JP2004538008A - 方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、プリオン病に対する被験者の感受性を決定する方法であって、(a)前記被験者からのサンプルを提供するステップと、(b)前記サンプルのヒト白血球抗原に対する特異性を決定するステップとを含み、前記サンプルがDQ7ヒト白血球抗原に対する特異性を有する場合は、前記被験者がプリオン病に対して低い感受性を有し、前記サンプルがDQ7ヒト白血球抗原に対する特異性を有さない場合は、前記被験者がプリオン病に対して高い感受性を有する、と決定する方法に関する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は方法に関する。特に本発明は、プリオン病に対する被験者の感受性を決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリオンは、核酸を含まない伝染性の粒子である。最も顕著なプリオン病は、ウシ海綿状脳症(BSE)、ヒツジのスクレーピー、及びヒトのクロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)である。CJDの最も一般的な症状発現は、個体中で自然に発生する散発性CJD(sCJD)である。医原性CJD(iCJD)は、偶発的な感染から生じる疾患である。家族性CJD(fCJD)は、家系中で稀に発生し、ヒトPrP遺伝子の突然変異によって引き起こされる、CJDの1つの形態である。ヒトの「新しい変異型」CJD(vCJD)は、他の型のCJDに関して見られるものと異なる、PrP糖型のパターンと関連があるCJDの異なる系統型である。BSEがウシ類から伝わって、ヒトのvCJDをもたらした可能性があることが示唆されている。
【0003】
プリオンは、PrPScと呼ばれる、プリオンタンパク質(PrP)の改変されたイソ型のみで構成されているようである。正常細胞のPrP(PrPCと呼ばれる)は、翻訳後プロセスによってPrPScに転換される。このプロセス中、PrPCの構造が変化し、PrPの生理化学的性質の変化を伴う。PrPScのアミノ酸配列は、遺伝子が複製し続ける哺乳動物宿主の、PrP遺伝子によってコードされるアミノ酸配列によって決まる。
【0004】
vCJDなどのプリオン病の疫学は、依然として確かなものではない。Attwood(2001)Trends in Biotechnology 19:8:283は、BSEが実際に、食物を汚染することによってvCJDを引き起こしている可能性が高いことが、研究によって現在確認されていると報告している。約100万頭の汚染されたウシが、ヒトの食物連鎖中に入りこんでいると考えられ、したがって、vCJDの大規模な将来の蔓延が予想される。Beale(2001)J R Soc Med 94:207〜209は、プリオン感染からプリオン病までの長い潜伏期によって、実験作業が緩慢且つ困難なものになっていると報告している。
【0005】
プリオン感受性を予測することが望ましい。プリオン感受性は多因性条件のものであると考えられる。プリオン感受性を予想するための従来技術の試みはわずかであり、それらは主にsCJD及びfCJDに焦点を当てたものである。プリオン感受性を予想する方法が必要とされている。
【0006】
ある従来技術の研究は、vCJD病をPrP配列多型と相関付けている(PrP Met129、Collinge他、1996 Lancet vol 348 p.56を参照のこと)。
【0007】
本発明は、従来技術に関する問題点を克服しようとするものである。
【非特許文献1】
Attwood(2001)Trends in Biotechnology 19:8:283
【非特許文献2】
Beale(2001)J R Soc Med 94:207〜209
【非特許文献3】
Collinge他、1996 Lancet vol 348 p.56
【非特許文献4】
Roitt、Brostoff及びMale編‘Immunology’、1996 4th Edition、Mosby Times Mirror International Publishers Limited刊行
【非特許文献5】
Bodmer他、1994 Tissue Antigens vol 44 pp 1〜18
【非特許文献6】
Victor A.McKusick他による、http://www.nebi.nlm.nih.gov/Omim
【非特許文献7】
Todd他(1987)Nature 329:599〜604
【非特許文献8】
Kwok他(1989)Proc.Nat.Acad.Sci.86:1027〜1030
【非特許文献9】
Todd他(1990)Proc.Nat.Acad.Sci.87:1094〜1098
【非特許文献10】
Giorda他(1991)Immunogenetics 33 404〜408
【非特許文献11】
Yunis(1994)Proc.Nat.Acad.Sci.91 7747〜7751
【非特許文献12】
Delgado他(1996)Proc.Nat.Acad Sci.93:8569〜8571
【非特許文献13】
Arif他(1999)J.Clin.Endocr.Metab.84 1056〜1060
【非特許文献14】
Miller他(1988)Nuc.Acids Res.16,1215
【非特許文献15】
Katz他(1987)JPeriodontol 58:607〜610
【非特許文献16】
Bidwell(1998)Immunology Today 9,18〜23
【非特許文献17】
Angelini他(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,4489〜4493
【非特許文献18】
Bunce他(1995)Tissue Antigens 46,355〜367
【特許文献1】
WO 98/16834
【非特許文献19】
Collinge他(1991)Lancet 337,1441〜1442
【非特許文献20】
Palmer他(1991)Nature 352,340〜342
【非特許文献21】
Collinge他(1996)Lancet 348,56
【非特許文献22】
Sambrook他、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(1989)
【非特許文献23】
Ausubel他、Short Protocols in Molecular Biology(1999)4th Ed,John Wiley & Sons,Inc
【非特許文献24】
Scott他(1989),Cell 59,847〜857
【非特許文献25】
Scott他(1992)Protein Sci.,1,986〜997
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII型のDQ7が、プリオン病に対する感受性と関連があるという、驚くべき発見に基づくものである。DQ7を有する被験者はプリオン病に対して低い感受性を有し、一方DQ7 HLA型を有していない被験者は、プリオン病に対して高い感受性を示す。
【0009】
したがって、本明細書では、被験者中のDQ7の欠如が、プリオン病に対して高い感受性と相関関係があることを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一の態様では、本発明は、プリオン病に対する被験者の感受性を決定する方法であって、前記被験者からのサンプルを提供するステップと、前記サンプルのヒト白血球抗原(HLA)に対する特異性を決定するステップとを含み、前記サンプルがDQ7ヒト白血球抗原に対する特異性を有する場合は、前記被験者がプリオン病に対して低い感受性を有し、前記サンプルがDQ7ヒト白血球抗原に対する特異性を有さない場合は、前記被験者がプリオン病に対して高い感受性を有すると決定する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
サンプルは、HLA型の分類を行うことができる任意の組織又は体液であってよい。
【0012】
「HLA特異性を決定する」とは、HLA特異性又はHLA型を解明することを意味する。このプロセスは一般に、「HLA型分類」と呼ばれる。用語「HLA特異性」及び「HLA型」は、本明細書では互換的に使用する。
【0013】
サンプルをHLA型分類する(すなわち、HLA特異性を決定する)ときは、充分な情報を集めて、そのサンプルがDQ7であるか、それともDQ7ではないかを決定しなければならない。用語「DQ7」は、無数の基本的な免疫学教本(たとえば、Roitt、Brostoff及びMale編集「Immunology」、1996 4th Edition、Mosby Times Mirror International Publishers Limited刊を参照のこと;Bodmer他、1994 Tissue Antigens vol 44 pp 1〜18も参照のこと)に記載されている、よく知られているHLA型を指す。
【0014】
当業者に知られている任意の適切な手段によって、サンプルをHLA型分類することができる。このような手段には、血清型の分類、DNAの配列決定、配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)、又は配列特異的プライマーによるPCR(PCR−SSP)などの核酸に基づく方法、又は任意の他の適切な方法がある。HLAの型分類については、以下でより詳細に論じる。核酸に基づく方法を使用して、サンプルをHLA型分類することが好ましい。したがって、他の態様では、本発明は、前に記載した方法であって、ヒト白血球抗原に対する特異性を核酸に基づく方法によって決定する方法に関する。PCR−SSPを使用して、サンプルをHLA型分類することが好ましい。したがって、他の態様では、本発明は、前に記載した方法であって、核酸に基づく方法が配列特異的プライマーによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR−SSP)を含む方法に関する。
【0015】
他の態様では、本発明は、前に記載した方法であって、プリオン病がvCJDである方法に関する。
【0016】
他の態様では、本発明は、前に記載した方法であって、サンプルが体液又は組織であるか、或いはそれに由来するものである方法に関する。
【0017】
他の態様では、本発明は、前に記載した方法であって、体液又は組織が血液である方法に関する。
【0018】
他の態様では、本発明は、前に記載した方法であって、サンプルが体液又は組織から抽出した核酸であるか、或いはそれに由来するものである方法に関する。
【0019】
プリオン
本明細書では、用語「プリオン」は、当分野におけるその通常の意味を有するものであり、核酸を含まないタンパク質性感染粒子を指す。
【0020】
動物及びヒトのプリオン病は、異常な形状の宿主コード化タンパク質、PrPScの堆積によって特徴付けられる。ヒトのプリオン病には、遺伝性、散発性及び後天性の形態がある。クロイツフェルト−ヤコブ病の変異型(vCJD)は1996年に同定され、ウシ海綿状脳症(BSE)プリオン感染物質に曝されることによって生じる。vCJDは、散発性及び他の形態のCJDのそれとは異なる病因を有しており、リンパ細網組織内でのPrPScの蓄積が顕著である。
【0021】
プリオン病、即ち伝達性海綿状脳症は、核酸を含まない新規な感染物質によって引き起こされる神経変性疾患である。2つの新たな関連プリオン病;ウシ類のBSE及びヒトのvCJDの出現に刺激され、分子ベースでの疾患の病因に関する熱心な研究努力が行われている。このvCJDが、食事又は他の形でのBSE物質への暴露の結果として生じたものであることは、分子学的及び生物学的な系統の型分類研究によって支持されており、多くの個体が感染している可能性がある。vCJDの特徴的な病因は、推定経口感染経路、又はプリオン系統に特異的な作用に関係している可能性がある。リンパ細網系(LRS)の関与も、ヒツジのスクレーピー及びネズミモデルのスクレーピーにおいて見られ、この場合は濾胞樹状細胞に、潜伏期の初期、神経学的徴候の発症の充分前に、PrPScが蓄積することが示されている。LRS中でのプリオン複製が、末梢部分への少量の感染物質の接種に続く神経への侵入の前提条件である可能性がある。
【0022】
プリオンに関する背景知識は、Victor A.McKusick他によって、http://www.nebi.nlm.nih.gov/Omimに示されている。プリオンに関する以下の情報は、この情報源から抜き出したものである。
【0023】
プリオンタンパク質遺伝子の突然変異は、ゲルストマン−ストロイスラー症候群(GSD)、クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)、及び家族性致死性不眠症と関係があり、異常なイソ型のプリオンタンパク質は、これらの疾患において、又クールー及びヒツジのスクレーピーにおいて、感染物質として働くことができる。
【0024】
Prusiner(1982、1987)は、プリオンが、核酸を含まない新しいクラスの感染物質であることを示唆した用語プリオンは、Prusiner(1982)によって考案されたもので、「タンパク質感染物質」に由来する)。プリオン病は、接種により伝染し、或いは常染色体優性障害として遺伝する、神経変性疾患である。Prusiner(1994)は、伝達性海綿状脳症の病因を概説し、プロテアーゼ耐性イソ型プリオンタンパク質がこれらの疾患の病因において重要であることを示した。Mestel(1996)は、感染性タンパク質の存在に関する、賛成及び反対の証拠、並びに賛成及び反対の意見を概説した。
【0025】
Tagliavini他(1991)は、インディアナ州のある一族の2人の患者から単離したアミロイド斑中心部から抽出したタンパク質を、精製し特徴付けした。彼らは、GSDアミロイドの主要成分がPrPの11kDの分解産物であり、そのN末端は、ヒトPrPのcDNA由来のアミノ酸配列の、位置58におけるグリシン残基に対応することを発見した。さらに、アミロイド画分は、外見上完全なN末端及びアミロイドP成分を有する、大きなPrP断片を含んでいた。Tagliavini他(1991)は、これらの発見を、疾患のプロセスがPrPのタンパク質分解をもたらし、アミロイド形成ペプチドを生成させ、それが重合して不溶性繊維になることを示すものと解釈した。家系中で構造遺伝子の突然変異は発見されていないので、PrPの一次構造以外の要因が、アミロイド形成プロセスにおいて重要な役割を果たしている可能性がある。
【0026】
1つの解釈は、プリオンがシアロ糖タンパク質であり、その合成がこの障害の主な原因である感染物質によって刺激されるということであり、Manuelidis他(1987)は、PrPペプチドがCJDの感染物質ではないことを示唆する証拠を示した。Pablos−Mendez他(1993)は、「プリオン病の回りくどい歴史」を概説し、プリオンが感染性である、すなわちプリオンは細胞傷害性の代謝産物であるという概念に対する、代替案を示唆した。
【0027】
この筆者達は、代謝産物であるPrPのプロセッシングの研究、及びこのタンパク質の出現を増大させる物質の試験が、彼らの仮説を試験するための有用な方法であろうことを示唆した。彼らのモデルによって、PrPの異化作用を阻害することができる物質によって、PrPの蓄積がもたらされるであろうと予言された。トランスジェニックマウス中のPrP合成が高まると、実験におけるスクレーピーの潜伏期が短くなる。Pablos−Mendez他(1993)の仮説は、PrPの合成経路ではなく分解経路の細胞内での混乱を示唆するものであった。
【0028】
Forloni他(1993)は、PrPペプチド106〜126は、in vitroで重合してアミロイド様繊維になる高い固有の能力を有することを見出した。彼らは、主なラット海馬回の培養物をこのペプチドに対応するミクロモル濃度のペプチドに慢性的に曝すことによって、ニューロン死がもたらされることも示した。彼らは、このペプチドの神経毒性作用に、アポトーシス機構が関与していることを示唆した。
【0029】
伝達性海綿状脳症の感染性病原物質は、正常なプロテアーゼ感受性PrPタンパク質から翻訳後に誘導される、プロテアーゼ耐性のある、不溶形のPrPタンパク質であることが示唆されている(Beyreuther及びMasters、1994)。Kocisko他(1994)は、精製成分から構成された無細胞系における、正常なPrPタンパク質のプロテアーゼ耐性PrPタンパク質への転換を報告した。PrPの正常形から病原形へのこの選択的転換には、既存の病原性PrPの存在が必要であった。この筆者達は、この転換は、新しいPrPタンパク質の生合成、そのアミノ関連グリコシル化、又はその正常なグリコシルホスファチジルイノシトールアンカーの存在を必要としないことを示した。これによって、病原性PrPタンパク質が、それと正常なPrPタンパク質の間の特異的なタンパク質間相互作用から形成することができるという、直接的な証拠が与えられた。
【0030】
Rivera他(1989)は、その核型がテロメア融合15p;20pから生じる偽二動原体染色体を示す、重度の進行性神経障害を有する13才の男子を記載した。リンパ球では、異常染色体の動原体の狭窄部は常に染色体20のそれであり、一方線維芽細胞では、2つの動原体が交互に狭窄していた。この筆者達は、動原体の不活性化が、改変された形状の機能的DNA配列が動原体特異的タンパク質との正常な結合を妨げることから生じることを示唆した。彼らは又、クロイツフェルト−ヤコブ病において見られるような、海綿状神経膠ジストロフィーを連想させる患者の障害が、プリオンタンパク質の突然変異体の存在に付随する可能性があると仮定した。
【0031】
Collinge他(1990)は、家族性であれ散発性であれ「プリオン病」が、より適切な診断用語となる可能性があることを示唆した。GSD症を有するインディアナ州の一族が、Farlow他(1989)及びGhetti他(1989)によって報告された。遺伝的予想においてPrP遺伝子分析を使用することは、浸透度に関する不確かさ、及び任意の遺伝性の後期発症神経変性障害の前駆症状試験の複雑さから生じる、潜在的な問題点を有する。しかしながら、Collinge他(1991)は、その分析が、遺伝性プリオン病を有する家系の遺伝に関するカウンセリングの向上においてある役割を果たし、リスクのある人のCJD又はGSDの前駆症状の診断又は排除を可能にすると結論付けした。
【0032】
Gajdusek(1991)は、今日までに発見されたPRNP突然変異体のチャートを与えた:1個のアミノ酸変化を引き起こす5個の異なる突然変異体、及び5,6,7,8,又は9個のオクタペプチドリピートの5個の挿入体。彼は又、アミロイド症をもたらすトランスサイレチン遺伝子(TTR;176300)中で同定された18個の異なるアミノ酸置換体の表も与え、この2クラスの疾患の挙動の相似点を指摘した。
【0033】
Schellenberg他(1991)は、アルツハイマー病を有する76家系、おそらく散発性である127症例のアルツハイマー病、16症例のダウン症候群、及び256の正常な対照において、CJD及びGSSDと関連する、PRNP遺伝子及びPRNP挿入突然変異体のコドン102、117、及び200における、ミスセンス突然変異を探したが、これらの突然変異を肯定するものは無かった。Jendroska他(1994)は、組織片の免疫染色を使用して、特発性のパーキンソン病(PD;168600)、多系統萎縮症、びまん性レビー小体病(127750)、スチール−リチャードソン−オルスゼフスキー症候群(260540)、皮質基底核変性症、及びピック病(172700)を含めた、90症例のさまざまな運動障害において、病原性プリオンタンパク質の検出を試みた。これらの脳標本のいずれにおいても、病原性プリオンタンパク質は同定されなかったが、クロイツフェルト−ヤコブ病を有する4つの対照ではそのタンパク質は容易に検出された。Perry他(1995)はSSCPを使用して、54家系からの82人のアルツハイマー病患者(30の家族性の症例を含む)、及び39人の年齢一致対照における、プリオン遺伝子座の突然変異をスクリーニングした。Perry他は、コドン68の周辺に、後期発症アルツハイマー病家系の2人の罹患した同胞及び1人の子孫において、5個のグリシン−プロリンが豊富なオクタリピートのうち1個の除去をもたらす24bpの欠失を発見した。しかしながら、同系中の他の罹患者はこの欠失を共有しておらず、この欠失は後期発症アルツハイマー病家系からの、6人の非罹患メンバーのうち3人の年齢一致対照においても検出された。別のオクタリピートの欠失が、同じアルツハイマー病家系からの他の3人でも検出され、そのうち2人が罹患していた。他の突然変異は発見されなかった。Perry他(1995)は、彼らの調査において、プリオンタンパク質の突然変異とアルツハイマー病を関連付ける証拠は存在しないと結論付けた。
【0034】
Hsiao他(1990)は、分析した家系の3人のメンバーにおいて、PrP遺伝子のオープンリーディングフレームにおける突然変異を発見できなかったが、Hsiao他(1992)は、後になって、フェニルアラニン198からセリンへの突然変異を実証した;176640.0011を参照のこと。
【0035】
Palmer及びCollinge(1993)は、プリオンタンパク質遺伝子の突然変異及び多型について概説した。
【0036】
Chapman他(1996)は、プリオンタンパク質遺伝子の、コドン200における病原性リシンの突然変異がヘテロ接合性であり(176640.0006)、コドン129におけるメチオニンがホモ接合性である患者の、致死性不眠症及び重大な視床の病態を実証した。Chapman他は、この表現型と、コドン178における突然変異に関連する表現型と類似性を強調した(176640.0010)。
