JP2005160387A - 核酸の増幅法および核酸増幅用プライマーセット - Google Patents
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Abstract
【課題】 サンプル中の標的核酸を特異的に増幅し、その増幅産物の有無を迅速に検出しうる核酸増幅法の提供。
【解決手段】 標的核酸配列を増幅しうる2種以上のプライマーを含んでなるプライマーセットであって、前記プライマーセットに含まれる第一のプライマーが、標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac')を3’末端部分に含んでなり、かつ、前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B')を前記配列(Ac')の5’側に含んでなるものであり、前記プライマーセットに含まれる少なくとも1種のプライマーが、固相担体または固相担体と結合可能な部位を含んでなるものであるプライマーセットを用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】 標的核酸配列を増幅しうる2種以上のプライマーを含んでなるプライマーセットであって、前記プライマーセットに含まれる第一のプライマーが、標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac')を3’末端部分に含んでなり、かつ、前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B')を前記配列(Ac')の5’側に含んでなるものであり、前記プライマーセットに含まれる少なくとも1種のプライマーが、固相担体または固相担体と結合可能な部位を含んでなるものであるプライマーセットを用いる。
【選択図】 なし
Description
発明の分野
本発明は、標的核酸の増幅法および検出法に関するものであり、より詳細には、標的核酸を特異的に増幅した後に、プライマーに結合した固相担体の凝集を観察することにより増幅産物を検出する方法に関するものである。
本発明は、標的核酸の増幅法および検出法に関するものであり、より詳細には、標的核酸を特異的に増幅した後に、プライマーに結合した固相担体の凝集を観察することにより増幅産物を検出する方法に関するものである。
背景技術
遺伝子診断において、標的核酸を増幅してこれを検出する技術は特に重要である。例えば、感染症の遺伝子診断においては、感染症の原因となる病原体に特異的な標的核酸の増幅および検出により、サンプル中の該病原体の存否を判定することができる。また、内因性遺伝子の変異または一塩基多型(SNP)に関する情報を得るための遺伝子診断は、そのような変異または一塩基多型を含む標的核酸の増幅および検出により行なうことができる。従って、サンプル中の標的核酸を迅速かつ正確に増幅および検出しうる簡便な方法が求められている。
遺伝子診断において、標的核酸を増幅してこれを検出する技術は特に重要である。例えば、感染症の遺伝子診断においては、感染症の原因となる病原体に特異的な標的核酸の増幅および検出により、サンプル中の該病原体の存否を判定することができる。また、内因性遺伝子の変異または一塩基多型(SNP)に関する情報を得るための遺伝子診断は、そのような変異または一塩基多型を含む標的核酸の増幅および検出により行なうことができる。従って、サンプル中の標的核酸を迅速かつ正確に増幅および検出しうる簡便な方法が求められている。
目的遺伝子の増幅(核酸増幅)は、主に、DNAポリメラーゼを利用した酵素的方法により行われる。このような酵素的方法の主要なものとしては、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法;米国特許第4683195号明細書、米国特許第4683202号明細書および米国特許第4800159号明細書)、さらには、PCR法と逆転写酵素反応を組合わせた逆転写PCR法(RT−PCR法;Trends in Biotechnology 10, pp146-152, 1992)がある。PCR法では、増幅の対象とする標的核酸配列の両端部に基づいて設計した塩基配列からなる1組のプライマーが用いられ、鋳型となる二本鎖核酸の一本鎖核酸への解離(変性)、一本鎖核酸へのプライマーのアニーリング、およびプライマーからの相補鎖合成(伸長)の3つの段階からなる反応を繰り返すことにより、DNAまたはRNAからの標的核酸の増幅が可能となる。これらの方法では、反応溶液を上記3段階のそれぞれに適した温度に調節する計3工程の繰り返しが必要とされ、これにより、目的核酸の指数関数的な増幅が可能となる。
PCR法は、反応溶液の温度を正確に変化させるための特殊な装置を必要とするため、野外やベッドサイドで実施することは非常に困難である。また、PCR法には、その反応特異性においても問題が残されている。すなわち、PCR法では、プライマーの伸長反応により合成された二本鎖の核酸が新たな鋳型として用いられ、その場合には、次の新たなプライマーがアニールする配列は、サンプル中に当初から含まれていたヌクレオチド配列ではなく、プライマー配列を写し取ったものである。従って、誤った領域を一旦増幅し始めると、次々とその領域が増幅されるため、容易に非標的増幅産物が生成する。このように、PCR法では、その反応特異性から、非標的核酸が増幅される可能性があり、特に、一塩基などのわずかなヌクレオチド配列の違いを認識して標的核酸のみを特異的に増幅することは比較的困難とされている。
PCR法をはじめ、さまざまな核酸増幅法によって得られた増幅産物の検出は、一般的には、その増幅反応後の反応溶液をゲル電気泳動によって展開し、増幅産物と鋳型核酸やプライマー等とを分離した状態で、エチジウムブロマイドなどのインターカレーターによってバンドを染色し、増幅産物のバンドを分子量マーカーなどのバンドと比較することによりそのサイズを確認し、標的増幅産物が存在するかどうかを判定することにより行なわれる。しかし、さまざまな核酸増幅法を用いた標的核酸の検出においては、反応溶液中に、鋳型核酸、大量の未反応プライマー、さらには標的核酸以外の増幅産物等が含まれているため、目的の増幅産物の分子サイズによっては、ゲル電気泳動による分離操作が困難な場合も多い。また、サンプル数が多い場合には、煩雑なゲル電気泳動を行うことが多大な労力と時間の浪費を伴うことになる。また、正確なゲル電気泳動を行うためには熟練した技術が必要とされ、目的の増幅産物と非目的増幅産物とのサイズの差が僅かな場合、その識別が困難となる。例えば、数塩基の挿入または欠失が存在する可能性のある核酸配列を標的とする場合には、僅かなバンドサイズの差を識別し、標的増幅産物の存在の有無を判定することは非常に困難である。特に、臨床現場において遺伝子診断を行う場合には、多くのサンプルを簡易に短時間で効率良く処理することが必要とされるため、このような従来法では十分に対応できるものではなかった。
前記問題を解決するために、より簡便で迅速な増幅産物の検出方法の開発が試みられている。特開平9−168400号公報(特許文献1)には、核酸増幅反応に用いられるプライマーを不溶性担体に固定化しておくか、もしくは固定化可能な状態にしておき、前記不溶性担体の凝集を観察することにより標的核酸の増幅産物を検出する方法が記載されている。この方法では、核酸増幅法としてPCR法が用いられており、2種類のプライマーの両方を不溶性担体に固定化するか、もしくは固定化可能な状態にしておく必要があるとされている。また、不溶性担体に固定化したプライマーペアを用いてPCRを行った場合、温度変化に伴って前記不溶性担体に結合した増幅産物が凝集と分散を繰り返すことになること、さらには、PCR法により増幅される増幅産物の長さは一般的に不溶化担体の直径に比べて短いため、増幅反応の際に不溶性担体同士が立体障害を起こしやすいことから、増幅に支障をきたすことがある。さらに、PCR法によって得られる増幅産物の量はあまり多くないために、不溶性担体が十分に凝集しないことも多く、その場合には、目視により不溶性担体の凝集を観察し、標的核酸の増幅の有無を判定することは困難となる。
