JP2005026599A - 液体気化供給器及びこれを用いた液体気化供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 気化室内にて液体原料が熱分解等するのを抑止できる液体気化供給器及びそれを用いた液体気化供給装置を提供する。
【解決手段】 液体原料噴射ノズル56aの周囲を取り囲むようにキャリアガス噴射ノズル56bが形成されるので、気化室36の内側面36cと液体原料噴射ノズル56aから噴射された液体原料Lとの間にキャリアガス層が形成される。したがって、液体原料噴射ノズル56aから噴射された液体原料Lが飛散等して、気化室36の内側面等に付着することがなく、気化室36を構成する金属の触媒作用により液体原料Lの熱分解等の進行が促進されることはない。
【選択図】 図1
Description
この発明は半導体の製造工程において液体原料を気化するのに用いられる液体気化供給器及びこれを用いた液体気化供給装置に関するものである。
この種の液体気化供給装置(気化器)としては、種々のものが報告されており、たとえば、特許文献1には、比較的大きな気化室を形成することにより液体原料を迅速にかつ効率的に気化させるようにした気化器及びこれを用いた半導体製造システムが開示されている。
特開2001−148347号公報(図8)
この従来の気化器(1)においては、図9に示すように、液体原料(L)が吐出される細孔(2)の出口の近傍であって、液体原料(L)の吐出方向に対して略垂直な方向にキャリアガス導入手段(3)が形成されているので、細孔(2)から吐出された液体原料(L)がキャリアガス導入手段(3)から噴射されたキャリアガス(CG)により飛散し、その一部が気化室(4)の内側面に付着する。そのため、次に述べるような問題点があった。
さて、半導体薄膜の形成、たとえば高誘電率(High−K)薄膜の1例として酸化タンタル(Ta2O5)を挙げると、その原料としては、液体のペンタエトキシタンタル[Ta(O−C2H5)5;以下、PETという。]が使用される。この有機金属化合物は、常温では安定であるが、気化器を用いて高温度で気化させる際に、気化室を構成する他の金属(たとえばステンレス鋼)と接触すると、その表面に存在する金属原子が触媒となって分解反応が促進される。
つまり、前述のように液体原料(L)が気化室(4)の内側面に付着すると、気化室(4)を構成している金属が触媒となって液体原料(L)の分解反応が促進され、前記PETを前述のような気化器(1)にて気化させると、PETの分解生成物である酸化タンタルや水酸化タンタルなどの固体が気化器(1)の気化室(4)内面に堆積する。気化室(4)の内面が、これらの蒸発不可能な高沸点の物質で覆われてしまうと、液体原料(L)は効率よく気化できなくなり、気化器(1)の気化能力が低下してしまう。のみならず、堆積した固体成分が気化室(4)の表面から剥離し、パーティクル発生の原因となる。さらに堆積が進行すると気化器(1)の内部が閉塞されるというような問題もあった。
また、上記金属化合物を含む液体原料(L)は、一般に高沸点・低蒸気圧という化学的性質を有するため、これを気化させるためには気化室(4)内の温度を高温に設定する必要がある。しかしながら、前述したように、上記有機金属化合物は非常に不安定で反応性が高いという性質のため、高温の気化室(4)内にて液体原料(L)を気化させると、液体原料(L)に含まれる金属化合物の熱分解反応や重合反応が進行して変質してしまうという問題もあった。
本発明の目的は、かかる従来例の問題点を解消するためになされたもので、気化室内にて液体原料が変質したり、分解反応生成物が堆積してその内部が閉塞されるというようなことがない液体気化供給器及びそれを用いた液体気化供給装置を提供することである。
請求項1に記載した発明は、「液体原料(L)を気化する気化室(36)を有する気化部(28)と、気化室(36)内に液体原料(L)及びキャリアガス(CG)を噴射する噴射ノズル(56)を有する噴射部(30)と、噴射部(30)に供給する液体原料(L)の質量流量を調整する液体原料質量流量制御部(32)とを備える液体気化供給器(10)であって、噴射ノズル(56)は、液体原料(L)を噴射する液体原料噴射ノズル(56a)と、液体原料噴射ノズル(56a)の周囲を取り囲むように設けられ、気化室(36)の内側面(36c)に沿ってキャリアガス(CG)を噴射するキャリアガス噴射ノズル(56b)とで構成されていることを特徴とする液体気化供給器(10)」である。