【0037】
Collinge他(1996)は、広範囲のヒトプリオン病の症例を調査して、異なる天然プリオン系統型を示す可能性がある、プロテアーゼ耐性PrPのパターンを同定した。Collinge他は、「新しい変異型」CJDからのプロテアーゼ耐性PrPを研究して、他の形態のCJDと分子的基準によって区別することができる、異なる系統型であるかどうか決定した。Collinge他(1996)は、散発性CJD及び医原性CJD(通常は死体脳からの成長ホルモンの投与による)が、ウエスタンブロットにおいてプロテアーゼ耐性PrPの3個の異なるパターンと関連付けられることを実証した。型1及び2は散発性CJDで見られ、医原性CJDのいくつかの症例で見られる。3型は、末梢経路がプリオンに曝された、後天性のプリオン病で見られる。Collinge他(1996)は、ウエスタンブロット法において、「新しい変異型」CJDが、特徴的なパターンのPrPのグリコシル化が関与するプロテアーゼ耐性PrPの独特で高度に一貫性のある出現と関連することを報告した。CJDが近交系マウスに伝播することによって、接種性CJDに特徴的なPrPパターンが生じた。ウシ海綿状脳症(BSE)プリオンの伝播によって、「新しい変異型」CJDのそれと非常に類似したPrPの糖型比のパターンが生じた。Collinge他(1996)は、マカクの実験的BSE、及び家ネコにおける自然の後天性BSEからのPrPが、実験的なネズミのBSE及び「新しい変異型」CJDのそれと区別できない、糖型のパターンを示すことを見出した。Collinge他(1996)の報告は、Aguzzi及びWeissmann(1996)によって概説され、彼らは、Collinge他(1996)が、BSEに関係する「新しい変異型」CJDの神経病原的及び臨床的特徴を概説したと結論付けた。
【0038】
Prusiner(1996)は、プリオン病の分子生物学及び遺伝学の包括的な概説を与えた。Collinge(1997)も同様に、この話題を概説した。彼は3種類のヒトプリオン病を認めた:(1)後天型、クールー及び医原性CJDを含む;(2)散発型、典型的及び非典型的な形のCJDを含む;(3)遺伝型、家族性CJD、ゲルストマン−ストロイスラー症候群、家族性致死性不眠症、及びさまざまな非典型的痴呆を含む。Collinge(1997)は、その時までに報告された12の病原性突然変異を表にした。疾患の表現型をコードするタンパク質の能力が、生物学において重要な非メンデル型の遺伝を表すことが示されたので、Collinge(1997)は、進化においてこの方法がある範囲の種において他のタンパク質に使用されなかったとすれば、驚くべきことであると思われるとコメントした。彼は、酵母菌中でのプリオン様機構の同定について言及した(Wickner、1994;Ter Avanesyan他、1994)。
【0039】
Horwich及びWeissman(1997)は、関連する伝達性神経変性疾患の群における、プリオンタンパク質の中心的役割について概説した。そのデータから、プリオンタンパク質がこの疾患プロセスに必要とされること、及び、プリオンタンパク質のその正常な可溶性アルファらせん構造から不溶性ベータシート状態への構造転換が、その疾患の発生及び感染性と密接に関係することが実証された。この転換プロセスに関して多くのことが依然として明らかではないと、彼らは指摘した。
【0040】
Mallucci他(1999)は、初老性痴呆、失調、及び他の神経精神病的特徴が常染色体優性遺伝として分離されている、ある大きな英国の家系を記載した。脱髄性疾患、アルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病、及びゲルストマン−ストロイスラー症候群の診断が、特定の個人で異なる回数行われてきた。Mallucci他(1999)は、同じ一族の一部である可能性があるアイルランドの家系も記載しており、その中で、罹患者における、多発性硬化症、痴呆、皮質基底核変性症、及び「新しい変異型」CJDの診断が考慮された。分子的研究により、PRNP遺伝子のアラニン17からバリンへの突然変異によって、この障害がプリオン病として同定された。彼らは、これらの一族に見られる表現型の発現の多様性を強調し、「新しい変異型」CJDが疑われる症例を含めて、非典型的な初老性痴呆又は神経精神病的特徴、及び失調を示す任意の個人におけるPRNP分析により、遺伝性プリオン病を除外すべきであると提案した。Hegde他(1999)は、伝播性プリオン病と遺伝性プリオン病は、共通の神経変性経路を共有することを実証した。Hegde他(1999)は、異常に折りたたまれたイソ型である、蓄積したPrPScが、神経変性疾患を引き起こすのに有効かどうかが、宿主コード化PrPがCtmPrPと呼ばれる膜貫通形になりやすいかどうかに依存することを観察した。さらに、伝播性プリオン病におけるPrPSc蓄積の時間行程の直後に、CtmPrPの生成が増大する。したがって、PrPScの蓄積によって、CtmPrPの生成又は代謝に慣用する事象がtransに調節されるようである。Hegde他(1999)は、これらのデータ全体から、CtmPrP仲介の神経変性の事象が、遺伝性及び感染性プリオン病の病因において共通のステップを表す可能性があることが示唆されると結論付けた。
【0041】
PrPc、すなわち細胞の非病原性イソ型PrPは、ニューロン中で強く発現される遍在する糖タンパク質である。Mouillet−Richard他(2000)は、ネズミ1C11のニューロン化モデルを使用して、抗体仲介クロスリンクを介したPrPc依存性シグナル伝達を調べた。1C11クローンは、ニューロン関連の機能が欠けた上皮の形態を有する、関連する神経外胚葉の子孫である。誘導すると、1C11細胞はニューロン様の形態を発現し、セロトニン作動性又はノルアドレナリン作動性細胞に分化し得る。2つの分化経路間の選択は、使用する誘導物質の組に依存する。PrPcを特異的抗体と結合させると、セロトニン作動性細胞とノルアドレナリン作動性細胞の両方で、チロシンキナーゼFYN(137025)のリン酸化レベルの著しい低下が誘導された。PrPcとFYNの結合は、カベオリン−1(601047)に依存した。Mouillet−Richard他(2000)は、クラトリン(118960を参照のこと)が、この結合に寄与している可能性もあることを示唆した。1C11細胞系がPrPc依存性のFYNの活性化を誘発する能力は、その完全に分化したセロトニン作動性又はノルアドレナリン作動性の子孫に限られていた。さらに、PrPcのシグナル活性は主に神経突起で生じた。Mouillet−Richard他(2000)は、PrPcがシグナル伝達タンパク質である可能性があることを示唆した。
【0042】
マッピング
プリオン関連タンパク質のヒト遺伝子は、体細胞のハイブリダイゼーションとin situハイブリダイゼーションの組合せによって(Sparkes他、1986)、又分類した染色体からのDNAのスポットブロッティングによって(Liao他、1986)、20p12−pterに位置付けられている。Robakis他(1986)も、in situハイブリダイゼーションによって、PRNP遺伝子座を20pに帰属させた。
【0043】
細胞間の20pの欠失を分析することによって、Schnittger他(1992)は、以下の順の遺伝子座:pter−−PRNP−−SCG1(118920)−−BMP2A(112261)――PAX1(167411)−−cenを実証した。Puckett他(1991)は、PRNP遺伝子の5’−プライマー、高度のヘテロ接合性を有し、染色体20のpter−p12領域用の有用なマーカーとして働くことができると思われるRFLPを同定した。
【0044】
Riek他(1998)は、マウスのプリオンタンパク質の微細NMR構造を使用して、遺伝性のヒト伝達性海綿状脳症の構造的基盤を調べた。細胞形のマウスのプリオンタンパク質中では、疾患特異的なサブドメインの存在を示すと思われる、突然変異部位の空間的クラスタリングは観察されなかった。残基128と178の間の水素結合が、ヒトPRNPにおける位置129での多型の、アスパラギン酸178からアスパラギン(D178N;176640.0007)への突然変異によって分離される疾患の表現型に対する、観察された非常に特異的な影響の構造的基礎を与えた。全体として、このNMR構造は、疾患関連アミノ酸の置換の一部だけが、細胞形のPRNPの低い安定性をもたらすことを暗示し、突然変異タンパク質の微妙な構造的差異が、分子内シグナリングにさまざまな異なる方法で影響を与える可能性があることを示している。
【0045】
Windl他(1999)は、ドイツのクロイツフェルト−ヤコブ病監視団体に付記された、プリオン病の疑いがある、578人の患者のPRNP遺伝子のコード領域中の突然変異及び多型を、4.5年にわたって調べた。彼らは、以前に病原性として報告されたミスセンス突然変異をもつ、40の症例を発見した。これらの中では、D178N突然変異が最も一般的であった。これらの症例のすべてにおいて、D178Nはコドン129におけるメチオニンと結合しており、その結果、典型的な家族性致死性不眠症の遺伝型がもたらされた。2つの新規なミスセンス突然変異、及びいくつかのサイレント多型が発見された。その図1に、Windl他(1999)は、PRNPのコード領域における知られている病原性突然変異を図示した。
【0046】
歴史
Aguzzi及びBrandner(1999)は「プリオンの遺伝学」を概説したが、これが用語の点で矛盾するかどうかという問題を提起した。なぜなら、伝達性海綿状脳症を引き起こす不可解な物質として彼らが定義したプリオンは、非遺伝性病理の典型であるからである。Griffith(1967)によって最初に提出された、タンパク質のみの仮説では、プリオンの感染性は、現在PRNPと呼ばれている異常な形態の細胞タンパク質である、スクレーピータンパク質と同一であると述べている。複製は、スクレーピーのプリオンが細胞のプリオンを召集し、それを別のスクレーピープリオンに転換することによって起こる。新たに形成されたスクレーピープリオンは、転換サイクルに加わり、スクレーピープリオンのより速やかな蓄積をもたらす事象の連鎖反応が生じる。この仮説は、Prusiner(1982)が病原性タンパク質を精製し、Weissmann及び彼の同僚(Oesch他1985;Basler他1986)が、スクレーピータンパク質及びその正常細胞の相当物PRNPをコードする遺伝子をクローニングした後に、広く承認され受け入れられた。Weissmannのグループ(Bueler他1993)が、タンパク質のみの仮説によって予想されたように、Prnpの遺伝的切断により、プリオンに曝したときマウスが実験的スクレーピーから保護されることを示すと、さらなる勢いを得た。Aguzzi及びBrandner(1999)は、家族性の形のプリオン病とプリオン遺伝子の突然変異との関連の発見を、重要な画期的事件である(Hsiao他1989)と考えた。
【0047】
動物モデル
プリオンの構造遺伝子(Prn−p)は、マウス染色体2に位置付けられている。Prn−pと密接に関連する、第2のネズミ遺伝子座、Prn−iによって、マウスにおけるスクレーピーの潜伏期の長さが決まる(Carlson他1986)。Pid−1で表される、スクレーピーの潜伏期を調節する別の遺伝子は、マウス染色体17上に位置している。Scott他(1989)は、ゴールデンハムスターからのプリオンタンパク質遺伝子を収容したトランスジェニックマウスは、ハムスタースクレーピーのプリオンを接種すると、ハムスターに特徴的なスクレーピー感染性、潜伏期、及びプリオンタンパク質のアミロイド斑を示すことを実証した。Hsiao他(1994)は、高レベルの突然変異体P101Lプリオンタンパク質を発現する、2系統のトランスジェニックマウスにおいて、実験用ネズミのスクレーピーと区別できない、神経病及び中枢神経系の病状が発現したことを見出した。ヒトプリオンタンパク質中のアミノ酸102は、マウスプリオンタンパク質中のアミノ酸101に対応する。したがって、P101Lのネズミにおける突然変異は、ヒト中でゲルストマン−ストロイスラー症候群を引き起こす、プロリン102からロイシンへの突然変異(176640.0002)と同等であった。Hsiao他(1994)は、P101L導入遺伝子を低レベルで発現するマウス、及び高レベルの突然変異P101Lプリオンタンパク質を発現するトランスジェニックマウスからの脳抽出物を注射したゴールデンハムスターへの、神経変性の連続的伝染を報告した。高発現トランスジェニックマウスは、低レベルの感染性プリオンしかその脳内に蓄積しなかったが、接種を受けたレシピエントへの疾患の連続的伝染によって、プリオン形成がこれらの非接種動物の脳内で新たに起きたことが立証され、プリオンが外来性の核酸を欠いているとの追加の証拠が与えられた。
【0048】
PrPノックアウトマウスに関する研究は、Bueler他(1994)、Manson他(1994)、及びSakaguchi他(1996)によって報告されてきている。Sakaguchi他(1996)は、彼らによって生成されたPrPノックアウトマウスは、70週齢までは見た目は正常であり、その時点でマウスは、小脳性失調の徴候を絶えず示し始めたことを報告した。組織学的研究によって、小脳回の大部分におけるプルキンエ細胞の過剰な損失が明らかになった。小脳の萎縮、及び第4脳室の拡張が示された。同様の病状変化は、Bueler他(1994)及びManson他(1994)によって作成されたPrPノックアウトマウスでは示されなかった。Sakaguchi他(1996)は、結果の違いは系統の違い、又はPrP遺伝子中でのノックアウトの程度の違いによるものである可能性があると指摘した。特に、記載したPrPノックアウトマウスの3つの系統すべてにおいて、プリオン感染に対する感受性が失われた。
【0049】
Collinge他(1994)は、そのPrP欠損マウスの研究に基づいて、プリオンタンパク質が正常なシナプス機能に必要であると結論付けた。彼らは、遺伝性プリオン病は、翻訳後に改変された形の細胞のPrPであるPrPcの生成による、顕性不活性な作用から生じる可能性があり、最終的に機能的PrP(PrPc)の漸次的喪失をもたらすと仮定した。Tobler他(1996)は、PrP欠損マウスの概日リズム及び睡眠の変化を報告し、これらの変化が致死性家族性不眠症における睡眠の変化との興味深い類似性を示すことを強調した。
【0050】
PrPを欠いたマウスは正常に成長したが、スクレーピー耐性であった;PrP導入遺伝子を導入することによって、疾患に対する感受性が回復した。この活性に必要なPrPの領域を同定するために、Shmerling他(1998)は、アミノ基部が欠失したPrPを発現するPrPノックアウトマウスを作製した。驚くべきことに、欠失部分が短いPrPではなく、残基32〜121又は32〜134が欠失したPrPが、生後わずか1〜3カ月で小脳顆粒層に限定された、重度の失調及びニューロン死を引き起こした。野生型PrP遺伝子を1コピー導入することによって、この欠陥は完全に無くなった。Shmerling他(1998)は、これらの短縮PrPは非機能的であり、PrP様機能を有する他の分子いくつかと共通のリガンドについて競合する可能性があると推測した。
【0051】
Telling他(1996)は、プリオン病における根本的事象は、細胞のプリオンタンパク質の高次構造の変化であり、これによってタンパク質が病原性のイソ型PrPScに転換されるという見解を支持する、観察結果を報告した。彼らは、致死性家族性不眠症(FFI)では、脱グリコシル化後のPrPScのプロテアーゼ耐性断片は19kDの大きさであり、一方他の遺伝性及び散発性プリオン病由来の断片は21kDであることを見出した。FFI患者の脳からの抽出物は、接種の約200日後に、キメラヒト−マウスPrP遺伝子を発現するトランスジェニックマウスに疾患を伝染させ、19kDのPrPSc断片の形成を誘導したが、一方家族性及び散発性クロイツフェルト−ヤコブ病患者の脳からの抽出物は、これらのマウス中で21kDのPrPSc断片を産生させた。Telling他(1996)の結果は、PrPScの高次構造が発生期のPrPScの形成を指示する際の鋳型として働くことを示し、多様性がPrPScの高次構造中に暗号化されている、プリオンの系統を説明するための機構を示唆した。
【0052】
Lindquist(1997)は、「科学上の最も刺激的な概念のいくつかが表面上は関連がない現象の予期せぬ衝突から生まれている」と指摘した。彼女が論じた問題の例は、酵母菌の遺伝学における2つの不可解な問題点が、プリオンの仮説と類似の仮説によって説明できると思われるという、Wickner(1994)による提案であった。2つの酵母菌の突然変異によって、表現型の遺伝が、異なる核酸の遺伝ではなく、異なるタンパク質高次構造の遺伝に基づくこともときにはあるという、説得力のある例が与えられた。したがって酵母菌によって、プリオン様プロセスを研究するための重要な新しいツールが与えられる可能性がある。さらに彼女は、プリオンは必ずしも病原性ではないことを示唆した。実際彼女は、マクロ分子の自己促進型の構造変化が、広くさまざまな正常な生物学的プロセス、クロマチン構造の変化と関連があるものなどの後成的現象だけではなく、いくつかの正常な、発生上調節される事象の根底にあると示唆した。
【0053】
Hegde他(1998)は、幾何学的形状の相対比を変えるPrP突然変異体を発現するトランスジェニックマウスにおける、異なる幾何学的形状のPrPの役割を研究した。1つの形は小胞体内腔に完全に転位しており、PrP−Secと呼ばれる。2つの他の形が、カルボキシ末端から内腔(PrP−Ctm)又はアミノ末端から内腔(PrP−Ntm)の方向で、小胞体に広がっている。高レベルのPrP−Ctmをもたらした突然変異体を収容するF2生成マウスは、58+/−11日に神経変性の発症を示した。PrPの過剰発現がその原因ではなかった。神経病理学的検査から、スクレーピーで見られた変化と同様の変化が示されたが、ただしPrPScの不在下においてであった。PrP−Ctmの発現のレベルは、疾患の重度と相関関係があった。
【0054】
Supattapone他(1999)は、野生型PrP(Prnp−/−)が欠損したトランスジェニック(Tg)マウスにおける、2つの大きな欠失があるアミノ酸106個の集合型PrPの発現によって、プリオン増殖が支持されたことを報告した。完全長のPrPScを含むRocky Mountain研究所(RML)のプリオンによって、約300日後にTg(PrP106)Prnp−/−マウスにおいて疾患が生じ、一方、PrPSc106を含むRML106プリオンの伝播によって、反復移動により約66日後にTg(PrP106)Prnp−/−マウスにおいて疾患が生じた。この人工的な、RMLプリオンの移動の伝播の障害は、約165日後にスクレーピーが進行したTg(PrP106)Prnp+/−マウスにおける、野生型マウスのPrPcの同時発現によって減少し、野生型マウスのPrPが途中で作用して、RML106プリオンの複製が促進されることが示唆された。精製PrPSc106はプロテアーゼ耐性であり、糸状体を形成し、非変性洗浄剤に不溶であった。
【0055】
Kuwahara他(1999)は、Prnp−/−及びPrnp+/+マウスからの海馬細胞系を確立した。14日齢のマウス胚からの培養物を確立した。研究した6つの細胞系はすべて、神経前駆体細胞の系統に属していたが、それらはその発生段階が異なっていた。Kuwahara他(1999)は、細胞の培養物から血清を除去することによって、Prnp+/+細胞中ではなくPrnp−/−細胞のアポトーシスが引き起こされたことを発見した。プリオンタンパク質又はBCL2遺伝子の形質導入によって、血清を含まない条件下においてPrnp−/−細胞のアポトーシスが抑制された。Prnp−/−細胞はPrnp+/+細胞より、短い神経突起を延長させたが、PrPの発現によってその長さは増大した。Kuwahara他(1999)は、これらの発見によって、野生型プリオンタンパク質の機能の損失は、部分的にはプリオン病の病因の根底にあるという概念が、支持されたと結論付けた。この筆者達は、BCL2遺伝子の形質導入をすぐに試みた。なぜなら、BCL2は以前に、酵母菌の2ハイブリッド系においてプリオンタンパク質と相互作用することが示されたからである。これらの結果によって、哺乳動物細胞においても、BCL2とPrPの間の何らかの相互作用が示唆された。
【0056】
スクレーピー感染したマウスでは、循環性B及びTリンパ球ではなく脾臓リンパ球と結合したプリオンが発見され、ストロマ中では、それは濾胞樹状細胞を含む。成熟した濾胞樹状細胞の形成及び維持には、膜結合リンホトキシンα/βを発現するB細胞の存在が必要である。可溶性リンホトキシンβ受容体でマウスを処理することによって、脾臓からの成熟した濾胞樹状細胞の消失がもたらされる。Montrasio他(2000)は、この処理によって脾臓でのプリオンの蓄積がなくなり、腹膜内スクレーピー感染の後の神経侵襲が遅れることを実証した。Montrasio他(2000)は、彼らのデータによって、濾胞樹状細胞が脾臓内のプリオン複製の主要部位である、証拠が与えられたと結論付けた。
【0057】
Chiesa他(1998)は、14個のオクタペプチドリピートを含む突然変異プリオンタンパク質を発現したトランスジェニックマウスの系を生成させ、ヒトのそのタンパク質の相同体は、遺伝性のプリオンによる痴呆と関係がある。この挿入体は、その時までにPRNP遺伝子において同定された最大のものであり、進行性の痴呆及び失調によって、及び小脳及び大脳基底核中のPrP含有アミロイド斑の存在によって特徴付けられる、プリオン病と関係があった(Owen他1992;Duchen他1993;Krasemann他1995)。突然変異タンパク質を発現するマウスは、導入遺伝子配列がそれぞれ同型又は半接合性であったかどうかに応じて、65又は240日齢で失調が顕著である神経病が進行した。誕生から始まり、突然変異PrPは、スクレーピーのイソ型PrPと似たプロテアーゼ耐性で洗浄剤不溶性の形に転換され、マウスの生存期間中にわたって多くの脳領域中に、この形のものが劇的に蓄積した。PrPが蓄積すると、小脳中で顆粒細胞の大規模なアポトーシスが起こった。
