ところで、このような遊星歯車式多段変速機では、簡単に構成され且つ小型であって、変速段のより多段化および変速比幅を大きくとり得るものであるだけでなく、切り換えられる変速比ステップが等比またはそれに近い形で変化させられることが望まれる。上記特許文献1に記載の自動変速機は変速比ステップが使い勝手がよい設定での多段化になっていないという問題があった。たとえば、特許文献1の図5に示されているように第6変速段と第7変速段との変速比ステップは1.050と小さく、変速比ステップの並びも大小様々である。また、これら課題に対して、遊星歯車の数を増やすことが考えられるが、その分全長が長くなって車両搭載性が低下したり、遊星歯車装置を構成する要素を結合するための係合要素も増加する可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、変速比幅を大きくとることができ且つ変速比ステップも適切な前進7速以上が可能な小型の車両用遊星歯車式多段変速機を提供することにある。
かかる目的を達成する第1発明は、(a)複数の遊星歯車装置を備え、入力回転部材の回転を変速して出力回転部材から出力する形式の車両用遊星歯車式多段変速機であって、(b)第1中間出力経路、およびその第1中間出力経路に対して増速回転させられる第2中間出力経路の2つの中間出力経路を備え、前記入力回転部材の回転をその2つの中間出力経路のいずれか少なくとも一方を介して出力する第1変速部と、(c)第3遊星歯車装置および第4遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、およびリングギヤの一部が互いに連結されることによって4つの回転要素が構成されるとともに、その4つの回転要素の回転速度を直線上で表すことができる共線図上においてその4つの回転要素を一端から他端へ向かって順番に第5回転要素、第6回転要素、第7回転要素、および第8回転要素としたとき、その第5回転要素は第1クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結され、その第6回転要素は第2クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結され、その第7回転要素は前記出力回転部材に連結され、その第8回転要素は第4クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結される第2変速部とを、備えている一方、(d)前記クラッチおよびブレーキの係合、解放状態を選択的に切り換えることにより複数の変速段が成立させられることを特徴とする。なお、上記遊星歯車装置、クラッチ、ブレーキを修飾する数字は単なる識別のための数字であり、固有のものではない。以下の発明においても同様である。
また、前記目的を達成する第2発明は、第1発明において、前記第1クラッチ乃至第4クラッチおよび第3ブレーキの係合、解放状態を選択的に切り換えることにより少なくとも前進7速の変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第3発明は、第2発明において、前記第1クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって最も大きい変速比の第1変速段が成立させられ、前記第3クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって前記第1変速段よりも変速比が小さい第2変速段が成立させられ、前記第2クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって前記第2変速段よりも変速比が小さい第3変速段が成立させられ、前記第2クラッチおよび前記第3クラッチが係合させられることによって前記第3変速段よりも変速比が小さい第4変速段が成立させられ、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチが係合させられることによって前記第4変速段よりも変速比が小さい第5変速段が成立させられ、前記第2クラッチおよび前記第4クラッチが係合させられることによって前記第5変速段よりも変速比が小さい第6変速段が成立させられ、前記第3クラッチおよび前記第4クラッチが係合させられることによって前記第6変速段よりも変速比が小さい第7変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第4発明は、(a)複数の遊星歯車装置を備え、入力回転部材の回転を変速して出力回転部材から出力する形式の車両用遊星歯車式多段変速機であって、(b)第1遊星歯車装置および第2遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、およびリングギヤの一部が互いに連結されることによって4つの回転要素が構成されるとともに、その4つの回転要素の回転速度を直線上で表すことができる共線図上においてその4つの回転要素を一端から他端へ向かって順番に第1回転要素、第2回転要素、第3回転要素、および第4回転要素としたとき、その第1回転要素は第1ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、その第2回転要素は第2ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、その第3回転要素は前記入力回転部材および第1中間出力経路に連結され、その第4回転要素は第2中間出力経路に連結される第1変速部と、(c)第3遊星歯車装置および第4遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、およびリングギヤの一部が互いに連結されることによって4つの回転要素が構成されるとともに、その4つの回転要素の回転速度を直線上で表すことができる共線図上においてその4つの回転要素を一端から他端へ向かって順番に第5回転要素、第6回転要素、第7回転要素、および第8回転要素としたとき、その第5回転要素は第1クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結され、その第6回転要素は第2クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結され、その第7回転要素は前記出力回転部材に連結され、その第8回転要素は第4クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結される第2変速部とを、備えている一方、(d)前記クラッチおよびブレーキの係合、解放状態を選択的に切り換えることにより前進8速の変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第5発明は、第4発明において、前記第1クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって最も大きい変速比の第1変速段が成立させられ、前記第3クラッチ、前記第1ブレーキおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって前記第1変速段よりも変速比が小さい第2変速段が成立させられ、前記第2クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって前記第2変速段よりも変速比が小さい第3変速段が成立させられ、前記第2クラッチ、前記第3クラッチおよび前記第1ブレーキが係合させられることによって前記第3変速段よりも変速比が小さい第4変速段が成立させられ、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチが係合させられることによって前記第4変速段よりも変速比が小さい第5変速段が成立させられ、前記第2クラッチ、前記第4クラッチおよび前記第1ブレーキが係合させられることによって前記第5変速段よりも変速比が小さい第6変速段が成立させられ、前記第3クラッチ、前記第4クラッチおよび前記第1ブレーキが係合させられることによって前記第6変速段よりも変速比が小さい第7変速段が成立させられ、前記第3クラッチ、第4クラッチおよび前記第2ブレーキが係合させられることによって前記第7変速段よりも変速比が小さい第8速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第6発明は、(a)複数の遊星歯車装置を備え、入力回転部材の回転を変速して出力回転部材から出力する形式の車両用遊星歯車式多段変速機であって、(b)前記入力回転部材の回転を第1中間出力部材から出力する第1中間出力経路と、前記入力回転部材の回転を、増速装置により前記第1中間出力経路に対して増速して出力する第2中間出力経路と、複数の歯車を有し、その複数の歯車のうちの一つが前記増速装置の駆動側回転部材に連結され、入力回転部材の回転を増速してまたは等速にてその増速装置の駆動側回転部材に出力する増速歯車装置とを備えた第1変速部と、前記入力回転部材の回転を第1中間出力部材から出力する第1中間出力経路と、前記入力回転部材の回転を、増速装置により前記第1中間出力経路に対して増速して出力する第2中間出力経路と、第1サンギヤ、第1キャリヤ、第1リングギヤの3つの回転部材を備え、その3つの回転部材のうちの第1の回転部材が増速ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、第2の回転部材が前記増速装置の駆動側回転部材に連結され、その第1の回転部材と第3の回転部材とを選択的に連結する一体化クラッチにより、その第1の回転部材および第3の回転部材とが選択的に一体回転させられる第1遊星歯車装置とを備えた第1変速部と、(c)第3遊星歯車装置および第4遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、およびリングギヤの一部が互いに連結されることによって4つの回転要素が構成されるとともに、その4つの回転要素の回転速度を直線上で表すことができる共線図上においてその4つの回転要素を一端から他端へ向かって順番に第5回転要素、第6回転要素、第7回転要素、および第8回転要素としたとき、その第5回転要素は第1クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結され、その第6回転要素は第2クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結され、その第7回転要素は前記出力回転部材に連結され、その第8回転要素は第4クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結される第2変速部とを、備えている一方、(d)前記クラッチおよびブレーキの係合、解放状態を選択的に切り換えることにより前進8速の変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第7発明は、第6発明において、前記増速歯車装置は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、第1リングギヤの3つの回転部材を備え、その3つの回転部材のうちの第1の回転部材が増速ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、第2の回転部材が前記増速装置の駆動側回転部材に連結され、その第1の回転部材と第3の回転部材とを選択的に連結する一体化クラッチにより、その第1の回転部材および第3の回転部材とが選択的に一体回転させられる第1遊星歯車装置であることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第8発明は、第6発明または第7発明において、前記第1クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって最も大きい変速比の第1変速段が成立させられ、前記一体化クラッチ、第3クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって前記第1変速段よりも変速比が小さい第2変速段が成立させられ、前記第2クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって前記第2変速段よりも変速比が小さい第3変速段が成立させられ、前記一体化クラッチ、第2クラッチおよび前記第3クラッチが係合させられることによって前記第3変速段よりも変速比が小さい第4変速段が成立させられ、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチが係合させられることによって前記第4変速段よりも変速比が小さい第5変速段が成立させられ、前記一体化クラッチ、第2クラッチおよび前記第4クラッチが係合させられることによって前記第5変速段よりも変速比が小さい第6変速段が成立させられ、前記一体化クラッチ、第3クラッチおよび前記第4クラッチが係合させられることによって前記第6変速段よりも変速比が小さい第7変速段が成立させられ、前記第3クラッチ、第4クラッチおよび前記増速ブレーキが係合させられることによって前記第7変速段よりも変速比が小さい第8速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第9発明は、第1発明乃至第5発明のいずれかにおいて、前記第1変速部と前記第2変速部とが直列に配置され、前記第2変速部は、前記第3遊星歯車装置および第4遊星歯車装置が同心に配設されるとともに、その第3遊星歯車装置は、第3サンギヤ、第3キャリヤ、および第3リングギヤを備え、その第3キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型遊星歯車装置であり、その第4遊星歯車装置は、第4サンギヤ、第4キャリヤ、第4リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、前記第5回転要素はその第3サンギヤおよびその第4サンギヤであり、前記第6回転要素はその第3リングギヤおよびその第4キャリヤであり、前記第7回転要素はその第4リングギヤであり、前記第8回転要素はその第3キャリヤであることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第10発明は、第9発明において、前記第1変速部は、前記第1遊星歯車装置および第2遊星歯車装置が同心に配設されるとともに、その第1遊星歯車装置は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、および第1リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、その第2遊星歯車装置は、第2サンギヤ、第2キャリヤ、第2リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、前記第1回転要素はその第1リングギヤおよびその第2サンギヤであり、前記第2回転要素はその第1キャリヤであり、前記第3回転要素はその第1サンギヤおよびその第2キャリヤであり、前記第4回転要素はその第2リングギヤであることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第11発明は、第9発明において、前記第1変速部は、前記第1遊星歯車装置および第2遊星歯車装置が同心に配設されるとともに、その第1遊星歯車装置は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、および第1リングギヤを備え、その第1キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型遊星歯車装置であり、その第2遊星歯車装置は、第2サンギヤ、第2キャリヤ、第2リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、前記第1回転要素はその第1サンギヤおよびその第2リングギヤであり、前記第2回転要素はその第2キャリヤであり、前記第3回転要素はその第1リングギヤおよびその第2サンギヤであり、前記第4回転要素はその第1キャリヤであることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第12発明は、第9発明において、前記第1変速部は、前記第1遊星歯車装置および第2遊星歯車装置が同心に配設されるとともに、その第1遊星歯車装置は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、および第1リングギヤを備え、その第1キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型遊星歯車装置であり、その第2遊星歯車装置は、第2サンギヤ、第2キャリヤ、第2リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、前記第1回転要素はその第1キャリヤおよびその第2サンギヤであり、前記第2回転要素はその第1リングギヤであり、前記第3回転要素はその第1サンギヤおよびその第2キャリヤであり、前記第4回転要素はその第2リングギヤであることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第13発明は、第9発明において、前記第1変速部は、前記第1遊星歯車装置および第2遊星歯車装置が同心に配設されるとともに、その第1遊星歯車装置は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、および第1リングギヤを備え、その第1キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型遊星歯車装置であり、その第2遊星歯車装置は、第2サンギヤ、第2キャリヤ、第2リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、前記第1回転要素はその第1サンギヤおよびその第2リングギヤであり、前記第2回転要素はその第2キャリヤであり、前記第3回転要素はその第1リングギヤであり、前記第4回転要素はその第1キャリヤおよび第2サンギヤであることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第14発明は、第9発明において、前記第1変速部は、前記第1遊星歯車装置および第2遊星歯車装置が同心に配設されるとともに、その第1遊星歯車装置は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、および第1リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、その第2遊星歯車装置は、第2サンギヤ、第2キャリヤ、第2リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、前記第1回転要素はその第1サンギヤおよびその第2リングギヤであり、前記第2回転要素はその第2キャリヤであり、前記第3回転要素はその第1キャリヤであり、前記第4回転要素はその第1リングギヤおよび第2サンギヤであることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第15発明は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、前記入力回転部材に連結された第1軸、およびその第1軸に平行な第2軸を有し、前記第1変速部は、その第1軸上に設けられた駆動側回転部材と、その第2軸上に設けられ、その駆動側回転部材により回転させられる被駆動側回転部材とを有する増速装置を備え、前記第2変速部はその第2軸上に配置されていることを特徴とする。
