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JP2006182673A - マーカー付き医薬 - Google Patents

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JP2006182673A
JP2006182673A JP2004376252A JP2004376252A JP2006182673A JP 2006182673 A JP2006182673 A JP 2006182673A JP 2004376252 A JP2004376252 A JP 2004376252A JP 2004376252 A JP2004376252 A JP 2004376252A JP 2006182673 A JP2006182673 A JP 2006182673A
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】 人体への危険が少なく、しかも、充分な薬効を発揮することができるマーカー付き医薬と、該マーカー付き医薬を用いた生体内における薬剤の存在部位や濃度を容易に測定することが可能な薬剤の動態測定システムを提供する。
【解決手段】 蛍光ナノ粒子が結合した薬効成分分子を含有するマーカー付き医薬。
【選択図】 なし

Description

本発明は、人体への危険が少なく、しかも、充分な薬効を発揮することができるマーカー付き医薬と、該マーカー付き医薬を用いた生体内における薬剤の存在部位や濃度を容易に測定することが可能な薬剤の動態測定システムに関する。
経口投与や静脈注射等の方法で人体に投与された薬剤は、人体中のターゲット部位に一定以上の濃度で作用することにより薬効を示すものと考えられる。しかし、実際に投与した薬剤がどのような経路を経て、どの器官に集中し作用しているのか、また、その器官においてどの程度の濃度に達したときに充分な薬効が得られるのか等をモニターするのは容易なことではない。また、副作用が懸念される薬剤を投与した場合に、それが危険な部位(器官)に達していないか、また、人体中に蓄積されずに排出されているのかを確認することも重要なことである。
このような医薬の生体内における移動や代謝等を調べる方法としては、例えば、薬効成分分子の一部を放射性物質でラベルした医薬を用いる方法が提案されていた(例えば、特許文献1等)。しかしながら、このような放射性物質は極めて危険であり、取り扱える機関も限られていたうえ、代謝によって分解吸収された放射性物質でラベルされた分子が人体中に蓄積し、人体に甚大な影響を与える危険があるという問題もあった。
一方、in vitroのシステムでは、このような放射線マーカーに代えて、蛍光物質等をマーカーとして用いる方法が検討されている。近年では蛍光強度の高い蛍光物質が種々開発され、また蛍光を分析する装置等も改良が進んでいることから、蛍光物質マーカーはin vitro分析において重要な分野を占めるに至っている。しかしながら、このような蛍光物質を医薬のマーカーとした場合、蛍光物質には発癌性等を有するものも多く、人体内に吸収され蓄積した場合には何らかの影響が懸念されることもあった。また、ほとんどの医薬の薬効成分は、蛍光物質を結合させることにより機能が変化してしまい、もはや有効な薬効を示さなくなってしまうことが多く、実際の治療や研究に応用するのは困難であった。
再公表WO99/59642号公報
本発明は、上記現状に鑑み、人体への危険が少なく、しかも、充分な薬効を発揮することができるマーカー付き医薬と、該マーカー付き医薬を用いた生体内における薬剤の存在部位や濃度を容易に測定することが可能な薬剤の動態測定システムを提供することを目的とする。
本発明は、蛍光ナノ粒子が結合した薬効成分分子を含有するマーカー付き医薬である。
