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JP2006008890A - 水性インク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録画像 - Google Patents

水性インク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録画像 Download PDF

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JP2006008890A
JP2006008890A JP2004189720A JP2004189720A JP2006008890A JP 2006008890 A JP2006008890 A JP 2006008890A JP 2004189720 A JP2004189720 A JP 2004189720A JP 2004189720 A JP2004189720 A JP 2004189720A JP 2006008890 A JP2006008890 A JP 2006008890A
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JP2004189720A
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Junichi Sakai
淳一 酒井
Sadayuki Sugama
定之 須釜
Masashi Miyagawa
昌士 宮川
Yoko Ichinose
洋子 一ノ瀬
Toshiaki Kaneko
敏明 金子
Yoshio Nakajima
義夫 中島
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Abstract

【課題】優れた画像品位、特に画像濃度、ベタ均一性に優れたインクジェット記録画像を提供すること。更に、かかる画像を与える水性インク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】 色材と該色材より小さく且つ該色材に対して固着している荷電性樹脂微粒子とを有する分散性色材(A)と、該分散性色材(A)と異なる顔料水分散体(B)とを含むことを特徴とする水性インク。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水性インクジェット記録用インク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録画像に関する。
インクジェット方式は、種々の作動原理よりノズルからインクの微小液滴を飛翔させて被記録媒体(紙等)に到達させ、画像や文字等を記録する方法であるが、高速、低騒音、多色化が容易であり、記録パターンの融通性が高い、現像及び定着操作が不要等の特徴があり、様々な用途において急速に普及している。特に、近年はフルカラーの水性インクジェット記録方式技術がめざましい発達を遂げており、従来の製版方式による多色印刷や、カラー写真方式による印画と比較しても遜色のない多色画像を形成することも可能となっており、作成部数が少ない場合には、通常の多色印刷や印画よりも安価に印刷物が得られることから、フルカラー画像記録分野まで広く応用されつつある。
そして、更なる記録の高速化、高精細化、フルカラー化等の記録特性向上の要求に伴って、水性インクジェット記録装置及び記録方法の改良が行われてきている。一般的に、インクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録用インクに要求される性能としては、(1)紙上で、滲みや、かぶりのない、高解像度、高濃度で均一な画像が得られること、(2)ノズル先端でのインクの乾燥による目詰まりが発生せず、常に吐出応答性、吐出安定性が良好であること、(3)紙上においてインクの定着性がよいこと、(4)画像の堅牢性(即ち、耐候性や耐水性等)がよいこと、(5)長期保存安定性がよいこと、等が挙げられる。特に、近年における印字速度の高速化に伴って、コピー用紙等の普通紙に印字しても、インクの乾燥及び定着が速く、且つ高画質な印字が得られるインクが要求されている。
水性インクジェット記録方式に用いられる色材としては、主に染料と顔料があり、従来から水性インクとしての扱いやすさ、発色性の高さによって水溶性染料が主として用いられてきたが、近年、より高い画像の耐候性、耐水性を実現できる水性インクジェット記録用インクの色材として、本質的に水に不溶な色材、特に顔料を用いたインクの開発が精力的に進められている。
水に不溶な色材、特に顔料を水性インクジェット記録用インクとして用いるためには、水中に色材を安定に分散させることが必要となる。この場合、一般的に界面活性剤若しくは高分子分散剤(以下、分散樹脂とも呼ぶ)を用いて分散安定化する方法が用いられてきた。又、水不溶性色材の表面を化学的に修飾する手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。一方、顔料を樹脂で被覆するマイクロカプセル型顔料が提案されている(例えば特許文献2、3参照)。特許文献3では、「水不溶性着色剤を含有する水系着色微粒子分散物において、該着色微粒子分散物が水不溶性着色剤を分散剤の存在下で水系媒体中に分散させた後にビニルモノマーを添加して重合したものであり、該分散剤が水不溶性着色剤を分散した場合には分散安定性を示し、且つ、該分散剤のみの存在下で該ビニルモノマーを重合した場合には生じるラテックスの安定性が乏しいことを特徴とする水系着色微粒子分散物」が開示されており、「水不溶性着色剤分散物に乳化重合した場合に、ビニルモノマーや生じたポリマーに対する分散剤の親和性がそれほど高くないために、顔料表面からの分散剤の脱着が起こりにくく、分散剤が吸着した顔料表面で重合が進行したため」、「顔料表面が被覆された微粒子分散物を凝集することなく、高い収率で得られる」としており、該着色微粒子分散物を用いることで、分散安定性、印字適性に優れ、紙種依存性がなく、金属光沢が少なく、耐水性、耐光性、耐擦過性に優れたインクジェット記録用インクを得たとしている。
又、顔料水分散体を含むインクの画像性能、特に普通紙における画像濃度、ブリード、ベタ均一性等の画像性能を向上させる検討がなされ、顔料濃度を高めたり、浸透剤による浸透性の制御等、様々な検討がなされている。例えば、顔料樹脂分散剤を含む水性インクにおいて、ある浸透剤の添加により、普通紙における画像品位が向上するとされている(特許文献4)。
特開平10−195360号公報 特開平8−183920号公報 特開2003−34770公報 特開平4−359072号公報
