JP2006008671A - 高純度テレフタル酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高純度テレフタル酸を製造するにあたり、上記一次分離母液を冷却して析出される二次結晶の回収率を高め、濁度(SS濃度)の低い二次分離母液を得ることができる、高純度テレフタル酸の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化工程(a)、溶解工程(b)、還元工程(c)、第一晶析工程(d)、固液分離工程(e)、及び第二晶析工程(f)を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、第二晶析工程(f)における冷却を、圧力を下げることにより行い、この冷却を行う冷却槽を複数段用い、そのうち最後の冷却槽を大気圧未満に減圧し、かつ、温度を40〜70℃とする。
【選択図】図1
【解決手段】酸化工程(a)、溶解工程(b)、還元工程(c)、第一晶析工程(d)、固液分離工程(e)、及び第二晶析工程(f)を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、第二晶析工程(f)における冷却を、圧力を下げることにより行い、この冷却を行う冷却槽を複数段用い、そのうち最後の冷却槽を大気圧未満に減圧し、かつ、温度を40〜70℃とする。
【選択図】図1
Description
この発明は、高純度テレフタル酸の製造方法に関する。
高純度テレフタル酸製造プロセスでは、パラキシレンから高純度テレフタル酸を製造するために、まず原料パラキシレンを酸化して粗テレフタル酸を生成させ、次いで、これに含まれる中間体生成物である4−カルボキシベンズアルデヒドを還元し、パラトルイル酸にして除去することで、高純度テレフタル酸を製造する。
その工程は次の通りである。原料であるパラキシレンを高温高圧の酢酸溶媒中で触媒により、テレフタル酸に空気酸化する。このときテレフタル酸とともに、中間体である4−カルボキシベンズアルデヒドが副生成する。これらを含んだスラリーを晶析、固液分離して粗テレフタル酸結晶を得る。次いで、この粗テレフタル酸結晶を高温高圧条件下で水に溶解させて水溶液にし、上記粗テレフタル酸に含まれる4−カルボキシベンズアルデヒドを、水溶性の高いパラトルイル酸に水素還元する。その後放圧冷却して、水溶性の低いテレフタル酸を水溶液から晶析させ、高純度テレフタル酸として回収する。
ここで、高純度テレフタル酸を分離した一次分離母液には、テレフタル酸やパラトルイル酸などの有効成分が含有されており、生産性の向上や排水負荷の低減のため、晶析槽において攪拌しながら冷却して二次結晶を回収することが知られている(特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、この一次分離母液を一挙に所定の最終温度まで冷却すると、結晶の粒径が細かくなり、ろ過機などの回収装置を用いて二次結晶を回収するに当たり、フィルターの目詰まりや、回収率の低減などの不具合が生じる。また、この二次結晶物は付着性が高く、プロペラ型攪拌翼やパドル型攪拌翼を用いた晶析では槽の内壁付近までは十分な攪拌をすることができず、内壁側面に付着物が形成される。さらに、上記晶析処理によって生じる蒸気に飛沫同伴する微粉が晶析槽内の気相部の側面に付着する。これらの装置付着物が成長して脱離すると配管などの閉塞を招く原因にもなるため、定期的に設備を止めて洗浄するなどの清掃作業を行う必要があった。
そこでこの発明は、高純度テレフタル酸を製造するにあたり、上記一次分離母液を冷却して析出される二次結晶の回収率を高め、濁度(SS濃度)の低い二次分離母液を得ることができる、高純度テレフタル酸の製造方法を提供することを目的とする。また、冷却処理に際して、閉塞の原因となる系内付着物の形成や、塊状物の発生を抑制できる高純度テレフタル酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、一次分離母液を多段で放圧冷却し晶析することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は下記(1)〜(11)に存する。
(1)(a)パラキシレンを酸化して、4−カルボキシベンズアルデヒドを含有する粗テレフタル酸を得る酸化工程、
(b)上記粗テレフタル酸を、高温高圧下で水溶媒に溶解させて粗テレフタル酸水溶液を得る溶解工程、
(c)上記粗テレフタル酸水溶液を、触媒の存在下で水素と接触させることにより、上記4−カルボキシベンズアルデヒドをパラトルイル酸に還元した還元反応液を得る還元工程、
(d)上記還元反応液を、放圧蒸発させて、温度が120〜200℃に冷却し、高純度テレフタル酸からなる一次結晶を晶析させる第一晶析工程、
(e)上記第一晶析工程(d)により得られたスラリーを、上記一次結晶と、一次分離母液とに固液分離する固液分離工程、
(f)上記一次分離母液を冷却することにより、この一次分離母液に含有されるテレフタル酸及びパラトルイル酸を主とする二次結晶を晶析させる第二晶析工程
を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、
上記第二晶析工程(f)における冷却を、圧力を下げることにより行い、この冷却を行う冷却槽を複数段用い、そのうち最後の冷却槽を大気圧未満に減圧し、かつ、温度を40〜70℃とする、高純度テレフタル酸の製造方法。
(b)上記粗テレフタル酸を、高温高圧下で水溶媒に溶解させて粗テレフタル酸水溶液を得る溶解工程、
(c)上記粗テレフタル酸水溶液を、触媒の存在下で水素と接触させることにより、上記4−カルボキシベンズアルデヒドをパラトルイル酸に還元した還元反応液を得る還元工程、
(d)上記還元反応液を、放圧蒸発させて、温度が120〜200℃に冷却し、高純度テレフタル酸からなる一次結晶を晶析させる第一晶析工程、
(e)上記第一晶析工程(d)により得られたスラリーを、上記一次結晶と、一次分離母液とに固液分離する固液分離工程、