本発明は、蛍光ナノ粒子が結合した薬効成分分子を含有するマーカー付き医薬と、生体外から前記蛍光ナノ粒子の発する蛍光を測定する装置とからなる薬剤の動態測定システムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、蛍光ナノ粒子は、高い蛍光性能を有するうえ、ほとんどの薬効成分分子の薬効を妨げずに容易に結合させることができ、かつ、生体内に蓄積されることもないことから、薬効成分分子に結合することにより有用なマーカー付き医薬が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本明細書において蛍光ナノ粒子とは、CdS、ZnS、CdSc、Si等の半導体材料を粒子径が1桁ナノメートルオーダーの微粒子にしたものであって、蛍光を発するものを意味する。
半導体材料からなる粒子は、粒子径が約10nm以下になると、光励起によって蛍光を発する性質を有する。このような蛍光ナノ粒子を励起するために必要な波長は紫外側にブロードに存在し、その粒子径が大きいほど、励起スペクトルの長波長端は長波長側にシフトする。また、蛍光波長も蛍光ナノ粒子の粒子径が大きくなるに従って長波長側にシフトする。このように、蛍光ナノ粒子は、粒子径により蛍光波長や励起光波長が変わるという特徴を有する。従って、粒子径の異なる蛍光ナノ粒子を薬効成分分子に結合させた場合には、複数の波長による分析が可能となり、測定精度を飛躍的に向上させることができる。
上記蛍光ナノ粒子は、励起光を照射することによって極めて高輝度の蛍光を発することから、微量成分の高感度測定に好適に用いることができる。また、粒子径により励起光波長と蛍光波長とを調整できることから、励起光と蛍光との波長差を充分にとることも可能である。
本発明のマーカー付き医薬において用いる蛍光ナノ粒子としては、例えば、CuCl等のI−VII族化合物半導体、CdS、CdSe等のII−VI族、InAs等のIII−V族化合物半導体、IV族半導体等の半導体結晶、TiO等の金属酸化物、フタロシアニン、アゾ化合物等の有機化合物からなるもの、又は、それらの複合材料等が挙げられる。このような複合材料としては、例えば、CdSをコア−CdSeをシェル、CdSeをコア−CdSをシェル、CdSをコア−ZnSをシェル、CdSeをコア−ZnSをシェル、CdSeのナノ結晶をコア−ZnSをシェル、CdSeのナノ結晶をコア−ZnSeをシェル、Siをコア−SiOをシェルとするコア−シェル構造を有するもの等が挙げられる。
上記蛍光ナノ粒子の粒子径の好ましい下限は1nm、上限は10nmである。
上記蛍光ナノ粒子の形状としては特に限定されず、例えば、球状、棒状、板状、薄膜状、繊維状、チューブ状等が挙げられる。なかでも、球状が好ましい。
上記蛍光ナノ粒子を結合する薬効成分分子としては、上記蛍光ナノ粒子を直接的又は間接的に結合可能であり、かつ、蛍光ナノ粒子を結合することによりその薬効を妨げられないものであれば特に限定されない。
また、蛍光ナノ粒子の発する蛍光が薬効成分分子により吸収されてしまうと、充分な蛍光強度が得られないことがあることから、蛍光ナノ粒子の発する蛍光の波長と、薬効成分分子の吸光域とが一致しないように、薬効成分分子と蛍光ナノ粒子との組み合わせを選択することが好ましい。
薬効成分分子としてカプトリルを用いる場合を例として、本発明のマーカー付き医薬について更に説明する。
上記カプトリルは、下記式(1)により示される構造を有する分子であり、高血圧の治療効果を有することが知られている。
上記カプトリルは、金属結合基であるチオール基を有することから、容易に蛍光ナノ粒子と結合することができ、また、蛍光ナノ粒子が結合した場合であっても、血圧を降下させる効果は損なわれないことから、高血圧治療薬として充分な薬効を発揮することができる。このような蛍光ナノ粒子が結合したカプトリルを薬効成分とするマーカー付き高血圧治療薬もまた、本発明の1つである。
上記カプトリルのように、メルカプト基やチオール基等の硫黄分子含有基等の金属結合基を有する薬効成分分子は、極めて容易に上記蛍光ナノ粒子と結合させることが可能である。また、上記薬効成分分子が金属結合基を有しない場合であっても、上記薬効成分分子がアミノ基又はカルボキシル基を有するものであれば、アダプター分子としてチオール基を有するシステインを用い、システインのアミノ基又はカルボキシル基とペプチド結合させることにより、システインを介して薬効成分分子と蛍光ナノ粒子とを結合させることが可能となる。また、上記薬効成分分子がアミノ基を有するものであれば、アダプター分子として末端に硫黄分子含有基及びスルホン基を有するものを用い、アダプター分子のスルホン基とアミノ基とをイミド結合させることにより、上記アダプター分子を介して薬効成分分子と蛍光ナノ粒子とを結合することが可能となる。