この発明によれば、キャリアガス(CG)がキャリアガス噴射ノズル(56b)から気化室(36)の内側面(36c)に沿って、かつ、液滴の集団となった液体原料(L)の周囲を取り囲むように噴射されることになるので、気化室(36)の側壁と液体原料(L)との間に鞘状のキャリアガス層が形成されることとなり、液体原料(L)が気化室(36)の側壁に付着するのを防止できる。それ故、気化室(36)を構成している金属が触媒となって液体原料(L)の分解反応が抑制され、気化効率の低下や分解反応生成物の気化室(36)内面への堆積・内部閉塞というような問題が著しく改善される。(つまり、噴霧され液滴となった液体原料(L)の集団は、円錐状のキャリアガス(CG)の鞘(シース)に取り囲まれ、液滴が直接高温度の気化室(36)の内側面(36c)に付着するのを防止できる。なお、キャリアガス噴射ノズル(56b)および気化室(36)の内側面(36c)は、流体力学的にこのようなシースが形成されるように設計される。)
請求項2に記載した発明は、請求項1における気化室(36)の形状を限定したものであり、「気化室(36)の底面は凹湾曲状に形成されている」ことを特徴とするものである。
この発明によれば、キャリアガス噴射ノズル(56b)から噴射され、気化室(36)の内側面(36c)に沿って流下したキャリアガス(CG)が凹湾曲状に形成された気化室(36)の底面(36b)中心部に集合して湧き上がり、これによって渦流が形成される。このとき、液体原料噴射ノズル(56a)から噴射されて液滴となった液体原料(L)は、湧き上がってきたこの渦流と衝突する際、キャリアガス(CG)の分子が持つ熱エネルギーを与えられ気化される。また、液滴となった液体原料(L)は、気化室(36)内面からの輻射熱を受けて、その飛行中に気化される。このように、前述の2つの作用によって、ノズルから噴霧されて液滴となった液体原料(L)は、ほぼ100%近い割合で気化される。したがって、この発明によれば、液体原料(L)の気化効率が飛躍的に向上する。
請求項3に記載した発明は、請求項1における気化室(36)の形状を限定したものであり、「気化室(36)の底面(36b)は凹湾曲状に形成されており、該底面(36b)中央部には、その先端が気化室(36)の中央部分に向って突出される突出部(74)が設けられている」ことを特徴とするものである。
この発明によれば、気化室(36)の底面(36b)には突出部(74)が形成されており、キャリアガス噴射ノズル(56b)から噴射され気化室(36)の側壁に沿って流下したキャリアガス(CG)は気化室(36)の中央部分へ向けて効率よくガイドされるので、より大きな渦流を確実に形成することができる。
請求項4に記載した発明は、「気化室(36)の内側面(36c)には、気化室(36)内にて気化された液体原料(L)及びキャリアガス(CG)を外部に送出する混合ガス送出路(40)が形成されている」ことを特徴とするものであり、請求項5に記載した発明は、「気化室(36)の底面(36b)には、気化室(36)内にて気化された液体原料(L)及びキャリアガス(CG)を外部に送出する混合ガス送出路(40)が形成されている」ことを特徴とするものである。
これらの発明によれば、気化室(36)内にて気化された液体原料(L)を混合ガス(CG+L)として効率よく外部に送出することができるので、気化室内での滞留時間が短くなり、熱分解などによる液体原料(L)の変質を抑止することができる。
請求項6に記載した発明は、「液体原料質量流量制御部(32)は複数設けられており、これらが1つの液体原料噴射ノズル(56a)に接続されている」ことを特徴とするものである。この発明によれば、気化室(36)内に複数種類の液体原料(L)を同時に噴射することができる。
請求項7に記載した発明は、「液体原料噴射ノズル(56a)またはキャリアガス噴射ノズル(56b)の少なくともいずれか一方の内側面には、螺旋溝が設けられている」ことを特徴とするものである。
この発明によれば、液体原料噴射ノズル(56a)から噴射された液体原料(L)、またはキャリアガス噴射ノズル(56b)から噴射されたキャリアガス(CG)に遠心力が加わるので、液体原料(L)の霧化を効率よく行うことができ、その分、液体原料(L)の気化効率が向上する。
請求項8に記載した発明は、「液体原料(L)を貯留するタンク(16)と、タンク(16)から液体原料気化供給器(10)へ向けて送出される液体原料(L)の質量流量を測定する液体質量流量計(18)と、キャリアガス(CG)の質量流量を制御するマスフローコントローラ(20)と、液体質量流量計(18)及びマスフローコントローラ(20)に接続され、液体原料(L)を気化させると共にキャリアガス(CG)にて気化後の液体原料(L)を送り出す液体気化供給器(10)とを備える液体気化供給装置(12)において、液体気化供給器(10)は、請求項1から7のいずれかに記載の液体気化供給器(10)であることを特徴とする液体気化供給装置(12)」である。
