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JP2004313033A - 新規なカルボニル還元酵素及びそれをコードする遺伝子並びにその用途 - Google Patents

新規なカルボニル還元酵素及びそれをコードする遺伝子並びにその用途 Download PDF

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JP2004313033A
JP2004313033A JP2003108599A JP2003108599A JP2004313033A JP 2004313033 A JP2004313033 A JP 2004313033A JP 2003108599 A JP2003108599 A JP 2003108599A JP 2003108599 A JP2003108599 A JP 2003108599A JP 2004313033 A JP2004313033 A JP 2004313033A
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enzyme
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JP2003108599A
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English (en)
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Masahito Tada
雅人 多田
Shigetora Yamamura
栄虎 山村
Tomoko Kato
朋子 加藤
Noboru Fujimoto
昇 藤本
Keiji Sakamoto
恵司 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyowa Pharma Chemical Co Ltd
Original Assignee
Kyowa Pharma Chemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Kyowa Pharma Chemical Co Ltd filed Critical Kyowa Pharma Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】抗菌性化合物の製造に有用な光学活性中間体3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンなどのアルコール製造に有用な新規なカルボニル還元酵素を提供する。
【解決手段】レイフソニア属微生物由来の新規カルボニル還元酵素と、それをコードするDNAを提供する。このカルボニル還元酵素を用いてカルボニル基含有化合物を不斉還元し、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンなどの光学活性アルコールを生産することができる。本発明によるカルボニル還元酵素は、活性と立体選択性に優れる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボニル化合物を不斉的に還元して光学活性アルコールを生成するカルボニル還元活性を有する酵素、該酵素をコードする遺伝子、該酵素遺伝子を有するプラスミド(又はベクター)、該プラスミド(又はベクター)を有する形質転換体及び該酵素または該形質転換体を用いることによる光学活性アルコールの製造方法に関する。本発明は、該酵素及び該酵素をコードする遺伝子の利用技術に関する。本発明は、医薬品などの中間体として有用な化合物である光学活性アルコール、例えば、光学活性4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステル、光学活性ヒドロキシ−フェノキシプロパン誘導体などを不斉合成的に提供する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カルボニル還元酵素は多数知られているが、4−ハロアセト酢酸エステルに作用し (S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルを生成する微生物としては、ゲオトリカム・キャンディダム由来の酵素を用いる方法 (Enzyme Microb. Technol., vol.14, 731, 1992〔非特許文献1〕) 、キャンデダ・パラプシロシス由来の酵素を用いる方法 (Enzyme Microb. Technol., vol.15, 950, 1993〔非特許文献2〕) 、キャンディダ・マグノリエ由来の酵素を用いる方法 (国際公開第98/35025号パンフレット〔特許文献1〕) 、クライベロマイセス・アエスチュアリ由来の酵素を用いる方法(特開2000−236883 公報〔特許文献2〕)などが報告されているが、さらに工業的に利用可能な効率的な方法が求められている。
【0003】
また、優れた合成抗菌剤レボフロキサシン製造における重要な中間体(S)−(−)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン誘導体を効率よく製造するためには、その製造における有用な製造中間体である光学活性ヒドロキシ−フェノキシプロパン誘導体を簡単且つ効率よく製造するための製造方法開発が求められている。また、安価に入手可能な出発原料を用いることが可能で、処理・操作が簡単で、副生物の生成が少なく、高い化学的、高い光学純度及び光学的収率で光学活性ヒドロキシ−フェノキシプロパン誘導体を製造する方法が求められている。
フェノキシアセトン誘導体は安価に入手可能な出発原料として注目されており、そのフェノキシアセトン誘導体から光学活性ヒドロキシ−フェノキシプロパン誘導体を製造する方法は、既にいくつか報告されており、特に微生物等を用いる方法は、化学合成の手法に比較して、煩雑で操作の難しい光学分割、高価な触媒などを使用する不斉合成などによらない、そして簡単な処理・操作とすることが可能と期待され、経済的な利点も期待されている。
【0004】
しかしながら、微生物として、パン酵母等を用いた場合、S体が優先的に生成するに過ぎず、レボフロキサシンの製造中間体として有用なR体を得るには問題である(Acta. Chem. Scand., 48(6): 506 (1994)〔非特許文献3〕) 。このように、フェノキシアセトン誘導体に作用してR体の光学活性ヒドロキシ−フェノキシプロパン誘導体を生成せしめる能力を有する微生物は非常に例が少なく、とりわけ厳密にR選択的に還元する能力を有する微生物は未だ見い出されていないとの指摘もなされている(特開2000−175693号公報〔特許文献3〕) 。
例えば、糸状菌類を用いて2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンをR選択的に還元するための方法(特開平3−183489号公報〔特許文献4〕) 、コリネバクテリウム属に属する微生物を用いて、2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンをR選択的に還元するための方法(特開平5−68577号公報〔特許文献5〕)、サーモアンアエロバクター属に属する微生物を用いてフェノキシアセトンをR選択的に還元するための方法(特開平8−266292号公報〔特許文献6〕)などが知られているが、生成物の光学純度が低いなどから、さらに効率のよい方法が求められている。
【0005】
その他、キャンディダ属に属する微生物を用いて、2−アセトニルオキシ−3,4− ジフルオロニトロベンゼンを還元するための方法も知られているが、ここで用いている微生物は、キャンディダ・マグノリエ IFO 0705 由来のカルボニル還元酵素をコードするDNAを有するプラスミドで形質転換された組換え大腸菌であり、天然型(ネイティブまたは非組換え)微生物によるものでなく、必ずしも満足できるR選択的に還元された生成物を得ることができない(特開2000−175693号公報〔特許文献3〕)。
微生物菌体を用いる場合、菌体中にS選択的カルボニル還元酵素が共存する為に、生成物の光学純度が低下している場合もある。そこで、精製したR選択的アルコール脱水素酵素、補酵素及び該補酵素を再生する為に必要な酵素を用いて、フェノキシアセトン等をR選択的に還元することを目指した方法も知られているが、光学純度は十分高くなく、高価な精製酵素を用いている為に、現実的な製法とは言い難い(米国特許第5,385,833号明細書〔特許文献7〕)。
これらの開示されている微生物の多くが直ちに工業的に利用可能なほどの酵素活性を有しているとは必ずしもいえず、当該微生物がもつ酵素活性を工業可能なレベルまでに上昇させるために、培養条件や活性誘導条件等について長時間を有する煩雑で難しい検討が必要とされる。
【0006】
【特許文献1】
国際公開第98/35025号パンフレット(WO, A, 98/35025)
【特許文献2】
特開2000−236883 公報(JP, A, 2000−236883)
【特許文献3】
特開2000−175693 公報
【特許文献4】
特開平3−183489号公報
【特許文献5】
特開平5−68577号公報
【特許文献6】
特開平8−266292号公報
【特許文献7】
米国特許第5,385,833号明細書
【非特許文献1】
Enzyme Microb. Technol., vol.14, 731, 1992
【非特許文献2】
Enzyme Microb. Technol., vol.15, 950, 1993
【非特許文献3】
Acta. Chem. Scand., 48(6): 506 (1994)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記したようにカルボニル基含有化合物を不斉還元して、選択的に光学活性アルコール化合物を製造する方法は、有用な有機合成出発物質や製造中間体を得るにあたり注目されるもので、該選択的不斉還元反応を簡単且つ効率良く行って光学活性アルコール化合物を製造する技術の開発が強く求められている。
微生物あるいは微生物が産生する酵素を利用した方法は、処理・操作が簡単で、副生物の生成が少ない、そして効率的なものとなる可能性を秘めており、その発展が待望されている。しかし、微生物等を用いた従来の方法は、1)医薬品原料として要求される高い光学純度の生成物を得ることが簡単にはできない、2)基質濃度が低い為、生産性が悪い、3)使用微生物及び使用酵素の安定的供給や活性の安定性の点で満足できるものでない、4)高価な精製酵素を用いる、5)所望生成物への変換率及び所望生成物の光学純度の点で満足できるものでない等、いずれの方法も工業的製法としては、改善すべき点を有している。
また、安価に入手可能な出発原料を用いることが可能で、処理・操作が簡単で、副生物の生成が少なく、高い光学純度及び光学的収率で光学活性アルコール化合物を製造する方法が求められている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
従来の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、所望生成物への変換率及び所望生成物の光学純度の点などの改善点を克服できる、微生物を用いた光学活性フェノキシプロパン誘導体の優れた製法を見出した (特願2002−298544)。
本発明者らは、この反応に関与する酵素類の中で特に秀でた性状を有する酵素に着目し、鋭意研究を進め、その酵素の精製、さらには特定に成功した。
本発明者らは、レイフソニア(Leifsonia) 属由来の新規なカルボニル還元酵素を見出し、該酵素をコードする遺伝子をクローニングして同定し、さらに本酵素を使用すると、光学活性ヒドロキシ−フェノキシプロパン誘導体などの光学活性アルコール化合物を効率よく製造し得ることを見出した。
すなわち、本発明は新規なカルボニル還元酵素、この酵素をコードする遺伝子、この酵素遺伝子を有するプラスミド(又はベクター)、このプラスミド(又はベクター)で形質転換された形質転換体、およびこの酵素および/またはこの形質転換体をもちいる光学活性フェノキシプロパン誘導体の製造方法を提供する。本発明は、レイフソニア属由来の該カルボニル還元酵素を精製、特定したものである。本発明の酵素は、カルボニル基を不斉還元して光学活性アルコール化合物に変換する能力を有することで特徴付けされる酵素である。本発明の酵素は、さらに4−ハロアセト酢酸エステルに作用し(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルを生成する能力をも有する。
【0009】
本発明のカルボニル還元酵素は、少なくとも以下の理化学的性質:
(1)作用:
2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する。
不斉還元の高い選択性を示す。
(2)基質特異性:
2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンおよび4−クロロアセト酢酸エチルに対して高い還元活性を有する。
(3)至適pH:
pH 5.5〜6.0
(4)至適温度:
約50℃
(5)分子量:
ゲルろ過分析において約70,000、SDS ポリアクリルアミド電気泳動分析において約29,000
から成る群から選ばれた特徴・性質を保有する。
本発明のカルボニル還元酵素は、上記特徴・性質に加え、少なくとも以下:
(6)補酵素:
NADPH 及びNADHの両方を補酵素として利用できる。
(7)pH安定性:
pH 5.5〜9.0 (25 ℃、2 hr)
から成る群から選ばれた特徴・性質を保有する。
【0010】
本発明は、以下のものを提供する。
〔1〕 レイフソニア属微生物由来で、不斉還元活性を示し、且つ少なくとも2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用して3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを特異的に生成する活性を示すことを特徴とするカルボニル還元酵素。
〔2〕 次に示す理化学的性質:
(1)作用:
2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成し、且つ、不斉還元の高い選択性を示す
(2)基質特異性:
2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンおよび4−クロロアセト酢酸エチルに対して高い還元活性を有する
(3)分子量:
ゲルろ過分析において約70,000、SDS ポリアクリルアミド電気泳動分析において約29,000
を有することを特徴とするカルボニル還元酵素。
〔3〕 (A) 配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有し、且つ2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する酵素活性を有するタンパク質、及び
(B) 配列番号:3に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は、付加されたアミノ酸配列を有し、且つ2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する活性と同等の不斉還元選択性を示す酵素活性を有するタンパク質
から成る群から選ばれたものであることを特徴とするカルボニル還元酵素活性を有するタンパク質。
【0011】
〔4〕 (A) 配列番号:2に記載の塩基配列によってコードされるタンパク質、
(B) 配列番号:2に記載の塩基配列中の任意の少なくとも20個の連続した配列からなるDNAとストリンジェントな条件下にハイブリダイズすることができるDNAによってコードされ、且つ2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する酵素活性を有するタンパク質、
(C) 配列番号:3に記載のアミノ酸配列と70% 以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、且つ2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する酵素活性を有するタンパク質、及び
(D) 配列番号:2に記載の塩基配列と70% 以上の相同性を有する塩基配列からなるDNAによってコードされ、且つ2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する酵素活性を有するタンパク質
から成る群から選ばれたものであることを特徴とするカルボニル還元酵素活性を有するタンパク質。
〔5〕 上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の酵素又はタンパク質をコードすることを特徴とするDNAなどの核酸。
〔6〕 上記〔5〕記載のDNAなどの核酸を組み込んだことを特徴とする組換えプラスミド又はベクター。
〔7〕 さらに、補酵素再生系酵素遺伝子が挿入してあることを特徴とする上記〔6〕記載の組換えプラスミド又はベクター。
〔8〕 上記〔5〕記載のDNAなどの核酸又は上記〔6〕又は〔7〕記載の組換えプラスミド又はベクターで形質転換されたことを特徴とする形質転換体。
【0012】
〔9〕 上記〔8〕記載の形質転換体を培養する工程を含む上記〔1〕又は〔2〕記載のカルボニル還元酵素または上記〔3〕又は〔4〕記載のタンパク質の製造方法。
〔10〕 一般式(I):
【化5】
Figure 2004313033
(式中、Xa 及びXb は、同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子である)で表されるフェノキシアセトン誘導体を、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の酵素、あるいは該酵素の産生能を有し且つ形質転換された微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたものの存在下に処理することを特徴とする光学活性な一般式(II):
【化6】
Figure 2004313033
