JP2005036039A - 水性着色材料、およびコロイド粒子状水性着色材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イオン性の親水性ポリマー単位(a)と、非イオン性の親水性ポリマー単位(b)とを有するブロック共重合体(X)またはグラフト共重合体(Y)と、前記イオン性の親水性ポリマー単位(a)と結合し得るイオン性基を有する着色性化合物(Z)とからなり、前記共重合体中のイオン性の親水性ポリマー単位(a)と前記着色性化合物(Z)とがイオン結合しており、かつ該イオン結合部分が水不溶性である水性着色材料、および該水不溶性のイオン結合部分が、疎水会合したコロイド粒子状水性着色材料。
【選択図】 なし。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、親水性部位と着色された疎水性部位とを有する水性着色材料、該水性着色材料の疎水性部位が疎水会合したコロイド粒子状水性着色材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリンターやマーカーなどのインクとしては、人体への安全性や環境への配慮といった観点から水性インクが主流となっており、水性インクの着色材料としては、着色力や鮮明性に優れた染料系の着色材料が広く使用されている。しかし、染料系のような水性の着色材料を使用したインクは被印刷物と水とが接触すると着色材料が溶解してしまうなど、耐水性や耐候性に問題を有していた。
【0003】
こうした耐水性や耐候性の問題を改善するために、各種着色材料の検討がなされており、なかでも着色剤とポリマーとを複合化させた複合系着色材料が注目されている。例えば、油性染料と油溶性のラジカル重合性モノマーを溶解した油相を、水相中に微分散させてエマルションとし、該エマルションを重合させることにより、ポリマー粒子中に油性染料を含有した複合系着色材料を得ることができる(例えば、非特許文献1参照。)。また、水溶性でかつイオン性を有する重合性界面活性剤であるモノマーと、イオン性を有する水性染料とを水中で混合させ、さらに高分子分散剤を加えてエマルションに調整した後、該エマルションを重合させることにより、水性染料においても上記油性染料と同様の方法により、ポリマー粒子中に水性染料を含有した複合系着色材料が得られることが知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0004】
これらの複合系着色材料は、染料分子を重合反応系に分散させ、重合の進行に伴い染料がポリマー粒子に取り込まれるものである。これら複合系着色材料は、染料単独よりも耐水性や耐候性の向上は見られるものの、粒子内外表面に染料が分子状態で吸着され、染料分子の規則的な会合構造の誘導に乏しいため、耐候性の向上は十分とはいえず、また、重合により得られる着色材料のポリマー粒子は、該ポリマー粒子以外の高分子分散剤なしでは凝集しやすい問題があった。また、その製造においては、染料とモノマーの相溶性、エマルジョン分散安定性、重合反応中での染料の流失、重合収率、未反応モノマー、重合体粒径などのパラメータを制御する必要があり、全工程を制御することは非常に煩雑であった。
【0005】
上記以外の着色剤−ポリマー複合系着色材料として、イオン性ポリマーとイオン性染料との静電相互作用により形成されるイオン会合体に関する基礎研究が活発に行われている(例えば、非特許文献3〜5参照。)。これらイオン会合体は、アニオン染料の水溶液とカチオンポリマーの水溶液を混合することにより、アニオン染料とカチオンポリマーとがイオン結合したものである。こうした状態のイオン会合体中における染料分子は、一定規則の空間配向をすることが構造上の重要な特徴である。通常使用されるカチオンポリマーとしては、アミノ基やピリジン環を有するポリマー、例えば、ポリ(エチレンイミン)(市販品のランダム分岐状)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(プロピルアミン)、ポリ(リジン)などが挙げられるが、これらカチオン性ホモポリマーとアニオン染料との組み合わせは、染料を不溶化させることができても、その不溶物を水中で安定な分散状態に保持することは難しく、ポリマーとアニオン染料との相互作用が強すぎる場合には凝集や沈殿を生じる問題があった。
【0006】
また、このようなイオン会合体の着色剤−ポリマー複合系着色材料のポリマーとして、イオン性構造単位とノニオン性構造単位とを含むポリマーを使用した複合系着色材料が開示されている(特許文献1参照。)。カチオン性ポリマーとアニオン性染料からなるイオン会合体着色材料は、耐水性、耐候性、耐ガス性などの特性に優れるが、イオン性構造単位とノニオン性構造単位とを含むランダムコポリマーを使用したこれらのイオン会合体着色材料は、そのイオン会合体の水中での形状、サイズ、高分散安定性を制御することは難しい。その主な原因は、イオン性着色剤とイオン結合するイオン性構造単位とイオン性着色剤と結合しないノニオン性構造単位が存在しても、それらはランダムに存在するだけであり、イオン性着色剤とポリマーとの相互作用が強くなりすぎるのを適度に緩和することはできるものの、その会合体に立体安定性を付与させることは難しい。即ち、凝集現象を本質的に防ぐことは極めて困難である。したがって、該複合系着色材料は分散安定性が悪く、長期の保存、使用期限、用途範囲などが大きく制限される問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−220558号公報
【非特許文献1】
高巣真弓子、外4名,「第12回高分子ミクロスフェア討論会講演要旨集」,2002年11月,p.109−112
【非特許文献2】
島津善治、外4名,「第12回高分子ミクロスフェア討論会講演要旨集」,2002年11月,p.133−134
【非特許文献3】
P.Gregory et al,「J.Phys.Chem.」,2000年,第104巻、p.5986−5992
【非特許文献4】
R.Purrello et al,「J.Phys.Chem.B」,1998年,第102巻,p.8852−8857
【非特許文献5】
M.Angela et al,「J.Porphyrins Phthalocyanines」,2002年,第6巻,p.431−438
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、耐水性や耐候性に優れ、かつ、良好な着色性と、イオン会合体以外の分散剤を使用しなくても優れた分散性を有する着色粒子を与え得る水性着色材料、該水性着色材料からなるコロイド粒子状着色材料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、イオン性の親水性ポリマー単位(a)と、非イオン性の親水性ポリマー単位(b)とから構成されるブロック共重合体(X)またはグラフト共重合体(Y)と、前記イオン性の親水性ポリマー単位(a)と結合し得るイオン性基を有する着色性化合物(Z)とを水中で混合させ、両者をイオン結合させることにより、イオン結合部分が水不溶性となり、イオン会合体の水性着色材料を形成できる。該水性着色材料は水不溶性部分と親水性部分とを有するため、水中で水不溶性部分が疎水会合し、その周囲が親水性部分により被われたコロイド粒子状の水性着色材料を容易に形成することができる。得られるコロイド粒子状水性着色材料は、着色された疎水会合部分により良好な着色性を有し、かつ、該疎水会合部分の周囲が親水性部分に被われていることにより、分散剤を使用しなくても優れた水分散性を示し、さらに疎水会合部分が結晶性を示すため優れた耐水性や耐候性を有する。
【0010】
