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JP2006008994A - 摺動被膜、摺動部材、摺動被膜用組成物、摺動装置、斜板式コンプレッサ、摺動被膜の形成方法および摺動部材の製造方法 - Google Patents

摺動被膜、摺動部材、摺動被膜用組成物、摺動装置、斜板式コンプレッサ、摺動被膜の形成方法および摺動部材の製造方法 Download PDF

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JP2006008994A
JP2006008994A JP2005144175A JP2005144175A JP2006008994A JP 2006008994 A JP2006008994 A JP 2006008994A JP 2005144175 A JP2005144175 A JP 2005144175A JP 2005144175 A JP2005144175 A JP 2005144175A JP 2006008994 A JP2006008994 A JP 2006008994A
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JP2005144175A
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Inventor
Hiroyuki Kawaura
宏之 川浦
Takao Kobayashi
孝雄 小林
Goro Watanabe
吾朗 渡辺
Kenichi Suzuki
憲一 鈴木
Hideo Tachikawa
英男 太刀川
Hideo Hasegawa
英雄 長谷川
Manabu Sugiura
学 杉浦
Takahiro Sugioka
隆弘 杉岡
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Toyota Industries Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Industries Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

【課題】過酷な摺動条件下でも優れた耐焼付き性を発揮する斜板式コンプレッサを提供する。
【解決手段】本発明は、主軸の回転と共に揺動回転する斜板(60)と、斜板の揺動によってシリンダボア内を往復動するピストン(14)と、斜板とピストンとの係合部に介装される一対のシュー(76)とを備える斜板式コンプレッサであって、斜板および/またはシューの表面には摺動被膜が形成される。この摺動被膜は、固体潤滑剤と、固体潤滑剤を保持するバインダ樹脂と、このバインダ樹脂のガラス転移温度よりも低い融点をもつ低融点材を含有している。焼き付きを生じる際の発熱を低融点材の潜熱が吸熱するため、その分、バインダ樹脂の劣化が遅延されて高い耐焼付き性が得られる。
【選択図】図4

Description

本発明は、摺動面に形成される摺動被膜、その摺動被膜の形成に使用される摺動被膜用組成物、その摺動被膜を備えた摺動部材、その摺動部材から構成される摺動装置、その摺動装置の一例である斜板式コンプレッサ並びにその摺動被膜の形成方法やその摺動部材の製造方法に関するものである。
自動車に搭載されるエンジンやエアコン用斜板式コンプレッサ等の装置は、摺動する摺動部材を備える。斜板式コンプレッサを例にとれば、直線的な摺動を行うピストンとそれに摺接するシリンダボア、回転的な摺動を行う斜板とそれに摺接するシューさらには軸とそれを摺接しつつ支持する軸受などである。このような摺動部材の摺動面には、通常、潤滑油等が供給されて積極的な潤滑がなされている。斜板式コンプレッサの場合、基本的には、その内部に存在するミスト状の潤滑油によって摺動面間の潤滑性が保持される。
しかし、始動直後や急激な荷重変動などによって、一時的にしろ、摺動面間が貧潤滑状態さらには無潤滑状態となる場合もあり得る。そのような場合であっても、摺動面間の焼き付き等を抑止して、安定した摺動特性が確保されるのが好ましい。
このような観点から、例えば斜板式コンプレッサの場合、その斜板表面には固体潤滑剤を含む摺動被膜が設けられる。このような摺動被膜は、例えば下記の特許文献1〜3に開示されている。すなわち、特許文献1には、MoS2、ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)、グラファイト(Gr)等の固体潤滑剤を合成樹脂で固めた固体潤滑剤層(摺動被膜)で、両面が被覆された斜板が開示されている。特許文献2には、ピストンの圧縮行程中に大きな荷重が作用する面側に前記固体潤滑剤層を設け、反対面側を溶射層とした斜板が開示されている。特許文献3には、MoS2、PTFE、Grの他にNi、Fe、Cr、Coを混在させた固体潤滑剤層で、両面を被覆した斜板が開示されている。
特開平8−199327号公報 特開平11−193780号公報 特開2003−183685号公報
しかし、小形、軽量化やその他の厳しい要求により、摺動部材間に従来よりも大きな荷重が作用するようになった斜板式コンプレッサ等では、上述のような固体潤滑剤層を摺動面に設けただけでは、必ずしも十分な耐焼き付き性等を確保することは難しくなりつつある。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものである。すなわち、上述しような従来の固体潤滑剤層よりも優れた耐焼き付き性等を発現する摺動被膜を提供することを目的とする。また、その摺動被膜の形成に使用される摺動被膜用組成物、その摺動被膜を備えた摺動部材、その摺動部材から構成される摺動装置、その摺動装置の一例である斜板式コンプレッサを提供することを目的とする。さらには、その摺動被膜の形成方法やその摺動部材の製造方法も提供することを目的とする。
なお、上記特許文献2には、摺動被膜中に含まれる固体潤滑剤としてスズ(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)も例示されているが、実際にそれらを混在させた摺動被膜については何らの開示もない。特許文献2は、あくまでも、それらの金属を固体潤滑剤の1種として取扱っているに過ぎない。また、Sn系メッキやSn系溶射を行う旨の開示はあるが、それらはあくまでも、固体潤滑剤を含む摺動被膜の下地処理と考えているに過ぎない。
上記特許文献3は、固体潤滑剤層に混在させるNiの微粉末が、その固体潤滑剤層中にあるMoS2やグラファイト(Gr)の相手摺動面への付着を助長する作用をもつことを開示している。このような作用は、後述する本発明のSn等と全く異なる作用である。従って、以下に説明する本発明のSn等と、特許文献3に開示されたNi等とは、全く思想的に異なるものである。
これまで斜板式コンプレッサについて例示したが、上述したことは、ベーン式コンプレッサ、スクロール式コンプレッサさらには他の形式のコンプレッサであっても同様であるし、コンプレッサに限らず、過酷な条件下で作動する摺動装置一般についても同様である。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、従来の固体潤滑剤の他に、さらにSn等の低融点材料を摺動被膜中に含有させることを新たに思いつき、その摺動被膜が優れた耐焼き付き性を発揮することを確認して、本発明を完成するに至った。
