする軌跡の曲率に応じて作業者に適度な反力が与えられる。目標とする軌跡の曲率が大きく変化している場合でも、作業者は処理用具の処理部位を目標とする軌跡に沿わせて移動させやすい。
運動計算手段は、検出した操作力に、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向に沿う所定の力を加算して、処理用具の位置と姿勢を計算することが好ましい。
この作業補助装置では、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向に向けて、処理用具が能動的に移動する。作業者は、処理用具の姿勢を調節することに専念することもでき、処理用具の処理部位を目標とする軌跡に沿わせて移動させやすい。
本発明の技術は、作業空間内で作業対象物の位置と姿勢が経時的に変化している場合に特に有用である。この場合には、作業空間に固定された座標系で作業対象物の位置と姿勢の経時的変化を検出する手段を付加し、運動計算手段が、作業対象物に固定された座標系で計算した処理用具の位置と姿勢に、前記の検出手段で検出した作業対象物の位置と姿勢を加味して、作業空間に固定された座標系における処理用具の位置と姿勢を計算することが好ましい。
特に作業空間内で回転している作業対象物の所定箇所に処理を施す人の作業を補助する場合に有用である。このための補助装置は、人が処理用具に加えている操作力を作業空間に固定された座標系で検出する操作力検出手段と、検出された操作力を作業対象物に固定された座標系に変換する手段と、作業対象物に固定された座標系に変換された操作力を、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が処理用具の姿勢から決まる所定の方向に規制されている処理用具モデルに加えたときに、所定時間後に現れる処理用具の位置と姿勢を作業対象物に固定された座標系で計算する第1運動計算手段と、第1運動計算手段で計算された処理用具の位置と姿勢に、作業空間に固定された座標系において前記所定時間内に生じる処理用具の位置と姿勢の変化を加え、所定時間後に現れる処理用具の位置と姿勢を作業空間に固定された座標系で計算する第2運動計算手段と、所定時間後の処理用具の位置と姿勢を、第2運動計算手段で計算した位置と姿勢に調節するアクチュエータを備えている。
この補助装置によると、作業空間内で回転している作業対象物の所定軌跡に沿って処理用具を移動させる補助結果が得られやすく、作業者が動き回る負担が軽減される。
本発明の技術は、作業対象物の所定箇所に処理を施す人の作業を補助するために、人の操作に追従して、処理用具の位置と姿勢を調節する方法にも具現化される。この方法は、人が処理用具に加えている操作力を検出する操作力検出工程と、操作力検出工程で検出した操作力を、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が処理用具の姿勢から決まる所定の方向に規制されている処理用具モデルに加えたときに、所定時間後に現れる処理用具の位置と姿勢を計算する運動計算工程と、処理用具の位置と姿勢を変化させるアクチュエータを制御し、所定時間後の処理用具の位置と姿勢を、運動計算工程で計算した位置と姿勢に調節する工程とを備えている。
この方法によると、作業者は、処理用具を目標とする軌跡に沿わせて移動させやすい。処理用具が目標とする軌跡に沿って移動する補助結果が実現されやすい。
本発明により、作業対象物の所定箇所に処理を施す人の作業を補助するための有用な技術が提供される。
最初に、以下に説明する実施例の主要な形態を列記する。
(形態1) 作業補助装置は、処理用具の位置と姿勢を変化させるロボットアームと、ロボットアームの動作を制御するコントローラを備えている。コントローラは、処理用具の位置と姿勢を検出しながら、処理用具の位置と姿勢をフィードバック制御する。
(形態2) 作業補助装置は、作業対象物を回転させながら支持するターンテーブルを備えている。ターンテーブルは、作業対象物の回転角を検出するセンサを備えている。
(形態3) 作業補助装置は、電子計算機を備えている。その電子計算機は、各種の計算処理を実行するCPUと、CPUが利用するプログラムやデータを記憶しているROMやRAMを備えている。
(実施例1)
本発明を具体化した実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例で説明する作業補助装置を示している。作業補助装置は、自動車のフロントガラスWの所定箇所(周縁に沿った位置)に接着剤を塗布する作業者の作業を補助するために、作業者の操作に追従して、処理用具(塗布ガン10)の位置や姿勢をロボットアーム20によって調節する。
なお本実施例では、本実施例の特徴を明確に説明するために、フロントガラスWはフラットな平面ガラスであるとし、作業者は塗布ガン10の位置と姿勢を平面内で調節するものとする。
図1に示すように、ターンテーブル50によって、フロントガラスWは角速度ωで回転している。作業者は、回転しているフロントガラスWの周縁に塗布ガン10を用いて接着剤を塗布する作業を行う。塗布ガン10は、吐出口10aから接着剤を吐出する。吐出口10aは、作業対象物に接着剤の塗布処理を施す処理部位である。作業者には、塗布ラインHに沿って規定量(単位長さ当たりの塗布量)の接着剤を塗布することが求められている。塗布ラインHは、フロントガラスWの周縁に沿う位置に設定されている。