すなわち本発明は、イオン性の親水性ポリマー単位(a)と、非イオン性の親水性ポリマー単位(b)とを有するブロック共重合体(X)またはグラフト共重合体(Y)と、前記イオン性の親水性ポリマー単位(a)と結合し得るイオン性基を有する着色性化合物(Z)とからなり、前記共重合体中のイオン性の親水性ポリマー単位(a)と前記着色性化合物(Z)とがイオン結合しており、かつ該イオン結合部分が水不溶性である水性着色材料、該着色材料の水不溶性の結合部分が疎水会合したコロイド粒子状水性着色材料、および該コロイド粒子状水性着色材料からなる粉末状着色材料を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の水性着色材料は、イオン性の親水性ポリマー単位(a)と、非イオン性の親水性ポリマー単位(b)とを有するブロック共重合体(X)またはグラフト共重合体(Y)と、前記イオン性の親水性ポリマー単位(a)と結合し得るイオン性基を有する着色性化合物(Z)とからなり、前記共重合体中のイオン性の親水性ポリマー単位(a)と前記着色性化合物(Z)とがイオン結合しており、かつ該イオン結合部分が水不溶性である。
【0012】
[共重合体]
本発明に使用するブロック共重合体(X)またはグラフト共重合体(Y)は、イオン性の親水性ポリマー単位(a)と、非イオン性の親水性ポリマー単位(b)とから構成される。
【0013】
[イオン性の親水性ポリマー単位(a)]
イオン性の親水性ポリマー単位(a)は、カチオン性、アニオン性のいずれでもよく、該ポリマー単位(a)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリアリルアミン、ポリリジンなどのポリマーをカチオン化したポリマー単位、あるいは、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸などをアニオン化したポリマー単位が挙げられる。
【0014】
上記ポリマー単位のなかでも、安価で取扱いの容易なアニオン性染料を使用できることから、カチオン性の親水性ポリマー単位を使用することが好ましく、なかでも、ポリエチレンイミンを使用することがより好ましい。
【0015】
[非イオン性ポリマー単位(b)]
非イオン性ポリマー単位(b)としては、例えば、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコールなどのポリマー単位が挙げられる。上記ポリマー単位のなかでもポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)やポリエチレンオキシドは、上記カチオン性の親水性構造単位と好適に共重合できるため好ましい。
【0016】
[共重合体形態]
上記イオン性の親水性ポリマー単位(a)と、非イオン性ポリマー単位(b)とを有するブロック共重合体(X)またはグラフト共重合体(Y)の形状は、線状であっても星型状であってもよい。
【0017】
[ブロック共重合体(X)]
ブロック共重合体(X)は、その構造中にイオン性の親水性ポリマー単位と非イオン性の親水性ポリマー単位とを有し、該イオン性の親水性ポリマー単位と着色材料とのイオン結合部分が水不溶性となることにより、その構造中に親水性部分と疎水性部分とを形成できる。このためブロック共重合体(X)は、線状、星型状を問わず、安定なコロイド状粒子を形成することができ、さらに、その組成比を制御することによりコロイド状粒子の粒子径の制御が容易であることから、本発明の水性着色材料を得るのに極めて有効である。
【0018】
上記ブロック共重合体を構成するイオン性の親水性ポリマー単位(a)と、非イオン性ポリマー単位(b)とは、イオン性の親水性ポリマー単位(a)をA、非イオン性ポリマー単位(b)をBと表記すると、A−B、A−B−A、B−A−B、A−B−A−B−・・・のように結合しているものであり、なかでも、ブロック共重合体の一分子鎖中のブロック数が、コロイド状粒子を形成しやすいジブロックまたはトリブロックであることが好ましく、各々のブロックが直鎖状であることが好ましい。
【0019】
上記ブロック共重合体(X)としては、下記式(1)あるいは下記式(2)で表される構造が代表的な構造としてあげられる。
【0020】
R1−(A−B)n
または R1−(B−A)n (1)
(式(1)中、R1は1価以上の重合開始化合物残基、Aはイオン性の親水性ポリマー単位(a)、Bは非イオン性の親水性ポリマー単位(b)、nはR1の価数の範囲内で、少なくとも1の整数である。)
【0021】
[R1−(A−B)n]m−R2
または[R1−(B−A)n]m−R2 (2)
(式(2)中、R1、A、B、およびnは式(1)と同様であり、R2は1価以上の末端化合物残基、mはR2の価数の範囲内で、少なくとも1の整数である。)
【0022】
上記式(1)および式(2)で表される構造のなかでも、式中のAがポリエチレンイミン、Bがポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)であるものが、製造が容易であるため好ましい。
【0023】
上記式(1)および(2)中の1価以上の重合開始化合物としては、カチオン開環リビング重合の開始剤であり、低分子化合物と高分子化合物のいずれでもよい。かかる重合開始剤としては、好ましくは1〜12価のもので、その価数に応じてイオン性の親水性ポリマー単位(a)または非イオン性の親水性ポリマー単位(b)と結合している。そのため、該重合開始剤の価数が1および2の場合には、直鎖状のブロック共重合体となり、それ以上の価数であれば星型のブロック共重合体、特にベンゼン骨格の6価では典型的な星型のものとなる。
【0024】
かかる低分子化合物類の重合開始剤としては、分子中に塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、トルエンスルホニルオキシ基、あるいはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基などの官能基を有する化合物を用いることができる。具体的には、たとえば、塩化メチルベンゼン、臭化メチルベンゼン、ヨウ化メチルベンゼン、トルエンスルホン酸メチルベンゼン、トリフルオロメチルスルホン酸メチルベンゼン、臭化メタン、ヨウ化メタン、トルエンスルホン酸メタンまたはトルエンスルホン酸無水物、トリフルオロメチルスルホン酸無水物、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリ(フェニル)ポルフィリン、ブロモメチルピレンなどの1価のもの、ジブロモメチルベンゼン、ジヨウ化メチルベンゼン、などの2価のもの、トリブロモメチルベンゼンなどの3価のもの、テトラブロモメチルベンゼン、テトラ(4−クロロメチルフェニル)ポルフィリン、テトラブロモエトキシフタロシアニンなどの4価のもの、ヘキサブロモメチルベンゼンなどの5価以上のものが挙げられる。
【0025】
これらの中でも、臭化アルキル、ヨウ化アルキル、トルエンスルホン酸アルキル、トリフルオロメチルスルホン酸アルキルは重合開始効率が高く、特に臭化アルキル、トルエンスルホン酸アルキルを使用するのが好ましい。
【0026】
高分子化合物の重合開始剤としては、たとえば、ポリ(エチレングリコール)の末端炭素原子に臭素原子あるいはヨウ素原子が結合したもの、末端酸素原子にトルエンスルホニル基が結合したものなどを使用することができる。その場合、ポリ(エチレングリコール)の分子量は800〜10000であればよく、1500〜5000であれば特に好適である。
【0027】
上記式中の1価以上の末端化合物としては、実質的にイオン性の親水性ポリマー単位(a)または非イオン性の親水性ポリマー単位(b)の末端を停止するものであり、好ましくは1〜12価のもので、その価数に応じてイオン性の親水性ポリマーブロックAまたは非イオン性の親水性ポリマーブロックBの末端で結合している。そのため、該化合物の価数が1および2の場合には、直鎖状の水溶性ブロック共重合体となり、それ以上の価数であれば星型やその複数の結合体である水溶性ブロック共重合体となる。
【0028】