(f)上記一次分離母液を冷却することにより、この一次分離母液に含有されるテレフタル酸及びパラトルイル酸を主とする二次結晶を晶析させる第二晶析工程
を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、
上記第二晶析工程(f)における冷却を、圧力を下げることにより行い、この冷却を行う冷却槽を複数段用い、そのうち最後の冷却槽を大気圧未満に減圧し、かつ、温度を40〜70℃とする、高純度テレフタル酸の製造方法。
(2)上記第二晶析工程(f)で用いる冷却槽のうち、最初の冷却槽は、放圧蒸発させることにより、温度を100℃〜上記固液分離工程(e)における固液分離時の温度未満に冷却する(1)に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(3)最初の冷却槽を、大気圧まで放圧蒸発させる(2)に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(3)最初の冷却槽を、大気圧まで放圧蒸発させる(2)に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(4)上記第二晶析工程(f)で用いられる冷却槽が、アンカー型撹拌翼を有する冷却槽である(1)乃至(3)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(5)上記第二晶析工程(f)で用いる冷却槽のうち、少なくとも一つが、その冷却槽の内壁との間隔が10mm以上かつ50mm以下である攪拌翼を有する、(1)乃至(4)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(5)上記第二晶析工程(f)で用いる冷却槽のうち、少なくとも一つが、その冷却槽の内壁との間隔が10mm以上かつ50mm以下である攪拌翼を有する、(1)乃至(4)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(6)(g)上記第二晶析工程(f)で得られるスラリーを、ろ過機を用いて、二次結晶と二次分離母液とに固液分離するろ過工程、
を有する(1)乃至(5)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(7)上記ろ過工程(g)で分離される上記二次結晶を、上記酸化工程(a)に供与する、(6)に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
を有する(1)乃至(5)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(7)上記ろ過工程(g)で分離される上記二次結晶を、上記酸化工程(a)に供与する、(6)に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(8)上記ろ過工程(g)で、上記ろ過機のフィルター下流側を大気圧以上の圧力状態とし、このろ過機のフィルター上流側を上記のフィルター下流側より高い圧力状態として、上記ろ過機の順方向へケーキろ過により固液分離を行う、(6)又は(7)に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(9)上記ろ過工程(g)で得られた上記二次分離母液を、直接に、又は間接的に、上記溶解工程(b)に供与する、(6)乃至(8)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(9)上記ろ過工程(g)で得られた上記二次分離母液を、直接に、又は間接的に、上記溶解工程(b)に供与する、(6)乃至(8)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(10)上記ろ過工程(g)で得られた上記二次分離母液を、合成吸着材と接触させてパラトルイル酸を除去した後、上記溶解工程(b)に供与する(6)乃至(8)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(11)上記ろ過工程(g)で得られた上記二次分離母液内の懸濁物濃度が200mg/L以下である、(4)乃至(7)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
(11)上記ろ過工程(g)で得られた上記二次分離母液内の懸濁物濃度が200mg/L以下である、(4)乃至(7)のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
本発明により、高純度テレフタル酸を製造するにあたり、一次分離母液を冷却して析出される二次結晶の回収率を高め、濁度(SS濃度)の低い二次分離母液を得ることができる、高純度テレフタル酸の製造方法を提供することができる。また、冷却処理に際して、閉塞の原因となる系内付着物の形成や、塊状物の発生を抑制できる高純度テレフタル酸の製造方法を提供することができる。
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明は、酸化工程(a)、溶解工程(b)、還元工程(c)、第一晶析工程(d)、固液分離工程(e)、及び第二晶析工程(f)を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、上記第二晶析工程(f)における冷却を、圧力を下げることにより行い、この冷却を行う冷却槽を複数段用い、そのうち最後の冷却槽を大気圧未満に減圧し、かつ、温度を40〜70℃とする、高純度テレフタル酸の製造方法である。上記の工程(a)〜(f)は下記の内容を示す。
この発明は、酸化工程(a)、溶解工程(b)、還元工程(c)、第一晶析工程(d)、固液分離工程(e)、及び第二晶析工程(f)を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、上記第二晶析工程(f)における冷却を、圧力を下げることにより行い、この冷却を行う冷却槽を複数段用い、そのうち最後の冷却槽を大気圧未満に減圧し、かつ、温度を40〜70℃とする、高純度テレフタル酸の製造方法である。上記の工程(a)〜(f)は下記の内容を示す。