【0058】
主要組織適合複合体
本明細書では、用語「主要組織適合複合体」(MHC)は、当分野におけるその通常の意味を有し、さまざまな細胞の表面上で「同定マーカー」として機能する、細胞抗原のファミリーをコードする1組の遺伝子を指す。Tリンパ球は、その固有の受容体を介してこれらの細胞と相互作用して、その適応免疫機能を果たす。
【0059】
MHCは、ネズミ及びヒトMHC中にコードされた、3クラスの分子(I、II及びIII)に分けられる。クラスI及びIIの分子は、異なる構造体を示す。クラスIIIのMHCは、機能が確立されていないか或いは構造的類似性がない20を超える遺伝子の、多様な集合体を含む。
【0060】
MHCクラスIIの分子に関する背景知識は、Victor A.McKusick他によって、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Omimに示されている。MHCクラスIIの分子に関する以下の情報は、この源から抜粋しているものである。
【0061】
ヘテロマーである主要組織適合複合体のクラスIIのタンパク質、α及びβサブユニットの遺伝子は、6p21.3領域中に集合している。Todd他(1987)Nature 329:599〜604は、クラスIIの遺伝子座の地図を示した。彼らは、DQ分子、特にβ鎖の残基57の構造によって、インシュリン依存性糖尿病をもたらすインシュリン生成島細胞に対する、自己免疫応答が指定されることを示唆した。HLA−D領域内の約14のクラスIIのHLA遺伝子の中で、DQ3.2−β遺伝子は、HLA−DR4とインシュリン依存性糖尿病の充分に文書化された関係の原因であり、この疾患と最も相関関係がある1つの対立遺伝子である。Kwok他(1989)Proc.Nat.Acad.Sci.86:1027〜1030は、アミノ酸45は、DQ3.2−β遺伝子及びその非糖尿病型対立遺伝子、DQ3.1−βを特徴とする血清学的エピトープを生成させるのに、重要であることを見出した。Todd他(1990)Proc.Nat.Acad.Sci.87:1094〜1098は、日本人の中では、IDDMはHLA−DRよりもHLA−DQと強く関係しており;DQA1遺伝子座のA3対立遺伝子が、疾患と最も強く関係しており;白人及び黒人のI型糖尿病に対する感受性と関係がある、DQB1遺伝子座のDQw8対立遺伝子は、日本人の患者では頻度が増大せず;白人のI型糖尿病に対する低い感受性と関係がある、アスパラギン酸57をコードするDQB1対立遺伝子は、49人の日本人患者のうちの1人を除く全員に、及び31人の対照全員に、少なくとも異型の状態で存在したことを見出した。40%の患者が、アスパラギン酸57をコードするDQB1対立遺伝子が同型であり、これに対し対照では35%が同型であった。日本人におけるアスパラギン酸57をコードするDQB1対立遺伝子の高い頻度は、日本でのI型糖尿病の珍しさに原因がある可能性がある。
【0062】
HLAクラスIIの膜内外ヘテロ二量体の非常に高い多型は、そのα鎖及びβ鎖の最も外側のドメイン中に存在する数個の超可変領域によるものである。アミノ酸配列のいくつかの変化は、疾患感受性の関連、及びプロセッシングされた抗原をT細胞に提示する能力において重要である。B細胞のcDNAライブラリーをDQ−βプローブを用いてスクリーニングすることによって、Giorda他(1991)Immunogenetics 33 404〜408は、HLA−DQw7、−DQw8、及び−DQw9対立遺伝子のβ鎖に対応するcDNAを得た。配列分析によって、ただ1個のアミノ酸の変化をもたらした、6箇所のヌクレオチド位置におけるDQw8とDQw9の間の違いが明らかになった。DQw9は、位置57にアラニンではなくアスパラギン酸をコードしている。DQw7はこの位置においてDQw9と同じであるが、9個の他のアミノ酸が異なる。
【0063】
瘢痕性類天疱瘡(CP)は、重層扁平上皮、及びときには皮膚由来の多数の粘膜を冒す、慢性的な自己免疫性の水疱性疾患である。CPは、疾患の症状発現の範囲が広い。口内天疱瘡(OP)を有する患者は、その病的変化が口内粘膜に限られる、良性の一過性疾患を有する。他方で、再発及び寛解によって示される慢性疾患である、眼部瘢痕性類天疱瘡を有する患者は、眼部に関する関連、及びおそらくは他の粘膜に関する関連もある。あらゆる臨床型は、類似の抗基底帯自己抗体の存在によって特徴付けられる。1つの形のCP又は他のCPの進行を決定する要因は、知られていない。Yunis(1994)Proc.Nat.Acad.Sci.91 7747〜7751は、OPを有する22人の白人患者及びその家系(19家系)のDNAを試験することによって、クラスIIの対立遺伝子を研究した。これらの結果を、17人のOCP患者及びその家系の対照から得られた結果、及び骨髄移植に関して研究した42人の対照白人家系の結果と比較した。これらの結果によって、HLA−DQB1*0301は、口内及び眼部形のCPに関する感染性のマーカーであることが示された。OP及びOCP中に存在するDQB1対立遺伝子のアミノ酸配列を分析することによって、位置57及び位置71〜77におけるアミノ酸残基も、マーカーである可能性があることが示唆された。
【0064】
Delgado他(1996)Proc.Nat.Acad Sci.93:8569〜8571は、水泡性天疱瘡を有する21人の患者、眼部瘢痕性類天疱瘡を有する17人の患者、及び口内天疱瘡を有する22人の患者において高精度で型分類したMHCクラスIIの遺伝子座、HLA−DRB1及びHLA−DQB1を、218のハプロタイプの正常な個人の一群と比較した。彼らは、3つの疾患はDQB1*0301と有意な関係があったことを見出した(それぞれP=0.005、Pが0.0001未満、及びP=0.001)。位置71〜77からの特定のアミノ酸配列を共有していた、対立遺伝子DQB1*0302、*0303、及び*06の頻度も増大した(P=0.01)。これらの発見によって、3つの臨床的に異なる変形の天疱瘡における自己免疫応答は、皮膚の基底膜、結膜、又は口内粘膜由来のペプチドと結合した、クラスII領域のDQB1のT細胞による認識と関連があることが示唆された。
【0065】
早発卵巣不全(POF)は、非常に症例の多い自己免疫性の病因を有する。Arif他(1999)J.Clin.Endocr.Metab.84 1056〜1060は、アスパラギン酸−57をコードするHLA−DQB1遺伝型は、POFにおいて3−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼによる自己免疫と関連があることを見出した。2つのHLA−DQB1対立遺伝子、位置57においてアスパラギン酸コドンを共有する*0301及び*0603、は3−β−HSD自己抗体に関して陽性の関係を示した。3−β−HSD自己抗体を有する21人中18人(86%)のPOF患者は、134人中92人の対照被験者と比較して、DQ−β−アスパラギン酸57をコードする遺伝型を有しており、21例中9例(43%)は、134人中17人(13%)の対照被験者と比較して、コドン57の遺伝型が同型であった。これらの確率値は、多重検定の補正後は有意ではなかった。この筆者達は、POF、3−β−HSD自己免疫、及び異なるHLA−DQ分子間の関係を彼らが実証したことによって、3−β−HSDに対する自己抗体は自己免疫性卵巣不全のマーカーである可能性があるという仮説が支持され、アスパラギン酸57−β鎖を有するHLA−DQ分子による、自己抗原性又は外来性ペプチドのTリンパ球に対する提示は、この疾患の病因において重要であることが示唆されたと結論付けた。
【0066】
ヒト白血球抗原
本明細書では、用語ヒト白血球抗原(HLA)は、当分野におけるその通常の意味を有するものであり、染色体6の短いアーム上の密接に関連がある遺伝子によってコードされた、細胞表面の糖タンパク質を指す。
【0067】
本発明の特に興味深いHLA型は、HLAのクラスII型のDQ7である。
【0068】
感受性
本発明によれば、プリオン病に対する被験者の感受性を決定する方法が提供される。
【0069】
用語「感受性」はプリオン病に対する被験者の感受性、可能性、敏感性、傾向又は許容性を指す。
【0070】
被験者からのサンプルがDQ7特異性があるHLAを有する場合、これは被験者がプリオン病に対して低い感受性を有することを示し;且つ被験者からのサンプルがDQ7特異性があるHLAを有さない場合、したがってこれは、被験者はプリオン病に対して高い感受性を有することを示す。
【0071】
サンプル
「サンプル」は、HLAをDQ7に型分類することができる、任意の物理的物体であってよい。
【0072】
サンプルは体液又は組織であるか、或いはそれに由来することが好ましい。体液は血液、血清などであるか、或いはそれに由来することがさらに好ましい。
【0073】
好ましい実施形態では、サンプルは核酸を含む。非常に好ましい実施形態では、サンプルは血液から抽出した核酸を含む。
【0074】
抽出
本発明の好ましい実施形態では、Miller他(1988)Nuc.Acids Res.16,1215中に記載されたような塩析によって、DNAなどの核酸を血液細胞から単離する。
【0075】
本発明の非常に好ましい実施形態では、DNAなどの核酸を、DNA抽出キット(Dynal、Merseyside、UK)などの市販のキットを使用して、血液細胞から単離する。この手順では、2mlのチューブ中の200μlの抗凝固処理した全血を、1mlの赤血球細胞溶解バッファー1(5mlの濃縮物+44mlの蒸留水+1mlの0.5M EDTA pH8)と、溶液が透明になるまで混合させる。この溶液を、10,000rpmで10秒間遠心分離して、白血球細胞をペレット状にし、上澄みを捨てる。チューブを攪拌し、1mlの赤血球細胞溶解バッファー2(5mlの濃縮物+45mlの蒸留水)を加える。この溶液を10秒間遠心分離し、上澄みを捨てる。200μlの再懸濁Dynabeads(登録商標)DNA抽出物を、白血球細胞のペレットに加える。チューブから含有物をすぐに吸引し、清潔な2mlのチューブに移す。磁気バーを有するDynal MPC(登録商標)−Q中の適所に、チューブを置き、30秒後に上澄みを捨てる。磁気バーを除去し、1mlの蒸留水を加える。磁石を交換し、30秒後に上澄みを捨てる。複合体をさらに2回洗浄し、DNAを含むチューブの含有物を200μlの蒸留水に再懸濁させる。
【0076】
DQ7
サンプル中のDQ7特異性を有するHLAを、任意の適切な方法を使用して、決定又は型分類することができる。たとえば、血清学に基づく方法を使用して、サンプルをHLAに型分類することができる。DNAに基づく方法を使用して、サンプルをHLAに型分類することが好ましい。
【0077】
血清学的方法は、モノクローナル又はポリクローナル抗体による抗原捕獲に基づくものであってよく、リンパ球の表面上の検出可能なレベルのHLAタンパク質の存在を必要とする。たとえばリンパ球を、密度勾配遠心分離によって単離し、250単位のヘパリンナトリウムと混合させた10mlの血液からなるMacoyの5a培地などの培地で、2回洗浄することができる。したがってB細胞は、ナイロン−ウールを使用して分離することができる。T細胞が欠失し、B細胞が豊富なリンパ球は、Katz他(1987)JPeriodontol 58:607〜610に従った長期のインキュベーションによる細胞障害性試験によって、DQに型分類することができる。
【0078】
用語「DNAに基づく方法」は、それを使用してDQ7特異性を有するHLAをサンプルが有するかどうかを決定することができる、任意のDNAに基づく方法を指す。DNAに基づく方法を使用して、HLA DQ7の特異性を意味する遺伝子座をサンプルが含むかどうかを、決定することが好ましい。HLA DQ7の特異性を意味する対立遺伝子を、サンプルが含むかどうかを決定するために、DNAに基づく方法を使用することがより好ましい。HLA DQ7の特異性を意味するDQBl*030対立遺伝子、DQB1*03011、DQB1*03012、DQB1*0304、及び/又はDQBl*0309などを、サンプルが含むかどうかを決定するために、DNAに基づく方法を使用することがより好ましい。
【0079】
HLAの型分類を行うためのDNAに基づく方法は、Bidwell(1998)Immunology Today 9,18〜23、及びAngelini他(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,4489〜4493によって概説されてきている。
【0080】
RELI SSO HLA−DQB1 Test(Dynal、Merseyside、UK)などの市販のキットを使用して、SSOを行うことができる。
【0081】
RELI SSO HLA−DQB1 Test用に、30μlのマスター混合物(10%グリセロール、KClを含むTris−HC1、<0.001% dATP、dCTP、dGTP、dUTP、ビオチン化プライマー、<0.01% AmpliTaq(登録商標)(Taqポリメラーゼ)及び0.05%アジ化ナトリウム)を、次に15μlの6mM MgCl2、及び15μlの対照DNA(DQB1*03011対立遺伝子などの対立遺伝子を含む)、陰性対照(15μlの滅菌蒸留水)、又は15μlの試験するサンプルを、それぞれのPCRチューブに等分する。PCR増幅は、以下のようにプログラムされたサーマルサイクラーを使用して行う:95℃で15秒間、60℃で45秒間、72℃で15秒間の35サイクル;72℃に5分間、その後15℃に永久的に保つ。プログラムの終了時に、チューブを除去し、60μlの変性溶液(3% EDTA、1.6% NaOH及びチモールブルー)を加え、次に10分間室温でインキュベーションする。検出が1〜2時間以内で行われる場合、変性反応の混合物は室温で保存することができる。それ以外の場合は、検出ステップが行われるまで、変性反応の混合物を2〜8℃で(1週間を超えずに)保存しなければならない。
【0082】
検出ステップ用に、3つのバッファーが必要とされる:(1)作業用ハイブリダイゼーションバッファー、55mlのSSPE濃縮物(NaClを含むリン酸ナトリウム溶液、EDTA及び1% Proclin 150(登録商標))、213mlの蒸留水、及び6.9mlのSDS濃縮物(SDS及び1% Proclin 150(登録商標))を混合させることによって調製するもの;(2)作業用洗浄バッファー、65mlのSSPE濃縮物、1228.5mlの蒸留水、及び6.5mlのSDS濃縮物を混合させることによって調製するもの、275mlを厳密洗浄バッファー用に使用し、1025mlを周囲洗浄バッファー用に使用する;(3)作業用クエン酸バッファー、30mlのクエン酸濃縮物(クエン酸ナトリウム溶液)を570mlの蒸留水で希釈することによって調製するもの。
【0083】
ハイブリダイゼーションバッファー及び厳密洗浄バッファーを、使用前に50℃に暖め、水浴を同じ温度に設定する。HLA−DQB1に型分類した試料を、型分類用トレーのそれぞれのウエル中に置く。5mlの予め暖めたハイブリダイゼーションバッファーをそれぞれのウエルに加え、次に70μlの変性した増幅サンプル又は対照をそれぞれのウエルに加える。型分類用トレーの上に蓋を置き、50℃において30分間60rpmで、トレーをインキュベートする。それぞれのウエルの含有物を除去し、5mlの周囲洗浄バッファーを加える。それぞれのウエルの含有物を除去し、5mlの厳密洗浄バッファーを、50℃において15分間60rpmで加える。作業用複合溶液を、5.3mlの周囲洗浄バッファーを16μlのストレプトアビジン−HRP複合体(ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体、NaCl及び1% Proclin 150(登録商標)を含むACES溶液中のもの)に加えることによって、アッセイするそれぞれの試料用に調製する。トレーを水浴から除去し、それぞれのウエルから含有物を除去する。5mlの作業用複合溶液をそれぞれのウエルに加え、トレーを15分間60rpmで混合する。含有物をウエルから除去し、5mlの周囲洗浄バッファーを、それぞれのウエルに5分間60rpmで加える。周囲洗浄バッファーのステップを1回繰り返す。含有物をウエルから除去し、5mlのクエン酸バッファーを、5分間60rpmで加える。作業用基質(基質A(0.01% H2O2、及び0.1% ProClin150(登録商標)を含むクエン酸溶液)と、基質B(40%ジメチルホルムアミドに溶けた0.1% 3,3’,5,5’−テトラメチルベンズイミド)の混合物)を、計算式[4.4ml×試料の数]を使用して、必要とされる基質Aの量を計算することによって調製する。必要とされる基質Bの量は、計算式[1.1ml×試料の数]によって決定する。ウエルの含有物を除去し、5mlの作業用基質を10分間60rpmで加える。ウエルの含有物を除去し、5mlの蒸留水を5分間60rpmで加える。このステップは2回繰り返す。5mlのクエン酸バッファーをそれぞれのウエルに加え、キットと共に含まれるHLA−DQB1オーバーレイ及びスコアシートを使用して、試料を手作業で処理する。対照線より大きな強度を有するそれぞれの青線に関しては、陽性シグナルが記録される。その型を、キットと共に含まれるDynal RELI SSO HLA−DQBの説明表と比較する。
【0084】
サンプルがDQBI*030対立遺伝子、DQB1*03011、DQB1*03012、DQB1*0304、及び/又はDQBI*0309などを含むとき、陽性の結果が得られる。1個又は複数個のこれらの対立遺伝子の存在は、DQ7型のHLAを意味する。具体的には、DQ7特異性を有するHLAに関する陽性の結果は、対照線より大きな強度を有する青線が、たとえばレーン7、レーン11、レーン17、レーン22及び23(DQBI*03011、DQB1*03012及びDQBI*0309)、及び/又はレーン25及び/又はレーン7、レーン11、レーン16、レーン22〜23及びレーン25(DQBI*0304)に存在するときに得られる。
【0085】
Bunce他(1995)Tissue Antigens 46,355〜367に従って、或いはAllSet SSP DQB1*03 Test(Dynal、Merseyside、UK)などの市販のキットを使用して、SSPを行うことができる。
【0086】
DNA抽出キット(Dynal、Merseyside、UK)などの前述した方法を使用して、精製DNAを作製することができる。
【0087】
5μlの供給されたプライマー溶液を、それぞれのPCRチューブに分配する。1つのDQB1*03型分類(11のPCR反応混合物)を行うために、以下のPCR混合物を作製する:112μlのDynal AllSet SSPマスター混合物(Tris−HCI、KCI、ゼラチン、MgCl2、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、グリセロール及びクレゾールレッド);26.6μlのサンプルDNA(50ng/μl);1.12μlのTaq DNAポリメラーゼ。含有物を混合させ、10μlのPCR混合物をそれぞれのウエルに分配する。使用するPCRサイクルのパラメータは:94℃で2分間;94℃で10秒間及び65℃で60秒間の10サイクル;94℃で10秒間、61℃で50秒間及び72℃で30秒間の20サイクルである。
【0088】
HLA DQ7特異性を意味する、DQBI*030対立遺伝子、DQB1*03011、DQB1*03012、DQB1*0304、及び/又はDQBI*0309などをサンプルが含むとき、陽性の結果が得られる。したがって、たとえばチューブ1(PCR産物140bp)、及びチューブ2(PCR産物125bp)(DQB1*0301及びDQB1*0302)、及び/又はチューブ1及びチューブ5(130bp)(DQB1*0304)、及び/又はチューブ1、チューブ2、及びチューブ10(PCR産物120bp)(DQB1*0309)中で陽性シグナルが得られるとき、DQ7特異性を有するHLAが同定される。
【0089】
本発明の他の実施形態では、哺乳動物、家畜哺乳動物など、たとえばヒツジ及び/又はウシの、プリオン感受性を決定することができる。この実施形態では、DNAに基づく方法は、DNAの塩基配列決定であることが好ましい。DNAの塩基配列決定を使用して、家畜哺乳動物のMHCの同等なHLA DQ7特異性を意味する、1個又は複数個のヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列、1個又は複数個の遺伝子座及び/又は1個又は複数個の対立遺伝子などを同定することができる。たとえば、HLA DQ7特異性を意味するDQBl*030対立遺伝子の配列は、データベース、たとえばヒトからのDQBl*030対立遺伝子の5’側面領域(受託番号AF217420);ヒトからのDQBl*0304対立遺伝子の第1のドメイン、エクソン2(受託番号M74842)において、公に入手可能である。家畜からのヌクレオチド及びアミノ酸配列のデータベースを調べて、HLA DQ7特異性を意味する配列と相同性がある配列を同定することができる。したがって、同等のHLA DQ7特異性を決定することによりプリオン病に対する家畜の感受性を決定するために、本発明の方法を使用することもできることは、当業者により明らかであろう。
【0090】