図1に示すように、作業者の作業空間には、作業者の作業空間に固定されたxy固定座標系が定められている。この固定座標系は、原点がフロントガラスWの回転軸C上に位置しており、回転軸Cに対して垂直に広がっている。また固定座標系とは別に、フロントガラスWに固定したx移動座標系が定められている。この移動座標系は、原点がフロントガラスWの回転軸C上に位置しており、回転軸Cに対して垂直に広がっている。固定座標系に対して移動座標系は、フロントガラスWの回転運動に伴って角速度ωで回転している。以下では、固定座標系に対する移動座標系の回転角をαとする。
塗布ガン10では、塗布ガン10の向き(姿勢)に対して、塗布ガン10の操作方向が定められている。図2に示すように、塗布ラインHに接着剤を正しく塗布するためには、塗布ガン10の向き(姿勢方向)Nを塗布ラインHの接線方向に合わせながら、塗布ガン10を移動させる必要がある。図中の矢印Rは、塗布ラインHに対する塗布ガン10の移動方向を示している。塗布ラインHの接線方向に対して塗布ガン10の姿勢Nが変動すると、接着剤の塗布量が変化してしまう。作業者は、回転している塗布ラインHに追従して、塗布ガン10の位置と姿勢を調節する必要がある。塗布ラインHが静止している場合、塗布ガン10の姿勢方向と塗布ガン10が移動すべき方向は一致するが、塗布ラインHが運動している場合は、塗布ガン10の姿勢方向と塗布ガン10が移動すべき方向は必ずしも一致しない。塗布ガン10の位置と姿勢の経時変化は複雑なものとなる。
図1に示すように、作業補助装置は、作業者が塗布ガン10に加えている操作力を検出する力覚センサ6と、塗布ガン10の位置と姿勢を変化させるロボットアーム(アクチュエータ)20と、ロボットアーム20の動作を制御するコントローラ30と、電子計算機40と、フロントガラスWを支持して回転させるターンテーブル50を備えている。ターンテーブル50には、フロントガラスWの回転角を検出するためのエンコーダ54が設けられている。
塗布ガン10は、力覚センサ6を介してロボットアーム20の先端部に取り付けられている。力覚センサ6やエンコーダ54は、電子計算機40に接続されている。電子計算機40は、コントローラ30に接続されている。
力覚センサ6は、作業者が塗布ガン10に加えている操作力を検出するためのセンサである。力覚センサ6は、作業者が塗布ガン10に加えている操作力をxy固定座標系で検出する。図3に示すように、力覚センサ6は、固定座標系における操作力のなかで、少なくともx軸方向の操作力fと、y軸方向の操作力fと、xy平面内の回転方向の操作力fθの3方向の操作力を検出することができる。
力覚センサ6では、塗布ガン10を脱着できるように構成されており、他の各種の処理用具を装着可能に構成されている。力覚センサ6は、塗布ガン10に限らず、作業者が各種の処理用具に加えている操作力を検出することもできる。力覚センサ6の出力信号は電子計算機40に入力される。
ロボットアーム20は、複数のリンクが複数の関節を介して連結されている多関節ロボットアームである。ロボットアーム20は、複数の関節の各関節角を回転させるアクチュエータ群(図示せず)を備えている。ロボットアーム20は6軸の自由度を持つロボットアームである。ロボットアーム20は、塗布ガン10の位置と姿勢を自由に変化させることができる。
なお、塗布ガン10の位置は、図3に示す基準点Pの位置(x,y)によって記述する。また塗布ガン10の姿勢は、塗布ガン10の姿勢方向Nとy軸方向とがなす回転角θ(以下、この回転角θを姿勢角θということがある)よって記述する。塗布ガン10の位置と姿勢(以下、位置姿勢ということがある)は、位置姿勢行列q=[x,y,θ]によって記述することができる。行列の右肩に付す記号Tは、転置行列を示すものであり、位置姿勢行列qは3行1列の行列(列ベクトル)である。なお、吐出口10aは、基準点Pから塗布ガン10の姿勢方向Nに沿って距離L1だけ離れている。
コントローラ30は、ロボットアーム20の動作を制御する。コントローラ30には、電子計算機40から塗布ガン10の固定座標系における位置姿勢の目標値を入力される。また、ロボットアーム20の各アクチュエータにはエンコーダが取り付けられており、コントローラ30はエンコーダ群の出力信号から塗布ガン10の固定座標系における位置姿勢の実際値を把握している。コントローラ30は、塗布ガン10の固定座標系における位置姿勢の目標値と実際値を比較しながら、ロボットアーム20の動作をフィードバック制御する。コントローラ30が検出した塗布ガン10の位置姿勢の実際値は、電子計算機40にも入力される。ロボットアーム20およびコントローラ30には、市販のロボットアームシステムを採用することができる。