また、前記目的を達成するための第16発明は、第6発明乃至第8発明のいずれかにおいて、前記入力回転部材に連結された第1軸、およびその第1軸に平行な第2軸を有し、前記第1変速部の増速装置は、その第1軸上に設けられた駆動側回転部材と、その第2軸上に設けられ、その駆動側回転部材により回転させられる被駆動側回転部材とを有し、前記第1変速部の増速歯車装置はその第1軸上に配置され、前記第2変速部はその第2軸上に配置されていることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第17発明は、第15発明または第16発明において、前記第2変速部は、前記第3遊星歯車装置および第4遊星歯車装置が同心に配設されるとともに、その第3遊星歯車装置は、第3サンギヤ、第3キャリヤ、および第3リングギヤを備え、その第3キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型遊星歯車装置であり、その第4遊星歯車装置は、第4サンギヤ、第4キャリヤ、第4リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、前記第5回転要素はその第3サンギヤおよびその第4サンギヤであり、前記第6回転要素はその第3リングギヤおよびその第4キャリヤであり、前記第7回転要素はその第4リングギヤであり、前記第8回転要素はその第3キャリヤであることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第18発明は、第15発明または第16発明において、前記第2変速部は、前記第3遊星歯車装置および第4遊星歯車装置が同心に配設されるとともに、その第3遊星歯車装置は、第3サンギヤ、第3キャリヤ、および第3リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、その第4遊星歯車装置は、第4サンギヤ、第4キャリヤ、第4リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、前記第5回転要素はその第3サンギヤおよびその第4サンギヤであり、前記第6回転要素はその第4キャリヤであり、前記第7回転要素はその第3キャリヤおよび第4リングギヤであり、前記第8回転要素はその第3リングギヤであることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第19発明は、第15発明または第16発明において、前記第2変速部は、前記第3遊星歯車装置および第4遊星歯車装置が同心に配設されるとともに、その第3遊星歯車装置は、第3サンギヤ、第3キャリヤ、および第3リングギヤを備え、その第3キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型遊星歯車装置であり、その第4遊星歯車装置は、第4サンギヤ、第4キャリヤ、第4リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、前記第5回転要素はその第3キャリヤおよびその第4サンギヤであり、前記第6回転要素はその第3リングギヤおよびその第4キャリヤであり、前記第7回転要素はその第4リングギヤであり、前記第8回転要素はその第3サンギヤであることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第20発明は、第15発明または第16発明において、前記第2変速部は、前記第3遊星歯車装置および第4遊星歯車装置が同心に配設されるとともに、その第3遊星歯車装置は、第3サンギヤ、第3キャリヤ、および第3リングギヤを備え、その第3キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型遊星歯車装置であり、その第4遊星歯車装置は、第4サンギヤ、第4キャリヤ、第4リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、前記第5回転要素はその第4サンギヤであり、前記第6回転要素はその第3キャリヤおよびその第4キャリヤであり、前記第7回転要素はその第3リングギヤおよびその第4リングギヤであり、前記第8回転要素はその第3サンギヤであることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第21発明は、第20発明において、前記第3キャリヤと前記第4キャリヤおよび前記第3リングギヤと前記第4リングギヤとはそれぞれ共通の部材で構成されるとともに、前記第4遊星歯車装置の遊星歯車が前記第3遊星歯車装置の互いに噛み合う一対の遊星歯車のいずれか1つを兼ねていることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第22発明は、第15発明または第16発明において、前記第2変速部は、前記第3遊星歯車装置および第4遊星歯車装置が同心に配設されるとともに、その第3遊星歯車装置は、第3サンギヤ、第3キャリヤ、および第3リングギヤを備え、その第3キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型遊星歯車装置であり、その第4遊星歯車装置は、第4サンギヤ、第4キャリヤ、第4リングギヤを備えたシングルピニオン型遊星歯車装置であり、前記第5回転要素はその第3キャリヤおよび第4サンギヤであり、前記第6回転要素はその第3リングギヤであり、前記第7回転要素はその第4キャリヤであり、前記第8回転要素はその第3サンギヤおよび第4リングギヤであることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第23発明は、第1発明乃至第22発明のいずれかにおいて、前記第6回転要素は、第4ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結されており、その第4ブレーキおよび前記第1クラッチが係合させられることにより、後進変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第24発明は、(a)複数の遊星歯車装置を備え、入力回転部材の回転を変速して出力回転部材から出力する形式の車両用遊星歯車式多段変速機であって、(b)第1中間出力経路、およびその第1中間出力経路に対して増速回転させられる第2中間出力経路の2つの中間出力経路を備え、前記入力回転部材の回転をその2つの中間出力経路のいずれか少なくとも一方を介して出力する第1変速部と、(c)第3サンギヤ、第3キャリヤ、および第3リングギヤを備え、その第3キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型の第3遊星歯車装置と、第4サンギヤ、第4キャリヤ、第4リングギヤを備えたシングルピニオン型の第4遊星歯車装置とを含み、その第3サンギヤおよびその第4サンギヤは第1クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結され、その第3リングギヤおよびその第4キャリヤは第2クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結され、その第4リングギヤは前記出力回転部材に連結され、その第3キャリヤは第4クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結される第2変速部とを、備えている一方、(d)前記クラッチおよびブレーキの係合、解放状態を選択的に切り換えることにより複数の変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第25発明は、第24発明において、前記第1変速部は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、および第1リングギヤを備えたシングルピニオン型の第1遊星歯車装置と、第2サンギヤ、第2キャリヤ、第2リングギヤを備えたシングルピニオン型の第2遊星歯車装置とを含み、その第1リングギヤおよびその第2サンギヤは第1ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、その第1キャリヤは第2ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、その第1サンギヤおよびその第2キャリヤは前記入力回転部材および第1中間出力経路に連結され、その第2リングギヤは第2中間出力経路に連結されていることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第26発明は、第24発明において、前記第1変速部は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、および第1リングギヤを備え、その第1キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型の第1遊星歯車装置と、第2サンギヤ、第2キャリヤ、第2リングギヤを備えたシングルピニオン型の第2遊星歯車装置とを含み、その第1サンギヤおよびその第2リングギヤは第1ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、その第2キャリヤは第2ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、その第1リングギヤおよびその第2サンギヤは前記入力回転部材および第1中間出力経路に連結され、その第1キャリヤは第2中間出力経路に連結されていることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第27発明は、第24発明において、前記第1変速部は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、および第1リングギヤを備え、その第1キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型の第1遊星歯車装置と、第2サンギヤ、第2キャリヤ、第2リングギヤを備えたシングルピニオン型の第2遊星歯車装置とを含み、その第1キャリヤおよびその第2サンギヤは第1ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、その第1リングギヤは第2ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、その第1サンギヤおよびその第2キャリヤは前記入力回転部材および第1中間出力経路に連結され、その第2リングギヤは第2中間出力経路に連結されていることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第28発明は、第24発明において、前記第1変速部は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、および第1リングギヤを備え、その第1キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型の第1遊星歯車装置と、第2サンギヤ、第2キャリヤ、第2リングギヤを備えたシングルピニオン型の第2遊星歯車装置とを含み、その第1サンギヤおよびその第2リングギヤは第1ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、その第2キャリヤは第2ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、その第1リングギヤは前記入力回転部材および第1中間出力経路に連結され、その第1キャリヤおよび第2サンギヤは第2中間出力経路に連結されていることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第29発明は、第24発明において、前記第1変速部は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、および第1リングギヤを備えたシングルピニオン型の第1遊星歯車装置と、第2サンギヤ、第2キャリヤ、第2リングギヤを備えたシングルピニオン型の第2遊星歯車装置とを含み、その第1サンギヤおよびその第2リングギヤは第1ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、その第2キャリヤは第2ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、その第1キャリヤは前記入力回転部材および第1中間出力経路に連結され、その第1リングギヤおよび第2サンギヤは第2中間出力経路に連結されていることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第30発明は、第24発明乃至第29発明のいずれかにおいて、前記第1クラッチ乃至第4クラッチおよび第1ブレーキ乃至第3ブレーキの係合、解放状態を選択的に切り換えることにより少なくとも前進7速の変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第31発明は、第25発明乃至第30発明のいずれかにおいて、前記第1クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって最も大きい変速比の第1変速段が成立させられ、前記第3クラッチ、前記第1ブレーキおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって前記第1変速段よりも変速比が小さい第2変速段が成立させられ、前記第2クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって前記第2変速段よりも変速比が小さい第3変速段が成立させられ、前記第2クラッチ、前記第3クラッチおよび前記第1ブレーキが係合させられることによって前記第3変速段よりも変速比が小さい第4変速段が成立させられ、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチが係合させられることによって前記第4変速段よりも変速比が小さい第5変速段が成立させられ、前記第2クラッチ、前記第4クラッチおよび前記第1ブレーキが係合させられることによって前記第5変速段よりも変速比が小さい第6変速段が成立させられ、前記第3クラッチ、前記第4クラッチおよび前記第1ブレーキが係合させられることによって前記第6変速段よりも変速比が小さい第7変速段が成立させられ、前記第3クラッチ、第4クラッチおよび前記第2ブレーキが係合させられることによって前記第7変速段よりも変速比が小さい第8速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第32発明は、第24発明乃至第31発明のいずれかにおいて、前記第3リングギヤおよび第4キャリヤは、第4ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結されており、その第4ブレーキおよび前記第1クラッチが係合させられることにより、後進変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第33発明は、(a)複数の遊星歯車装置を備え、入力回転部材の回転を変速して出力回転部材から出力する形式の車両用遊星歯車式多段変速機であって、(b)前記入力回転部材に連結された第1軸と、(c)その第1軸に平行な第2軸と、(d-1)前記入力回転部材の回転を第1中間出力部材から出力する第1中間出力経路と、(d-2)その第1軸上に設けられた駆動側回転部材、およびその第2軸上に設けられその駆動側回転部材により回転させられる被駆動側回転部材を有し、前記入力回転部材の回転を増速する増速装置と、(d-3)その増速装置により前記第1中間出力経路に対して増速して出力する第2中間出力経路と、(d-4)複数の歯車を有し、その複数の歯車のうちの一つが前記増速装置の駆動側回転部材に連結され、入力回転部材の回転を増速してまたは等速にてその増速装置の駆動側回転部材に出力する増速歯車装置とを備えた第1変速部と、(e)第3サンギヤ、第3キャリヤ、および第3リングギヤを備え、その第3キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型の第3遊星歯車装置と、第4サンギヤ、第4キャリヤ、第4リングギヤを備えたシングルピニオン型の第4遊星歯車装置とを含み、その第3サンギヤおよびその第4サンギヤは第1クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結され、その第3リングギヤおよびその第4キャリヤは第2クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結され、その第4リングギヤは前記出力回転部材に連結され、その第3キャリヤは第4クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結される第2変速部とを、備えている一方、(f)前記クラッチおよびブレーキの係合、解放状態を選択的に切り換えることにより複数の変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第34発明は、第33発明において、前記増速歯車装置は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、第1リングギヤの3つの回転部材を備え、その3つの回転部材のうちの第1の回転部材が増速ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、第2の回転部材が前記増速装置の駆動側回転部材に連結され、その第1の回転部材と第3の回転部材とを選択的に連結する一体化クラッチにより、その第1の回転部材および第3の回転部材とが選択的に一体回転させられる第1遊星歯車装置であることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第35発明は、第33発明または第34発明において、前記第3リングギヤおよび第4キャリヤは、第4ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結されており、その第4ブレーキおよび前記第1クラッチが係合させられることにより、後進変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第36発明は、(a)複数の遊星歯車装置を備え、入力回転部材の回転を変速して出力回転部材から出力する形式の車両用遊星歯車式多段変速機であって、(b)第1中間出力経路、およびその第1中間出力経路に対して増速回転させられる第2中間出力経路の2つの中間出力経路を備え、前記入力回転部材の回転をその2つの中間出力経路のいずれか少なくとも一方を介して出力する第1変速部と、(c)第3サンギヤ、第3キャリヤ、および第3リングギヤを備えたシングルピニオン型の第3遊星歯車装置と、第4サンギヤ、第4キャリヤ、第4リングギヤを備えたシングルピニオン型の第4遊星歯車装置とを含み、その第3サンギヤおよびその第4サンギヤは第1クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結され、その第4キャリヤは第2クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結され、その第3キャリヤおよび第4リングギヤは前記出力回転部材に連結され、その第3リングギヤは第4クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結される第2変速部とを、備えている一方、(d)前記クラッチおよびブレーキの係合、解放状態を選択的に切り換えることにより複数の変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第37発明は、第36発明において、前記第4キャリヤは、第4ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結されており、その第4ブレーキおよび前記第1クラッチが係合させられることにより、後進変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第38発明は、(a)複数の遊星歯車装置を備え、入力回転部材の回転を変速して出力回転部材から出力する形式の車両用遊星歯車式多段変速機であって、(b)第1中間出力経路、およびその第1中間出力経路に対して増速回転させられる第2中間出力経路の2つの中間出力経路を備え、前記入力回転部材の回転をその2つの中間出力経路のいずれか少なくとも一方を介して出力する第1変速部と、(c)第3サンギヤ、第3キャリヤ、および第3リングギヤを備え、その第3キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型の第3遊星歯車装置と、第4サンギヤ、第4キャリヤ、第4リングギヤを備えたシングルピニオン型の第4遊星歯車装置とを含み、
その第3キャリヤおよびその第4サンギヤは第1クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結され、その第3リングギヤおよびその第4キャリヤは第2クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結され、その第4リングギヤは前記出力回転部材に連結され、その第3サンギヤは第4クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結される第2変速部とを、備えている一方、(d)前記クラッチおよびブレーキの係合、解放状態を選択的に切り換えることにより複数の変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第39発明は、第38発明において、前記第3リングギヤおよび第4キャリヤは、第4ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結されており、その第4ブレーキおよび前記第1クラッチが係合させられることにより、後進変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第40発明は、(a)複数の遊星歯車装置を備え、入力回転部材の回転を変速して出力回転部材から出力する形式の車両用遊星歯車式多段変速機であって、(b)第1中間出力経路、およびその第1中間出力経路に対して増速回転させられる第2中間出力経路の2つの中間出力経路を備え、前記入力回転部材の回転をその2つの中間出力経路のいずれか少なくとも一方を介して出力する第1変速部と、(c)第3サンギヤ、第3キャリヤ、および第3リングギヤを備え、その第3キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型の第3遊星歯車装置と、第4サンギヤ、第4キャリヤ、第4リングギヤを備えたシングルピニオン型の第4遊星歯車装置とを含み、その第4サンギヤは第1クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結され、その第3キャリヤおよびその第4キャリヤは第2クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結され、その第3リングギヤおよび第4リングギヤは前記出力回転部材に連結され、その第3サンギヤは第4クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結される第2変速部とを、備えている一方、(d)前記クラッチおよびブレーキの係合、解放状態を選択的に切り換えることにより複数の変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第41発明は、第40発明において、前記第3キャリヤと前記第4キャリヤおよび前記第3リングギヤと前記第4リングギヤとはそれぞれ共通の部材で構成されるとともに、前記第4遊星歯車装置の遊星歯車が前記第3遊星歯車装置の互いに噛み合う一対の遊星歯車のいずれか1つを兼ねていることを特徴とする.