(式中、Xa 及びXb は、上記と同様の意味を有する)で表されるフェノキシプロパン誘導体の製法、または、一般式(III):
【化7】
Figure 2004313033
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、Rは置換又は非置換のアルキル基又はアリール基である)で表されるアセト酢酸エステル誘導体を、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の酵素、あるいは該酵素の産生能を有し且つ形質転換された微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたものの存在下に処理することを特徴とする光学活性な一般式(IV):
【化8】
Figure 2004313033
(式中、R、R及びRは、上記と同様の意味を有する)で表される3−ヒドロキシ酪酸エステル誘導体の製法。
【0013】
さらに、本発明は、
〔11〕さらに、付加的に、次の理化学的性質:
(3) 至適pH: pH 5.5〜6.0
(4) 至適温度: 約50℃
(5) 分子量: ゲルろ過分析において約70,000、SDS ポリアクリルアミド電気泳動分析において約29,000
(6) 補酵素: NADPH 及びNADHの両方を補酵素として利用できる
(7)pH 安定性: pH 5.5〜9.0 (25 ℃、2 hr)
から成る群から選ばれた性質を有することを特徴とする上記〔1〕記載のカルボニル還元酵素。
【0014】
〔12〕 レイフソニア属微生物に由来する酵素又はタンパク質であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕及び〔11〕のいずれかに記載の酵素又はタンパク質。
〔13〕 レイフソニア・ナガノエンシスから得られた酵素又はタンパク質であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕及び〔11〕のいずれかに記載の酵素又はタンパク質。
〔14〕 レイフソニア・ナガノエンシスJCM 10592 から得られた酵素又はタンパク質であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕及び〔11〕のいずれかに記載の酵素又はタンパク質。
〔15〕 補酵素再生系酵素が、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼ及び有機酸デヒドロゲナーゼから成る群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔7〕記載の組換えプラスミド又はベクター。
〔16〕 補酵素再生系酵素が、グルコースデヒドロゲナーゼであることを特徴とする上記〔7〕記載の組換えプラスミド又はベクター。
〔17〕 グルコースデヒドロゲナーゼがバチルス・サブチルス由来のものであることを特徴とする上記〔16〕記載の組換えプラスミド又はベクター。
【0015】
〔18〕 宿主細胞が大腸菌又はレイフソニア属微生物であることを特徴とする上記〔8〕記載の形質転換体。
〔19〕 上記〔8〕又は〔18〕記載の形質転換体を培養する工程を含むことを特徴とする上記〔9〕記載のカルボニル還元酵素又はタンパク質の製造法。
〔20〕 カルボニル基含有化合物を上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の酵素、タンパク質、あるいは該酵素の産生能を有し且つ形質転換された微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたものの存在下に還元して、アルコール化合物を生成せしめることを特徴とする製法。
〔21〕 微生物が、上記〔8〕又は〔18〕記載の形質転換体であることを特徴とする上記〔10〕又は〔20〕の製法。
〔22〕 上記〔10〕記載の製法により光学活性な一般式(II)で表されるフェノキシプロパン誘導体(式中、Xa 及びXb は、上記〔10〕と同様の意味を有する)を製造し、次に得られたフェノキシプロパン誘導体(II)を、公知の方法に従って処理し、2,3−ジフルオロ−6−(2,2−ジエトキシカルボニルエテニル)アミノ−((R)−2−(メタンスルホニルオキシ)プロピルオキシ)ベンゼンを製造することを特徴とする製造法;
【0016】
〔23〕 公知の方法が、特許第2612327号明細書(又は特開平2−732号公報)、特開平1−250369号公報及び特開平1−287096号公報から成る群から選ばれたものに開示の方法であることを特徴とする上記〔22〕記載の製造法;
〔24〕 上記〔10〕記載の製法により光学活性な一般式(II)で表されるフェノキシプロパン誘導体(式中、Xa 及びXb は、上記〔10〕と同様の意味を有する)を製造し、得られたフェノキシプロパン誘導体(II)を、以下(a) 〜(d) の処理を組み合わせて行い:
(a) ニトロ基の還元、
(b) メチレンマロネート化反応、
(c) スルホニルオキシ化反応、及び
(d) 保護基の除去
2,3−ジフルオロ−6−(2,2−ジエトキシカルボニルエテニル)アミノ−((R)−2−(メタンスルホニルオキシ)プロピルオキシ)ベンゼンを得ることを特徴とする上記〔22〕又は〔23〕記載の製造法;
〔25〕 上記〔10〕記載の製法により光学活性な一般式(II)で表されるフェノキシプロパン誘導体(式中、Xa 及びXb は、上記〔10〕と同様の意味を有する)を製造し、次に得られたフェノキシプロパン誘導体(II)を、公知の方法に従って処理し、S−(−)−9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3,−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(レボフロキサシン)を得ることを特徴とするレボフロキサシンの製造法;
【0017】
〔26〕 公知の方法が、特許第2612327号明細書(又は特開平2−732号公報)、特開平1−250369号公報、特開平1−287096号公報及び特開平2−218648号公報から成る群から選ばれたものに開示の方法であることを特徴とする上記〔25〕記載の製造法;及び
〔27〕 上記〔10〕記載の製法により光学活性な一般式(II)で表されるフェノキシプロパン誘導体(式中、Xa 及びXb は、上記〔10〕と同様の意味を有する)を製造し、得られたフェノキシプロパン誘導体(II)を、以下(a) 〜(g) の処理を組み合わせて行い:
(a) ニトロ基の還元、
(b) メチレンマロネート化反応、
(c) スルホニルオキシ化反応、
(d) オキサジン環形成反応、
(e) ピリジン環形成反応
(f) N−メチルピペリジン導入反応、及び
(g) 保護基の除去及び/又はエステルの加水分解による遊離カルボキシル基形成反応
レボフロキサシンを得ることを特徴とする上記〔25〕又は〔26〕記載の製造法。
【0018】
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明によるカルボニル還元酵素は、2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する活性(高度な不斉選択的還元活性)を有することによって特徴付けられる。該酵素は、R−体の3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを選択的に与えることによって特徴付けられる。該酵素は、補酵素として還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を利用しうることによって特徴付けられ、さらに補酵素として還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)を利用しうることによっても特徴付けられる。
【0020】
本発明において、2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに対する還元活性は、次のようにして確認することができる。
2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼン還元活性測定法:
リン酸緩衝液(pH6.0, 100mM)、NADPH(0.2mM)、2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼン(0.02 重量%)及び酵素を含む液(20〜200μL/mL) からなる反応混合液を、25℃でインキュベーションして反応させ、NADPH の減少にともなう340 nmの吸光度の減少を測定する。この反応条件において、1分間に1μmolのNADPHをNADPに変換するのを触媒する酵素活性を 1 unit (1U)と定義する。タンパク質の定量は、市販のタンパク質アッセイキットを使用して行われ、例えば色素結合法により行うことができ、タンパク質自動分析装置を使用しても行うことができる。
また、本発明のカルボニル還元酵素は、NADPH よりもNADHを与えるときに高い酵素活性を示す。すなわち、電子供与体としてNADHに対してNADPH よりも有意に高い活性を有する。補酵素としていずれの電子供与体が適しているのかについても、上記の条件下で電子供与体のみを代えて比較検討すれば明らかにすることができる。本明細書中、酵素が「安定」とは、pH6.0で、25℃、2時間経過したときの残存活性が、処理前の90%又はそれ以上の活性が残存していることをいう。
【0021】
上記のような理化学的性状を持つカルボニル還元酵素は、たとえばレイフソニア(Leifsonia)属菌の培養物より精製することができる。レイフソニア属菌としては、レイフソニア・ナガノエンシス(Leifsonia naganoensis) が特に本発明によるカルボニル還元酵素の産生能に優れる。本発明のカルボニル還元酵素を得るために利用することができるレイフソニア・ナガノエンシスは、たとえば、JCM 10592として理化学研究所(JCM)より入手することができる。
上記微生物は、GPY 培地等の微生物の培養に用いられる一般的な培地で培養される。培養培地は、該菌が増殖し得るものである限り特に限定されないが、例えば、炭素源、窒素源、無機塩類、有機栄養素等を含有する液体栄養培地などが使用できる。十分に増殖させた後に菌体を回収し(例えば、遠心分離などして回収し)、緩衝液中で破砕等(例えば、ガラスビーズを使用した物理的破砕、超音波処理あるいは酵素などによる生化学的手法)して無細胞抽出液とする。無細胞抽出液から、蛋白質の溶解度による分画(有機溶媒による沈澱や硫安などによる塩析など)、透析、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過、疎水性クロマトグラフィーや、キレート、色素、抗体などを用いたアフィニティークロマトグラフィーなどを単独あるいは適宜組み合わせることにより精製する事ができる。例えば、DEAE−セファロース(Sepharose) などを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー、ブルー−セファロースを用いたアフィニティークロマトグラフィー、Mono Q HR 5/5(FPLCシステム、アマシャム・ファルマシアバイオテク) などの高性能液体クロマトグラフィーシステム等を経て電気泳動的にほぼ単一バンドにまで精製することができる。
本発明のカルボニル還元酵素は、それを生産し得る微生物から得ることができ、該微生物は野生株又は変異株のいずれであってもよい。さらに、細胞融合又は遺伝子組換え技術等の遺伝子操作や遺伝学的な手法により誘導される微生物あるいはそれ以外の細胞(例えば、形質転換された細胞を含む)も用いられる。
【0022】
本発明では、「遺伝子組換え技術」を利用して所定の核酸・ポリヌクレオチドなどを単離・配列決定したり、組換え体を作製したり、所定のタンパク質・ペプチドを得ることができる。本明細書中使用できる遺伝子組換え技術としては、当該分野で知られたものが挙げられ、例えば J. Sambrook et al., ”Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (2nd Edition, 1989 & 3rd Edition, 2001); D. M. Glover et al. ed., ”DNA Cloning”, 2nd ed., Vol. 1 to 3, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995); ”Methods in Enzymology” series, Academic Press, New York、例えば R. Wu ed., ”Methods in Enzymology”, Vol. 68 (Recombinant DNA), Academic Press, New York (1980); R. Wu et al. ed., ”Methods in Enzymology”, Vol. 100 (Recombinant DNA, Part B) & 101 (Recombinant DNA, Part C), Academic Press, New York (1983); R. Wu et al. ed., ”Methods in Enzymology”, Vol. 153 (Recombinant DNA, Part D), 154 (Recombinant DNA, Part E) & 155 (Recombinant DNA, Part F), Academic Press, New York (1987); R. Wu ed., ”Methods in Enzymology”, Vol. 216 (Recombinant DNA, Part G), Academic Press, New York (1992); R. Wu ed., ”Methods in Enzymology”, Vol. 217 (Recombinant DNA, Part H) & 218 (Recombinant DNA, Part I), Academic Press, New York (1993); P. M. Conn ed., ”Methods in Enzymology”, Vol. 302 (Green Fluorescent Protein), Academic Press, New York (1999); S. Weissman ed., ”Methods in Enzymology”, Vol. 303 (cDNA Preparation and Characterization), Academic Press, New York (1999) などに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法あるいはそれらと実質的に同様な方法や改変法が挙げられる(それらの中にある記載はそれを参照することにより本明細書の開示に含められる) 。
【0023】
本明細書で用いる用語「ポリペプチド」としては、以下に記載するような如何なるポリペプチドを指すものであってもよい。ポリペプチドの基本的な構造は周知であり、当該技術分野において非常に数多くの参考書及びその他の刊行物に記載がある。こうしたことに鑑み、本明細書で用いる用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合又は修飾したペプチド結合により互いに結合しているような2個又はそれ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又は任意のタンパク質を意味する。本明細書で用いる用語「ポリペプチド」としては、当該分野において、例えばペプチド、オリゴペプチドあるいはペプチドオリゴマーとも称せられる短い鎖のもの、及びタンパク質と一般的に言われ、多くの形態のものが知られている長い鎖のものの両方を通常意味してよい。ポリペプチドは、しばしば、通常、天然型アミノ酸(天然に存在しているアミノ酸: あるいは遺伝子でコードされるアミノ酸)と称されるアミノ酸以外のアミノ酸を含有していてもよい。ポリペプチドは、また末端アミノ酸残基を含めて、その多くのアミノ酸残基が翻訳された後にプロセッシング及びその他の改変(あるいは修飾)されるといった天然の工程によるのみならず、当業者に周知の化学的改変技術によっても、上記のポリペプチドはそれが改変(修飾)できることは理解されよう。該ポリペプチドに加えられる改変(修飾)については、多くの形態のものが知られており、それらは当該分野の基礎的な参考書及びさらに詳細な論文並びに多数の研究文献にも詳しく記載されており、これらは当業者に周知である。幾つかのとりわけ常套的な改変・修飾としては、例えばアルキル化、アシル化、エステル化、アミド化、グリコシル化、脂質結合、硫酸化、リン酸化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、水酸化及びADP−リボシル化等が挙げられ、例えばT. E. Creighton, Proteins−Structure and Molecular Properties, Second Edition, W. H. Freeman and Company, New York, (1993); B.C.Johnson (Ed.), Posttranslational Covalent Modification of Proteins, Academic Press, New York, (1983) (Wold, F., ”Posttranslational Protein Modifications: Perspective and Prospects”, pp.1−12); Seifter et al., ”Analysis for Protein Modifications and nonprotein cofactors”, Methods in Enzymology, 182: 626−646 (1990); Rattan et al., ”Protein Synthesis: Posttranslational Modification and Aging”, Ann. N. Y. Acad. Sci., 663: p.48−62 (1992)等の記載を参照できる。修飾の中には、固相化を可能にするための活性基の導入などが含まれてよい。
【0024】