本発明の方法を、プリオン病に対する被験者の感受性を決定する他の方法(PrP Met129型分類、又はDQ7が好ましい例である血液系マーカーの他の組合せなど)と組み合わせて、これによってそれぞれの被験者に関する第2の情報を有利に与えることができることは、当業者には明らかであろう。1つのこのような方法では、PrP129の遺伝型を、WO 98/16834、Collinge他(1991)Lancet 337,1441〜1442、Palmer他(1991)Nature 352,340〜342、及びCollinge他(1996)Lancet 348,56中に記載されたように決定する。PrPのアミノ酸129における多型は同定されてきており(メチオニン又はバリンに関して)、このことが、その大部分が多形残基129におけるメチオニンが同型である、vCJDを有する患者の一団の、散発性及び後天性のヒトプリオン病に対する遺伝的感受性に寄与している。したがって、PrPメチオニン129を有し、さらにHLA型DQ7が欠けている被験者は、プリオン病に対して最も高い感受性を有し、逆も然りであると予想することができる。方法を組み合わせることによって、プリオン病に対する被験者の感受性の、さらに確固たる指標を与えることができる。
【0091】
本明細書では、用語「家畜」は、任意の飼育動物を指す。家畜は、1匹又は複数匹のブタ、ヒツジ、ウシ又は雄牛であることが好ましい。家畜はウシ、雄牛又はヒツジであることがより好ましい。
【0092】
ヌクレオチド配列
本発明の態様は、データベース中の利用可能なヌクレオチド配列の使用を含むことができる。
【0093】
本明細書では、用語「ヌクレオチド配列」は、用語「ポリヌクレオチド」と同義である。
【0094】
ヌクレオチド配列は、ゲノム又は合成又は組み換え起源の、DNA又はRNAであってよい。ヌクレオチド配列は、センス鎖又はアンチセンス鎖又はこれらの組合せである、二本鎖又は一本鎖であってよい。
【0095】
一般的な組み換えDNA法の技術
一般に、本明細書で述べる技法は当分野でよく知られているが、特にSambrook他、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(1989)、及びAusubel他、Short Protocols in Molecular Biology(1999)4th Ed,John Wiley & Sons,Incを、参照することができる。
【0096】
他の態様では、本発明は、プリオン病に対する感受性が低い、家畜などの哺乳動物の繁殖に関する。HLA DQ7特異性が同等である1個又は複数個のMHC分子を有する家畜を、繁殖させることができる。HLA DQ7特異性が同等である1個又は複数個のMHC分子を有するこれらの子孫を選択し、他の繁殖プログラムにおいて使用することができる。近親交配、近親外交配、又は当業者に知られている任意の他の繁殖法を含めた、さまざまな繁殖法を使用することができる。
【0097】
他の態様では、本発明は、ゲノムに挿入されたHLA DQ7特異性が同等である、1個又は複数個のヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列を有する、家畜などのトランスジェニック哺乳動物に関する。したがって、このトランスジェニック哺乳動物は、プリオン病に対して低い感受性を有する可能性がある。同等なHLA DQ7特異性を意味するMHC分子、1個又は複数個の遺伝子座及び/又は1個又は複数個の対立遺伝子などを、(1)1つの胚から他の胚への細胞の移動;(2)レトロウイルスに感染させた細胞の導入;(3)Scott他(1989),Cell 59,847〜857、及びScott他(1992)Protein Sci.,1,986〜997により記載された方法に従った、
受精卵の前核へのcDNAのマイクロインジェクション;(4)1匹の動物への多数の卵の移植などの、当業者によく知られているいくつかの技法を使用して、哺乳動物に導入することができる。したがって、知られている手順を使用して、生じる子孫がトランスジェニック哺乳動物であるかどうかを決定する。
【0098】
他の態様では、本発明は、同等なHLA DQ7特異性を意味する1個又は複数個のMHC分子、1個又は複数個の遺伝子座及び/又は1個又は複数個の対立遺伝子などを有し、そのゲノムが欠失しているトランスジェニックマウスなどのトランスジェニック哺乳動物に関する可能性もあり、したがって、このトランスジェニック哺乳動物は、プリオン病に対して高い感受性を有する。
【0099】
以下の実施例を参照しながら、本発明を例示する。
【実施例1】
【0100】
プリオン病に対する感受性と関係があるDQ7特異性を有するHLAの同定
DNA抽出キット(Dynal、Merseyside、UK;製品番号633.XX)を使用して、vCJD感染した49人のヒト患者及び197人の対照ヒト患者から、DNAを単離する。2mlのチューブ中のそれぞれの患者からの200μlの抗凝固処理した全血を、1mlの赤血球細胞溶解バッファー1(5mlの濃縮物+44mlの蒸留水+1mlの0.5M EDTA pH8)と、溶液が透明になるまで混合させる。この溶液を、10,000rpmで10秒間遠心分離して、白血球細胞をペレット状にし、上澄みを捨てる。チューブを攪拌し、1mlの赤血球細胞溶解バッファー2(5mlの濃縮物+45mlの蒸留水)を加える。この溶液を10秒間遠心分離し、上澄みを捨てる。200μlの再懸濁Dynabeads(登録商標)DNA抽出物を、白血球細胞のペレットに加え、チューブの含有物をすぐに吸引し、清潔な2mlのチューブに移す。磁気バーを有するDynal MPC(登録商標)−Q中の適所に、チューブを置き、30秒後に上澄みを捨てる。磁気バーを除去し、1mlの蒸留水を加える。磁石を交換し、30秒後に上澄みを捨てる。複合体をさらに2回洗浄し、246の血液サンプルから抽出したDNAを、200μlの蒸留水に再懸濁させる。
【0101】
RELI SSO HLA−DQBI Test(Dynal、Merseyside、UK;製品番号820.XX)を使用して、HLAの型分類を行う。
【0102】
30μlのマスター混合物(10%グリセロール、KClを含むTris−HC1、<0.001% dATP、dCTP、dGTP、dUTP、ビオチン化プライマー、<0.01% AmpliTaq(登録商標)(Taqポリメラーゼ)及び0.05%アジ化ナトリウム)を、次に15μlの6mM MgCl2、及び15μlの対照DNA(DQB1*030対立遺伝子を含む)、陰性対照(滅菌蒸留水)、又は246の血液サンプルそれぞれから抽出したDNAを、それぞれのPCRチューブに等分する(前述のDNA抽出キットを使用して)。PCR増幅は、以下のようにプログラムされたサーマルサイクラーを使用して行う:95℃で15秒間、60℃で45秒間、72℃で15秒間の35サイクル;72℃に5分間、その後15℃に永久的に保つ。プログラムの終了時に、チューブを除去し、60μlの変性溶液(3% EDTA、1.6% NaOH及びチモールブルー)を加え、次に10分間室温でインキュベーションする。
【0103】
検出ステップ用に、3つのバッファーを使用する:(1)作業用ハイブリダイゼーションバッファー、55mlのSSPE濃縮物(NaClを含むリン酸ナトリウム溶液、EDTA及び1% Proclin 150(登録商標))、213mlの蒸留水、及び6.9mlのSDS濃縮物(SDS及び1% Proclin 150(登録商標))を混合させることによって調製するもの;(2)作業用洗浄バッファー、65mlのSSPE濃縮物、1228.5mlの蒸留水、及び6.5mlのSDS濃縮物を混合させることによって調製するもの、275mlを厳密洗浄バッファー用に使用し、1025mlを周囲洗浄バッファー用に使用する;(3)作業用クエン酸バッファー、30mlのクエン酸濃縮物(クエン酸ナトリウム溶液)を570mlの蒸留水で希釈することによって調製するもの。
【0104】
ハイブリダイゼーションバッファー及び厳密洗浄バッファーを、使用前に50℃に暖め、水浴を同じ温度に設定する。HLA−DQB1に型分類した試料を、型分類用トレーのそれぞれのウエル中に置く。5mlの予め暖めたハイブリダイゼーションバッファーをそれぞれのウエルに加え、次に70μlの変性した増幅サンプル又は対照をそれぞれのウエルに加える。型分類用トレーの上に蓋を置き、50℃において30分間60rpmで、トレーをインキュベートする。それぞれのウエルの含有物を除去し、5mlの周囲洗浄バッファーを加える。それぞれのウエルの含有物を除去し、5mlの厳密洗浄バッファーを、50℃において15分間60rpmで加える。作業用複合溶液を、5.3mlの周囲洗浄バッファーを16μlのストレプトアビジン−HRP複合体(ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体、NaCl及び1% Proclin 150(登録商標)を含むACES溶液中のもの)に加えることによって、アッセイするそれぞれの試料用に調製する。トレーを水浴から除去し、それぞれのウエルから含有物を除去する。5mlの作業用複合溶液をそれぞれのウエルに加え、トレーを15分間60rpmで混合する。含有物をウエルから除去し、5mlの周囲洗浄バッファーを、それぞれのウエルに5分間60rpmで加える。周囲洗浄バッファーのステップを1回繰り返す。含有物をウエルから除去し、5mlのクエン酸バッファーを、5分間60rpmで加える。作業用基質(基質A(0.01% H2O2、及び0.1% ProClin 150(登録商標)を含むクエン酸溶液)と、基質B(40%ジメチルホルムアミドに溶けた0.1% 3,3’,5,5’−テトラメチルベンズイミド)の混合物)を、計算式[4.4ml×試料の数]を使用して、必要とされる基質Aの量を計算することによって調製する。必要とされる基質Bの量は、計算式[1.1ml×試料の数]によって決定する。ウエルの含有物を除去し、5mlの作業用基質を10分間60rpmで加える。ウエルの含有物を除去し、5mlの蒸留水を5分間60rpmで加える。このステップは2回繰り返す。5mlのクエン酸バッファーをそれぞれのウエルに加える。
【0105】
キットと共に含まれるHLA−DQB1オーバーレイ及びスコアシートを使用して、試料を手作業で処理する。対照線より大きな強度を有するそれぞれの青線に関しては、陽性シグナルが記録される。その型を、キットと共に含まれるDynal RELI SSO HLA−DQBの説明表と比較する。
【0106】
以下の結果が得られる:
【0107】
vCJD感染した患者(12.2%)と対照患者(35.5%)の間の、HLA DQ7特異性の結果の比較によると、DQ7特異性を有するHLAはvCJDを有する患者においてより少ない。したがって、vCJDを有する被験者中のDQ7特異性を有するHLAの存在は、対照患者中より少ない。
【0108】
したがって、被験者中のDQ7特異性を有するHLAの存在は、プリオン病に対して低い感受性と関連があり;被験者中のDQ7特異性を有するHLAの不在は、プリオン病に対して高い感受性と関連があることが実証される。
【実施例2】
【0109】
DNAに基づく方法(SSO)を使用する、プリオン病に対する被験者の感受性の決定
ヒト患者由来のサンプルに、DNA抽出及びHLA型分類を、実施例1に記載したのと同様に行う。
【0110】
以下の対照反応物を使用する:(1)陽性対照=vCJDを有する患者から抽出したDNA;(2)陰性対照=蒸留水。
【0111】
キットと共に含まれるHLA−DQB1オーバーレイ及びスコアシートを使用して、HLA−DQB1に型分類された試料を手作業で処理する。対照線より大きな強度を有するそれぞれの青線に関しては、陽性シグナルが記録される。その型を、キットと共に含まれるDynal RELI SSO HLA−DQBの説明表と比較する。
【0112】
試験するヒト患者に関して、陽性シグナル(すなわち、対照線より大きな強度を有する青線)が、レーン7、レーン11、レーン17、レーン22〜23、及びレーン25に存在する。したがって、被験者はDQB1*0301(DQB1*03011/DQB1*03012)及びDQB1*0309を有し、したがってDQ7特異性を有するHLAを有する。
【0113】
陽性対照に関しては、陽性シグナル(すなわち、対照線より大きな強度を有する青線)が、レーン7、レーン11、レーン17、レーン22〜23、及びレーン25に存在する。したがってこの対照は、HLA DQ7特異性を意味するDQB1*0301(DQBI*03011/DQB1*03012)及びDQBl*0309を有する。
【0114】
陰性対照に関しては、陽性シグナルは得られない。
【0115】
したがって、ヒト患者はDQ7特異性を有するHLAを有する、すなわち、ヒト患者はvCJDに対して低い感受性を有することが実証される。
【実施例3】
【0116】
DNAに基づく方法(SSO)を使用する、プリオン病に対する被験者の感受性の決定。
【0117】
DNA抽出及びHLA型分類を、実施例1に記載したのと同様にヒト患者に行う。使用した対照は実施例2と同じである。
【0118】
キットと共に含まれるHLA−DQB1オーバーレイ及びスコアシートを使用して、HLA−DQB1に型分類された試料を手作業で処理する。対照線より大きな強度を有するそれぞれの青線に関しては、陽性シグナルが記録される。その型を、キットと共に含まれるDynal RELI SSO HLA−DQBの説明表と比較する。陽性シグナル(すなわち、対照線より大きな強度を有する青線)は、HLA DQ7特異性を意味するDQB1*030対立遺伝子に関しては得られない。
【0119】
陽性対照及び陰性対照に関する結果は、実施例2と同じである。
【0120】
したがって、ヒト患者はDQ7特異性を有するHLAを有さない、すなわち、ヒト患者はvCJDに対して高い感受性を有することが実証される。
【実施例4】
【0121】
DNAに基づく方法(SSO)を使用する、プリオン病に対する被験者の感受性の決定
DNA抽出を、実施例1に従いヒト患者に行う。使用した対照は実施例2と同じである。
【0122】
Al1Set SSP DQB1*03 Test(Dynal、Merseyside、UK;製品番号581.XX)を使用する。5μlの供給されたプライマー溶液を、それぞれのPCRチューブに分配する。1つのDQB1*03型分類(11のPCR反応混合物)を行うために、以下のPCR混合物を作製する:112μlのDynal AllSet SSPマスター混合物(Tris−HCI、KCI、ゼラチン、MgCl2、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、グリセロール及びクレゾールレッド);26.6μlのサンプルDNA(50ng/μl);1.12μlのTaq DNAポリメラーゼ。含有物を混合させ、10μlのPCR混合物をそれぞれのウエルに分配する。使用するPCRサイクルのパラメータは:94℃で2分間;94℃で10秒間及び65℃で60秒間の10サイクル;94℃で10秒間、61℃で50秒間及び72℃で30秒間の20サイクルである。
【0123】
チューブ1(PCR産物140bp)及びチューブ2(PCR産物125bp)に関して陽性シグナルが、すなわちHLA DQ7特異性を意味するDQBI*0301(DQB1*03011及びDQB1*03012)に関する陽性の結果が得られる。
【0124】
陽性対照に関しては、チューブ1(PCR産物140bp)及びチューブ2(PCR産物125bp)に関して陽性シグナルが、すなわちHLA DQ7特異性を意味するDQBI*0301(DQB1*03011及びDQB1*03012)に関する陽性の結果が得られる。
【0125】
陰性対照に関しては、陽性シグナルは得られない。
【0126】
したがって、ヒト患者はDQ7特異性を有するHLAを有する、すなわち、ヒト患者はvCJDに対して低い感受性を有することが実証される。
【実施例5】
【0127】
DNAに基づく方法(SSO)を使用する、プリオン病に対する被験者の感受性の決定
ヒト患者に、DNA抽出を実施例1に従って行い、及びHLA型分類を実施例3に従い行う。使用した対照は実施例4と同じである。
【0128】
HLA DQ7特異性を意味する任意のDQB1*030対立遺伝子に関して、陽性シグナルは得られない。
【0129】
対照に関する結果は、実施例4と同じである。
【0130】
したがって、ヒト患者はDQ7特異性を有するHLAを有さない、すなわち、患者はvCJDに対して高い感受性を有することが実証される。
【実施例6】
【0131】
この実施例は、vCJDを有する患者におけるHLAクラスII型DQ7(DQB1*0301/4/9)の有意に低下した頻度を例示するものであり、一方で散発性CJDの発生率は、対照群のそれと同等であった。
【0132】
理論に拘束するものではないが、この分子マーカーはそれ自体がvCJD感染性と直接関連がある可能性があり、或いは密接に関連している遺伝子がこの影響の原因である可能性がある。
【0133】
この実施例は、正常な対照及び散発性CJDとの比較用に、vCJD患者のHLA型を決定するための研究を示す。散発性CJDの病因、CJDの主な識別診断は依然として明らかではないが、そのランダムな世界的分布、及び集合性がないこと、又は局所的なスクレーピーの蔓延との関連が、後天的病因に対して論じられる。プリオンタンパク質遺伝子の体細胞突然変異、又はPrPScの自発的形成が、より可能性の高い原因であると考えられる。
【0134】
vCJD患者の組織から抽出した32のDNAサンプルに関する最初の研究を行い、12例の散発性CJDからのサンプルと比較した。組織サンプルは、親族の承諾を得て、死体解剖において得た。これらのサンプルを、配列特異的プライマーによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR−SSP)法(Bunce他)を使用して低い/中精度で、HLA−A、B、C、DRB及びDQB1にHLA型分類した。この研究において使用したサンプルはすべて、イギリスのコーカソイドからのものであると確認した。197の一連の死体臓器ドナーの一群からのHLA頻度を、対照値として使用した。
【0135】
対照の頻度の統計的にのみ有意な偏差が、DQB1遺伝子座にみられた;32人のvCJD患者中わずか2人が、両側検定であるフィッシャーの正確検定によって、197人の対照中の70人(35.5%)と比較して、DQB1*0301/4/9(DQ7)に陽性であり、0.0004という非補正p値が報告された。散発性CJDの場合、50%の患者がDQ7であり(6/12)、対照と有意に異なるわけではなかった(p=0.36)。この発見の後、他の18人のvCJD及び14人の散発性CJD患者を、市販のPCR−SSOPキット(Reli(商標)、Dynal UK)のみを使用して、HLA−DQB1に型分類した。表1は、50人のvCJD患者、26人の散発性CJD患者、及び197人の対照における、HLA−DQ型の表現型頻度の割合を示す。それぞれの被験者のDQB1対立遺伝子を考慮することにより、HLA−DQ型を指定した。HLA−DQ7の頻度は、vCJD患者において有意に低いままの状態であり(p=0.0010)、50人中わずか6人がこの表現型を有していた。散発性CJD群におけるHLA−DQ頻度は、対照の頻度に匹敵した状態であった。
【0136】
現在、研究されているvCJDの犠牲者はすべて、PRNP遺伝子中の共通の多型に関してメチオニンが同型である。約38%の正常な英国人の個体群は、この遺伝型を有する。われわれのデータによって、DQ7の存在は、3.3のDQ7に陰性である個人の相対的な危険に対して、いくらか防御性があることが示唆される。
【0137】
したがって、PRNP遺伝型分類と共に、vCJDの疑いがある患者をDQ7型分類することが、診断における有用なツールであることが実証される。
【0138】
vCJDの確固たる組織に基づく診断は扁桃生検によって行うことができるが、本発明の血液に基づく診断が、好ましいことは明らかである。
【0139】
理論に縛られること望まずに、DQ7とvCJDの防御的関係に関する、分子的基盤は明らかではない。MHCクラスIIの分子自体が、疾患の病因における直接的な役割を果たしているか、或いは、DQB遺伝子座と関連がある遺伝子が関連していることが考えられる。MHCクラスIIの考えられる役割は、その物体周辺にPrPScを偶然に有していることである可能性があり、或いは実際に、腸からリンパ細網系では、DQ7分子の役割はあまり有効ではない。或いは、HLA−DQ7分子は、推定病原性ペプチドを提示する際に、より有効である可能性があり、このようにして免疫応答を開始させる。本発明の作業によって、疾患の病因におけるMHCクラスIIの分子の重要な役割を明らかにすることができる。したがって、治療的介入の標的が開示される。
【0140】
【表1】
(参考文献)
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上記の本明細書で述べたすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込んである。本発明の記載した方法及び系のさまざまな変更形態及び変形形態が、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。特定の好ましい実施形態に関して本発明を記載してきたが、特許請求する本発明は、このような特定の実施形態に過度に制限されるべきではないことは理解されなければならない。実際、分子生物学又は関連分野の当業者には明らかである、本発明を実施するために記載した方法のさまざまな変更形態が、以下の特許請求の範囲内のものであると考えられる。
【0001】