(摺動被膜)
すなわち、本発明の摺動被膜は、固体潤滑剤と、該固体潤滑剤を基材の表面部に保持するバインダ樹脂とからなる摺動特性に優れた摺動被膜であって、さらに、前記バインダ樹脂のガラス転移温度よりも低い融点をもつ低融点材を含有していることを特徴とする。
本発明の摺動被膜を基材の表面に設けると、従来の摺動被膜を設けた場合に比較して、基材とその摺動相手材との間の耐焼き付き性が向上し、その基材を備えた摺動装置の信頼性や耐久性が向上する。また、本発明の摺動被膜によれば、耐焼き付き性の向上に限らず、摺動部材の耐摩耗性の向上や摺動面間での摩擦係数の低減等も期待できる。なお、以下では適宜、耐焼き付き性の他に耐摩耗性や低摩擦係数化等も含めて「摺動特性」という。
本発明の摺動被膜が優れた摺動特性を発現する理由は定かではない。しかし、貧潤滑状態または無潤滑状態といった厳しい潤滑状態下で、本発明の摺動被膜に含まれる低融点材は、少なくとも、摺動によって生じる摩擦熱を効果的に吸熱すると考えられる。これにより、摩擦熱による摺動被膜の劣化が抑制され、摺動被膜が延命する結果、摺動部材間の耐焼き付き性が向上したのではないかと現状考えられる。以下、この点を詳しく説明する。
これまでも、貧潤滑状態や無潤滑状態となった場合でも、基材およびその相手材(以下、両者を適宜「摺動部材」という。)の焼き付きを抑止するために、固体潤滑剤を含む摺動被膜が設けられてきた。ところが、摺動部材の運転状況や潤滑状態が最近さらに厳しくなり、従来の摺動被膜では必ずしも十分な耐焼き付き性を確保することが困難になりつつあることは前述した通りである。
この理由として、本発明者は、前記摩擦熱による摺動被膜の早期劣化を考えた。すなわち、摺動部材が摺動する際、多かれ少なかれ摩擦熱を生じる。摺動面間に潤滑油が十分に供給されている状態であれば、そこに存在する潤滑油膜によって、摺動面間の摩擦係数が低減されたり、面圧が分散されたり、さらには潤滑油による放熱性もあるので、発生する摩擦熱も小さく、摺動被膜の劣化は当然に生じ難い。
しかし、貧潤滑状態や無潤滑状態になると、そのような効果が殆ど期待できなくなり、例え固体潤滑剤によって摺動面間の摩擦係数が多少低減されるとしても、所定時間経過後から摩擦熱が急激に増大して、摺動被膜の温度が急上昇し始める。
摺動被膜は、通常、摺動部材の表面に固体潤滑剤がバインダ樹脂によって保持された状態となっている。このバインダ樹脂の耐熱温度は、耐熱性に優れる代表的なポリアミドイミド(PAI)等の場合、400〜500℃程度ある。しかし、摩擦熱によって摺動被膜の温度が上昇すると、そのような耐熱性に優れたバインダ樹脂であっても、軟化(ガラス転移を含む)、劣化さらには破壊するようになる。こうなると、摺動部材の表面における固体潤滑剤の保持性が崩れ、摺動部材は摺動被膜を介さずに基材が相手材と直接的に摺接したりするようになって、やがて焼き付きに至ると考えられる。
本発明の摺動被膜の場合であっても、過酷な摺動環境下では、摺動被膜の温度が急上昇し始めるのは同様である。
ところが、本発明の摺動被膜の場合、摺動被膜中にバインダ樹脂のガラス転移温度よりも低い融点をもつ低融点材が混在している。摩擦熱によって摺動被膜の温度が急激に上昇し始めると、バインダ樹脂がその軟化に至る前に、低融点材が比熱より遙かに大きい潜熱によって摩擦熱を大量に吸熱する。その結果、摺動被膜の温度上昇が抑止され、バインダ樹脂の軟化ひいては摺動被膜の劣化が抑制または遅延される。こうして、固体潤滑剤を摺動部材の表面にしっかりと保持した状態がより長く維持されるようになる。
要するに、本発明の摺動被膜は、バインダ樹脂のガラス転移温度よりも低い融点をもつ低融点材によって、摩擦熱による摺動被膜の温度上昇が抑制、遅延されて、摺動被膜による安定した摺動特性が従来以上に長く維持される。その結果、摺動部材間の耐焼き付き性が著しく向上したと考えられる。但し、このような作用効果は、本発明の摺動被膜が優れた耐焼き付き性を発現するための一要因に過ぎないとも考えられ、上述したメカニズムによって、本発明の摺動被膜の優れた摺動特性の全てが説明され得るものでもないことを断っておく。後述するが、相手材の摺動表面に特定の成分(摺動生成物形成元素)が存在する場合、それと本発明の摺動被膜中の低融点材とによって新たな摺動生成物が形成されることを本発明者は確認している。その摺動生成物は、上記耐焼き付き性の向上に留まらず、摺動面間の摩擦係数の低減や耐摩耗性の向上といった、さらなる摺動特性の向上効果をも発現させると考えられる。
なお、本発明でバインダ樹脂のガラス転移温度を低融点材の融点の閾値として導入したのは、そのガラス転移温度が樹脂(特にポリマー)の耐熱性を指標する重要な特性だからである。また、本発明には、実質的に摺動被膜のみから構成される部品(例えば、軸受)等も概念的に含まれる。
(摺動部材)
本発明は、上記摺動被膜を備えた摺動部材としても把握できる。
すなわち、本発明は、基材と、該基材の表面に形成された請求項1に記載の摺動被膜とからなることを特徴とする摺動部材としても良い。このような摺動部材の代表例は、斜板式コンプレッサの斜板である。
(摺動装置および斜板式コンプレッサ)
本発明は、上記摺動部材を備えた摺動装置としても把握できる。
すなわち、本発明は、前記摺動被膜が表面に形成された基材と、該基材の該摺動被膜に摺接する相手材とからなることを特徴とする摺動装置としても良い。
このような摺動装置は、例えば、斜板式コンプレッサでも良いし、斜板式以外のコンプレッサでも良いし、さらにはコンプレッサでなくても良い。ここでは、摺動装置の代表例として、斜板式コンプレッサを取上げて説明する。斜板式コンプレッサにも種々あり、例えば、容量可変型斜板式コンプレッサ、容量固定型斜板式コンプレッサ、片頭型斜板式コンプレッサ、両頭型斜板式コンプレッサ等がある。
具体例は、主軸と、該主軸と共に回転する斜板と、軸方向に延在し該斜板側に開口した筒状のシリンダボアを有するシリンダブロックと、該斜板に係合して該斜板の揺動を受ける係合部と該係合部に連なり該シリンダボア内に嵌挿されて該斜板の揺動に応じて該シリンダボア内を往復動する頭部とを有するピストンと、該ピストンの係合部に揺動可能に保持されて該斜板の表面に摺接する一対のシューとを備える斜板式コンプレッサである。この場合、前記斜板および/または前記シューの表面に、本発明の摺動被膜が形成されていると好適である。なお、ピストンの数は単数でも複数でも良い。シューは、ピストン一つあたりに一対であって、ピストンが複数ならシューも複数対となる。
(摺動被膜用組成物)
本発明は、上記摺動被膜を形成する際の原料となる摺動被膜用組成物としても把握できる。
すなわち、本発明は、固体潤滑剤と、バインダ樹脂と、該バインダ樹脂のガラス転移温度よりも低い融点をもつ低融点材とからなり、前記摺動被膜が得られることを特徴とする摺動被膜用組成物としても良い。このような摺動被膜用組成物の具体例として、摺動被膜用塗料または摺動被膜用転写膜がある。
(摺動被膜の形成方法)