かかる末端化合物の具体的なものとしては、5−(4−アミノフェニル)−10,15,20−トリ(フェニル)ポルフィリン、テトラ(4−アミノフェニル)ポルフィリン、アミノピレン、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリ(フェニル)ポルフィリン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、テトラ(3,5−ジヒドロキシフェニル)ポルフィリン、アミノメチルピレン、テトラアミノフタロシアニンなどが挙げられ、これらの化合物は、置換基を有していてもよい。
【0029】
なお、本発明に使用するブロック共重合体は、重合開始剤残基を有しているが、必ずしも上記末端化合物の残基を有していなくともよく、その場合重合開始剤から解離した基や水素が結合している。
【0030】
本発明に使用するブロック共重合体(X)は、質量平均分子量が2500〜500000、好ましくは5000〜100000であり、イオン性の親水性ポリマー単位(a)、非イオン性の親水性ポリマー単位(b)の比率は、そのポリマーを形成する構造単位のモル比で10/90〜90/10の範囲であればコロイド安定性が向上するため好ましく、30/70〜70/30の範囲であればより好ましい。
【0031】
上記ブロック共重合体(X)を構成するイオン性の親水性ポリマー単位(a)、非イオン性の親水性ポリマー単位(b)の重合度としては20以上であれば着色材料として好ましく使用することができる。各ブロックの重合度が20未満であるときは、ブロック共重合体としての特徴が発現しにくい。ブロック共重合体(X)の一分子鎖当たりの重合度は50〜1000の範囲が好ましく、100〜500の範囲であれば、より好ましい。ブロック共重合体(X)の一分子鎖当たりの重合度が該範囲であると、共重合体の取扱いの容易さや、共重合体と着色性化合物(Y)とのイオン会合効率を向上させることができる。
【0032】
[グラフト共重合体(Y)]
グラフト共重合体(Y)の場合にもブロック共重合体(X)と同様に、その構造中にイオン性の親水性ポリマー単位(a)と、非イオン性の親水性ポリマー単位(b)とを有するため該イオン性の親水性ポリマー単位と着色材料とのイオン結合部分が水不溶性となることにより、その構造中に親水性部分と疎水性部分とを形成できる。このため、安定なコロイド状粒子を形成することができる。
【0033】
上記グラフト共重合体(Y)としては、イオン性の親水性ポリマー単位(a)と、非イオン性ポリマー単位(b)から構成され、ポリマー単位(a)を幹成分とし、他のポリマー単位を枝成分とする構成や、各々のブロックがブロック共重合した共重合体が、幹成分や枝成分となった構成のものである。このようなグラフト共重合体(Y)のなかでも、幹成分、枝成分共に単独のポリマー単位であるものが好ましい。
【0034】
上記グラフト共重合体(Y)としては、下記式(3)で表される構造が代表的な構造としてあげられる。
【0035】
R3−[D−(E)q]p (3)
(式(3)中、R3は1価以上の重合開始化合物残基、Dはイオン性の親水性ポリマー単位(a)からなる幹成分、Eは非イオン性の親水性ポリマー単位(b)からなる枝成分、pはR3の価数の範囲内で、少なくとも1の整数であり、qは枝成分Eの数を表す1以上の整数である。)
【0036】
上記式(3)において、D−(E)qは、グラフト共重合体の幹成分と枝成分を便宜的に表記したものであり、幹成分Dは鎖状のポリマーであり、枝成分Eは、幹成分Dを構成するモノマー単位中のある原子に結合しており、その枝成分Eの数は1以上であれば任意である。
【0037】
上記式(3)で表される構造のなかでも、式中のDがポリエチレンイミン、Eがポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)であるものが、製造が容易であるため好ましい。
【0038】
上記式(3)中の1価以上の重合開始化合物としては、前記したブロック共重合体(X)において使用できる重合開始化合物と同様のものを使用することができる。重合開始化合物の価数としては、好ましくは1〜12価のもので、その価数に応じて幹成分Dまたは枝成分Eと結合している。そのため、該重合開始剤の価数が1および2の場合には、直鎖状のグラフト共重合体となり、それ以上の価数であれば星型のグラフト共重合体、特にベンゼン骨格の6価では典型的な星型のものとなる。
【0039】
本発明に使用するグラフト共重合体(Y)は、質量平均分子量が5000〜500000、好ましくは5000〜100000であり、イオン性の親水性ポリマー単位(a)、非イオン性の親水性ポリマー単位(b)の比率は、そのポリマーを形成する構造単位のモル比で10/90〜90/10の範囲であればコロイド安定性が向上するため好ましく、30/70〜70/30の範囲であればより好ましい。
【0040】
上記式(3)で表されるグラフト共重合体を構成する幹成分D、枝成分Eの重合度としては20以上であれば着色材料として好ましく使用することができる。グラフト共重合体(Y)の一分子鎖当たりの重合度は50〜1000の範囲が好ましく、100〜500の範囲であれば、より好ましい。グラフト共重合体(Y)の一分子鎖当たりの重合度が該範囲であると、共重合体の取扱いの容易さや、共重合体と着色性化合物(Z)とのイオン会合効率を向上させることができる。
【0041】
[共重合体の製造方法]
本発明において使用するブロック共重合体(X)やグラフト共重合体(Y)を合成する方法としては、使用するモノマーの種類や合成する共重合体の構造に応じて、各種合成方法から適宜選択する必要がある。一般に、ブロック共重合体の合成方法としては、アニオンまたはカチオン型の重合法やフリーラジカル重合法などの合成方法、グラフト共重合体の合成方法としては、マクロモノマー法などの合成方法が公知慣用の合成方法として挙げられる。
【0042】
まず本発明において特に好ましい組み合わせである、エチレンイミンからなるポリマー単位(以下、該ポリマー単位を、ポリ(エチレンイミン)ブロックと略記する。)と、N−プロピオニルエチレンイミンからなるポリマー単位(以下、該ポリマー単位を、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックと略記する。)とから構成されるブロック共重合体の新規な合成方法を例として、共重合体の合成方法について詳細に説明する。
【0043】
本発明において特に好ましく使用できる、ポリ(エチレンイミン)ブロックとポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックとから構成されるブロック共重合体(以下、該ブロック共重合体を単に、ブロック共重合体(X1)と略記する。)は、その前駆共重合体である、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックと、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックとから構成されるブロック共重合体(以下、該ブロック共重合体を前駆共重合体(X0)と略記する。)のポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックを優先的に加水分解することにより得られる。
【0044】
前駆共重合体(X0)は、2−オキサゾリンまたは2−メチル−2−オキサゾリンを、前記した重合開始化合物の存在下でカチオン開環リビング重合した後、得られたリビングポリマーに、さらに2−エチル−2−オキサゾリンを重合させることによって得ることができる。また、2−オキサゾリンまたは2−メチル−2−オキサゾリンの重合と、2−エチル−2−オキサゾリンの重合を交互に繰り返すことによって、多ブロックの前駆共重合体(X0)とすることもできる。
【0045】
ここで使用する重合開始化合物の価数が1および2の場合には、直鎖状のブロック共重合体となり、それ以上の価数であれば星型のブロック共重合体が得られる。
【0046】
上記カチオン開環リビング重合において使用できる溶媒としては、公知慣用の非プロトン性の不活性溶媒や非プロトン性の極性溶媒などを使用することができる。