しかしながら、上記した技術では分散安定性と長期保存安定性との両立が充分でない場合があった。特許文献1、2に示される方法によって水不溶性色材の表面を化学的に修飾する手法においては、修飾できる官能基やその密度には限界があり、又、色材が特に有機顔料である場合において直接化学修飾を行うと、本来水に不溶となって結晶化している顔料分子が、親水基の結合によって水溶化されて顔料粒子から溶け出す、いわゆる「顔料剥離」が起こって色調が著しく変化するという問題が生じる等(図6(a)、(b)参照)、十分に満足できる技術レベルではなかった。
一方、本発明者らの検討によると、従来の顔料水分散体を含む水性インクにおいて、画像性能は十分なものではなかった。例えば、満足できる定着性を得ようとすると、画像濃度や画像品位が低下し、両者の両立は困難であった。特許文献4では、特定の浸透剤を用いて、優れた画像品位を得たとしているが、十分な画像濃度が得られない。又、高い画像濃度を得ようとすると、定着性が悪化したり、記録媒体上への印字部分の濃度の不均一性、いわゆる、ベタ均一性が低下する傾向があり、これらの性能を両立させることは困難であった。
又、これらの顔料インクを用いた光沢紙上における記録画像は、耐擦過性や光沢性に関して、十分に満足できるレベルではなかった。
本発明の目的は、これらの課題を解決し、充分に分散安定性が高く、長期にわたり安定である水性インクを提供し、更に、定着性に優れ、画像濃度とベタ均一性とを両立する優れた記録画像を与える水性インクを提供することにある。更に、別の目的は、光沢性に優れた記録画像を与える水性インクを提供することにある。
又、斯かる優れた水性インクを用いた水性インクジェット記録用インク、インクタンク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録画像を提供することにある。
これに対し、本発明者らは、上記課題を解決する手段について鋭意検討した結果、新規な形状の分散性色材と、顔料水分散体を含む水性インクとすることで、高い分散安定性を保ち、長期的に保存安定性である新規な水性インクの開発を達成した。更に、かかるインクを用いることにより、優れた画像品位、特に普通紙における高い画像濃度とベタ均一性、光沢紙における光沢性を備えた画像性能を与える水性インクジェット記録用インクを得た。更に、即ち、本発明の目的は、以下のような具体的な手段によって達成される。
1.色材と該色材より小さく且つ該色材に対して固着している荷電性樹脂微粒子とを有する分散性色材(A)と、該分散性色材(A)と異なる顔料水分散体(B)とを含むことを特徴とする水性インク。
2.前記分散性色材(A)の含有量が、顔料水分散体(B)の含有量よりも多い前記1に記載の水性インク。
3.顔料水分散体(B)の平均粒径が、分散性色材(A)の平均粒径よりも小さい前記1又は2に記載の水性インク。
4.顔料水分散体(B)が、水溶性樹脂により顔料が分散された顔料水分散体である前記1〜3のいずれか1項に記載の水性インク。
5.顔料水分散体(B)が、界面活性剤により分散された顔料水分散体である前記1〜3のいずれか1項に記載の水性インク。
6.顔料水分散体(B)が、該顔料が少なくともアニオン性基が直接若しくは他の原子団を介して前記の顔料表面に結合された自己分散型顔料である前記1〜3のいずれか1項に記載の水性インク。
7.更に水溶性染料を含む前記1〜6のいずれか1項に記載の水性インク。
8.前記1〜7のいずれか1項に記載の水性インクを含んでなることを特徴とするインクタンク。
9.前記1〜7のいずれか1項に記載の水性インクを搭載していることを特徴とするインクジェット記録装置。
10.前記1〜7のいずれか1項に記載の水性インクを用いて、インクジェット記録装置により画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
11.前記1〜7のいずれか1項に記載の水性インクを用いて、インクジェット記録装置により形成されたことを特徴とするインクジェット記録画像。
本発明によれば、色材と該色材より小さく且つ該色材に対して固着している荷電性樹脂微粒子とを有する分散性色材(A)と、該分散性色材(A)と異なる顔料水分散体(B)とを含むことを特徴とする水性インクを用いることにより、保存安定性である水性インクを提供することができる。
かかる水性インクを用いることにより、優れた画像品位、特に普通紙における高い画像濃度とベタ均一性、速乾性を備えた画像性能を与える水性インクジェット記録用インクが得られる。前記の水性インクにおいて含まれる分散性色材(A)の含有量が、顔料水分散体(B)の含有量よりも多くすることにより、高い画像濃度とベタ均一性を備えた画像性能を向上させることができる。
又、前記の水性インクにおいて含まれる顔料水分散体(B)の平均粒径を、分散性色材(A)の平均粒径よりも小さくすることにより、光沢紙上における記録画像の光沢性向上させることができる。更に、別の形態として、前記の分散性色材(A)と顔料水分散体(B)に加えて、水溶性染料を含む水性インクが提供される。更に水溶性染料を含むことで、高い画像濃度とベタ均一性を備えた画像性能を更に向上させることができる。更に、本発明の別の態様として、斯かる優れた水性インクを用いた水性インクジェット記録用インク、インクタンク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録画像を提供される。
以下に、本発明の最良と思われる実施の形態を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明の第一の特徴は、分散性色材(A)と、顔料水分散体(B)の2種類の色材を含むことである。分散性色材(A)の特徴と、分散性色材(A)と顔料水分散体(B)を併せて用いることによる効果、及び顔料水分散体(B)について、以下に説明する。
<分散性色材(A)>
分散性色材(A)は、色材と、荷電性樹脂擬似微粒子とからなる分散性色材であって、上記色材が、上記荷電性樹脂擬似微粒子を固着し、色材の表面に荷電性樹脂擬似微粒子による電荷が付与され、水又は水性インク媒体へ分散可能な分散性色材である。図1に、本発明を特徴づける、色材1に、荷電性樹脂擬似微粒子2が固着している分散性色材の模式図を示した。図1(b)の2’の部分は、色材1の表面に固着した荷電性樹脂擬似微粒子2の一部が融着している状態を模式的に示した部分である。
色材表面と荷電性樹脂擬似微粒子との吸着は、樹脂成分の単純な物理吸着ではなく、本発明にかかる分散性色材の特徴である、荷電性樹脂擬似微粒子が色材に固着された状態とすると、荷電性樹脂擬似微粒子が色材表面から脱離することがないため、本発明の分散性色材は長期保存安定性にも優れている。