本発明は、上記摺動被膜の形成方法としても把握できる。
(1)先ず本発明は、バインダ樹脂のワニス中に、該バインダ樹脂のガラス転移温度よりも低い融点をもつ低融点材および固体潤滑剤を分散させた摺動被膜用塗料を基材の表面に塗布する塗布工程と、該塗布工程後に形成された塗膜を加熱して焼成する焼成工程とを備え、上記摺動被膜が得られることを特徴とする摺動被膜の形成方法としても良い。
(2)次に本発明は、バインダ樹脂と該バインダ樹脂のガラス転移温度よりも低い融点をもつ低融点材と固体潤滑剤とを混合したペーストを印刷した転写膜を基材の表面に転写する転写工程と、該転写工程後に該基材の表面に形成された転写膜を加熱して焼成する焼成工程とを備え、上記摺動被膜が得られることを特徴とする摺動被膜の形成方法としても良い。
(摺動部材の製造方法)
本発明は、上記摺動部材の製造方法としても把握できる。
すなわち、本発明は、上述の摺動被膜の形成方法によって基材の表面に摺動被膜が形成された摺動部材が得られることを特徴とする摺動部材の製造方法としても良い。
発明の実施形態を挙げて、本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施形態を含め、本明細書で説明する内容は、本発明に係る摺動被膜に限らず、その他の摺動部材、摺動被膜用組成物、摺動装置、斜板式コンプレッサ、摺動被膜の形成方法および摺動部材の製造方法にも適宜適用できるものであることを断っておく。また、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なることを断っておく。
(1)低融点材
低融点材は、摺動被膜のバインダ樹脂のガラス転移温度よりも低い融点をもつものであり、バインダ樹脂との相関において選択、決定される。低融点材の代表例として、金属単体、合金、金属間化合物等の金属材料が考えられるが、これに限らず、金属元素と非金属元素との化合物でも良い。また、無機材料に限らず、合成樹脂のような有機材料でも良い。低融点材は、それらの各種材料の単種から構成されても良いし、それらを適宜組み合わせた複数種から構成されても良い。
バインダ樹脂として耐熱性に優れる代表的なポリイミド(PI)やポリアミドイミド(PAI)を考えると、それらのガラス転移温度(Tg)は200〜500℃程度である。これを踏まえて、低融点材の一例を以下に挙げる。なお、括弧内の数値はその溶融温度である。
金属単体では、インジウム(In:157℃)、スズ(Sn:232℃)、ビスマス(Bi:271℃)、鉛(Pb:327℃)などの低融点金属の単体がある。勿論、低融点材はこれらの低融点金属の合金でも良い。Sn系合金(共晶組成)の例を挙げれば、Sn−52In(118℃)、Sn−58Bi(139℃)、Sn−37Pb(183℃)、Sn−3.5Ag(221℃)、Sn−0.7Cu(227℃)等がある。さらに、Sn−3Ag−0.5Cu(217〜220℃)、Sn−3Ag−2Bi−1In(209〜217℃)がある。括弧内の数値は「固相線温度〜液相線温度」を示し、各合金組成はいずれも質量%(全体:100質量%)で示した。
このように低融点材として、種々のものを考えることができるが、低融点材がSn単体、Sn合金またはSn化合物の1種以上であると好ましい。これらのSn系材料は融点も低く潜熱も大きい。また、Snは、比較的安価に入手できるし、環境負荷の小さい元素でもある。
摺動被膜中における低融点材の割合は、摺動被膜の仕様、使用する固体潤滑剤やバインダ樹脂の種類や割合に応じて適宜決定されるので、一概に特定するのは難しい。摺動被膜全体を100質量%としたときに、低融点材の下限が0.1質量%、0.2質量%、0.5質量%さらには2質量%であると良く、その上限は60質量%、50質量%さらには40質量%とであると良い。こららの上下限は適宜組合わせることができる。
低融点材が少しでも摺動被膜中に存在すれば、摺動被膜の耐久性を高めることができ、耐焼き付き性の向上が図れるが、あまり過少ではその効果も少ない。一方、低融点材が過多になると、相対的に固体潤滑剤やバインダ樹脂が減少して摺動被膜自体の特性の低下を招くので好ましくない。
低融点材は、摺動被膜中またはその表層近傍に均一に分散しているのが好ましいので、摺動等によって過熱されていない少なくとも初期状態では、低融点材は(微)粒子状であると好ましい。その粒径やアスペクト比等の詳細な形態は問わないが、摺動被膜の仕様、低融点材粉末の入手性、コスト等を勘案して適宜選択される。一例を挙げると、低融点材の粒子径は、0.1〜100μm、0.1〜50μm、0.5〜20μmさらには1〜5μm程度であると良い。あまり過小な粒径の低融点材は、その入手が困難で高コストとなる。一方、その粒径が過大な低融点材は、摺動被膜から突出したりするので好ましくない。つまり、低融点材は、その最大粒径が所望する摺動被膜の膜厚以下であると良い。もっとも、摺動部材や摺動装置の仕様等によっては、一旦形成した摺動部材を研磨等してから使用する場合もあり、「低融点材の最大粒径が摺動被膜の膜厚以下」であることは必ずしも必須要件ではない。
なお、低融点材として使用する原料粉末は、機械粉砕した粉末でも、アトマイズ粉等でも良く、その製造方法は問わない。
但し、粉末状の低融点材を用いた場合であっても、摺動被膜中において低融点材が原料段階の形態を保持している必要はない。摺動被膜の形成後にその表面を研削加工または研磨加工したりして、低融点材の粒子形態が変化していても良い。バインダ樹脂のガラス転移温度未満で摺動被膜が加熱されて、低融点材が全体的にまたは部分的に溶融等して摺動被膜中に拡散した状態となっていても良い。
低融点材は、摺動被膜中において、そのような形態に限らず、材料的に存在形態を変える場合も考えられる。例えば、低融点材の原料粉末としてSn粉末を使用し、Sn粒子の分散した摺動被膜を形成したとする。その後にその摺動被膜が加熱等された場合に、そのSnが他の元素と反応して化合物となったり、合金等を形成したりする場合も当然に考えられる。この新たな生成物(後述の摺動生成物を含む)も、バインダ樹脂のガラス転移温度未満の融点をもつ限り、本発明の低融点材に含まれる。つまり、本発明でいう低融点材は、出発物質が摺動被膜中でそのままの状態を維持している必要はなく、摺動被膜の形成後に変化したものでも良い。例えば、前記新たな生成物として、前述したSn−0.7CuやSn−3.5Ag等の低融点合金が考えられる。摺動被膜の形成段階では、例えば、Sn粉末と併せて、例えば、適量のCuやAgの粉末を混在させておく。その後、摺動被膜のバインダ樹脂を焼成する段階や、摺動被膜を使用した段階で、SnとCuやAgとがSn−Cu合金やSn−Ag合金を形成して、新たな低融点材となっても良い。
バインダ樹脂のガラス転移温度前に、摺動被膜中の低融点材が受熱する摩擦熱の総量は、低融点材の含有量によって大きく影響されると考えられる。しかし、短時間の受熱であれば、それのみに限らず、低融点材の粒度分布等も摺動被膜の温度上昇等に影響すると考えられる。従って、摺動被膜の要求仕様に応じて、低融点材の摺動被膜中における割合や形態を調整するのが良い。
(2)バインダ樹脂
バインダ樹脂によって、固体潤滑剤および低融点材が基材表面に定着、保持される。このバインダ樹脂の種類は特に問わないが、バインダ樹脂自体が摺動特性に優れたものであるとより好ましい。