ターンテーブル50は、フロントガラスWを支持する支持軸52を備えている。支持軸52は回転することができ、支持しているフロントガラスWを回転させる。支持軸52の回転速度は調節可能となっている。本実施例では、一定の角速度ωで回転駆動するように調節されている。またターンテーブル50は、支持軸52の回転角を検出するエンコーダ54を備えている。エンコーダ54の出力信号は、電子計算機40に入力される。
電子計算機40は、力覚センサ6の出力信号や、塗布ガン10の位置姿勢に関するコントローラ30の出力信号や、ターンテーブル50のエンコーダ54の出力信号に基づいて、塗布ガン10にとらせる位置姿勢を計算する。詳しくは、塗布ガン10の位置姿勢の目標値を所定時間Δt毎に計算する。電子計算機40は、記憶部であるROM、RAMや、演算部であるCPUや、入出力ポート等を備えている。
図4に、電子計算機40が実行する処理の流れを示すフローチャートを示す。電子計算機40は、図4に示す処理フローを、所定時間Δt毎に繰り返し実行する。図4に示すフローに沿って、作業支援装置の動作の流れを説明する。電子計算機40は、以下に説明する処理を実行するためのプログラムやデータを、ROMやRAMに記憶している。
図4のステップS2では、固定座標系におけるフロントガラスWの回転角α(t)と角速度ω(t)を検出する。電子計算機40は、ターンテーブル50のエンコーダ54の出力信号に基づいて、フロントガラスWの回転角α(t)や角速度ω(t)を検出することができる。固定座標系におけるフロントガラスWの回転角α(t)と角速度ω(t)は、固定座標系に対する移動座標系の回転角α(t)と角速度ω(t)に等しい。
ステップS4では、力覚センサ6の出力値から、固定座標系における操作力f(t)=[f,f,fθを検出する。
ステップS6では、移動座標系における操作力f(t)=[fxj(t),fyj(t),fθj(t)]に変換する。移動座標系における操作力fと、固定座標系における操作力fとの間には、次式の関係が成立する。
xj=( cosα)・f+(sinα)・f
yj=(−sinα)・f+(cosα)・f
θj=fθ
電子計算機40は、ステップS2で検出したフロントガラスWの回転角α(t)と、ステップS4で検出した固定座標系における操作力f(t)から、上記の関係を用いて移動座標系における操作力f(t)に変換する。
ステップS8では、塗布ガン10の固定座標系における位置姿勢q(t)=[x(t),y(t),θ(t)]と、その速度dq(t)/dt=[dx(t)/dt,dy(t)/dt,dθ(t)/dt]を検出する。電子計算機40は、固定座標系における塗布ガン10の位置姿勢q(t)を、コントローラ30から入力する。また電子計算機40は、例えば今回の動作サイクルで検出した塗布ガン10の固定座標系における位置姿勢q(t)と、前回の動作サイクルで検出した塗布ガン10の固定座標系における位置姿勢q(t−Δt)から、塗布ガン10の固定座標系における速度dq(t)/dtを検出することができる。
ステップS10では、塗布ガン10の移動座標系における位置姿勢q(t)=[xmj(t),ymj(t),θ(t)]と、その速度dq(t)/dt=[dxmj(t)/dt,dymj(t)/dt,dθ(t)/dt]を算出する。
塗布ガン10の固定座標系における位置姿勢qと、移動座標系における位置姿勢qの間には、下記の(2)式の関係が成立する。塗布ガン10の固定座標系における速度dq/dtと、移動座標系における速度dq/dtの間には、下記の(3)式の関係が成立する。塗布ガン10の固定座標系における加速度dq/dtと、移動座標系における加速度d/dtの間には、下記の(4)式の関係が成立する。(2)〜(4)式中のTを(5)式に示す。
Figure 2006192564

Figure 2006192564

Figure 2006192564

Figure 2006192564
電子計算機40は、ステップS2で検出したフロントガラスWの回転角α(t)と角速度ω(t)と、ステップS8で検出した塗布ガン10の固定座標系における位置姿勢q(t)と速度dq(t)/dtから、上式を用いて塗布ガン10の移動座標系における位置姿勢q(t)とその速度dq(t)/dtを算出する。
以上のステップによって、塗布ガン10に加えられている操作力と、塗布ガン10の位置姿勢と、塗布ガン10の速度を、移動座標系で把握することができる。
ステップS12では、塗布ガン10の移動座標系における運動に対して、車輪型の運動拘束条件を設定する。図5を参照して、車輪型の運動拘束条件について説明する。図5は、仮想的な車輪軸12が設けられている塗布ガン10を模式的に示している。車輪軸12は、吐出口10aの位置Pに設けられている。車輪軸12の進行方向は、塗布ガン10の姿勢方向Nを向いている。この車輪軸12付きの塗布ガン10では、車輪軸12によって、吐出口10aが塗布ガン10の法線方向Sへ横滑りすることが禁止される。この車輪軸12付きの塗布ガン10では、吐出口10aの移動方向が塗布ガン10の姿勢方向Nと一致することとなり、塗布ガン10を正しい操作方向に操作することが容易となる。このステップでは、作業者が操作する塗布ガン10の運動に、この車輪軸12が設けられた塗布ガン10の運動を再現するための運動拘束条件を設定する。