本発明のマーカー付き医薬は、コロイド化学的な方法、例えば、逆ミセル法(Lianos, P.et al., Chem. Phys. Lett., 125, 299 (1986))やホットソープ法(Peng, X. et al., J. Am. Chem. Soc., 119, 7019 (1997))等によって製造することができる。
本発明のマーカー付き医薬の製造方法として、蛍光ナノ粒子の表面に上記式(1)示したカプトリルが結合したマーカー付き高血圧治療薬の製造方法の一例を図1に示した模式図に従い詳しく説明する。
まず、上記蛍光ナノ粒子の原料物質をトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)等を含有する配位溶媒中に分散させ、上記原料物質の微粒子をTOPOでミセル化(TOPOミセル)する。
次いで、TOPOミセルをアルゴンガス封入条件下で加熱してTOPOミセル内の原料物質の微粒子を成長させることにより、表面にTOPOが結合した蛍光ナノ粒子が得られる。なお、このとき蛍光ナノ粒子の粒子径を制御することで、励起光照射により発する蛍光の波長を制御することができる。また、この状態の蛍光ナノ粒子は、トルエンやテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒に可溶である。
次いで、得られた表面にTOPOが結合した蛍光ナノ粒子をTHF等の溶媒に溶解させて85℃に加温し、そこにエタノールに溶解させたカプトリルを滴下させ、12時間程度還流させる。チオール交換反応により蛍光ナノ粒子の表面に結合したTOPOがカプトリルに交換される。
そして、水酸化ナトリウム水溶液を加え、加熱してTHFを蒸発させ、濾過及びカラム等を用いて未反応物の精製と濃縮とを行うことで、蛍光ナノ粒子の表面にカプトリルが結合した本発明のマーカー付き高血圧治療薬が得られる。
このようにして得られた本発明のマーカー付き高血圧治療薬では、上記カプトリルのチオール基が蛍光ナノ粒子の表面に配位結合し、親水性のカルボキシル基が最外を形成しているため、生物媒体等の水系溶媒への親水性が優れたものとなる。従って、蛍光ナノ粒子を結合させても、後述する実施例において検証したように、カプトリルの高血圧治療効果はほとんど損なわせることがない。多くの薬効成分分子においても、同様にして、薬効を損なうことなく蛍光ナノ粒子と結合することが可能である。
本発明のマーカー付き医薬は、蛍光ナノ粒子を結合していない場合と同様に経口投与や静脈注射等の方法により人体に投与することができ、蛍光ナノ粒子を結合していない場合と同様の薬効を発揮することができる。投与された薬剤は、蛍光分析によりその存在位置や濃度を測定することができる。従って、投与した薬剤がどのような経路を経て、どの器官に集中し作用しているのか、また、その器官においてどの程度の濃度に達したときに充分な薬効が得られるのか等を容易にモニターすることができる。また、副作用が懸念される薬剤の場合であっても、それが危険な部位に達しないか、また、人体中に蓄積されずに排出されているのか等を容易に確認することができる。更に、蛍光ナノ粒子自体は、極めて小さいので排出されやすく、微量でもあることから、人体に影響を与えることもない。
蛍光ナノ粒子が結合した薬効成分分子を含有するマーカー付き医薬と、生体外から前記蛍光ナノ粒子の発する蛍光を測定する装置とからなる薬剤の動態測定システムもまた、本発明の1つである。
本発明の薬剤の動態測定システムの一例について説明する。
本発明の薬剤の動態測定システムは、蛍光ナノ粒子が結合した薬効成分分子を含有するマーカー付き医薬と、生体外から蛍光ナノ粒子の発する蛍光を測定する装置とからなる。
蛍光ナノ粒子が結合した薬効成分分子を含有するマーカー付き医薬としては、本発明のマーカー付き医薬を用いることができる。
生体外から蛍光ナノ粒子の発する蛍光を測定する装置としては特に限定されず、例えば、測定した蛍光の蛍光強度を計算可能なコンピュータ等に接続したCCDカメラ等が挙げられる。