また、前記目的を達成する第42発明は、第40発明乃至第41発明において、前記第3キャリヤおよび第4キャリヤは、第4ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結されており、その第4ブレーキおよび前記第1クラッチが係合させられることにより、後進変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第43発明は、(a)複数の遊星歯車装置を備え、入力回転部材の回転を変速して出力回転部材から出力する形式の車両用遊星歯車式多段変速機であって、(b)第1中間出力経路、およびその第1中間出力経路に対して増速回転させられる第2中間出力経路の2つの中間出力経路を備え、前記入力回転部材の回転をその2つの中間出力経路のいずれか少なくとも一方を介して出力する第1変速部と、(c)第3サンギヤ、第3キャリヤ、および第3リングギヤを備え、その第3キャリヤによって回転可能に支持された互いに噛み合う一対の遊星歯車を有するダブルピニオン型の第3遊星歯車装置と、第4サンギヤ、第4キャリヤ、第4リングギヤを備えたシングルピニオン型の第4遊星歯車装置とを含み、その第3キャリヤおよび第4サンギヤは第1クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結され、その第3リングギヤは第2クラッチを介して前記第1中間出力経路に選択的に連結され、その第4キャリヤは前記出力回転部材に連結され、その第3サンギヤおよび第4リングギヤは第4クラッチを介して前記第2中間出力経路に選択的に連結されるとともに第3ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結される第2変速部とを、備えている一方、(d)前記クラッチおよびブレーキの係合、解放状態を選択的に切り換えることにより複数の変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第44発明は、第43発明において、前記第3リングギヤは、第4ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結されており、その第4ブレーキおよび前記第1クラッチが係合させられることにより、後進変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第45発明は、第36発明乃至第44発明のいずれかにおいて、前記入力回転部材に連結された第1軸と、その第1軸に平行な第2軸とを備え、前記第1変速部は、前記入力回転部材の回転を第1中間出力部材から出力する第1中間出力経路と、その第1軸上に設けられた駆動側回転部材、およびその第2軸上に設けられその駆動側回転部材により回転させられる被駆動側回転部材を有し、前記入力回転部材の回転を増速する増速装置と、その増速装置により前記第1中間出力経路に対して増速して出力する第2中間出力経路と、複数の歯車を有し、その複数の歯車のうちの一つが前記増速装置の駆動側回転部材に連結され、入力回転部材の回転を増速してまたは等速にてその増速装置の駆動側回転部材に出力する増速歯車装置とを備えていることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第46発明は、第45発明において、前記増速歯車装置は、第1サンギヤ、第1キャリヤ、第1リングギヤの3つの回転部材を備え、その3つの回転部材のうちの第1の回転部材が増速ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、第2の回転部材が前記増速装置の駆動側回転部材に連結され、その第1の回転部材と第3の回転部材とを選択的に連結する一体化クラッチにより、その第1の回転部材および第3の回転部材とが選択的に一体回転させられる第1遊星歯車装置であることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第47発明は、第33発明乃至第46発明のいずれかにおいて、前記クラッチおよびブレーキの係合、解放状態を選択的に切り換えることにより少なくとも前進7速の変速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第48発明は、第47発明において、前記第1クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって最も大きい変速比の第1変速段が成立させられ、前記一体化クラッチ、第3クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって前記第1変速段よりも変速比が小さい第2変速段が成立させられ、前記第2クラッチおよび前記第3ブレーキが係合させられることによって前記第2変速段よりも変速比が小さい第3変速段が成立させられ、前記一体化クラッチ、第2クラッチおよび前記第3クラッチが係合させられることによって前記第3変速段よりも変速比が小さい第4変速段が成立させられ、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチが係合させられることによって前記第4変速段よりも変速比が小さい第5変速段が成立させられ、前記一体化クラッチ、第2クラッチおよび前記第4クラッチが係合させられることによって前記第5変速段よりも変速比が小さい第6変速段が成立させられ、前記一体化クラッチ、第3クラッチおよび前記第4クラッチが係合させられることによって前記第6変速段よりも変速比が小さい第7変速段が成立させられ、前記第3クラッチ、第4クラッチおよび前記増速ブレーキが係合させられることによって前記第7変速段よりも変速比が小さい第8速段が成立させられることを特徴とする。
また、前記目的を達成する第49発明は、第1発明乃至第48発明のいずれかにおいて、エンジンの出力は、流体伝動装置を介して前記入力回転部材に入力されるものであることを特徴とする。
上記第1発明乃至第49発明によれば、第1変速部と第3遊星歯車装置、第4遊星歯車装置によって、変速比幅を大きくとることができ且つ変速比ステップも適切な少なくとも前進7速、または前進8速が可能な小型の車両用遊星歯車式多段変速機が得られる。
また、第15発明乃至第22発明、および第33発明乃至第48発明のいずれかの発明によれば、軸方向寸法が一層短い車両用遊星歯車式多段変速機が得られる。
また、第23発明、第32発明、第34発明、第37発明、第39発明、第42発明、および第44発明によれば、前進7速以上、または前進8速の変速段に加え、後進1段の変速ギヤ段が得られる。
また、第21発明または第41発明によれば、所謂ラビニヨ型の遊星歯車列を用いるので、部品点数や軸長を一層低減できる。
また、第49発明によれば、コンパクトな自動変速機の設計が可能となる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、車両用自動変速装置として好適な車両用遊星歯車式多段変速機(以下、変速機という)10の構成を説明する骨子図である。図1において、変速機10は車体に取り付けられるトランスミッションケース12内において共通の軸心上に順次配設された流体伝動装置としてのロックアップクラッチ13付のトルクコンバータ14、このトルクコンバータ14に連結された入力軸16、第1遊星歯車装置18および第2遊星歯車装置20を主体として構成されている第1変速部36、第3遊星歯車装置22と第4遊星歯車装置24とを主体として構成されている第2変速部38、出力軸26を同心に備えている。この変速機10は、車両において縦置きされるFR用自動変速機として好適に用いられるものであり、エンジン8と図示しない駆動輪との間に設けられ、エンジン8の出力を駆動輪に伝達する。本実施例では、上記入力軸16および出力軸26が入力回転部材および出力回転部材に対応し、上記トランスミッションケース12が非回転部材に対応している。上記トルクコンバータ14はエンジン8のクランク軸9に連結され、上記出力軸26はたとえば図示しない差動歯車装置等を介して左右の駆動輪を回転駆動する。なお、変速機10はその軸心に対して対称的に構成されているため、第1図の骨子図においてはその下側が省略されている。
上記第1変速部36の第1遊星歯車装置18および第2遊星歯車装置20は、それぞれシングルピニオン型の遊星歯車装置であり、トルクコンバータ14から、第1遊星歯車装置18、第2遊星歯車装置20の順に配置されている。第1遊星歯車装置18は、第1サンギヤS1、第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を備えており、たとえば「0.406」程度の所定のギヤ比ρ1(=第1サンギヤS1の歯数ZS1/第1リングギヤR1の歯数ZR1)を有している。第2遊星歯車装置20は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、たとえば「0.511」程度の所定のギヤ比ρ2(=第2サンギヤS2の歯数ZS2/第2リングギヤR2の歯数ZR2)を有している。
この第1変速部36においては、第1サンギヤS1は入力軸16およびその入力軸16と同心上に配置された第1中間出力経路(第1中間出力部材)M1に連結され、第1キャリヤCA1は第2ブレーキB2を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、第1リングギヤR1は第1ブレーキB1を介してトランスミッションケース12に選択的に連結されるとともに、第2サンギヤS2と一体的に連結され、第2キャリヤCA2は入力軸16および第1中間出力経路M1に連結され、第2リングギヤR2は第2中間出力経路(第2中間出力部材)M2に連結されている。このように構成された第1変速部36では、入力軸16の回転は第1中間出力経路M1または第2中間出力経路M2のいずれか少なくとも一方の出力経路から第2変速部38へ出力され、入力軸16の回転が第2中間出力経路M2から出力される場合には、第1中間出力経路M1に対して増速回転させられて出力される。なお、本実施例では、第1中間出力経路M1は入力軸16に連結されているので、その第1中間出力経路M1は入力軸16と同じ回転速度で回転させられているが、第1中間出力経路M1の回転速度は入力軸16の回転速度と同じとされる必要はない。
前記第2変速部38を構成している第3遊星歯車装置22および第4遊星歯車装置24は、それぞれダブルピニオン型およびシングルピニオン型の遊星歯車装置である。すなわち、第3遊星歯車装置22は、第3サンギヤS3、互いに噛み合う複数対の第3遊星歯車P3、その第3遊星歯車P3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR3を備えており、たとえば「0.452」程度の所定のギヤ比ρ3(=第3サンギヤS3の歯数ZS3/第3リングギヤR3の歯数ZR3)を有しており、第4遊星歯車装置24は、第4サンギヤS4、第4遊星歯車P4、その第4遊星歯車P4を自転および公転可能に支持する第4キャリヤCA4、第4遊星歯車P4を介して第4サンギヤS4と噛み合う第4リングギヤR4を備えており、たとえば「0.500」程度の所定のギヤ比ρ4(=第4サンギヤS4の歯数ZS4/第4リングギヤR4の歯数ZR4)を有している。
上記第2変速部38においては、第3サンギヤS3と第4サンギヤS4とが一体的に連結されて第1クラッチC1を介して第1中間出力経路M1に選択的に連結されるとともに第3クラッチC3を介して前記第2中間出力経路M2に選択的に連結され、第3キャリヤCA3は第4クラッチC4を介して第2中間出力経路M2に選択的に連結されるとともに、第3ブレーキB3を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、第3リングギヤR3と第4キャリヤCA4とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して第1中間出力経路M1に選択的に連結されるとともに第4ブレーキB4を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、第4リングギヤR4が出力軸26に連結されている。
上記クラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4は、従来の車両用自動変速機においてよく用いられている油圧式摩擦係合装置であって、互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本または2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成され、それが介挿されている両側の部材を選択的に連結するためのものである。
以上のように構成された変速機10では、たとえば、図2の係合作動表に示されるように、クラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4のうちから選択された2つ乃至3つが同時に係合作動させられることにより、第1速ギヤ段(第1変速段)乃至第8速ギヤ段(第8変速段)のいずれか或いは後進ギヤ段(後進変速段)が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT )が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
