JP2005095610A - ステントの製造方法およびその製造装置ならびにステント - Google Patents
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Abstract
【課題】 血管等に損傷を与える恐れのない平滑性の優れた安全性の高いステントを、孔あけ加工後のばり取り処理が不要で、生産効率よく製造することのできるステントとその製造方法と、その製造装置を提供する。
【解決手段】 パターン形成工程、所定の長さに切断する工程、端面部の角に丸み形状を形成させる工程および化学研磨工程を有するステントの製造方法であって、パターン形成工程においてパターンを形成する同一個所に対して、超短パルスレーザ光を繰返し重畳して照射し、ばりのないパターンを形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】 パターン形成工程、所定の長さに切断する工程、端面部の角に丸み形状を形成させる工程および化学研磨工程を有するステントの製造方法であって、パターン形成工程においてパターンを形成する同一個所に対して、超短パルスレーザ光を繰返し重畳して照射し、ばりのないパターンを形成する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、例えば血管や尿管等の人体の管状器官に挿入され、管状器官の内腔を開いた状態に維持させるためのステントと、その製造方法とその製造装置に関する。
例えば心筋梗塞等の治療に際して、血管の狭窄部にステントと呼ばれる拡張具を挿入し、血管の閉塞を防止する治療が行われている。また、尿管結石等の治療に際しても、結石が排出されやすくするため、尿管を拡張した状態に維持するために、金属性のステントを使用することがある。
一般にステントは、半径方向に独立に膨張可能で、共通の軸線に略整列するように相互に連結された複数の円筒形状の要素により形成されている。使用の際には、縮径した形状でバルーンカテーテルの先端部外周に装着され、案内カテーテルを通して血管や尿管等(以下、単に血管等という)に挿入された後、バルーンカテーテルのバルーンを膨らませて強制的に押し広げ(膨らませる)、その状態で閉塞患部に留置させることにより血管等を拡張する。
金属性のステントの製造方法の一例は、薄い肉厚のパイプに孔を開けることにより製作する方法が用いられている。製造されたステントは血管内に挿入するため、表面にばりが有ると血管を傷つけてしまう恐れがある。したがって、ステントの表面は、ばりのない滑らかなものである必要がある。
通常、薄い肉厚のパイプに孔を開ける加工方法としては、レーザにより加工するものが多く公開されており、YAGレーザあるいはエキシマレーザを用いて切断、孔あけを行っている。(例えば、特許文献1および2を参照)、ただし、切断面が滑らかでないため、後処理として化学処理を行う必要があった。
また、ステントを膨らませる際,ステント端面部分においての血管等の損傷が発生する危険性があるため,ステントの端面部分を機械的に折り曲げたり、研磨することで丸みを持たせて製作する方法が開示されている(例えば、特許文献3を参照)。
特開2001−219286号公報 (段落番号0016)
特開平5−245206号公報 (段落番号0025〜0028)
特開平9−266951号公報 (段落番号0013〜0014)
上述のようにステントは、案内カテーテルにより血管の内部に挿入されるものであるので、ステントの端の断面が小さく鋭くされていると、特に血管等が狭くステントの硬い端が血管等の曲がり部分に遭遇するような場合には、ステントが血管壁に突き刺さる危険性が増大する。曲がり部分を通り抜ける場合、柔軟なバルーン材料は血管の輪郭に追随するが、より硬いステントの先端はバルーン及び送り込みデバイスから僅かに分離する可能性がある。分離した鋭い先端が、血管壁の柔らかい組織を擦過するか、または組織に突き刺さることがあり得る。またステントは、膨らませる際、ステントの端面部分においての血管等の損傷が発生する危険性がある。
それらに対処するために、上述のようにYAGレーザあるいはエキシマレーザを用いて切断、孔あけを行った場合は、切断面が滑らかでないため、後処理として化学処理を行う必要があった。
また、ステントの端面部に丸め加工として、機械的な折り曲げや研磨を用いた加工は、折り曲げ部分の破断や強度低下などが懸念される。また、形状的にもエッジ形状を所望の丸みに形成させることは困難である。