酸化工程(a)…パラキシレンを酸化して、4−カルボキシベンズアルデヒドを含有する粗テレフタル酸を得る工程。
溶解工程(b)…上記粗テレフタル酸を、高温高圧下で水溶媒に溶解させて粗テレフタル酸水溶液を得る工程。
溶解工程(b)…上記粗テレフタル酸を、高温高圧下で水溶媒に溶解させて粗テレフタル酸水溶液を得る工程。
還元工程(c)…上記粗テレフタル酸水溶液を、触媒の存在下で水素と接触させることにより、上記4−カルボキシベンズアルデヒドをパラトルイル酸に還元した還元反応液を得る工程。
第一晶析工程(d)…上記還元反応液を、放圧蒸発させて、温度が120〜200℃に冷却し、高純度テレフタル酸からなる一次結晶を晶析させる工程。
第一晶析工程(d)…上記還元反応液を、放圧蒸発させて、温度が120〜200℃に冷却し、高純度テレフタル酸からなる一次結晶を晶析させる工程。
固液分離工程(e)…上記第一晶析工程(d)により得られたスラリーを、上記一次結晶と、一次分離母液とに固液分離する工程。
第二晶析工程(f)…上記一次分離母液を冷却することにより、この一次分離母液に含有されるテレフタル酸及びパラトルイル酸を主とする二次結晶を晶析させる工程。
第二晶析工程(f)…上記一次分離母液を冷却することにより、この一次分離母液に含有されるテレフタル酸及びパラトルイル酸を主とする二次結晶を晶析させる工程。
以下、本発明の製造方法の詳細について、図1を用いて説明する。
まず、酸化工程(a)においては、触媒の存在下、酢酸溶媒中で分子状酸素BによりパラキシレンAを液相酸化することにより粗テレフタル酸を生成させる。この工程は周知であり、触媒としては、従来よりこの反応に用い得ることが知られている触媒が用いられ、具体的には、コバルト化合物、マンガン化合物、鉄化合物、クロム化合物などの重金属化合物及び臭素化合物等が挙げられる。これらは溶解した状態で反応系に存在している。なかでも好ましいのは、コバルト化合物又はマンガン化合物と臭素化合物との組み合わせである。この場合、これらの化合物は、通常、溶媒に対して、コバルト原子が10〜5000ppm、マンガン原子が10〜5000ppm、臭素原子が10〜10000ppmとなるように用いられる。
まず、酸化工程(a)においては、触媒の存在下、酢酸溶媒中で分子状酸素BによりパラキシレンAを液相酸化することにより粗テレフタル酸を生成させる。この工程は周知であり、触媒としては、従来よりこの反応に用い得ることが知られている触媒が用いられ、具体的には、コバルト化合物、マンガン化合物、鉄化合物、クロム化合物などの重金属化合物及び臭素化合物等が挙げられる。これらは溶解した状態で反応系に存在している。なかでも好ましいのは、コバルト化合物又はマンガン化合物と臭素化合物との組み合わせである。この場合、これらの化合物は、通常、溶媒に対して、コバルト原子が10〜5000ppm、マンガン原子が10〜5000ppm、臭素原子が10〜10000ppmとなるように用いられる。
分子状酸素としては、通常は不活性ガスと酸素との混合ガスが用いられ、例えば、空気や酸素富化空気が用いられる。反応器に供給するパラキシレンに対する分子状酸素のモル比は、通常3〜20モル倍、好ましくは2〜4モル倍である。
上記反応器に供給する酢酸に対するパラキシレンの比率は、通常1〜50重量%である。反応系内の水分濃度は、通常5〜20重量%であり、好ましくは5〜15重量%である。
酸化反応の温度は、通常160〜260℃、好ましくは170〜210℃、圧力は、反応温度において反応系が液相を保持できる圧力以上であればよく、通常0.5〜5MPa、好ましくは1〜2MPa、滞留時間は通常10〜200分である。
テレフタル酸は溶媒である酢酸に溶け難いため、通常、酸化反応工程で生成したテレフタル酸は結晶として析出し、スラリーを形成する。しかしながら、溶媒の量、反応温度、圧力によっては、テレフタル酸が溶解している場合がある。この場合には、反応液を冷却等する晶析工程を設けてテレフタル酸を析出させ、スラリーを形成させる。このスラリーを固液分離して、粗テレフタル酸結晶を取得する。酸化反応工程で得られたテレフタル酸スラリーは加圧状態にあるが、そのまま固液分離しても、放圧冷却等してから固液分離してもよい。固液分離の方法としては、結晶と母液とが分離できるものであればよく、ろ過、遠心分離などが挙げられる。必要に応じて洗浄、乾燥を行い粗テレフタル酸結晶(粗テレフタル酸C)を得る。
なお、本発明における「粗テレフタル酸」は、4−カルボキシベンズアルデヒドを1000〜10000ppm含有するテレフタル酸を意味する。
上記の酸化工程(a)においてパラキシレンAを酸化する際には、上記テレフタル酸だけではなく、片方のアルキル基の酸化反応が完全に進行していない4−カルボキシベンズアルデヒド(以下、「4CBA」と略す。)をはじめとする副生成物が生成する。粗テレフタル酸Cからこれらの副生成物を取り除き、高純度テレフタル酸を得るために以下の工程を行う。
上記溶解工程(b)として、上記の粗テレフタル酸Cをスラリー化槽12において水Dでスラリー化し、この開始スラリーEをポンプ12a及びヒーター12bにより高温高圧にして水に溶解させ、水溶液E’にする。上記テレフタル酸は水への溶解度が低く、上記の高温高圧とは、上記テレフタル酸が水に溶解することができる状態であることが必要である。この温度はスラリー濃度によるが、230℃以上、320℃以下が望ましい。230℃未満では溶解度が十分ではなく、320℃を超えてしまうと、エネルギーが無駄になり、さらに温度が高すぎるとテレフタル酸が分解して別の物質を生じるおそれがあるからである。また、この圧力は、上記の温度範囲で液相を維持できるだけの圧力である必要があり、2.8MPa以上、11.3MPa以下であることが望ましい。
なお、溶解工程(b)において得られるスラリーの濃度は、通常20〜40重量%であり、好ましくは25〜35重量%である。スラリー濃度が高すぎると装置内における閉塞を引き起こし、低すぎると母液量が増え、生産量見合いの設備が大型化してしまう。閉塞防止の観点から、スラリー濃度は一定に保持されることが好ましい。