すなわち、図2に示すように、第1クラッチC1および第3ブレーキB3の係合により、第1中間出力経路M1と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第3キャリヤCA3とトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ1が最大値たとえば「3.842」である第1速ギヤ段が成立させられる。また、第3クラッチC3、第1ブレーキB1および第3ブレーキB3の係合により、第2中間出力経路M2と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第1リングギヤR1および第2サンギヤS2とトランスミッションケース12との間、第3キャリヤCA3とトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値たとえば「2.543」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。また、第2クラッチC2および第3ブレーキB3の係合により、第1中間出力経路M1と第4キャリヤCA4および第3リングギヤR3との間、第3キャリヤCA3とトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値たとえば「1.737」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。また、第2クラッチC2、第3クラッチC3および第1ブレーキB1の係合により、第1中間出力経路M1と第4キャリヤCA4および第3リングギヤR3との間、第2中間出力経路M2と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第1リングギヤR1および第2サンギヤS2とトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値たとえば「1.218」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。また、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により、第1中間出力経路M1と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第1中間出力経路M1と第4キャリヤCA4および第3リングギヤR3との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値たとえば「1.000」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。また、第2クラッチC2、第4クラッチC4および第1ブレーキB1の係合により、第1中間出力経路M1と第4キャリヤCA4および第3リングギヤR3との間、第2中間出力経路M2と第3キャリヤCA3との間、第1リングギヤR1および第2サンギヤS2とトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値たとえば「0.822」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。また、第3クラッチC3、第4クラッチC4および第1ブレーキB1の係合により、第2中間出力経路M2と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第2中間出力経路M2と第3キャリヤCA3との間、第1リングギヤR1および第2サンギヤS2とトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値たとえば「0.622」である第7速ギヤ段が成立させられる。また、第3クラッチC3、第4クラッチC4および第2ブレーキB2の係合により、第2中間出力経路M2と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第2中間出力経路M2と第3キャリヤCA3との間、第1キャリヤCA1とトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値たとえば「0.582」である第8速ギヤ段が成立させられる。なお、上記第1速ギヤ段、第3速ギヤ段、第5速ギヤ段では、さらに、第1ブレーキB1が係合させられるようになっていてもよい。
また、第1クラッチC1および第4ブレーキB4の係合により、第1中間出力経路M1と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第3リングギヤR3および第4キャリヤCA4とトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γRが第1速ギヤ段と第2速ギヤ段との間の値たとえば「2.875」である後進ギヤ段が成立させられる。前記第1遊星歯車装置18のギヤ比ρ1、第2遊星歯車装置20のギヤ比ρ2、第3遊星歯車装置22のギヤ比ρ3、第4遊星歯車装置24のギヤ比ρ4は、上記のような変速比が得られるように設定されているのである。
上記変速機10において、第1速ギヤ段の変速比γ1と第2速ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.511」とされ、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.464」とされ、第3速ギヤ段の変速比γ3と第4速ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.426」とされ、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.218」とされ、第5速ギヤ段の変速比γ5と第6速ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.217」とされ、第6速ギヤ段の変速比γ6と第7速ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.242」とされ、第7速ギヤ段の変速比γ7と第8速ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.137」とされ、各変速比γが略等比であって狭い範囲で漸減するように変化させられている。また、上記変速機10において、第1速ギヤ段の変速比γ1と第8速ギヤ段の変速比γ8との比である変速比幅(=γ1/γ8)が比較的大きな値すなわち「6.604」とされている。
図3は、上記変速機10において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。図3の共線図は、横軸方向において各遊星歯車装置18、20、22、24のギヤ比ρの関係を示し、縦軸方向において相対的回転速度を示す二次元座標であり、4本の横線のうち最も下側の横線X1が回転速度零を示し、その上側の横線X2が回転速度「1.0」すなわち第1中間出力経路M1の回転速度を示し、さらにその上側の横線XG1およびXG2は、第1遊星歯車装置18および第2遊星歯車装置20のギヤ比ρ1、ρ2に基づいて定まる所定の回転速度「NG1」「NG2」であり、これら回転速度NG1、NG2は、第1中間出力経路M1に対して増速回転となっている。また、各縦線Y1〜Y8は、左から順に、第1回転要素RE1乃至第8回転要素RE8を表しており、第1回転要素RE1は相互に連結された第1リングギヤR1および第2サンギヤS2であり、第2回転要素RE2は第1キャリヤCA1であり、第3回転要素RE3は相互に連結された第1サンギヤS1および第2キャリヤCA2であり、第4回転要素RE4は第2リングギヤR2であり、第5回転要素RE5は相互に連結された第3サンギヤS3および第4サンギヤS4であり、第6回転要素RE6は相互に連結された第3リングギヤR3および第4キャリヤCA4であり、第7回転要素RE7は第4リングギヤR4であり、第8回転要素RE8は第3キャリヤCA3である。また、縦線Y1〜Y4の間隔は第1遊星歯車装置18および第2遊星歯車装置20のギヤ比ρ1、ρ2に応じてそれぞれ定められ、また、縦線Y5〜Y8の間隔は第3遊星歯車装置22および第4遊星歯車装置24のギヤ比ρ3、ρ4に応じてそれぞれ定められており、共線図の縦軸間隔は、サンギヤとキャリヤとの間を「1」とするとキャリヤとリングギヤとの間がρとなるように定められている。
上記共線図を利用して表現すれば、本実施例の変速機10は、第1変速部36において、上記第1回転要素RE1(R1、S2)は第1ブレーキB1を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、上記第2回転要素RE2(CA1)は第2ブレーキB2を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、上記第3回転要素RE3(S1、CA2)は入力軸16および第1中間出力経路M1に連結され、上記第4回転要素RE4(R2)は第2中間出力経路M2に連結されるように構成され、第2変速部38において、上記第5回転要素RE5(S3、S4)は第1クラッチC1を介して第1中間出力経路M1に選択的に連結されるとともに第3クラッチC3を介して第2リングギヤR2(第2中間出力経路M2)に選択的に連結され、上記第6回転要素RE6(R3、CA4)は第2クラッチC2を介して第1中間出力経路M1に選択的に連結されるとともに、第4ブレーキB4を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、上記第7回転要素RE7(R4)は出力軸(出力回転部材)26に連結され、上記第8回転要素RE8(CA3)は第4クラッチC4を介して第2リングギヤR2(第2中間出力経路M2)に選択的に連結されるとともに第3ブレーキB3を介してトランスミッションケース12に選択的に連結されるように構成されている。
上記図3の共線図により各変速ギヤ段を説明する。第1速ギヤ段では、第5回転要素RE5は第1クラッチC1の係合により第1中間出力経路M1に連結されて回転速度「1」とされ、第8回転要素RE8は第3ブレーキB3の係合によりトランスミッションケース12に連結されて回転速度「0」とされるので、縦線Y5と横線X2との交点と、縦線Y8と横線X1との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(1st)により、出力軸26の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、第1変速部36において、第1回転要素RE1が第1ブレーキB1の係合により回転速度「0」とされることから、縦線Y1と横線X1との交点と、入力軸16と一体的に回転させられる第3回転要素RE3を表す縦線すなわち縦線Y3と横線X2との交点とを結ぶ直線が縦線Y4と交差する点が横線XG1上となるので、第2中間出力経路M2が回転速度NG1で回転させられる。そして、第2変速部38では、第5回転要素RE5は第3クラッチC3の係合により第2中間出力経路M2に連結されて回転速度NG1とされ、第8回転要素RE8は第3ブレーキB3の係合により回転速度「0」とされるので、縦線Y5と横線XG1との交点と、縦線Y8と横線X1との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(2nd)により、出力軸26の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、第6回転要素RE6は第2クラッチC2の係合により第1中間出力経路M1に連結されて回転速度「1」とされ、第8回転要素RE8は第3ブレーキB3の係合により回転速度「0」とされるので、縦線Y6と横線X2との交点と、縦線Y8と横線X1との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(3rd)により、出力軸26の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、第1変速部36において、第1回転要素RE1が第1ブレーキB1の係合により回転速度「0」とされるので、第2速ギヤ段の場合と同様に、第2中間出力経路M2が回転速度NG1で回転させられる。そして、第2変速部38では、第5回転要素RE5は第3クラッチC3の係合により第2中間出力経路M2に連結されて回転速度NG1とされ、第6回転要素RE6は第2クラッチC2の係合により第1中間出力経路M1に連結されて回転速度「1」とされるので、縦線Y5と横線XG1との交点と、縦線Y6と横線X2との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(4th)により、出力軸26の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、第5回転要素RE5は第1クラッチC1の係合により回転速度「1」とされ、第6回転要素RE6は第2クラッチC2の係合により回転速度「1」とされるので、縦線Y5と横線X2との交点と、縦線Y6と横線X2との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(5th)により、出力軸26の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、第1変速部36において、第1回転要素RE1が第1ブレーキB1の係合により回転速度「0」とされるので、第2速ギヤ段の場合と同様に、第2中間出力経路M2が回転速度NG1で回転させられる。そして、第2変速部38では、第6回転要素RE6は第2クラッチC2の係合により回転速度「1」とされ、第8回転要素RE8は第4クラッチC4の係合により回転速度NG1とされるので、縦線Y6と横線X2との交点と、縦線Y8と横線XG1との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(6th)により、出力軸26の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、第1変速部36において、第1回転要素RE1が第1ブレーキB1の係合により回転速度「0」とされるので、第2速ギヤ段の場合と同様に、第2中間出力経路M2が回転速度NG1で回転させられる。そして、第2変速部38では、第5回転要素RE5は第3クラッチC3の係合により回転速度NG1とされ、また、第8回転要素RE8も第4クラッチC4の係合により回転速度回転速度NG1とされるので、縦線Y5と横線XG1との交点と、縦線Y8と横線XG1との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(7th)により、出力軸26の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、第1変速部36において、第2回転要素RE2が第2ブレーキB2の係合により回転速度「0」とされることから、縦線Y2と横線X1との交点と、入力軸16と一体的に回転させられる第3回転要素RE3を表す縦線すなわち縦線Y3と横線X2との交点とを結ぶ直線が縦線Y4と交差する点が横線XG2上となるので、第2中間出力経路M2が回転速度NG2で回転させられる。そして、第2変速部38では、第7速ギヤ段と同様に、第3クラッチC3および第4クラッチC4が係合されるので、縦線Y5と横線XG2との交点と、縦線Y8と横線XG2との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(8th)により、出力軸26の回転速度が示される。
後進ギヤ段では、第5回転要素RE5は第1クラッチC1の係合により回転速度「1」とされ、第6回転要素RE6は第4ブレーキB4の回転速度「0」とされるので、縦線Y5と横線X2との交点と、縦線Y6と横線X1との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(Rev)により、出力軸26の負の回転速度が示される。