本発明はこれらの事情にもとづいてなされたもので、血管等に損傷を与える恐れのない平滑性の優れた安全性の高いステントを、孔あけ加工後のばり取り処理が不要で、生産効率よく製造することのできるステントとその製造方法と、その製造装置を提供することを目的としている。
本発明によれば、管状体の被加工物の全面に規則的に配列されたパターン孔を形成するパターン形成工程と、
前記パターン孔が形成された前記被加工物を軸方向に所定の長さのステントに切断する切断工程と、
前記ステントの端面部にレーザ光を照射して溶融させて、該端面部の角に丸み形状を形成させる丸み加工工程と、
前記端面部の角に丸み形状が形成された該ステントを、化学研磨する化学研磨工程と
を有することを特徴とするステントの製造方法である。
前記パターン孔が形成された前記被加工物を軸方向に所定の長さのステントに切断する切断工程と、
前記ステントの端面部にレーザ光を照射して溶融させて、該端面部の角に丸み形状を形成させる丸み加工工程と、
前記端面部の角に丸み形状が形成された該ステントを、化学研磨する化学研磨工程と
を有することを特徴とするステントの製造方法である。
また本発明によれば、前記ステントの端面に照射する前記レーザ光は、チタン・サファイアレーザ発振器から発振されたフェムト秒レーザを用いていることを特徴とするステントの製造方法である。
また本発明によれば、前記被加工物の全面に規則的に配列されたパターン孔の形成は、チタン・サファイアレーザ発振器から発振されたフェムト秒レーザを用いていることを特徴とするステントの製造方法である。
また本発明によれば、前記被加工物を軸方向に所定の長さのステントにするための切断は、カッタによりおこなっていることを特徴とするステントの製造方法である。
また本発明によれば、少なくとも、管状体の被加工物の全面に規則的に配列されたパターン孔を形成するパターン形成工程と、前記パターン孔が形成された前記被加工物を軸方向に所定の長さのステントに切断する切断工程とを有するステントの製造方法であって、
前記パターン形成工程は、被加工物の同一個所に対して超短パルスレーザ光を繰返し重畳して照射していることを特徴とするステントの製造方法である。
前記パターン形成工程は、被加工物の同一個所に対して超短パルスレーザ光を繰返し重畳して照射していることを特徴とするステントの製造方法である。
また本発明によれば、前記超短パルスレーザ光を繰返し重畳は、波長0.85μm以下でパルス幅1ps以下のレーザパルスを用い、速度10mm/sec以上の速度で複数回の重畳照射していることを特徴とするステントの製造方法である。
また本発明によれば、レーザ発振器と、このレーザ発振器の光軸上の前方に順次一対のガルバノミラーとF−θレンズとを配置した光学系を具えたステント製造装置であって、
前記F−θレンズの光軸上の前方にはステントを保持し、回転自在でかつ該ステントの軸方向に移動自在なワーク保持部が配置されていることを特徴とするステント製造装置である。
前記F−θレンズの光軸上の前方にはステントを保持し、回転自在でかつ該ステントの軸方向に移動自在なワーク保持部が配置されていることを特徴とするステント製造装置である。
また本発明によれば、前記レーザ発振器は、チタン・サファイアレーザ発振器からフェムト秒レーザを発振することを特徴とするステント製造装置である。
また本発明によれば、レーザ発振器と、このレーザ発振器の光軸上の前方に光学系を具え、かつ、この光学系の集光位置に被加工物を固定して回転させる回転ステージが設けられているステント製造装置であって、
前記光学系は、1軸走査するスキャニング光学系と集光光学系とを有することを特徴とするステント製造装置である。
前記光学系は、1軸走査するスキャニング光学系と集光光学系とを有することを特徴とするステント製造装置である。
また本発明によれば、管状体の被加工物の全面に規則的に配列されたパターン孔が形成されているステントであって、
前記パターン孔の製造は、上記のいずれかに記載のステントの製造方法により製造されていることを特徴とするステントである。
前記パターン孔の製造は、上記のいずれかに記載のステントの製造方法により製造されていることを特徴とするステントである。
本発明によれば、血管等に損傷を与える恐れのない、安全性の高いステントを生産効率よく製造することができる。
本発明は、レーザ発振器から出力されたパルスあたりのエネルギを小さく、被加工物に間欠的に繰り返して照射することにより、熱影響を抑え化学処理が不要なステントの製造方法をレーザ加工により実現した。