この発明によれば、液体原料(L)を気化するための液体気化供給器として請求項1から7のいずれかに記載された液体気化供給器(10)が使用されるので、反応性の高い液体原料(L)を用いる場合であっても極めて効率良く気化することができる。
請求項1に記載した発明によれば、気化室に噴射されて液滴の集団となった液体原料の周囲を取り囲むようにキャリアガスが噴射されるので、気化室と液体原料との間に鞘状のキャリアガス層が形成され、液体原料が気化室の内側面に付着する割合が著しく低下する。したがって、気化室を構成している金属が触媒となって液体原料の分解反応が抑制され、気化効率の低下や分解反応生成物の気化室内面への堆積・内部閉塞というような問題が著しく改善される。
請求項2に記載した発明によれば、凹湾曲状に形成された気化室の底部にてキャリアガスの渦流が形成されるので、噴射ノズルから噴射された液体原料がこの渦流と衝突するときの衝撃エネルギーを液体原料の気化エネルギーとして使用することができ、気化効率を高めることができる。また、衝撃エネルギーの分だけヒーター出力を低くすることができるので、その分、気化室内の温度を低くすることができ、この場合には液体原料の熱分解を抑止することができる。
請求項3に記載した発明によれば、気化室の底面に沿って中心部に移動したキャリアガスが効率よく気化室の中央部分に向けてガイドされるので、より大きな渦流を確実に形成できる。したがって、液体原料とキャリアガスの渦流との衝突時の衝撃エネルギーをより大きなものとすることができ、その分気化効率を高めることができる。
請求項4に記載した発明によれば、混合ガスを液体原料とキャリアガスの渦流との衝突部近傍にて排出できるので、気化した液体原料を効率よくリアクターに供給することができる。したがって、気化後の液体原料が気化室内に滞留するのを防止でき、気化器内にて液体原料が変質するのを抑止できる。
請求項5に記載した発明によれば、気化後の液体原料が気化室の下端部に滞留した場合であっても、速やかに排出することができるので、液体原料が気化室内に滞留することがない。したがって、液体原料の変質を抑止することができる。
請求項6に記載した発明によれば、予め混合された複数種類の液体原料を同時に気化室内に噴射することができるので、複数種類の原料を必要とするような薄膜を簡単に形成することができるようになる。
請求項7に記載した発明によれば、キャリアガス噴射ノズルから噴射されたキャリアガス或いは液体原料噴射ノズルから噴射された液体原料に遠心力が加わることになるので、液体原料をより効率よく霧化することができ、その分気化効率が向上する。
請求項8に記載した発明によれば、反応性の高い液体原料を用いる場合であっても極めて効率良く気化できる液体気化供給装置を提供できる。
図1に示す本発明の適用された液体気化供給器(10)は、たとえば図2に示すように、液体気化供給装置(12)に組み込まれて液体原料(L)を気化させ、CVDのようなリアクター(14)にキャリアガス(CG)と共に供給するものである。ここで、液体気化供給装置(12)は、液体原料(L)を気化させてリアクター(14)などの製造装置へ供給するためのものであり、液体気化供給器(10)、タンク(16)、液体質量流量計(18)、及びマスフローコントローラ(20)等を備え、これらの機器が原料供給管(22a)及びガス管(22b)〜(22d)を介して互いに連結されている。また、液体気化供給器(10)と液体質量流量計(18)とは、制御用導電線(22g)により接続されている。
液体気化供給器(10)は、図1に示すように、気化部(28)、噴射部(30)、及び液体原料質量流量制御部(32)から構成されている。
気化部(28)は、円柱状のブロックからなるハウジング(34)を有し、ハウジング(34)の内部には、上端がハウジング(34)の上面に開口される気化室(36)が形成されている。気化室(36)は、その内側面上端部(36a)が上端から下方に向かって次第に拡径するようなテーパ状に形成されており、底面(36b)は凹状に湾曲されており、気化室(36)を水平方向に切断したときの内周形状は略円形状をなしている(図3参照)。
また、ハウジング(34)の内部には、気化室(36)内の混合ガス(CG+L)をリアクター(14)へ送出する混合ガス送出路(40)が形成されている。なお、本実施例では、混合ガス送出路(40)の一端が気化室(36)の内側面(36c)に開口されており、その位置は、液体原料(L)が気化する位置[図の実施例では中段部分]に対応して設定されている。