バインダ樹脂は、摺動被膜の仕様に応じて、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂や非熱可塑性樹脂または結晶性樹脂や非結晶性樹脂を適宜選択できる。その一例を挙げると、ポリアミドイミド(PAI、Tg=280℃)、ポリイミド(PI、Tg=410℃)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK樹脂、Tg=143℃)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、液晶ポリアレート(LCP、Tg=360℃)、ポリエーテルスルホン(PES、Tg=230℃)、ポリエーテルイミド(PEI、Tg=217℃)等がある(括弧内の数値はガラス転移温度Tgである。)。特に、耐摩耗性等の摺動特性、耐熱性、経済性等に優れるバインダ樹脂として、PAI等が好適である。
バインダ樹脂は、単種の樹脂のみである必要はなく、複数種の樹脂を混合したものであっても良い。さらに、樹脂単体ではなく、その樹脂に強化粒子を分散させて、バインダとしての機能を強化したものでも良い。バインダ樹脂中での固体潤滑剤、低融点材さらには強化粒子のなじみ性を向上させるために、適宜、カップリング剤を使用しても良い。また、バインダ樹脂中に固体潤滑剤等を分散させる際、溶剤等を使用しても良い。
摺動被膜中のバインダ樹脂の割合は、適量の固体潤滑剤や低融点材等以外の残部と考えれば良い。もっとも、例えば、摺動被膜全体を100容量%としたとき、バインダ樹脂の下限が20容量%さらには30容量%であれば良く、その上限は80容量%さらには70容量%であればより良い。こららの上下限は適宜組合わせることができる。
バインダ樹脂が過少であると、固体潤滑剤や低融点材の脱落等を生じて、摺動被膜の耐摩耗性が低下する。逆に、バインダ樹脂が過多になると、相対的に固体潤滑剤量や低融点材が過少となり、摺動被膜の摺動特性が低下する。バインダ樹脂は、その種類、使用する固体潤滑剤等や摺動被膜の仕様等によって、その割合が適宜調整されるのが好ましい。
(3)固体潤滑剤
固体潤滑剤の種類は問わないし、単種の固体潤滑剤に限らず、複数種の固体潤滑剤を混合等して使用しても良い。複数種の固体潤滑剤を使用することで、各固体潤滑剤の摺動特性が補完され、全体的に観れば摺動特性に優れた摺動被膜が得られる。
このような固体潤滑剤として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、二硫化モリブデン(MoS2)、二硫化タングステン(WS2)、フッ化カルシウム(CaF2)、グラファイト(Gr)、窒化ホウ素(BN)等がある。
摺動被膜中の固体潤滑剤の割合は、摺動被膜の仕様によって異なるが、例えば、摺動被膜全体を100容量%としたとき、その下限が20容量%さらには30容量%であれば良く、その上限は80容量%さらには70容量%であれば良い。こららの上下限は適宜組合わせることができる。
固体潤滑剤は、特に、PTFE、MoS2またはグラファイトの1種以上からなると好ましく、さらにはそれら3種が同時に配合されていると一層好ましい。各固体潤滑剤の割合は、摺動被膜全体を100容量%としたときに、PTFEが10〜40容量%、MoS2が5〜30容量%、グラファイトが10〜30容量%であると好ましい。その場合のバインダ樹脂として、例えば、50〜80容量%のPAIが好ましい。
固体潤滑剤量が過少であると、摺動被膜の摺動特性が低下し、固体潤滑剤量が過多になると、摺動被膜中のバインダ樹脂や低融点材の割合が相対的に減少して固体潤滑剤の脱落等により摺動被膜の耐摩耗性等が低下する。最適な固体潤滑剤の範囲は、その種類、摺動被膜の仕様等によって適宜調整されるのが好ましい。
(4)基材、相手材および摺動部材
基材は、摺動部材のベースである。摺動部材は、その基材の少なくとも一面が摺動被膜で被覆された摺動面となっているものである。基材の材質は、アルミニウム合金、マグネシウム合金、鉄鋼、鋳鉄、セラミックス、樹脂等のいずれの材質でも良く、板状、円筒状、球面状等のいずれの形状でも良い。
基材の表面と摺動被膜との密着性を高めるために、切削加工、ショットピーニング、陽極酸化処理等によって基材表面を適当な面粗度にしたり(粗面化したり)、その表面に溶射層を設けたりしても良い。
相手材は、その摺動部材と摺接しつつ相対運動を行う部材である。その表面性状や材質は問わないが、基材の場合と同様に本発明のような摺動被膜が形成されていても良い。材質や形状についても、基材の場合と同様である。なお、本明細書では、便宜上、基材表面に本発明の摺動被膜が形成されたものを本発明の「摺動部材」と呼んでいるが、適宜、相手材をも含めて単に「摺動部材」とも呼ぶ。
本発明の摺動部材は、優れた摺動特性を発現するので、苛酷な摺動条件下で使用される部材として好適である。例えば、シャフト、軸受のレース、内燃機関のピストン、自動車エアコン用の斜板式コンプレッサの斜板やシュー等である。
摺動部材の用途に応じて要求される摺動特性は異なるが、本発明の摺動被膜の厚みは0.1〜120μm、5〜100μmさらには5〜60μmであると好適である。摺動被膜をあまり薄くし過ぎると長期的に安定した摺動特性を確保し得ず、摺動被膜を厚くし過ぎると摺動被膜の形成に長時間を要し高コストとなり好ましくない。
(5)摺動生成物
本発明の摺動被膜が従来の摺動被膜に比較して優れた耐焼き付き性を発現する理由として、前述したように、低融点材による摩擦熱の吸熱効果が考えられる。しかし、本発明者が種々の試験、分析を繰返し鋭意研究したところ、特定の摺動条件の下では、摺動面に新たな摺動生成物が形成されていることが確認された。この摺動生成物が摺動部材間の摺動特性のさらなる向上に多かれ少なかれ寄与しているのではないかと考えられる。具体的には、摺動生成物が摺動面間の低摩擦係数化や摺動被膜の耐摩耗性をより促進して、前述した耐焼き付き性の向上に加えて、摺動被膜の摺動特性、信頼性や耐久性を一層向上させていると考えられる。
この摺動生成物は、低融点材(またはその一部の構成成分)と反応して形成された新たな合金または化合物(金属間化合物を含む)と考えられる。低融点材と反応して摺動生成物を形成する摺動生成物形成元素は、摺動被膜中に低融点材と共に含有されていても良いし、摺動被膜と摺接する相手材の摺接面近傍に存在していても良い。但し、摺動被膜がその中に低融点材と摺動生成物形成元素の両方を含んでいると、相手材の成分に関わりなく摺動生成物が形成されるので好ましい。
摺動生成物形成元素が相手材側に存在するとき、基材側と相手材側との間で摺動生成物の構成元素の移動が生じることになる。例えば、相手材の摺動面に摺動生成物が形成される場合、基材側の摺動被膜中の構成成分が相手材へ移動していることになる。逆の場合も同様である。摺動生成物は、摺動被膜を設けた基材側に形成されても相手材側に形成されても良いし、両側に形成されても良い。さらに、摺動生成物は、摺動面全体を覆う膜状でも良いし、摺動面を部分的に覆う膜状でも良いし、摺動面に点在した状態でも良く、その存在形態は問わない。