図1は、本発明のステントの製造方法およびその製造装置により製造したステントの一例の外観図である。
血管等の狭窄の治療に使用するステント1は、長円形のストラット2が相互に連結された状態で、全体が円筒面に沿って配置されて、ほぼ円筒状に形成されている。また、狭窄した血管等の内部に挿入し展開(膨らませる)するため,各長円形のストラット2は拡径可能に形成されている。また、展開した際等に血管等の損傷を避けるように、適当な強度や構造についてストラット2の角の処理等が施されている。特に、両端面部3a、3bは、丸め加工が施されており、端面部3a、3bによる血管等の内壁へ損傷を与えることを防止するようにされている。なお、ストラット2は、長円形に限らず、様々な形状を形成することが可能である。
ステント1の材質は、特に限定されないが、例えば、ステンレス、タンタル、チタン、白金、金、タングステンあるいは形状記憶合金等からなる金属が好ましい。
次に、本発明を実施するための最良の形態によるステントの製造方法およびその製造装置の実施例について説明する。
図2は、ステント製造装置であるレーザ加工装置の要部模式図である。チタン・サファイアを用いたレーザ発振器11の光軸上の前方には、光学系を形成するX軸スキャナ12とY軸スキャナ13が設けられている。さらにその前方にはF−θレンズ14が設けられ、その前方には、被加工物Wを把持して所定方向に移動させるワーク保持部15が配置されている。このワーク保持部15は、矢印A方向と矢印B方向に移動自在に形成されている。また、X軸スキャナ12とY軸スキャナ3は共に、サーボモータを具備したガルバノミラー16、17にミラー16a、17bが取付けられている。なお、全体は図示しない制御部によって制御されている。
被加工物の加工に際しては、ワーク保持部15の動作と同期して、ガルバノミラー16、17でレーザ光を図示しないスキャナドライバからの信号により指定形状に沿って走査し、パターン等の任意形状を被加工物Wの表面にレーザ光を照射する。
レーザ光の照射は、ピコ秒以下のパルス幅を持つパルスレーザ(以下、フェムト秒レーザという)を用いる。なお、このフェムト秒レーザを、被処理体に照射すると、その照射部分の被処理体中の特に表面部分において、電子と格子との間で、温度またはエネルギーの非平衡状態が実現でき、フォノン(格子振動=熱)を誘起せずに被処理体自身は加熱されず、電子のみを高温に加熱して励起させることができ、る。なお、この非平衡状態では、光エネルギーの全てが電子に与えられていると考えられている。
上述のステント製造装置を用いた、ステント1の製造方法について説明する。なお、以下の説明の名称と符号は図1および図2を援用している。
まず、ステント製造装置のワーク保持部15に、例えば、1.3mm×1.5mmの内外径を有する管状体の被加工物Wを装着する。制御部からの制御信号により、ワーク保持部15を矢印A方向および矢印B方向に作動させて被加工物Wを移動させながら、被加工物Wに対してレーザ発振器11から発振されたパルス(フェムト秒レーザ)レーザ光を照射し、予め定められているプログラムに従い長円状のパターンを順次形成してパターンの内部を被加工物Wから離脱させ、管状体の被加工物Wの全体に長円形が抜け落ちた形状にストラット2が連結したパターンを形成する。この場合、フェムト秒レーザを用いているので、被加工物Wにおいて、照射位置以外への熱の影響は殆ど発生しない。(パターン形成工程)
また、レーザ光の焦点位置は管状体の被加工物Wの加工面側にのみ合わせられているので、レーザ光が加工面側を透過して、管状体の対向面を照射しても、それによって対向面が加工されることはない。また、加工するパターンは、次工程で切断する箇所については、予め、プログラムにより、ストラット2が少し大きくなるように成形している。
また、レーザ光の焦点位置は管状体の被加工物Wの加工面側にのみ合わせられているので、レーザ光が加工面側を透過して、管状体の対向面を照射しても、それによって対向面が加工されることはない。また、加工するパターンは、次工程で切断する箇所については、予め、プログラムにより、ストラット2が少し大きくなるように成形している。
次に、管状体をステント製造装置のワーク保持部15から外して、カッタ(不図示)により長さ30mmに切断してステント1を形成する。この切断による切断面は、図3に二点鎖線Cで示したように、径方向に直線状に切断されており、切断面は切断部4(端面部3a、3b)が形成されている。したがって、このままの状態であると切断部4には切断による角が残ったままの状態であるので、その角により血管等の内壁の損傷を与える恐れがある。(切断工程)