また、特開2002−345499号公報(特許文献2)には、少なくとも1種類の固定化プライマーを用いて増幅産物を凝集させ、これにより標的核酸を検出する方法が開示されている。この方法は、2種類のプライマーセットで標的核酸を増幅し、増幅産物がステム−ループ構造(ダンベル構造)を形成した時点で、不溶性担体に固定化された少なくとも1種類の固定化プライマーを加えて更に増幅を行うことにより、増幅産物を凝集させる、というものであり、その反応ステップは複雑である。また、この方法では、2種類のプライマーセットおよび少なくとも1種類の固定化プライマーが必要となるため、プライマーの設計が困難であり、さらにはそのコストが高くなるという問題がある。
本発明者らは、相補鎖合成に用いるプライマーの3’末端部と、その伸長反応により生成する相補鎖自身に折り返しハイブリダイズすることのできるプライマーの5’末端部とを組み合わせることにより、高度に特異的な標的核酸の増幅が可能となることを見出した。さらに、そのようなプライマーを固相担体に固定するか、もしくは固相担体に固定可能な状態とし、これを用いることによって、相補鎖合成の反応効率を失うことなく標的核酸を増幅し、前記固相担体の凝集を観察することにより増幅産物の検出が可能となることを見出した。本発明はこれら知見に基づくものである。
従って、本発明は、サンプル中の標的核酸を特異的に増幅し、その増幅産物の有無を迅速に検出することを可能とするプライマーセット、ならびにこのプライマーセットを利用する核酸増幅法および核酸検出法を提供することを目的とする。
そして、本発明によるプライマーセットは、標的核酸配列を増幅しうる2種以上のプライマーを含んでなるプライマーセットであって、前記プライマーセットに含まれる第一のプライマーが、標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac')を3’末端部分に含んでなり、かつ、前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B')を前記配列(Ac')の5’側に含んでなるものであり、前記プライマーセットに含まれる少なくとも1種のプライマーが、固相担体または固相担体と結合可能な部位を含んでなるものである、プライマーセットである。
さらに、本発明による核酸増幅法は、鋳型核酸中の標的核酸配列を増幅する方法であって、
(a)標的核酸配列を含む鋳型核酸を用意する工程、
(b)本発明によるプライマーセットを用意する工程、および
(c)前記鋳型核酸の存在下において、前記プライマーセットによる核酸増幅反応を行なう工程
を含んでなるものである。
(a)標的核酸配列を含む鋳型核酸を用意する工程、
(b)本発明によるプライマーセットを用意する工程、および
(c)前記鋳型核酸の存在下において、前記プライマーセットによる核酸増幅反応を行なう工程
を含んでなるものである。
さらに、本発明による核酸検出法は、核酸試料中の標的核酸の有無を判定する方法であって、
(a)核酸試料を用意する工程、
(b)本発明によるプライマーセットを用意する工程、
(c)前記核酸試料の存在下において、前記プライマーセットによる核酸増幅反応を行なう工程、
(d)前記プライマーセットに含まれるプライマーのいずれもが固相担体を含まない場合に、これらプライマーの少なくとも一つに含まれる、固相担体と結合可能な部位に、該固相担体を結合させる工程、ならびに
(e)固相担体の凝集の有無を観察する工程
を含んでなるものである。この方法では、固相担体の凝集が観察される場合には標的核酸が存在するものと判定され、固相担体の凝集が観察されない場合には標的核酸が存在しないものと判定される。
(a)核酸試料を用意する工程、
(b)本発明によるプライマーセットを用意する工程、
(c)前記核酸試料の存在下において、前記プライマーセットによる核酸増幅反応を行なう工程、
(d)前記プライマーセットに含まれるプライマーのいずれもが固相担体を含まない場合に、これらプライマーの少なくとも一つに含まれる、固相担体と結合可能な部位に、該固相担体を結合させる工程、ならびに
(e)固相担体の凝集の有無を観察する工程
を含んでなるものである。この方法では、固相担体の凝集が観察される場合には標的核酸が存在するものと判定され、固相担体の凝集が観察されない場合には標的核酸が存在しないものと判定される。
本発明によれば、少なくとも2種類のプライマーにより標的核酸を特異的に増幅することが可能となり、さらには、固相担体の凝集を観察することによりその増幅産物を検出することが可能となる。従って、本発明によれば、標的核酸の有無を正確かつ迅速に検出することが可能となり、例えば、核酸配列中の変異を迅速に検出することも可能である。
本発明による核酸増幅反応の作用機序を、図1に模式的に示す。まず、鋳型となる核酸中の標的核酸配列を決定し、その標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)、および配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)を決定する。本発明によるプライマーは、配列(Ac')を含んでなり、さらにその5’側に配列(B')を含んでなる。配列(Ac')は、配列(A)にハイブリダイズするものである。配列(B')は、配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズするものである。ここで、本発明によるプライマーは、前記配列(Ac')と前記配列(B')の間に、反応に影響を与えない介在配列を含んでいてもよい。このようなプライマーを鋳型核酸にアニーリングさせると、プライマー中の配列(Ac')が標的核酸配列の配列(A)にハイブリダイズした状態となる(図1(a))。この状態でプライマー伸長反応が起こると、標的核酸配列の相補配列を含む核酸が合成される。そして、合成された核酸の5’末端側に存在する配列(B')が、同核酸中に存在する配列(Bc)にハイブリダイズし、これにより、合成された核酸の5’末端部分においてステム−ループ構造が形成される。その結果、鋳型核酸上の配列(A)が一本鎖となり、この部分に先のプライマーと同一の配列を有する他のプライマーがハイブリダイズする(図1(b))。その後、鎖置換反応により、新たにハイブリダイズしたプライマーからの伸長反応が起こると同時に、先に合成された核酸が鋳型核酸から分離される(図1(c))。
上記の作用機序において、配列(B')が配列(Bc)にハイブリダイズする現象は、同一鎖上に相補領域が存在することにより起こる。一般に、二本鎖核酸が一本鎖に解離するときは、その末端あるいはそれ以外の比較的不安定な部分から部分的な解離が始まる。上記プライマーによる伸長反応で生成した二本鎖核酸は、比較的高温では末端部分の塩基対は解離と結合の平衡状態にあり、全体としては二本鎖を保っている。そのような状態で末端の解離した部分に相補的な配列が同一鎖上に存在すると、準安定な状態としてステム−ループ構造を形成することができる。このステムループ構造は安定的には存在しないが、その構造の形成により剥き出しとなった相補鎖部分(鋳型核酸上の配列(A))に同一のプライマーが結合し、すぐさまポリメラーゼが伸長反応を行うことにより、先に合成した鎖が置換されて遊離すると同時に、新たな二本鎖核酸が生成する。
以上の反応を繰り返すことにより、鋳型核酸中の標的核酸配列に相補的な核酸を大量に合成することが可能となる。また、上記標的核酸配列の相補鎖について設計された第二のプライマーを併用することにより、上記鋳型核酸の相補鎖を鋳型とする核酸合成反応を同時に行なうこともできる。特に、第二のプライマーとして、第一のプライマーと同様に設計されたものを併用することにより、上記鋳型核酸の相補鎖を鋳型とする上記と同様の核酸合成反応を同時に行なうことが可能となる。これらの核酸合成反応により新たに合成される標的核酸は、次の核酸合成反応において、それぞれの相補鎖の合成のための鋳型として使用される。従って、これらの核酸合成反応により、鋳型核酸中の標的核酸配列を増幅することが可能となる。
さらに、本発明によるプライマーセットに含まれる少なくとも1種のプライマーは、固相担体または固相担体に結合可能な部位を含んでいるため、増幅反応の後に、固相担体の凝集を観察することにより、増幅産物の迅速な検出が可能となる。
本発明によるプライマーセットは、以上のような核酸増幅反応による標的核酸配列の増幅を可能とする2種以上のプライマーを含んでなるものである。このプライマーセットに含まれる第一のプライマーは、標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac')を3’末端部分に含んでなり、かつ、前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B')を前記配列(Ac')の5’側に含んでなるものとされる。