更に、ハウジング(34)の内部における気化室(36)の側方及び下方には、混合ガス(CG+L)を加熱するヒーター(42a)及び(42b)が埋め込まれており、このヒーター(42a)(42b)には、図示しない温度調節器が接続されている。なお、本実施例では、ハウジング(34)が水平方向に延びて形成されている分割面(42)において上部ハウジング(34a)と下部ハウジング(34b)とに分割されており、前述したヒーター(42a)が上部ハウジング(34a)の内部に、そしてヒーター(42b)が下部ハウジング(34b)の内部にそれぞれ埋め込まれている。
気化部(28)の上部には、噴射部(30)が設けられている。噴射部(30)は、図4に示すように、円柱状のブロックからなるハウジング(46)を有し、ハウジング(46)の内部には、ガス室(48)が形成されている。また、ハウジング(46)の内部には、キャリアガス(CG)をガス室(48)へ導入するキャリアガス導入路(50)、及びガス室(48)内のキャリアガス(CG)を気化室(36)の内側面(36c)へ向けて送出するキャリアガス噴射ノズル(56b)となるキャリアガス送出路(52)が形成されている。
キャリアガス送出路(52)の下端部の内径(a)は、気化室(36)上端の開口部分の内径と略等しく設定されており、下端から上方へ向って次第に縮径するようにテーパ状に形成されている。このキャリアガス送出路(52)は液体原料噴射ノズル(56a)に対して同心円状にて全周に亘って連続して形成されている(もちろん、キャリアガス送出路(52)が液体原料噴射ノズル(56a)に対して同心円状にて全周に亘って不連続[換言すれば、同心円上に多数の通孔が形成されている場合]となるように形成するようにしてもよい)。キャリアガス送出路(52)の内側面(52a)の鉛直方向に対するテーパ角度(θ1)は、気化室(36)の内側面上端部(36a)のテーパ角度と一致するように設定されている。なお、かかるテーパ角度(θ1)は、気化室(36)の形状や大きさに応じて適宜設定される。
また、ハウジング(46)の中心には、一端が後述する液体原料質量流量制御部(32)の弁室(60)の下端部に連通され、他端が気化室(36)に臨まされる液体原料供給管(54)が設けられている。液体原料供給管(54)はその内部を液体原料(L)が通流する円筒状部材であり、その下端部の肉厚が下方へ向って次第に大きくなるようにその外側面(54a)がテーパ状に形成されており、その下端端面がハウジング(46)の下端端面と面一状態となるように設定されている。
液体原料供給管(54)の下端部の外径(b1)は、キャリアガス送出路(52)の下端部の内径(a)よりも小さめに設定されており、軸方向に形成された孔(54b)の内径(b2)は、使用する液体原料(L)の種類や流量に応じて適宜設定されている。また、外側面(54a)の鉛直方向に対するテーパ角度(θ2)は、本実施例では前述したキャリアガス送出路(52)の内側面(52a)のテーパ角度(θ1)と略等しく設定されている。なお、液体原料供給管(54)の軸方向に形成された孔(54b)が液体原料噴射ノズル(56a)として機能し、キャリアガス送出路(52)と液体原料供給管(54)との間に形成される略円錐台状の隙間部分がキャリアガス噴射ノズル(56b)として機能し、これらが噴射ノズル(56)とされる。(換言すれば、キャリアガス噴射ノズル(56b)が、鉛直方向に延びる液体原料噴射ノズル(56a)の周囲を取り囲むように、かつ、下方に向うにつれて液体原料噴射ノズル(56a)から遠くなるように配置されるようになっていればよい。)
なお、本実施例では、キャリアガス送出路(52)の内側面のテーパ角度(θ1)と液体原料供給管(54)の外側面のテーパ角度(θ2)とが略等しく設定されているが、これに限定されるものではなく、ノズルでの液滴の噴霧状態を変えるためにθ2>θ1となるように設定してもよいし、反対にθ2<θ1となるように設定してもよい。
なお、本実施例では、キャリアガス送出路(52)の内側面のテーパ角度(θ1)と液体原料供給管(54)の外側面のテーパ角度(θ2)とが略等しく設定されているが、これに限定されるものではなく、ノズルでの液滴の噴霧状態を変えるためにθ2>θ1となるように設定してもよいし、反対にθ2<θ1となるように設定してもよい。
噴射部(30)の上部には液体原料質量流量制御部(32)が設けられている。液体原料質量流量制御部(32)はハウジング(58)を有し、ハウジング(58)の内部には弁室(60)が形成されており、弁室(60)の上端はハウジング(58)の上面に開口されている。また、ハウジング(58)の内部には、弁室(60)の底部へ液体原料(L)を導入する原料導入路(62)と液体原料供給管(54)が設けられており、液体原料供給管(54)の上端が前述したように弁室(60)の底部に連通されている。