次に、切断部4(端面部3a、3b)が切断された状態のままのステント1を、ステント製造装置のワーク保持部15に片持ち支持で保持させる。ワーク保持部15を矢印B方向に作動させて被加工物Wを回転させながら、被加工物Wに対してレーザ発振器11から発振されたパルス(フェムト秒レーザ)レーザ光をステント1の端面部3a、3bに照射する。この照射により端面部3a、3bは溶融する。しかも、端面部3a、3bは予め他の部分よりも少し大きめに成形されているので、溶融部が表面張力によって、端面部3a、3bの角が丸み形状になる。この場合、レーザ照射のエネルギーは、端面部3a、3bが溶け落ちない(表面張力で保持)程度のレベルに設定されてある。それにより、溶融部分を表面張力により角の部分に丸みを持たせている。
次に、切断部4(端面部3a、3b)が切断された状態のままのステント1を、ステント製造装置のワーク保持部15に片持ち支持で保持させる。ワーク保持部15を矢印B方向に作動させて被加工物Wを回転させながら、被加工物Wに対してレーザ発振器11から発振されたパルス(フェムト秒レーザ)レーザ光をステント1の端面部3a、3bに照射する。この照射により端面部3a、3bは溶融する。しかも、端面部3a、3bは予め他の部分よりも少し大きめに成形されているので、溶融部が表面張力によって、端面部3a、3bの角が丸み形状になる。この場合、レーザ照射のエネルギーは、端面部3a、3bが溶け落ちない(表面張力で保持)程度のレベルに設定されてある。それにより、溶融部分を表面張力により角の部分に丸みを持たせている。
なお、丸み形状の形成には、ワーク保持部15を移動させること等により、レーザ光の照射方向を選択することにより、ステント1の表面側あるいは内面側のそれぞれに形成が可能であり、ステント1の用途に合わせて丸み形状5を形成させることができる。
さらに、ステント1のもう一方の端面部3b(3a)を加工する場合は、丸み形状5に加工処理された端面部3a(3b)側を、ワーク保持部15に片持ち支持で保持させ、上述の同様の工程を繰り返せばよい。(丸み加工工程)
次に、端面部に丸み加工されたステント1を化学研磨液に浸漬し、ストラット2の断面の角を徐々に溶解し、ストラット2の断面が前記略円形となるように研磨する。それにより、ストラット2に角のないステント1を製作することができる。(化学研磨工程)
なお、使用する化学研磨液は金属材料に応じて適宜選択することができる。なお、化学研磨終了後のステント1に、ウレタン等の高分子材料やヘパリン、ウロキナーザ等の生理活性物質、あるいは、アルガトロパン等の抗血栓薬剤を被覆させて用いることもできる。
次に、端面部に丸み加工されたステント1を化学研磨液に浸漬し、ストラット2の断面の角を徐々に溶解し、ストラット2の断面が前記略円形となるように研磨する。それにより、ストラット2に角のないステント1を製作することができる。(化学研磨工程)
なお、使用する化学研磨液は金属材料に応じて適宜選択することができる。なお、化学研磨終了後のステント1に、ウレタン等の高分子材料やヘパリン、ウロキナーザ等の生理活性物質、あるいは、アルガトロパン等の抗血栓薬剤を被覆させて用いることもできる。
なお上述の実施の形態では、ステント1のパターンをレーザ光による描画によりおこなったが、ステントのパターン形成は、円筒体に対してエッチング加工を施すことによっても形成することもできる。
以上に説明したように、上述の実施例によれば、血管等の狭窄の治療に使用するステントの製造の際に、ステントの両端部分にレーザ加工を施すことにより両端部の角の部分を、溶融して表面張力を利用しながら凝固させることにより丸みを持たせた。それにより、機械的な折り曲げに比べて、端面部の角の形状がより丸く成形することができ、また、折り曲げ部分の破断や強度低下の恐れもない。それにより、安全性の高いステントを製造することができる。
また、端面部の角の形状の加工は、レーザ光の照射方向によりステントの表面側あるいは内面側それぞれに形成が可能であり、構成用途に合わせて丸みを形成させることができる。また、レーザはチタン・サファイア以外のレーザを用いてもよい。