本発明において「標的核酸」または「標的核酸配列」とは、増幅しようとする核酸またはその配列そのものだけでなく、これに相補的な配列または該配列を有する核酸をも意味する。
本発明において「ハイブリダイズする」とは、本発明によるプライマーの一部がストリンジェントな条件下で標的核酸にハイブリダイズし、標的核酸以外の核酸分子にはハイブリダイズしないことを意味する。ストリンジェントな条件は、本発明によるプライマーとその相補鎖との二重鎖の融解温度Tm(℃)およびハイブリダイゼーション溶液の塩濃度などに依存して決定することができ、例えば、J. Sambrook, E. F. Frisch, T. Maniatis; Molecular Cloning 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory (1989)等を参照することができる。例えば、使用するプライマーの融解温度よりわずかに低い温度下でハイブリダイゼーションを行なうと、プライマーを標的核酸に特異的にハイブリダイズさせることができる。このようなプライマーは、市販のプライマー構築ソフト、例えば、Primer3(Whitehead Institute for Biomedical Research社製)などを用いて設計することができる。本発明の好ましい実施態様によれば、ある標的核酸にハイブリダイズするプライマーは、その標的核酸に相補的な核酸分子の全部または一部の配列を含んでなるものである。
本発明の好ましい態様における第一のプライマーの設計基準は次のとおりである。まず、プライマーの伸長により鋳型核酸の相補鎖が合成された後に新たなプライマーが効率よく同鋳型核酸にアニーリングするためには、合成された相補鎖の5’末端におけるステム−ループ構造形成により、鋳型核酸上の前記配列(A)の部分を一本鎖とする必要がある。そのためには、配列(Ac')の塩基数Xと標的核酸配列中における前記配列(A)と前記配列(B)に挟まれた領域の塩基数Yとの差(X−Y)の、Xに対する割合(X−Y)/Xが重要となる。ただし、鋳型核酸上において配列(A)よりも5’側に存在する、プライマーのハイブリダイズとは関係無い部分まで一本鎖とする必要はない。また、新たなプライマーが効率よく鋳型核酸にアニーリングするためには、上述のステム−ループ構造形成を効率よく行なうことも必要となる。そして、効率の良いステム−ループ構造形成、すなわち、効率の良い配列(B')と配列(Bc)とのハイブリダイゼーションには、前記配列(B')と前記配列(Bc)との間の距離(X+Y)が重要となる。一般に、プライマー伸長反応のための最適温度は最高でも72℃付近であり、そのような低い温度では、伸長鎖が長い領域にわたって解離することは困難である。従って、配列(B')が配列(Bc)に効率よくハイブリダイズするためには、両配列の間の塩基数は少ないほうが好ましいと考えられる。一方で、配列(B')が配列(Bc)にハイブリダイズして鋳型核酸上の前記配列(A)の部分を一本鎖とするためには、配列(B')と配列(Bc)との間の塩基数は多い方が好ましいと考えられる。
以上のような観点から、本発明の好ましい実施態様による前記第一のプライマーは、プライマーを構成する配列(Ac')と配列(B')の間に介在配列が存在しない場合において、(X−Y)/Xが−1.00以上、好ましくは0.00以上、さらに好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.10以上となり、また、1.00以下、好ましくは0.75以下、さらに好ましくは0.50以下、さらに好ましくは0.25以下となるように設計される。さらに、(X+Y)は、好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上とされ、また、好ましくは50以下、さらに好ましくは48以下、さらに好ましくは42以下とされる。
また、プライマーを構成する配列(Ac')と配列(B')の間に介在配列(塩基数はY’)が存在する場合には、本発明の好ましい実施態様による前記第一のプライマーは、{X−(Y−Y’)}/Xが−1.00以上、好ましくは0.00以上、さらに好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.10以上となり、また、1.00以下、好ましくは0.75以下、さらに好ましくは0.50以下、さらに好ましくは0.25以下となるように設計される。さらに、(X+Y+Y’)は、好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上とされ、また、好ましくは100以下、さらに好ましくは75以下、さらに好ましくは50以下とされる。
前記第一のプライマーは、デオキシヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドにより構成されており、与えられた条件下で必要な特異性を維持しながら標的核酸との塩基対結合を行うことができる程度の鎖長を有するものである。このプライマーの鎖長は、好ましくは15〜100ヌクレオチド、より好ましくは30〜60ヌクレオチドとする。また、前記第一のプライマーを構成する配列(Ac')と配列(B')の長さは、それぞれ、好ましくは5〜50ヌクレオチド、より好ましくは10〜30ヌクレオチドである。また、必要に応じて、配列(Ac')と配列(B')の間に、反応に影響を与えない介在配列を挿入してもよい。
本発明において、「リボヌクレオチド」(単に「N」ということもある)とは、リボヌクレオチド3リン酸をいい、例えば、ATP,UTP,CTP,GTP等がある。さらに、リボヌクレオチドにはこれらの誘導体が含まれ、例えば、α位のリン酸基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたリボヌクレオチド(α−チオ−リボヌクレオチド)等がある。
また、前記第一のプライマーには、未修飾デオキシヌクレオチドおよび/または修飾デオキシヌクレオチドで構成されたオリゴヌクレオチドプライマー、および未修飾リボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドで構成されたオリゴヌクレオチドプライマー、未修飾デオキシヌクレオチドおよび/または修飾デオキシヌクレオチドおよび未修飾リボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマー等も含まれる。
本発明によるプライマーセットに含まれる第二のプライマーは、核酸増幅反応において鋳型の相補鎖合成の起点となり得るものであればよく、例えば、PCR法などの公知の方法に用いられるプライマーと同様に設計することができる。また、第二のプライマーは、第一のプライマーと同様に設計することができ、これにより、核酸増幅反応における増幅効率を向上させることができる。従って、本発明の好ましい実施態様によれば、第二のプライマーは、前記標的核酸配列の相補配列の3’末端部分の配列(C)にハイブリダイズする配列(Cc')を3’末端部分に含んでなり、かつ、前記標的核酸配列の相補配列において前記配列(C)よりも5’側に存在する配列(D)の相補配列(Dc)にハイブリダイズする配列(D')を前記配列(Cc')の5’側に含んでなるものとされる。このような第二のプライマーの好ましい設計基準については、第一のプライマーについて上述したとおりである。
本発明によるプライマーセットは、上記の第一および第二のプライマーに加えて、同じ標的核酸配列の全部または一部を含む領域を増幅しうる追加のプライマーを含んでいてもよい。このような追加のプライマーは、核酸増幅反応において鋳型の相補鎖合成の起点となり得るものであればよく、例えば、PCR法などの公知の方法に用いられるプライマーと同様に設計することができる。追加のプライマーは、典型的には、標的とする領域のいずれかの鎖における3’末端部分にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含んでなるものとすることができる。また、本発明によるプライマーセットに含まれる追加のプライマーの数は特に制限されない。このような追加のプライマーを用いることにより、核酸増幅反応における増幅効率をさらに向上させることが可能である。しかしながら、上記の第一および第二のプライマーのみによる核酸増幅反応においても十分な増幅効率が得られるため、追加のプライマーは必ずしも必要ではない。