本発明において、色材が荷電性樹脂擬似微粒子を「固着」している状態は、簡易的には次のような三段階の分離を伴う手法で確認することができる。先ず、第一の分離にて、確認する対象の色材と、インク又は水分散体中に含まれるその他の水溶性成分(水溶性樹脂成分も含む)とを分離し、次に、第二の分離にて、第一の分離における沈殿物中に含まれる色材と水不溶性樹脂成分とを分離する。更に第三の分離にて、弱く吸着されている樹脂成分と、荷電性樹脂擬似微粒子を固着している分散性色材とを分離し、第三の分離の上澄みに含まれる樹脂成分の定量、及び第二の分離の沈殿物と第三の分離の沈殿物との比較、を行うことによって色材と荷電性樹脂擬似微粒子との固着を確認する。
具体的には、例えば、次のような条件で確認できる。色材が分散しているインク又は水分散体20gをとり、全固形分質量が約10%程度となるように調製し、遠心分離装置にて、12,000回転、60分の条件で第一の分離を行う。分離したうちの、色材を含んでいる下層の沈降物を、該沈降物のほぼ3倍量の純水に再分散し、続いて、80,000回転、90分の条件にて第二の分離を行う。色材を含んでいる下層の沈降物を3倍量の純水に再分散したものを、再び80,000回転、90分の条件にて第三の分離を行い、色材を含んでいる下層の沈降物を取り出す。第二の分離における沈降物と、第三の分離における沈降物をそれぞれ固形分で0.5g程度となるようにとり、30℃、18時間にて減圧乾燥させたものを、走査型電子顕微鏡にて5万倍で観察する。
そして、観察された分散性色材が、その表面に微粒子様物質又はそれに準ずる微小集合体を複数付着している様子が確認され、且つ第二の分離と第三の分離からのそれぞれの沈降物が同様の形態を有していれば、この色材は樹脂擬似微粒子を固着していると判断される。更に、第三の分離における上層の上澄み分を上から静かに体積で半分程度となるようにとり、60℃、8時間にて乾燥させた前後の質量変化から固形分率質量を算出し、固形分率質量が1%未満であれば、分散性色材から樹脂擬似微粒子の脱離がないと考えられ、分散性色材は樹脂擬似微粒子を固着していると判断できる。
上記した分離条件は好ましい例であり、その他のどのような分離方法又は分離条件にあっても、上述した第一の分離及び第二、第三の分離の目的を達する手法であれば、本発明にかかる分散性色材であるか否かの判定方法として適用することができる。
本発明に用いられる分散性色材(A)は、水不溶性色材1が、荷電性樹脂擬似微粒子2を固着した状態で、単独で分散してなる分散性色材である。前述したように、本発明にかかる分散性色材は、本質的には他の界面活性剤や高分子分散剤等の助けがなくとも、安定に水及び水性インク中に分散できる、自己分散性色材である。この定義及び判定方法については後に詳細に述べる。
本発明の分散性色材の自己分散性については、例えば、次のように確認できる。色材が分散しているインク又は水分散体を純水で10倍に希釈し、分画分子量50,000の限外ろ過フィルターを用いて元の濃度になるまで濃縮する。この濃縮液を遠心分離装置にて12,000回転、2時間の条件で分離し、沈降物を取り出して純水に再分散させる。このとき、沈降物が良好に再分散し得るものが、自己分散性を有すると判断される。良好に再分散しているかどうかは、目で見て均一に分散していること、1〜2時間静置している間に目立った沈降物が発生しないか、あっても軽く震蕩すれば元に戻ること、動的光散乱法にて分散粒径を測定した際に、平均粒径が操作前の粒径の2倍以内であること、等から総合的に判断できる。
前述したように、本発明にかかる分散性色材は、色材が荷電性樹脂擬似微粒子を固着することによって高い比表面積を有する形態をとり、その広大な表面に多くの電荷を有することで、優れた保存安定性を実現する。このような形態は、本発明の水性インクジェット記録用インクを透過型電子顕微鏡或いは走査型電子顕微鏡で観察することにより確認される。
前述したように、本発明にかかる分散性色材は、色材が荷電性樹脂擬似微粒子を固着することによって高い比表面積を有する形態をとり、その広大な表面に多くの電荷を有することで、優れた保存安定性を実現する。従って、荷電性樹脂擬似微粒子は、色材に対して多数、且つ点在して固着していることにより更に好ましい結果が得られる。特に、固着している荷電性樹脂擬似微粒子間に一定の距離があり、好ましくは均一に分布していることが好ましい。更に好ましくは荷電性樹脂擬似微粒子間に色材の表面が露出していることが望ましい。このような形態は、本発明の水性インクジェット記録用インクを透過型電子顕微鏡或いは走査型電子顕微鏡で観察することにより確認される。即ち、色材表面に固着している荷電性樹脂擬似微粒子が、一定の距離をおいて複数固着しているか、或いは固着している荷電性樹脂擬似微粒子間に、色材表面が露出している状態が観察できる。尚、荷電性樹脂擬似微粒子は、時に部分的に近接し、場合によっては融着しているものも観察され得るが、全体として荷電性樹脂擬似微粒子間に距離があり、又は色材表面が露出している部分があり、尚且つ、これらの状態が分布している場合には、荷電性樹脂擬似微粒子が色材に対して点在して固着していると見なされることは、同業者には明白である。
<分散性色材(A)と顔料水分散体(B)を併せて用いることによる効果>
更に、本発明にかかる分散性色材を含む水性インクは、記録媒体上で優れた速乾性を示すことが明らかとなった。この理由は定かではないが、次のようなメカニズムに基づくと考えられる。前記分散性色材は上述したように、色材表面に荷電性樹脂擬似微粒子を固着した形態にてインク中に分散している。このインクが記録媒体上に到達したとき、インク中の溶媒は毛細管現象により記録媒体上の細孔(普通紙の場合はセルロース繊維間の空隙であり、コート紙や光沢紙の場合は受容層の細孔である)へ吸収される。このとき、本発明にかかる分散性色材は、その形態的特徴から、色材同士が接した部分に荷電性樹脂擬似微粒子が点在して細かい隙間を多く形成する。このため、色材間に存在するインク溶媒に毛細管現象が働いて、速やかに記録媒体中に吸収される。本発明にかかる水性インクにおいて、荷電性樹脂擬似微粒子が表面に点在した形態の分散性色材を使用しているものが、より好ましい速乾性を示すことからも、上述したメカニズムによって速乾性が達成されていることが予想される。
更に、該分散性色材を含む水性インクを普通紙上に記録した場合には、画像濃度が高くなる傾向にある。理由は明確ではないが、上述したように、該分散性色材は、速乾性に優れ、多く形成された隙間によるろ過効果等により、色材の凝集が促進されることが予想される。従って、本発明の特徴である、分散性色材(A)と顔料水分散体(B)からなる水性インクは、分散安定性に優れる分散性色材(A)により分散安定性は優れたものになる。