【0047】
目的のブロック共重合体(X1)は、得られた前駆共重合体(X0)中のポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックを優先的に加水分解反応させることにより得られるが、該加水分解反応はエマルジョン状態で行う必要がある。
【0048】
ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロック、およびポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックは、いずれも水溶性であるが、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロック、およびポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックに比べて、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックの方が有機溶媒に対して高い溶解性を有することから、前駆共重合体(X0)の水溶液に、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を溶解するが水とは非相溶の有機溶媒を混合して攪拌すると、(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックは水相に溶解し、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックは有機溶媒相に溶解してエマルジョンを形成する。この場合、前駆共重合体(x0)は、乳化剤として作用する。該エマルジョンはO/W型であってもW/O型のいずれであってもよい。
【0049】
該エマルジョン形成時に使用する有機溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、メトキシベンゼン、トルエン、およびこれらの混合溶媒などを使用できる。
【0050】
エマルジョン形成後、水相に加水分解触媒として、酸またはアルカリを添加してポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックを優先的に加水分解させる。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸など通常の無機酸類を、またアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなど通常の無機アルカリ類を使用することができる。
【0051】
O/W型エマルジョンを反応場とする場合を例に挙げると、水相の酸またはアルカリの濃度は、加水分解されるポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックを構成するモノマー単位のモル数の少なくとも2倍相当量であればよく、50倍以内とするのが好ましい。50倍を超えると、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックが加水分解を受けやすくなる。最も好ましい範囲は2〜5倍である。
【0052】
加水分解反応温度は100℃以下が好ましく、使用する酸またはアルカリの濃度に合わせて設定するとよい。酸またはアルカリの濃度が高い場合は、温度を低く、たとえば室温程度に設定し、酸またはアルカリの濃度が低い場合は、反応温度を高めに設定するとよい。
【0053】
酸を用いたO/W型エマルジョンの加水分解反応系では、反応の進行に伴って反応系内でのO/W型エマルジョンが水中ミセルに変換するので、そのミセルの形成を目安として、反応の終点を判断することができる。たとえば、反応の初期においては、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックは水相に溶解してO/W型エマルジョンを形成するが、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックが塩酸存在下に加水分解されて生成するポリ(エチレンイミン)ブロックの塩酸塩は、酸性の水相ではポリマー結晶となる。該ポリマー結晶は酸性の水相に不溶であるためエマルジョンが破壊され、その結果、該ポリマー結晶がコアとなり、そのまわりを水溶性のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックが覆ったコア−コロナ型のミセルが形成される。水相は不透明なミセル分散液となり、有機溶媒は油滴ではなく、油相として水相から分離する。この現象は視覚によって明確に観測でき、反応の終点の目安とすることができる。
【0054】
一般的に、加水分解反応は2〜48時間が好適であるが、酸の濃度、反応温度などの条件によって適宜選択すればよい。上記加水分解反応によって、前駆共重合体(X0)のポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックが優先的に加水分解されてポリ(エチレンイミン)ブロックとなり、目的のブロック共重合体(X1)が得られるが、この際、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックもいくらか加水分解を受けてエチレンイミン単位となる。
【0055】
しかし、この加水分解反応は、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロック中のランダムな位置で起こるのではなく、水と非相溶の有機溶媒中に溶解しているポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックが、撹拌や分子鎖の熱運動によって水相に引き出された部分で起こる。すなわち、ポリ(エチレンイミン)ブロックに隣接した部分の(N−プロピオニルエチレンイミン)単位が加水分解される結果、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックが加水分解を受けなかった場合と比較して、単に、目的のブロック共重合体(x)中のポリ(エチレンイミン)ブロックの分子鎖長が幾分長くなり、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックの分子鎖長が幾分短くなるにすぎない。
【0056】
得られたブロック共重合体中のエチレンイミンの窒素原子を酸性条件でプロトン化することにより、カチオン性のポリ(エチレンイミン)ブロックと、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックとからなるブロック共重合体を得ることができる。
【0057】
上記合成方法において、O/W型エマルジョンを形成させるための好ましい配合例は、目的のブロック共重合体(X1)1gに対し、水5〜40ml、水と非相溶の有機溶媒は0.5〜6mlである。
【0058】
次いで、グラフト共重合体の合成方法について説明する。グラフト共重合体の場合、その合成法として、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)またはポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)などのホモポリマーをアルカリ性水溶液または酸性水溶液中で加水分解して得られるポリエチレンイミンの窒素原子に、末端にハロゲンまたはトシレートが結合したポリマーを反応させることで得ることができる。
【0059】
ポリエチレンイミンは、塩基性または酸性の水溶液中、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液中で、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)またはポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を加水分解することで得られる。