それらのステントは、患者の血管等の患部に挿入され、バルーンカテーテルの拡張部の膨張により、半径方向に拡張されて、血管等の壁の内側と接してこれを支持する。バルーンカテーテルは、続いて収縮され、ステントを適所に残して血管等から取り外される。ステントの端面部は、角がなく丸く成形されているので、ステントのいずれの端によって、ステントがうえ込まれる血管等を損傷させる恐れはない。
図4は、ステント製造装置であるレーザ加工装置の要部模式図である。発振波長が800nm前後で超短パルスレーザ光であり、出力は0.1〜1W、繰り返しは1kHzで、パルス幅は150fsであるチタン・サファイアを用いたレーザ発振器11aの光軸上の前方には、光学系21を形成するスキャニングミラー22と集光光学系23が配置されて回転ステージ24に固定されている被加工物W(薄肉パイプ)の加工面に対向している。
スキャニングミラー22は、ガルバノ方式の1軸のスキャニングミラー22で、回転ステージ24の動きと同期して矢印A方向への往復運動をミラー駆動装置(不図示)により行い、それによりレーザビームは偏向される。
集光光学系23は焦点距離60mmのスキャニングレンズで、複数枚のレンズ群で構成して色収差の対策を講じている。それにより、レーザビームの単波長領域をよりシャープな波形に整形して、その波長は狭帯域化された単一縦モードとなっている。
回転ステージ24は、被加工物Wを固定して保持するチャック機構25を有し、駆動装置(不図示)により加工の際には矢印B方向のいずれかの方向に回転する。それにより、チャック機構25に固定されている被加工物Wも同様に回転する。なお、全体は図示しない制御部によって制御されている。また、薄肉パイプは、一例を挙げれば、肉厚が50〜200μmのステンレス製のパイプで、直径はφ0.5〜5mm程度である。
これらの構成により、レーザ発振器11から出光したレーザビームは、フェムト秒領域(〜10-13秒)のパルス幅の超短パルスレーザ光を繰返し照射する。フェムト秒レーザ光のパルス幅は電子から格子系へのエネルギーの移動時間よりも短いので、パルス光が照射中に照射領域外に拡散しない。このため、照射領域を効率良く加熱することができ、周囲への熱損傷の抑制が可能になっている。
また、フェムト秒レーザ光の照射による動作は、パルスレーザ光はエネルギー密度の小さいレーザ光が得られているから、1光子分吸収過程が行われており、パルス幅が長い(時間が長い)ことから熱拡散が行われる。そして、繰返しの予熱加熱により多光子吸収過程が起きやすい状態になっているときに、繰返しによりフェムト秒レーザ光が照射されると、そのパルス幅が短いことから結果的にエネルギー密度の大きいレーザ光が照射されて多光子吸収過程が起き、エネルギーがバンドギャップを超えて分子が分離する。このようにして被加工物Wのアブレーション加工が、熱反応よらず、光・化学反応によりなされるので、加工周囲への熱損傷の抑制ができ、高精度な微細加工が可能になる。
レーザ発振器11から出光したレーザビームは、光学系により速度20mm/secで走査され、被加工物Wに対して同一個所を20〜30回の繰返しパスで加工する。それにより、被加工物Wへ照射するレーザビームのパルス当たりのエネルギーを小さくし、かつ、繰返し同一個所を重畳して間歇的に照射することにより、被加工物Wへの熱影響を抑えることができ、平滑性の優れた孔あけ加工をおこなうことができる。その結果、孔あけ加工後に、化学処理が不要なステントの加工が可能になる。
図5(a)および(b)に示すテストピースの切断面の模式図により、孔あけの際の従来の1パスの加工法による切断面と、この実施例で説明したマルチ・パスと加工法による切断面について説明する。図5(a)は、従来の1パスの加工法によるテストピース30の切断面である。この場合、被加工物Wを載置したテーブル(不図示)を0.02mm/secで走査させて、レーザビームにより1パスの加工をおこなった。切断面への熱影響が大きく、切断面に顕微鏡観察では、全周にわたって20μm程度のばり26の発生が見られる。
一方、図5(b)は、テストピース30を載置したテーブル(不図示)を20mm/secで走査させて、レーザビームによりマルチ・パスの加工をおこなった。切断面への熱影響が小さいため、切断面には顕微鏡観察では殆ど見られず、ごく少数の5μm以下のばり(不図示)の発生が見られる程度であり、略平滑な切断面が得られている。
すねわち、レーザビームをテーブルで送りながら1パスで切断しようとすると、掃引速度が遅くなるため熱が蓄積し、切断部に熱影響が残る。