上述のように、本実施例によれば、4組の第1遊星歯車装置18、第2遊星歯車装置20、第3遊星歯車装置22、第4遊星歯車装置24によって、変速比幅を大きくとることができ且つ変速比ステップも適切な前進8速が可能な小型の車両用遊星歯車式多段変速機が得られる。すなわち、各変速比γが略等比的に変化させられ、ギヤ段の切り換えによる優れた増速特性或いは加速特性が得られるとともに、変速機10の変速比幅(=γ1/γ8)が比較的大きな値たとえば「6.604」とされているので、たとえば高速走行と登坂発進性能とが両立できる小型の車両用遊星歯車式多段変速機10が得られる。
また、本実施例によれば、第1クラッチC1および第4ブレーキB4が係合させられることによって後進変速段が成立させられるので、前進8速段に加え、後進1段の変速ギヤ段が得られる。
また、本実施例によれば、第1遊星歯車装置18、第2遊星歯車装置20、第3遊星歯車装置22、第4遊星歯車装置24は入力軸16と出力軸26との間において順次配置され、エンジン8の出力は流体伝動装置としてのロックアップクラッチ13付のトルクコンバータ14を介して変速機10の入力軸16に入力されるので、コンパクトな自動変速機の設計が可能となる。
次に、本発明の第2実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図4は本発明の第2実施例の変速機40の構成を説明する骨子図であり、図5は各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。第2実施例は、第1変速部42の構成が相違するが、他の構成および係合作動は上記図1乃至図3に示す第1実施例と同様であり、その図1乃至図3に示す実施例と同様の効果が得られる。以下に、その相違する部分について説明する。
第2実施例では、上記第1変速部42は、第1実施例と同様に第1遊星歯車装置44および第2遊星歯車装置46の2組の遊星歯車装置を備えており、第1遊星歯車装置44はダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、第2遊星歯車装置46はシングルピニオン型の遊星歯車装置である。第1遊星歯車装置44は、第1サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を備えており、たとえば「0.338」程度の所定のギヤ比ρ1を有している。第2遊星歯車装置46は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、たとえば「0.406」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。
この第1変速部42においては、第1サンギヤS1および第2リングギヤR2とが一体的に連結されるとともに、第1ブレーキB1を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、第1キャリヤCA1は第2中間出力経路M2に連結され、第1リングギヤR1と第2サンギヤS2とが一体的に連結されるとともに、入力軸16およびその入力軸16と同心上に配置された第1中間出力経路に連結され、第2キャリヤCA2は第2ブレーキB2を介してトランスミッションケース12に選択的に連結されている。このように構成された第1変速部42では、入力軸16の回転は第1中間出力経路M1または第2中間出力経路M2のいずれか少なくとも一方の出力経路から第2変速部38へ出力され、入力軸16の回転が第2中間出力経路M2から出力される場合には、第1中間出力経路M1に対して増速回転させられて出力される。なお、本実施例も、第1中間出力経路M1は入力軸16に連結されているので、その第1中間出力経路M1は入力軸16と同じ回転速度で回転させられているが、第1中間出力経路M1の回転速度は入力軸16の回転速度と同じとされる必要はない。
以上のように構成された変速機40では、前述の実施例と同様に、たとえば、図2の係合作動表に示されるようにして第1速ギヤ段乃至第8速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段が選択的に成立させられ、第1実施例と同様に略等比的に変化する変速比γが各ギヤ段毎に得られるようになっている。第1遊星歯車装置44のギヤ比ρ1、第2遊星歯車装置46のギヤ比ρ2、第3遊星歯車装置22のギヤ比ρ3、第4遊星歯車装置24のギヤ比ρ4は、そのような変速比が得られるように設定されているのである。
図5の共線図の第1変速部42において左から順に、第1回転要素RE1は第1サンギヤS1および第2リングギヤR2から成り、第2回転要素RE2は第2キャリヤCA2から成り、第3回転要素RE3は第1リングギヤR1および第2サンギヤS2から成り、第4回転要素RE4は第1キャリヤCA1から成っている。これら回転要素を基にすれば、図5に示す共線図は、前述の図3に示す共線図と各回転要素の構成において相違するのみであり、共線図としては同様であるので、この図5の共線図の説明は割愛する。
次に、本発明の第3実施例を説明する。図6は第3実施例の変速機50の構成を説明する骨子図であり、図7は各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。第3実施例は、前述の第1実施例、第2実施例と第1変速部52の構成において相違するが、他の構成および係合作動は第1実施例および第2実施例と同様であり、それらの実施例と同様の効果が得られる。以下に、その相違する部分について説明する。
第3実施例では、上記第1変速部52は、前述の2つの実施例と同様に第1遊星歯車装置54および第2遊星歯車装置56の2組の遊星歯車装置を備えており、第1遊星歯車装置54はダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、第2遊星歯車装置56はシングルピニオン型の遊星歯車装置である。第1遊星歯車装置54は、第1サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を備えており、たとえば「0.289」程度の所定のギヤ比ρ1を有している。第2遊星歯車装置56は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、たとえば「0.511」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。
この第1変速部52においては、第1サンギヤS1および第2キャリヤCA2は一体的に連結されるとともに、入力軸16およびその入力軸16と同心上に配置された第1中間出力経路に連結され、第1キャリヤCA1および第2サンギヤS2は一体的に連結されるとともに、第1ブレーキB1を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、第1リングギヤR1は第2ブレーキB2を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、第2リングギヤR2は第2中間出力経路M2に連結されている。このように構成された第1変速部52では、入力軸16の回転は第1中間出力経路M1または第2中間出力経路M2のいずれかの出力経路から第2変速部38へ出力され、入力軸16の回転が第2中間出力経路M2から出力される場合には、第1中間出力経路M1に対して増速回転させられて出力される。なお、この第3実施例も、第1中間出力経路M1は入力軸16に連結されているので、その第1中間出力経路M1は入力軸16と同じ回転速度で回転させられているが、第1中間出力経路M1の回転速度は入力軸16の回転速度と同じとされる必要はない。
以上のように構成された変速機50では、前述の実施例と同様に、たとえば、図2の係合作動表に示されるようにして第1速ギヤ段乃至第8速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段が選択的に成立させられ、第1実施例と同様に略等比的に変化する変速比γが各ギヤ段毎に得られるようになっている。第1遊星歯車装置54のギヤ比ρ1、第2遊星歯車装置56のギヤ比ρ2、第3遊星歯車装置22のギヤ比ρ3、第4遊星歯車装置24のギヤ比ρ4は、そのような変速比が得られるように設定されているのである。
図7の共線図の第1変速部52において左から順に、第1回転要素RE1は第1キャリヤCA1および第2サンギヤS2から成り、第2回転要素RE2は第1リングギヤR1から成り、第3回転要素RE3は第1サンギヤS1および第2キャリヤCA2から成り、第4回転要素RE4は第2リングギヤR2から成っている。これら回転要素を基にすれば、図7に示す共線図は、前述の図3に示す共線図と各回転要素の構成において相違するのみであり、共線図としては同様であるので、この図7の共線図の説明は割愛する。
次に、本発明の第4実施例を説明する。図8は第4実施例の変速機60の構成を説明する骨子図であり、図9は各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。第4実施例は、前述の第1〜3実施例と第1変速部62の構成において相違するが、他の構成および係合作動は第1〜3実施例と同様であり、それらの実施例と同様の効果が得られる。以下に、その相違する部分について説明する。
第4実施例では、上記第1変速部62は、前述の実施例と同様に第1遊星歯車装置64および第2遊星歯車装置66の2組の遊星歯車装置を備えており、第1遊星歯車装置64はダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、第2遊星歯車装置66はシングルピニオン型の遊星歯車装置である。第1遊星歯車装置64は、第1サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を備えており、たとえば「0.338」程度の所定のギヤ比ρ1を有している。第2遊星歯車装置66は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、たとえば「0.236」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。
この第1変速部62においては、第1サンギヤS1および第2リングギヤR2は一体的に連結されるとともに、第1ブレーキB1を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、第1キャリヤCA1および第2サンギヤS2は一体的されるとともに、第2中間出力経路M2に連結され、第1リングギヤR1は入力軸16およびその入力軸16と同心上に配置された第1中間出力経路に連結され、第2キャリヤCA2は第2ブレーキB2を介してトランスミッションケース12に選択的に連結されている。なお、この第4実施例も、第1中間出力経路M1は入力軸16に連結されているので、その第1中間出力経路M1は入力軸16と同じ回転速度で回転させられているが、第1中間出力経路M1の回転速度は入力軸16の回転速度と同じとされる必要はない。
以上のように構成された変速機60では、前述の実施例と同様に、たとえば、図2の係合作動表に示されるようにして第1速ギヤ段乃至第8速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段が選択的に成立させられ、第1実施例と同様に略等比的に変化する変速比γが各ギヤ段毎に得られるようになっている。第1遊星歯車装置64のギヤ比ρ1、第2遊星歯車装置66のギヤ比ρ2、第3遊星歯車装置22のギヤ比ρ3、第4遊星歯車装置24のギヤ比ρ4は、そのような変速比が得られるように設定されているのである。
図9の共線図の第1変速部62において左から順に、第1回転要素RE1は第1サンギヤS1および第2リングギヤR2から成り、第2回転要素RE2は第2キャリヤCA2から成り、第3回転要素RE3は第1リングギヤR1から成り、第4回転要素RE4は第1キャリヤCA1および第2サンギヤS2から成っている。これら回転要素を基にすれば、図9に示す共線図は、前述の図3に示す共線図と各回転要素の構成において相違するのみであり、共線図としては同様であるので、この図9の共線図の説明は割愛する。
次に、本発明の第5実施例を説明する。図10は第5実施例の変速機70の構成を説明する骨子図であり、図11は各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。第5実施例は、前述の第1〜4実施例と第1変速部72の構成において相違するが、他の構成および係合作動は第1〜4実施例と同様であり、それらの実施例と同様の効果が得られる。以下に、その相違する部分について説明する。
第5実施例では、上記第1変速部72は、前述の実施例と同様に第1遊星歯車装置74および第2遊星歯車装置76の2組の遊星歯車装置を備えており、それらはともにシングルピニオン型の遊星歯車装置である。第1遊星歯車装置74は、第1サンギヤS1、第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を備えており、たとえば「0.511」程度の所定のギヤ比ρ1を有している。第2遊星歯車装置76は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、たとえば「0.236」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。
この第1変速部72においては、第1サンギヤS1および第2リングギヤR2は一体的に連結されるとともに、第1ブレーキB1を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、第1キャリヤCA1は入力軸16およびその入力軸16と同心上に配置された第1中間出力経路に連結され、第1リングギヤR1および第2サンギヤS2は一体的されるとともに、第2中間出力経路M2に連結され、第2キャリヤCA2は第2ブレーキB2を介してトランスミッションケース12に選択的に連結されている。なお、この第5実施例も、第1中間出力経路M1は入力軸16に連結されているので、その第1中間出力経路M1は入力軸16と同じ回転速度で回転させられているが、第1中間出力経路M1の回転速度は入力軸16の回転速度と同じとされる必要はない。
以上のように構成された変速機70では、前述の実施例と同様に、たとえば、図2の係合作動表に示されるようにして第1速ギヤ段乃至第8速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段が選択的に成立させられ、第1実施例と同様に略等比的に変化する変速比γが各ギヤ段毎に得られるようになっている。第1遊星歯車装置74のギヤ比ρ1、第2遊星歯車装置76のギヤ比ρ2、第3遊星歯車装置22のギヤ比ρ3、第4遊星歯車装置24のギヤ比ρ4は、そのような変速比が得られるように設定されているのである。