塗布ガン10の速度dq/dtに対して、吐出口10aにおける法線方向Sの速度は[cosθ,sinθ,−L1]・dq/dtと表される。ここで、L1は、塗布ガン10の基準点Pと吐出口10aの距離である。作業者が操作する塗布ガン10の運動に車輪型の運動拘束を与えるためには、吐出口10aにおける法線方向Sの速度がゼロとなればよいので、車輪型の運動拘束条件は下記の(6)式で記述することができる。
Figure 2006192564
図4のステップS14では、ステップS6で算出した移動座標系における操作力f(t)に基づいて、塗布ガン10の移動座標系における加速度d/dtの目標値を計算する。塗布ガン10の移動座標系における加速度d/dtの目標値は、次式を用いて計算することができる。
Figure 2006192564

ここで、Mは塗布ガン10の加速度に対する比例マトリクスであり、塗布ガン10に再現する質量および慣性モーメントを記述している。Dは塗布ガン10の速度に対する比例マトリクスであり、塗布ガン10に再現する粘性係数を記述している。上記の(7)式に、ステップS12で設定した運動拘束条件を記述する(6)式を加味することによって、作業者が塗布ガン10に加えている操作力fを、図5に示した車輪軸12付きの塗布ガン10に加えた時に生じる運動を計算することができる。以下に計算手順の一例を示す。
(6)式の運動拘束条件から、下記の(8a),(8b)式を定めることができる。
Figure 2006192564

上記の(8)式を用いて、(7)式を下記の(9)式に変形することができる。
Figure 2006192564

ただし、
Figure 2006192564

である。
以上から、塗布ガン10の加速度d/dtは、下記の(11)式によって計算することができる。
Figure 2006192564

上記の(11)式の右辺に、ステップS6で算出した移動座標系における操作力f(t)や、ステップS10で算出した塗布ガン10の位置姿勢q(t)と速度dq(t)/dtを代入することによって、塗布ガン10の移動座標系における加速度の目標値d/dtを計算することができる。
ステップS16では、塗布ガン10の固定座標系における加速度の目標値dq/dtを計算する。固定座標系における加速度の目標値dq/dtは、前記した(4)式を用いて計算することができる。具体的には、(4)式に、ステップS10で算出した塗布ガン10の移動座標系における位置姿勢q(t)と速度dq(t)/dtと、ステップS14で計算した塗布ガン10の移動座標系における加速度の目標値d/dtを代入して、固定座標系における加速度の目標値dq/dtを計算することができる。
ステップS18では、塗布ガン10の固定座標系における位置姿勢の所定時間後の目標値q(t+Δt)を計算する。固定座標系における位置姿勢の所定時間後の目標値q(t+Δt)は、ステップS8で検出した塗布ガン10の固定座標系における位置姿勢q(t)と速度dq(t)/dtと、ステップS16で計算した塗布ガン10の固定座標系における加速度の目標値d/dtから、数値的な積分によって計算することができる。
ステップS20では、ステップS18で計算した塗布ガン10の固定座標系における位置姿勢の所定時間後の目標値q(t+Δt)を、コントローラ30に教示する。コントローラ30は、塗布ガン10の実際の位置姿勢が所定時間後に目標値q(t+Δt)となるように、ロボットアーム20を制御する。
電子計算機40は、上記した処理フローを所定時間Δt毎に繰り返す。その結果、作業者が操作している塗布ガン10は、あたかも図5に示す車輪軸12が設けられているように運動する。塗布ガン10に実現される運動では、フロントガラスWに対する塗布ガン10の移動方向と、フロントガラスWに対する塗布ガン10の姿勢方向Nが連動する。それにより、例えば塗布ガン10の姿勢方向Nを塗布ラインHの接線方向に調節し続けていれば、塗布ガン10の吐出口10aを塗布ラインHに沿って移動させることができる。また、フロントガラスWに対して塗布ガン10が、塗布ガン10の姿勢方向Nのみに移動するので、接着剤の塗布量の変動が抑制される。
この作業補助装置では、作業者が塗布ガン10をフロントガラスWに対して相対的に移動させたときに、塗布ガン10の位置や姿勢の変化に対して慣性力や粘性力が作用しているような操作感が作業者に与えられる。作業者は、塗布ガン10とフロントガラスWとの相対運動を力覚的に知ることができ、回転しているフロントガラスWに対して塗布ガン10を操作しやすい。
(実施例2)
本実施例では、実施例1の作業支援装置において、作業者が塗布ガン10を操作したときに、塗布ガン10に再現する運動特性を変更した例を説明する。
本実施例では、作業者が操作する塗布ガン10の運動に、図6に示すように、吐出口10aと異なる位置に仮想的な車輪軸14が設けられている塗布ガン10の運動を再現する。車輪軸14は、吐出口10aから塗布ガン10の姿勢方向Nに沿って距離L2だけオフセットした位置Pに設けられている。このオフセットした車輪軸14が設けられている塗布ガン10では、オフセットした車輪軸14によって、吐出口10aから距離L2だけ離れた位置Pの移動方向が車軸方向に規制され、塗布ガン10の法線方向Sへ横滑りすることが禁止される。作業者が操作する塗布ガン10の運動に、車輪軸14がオフセットして設けられている塗布ガン10の運動を再現するためには、実施例1のステップS12(図4)において、以下に説明する運動拘束条件を設定すればよい。