本発明は方法に関する。特に本発明は、プリオン病に対する被験者の感受性を決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリオンは、核酸を含まない伝染性の粒子である。最も顕著なプリオン病は、ウシ海綿状脳症(BSE)、ヒツジのスクレーピー、及びヒトのクロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)である。CJDの最も一般的な症状発現は、個体中で自然に発生する散発性CJD(sCJD)である。医原性CJD(iCJD)は、偶発的な感染から生じる疾患である。家族性CJD(fCJD)は、家系中で稀に発生し、ヒトPrP遺伝子の突然変異によって引き起こされる、CJDの1つの形態である。ヒトの「新しい変異型」CJD(vCJD)は、他の型のCJDに関して見られるものと異なる、PrP糖型のパターンと関連があるCJDの異なる系統型である。BSEがウシ類から伝わって、ヒトのvCJDをもたらした可能性があることが示唆されている。
【0003】
プリオンは、PrPScと呼ばれる、プリオンタンパク質(PrP)の改変されたイソ型のみで構成されているようである。正常細胞のPrP(PrPCと呼ばれる)は、翻訳後プロセスによってPrPScに転換される。このプロセス中、PrPCの構造が変化し、PrPの生理化学的性質の変化を伴う。PrPScのアミノ酸配列は、遺伝子が複製し続ける哺乳動物宿主の、PrP遺伝子によってコードされるアミノ酸配列によって決まる。
【0004】
vCJDなどのプリオン病の疫学は、依然として確かなものではない。Attwood(2001)Trends in Biotechnology 19:8:283は、BSEが実際に、食物を汚染することによってvCJDを引き起こしている可能性が高いことが、研究によって現在確認されていると報告している。約100万頭の汚染されたウシが、ヒトの食物連鎖中に入りこんでいると考えられ、したがって、vCJDの大規模な将来の蔓延が予想される。Beale(2001)J R Soc Med 94:207〜209は、プリオン感染からプリオン病までの長い潜伏期によって、実験作業が緩慢且つ困難なものになっていると報告している。
【0005】
プリオン感受性を予測することが望ましい。プリオン感受性は多因性条件のものであると考えられる。プリオン感受性を予想するための従来技術の試みはわずかであり、それらは主にsCJD及びfCJDに焦点を当てたものである。プリオン感受性を予想する方法が必要とされている。
【0006】
ある従来技術の研究は、vCJD病をPrP配列多型と相関付けている(PrP Met129、Collinge他、1996 Lancet vol 348 p.56を参照のこと)。
【0007】
本発明は、従来技術に関する問題点を克服しようとするものである。
【非特許文献1】
Attwood(2001)Trends in Biotechnology 19:8:283
【非特許文献2】
Beale(2001)J R Soc Med 94:207〜209
【非特許文献3】
Collinge他、1996 Lancet vol 348 p.56
【非特許文献4】
Roitt、Brostoff及びMale編‘Immunology’、1996 4th Edition、Mosby Times Mirror International Publishers Limited刊行
【非特許文献5】
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【非特許文献6】
Victor A.McKusick他による、http://www.nebi.nlm.nih.gov/Omim
【非特許文献7】
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【非特許文献8】
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Delgado他(1996)Proc.Nat.Acad Sci.93:8569〜8571
【非特許文献13】
Arif他(1999)J.Clin.Endocr.Metab.84 1056〜1060
【非特許文献14】
Miller他(1988)Nuc.Acids Res.16,1215
【非特許文献15】
Katz他(1987)JPeriodontol 58:607〜610
【非特許文献16】
Bidwell(1998)Immunology Today 9,18〜23
【非特許文献17】
Angelini他(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,4489〜4493
【非特許文献18】
Bunce他(1995)Tissue Antigens 46,355〜367
【特許文献1】
WO 98/16834
【非特許文献19】
Collinge他(1991)Lancet 337,1441〜1442
【非特許文献20】
Palmer他(1991)Nature 352,340〜342
【非特許文献21】
Collinge他(1996)Lancet 348,56
【非特許文献22】
Sambrook他、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(1989)
【非特許文献23】
Ausubel他、Short Protocols in Molecular Biology(1999)4th Ed,John Wiley & Sons,Inc
【非特許文献24】
Scott他(1989),Cell 59,847〜857
【非特許文献25】
Scott他(1992)Protein Sci.,1,986〜997
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII型のDQ7が、プリオン病に対する感受性と関連があるという、驚くべき発見に基づくものである。DQ7を有する被験者はプリオン病に対して低い感受性を有し、一方DQ7 HLA型を有していない被験者は、プリオン病に対して高い感受性を示す。
【0009】
したがって、本明細書では、被験者中のDQ7の欠如が、プリオン病に対して高い感受性と相関関係があることを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一の態様では、本発明は、プリオン病に対する被験者の感受性を決定する方法であって、前記被験者からのサンプルを提供するステップと、前記サンプルのヒト白血球抗原(HLA)に対する特異性を決定するステップとを含み、前記サンプルがDQ7ヒト白血球抗原に対する特異性を有する場合は、前記被験者がプリオン病に対して低い感受性を有し、前記サンプルがDQ7ヒト白血球抗原に対する特異性を有さない場合は、前記被験者がプリオン病に対して高い感受性を有すると決定する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
サンプルは、HLA型の分類を行うことができる任意の組織又は体液であってよい。
【0012】
「HLA特異性を決定する」とは、HLA特異性又はHLA型を解明することを意味する。このプロセスは一般に、「HLA型分類」と呼ばれる。用語「HLA特異性」及び「HLA型」は、本明細書では互換的に使用する。
【0013】
サンプルをHLA型分類する(すなわち、HLA特異性を決定する)ときは、充分な情報を集めて、そのサンプルがDQ7であるか、それともDQ7ではないかを決定しなければならない。用語「DQ7」は、無数の基本的な免疫学教本(たとえば、Roitt、Brostoff及びMale編集「Immunology」、1996 4th Edition、Mosby Times Mirror International Publishers Limited刊を参照のこと;Bodmer他、1994 Tissue Antigens vol 44 pp 1〜18も参照のこと)に記載されている、よく知られているHLA型を指す。
【0014】
当業者に知られている任意の適切な手段によって、サンプルをHLA型分類することができる。このような手段には、血清型の分類、DNAの配列決定、配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)、又は配列特異的プライマーによるPCR(PCR−SSP)などの核酸に基づく方法、又は任意の他の適切な方法がある。HLAの型分類については、以下でより詳細に論じる。核酸に基づく方法を使用して、サンプルをHLA型分類することが好ましい。したがって、他の態様では、本発明は、前に記載した方法であって、ヒト白血球抗原に対する特異性を核酸に基づく方法によって決定する方法に関する。PCR−SSPを使用して、サンプルをHLA型分類することが好ましい。したがって、他の態様では、本発明は、前に記載した方法であって、核酸に基づく方法が配列特異的プライマーによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR−SSP)を含む方法に関する。
【0015】
他の態様では、本発明は、前に記載した方法であって、プリオン病がvCJDである方法に関する。
【0016】
他の態様では、本発明は、前に記載した方法であって、サンプルが体液又は組織であるか、或いはそれに由来するものである方法に関する。
【0017】
他の態様では、本発明は、前に記載した方法であって、体液又は組織が血液である方法に関する。
【0018】
他の態様では、本発明は、前に記載した方法であって、サンプルが体液又は組織から抽出した核酸であるか、或いはそれに由来するものである方法に関する。
【0019】
プリオン
本明細書では、用語「プリオン」は、当分野におけるその通常の意味を有するものであり、核酸を含まないタンパク質性感染粒子を指す。
【0020】
動物及びヒトのプリオン病は、異常な形状の宿主コード化タンパク質、PrPScの堆積によって特徴付けられる。ヒトのプリオン病には、遺伝性、散発性及び後天性の形態がある。クロイツフェルト−ヤコブ病の変異型(vCJD)は1996年に同定され、ウシ海綿状脳症(BSE)プリオン感染物質に曝されることによって生じる。vCJDは、散発性及び他の形態のCJDのそれとは異なる病因を有しており、リンパ細網組織内でのPrPScの蓄積が顕著である。
【0021】
プリオン病、即ち伝達性海綿状脳症は、核酸を含まない新規な感染物質によって引き起こされる神経変性疾患である。2つの新たな関連プリオン病;ウシ類のBSE及びヒトのvCJDの出現に刺激され、分子ベースでの疾患の病因に関する熱心な研究努力が行われている。このvCJDが、食事又は他の形でのBSE物質への暴露の結果として生じたものであることは、分子学的及び生物学的な系統の型分類研究によって支持されており、多くの個体が感染している可能性がある。vCJDの特徴的な病因は、推定経口感染経路、又はプリオン系統に特異的な作用に関係している可能性がある。リンパ細網系(LRS)の関与も、ヒツジのスクレーピー及びネズミモデルのスクレーピーにおいて見られ、この場合は濾胞樹状細胞に、潜伏期の初期、神経学的徴候の発症の充分前に、PrPScが蓄積することが示されている。LRS中でのプリオン複製が、末梢部分への少量の感染物質の接種に続く神経への侵入の前提条件である可能性がある。
【0022】
プリオンに関する背景知識は、Victor A.McKusick他によって、http://www.nebi.nlm.nih.gov/Omimに示されている。プリオンに関する以下の情報は、この情報源から抜き出したものである。
【0023】
プリオンタンパク質遺伝子の突然変異は、ゲルストマン−ストロイスラー症候群(GSD)、クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)、及び家族性致死性不眠症と関係があり、異常なイソ型のプリオンタンパク質は、これらの疾患において、又クールー及びヒツジのスクレーピーにおいて、感染物質として働くことができる。
【0024】
Prusiner(1982、1987)は、プリオンが、核酸を含まない新しいクラスの感染物質であることを示唆した用語プリオンは、Prusiner(1982)によって考案されたもので、「タンパク質感染物質」に由来する)。プリオン病は、接種により伝染し、或いは常染色体優性障害として遺伝する、神経変性疾患である。Prusiner(1994)は、伝達性海綿状脳症の病因を概説し、プロテアーゼ耐性イソ型プリオンタンパク質がこれらの疾患の病因において重要であることを示した。Mestel(1996)は、感染性タンパク質の存在に関する、賛成及び反対の証拠、並びに賛成及び反対の意見を概説した。
【0025】
Tagliavini他(1991)は、インディアナ州のある一族の2人の患者から単離したアミロイド斑中心部から抽出したタンパク質を、精製し特徴付けした。彼らは、GSDアミロイドの主要成分がPrPの11kDの分解産物であり、そのN末端は、ヒトPrPのcDNA由来のアミノ酸配列の、位置58におけるグリシン残基に対応することを発見した。さらに、アミロイド画分は、外見上完全なN末端及びアミロイドP成分を有する、大きなPrP断片を含んでいた。Tagliavini他(1991)は、これらの発見を、疾患のプロセスがPrPのタンパク質分解をもたらし、アミロイド形成ペプチドを生成させ、それが重合して不溶性繊維になることを示すものと解釈した。家系中で構造遺伝子の突然変異は発見されていないので、PrPの一次構造以外の要因が、アミロイド形成プロセスにおいて重要な役割を果たしている可能性がある。
【0026】
1つの解釈は、プリオンがシアロ糖タンパク質であり、その合成がこの障害の主な原因である感染物質によって刺激されるということであり、Manuelidis他(1987)は、PrPペプチドがCJDの感染物質ではないことを示唆する証拠を示した。Pablos−Mendez他(1993)は、「プリオン病の回りくどい歴史」を概説し、プリオンが感染性である、すなわちプリオンは細胞傷害性の代謝産物であるという概念に対する、代替案を示唆した。
【0027】
この筆者達は、代謝産物であるPrPのプロセッシングの研究、及びこのタンパク質の出現を増大させる物質の試験が、彼らの仮説を試験するための有用な方法であろうことを示唆した。彼らのモデルによって、PrPの異化作用を阻害することができる物質によって、PrPの蓄積がもたらされるであろうと予言された。トランスジェニックマウス中のPrP合成が高まると、実験におけるスクレーピーの潜伏期が短くなる。Pablos−Mendez他(1993)の仮説は、PrPの合成経路ではなく分解経路の細胞内での混乱を示唆するものであった。
【0028】
Forloni他(1993)は、PrPペプチド106〜126は、in vitroで重合してアミロイド様繊維になる高い固有の能力を有することを見出した。彼らは、主なラット海馬回の培養物をこのペプチドに対応するミクロモル濃度のペプチドに慢性的に曝すことによって、ニューロン死がもたらされることも示した。彼らは、このペプチドの神経毒性作用に、アポトーシス機構が関与していることを示唆した。
【0029】
伝達性海綿状脳症の感染性病原物質は、正常なプロテアーゼ感受性PrPタンパク質から翻訳後に誘導される、プロテアーゼ耐性のある、不溶形のPrPタンパク質であることが示唆されている(Beyreuther及びMasters、1994)。Kocisko他(1994)は、精製成分から構成された無細胞系における、正常なPrPタンパク質のプロテアーゼ耐性PrPタンパク質への転換を報告した。PrPの正常形から病原形へのこの選択的転換には、既存の病原性PrPの存在が必要であった。この筆者達は、この転換は、新しいPrPタンパク質の生合成、そのアミノ関連グリコシル化、又はその正常なグリコシルホスファチジルイノシトールアンカーの存在を必要としないことを示した。これによって、病原性PrPタンパク質が、それと正常なPrPタンパク質の間の特異的なタンパク質間相互作用から形成することができるという、直接的な証拠が与えられた。
【0030】
Rivera他(1989)は、その核型がテロメア融合15p;20pから生じる偽二動原体染色体を示す、重度の進行性神経障害を有する13才の男子を記載した。リンパ球では、異常染色体の動原体の狭窄部は常に染色体20のそれであり、一方線維芽細胞では、2つの動原体が交互に狭窄していた。この筆者達は、動原体の不活性化が、改変された形状の機能的DNA配列が動原体特異的タンパク質との正常な結合を妨げることから生じることを示唆した。彼らは又、クロイツフェルト−ヤコブ病において見られるような、海綿状神経膠ジストロフィーを連想させる患者の障害が、プリオンタンパク質の突然変異体の存在に付随する可能性があると仮定した。
【0031】
Collinge他(1990)は、家族性であれ散発性であれ「プリオン病」が、より適切な診断用語となる可能性があることを示唆した。GSD症を有するインディアナ州の一族が、Farlow他(1989)及びGhetti他(1989)によって報告された。遺伝的予想においてPrP遺伝子分析を使用することは、浸透度に関する不確かさ、及び任意の遺伝性の後期発症神経変性障害の前駆症状試験の複雑さから生じる、潜在的な問題点を有する。しかしながら、Collinge他(1991)は、その分析が、遺伝性プリオン病を有する家系の遺伝に関するカウンセリングの向上においてある役割を果たし、リスクのある人のCJD又はGSDの前駆症状の診断又は排除を可能にすると結論付けした。
【0032】
Gajdusek(1991)は、今日までに発見されたPRNP突然変異体のチャートを与えた:1個のアミノ酸変化を引き起こす5個の異なる突然変異体、及び5,6,7,8,又は9個のオクタペプチドリピートの5個の挿入体。彼は又、アミロイド症をもたらすトランスサイレチン遺伝子(TTR;176300)中で同定された18個の異なるアミノ酸置換体の表も与え、この2クラスの疾患の挙動の相似点を指摘した。
【0033】
Schellenberg他(1991)は、アルツハイマー病を有する76家系、おそらく散発性である127症例のアルツハイマー病、16症例のダウン症候群、及び256の正常な対照において、CJD及びGSSDと関連する、PRNP遺伝子及びPRNP挿入突然変異体のコドン102、117、及び200における、ミスセンス突然変異を探したが、これらの突然変異を肯定するものは無かった。Jendroska他(1994)は、組織片の免疫染色を使用して、特発性のパーキンソン病(PD;168600)、多系統萎縮症、びまん性レビー小体病(127750)、スチール−リチャードソン−オルスゼフスキー症候群(260540)、皮質基底核変性症、及びピック病(172700)を含めた、90症例のさまざまな運動障害において、病原性プリオンタンパク質の検出を試みた。これらの脳標本のいずれにおいても、病原性プリオンタンパク質は同定されなかったが、クロイツフェルト−ヤコブ病を有する4つの対照ではそのタンパク質は容易に検出された。Perry他(1995)はSSCPを使用して、54家系からの82人のアルツハイマー病患者(30の家族性の症例を含む)、及び39人の年齢一致対照における、プリオン遺伝子座の突然変異をスクリーニングした。Perry他は、コドン68の周辺に、後期発症アルツハイマー病家系の2人の罹患した同胞及び1人の子孫において、5個のグリシン−プロリンが豊富なオクタリピートのうち1個の除去をもたらす24bpの欠失を発見した。しかしながら、同系中の他の罹患者はこの欠失を共有しておらず、この欠失は後期発症アルツハイマー病家系からの、6人の非罹患メンバーのうち3人の年齢一致対照においても検出された。別のオクタリピートの欠失が、同じアルツハイマー病家系からの他の3人でも検出され、そのうち2人が罹患していた。他の突然変異は発見されなかった。Perry他(1995)は、彼らの調査において、プリオンタンパク質の突然変異とアルツハイマー病を関連付ける証拠は存在しないと結論付けた。
【0034】
Hsiao他(1990)は、分析した家系の3人のメンバーにおいて、PrP遺伝子のオープンリーディングフレームにおける突然変異を発見できなかったが、Hsiao他(1992)は、後になって、フェニルアラニン198からセリンへの突然変異を実証した;176640.0011を参照のこと。
【0035】
Palmer及びCollinge(1993)は、プリオンタンパク質遺伝子の突然変異及び多型について概説した。
【0036】
Chapman他(1996)は、プリオンタンパク質遺伝子の、コドン200における病原性リシンの突然変異がヘテロ接合性であり(176640.0006)、コドン129におけるメチオニンがホモ接合性である患者の、致死性不眠症及び重大な視床の病態を実証した。Chapman他は、この表現型と、コドン178における突然変異に関連する表現型と類似性を強調した(176640.0010)。
【0037】
Collinge他(1996)は、広範囲のヒトプリオン病の症例を調査して、異なる天然プリオン系統型を示す可能性がある、プロテアーゼ耐性PrPのパターンを同定した。Collinge他は、「新しい変異型」CJDからのプロテアーゼ耐性PrPを研究して、他の形態のCJDと分子的基準によって区別することができる、異なる系統型であるかどうか決定した。Collinge他(1996)は、散発性CJD及び医原性CJD(通常は死体脳からの成長ホルモンの投与による)が、ウエスタンブロットにおいてプロテアーゼ耐性PrPの3個の異なるパターンと関連付けられることを実証した。型1及び2は散発性CJDで見られ、医原性CJDのいくつかの症例で見られる。3型は、末梢経路がプリオンに曝された、後天性のプリオン病で見られる。Collinge他(1996)は、ウエスタンブロット法において、「新しい変異型」CJDが、特徴的なパターンのPrPのグリコシル化が関与するプロテアーゼ耐性PrPの独特で高度に一貫性のある出現と関連することを報告した。CJDが近交系マウスに伝播することによって、接種性CJDに特徴的なPrPパターンが生じた。ウシ海綿状脳症(BSE)プリオンの伝播によって、「新しい変異型」CJDのそれと非常に類似したPrPの糖型比のパターンが生じた。Collinge他(1996)は、マカクの実験的BSE、及び家ネコにおける自然の後天性BSEからのPrPが、実験的なネズミのBSE及び「新しい変異型」CJDのそれと区別できない、糖型のパターンを示すことを見出した。Collinge他(1996)の報告は、Aguzzi及びWeissmann(1996)によって概説され、彼らは、Collinge他(1996)が、BSEに関係する「新しい変異型」CJDの神経病原的及び臨床的特徴を概説したと結論付けた。