本明細書中、「相同性」とは、ペプチド配列(あるいはアミノ酸配列)又はヌクレオチド配列(あるいは塩基配列)における2本の鎖の間で該鎖を構成している各アミノ酸残基同志又は各塩基同志の互いの適合関係において同一であると決定できるようなものの量(数)を意味し、二つのペプチド配列(ポリペプチド配列を含む)又は二つのヌクレオチド配列(ポリヌクレオチド配列を含む)の間の配列相関性の程度を意味するものである。相同性は容易に算出できる。二つのポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列間の相同性を測定する方法は数多く知られており、「相同性」(「ホモロジー」又は「同一性」とも言われる)なる用語は、当業者には周知である (例えば、Lesk, A. M. (Ed.), Computational Molecular Biology, Oxford University Press, New York, (1988); Smith, D. W. (Ed.), Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Academic Press, New York, (1993); Grifin, A. M. & Grifin, H. G. (Ed.), Computer Analysis of Sequence Data: Part I, Human Press, New Jersey, (1994); von Heinje, G., Sequence Analysis in Molecular Biology, Academic Press, New York, (1987); Gribskov, M. & Devereux, J. (Ed.), Sequence Analysis Primer, M−Stockton Press, New York, (1991) 等) 。二つの配列の相同性を測定するのに用いる一般的な方法には、Martin, J. Bishop (Ed.), Guide to Huge Computers, Academic Press, San Diego, (1994); Carillo, H. & Lipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073 (1988) 等に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。相同性を測定するための好ましい方法としては、試験する二つの配列間の最も大きな適合関係部分を得るように設計したものが挙げられる。このような方法は、コンピュータープログラムとして組み立てられているものが挙げられる。二つの配列間の相同性を測定するための好ましいコンピュータープログラム法としては、GCG プログラムパッケージ (Devereux, J. et al., Nucleic Acids Research, 12(1): 387 (1984))、BLASTP、BLASTN、FASTA (Atschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215: 403 (1990)) 等が挙げられるが、これらに限定されるものでなく、当該分野で公知の方法を使用することができるし、市販のものを使用できる。相同性検索にはデータベースを利用でき、例えば、GenBankTM, DNA DataBank of Japan (DDBJ), European Molecular Biology Laboratory (EMBL)などを対象にできる。本明細書で「高い相同性」といった場合当該対象配列の長さにもよるが、例えば 70%以上、好ましくは80% 以上、より好ましくは90% 以上、そして特定の場合には95% 以上で、特に好ましくは97% 以上であってよい。
【0025】
本明細書中、「オリゴヌクレオチド」とは、比較的短い一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドで、好ましくはポリデオキシヌクレオチドが挙げられ、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., Vol.28, p.716−734 (1989) に記載されているような既知の方法、例えば、フォスフォトリエステル法、フォスフォジエステル法、フォスファイト法、フォスフォアミダイト法、フォスフォネート法などの方法により化学合成されることができる。通常合成は、修飾された固体支持体上で合成を便利に行うことができることが知られており、例えば、市販されている自動化された合成装置、例えば、Applied Biosystems 3400 DNA synthesizer (Applied Biosystems), ABI 3900 High−Throughput DNA synthesizer (Applied Biosystems) などを用いて行うことができる。該オリゴヌクレオチドは、一つ又はそれ以上の修飾された塩基を含有していてよく、例えば、イノシンなどの天然においては普通でない塩基あるいはトリチル化された塩基などを含有していてよいし、場合によっては、マーカーの付された塩基を含有していてよい。
【0026】
本明細書中、「ポリメラーゼ・チェイン・リアクション(polymerase chain reaction)」又は「PCR」とは、一般的に、H. A. Erlich ed., PCR Technology, Stockton Press, 1989などに記載されたような方法を指し、例えば、所望のヌクレオチド配列をインビトロで酵素的に増幅するための方法を指している。一般に、PCR 法は、鋳型核酸と優先的にハイブリダイズすることのできる2個のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、プライマー伸長合成を行うようなサイクルを繰り返し行うことを含むものである。典型的には、PCR 法で用いられるプライマーは、鋳型内部の増幅されるべきヌクレオチド配列に対して相補的なプライマーを使用することができ、例えば、該増幅されるべきヌクレオチド配列とその両端において相補的であるか、あるいは該増幅されるべきヌクレオチド配列に隣接しているものを好ましく使用することができる。プライマーは、好ましくは 5個以上の塩基、さらに好ましくは10個以上の塩基からなるオリゴヌクレオチド、より好ましくは18〜25個の塩基からなるオリゴヌクレオチドが挙げられる。
PCR 反応は、当該分野で公知の方法あるいはそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことができるが、上記文献の他、例えば R. Saiki, et al., Science, 230: 1350, 1985; R. Saiki, et al., Science, 239: 487, 1988; D. M. Glover et al. ed., ”DNA Cloning”, 2nd ed., Vol. 1, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995); M. A. Innis et al. ed., ”PCR Protocols: a guide to methods and applications”, Academic Press, New York (1990)); M. J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor (Ed.), PCR: a practical approach, IRL Press, Oxford (1991); M. A. Frohman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8998−9002 (1988) などに記載された方法あるいはそれを修飾したり、改変した方法に従って行うことができる。また、PCR 法は、それに適した市販のキットを用いて行うことができ、キット製造業者あるいはキット販売業者により明らかにされているプロトコルに従って実施することもできる。
【0027】
PCR 反応は、代表的な場合には、例えば鋳型(代表的にはDNA)と対象核酸に基づいてデザインされたプライマーとを、10×反応緩衝液 (Taq DNA ポリメラーゼに添付されている) 、dNTPs ( デオキシヌクレオシド三リン酸dATP, dGTP, dCTP, dTTPの混合物)、Taq DNA ポリメラーゼ及び脱イオン蒸留水と混合する。混合物を、例えば、GeneAmpTM PCR system 2700 (Applied Biosystems) などの自動サーマルサイクラーを用いて一般的なPCR サイクル条件下にそのサイクルを25〜60回繰り返すが、増幅のためのサイクル数は適宜目的に応じて適当な回数とすることができる。PCR サイクル条件としては、例えば、変性90〜95℃ 5〜100 秒、アニーリング40〜60℃ 5〜150 秒、伸長65〜75℃ 30 〜300 秒のサイクル、好ましくは変性 94 ℃ 15 秒、アニーリング 58 ℃ 15 秒、伸長 72 ℃ 45 秒のサイクルが挙げられるが、アニーリングの反応温度及び時間は適宜実験によって適当な値を選択できるし、変性反応及び伸長反応の時間も、予想されるPCR 産物の鎖長に応じて適当な値を選択できる。アニーリングの反応温度は、通常プライマーと鋳型DNAとのハイブリッドのTm値に応じて変えることが好ましい。伸長反応の時間は、通常1000bpの鎖長当たり1 分程度がおおよその目安であるが、より短い時間を選択することも場合により可能である。
【0028】
所定の核酸を同定したりするには、ハイブリダイゼーション技術を利用することができる。該ハイブリダイゼーションは、上記「遺伝子組換え技術」を開示する文献記載の方法あるいはそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことができる。例えば、ハイブリダイゼーションは、DNAなどの核酸を含有しているサンプルを担体(ナイロンフィルターなどの膜を含めたもの)に転写せしめ、必要に応じ変成処理、固定化処理、洗浄処理などを施した後、その担体(例えば、膜など)に転写せしめられたものを、必要に応じ変成させた標識プローブDNA断片と、ハイブリダイゼーション用バッファ中で反応させて行われる。
ハイブリダイゼーション処理は、普通約35℃〜約80℃、より好適には約50℃〜約65℃で、約15分〜約36時間、より好適には約1 時間〜約24時間行われるが、適宜最適な条件を選択して行うことができる。例えば、ハイブリダイゼーション処理は、約55℃で約18時間行われる。ハイブリダイゼーション用バッファとしては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いることができる。転写した担体(例えば、膜など)の変成処理としては、アルカリ変性液を使用する方法が挙げられ、その処理後中和液や緩衝液で処理するのが好ましい。また担体(例えば、膜など)の固定化処理としては、普通約40℃〜約 100℃、より好適には約70℃〜約90℃で、約15分〜約24時間、より好適には約1 時間〜約4 時間ベーキングすることにより行われるが、適宜好ましい条件を選択して行うことができる。例えば、フィルターなどの担体を約80℃で約2 時間ベーキングすることにより固定化が行われる。転写した担体(例えば、膜など)の洗浄処理としては、当該分野で普通に使用される洗浄液、例えば1M NaCl 、1mM EDTAおよび 0.1% Sodium Dodecyl sulfate (SDS) 含有 50mM Tris−HC1緩衝液,pH8.0 などで洗うことにより行うことができる。膜を含めた担体としては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いることができ、例えば、ナイロンフィルターなどを挙げることができる。
【0029】
上記アルカリ変性液、中和液、緩衝液としては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いることができ、アルカリ変性液としては、例えば、0.5M NaOH および1.5M NaCl を含有する液などを挙げることができ、中和液としては、例えば、1.5M NaCl 含有 0.5M Tris−HCl 緩衝液,pH8.0 などを挙げることができ、緩衝液としては、例えば、 2×SSPE(0.36M NaCl、20mM NaHPOおよび2mM EDTA)などを挙げることができる。またハイブリダイゼーション処理に先立ち、非特異的なハイブリダイゼーション反応を防ぐために、必要に応じて転写した担体(例えば、膜など)はプレハイブリダイゼーション処理することが好ましい。このプレハイブリダイゼーション処理は、例えば、プレハイブリダイゼーション溶液[50% formamide, 5×Denhardt’s溶液(0.2 %ウシ血清アルブミン、0.2% polyvinyl pyrrolidone), 5×SSPE, 0.1% SDS, 100μg/mL熱変性サケ精子DNA]などに浸し、約35℃〜約50℃、好ましくは約42℃で、約 4〜約24時間、好ましくは約 6〜約8 時間反応させることにより行うことができるが、こうした条件は当業者であれば適宜実験を繰り返し、より好ましい条件を決めることができる。ハイブリダイゼーションに用いる標識プローブDNA断片の変成は、例えば、約70℃〜約100 ℃、好ましくは約100 ℃で、約1 分間〜約60分間、好ましくは約 5分間加熱するなどして行うことができる。なお、ハイブリダイゼーションは、それ自体公知の方法あるいはそれに準じた方法で行うことができるが、本明細書でストリンジェントな条件とは、例えばナトリウム濃度に関し、約15〜約50mM、好ましくは約19〜約40mM、より好ましくは約19〜約20mMで、温度については約35〜約85℃、好ましくは約50〜約70℃、より好ましくは約60〜約65℃の条件を示す。
【0030】
ハイブリダイゼーション完了後、フィルターなどの担体を十分に洗浄処理し、特異的なハイブリダイゼーション反応をした標識プローブDNA断片以外の標識プローブを取り除くなどしてから検出処理をすることができる。フィルターなどの担体の洗浄処理は、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いて行うことができ、例えば、0.1% SDS含有 0.5×SSC (O.15M NaCl, 15mM クエン酸)溶液などで洗うことにより実施できる。
ハイブリダイズした核酸は、代表的にはオートラジオグラフィーにより検出することができるが、当該分野では各種の技術手法が知られており、そうした方法の中から適宜選択して検出に用いることもできる。検出したシグナルに相当する核酸バンドを、適切な緩衝液、例えば、SM溶液(100mM NaCl および10mM MgSO含有50mM Tris−HCl 緩衝液、pH7.5)などに懸濁し、ついでこの懸濁液を適度に希釈して、所定の核酸を単離・精製、そしてさらなる増幅処理にかけることができる。所定の核酸を保有するサンプル(例えば、ファージ粒子、組換えプラスミド又はベクターなど)は、当該分野で普通に使用される方法でそれを精製分離することができ、例えば、グリセロールグラジエント超遠心分離法(Molecular cloning, a laboratory manual, ed. T. Maniatis, Cold Spring Harbor Laboratory, 2nd ed. 78, 1989)などにより精製することができる。ファージ粒子などからは、当該分野で普通に使用される方法でDNAを精製分離することができ、例えば、得られたファージなどをTM溶液(10mM MgSO含有50mM Tris−HCl 緩衝液、pH7.8 )などに懸濁し、DNase I およびRNase A などで処理後、20mM EDTA 、50μg/ml Proteinase K 及び0.5 %SDS 混合液などを加え、約65℃、約1 時間保温した後、これをフェノール抽出ジエチルエーテル抽出後、エタノール沈殿によりDNAを沈殿させ、次に得られたDNAを70%エタノールで洗浄後乾燥し、TE溶液(10mM EDTA 含有10mM Tris−HC1 緩衝液、pH8.0)に溶解するなどして得られる。また、目的としているDNAは、サブクローニングなどにより大量に得ることも可能であり、例えばサブクローニングは、宿主として大腸菌を用いプラスミドベクターなどを用いて行うことができる。こうしたサブクローニングにより得られたDNAも、上記と同様にして遠心分離、フェノール抽出、エタノール沈殿などの方法により精製分離できる。
【0031】
本明細書において、核酸は、一本鎖DNA、二本鎖DNA、RNA、DNA:RNAハイブリッド、合成DNAなどの核酸であり、またゲノムDNA、ゲノミックDNAライブラリー、細胞由来のcDNA、合成DNAのいずれであってもよい。核酸の塩基配列は、修飾(例えば、付加、除去、置換など)されることもでき、そうした修飾されたものも包含されてよい。核酸は、本発明で記載するペプチドあるいはその一部をコードするものであってよく、好ましいものとしてはDNAが挙げられる。また核酸は、対象ポリペプチド(タンパク質)、あるいはそれらの部分配列と実質的に同等な抗原性などのそれと実質的に同等な生物学的活性を有するペプチド(それと実質的に同一のアミノ酸配列を含有するものを含むし、それと高い相同性を有するものも含まれてよい)をコードするといったそれと同効の塩基配列を含有するものであれば如何なるものであってもよい。該「同効の塩基配列」とは、例えばストリンジェントな条件で問題の配列を有するものにハイブリダイズするものであってよく、例えば当該塩基配列のうちの連続した5個以上の塩基配列、好ましくは10個以上の塩基配列、より好ましくは15個以上の塩基配列、さらに好ましくは20個以上の塩基配列とハイブリダイズし、当該ポリペプチドと実質的に同等のアミノ酸配列をコードするものなどが挙げられる。核酸は、化学合成によって得ることも可能である。その場合断片を化学合成し、それらを酵素により結合することによってもよい。
【0032】
本発明のカルボニル還元酵素をコードするDNAは、例えば、以下のような方法によって単離することができる。