次に本発明の薬剤の動態測定システムにより、生体中の存在位置や濃度を測定する原理について説明する。
生体の任意の点における薬剤の濃度を、蛍光を利用して測定するには次のような方法がある。
生体の任意の点(x、y)における蛍光強度をi(x、y)とする。
生体の重心を中心として、x−y座標軸を設定したときに、該x−y座標軸を角度θで回転してできた新しい座標をxθ−yθ座標とする。そのときxθ軸への投射(プロジェクション)をIθとする。ここで、θ=θとしたときに生じるxθ1−yθ1座標について、蛍光強度のyθ軸の総和(プロジェクション)Iθ1は、下記式(2)にて表すことができる。
即ち、蛍光強度のyθ軸の総和(プロジェクション)Iθ1は、xθ1の関数となる。
一方、Iθ1は、CCDカメラ等による画像を解析することにより容易に測定することができる(図2)。
従って、任意のθについてIθを計測し、そのデータの逆投射Iθ −1(バックプロジェクション)により(実際には複数のθについて測定し、その連立方程式を解くことにより)任意のi(x、y)を求めることができる(図2)。
この考え方は、3次元の場合でも同様である。
即ち、i(x、y、z)につきz軸に対する回転θを用いて下記式(3)にて表すことができる。
従って、任意のθについてIθを計測し、そのデータの逆投射Iθ −1(バックプロジェクション)により(実際には複数のθについて測定し、その連立方程式を解くことにより)任意のi(x、y、z)を求めることができる(図3)。
本発明の薬剤の動態測定システムを用いれば、薬剤の血中濃度、臓器分布等を容易に測定することができる。
本発明によれば、人体への危険が少なく、しかも、充分な薬効を発揮することができるマーカー付き医薬と、該マーカー付き医薬を用いた生体内における薬剤の存在部位や濃度を容易に測定することが可能な薬剤の動態測定システムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)溶液7.5gに、酸化カドミウム250mg、セレン200mgを混合し、CdSe微粒子を核とするTOPOミセル分散溶液を調製した。このTOPOミセル分散溶液の全量に、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛1.1gを混合分散させ、アルゴン封入条件下、280℃に加熱してZnSの被膜を成長させ、表面にTOPOが結合したCdSeのナノ結晶をコア−ZnSをシェルとする平均粒子径が640nm(赤色)の蛍光ナノ粒子を作製した。
蛍光ナノ粒子が結合したTOPOをTHF(テトラヒドロフラン)に溶解した後、85℃に加熱し、エタノールに溶解したカプトリルを滴下して、12時間還流した。その後、pH10のNaOH水溶液を加え、90℃に加熱してTHFを蒸発させた。得られた未精製の蛍光ナノ粒子結合カプトリルについて、限外濾過膜(Microcon、Millipore社製)及びセフアデックスカラム(MicroSpin G−25Columns、Amersham Blosciences社製)を用いて未反応物の精製・濃縮を行い、蛍光ナノ粒子結合カプトリルを得た。
(実施例2)
蛍光ナノ粒子の平均粒子径を560nm(黄色)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして蛍光ナノ粒子結合カプトリルを作製した。
(比較例1)
蛍光ナノ粒子に結合したTOPOをカプトリルに交換しなかった以外は、実施例1と同様にして蛍光ナノ粒子結合TOPOを作製した。
(評価)
(1)蛍光ナノ粒子結合カプトリルの確認
(1−1)目視による確認
実施例1、2で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル、比較例1で得られた蛍光ナノ粒子結合TOPO及びカプトリルを5mg/mLの濃度となるように精製水に溶解し、250mMのNaOH水溶液を用いて100倍に希釈して、室温で15分間静置した後、遠心分離を行った。次いで、365nmの波長(UV−A)の紫外線を照射して、1/25秒の露光時間でデジタルカメラを用いて撮影を行い、蛍光ナノ粒子結合カプトリルの分散状態及び蛍光の有無を目視にて確認した。