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、本発明によるプライマーセットは、上記の第一および第二のプライマーのみからなるものとされる。このようなプライマーセットは、必要最小限の数のプライマーを含むものであるため、プライマーの設計を容易に行ない、核酸増幅反応の作用機序をできるだけ単純なものとする上で有利である。
本発明によるプライマーセットに含まれるプライマーは、オリゴヌクレオチドの合成に用いることのできる任意の方法、例えば、リン酸トリエステル法、H−ホスホネート法、チオホスホネート法等により合成できる。前記第一および第二のプライマーは、例えば、ABI社(Applied Biosystem Inc.)のDNAシンセサイザー394型を用いてホスホアミダイト法により合成すれば、容易に取得することができる。
本発明によるプライマーセットに含まれる少なくとも1種のプライマーは、固相担体または固相担体と結合可能な部位を含んでなるものとされる。固相担体または固相担体と結合可能な部位は、プライマーの3’末端部、5’末端部、中央領域など、いかなる部分に導入されたものであってもよいが、好ましくは5’末端部に導入されたものとされる。また、本発明の一つの好ましい実施態様によれば、前記固相担体または固相担体と結合可能な部位は、第一のプライマーおよび第二のプライマーのいずれか一方または両方に導入される。
本発明に用いられる固相担体としては、核酸増幅反応に用いられる反応溶液に不溶性の担体、または増幅の前後において液相から固相(ゲル相)もしくは固相(ゲル相)から液相に性状が変化する相転移性担体であれば、いずれも使用することが可能である。好ましい固相担体としては、水不溶性有機高分子担体、水不溶性無機高分子担体、合成高分子担体、相転移性担体、金属コロイド、磁性粒子等が挙げられ、さらには、溶媒不溶性有機高分子担体、溶媒不溶性無機高分子担体、溶媒可溶性高分子担体、ゲル高分子担体等が挙げられる。さらに、水不溶性有機高分子としては、例えば、多孔質シリカ、多孔質ガラス、珪藻土、セライトなどの珪素含有物質、ニトロセルロース、ヒドロキシアパタイト、アガロース、デキストラン、セルロース、カルボキシメチルセルロースなどの多糖類の架橋体、メチル化アルブミン、ゼラチン、コラーゲン、カゼインなどのタンパク質の架橋体、ゲル状粒子、染料ゾル等が挙げられる。水不溶性無機高分子としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、セラミック粒子等が挙げられる。合成高分子としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリルまたはこれらの共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。金属コロイドとしては、金コロイド等が挙げられる。磁性粒子としては、磁性酸化鉄のビーズ、磁性酸化鉄の微粉砕粒子を表面に有する単分散、超常磁性粒子(特表平4−501959号公報)、重合性シラン被膜によって覆われた超常磁性酸化鉄を有する磁気応答粒子(特公平7−6986号公報)、有機ポリマー中に封入された微粉末状の磁化可能な粒子等が挙げられる。磁性化された固相担体は、固体と液体との分離を磁力を利用して簡単に行うことができる。固相担体の形状としては、粒子、膜、フィルター等が挙げられる。固相担体の形状としては粒子が特に好ましく、その表面は多孔質または非多孔質のいずれであってもよい。特に好ましい固相担体としては、合成高分子担体が水などに均一に分散されたラテックス、金コロイドなどの金属コロイド粒子、マグネットビーズなどの磁性粒子等が挙げられる。
プライマーの固相担体への固定化は当業者に公知の方法によって行なうことができ、物理的な結合または化学的な結合のいずれによる方法であってもよい。プライマーの固相担体への固定化は、例えば、一般的にプライマーやプローブなどのオリゴヌクレオチドを標識化しうる物質と、これに結合可能な物質を結合させた固相担体とを組み合わせて行なうことができる。このような目的で用いられる物質の組み合わせは、当技術分野において周知のものを用いることができ、例えば、ビオチンとアビジンもしくはストレプトアビジンとの組み合わせ、抗原とこれに結合しうる抗体との組み合わせ、リガンドとこれに結合しうるレセプターとの組み合わせ、相互にハイブリダイズする2つの核酸の組み合わせ等が挙げられる。具体的には、例えば、ビオチンで標識したプライマーを、アビジンもしくはストレプトアビジンで表面をコートした固相担体に結合させることにより、プライマーを固相担体に固定化することができる。前記抗原としては、例えば、FITC、DIG、DNP等のハプテンが挙げられ、これらと結合しうる抗体としては、抗FITC抗体、抗DIG抗体、抗DNP抗体等の抗体が挙げられる。また、これらの抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれであってもよい。特に、ビオチンとストレプトアビジンとの結合は特異性が高く、結合効率も良好であるため、これらの組み合わせは特に好ましい。ビオチン、ハプテン、リガンド等の標識物質は、いずれも単独で、あるいは必要であれば複数の組み合わせで、公知の手段(特開昭59−93099号公報、特開昭59−148798号公報、および特開昭59−204200号公報を参照のこと)により、プライマーの5’末端部に導入することができる。
本発明に用いられる固相担体と結合可能な部位(または基)は、プライマーの固相担体への固定化のために用いられる上述の方法に従って選択することができ、従って、固相担体との物理的な結合を可能とするものまたは化学的な結合を可能とするもののいずれであってもよい。このような固相担体と結合可能な部位としては、上述のような、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、抗原、抗体、リガンド、レセプター、核酸、タンパク質などが挙げられ、好ましくはビオチンまたはストレプトアビジンとされ、より好ましくはビオチンとされる。このような部位を含むプライマーを用いることにより、核酸増幅反応を行なった後に、増幅産物に上記固相担体を結合させることが可能となる。この場合において用いられる固相担体は、必要に応じて、プライマーに含まれる前記部位の結合相手を含むものとすることができる。このような結合相手は、プライマーに含まれる前記部位との結合が可能な形で存在するものであり、好ましくは固相担体の表面上に存在するものとされ、より好ましくは固相担体の表面上に塗布されたものとされる。
本発明によるプライマーセットを用いた核酸増幅反応により、鋳型核酸中の標的核酸配列を増幅すること、および核酸試料中の標的核酸の有無を判定することが可能となる。
核酸増幅反応において用いられる、標的核酸配列を含む鋳型核酸、または核酸試料は、DNAまたはRNAのどちらでもよい。これらの核酸は、例えば、血液、組織、細胞、さらには動物、植物のような生体由来試料、または食品、土壌、排水等から分離された微生物由来試料から単離することができる。
鋳型核酸または核酸試料の単離は任意の方法で行うことができ、例えば、界面活性剤による溶解処理、音波処理、ガラスビーズを用いた振盪撹拌およびフレンチプレス等を用いる方法が挙げられる。また、内在性ヌクレアーゼが存在する場合には、単離された核酸を精製することが好ましい。核酸の精製は、例えば、フェノール抽出、クロマトグラフィー、イオン交換、ゲル電気泳動、密度に依存した遠心分離などにより実施することが可能である。
より具体的には、前記鋳型核酸または前記核酸試料としては、上記方法により単離したゲノムDNAやPCRフラグメントのような二本鎖核酸、全RNAもしくはmRNAから逆転写反応で調製されたcDNAのような一本鎖核酸のいずれも使用可能である。上記二本鎖核酸の場合は、変性工程(denaturing)を行なって一本鎖とすることにより、より最適に利用することができる。