本発明の酵素を精製後、N末端アミノ酸配列を解析する。該酵素のアミノ酸配列解析では、精製酵素を必要に応じて、リジルエンドペプチダーゼ、V8プロテアーゼなどの酵素により切断後、逆相液体クロマトグラフィーなどによりペプチド断片を精製後、プロテインシーケンサーによりアミノ酸配列を解析する。配列解析では、複数のペプチド断片を利用してそのアミノ酸配列を決めることができる。決定したアミノ酸配列を元にPCR用のプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAもしくは、cDNAライブラリーを鋳型とし、アミノ酸配列から設計したPCRプライマーを用いてPCRを行うことにより本発明のDNAの一部を得ることができる。さらに、得られたDNA断片をプローブとして、酵素生産株の染色体DNAの制限酵素消化物をファージ、プラスミドなどに導入し、大腸菌を形質転換して得られたライブラリーやcDNAライブラリーを利用して、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーションなどにより、本発明のDNAを得ることができる。
【0033】
また、PCRにより得られたDNA断片の塩基配列を解析し、得られた配列から、既知のDNAの外側に伸長させるためのPCRプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAを適当な制限酵素で消化後、自己環化反応によりDNAを鋳型としてインバースPCRを行うことにより(Ochman, H. et al., Genetics, 120: 621−623 (1988); Innis, M. et al. (Ed.), PCR: Application & Protocols, Academic Press, New York (1989))、また、RACE法(Rapid Amplification of cDNA Ends, Frohman, M.A. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 8998 (1988); Innis, M.A. et al. (Ed.), PCR Protocols: A guide to methods and applications, pp28−38, Academic Press, New York (1990), 駒野徹編、生物化学実験法47 PCR実験マニュアル、学会出版センター(JSSP)) などにより本発明のDNAを得ることも可能である。なお、本発明のDNAは、以上のような方法によってクローニングされたゲノムDNA、あるいはcDNAの他、合成によって得ることもできる。
このようにして単離された、本発明によるカルボニル還元酵素をコードするDNAを公知の発現ベクターに挿入することにより、カルボニル還元酵素発現ベクターが提供される。また、この発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養することにより、本発明のカルボニル還元酵素を組み換え体から得ることができる。
【0034】
本発明にしたがっての標的カルボニル還元酵素をコードするDNAの単離について、以下説明する。本発明のカルボニル還元酵素をコードするDNAは、標的カルボニル還元酵素を産生する微生物、例えばレイフソニア・ナガノエンシス JCM 10592 株菌の染色体DNAからライブラリーを構築し、このライブラリーをスクリーニングすることにより単離取得することができる。
ライブラリー構築に用いるドナーDNAは、当該微生物細胞を培養して得られた培養物を遠心分離して細胞ペレットを得、次に緩衝液(例えばリン酸緩衝生理食塩水 (PBS))に懸濁してから遠心分離するという処理を加えて洗浄し、次にこうして得られた細胞ペレットをTE緩衝液〔10 mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸(Tris−HCl), pH 7.5, 1 mM エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)〕に懸濁し、必要に応じリゾチームなどで処理し、DNA抽出緩衝液〔例えば、10 mM Tris−HCl (pH 8.0), 0.1 M EDTA, 0.5% SDS〕に添加した後、必要に応じRNase などで処理し、プロティナーゼK で処理し、次に抽出分離精製処理して得られる〔例えば、DNA含有処理液にフェノールを加えて、液を混合し、次いでクロロホルム/イソアミルアルコール(例えば、24:1)を加えて混合し、遠心分離し、DNAを含有する水層(上層) を採取するなどし、次に抽出されたDNAを含有する水層を、例えば酢酸アンモニウムやイソプロパノールを使用して処理し、含まれるDNAを沈殿化せしめ、必要に応じ遠心分離機を用いて、DNAを沈殿として得る。沈殿として得られたDNAは、例えば70% のエタノールで洗浄された後、TE緩衝液に溶解される。必要に応じて密度勾配超遠心法、ゲル電気泳動法などを用いて精製される〕。得られた染色体DNAは、適宜適当な制限酵素を用いて部分分解してライブラリー構築に適した断片(例えば、約20 kbp程度までの大きさ) にし、必要に応じて密度勾配超遠心法、ゲル電気泳動法などを用いて分離される。
【0035】
DNAライブラリーは、ファージベクター、プラスミドベクターを使用するなどして構築できる。例えばλファージ由来ベクター、P1ファージベクター、コスミドファージベクターなどを好ましく使用できる。好ましくは市販された試薬、あるいは調製済のベクターDNA(例えば、酵素切断され、脱リン酸化されたものなど)、パッケージングエキストラクト、宿主菌株、さらには最初から最後までのステップをすべて行えるキットなどを用いて行うことができる。具体的には、DNAライブラリーは、例えば、pLAFR3, λgt10, λZAP II, λFIX II, λDASH, pUC18 などのpUC系ベクター, pBR322などのpBR系ベクターなどに構築することができ、それを大腸菌C600hfl, DH10B, DH5α, STBL4, DH12S, HB101, MC1061, JM109, STBL2, XL1−Blue MRA, XL1−Blue MRA(P2), XL1−Blue MRF などの宿主大腸菌に感染させ、プラークを形成させるなどして得ることができる。
またファージベクターを使用する以外で、大腸菌などの宿主細胞の形質転換をするには、例えばカルシウム法、ルビジウム/カルシウム法、カルシウム/マンガン法、TFB 高効率法、FSB 凍結コンピテント細胞法、迅速コロニー法、エレクトロポレーションなど当該分野で知られた方法あるいはそれと実質的に同様な方法で行うことができる(D. Hanahan, J. Mol. Biol., 166: 557 (1983)など)。
【0036】
単離精製された酵素のアミノ酸配列解析に基づいて合成された核酸断片をプローブとして、構築されたゲノムDNAライブラリーのスクリーニングを行い、前記菌株由来のカルボニル還元酵素遺伝子をコードするクローンを取得する。
また、本発明の酵素遺伝子であるDNAは、それが一旦単離取得されたならば、慣用方法に従ってそのDNA中の塩基配列の大部分あるいは一部分を利用して、それをプローブとして用いて、他の生物を検索して、その生物の保有する遺伝子のうちに、高度な不斉選択的還元活性に関与する遺伝情報を担うものを見つけ出し、次にそのようにして同定された遺伝子を遺伝子組換え技術の手法を応用して切り出して、それを大量に得、それを本微生物に由来するものと同様に用いることは、当業者であれば容易に理解し得るところのものである。なお、プローブなどを放射性同位体などによって標識するには、市販の標識キット、例えばランダムプライムドDNAラベリングキット (Boehringer Mannheim)などを使用してプローブ用DNAを [α−32P]dCTP (Amersham)などを用いて標識し、放射活性を持つプローブを得ることにより行うことが出来る。また、該標識は、当該分野で知られた方法で行うことができ、例えばジゴキシゲニン、蛍光色素、ビオチン− アビジン系などによって行うこともできる。
本発明のカルボニル還元酵素の同族体の遺伝情報を担うDNA源としては、上記したような手法の適用できるグラム陰性あるいはグラム陽性細菌であって、高度な不斉選択的還元活性を持つカルボニル還元酵素をコードする遺伝子を有するものがあげられる。この他にも、独特の酵素遺伝子を有するものであれば、下等生物、高等生物の区別なく利用することが可能である。
【0037】
該取得されたDNAの塩基配列の決定は、代表的には次のように行うことができる。単離取得された所定の遺伝子をコードするDNA領域を含む部分は、これを当業者によく知られたベクターに結合し、大腸菌などの宿主細胞を用い、得られた組換え体コロニーをハイブリダイゼーションの手法など、例えば、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、ハイブリダイゼーション・トランスレーションアッセイ法、プラス・マイナス法などによって同定して、当該染色体由来のカルボニル還元酵素遺伝子をコードするDNAを大量に調製できる。ハイブリダイゼーションは、上記したようにして実施できる。
目的の遺伝子を保持するクローンの選択には、当該カルボニル還元酵素遺伝子の産物である酵素活性をアッセイすることを利用してもよい。
こうして得られたDNAは、DNAの塩基配列を決定するのに適した程度まで断片化され、次に当該分野でよく知られた方法により処理されて、その塩基配列を決定することができる。DNA断片のDNA塩基配列の決定法としては、Maxam−Gilbert 法、ジデオキシ法、例えばジデオキシ・チェイン・ターミネーション法 (Sanger, Science, 214, 1205 (1981))、M13 ジデオキシ法等が挙げられる。ジデオキシ法に用いられるポリメラーゼとしては、例えば、DNAポリメラーゼ Iのクレノー・フラグメント、AMV逆転写酵素、Taq DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、修飾 T7 DNAポリメラーゼなどが挙げられる。また、市販のシークエンシングキットや、自動塩基配列決定装置を利用できる。所定のDNAの塩基配列、例えば1本鎖DNAの塩基配列は、シークエンシングすることができ、例えば、BigDyeTMTerminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit V3.0 (Applied Biosystems)などを含めたTaqダイプライマーサイクルシークエンシングキット(Applied Biosystems)などを使用し、Applied Biosystems 3730 DNA Analyzer (Applied Biosystems) などを含めた蛍光DNAシーケンサーなどにより、その配列を決定することができる。
【0038】
このような方法の内には、適当な制限酵素を作用させ、制限酵素地図を作製した上で、必要な断片をサブクローン化する方法や、ショットガン・クローニング法、PCR により遺伝子を増幅する方法、核酸分解酵素によりディリーションする方法などの様々な手法が含まれていることはもちろんである。次に、こうしてDNA塩基配列の決定されたDNAのうちから所定のポリペプチドをコードしているDNA領域を決定する。決定したDNA塩基配列の中でオープン・リーディング・フレームを検索する。その中で標的酵素をコードすると思われるDNA領域を制限酵素で切り出し、再度これを用いて発現ベクターを構築し、それを適当な宿主中で発現させ、こうして得られた発現物中の活性を所定の活性測定系にかけて検討し、最終的に確認されることもできる。
次にこうして得られた所定のポリペプチドをコードするDNA部分を再度当業者によく知られたベクターに結合し大腸菌などの宿主細胞に導入し、得られた組換え体を所定の酵素活性測定系にかけ、得られたクローンを検定して、標的酵素活性を有する形質転換体をうる。次にこの形質転換体から標的酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA領域を含む部分を制限酵素を用いて切りだすことが可能である。また該解析された新規な酵素遺伝子の有しているDNA配列を基にセンスプライマーとアンチセンスプライマーを合成することができる。オリゴヌクレオチドプライマーの作製は、上記したように当該分野で知られた方法で行うことができる。
【0039】
該形質転換体からの組換え体DNAおよび目的の酵素遺伝子を持つDNA断片の調製は通常の方法を用いて行うことができる。例えば、培地中で増殖させた該形質転換体を収穫し、細胞壁をリゾチーム処理等の細胞破壊法として知られた方法により壊し、次に核酸画分を分離した後、密度勾配遠心などの方法により所望の画分に分ける。こうして得られたプラスミドを含有する画分は、次に適当な制限酵素で処理することにより、適度な断片にすることができると共にまた選択的に所望のポリペプチドをコードするDNA断片とすることができる。得られた断片は、例えばゲル電気泳動などにより、所望のものに分離でき、適当なサイズのDNA断片を含むゲルは、例えばフェノール抽出−エタノール沈殿などによりDNA抽出処理される。抽出されたDNAは必要に応じ適当な制限酵素で切断し、さらに必要に応じ精製処理したり、また必要に応じ5’末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼなどによりリン酸化した後、pUC18などのpUC系ベクターといった適当なプラスミドベクターにライゲーションし、適当なコンピテント細胞を形質転換する。クローニングされたDNA断片はその塩基配列を解析される。
上記のようにして構造解析されたDNAから、所定の遺伝子をコードするDNA以外の領域を除くには、様々な方法で不必要な領域を欠失させることによってなすことができる。このような方法としては、BAL31 ヌクレアーゼやエキソヌクレアーゼIII による欠失法、制限酵素切断サイトを利用した組換え法などがあげられる。この際、本発明に従えば遺伝子の固有のプロモーターを他のものに変更したり、部位特異的変異を導入してプロモーターの強度を変化させることが、現在の遺伝子操作技術を用いることにより、容易に行いうる。従って、そのように一部を変更したDNA断片であっても、所定の酵素活性を示すポリペプチドをコードするDNAを含むDNA断片であれば、全て本発明に含まれることは明白である。また、本発明の酵素活性を示すポリペプチドをコードするDNAを含むDNA断片としては、構造遺伝子をコードするDNAに加えて、その遺伝子を生体内で発現させるのに重要な役割を担う制御領域、例えば、遺伝子の転写プロモーター、リボソーム結合部位、転写のターミネーターなどをコードするDNAをも含んだものがあげられる。
【0040】
本発明に従えば、一旦標的酵素活性に関与するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列が明らかにされることにより、その塩基の置換、付加あるいは欠失を当該分野においてよく知られた方法を適用して容易に行なうことができる。
例えば、相当するアミノ酸をコードする遺伝暗号の縮重を利用したもの、生物の遺伝暗号の利用率を考慮した変換あるいは立体選択的還元反応の機能に悪影響を及ぼさないようなアミノ酸配列の変換のための塩基の置換、付加または欠失処理などがあげられる。更にまた、このような改変のうちには、立体選択的還元反応に関与する酵素の活性中心のみを保存し、その他の部分を大幅に変化させるようにそのDNAの配列及び長さを変えることも含まれる。従って、本発明の遺伝子をコードするDNAとしては、以上のような改変を施したものすべてが含まれることは当業者であれば容易に理解し得るところのものである。
以上のような事情に鑑み、本発明のカルボニル還元酵素タンパク質をコードする遺伝子は、本発明の思想を実質的に利用して得られ、本発明の該遺伝子と実質的に同一の機能(あるいは活性)を有するものすべてを含有するものである。
【0041】
本発明は、カルボニル還元酵素をコードするDNAおよびその同族体に関する。本発明のカルボニル還元酵素をコードするDNAは、たとえば配列番号:2に示す塩基配列を含む。配列番号:2に示す塩基配列は、配列番号:3に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードしており、このアミノ酸配列を含むタンパク質は、本発明によるカルボニル還元酵素の好ましい態様を構成する。本発明のカルボニル還元酵素をコードするDNA同族体とは、配列番号:3に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、前記性質(1)及び/又は(2)を有するタンパク質をコードするDNAを含む。当業者であれば、配列番号:2記載のDNAに、下記するPCR や部位特異的変異導入法(Nucleic Acid Res., 10: pp.6487 (1982); R. Wu, L. Grossman, ed., ”Methods in Enzymology”, Vol. 100, pp.448, Academic Press, New York (1983); J. Sambrook et al., ”Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition)”, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989); M. J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor (Ed.), PCR: a practical approach, pp.200, IRL Press, Oxford (1991) などを用いて、適宜置換、欠失、挿入、および/または付加変異を導入することによりDNA同族体を得ることが可能である。