【0060】
得られたポリエチレンイミンを、クロロホルム、メタノール、ジメチルホルムアミド、または水に溶解させ、それに片末端にハロゲンまたはトシレートが結合したポリマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(アセチルエチレンイミン)、ポリ(プロピオニルエチレンイミン)、ポリ(アクリルアミド)のような親水性ポリマーを加えて、室温または加熱状態(80℃程度)で反応させることにより、エチレンイミン単位の窒素原子にポリマー末端の炭素が結合したグラフトポリマーが得られる。
【0061】
末端にハロゲンまたはトシレートが結合したポリマーを得る方法としては、好ましく使用できる片末端にハロゲンまたはトシレートが結合したポリエチレングリコールを例として挙げると、片末端が水酸基のポリエチレングリコールをブロマイド化またはトシレート化することで合成することができる。片末端がハロゲンまたはトシレートが結合したポリ(アセチルエチレンイミン)、ポリ(プロピオニルエチレンイミン)はメチルオキサゾリンまたはエチルオキサゾリンを通常慣用の重合開始剤であるベンジルブロマイド、メチルトシレート類を用いて、重合させることで合成することができる。また、片末端がハロゲンのポリアクリルアミドは、ベンジルブロマイドなど通常慣用のリビングラジカル重合開始剤を用い、銅の触媒の存在下、アクリルアミドを重合させることで合成できる。
【0062】
これらの末端がブロマイド、またはトシレート化されたポリマーをポリエチレンイミンと反応させる際、グラフトポリマー中の非イオン性部分の割合を制御することから、反応に関わるポリマーの片末端官能基とポリ(エチレンイミン)の窒素原子とのモル比が0.1〜5の範囲であることが望ましく、その比が0.5〜1の範囲であることが、さらに望ましい。
【0063】
[イオン性基を有する着色性化合物]
イオン性基を有する着色性化合物(Z)としては、上記した親水性構造単位(A)とイオン結合して水不溶性となる着色性化合物であればよい。このような着色性化合物としては、その構造中にアニオン性基またはカチオン性基を有する染料や顔料を使用できる。
【0064】
アニオン性基を有する染料としては、分子中にカルボキシ基、スルホ基、フェノール性水酸基、リン酸構造、またはこれらの金属塩などを有する酸性染料を使用できる。また、カチオン性基を有する染料としては、分子中に第4級窒素、アミノ基あるいはアミノ基の誘導基などを含む塩基性染料を使用できる。
【0065】
これら染料の例としては、例えば、赤色系染料では、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、37、42、49、50、51、52、57、75、77、80、82、83、85、87、88、89、92、93、94、95、97、98、106、111、114、115、117、118、119、129、130、131、133、134、138、143、145、154、155、158、168、180、183、184、186、194、198、209、211、215、219、249、252、254、262、265、274、282、287、289、303、306、317、320、321、322、356、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.リアクティブレッド1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、15、16、17、19、20、21、22、23、24、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、49、50、58、59、63、64、180、及びそれらの加水分解物、C.I.ベーシックレッド1、13、14、18、39、C.I.フードレッド7、9、14、C.I.ソルビライズレッド1などが挙げられる。
【0066】
青色系染料としては、例えば、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、54、59、60、62、72、74、78、80、82、83、90、92、93、100、102、103、104、112、113、117、120、126、127、129、130、131、138、140、142、143、151、154、158、161、166、167、168、170、171、182、183、184、187、192、199、202、203、204、205、229、234、236、249、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、120、123、158、160、163、165、168、192、193、194、195、196、199、200、201、202、203、207、225、226、236、237、246、248、249、C.I.リアクティブブルー1、2、3、4、5、7、8、9、13、14、15、17、18、19、20、21、25、26、27、28、29、31、32、33、34、37、38、39、40、41、43、44、46、及びそれらの加水分解物、C.Iベーシックブルー9、25、28、29、44、C.I.フードブルー1、2、C.I.ソルビライズバットブルー1、5、41などが挙げられる。
【0067】
黄色系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、36、38、40、42、44、49、59、61、65、70、72、75、76、78、79、98、99、104、110、111、127、131、135、142、155、162、165、183、194、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、33、39、44、50、55、58、85、86、87、88、89、98、106、110、132、142、144、173、194C.I.リアクティブイエロー1、2、3、4、6、7、11、12、13、14、15、16、17、18、22、23、24、25、26、27、37、42、及びそれらの加水分解物、C.I.ベーシックイエロー11、28、40、51、C.I.フードイエロー3、4、C.I.ソルベントイエロー15、19、21、30、109などが挙げられる。
【0068】
また、C.I.アシッドバイオレット15、31、34、41、43、48、49、51、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、16、ダイレクトオレンジ22、ベーシックオレンジ22、30、C.I.アシッドグリーン3、5、9、16、25、27、36、40、41、44、C.I.リアクティブグリーン7、C.I.アシッドブラウン13、27、103なども使用できる。
【0069】
さらに、黒色系染料としては、例えば、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、48、50、51、52、58、60、62、63、64、67、72、76、77、94、107、108、109、110、112、115、118、119、121、122、132、139、140、155、156、157、158、159、191、C.I.ダイレクトブラック17、19、22、32、35、38、51、56、62、71、74、75、77、94、105、106、107、108、112、113、117、118、132、133、146、154、168、171、195、200、C.I.リアクティブブラック1、3、4、5、6、8、9、10、12、13、14、18、31、及びそれらの加水分解物、C.I.フードブラック2、C.I.ソルビライズバットブラック1などが挙げられる。
【0070】