次に還元工程(c)として、上記溶解工程により得られたテレフタル酸の水溶液E’は、水添反応器13へ送り、触媒存在下において、導入した水素Fにより接触還元させて、還元反応液Gを得る。この触媒と水添反応器13内の条件とは、上記4CBAを還元し、上記テレフタル酸は還元しないものである必要がある。水溶液E’に含まれる上記4CBAを、水溶性の高いパラトルイル酸に還元するためである。この還元は、出来るだけ高い率で行うことが望ましい。
この水素添加も周知であり、水素添加触媒としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、オスミウムなどの8〜10族(IUPAC無機化学命名法改訂版(1998)による)金属触媒が用いられ、通常、活性炭などの担体に担持して固定床として用いる。これらのなかでも活性炭に担持させたパラジウムが好ましい。水素添加の温度は、通常260〜320℃、好ましくは270〜300℃、水素の分圧は通常0.5〜20kg/cm2Gである。
さらに、第一晶析工程(d)として、上記還元工程(c)で得られた還元反応液Gを晶析槽14に導入し、上記パラトルイル酸を溶解させたままとなる範囲で温度と圧力とを下げ、上記テレフタル酸からなる一次結晶を晶析させてスラリーHにする。ここで、晶析槽14を直列に複数段、好ましくは3〜6段設けて、段階的に温度と圧力を下げて冷却(放圧蒸発冷却)し、上記テレフタル酸を晶析させるとより望ましい。最後の晶析槽14の温度は、パラトルイル酸がテレフタル酸と共晶しない温度条件にコントロールすればよく、具体的には、120℃以上、180℃以下であることが必要であり、130℃以上、170℃以下であると望ましい。この際の圧力は、0.20MPa以上、1.56MPa以下であることが必要であり、0.27MPa以上、1.00MPa以下であると望ましい。これらの条件よりもさらに低温低圧になると、上記テレフタル酸だけではなく、パラトルイル酸も共晶してしまい、得られる高純度テレフタル酸結晶の純度を下げてしまう。一方で、これらの条件よりも高温高圧のままであると、得られるテレフタル酸の晶析量が少なくなり、効率が悪くなる。
その次に固液分離工程(e)として、上記スラリーHを固液分離機に導入し、このスラリーHから一次分離母液Jを分離して、高純度の上記テレフタル酸の結晶を含んだ高純度テレフタル酸ケーキを得る。この高純度テレフタル酸ケーキは、洗浄装置において洗浄した後、乾燥して高純度テレフタル酸結晶からなる一次結晶とすると望ましく、上記固液分離機と上記洗浄装置とで行う工程を、一つの固液分離・洗浄装置15においてまとめて行うと、工程が簡素化でき、より望ましい。
上記のように、一つの固液分離・洗浄装置15によって上記スラリーHを固液分離し、洗浄するときの作業は以下のようになる。固液分離・洗浄装置15にスラリーHと洗浄液Iとを導入する。洗浄液Iとしては、水がより望ましい。スラリーHを固液分離し、分離されたケーキを洗浄液Iにより洗浄して、高純度テレフタル酸ケーキLを一次分離母液Jから分離して取り出し、一次分離母液Jと、主に洗浄液Iの成分からなる洗浄排出液Kを排出する。ここで、固液分離・洗浄装置15から排出される一次分離母液Jの温度は、第一晶析工程(d)における晶析条件と同等であり、120℃以上、200℃以下が望ましく、130℃以上、180℃以下であるとより望ましく、また圧力については、放圧による温度低下を抑えるために、晶析工程(d)の最終晶析槽の圧力よりも高い圧力であることが必要である。具体的には、晶析工程(d)の最終晶析槽の圧力よりも0〜1MPa高い圧力であることが望ましい。この固液分離工程(e)において、供給されるスラリーHが冷却されないように操作することが望ましい。このように固液分離と洗浄とをまとめて行うことのできる固液分離・洗浄装置15としては、例えばスクリーンボウル型遠心分離機やロータリーバキュームフィルター、水平ベルトフィルター等が挙げられ、特に好ましくはスクリーンボウル型遠心分離機である。
このようにして得られた高純度テレフタル酸ケーキLを、乾燥装置16で乾燥させることにより、残留する付着液を除去することで、高純度テレフタル酸結晶Mを得ることができる。上記乾燥装置16は回転式乾燥機や流動床式乾燥機等が挙げられ、通気ガスの存在下、水蒸気等の熱源に用いて乾燥出口操作温度が70℃〜180℃で実施される。
一方で、上記の一次分離母液Jと洗浄排出液Kには、まだ有効成分が含まれており、これらを出来るだけ多く回収して、高純度テレフタル酸結晶にする必要がある。なお上記有効成分とは、上記テレフタル酸と、例えばパラトルイル酸のように酸化等により上記テレフタル酸にすることができるその他の化合物とをいい、溶解している成分と固形分とをどちらも含む。また、上記固形分とは、上記有効成分のうち、析出している成分を示す。
まず、洗浄排出液Kは、パラトルイル酸の含有量が少ないため、直接的に上記の溶解工程(b)の溶媒として戻すと望ましい。
また、洗浄排出液Kが固形分を含んでいる場合には、溶解工程(b)に戻す前に、別の固液分離装置によって固液分離してもよい。上記の固液分離・洗浄装置15で固液分離と洗浄とをまとめて行うと、目漏れが発生しやすいために、洗浄排出液Kには固形分が含まれていることがあるためである。また、上記の別の固液分離装置によって分離する前に、予め晶析を行っておくと、固液分離により回収できる成分量が向上する。その際には、固形分を晶析槽14などに送って回収してもよいし、分離した液体分を上記のスラリー化槽12で用いる溶媒として用いてもよい。
次に、上記一次分離母液Jについては、第二晶析工程(f)として、一次分離母液Jを複数段の冷却槽を用いて冷却を、圧力を下げることにより行い、一次分離母液Jに含有される上記テレフタル酸及びパラトルイル酸を主とする二次結晶を晶析させて、これを回収する。上記の複数段とは、直列に冷却槽を2段以上設置した構成をいい、各槽において圧力見合いで、それぞれの温度を順次下げることにより溶解成分を析出させる。