しかしながら、本発明で用いられる分散性色材(A)を含む水性インクジェット記録用インクとして用いた場合には、普通紙において比較的高い画像濃度が得られるが、ベタ均一性が低下する場合があった。本発明の特徴である、分散性色材(A)と顔料水分散体(B)を用いることにより、定着性や画像濃度を悪化させることなく、べた均一性を向上させることができる。
顔料水分散体(B)は、分散樹脂成分の立体的寄与等により凝集が生じにくく、分散性色材に比べて記録媒体への横への広がりや、媒体への浸透しやすい傾向があり、画像の均一性が高い。そのため、優れた定着性と高い画像濃度を与える分散性色材(A)と、ベタ均一性を改善する顔料水分散体(b)を併せて用いることにより、高い画像濃度、ベタ均一性に優れ、定着性に優れるインクを与えることができる。
又、分散性色材(A)の割合は、顔料水分散体(B)に対して、多いことが好ましい。顔料水分散体(B)が多くなると、分散性色材(A)の効果が小さくなるため定着性が悪化したり、顔料水分散体(B)の影響により画像のエッジのシャープさが低下したり、画像濃度が低下する場合がある。更に、分散性色材(A)と顔料水分散体(B)に加えて、水溶性染料を添加することができる。水溶性染料は、顔料に比べて発色性が高く、ベタ均一性に優れるため、画像濃度、ベタ均一性を更に向上させることができる。又、分散性色材(A)の平均粒径は、顔料水分散体の平均粒径(B)の平均粒径よりも大きいことが好ましい。
本発明のインクジェット記録画像において、分散性色材(A)は、その特徴的な形状による作用として図7のドット形成が予想される。図7は、顔料水分散体の平均粒径が分散性色材の平均粒径よりも小さい場合に生じやすく、記録媒体上での色材間の凹凸を埋めるように顔料水分散体が堆積し、印字ドットに平滑性が向上することで記録媒体上でも高光沢な画像を実現させることができる。尚、ここでいう平均粒径は、動的光散乱法によって測定された粒径のキュムラント平均値とする。
次に、分散性色材(A)の各構成成分について説明する。
[色材]
本発明にかかる分散性色材の構成成分である色材について以下に説明する。本発明で用いられる色材としては公知又は新規に開発された色材のうち、どのようなものでも用いることができるが、好ましくは、疎水性染料、無機顔料、有機顔料、金属コロイド、着色樹脂粒子等、水に不溶な色材で、分散剤とともに水中にて安定に分散できるものが望ましい。好ましくは、分散粒径が0.01〜0.5μm(10〜500nm)の範囲、特に好ましくは0.03〜0.3μm(30〜300nm)の範囲となる色材を使用する。この範囲に分散された色材を用いた本発明の分散性色材は、水性インクとして用いた場合に、高い着色力と高い耐候性を有する画像を与える好ましい分散性色材となる。
本発明において、色材に有効に用いることのできる無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、トリポン、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカ等が挙げられる。
本発明において有効に用いることのできる有機顔料としては、例えば、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系等の各種顔料が挙げられる。
その他、本発明で用いることのできる有機性の不溶性色材としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、フタロシアニン系、カルボニル系、キノンイミン系、メチン系、キノリン系、ニトロ系等の疎水性染料が挙げられる。これらの中でも分散染料が特に好ましい。
[荷電性樹脂擬似微粒子]
本発明の分散性色材のもう一つの構成成分である荷電性樹脂擬似微粒子は、水に対し実質的に不溶であり、固着する対象である色材の水中(或いはインク中)での分散単位(分散粒径)は小さく、充分に重合度の高い樹脂成分が集合してなる微小体と定義される。微小体の形態としては擬似的に球体に近いか、又は複数の微小体(荷電性樹脂擬似微粒子)の大きさが一定範囲内で揃っているものである。好ましくは荷電性樹脂擬似微粒子を構成する樹脂成分は、互いに物理的に又は化学的に架橋されていることが望ましい。荷電性樹脂擬似微粒子の水中での分散粒径としては、動的光散乱法にて測定可能な場合においては、通常キュムラント平均値が10nm以上200nm以下の範囲で用いられる。
本発明における荷電性とは、水系媒体中においてそのもの自身が何らかのかたちでイオン化した官能基を保持しており、望ましくはその荷電性によって自己分散可能である状態をいう。従って、荷電性樹脂擬似微粒子であるかどうかについては、公知且つ任意の手法にて、荷電性樹脂擬似微粒子の表面ゼータ電位を測定する方法、後述するような手法にて電位差滴定を行い、官能基密度として算出する方法、荷電性樹脂擬似微粒子の水系分散体中に電解質を添加して分散安定性の電解質濃度依存性を確かめる方法、又は、荷電性樹脂擬似微粒子の化学構造分析を公知の手法にて行い、イオン性官能基の有無を調べる方法、のいずれかの方法で確認することができる。
荷電性樹脂擬似微粒子を構成する樹脂成分は、一般的に用いられるあらゆる天然又は合成高分子、或いは本発明のために新規に開発された高分子等、いかなる樹脂成分であっても制限なく使用できる。使用できる樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、多糖類、ポリペプチド類等が挙げられる。特に、一般的に使用でき、荷電性樹脂擬似微粒子の機能設計を簡便に行える観点から、アクリル樹脂やスチレン/アクリル樹脂が類される、ラジカル重合性不飽和結合を有するモノマー成分の重合体或いは共重合体が、好ましく使用できる。
本発明で好ましく用いられるラジカル重合性不飽和結合を有するモノマー(以降、ラジカル重合性モノマー或いは単にモノマーとして表記する)としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。疎水性モノマーと分類される、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ベンジル等の如き(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の如きスチレン系モノマー;イタコン酸ベンジル等の如きイタコン酸エステル;マレイン酸ジメチル等の如きマレイン酸エステル;フマール酸ジメチル等の如きフマール酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