結果を図4(a:比較例1、b:実施例1、c:実施例2、d:カプトリル)に示した。
図4から、試料液として蛍光ナノ粒子結合カプトリル溶液を用いた場合は、遠心分離を行った後も溶液中に均一に分散しており、沈殿が生じていないことがわかった(図4b、c)。また、これより蛍光ナノ粒子の大きさに関わらず、蛍光ナノ粒子とカプトリルとを結合することができることもわかった。
一方、比較例1で得られた蛍光ナノ粒子結合TOPOを含有する溶液を試料液として用いた場合は、TOPOが脂溶性であるため、水には溶解せず、遠心分離によって沈殿していた(図4a)。また、カプトリルを含有する溶液を用いた場合は、蛍光ナノ粒子を有していないことから発光しない(図4d)。
(1−2)HPLCによる確認
実施例2で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル溶液及びカプトリル溶液について、HPLC(Waters 600E Multisolvent Delivery System,Waters 2487 Dual λ absorbance Detector and Waters 2475 Muiti λ Fluorescence Detector)を用いた検出を行い、蛍光ナノ粒子結合カプトリルの精製を確認した。検出には、ゲル濾過カラム(MAbTrap Kit、Amersham Biosciences社製)を用い、メタノールを展開溶媒とした。また、展開溶媒の流速は2mL/minとし、カプトリルの吸収が最も顕著である370nmでの吸収を測定した。結果を図5(a:カプトリル、b:実施例2)に示した。
図5より、試料液としてカプトリル溶液を用いた場合は、ピークが33分付近に検出されるのに対し(図5a)、実施例2で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル溶液を用いた場合は蛍光ナノ粒子の影響で分子量が大きくなり、23〜24分にピークが検出された(図5b)。また、黄色の蛍光ナノ粒子の蛍光ピークである560nmにおける蛍光強度を測定したところ、吸光の場合と同様の位置に蛍光ナノ粒子結合カプトリルの強いピークが検出された。以上のことから、蛍光ナノ粒子結合カプトリルが精製されていることが確認された。
(2)ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害活性の測定
CushmanとCheungの方法に従い、angiotensin I−converting enzyme(ACE)阻害活性を測定した。
具体的には、1.2MのNaCl水溶液50μLに、精製水50μL又は試料液50μLを加え、更に、6mUのACE(Sigma社製)を含有するpH8.3のホウ酸緩衝液50μLを加え、37℃で3分間インキュベートした後、10mM hippuryl−His−Leu(Peptide Institute社製)を含有するpH8.3のホウ酸緩衝液50μLを加え、37℃で30分間インキュベートし、反応させた。次いで、1Nの塩酸200μLを加えて反応停止し、5分後、酢酸エチル1mLで遊離した馬尿酸を抽出した。1500rpm、10分間の遠心後、上清の酢酸エチルを500μL回収した。回収した馬尿酸を遠心エバボレーター(CC−181、トミー精工社製)で蒸発乾固した後、精製水1mLに溶解し、吸光光度計(Ultrospec 2100 pro、Amersham Bioscience社製)を用いて228nmでの吸光度を測定した。なお、試料液としては、実施例1で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル溶液、ネガティブコントロールとして水酸基が結合した蛍光ナノ粒子溶液、及び、ポジティブコントロールとしてカプトリル溶液を用いた。また、ACE阻害率(%)は、試料液によりもたらされた吸光度の低下割合で表した。
結果を図6に示した。