塗布ガン10の移動座標系における速度dq/dtに対して、吐出口10aから塗布ガン10の方向Nに距離L2だけオフセットした位置Pおける法線方向Sの速度は、[cosθ,sinθ,−(L1+L2)]・dq/dtと表される。この法線方向Sの速度がゼロとなればよいので、運動拘束条件は、
Figure 2006192564

と記述することができる。実施例1の運動拘束条件を記述する(6)式と比較して、L1の部分を(L1+L2)に変更したものとなる。
以下、ステップS14以降の処理を実施例1と同様に行うことによって、作業者が操作している塗布ガン10の運動に、オフセット車輪軸14が設けられている塗布ガン10の運動を再現することができる。
図7は、塗布ラインHに沿って直線部Aから円弧部Bを通って直線部Cに至るまで、塗布ガン10を操作したときの様子を示している。図8は、その操作時における塗布ガン10の移動座標系における姿勢角θの変化を経時的に示している。図8のグラフG2は本実施例のように吐出口10aからオフセットした車輪軸14を仮想した場合の結果を示しており、グラフG1は実施例1のように吐出口10aの位置に車輪軸14を仮想した場合を示している。グラフG1、G2を比較してわかるように、本実施例では、直線部Aから円弧部Bに移る際や、円弧部Bから直線部Cに移る際に、姿勢角θの変化が緩やかとなっている。これは、塗布ガン10の姿勢の変化と、塗布ガン10の吐出口10aの移動方向の変化の間に、遅れ(位相差)が生じることに起因している。作業者は、直線部と円弧部が複合する塗布ラインHに沿って、塗布ガン10を正しく操作することが容易となる。
仮想する車輪軸14のオフセット量を調整したり、あるいは逆方向にオフセットさせることによって、上記の位相差(遅れや進み)を調整することができる。それにより、作業者に合わせて操作感を調整することもできる。
(実施例3)
本実施例においても、実施例1の作業支援装置において、作業者が塗布ガン10を操作したときに、塗布ガン10に再現する運動特性を変更したまた別の例を説明する。
本実施例では、作業者が操作する塗布ガン10の運動に、図9に示すように、車輪軸リンク16が吐出口10aの位置に回転可能に連結されている塗布ガン10の運動を再現する。車輪軸リンク16のリンク長さはL2とする。車輪軸リンク16の方向N2は、y軸方向からの回転角φで記述される。この車輪軸リンク16が設けられている塗布ガン10では、車輪軸リンク16によって、吐出口10aから車輪軸リンク16の方向N2に距離L2だけ離れた位置Pの移動方向が車軸方向に規制され、車輪軸リンク16の法線方向Sへ横滑りすることが禁止される。また、塗布ガン10と車輪軸リンク16の間には、両者の姿勢角θ,φの間にインピーダンス特性を付与するバネ−ダンパ部18が設けられている。それにより、塗布ガン10には下記の(13)式で記述される反力トルクfcjが付与される。この処理用具モデルでは、処理用具10に対して所定の位置関係にある部位Pの移動方向が、処理用具10の姿勢の変化よりも遅れて変化する。
Figure 2006192564
作業者が操作する塗布ガン10の運動に、車輪軸リンク16が設けられている塗布ガン10の運動を再現するためには、実施例1のステップS12(図4)において、以下に説明する運動拘束条件を設定すればよい。
本実施例では、図4に示すステップS12において、実施例1の運動拘束条件に換えて、図9に示す車輪軸リンク16が設けられている塗布ガン10の運動を再現するための運動拘束条件を設定する。
塗布ガン10の移動座標系における速度dq(t)/dtと車輪軸リンク16の回転速度dφ/dtに対して、吐出口10aから車輪軸リンク16の方向N2に距離L2だけオフセットした位置Pおける法線方向Sの速度は、[cosφ,sinφ,−L1cos(φ−θ),−L2]・[(dq/dt),dφ/dt]と表される。この法線方向Sの速度がゼロとなればよいので、運動拘束条件は下記の(14)式で記述することができる。
Figure 2006192564
図4に示す次のステップS14では、上記の(14)式を用いて、塗布ガン10の移動座標系における加速度の目標値d/dtを計算する。本実施例では、塗布ガン10に、(16)式で示した反力トルクfcjが付与されることから、加速度の目標値d/dtは次の(15)式を用いて計算することができる。
Figure 2006192564

上記の(15)式に、上記の(14)式を加味することによって、図9に示した車輪軸リンク16が設けられた塗布ガン10の運動を計算することができる。以下に計算手順の一例を示す。
(14)式に、ステップS10で算出した塗布ガン10の移動座標系における位置姿勢q(t)と速度dq(t)/dtと、前回の動作ステップで計算した車輪軸リンク16の姿勢角φ(t−Δt)を代入して、車輪軸リンク16の姿勢角φの変化速度dφ(t)/dtを計算することができる。計算した姿勢角φの変化速度dφ(t)/dtを積分することによって、車輪軸リンク16の姿勢角φ(t)を計算することができる。次いで、(15)式に、塗布ガン10の移動座標系における位置姿勢q(t)と速度dq(t)/dtと、計算した車輪軸リンク16の姿勢角φ(t)と変化速度dφ(t)/dtを代入して、塗布ガン10の移動座標系における加速度の目標値d/dtを計算することができる。