また、顔料としては、アルカリ可溶なものであれば染料と同様に使用することができる。このような顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド41、48、54、57、63、68、81、122、C.I.ピグメントブルー1、15、17、C.I.ピグメントイエロー17、23、74、93、128、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0071】
これら着色性化合物(Z)中の、アニオン性基またはカチオン性基は単数であっても複数であってもよい。
【0072】
上記着色性化合物のなかでも、分子中にカルボキシ基、スルホ酸構造、フェノール性水酸基、リン酸構造、あるいはこれらの金属塩をその構造中に有する、スルホン酸染料、カルボン酸染料、フェノール染料、リン酸染料などの酸性染料を使用することが好ましい。これら酸性染料は、イオン性の親水性構造単位(a)として好適に使用できるカチオン性の親水性構造単位と良好にイオン結合できる。
【0073】
[水性着色材料]
本発明の水性着色材料は、ブロック共重合体(X)またはグラフト共重合体(Y)と、着色性化合物(Z)とを水に溶解した水溶液を攪拌または振動させるか、あるいはこれら共重合体の水溶液と前記着色化合物の水溶液とを攪拌または振動下で混合させることにより、容易に得ることができる。水溶液中で、共重合体中のイオン性の親水性構造単位(a)と、着色性化合物(Z)中のイオン性基とがイオン化され、これらがイオン結合し、該イオン結合部分が水不溶性となる。使用する共重合体、あるいは着色性化合物は、各々単一種類のみを使用しても、構造の異なる複数種類を使用してもよい。
【0074】
ブロック共重合体(X)またはグラフト共重合体(Y)と、着色性化合物(Z)との比率は、共重合体の全カチオンユニットと着色性化合物(Z)の全アニオン性基とのモル比、あるいは共重合体の全アニオンユニットと着色性化合物(Z)の全カチオン性基とのモル比が10/1〜1/4の範囲であれば本発明の水性着色材料を好適に調整でき、2/1〜1/2の範囲であればより好ましい。
【0075】
[コロイド粒子]
本発明の水性着色材料は、共重合体中のイオン性の親水性ポリマー単位(a)と前記着色性化合物(Z)とのイオン結合部分が水不溶性となることにより、該着色された水不溶性部分同士は疎水結合により一定大きさの会合体が形成される。その会合体周囲は非イオン性のポリマー単位(b)からなる親水性部分により被われ、イオンコンプレックスミセルであるコロイド粒子状の水性着色材料を容易に形成することができる。
【0076】
コロイド粒子状水性着色材料は、着色された疎水会合部分の周囲が親水性部分に被われていることにより、分散剤を使用しなくても良好な水分散性を有し、さらに疎水会合部分が良好な着色性を示す。また、疎水会合部分では、染料分子とイオン性ポリマー間でイオン結合されることで、多くの染料分子ポリマー鎖に沿って濃縮された状態になる。その濃縮状態において、染料分子同士では強いπ−πスタッキングが発生し、染料は分子分散ではなく、一定の規則的な会合構造体を形成する。そのため、得られる着色材料は優れた耐水性や耐候性を有する。
【0077】
共重合体が星型状のブロック共重合体である場合には、星型状の中心部分がイオン性の親水性ポリマー単位(a)の末端と結合した構造、あるいは星型状の中心部分が非イオン性の親水性ポリマー単位(b)と結合した構造があり得るが、いずれの構造においても、イオン性の親水性ポリマー単位(a)と着色性化合物(Z)とがイオン結合した水不溶性部分が疎水会合してコロイド粒子状に成長することができる。
【0078】
共重合体が星型状のグラフト共重合体の場合にも、ブロック共重合体と同様に水不溶性部分が疎水会合してコロイド粒子状の水性着色材料を形成し得る。
【0079】
本発明により得られるコロイド粒子状水性着色材料の粒径は、使用する共重合体の重合度、および共重合体中のイオン性の親水性ポリマー単位(a)の組成を調整することにより容易に制御することができ、重合度が大きいほど、あるいはイオン性の親水性ポリマー単位(a)の組成が大きいほど、その粒径は大きくなる傾向がある。これら重合度やイオン性の親水性ポリマー単位(a)の組成は、使用する共重合体の種類により適宜調整する必要があるが、コロイド粒子状水性着色材料の平均粒径は20nm〜5μm程度の範囲に制御することができる。
【0080】
本発明により得られるコロイド粒子状水性着色材料は、分散媒である水を蒸発させることにより、取り扱いの容易な粉末状着色材料とすることもできる。
【0081】
本発明により得られるコロイド粒子状水性着色材料は、粒径制御が容易で、分散剤を使用しなくても良好な分散性を有し、かつ耐水性や耐候性に優れるため、各種用途、なかでも水性塗料や水性インキ、なかでも水性ジェットインキなどに好適に使用することができる。
【0082】
【実施例】
以下、実施例および参考例によって本発明をさらに具体的に説明する。
特に断らない限り、「%」は「質量%」を表す。
【0083】
<分子量測定法>
東ソー株式会社製高速液体クロマトグラフィー「HLC−8000」(RI検出器、TSKge12000x1+3000Hxl+5000Hxl+guardcolumnHx1−H、溶媒ジメチルホルムアミド、流速1.0ml/分、温度40℃)を使用して重合体の分子量を測定した。
【0084】
<粒径および粒径分布の測定法>
日機装株式会社製UPA粒度分析計「Microtrac 9203」(レーザー光波長780nm、反射角180o、温度25℃)を使用して、動的光散乱(DLS)法により、着色粒子の粒径および粒径分布を測定した。
【0085】
(合成例1)
<水溶性ブロック共重合体(1−1)の合成>
容積50mLの反応容器内部を窒素ガスで置換した後、カチオン開環リビング重合開始剤である臭化ベンジル0.171g(1mmol)、およびN,N−ジメチルアセトアミド5mlを投入し、室温で攪拌した。この溶液に、2−メチル−2−オキサゾリン8.51g(0.1mol)を加えて、さらに、100℃で24時間攪拌して2−メチル−2−オキサゾリンをカチオン開環リビング重合させた。重合率は98%であった。
【0086】
反応液温度を60℃に下げて、2−エチル−2−オキサゾリン4.95g(0.05mol)を加えた後、100℃に加熱し24時間攪拌した。反応混合液の温度を室温に下げ、メタノール10mLを加えた後、反応混合液を減圧濃縮した。この濃縮液をジエチルエーテル100mL中に注いで、重合体を沈殿させた。得られた重合体のメタノール溶液を、ジエチルエーテル中に注いで再沈殿させ、吸引濾過後、濾過物を真空乾燥し、水溶性ブロック共重合体(1−1)12.95gを得た。収率は95%であった。
【0087】
得られた水溶性ブロック共重合体(1−1)の分子量を測定した結果、数平均分子量(以下、「Mn」と略記する。)は12000であり、分子量分布は1.15であった。1H−NMR測定による(N−アセチルエチレンイミン)単位と、(N−プロピオニルエチレンイミン)単位のモル組成比は70:30であった。
【0088】
<カチオンブロック共重合体(1−2)の合成>
上記で得た水溶性ブロック共重合体(1−1)0.5gを、5mol/L塩酸20mLに溶解し、これにクロロホルム3mLを加えて30分間撹拌してエマルジョンを得た。該エマルジョンを50℃に加熱し、10時間攪拌した。反応液にアセトン50mLを加えて重合体を沈殿させた後、吸引濾過し、アセトンで洗浄した。得られた重合体を乾燥し、線状のポリ(エチレンイミン)ブロックと、ポリ(プロピオニルエチレンイミン)ブロックとからなる分子鎖を有するカチオンブロック共重合体(1−2)0.45gを得た。
【0089】
得られたカチオンブロック共重合体(1−2)を1H−NMR測定の結果、分子鎖中の(エチレンイミン)単位と、(N−プロピオニルエチレンイミン)単位のモル組成比は80:20であった。従って、1クラムポリマー中カチオン残基の含有量は9.58×10−3モルであった。
【0090】
(合成例2)
<星型の水溶性ブロック共重合体(2−1)の合成>