このような摺動生成物の一例として、Sn、Pb、InまたはBiからなる低融点金属と摺動生成物形成元素であるNiとのNi合金またはNi化合物がある。例えば、低融点材がSnを含み、摺動生成物形成元素がNiであるとき、その摺動生成物はSn−Ni化合物等である。斜板式コンプレッサを一例にあげると、斜板表面に低融点材をSnとする摺動被膜が形成されており、その斜板と摺動するシューの表面にはNiメッキが形成されている場合、新たな摺動生成物としてSn−Ni化合物層が形成されることがある。
さらなる一例として(二次)摺動生成物層の形成がある。固体潤滑剤にSnと共にMoS2粒子が含まれている場合、摩擦によって摺動被膜表面にSn−S−Moを含む摺動生成物層が早期に形成されて、この摺動生成物層により摺動被膜の耐摩耗性がさらに向上したと考えらる場合があった。なお、複数の摺動生成物が順次形成される場合もあり得る。この場合は、それらの摺動生成物を順に一次摺動生成物、二次摺動生成物等と呼び、便宜的に区別する(摺動面側の摺動生成物程、高次数とする)。
(6)摺動被膜用組成物、摺動被膜の形成方法または摺動部材の製造方法
本発明の摺動被膜用組成物は、摺動被膜の形成に必要な成分、つまり、固体潤滑剤、バインダ樹脂および低融点材を最低限含むものである。摺動被膜の仕様によって他の成分を含有していても良い。また、摺動被膜用組成物は、摺動被膜の形成方法に応じた形態をとる。例えば、摺動被膜を基材の表面に塗布形成する場合、摺動被膜用組成物はバインダ樹脂をワニス状にした摺動被膜用塗料となる。また、摺動被膜を転写方式で形成する場合、転写膜をスクリーン印刷等し易いように、摺動被膜用組成物は、例えば摺動被膜用ペーストとなる。
摺動被膜用塗料を用いて摺動被膜を基材の表面に形成する場合、例えば、溶剤等によって塗布方法に応じて適当な粘度に調整された摺動被膜用塗料を基材へ塗布する塗布工程、その塗布工程後の塗膜を焼成させる焼成工程からなる。塗布工程は、刷毛塗り、スプレー塗布、塗料浴への浸漬等によって行える。より具体的には、ローラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー、静電塗装、電着塗装、スクリーン印刷など公知の塗布方法を使用すれば良い。
焼成工程は、基材表面に塗布した塗膜を所定条件下で加熱して、強固な摺動被膜を形成すると共にその摺動被膜を基材表面に密着させる工程である。この焼成工程は、塗布工程後の塗膜を乾燥させる乾燥工程を兼ねるものであっても良い。また、熱硬化性樹脂からなるバインダ樹脂は、この焼成工程で架橋等が進み硬化する。
転写方法によって摺動被膜を基材の表面に形成する場合、例えば、摺動被膜用ペーストを台紙上にスクリーン印刷して転写膜を形成する転写膜形成工程と、その転写膜を基材の表面に転写する転写工程と、基材の表面に転写した転写膜を焼成する焼成工程とからなる。
摺動被膜の形成方法について説明したが、摺動部材の製造方法についても同様に考えられる。
(7)摺動装置
本発明の摺動装置は、本発明の摺動被膜が摺動面に形成された摺動部材と、それと摺動する相手材とを備える装置である。このような摺動装置として、多種多様なものを考えることができ、例えば、自動車関連だけでも、エンジン、各種ポンプ、エアコン用の斜板式コンプレッサ等がある。以下では、車両用エアコンの冷媒圧縮機である斜板式コンプレッサを一例として取りあげ、その斜板に本発明の摺動被膜を形成した場合について図面を用いて詳しく説明する。
本発明の摺動装置の一実施形態である斜板式コンプレッサCの断面を図1に示す。斜板式コンプレッサCは、図左側から順に、フロントハウジング16、シリンダブロック10およびリヤハウジング18によってハウジング21が形成され、その内部には、回転軸50、斜板60、片頭ピストン14(以下、ピストン14と略称する)、電磁制御弁90等が設けられている。
シリンダブロック10には、軸心方向に延在する複数の円筒状のシリンダボア12がその軸心を円環状に囲むように形成されている。各シリンダボア12には、ピストン14が往復運動可能に嵌挿されている。シリンダブロック10の軸方向の一端面には、フロントハウジング16が取り付けられ、他方の端面には、リヤハウジング18がバルブプレート20を介して取り付けられている。
リヤハウジング18とバルブプレート20との間には、吸入室22、吐出室24が設けられ、それぞれ、吸入ポート26、供給ポート28を経て、図示しない冷凍回路に接続される。バルブプレート20には、吸入孔32、吸入バルブ34、吐出孔36、吐出バルブ38等が設けられている。
回転軸50は、シリンダブロック10の軸方向中央で枢支されている。回転軸50の一端部は、図示しない駆動源に連結される。回転軸50には、斜板60が軸方向に相対移動可能かつ傾動可能に取り付けられている。斜板60には、中心線を通る貫通穴61が形成され、この貫通穴61を回転軸50が貫通している。貫通穴61は、両端開口側ほど上下方向(図1)に内のり寸法が漸増させられ、それら両端部の横断面形状が長穴をなしている。回転軸50には回転板62が固定されており、スラストベアリング64を介してフロントハウジング16で支承されている。
斜板60は、ヒンジ機構66により、回転軸50と一体的に回転させられるとともに、軸方向の移動を伴う傾動が可能となっている。ヒンジ機構66は、回転板62に固定的に設けられた支持アーム67と、斜板60に固定的に設けられ、支持アーム67のガイド穴68にスライド可能に嵌合されたガイドピン69と、斜板60の貫通穴61と、回転軸50の外周面とを含むものである。
ピストン14は、斜板60の外周部を跨ぐ状態で係合させられる係合部70と、係合部70と一体に設けられ、シリンダボア12にそれぞれ摺動可能に嵌挿される頭部72とからなる。この頭部72は、中空状で軽量化されている。この頭部72、シリンダボア12およびバルブプレート20が共同して圧縮室を形成している。係合部70は一対の球冠状のシュー76を介して斜板60の外周部と係合している。なお、ピストン14を片頭ピストンと称するのは、係合部70の片側のみに頭部72を備えるからである。
ピストン14は斜板60の回転により往復運動する。詳しくは、斜板60の回転運動が、シュー76を介してピストン14の往復直線運動に変換される。ピストン14が上死点から下死点へ移動する吸入行程において、吸入室22内の冷媒ガスが吸入孔32、吸入バルブ34を経てシリンダボア12内の圧縮室に吸入される。ピストン14が下死点から上死点へ移動する圧縮行程において、シリンダボア12内の圧縮室の冷媒ガスが圧縮され、吐出穴36、吐出バルブ38を経て吐出室24に吐出される。冷媒ガスの圧縮に伴ってピストン14には、軸方向の圧縮反力が作用する。圧縮反力は、ピストン14、斜板60、回転板62およびスラストベアリング64を介してフロントハウジング16に受けられる。
シリンダブロック10を貫通して給気通路80が設けられている。この給気通路80により、吐出室24と、フロントハウジング16とシリンダブロック10との間に形成された斜板室86とが接続されている。給気通路80の途中には、電磁制御弁90が設けられている。この電磁制御弁90のソレノイド92への電流供給が、コンピュータを主体とする制御装置(図示省略)により、冷房負荷等の情報に応じて制御される。