図6より、実施例1で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル溶液及びカプトリル溶液では、カプトリルが有するACE阻害活性により、優れたACE阻害活性を示し、実施例1で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル溶液はポジティブコントロールとしたカプトリル溶液とほぼ同等のACE阻害活性を示していることがわかった。一方、ネガティブコントロールとした水酸基が結合した蛍光ナノ粒子溶液は、ほとんどACE阻害活性を示さなかった。以上のことから、実施例1で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル溶液はin vitroにおいてカプトリルが有するACE阻害活性を保持していることが明らかとなった。
(3)血圧降下効果の確認
12週齢のStroke−Prone Spontaneously Hypertensive Rats(SHR−SP)(体重250±20g)をエーテルで麻酔した後、3mg/kgになるように試料液を頸動脈より投与し、tail−cuff法によりsystolic blood pressure(SBP)収縮期血圧を測定した。
なお、試料液としては、実施例1で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル溶液及び生理食塩水を用い、検体数は4とし、測定は投与前、15分後、30分後、60分後について行った。
結果を図7に示した。
図7より、生理食塩水を投与した場合についても麻酔の影響のため、投与後30以内では収縮期血圧は低下したが、実施例1で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル溶液を投与した場合は、有意に最大血圧降下が大きく、血圧低下の保持時間も長かった。このことから、蛍光ナノ粒子結合カプトリルは、カプトリルの薬効を維持したまま蛍光ナノ粒子に結合していると考えることができる。
(4)血漿中蛍光ナノ粒子結合カプトリル濃度の測定
蛍光強度計(FP−6500、JASCO社製)を用いて、血漿中の実施例1で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリルの640nmにおける相対蛍光強度を計測した。まず、640nmの平均粒子径を有する蛍光ナノ粒子が結合された実施例1の蛍光ナノ粒子結合カプトリルをSHRSPから採取した血漿で希釈していき、各点においての値をプロットし、希釈系列を作製した。
結果を図8に示した。
図8より、希釈系列は、R=0.99以上で直線上に乗ることが明らかとなった。
この結果を基に、SHRSPに試料液を投与後、1時間後、24時間後の血液及び未投与ラットの血液を採取して、遠心分離し、上清の血漿の相対蛍光強度を蛍光強度計を用いて計測し、得られた相対蛍光強度から血中濃度を算出した。更に、ACE阻害活性を測定した。
相対蛍光強度、血中濃度及びACE阻害率を表1に示した。
また、365nmの波長(UV−A)を有する紫外線を照射して、1/25秒の露光時間でデジタルカメラを用い、血漿の蛍光状態を撮影した。
結果を図9(a:未投与、b:1時間後、c:24時間後)に示した。
表1より、未投与及び24時間後のラットにおける蛍光ナノ粒子結合カプトリル濃度は0mg/mLであり、1時間後のラットでは0.03mg/mLであった。また、24時間後には投与ラットの血圧は正常値に戻っているため、矛盾のない結果が得られた。
更に、ACE阻害率は、投与1時間後が91.1%であり、投与24時間後が28.8%となっていることから、蛍光ナノ粒子結合カプトリルのカプトリルは代謝されておらず、薬効を保持したまま血中に存在していることが明らかとなった。
(5)臓器の組織切片の観察
実施例1で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリルを未投与、及び、投与後1時間、24時間経過したSHR−SPから臓器(肝臓、肺、腎臓、脾臓、脳)の組織切片を採取した。採取した臓器を4%バラホルムアルデヒドに4時間浸して組織の固定を行った。その後、100%のエタノールに浸して、脱水を行い、3時間ごとにエタノールを計3回交換した。固定と脱水とを行った臓器を厚さ10μmのパラフィン切片にし、切片をスライドグラスに固定した。撮影は蛍光顕微鏡を用い、3秒の露光時間でデジタルカメラにより撮影し、蛍光ナノ粒子結合カプトリルの存在を確認した。