又、以下のような親水性モノマーとして分類されるものも好ましく用いられる。例えば、アニオン性基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸等の如きカルボキシル基を有するモノマー及びこれらの塩、スチレンスルホン酸、スルホン酸−2−プロピルアクリルアミド、アクリル酸−2−スルホン酸エチル、メタクリル酸−2−スルホン酸エチル、ブチルアクリルアミドスルホン酸等の如きスルホン酸基を有するモノマーとこれらの塩、メタクリル酸−2−ホスホン酸エチル、アクリル酸−2−ホスホン酸エチル等の如きホスホン酸基を有するモノマー等が挙げられる。これらの中でも特に、アクリル酸及びメタクリル酸を使用することが好ましい。
又、カチオン性基を有するモノマーとしてはアクリル酸アミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル等の如き第1級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸メチルアミノエチル、アクリル酸メチルアミノプロピル、アクリル酸エチルアミノエチル、アクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸メチルアミノエチル、メタクリル酸メチルアミノプロピル、メタクリル酸エチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル等の如き第2級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノプロピル等の如き第3級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩等の如き第4級アンモニウム基を有するモノマー、各種ビニルイミダゾール類等が挙げられる。
又、ノニオン性の親水性モノマーとしては、具体的には、例えば、構造内にラジカル重合性の不飽和結合と強い親水性を示すヒドロキシル基を同時に有するモノマー類がこれに当てはまり、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルプロピル等がこれに分類される。この他、公知又は新規の各種オリゴマー、マクロモノマー等についても制限なく使用できる。
更に、架橋性モノマーを用いることも好ましい様態である。例えば、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル、メチレンビスアクリルアミド等が挙げられ、その他、公知又は新規の各種架橋性モノマーについても使用できる。
[荷電性樹脂擬似微粒子の合成及び色材への固着]
荷電性樹脂擬似微粒子の合成方法、及び色材への固着方法は、その手順及び方法は公知である荷電性樹脂擬似微粒子の合成方法や、荷電性樹脂擬似微粒子と色材の複合化方法によって実施し得る。
本発明者らの検討の結果、上述したような特性を有する本発明にかかる分散性色材は、下記の条件で水系析出重合法を適用することによって、極めて簡便に製造できることが明らかとなった。かかる製造方法では、先ず、分散剤にて水不溶性色材を分散することによって該水不溶性色材の分散水溶液を調製する。次いで、この分散水溶液にて、水性ラジカル重合開始剤を用いてラジカル重合性モノマーを水系析出重合する工程によって、荷電性樹脂擬似微粒子を色材に固着させる。この水系析出重合する工程を経て得られた分散性色材は、水系析出重合過程にて合成された荷電性樹脂擬似微粒子が、均一且つ点在した状態で色材に強力に固着した水不溶性色材となり、単独での分散安定性に優れたものとなる。
[ラジカル重合性モノマー]
本発明の製造方法で用いられるラジカル重合性モノマーは、前記で説明した水系析出重合工程を経て、荷電性樹脂擬似微粒子を構成する成分となるので、先の[実質的に水に不溶な樹脂微粒子]の項で述べたように、得ようとする荷電性樹脂擬似微粒子及び分散性色材の特性によって適宜に選択すればよい。本発明の製造方法においても、従来から公知であるラジカル重合性モノマー、又は本発明のために新規に開発されたラジカル重合性モノマー、のいかなるものでも使用できる。
上述した工程にて得た、本発明にかかる、荷電性樹脂擬似微粒子が色材に固着した水不溶性色材を用いて水性インクを調製する際には、上記の工程に加えて、更に精製処理を行うことが望ましい。特に、上記において、未反応の重合開始剤、モノマー成分、分散剤、固着に至らなかった水溶性樹脂成分及び荷電性樹脂擬似微粒子等について精製処理を行うことは、分散性色材の保存安定性を高く維持する点で重要である。使用する精製方法としては、通常一般的に用いられている精製方法から最適なものを選択して用いればよい。例えば、遠心分離法や、限外ろ過法を用いて精製することも好ましい実施形態である。
<顔料水分散体(B)>
次に、顔料水分散体(B)について詳細に説明する。顔料水分散体(B)の分散形態としては、水溶性樹脂による分散(いわゆる顔料樹脂分散体)、界面活性剤による分散、又は、自己分散顔料が挙げられる。以下に、顔料樹脂分散体、界面活性剤による顔料分散体、又は、自己分散顔料ついて説明する。
[顔料樹脂分散体]
顔料樹脂分散体において、用いられる色材としては、分散性色材(A)の項で示した同様の色材を用いることができる。
顔料水分散体(B)に用いられる顔料は、分散性色材(A)と同じカラーインデックスや同じ結晶形の顔料を用いてもよいし、又、調色する目的で異種の顔料種を用いてもよい。
水溶性樹脂としては、天然又は合成高分子、或いは本発明のために新規に開発された高分子等、いかなる樹脂成分であっても制限なく使用できる。例えば、ポバール、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、多糖類、ポリペプチド類等が挙げられる。機能設計を簡便に行える観点から、アクリル樹脂やスチレン/アクリル樹脂が好適に用いられる。
具体的には、分散性色材(A)の項で列挙した、(メタ)アクリル酸やアミノ基を有するモノマー等のイオン性基を有するモノマーと、スチレンやベンジルメタクリレート等、疎水性モノマーとの共重合体等が挙げられる。用いられる分散剤の分子量は特に限定されないが、通常、重量平均分子量が7,000〜200,000の樹脂が用いられる。アニオン性分散剤を用いる場合には酸価100以上250以下、カチオン性分散剤を用いる場合にはアミン価150以上300以下のもの、をそれぞれ用いることも望ましい形態である。
[界面活性剤で分散れた顔料水分散体]
用いられる色材としては、分散性色材(A)の項で示した同様の色材を用いることができる。界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤いずれも用いることができる。もちろん、ここでいう界面活性剤とは、水中に該物質を添加した時、ある一定の濃度でミセルを形成する能力を有する、いわゆる臨界ミセル濃度を有する物質のことをいう。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、フッ素系、シリコン系等の界面活性剤を挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルイルエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