また、本発明のDNA同族体は、配列番号:2に示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズできるDNAであって、かつ、前記性質(1)及び/又は(2)を有するタンパク質をコードするDNAも含む。ハイブリダイズできるDNAとは、配列番号:2に記載中の任意の少なくとも20個、好ましくは少なくとも30個、例えば40、60または100 個の連続した配列を一つまたは複数選択し、その選択したDNAをプローブDNAとし、たとえばECL direct nucleic acid labeling and detection system (Amersham Pharmaica Biotech社製)を用いて、マニュアルに記載の条件(wash:42℃、0.5x SSCを含むprimary wash buffer)において、ハイブリダイズするDNAを指してよい。さらに、本発明のDNA同族体は、配列番号:3に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%または90%、より好ましくは95%以上の相同性を有するタンパク質をコードするDNAを含む。
【0042】
本明細書中、「カルボニル還元酵素遺伝子」とは、2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成するといった高い不斉選択性の還元活性を有するレイフソニア属微生物(例えば、レイフソニア・ナガノエンシス、特にはレイフソニア・ナガノエンシス JCM 10592株)が保有するカルボニル還元酵素活性に関与する遺伝子を意味してよい。本明細書中、「カルボニル還元酵素」とは、代表的には2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンのカルボニル基を特異的な立体選択性でもって還元して、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを与える微生物が保有するカルボニル基還元活性を担う酵素タンパク質の全てあるいはその一部を意味してよい。該遺伝子は、核酸からなるもので、通常ゲノム上では、DNAであるが、本明細書中で説明するいかなる形態のものであってよい。
該カルボニル還元酵素遺伝子は、代表的には配列表の配列番号:2のDNAのORF に対応する塩基配列、配列番号:3のアミノ酸配列をコードする塩基配列、又はその一部のフラグメントを包含する。
本発明は、配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有し、かつ、前記性質(1)及び/又は(2)を有するカルボニル還元酵素、及びその同族体を含む。配列番号:3に示すアミノ酸配列を含むタンパク質は、本発明によるカルボニル還元酵素の好ましい態様を構成する。本発明のタンパク質は、代表的には配列番号: 3 のアミノ酸配列あるいはそれと実質的に同等なアミノ酸配列により表されるタンパク質、配列番号: 3 のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列により表されるタンパク質、好ましくは2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンのカルボニル基を特異的な立体選択性でもって還元して、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する活性を担う酵素活性に関与するタンパク質、さらにはその一部のフラグメントが挙げられる。本発明のカルボニル還元酵素の同族体とは、配列番号:3に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を含む。また、該カルボニル還元酵素の同族体とは、配列番号:3に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%または90%、より好ましくは95%以上のホモロジーを有するタンパク質であってよい。
【0043】
本発明のタンパク質をコードする遺伝子(それに関連する核酸又はオリゴヌクレオチドを含む)としては、代表的には配列番号:3のアミノ酸配列により表されるタンパク質をコードする核酸、配列番号:3のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列により表されるタンパク質をコードする核酸、さらにはその一部のフラグメント、配列番号:2の塩基配列から選択された且つ連続した塩基配列を含有するオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、例えば、5 個以上の連続した塩基、さらには10個以上の連続した塩基からなるオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、さらには好ましくは15個以上の塩基からなるオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、より好ましくは18〜100 個の塩基からなるオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、代表的には20〜30個の塩基からなるオリゴヌクレオチドあるいは30〜55個の塩基からなるオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドなどが挙げられる。該塩基配列と相同性を有するが、上記カルボニル還元活性能に関し実質的に同等なタンパク質をコードしているといったそれと同効の塩基配列を含有するDNA配列でコードされるものであることができるし、さらにそれらと相補的なヌクレオチドなどであってよい。
本発明では、2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンのカルボニル基を特異的な立体選択性でもって還元して、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する活性を持つ酵素タンパク質、あるいはそれと実質的に同等な機能(あるいは活性)を有するタンパク質またはその塩、そのタンパク質の特徴的な部分ペプチドまたはその塩、それらをコードする遺伝子、例えばDNA、RNAなど、その遺伝子を遺伝子組換え技術で操作することが可能なように含有しているベクターあるいはプラスミド、こうしたベクターなどで形質転換された宿主細胞、さらにはその宿主細胞を培養して該タンパク質またはその塩を製造する方法、こうして得られた該タンパク質またはその塩やそのタンパク質の特徴的な部分ペプチドまたはその塩を用いて得られた抗体、特にはモノクローナル抗体、その抗体を産生するハイブリドーマ細胞、該単離された遺伝子、例えばDNA、RNAなどをプローブとして用いたり、該配列情報に基づいてデザインされたオリゴヌクレオチドを使用する核酸増幅技術などあるいは該抗体やオリゴヌクレオチドを用いた測定手段並びに試薬、そして組換え酵素などの組換えタンパク質や、形質転換された宿主細胞、固定化酵素あるいは固定化菌体を使用した不斉還元法などが提供される。
【0044】
本発明に係わる遺伝子の塩基配列を基に遺伝子工学的に常用される方法を用いることにより、所定のポリペプチドのアミノ酸配列中に適宜、1個ないし複数個以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入、転移あるいは付加したごとき変異を導入した相当するポリペプチドを製造することができる。こうした変異・変換・修飾法としては、例えば日本生化学会編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法 II 」、p105(広瀬進)、東京化学同人(1986); 日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核酸 III(組換えDNA技術)」、p233(広瀬進)、東京化学同人(1992); R. Wu, L. Grossman, ed., ”Methods in Enzymology”, Vol. 154, p. 350 & p. 367, Academic Press, New York (1987); R. Wu, L. Grossman, ed., ”Methods in Enzymology”, Vol. 100, p. 457 & p. 468, Academic Press, New York (1983); J. A. Wells et al., Gene, 34: 315, 1985; T. Grundstroem et al., Nucleic Acids Res., 13: 3305, 1985; J. Taylor et al., Nucleic Acids Res., 13: 8765, 1985; R. Wu ed., ”Methods in Enzymology”, Vol. 155, p. 568, Academic Press, New York (1987); A. R. Oliphant et al., Gene, 44: 177, 1986などに記載の方法が挙げられる。例えば、PCR 、合成オリゴヌクレオチドなどを利用する位置指定変異導入法(部位特異的変異導入法) (Zoller et al., Nucl. Acids Res., 10: 6487, 1987; Carter et al., Nucl. Acids Res., 13: 4331, 1986), カセット変異導入法 (cassette mutagenesis: Wells et al., Gene, 34: 315, 1985), 制限部位選択変異導入法 (restriction selection mutagenesis: Wells et al., Philos. Trans. R. Soc. London Ser A, 317: 415, 1986),アラニン・スキャンニング法 (Cunningham & Wells, Science, 244: 1081−1085, 1989), PCR変異導入法, Kunkel法, dNTP[αS]法(Eckstein),亜硫酸や亜硝酸などを用いる領域指定変異導入法等の方法が挙げられる。
【0045】
また、遺伝子組換え法で製造する時に融合ポリペプチド(融合タンパク質)として発現させ、生体内あるいは生体外で、所望のポリペプチドと実質的に同等の生物学的活性を有しているものに変換・加工してもよい。遺伝子工学的に常用される融合産生法を用いることができるが、こうした融合ポリペプチドはその融合部を利用してアフィニティクロマトグラフィーなどで精製することも可能である。こうした融合ポリペプチドとしては、ヒスチジンタグに融合せしめられたもの、あるいは、β−ガラクトシダーゼ(β−gal) 、マルトース結合タンパク (MBP),グルタチオン−S−トランスフェラーゼ (GST)、チオレドキシン (TRX)又は Cre Recombinaseのアミノ酸配列に融合せしめられたものなどが挙げられる。同様に、ポリペプチドは、ヘテロジーニアスなエピトープのタグを付加され、該エピトープに特異的に結合する抗体を用いてのイムノアフィニティ・クロマトグラフィーによる精製をなし得るようにすることもできる。より適した実施態様においては、ポリヒスチジン(poly−His)又はポリヒスチジン−グリシン(poly−His−Gly)タグ、また該エピトープタグとしては、例えば AU5, c−Myc, CruzTag 09, CruzTag 22, CruzTag 41, Glu−Glu, HA, Ha.11, KT3, FLAG (registered trademark, Sigma−Aldrich), Omni−probe, S−probe, T7, Lex A, V5, VP16, GAL4, VSV−G などが挙げられる (Field et al., Molecular and Cellular Biology, 8: pp.2159−2165 (1988); Evan et al., Molecular and Cellular Biology, 5: pp.3610−3616 (1985); Paborsky et al., Protein Engineering, 3(6): pp.547−553 (1990); Hopp et al., BioTechnology, 6: pp.1204−1210 (1988); Martin et al., Science, 255: pp.192−194 (1992); Skinner et al., J. Biol. Chem., 266: pp.15163−15166 (1991); Lutz−Freyermuth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87: pp.6393−6397 (1990) など) 。
【0046】
さらに融合ポリペプチドとしては、検出可能なタンパク質となるようなマーカーを付されたものであることもできる。より好適な実施態様においては、該検出可能なマーカーは、ビオチン/ストレプトアビジン系のBiotin Avi Tag、螢光を発する物質などであってよい。該螢光を発する物質としては、オワンクラゲ (Aequorea victorea)などの発光クラゲ由来の緑色螢光タンパク質(green fluorescent protein: GFP)、それを改変した変異体(GFPバリアント) 、例えば、EGFP (Enhanced−humanized GFP), rsGFP (red−shift GFP), 黄色螢光タンパク質 (yellow fluorescent protein: YFP), 緑色螢光タンパク質 (green fluorescent protein: GFP),藍色螢光タンパク質 (cyan fluorescent protein: CFP), 青色螢光タンパク質 (blue fluorescent protein: BFP), ウミシイタケ (Renilla reniformis) 由来のGFP などが挙げられる(宮脇敦史編、実験医学別冊ポストゲノム時代の実験講座3−GFP とバイオイメージング、羊土社 (2000年))。また、上記融合タグを特異的に認識する抗体(モノクローナル抗体及びそのフラグメントを含む)を使用して検出を行うこともできる。こうした融合ポリペプチドの発現及び精製は、それに適した市販のキットを用いて行うことができ、キット製造業者あるいはキット販売業者により明らかにされているプロトコルに従って実施することもできる。本発明の所定のペプチドは、天然に存在する形態に加えて、そのペプチドの機能と同等、又はより強力な、又はよりプラスの機能を有するペプチド類縁体のような他のポリペプチドも含む。
【0047】
本発明のカルボニル還元酵素同族体のタンパク質は、1個以上のアミノ酸残基が同一性の点で天然のものと異なるもの、1個以上のアミノ酸残基の位置が天然のものと異なるものであってもよい。本発明のレイフソニア・ナガノエンシス JCM 10592株菌由来のタンパク質は、当該タンパク質に特有なアミノ酸残基が1個以上(例えば、1〜80個、好ましくは1〜60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20個、特には1〜10個など)欠けている欠失類縁体、特有のアミノ酸残基の1個以上(例えば、1〜40個、好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、特には1〜2個など)が他の残基で置換されている置換類縁体、1個以上(例えば、1〜40個、好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、特には1〜2個など)のアミノ酸残基が付加されている付加類縁体も包含する。該カルボニル還元酵素タンパク質の内に見出される共通の特徴であるドメイン構造が維持されていれば、上記のごとき変異体は、全て本発明に包含される。また本発明のタンパク質は天然の当該酵素と実質的に同等の一次構造コンフォメーションあるいはその一部を有しているものも含まれてよいと考えられ、さらに天然のレイフソニア・ナガノエンシス JCM 10592株菌由来の所定のタンパク質と実質的に同等の生物学的活性を有しているものも含まれてよいと考えられる。さらに天然に生ずる変異体の一つであることもできる。本発明の菌由来のタンパク質は、例えば、配列表の配列番号:3で示されるアミノ酸配列に対し、70% より高い相同性を有しているものが挙げられ、より好ましくは80% 以上、特に好ましくは90% 以上の相同アミノ酸配列を有するものが挙げられる。
【0048】
アミノ酸の置換、欠失、あるいは挿入は、しばしばポリペプチドの生理的な特性や化学的な特性に大きな変化を生ぜしめないし、こうした場合、その置換、欠失、あるいは挿入を施されたポリペプチドは、そうした置換、欠失、あるいは挿入のされていないものと実質的に同一であるとされるであろう。該アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的に同一な置換体としては、そのアミノ酸が属するところのクラスのうちの他のアミノ酸類から選ぶことができうる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、トリプトファン、メチオニンなどが挙げられ、極性(中性)としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンなどが挙げられ、陽電荷をもつアミノ酸(塩基性アミノ酸)としては、アルギニン、リジン、ヒスチジンなどが挙げられ、陰電荷をもつアミノ酸(酸性アミノ酸)としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
【0049】
本発明の標的酵素関与遺伝子を持つ組換え体DNAの作製について以下説明する。形質転換体の作製のための手順および宿主に適合した組み換えベクターの構築は、分子生物学、生物工学、遺伝子工学の分野において慣用されている技術に準じて行うことができ、例えば、J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition (1989) & 3rd Edition (2001)), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York などに記載の上記「遺伝子組換え技術」を利用して行うことができる。
本発明の標的カルボニル還元酵素をコードするDNAを含む断片から、適当な手段を施して不必要な領域を欠失させたDNAは、それを適当なベクターDNAに再び組み込むことにより、宿主細胞に再び導入することが出来る。本発明のカルボニル還元酵素遺伝子を宿主中などにおいて、発現させるためには、まず該宿主生物中において安定に存在するプラスミドベクターやファージベクター中にこのDNAを導入し、その遺伝情報を転写・翻訳させる必要がある。そのためには、転写・翻訳を制御するユニットにあたるプロモーターを本発明のDNA鎖の5’側上流に、より好ましくはターミネーターを3’側下流に、それぞれ組み込めばよい。