【0038】
Prusiner(1996)は、プリオン病の分子生物学及び遺伝学の包括的な概説を与えた。Collinge(1997)も同様に、この話題を概説した。彼は3種類のヒトプリオン病を認めた:(1)後天型、クールー及び医原性CJDを含む;(2)散発型、典型的及び非典型的な形のCJDを含む;(3)遺伝型、家族性CJD、ゲルストマン−ストロイスラー症候群、家族性致死性不眠症、及びさまざまな非典型的痴呆を含む。Collinge(1997)は、その時までに報告された12の病原性突然変異を表にした。疾患の表現型をコードするタンパク質の能力が、生物学において重要な非メンデル型の遺伝を表すことが示されたので、Collinge(1997)は、進化においてこの方法がある範囲の種において他のタンパク質に使用されなかったとすれば、驚くべきことであると思われるとコメントした。彼は、酵母菌中でのプリオン様機構の同定について言及した(Wickner、1994;Ter Avanesyan他、1994)。
【0039】
Horwich及びWeissman(1997)は、関連する伝達性神経変性疾患の群における、プリオンタンパク質の中心的役割について概説した。そのデータから、プリオンタンパク質がこの疾患プロセスに必要とされること、及び、プリオンタンパク質のその正常な可溶性アルファらせん構造から不溶性ベータシート状態への構造転換が、その疾患の発生及び感染性と密接に関係することが実証された。この転換プロセスに関して多くのことが依然として明らかではないと、彼らは指摘した。
【0040】
Mallucci他(1999)は、初老性痴呆、失調、及び他の神経精神病的特徴が常染色体優性遺伝として分離されている、ある大きな英国の家系を記載した。脱髄性疾患、アルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病、及びゲルストマン−ストロイスラー症候群の診断が、特定の個人で異なる回数行われてきた。Mallucci他(1999)は、同じ一族の一部である可能性があるアイルランドの家系も記載しており、その中で、罹患者における、多発性硬化症、痴呆、皮質基底核変性症、及び「新しい変異型」CJDの診断が考慮された。分子的研究により、PRNP遺伝子のアラニン17からバリンへの突然変異によって、この障害がプリオン病として同定された。彼らは、これらの一族に見られる表現型の発現の多様性を強調し、「新しい変異型」CJDが疑われる症例を含めて、非典型的な初老性痴呆又は神経精神病的特徴、及び失調を示す任意の個人におけるPRNP分析により、遺伝性プリオン病を除外すべきであると提案した。Hegde他(1999)は、伝播性プリオン病と遺伝性プリオン病は、共通の神経変性経路を共有することを実証した。Hegde他(1999)は、異常に折りたたまれたイソ型である、蓄積したPrPScが、神経変性疾患を引き起こすのに有効かどうかが、宿主コード化PrPがCtmPrPと呼ばれる膜貫通形になりやすいかどうかに依存することを観察した。さらに、伝播性プリオン病におけるPrPSc蓄積の時間行程の直後に、CtmPrPの生成が増大する。したがって、PrPScの蓄積によって、CtmPrPの生成又は代謝に慣用する事象がtransに調節されるようである。Hegde他(1999)は、これらのデータ全体から、CtmPrP仲介の神経変性の事象が、遺伝性及び感染性プリオン病の病因において共通のステップを表す可能性があることが示唆されると結論付けた。
【0041】
PrPc、すなわち細胞の非病原性イソ型PrPは、ニューロン中で強く発現される遍在する糖タンパク質である。Mouillet−Richard他(2000)は、ネズミ1C11のニューロン化モデルを使用して、抗体仲介クロスリンクを介したPrPc依存性シグナル伝達を調べた。1C11クローンは、ニューロン関連の機能が欠けた上皮の形態を有する、関連する神経外胚葉の子孫である。誘導すると、1C11細胞はニューロン様の形態を発現し、セロトニン作動性又はノルアドレナリン作動性細胞に分化し得る。2つの分化経路間の選択は、使用する誘導物質の組に依存する。PrPcを特異的抗体と結合させると、セロトニン作動性細胞とノルアドレナリン作動性細胞の両方で、チロシンキナーゼFYN(137025)のリン酸化レベルの著しい低下が誘導された。PrPcとFYNの結合は、カベオリン−1(601047)に依存した。Mouillet−Richard他(2000)は、クラトリン(118960を参照のこと)が、この結合に寄与している可能性もあることを示唆した。1C11細胞系がPrPc依存性のFYNの活性化を誘発する能力は、その完全に分化したセロトニン作動性又はノルアドレナリン作動性の子孫に限られていた。さらに、PrPcのシグナル活性は主に神経突起で生じた。Mouillet−Richard他(2000)は、PrPcがシグナル伝達タンパク質である可能性があることを示唆した。
【0042】
マッピング
プリオン関連タンパク質のヒト遺伝子は、体細胞のハイブリダイゼーションとin situハイブリダイゼーションの組合せによって(Sparkes他、1986)、又分類した染色体からのDNAのスポットブロッティングによって(Liao他、1986)、20p12−pterに位置付けられている。Robakis他(1986)も、in situハイブリダイゼーションによって、PRNP遺伝子座を20pに帰属させた。
【0043】
細胞間の20pの欠失を分析することによって、Schnittger他(1992)は、以下の順の遺伝子座:pter−−PRNP−−SCG1(118920)−−BMP2A(112261)――PAX1(167411)−−cenを実証した。Puckett他(1991)は、PRNP遺伝子の5’−プライマー、高度のヘテロ接合性を有し、染色体20のpter−p12領域用の有用なマーカーとして働くことができると思われるRFLPを同定した。
【0044】
Riek他(1998)は、マウスのプリオンタンパク質の微細NMR構造を使用して、遺伝性のヒト伝達性海綿状脳症の構造的基盤を調べた。細胞形のマウスのプリオンタンパク質中では、疾患特異的なサブドメインの存在を示すと思われる、突然変異部位の空間的クラスタリングは観察されなかった。残基128と178の間の水素結合が、ヒトPRNPにおける位置129での多型の、アスパラギン酸178からアスパラギン(D178N;176640.0007)への突然変異によって分離される疾患の表現型に対する、観察された非常に特異的な影響の構造的基礎を与えた。全体として、このNMR構造は、疾患関連アミノ酸の置換の一部だけが、細胞形のPRNPの低い安定性をもたらすことを暗示し、突然変異タンパク質の微妙な構造的差異が、分子内シグナリングにさまざまな異なる方法で影響を与える可能性があることを示している。
【0045】
Windl他(1999)は、ドイツのクロイツフェルト−ヤコブ病監視団体に付記された、プリオン病の疑いがある、578人の患者のPRNP遺伝子のコード領域中の突然変異及び多型を、4.5年にわたって調べた。彼らは、以前に病原性として報告されたミスセンス突然変異をもつ、40の症例を発見した。これらの中では、D178N突然変異が最も一般的であった。これらの症例のすべてにおいて、D178Nはコドン129におけるメチオニンと結合しており、その結果、典型的な家族性致死性不眠症の遺伝型がもたらされた。2つの新規なミスセンス突然変異、及びいくつかのサイレント多型が発見された。その図1に、Windl他(1999)は、PRNPのコード領域における知られている病原性突然変異を図示した。
【0046】
歴史
Aguzzi及びBrandner(1999)は「プリオンの遺伝学」を概説したが、これが用語の点で矛盾するかどうかという問題を提起した。なぜなら、伝達性海綿状脳症を引き起こす不可解な物質として彼らが定義したプリオンは、非遺伝性病理の典型であるからである。Griffith(1967)によって最初に提出された、タンパク質のみの仮説では、プリオンの感染性は、現在PRNPと呼ばれている異常な形態の細胞タンパク質である、スクレーピータンパク質と同一であると述べている。複製は、スクレーピーのプリオンが細胞のプリオンを召集し、それを別のスクレーピープリオンに転換することによって起こる。新たに形成されたスクレーピープリオンは、転換サイクルに加わり、スクレーピープリオンのより速やかな蓄積をもたらす事象の連鎖反応が生じる。この仮説は、Prusiner(1982)が病原性タンパク質を精製し、Weissmann及び彼の同僚(Oesch他1985;Basler他1986)が、スクレーピータンパク質及びその正常細胞の相当物PRNPをコードする遺伝子をクローニングした後に、広く承認され受け入れられた。Weissmannのグループ(Bueler他1993)が、タンパク質のみの仮説によって予想されたように、Prnpの遺伝的切断により、プリオンに曝したときマウスが実験的スクレーピーから保護されることを示すと、さらなる勢いを得た。Aguzzi及びBrandner(1999)は、家族性の形のプリオン病とプリオン遺伝子の突然変異との関連の発見を、重要な画期的事件である(Hsiao他1989)と考えた。
【0047】
動物モデル
プリオンの構造遺伝子(Prn−p)は、マウス染色体2に位置付けられている。Prn−pと密接に関連する、第2のネズミ遺伝子座、Prn−iによって、マウスにおけるスクレーピーの潜伏期の長さが決まる(Carlson他1986)。Pid−1で表される、スクレーピーの潜伏期を調節する別の遺伝子は、マウス染色体17上に位置している。Scott他(1989)は、ゴールデンハムスターからのプリオンタンパク質遺伝子を収容したトランスジェニックマウスは、ハムスタースクレーピーのプリオンを接種すると、ハムスターに特徴的なスクレーピー感染性、潜伏期、及びプリオンタンパク質のアミロイド斑を示すことを実証した。Hsiao他(1994)は、高レベルの突然変異体P101Lプリオンタンパク質を発現する、2系統のトランスジェニックマウスにおいて、実験用ネズミのスクレーピーと区別できない、神経病及び中枢神経系の病状が発現したことを見出した。ヒトプリオンタンパク質中のアミノ酸102は、マウスプリオンタンパク質中のアミノ酸101に対応する。したがって、P101Lのネズミにおける突然変異は、ヒト中でゲルストマン−ストロイスラー症候群を引き起こす、プロリン102からロイシンへの突然変異(176640.0002)と同等であった。Hsiao他(1994)は、P101L導入遺伝子を低レベルで発現するマウス、及び高レベルの突然変異P101Lプリオンタンパク質を発現するトランスジェニックマウスからの脳抽出物を注射したゴールデンハムスターへの、神経変性の連続的伝染を報告した。高発現トランスジェニックマウスは、低レベルの感染性プリオンしかその脳内に蓄積しなかったが、接種を受けたレシピエントへの疾患の連続的伝染によって、プリオン形成がこれらの非接種動物の脳内で新たに起きたことが立証され、プリオンが外来性の核酸を欠いているとの追加の証拠が与えられた。
【0048】
PrPノックアウトマウスに関する研究は、Bueler他(1994)、Manson他(1994)、及びSakaguchi他(1996)によって報告されてきている。Sakaguchi他(1996)は、彼らによって生成されたPrPノックアウトマウスは、70週齢までは見た目は正常であり、その時点でマウスは、小脳性失調の徴候を絶えず示し始めたことを報告した。組織学的研究によって、小脳回の大部分におけるプルキンエ細胞の過剰な損失が明らかになった。小脳の萎縮、及び第4脳室の拡張が示された。同様の病状変化は、Bueler他(1994)及びManson他(1994)によって作成されたPrPノックアウトマウスでは示されなかった。Sakaguchi他(1996)は、結果の違いは系統の違い、又はPrP遺伝子中でのノックアウトの程度の違いによるものである可能性があると指摘した。特に、記載したPrPノックアウトマウスの3つの系統すべてにおいて、プリオン感染に対する感受性が失われた。
【0049】
Collinge他(1994)は、そのPrP欠損マウスの研究に基づいて、プリオンタンパク質が正常なシナプス機能に必要であると結論付けた。彼らは、遺伝性プリオン病は、翻訳後に改変された形の細胞のPrPであるPrPcの生成による、顕性不活性な作用から生じる可能性があり、最終的に機能的PrP(PrPc)の漸次的喪失をもたらすと仮定した。Tobler他(1996)は、PrP欠損マウスの概日リズム及び睡眠の変化を報告し、これらの変化が致死性家族性不眠症における睡眠の変化との興味深い類似性を示すことを強調した。
【0050】
PrPを欠いたマウスは正常に成長したが、スクレーピー耐性であった;PrP導入遺伝子を導入することによって、疾患に対する感受性が回復した。この活性に必要なPrPの領域を同定するために、Shmerling他(1998)は、アミノ基部が欠失したPrPを発現するPrPノックアウトマウスを作製した。驚くべきことに、欠失部分が短いPrPではなく、残基32〜121又は32〜134が欠失したPrPが、生後わずか1〜3カ月で小脳顆粒層に限定された、重度の失調及びニューロン死を引き起こした。野生型PrP遺伝子を1コピー導入することによって、この欠陥は完全に無くなった。Shmerling他(1998)は、これらの短縮PrPは非機能的であり、PrP様機能を有する他の分子いくつかと共通のリガンドについて競合する可能性があると推測した。
【0051】
Telling他(1996)は、プリオン病における根本的事象は、細胞のプリオンタンパク質の高次構造の変化であり、これによってタンパク質が病原性のイソ型PrPScに転換されるという見解を支持する、観察結果を報告した。彼らは、致死性家族性不眠症(FFI)では、脱グリコシル化後のPrPScのプロテアーゼ耐性断片は19kDの大きさであり、一方他の遺伝性及び散発性プリオン病由来の断片は21kDであることを見出した。FFI患者の脳からの抽出物は、接種の約200日後に、キメラヒト−マウスPrP遺伝子を発現するトランスジェニックマウスに疾患を伝染させ、19kDのPrPSc断片の形成を誘導したが、一方家族性及び散発性クロイツフェルト−ヤコブ病患者の脳からの抽出物は、これらのマウス中で21kDのPrPSc断片を産生させた。Telling他(1996)の結果は、PrPScの高次構造が発生期のPrPScの形成を指示する際の鋳型として働くことを示し、多様性がPrPScの高次構造中に暗号化されている、プリオンの系統を説明するための機構を示唆した。
【0052】
Lindquist(1997)は、「科学上の最も刺激的な概念のいくつかが表面上は関連がない現象の予期せぬ衝突から生まれている」と指摘した。彼女が論じた問題の例は、酵母菌の遺伝学における2つの不可解な問題点が、プリオンの仮説と類似の仮説によって説明できると思われるという、Wickner(1994)による提案であった。2つの酵母菌の突然変異によって、表現型の遺伝が、異なる核酸の遺伝ではなく、異なるタンパク質高次構造の遺伝に基づくこともときにはあるという、説得力のある例が与えられた。したがって酵母菌によって、プリオン様プロセスを研究するための重要な新しいツールが与えられる可能性がある。さらに彼女は、プリオンは必ずしも病原性ではないことを示唆した。実際彼女は、マクロ分子の自己促進型の構造変化が、広くさまざまな正常な生物学的プロセス、クロマチン構造の変化と関連があるものなどの後成的現象だけではなく、いくつかの正常な、発生上調節される事象の根底にあると示唆した。
【0053】
Hegde他(1998)は、幾何学的形状の相対比を変えるPrP突然変異体を発現するトランスジェニックマウスにおける、異なる幾何学的形状のPrPの役割を研究した。1つの形は小胞体内腔に完全に転位しており、PrP−Secと呼ばれる。2つの他の形が、カルボキシ末端から内腔(PrP−Ctm)又はアミノ末端から内腔(PrP−Ntm)の方向で、小胞体に広がっている。高レベルのPrP−Ctmをもたらした突然変異体を収容するF2生成マウスは、58+/−11日に神経変性の発症を示した。PrPの過剰発現がその原因ではなかった。神経病理学的検査から、スクレーピーで見られた変化と同様の変化が示されたが、ただしPrPScの不在下においてであった。PrP−Ctmの発現のレベルは、疾患の重度と相関関係があった。
【0054】
Supattapone他(1999)は、野生型PrP(Prnp−/−)が欠損したトランスジェニック(Tg)マウスにおける、2つの大きな欠失があるアミノ酸106個の集合型PrPの発現によって、プリオン増殖が支持されたことを報告した。完全長のPrPScを含むRocky Mountain研究所(RML)のプリオンによって、約300日後にTg(PrP106)Prnp−/−マウスにおいて疾患が生じ、一方、PrPSc106を含むRML106プリオンの伝播によって、反復移動により約66日後にTg(PrP106)Prnp−/−マウスにおいて疾患が生じた。この人工的な、RMLプリオンの移動の伝播の障害は、約165日後にスクレーピーが進行したTg(PrP106)Prnp+/−マウスにおける、野生型マウスのPrPcの同時発現によって減少し、野生型マウスのPrPが途中で作用して、RML106プリオンの複製が促進されることが示唆された。精製PrPSc106はプロテアーゼ耐性であり、糸状体を形成し、非変性洗浄剤に不溶であった。
【0055】
Kuwahara他(1999)は、Prnp−/−及びPrnp+/+マウスからの海馬細胞系を確立した。14日齢のマウス胚からの培養物を確立した。研究した6つの細胞系はすべて、神経前駆体細胞の系統に属していたが、それらはその発生段階が異なっていた。Kuwahara他(1999)は、細胞の培養物から血清を除去することによって、Prnp+/+細胞中ではなくPrnp−/−細胞のアポトーシスが引き起こされたことを発見した。プリオンタンパク質又はBCL2遺伝子の形質導入によって、血清を含まない条件下においてPrnp−/−細胞のアポトーシスが抑制された。Prnp−/−細胞はPrnp+/+細胞より、短い神経突起を延長させたが、PrPの発現によってその長さは増大した。Kuwahara他(1999)は、これらの発見によって、野生型プリオンタンパク質の機能の損失は、部分的にはプリオン病の病因の根底にあるという概念が、支持されたと結論付けた。この筆者達は、BCL2遺伝子の形質導入をすぐに試みた。なぜなら、BCL2は以前に、酵母菌の2ハイブリッド系においてプリオンタンパク質と相互作用することが示されたからである。これらの結果によって、哺乳動物細胞においても、BCL2とPrPの間の何らかの相互作用が示唆された。
【0056】
スクレーピー感染したマウスでは、循環性B及びTリンパ球ではなく脾臓リンパ球と結合したプリオンが発見され、ストロマ中では、それは濾胞樹状細胞を含む。成熟した濾胞樹状細胞の形成及び維持には、膜結合リンホトキシンα/βを発現するB細胞の存在が必要である。可溶性リンホトキシンβ受容体でマウスを処理することによって、脾臓からの成熟した濾胞樹状細胞の消失がもたらされる。Montrasio他(2000)は、この処理によって脾臓でのプリオンの蓄積がなくなり、腹膜内スクレーピー感染の後の神経侵襲が遅れることを実証した。Montrasio他(2000)は、彼らのデータによって、濾胞樹状細胞が脾臓内のプリオン複製の主要部位である、証拠が与えられたと結論付けた。
【0057】
Chiesa他(1998)は、14個のオクタペプチドリピートを含む突然変異プリオンタンパク質を発現したトランスジェニックマウスの系を生成させ、ヒトのそのタンパク質の相同体は、遺伝性のプリオンによる痴呆と関係がある。この挿入体は、その時までにPRNP遺伝子において同定された最大のものであり、進行性の痴呆及び失調によって、及び小脳及び大脳基底核中のPrP含有アミロイド斑の存在によって特徴付けられる、プリオン病と関係があった(Owen他1992;Duchen他1993;Krasemann他1995)。突然変異タンパク質を発現するマウスは、導入遺伝子配列がそれぞれ同型又は半接合性であったかどうかに応じて、65又は240日齢で失調が顕著である神経病が進行した。誕生から始まり、突然変異PrPは、スクレーピーのイソ型PrPと似たプロテアーゼ耐性で洗浄剤不溶性の形に転換され、マウスの生存期間中にわたって多くの脳領域中に、この形のものが劇的に蓄積した。PrPが蓄積すると、小脳中で顆粒細胞の大規模なアポトーシスが起こった。
【0058】
主要組織適合複合体
本明細書では、用語「主要組織適合複合体」(MHC)は、当分野におけるその通常の意味を有し、さまざまな細胞の表面上で「同定マーカー」として機能する、細胞抗原のファミリーをコードする1組の遺伝子を指す。Tリンパ球は、その固有の受容体を介してこれらの細胞と相互作用して、その適応免疫機能を果たす。
【0059】
MHCは、ネズミ及びヒトMHC中にコードされた、3クラスの分子(I、II及びIII)に分けられる。クラスI及びIIの分子は、異なる構造体を示す。クラスIIIのMHCは、機能が確立されていないか或いは構造的類似性がない20を超える遺伝子の、多様な集合体を含む。
【0060】
MHCクラスIIの分子に関する背景知識は、Victor A.McKusick他によって、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Omimに示されている。MHCクラスIIの分子に関する以下の情報は、この源から抜粋しているものである。