上記の逆転写反応に用いられる酵素は、RNAを鋳型としたcDNA合成活性を有するものであれば特に限定されず、例えば、トリ骨髄芽球症ウイルス由来逆転写酵素(AMV RTase)、ラウス関連ウイルス2逆転写酵素(RAV−2 RTase)、モロニーネズミ白血病ウイルス由来逆転写酵素(MMLV RTase)等、種々の起源の逆転写酵素が挙げられる。このほか、逆転写活性を併せ持つDNAポリメラーゼを使用することも可能である。また、本発明の目的のためには、高温で逆転写活性を有する酵素が最適であり、例えばサーマス属細菌由来DNAポリメラーゼ(TthDNAポリメラーゼ等)、バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼ等を使用できる。特に好ましい酵素を例示すれば、例えば、好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼとして、B.st由来DNAポリメラーゼ(Bst DNAポリメラーゼ)、およびB.ca由来DNAポリメラーゼ(Bca DNAポリメラーゼ)、例えばBcaBEST DNAポリメラーゼ、Bca(exo−)DNAポリメラーゼ等が挙げられる。例えば、Bca DNAポリメラーゼは、反応にマンガンイオンを必要とせず、高温条件下で鋳型RNAの二次構造形成を抑制しながらcDNAを合成することが可能である。
核酸増幅反応では、鋳型核酸が二本鎖核酸の場合でも、これをそのまま反応に用いることができるが、必要に応じてそれらを変性して一本鎖にすることにより、鋳型核酸へのプライマーのアニーリングを効率よく行なうこともできる。温度を約95℃に上昇させることは、好ましい核酸変性法である。他の方法として、pHを上昇させることにより変性させることも可能であるが、この場合には、プライマーを標的核酸にハイブリダイズさせるためにpHを低下させる必要がある。
核酸増幅反応に用いられるDNAポリメラーゼは、鎖置換(strand displacement)活性(鎖置換能)を有するものであればよく、常温性、中温性、もしくは耐熱性のいずれのものも好適に使用できる。また、このDNAポリメラーゼは、天然体もしくは人工的に変異を加えた変異体のいずれであってもよい。さらに、このDNAポリメラーゼは、実質的に5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有しないものであることが好ましい。このようなDNAポリメラーゼとしては、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus、以下「B.st」という)、バチルス・カルドテナックス(Bacillus caldotenax、以下「B.ca」という)等の好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した変異体、大腸菌(E.coli)由来DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント等が挙げられる。核酸増幅反応において使用するDNAポリメラーゼとしては、さらに、Vent DNAポリメラーゼ、Vent (Exo-) DNAポリメラーゼ、DeepVent DNAポリメラーゼ、DeepVent (Exo-) DNAポリメラーゼ、Φ29ファージDNAポリメラーゼ、MS−2ファージDNAポリメラーゼ、Z-Taq DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Pfu turbo DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、9°Nm DNAポリメラーゼ、Therminater DNAポリメラーゼ等が挙げられる。
さらに、上記核酸増幅反応においては、逆転写活性を併せ持つDNAポリメラーゼ、例えば、BcaBEST DNAポリメラーゼ、Bca(exo−)DNAポリメラーゼ等を使うことにより、全RNAもしくはmRNAからの逆転写反応とcDNAを鋳型にしたDNAポリメラーゼ反応を1種類のポリメラーゼで行なうことが可能である。また、DNAポリメラーゼと、MMLV逆転写酵素などの逆転写酵素とを組み合わせて用いてもよい。
核酸増幅反応において使用するその他の試薬としては、例えば、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等の触媒、dNTPミックス等の基質、トリス塩酸バッファー、トライシンバッファー、リン酸ナトリウムバッファー、リン酸カリウムバッファー等の緩衝液を使用することができる。さらに、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)やベタイン(N,N,N-trimethylglycine)等の添加物、国際公開第99/54455号パンフレットに記載の酸性物質、陽イオン錯体等を使用してもよい。
核酸増幅反応において、核酸の増幅効率を高めるために、融解温度調整剤を反応溶液中に添加することができる。核酸の融解温度(Tm)は、一般的に、核酸中の二本鎖形成部分の具体的なヌクレオチド配列によって決定される。反応溶液中に融解温度調整剤を添加することにより、この融解温度を変化させることができ、従って、一定の温度下では、核酸における二本鎖形成の強度を調整することが可能となる。一般的な融解温度調整剤は、融解温度を下げる効果を有する。このような融解温度調整剤を添加することにより、2本の核酸の間の二本鎖形成部分の融解温度を下げることができ、換言すれば、その二本鎖形成の強度を下げることが可能となる。従って、前記核酸増幅反応においてこのような融解温度調整剤を反応溶液中に添加すると、強固な二本鎖を形成するGCの豊富な核酸領域や複雑な二次構造を形成する領域において効率的に二本鎖部分を一本鎖とすることが可能となり、これにより、プライマーによる伸長反応が終わった後に次のプライマーが目的領域にハイブリダイズしやすくなるため、核酸の増幅効率を上げることができる。本発明において用いられる融解温度調整剤およびその反応溶液中での濃度は、ハイブリダイゼーション条件に影響を与える他の反応条件、例えば塩濃度、反応温度等を考慮して、当業者により適切に選択される。従って、融解温度調整剤は特に制限されるものではないが、好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、またはこれらの任意の組み合わせとされ、より好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)とされる。
さらに、核酸増幅反応において、酵素安定化剤を反応溶液中に添加することもできる。これにより、反応液中の酵素が安定化されるため、核酸の増幅効率を高めることが可能となる。本発明において用いられる酵素安定化剤は、グリセロール、ウシ血清アルブミン、糖類などの、当技術分野において知られているいかなるものであってもよく、特に制限されない。
さらに、核酸増幅反応において、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素などの酵素の耐熱性を増強するための試薬を反応溶液中に添加することもできる。これにより、反応液中の酵素が安定化されるため、核酸の合成効率および増幅効率を高めることが可能となる。このような試薬は、トレハロースなどの、当技術分野において知られているいかなるものであってもよく、特に制限されない。
本発明によるプライマーセットを用いる核酸増幅反応は、等温で実施可能である。従って、本発明の好ましい実施態様によれば、この核酸増幅反応は、鋳型核酸または核酸試料と本発明によるプライマーセットとを含んでなる核酸増幅用溶液を用意する工程、およびこの核酸増幅用溶液を等温でインキュベートする工程を含んでなる。ここで、「等温」とは、酵素およびプライマーが実質的に機能しうるような、ほぼ一定の温度条件下に保つことをいう。さらに、「ほぼ一定の温度条件」とは、設定された温度を正確に保持することのみならず、酵素およびプライマーの実質的な機能を損なわない程度の温度変化であれば許容されることを意味する。
一定の温度条件下での核酸増幅反応は、使用する酵素の活性を維持できる温度に保つことにより実施することができる。また、この核酸増幅反応において、プライマーが標的核酸にアニーリングするためには、例えば、反応温度を、そのプライマーの融解温度(Tm)付近の温度、もしくはそれ以下に設定することが好ましく、さらには、プライマーの融解温度(Tm)を考慮し、ストリンジェンシーのレベルを設定することが好ましい。従って、この温度は、好ましくは、約20℃〜約75℃であり、さらに好ましくは、約35℃〜約65℃とする。
上記の核酸増幅反応においては、酵素が失活するか、またはプライマーをはじめとする試薬のうちの一つが使い尽くされるかのいずれかまで増幅反応が繰り返される。