ハウジング(58)の上面にはアクチュエータ(68)が設けられている。アクチュエータ(68)はハウジング(58)の上面に立設されている筒状のハウジング(70)を有し、内部に駆動素子(72)が収納された構造となっている。一方、弁室(60)の内部には、弾性材料からなる膜状のダイヤフラム(64)が設けられており、前記ダイヤフラム(64)を押圧して液体原料供給管(54)の弁室(60)への開口部「即ち、原料導入口(54c)」の開度を制御するプランジャー(66)が駆動素子(72)の下端に設けられている。
駆動素子(72)は、印加電圧の大きさに応じて長さが変化するものであり、印加電圧によって、伸長する長さ(以下、「伸長長さ」という。)が変化する。このような駆動素子(72)として、本実施例ではソレノイド素子が使用されるが、これに限定されるものではなく、たとえばピエゾ素子を使用することも可能である。ハウジング(70)内における駆動素子(72)の位置は、駆動素子(72)の伸長長さがゼロのときに、ダイヤフラム(64)によって液体原料供給管(54)の原料導入口(54c)が開放され、駆動素子(72)の伸長長さが最大のときに原料導入口(54c)が閉鎖され得るように調整される。なお、駆動素子(72)は、印加電圧に対する応答速度が非常に速く、駆動素子(72)に印加する電圧を微小時間間隔に設定した場合であっても、印加電圧に応じて伸長長さを瞬時に変化させることができる。
液体気化供給装置(12)においては、図2に示すように、液体気化供給器(10)の原料導入路(62)には、原料供給管(22a)及び液体質量流量計(18)を介してタンク(16)が接続され、タンク(16)には、プッシュガス(PG)を導入するガス管(22b)が接続される。また、液体気化供給器(10)のキャリアガス導入路(50)には、ガス管(22c)を介してマスフローコントローラ(20)が接続され、マスフローコントローラ(20)には、キャリアガス(CG)を導入するガス管(22d)が接続される。さらに、液体気化供給器(10)の駆動素子(72)には、制御用導電線(22g)を介して液体質量流量計(18)が接続され、混合ガス送出路(40)には、ガス管(22e)を介してリアクター(14)が接続される。
タンク(16)は、薄膜の原料となる液体原料(L)を貯留するものであり、液体質量流量計(18)は、原料供給管(22a)を流れる液体原料(L)の質量流量(質量流量:単位時間内に流れた液体原料(L)の質量)を測定し、測定結果に基づいて液体気化供給器(10)における駆動素子(72)に電圧を印加するものであり、マスフローコントローラ(20)は、液体気化供給器(10)に対するキャリアガス(CG)の供給質量流量を調整するものであり、リアクター(14)は、「成膜手段」として機能するものであり、より具体的には、キャリアガス(CG)と気化された液体原料(L)との混合ガス(CG+L)を取り込んで、半導体ウエハの表面に薄膜を形成する例えばCVDのようなものである。なお、液体質量流量計(18)においては、内部を流れる液体原料(L)の質量流量に応じて駆動素子(72)に電圧が印加され、これによって、原料導入口(54c)の開口度が調整されて気化室(36)へ与えられる液体原料(L)の量が均一化されることになる。
次に、液体気化供給装置(12)を用いて液体原料(L)を気化する方法について説明する。タンク(16)にプッシュガス(PG)が供給されると、タンク(16)内の圧力が上昇し、液体原料(L)の液面が押し下げられる。プッシュガス(PG)としては、例えばヘリウムなどの不活性ガスが用いられる。プッシュガス(PG)の圧力により液体原料(L)の液面が押し下げられると、液体原料(L)が原料供給管(22a)内を流れ、液体質量流量計(18)を通過して液体気化供給器(10)の弁室(60)へ与えられる。このとき、液体質量流量計(18)では、内部を流れる液体原料(L)の質量流量が測定され、測定された流量信号に基づいて液体気化供給器(10)の駆動素子(72)に電圧が印加される。そして、これにより原料導入口(54c)の開口度が調整され、一定質量流量の液体原料(L)が液体原料噴射ノズル(56a)から気化室(36)内に連続的に噴射されることになる。液体原料噴射ノズル(56a)から噴射された液体原料(L)は、霧化されて気化室(36)内を落下し、後述するように、気化室(36)の器壁(実際には、ヒーター(42a)(42b))からの輻射熱、キャリアガス(CG)分子との衝突による熱交換によって気化する。