【0061】
ヘテロマーである主要組織適合複合体のクラスIIのタンパク質、α及びβサブユニットの遺伝子は、6p21.3領域中に集合している。Todd他(1987)Nature 329:599〜604は、クラスIIの遺伝子座の地図を示した。彼らは、DQ分子、特にβ鎖の残基57の構造によって、インシュリン依存性糖尿病をもたらすインシュリン生成島細胞に対する、自己免疫応答が指定されることを示唆した。HLA−D領域内の約14のクラスIIのHLA遺伝子の中で、DQ3.2−β遺伝子は、HLA−DR4とインシュリン依存性糖尿病の充分に文書化された関係の原因であり、この疾患と最も相関関係がある1つの対立遺伝子である。Kwok他(1989)Proc.Nat.Acad.Sci.86:1027〜1030は、アミノ酸45は、DQ3.2−β遺伝子及びその非糖尿病型対立遺伝子、DQ3.1−βを特徴とする血清学的エピトープを生成させるのに、重要であることを見出した。Todd他(1990)Proc.Nat.Acad.Sci.87:1094〜1098は、日本人の中では、IDDMはHLA−DRよりもHLA−DQと強く関係しており;DQA1遺伝子座のA3対立遺伝子が、疾患と最も強く関係しており;白人及び黒人のI型糖尿病に対する感受性と関係がある、DQB1遺伝子座のDQw8対立遺伝子は、日本人の患者では頻度が増大せず;白人のI型糖尿病に対する低い感受性と関係がある、アスパラギン酸57をコードするDQB1対立遺伝子は、49人の日本人患者のうちの1人を除く全員に、及び31人の対照全員に、少なくとも異型の状態で存在したことを見出した。40%の患者が、アスパラギン酸57をコードするDQB1対立遺伝子が同型であり、これに対し対照では35%が同型であった。日本人におけるアスパラギン酸57をコードするDQB1対立遺伝子の高い頻度は、日本でのI型糖尿病の珍しさに原因がある可能性がある。
【0062】
HLAクラスIIの膜内外ヘテロ二量体の非常に高い多型は、そのα鎖及びβ鎖の最も外側のドメイン中に存在する数個の超可変領域によるものである。アミノ酸配列のいくつかの変化は、疾患感受性の関連、及びプロセッシングされた抗原をT細胞に提示する能力において重要である。B細胞のcDNAライブラリーをDQ−βプローブを用いてスクリーニングすることによって、Giorda他(1991)Immunogenetics 33 404〜408は、HLA−DQw7、−DQw8、及び−DQw9対立遺伝子のβ鎖に対応するcDNAを得た。配列分析によって、ただ1個のアミノ酸の変化をもたらした、6箇所のヌクレオチド位置におけるDQw8とDQw9の間の違いが明らかになった。DQw9は、位置57にアラニンではなくアスパラギン酸をコードしている。DQw7はこの位置においてDQw9と同じであるが、9個の他のアミノ酸が異なる。
【0063】
瘢痕性類天疱瘡(CP)は、重層扁平上皮、及びときには皮膚由来の多数の粘膜を冒す、慢性的な自己免疫性の水疱性疾患である。CPは、疾患の症状発現の範囲が広い。口内天疱瘡(OP)を有する患者は、その病的変化が口内粘膜に限られる、良性の一過性疾患を有する。他方で、再発及び寛解によって示される慢性疾患である、眼部瘢痕性類天疱瘡を有する患者は、眼部に関する関連、及びおそらくは他の粘膜に関する関連もある。あらゆる臨床型は、類似の抗基底帯自己抗体の存在によって特徴付けられる。1つの形のCP又は他のCPの進行を決定する要因は、知られていない。Yunis(1994)Proc.Nat.Acad.Sci.91 7747〜7751は、OPを有する22人の白人患者及びその家系(19家系)のDNAを試験することによって、クラスIIの対立遺伝子を研究した。これらの結果を、17人のOCP患者及びその家系の対照から得られた結果、及び骨髄移植に関して研究した42人の対照白人家系の結果と比較した。これらの結果によって、HLA−DQB1*0301は、口内及び眼部形のCPに関する感染性のマーカーであることが示された。OP及びOCP中に存在するDQB1対立遺伝子のアミノ酸配列を分析することによって、位置57及び位置71〜77におけるアミノ酸残基も、マーカーである可能性があることが示唆された。
【0064】
Delgado他(1996)Proc.Nat.Acad Sci.93:8569〜8571は、水泡性天疱瘡を有する21人の患者、眼部瘢痕性類天疱瘡を有する17人の患者、及び口内天疱瘡を有する22人の患者において高精度で型分類したMHCクラスIIの遺伝子座、HLA−DRB1及びHLA−DQB1を、218のハプロタイプの正常な個人の一群と比較した。彼らは、3つの疾患はDQB1*0301と有意な関係があったことを見出した(それぞれP=0.005、Pが0.0001未満、及びP=0.001)。位置71〜77からの特定のアミノ酸配列を共有していた、対立遺伝子DQB1*0302、*0303、及び*06の頻度も増大した(P=0.01)。これらの発見によって、3つの臨床的に異なる変形の天疱瘡における自己免疫応答は、皮膚の基底膜、結膜、又は口内粘膜由来のペプチドと結合した、クラスII領域のDQB1のT細胞による認識と関連があることが示唆された。
【0065】
早発卵巣不全(POF)は、非常に症例の多い自己免疫性の病因を有する。Arif他(1999)J.Clin.Endocr.Metab.84 1056〜1060は、アスパラギン酸−57をコードするHLA−DQB1遺伝型は、POFにおいて3−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼによる自己免疫と関連があることを見出した。2つのHLA−DQB1対立遺伝子、位置57においてアスパラギン酸コドンを共有する*0301及び*0603、は3−β−HSD自己抗体に関して陽性の関係を示した。3−β−HSD自己抗体を有する21人中18人(86%)のPOF患者は、134人中92人の対照被験者と比較して、DQ−β−アスパラギン酸57をコードする遺伝型を有しており、21例中9例(43%)は、134人中17人(13%)の対照被験者と比較して、コドン57の遺伝型が同型であった。これらの確率値は、多重検定の補正後は有意ではなかった。この筆者達は、POF、3−β−HSD自己免疫、及び異なるHLA−DQ分子間の関係を彼らが実証したことによって、3−β−HSDに対する自己抗体は自己免疫性卵巣不全のマーカーである可能性があるという仮説が支持され、アスパラギン酸57−β鎖を有するHLA−DQ分子による、自己抗原性又は外来性ペプチドのTリンパ球に対する提示は、この疾患の病因において重要であることが示唆されたと結論付けた。
【0066】
ヒト白血球抗原
本明細書では、用語ヒト白血球抗原(HLA)は、当分野におけるその通常の意味を有するものであり、染色体6の短いアーム上の密接に関連がある遺伝子によってコードされた、細胞表面の糖タンパク質を指す。
【0067】
本発明の特に興味深いHLA型は、HLAのクラスII型のDQ7である。
【0068】
感受性
本発明によれば、プリオン病に対する被験者の感受性を決定する方法が提供される。
【0069】
用語「感受性」はプリオン病に対する被験者の感受性、可能性、敏感性、傾向又は許容性を指す。
【0070】
被験者からのサンプルがDQ7特異性があるHLAを有する場合、これは被験者がプリオン病に対して低い感受性を有することを示し;且つ被験者からのサンプルがDQ7特異性があるHLAを有さない場合、したがってこれは、被験者はプリオン病に対して高い感受性を有することを示す。
【0071】
サンプル
「サンプル」は、HLAをDQ7に型分類することができる、任意の物理的物体であってよい。
【0072】
サンプルは体液又は組織であるか、或いはそれに由来することが好ましい。体液は血液、血清などであるか、或いはそれに由来することがさらに好ましい。
【0073】
好ましい実施形態では、サンプルは核酸を含む。非常に好ましい実施形態では、サンプルは血液から抽出した核酸を含む。
【0074】
抽出
本発明の好ましい実施形態では、Miller他(1988)Nuc.Acids Res.16,1215中に記載されたような塩析によって、DNAなどの核酸を血液細胞から単離する。
【0075】
本発明の非常に好ましい実施形態では、DNAなどの核酸を、DNA抽出キット(Dynal、Merseyside、UK)などの市販のキットを使用して、血液細胞から単離する。この手順では、2mlのチューブ中の200μlの抗凝固処理した全血を、1mlの赤血球細胞溶解バッファー1(5mlの濃縮物+44mlの蒸留水+1mlの0.5M EDTA pH8)と、溶液が透明になるまで混合させる。この溶液を、10,000rpmで10秒間遠心分離して、白血球細胞をペレット状にし、上澄みを捨てる。チューブを攪拌し、1mlの赤血球細胞溶解バッファー2(5mlの濃縮物+45mlの蒸留水)を加える。この溶液を10秒間遠心分離し、上澄みを捨てる。200μlの再懸濁Dynabeads(登録商標)DNA抽出物を、白血球細胞のペレットに加える。チューブから含有物をすぐに吸引し、清潔な2mlのチューブに移す。磁気バーを有するDynal MPC(登録商標)−Q中の適所に、チューブを置き、30秒後に上澄みを捨てる。磁気バーを除去し、1mlの蒸留水を加える。磁石を交換し、30秒後に上澄みを捨てる。複合体をさらに2回洗浄し、DNAを含むチューブの含有物を200μlの蒸留水に再懸濁させる。
【0076】
DQ7
サンプル中のDQ7特異性を有するHLAを、任意の適切な方法を使用して、決定又は型分類することができる。たとえば、血清学に基づく方法を使用して、サンプルをHLAに型分類することができる。DNAに基づく方法を使用して、サンプルをHLAに型分類することが好ましい。
【0077】
血清学的方法は、モノクローナル又はポリクローナル抗体による抗原捕獲に基づくものであってよく、リンパ球の表面上の検出可能なレベルのHLAタンパク質の存在を必要とする。たとえばリンパ球を、密度勾配遠心分離によって単離し、250単位のヘパリンナトリウムと混合させた10mlの血液からなるMacoyの5a培地などの培地で、2回洗浄することができる。したがってB細胞は、ナイロン−ウールを使用して分離することができる。T細胞が欠失し、B細胞が豊富なリンパ球は、Katz他(1987)JPeriodontol 58:607〜610に従った長期のインキュベーションによる細胞障害性試験によって、DQに型分類することができる。
【0078】
用語「DNAに基づく方法」は、それを使用してDQ7特異性を有するHLAをサンプルが有するかどうかを決定することができる、任意のDNAに基づく方法を指す。DNAに基づく方法を使用して、HLA DQ7の特異性を意味する遺伝子座をサンプルが含むかどうかを、決定することが好ましい。HLA DQ7の特異性を意味する対立遺伝子を、サンプルが含むかどうかを決定するために、DNAに基づく方法を使用することがより好ましい。HLA DQ7の特異性を意味するDQBl*030対立遺伝子、DQB1*03011、DQB1*03012、DQB1*0304、及び/又はDQBl*0309などを、サンプルが含むかどうかを決定するために、DNAに基づく方法を使用することがより好ましい。
【0079】
HLAの型分類を行うためのDNAに基づく方法は、Bidwell(1998)Immunology Today 9,18〜23、及びAngelini他(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,4489〜4493によって概説されてきている。
【0080】
RELI SSO HLA−DQB1 Test(Dynal、Merseyside、UK)などの市販のキットを使用して、SSOを行うことができる。
【0081】
RELI SSO HLA−DQB1 Test用に、30μlのマスター混合物(10%グリセロール、KClを含むTris−HC1、<0.001% dATP、dCTP、dGTP、dUTP、ビオチン化プライマー、<0.01% AmpliTaq(登録商標)(Taqポリメラーゼ)及び0.05%アジ化ナトリウム)を、次に15μlの6mM MgCl2、及び15μlの対照DNA(DQB1*03011対立遺伝子などの対立遺伝子を含む)、陰性対照(15μlの滅菌蒸留水)、又は15μlの試験するサンプルを、それぞれのPCRチューブに等分する。PCR増幅は、以下のようにプログラムされたサーマルサイクラーを使用して行う:95℃で15秒間、60℃で45秒間、72℃で15秒間の35サイクル;72℃に5分間、その後15℃に永久的に保つ。プログラムの終了時に、チューブを除去し、60μlの変性溶液(3% EDTA、1.6% NaOH及びチモールブルー)を加え、次に10分間室温でインキュベーションする。検出が1〜2時間以内で行われる場合、変性反応の混合物は室温で保存することができる。それ以外の場合は、検出ステップが行われるまで、変性反応の混合物を2〜8℃で(1週間を超えずに)保存しなければならない。
【0082】
検出ステップ用に、3つのバッファーが必要とされる:(1)作業用ハイブリダイゼーションバッファー、55mlのSSPE濃縮物(NaClを含むリン酸ナトリウム溶液、EDTA及び1% Proclin 150(登録商標))、213mlの蒸留水、及び6.9mlのSDS濃縮物(SDS及び1% Proclin 150(登録商標))を混合させることによって調製するもの;(2)作業用洗浄バッファー、65mlのSSPE濃縮物、1228.5mlの蒸留水、及び6.5mlのSDS濃縮物を混合させることによって調製するもの、275mlを厳密洗浄バッファー用に使用し、1025mlを周囲洗浄バッファー用に使用する;(3)作業用クエン酸バッファー、30mlのクエン酸濃縮物(クエン酸ナトリウム溶液)を570mlの蒸留水で希釈することによって調製するもの。
【0083】
ハイブリダイゼーションバッファー及び厳密洗浄バッファーを、使用前に50℃に暖め、水浴を同じ温度に設定する。HLA−DQB1に型分類した試料を、型分類用トレーのそれぞれのウエル中に置く。5mlの予め暖めたハイブリダイゼーションバッファーをそれぞれのウエルに加え、次に70μlの変性した増幅サンプル又は対照をそれぞれのウエルに加える。型分類用トレーの上に蓋を置き、50℃において30分間60rpmで、トレーをインキュベートする。それぞれのウエルの含有物を除去し、5mlの周囲洗浄バッファーを加える。それぞれのウエルの含有物を除去し、5mlの厳密洗浄バッファーを、50℃において15分間60rpmで加える。作業用複合溶液を、5.3mlの周囲洗浄バッファーを16μlのストレプトアビジン−HRP複合体(ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体、NaCl及び1% Proclin 150(登録商標)を含むACES溶液中のもの)に加えることによって、アッセイするそれぞれの試料用に調製する。トレーを水浴から除去し、それぞれのウエルから含有物を除去する。5mlの作業用複合溶液をそれぞれのウエルに加え、トレーを15分間60rpmで混合する。含有物をウエルから除去し、5mlの周囲洗浄バッファーを、それぞれのウエルに5分間60rpmで加える。周囲洗浄バッファーのステップを1回繰り返す。含有物をウエルから除去し、5mlのクエン酸バッファーを、5分間60rpmで加える。作業用基質(基質A(0.01% H2O2、及び0.1% ProClin150(登録商標)を含むクエン酸溶液)と、基質B(40%ジメチルホルムアミドに溶けた0.1% 3,3’,5,5’−テトラメチルベンズイミド)の混合物)を、計算式[4.4ml×試料の数]を使用して、必要とされる基質Aの量を計算することによって調製する。必要とされる基質Bの量は、計算式[1.1ml×試料の数]によって決定する。ウエルの含有物を除去し、5mlの作業用基質を10分間60rpmで加える。ウエルの含有物を除去し、5mlの蒸留水を5分間60rpmで加える。このステップは2回繰り返す。5mlのクエン酸バッファーをそれぞれのウエルに加え、キットと共に含まれるHLA−DQB1オーバーレイ及びスコアシートを使用して、試料を手作業で処理する。対照線より大きな強度を有するそれぞれの青線に関しては、陽性シグナルが記録される。その型を、キットと共に含まれるDynal RELI SSO HLA−DQBの説明表と比較する。
【0084】
サンプルがDQBI*030対立遺伝子、DQB1*03011、DQB1*03012、DQB1*0304、及び/又はDQBI*0309などを含むとき、陽性の結果が得られる。1個又は複数個のこれらの対立遺伝子の存在は、DQ7型のHLAを意味する。具体的には、DQ7特異性を有するHLAに関する陽性の結果は、対照線より大きな強度を有する青線が、たとえばレーン7、レーン11、レーン17、レーン22及び23(DQBI*03011、DQB1*03012及びDQBI*0309)、及び/又はレーン25及び/又はレーン7、レーン11、レーン16、レーン22〜23及びレーン25(DQBI*0304)に存在するときに得られる。
【0085】
Bunce他(1995)Tissue Antigens 46,355〜367に従って、或いはAllSet SSP DQB1*03 Test(Dynal、Merseyside、UK)などの市販のキットを使用して、SSPを行うことができる。
【0086】
DNA抽出キット(Dynal、Merseyside、UK)などの前述した方法を使用して、精製DNAを作製することができる。
【0087】
5μlの供給されたプライマー溶液を、それぞれのPCRチューブに分配する。1つのDQB1*03型分類(11のPCR反応混合物)を行うために、以下のPCR混合物を作製する:112μlのDynal AllSet SSPマスター混合物(Tris−HCI、KCI、ゼラチン、MgCl2、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、グリセロール及びクレゾールレッド);26.6μlのサンプルDNA(50ng/μl);1.12μlのTaq DNAポリメラーゼ。含有物を混合させ、10μlのPCR混合物をそれぞれのウエルに分配する。使用するPCRサイクルのパラメータは:94℃で2分間;94℃で10秒間及び65℃で60秒間の10サイクル;94℃で10秒間、61℃で50秒間及び72℃で30秒間の20サイクルである。
【0088】
HLA DQ7特異性を意味する、DQBI*030対立遺伝子、DQB1*03011、DQB1*03012、DQB1*0304、及び/又はDQBI*0309などをサンプルが含むとき、陽性の結果が得られる。したがって、たとえばチューブ1(PCR産物140bp)、及びチューブ2(PCR産物125bp)(DQB1*0301及びDQB1*0302)、及び/又はチューブ1及びチューブ5(130bp)(DQB1*0304)、及び/又はチューブ1、チューブ2、及びチューブ10(PCR産物120bp)(DQB1*0309)中で陽性シグナルが得られるとき、DQ7特異性を有するHLAが同定される。
【0089】
本発明の他の実施形態では、哺乳動物、家畜哺乳動物など、たとえばヒツジ及び/又はウシの、プリオン感受性を決定することができる。この実施形態では、DNAに基づく方法は、DNAの塩基配列決定であることが好ましい。DNAの塩基配列決定を使用して、家畜哺乳動物のMHCの同等なHLA DQ7特異性を意味する、1個又は複数個のヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列、1個又は複数個の遺伝子座及び/又は1個又は複数個の対立遺伝子などを同定することができる。たとえば、HLA DQ7特異性を意味するDQBl*030対立遺伝子の配列は、データベース、たとえばヒトからのDQBl*030対立遺伝子の5’側面領域(受託番号AF217420);ヒトからのDQBl*0304対立遺伝子の第1のドメイン、エクソン2(受託番号M74842)において、公に入手可能である。家畜からのヌクレオチド及びアミノ酸配列のデータベースを調べて、HLA DQ7特異性を意味する配列と相同性がある配列を同定することができる。したがって、同等のHLA DQ7特異性を決定することによりプリオン病に対する家畜の感受性を決定するために、本発明の方法を使用することもできることは、当業者により明らかであろう。
【0090】
本発明の方法を、プリオン病に対する被験者の感受性を決定する他の方法(PrP Met129型分類、又はDQ7が好ましい例である血液系マーカーの他の組合せなど)と組み合わせて、これによってそれぞれの被験者に関する第2の情報を有利に与えることができることは、当業者には明らかであろう。1つのこのような方法では、PrP129の遺伝型を、WO 98/16834、Collinge他(1991)Lancet 337,1441〜1442、Palmer他(1991)Nature 352,340〜342、及びCollinge他(1996)Lancet 348,56中に記載されたように決定する。PrPのアミノ酸129における多型は同定されてきており(メチオニン又はバリンに関して)、このことが、その大部分が多形残基129におけるメチオニンが同型である、vCJDを有する患者の一団の、散発性及び後天性のヒトプリオン病に対する遺伝的感受性に寄与している。したがって、PrPメチオニン129を有し、さらにHLA型DQ7が欠けている被験者は、プリオン病に対して最も高い感受性を有し、逆も然りであると予想することができる。方法を組み合わせることによって、プリオン病に対する被験者の感受性の、さらに確固たる指標を与えることができる。
【0091】
本明細書では、用語「家畜」は、任意の飼育動物を指す。家畜は、1匹又は複数匹のブタ、ヒツジ、ウシ又は雄牛であることが好ましい。家畜はウシ、雄牛又はヒツジであることがより好ましい。
【0092】
ヌクレオチド配列