反応容器に、六官能性のカチオン開環リビング重合開始剤であり、星型の水溶性ブロック共重合体(1)の核(1)となるヘキサブロモメチルベンゼン0.021g(0.033mmol)を投入し、窒素置換した。窒素気流中、2−メチル−2−オキサゾリン1.53g(18mmol)、およびN,N−ジメチルアセトアミド5mLを順次加え、撹拌しながら60℃に加熱して10分間保持し、次いで100℃に昇温し、20時間撹拌した。得られた重合体の1H−NMRの測定結果から、2−メチル−2−オキサゾリンがほぼ定量的に重合し、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)が得られたことが確認できた。この重合体の分子量を測定した結果、質量平均分子量は21400で、分子量分布は1.65であった。
【0091】
上記反応液に、さらに2−エチル−2−オキサゾリン0.59g(6mmol)を加え、100℃で24時間撹拌した。得られた重合体を、合成例1と同様の方法で単離し、星型の水溶性ブロック共重合体(1−2)2.1gを得た。収率は97%であった。
分子量測定および1H−NMR測定した結果、質量平均分子量が24400、分子量分布が1.72、分子鎖中の(N−アセチルエチレンイミン)単位と、(N−プロピオニルエチレンイミン)単位のモル組成比は80:20であった。
【0092】
<星型のカチオンブロック共重合体(2−2)の合成>
実施例1における水溶性ブロック共重合体(1−1)の代わりに、上記で得た星型の水溶性ブロック共重合体(2−1)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、線状のポリ(エチレンイミン)ブロックと、ポリ(プロピオニルエチレンイミン)ブロックとからなる分子鎖を有する星型のカチオンブロック共重合体(2−2)0.43gを得た。
【0093】
得られた星型のカチオンブロック共重合体(2−2)の分子鎖中の(エチレンイミン)単位と、(N−プロピオニルエチレンイミン)単位のモル組成比は85:15であった。従って、1クラムポリマー中カチオン残基の含有量は10.3×10−3モルであった。
【0094】
(合成例3)
<星型の水溶性ブロック共重合体(3−1)の合成>
六官能性カチオン開環リビング重合開始剤であり、星型の水溶性ブロック共重合体(1)の核(1)となるヘキサブロモメチルベンゼン0.033g(0.052mmol)、2−エチル−2−オキサゾリン0.99g(10mmol)、およびN,N−ジメチルアセトアミド5mLを使用した以外は、合成例2と同様の方法で重合した後、2−メチル−2−オキサゾリン1.53g(18mmol)を加えて、合成例2と同様な方法で重合を継続させ、星型の水溶性ブロック共重合体(3−1)2.4gを得た。収率は94%であった。
【0095】
得られた星型の水溶性ブロック共重合体(3−1)の質量平均分子量は29700、分子量分布は1.81、分子鎖中の(N−アセチルエチレンイミン)単位と、(N−プロピオニルエチレンイミン)単位のモル組成比は68:32であった。
【0096】
<星型の水溶性ブロック共重合体(3−2)の合成>
実施例1における水溶性ブロック共重合体(1−1)の代わりに、合成例3で得た星型の水溶性ブロック共重合体(3−1)を使用したこと以外は、すべて合成例1と同様にして、線状のポリ(エチレンイミン)ブロックと、ポリ(プロピオニルエチレンイミン)ブロックとからなる分子鎖を有する星型の水溶性ブロック共重合体(2−3)0.47gを得た。
分子鎖中の(エチレンイミン)単位と、(N−プロピオニルエチレンイミン)単位のモル組成比は72:28であった。従って、1クラムポリマー中カチオン残基の含有量は8.47×10−3モルと見積もる。
【0097】
(合成例4)
<ポリエチレングリコールを有する水溶性ブロック共重合体(4−1)の合成>
「Eur. Polym. J.」 第19巻、955−961頁、1983年(M. Miyamoto, Y. Sano, T. Saegusa, S. Kobayashi)に記載された方法により、まずは片末端がメトキシであるポリエチレングリコール(PEG:数平均分子量2000)を用い、それをトシレート化した後、オキサゾリンの重合反応を行った。
【0098】
PEGのトシレート化反応:PEG10g(約5mmolの水酸基)、トリエチルアミン2mL(15mmol)、ジメチルアミノピリヂン0.25g(2mmol)を50mLの塩化メチレンに溶解し、その溶液をアイスバスにて氷点温度にしてから、攪拌しながら、1.15g(7.5mmol)を含む塩化メチレン溶液20mLを滴下した。この混合液を室温にて24時間攪拌した。その後、反応液に氷水を加え、有機層を回収し、それをK2SO4にて脱水乾燥した。濾過、濃縮を経て得た残液をCHCl3/MeOH(9/1=V/V)に溶解し、それをシリカゲルカラムにて精製した。乾燥後、7.9g(収率82%)の白い固体PEG−OTsを得た。
【0099】
容積50mLの反応容器内部を窒素ガスで置換した後、重合開始剤であるPEG−OTs2.2g(約1mmol)を5mLのN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した。この溶液に、2−メチル−2−オキサゾリン8.51g(0.1mol)を加えた後、100℃で24時間攪拌しながら重合させた。合成例1と同様な後処理方法を経て、ポリエチレングリコールとポリメチルオキサゾリンからなる水溶性ブロック共重合体(4−1)を得た。重合率は96%であった。
【0100】
質量平均分子量13500、分子量分布は1.28、分子鎖中の(N−アセチルエチレンイミン)単位と、(エチレングリコール)単位のモル組成比は68:32であった。
【0101】
<ポリエチレングリコールを有するカチオンブロック共重合体(4−2)の合成>
上記で得た水溶性ブロック共重合体(4−1)0.5gを、5mol/L塩酸20mLに溶解し、それを50℃に加熱し、10時間攪拌した。反応液にアセトン50mLを加えて重合体を沈殿させた後、吸引濾過し、アセトンで洗浄した。得られた重合体を乾燥し、線状のポリ(エチレンイミン)ブロックと、ポリ(エチレングリコール)ブロックとからなる分子鎖を有するカチオンブロック共重合体(4−2)0.42gを得た。
1H−NMR測定の結果、分子鎖中の(エチレンイミン)単位と、(N−プロピオニルエチレンイミン)単位のモル組成比は66:34であった。従って、1クラムポリマー中カチオン残基の含有量は5.32×10−3モルである。
【0102】
(実施例1)
<ポリマー(1−2)を用いた水性着色材料の調製>
2mgのポリマー(1−2)を4mLの蒸留水に溶解した。攪拌しながら、その溶液に染料アシッドバイオレット7の水溶液(4mg/mL)1.0mLを滴下した。それを一晩放置させた後、分散媒中で得られた水性着色材料の粒径分布測定を行った結果を表1に示した。これを円心分離装置にて処理すると、上澄みは全く無色透明になった。即ち、液中には、フリーな染料はないと考えられる。
【0103】
(実施例2)
<ポリマー(2−2)を用いた水性着色材料の調製>
上記の実施例1と同様な方法で、ポリマー(2−2)とアシッドバイオレット7との重量比が1/1,1/2,1/3,1/4となる比率で、水性着色材料の水中分散体調製を行った。得られた水性着色材料の平均粒径を測定した結果を表1に示した。これを円心分離装置にて処理すると、上澄みは全く無色透明になった。即ち、液中には、フリーな染料はないと考えられる。
【0104】
(実施例3)
<ポリマー(3−2)を用いた水性着色材料の調製>
上記の実施例1と同様な方法で、ポリマー(3−2)とアシッドバイオレット7との重量比が1/1,1/2となる比率で、水性着色材料のの水中分散体調製を行った。得られた水性着色材料の平均粒径を測定した結果を表1に示した。これを円心分離装置にて処理すると、上澄みは全く無色透明になった。即ち、液中には、フリーな染料はないと考えられる。
【0105】
(実施例4)