結果を図10(a:1時間後、b:24時間後)に示した。
図10より、投与1時間後及び24時間後の肝臓には、蛍光ナノ粒子結合カプトリルが確認された。他の組織には蛍光ナノ粒子が有する蛍光は確認されなかった。
(6)薬剤の動態測定
実施例1及び実施例2で作製した蛍光ナノ粒子結合カプトリルを固定分濃度0.1重量%となるように精製水に分散して蛍光ナノ粒子結合カプトリル分散液を調製した。
各蛍光ナノ粒子結合カプトリル分散液0.1mLをラットの背部皮下に投与し、紫外線を照射した後、高感度CCDカメラで蛍光を検出した。
また、実施例2で作製した蛍光ナノ粒子結合カプトリル分散液0.1mLをラットの背部皮下と、尾静脈から静脈内とに投与し、紫外線を照射した後、高感度CCDカメラで蛍光を検出した。
結果を図11に示した。なお、図11中、(a)の左側は、実施例1で作製した蛍光ナノ粒子結合カプトリル分散液を投与したラットのCCD写真であり、(a)の右側は、実施例2で作製した蛍光ナノ粒子結合カプトリル分散液を投与したラットのCCD写真であり、(b)は、実施例2で作製した蛍光ナノ粒子結合カプトリル分散液を背部皮下と、尾静脈から静脈内に投与したラットのCCD写真である。
図11より、蛍光ナノ粒子結合カプトリル分散液を背部皮下に投与した場合、投与した箇所で鮮明に蛍光が観察され、蛍光ナノ粒子結合カプトリル分散液を尾静脈から静脈内に投与した場合、投与箇所と肺とに蛍光が観察された。
本発明によれば、人体への危険が少なく、しかも、充分な薬効を発揮することができるマーカー付き医薬と、該マーカー付き医薬を用いた生体内における薬剤の存在部位や濃度を容易に測定することが可能な薬剤の動態測定システムを提供することができる。
本発明のマーカー付き医薬の一例を示す模式図である。 本発明の薬剤の動態測定システムにより、生体中の薬剤の存在位置や濃度(2次元)を測定する原理について説明する模式図である。 本発明の薬剤の動態測定システムにより、生体中の薬剤の存在位置や濃度(3次元)を測定する原理について説明する模式図である。 実施例1、2で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル、比較例1で得られた蛍光ナノ粒子結合TOPO及びカプトリルの分散状態及び蛍光の有無を示す写真である。 実施例2で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル溶液及びカプトリル溶液の370nmでの吸収を示すチャートである。 実施例1で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル溶液、水酸基が結合した蛍光ナノ粒子溶液及びカプトリル溶液のACE阻害率を示すグラフである。 実施例1で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリル溶液及び生理食塩水のSBP収縮期血圧を示すグラフである。 実施例1で得られた蛍光ナノ粒子結合カプトリルの640nmにおける相対蛍光強度と濃度との関係を示すグラフである。 実施例1の蛍光ナノ粒子結合カプトリルを未投与、投与1時間後及び投与24時間後の蛍光状態を示す写真である。 実施例1の蛍光ナノ粒子結合カプトリルを投与1時間後及び24時間後の肝臓を撮影した写真である。 実施例1、2の蛍光ナノ粒子結合カプトリル分散液を投与したラットの様子を示す高感度CCD写真である。

Claims (4)

  1. 蛍光ナノ粒子が結合した薬効成分分子を含有することを特徴とするマーカー付き医薬。
  2. 蛍光ナノ粒子の発する蛍光の波長と、薬効成分分子の吸光域とが一致しないことを特徴とする請求項1記載のマーカー付き医薬。
  3. 蛍光ナノ粒子が結合したカプトリルを薬効成分とすることを特徴とするマーカー付き高血圧治療薬。
  4. 蛍光ナノ粒子が結合した薬効成分分子を含有するマーカー付き医薬と、生体外から前記蛍光ナノ粒子の発する蛍光を測定する装置とからなることを特徴とする薬剤の動態測定システム。
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