本発明の態様は、データベース中の利用可能なヌクレオチド配列の使用を含むことができる。
【0093】
本明細書では、用語「ヌクレオチド配列」は、用語「ポリヌクレオチド」と同義である。
【0094】
ヌクレオチド配列は、ゲノム又は合成又は組み換え起源の、DNA又はRNAであってよい。ヌクレオチド配列は、センス鎖又はアンチセンス鎖又はこれらの組合せである、二本鎖又は一本鎖であってよい。
【0095】
一般的な組み換えDNA法の技術
一般に、本明細書で述べる技法は当分野でよく知られているが、特にSambrook他、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(1989)、及びAusubel他、Short Protocols in Molecular Biology(1999)4th Ed,John Wiley & Sons,Incを、参照することができる。
【0096】
他の態様では、本発明は、プリオン病に対する感受性が低い、家畜などの哺乳動物の繁殖に関する。HLA DQ7特異性が同等である1個又は複数個のMHC分子を有する家畜を、繁殖させることができる。HLA DQ7特異性が同等である1個又は複数個のMHC分子を有するこれらの子孫を選択し、他の繁殖プログラムにおいて使用することができる。近親交配、近親外交配、又は当業者に知られている任意の他の繁殖法を含めた、さまざまな繁殖法を使用することができる。
【0097】
他の態様では、本発明は、ゲノムに挿入されたHLA DQ7特異性が同等である、1個又は複数個のヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列を有する、家畜などのトランスジェニック哺乳動物に関する。したがって、このトランスジェニック哺乳動物は、プリオン病に対して低い感受性を有する可能性がある。同等なHLA DQ7特異性を意味するMHC分子、1個又は複数個の遺伝子座及び/又は1個又は複数個の対立遺伝子などを、(1)1つの胚から他の胚への細胞の移動;(2)レトロウイルスに感染させた細胞の導入;(3)Scott他(1989),Cell 59,847〜857、及びScott他(1992)Protein Sci.,1,986〜997により記載された方法に従った、
受精卵の前核へのcDNAのマイクロインジェクション;(4)1匹の動物への多数の卵の移植などの、当業者によく知られているいくつかの技法を使用して、哺乳動物に導入することができる。したがって、知られている手順を使用して、生じる子孫がトランスジェニック哺乳動物であるかどうかを決定する。
【0098】
他の態様では、本発明は、同等なHLA DQ7特異性を意味する1個又は複数個のMHC分子、1個又は複数個の遺伝子座及び/又は1個又は複数個の対立遺伝子などを有し、そのゲノムが欠失しているトランスジェニックマウスなどのトランスジェニック哺乳動物に関する可能性もあり、したがって、このトランスジェニック哺乳動物は、プリオン病に対して高い感受性を有する。
【0099】
以下の実施例を参照しながら、本発明を例示する。
【実施例1】
【0100】
プリオン病に対する感受性と関係があるDQ7特異性を有するHLAの同定
DNA抽出キット(Dynal、Merseyside、UK;製品番号633.XX)を使用して、vCJD感染した49人のヒト患者及び197人の対照ヒト患者から、DNAを単離する。2mlのチューブ中のそれぞれの患者からの200μlの抗凝固処理した全血を、1mlの赤血球細胞溶解バッファー1(5mlの濃縮物+44mlの蒸留水+1mlの0.5M EDTA pH8)と、溶液が透明になるまで混合させる。この溶液を、10,000rpmで10秒間遠心分離して、白血球細胞をペレット状にし、上澄みを捨てる。チューブを攪拌し、1mlの赤血球細胞溶解バッファー2(5mlの濃縮物+45mlの蒸留水)を加える。この溶液を10秒間遠心分離し、上澄みを捨てる。200μlの再懸濁Dynabeads(登録商標)DNA抽出物を、白血球細胞のペレットに加え、チューブの含有物をすぐに吸引し、清潔な2mlのチューブに移す。磁気バーを有するDynal MPC(登録商標)−Q中の適所に、チューブを置き、30秒後に上澄みを捨てる。磁気バーを除去し、1mlの蒸留水を加える。磁石を交換し、30秒後に上澄みを捨てる。複合体をさらに2回洗浄し、246の血液サンプルから抽出したDNAを、200μlの蒸留水に再懸濁させる。
【0101】
RELI SSO HLA−DQBI Test(Dynal、Merseyside、UK;製品番号820.XX)を使用して、HLAの型分類を行う。
【0102】
30μlのマスター混合物(10%グリセロール、KClを含むTris−HC1、<0.001% dATP、dCTP、dGTP、dUTP、ビオチン化プライマー、<0.01% AmpliTaq(登録商標)(Taqポリメラーゼ)及び0.05%アジ化ナトリウム)を、次に15μlの6mM MgCl2、及び15μlの対照DNA(DQB1*030対立遺伝子を含む)、陰性対照(滅菌蒸留水)、又は246の血液サンプルそれぞれから抽出したDNAを、それぞれのPCRチューブに等分する(前述のDNA抽出キットを使用して)。PCR増幅は、以下のようにプログラムされたサーマルサイクラーを使用して行う:95℃で15秒間、60℃で45秒間、72℃で15秒間の35サイクル;72℃に5分間、その後15℃に永久的に保つ。プログラムの終了時に、チューブを除去し、60μlの変性溶液(3% EDTA、1.6% NaOH及びチモールブルー)を加え、次に10分間室温でインキュベーションする。
【0103】
検出ステップ用に、3つのバッファーを使用する:(1)作業用ハイブリダイゼーションバッファー、55mlのSSPE濃縮物(NaClを含むリン酸ナトリウム溶液、EDTA及び1% Proclin 150(登録商標))、213mlの蒸留水、及び6.9mlのSDS濃縮物(SDS及び1% Proclin 150(登録商標))を混合させることによって調製するもの;(2)作業用洗浄バッファー、65mlのSSPE濃縮物、1228.5mlの蒸留水、及び6.5mlのSDS濃縮物を混合させることによって調製するもの、275mlを厳密洗浄バッファー用に使用し、1025mlを周囲洗浄バッファー用に使用する;(3)作業用クエン酸バッファー、30mlのクエン酸濃縮物(クエン酸ナトリウム溶液)を570mlの蒸留水で希釈することによって調製するもの。
【0104】
ハイブリダイゼーションバッファー及び厳密洗浄バッファーを、使用前に50℃に暖め、水浴を同じ温度に設定する。HLA−DQB1に型分類した試料を、型分類用トレーのそれぞれのウエル中に置く。5mlの予め暖めたハイブリダイゼーションバッファーをそれぞれのウエルに加え、次に70μlの変性した増幅サンプル又は対照をそれぞれのウエルに加える。型分類用トレーの上に蓋を置き、50℃において30分間60rpmで、トレーをインキュベートする。それぞれのウエルの含有物を除去し、5mlの周囲洗浄バッファーを加える。それぞれのウエルの含有物を除去し、5mlの厳密洗浄バッファーを、50℃において15分間60rpmで加える。作業用複合溶液を、5.3mlの周囲洗浄バッファーを16μlのストレプトアビジン−HRP複合体(ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体、NaCl及び1% Proclin 150(登録商標)を含むACES溶液中のもの)に加えることによって、アッセイするそれぞれの試料用に調製する。トレーを水浴から除去し、それぞれのウエルから含有物を除去する。5mlの作業用複合溶液をそれぞれのウエルに加え、トレーを15分間60rpmで混合する。含有物をウエルから除去し、5mlの周囲洗浄バッファーを、それぞれのウエルに5分間60rpmで加える。周囲洗浄バッファーのステップを1回繰り返す。含有物をウエルから除去し、5mlのクエン酸バッファーを、5分間60rpmで加える。作業用基質(基質A(0.01% H2O2、及び0.1% ProClin 150(登録商標)を含むクエン酸溶液)と、基質B(40%ジメチルホルムアミドに溶けた0.1% 3,3’,5,5’−テトラメチルベンズイミド)の混合物)を、計算式[4.4ml×試料の数]を使用して、必要とされる基質Aの量を計算することによって調製する。必要とされる基質Bの量は、計算式[1.1ml×試料の数]によって決定する。ウエルの含有物を除去し、5mlの作業用基質を10分間60rpmで加える。ウエルの含有物を除去し、5mlの蒸留水を5分間60rpmで加える。このステップは2回繰り返す。5mlのクエン酸バッファーをそれぞれのウエルに加える。
【0105】
キットと共に含まれるHLA−DQB1オーバーレイ及びスコアシートを使用して、試料を手作業で処理する。対照線より大きな強度を有するそれぞれの青線に関しては、陽性シグナルが記録される。その型を、キットと共に含まれるDynal RELI SSO HLA−DQBの説明表と比較する。
【0106】
以下の結果が得られる:
【0107】
vCJD感染した患者(12.2%)と対照患者(35.5%)の間の、HLA DQ7特異性の結果の比較によると、DQ7特異性を有するHLAはvCJDを有する患者においてより少ない。したがって、vCJDを有する被験者中のDQ7特異性を有するHLAの存在は、対照患者中より少ない。
【0108】
したがって、被験者中のDQ7特異性を有するHLAの存在は、プリオン病に対して低い感受性と関連があり;被験者中のDQ7特異性を有するHLAの不在は、プリオン病に対して高い感受性と関連があることが実証される。
【実施例2】
【0109】
DNAに基づく方法(SSO)を使用する、プリオン病に対する被験者の感受性の決定
ヒト患者由来のサンプルに、DNA抽出及びHLA型分類を、実施例1に記載したのと同様に行う。
【0110】
以下の対照反応物を使用する:(1)陽性対照=vCJDを有する患者から抽出したDNA;(2)陰性対照=蒸留水。
【0111】
キットと共に含まれるHLA−DQB1オーバーレイ及びスコアシートを使用して、HLA−DQB1に型分類された試料を手作業で処理する。対照線より大きな強度を有するそれぞれの青線に関しては、陽性シグナルが記録される。その型を、キットと共に含まれるDynal RELI SSO HLA−DQBの説明表と比較する。
【0112】
試験するヒト患者に関して、陽性シグナル(すなわち、対照線より大きな強度を有する青線)が、レーン7、レーン11、レーン17、レーン22〜23、及びレーン25に存在する。したがって、被験者はDQB1*0301(DQB1*03011/DQB1*03012)及びDQB1*0309を有し、したがってDQ7特異性を有するHLAを有する。
【0113】
陽性対照に関しては、陽性シグナル(すなわち、対照線より大きな強度を有する青線)が、レーン7、レーン11、レーン17、レーン22〜23、及びレーン25に存在する。したがってこの対照は、HLA DQ7特異性を意味するDQB1*0301(DQBI*03011/DQB1*03012)及びDQBl*0309を有する。
【0114】
陰性対照に関しては、陽性シグナルは得られない。
【0115】
したがって、ヒト患者はDQ7特異性を有するHLAを有する、すなわち、ヒト患者はvCJDに対して低い感受性を有することが実証される。
【実施例3】
【0116】
DNAに基づく方法(SSO)を使用する、プリオン病に対する被験者の感受性の決定。
【0117】
DNA抽出及びHLA型分類を、実施例1に記載したのと同様にヒト患者に行う。使用した対照は実施例2と同じである。
【0118】
キットと共に含まれるHLA−DQB1オーバーレイ及びスコアシートを使用して、HLA−DQB1に型分類された試料を手作業で処理する。対照線より大きな強度を有するそれぞれの青線に関しては、陽性シグナルが記録される。その型を、キットと共に含まれるDynal RELI SSO HLA−DQBの説明表と比較する。陽性シグナル(すなわち、対照線より大きな強度を有する青線)は、HLA DQ7特異性を意味するDQB1*030対立遺伝子に関しては得られない。
【0119】
陽性対照及び陰性対照に関する結果は、実施例2と同じである。
【0120】
したがって、ヒト患者はDQ7特異性を有するHLAを有さない、すなわち、ヒト患者はvCJDに対して高い感受性を有することが実証される。
【実施例4】
【0121】
DNAに基づく方法(SSO)を使用する、プリオン病に対する被験者の感受性の決定
DNA抽出を、実施例1に従いヒト患者に行う。使用した対照は実施例2と同じである。
【0122】
Al1Set SSP DQB1*03 Test(Dynal、Merseyside、UK;製品番号581.XX)を使用する。5μlの供給されたプライマー溶液を、それぞれのPCRチューブに分配する。1つのDQB1*03型分類(11のPCR反応混合物)を行うために、以下のPCR混合物を作製する:112μlのDynal AllSet SSPマスター混合物(Tris−HCI、KCI、ゼラチン、MgCl2、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、グリセロール及びクレゾールレッド);26.6μlのサンプルDNA(50ng/μl);1.12μlのTaq DNAポリメラーゼ。含有物を混合させ、10μlのPCR混合物をそれぞれのウエルに分配する。使用するPCRサイクルのパラメータは:94℃で2分間;94℃で10秒間及び65℃で60秒間の10サイクル;94℃で10秒間、61℃で50秒間及び72℃で30秒間の20サイクルである。
【0123】
チューブ1(PCR産物140bp)及びチューブ2(PCR産物125bp)に関して陽性シグナルが、すなわちHLA DQ7特異性を意味するDQBI*0301(DQB1*03011及びDQB1*03012)に関する陽性の結果が得られる。
【0124】
陽性対照に関しては、チューブ1(PCR産物140bp)及びチューブ2(PCR産物125bp)に関して陽性シグナルが、すなわちHLA DQ7特異性を意味するDQBI*0301(DQB1*03011及びDQB1*03012)に関する陽性の結果が得られる。
【0125】
陰性対照に関しては、陽性シグナルは得られない。
【0126】
したがって、ヒト患者はDQ7特異性を有するHLAを有する、すなわち、ヒト患者はvCJDに対して低い感受性を有することが実証される。
【実施例5】
【0127】
DNAに基づく方法(SSO)を使用する、プリオン病に対する被験者の感受性の決定
ヒト患者に、DNA抽出を実施例1に従って行い、及びHLA型分類を実施例3に従い行う。使用した対照は実施例4と同じである。
【0128】
HLA DQ7特異性を意味する任意のDQB1*030対立遺伝子に関して、陽性シグナルは得られない。
【0129】
対照に関する結果は、実施例4と同じである。
【0130】
したがって、ヒト患者はDQ7特異性を有するHLAを有さない、すなわち、患者はvCJDに対して高い感受性を有することが実証される。
【実施例6】
【0131】
この実施例は、vCJDを有する患者におけるHLAクラスII型DQ7(DQB1*0301/4/9)の有意に低下した頻度を例示するものであり、一方で散発性CJDの発生率は、対照群のそれと同等であった。
【0132】
理論に拘束するものではないが、この分子マーカーはそれ自体がvCJD感染性と直接関連がある可能性があり、或いは密接に関連している遺伝子がこの影響の原因である可能性がある。
【0133】
この実施例は、正常な対照及び散発性CJDとの比較用に、vCJD患者のHLA型を決定するための研究を示す。散発性CJDの病因、CJDの主な識別診断は依然として明らかではないが、そのランダムな世界的分布、及び集合性がないこと、又は局所的なスクレーピーの蔓延との関連が、後天的病因に対して論じられる。プリオンタンパク質遺伝子の体細胞突然変異、又はPrPScの自発的形成が、より可能性の高い原因であると考えられる。
【0134】
vCJD患者の組織から抽出した32のDNAサンプルに関する最初の研究を行い、12例の散発性CJDからのサンプルと比較した。組織サンプルは、親族の承諾を得て、死体解剖において得た。これらのサンプルを、配列特異的プライマーによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR−SSP)法(Bunce他)を使用して低い/中精度で、HLA−A、B、C、DRB及びDQB1にHLA型分類した。この研究において使用したサンプルはすべて、イギリスのコーカソイドからのものであると確認した。197の一連の死体臓器ドナーの一群からのHLA頻度を、対照値として使用した。
【0135】
対照の頻度の統計的にのみ有意な偏差が、DQB1遺伝子座にみられた;32人のvCJD患者中わずか2人が、両側検定であるフィッシャーの正確検定によって、197人の対照中の70人(35.5%)と比較して、DQB1*0301/4/9(DQ7)に陽性であり、0.0004という非補正p値が報告された。散発性CJDの場合、50%の患者がDQ7であり(6/12)、対照と有意に異なるわけではなかった(p=0.36)。この発見の後、他の18人のvCJD及び14人の散発性CJD患者を、市販のPCR−SSOPキット(Reli(商標)、Dynal UK)のみを使用して、HLA−DQB1に型分類した。表1は、50人のvCJD患者、26人の散発性CJD患者、及び197人の対照における、HLA−DQ型の表現型頻度の割合を示す。それぞれの被験者のDQB1対立遺伝子を考慮することにより、HLA−DQ型を指定した。HLA−DQ7の頻度は、vCJD患者において有意に低いままの状態であり(p=0.0010)、50人中わずか6人がこの表現型を有していた。散発性CJD群におけるHLA−DQ頻度は、対照の頻度に匹敵した状態であった。
【0136】
現在、研究されているvCJDの犠牲者はすべて、PRNP遺伝子中の共通の多型に関してメチオニンが同型である。約38%の正常な英国人の個体群は、この遺伝型を有する。われわれのデータによって、DQ7の存在は、3.3のDQ7に陰性である個人の相対的な危険に対して、いくらか防御性があることが示唆される。
【0137】
したがって、PRNP遺伝型分類と共に、vCJDの疑いがある患者をDQ7型分類することが、診断における有用なツールであることが実証される。
【0138】
vCJDの確固たる組織に基づく診断は扁桃生検によって行うことができるが、本発明の血液に基づく診断が、好ましいことは明らかである。
【0139】
理論に縛られること望まずに、DQ7とvCJDの防御的関係に関する、分子的基盤は明らかではない。MHCクラスIIの分子自体が、疾患の病因における直接的な役割を果たしているか、或いは、DQB遺伝子座と関連がある遺伝子が関連していることが考えられる。MHCクラスIIの考えられる役割は、その物体周辺にPrPScを偶然に有していることである可能性があり、或いは実際に、腸からリンパ細網系では、DQ7分子の役割はあまり有効ではない。或いは、HLA−DQ7分子は、推定病原性ペプチドを提示する際に、より有効である可能性があり、このようにして免疫応答を開始させる。本発明の作業によって、疾患の病因におけるMHCクラスIIの分子の重要な役割を明らかにすることができる。したがって、治療的介入の標的が開示される。
【0140】
【表1】
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上記の本明細書で述べたすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込んである。本発明の記載した方法及び系のさまざまな変更形態及び変形形態が、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。特定の好ましい実施形態に関して本発明を記載してきたが、特許請求する本発明は、このような特定の実施形態に過度に制限されるべきではないことは理解されなければならない。実際、分子生物学又は関連分野の当業者には明らかである、本発明を実施するために記載した方法のさまざまな変更形態が、以下の特許請求の範囲内のものであると考えられる。
Claims (7)
- プリオン病に対する被験者の感受性を決定する方法であって、
(a)前記被験者からのサンプルを提供するステップと、
(b)前記サンプルのヒト白血球抗原に対する特異性を決定するステップとを含み、
前記サンプルがDQ7ヒト白血球抗原に対する特異性を有する場合は、前記被験者がプリオン病に対して低い感受性を有し、
前記サンプルがDQ7ヒト白血球抗原に対する特異性を有さない場合は、前記被験者がプリオン病に対して高い感受性を有する、
と決定する方法。 - ヒト白血球抗原に対する特異性を核酸に基づく方法によって決定することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 前記核酸に基づく方法が、配列特異的プライマーによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR−SSP)を含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
- プリオン病がvCJDであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の方法。
- サンプルが体液又は組織であるか、或いはそれに由来するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の方法。
- 体液又は組織が血液であることを特徴とする請求項5記載の方法。
- サンプルが体液又は組織から抽出した核酸であるか、或いはそれに由来するものであることを特徴とする請求項5又は6記載の方法。
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