マスフローコントローラ(20)にキャリアガス(CG)が供給されると、キャリアガス(CG)の質量流量が制御され、所定質量流量のキャリアガス(CG)がガス管(22c)を通って液体気化供給器(10)のガス室(48)へ連続的に与えられる。キャリアガス(CG)としては、例えばヘリウムなどの不活性ガスが用いられる。
ガス室(48)内に与えられたキャリアガス(CG)は、キャリアガス噴射ノズル(56b)から気化室(36)内に向けて勢い良く連続的に噴射される。ここで、キャリアガス噴射ノズル(56b)は、液体原料噴射ノズル(56a)の周囲を囲繞するように環状に形成されており、かつ、その下端が気化室(36)の周縁方向を向くように鉛直方向に対して傾斜して形成されているので、キャリアガス(CG)は、キャリアガス噴射ノズル(56b)から気化室(36)の内側面(36c)に向かって噴射され、内側面(36c)の近傍を流下して内側面(36c)全体に亘り且つ内側面(36c)に沿って鞘状のキャリアガス層を形成する。そして、気化室(36)の内側面(36c)を流下したキャリアガス(CG)が、凹湾曲された気化室(36)の底面(36b)に沿って気化室(36)の底面中心部に向かい、気化室(36)の底部中心部分にて向きを変えて上昇し、渦流を形成する。
ここで、液体原料噴射ノズル(56a)にて噴射され、霧化された液体原料(L)は、この渦流となったキャリアガス(CG)と気化室(36)の中央部分にて衝突するのであるが、この衝突時に発生する衝撃エネルギーを気化エネルギーとして利用して気化することができる。(つまり、ヒーター(42a)(42b)の熱量をこの衝撃エネルギーの分少なくしても液体原料(L)は気化することができる。したがって、気化室(36)内の温度をその分低くすることができ、熱による液体原料(L)の分解反応をその分抑止することができる。)
また、霧化され液滴となった液体原料(L)は、その飛行中に気化室(36)のヒーター(42a)(42b)からの輻射熱をも気化エネルギーとして利用し、気化することができる。つまり、本発明においては、渦流となったキャリアガス(CG)と衝突した時の衝撃エネルギーと、ヒーター(42a)(42b)からの輻射熱との両方を液体原料(L)が気化するときの気化エネルギーとして利用できるのである。
また、霧化され液滴となった液体原料(L)は、その飛行中に気化室(36)のヒーター(42a)(42b)からの輻射熱をも気化エネルギーとして利用し、気化することができる。つまり、本発明においては、渦流となったキャリアガス(CG)と衝突した時の衝撃エネルギーと、ヒーター(42a)(42b)からの輻射熱との両方を液体原料(L)が気化するときの気化エネルギーとして利用できるのである。
なお、気化室(36)の内側には、前述したように鞘状のキャリアガス層が形成されているので、液体原料噴射ノズル(56a)から噴射された液体原料(L)が気化室(36)内に飛散等してもこのキャリアガス層にブロックされて気化室(36)の内側面(36c)等に付着するのを防止できる。したがって、液体原料(L)の熱分解等の進行が気化室(36)を構成する金属の触媒作用により促進されることはない。
また、キャリアガス(CG)の流速は出来るだけ速いほうが液体原料(L)の液滴の粒径は小さくなる。すると、液体原料(L)の気化がより良好となるし、且つ、鞘状のキャリアガス層や渦流の形成が良好となり気化効率が向上する。(これを達成するためには、キャリアガス(CG)の流速を限界の音速に近づけることが好ましい。)
そして、最後にこの気化した液体原料(L)とキャリアガス(CG)とが混合ガス(CG+L)として混合ガス送出路(40)からリアクター(14)へ向けて送出され、リアクター(14)にて薄膜が形成される。
そして、最後にこの気化した液体原料(L)とキャリアガス(CG)とが混合ガス(CG+L)として混合ガス送出路(40)からリアクター(14)へ向けて送出され、リアクター(14)にて薄膜が形成される。
上述の実施例では、気化室(36)の底面(36b)を凹湾曲状に形成することにより、気化室(36)の内側面(36c)の近傍を流下したキャリアガス(CG)を気化室(36)の底面中心部分に効率よく集合させ、渦流を形成するようにしていたが、図5に示す[第2実施例]の液体気化供給器(10)のように、凹湾曲状に形成された気化室(36)の底面(36b)中央部に、その先端が気化室気化室(36)の中央部分に向って突出される突出部(74)を気化室(36)の底面(36b)に形成するようにしてもよい。
突出部(74)は、気化室(36)の底面(36b)の中心部分に配置され、その外径が上端から下方に向けて拡径するように形成された円錐状部分であり、その外面が気化室(36)の底面(36b)に応じて凹湾曲して形成されている。