本発明の上記酵素などをコードするDNAを宿主細胞に導入し、そしてそれをその導入された宿主細胞内で発現させるために用いられるベクターDNAとしては、適当な宿主細胞内で、所定の酵素遺伝子などを発現できるものであれば特に制限なく使用し得る。
このようなベクターDNAとしては、上記酵素などをコードするDNAを組み込むことの出来るものであり、組換えたベクターDNAで宿主細胞を形質転換できるものであり、そして得られた形質転換体の細胞内で導入された遺伝子産物をコードするDNAの発現ができるものであれば特に限定されず、如何なるものも使用することが出来る。
【0050】
このようなベクターDNAとしては、宿主細胞中で自律複製可能であり、さらに組換え宿主細胞のみを選別できるような適当な選択マーカーなどが付与されたものがあげられる。さらにまた、このようなベクターDNAは公知のベクターDNA等から当業者が容易に製造し得るようなものであってもよい。
このようなベクターDNAとしては、例えばプラスミドベクター、ファージベクター、コスミドベクターから選ばれたものがあげられる。また、このようなベクターDNAは他の宿主株との間で遺伝子交換が可能なシャトルベクターであってもよいし、ランナウェイベクターやスリーパーベクターなど遺伝子産物の発現効率を向上せしめるために特別に工夫されたものであってもよい。
さらに、このようなベクターDNAは、lacUV5プロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、lppプロモーター、tufBプロモーター、recAプロモーター、Pプロモーター、Pプロモーター、T7プロモーター等のプロモーター、trpA由来ターミネーター、ファージ由来ターミネーター、rrnBリボソーマルRNA 由来ターミネーター等のターミネーター、エンハンサーなどの制御因子を作動可能なように適宜付与されたものであってもよい。このような形質発現などに係わる因子等を導入するためには、遺伝子組換え技術の分野でよく知られた方法を適宜選択して適用することにより行うことができる。代表的な発現ベクターとしては、例えば、pLAFR3, pR01614 などを挙げることができる。
【0051】
エシェリヒア(Escherichia)属微生物、特に大腸菌(E. coli)を宿主とするプラスミド(又はベクター)としては、例えばpBR322などのpBR系ベクター, pUC18, pUC19, pUC118, pUC119などのpUC系ベクター, pLAC11, pLAC21, pSP64, pSP65, pTZ−18R/−18U, pTZ−19R/−19U, pGEM−3, M−4, pGEM−3Z, pGEM−4Z, pGEM−5Zf(−)などのpGEX系ベクター, pBluescript KSTM (Stratagene)などのpBluescript ベクターが挙げられる。大腸菌での発現に適したプラスミドベクターとしては、例えばpAS, pKK223 (Pharmacia), pMC1403, pMC931, pKC30, pRSET−B (Invitrogen) なども挙げられる。
シュードモナス(Pseudomonas)属微生物においては、トルエン化合物の分解に関与するプラスミドTOLプラスミドを基本にした広宿主域ベクター(RSF1010などに由来する自律的複製に必要な遺伝子を含む)pKT240などが利用可能であり、プロモーター、ターミネーターとして、リパーゼ(特開平5−284973)遺伝子などが利用できる。バチルス(Bacillus)属微生物においては、ベクターとしてpUB110系プラスミド、pC194系プラスミドなどが利用可能であり、染色体にインテグレートすることもできる。また、プロモーター、ターミネーターとしてapr(アルカリプロテアーゼ)、npr(中性プロテアーゼ)、amy(α−アミラーゼ)などが利用できる。ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属微生物においては、pAJ43(Gene, 39: 281 (1985))などのプラスミドベクターが利用可能である。プロモーター、ターミネーターとしては、大腸菌で使用されているプロモーター、ターミネーターがそのまま利用可能である。コリネバクテリウム(Corynebacterium)属微生物においては、pCS11(特開昭57−183799)、pCB101(Mol. Gen. Genet., 196: 175 (1984)などのプラスミドベクターが利用可能である。ストレプトコッカス(Streptococcus)属微生物においては、pHV1301(FEMS Microbiol. Lett., 26: 239 (1985)、pGK1(Appl. Environ. Microbiol., 50: 94 (1985))などがプラスミドベクターとして利用可能である。ラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物においては、ストレプトコッカス属用に開発されたpAMβ1(J. Bacteriol., 137: 614 (1979))などが利用可能であり、プロモーターとして大腸菌で利用されているものが利用可能である。
【0052】
ロドコッカス(Rhodococcus)属においては、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)から単離されたプラスミドベクターが使用可能である (J. Gen. Microbiol., 138: 1003 (1992))。ストレプトマイセス(Streptomyces)属微生物においては、Hopwood et al., Genetic Manipulation of Streptomyces: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories (1985)に記載の方法に従って、プラスミドを構築することができ、例えばpIJ486 (Mol. Gen. Genet., 203: 468−478, 1986)、pKC1064(Gene, 103: 97−99 (1991))、pUWL−KS (Gene, 165: 149−150 (1995))などが使用できる。
サッカロマイセス(Saccharomyces) 属微生物においては、YRp系、YEp系、YCp系、YIp系プラスミドが利用可能である。また、染色体内に多コピー存在するリボソームDNAとの相同組み換えを利用したインテグレーションベクター(EP 537456など)は、多コピーで遺伝子を導入でき、かつ安定に遺伝子を保持できるため極めて有用である。また、ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)、PHO(酸性フォスファターゼ)、GAL(β−ガラクトシダーゼ)、PGK(ホスホグリセレートキナーゼ)、ENO(エノラーゼ)などのプロモーター、ターミネーターが利用可能である。カンジダ(Candida)属微生物においては、カンジダ・マルトーサ(Candida maltosa) 由来ARSがクローニングされ(Agri. Biol. Chem., 51: 1587 (1987)) 、これを利用したベクターが開発されている。また、染色体インテグレートタイプのベクターでは強力なプロモーターが開発されている(特開平 08−173170)。
ピキア(Pichia)属微生物においては、ピキア・パストリス(Pichia pastoris) 由来自律複製に関与する遺伝子 (PARS1、PARS2)などを利用した宿主ベクター系が開発されており(Mol. Cell. Biol., 5: 3376 (1985))、高濃度培養とメタノールで誘導可能な AOX など強いプロモーターが利用できる(Nucleic Acids Res., 15: 3859 (1987))。ハンゼヌラ(Hansenula)属微生物においては、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenulapolymorpha) 由来自律複製に関与する遺伝子(HARS1、HARS2)も利用可能であるが、比較的不安定であるため、染色体への多コピーインテグレーションが有効である(Yeast, 7: 431−443 (1991)) 。また、メタノールなどで誘導される AOX(アルコールオキシダーゼ)、FDH(ギ酸デヒドロゲナーゼ)のプロモーターなどが利用可能である。
【0053】
クライベロマイセス(Kluyveromyces)属微生物においては、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)由来2μm系プラスミド、pKD1系プラスミド(J. Bacteriol., 145: 382−390 (1981))、キラー活性に関与するpGKl1由来プラスミド、クライベロマイセス属における自律増殖遺伝子KARS系プラスミド、リボソームDNAなどとの相同組み換えにより染色体中にインテグレート可能なベクタープラスミド(EP 537456など)などが利用可能である。また、ADH、PGKなどに由来するプロモーター、ターミネーターが利用可能である。
シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属微生物においては、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)由来のARS(自律複製に関与する遺伝子)及びサッカロマイセス・セレビジアエ由来の栄養要求性を相補する選択マーカーを含むプラスミドベクターが利用可能である(Mol. Cell. Biol., 6: 80 (1986))。また、シゾサッカロマイセス・ポンベ由来のADHプロモーターなどが利用できる(EMBO J., 6: 729 (1987))。特に、pAUR224は、宝酒造から市販されており容易に利用できる。
アスペルギルス(Aspergillus)属微生物においては、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger) 、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)などに関連して、プラスミドや染色体へのインテグレーションが利用可能であり、菌体外プロテアーゼやアミラーゼ由来のプロモーターが利用可能である(Trends in Biotechnology, 7: 283−287 (1989)) 。
トリコデルマ(Trichoderma)属微生物においては、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を利用したホストベクター系が開発され、菌体外セルラーゼ遺伝子由来プロモーターなどが利用できる(Biotechnology 7, 596−603 (1989))。また、微生物以外でも、植物、動物において様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に蚕を用いた昆虫(Nature、 315, 592−594 (1985))や菜種、トウモロコシ、ジャガイモなどの植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系が開発されており、好適に利用できる。
【0054】
上記ベクターDNAに、上記所定タンパク質をコードするDNAを組み込むには、まず、上記ベクターDNAに適当な制限酵素を作用させ、得られたベクターDNA断片を、目的タンパク質をコードするDNA断片とを混合し、これにDNAリガーゼを作用させることによりなしうる。この際、必要に応じ当該分野で知られたリンカー付与、ブラントエンド化等の処理を加えることもできる。このようにして得られた組換え体DNAは次に適当な宿主細胞の中に導入される。
同一のプラスミド上に複数の所定遺伝子を組み込めば、より良好な結果が得られる。複数の酵素遺伝子などを組み込む際のその様式は、固有のプロモーターを持つ当該遺伝子が複数個導入されていてもよいし、複数の酵素遺伝子がポリシストロニックに転写されるオペロンとして導入されていてもよいし、またこれらの組み合わせであってもよい。導入する遺伝子の数に特に制限はなく、組換え体DNA及びそれを含む形質転換体の安定性を損なわない範囲であればよい。
組換え体DNAを作製する場合、このための技術としては制限酵素による切断、リガーゼによる連結、化学合成DNAの利用、ヌクレアーゼによる欠失、部位特異的変異による塩基置換など、通常の遺伝子操作で用いられる技術を適宜選択して適用することにより行なうことができるが、この際に、プロモーターの変更やその他の所定酵素遺伝子を発現させるための塩基配列の改変を行ってもよい。このようにして得られた組換え体DNAは次に適当な宿主細胞の中に導入される。
【0055】
本発明に従った、標的酵素遺伝子及び当該酵素が利用する補酵素の再生能を付与する遺伝子を保有する組換え体DNAの作製につき、以下説明する。補酵素(例えばNADH、NADPH など)を再生する活性を付与したり、増強すると、補酵素を添加したり、補酵素再生のための付加的な成分の使用を低減あるいは不要とすることを可能にし、効率的な標的酵素利用を可能とする。
典型的な手法では、補酵素を再生する能力を付与する遺伝子を導入するように、宿主を形質転換させることが挙げられる。例えば、補酵素再生に利用可能な酵素などの遺伝子を本発明のカルボニル還元酵素をコードするDNAと同時に宿主に導入することによって、より効率的な還元反応を達成できる。
補酵素再生に利用可能な酵素としては、例えば、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼ、有機酸デヒドロゲナーゼ(リンゴ酸デヒドロゲナーゼなど)などが挙げられる。これらは一つ若しくは二つ又はそれ以上の遺伝子を導入することができる。好適には、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を利用でき、例えば、バチルス属細菌由来のGDH が挙げられる。具体的には、枯草菌(Bacillus subtilis)のGDH遺伝子を利用できる。補酵素を再生する能力を付与又は高めるのは、解糖系、メチロトローフのC1化合物資化経路などに関与する遺伝子を利用するものであってもよい。
二つもしくはそれ以上の遺伝子の宿主への導入には、不和合性をさけるために複製起源のことなる複数のベクターに別々に遺伝子を導入した組み換えベクターを利用して宿主を形質転換する方法や、単一のベクターに両遺伝子を導入する方法を適用できる。また、両方の遺伝子を染色体中に導入する方法などを利用することもできる。単一のベクター中に複数の遺伝子を導入する場合には、プロモーター、ターミネーターなど発現制御に関わる領域をそれぞれの遺伝子に連結する方法やラクトースオペロンのような複数のシストロンを含むオペロンとして発現させることも可能である。
【0056】
本発明に従った、組換え体DNAの宿主細胞への導入について以下説明する。
上記のようにして作製した組換え体DNAを導入するための宿主細胞としては、上記で得られた組換えプラスミド(又はベクター)でもって形質転換されて、当該遺伝子を発現させることができるようなものであれば、特に制限なく使用することができる。宿主細胞としては、宿主ベクター系の開発されている細菌、放線菌、酵母、糸状菌、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞などが挙げられ、例えば大腸菌を含めたエシェリヒア属微生物の他、レイフソニア属、シュードモナス属、バチルス属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アシネトバクター(Acinetobactor)属、セラチア(Serratia)属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、ストレプトコッカス属、ラクトバチルス属、ノカルジア(Nocardia)属、ロドコッカス属、ストレプトマイセス属、フサリウム(Fusarium)属、サッカロマイセス属、カンジダ属、ピキア属、ハンゼヌラ属、クライベロマイセス属、トリコスポロン(Trichosporon)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、シゾサッカロマイセス属、ノイロスポラ(Neurospora)属、アスペルギルス属、セファロスポリウム(Cephalosporium)属、トリコデルマ属などの微生物が挙げられる。このような宿主細胞としては、本発明の目的に沿って標的酵素遺伝子の発現を達成し得る限り、グラム陰性菌あるいはグラム陽性菌の区別なく、さらには、下等細胞あるいは高等細胞の区別なく使用できる。
【0057】
宿主細胞が、例えばエシェリヒア属、特に大腸菌の場合、例えば大腸菌K12 株に由来するものが挙げられ、例えばM15, C600, DH1, DH5, DH11S, DH12S, DH5α, DH10B, HB101, MC1061, JM109, STBL2, STBL4, XL1−Blue 系株, BL21(DE3)pLysSなどが挙げられる。レイフソニア属微生物においては、例えばレイフソニア・ナガノエンシスなどが挙げられる。シュードモナス属微生物においては、例えばシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)などで宿主ベクター系が開発されているもの。ブレビバクテリウム属微生物においては、例えばブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)などが挙げられる。コリネバクテリウム属微生物においては、例えばコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)などが利用可能である。ロドコッカス属微生物においては、例えばロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)などが利用可能である。
ストレプトマイセス属微生物においては、例えばストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・バージニア(Streptomyces virginiae)などが利用可能である。