以下、ステップS16以降の処理を行うことによって、作業者が操作している塗布ガン10の運動に、車輪軸リンク16が設けられている塗布ガン10の運動を再現することができる。
図10は、塗布ラインHに沿って塗布ガン10を操作したときの様子を示している。図10に示すように、本実施例によると、塗布ガン10の姿勢方向Nが変化する際に、塗布ガン10の姿勢方向Nと塗布ガン10の移動方向N2とが異なることとなる。姿勢方向Nと移動方向N2の間にはインピーダンス特性が付与されているので、塗布ガン10の姿勢方向Nの変化に対して、塗布ガン10の移動方向N2の変化に遅れ(位相差)が生じる。この遅れが生じることによって、作業者は塗布ガン10の軌道や姿勢の修正をより自然な感覚で行うことが可能となる。
(実施例4)
本実施例では、実施例3で説明した作業支援装置において、塗布ガン10と車輪軸リンク16の間に設けられているバネ−ダンパ部18の特性を、作業支援中に調整する例について説明する。
図9に示すバネ−ダンパ部18の特性は、前記した(16)式中の比例係数Kや比例係数Dを増減調整することによって、調整することができる。本実施例では、前記した(16)式中の比例係数Kを、車輪軸リンク16の姿勢角φと塗布ガン10の姿勢角θとの差分|φ−θ|(絶対値)に応じて増減調整する例について説明する。
図11は、本実施例で用いる比例係数Kと角度差|φ−θ|との関係の一例を示している。図11に例示するような比例係数Kと角度差|φ−θ|との関係は、予め電子計算機40に教示しておくことができる。図11に示すように、比例係数Kは、角度差|φ−θ|に応じて増減変化するように定められている。詳しくは、角度差|φ−θ|が大きいほど、比例係数Kは小さく定められている。電子計算機40は、教示された比例係数Kと角度差|φ−θ|との関係を参照して、反力トルクfcjの計算に用いる比例係数Kを、角度差|φ−θ|に応じて決定することができる。それにより、作業支援中において、角度差|φ−θ|が大きいときほど、塗布ガン10に付与される反力トルクfcjは小さくなり、角度差|φ−θ|が小さいときほど、塗布ガン10に付与される反力トルクfcjは小さくなる。なお、図11中のKc(φ−θ)を記述する式において、K1は比例係数Kの最小値であり、K2は比例係数Kの最大値であり、γは調整用のパラメータである。これらのK1、K2、γは、作業者が感じる操作感等を加味して適宜設定することができる。
フロントガラスWの塗布ラインHに沿って塗布ガン10を操作する場合、塗布ラインHの直線部では、塗布ガン10の姿勢角θを移動座標系において略一定に維持する必要がある。塗布ガン10の姿勢角θを移動座標系において略一定に維持している間、即ち、姿勢角θの変化速度dθ/dtが小さい状態では、車輪軸リンク16の姿勢角φと塗布ガン10の姿勢角θとの角度差|φ−θ|が、比較的に小さく計算される。このとき本実施例では、比例係数Kが比較的に大きく設定されることから、塗布ガン10の姿勢変化に対して、反力トルクfcjが比較的に大きく付与される。従って、塗布ラインHの直線部に沿って塗布ガン10を操作している間は、塗布ガン10の姿勢を変化させるのに要する操作力が、比較的に大きくなる。換言すれば、作業者が塗布ガン10に加えた操作力に対して、塗布ガン10の姿勢変化が抑制される。例えば作業者が手ぶれ等を起こした場合でも、塗布ガン10の姿勢変化は小さく抑えられ、直線状の塗布ラインHに沿って塗布ガン10の姿勢を正しく維持することができる。
一方、塗布ラインHの円弧部に沿って塗布ガン10を操作する場合では、塗布ガン10の姿勢角θを移動座標系において大きく変化させる必要がある。塗布ガン10の姿勢角θを移動座標系において大きく変化させている間、即ち、姿勢角θの変化速度dθ/dtが大きい状態では、上記した車輪軸リンク16の姿勢角φと塗布ガン10の姿勢角θとの角度差|φ−θ|が、比較的に大きく計算される。このとき本実施例では、比例係数Kが比較的に小さく設定されることから、塗布ガン10の姿勢変化に対して、反力トルクfcjが比較的に小さく付与される。従って、塗布ラインHの円弧部に沿って塗布ガン10を操作している間は、塗布ガン10の姿勢を変化させるのに要する操作力が、比較的に小さくなる。作業者は、過大な反力を受けることなく、円弧状の塗布ラインHに沿って塗布ガン10の姿勢を容易に変化させることができる。
本実施例の技術を用いることによって、塗布ラインHに沿って塗布ガン10を操作したときに、直線や曲線といった塗布ラインHの形状に応じて、塗布ガン10の操作性を適切に調整することが可能となる。
(実施例5)
本実施例では、塗布ガン10に再現する運動特性に、塗布ガン10が能動的に移動する自走特性を加える例について説明する。本実施例で説明する自走特性は、実施例1〜4で説明した各種の方式に、適宜付与することができる。以下では、実施例1の方式に、自走特性を加える例について説明する。