なお、上記冷却槽としては、放圧冷却槽を用いる。この放圧冷却槽とは、導入する液体の圧力よりも低圧にした槽であり、その槽内の圧力における上記液体の主成分の沸点が、導入前の上記液体の温度以下であるようにしたものをいう。この放圧冷却槽に液体を導入すると、液体の一部は蒸発し、液体の残りは変化後の圧力下における沸点まで冷却される。このとき、液体が溶液である場合には、冷却後の溶解度を超えた分の溶質を晶析させる。
複数段の上記放圧冷却槽を用いて段階的に冷却し、晶析させることによって、一段のみの放圧冷却や、一段の放圧冷却と熱交換による冷却とを組み合わせて晶析させる場合に比べて、冷却・晶析が不均一化するのを抑えることができるので、より徹底した晶析を行えることにより得られる固形物の量が増し、かつその得られる固形物の性状が取り扱いやすいものとなる。また、上記放圧冷却槽内や、上記放圧冷却槽に導入する配管で上記有効成分の結晶が固着するのを抑えることもできる。
このため、上記の複数段の放圧冷却槽のうち、最初の放圧冷却槽である第一冷却槽17は、圧力が大気圧以上であり、かつ上記固液分離工程(e)から排出される一次分離母液Jの圧力未満であることが望ましく、温度は100℃以上であり、かつ上記固液分離工程(e)から排出される一次分離母液Jの温度未満(例えば、放圧蒸発させて100℃〜固液分離工程(e)における固液分離時の温度未満に冷却すればよく、放圧蒸発は、大気圧まで放圧蒸発させることが好ましい。)であることが望ましい。大気圧未満にまで一挙に減圧すると、減圧幅が大きすぎて晶析が不均一化したり、得られる結晶の大きさが小さくなったりして、複数段の放圧冷却槽を設ける意義が薄れてしまう。また温度は、大気圧における水の沸点が100℃であるため、それ以上となる。一方、一次分離母液Jの圧力と温度を下回らなければ晶析が出来ない。
また、上記の複数段の放圧冷却槽のうち、少なくとも一つは、その放圧冷却槽の内壁との間隔が10mm以上かつ50mm以下である攪拌翼を有するものであると望ましい。また、この攪拌翼は、上記の間隔で上記放圧冷却槽の内壁と近接している部分が長いほど望ましく、アンカー型攪拌翼であるとより望ましい。上記放圧冷却槽では純度の比較的低いテレフタル酸が晶析するため、通常の攪拌翼を用いているだけでは、壁面に上記テレフタル酸等の結晶が付着して固化してしまうおそれがある。そこで、槽の壁面に近接して回転する攪拌翼によって、壁面近傍の液体を適度に流動させると、上記壁面への上記テレフタル酸等の付着を抑えることができる。ただし、近すぎると上記放圧冷却槽そのものを傷つけるおそれがあるので、上記攪拌翼と上記壁面との間隔は10mm以上であることが望ましい。特に、最初の放圧冷却槽である第一冷却槽17は、最も晶析量が多くなる可能性が高いため、第一放却槽17に上記の攪拌翼が設けられているとより望ましい。また、これらの複数段の放圧冷却槽のすべてに上記の攪拌翼が設けられていてもよい。
上記の放圧冷却槽で、上記アンカー型攪拌翼を用いて一次分離母液Jから上記二次結晶を晶析させる際、上記アンカー型攪拌翼の回転数は3.0rpm以上、30rpm以下であることが好ましく、5rpm以上、20rpm以下であるとより望ましい。3.0rpmに満たないと、攪拌の効果が発揮しきれずに、液面より下の内壁側面に晶析した結晶が塊として付着するおそれがある。一方、30rpmの速度があれば攪拌には十分であり、それ以上速くしてもエネルギーの無駄であるばかりでなく、一次分離母液Jが放圧冷却槽内で飛び散らされることで、槽の液面より上に塊が付着する要因となる。
さらに、上記の複数段の放圧冷却槽では、上記テレフタル酸だけではなく、上記パラトルイル酸やその他の副生成物も出来うるかぎり晶析させることが望ましい。この第二晶析工程(f)でも晶析できない成分は、後述のろ過工程(g)で回収することができず、二次分離母液Pとして排出されるため、晶析させる物質を上記テレフタル酸に限らず、全ての有効成分を出来る限り晶析させて、回収できるようにする。
このため、上記の複数段の冷却槽(放圧冷却槽)のうち、最後の冷却槽(放圧冷却槽)である最終冷却槽18の圧力を大気圧未満に減圧し、冷却槽の温度を40〜80℃、好ましくは50〜70℃とする。具体的には、最終冷却槽18の圧力は、0.007MPa以上、0.03MPa以下であり、好ましくは0.021MPa以上、0.031MPa以下である。圧力が0.03MPaを超え、また、温度が高すぎる(80℃を超える)と、晶析が徹底せず、回収が不十分になってしまうおそれがある。一方で、圧力が0.007MPa未満であり、温度が低すぎる(40℃未満となる)と、減圧度が高いので最終冷却槽18への負担が大きくなりすぎるおそれがある。
なお、上記の第一冷却槽17と最終冷却槽18との間に、さらに単数、又は複数の放圧冷却槽を設けて、段階的な晶析を行ってもよい。
上記の第二晶析工程(f)で上記テレフタル酸等を晶析することによって得られた二次スラリーOは、ろ過工程(g)としてろ過機19に導入し、二次分離母液Pと二次結晶Qとを固液分離する。
ここで用いるろ過機19は、フィルター下流側を大気圧以上の圧力状態にし、さらに、ろ過機のフィルター上流側をフィルター下流側よりも高い圧力状態にできるものであり、かつ順方向へケーキろ過により固液分離を行うものであると、ろ過を進行させやすくなり望ましい。上記の二次スラリーOは、上記の複数段の放圧冷却槽で晶析させることにより取り扱いやすくはなっているものの、付着しやすい性状ではあるので、通常のろ過では進行しにくいためである。なお、上記フィルター上流側とは上記第二晶析工程(f)から送られてきた側をいい、上記フィルター下流側とは二次分離母液Pを排出する側をいい、順方向とは二次スラリーOや二次分離母液Pの流れが上記フィルター上流側から上記フィルター下流側へ向かう方向をいう。また上記のケーキろ過とは、フィルター細孔上で架橋現象によって粒子が捕捉され、ろ過開始後間もなく、フィルター面上にろ過ケーキ層が形成され、そのケーキ層がその後のろ過に対してフィルターの作用をしつつろ過が進行する機構である。このように操作するろ過機19としては、例えば、石川島播磨重工業(株)製のフンダバックフィルター、月島機械(株)製のクリケットフィルターなどが挙げられる。