回転軸50の内部には、排出通路100が設けられている。排出通路100は、一端においてシリンダブロック10の中心部に設けられた支持穴102に開口させられるとともに、他端において斜板室86に開口させられている。支持穴102は排出ポート104を経て吸入室22に連通する。
斜板式コンプレッサCは、可変容量型である。高圧側である吐出室24と低圧側である吸入室22との圧力差を利用して斜板室86内の圧力が制御される。この斜板室86の圧力とピストン14の前後に作用するシリンダボア12内の圧縮室の圧力との差が調節される結果、斜板60の傾斜角度が変更されピストン14のストロークが変更されて、圧縮機の吐出容量が調節される。斜板室86の圧力制御は、電磁制御弁90の励磁、消磁の制御に伴って、斜板室86が吐出室24に連通させられたり、遮断されたりすることによってなされる。
なお、本実施形態の斜板式コンプレッサにおいて斜板の傾斜角を変更する斜板傾斜角変更装置は、前述のヒンジ機構66を始めとして、シリンダボア12、ピストン14、吸入室22、吐出室24、支持穴56、給気通路80、斜板室86、電磁制御弁90、排出通路100、排出ポート104および図示しない制御装置等から構成されることになる。
シリンダブロック10およびピストン14は、アルミニウム合金製であり、ピストン14の外周面にはフッ素樹脂のコーティングがされている。フッ素樹脂コーティングは、同種金属との直接接触を回避して耐焼き付き性を高めると共に、シリンダボア12との間の嵌合隙間(クリアランス)を可及的に小さくする。
ピストン14の係合部70は、概してU字形をなし、頭部72の中心軸線と直交する方向に互いに平行に延びる一対のアーム部120、122と、これらアーム部120、122の基端同士を連結する連結部124とを備えている。アーム部120、122の互いに対向する側面には、それぞれシュー保持面となる凹球面128が形成されている。これら2つの凹球面128は同一球面上に位置している。
シュー76は、図2に示すように、外表面の一方が概して凸球面をなす球面部132と、他方が概して平面をなす平面部138とを有する球冠状である。一対のシュー76は、球面部132においてピストン14の凹球面128に摺動可能に保持され、平面部138において斜板60の外周部の両側面である両摺動面140、142に接触し、斜板60の外周部を両側から挟持する。一対のシュー76はその状態で球面部132の凸球面が同一球面上に位置するように設計されている。つまり、シュー76は、半球より斜板60の厚さのほぼ半分だけ小さい球冠状を成している。
斜板60の基材160は、ダクタイル鋳鉄(FCD700、FCD600、FCD500等)からなるが、機械構造用炭素鋼(S45C、S55C等)や、各種クロムモリブデン鋼(SCM)等又は銅合金であっても良い。
基材160の両側面162、163には、本発明に係る摺動被膜である固体潤滑剤層166が形成されている。この固体潤滑剤層166は、固体潤滑剤であるMoS2、グラファイト(Gr)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の混合物と、低融点材であるSnの微粉末と、バインダ樹脂であるポリアミドイミド(PAI)とからなる。固体潤滑剤層166の厚さは10〜20μm程度である。ここに示した固体潤滑剤層166は一例に過ぎず、斜板式コンプレッサCの仕様に応じて、適宜、他のものを使用することも可能である。
固体潤滑剤層166は、例えば、次のようにして形成される。上述した固体潤滑剤層166の構成成分からなる液状の塗料(摺動被膜用塗料)を基材160の外表面に、スプレー処理または転写処理(スクリーン印刷、ロールコート塗料)によって均一に付着させる。スプレー処理は、基材160を固定して、塗料を基材160へスプレーして均一に付着させる方法である。スプレー処理等の後に形成された塗布膜は、焼成により硬化される。最終的に、その表面が研磨されて、所定寸法および所定面粗度に調整された固体潤滑剤層166となる。
この固体潤滑剤層166の存在により、十分な耐焼き付き性や低摩擦性等の摺動特性を備えた斜板60が得られる。その結果、斜板式コンプレッサCは、無潤滑状態あるいは貧潤滑状態といった過酷な状況下で運転されたとしても、斜板60およびシュー76間(摺動部材間)の焼き付きが回避され、斜板式コンプレッサCの高い耐久性および信頼性が確保される。
なお、固体潤滑剤層166と同様の摺動被膜を、シリンダボア12の内周面やピストン14の頭部72の表面に形成しても良いし、シュー76の外周面や係合部70の凹球面128の表面に形成しても良い。
一対のシュー76は、SUJ2(高炭素クロム軸受鋼)からなることが多いが、例えば、アルミニウム合金の表面にNiメッキを施したものでも良い。具体的には、シリコンを含有するA4032相当のAl−Si系合金等のアルミニウム合金から成る基材に、Ni−P、Ni−B、Ni−P−B、Ni−P−B−W等のNi系めっき被膜を形成したものでも良い。この被膜は、単一被膜でも、複数の異種あるいは同種の被膜によって形成されてもよい。
固体潤滑剤層166のような摺動被膜、上記Niめっき被膜は、基材の全面を被覆するものでも良いが、摺動条件の厳しい部分のみを被覆するものであっても良い。
本発明の摺動装置の一実施形態として、可変容量型斜板式コンプレッサを説明したが、本発明の摺動装置がそれに限られないのはいうまでもない。摺動装置の一つであるコンプレッサの場合、その容量が可変でも固定でも良いし、圧縮方式は往復式(斜板式、ワッブル式等)でも回転式(ベーン式、スクロール式等)でも良い。エアコン用コンプレッサの場合、その冷媒の種類も問わない。代替フロンであっても良いし、CO2等であっても良い。
本発明の摺動被膜を備えた摺動部材を以下のように実際に製造し、その摺動被膜の摺動特性を評価した。
(摺動被膜用塗料の調製)
バインダ樹脂であるPAIの樹脂ワニスに、固体潤滑剤であるPTFE粉末(平均粒径:0.2〜100μm)、グラファイト(Gr)粉末(平均粒径:0.3〜10μm)およびMoS2粉末(平均粒径:3〜40μm)と、低融点材である各金属粉末(平均粒径:5〜20μm)を添加し、撹拌・分散させて、摺動被膜用塗料を製造した。
配合割合は、形成される摺動被膜全体(低融点材を除く)を100質量%(以下、単に「%」で表す。)としたときに、PAI:34.49%、PTFE:20.73%、グラファイト:10.85%、MoS2:33.93%となるようにした。低融点材の種類および配合量は表1に示した。
(供試材の製造方法)
斜板式コンプレッサの斜板への適用を想定して、鋳鉄製(FCD700製)の環状円板(φ95xφ16xt6mm)を基材として用意した。この基材の表面を脱脂、洗浄した後、その表面に上述した各種の摺動被膜用塗料を、その塗布量を調整しつつスプレー塗布した(塗布工程)。表面に塗膜が形成された基材を大気雰囲気の加熱炉に入れて、200℃x1時間の加熱を行い、乾燥および焼成した(焼成工程)。この基材を冷却後、摺動被膜表面を研磨加工して、摺動被膜の厚みを約10μmとした。このときの表面粗さはJIS Rz1.0〜3.2μmであった。こうして、摺動被膜で表面が被覆された摺動部材(供試材)が得られた。