それに対して、スキャナ光学系を用い掃引速度を高速にし、マルチ・パスで切断すること、切断個所に熱が蓄積しにくくなり、滑らかな切断部が得られる。さらに、レーザのパルス幅を1ps以下にすると1パルスあたりのエネルギーが0.1〜1mjでもピーク出カが0.1〜1GWに達し、溶融部のほとんどないアブレーション加工ができる。通常レーザ加工時の溶融部がばりとなり、血管挿入時に血管を傷つけるもとになる。すなわち、マルチ・パスで切断すれば、ばりの発生を低レベルに抑止することができるので、結果として、化学エッチングによる後処理が不要になる。
なお、被加工物Wへの孔あけ加工以外の加工工程は、上述の実施例1と同様であるので重複説明を避けるため、その説明を省略する。
以上に説明したように、実施例2によれば、被加工物Wへ照射するレーザビームのパルス当たりのエネルギーを小さくし、かつ、繰返しにより間歇的に照射することにより、被加工物Wへの熱影響を抑えることができ、平滑性の優れた孔あけ加工をおこなうことができる。その結果、孔あけ加工後に、化学処理が不要なステントの加工が可能になる。
また、それに加えて、実施例1と同様な効果を奏することができる。
上述の各実施例で製造されたステントは、生産効率よく血管等に損傷を与える恐れのない、安全性が高い。
1…ステント、2…ストラット、3a、3b…端面部、4…切断部、5…丸み形状、11、11a…レーザ発振器、12…X軸スキャナ、13…Y軸スキャナ、14…F−θレンズ、15…ワーク保持部、16、17…ガルバノミラー、21…光学系、22…スキャニングミラー、23…集光光学系、24…回転テーブル、26…ばり
Claims (10)
- 管状体の被加工物の全面に規則的に配列されたパターン孔を形成するパターン形成工程と、
前記パターン孔が形成された前記被加工物を軸方向に所定の長さのステントに切断する切断工程と、
前記ステントの端面部にレーザ光を照射して溶融させて、該端面部の角に丸み形状を形成させる丸み加工工程と、
前記端面部の角に丸み形状が形成された該ステントを、化学研磨する化学研磨工程と
を有することを特徴とするステントの製造方法。 - 前記ステントの端面に照射する前記レーザ光は、チタン・サファイアレーザ発振器から発振されたフェムト秒レーザを用いていることを特徴とする請求項1記載のステントの製造方法。
- 前記被加工物の全面に規則的に配列されたパターン孔の形成は、チタン・サファイアレーザ発振器から発振されたフェムト秒レーザを用いていることを特徴とする請求項1記載のステントの製造方法。
- 前記被加工物を軸方向に所定の長さのステントにするための切断は、カッタによりおこなっていることを特徴とする請求項1記載のステントの製造方法。
- 少なくとも、管状体の被加工物の全面に規則的に配列されたパターン孔を形成するパターン形成工程と、前記パターン孔が形成された前記被加工物を軸方向に所定の長さのステントに切断する切断工程とを有するステントの製造方法であって、
前記パターン形成工程は、被加工物の同一個所に対して超短パルスレーザ光を繰返し重畳して照射していることを特徴とするステントの製造方法。 - 前記超短パルスレーザ光を繰返し重畳は、波長0.85μm以下でパルス幅1ps以下のレーザパルスを用い、速度10mm/sec以上の速度で複数回の重畳照射していることを特徴とする
請求項5記載のステントの製造方法。 - レーザ発振器と、このレーザ発振器の光軸上の前方に順次一対のガルバノミラーとF−θレンズとを配置した光学系を具えたステント製造装置であって、
前記F−θレンズの光軸上の前方にはステントを保持し、回転自在でかつ該ステントの軸方向に移動自在なワーク保持部が配置されていることを特徴とするステント製造装置。 - 前記レーザ発振器は、チタン・サファイアレーザ発振器からフェムト秒レーザを発振することを特徴とする請求項7記載のステント製造装置。
- レーザ発振器と、このレーザ発振器の光軸上の前方に光学系を具え、かつ、この光学系の集光位置に被加工物を固定して回転させる回転ステージが設けられているステント製造装置であって、
前記光学系は、1軸走査するスキャニング光学系と集光光学系とを有することを特徴とするステント製造装置。 - 管状体の被加工物の全面に規則的に配列されたパターン孔が形成されているステントであって、
前記パターン孔の製造は、請求項5または6のいずれかに記載のステントの製造方法により製造されていることを特徴とするステント。
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