上記の二次結晶Qは上記の工程のいずれかに戻して有効成分を再利用することが望ましいが、特に上記の酸化工程(a)に戻すとより望ましい。上記の通り、二次結晶Qには上記テレフタル酸だけではなく、部分還元された上記パラトルイル酸などの不純物が含まれているが、これらはそのままでは上記テレフタル酸の製品として使えない。そこで、上記の酸化工程(a)で酸化することにより、これらの不純物を上記テレフタル酸とすることができ、この発明にかかる高純度テレフタル酸の製造方法全体の収率を向上させることができる。
一方、上記の二次分離母液Pは、その懸濁物濃度が200mg/L以下であることが望ましく、100mg/L以下であることが更に望ましく、50mg/L以下であると特に望ましい。なお、ここで懸濁物濃度とは、二次分離母液Pの全体重量に対する、溶媒に溶けずに分散しているパラトルイル酸などの浮遊物の重量を意味し、JIS K 0101に記載された方法に従って分析される。二次分離母液Pの少なくとも一部は、系内の不純物濃度を高くしすぎないために系外に排出されるため、二次分離母液Pに含まれるパラトルイル酸が廃棄されることになり、この発明にかかるテレフタル酸の製造方法全体の収率を下げることになってしまうからである。更に、二次分離母液Pの少なくとも一部を直接に又は間接的に製造工程の溶媒として再利用する場合には、パラトルイル酸の系内蓄積を抑制する必要がある。
二次分離母液Pに含まれるパラトルイル酸の除去には、二次分離母液Pを合成吸着材と接触させる方法がある。上記合成吸着材としては、通常は有機合成吸着剤を用いる。例えば、SEPABEADS SP825、SP850、SP207(SEPABEADSは三菱化学(株)の登録商標)、AMBERLITE XAD−4、XAD−16(AMBERLITEはローム&ハース社の登録商標)などのスチレン−ジビニルベンゼン系の合成吸着剤や、DIAION HP2MG(DIAIONは三菱化学(株)の登録商標)、AMBERLITE XAD−7、XAD−8などのアクリル系合成吸着剤を用いることができる。好ましくは無極性の有機合成吸着剤、特にモノビニル化合物とポリビニル化合物との多孔質共重合体からなる合成吸着剤、なかでもスチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着剤を用いる。パラトルイル酸はベンゼン環を有しているので、スチレン−ジビニルベンゼン系の合成吸着剤に吸着され易い。
上記吸着材の比表面積は通常400〜1500m2/g、好ましくは600〜1000m2/g、細孔容積は通常0.5〜3mL/g、好ましくは1.0〜2.0mL/g、細孔径は通常10〜1000Å、好ましくは50〜500Åである。吸着剤は、通常は充填層高が1.5〜4.0m程度となるように吸着塔に充填する。被処理液の供給停止をどの時点で行うかにもよるが、一般に充填層高が低すぎると吸着剤の利用効率が低下する。
上記吸着塔への被処理液の供給速度は、LVが通常0.5〜30m/hr、SVが通常0.5〜20hr-1である。吸着処理された二次分離母液Pはパラトルイル酸濃度が低減されており、好ましくは溶解工程の溶媒や固液分離工程後の分離ケーキ洗浄液として製造工程へ再利用が容易となる。また、パラトルイル酸はパラキシレンからテレフタル酸へ酸化される際の酸化中間体であり、合成吸着剤に吸着させたパラトルイル酸は脱離液を用いて回収し、酸化工程へ供給することが好ましい。
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明する。
[懸濁物質濃度の測定方法(JIS K 0101)]
懸濁物質(水中に懸濁している物質)は次の操作にしたがって、試料をろ過し、ろ過材上に残留した物質を105〜110℃で乾燥し、質量をはかる。
(a)ガラス繊維ろ紙を用いる場合はあらかじめろ過器に取り付け、水で十分に吸引洗浄した後、このろ過材を、時計皿上に置き、105〜110℃で約1時間加熱し、デシケーター中で放冷した後、その質量をはかる。
(b)ろ過材をろ過器に取り付け、試料の適量をろ過器に注ぎいれて吸引ろ過する。試料容器及びろ過管の器壁に付着した物質は、水でろ過材上に洗い落とし、ろ過材上の残留物質に合わせ、これを水で数回洗浄する。
(c)残留物は、ろ過材とともにピンセットなどを用いてろ過器から注意して取り外し、(a)で用いた時計皿上に移し、105〜110℃で2時間加熱し、先のデシケーター中で放冷した後、その質量をはかる。
(d)次の式<1>によって懸濁物質(mg/L)を算出する。
S=(a−b)×1000/V …<1>
ここで、Sは、懸濁物質(mg/L)、aは、懸濁物質を含んだろ過材及び時計皿の質量(mg)、bは、ろ過材及び時計皿の質量(mg)、Vは、試料(mL)を意味する。
[懸濁物質濃度の測定方法(JIS K 0101)]
懸濁物質(水中に懸濁している物質)は次の操作にしたがって、試料をろ過し、ろ過材上に残留した物質を105〜110℃で乾燥し、質量をはかる。
(a)ガラス繊維ろ紙を用いる場合はあらかじめろ過器に取り付け、水で十分に吸引洗浄した後、このろ過材を、時計皿上に置き、105〜110℃で約1時間加熱し、デシケーター中で放冷した後、その質量をはかる。
(b)ろ過材をろ過器に取り付け、試料の適量をろ過器に注ぎいれて吸引ろ過する。試料容器及びろ過管の器壁に付着した物質は、水でろ過材上に洗い落とし、ろ過材上の残留物質に合わせ、これを水で数回洗浄する。
(c)残留物は、ろ過材とともにピンセットなどを用いてろ過器から注意して取り外し、(a)で用いた時計皿上に移し、105〜110℃で2時間加熱し、先のデシケーター中で放冷した後、その質量をはかる。
(d)次の式<1>によって懸濁物質(mg/L)を算出する。
S=(a−b)×1000/V …<1>
ここで、Sは、懸濁物質(mg/L)、aは、懸濁物質を含んだろ過材及び時計皿の質量(mg)、bは、ろ過材及び時計皿の質量(mg)、Vは、試料(mL)を意味する。
(実施例1)
[工程(a)]