図11の共線図の第1変速部72において左から順に、第1回転要素RE1は第1サンギヤS1および第2リングギヤR2から成り、第2回転要素RE2は第2キャリヤCA2から成り、第3回転要素RE3は第1キャリヤCA1から成り、第4回転要素RE4は第1リングギヤR1および第2サンギヤS2から成っている。これら回転要素を基にすれば、図11に示す共線図は、前述の図3に示す共線図と各回転要素の構成において相違するのみであり、共線図としては同様であるので、この図11の共線図の説明は割愛する。
次に、本発明の第6実施例を説明する。図12は第6実施例の変速機80の構成を説明する骨子図である。この変速機10は、車両において横置きされるFFまたはRR用自動変速機として好適に用いられる。図12において、変速機80は、入力軸16に連結され、それと一体的に回転させられる第1軸82、およびその第1軸82に平行に配置された第2軸84を備えている。この変速機80においては、第1変速部86は、第1カウンタギヤ対88、第2カウンタギヤ対90、および第1遊星歯車装置92を主体として構成され、第2変速部94は、第2軸84上に配置され、前述の実施例と同様の第3遊星歯車装置22および第4遊星歯車装置24を主体として構成されている。
上記第1カウンタギヤ対88は、第1軸82の回転を第2軸84へ伝達する動力伝達装置であり、第1軸82に相対回転不能に設けられた第1ドライブギヤ96と、第2軸84に相対回転可能に設けられ、第1ドライブギヤ96と噛み合わされることにより駆動される第1ドリブンギヤ98とからなる。この第1ドリブンギヤ98は、第1中間出力経路M1の一部材すなわち第1中間出力部材を構成する。また、本実施例では、この第1ドライブギヤ96および第1ドリブンギヤ98は互いに同じ歯数を有しており、入力軸16の回転速度がそのままの速度で第2変速部94へ出力されるようになっている(すなわち減速比が1とされている)が、第1カウンタギヤ対88のギヤ比は任意の値に設定し得る。
上記第2カウンタギヤ対90は、入力軸16の回転を増速して第2変速部94へ出力する増速装置として機能するものであり、第1カウンタギヤ対88よりも第1軸82の軸方向においてトルクコンバータ14から遠い側に配置されている。この第2カウンタギヤ対90は、第1軸82に相対回転可能に設けられ、駆動側回転部材として機能する第2ドライブギヤ100と、第2軸84に相対回転可能に設けられ、第2ドライブギヤ100よりも少ない歯数を有してその第2ドライブギヤ100と噛み合わされることにより被駆動側回転部材として機能する第2ドリブンギヤ102とからなる。この第2ドリブンギヤ102は、第2中間出力経路M2の一部材すなわち第2中間出力部材を構成する。また、本実施例では、第2カウンタギヤ対90の減速比は、0.662とされている。ただし、この減速比は、上記第1カウンタギヤ対88の減速比よりも小さい範囲で任意の値に設定し得る。
第1遊星歯車装置92は、第1軸82上において第1カウンタギヤ対88と第2カウンタギヤ対90との間に配置されている。この第1遊星歯車装置92は、ステップドピニオンを有する遊星歯車装置であり、第1サンギヤS1と、そのサンギヤS1と噛み合う第1遊星歯車部P1およびその第1遊星歯車部P1とは異なる径或いは歯数(すなわち第1遊星歯車部P1よりも小さな径或いは少ない歯数)を有する第2遊星歯車部P2を有するステップドピニオンSPと、そのステップドピニオンSPの第2遊星歯車部P2と噛み合うリングギヤR2と、ステップドピニオンSPを自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1とを備えており、たとえば「0.250」程度の所定のギヤ比ρ1を有している。なお、このギヤ比ρ1は、第1サンギヤS1の歯数ZS1を実際には設けられていないが第1リングギヤR1の歯数ZR1で割った値(=ZS1/ZR1)である。また、上記第2遊星歯車部P2を支持する第1キャリヤCA1を第2キャリヤCA2と見るとともに、実際には設けられていないが第2遊星歯車部P2と噛み合う第2サンギヤS2が設けられていると考えると、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、第2キャリヤCA2および第2リングギヤR2により第2遊星歯車装置が構成されていると見ることもできる。この第2遊星歯車装置は、たとえば「0.610」程度の所定のギヤ比ρ2(=第2サンギヤS2の歯数ZS2/第2リングギヤR2の歯数ZR2)を有している。
この第1変速部86においては、第1サンギヤS1は増速ブレーキB0を介してトランスミッションケース12に選択的に連結されるとともに、一体化クラッチC0を介して第1キャリヤCA1にも選択的に連結されている。その第1キャリヤCA1は第1軸82にも連結され、第2リングギヤR2は、第2ドライブギヤ100に連結されている。上記一体化クラッチC0が係合させられて第1サンギヤS1と第1キャリヤCA1とが連結されると、第1遊星歯車装置92の各構成要素は一体的に回転させられるので、第2ドライブギヤ100は入力軸16と同じ回転速度で回転させられる。一方、増速ブレーキB0が係合させられると、サンギヤS1が回転不能とされるので、入力軸16よりも速い回転速度で第2ドライブギヤ100が回転させられる。特に、第1遊星歯車装置92はステップドピニオンSPを備えているので、低いステップドピニオンSPの回転速度で高い増速比を得ることができる。ただし、単一のピニオンギヤを用いても所定の増速比が得られる場合には、単一のピニオンギヤを有する遊星歯車装置とされてもよい。
このように構成された第1変速部86では、入力軸16の回転は、第1カウンタギヤ対88を経由する第1中間出力経路M1または第2カウンタギヤ対90を経由する中間出力経路M2のいずれか少なくとも一方の出力経路から第2変速部94へ出力され、入力軸16の回転が第2中間出力経路M2から出力される場合には、第1中間出力経路M1に対して増速回転させられて出力される。
前述の実施例と同様に第3遊星歯車装置22および第4遊星歯車装置24を主体として構成されている第2変速部94は、それら第3遊星歯車装置22および第4遊星歯車装置24が第1ドリブンギヤ98と第2ドリブンギヤ102との間において、第3遊星歯車装置22が第1ドリブンギヤ98側に第4遊星歯車装置24が第2ドリブンギヤ102側に配置されている。また、第2変速部94には、さらに、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第3ブレーキB3、および第4ブレーキB4を備えられている。
この第2変速部94においては、第1クラッチC1は第1ドリブンギヤ98と第2軸84との間を選択的に連結し、第2クラッチC2は第1ドリブンギヤ98と第4キャリヤCA4との間を選択的に連結し、第3クラッチC3は第2ドリブンギヤ102と第2軸84との間を選択的に連結し、第4クラッチC4は第2ドリブンギヤ102と第3キャリヤCA3との間を選択的に連結しているので、第1クラッチC1または第2クラッチC2のいずれか少なくとも一方が係合されると、第1中間出力経路M1を介して入力軸16の回転が第2変速部94へ入力され、第3クラッチC3または第4クラッチC4のいずれか少なくとも一方が係合されると、第2中間出力経路M2を介して入力軸16の回転が第2変速部94へ入力される。
また、第3サンギヤS3は第2軸84に相対回転不能に設けられ、第3キャリヤCA3は、第3ブレーキB3を介してトランスミッションケース12に選択的に連結されるとともに、第4クラッチC4を介して第2ドリブンギヤ102に選択的に連結され、第3リングギヤR3および第4キャリヤCA4は一体的に連結されるとともに、第4ブレーキB4を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、第4サンギヤS4は第2軸84に相対回転不能に設けられ、第4リングギヤR4は出力回転部材として機能するドライブピニオンギヤ104と一体的に連結されている。また、このドライブピニオンギヤ104は、差動装置106と一体回転させられるリングギヤ108と噛み合わされている。
以上のように構成された変速機80では、たとえば、図13の係合作動表に示されるように、クラッチC0〜C4、ブレーキB0、B3〜B4のうちから選択された2つ乃至3つが同時に係合作動させられることにより、第1速ギヤ段(第1変速段)乃至第8速ギヤ段(第8変速段)のいずれか或いは後進ギヤ段(後進変速段)が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT )が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
すなわち、図13に示すように、第1クラッチC1および第3ブレーキB3の係合により、第1中間出力経路M1と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第3キャリヤCA3とトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ1が最大値たとえば「3.842」である第1速ギヤ段が成立させられる。また、一体化クラッチC0、第3クラッチC3および第3ブレーキB3の係合により、第1軸82と第2ドライブギヤ100との間、第2ドリブンギヤ102(第2中間中間出力経路M2)と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第3キャリヤCA3ととトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値たとえば「2.543」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。また、第2クラッチC2および第3ブレーキB3の係合により、第1ドリブンギヤ98(第1中間出力経路M1)と第4キャリヤCA4および第3リングギヤR3との間、第3キャリヤCA3とトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値たとえば「1.737」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。また、一体化クラッチC0、第2クラッチC2および第3クラッチC3の係合により、第1軸82と第2ドライブギヤ100との間、第1ドリブンギヤ98(第1中間出力経路M1)と第4キャリヤCA4および第3リングギヤR3との間、第2ドリブンギヤ102(第2中間出力経路M2)と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値たとえば「1.218」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。また、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により、第1ドリブンギヤ98(第1中間出力経路M1)と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第1ドリブンギヤ98(第1中間出力経路M1)と第4キャリヤCA4および第3リングギヤR3との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値たとえば「1.000」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。また、一体化クラッチC0、第2クラッチC2および第4クラッチC4の係合により、第1軸82と第2ドライブギヤ100との間、第1ドリブンギヤ98(第1中間出力経路M1)と第4キャリヤCA4および第3リングギヤR3との間、第2ドリブンギヤ102(第2中間出力経路M2)と第3キャリヤCA3との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値たとえば「0.822」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。また、一体化クラッチC0、第3クラッチC3および第4クラッチC4の係合により、第1軸82と第2ドライブギヤ100との間、第2ドリブンギヤ102(第2中間出力経路M2)と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第2ドリブンギヤ102(第2中間出力経路M2)と第3キャリヤCA3との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値たとえば「0.622」である第7速ギヤ段が成立させられる。また、第3クラッチC3、第4クラッチC4および増速ブレーキB0の係合により、第2ドリブンギヤ102(第2中間出力経路M2)と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第2ドリブンギヤ102(第2中間出力経路M2)と第3キャリヤCA3との間、第1サンギヤS1とトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値たとえば「0.582」である第8速ギヤ段が成立させられる。なお、上記第1速ギヤ段、第3速ギヤ段、第5速ギヤ段では、さらに、一体化クラッチC0が係合させられるようになっていてもよい。
また、第1クラッチC1および第4ブレーキB4の係合により、第1ドリブンギヤ98(第1中間出力経路M1)と第3サンギヤS3および第4サンギヤS4との間、第3リングギヤR3および第4キャリヤCA4とトランスミッションケース12との間がそれぞれ連結されることにより、変速比γRが第1速ギヤ段と第2速ギヤ段との間の値たとえば「2.875」である後進ギヤ段が成立させられる。前記第1遊星歯車装置92のギヤ比ρ1、ρ2、第3遊星歯車装置22のギヤ比ρ3、第4遊星歯車装置24のギヤ比ρ4は、上記のような変速比が得られるように設定されているのである。
このように本実施例でも各変速比γは全て前述の第1実施例と同じであるので、変速比ステップも第1実施例のものと同様となり、各変速比γが略等比的に変化させられ、また、変速比幅(=γ1/γ8)も比較的大きな値すなわち「6.604」とされている。