核酸増幅反応によって得られる増幅産物は、固相担体の凝集を観察することにより検出することができる。ここで、固相担体の凝集が観察される場合には増幅産物の存在が確認され、固相担体の凝集が観察されない場合には増幅産物の存在は確認されない。従って、この核酸増幅反応を利用して核酸試料中の標的核酸の有無を判定する方法においては、固相担体の凝集が観察される場合には標的核酸が存在するものと判定され、固相担体の凝集が観察されない場合には標的核酸が存在しないものと判定される。前記第一のプライマーおよび前記第二のプライマーがともに固相担体を含まない場合には、これらプライマーの少なくとも一方に含まれる、固相担体と結合可能な部位に、該固相担体を結合させる必要がある。また、前記第一のプライマーおよび前記第二のプライマーのいずれか一方が固相担体と結合可能な部位を含む場合にも、必要に応じて、該固相担体を結合させてもよい。また、複数の標的核酸を増幅の対象とする場合には、それぞれの標的核酸について設計したプライマーセットにおいて相互に識別可能な固相担体(例えば、色、形状等が異なる固相担体)を用い、これらを含有する単一の反応溶液を用いて核酸増幅反応を行なうことができる。その場合には、各ビーズの凝集の有無を確認することにより、各標的核酸の存否を知ることができる。
また、核酸増幅反応によって得られる増幅産物の存在は、他のあらゆる方法により検出することも可能である。他の検出方法を実施する場合において、前記第一のプライマーおよび前記第二のプライマーのいずれか一方が固相担体を含む場合には、必要に応じて、該固相担体を増幅産物から分離してもよい。増幅産物からの固相担体の分離は、例えば、反応溶液を振盪する方法等、当業者に公知の方法により行なうことができる。
他の一つの検出方法は、一般的なゲル電気泳動による特定のサイズの増幅産物の検出である。この方法では、例えば、エチジウムブロマイドやサイバーグリーン等の蛍光物質により検出できる。さらに別の方法としては、ビオチンのような標識を有する標識プローブを用い、これを増幅産物にハイブリダイズさせることにより検出することもできる。ビオチンは、蛍光標識されたアビジン、ペルオキシダーゼのような酵素に結合したアビジン等との結合により検出可能である。さらに別の方法としては、免疫クロマトグラフを用いる方法がある。この方法では、肉眼で検出可能な標識を利用したクロマトグラフ媒体を用いることが考案されている(イムノクロマトグラフィー法)。上記増幅断片と標識プローブとをハイブリダイズさせ、該増幅断片のさらに異なる配列とハイブリダイズ可能な捕捉用プローブをクロマト媒体に固定しておけば、その固定した部分でトラップすることができ、クロマト媒体での検出が可能となる。その結果、肉眼的にシンプルな検出が可能となる。
本発明によるプライマーセットを用いる核酸増幅反応では、標的核酸にプライマーがアニーリングし、さらにそのプライマーからの伸長反応産物が標的核酸の相補鎖である場合にのみ、プライマーの5’末端部が自己伸長産物にハイブリダイズし、これによりはじめて次の新たなプライマーが鋳型にアニーリングすることが可能になる。従って、この核酸増幅反応によれば、標的核酸配列のみを正確に増幅することが可能になる。そのため、鋳型核酸または核酸試料が標的核酸を含まず、標的核酸と高い相同性を有する配列を含むような場合においても、増幅が阻害される。このような高度に特異的な標的核酸の増幅には、プライマーの3’末端領域の相同性が重要であり、さらには、プライマーの5’末端の折り返し配列部分の相同性が非常に重要である。従って、そのような領域に検出すべき標的核酸と、それ以外の核酸とを識別できるような変異を持たせることにより、固相担体の凝集の有無を観察することのみによって、核酸配列の変異の有無やヌクレオチドの欠失または挿入、あるいはSNPのような遺伝子多型の解析が可能になる。さらには、ゲノムが混在するような核酸試料において、目的とするmRNAを特異的に検出することも可能である。
本発明による核酸増幅法または核酸検出法を実施するために、必要な試薬をまとめてキットとすることができる。従って、本発明によるキットは、本発明によるプライマーセットを含んでなる。また、本発明による核酸増幅法または核酸検出法は、本発明によるプライマーセット以外のプライマーを必要としないという利点を有する。従って、本発明の好ましい実施態様によれば、本発明によるキットは、本発明によるプライマーセット以外のプライマー成分を含まないものとされる。さらに、本発明によるプライマーセットを構成する第一のプライマーおよび第二のプライマーの少なくとも一方が固相担体と結合可能な部位を含む場合には、本発明によるキットは該固相担体をさらに含んでなることが好ましい。本発明によるキットはさらに、DNAポリメラーゼ、dNTP、緩衝液などの上述の試薬類、反応容器、説明書等を含んでいてもよい。
本発明の好ましい実施態様によれば、前記キットは、本発明によるプライマーセットおよび核酸増幅反応に必要とされる他の試薬類を含有する反応容器を含んでなるものとされる。他の試薬類としては、DNAポリメラーゼ、dNTP、緩衝液などの上述の試薬類が挙げられる。このようなキットを用いることにより、前記反応容器に鋳型核酸または核酸試料を添加し、該反応容器を一定の温度に保つだけで核酸増幅反応を行なうことが可能となる。さらには、プライマーセットを構成する第一のプライマーおよび第二のプライマーの少なくとも一方が固相担体を含んでいる場合には、増幅産物が生成すると同時に該固相担体が凝集するため、透明または半透明の反応容器を用いることによりこの凝集を反応容器の外部から観察することが可能である。従って、この場合には、反応容器の開封をすることなく増幅産物を検出することができるため、操作が簡便であり、さらには他のサンプルとの間での核酸増幅物のコンタミネーションを防止することもできる。
本発明の他の態様によれば、上述の核酸増幅反応において、固相担体または固相担体と結合可能な部位を含んでなる基質が用いられる核酸増幅法および核酸検出法が提供される。これにより、固相担体の凝集を観察することによって増幅産物を検出することが可能となる。また、このような基質を用いる場合には、核酸増幅反応に用いられるプライマーは、固相担体または固相担体と結合可能な部位を含まないものであってもよい。固相担体および固相担体と結合可能な部位、ならびに基質へのこれらの導入法は、プライマーについて用いられるものについて上述したとおりである。このような基質を増幅試薬中に添加しておくことにより、核酸増幅反応によって得られる増幅産物中に固相担体または固相担体と結合可能な部位が導入され、これを上述のように利用することによって、固相担体の凝集を観察することによる増幅産物の検出が可能となる。このような基質の好ましい例としては、DIG標識dUTP、ビオチン標識dUTP等が挙げられ、その場合に用いられる固相担体としては、これらの標識に結合可能な結合相手、例えば、抗DIG抗体、ストレプトアビジン等、を含むものが挙げられる。本発明のこの態様によれば、さらに、標的核酸配列を増幅しうる2種以上のプライマーを含んでなるプライマーセット、および固相担体または固相担体と結合可能な部位を含む基質を含んでなる核酸増幅用キットであって、前記プライマーセットに含まれる第一のプライマーが、標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac')を3’末端部分に含んでなり、かつ、前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B')を前記配列(Ac')の5’側に含んでなるものである、核酸増幅用キットが提供される。このキットに含まれるプライマーセットは、そこに含まれるプライマーの全てが固相担体または固相担体と結合可能な部位を含まないものであってもよいという点を除き、本発明によるプライマーセットと同様に構成される。また、このキットに関するその他の点については、核酸増幅法または核酸検出法を実施するためキットについて上述したとおりである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
例1:固相担体に結合可能な部位を含むプライマーセットによるヒトSTS DYS237遺伝子の増幅およびその増幅産物の検出
鋳型としてHuman DNA(Clontech社製)を使用して、その中に含まれるヒトSTS DYS237遺伝子中の特定領域(配列番号1)の増幅を行った。また、増幅反応の特異性を確認するために、検体として以下の検体溶液I〜IIIの溶液をそれぞれ用いた:
検体溶液I:100ngの前記Human DNAを含む水溶液;