サッカロマイセス属微生物においては、例えばサッカロマイセス・セレビシアエなどが利用可能である。ピキア属微生物においては、例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)などが利用可能である。カンジダ属微生物においては、例えばカンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・ウチルス (Candida utilis) などが利用可能である。アスペルギルス属微生物においては、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)などが利用可能である。
【0058】
組換え体DNAを導入するのは、当業者によく知られた方法から適宜選択して行うことができ、例えば、組換え体DNAをコンピテント細胞に接触せしめる、エレクトロポレーション、インビトロパッケージング法などを用いて適当な増殖期にある宿主に、組換えファージベクターを感染させる方法等などが適用される。
本発明に従い、ポリペプチドをコードする核酸を含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体は、必要に応じて適当な選択マーカーを用い、繰り返しクローニングを行うことにより、高い発現能を安定して有する細胞株を得ることができる。形質転換体を用いる場合、使用する菌株に応じてアンピシリン、クロラムフェニコール等の抗生物質を培養液に添加してもよい。本発明の形質転換体は、適当な栄養培地中で本発明のポリペプチドをコードする核酸が発現可能な条件下で培養し、それを大量に得ることができるし、さらに目的物を生成、蓄積せしめることもできる。該形質転換体は、当該分野で汎用されている培地中で培養することができる。例えば、大腸菌等の原核細胞宿主などを宿主としている形質転換体は、液体培地を好適に使用することができる。培地中には、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、たとえばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、たとえばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、麦芽エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては,例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビタミン類、カザミノ酸、生長促進因子などを添加してもよい。また、必要に応じて、培地には、微生物の活性を誘導する物質、培地のpH保持に有効な緩衝物質、消泡剤、さらにはシリコン、アデカノール、プルロニックなどを添加してもよい。必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリル
アクリル酸のような薬剤を加えることができる。
【0059】
微生物の培養は、生育に適した条件下で行うことができる。具体的には、培地のpH3〜10、好ましくは4〜9、温度0〜50℃、好ましくは20〜40℃で行うことができる。微生物の培養は、好気的または嫌気的条件下で行うことができる。培養時間は、1〜300 時間、より好ましくは2〜300 時間であるが、それぞれの微生物により適宜決められるべきである。
培養は、例えば大腸菌では通常約15〜約45℃で約3〜約75時間行い、必要により、通気や攪拌を加えることもできる。培養は通常約30℃〜約40℃で約15〜約72時間行い、必要に応じて通気や攪拌を加える。所定の遺伝子産物を発現している形質転換体はそのまま利用可能であるが、その細胞ホモジュネートとしても利用でき、さらに所定の遺伝子産物を単離して用いることもできる。上記培養細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により粗抽出液を得る方法などを適宜用いることができる。緩衝液の中には尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白変性剤や、トリトン X−100(商品名)、ツウィーン−20 (商品名)などの界面活性剤を加えてあってもよい。培養液中に目的生成物が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる目的生成物は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせてその精製を行なうことができ、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなどによるゲルろ過法、例えばジエチルアミノエチル基あるいはカルボキシメチル基などを持つ担体などを用いたイオン交換クロマトグラフィー法、例えばブチル基、オクチル基、フェニル基など疎水性基を持つ担体などを用いた疎水性クロマトグラフィー法、色素ゲルクロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、逆相クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法などにより精製して得ることができる。好ましくは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、リガンドなどを固定化したアフィニティー・クロマトグラフィーなどで処理し精製分離処理できる。例えば、ゼラチン−アガロース・アフィニティー・クロマトグラフィー、ヘパリン−アガロース・クロマトグラフィーなどが挙げられる。それらの方法は、単独あるいは適宜組み合わせて用いて適用することにより行うことが出来る。
【0060】
得られたタンパク質(ペプチドあるいはポリペプチドを包含していてよい)は、それを酵素免疫測定法など知られた手法で、適当な担体あるいは固相に結合せしめて固相化することができる。固相化タンパク質、固相化ペプチドは、便利に結合アッセイや物質のスクリーニングに使用できる。精製されたリコンビナントタンパク質は、モノクローナル抗体作製のための免疫抗原として好適に使用できる。
該ポリペプチドは、化学的な手法でその含有されるアミノ酸残基を修飾することもできるし、ペプチダーゼ、例えばペプシン、キモトリプシン、パパイン、ブロメライン、エンドペプチダーゼ、エキソペプチダーゼなどの酵素を用いて修飾したり、部分分解したりしてその誘導体などにすることができる。
タンパク質・ポリペプチドの構造の修飾・改変などは、例えば日本生化学会編、「新生化学実験講座1、タンパク質 VII、タンパク質工学」、東京化学同人(1993)を参考にし、そこに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法、さらにはそれらと実質的に同様な方法で行うことができる。またその生物学的活性のうちには、免疫的に活性、例えば抗原性を有するということも含まれてよい。該修飾・改変のうちには、アミノ基、SH基及び/又はカルボキシル基の導入、シリル化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、リン酸化、メチル化、アセチル化などのアシル化、酸化、還元、開環、閉環、D−体アミノ酸残基への置換などであってもよい。それらの方法は、当該分野で知られている。
本明細書において、「実質的に同等」とはポリペプチドの活性、例えば、2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成するといった高い不斉選択性の還元活性、それに対応する生理的な活性、生物学的な活性が実質的に同じであることを意味する。さらにまた、その用語の意味の中には、実質的に同質の活性を有する場合を包含していてよく、該実質的に同質の活性としては、例えば、2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する酵素活性などを挙げることができる。該実質的に同質の活性とは、それらの活性が性質的に同質であることを示し、例えば、生理的に、不斉合成的に、あるいは生物学的に同質であることを示す。例えば、該カルボニル還元酵素活性などの活性が、同等 (例えば、約 0.0001 〜10000 倍、好ましくは約0.001 〜1000倍、より好ましくは約 0.01 〜200 倍、さらに好ましくは約 0.5〜10倍) であることが好ましいが、これらの活性の程度、タンパク質の分子量などの量的な要素は異なっていてもよい。
【0061】
本発明に従えば、不斉還元性能において特異な活性を有するカルボニル還元酵素遺伝子が明らかにされたので、当該DNA配列は、例えば各種の微生物における同様な活性を有するカルボニル還元酵素及び関連タンパク質をコードする、微生物などの、ゲノムDNA及びcDNAのスクリーニング及び特有の不斉還元能などの検知のためのプローブの設計などに使用できる。プローブは、必要に応じて、当該分野で広く利用されている標識を付与しておくことができる。遺伝子の単離にあたっては、PCR 法、さらには逆転写酵素 (RT) を用いたPCR 法 (RT−PCR) を利用することが出来る。例えば、所定のcDNAをプローブとして用いれば、例えばノーザン・ブロティング、サザン・ブロティング、in situ ハイブリダイゼーションなどにより細胞中での特有の不斉還元能を持つカルボニル還元酵素遺伝子などを検出・測定できる。
本明細書中で開示した関連したタンパク質あるいはポリペプタイド、そのフラグメント、さらにはDNAを含めた核酸(mRNA やオリゴヌクレオチドを含む) は、それらを単独あるいは有機的に使用し、更にはアンチセンス技術、モノクローナル抗体を含めた抗体、組換え微生物などとも適宜組合わせて、ゲノミックス及びプロテオミックス技術に応用できる。核酸アレイ、タンパク質アレイを使用した遺伝子発現解析、遺伝子機能解析、タンパク質間相互作用解析、関連遺伝子解析をすることが可能となる。例えば、核酸アレイ技術では、cDNAライブラリーを使用したり、PCR技術で得たDNAを基板上にスポッティング装置で高密度に配置して、ハイブリダイゼーションを利用して試料の解析が行われる。
【0062】
該アレイ化は、針あるいはピンを使用して、あるいはインクジェトプリンティング技術などでもって、スライドガラス、シリコン板、プラスチックプレートなどの基板のそれぞれ固有の位置にDNAが付着せしめられることによりそれを実施することができる。該核酸アレイ上でのハイブリダイゼーションの結果得られるシグナルを観察してデータを取得する。該シグナルは、螢光色素などの標識(例えば、Cy3, Cy5, BODIPY, FITC, Alexa Fluor dyes(商品名), Texas red(商品名) など) より得られるものであってよい。検知にはレーザースキャナーなどを利用することもでき、得られたデータは適当なアルゴリズムに従ったプログラムを備えたコンピューターシステムで処理されてよい。また、タンパク質アレイ技術では、タグを付された組換え発現タンパク質産物を利用してよく、二次元電気泳動(2−DE)、酵素消化フラグメントを含めての質量分析 (MS)(これにはエレクトロスプレーイオン化法(electrospray ionization: ESI), マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(matrix−assisted laser desorption/ionization: MALDI)などの技術が含まれ、MALDI−TOF 分析計、ESI−3 連四重極分析計、ESI−イオントラップ分析計などを使用してよい) 、染色技術、同位体標識及び解析、画像処理技術などが利用されることができる。したがって、本発明には上記で得られるあるいは利用できる酵素遺伝子系など及びそれに対する抗体に関連したソフトウエア、データベースなども含まれてよい。
【0063】
本発明は、前記カルボニル還元酵素のカルボニル基含有化合物の還元によるアルコール化合物の製造用途を提供している。例えば、前記カルボニル還元酵素存在下ケトンなどのカルボニル基含有化合物を還元することによるアルコール化合物の製造法が提供される。本発明のカルボニル還元酵素は、不斉還元を行うことから、特定の光学活性アルコール化合物を製造するといった工業的な利用において有利である。酵素分子、その処理物、酵素分子を含む培養物、固定化酵素、あるいは酵素を生成する形質転換体微生物等(該形質転換体が生きた状態であっても固定化されていてもよい)を反応溶液と接触させることにより、目的とする酵素反応を行わせることができるが、酵素と反応溶液の接触形態はこれらの具体例に限定されるものではない。反応溶液は、基質や酵素反応に必要な補酵素を酵素活性の発現に望ましい環境を与える適当な溶媒に溶解したものである。本発明におけるカルボニル還元酵素を含む微生物の処理物には、具体的には界面活性剤やトルエンなどの有機溶媒処理によって細胞膜の透過性を変化させた微生物、あるいはガラスビーズや酵素処理によって菌体を破砕した無細胞抽出液やそれを部分精製したものなどが含まれる。該微生物の処理物には、例えば粗抽出液、培養菌体、凍結乾燥生物体、アセトン乾燥生物体、それらの菌体の磨砕物などが含まれてよい。
【0064】
本発明の一つの態様では、一般式(I) で表わされる化合物(式中、XaおよびXbは、同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子を意味する)を、本発明で特定されたカルボニル還元酵素、あるいは該酵素の産生能を有し且つ形質転換された微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたもので処理して一般式(II)で表わされる光学活性な化合物(式中、XaおよびXbは、上記と同様の意味を有する)を製造する方法に関する。前述の式(I) および(II)においては、XaおよびXbが共にフッ素原子が好ましく、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ) ニトロベンゼンが好適に得られる。本発明の別の態様では、一般式(III) で表わされる化合物(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、Rは置換又は非置換のアルキル基又はアリール基である)を、本発明で特定されたカルボニル還元酵素、あるいは該酵素の産生能を有し且つ形質転換された微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたもので処理して一般式(IV)で表わされる光学活性な化合物(式中、R、R及びRは、上記と同様の意味を有する)を製造する方法に関する。前述の式(III) および(IV)においては、ハロゲン原子としては、好適には塩素原子、臭素原子又はヨード原子であり、アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基で、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基などが挙げられ、Rが置換されたアルキル基の場合、Rは例えばベンジル基などが挙げられる。Rのアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基などで、Rが置換されたアリール基の場合、Rは、例えばフルオロフェニル基、クロロフェニル基などである。代表的な化合物(III) としては、4−クロロアセト酢酸メチル、4−クロロアセト酢酸エチル、4−ブロモアセト酢酸メチル、4−ブロモアセト酢酸エチル、4−ヨードアセト酢酸エチル、2−クロロ−3−オキソ酪酸エチル、2−メチル−3−オキソ酪酸エチルなどが挙げられる。
【0065】
本発明では、微生物の菌体又はその微生物培養物を使用する場合、エネルギー源の存在下に処理を行うことができる。菌体としては、上記微生物を培養液より収穫したものあるいは培養液より集菌洗浄したもの、乾燥又はアセトンパウダー処理したもの等を挙げることができる。酵素や菌体は、そのままか、或いは固定化した形で使用することができる。固定化は、当業者に周知の方法(例えば、架橋法、物理的吸着法、包括法等)で行い得る。固定化担体としては、一般に用いられているものであれば何れでもよく、例えば、セルロース、アガロース、デキストラン、κ−カラギナン、アルギン酸、ゼラチン、酢酸セルロース等の多糖類;例えばグルテン等の天然高分子;例えば活性炭、ガラス、白土、カオリナイト、アルミナ、シリカゲル、ベントナイト、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム等の無機物;ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール、ウレタン等の合成高分子などが挙げられる。また、菌体は、マイクロカプセルに封入した形で使用することもでき、当該分野で知られた方法から適宜選択して使用できる。
【0066】
培養物としては、上記微生物を適当な培地で培養したものを挙げることができる。前記微生物の処理物及び抽出物としては、菌体又は培養物を、必要に応じて、緩衝液に懸濁させ、得られた懸濁液を自己消化して得たもの、あるいはフレンチプレス、超音波、ホモジナイザー等の物理的方法、更にはリゾチーム等の酵素的方法を組み合わせて破砕するなどして得られた菌体破砕物を指してもよいし、そうして得られた生成物から、水もしくは適当な緩衝液で抽出したもの、該抽出液に硫安もしくはアルコールを加えることにより得られる沈殿物及び該抽出液を限外濾過、ゲル濾過、疎水クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等を用いて分画したものを挙げることができる。また、該微生物の処理物及び抽出物としては、菌体又は培養物を、必要に応じて、熱処理したものあるいは該熱処理物に上記の処理を施したものなどであってもよい。該熱処理は、当該分野で知られた方法で行うことができ、具体的な条件については目的にあわせて実験などにより適宜それを決定することができる。熱処理の温度としては、約37℃以上の温度が挙げられるが、例えば約40〜70℃、好ましくは約45〜60℃である。熱処理の時間としては、処理温度にもよるが、例えば、約5分間〜約24時間、好ましくは約30分間〜10時間、より好ましくは約1〜5 時間である、代表的な熱処理は、例えば約45℃、約50℃あるいは約55℃で約2〜4時間処理するものであるが、好ましくは約45〜55℃で約3時間程度処理するものである。熱処理されたものを使用することにより、選択性、転換率などを含めて良好な結果を得ることもできる。