図14は、上記変速機80において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。図14の共線図は、横軸方向において各遊星歯車装置92、22、24のギヤ比ρの関係を示し、縦軸方向において相対的回転速度を示す二次元座標であり、最も下側の横線X1が回転速度零を示し、その上側の横線X2が回転速度「1.0」すなわち入力軸16の回転速度を示している。また、各縦線Y1〜Y8は、左から順に、第1回転要素RE1乃至第8回転要素RE8を表しており、第1回転要素RE1は第1サンギヤS1であり、第2回転要素RE2は実際には設けられていないが第2サンギヤS2であり、第3回転要素RE3は第1キャリヤCA1および第2キャリヤCA2であり、第4回転要素RE4は第2リングギヤR2であり、第5回転要素RE5は相互に連結された第3サンギヤS3および第4サンギヤS4であり、第6回転要素RE6は相互に連結された第3リングギヤR3および第4キャリヤCA4であり、第7回転要素RE7は第4リングギヤR4であり、第8回転要素RE8は第3キャリヤCA3である。また、縦線Y1〜Y4の間隔は前述した第1遊星歯車装置92のギヤ比ρ1、ρ2に応じてそれぞれ定められ、縦線Y5〜Y8の間隔は第3遊星歯車装置22および第4遊星歯車装置24のギヤ比ρ3、ρ4に応じてそれぞれ定められ、共線図の縦軸間隔は、サンギヤとキャリヤとの間を「1」とするとキャリヤとリングギヤとの間がρとなるように定められている。
上記共線図を利用して表現すれば、本実施例の変速機80は、第1変速部86において、上記第1回転要素RE1(S1)は増速ブレーキB0を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、上記第3回転要素RE3(CA1、CA2)は入力軸16および第1中間出力経路M1に連結されるように構成されている。また、上記第4回転要素RE4(R2)は、第2カウンタギヤ対90(第2中間出力経路M2)に連結されているので、第4回転要素RE4を経由する場合には、入力軸16の回転が増速させられて第2変速部94へ出力される。一方、第2変速部94においては、上記第5回転要素RE5(S3、S4)は第1クラッチC1を介して第1中間出力経路M1に選択的に連結されるとともに第3クラッチC3を介して第2中間出力経路M2(第2ドリブンギヤ102)に選択的に連結され、上記第6回転要素RE6(R3、CA4)は第2クラッチC2を介して第1中間出力経路M1に選択的に連結されるとともに、第4ブレーキB4を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、上記第7回転要素RE7(R4)はドライブピニオンギヤ104(出力回転部材)に連結され、上記第8回転要素RE8(CA3)は第4クラッチC4を介して第2中間出力経路M2(第2ドリブンギヤ102)に選択的に連結されるとともに第3ブレーキB3を介してトランスミッションケース12に選択的に連結されるように構成されている。
上記図14の共線図により各変速ギヤ段を説明する。第1速ギヤ段では、第5回転要素RE5は第1クラッチC1の係合により第1中間出力経路M1に連結されて回転速度「1」とされ、第8回転要素RE8は第3ブレーキB3の係合によりトランスミッションケース12に連結されて回転速度「0」とされるので、縦線Y5と横線X2との交点と、縦線Y8と横線X1との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(1st)により、ドライブピニオンギヤ104の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、第1変速部86において、一体化クラッチC0の係合により入力軸16と一体的に回転させられている第3回転要素RE3と第1回転要素RE1とが連結されることから、第4回転要素RE4は回転速度「1」で回転させられ、その回転が第2カウンタギヤ対90により増速させられて回転速度NG1にて第2変速部94へ出力される。そして、第2変速部94では、第5回転要素RE5は第3クラッチC3の係合により第2中間出力経路M2に連結されて回転速度NG1とされ、第8回転要素RE8は第3ブレーキB3の係合により回転速度「0」とされるので、縦線Y5上において回転速度NG1を表す点と、縦線Y8と横線X1との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(2nd)により、ドライブピニオンギヤ104の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、第6回転要素RE6は第2クラッチC2の係合により第1中間出力経路M1に連結されて回転速度「1」とされ、第8回転要素RE8は第3ブレーキB3の係合により回転速度「0」とされるので、縦線Y6と横線X2との交点と、縦線Y8と横線X1との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(3rd)により、ドライブピニオンギヤ104の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、第1変速部86において、一体化クラッチC0の係合により第3回転要素RE3と第1回転要素RE1とが連結されるので、第2速ギヤ段の場合と同様に、第2中間出力経路M2(第2ドリブンギヤ102)が回転速度NG1で回転させられる。そして、第2変速部94では、第5回転要素RE5は第3クラッチC3の係合により第2中間出力経路M2に連結されて回転速度NG1とされ、第6回転要素RE6は第2クラッチC2の係合により第1中間出力経路M1に連結されて回転速度「1」とされるので、縦線Y5上において回転速度NG1を表す点と、縦線Y6と横線X2との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(4th)により、ドライブピニオンギヤ104の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、第5回転要素RE5は第1クラッチC1の係合により回転速度「1」とされ、第6回転要素RE6は第2クラッチC2の係合により回転速度「1」とされるので、縦線Y5と横線X2との交点と、縦線Y6と横線X2との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(5th)により、ドライブピニオンギヤ104の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、第1変速部86において、一体化クラッチC0の係合により第3回転要素RE3と第1回転要素RE1とが連結されるので、第2速ギヤ段の場合と同様に、第2中間出力経路M2(第2ドリブンギヤ102)が回転速度NG1で回転させられる。そして、第2変速部94では、第6回転要素RE6は第2クラッチC2の係合により回転速度「1」とされ、第8回転要素RE8は第4クラッチC4の係合により回転速度NG1とされるので、縦線Y6と横線X2との交点と、縦線Y8上において回転速度NG1を表す点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(6th)により、ドライブピニオンギヤ104の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、第1変速部86において、一体化クラッチC0の係合により第3回転要素RE3と第1回転要素RE1とが連結されるので、第2速ギヤ段の場合と同様に、第2中間出力経路M2(第2ドリブンギヤ102)が回転速度NG1で回転させられる。そして、第2変速部94では、第5回転要素RE5は第3クラッチC3の係合により回転速度NG1とされ、また、第8回転要素RE8も第4クラッチC4の係合により回転速度回転速度NG1とされるので、縦線Y5上において回転速度NG1を表す点と、縦線Y8上において回転速度NG1を表す点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(7th)により、ドライブピニオンギヤ104の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、第1変速部86において、第1回転要素RE1が増速ブレーキB0の係合により回転速度「0」とされることから、縦線Y1と横線X1との交点と、入力軸16と一体的に回転させられる第3回転要素RE3を表す縦線すなわち縦線Y3と横線X2との交点とを結ぶ直線が縦線Y4と交差する点により第4回転要素RE4の回転速度NG0が示される。さらに、その回転速度NG0が第2カウンタギヤ対90により増速させられて回転速度NG2にて第2変速部94へ出力される。そして、第2変速部94では、第7速ギヤ段と同様に、第3クラッチC3および第4クラッチC4が係合されるので、縦線Y5上において回転速度NG2を表す点と、縦線Y8上において回転速度NG2を表す点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(8th)により、ドライブピニオンギヤ104の回転速度が示される。
後進ギヤ段では、第5回転要素RE5は第1クラッチC1の係合により回転速度「1」とされ、第6回転要素RE6は第4ブレーキB4の回転速度「0」とされるので、縦線Y5と横線X2との交点と、縦線Y6と横線X1との交点とを結ぶ直線が縦線Y7と交差する点(Rev)により、ドライブピニオンギヤ104の負の回転速度が示される。
上述のように、本実施例によれば、3組の遊星歯車装置92、22、24および第2カウンタギヤ対90によって、変速比幅を大きくとることができ且つ変速比ステップも適切な前進8速が可能な小型の車両用遊星歯車式多段変速機が得られる。すなわち、各変速比γが略等比的に変化させられ、ギヤ段の切り換えによる優れた増速特性或いは加速特性が得られるとともに、変速機80の変速比幅(=γ1/γ8)が比較的大きな値たとえば「6.604」とされているので、たとえば高速走行と登坂発進性能とが両立できる小型の車両用遊星歯車式多段変速機10が得られる。
また、本実施例によれば、第1クラッチC1および第4ブレーキB4が係合させられることによって後進変速段が成立させられるので、前進8速段に加え、後進1段の変速ギヤ段が得られる。
また、本実施例の変速機80は、入力軸16に連結された第1軸82およびその第1軸82に平行な第2軸84を有し、第1遊星歯車装置92は第1軸82上に配置され、第3遊星歯車装置22、第4遊星歯車装置24は第2軸84上に配置され、第1軸82と第2軸84との間で増速を行う第2カウンタギヤ対90が設けられ、且つ、エンジン8の出力は流体伝動装置としてのロックアップクラッチ13付のトルクコンバータ14を介して変速機80の入力軸16に入力されるので、コンパクトな自動変速機の設計が可能となる。
次に、本発明の第7実施例を説明する。図15は本発明の第7実施例の変速機110の構成を説明する骨子図であり、図16は各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。第7実施例は、第2変速部112の構成が相違するが、他の構成および係合作動は上記第6実施例と同様であり、第6実施例と同様の効果が得られる。以下に、その相違する部分について説明する。
第7実施例では、上記第2変速部112は、第3遊星歯車装置114および第4遊星歯車装置116の2組の遊星歯車装置を備えている。これら第3遊星歯車装置114および第4遊星歯車装置116はともにシングルピニオン型の遊星歯車装置であり、第3遊星歯車装置114は、第3サンギヤS3、第3遊星歯車P3、その第3遊星歯車P3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR3を備えており、たとえば「0.352」程度の所定のギヤ比ρ3を有し、第4遊星歯車装置116は、第4サンギヤS4、第4遊星歯車P4、その第4遊星歯車P4を自転および公転可能に支持する第4キャリヤCA4、第4遊星歯車P4を介して第4サンギヤS4と噛み合う第4リングギヤR4を備えており、たとえば「0.350」程度の所定のギヤ比ρ4を有している。
この第2変速部112においても、第1クラッチC1は第1ドリブンギヤ98と第2軸84との間を選択的に連結し、第2クラッチC2は第1ドリブンギヤ98と第4キャリヤCA4との間を選択的に連結し、第3クラッチC3は第2ドリブンギヤ102と第2軸84との間を選択的に連結し、第4クラッチC4は第2ドリブンギヤ102と第3キャリヤCA3との間を選択的に連結しているので、第1クラッチC1または第2クラッチC2のいずれか少なくとも一方が係合されると、第1中間出力経路M1を介して入力軸16の回転が第2変速部94へ入力され、第3クラッチC3または第4クラッチC4のいずれか少なくとも一方が係合されると、第2中間出力経路M2を介して入力軸16の回転が第2変速部94へ入力される。
また、第3サンギヤS3は第2軸84に相対回転不能に設けられ、第3キャリヤCA3は第4リングギヤR4およびドライブピニオンギヤ104と一体的に連結され、第3リングギヤR3は第3ブレーキB3を介してトランスミッションケース12に選択的に連結されるとともに、第4クラッチC4を介して第2ドリブンギヤ102に選択的に連結され、第4サンギヤS4は第2軸84に相対回転不能に設けられている。
以上のように構成された変速機110では、前述の第6実施例と同様に、たとえば、図13の係合作動表に示されるようにして第1速ギヤ段乃至第8速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT )が各ギヤ段毎に得られるようになっている。第1遊星歯車装置92のギヤ比ρ1、ρ2、第3遊星歯車装置114のギヤ比ρ3、第4遊星歯車装置116のギヤ比ρ4は、そのような変速比が得られるように設定されているのである。
図16の共線図の第2変速部112において左から順に、第5回転要素RE5は第3サンギヤS3および第4サンギヤS4から成り、第6回転要素RE6は第4キャリヤCA4から成り、第7回転要素RE7は第3キャリヤCA3および第4リングギヤR4から成り、第8回転要素RE8は第3リングギヤR3から成っている。これら回転要素を基にすれば、図16に示す共線図は、前述の図14に示す共線図と各回転要素の構成において相違するのみであり、共線図としては同様であるので、この図16の共線図の説明は割愛する。
次に、本発明の第8実施例を説明する。図17は本発明の第8実施例の変速機120の構成を説明する骨子図であり、図18は各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。第8実施例は、第2変速部122の構成が相違するが、他の構成および係合作動は上記第6実施例、第7実施例と同様であり、それらの実施例と同様の効果が得られる。以下に、その相違する部分について説明する。