イオン性基を有する分散剤を用いる場合には、分散性色材(A)と同種のイオン性(例えば、分散性色材がアニオン性ならば分散樹脂もアニオン性)であることが好ましい。異種のイオン性基を有する場合には、水性インクの安定性が低下することがあり、好ましくない。
又、顔料の分散において用いられる分散剤の量は、水溶性樹脂による分散、界面活性剤による分散のいずれの系においても、顔料が安定に分散される量であれば特に限定されないが、通常は、顔料1質量部に対して、0.1〜1.0の範囲で用いられる。
本発明で用いられる色材の分散方法としては、例えば、ペイントシェイカー、サンドミル、アジテーターミル、3本ロールミル等の分散機やマイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルチマイザー等の高圧ホモジナイザー、超音波分散機等、それぞれの色材に一般的に用いられる分散方法であれば、どのような手法でも制限されない。顔料樹脂分散体中の粒子の平均粒径としては、0.01μm以上0.5μm以下(10nm以上500nm以下)の範囲の範囲に分散することが好ましい。着色力や画像の耐候性の観点、及び分散安定性の観点から、上記の範囲が好ましい。
[自己分散型顔料]
自己分散型顔料とは、界面活性剤や水溶性樹脂等の分散剤なしに、安定に分散しうる顔料である。該顔料は、少なくともアニオン性基が直接、又は他の原子団を介して結合させたものが好適に用いられる。結合されているアニオン性基としは、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO32、−SO2NH2(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、有機アンモニウムを表す)が挙げられる。顔料表面にアニオン性基を導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法等が挙げられる。自己分散型顔料の平均粒径としては、0.01μm以上0.5μm以下(10nm以上500nm以下)の範囲の範囲に分散することが好ましい。着色力や画像の耐候性の観点、及び分散安定性の観点から、上記の範囲が好ましい。
[水溶性染料]
分散性色材(A)と顔料水分散体(B)に加えて、本発明で用いられる水溶性染料としては、アニオン染料、カチオン染料等の水溶性染料であれば、いずれも用いることができる。水溶性染料の使用量としては、分散性色材(A)の質量部未満が好ましい。該範囲を外れる場合には、顔料インクの特長である画像の耐水性や、耐光性が著しく低下する場合があり、好ましくない。
[水性インク]
本発明にかかる水性インクは、少なくとも、上記で説明した分散性色材(A)と、顔料水分散体(B)を含むことを特徴とする。分散性色材(A)と顔料水分散体(B)をあわせた含有量は、一般的にはインクに対して0.1質量%以上20質量%以下の範囲で用いられる。更に、水性媒体として水、水溶性の有機溶媒を必要に応じて含むことも好ましい。又、記録媒体への浸透性を助けるための浸透剤、防腐剤、防黴剤等を含んでもよい。
[記録画像]
本発明にかかるインクジェット記録画像は、前記した構成の色材を含む本発明の水性インクを用いて、後述するようなインクジェット記録装置にて記録媒体上に形成される。本発明において使用する記録媒体は、インクジェット記録可能等のような媒体でも制限なく用いることができる。
[画像記録方法及び記録装置]
本発明にかかる分散性色材、及び該色材を含有する水性インクは、インクジェット吐出方式のヘッドに用いられ、又、そのインクが収納されているインクタンクとしても、或いは、その充填用のインクとしても有効である。特に、本発明は、インクジェット記録方式の中でもバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもたらす。
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置された電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一に対応し、インク内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介してインクを吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明である米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことができる。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成にも本発明は有効である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通する吐出孔を電気熱変換体の吐出部とする構成(特開昭59−123670号公報等)に対しても、本発明は有効である。更に、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、或いは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも、本発明は有効である。又、本発明は、適用される記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは、本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャピング手段、クリーニング手段、加圧或いは吸引手段、電気熱変換体、或いはこれとは別の加熱素子或いはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードである。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。尚、文中「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1]
実施例1にかかる記録インク1を下記の要領で作製した。
<分散性色材(A−1)の調製>