検体溶液II:100ngのサケ精子DNAを含む水溶液;
検体溶液III:DNAを含まない滅菌水。
鋳型としてHuman DNA(Clontech社製)を使用して、その中に含まれるヒトSTS DYS237遺伝子中の特定領域(配列番号1)の増幅を行った。また、増幅反応の特異性を確認するために、検体として以下の検体溶液I〜IIIの溶液をそれぞれ用いた:
検体溶液I:100ngの前記Human DNAを含む水溶液;
検体溶液II:100ngのサケ精子DNAを含む水溶液;
検体溶液III:DNAを含まない滅菌水。
プライマーとしては、下記の配列を有するプライマーペアを用いた。また、テンプレートに対する各プライマー領域の位置関係は図2に示す通りとした。各プライマーは、その3’端側にある配列(20mer:下線部)が鋳型にアニーリングし、伸長反応の後、5’端側にある配列(13mer)が、そのプライマーによる伸長鎖上の、各プライマーの3’末端残基の16塩基下流から始まる領域にハイブリダイズするように設計されており、その5’末端はビオチンで標識化されている。
ビオチン標識プライマー:
SY153LP13-15:CATTTGTTCAGTAGCATCCTCATTTTATGTCCA(配列番号2);
SY153RP13-15:CTTGCAGCATCACCAACCCAAAAGCACTGAGTA(配列番号3)。
SY153LP13-15:CATTTGTTCAGTAGCATCCTCATTTTATGTCCA(配列番号2);
SY153RP13-15:CTTGCAGCATCACCAACCCAAAAGCACTGAGTA(配列番号3)。
次の組成を有する反応液(25μL):Tris−HCl(20mM,pH8.8)、KCl(10mM)、(NH4)2SO4(10mM)、MgSO4(4mM)、DMSO(6%)、Triton X−100(0.1%)、dNTP(0.4mM)、それぞれ1600nMの上記のプライマー対および上記検体溶液、さらに8UのBst DNAポリメラーゼ(NEW ENGLAND BioLabs)を含有;を調製し、これを60℃で1時間インキュベートした。鋳型は二本鎖のまま反応させた。
各反応液5μlについて、3% NuSieve 3:1 Agarose(BioWhittaker Molecular Applications (BMA)社製;タカラバイオ社より購入;「NuSieve」はBMA社の登録商標である)を用いて、1時間、100Vで電気泳動した。泳動後のゲルをエチジウムブロマイド(EtBr)で染色することにより、核酸を検出した。結果は図3に示すとおりである。図3における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Lader size marker;レーン2:目的核酸を含む検体溶液I;レーン3:目的核酸を含まない検体溶液II;レーン4:目的核酸を含まない検体溶液III。
図3のレーン2に示される低サイズのバンドのうち、約160bp付近のバンドは、目的核酸の増幅産物として予想されるものである。よって、目的核酸を含む検体溶液Iにおいて、増幅産物が確認された。一方で、目的核酸を含まない検体溶液IIおよび検体溶液IIIにおいては、増幅産物は確認されなかった。従って、上記の方法により、目的とする核酸が特異的に増幅されることが示された。
次いで、残った各反応液(各20μL)に、ストレプトアビジンで被覆されている超常磁性高分子ポリマービーズ溶液(Dynal Biotech社製、ベリタス社より購入)2μLを添加し、室温で30分間放置し、その後、凝集の有無を観察した。検体溶液Iを添加した反応溶液では、ビーズの凝集が観察された。一方で、検体溶液IIおよびIIIをそれぞれ添加した反応溶液ではビーズの凝集が観察されず、単にビーズが沈殿しているのみであった。これにより、検体溶液が目的核酸を含む場合にのみ、ビオチン標識プライマーによる増幅産物が得られ、その後、反応溶液にストレプトアビジンで被覆したビーズを添加することにより、増幅産物中のビオチンがビーズ上のストレプトアビジンに結合し、最終的に、それらの凝集が目視で観察されたものと考えられる。従って、上記の方法によれば、ビーズの凝集を観察することにより目的核酸の存在の有無を判定することが可能となる。
例2:固相担体を含むプライマーセットによるヒトSTS DYS237遺伝子の増幅およびその増幅産物の検出
鋳型としてHuman DNA(Clontech社製)を使用して、その中に含まれるヒトSTS DYS237遺伝子中の特定領域(配列番号1)の増幅を行った。また、増幅反応の特異性を確認するために、検体として以下の検体溶液I〜IIIの溶液をそれぞれ用いた:
検体溶液I:100ngの前記Human DNAを含む水溶液;
検体溶液II:100ngのサケ精子DNAを含む水溶液;
検体溶液III:DNAを含まない滅菌水。
鋳型としてHuman DNA(Clontech社製)を使用して、その中に含まれるヒトSTS DYS237遺伝子中の特定領域(配列番号1)の増幅を行った。また、増幅反応の特異性を確認するために、検体として以下の検体溶液I〜IIIの溶液をそれぞれ用いた:
検体溶液I:100ngの前記Human DNAを含む水溶液;
検体溶液II:100ngのサケ精子DNAを含む水溶液;
検体溶液III:DNAを含まない滅菌水。
プライマーとしては、下記の配列を有するプライマーペアを用いた。また、テンプレートに対する各プライマー領域の位置関係は図2に示す通りとした。各プライマーは、その3’端側にある配列(20mer:下線部)が鋳型にアニーリングし、伸長反応の後、5’端側にある配列(13mer)が、そのプライマーによる伸長鎖上の、各プライマーの3’末端残基の16塩基下流から始まる領域にハイブリダイズするように設計し、それぞれの5’末端をビオチンで標識化した。各50p molのビオチン標識プライマーと、ストレプトアビジンで被覆されている超常磁性高分子ポリマービーズ溶液(Dynal Biotech社製、ベリタス社より購入)2.5μLとを混合し、室温で30分間放置することにより、プライマーをビーズに固定し、これらを固定プライマー溶液として使用した。
固定プライマーセット:
SY153LP13-15:CATTTGTTCAGTAGCATCCTCATTTTATGTCCA(配列番号2);
SY153RP13-15:CTTGCAGCATCACCAACCCAAAAGCACTGAGTA(配列番号3)。
SY153LP13-15:CATTTGTTCAGTAGCATCCTCATTTTATGTCCA(配列番号2);
SY153RP13-15:CTTGCAGCATCACCAACCCAAAAGCACTGAGTA(配列番号3)。
次の組成を有する反応液(25μL):Tris−HCl(20mM,pH8.8)、KCl(10mM)、(NH4)2SO4(10mM)、MgSO4(4mM)、DMSO(6%)、Triton X−100(1%)、dNTP(0.4mM)、それぞれの固定プライマー溶液および上記検体溶液、さらに8UのBst DNAポリメラーゼ(NEW ENGLAND BioLabs)を含有;を調製し、これを60℃で1時間インキュベートした。鋳型は二本鎖のまま反応させた。増幅反応を開始して30分後にタッピングにて反応試薬を軽く混和させ、その後、増幅反応が終了するまで60℃で静置した。
増幅反応後、目視により凝集の様子を観察し、増幅の有無を判定した。目的核酸を含む検体溶液Iを添加した反応溶液では、ビーズの凝集が観察された。一方で、目的核酸を含まない検体溶液IIおよび検体溶液IIIを添加した反応溶液ではビーズの凝集が観察されず、単にビーズが沈殿しているのみであった。これにより、検体溶液が目的核酸を含む場合にのみ増幅産物が得られ、プライマーを固定しているビーズ間で凝集が起きたものと考えられる。従って、上記の方法によれば、ビーズの凝集を観察することにより目的核酸の存在の有無を判定することが可能となる。
さらに、増幅産物が目的核酸であるか否かを調べるため、増幅反応後の反応溶液を激しく振盪した後、各反応液5μlについて、3% NuSieve 3:1 Agarose(BioWhittaker Molecular Applications (BMA)社製;タカラバイオ社より購入;「NuSieve」はBMA社の登録商標である)を用いて、1時間、100Vで電気泳動した。泳動後のゲルをエチジウムブロマイド(EtBr)で染色することにより、核酸を検出した。結果は図4に示すとおりである。図4における各レーンのサンプルは次の通りである:レーン1:20bpDNA Lader size marker;レーン2:目的核酸を含む検体溶液I;レーン3:目的核酸を含まない検体溶液II;レーン4:目的核酸を含まない検体溶液III。