<ポリマー(3−2)を用いた水性着色材料の調製>
10mgのポリマー(3−2)を3mLの蒸留水に溶解した。攪拌しながら、その水溶液にテトラスルホン酸ポルフィリンナトリウム塩の水溶液2mL(3mg/mL)を滴下した。得られた水性着色材料の平均粒径を測定した結果を表1に示した。これを円心分離装置にて処理すると、上澄みは全く無色透明になった。即ち、液中には、フリーな染料はないと考えられる。
【0106】
(実施例5)
<ポリマー(4−2)を用いた水性着色材料の調製>
10mgのポリマー(4−2)を3mLの蒸留水に溶解した。攪拌しながら、その水溶液にインジゴカルミンの水溶液2mL(3mg/mL)を滴下した。得られた水性着色材料の平均粒径を測定した結果を表1に示した。これを円心分離装置にて処理すると、上澄みは全く無色透明になった。即ち、液中には、フリーな染料色素はないと考えられる。
【0107】
【表1】
【0108】
(実施例6)
実施例2において得られた重量比が1/4の系の分散体液を円心分離装置にて8000回/分の回転数で20分円心分離したところ、上澄みは全く無色透明であった。従って、分散液には、フリーな染料分子は存在しないと判断される。さらに、円心分離にて得られた沈みの着色材料を乾燥させた後、それを再び水中に戻し、超音波照射することで、着色材料は水中に分散可能となった。
【0109】
(実施例7)
実施例3において得られた、ポリマーとアシッドバイオレット7との重量比が1/1あるいは1/2である着色材料水分散液を、スライドガラス上にキャストし、乾燥してキャスト膜を得た。得られたキャスト膜は、いずれも赤紫色であり、良好な着色性を示した。各々のキャスト膜の反射スペクトル(サンプルは積分球にセット)を測定した結果を図1に示す。図1より最大反射波長は、いずれも520nm程度であった。得られたキャスト膜を水中に浸せきさせたところ、2週間浸せきでも全く溶解性を示さなかった。これは、ポリマーとイオン結合した着色材料のキャスト膜が非常に強い耐水性を有することを強く示唆すると考えられる。
【0110】
(比較例1)
実施例7において使用した着色材料水分散液の代わりに、ポリマーを含有しないアシッドバイオレット7水溶液を使用した以外は実施例7と同様にしてキャスト膜を作成した。得られたキャスト膜の反射スペクトルを測定した結果を図1に示す。図1より最大反射波長は550nm程度であった。また、得られたキャスト膜を水中に浸せきさせたところ、キャスト膜は速やかに溶解してしまった。
【0111】
上記実施例1〜5に示したように、本発明により得られた水性着色材料は、微細なコロイド状水性着色材料を容易に形成することができ、該コロイド状水性着色材料は水中に良好に分散した。また、実施例6に示したように、得られたコロイド状水性着色材料からは粉末状着色材料を得ることができ、該粉末状着色材料は良好な水分散性を示すことが明らかであった。さらに、実施例7に示したように、本発明の水性着色材料を使用して得られた着色膜は良好な着色性を示し、また、優れた耐水性を有することが示された。
【0112】
【発明の効果】
本発明の水性着色材料は、水不溶性部分と親水性部分とを有するため、水中で水不溶性部分が疎水会合し、その周囲が親水性部分により被われたコロイド粒子状の水性着色材料を容易に形成することができる。該コロイド粒子状水性着色材料は、着色された疎水会合部分により良好な着色性を有し、かつ、該疎水会合部分の周囲が親水性部分に被われていることにより、分散剤を使用しなくても優れた水分散性を示し、さらに疎水会合部分が結晶的な会合構造を示すため耐水性や耐候性に優れ、かつ、良好な着色性と、分散剤を使用しなくても優れた水分散性を有することから、各種用途、なかでも水性塗料や水性インキ、なかでも水性ジェットインキなどに好適に使用することができる。
【0113】
また、前記式(1)〜(3)で表される構造とすることで、コロイド粒子状着色材料の分散安定性を向上させることができ、星形の共重合体とすることで、さらに分散安定性の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】着色キャスト膜の反射スペクトル測定結果を表す図である。
【符号の説明】
a ポリマーと染料の重量比が1/1であるキャスト膜の吸収スペクトル
b ポリマーと染料の重量比が1/2であるキャスト膜の吸収スペクトル
c 染料のみのキャスト膜の吸収スペクトル
Claims (10)
- イオン性の親水性ポリマー単位(a)と、非イオン性の親水性ポリマー単位(b)とを有するブロック共重合体(X)またはグラフト共重合体(Y)と、前記イオン性の親水性ポリマー単位(a)と結合し得るイオン性基を有する着色性化合物(Z)とからなり、前記共重合体中のイオン性の親水性ポリマー単位(a)と前記着色性化合物(Z)とがイオン結合しており、かつ該イオン結合部分が水不溶性であることを特徴とする水性着色材料。
- 前記ブロック共重合体(X)が、下記式(1)
R1−(A−B)n
または R1−(B−A)n (1)
(式(1)中、R1は1価以上の重合開始化合物残基、Aはイオン性の親水性ポリマー単位(a)、Bは非イオン性の親水性ポリマー単位(b)、nはR1の価数の範囲内で、少なくとも1の整数である。)で表され、かつ質量平均分子量が2500〜500000の範囲にある請求項1に記載の水性着色材料。 - 前記ブロック共重合体(X)が、下記式(2)
[R1−(A−B)n]m−R2
または[R1−(B−A)n]m−R2 (2)
(式(2)中、R1は1価以上の重合開始化合物残基、R2は1価以上の末端化合物残基、Aはイオン性の親水性ポリマー単位(a)、Bは非イオン性の親水性ポリマー単位(b)、nはR1の価数の範囲内で、少なくとも1の整数、mはR2の価数の範囲内で、少なくとも1の整数である。)で表され、かつ質量平均分子量が2500〜500000の範囲にある請求項1に記載の水性着色材料。 - 前記グラフト共重合体(Y)が、下記式(3)
R3−[D−(E)q]p (3)
(式(3)中、R3は1価以上の重合開始化合物残基、Dはイオン性の親水性ポリマー単位(a)からなる幹成分、Eは非イオン性の親水性ポリマー単位(b)からなる枝成分、pはR3の価数の範囲内で少なくとも1の整数、qは枝成分Eの数を示す1以上の整数である。)で表され、かつ質量平均分子量が、5000〜500000の範囲にある請求項1に記載の水性着色材料。 - 前記イオン性の親水性ポリマー単位(a)がカチオン性の親水性ポリマー単位であり、前記着色性化合物(Z)がアニオン性基を有する着色性化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の水性着色材料。
- 前記カチオン性の親水性ポリマー単位(a)がカチオン化されたポリエチレンイミンであり、前記非イオン性の親水性ポリマー単位(b)がポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)、またはポリエチレンオキシド、(N−アセチルエチレンイミン)、ポリアクリルアミドから選ばれる少なくとも一種である請求項5に記載の水性着色材料。
- 前記カチオン性の親水性ポリマー単位を構成するモノマー単位と、前記アニオン性基を有する着色性化合物とのモル比が、1/10〜4/1の範囲にある請求項5または6に記載の水性着色材料。
- 前記着色組成物(Z)が、スルホン酸染料、カルボン酸染料、リン酸染料、またはフェノール染料からなる群から選ばれる酸性染料である請求項5〜7のいずれかに記載の水性着色材料。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の、イオン性の親水性ポリマー単位(a)と前記着色性化合物(Z)とがイオン結合した水不溶性のイオン結合部分が、疎水会合していることを特徴とするコロイド粒子状水性着色材料。
- 請求項9に記載のコロイド粒子状水性着色材料からなることを特徴とする粉末状着色材料。
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