先ず、フタロシアニン顔料(PB15:3)10部、スチレン−アクリル酸系樹脂分散剤10部、及び水74部からなる組成の混合液を、金田理化工業社製のサンドミルにて、1,500rpmで5時間分散し、顔料分散液1を得た。サンドミルでは0.6mm径のジルコニアビーズを使用し、ポット内の充填率は70%とした。スチレン−アクリル酸系樹脂分散剤には、共重合比70:30、Mw=8,000、酸価170のものを使用した。かかるスチレン−アクリル酸系樹脂分散剤は、予め、水及び、上記の酸価と当量の水酸化カリウムを加えて80℃にて攪拌し、水溶液としたものを使用した。得られた顔料分散液1は、平均分散粒径140nmであった。
次に、上記で得た顔料分散液1の100部を、窒素雰囲気下、70℃にで、攪拌しながら下記の混合液を徐々に滴下して加え、5時間重合を行った。該混合液は、スチレン5.5部、アクリル酸0.5部、水酸化カリウム0.12部、過硫酸カリウム0.05部及び水20部からなる。得られた分散液を10倍に希釈し、5,000rpmにて10分間遠心分離を行って凝集成分を除去した。その後、更に12,500rpm、2時間の条件で遠心分離することにより精製して、沈降物である分散性色材(A−1)を得た。
この分散性色材(A−1)を水に分散し、12,000回転、60分間の遠心分離を行って沈降物を水に再分散させたものを乾燥させ、走査型電子顕微鏡JSM−6700(日本電子ハイテック(株)製)にて5万倍にて観察したところ、該分散性色材1は、樹脂微粒子が顔料の表面に固着している状態が観察された。
<顔料樹脂分散体(B−1)の調製>
先に示した分散性色材(A−1)と同じ条件で、フタロシアニン顔料(PB15:3)10部、スチレン−アクリル酸系樹脂分散剤10部、及び水74部からなる組成の混合液を、サンドミルにて分散し、顔料分散液を得た。分散剤には、分散性色材(A−1)と同じスチレン−アクリル酸系樹脂分散剤を用いた。得られた顔料分散液は、平均分散粒径140nmであった。次に、上記で得た顔料分散液を10倍に希釈し、5,000rpmにて10分間遠心分離を行って凝集成分を除去した。その後、更に12,500rpm、2時間の条件で遠心分離することにより精製して、固形分である顔料樹脂分散体(B−1)得た。
<インクの調製>
上記で得た分散性色材(A−1)がインク中に1.8%、顔料樹脂分散体(B−1)が2.2%含まれるようにして、これに、下記の成分組成を混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧ろ過し、本実施の記録用インク1を調製した。尚、インクの全量が100部となるように水で調整した。以降のインクにおいても同様である。
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 5部
・トリメチロールプロパン 7部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファインケミ
カル社製) 0.2部
・イオン交換水 残部
[実施例2]
インク中における、分散性色材(A−1)がインク中に3%、顔料樹脂分散体(B−1)が1%含まれるようにした以外、実施例1と同様に行い記録用インク2を得た。
[実施例3]
顔料水分散体(B−1)の代わりに、以下のように作製した顔料水分散体(B−2)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、インク3を得た。
<顔料水分散体(B−2)の調製>
フタロシアニン顔料(PB15:3)10部、アニオン性界面活性剤(ネオペックスNo.6)5部、及び水85部からなる組成の混合液を、サンドミルにて分散し、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液は、平均分散粒径145nmであった。次に、上記で得た顔料分散液を10倍に希釈し、5,000rpmにて10分間遠心分離を行って凝集成分を除去した。その後、更に12,500rpm、2時間の条件で遠心分離することにより精製して、沈降物である顔料樹脂分散体(B−2)得た。
<インクの調製>
分散性色材(A−1)がインク中に3%、顔料樹脂分散体(B−2)が1%含まれるようにして、これに、実施例1と同様の成分組成を混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧ろ過し、本実施例の記録用インク3を調製した。
[実施例4]
インク中における、分散性色材(A−1)がインク中に3%、顔料樹脂分散体(B−1)が0.8%、水溶性染料ダイレクトブルー199が0.2%含まれるようにした以外、実施例1と同様に行い、記録用インク4を得た。
[実施例5]
顔料水分散体(B−3)として、シアンの自己分散顔料(キャボット社製)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、インク5を得た。
<インクの調製>
分散性色材(A−1)がインク中に3%、顔料樹脂分散体(B−3)が1%含まれるようにして、これに、実施例1と同様の成分組成を混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧ろ過し、本実施例の記録用インク5を調製した。
[実施例6]
顔料水分散体として、顔料樹脂分散体(B−1)を遠心分離により分級した顔料樹脂分散体(B−4)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、インク6を得た。尚、分級した顔料樹脂分散体(B−6)に平均粒径は、70nmであった。
<インクの調製>
分散性色材(A−1)がインク中に3%、顔料樹脂分散体(B−4)が1%含まれるようにして、これに、実施例1と同様の成分組成を混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧ろ過し、本実施例の記録用インク6を調製した。
[比較例]
顔料樹脂分散体(B−1)が4.0%含まれるようにして、これに、下記の成分組成を混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧ろ過し、本比較例の記録用インク1を調製した。
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 5部
・トリメチロールプロパン 7部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファインケミ
カル社製) 0.2部
・イオン交換水 残部
[水性インクジェット記録用インクの評価方法及び評価結果]
上述した方法で得た各記録用インクを用いて、インクの特性の評価を以下のように行った。又、インクジェット記録装置にて記録媒体への印字を行って、得られた画像について評価した。使用したインクジェット記録装置としては、キヤノン株式会社から上市されるBJ S600を使用して、カラーテキスト画像を形成した。そして、印字した印字物の定着性、画像濃度(OD)、ベタ均一性、光沢性を、以下のようにして評価し、その結果を表1に示した。