この基材と摺接する相手材は、斜板式コンプレッサのシューを想定して、球冠状部材とした。この相手材の摺動面はφ13.5mmの円形状である。この相手材は、アルミニウム合金(Al−12Si−4Cu:質量%)からなり、その摺動面には厚さ約50μmの無電解Niメッキが施してある。また、軸受鋼であるSUJ2(JIS)からなり、その表面にメッキをしていない相手材も用意した。
(ドライロック試験)
図3に示すドライロック試験装置により、摺動被膜を施した基材(以下単に「斜板」という。)とNiメッキした相手材(以下単に「シュー」という。)とが焼き付くまでの焼き付き時間を測定した。この試験装置は、所定雰囲気の無潤滑状態(ドライ状態)中で、斜板とシューとの間に所定荷重を印加しつつ、両者を摺動させるものである。これにより、実機(斜板式コンプレッサ)での無潤滑状態に極めて近い状態が再現される。
具体的には、CO2ガスと代替フロンガス(R134a)の2つの試験雰囲気で試験を行った。2つのシューの図上方から印加した垂直荷重は200kgf(1961N)とした。斜板とシューとは平面接触した状態となっており、両者間の面圧は約2MPaとなる。摺動速度は10.4m/secとした。これは斜板とシューとの接触中心円上における平均速度である。言い換えるなら、シューを固定しつつ斜板を3000rpmで回転させて摺動させた。なお、シューを保持する球座には、シューの温度を測定する熱電対を埋め込んでおいた。
焼き付きが生じたか否かの判断は、斜板を一定速度で回転させる際に必要となる駆動モータのトルク変化を観察して行った。つまり、そのトルクの時間変化を連続的に計測しておき、トルクが急上昇したとき(15kgf・cm)に焼き付きを生じたと判断した。
こうして各摺動被膜による焼き付き時間を測定した結果を表1および表2に示した。表1は、2MPaのCO2ガスの試験雰囲気下で、摺動被膜中の低融点材の種類およびその含有量(摺動被膜全体を100質量%とした)を変更した場合の焼き付き時間を示したものである。表2は、表1の中でも特に摺動特性に優れていたSn系の低融点材を使用した場合について、シューの種類や試験雰囲気によって焼き付き時間がどのように変化するかを示したものである。
なお、表2中の供試材No.11は表1中の供試材No.1と、供試材No.14は供試材No.2と、供試材No.17は供試材No.6と、供試材No.20は供試材No.7と、供試材No.23は供試材No.8と、供試材No.26は供試材No.9とそれぞれ同じである。また、表2の焼き付き時間をグラフ化したものを図4に示した。図4中、●が複数あるのは、同一条件下の試験でも、焼き付き時間にバラツキがあるからである。それらに対応させて、表2にも焼き付き時間を複数記載した。
(リングオンブロック試験)
図5に示すリングオンブロック試験装置により、基材に摺動被膜を施した摺動部材の試験片について、摩擦力の時間的変化を測定した。この試験装置は、所定雰囲気の無潤滑状態(ドライ状態)中で、角柱ブロック状の試験片を、円筒状の相手材に所定荷重を印加しつつ摺動させて、試験片に加わる反力から摺動面に作用する摩擦力を測定するものである。ここで使用した試験片は、摺動被膜(厚み約20μm)で被覆された環状円板(前述の斜板)から切り出した6.5x7.0x6.0mmの角柱ブロック(図5)である。相手材の外周面は、試験片の摺動被膜と摺接する。相手材は、φ35mmのクロム鋼(JIS SCR420相当材)製で、その表面は浸炭処理がされており、表面粗さはRz1.7μm程度に研磨されてある。なお、試験片は、摺動被膜が低融点材であるSnを20質量%含むものと、低融点材を含まないものの2種類を用意した。
このリングオンブロック試験は、大気雰囲気中で10分間行った。試験片に図上方から印加した垂直荷重は0.87kgf(8.5N)とした。摺動速度は100mm/secの一定とした。言い換えるなら、試験片を固定しつつ相手材を54rpmで一定回転させて試験を行った。但し、この試験前には、上記摺動速度で、垂直荷重0.22kgf(2.2N)x1分間、次いで、垂直荷重0.44kgf(4.3N)x1分間の慣らし運転を予め行っておいた。なお、本試験の進行と共に、試験片と相手材との間の摺動面積が拡大するので、それに伴い面圧も低下するが、試験後の表面観察からして、両者間の面圧は10kgf/cm2(1MPa)程度であったと推定される。
リングオンブロック試験によって得られた摩擦力の時間変化を示すグラフを図6に示す。同図(a)は摺動被膜中に低融点材がない場合であり、同図(b)は摺動被膜中にSn20%含有させた場合である。
また、リングオンブロック試験後の各試験片の摺動面を観察したところ、摺動被膜に低融点材を含まない場合の摩耗幅は1.69mmであった。これを換算すると摩耗深さが約20.3μmに相当することとなる。一方、摺動被膜にSn20%を含む場合、摩耗幅が1.32mmで、これは摩耗深さが約12.4μmに相当する。各摩耗深さを図7に対比して示した。
(SEM分析およびEPMA分析)
摺動被膜中にSnを28%含む供試材を用いたドライロック試験(表2中の供試材No.14と同条件)後の斜板およびシューの摺動表面をSEM(Scanning Electron Microscope)観察およびEPMA(Electron Probe Micro Analyser)分析をした。観察した摺動面は、試験開始から150秒後の焼き付き前のものである。図8にその摺動被膜のSEM写真、図9にそのEPMA写真をそれぞれ示す。
上記分析の結果、斜板側の摺動被膜中で、Snは粒子状ではなく摺動被膜中に広く分布した状態となっていることが確認された(図9)。また、Niメッキを施したシューの表面には、SnやNi−Sn化合物(摺動生成物)も確認された。さらに、そのNi−Sn化合物の表面には、摺動被膜中から移着したMoS2 とSnとによって新たな(二次)摺動生成物層(Sn−S−Mo化合物)が形成されていることも確認された。
(評価)
表1、表2および図4から明らかなように、摺動被膜が低融点材を含むことで、焼き付き時間が従来の4倍〜5倍にも延びている。本発明の摺動被膜によって耐焼き付き性が向上する傾向は、相手材や摺動雰囲気が変化しても基本的に同様であった。この要因として先ず、粒子状の低融点材が溶融等して摺動被膜中に広く分布する際に(図9参照)、摩擦熱を吸収し、摺動被膜の熱劣化を抑制してその寿命が延びたことが考えられる。さらに、図4から分かるように、摺動被膜が低融点材としてSnを含み、相手材の表面にNiメッキが施してあると、その耐焼き付き性の向上効果が特に著しいことが明らかとなった。この要因として、前述したEPMA分析の結果からも分かるように、相手材であるシュー表面に新たに形成された摺動生成物(Ni−Sn化合物)やさらにそのNi−Sn化合物の表面に形成された二次摺動生成物層の影響が考えられる。この摺動生成物や二次摺動生成物層が摺動面に存在して、摺動面間の摩擦係数を低減した結果、耐焼き付き性が向上したのではないかとも考えられる。このことは、図6や図7の結果からも十分に推察できるところである。つまり、低融点材を含まない従来の摺動被膜の場合(図6(a))、無潤滑(ドライ)状態での摺動が5分程度継続した後、摩擦力が急激に上昇、変動した。これは焼き付きが生じたためと考えられる。一方、低融点材を含む本発明の摺動被膜の場合(図6(b))、試験中を通じて摩擦力(つまり、摩擦係数)が安定しており、殆ど変動することがなかった。これは、無潤滑(ドライ)状態での摺動であるにも拘わらず、安定した摺動特性が保持されて、焼き付きが発生しなかったためと考えられる。