図4のレーン2に示される低サイズのバンドのうち、約160bp付近のバンドは、目的核酸の増幅産物として予想されるものである。よって、目的核酸を含む検体溶液Iにおいて、増幅産物が確認された。一方で、目的核酸を含まない検体溶液IIおよび検体溶液IIIにおいては、増幅産物は確認されなかった。このように、電気泳動の結果と上記のビーズ凝集の結果は一致した。従って、上記の方法によれば、ビーズの凝集を観察することにより目的核酸の存在の有無を判定することが可能となる。
Claims (22)
- 標的核酸配列を増幅しうる2種以上のプライマーを含んでなるプライマーセットであって、
前記プライマーセットに含まれる第一のプライマーが、標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac')を3’末端部分に含んでなり、かつ、前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B')を前記配列(Ac')の5’側に含んでなるものであり、
前記プライマーセットに含まれる少なくとも1種のプライマーが、固相担体または固相担体と結合可能な部位を含んでなるものである、プライマーセット。 - 前記固相担体または固相担体と結合可能な部位が、プライマーの5’末端部に導入されたものである、請求項1に記載のプライマーセット。
- 前記第一のプライマーにおいて、前記配列(Ac')と前記配列(B')との間に介在配列が存在しない場合には、前記配列(Ac')の塩基数をXとし、標的核酸配列中における前記配列(A)と前記配列(B)に挟まれた領域の塩基数をYとしたときに、(X−Y)/Xが−1.00〜1.00の範囲にあり、前記配列(Ac')と前記配列(B')との間に介在配列が存在する場合には、XおよびYを前記の通りとし、該介在配列の塩基数をY’としたときに、{X−(Y−Y’)}/Xが−1.00〜1.00の範囲にある、請求項1に記載のプライマーセット。
- 前記プライマーセットに含まれる第二のプライマーが、前記標的核酸配列の相補配列の3’末端部分の配列(C)にハイブリダイズする配列(Cc')を3’末端部分に含んでなり、かつ、前記標的核酸配列の相補配列において前記配列(C)よりも5’側に存在する配列(D)の相補配列(Dc)にハイブリダイズする配列(D')を前記配列(Cc')の5’側に含んでなるものである、請求項1に記載のプライマーセット。
- 前記第二のプライマーにおいて、前記配列(Cc')と前記配列(D')との間に介在配列が存在しない場合には、前記配列(Cc')の塩基数をXとし、標的核酸配列中における前記配列(C)と前記配列(D)に挟まれた領域の塩基数をYとしたときに、(X−Y)/Xが−1.00〜1.00の範囲にあり、前記配列(Cc')と前記配列(D')との間に介在配列が存在する場合には、XおよびYを前記の通りとし、該介在配列の塩基数をY’としたときに、{X−(Y−Y’)}/Xが−1.00〜1.00の範囲にある、請求項4に記載のプライマーセット。
- 固相担体が、水不溶性有機高分子担体、水不溶性無機高分子担体、合成高分子担体、相転移性担体、金属コロイドおよび磁性粒子からなる群から選択されるものである、請求項1に記載のプライマーセット。
- 固相担体と結合可能な部位が、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、抗原、抗体、リガンド、レセプター、核酸およびタンパク質からなる群から選択されるものである、請求項1に記載のプライマーセット。
- 鋳型核酸中の標的核酸配列を増幅する方法であって、
(a)標的核酸配列を含む鋳型核酸を用意する工程、
(b)請求項1〜7のいずれか一項に記載のプライマーセットを用意する工程、および
(c)前記鋳型核酸の存在下において、前記プライマーセットによる核酸増幅反応を行なう工程
を含んでなる、方法。 - 核酸増幅反応が等温で行われる、請求項8に記載の方法。
- 鎖置換能を有するDNAポリメラーゼが使用される、請求項8に記載の方法。
- 核酸増幅反応が融解温度調整剤の存在下で行なわれる、請求項8に記載の方法。
- 融解温度調整剤が、ジメチルスルホキシド、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、またはこれらの混合物である、請求項11に記載の方法。
- 核酸試料中の標的核酸の有無を判定する方法であって、
(a)核酸試料を用意する工程、
(b)請求項1〜7のいずれか一項に記載のプライマーセットを用意する工程、
(c)前記核酸試料の存在下において、前記プライマーセットによる核酸増幅反応を行なう工程、
(d)前記プライマーセットに含まれるプライマーのいずれもが固相担体を含まない場合に、これらプライマーの少なくとも一つに含まれる、固相担体と結合可能な部位に、該固相担体を結合させる工程、ならびに
(e)固相担体の凝集の有無を観察する工程
を含んでなり、固相担体の凝集が観察される場合には標的核酸が存在するものと判定され、固相担体の凝集が観察されない場合には標的核酸が存在しないものと判定される、方法。 - 核酸増幅反応が等温で行われる、請求項13に記載の方法。
- 鎖置換能を有するDNAポリメラーゼが使用される、請求項13に記載の方法。
- 核酸増幅反応が融解温度調整剤の存在下で行なわれる、請求項13に記載の方法。
- 融解温度調整剤が、ジメチルスルホキシド、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、またはこれらの混合物である、請求項16に記載の方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のプライマーセットを含んでなる、鋳型核酸中の標的核酸を増幅するためのキット。
- 前記プライマーセットに含まれるプライマーの少なくとも一つが固相担体と結合可能な部位を含む場合に、該固相担体をさらに含んでなる、請求項18に記載のキット。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のプライマーセットを含んでなる、核酸試料中の標的核酸の有無を判定するためのキット。
- 前記プライマーセットに含まれるプライマーの少なくとも一つが固相担体と結合可能な部位を含む場合に、該固相担体をさらに含んでなる、請求項20に記載のキット。
- 標的核酸配列を増幅しうる2種以上のプライマーを含んでなるプライマーセット、および固相担体または固相担体と結合可能な部位を含む基質を含んでなる核酸増幅用キットであって、
前記プライマーセットに含まれる第一のプライマーが、標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac')を3’末端部分に含んでなり、かつ、前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B')を前記配列(Ac')の5’側に含んでなるものである、核酸増幅用キット。
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| JP2003403449A JP2005160387A (ja) | 2003-12-02 | 2003-12-02 | 核酸の増幅法および核酸増幅用プライマーセット |
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Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1935491A1 (en) | 2006-11-22 | 2008-06-25 | FUJIFILM Corporation | Microchannel chip comprising a reagent in a heat soluble binder |
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- 2003-12-02 JP JP2003403449A patent/JP2005160387A/ja active Pending
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