<インクの長期保存安定性>
保存安定性は、ガラス製のサンプル瓶中に各インクをいれ、その状態で室温にて1ヶ月放置した後におけるインク中の分散状態を目視にて判断した。評価基準は以下の通りである。
A:固形分の凝集・沈降がみられない。
B:固形分の沈降がややみられるが、軽く振ると元の均一な分散状態に戻る。
C:固形分の凝集・沈降がみられ、軽く振っても均一にならない。
<定着性>
印字終了1分後に指で印字部分を擦り、印字部分の汚れを下記の基準で評価した。
A:白紙部分の汚れがほとんどない。
B:白紙部分がわずかに汚れる。
C:印字の乱れが発生し、白紙部分が明らかに汚れる。
<光学濃度(OD)>
各記録用インクを用いてキヤノンPPC用紙にテキストを印字後、1日経過した印字物の光学濃度(OD)を測定し、下記の基準で評価した。
A:印字物のODが0.85以上。
B:印刷物のODが0.75以上0.85未満。
C:印刷物のODが0.75未満。
<ベタ均一性>
各記録用インクを用いてキヤノンPPC用紙にテキストを印字後、1日経過した印字物のベタ画像部分について、以下の基準にて目視にて評価した。
A:白もやや、記録用紙の繊維がほとんど目立たないもの。
B:白もやや、記録用紙の繊維がやや目立つが実用上問題がない。
C:白もやや、記録用紙の繊維がかなり目立つ。
<光沢性>
各記録用インクを用いて光沢紙(PR101)にテキストを印字後、1日経過した印字部のベタ画像部分について、以下の基準にて目視にて評価した。
A:白色部分とほとんどかわらない光沢性を有する。
B:白色部に比べ乱反射が大きいが、十分な光沢性がある。
C:つやがなく、ほとんど光を反射しない。
Figure 2006008890
実施例1〜6に示すように、分散性色材と顔料水分散体を含む水性インクは、保存安定性に優れたインクジェット記録用インクを提供する。、該水性インクをインクジェット記録用インクに用いた場合には、定着性に優れ、高い画像濃度とベタ均一性に優れた画像を得ることができる。又、光沢紙に記録した場合には、光沢性に優れた記録画像を与えることができる。更に、実施例2〜4に示すように顔料水分散体に比して、分散性色材を多く含むことにより、高い画像濃度を得ることができる。更に、実施例5に示すように、水溶性染料を添加することにより、ベタ均一性が更に向上する。又、実施例6に示すように、分散性色材の平均粒径を顔料水分散体の平均粒径よりも大きくすることにより、光沢性を向上させることができる。
本発明によれば、新規の分散性色材と顔料水分散体を含む水性インクが提供される。又、かかる水性インクを用いた、インクジェット記録用インク、インクタンク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法が提供される。別の発明の効果として、定着性に優れ、特に普通紙において、高い画像濃度とベタ均一性に優れる画像を与える、水性インクを提供する。更に、別の発明の効果として、光沢紙における光沢性に優れた画像を与える水性インクを提供する。
本発明による、荷電性樹脂擬似微粒子を固着している分散性色材の基本的構造を示す模式図である。 本発明の製造方法における代表的な工程の模式図である。 本発明の製造方法における荷電性樹脂擬似微粒子の精製と色材への固着過程を示す模式図である。 本発明の荷電性樹脂擬似微粒子を、色材と固着する界面側から拡大した模式図である。 本発明の荷電性樹脂擬似微粒子と色材が固着している界面を拡大した模式図である。 特許文献1に代表される、有機顔料に親水性基を直接修飾した際の、顔料剥離現象の模式図である。 記録媒体上での分散性色材と顔料水分散体の凝集状態を表した模式図である。
符号の説明
1:色材
1a:色材の一部
2:荷電性樹脂擬似微粒子
3:分散樹脂
4:モノマー
5:重合開始剤水溶液
6:分散性色材
7:モノマーが重合して形成されたオリゴマー
8:オリゴマーが水に不溶化した析出物
9−1:荷電性樹脂擬似微粒子中の親水性モノマーユニット部分
9−2:荷電性樹脂擬似微粒子中の疎水性モノマーユニット部分
10:色材との結合部位
11:荷電性樹脂擬似微粒子の色材との界面部分
12:色材に直接修飾された親水性基
13:親水化された色材分子
14:記録媒体
15:顔料水分散体(B)

Claims (11)

  1. 色材と該色材より小さく且つ該色材に対して固着している荷電性樹脂微粒子とを有する分散性色材(A)と、該分散性色材(A)と異なる顔料水分散体(B)とを含むことを特徴とする水性インク。
  2. 前記分散性色材(A)の含有量が、顔料水分散体(B)の含有量よりも多い請求項1に記載の水性インク。
  3. 分散性色材(A)の平均粒径が、顔料水分散体(B)の平均粒径よりも大きい請求項1又は2に記載の水性インク。
  4. 顔料水分散体(B)が、水溶性樹脂により顔料が分散された顔料水分散体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性インク。
  5. 顔料水分散体(B)が、界面活性剤により分散された顔料水分散体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性インク。
  6. 顔料水分散体(B)が、該顔料が少なくともアニオン性基が直接若しくは他の原子団を介して前記顔料表面に結合された自己分散型顔料である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性インク。
  7. 更に水溶性染料を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性インク。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性インクを含んでなることを特徴とするインクタンク。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性インクを搭載していることを特徴とするインクジェット記録装置。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性インクを用いて、インクジェット記録装置により画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性インクを用いて、インクジェット記録装置により形成されたことを特徴とするインクジェット記録画像。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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