また、表2や図4の結果から分かるように、Snを含む摺動被膜を設けた場合、高面圧(2MPa)のCO2ガス雰囲気といった過酷な環境下でも、従来の代替フロン(R134a)ガス雰囲気と同等以上の、非常に優れた耐焼き付き性が発現されることも確認された。このような高い耐焼き付き性は、Snが28%以上含む場合は勿論、Snが2%程度でも十分に得られることも確認された。
なお、Sn系材料であっても、バインダ樹脂(PAI)のガラス転移温度よりも融点が遙かに高いSn−20%Cu(液相線温度:545℃)を摺動被膜中に混在させた場合、上述したような効果は得られず、低融点材等を全く含有させなかった従来の摺動被膜と同程度の耐焼き付き性しか示さなかった。
さらに、ドライロック試験で、シューの表面温度を熱電対で測定していたところ、摺動被膜が低融点材を含む場合は摺動被膜が低融点材を含まない場合に比べて、その温度上昇が緩やかであった。この要因として、前述したように、低融点材の溶融による摩擦熱の吸熱効果が発揮されたこと、摺動生成物等によって摩擦係数が安定していたこと等が考えられる。
Figure 2006008994
Figure 2006008994
本発明の摺動装置の一実施形態である斜板式コンプレッサの断面図である。 その斜板とシューとの摺接状態を示す拡大断面図である。 摺動被膜の耐焼き付き性を評価するために用いたドライロック試験装置の概要である。 種々の摺動被膜について摺動部材の焼き付き時間をプロットした分散図である。 摺動被膜の摩擦力を評価するために用いたリングオンブロック試験装置の概要である。 リングオンブロック試験による摩擦力の時間変化を示すグラフであり、同図(a)は摺動被膜中に低融点材を含まない場合であり、同図(b)は摺動被膜中にSn20%を含む場合である。 リングオンブロック試験後の試験片の表面にできた最大摩耗深さを対比した棒グラフである。 ドライロック試験後の摺動被膜(Sn28%含有)のSEM写真である。 ドライロック試験後の摺動被膜(Sn28%含有)のEPMAによるSnの特性X線像である(図8と同一箇所を示す)。
符号の説明
10 シリンダブロック
12 シリンダボア
14 片頭ピストン
60 斜板(基材、摺動部材)
70 係合部
72 頭部
76 シュー(相手材)
166 固体潤滑剤層(摺動被膜)
C 斜板式コンプレッサ(摺動装置)

Claims (18)

  1. 固体潤滑剤と、該固体潤滑剤を基材の表面部に保持するバインダ樹脂とからなる摺動特性に優れた摺動被膜であって、
    さらに、前記バインダ樹脂のガラス転移温度よりも低い融点をもつ低融点材を含有していることを特徴とする摺動被膜。
  2. 前記低融点材は、金属単体、合金または化合物の1種以上からなる請求項1に記載の摺動被膜。
  3. 前記低融点材は、スズ(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)またはビスマス(Bi)からなる低融点金属の1種以上の単体、該低融点金属の1種以上を含む合金または該低融点金属の1種以上を含む化合物の少なくともいずれかからなる請求項1に記載の摺動被膜。
  4. 前記低融点材は、全体100質量%に対して0.1〜60質量%である請求項1に記載の摺動被膜。
  5. さらに、前記低融点材と反応して摺動特性に優れた新たな摺動生成物を摺動面に形成し得る摺動生成物形成元素を含む請求項1に記載の摺動被膜。
  6. 前記低融点材はSn、Pb、InまたはBiからなる低融点金属の1種以上を含み、
    前記摺動生成物形成元素はNiであり、
    前記摺動生成物は低融点金属の1種以上とNiとからなるNi合金またはNi化合物である請求項5に記載の摺動被膜。
  7. 基材と、
    該基材の表面に形成された請求項1に記載の摺動被膜とからなることを特徴とする摺動部材。
  8. 前記摺動部材は、斜板式コンプレッサの斜板である請求項7に記載の摺動部材。
  9. 請求項1に記載の摺動被膜が表面に形成された基材と、
    該基材の該摺動被膜に摺接する相手材とからなることを特徴とする摺動装置。
  10. 主軸と、該主軸と共に回転する斜板と、軸方向に延在し該斜板側に開口した筒状のシリンダボアを有するシリンダブロックと、該斜板に係合して該斜板の揺動を受ける係合部と該係合部に連なり該シリンダボア内に嵌挿されて該斜板の揺動に応じて該シリンダボア内を往復動する頭部とを有するピストンと、該ピストンの係合部に揺動可能に保持されて該斜板の表面に摺接する一対のシューとを備える斜板式コンプレッサであって、
    前記斜板および/または前記シューの表面には、請求項1に記載の摺動被膜が形成されていることを特徴とする斜板式コンプレッサ。
  11. 前記斜板または前記シューの一方の表面には、前記摺動被膜が形成されており、
    該斜板または該シューの他方の該摺動被膜を摺接する表面には、該摺動被膜中の低融点材と反応して摺動特性に優れた新たな摺動生成物を形成し得る摺動生成物形成元素が存在する請求項10に記載の斜板式コンプレッサ。
  12. 前記低融点材はSnを含み、
    前記摺動生成物形成元素はNiであり、
    前記摺動生成物はSn−Ni化合物である請求項11に記載の斜板式コンプレッサ。
  13. 前記摺動被膜中の固体潤滑剤は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、二硫化モリブデン(MoS2)またはグラファイト(Gr)の1種以上からなり、
    該摺動被膜中のバインダ樹脂は、ポリアミドイミド(PAI)からなる請求項12に記載の斜板式コンプレッサ。
  14. 固体潤滑剤と、
    バインダ樹脂と、
    該バインダ樹脂のガラス転移温度よりも低い融点をもつ低融点材とからなり、
    請求項1に記載の摺動被膜が得られることを特徴とする摺動被膜用組成物。
  15. 摺動被膜用塗料または摺動被膜用転写膜である請求項14に記載の摺動被膜用組成物。
  16. バインダ樹脂のワニス中に、該バインダ樹脂のガラス転移温度よりも低い融点をもつ低融点材および固体潤滑剤を分散させた摺動被膜用塗料を基材の表面に塗布する塗布工程と、
    該塗布工程後に形成された塗膜を加熱して焼成する焼成工程とを備え、
    請求項1に記載の摺動被膜が得られることを特徴とする摺動被膜の形成方法。
  17. バインダ樹脂と該バインダ樹脂のガラス転移温度よりも低い融点をもつ低融点材と固体潤滑剤とを混合したペーストを印刷した転写膜を基材の表面に転写する転写工程と、
    該転写工程後に該基材の表面に形成された転写膜を加熱して焼成する焼成工程とを備え、
    請求項1に記載の摺動被膜が得られることを特徴とする摺動被膜の形成方法。
  18. 請求項16または請求項17の摺動被膜の形成方法によって基材の表面に摺動被膜が形成された摺動部材が得られることを特徴とする摺動部材の製造方法。
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