第8実施例では、上記第2変速部122は、第3遊星歯車装置124および第4遊星歯車装置126の2組の遊星歯車装置を備えている。第3遊星歯車装置124はダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、第4遊星歯車装置126はシングルピニオン型の遊星歯車装置である。第3遊星歯車装置124は、第3サンギヤS3、互いに噛み合う複数対の第3遊星歯車P3、その第3遊星歯車P3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR3を備えており、たとえば「0.548」程度の所定のギヤ比ρ3を有している。第4遊星歯車装置126は、第4サンギヤS4、第4遊星歯車P4、その第4遊星歯車P4を自転および公転可能に支持する第4キャリヤCA4、第4遊星歯車P4を介して第4サンギヤS4と噛み合う第4リングギヤR4を備えており、たとえば「0.350」程度の所定のギヤ比ρ4を有している。
この第2変速部122においても、第1クラッチC1は第1ドリブンギヤ98と第2軸84との間を選択的に連結し、第2クラッチC2は第1ドリブンギヤ98と第4キャリヤCA4との間を選択的に連結している。また、第3クラッチC3は第2ドリブンギヤ102と第3キャリヤCA3との間を選択的に連結し、第4クラッチC4は第2ドリブンギヤ102と第3キャリヤCA3との間を選択的に連結しているので、第1クラッチC1または第2クラッチC2のいずれか少なくとも一方が係合されると、第1中間出力経路M1を介して入力軸16の回転が第2変速部94へ入力され、第3クラッチC3または第4クラッチC4のいずれか少なくとも一方が係合されると、第2中間出力経路M2を介して入力軸16の回転が第2変速部94へ入力される。
また、第3サンギヤS3は第2軸84に相対回転不能に設けられ、第3キャリヤCA3は第3クラッチC3を介して第2ドリブンギヤ102に選択的に連結されていることに加え、第2軸84に相対回転不能に連結され、第3リングギヤR3および第4キャリヤCA4は一体的に連結されるとともに、第4ブレーキB4を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、且つ、第2クラッチC2を介して第1ドリブンギヤ98に選択的に連結され、第4サンギヤS4は第2軸84に相対回転不能に設けられ、第4リングギヤR4はドライブピニオンギヤ104と一体的に連結されている。また、第2軸84は、第3ブレーキB3を介してトランスミッションケース12に選択的に連結されている。
以上のように構成された変速機120では、前述の第6乃至第7実施例と同様に、たとえば、図13の係合作動表に示されるようにして第1速ギヤ段乃至第8速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT )が各ギヤ段毎に得られるようになっている。第1遊星歯車装置92のギヤ比ρ1、ρ2、第3遊星歯車装置124のギヤ比ρ3、第4遊星歯車装置126のギヤ比ρ4は、そのような変速比が得られるように設定されているのである。
図18の共線図の第2変速部122において左から順に、第5回転要素RE5は第3キャリヤCA3および第4サンギヤS4から成り、第6回転要素RE6は第3リングギヤR3および第4キャリヤCA4から成り、第7回転要素RE7は第4リングギヤR4から成り、第8回転要素RE8は第3サンギヤS3から成っている。これら回転要素を基にすれば、図18に示す共線図は、前述の図14に示す共線図と各回転要素の構成において相違するのみであり、共線図としては同様であるので、この図18の共線図の説明は割愛する。
次に、本発明の第9実施例を説明する。図19は本発明の第9実施例の変速機130の構成を説明する骨子図であり、図20は各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。第9実施例は、第2変速部132の構成が相違するが、他の構成および係合作動は上記第6乃至第8実施例と同様であり、それらの実施例と同様の効果が得られる。以下に、その相違する部分について説明する。
第9実施例では、上記第2変速部132は、第3遊星歯車装置134および第4遊星歯車装置136の2組の遊星歯車装置を備えている。第3遊星歯車装置134はダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、第4遊星歯車装置136はシングルピニオン型の遊星歯車装置である。第3遊星歯車装置134は、第3サンギヤS3、互いに噛み合う複数対の第3遊星歯車P3、その第3遊星歯車P3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR3を備えており、たとえば「0.424」程度の所定のギヤ比ρ3を有している。第4遊星歯車装置136は、第4サンギヤS4、第4遊星歯車P4、その第4遊星歯車P4を自転および公転可能に支持する第4キャリヤCA4、第4遊星歯車P4を介して第4サンギヤS4と噛み合う第4リングギヤR4を備えており、たとえば「0.350」程度の所定のギヤ比ρ4を有している。
この第2変速部132においても、第1クラッチC1は第1ドリブンギヤ98と第2軸84との間を選択的に連結し、第2クラッチC2は第1ドリブンギヤ98と第4キャリヤCA4との間を選択的に連結している。また、第3クラッチC3は第2ドリブンギヤ102と第2軸84との間を選択的に連結し、第4クラッチC4は第2ドリブンギヤ102と第3サンギヤS3との間を選択的に連結しているので、第1クラッチC1または第2クラッチC2のいずれか少なくとも一方が係合されると、第1中間出力経路M1を介して入力軸16の回転が第2変速部94へ入力され、第3クラッチC3または第4クラッチC4のいずれか少なくとも一方が係合されると、第2中間出力経路M2を介して入力軸16の回転が第2変速部94へ入力される。
また、第3サンギヤS3は第3ブレーキB3を介してトランスミッションケース12にも選択的に連結され、第3キャリヤCA3および第4キャリヤCA4は一体的に連結されるとともに、第4ブレーキB4を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、且つ、第2クラッチC2を介して第1ドリブンギヤ98に選択的に連結され、第3リングギヤR3は第4リングギヤR4およびドライブピニオンギヤ104と一体的に連結され、第4サンギヤS4は第2軸84に相対回転不能に設けられている。
なお、上記第3遊星歯車装置134および第4遊星歯車装置136は所謂ラビニヨ型の遊星歯車列とされてもよい。すなわち、上記第3キャリヤCA3および第4キャリヤCA4が共通の部品にて構成されているとともに、第3リングギヤR3および第4リングギヤR4が共通の部品にて構成されており、且つ第4遊星歯車P4が互いに噛み合う一対の第3遊星歯車P3のいずれか1つを兼ねるように構成されてもよい。第3遊星歯車装置134および第4遊星歯車装置136をラビニヨ型の遊星歯車列とすれば、部品点数や軸長を一層低減できる。
以上のように構成された変速機130では、前述の第6乃至第8実施例と同様に、たとえば、図13の係合作動表に示されるようにして第1速ギヤ段乃至第8速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT )が各ギヤ段毎に得られるようになっている。第1遊星歯車装置92のギヤ比ρ1、ρ2、第3遊星歯車装置134のギヤ比ρ3、第4遊星歯車装置136のギヤ比ρ4は、そのような変速比が得られるように設定されているのである。
図20の共線図の第2変速部132において左から順に、第5回転要素RE5は第4サンギヤS4から成り、第6回転要素RE6は第3キャリヤCA3および第4キャリヤCA4から成り、第7回転要素RE7は第3リングギヤR3および第4リングギヤR4から成り、第8回転要素RE8は第3サンギヤS3から成っている。これら回転要素を基にすれば、図20に示す共線図は、前述の図14に示す共線図と各回転要素の構成において相違するのみであり、共線図としては同様であるので、この図20の共線図の説明は割愛する。
次に、本発明の第10実施例を説明する。図21は本発明の第10実施例の変速機140の構成を説明する骨子図であり、図22は各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。第10実施例は、第1変速部142における第1カウンタギヤ対88、第2カウンタギヤ対90、および第1遊星歯車装置92の軸方向の相対配置において前述の第6乃至第9実施例と相違し、また、第2変速部144の構成が相違するが、他の構成および係合作動は上記第6乃至第9実施例と同様であり、それらの実施例と同様の効果が得られる。以下に、その相違する部分について説明する。
前述の第6乃至第9実施例の第1変速部86では、トルクコンバータ14側から、第1カウンタギヤ対88、第1遊星歯車装置92、および第2カウンタギヤ対90の順に配置されていたが、第10実施例では、第1変速部142は、トルクコンバータ14側から、第1遊星歯車装置92、第2カウンタギヤ対90、および第1カウンタギヤ対88の順に配置されている。ただし、第1カウンタギヤ対88、第2カウンタギヤ対90の減速比、第1遊星歯車装置92の構成は前述の第6乃至第9実施例と同様である。
本実施例の第2変速部144は、第3遊星歯車装置146および第4遊星歯車装置148の2組の遊星歯車装置を備えている。第3遊星歯車装置146はダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、第4遊星歯車装置148はシングルピニオン型の遊星歯車装置である。第3遊星歯車装置146は、第3サンギヤS3、互いに噛み合う複数対の第3遊星歯車P3、その第3遊星歯車P3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR3を備えており、たとえば「0.548」程度の所定のギヤ比ρ3を有している。第4遊星歯車装置148は、第4サンギヤS4、第4遊星歯車P4、その第4遊星歯車P4を自転および公転可能に支持する第4キャリヤCA4、第4遊星歯車P4を介して第4サンギヤS4と噛み合う第4リングギヤR4を備えており、たとえば「0.352」程度の所定のギヤ比ρ4を有している。
この第2変速部144においては、第3サンギヤS3および第4リングギヤR4は一体的に連結されるとともに、第4クラッチC4を介して第2ドリブンギヤ102に選択的に連結され、且つ、第3ブレーキB3を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、第3キャリヤCA3は、第1クラッチC1を介して第1ドリブンギヤ98に選択的に連結されるとともに、第3クラッチC3を介して第2ドリブンギヤ102に選択的に連結され、第3リングギヤR3は、第2クラッチC2を介して第1ドリブンギヤ98に選択的に連結されるとともに、第4ブレーキB4を介してトランスミッションケース12に選択的に連結され、第4サンギヤS4は第2軸84に相対回転不能に設けられ、第4キャリヤCA4はドライブピニオンギヤ104と一体的に連結されている。
以上のように構成された変速機140では、前述の第6乃至第9実施例と同様に、たとえば、図13の係合作動表に示されるようにして第1速ギヤ段乃至第8速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT )が各ギヤ段毎に得られるようになっている。第1遊星歯車装置92のギヤ比ρ1、ρ2、第3遊星歯車装置146のギヤ比ρ3、第4遊星歯車装置148のギヤ比ρ4は、そのような変速比が得られるように設定されているのである。
図22の共線図の第2変速部144において左から順に、第5回転要素RE5は第3キャリヤCA3および第4サンギヤS4から成り、第6回転要素RE6は第3リングギヤR3から成り、第7回転要素RE7は第4キャリヤCA4から成り、第8回転要素RE8は第3サンギヤS3および第4リングギヤR4から成っている。これら回転要素を基にすれば、図22に示す共線図は、前述の図14に示す共線図と各回転要素の構成において相違するのみであり、共線図としては同様であるので、この図22の共線図の説明は割愛する。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例の変速機10、40、50、60、70、80、110、120、130、140では、前進8速の変速段が成立させられたが、その8速の変速段のうちのいずれか1つを除いて前進7速の変速段が成立させられるようにしてもよい。
また、前述の実施例の変速機10、40、50、60、70、80、110、120、130、140では、エンジン8とトルクコンバータ14とはクランク軸9を介して直結されていたが、たとえばギヤ、ベルト等を介して作動的に連結されておればよく、共通の軸心上に配置される必要もない。また、エンジン8は他の駆動力源たとえば電動モータ等であってもよい。
また、前述の実施例の変速機10、40、50、60、70、80、110、120、130、140において、クラッチC0〜C4、ブレーキB0〜B4のいずれか少なくとも一つに、一方向クラッチが直列または並列に設けられてもよい。このようにすれば、変速制御が容易となる。また、クラッチC0〜C4、ブレーキB0〜B4のいずれか少なくとも一つが一方向クラッチに取り替えられてもよい。このようにしても一応の変速が得られる。
また、前述の実施例では、エンジン8と入力軸16との間に流体伝動装置としてロックアップクラッチ13付のトルクコンバータ14が設けられていたが、ロックアップクラッチ13は備えられてなくてもよい。また、そのトルクコンバータ14に替えて、フルードカップリング、磁粉式電磁クラッチ、多板或いは単板式の油圧クラッチが設けられていてもよい。
また、前述の実施例の共線図は、縦線Y1乃至Y8が左から右へ向かって順次配列されていたが、右から左へ向かって順次配列されていてもよい。また、回転速度零に対応する横軸X1の上側に回転速度「1」に対応する横軸X2が配置されていたが、横軸X1の下側に横軸X2が配置されていてもよい。
また、前述の実施例では、係合要素であるクラッチC或いはブレーキBは油圧式摩擦係合装置であったが、電磁式係合装置たとえば電磁クラッチや磁粉式クラッチ等であってもよい。
また、前述の第6乃至第10実施例では、カウンタギヤ対90が増速装置として機能していたが、カウンタギヤ対90に代えて、チェーンまたはベルトにより第1軸82の回転を増速して第2軸84へ伝達する型式の動力伝達装置を用いてもよい。
また、前述の第6乃至第10実施例において、第1軸82上に、さらに一組またはそれ以上の遊星歯車装置が設けられていてもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。