パラキシレン、触媒(酢酸コバルト、酢酸マンガンの酢酸溶液および臭化水素)を含む酢酸溶液、後段の固液分離工程からリサイクルされる分離母液及び、空気を撹拌槽に連続的に供給し、操作温度190℃、操作圧力1.23MPa(絶対圧)で、滞留時間1時間になるように液面を調整しながら酸化反応を行った。また、留出蒸気は多段の凝縮器により最終的に40℃まで冷却させ、排ガス中の酸素濃度が2.5vol%に調整して運転を実施した。また各凝縮器から得られる凝縮液は統合して酸化反応器に還流し、その一部は反応抜き出しスラリーの母液中水分濃度が10重量%となるように抜き出した。酸化反応器から抜き出されるスラリーのスラリー濃度は35重量%、反応母液中のコバルト/マンガン/臭素濃度が300/300/1000重量ppmであった。
[工程(a)]
パラキシレン、触媒(酢酸コバルト、酢酸マンガンの酢酸溶液および臭化水素)を含む酢酸溶液、後段の固液分離工程からリサイクルされる分離母液及び、空気を撹拌槽に連続的に供給し、操作温度190℃、操作圧力1.23MPa(絶対圧)で、滞留時間1時間になるように液面を調整しながら酸化反応を行った。また、留出蒸気は多段の凝縮器により最終的に40℃まで冷却させ、排ガス中の酸素濃度が2.5vol%に調整して運転を実施した。また各凝縮器から得られる凝縮液は統合して酸化反応器に還流し、その一部は反応抜き出しスラリーの母液中水分濃度が10重量%となるように抜き出した。酸化反応器から抜き出されるスラリーのスラリー濃度は35重量%、反応母液中のコバルト/マンガン/臭素濃度が300/300/1000重量ppmであった。
酸化反応器から抜き出されたスラリーは、空気と共に撹拌槽に連続的に供給し、操作温度181℃、操作圧力1.15MPa(絶対圧)で、滞留時間15分になるように液面調整しながら低温追酸化反応を行った。また、留出蒸気は多段の凝縮器により最終的に40℃まで冷却させ、排ガス中の酸素濃度が6vol%に調整して運転を実施した。また各凝縮器から得られる凝縮液は統合して低温追酸化反応器に還流した。
低温追酸化反応器から抜き出されたスラリーは、90℃まで晶析した後に、この晶析で得られたスラリーをロータリーバキュームフィルターに供給して固液分離と洗浄を行った。ここで操作圧力は大気圧であった。分離された粗テレフタル酸ケーキはスチームロータリードライヤーで乾燥させて粗テレフタル酸結晶を得た。
[工程(b)〜工程(c)]
得られた粗テレフタル酸を、図1に示す高純度テレフタル酸の製造工程に供与した。溶媒として水Dを使用して粗テレフタル酸を30重量%含む高温高圧である水溶液E’を得た。上記図1に示す工程において、水添反応器13に送られる水溶液E’の温度及び圧力を、それぞれ、290℃、8.7MPa(89kgf/cm2・ゲージ)とした。
得られた粗テレフタル酸を、図1に示す高純度テレフタル酸の製造工程に供与した。溶媒として水Dを使用して粗テレフタル酸を30重量%含む高温高圧である水溶液E’を得た。上記図1に示す工程において、水添反応器13に送られる水溶液E’の温度及び圧力を、それぞれ、290℃、8.7MPa(89kgf/cm2・ゲージ)とした。
[工程(d)〜工程(e)]
これに引き続く第一晶析工程(d)では、5つの上記晶析槽を直列に接続した晶析槽14を用いて段階的に放圧蒸発により冷却させ、最終的に温度155℃まで冷却し、溶質を晶析させた。晶析により得られたスラリーHは、固液分離・洗浄装置15で、一次結晶を含んだ高純度テレフタル酸ケーキLと、一次分離母液Jとに分離させ、上記高純度テレフタル酸ケーキLは洗浄水で洗浄後、乾燥装置16で乾燥させた後、高純度テレフタル酸結晶Mとして回収した。
これに引き続く第一晶析工程(d)では、5つの上記晶析槽を直列に接続した晶析槽14を用いて段階的に放圧蒸発により冷却させ、最終的に温度155℃まで冷却し、溶質を晶析させた。晶析により得られたスラリーHは、固液分離・洗浄装置15で、一次結晶を含んだ高純度テレフタル酸ケーキLと、一次分離母液Jとに分離させ、上記高純度テレフタル酸ケーキLは洗浄水で洗浄後、乾燥装置16で乾燥させた後、高純度テレフタル酸結晶Mとして回収した。
[工程(f)]
一方で、一次分離母液Jは、アンカー型攪拌翼を設けた第一冷却槽17において、圧力を大気圧まで低下させ、100℃まで放圧冷却させて、一段目の第二晶析工程(f)となる晶析を行った。上記アンカー型攪拌翼の回転数は10rpm、上記アンカー型攪拌翼と内壁側面との隙間は10mmとした。
一方で、一次分離母液Jは、アンカー型攪拌翼を設けた第一冷却槽17において、圧力を大気圧まで低下させ、100℃まで放圧冷却させて、一段目の第二晶析工程(f)となる晶析を行った。上記アンカー型攪拌翼の回転数は10rpm、上記アンカー型攪拌翼と内壁側面との隙間は10mmとした。
次いで、得られた100℃の中間スラリーNを、スチームエジェクターを備えた最終冷却槽18に導入し、操作圧力を0.02MPaとし、60℃まで減圧冷却した。こうして得られた二次スラリーOを、ろ過機19として石川島播磨重工業(株)製のフンダバックフィルター(R56−86−25型)に投入し、固液分離した。ここで得られた二次分離母液Pの懸濁物濃度をJIS K 0101に記載された方法に従って測定したところ、30mg/Lであった。
この結果、上記の第一冷却槽17及び最終冷却槽18では、1ヶ月間、内壁側面に析出物が付着、成長することが無く安定して二次結晶Qの回収処理をすることができた。
12 スラリー化槽
12a ポンプ
12b ヒーター
13 水添反応器
14 晶析槽
15 固液分離・洗浄装置
16 乾燥装置
17 第一冷却槽
18 最終冷却槽
19 ろ過機
A パラキシレン
B 分子状酸素
C 粗テレフタル酸
D 水
E 開始スラリー
E’ 水溶液
F 水素
G 還元反応液
H スラリー
I 洗浄液
J 一次分離母液
K 洗浄排出液
L 高純度テレフタル酸ケーキ
M 高純度テレフタル酸結晶
N 中間スラリー
O 二次スラリー
P 二次分離母液
Q 二次結晶
12a ポンプ
12b ヒーター
13 水添反応器
14 晶析槽
15 固液分離・洗浄装置
16 乾燥装置
17 第一冷却槽
18 最終冷却槽
19 ろ過機
A パラキシレン
B 分子状酸素
C 粗テレフタル酸
D 水
E 開始スラリー
E’ 水溶液
F 水素
G 還元反応液
H スラリー
I 洗浄液
J 一次分離母液
K 洗浄排出液