図12は、自走特性が付与された塗布ガン10のモデルを示している。図12に示すように、本実施例では、塗布ガン10に再現する運動を計算する際に、作業者による操作力に加えて、塗布ガン10に作用する自走力ffjを設定する。このとき自走力ffjは、塗布ガン10の姿勢方向Nに沿って設定する。自走力ffjは、例えば、塗布ガン10の姿勢方向Nに沿った流れ場(速度V)を仮想し、その流れ場から塗布ガン10に加えられる粘性力D・Vを計算して、塗布ガン10に加える自走力ffjに用いることができる。
図13は、本実施例において、電子計算機40が実行する処理の流れを示すフローチャートである。図13に示すフローは、実施例1で説明した図4に示すフローと比較して、新たなステップS11が、ステップS10とステップS12の間に挿入されている。図13に示すフローに沿って、塗布ガン10に自走特性を加える処理動作について説明する
図13に示すように、電子計算機40は、ステップS2〜ステップS10の処理を実施例1と同様に実行して、塗布ガン10に加えられている操作力と、塗布ガン10の位置姿勢と、塗布ガン10の速度を、移動座標系で把握する。
ステップS11では、ステップS6で計算した移動作業系における操作力fに、図12に示した自走力ffjを付与する。図12に示した自走力ffj=D・Vは、下記する(16)式と、ステップS10で計算した塗布ガン10の移動座標系における姿勢角θを用いて計算することができる。なお、流れ場の速度Vやそれに対する比例係数Dは、予め電子計算機40に教示しておくことができる。このとき、流れ場の速度Vは、例えば一定の値とすることもできるし、移動座標系における位置に応じて変化するように定めることもできる。
Figure 2006192564
ステップS12以降の処理は、操作力fの代わりにステップS11で計算した操作力fと自走力ffjとの合力(f+ffj)を用いることを除いて、実施例1と同様に実行される。それにより、作業者が塗布ガン10を操作したときに、図12に示した自走力ffjが付加された運動が塗布ガン10に再現される。
また、ステップS12における運動拘束式の設定処理において、実施例2で説明した運動拘束式((12)式)や、実施3で説明した運動拘束式((14)式)を用いることによって、実施例2や実施例3の方式に自走特性を付与した作業補助を実現することができる。
通常、フロントガラスWの塗布ラインHに沿って塗布ガン10を操作する際に、作業者は、塗布ガン10の姿勢を塗布ラインHの接線方向に維持しつつ、塗布ガン10を塗布ラインHに沿って移動させる必要がある。作業者は、塗布ガン10の位置と姿勢の両者を調整する必要があり、困難な作業を強いられる。
本実施例の技術によると、塗布ガン10は自身の姿勢方向Nに向けて能動的に移動することから、塗布ガン10の姿勢が塗布ラインHの接線方向に維持されていれば、塗布ガン10は塗布ラインHに沿って能動的に移動する。従って、フロントガラスWの塗布ラインHに沿って塗布ガン10を操作する際に、塗布ガン10の姿勢を塗布ラインHの接線方向に維持する操作のみが必要とされ、塗布ガン10を塗布ラインHに沿って移動させる操作を不要にすることができる。作業者は、塗布ガン10の姿勢を調整する操作に専念することが可能となり、塗布ガン10を塗布ラインHに沿って正確に操作することが可能となる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本発明の技術は、作業対象や処理用具によって限定されるものではなく、様々な作業対象に対して様々な処理用具を操作する作業に適用できる。このときの作業対象は、実体のある物体に限られず、コンピュータ画面等に再現表示されている仮想物体であってもよい。
本発明の技術は、人が直接的に処理用具を操作する作業に限られず、人が処理用具を遠隔操作する作業にも適用できる。人が処理用具を模した操作子を操作し、人の操作に追従するようにアクチュエータがその操作子の位置と姿勢を調節する。それと並行して、実際の処理を施す処理用具の位置と姿勢を、また別のアクチュエータによって同様に調節すればよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
作業補助装置の構成を示す図。 塗布ガンに所望される運動を示す図。 塗布ガンの位置姿勢の基準となる点を示す図。 電子計算機が実行する処理の流れを示すフローチャート。 車輪軸が吐出口の位置に設けられている塗布ガンを示す模式図。 車輪軸が吐出口からオフセットして設けられている塗布ガンを示す模式図。 実施例2による塗布ガンの運動を示す図。 実施例2による塗布ガンの姿勢角の変化を経時的に示す図。 車輪軸が吐出口に回転可能に連結されている塗布ガンを示す模式図。 実施例3による塗布ガンの運動を示す図。 実施例4で用いる角度差φ−θと比例係数Kの関係を例示するグラフ。 実施例5で付加する自走特性を説明する図。 実施例5の電子計算機が実行する処理の流れを示すフローチャート。
符号の説明
6・・力覚センサ
10・・塗布ガン(処理用具)
12・・車輪軸
14・・オフセットした車輪軸
16・・車輪軸リンク
20・・ロボットアーム(アクチュエータ)