前述同様、キャリアガス噴射ノズル(56b)から噴射されたキャリアガス(CG)は、気化室(36)の内側面(36c)の近傍を流下し、気化室(36)の底面(36b)に沿って中心部に移動する。そして、その表面が凹湾曲状に形成された円錐状の突出部(74)にガイドされて気化室(36)の中央部に向かい、より大きな渦流を形成することになる。
本実施例によれば、気化室(36)の内側面(36c)の近傍を流下し、気化室(36)の底面(36b)に沿って中心部に移動したキャリアガス(CG)を効率よく気化室(36)の中央部分にガイドすることができるので、より大きな渦流を形成することができる。したがって、液体原料(L)との衝突時の衝撃エネルギーをより大きなものとすることができ、気化効率を高めることができる。
なお、前述の実施例では、混合ガス送出路(40)を気化室(36)の内側面(36c)の中段部分に形成するようにしていたが、図6に示す[第3実施例]のように、気化室(36)の底面(36b)に形成し、突出部(74)の側面に排出用通孔(41)を穿設するようにしてもよい。この場合には、気化室(36)の底部に滞留した気化後の液体原料(L)をより効率よくリアクター(14)に送出することができる。
なお、本実施例では、気化室(36)の内径が下方に向かって拡径するように内側面(36c)がテーパ状に形成されており、これによれば、キャリアガス噴射ノズル(56b)から内側面(36c)に向けて勢いよく噴射されたキャリアガス(CG)を、その噴射時の勢いを損なうことなく円滑に内側面(36c)に沿って流下させることができ、より大きな渦流を形成することができるようになる。
次に、図7に示す[第4実施例]について説明する。本実施例は、複数種類の液体原料(L)を1つの液体原料噴射ノズル(56a)から同時に噴射するようにした例であり、いわゆる「プレミックス法」と呼ばれるものである。ここで、本実施例について説明する前に「プレミックス法」について以下簡単に説明する。
「プレミックス法」とは、予め複数の液体原料(L)を液体の状態のままで混合させておき、この混合後の液体原料(L)を1つの液体原料噴射ノズルから気化室内に噴射し、気化させる方法のことである。複数の液体原料(L)を液体の状態のままで混合させる手段としては、たとえば、1つの気化器内に複数の液体原料質量流量制御部を設け、各液体原料質量流量制御部に液体質量流量計を接続する方法がその一例として挙げられる。そして、この方法によれば、複数の気化器を並列あるいは直列に接続する方法のように複数台の気化器を使用する必要がないので、高コストになったり、配管が複雑になるということがなく、さらには、気化後の液体原料(L)が器壁に接触する割合が少ないので液体原料(L)の分解反応の進行を抑止することができる。
なお、本実施例では、液体原料質量流量制御部(32)の構成が上述した第3実施例のものと一部異なる点で相違する以外は一致する。そこで、以下にはその異なる部分だけを説明することとし、一致部分の構成については第1実施例〜第3実施例の記載を援用する。
噴射部(30)の上部には、液体原料質量流量制御部(32)が設けられている。液体原料質量流量制御部(32)はハウジング(58)を有し、ハウジング(58)の内部には複数(この実施例では3つ)の弁室(60a)〜(60c)が形成されており、各弁室(60a)〜(60c)の上端は、ハウジング(58)の上面にそれぞれ開口されている。また、ハウジング(58)の内部には、各弁室(60a)〜(60c)の底部へ液体原料(L)を導入する原料導入路(62a)〜(62c)と液体原料供給管(54)が設けられており、液体原料供給管(54)の上端が、前述したように各弁室(60a)〜(60c)の底部に連通されている。なお、本実施例では、液体原料供給管(54)の上端が弁室(60a)〜(60c)の数に合わせて3つに分岐されている。
各弁室(60a)〜(60c)の各原料導入路(62a)〜(62c)にはそれぞれタンク(図示せず)が、これも図示しない原料供給管を介して接続されており、各タンクには、それぞれ異なる種類の液体原料(L)が貯留される。
各タンク(図示せず)から各弁室(60a)〜(60c)に与えられた液体原料(L)は、液体原料供給管(54)にて混合され、液体原料噴射ノズル(56a)から気化室(36)に向けて噴射される。この実施例によれば、複数の液体原料(L)を気化室(36)に向けて同時に噴射することができるので、多種類の原料を必要とする薄膜であってもその形成が可能となる。