L 高純度テレフタル酸ケーキ
M 高純度テレフタル酸結晶
N 中間スラリー
O 二次スラリー
P 二次分離母液
Q 二次結晶
Claims (11)
- (a)パラキシレンを酸化して、4−カルボキシベンズアルデヒドを含有する粗テレフタル酸を得る酸化工程、
(b)上記粗テレフタル酸を、高温高圧下で水溶媒に溶解させて粗テレフタル酸水溶液を得る溶解工程、
(c)上記粗テレフタル酸水溶液を、触媒の存在下で水素と接触させることにより、上記4−カルボキシベンズアルデヒドをパラトルイル酸に還元した還元反応液を得る還元工程、
(d)上記還元反応液を、放圧蒸発させて、温度が120〜200℃に冷却し、高純度テレフタル酸からなる一次結晶を晶析させる第一晶析工程、
(e)上記第一晶析工程(d)により得られたスラリーを、上記一次結晶と、一次分離母液とに固液分離する固液分離工程、
(f)上記一次分離母液を冷却することにより、この一次分離母液に含有されるテレフタル酸及びパラトルイル酸を主とする二次結晶を晶析させる第二晶析工程
を有する高純度テレフタル酸の製造方法において、
上記第二晶析工程(f)における冷却を、圧力を下げることにより行い、この冷却を行う冷却槽を複数段用い、そのうち最後の冷却槽を大気圧未満に減圧し、かつ、温度を40〜70℃とする、高純度テレフタル酸の製造方法。 - 上記第二晶析工程(f)で用いる冷却槽のうち、最初の冷却槽は、放圧蒸発させることにより、温度を100℃〜上記固液分離工程(e)における固液分離時の温度未満に冷却する請求項1に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 最初の冷却槽を、大気圧まで放圧蒸発させる請求項2に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 上記第二晶析工程(f)で用いられる冷却槽が、アンカー型撹拌翼を有する冷却槽である請求項1乃至3のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 上記第二晶析工程(f)で用いる冷却槽のうち、少なくとも一つが、その冷却槽の内壁との間隔が10mm以上かつ50mm以下である攪拌翼を有する、請求項1乃至4のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- (g)上記第二晶析工程(f)で得られるスラリーを、ろ過機を用いて、二次結晶と二次分離母液とに固液分離するろ過工程、
を有する請求項1乃至5のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。 - 上記ろ過工程(g)で分離される上記二次結晶を、上記酸化工程(a)に供与する、請求項6に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 上記ろ過工程(g)で、上記ろ過機のフィルター下流側を大気圧以上の圧力状態とし、このろ過機のフィルター上流側を上記のフィルター下流側より高い圧力状態として、上記ろ過機の順方向へケーキろ過により固液分離を行う、請求項6又は7に記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 上記ろ過工程(g)で得られた上記二次分離母液を、直接に、又は間接的に、上記溶解工程(b)に供与する、請求項6乃至8のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 上記ろ過工程(g)で得られた上記二次分離母液を、合成吸着材と接触させてパラトルイル酸を除去した後、上記溶解工程(b)に供与する請求項6乃至8のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
- 上記ろ過工程(g)で得られた上記二次分離母液内の懸濁物濃度が200mg/L以下である、請求項4乃至7のいずれかに記載の高純度テレフタル酸の製造方法。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP2005152494A JP2006008671A (ja) | 2004-05-28 | 2005-05-25 | 高純度テレフタル酸の製造方法 |
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| JP2004159786 | 2004-05-28 | ||
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ID=35776299
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| JP2005152494A Pending JP2006008671A (ja) | 2004-05-28 | 2005-05-25 | 高純度テレフタル酸の製造方法 |
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|---|---|
| JP (1) | JP2006008671A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2009141968A1 (ja) * | 2008-05-20 | 2009-11-26 | 株式会社日立プラントテクノロジー | 精製テレフタル酸分離母液の処理方法 |
| WO2012114434A1 (ja) * | 2011-02-21 | 2012-08-30 | 株式会社日立プラントテクノロジー | 精製テレフタル酸母液の処理方法 |
| JP2015129444A (ja) * | 2014-01-06 | 2015-07-16 | 住友金属鉱山株式会社 | ポンプ用シール水供給装置 |
-
2005
- 2005-05-25 JP JP2005152494A patent/JP2006008671A/ja active Pending
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