30・・コントローラ
40・・電子計算機
50・・ターンテーブル
54・・エンコーダ
H・・塗布ライン

Claims (11)

  1. 作業対象物の所定箇所に処理を施す人の作業を補助するために、人の操作に追従して、処理用具の位置と姿勢を調節する作業補助装置であって、
    人が処理用具に加えている操作力を検出する操作力検出手段と、
    操作力検出手段で検出した操作力を、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が処理用具の姿勢から決まる所定の方向に規制されている処理用具モデルに加えたときに、所定時間後に現れる処理用具の位置と姿勢を計算する運動計算手段と、
    所定時間後の処理用具の位置と姿勢を、運動計算手段で計算した位置と姿勢に調節するアクチュエータと、
    を備える作業補助装置。
  2. 前記処理用具モデルでは、処理用具の処理部位の移動方向が、処理用具の姿勢から決まる所定の方向に規制されていることを特徴とする請求項1の作業補助装置。
  3. 前記処理用具モデルでは、処理用具の処理部位から所定方向に所定距離だけオフセットした部位の移動方向が、処理用具の姿勢から決まる所定の方向に規制されていることを特徴とする請求項1の作業補助装置。
  4. 前記処理用具モデルでは、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が、処理用具の姿勢の変化よりも遅れて変化することを特徴とする請求項1から3のいずれかの作業補助装置。
  5. 前記処理用具モデルでは、処理用具の姿勢の変化速度が大きいときほど、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向と処理用具の姿勢との角度差が大きくなることを特徴とする請求項4の作業補助装置。
  6. 前記運動計算手段は、検出した操作力に、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向と処理用具の姿勢との角度差に所定の係数を乗じたトルクを加算して、処理用具の位置と姿勢を計算することを特徴とする請求項5の作業補助装置。
  7. 前記運動計算手段は、前記トルクを計算する所定の係数を、前記角度差が大きいときほど、小さく設定することを特徴とする請求項6の作業補助装置。
  8. 前記運動計算手段は、検出した操作力に、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向に沿う所定の力を加算して、処理用具の位置と姿勢を計算することを特徴とする請求項1から7のいずれかの作業補助装置。
  9. 作業空間に固定された座標系で、作業対象物の位置と姿勢の経時的変化を検出する手段をさらに備えており、
    前記運動計算手段は、作業対象物に固定された座標系で計算した処理用具の位置と姿勢に、検出した作業対象物の位置と姿勢を加味して、作業空間に固定された座標系における処理用具の位置と姿勢を計算することを特徴とする請求項1から8のいずれかの作業補助装置。
  10. 作業空間内で回転している作業対象物の所定箇所に処理を施す人の作業を補助するために、人の操作に追従して、処理用具の位置と姿勢を調節する作業補助装置であって、
    人が処理用具に加えている操作力を作業空間に固定された座標系で検出する操作力検出手段と、
    検出された操作力を作業対象物に固定された座標系に変換する手段と、
    作業対象物に固定された座標系に変換された操作力を、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が処理用具の姿勢から決まる所定の方向に規制されている処理用具モデルに加えたときに、所定時間後に現れる処理用具の位置と姿勢を作業対象物に固定された座標系で計算する第1運動計算手段と、
    第1運動計算手段で計算された処理用具の位置と姿勢に、作業空間に固定された座標系において前記所定時間内に生じる処理用具の位置と姿勢の変化を加え、所定時間後に現れる処理用具の位置と姿勢を作業空間に固定された座標系で計算する第2運動計算手段と、
    所定時間後の処理用具の位置と姿勢を、第2運動計算手段で計算した位置と姿勢に調節するアクチュエータと、
    を備える作業補助装置。
  11. 作業対象物の所定箇所に処理を施す人の作業を補助するために、人の操作に追従して、処理用具の位置と姿勢を調節する方法であって、
    人が処理用具に加えている操作力を検出する操作力検出工程と、
    操作力検出工程で検出した操作力を、処理用具に対して所定の位置関係にある部位の移動方向が処理用具の姿勢から決まる所定の方向に規制されている処理用具モデルに加えたときに、所定時間後に現れる処理用具の位置と姿勢を計算する運動計算工程と、
    処理用具の位置と姿勢を変化させるアクチュエータを制御し、所定時間後の処理用具の位置と姿勢を、運動計算工程で計算した位置と姿勢に調節する工程と、
    を備える作業補助方法。
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