最後に、これは上述した全ての実施例について適用できることであるが、液体原料噴射ノズル(56a)またはキャリアガス噴射ノズル(56b)の少なくともいずれか一方の内側面に螺旋溝(図示せず)を設けるようにしてもよい。より具体的には、液体原料噴射ノズル(56a)にあっては液体原料供給管(54)の軸方向に形成された孔(54b)の内側面に螺旋溝が刻設される場合が該当し、キャリアガス噴射ノズル(56b)にあっては、キャリアガス送出路(52)の内側面(52a)或いは液体原料供給管(54)の外側面(54a)の少なくともいずれか一方に螺旋溝が刻設される場合が該当する。
本実施例によれば、液体原料噴射ノズル(56a)から噴射された液体原料(L)あるいはキャリアガス噴射ノズル(56b)から噴射されたキャリアガス(CG)に遠心力が加わるので、液体原料(L)の霧化がより効率良く行われ、その分気化効率が向上する。
なお、「螺旋溝」の例としては、上述した構成に限られるものではなく、たとえば図8に示すように、ハウジング(46)にキャリアガス(CG)供給用の多数(本実施例では4つ)の通孔(76)を形成し、この通孔(76)を気化室(36)に向うにつれて一定方向に湾曲させるようにした構成も含まれるものとする(そして、通孔(76)がキャリアガス噴射ノズル(56b)として機能する)。この場合においても、前述と同様の効果を得ることができる。
(10)…液体気化供給器
(12)…液体気化供給装置
(14)…リアクター
(16)…タンク
(18)…液体質量流量計
(20)…マスフローコントローラ
(28)…気化部
(30)…噴射部
(32)…液体原料質量流量制御部
(34)…ハウジング
(36)…気化室
(56a)…液体原料噴射ノズル
(56b)…キャリアガス噴射ノズル
(12)…液体気化供給装置
(14)…リアクター
(16)…タンク
(18)…液体質量流量計
(20)…マスフローコントローラ
(28)…気化部
(30)…噴射部
(32)…液体原料質量流量制御部
(34)…ハウジング
(36)…気化室
(56a)…液体原料噴射ノズル
(56b)…キャリアガス噴射ノズル
Claims (8)
- 液体原料を気化する気化室を有する気化部と、前記気化室内に液体原料及びキャリアガスを噴射する噴射ノズルを有する噴射部と、前記噴射部に供給する液体原料の質量流量を調整する液体原料質量流量制御部とを備える液体気化供給器であって、
前記噴射ノズルは、液体原料を噴射する液体原料噴射ノズルと、前記液体原料噴射ノズルの周囲を取り囲むように設けられ、前記気化室の内側面に沿ってキャリアガスを噴射するキャリアガス噴射ノズルとで構成されていることを特徴とする液体気化供給器。 - 前記気化室の底面は凹湾曲状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の液体気化供給器。
- 前記気化室の底面は凹湾曲状に形成されており、該底面中央部には、その先端が前記気化室の中央部分に向って突出される突出部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の液体気化供給器。
- 前記気化室の内側面には、前記気化室内にて気化された液体原料及びキャリアガスを外部に送出する混合ガス送出路が形成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の液体気化供給器。
- 前記気化室の底面には、前記気化室内にて気化された液体原料及びキャリアガスを外部に送出する混合ガス送出路が形成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の液体気化供給器。
- 前記液体原料質量流量制御部は複数設けられており、これらが1つの液体原料噴射ノズルに接続されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の液体気化供給器。
- 前記液体原料噴射ノズルまたは前記キャリアガス噴射ノズルの少なくともいずれか一方の内側面には螺旋溝が設けられていることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の液体気化供給器。
- 液体原料を貯留するタンクと、前記タンクから液体気化供給器へ向けて送出される液体原料の質量流量を測定する液体質量流量計と、キャリアガスの質量流量を制御するマスフローコントローラと、前記液体質量流量計及び前記マスフローコントローラに接続され、液体原料を気化させると共にキャリアガスにて気化後の液体原料を送り出す液体気化供給器とを備える液体気化供給装置において、
前記液体気化供給器は、請求項1から7のいずれかに記載の液体気化供給器であることを特徴とする液体気化供給装置。
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