【0067】
本発明に係るフェノキシプロパン誘導体(II)の製造における反応方法としては、前記一般式(I) に示されるフェノキシアセトン誘導体に前記カルボニル還元酵素、あるいは該酵素の産生能を有し且つ形質転換された微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたものが作用して、対応する一般式(II)で表される光学活性フェノキシプロパン誘導体を生成する方法であれば特に限定されず、原料化合物の水溶液に、単離された酵素、該酵素産生能を有する形質転換体の緩衝液または水などで洗浄した菌体、あるいは該形質転換体培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたものを混合することで反応を開始する。反応は、通常、水中、或いは水に実質的に不溶性ないし難溶解性の有機溶媒と水との液体二相系で行うことができるが、一般的には水性系で行うことが好ましい。また、前記一般式(I) に示されるフェノキシアセトン誘導体は、必要に応じて、適当な有機溶媒、例えばエタノール、メタノール、ジオキサン、ジメチルスルホキシド等に溶解した後に、該溶解液を水性溶液にして用いることもできる。
【0068】
また、反応条件は、一般式(II)で示される光学活性フェノキシプロパン誘導体の生成を損なわない範囲で選択できる。基質である式(I) の化合物の濃度は、好ましくは0.001 〜20% 、より好ましくは0.01〜10% である。さらに、反応液のpHは、好ましくは5〜9、より好ましくは6〜8であり、反応温度は好ましくは10〜50℃、より好ましくは20〜40℃である。pHを安定させるために緩衝液を使用することもできる。さらに、pHを調節するために、酸、塩基を使用して調節することもできる。また、反応時間は、1〜200 時間、好ましくは5〜150 時間であるが、それぞれの酵素濃度や使用形質転換体により適宜決められるべきである。化合物(III) から化合物(IV)を製造する場合も上記と同様にして行うことが可能である。
【0069】
本発明の還元反応においては、補酵素等を添加することもできる。補酵素としては、NADH、NADPH などが挙げられ、それらは各々単独で用いてもよく、それらの混合物の形態で用いてもよく、その添加量は、基質化合物に対して、好ましくは1000分の1〜3分の1倍量である。本発明の還元反応に付随して還元型補酵素から生成される酸化型補酵素を再生するのを助ける手段を講じることができる。該補酵素の再生は、微生物の持つNAD還元能といった酸化型補酵素還元能(解糖系、メチロトローフのC1化合物資化経路など)を用いて行うことができる。例えば、NAD還元能は、反応系にグルコースやエタノール、ギ酸などを添加することにより増強することが可能である。また、還元型補酵素を生成する能力を有する微生物やその処理物、補酵素再生酵素などを反応系に添加することによっても行うことができる。例えば、上記したグルコースデヒドロゲナーゼなどの補酵素再生に利用可能な酵素などを含む微生物、その処理物、ならびに部分精製もしくは精製補酵素再生酵素を用いて補酵素の再生を行うことができる。これらの補酵素再生に必要な反応を構成する成分は、本発明によるアルコール化合物の製造のための反応系に添加したり、固定化したものを添加したり、あるいはNADHなどの補酵素の交換が可能な膜を介して接触させることができる。
また、前記したように、補酵素再生に利用可能な酵素などの発現を制御された形質転換体など(補酵素再生活性の高い微生物を含む)を用いて、補酵素再生のための付加的な反応系を使用することなく、あるいは補酵素再生用の酵素を添加することなく、効率的な反応を行うことを可能にすることもできる。
【0070】
形質転換体を使用する場合、反応をより効率的に進行させるために、グルコースなどの糖類、酢酸などの有機酸、エタノール、グリセロールなどのエネルギー物質を添加することができる。これらは、各々単独で用いてもよく、それらの混合物の形態で用いてもよい。添加量は、基質に対して好ましくは100 分の1〜10倍量である。さらに、グルコースなどの糖類、酢酸などの有機酸、グリセロールなどのエネルギー物質、補酵素、補酵素再生酵素および補酵素再生酵素の基質をそれぞれ組み合わせて用いてもよい。これらは、本来、菌体中に蓄積されているが、必要に応じてこれら物質を添加することにより、反応速度、収率等を上昇させることができる場合があり、適宜選択され得る。
必要に応じて反応系内には、基質、当該酵素、微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたもの、さらにはその他のものを、逐次添加したり、連続的に添加することも可能である。生成物を連続的に取り出しながら反応を行うことにより、反応速度を高めることなどもできる。反応はバッチ式又は連続方式で行いうるし、膜リアクターなども使用できる。
反応によって生成したアルコール化合物(例えば、光学活性フェノキシプロパン誘導体(II)など)は、慣用の分離精製手段によって単離精製できる。例えば、反応液から直接または菌体を分離した後、膜分離、有機溶媒(例えば、トルエン、クロロホルムなど)による抽出、カラムクロマトグラフィー、減圧濃縮、蒸溜、晶析、再結晶などの通常の精製方法に供することができる。例えば、反応終了後、酢酸ブチル、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム等の有機溶媒で反応液から生成物を抽出し、溶媒を留去することにより粗生成物を得ることができる。該粗生成物は、それをそのまま次の工程に使用してもよいが、必要によりシリカゲルカラムクロマトグラフィー等の手段により精製した後、さらにセルロース誘導体等の光学活性担体を使用した高速液体クロマトグラフィー等の手段により精製してもよい。
【0071】
本発明で使用される前記一般式(I) のフェノキシアセトン誘導体は、公知の方法で得ることができ、例えば、2−アセトニルオキシ−3,4− ジフルオロニトロベンゼンは、Chem. Pharm. Bull., 32(12): 4907−4913, 1984 などに記載があり、2,3−ジフルオロ−6− ニトロフェノールを、強塩基存在下、クロロアセトンと反応させることにより、容易に合成できることも知られている(特開昭61−246151 号など)。
本発明で得られる光学活性フェノキシプロパン誘導体(II)は、当業者に自明の反応工程により、例えば、特許第2612327号明細書、特開平1−250369号公報、特開平1−287096号公報、特開平2−218648号公報などに開示の方法により、レボフロキサシンに変換することができる。
本発明で得られる光学活性フェノキシプロパン誘導体(II)は、当業者に自明の反応工程により、例えば、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ) ニトロベンゼンの場合、(S)−(−)−7,8−ジフルオロ−3− メチル− 3,4−ジヒドロ−2H−[1,4] ベンゾオキサジン誘導体に変換することができる。
【0072】
例えば、光学活性フェノキシプロパン誘導体から製造中間体2,3−ジフルオロ−(2,2−ジエトキシカルボニルエテニル)アミノ−((R)−2−(メタンスルホニルオキシ)プロピルオキシ)ベンゼン誘導体への製法としては、特開平1−250369号公報、特開平2−218648号公報などに記載の方法により、例えば、ジエチルエトキシメチレンマロネート(EMME)などのジアルキルアルコキシエチレンマロネートによるアミノ窒素をメチレンマロネート化し得ることができる。メチレンマロネート化体は炭酸カリウムによりオキサジン閉環させ、(S)−(−)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン誘導体に変換することができる。また、光学活性フェノキシプロパン誘導体から製造中間体(S)−(−)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン誘導体への製法としては、特開平2−732号公報(実施例22、23、24、33、39、40、41および42など)、特開平1−250369号公報(実施例17、18、19、22、23、24、25、26、27および29など)に記載の方法が挙げられ、スルホニル化反応、ニトロ基の還元、および閉環反応を組み合わせて製造され、具体的には、例えば、特開平1−250369号公報の実施例22、23、26、27、29に記載の通りの方法で得られ、光学活性フェノキシプロパン誘導体をピリジン中トシルクロライドを用いてトシル化し、トシル体をエタノール中、パラジウム−炭素を加えて常温常圧で接触還元しニトロ基を還元し、次に生成物を閉環反応に付すが、該閉環反応は、例えば、無水DMF に溶解し、炭酸カリウムおよび触媒量の18−クラウン−6−エーテルを加え加熱攪拌し行われる。場合により、所定の化合物に、ジエチルエトキシメチレンマロネート(EMME)などのジアルキルアルコキシメチレンマロネートを加え、加熱しながら攪拌し、アミノ窒素をメチレンマロネート化し、次の工程で閉環反応に付してピリドンカルボン酸エステル構造を形成できるようにしておくこともできる。
【0073】
代表的な態様では、上記の様にして得られた3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロポキシ) ニトロベンゼンは、特開平2−732号公報に記載された方法、例えば、水酸基をパラトルエンスルホン酸クロリドをはじめとする置換スルホニルクロリド等を用いてスルホニル化した後、ニトロ基を還元することにより、(S)−(−)−7,8−ジフルオロ−3− メチル−3,4− ジヒドロ−2H−[1,4] ベンゾオキサジン誘導体に変換することができる。得られた(S)−(−)−7,8−ジフルオロ−3− メチル−3,4− ジヒドロ−2H−[1,4] ベンゾオキサジン誘導体を合成抗菌剤レボフロキサシンに変換するには、特開昭62−252790号公報に記載された方法によればよい。
例えば、(S)−(−)−7,8−ジフルオロ−3− メチル−3,4− ジヒドロ−2H−[1,4] ベンゾオキサジン誘導体から、レボフロキサシンへの製法としては、特開昭62−252790号公報及び特開平1−287086号公報(実施例4、5、6)に記載の方法が挙げられ、具体的には、例えば、特開平1−287086号公報の実施例4、5、6に記載の通り、標記のベンゾオキサジン誘導体を、必要に応じて、EMMEと加熱還流して、メチレンマロネート化し、当該メチレンマロネート化体を酢酸に溶解し、濃塩酸を加えて対応するカルボン酸とし、それをジエチルエーテル中、三フッ化ホウ素ジエテルエーテルコンプレックスを加え攪拌する。さらにジメチルスルホキシド中、トリエチルアミンおよびN−メチルピペラジンを加え攪拌し製することができる。
【0074】
かくして、本発明は、ここで特定した酵素、該酵素遺伝子で形質転換した微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたものの存在下に処理して、一般式(I) のフェノキシアセトン誘導体を光学活性な一般式(II)のフェノキシプロパン誘導体とし、次に得られたフェノキシプロパン誘導体(II)を、公知の方法に従って処理し、レボフロキサシンを得ることを特徴とするレボフロキサシンの製造法にも関する。該フェノキシプロパン誘導体(II)からレボフロキサシンを製造するには、例えば、以下(a) 〜(g) の処理を組み合わせて行うことでよい:(a) ニトロ基のアミノ基への還元、(b) アミノ基のメチレンマロネート化反応、(c) 2−ヒドロキシプロピルオキシ基上のヒドロキシ基のスルホニル化反応、(d) ベンゼン核上の2−スルホニロキシプロピルオキシ基とアミノ窒素原子間の閉環反応によるオキサジン環形成反応、(e) メチレンマロネート化アミノ基とベンゼン核上の炭素原子間の閉環反応によるピリジン環形成反応、(f) N−メチルピペリジン導入反応、及び(g) 保護基の除去及び/又はエステルの加水分解による遊離カルボキシル基形成反応。
上記(a) 〜(g) の処理に使用する試薬並びに反応条件、具体的な処理操作は、特許第2612327号明細書、特開平1−250369号公報、特開平1−287096号公報、特開平2−218648号公報などに開示されており、該文献を参照することによりそれらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
【0075】
明細書及び図面において、用語は、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによるか、あるいは当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものである。代表的な用語の意味を以下に示す。
アミノ酸配列に関しては:
A:アラニン (Ala) M:メチオニン (Met)
C:システイン (Cys) N:アスパラギン (Asn)
D:アスパラギン酸 (Asp) P:プロリン (Pro)
E:グルタミン酸(Glu) Q:グルタミン (Gln)
F:フェニルアラニン(Phe) R:アルギニン (Arg)
G:グリシン(Gly) S:セリン (Ser)
H:ヒスチジン(His) T:スレオニン (Thr)
I:イソロイシン(Ile) V:バリン (Val)
K:リジン(Lys) W:トリプトファン (Trp)
L:ロイシン(Leu) Y:チロシン (Tyr)
X:上記のいずれかのアミノ酸あるいは特定の任意のアミノ酸(特別に指定した場合はその指定したアミノ酸である)(Xaa)
ヌクレオチド配列に関しては:
A,a:アデニン G,g: グアニン
C,c:シトシン T,t: チミン
R,r:アデニン又はグアニン Y,y: シトシン又はチミン/ウラシル
M,m:アデニン又はシトシン K,k: グアニン又はチミン/ウラシル
S,s:シトシン又はグアニン W,w: アデニン又はチミン/ウラシル
B,b:シトシン又はグアニン又はチミン/ウラシル
D,d:アデニン又はグアニン又はチミン/ウラシル
H,h:アデニン又はシトシン又はチミン/ウラシル
V,v:アデニン又はシトシン又はグアニン
N,n:アデニン又はグアニン又はシトシン又はチミン/ウラシル,不明,
又は他の如何なる塩基でもよい(特別に指定した場合はその指定した塩基である)
また、配列表の配列番号:12 には Bacillus subtilis由来GDH のアミノ酸配列が示され、配列番号:13 には Leifsonia naganoensis JCM10592 由来カルボニル還元酵素のアミノ酸配列が示されている。
後述の実施例5に記載の形質転換された組換え大腸菌 M15 (pREP4, pAFN11)は、平成15年3月28日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6 (郵便番号 305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, International Patent Organism Depositary: IPOD)に寄託されて保管されている(受託番号 FERM P−19276)。また、後述の実施例8に記載の形質転換された組換え大腸菌 M15 (pREP4, pAFN−GDH)は、平成15年3月28日からIPODに寄託されて保管されている(受託番号 FERM P−19277)。
【0076】
【実施例】
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。以下の実施例における通常慣用されるDNAクローニングを含めた技術としては、標準的な実験マニュアル、例えば J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989) & J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd Edition), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (2001)に記載されるように実施できる。また特にPCR 法では、R. Saiki et al., Science, 230: 1350, 1985; R. Saiki et al., Science, 239: 487, 1988; H. A. Erlich (ed.), PCR Technology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover et al. (ed.), ”DNA Cloning”, 2nd ed., Vol. 1, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995); M. A. Innis et al. (ed.), ”PCR Protocols: a guide to methods and applications”, Academic Press, New York (1990)); M. J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor (ed.), PCR: a practical approach, IRL Press, Oxford (1991) などに記載の方法に準じて行っているし、また市販の試薬あるいはキットを用いている場合はそれらに添付の指示書(protocols) や添付の薬品等を使用している。
【0077】
〔実施例1:カルボニル還元酵素の精製〕
GPY 液体培地(1%グルコース、0.5%ポリペプトン、0.3%酵母抽出物、水道水 (pH 7)) 3000 mLを調製し、2000 mL 三角フラスコに500 mLずつ分注して 120℃、20分の蒸気滅菌を行った。同じGPY 培地で少量培養しておいたレイフソニア・ナガノエンシス菌株 (Leifsonia naganoensis JCM 10592)を1/100 量入れ、30℃で1〜2日間培養した(OD610 >3まで)。この培養液から遠心分離により菌体を集め、80g の湿菌体を得た。この菌体を菌体1g当たり1 mLの10 mM リン酸緩衝液 (pH 6) に懸濁し、超音波破砕機(日本精機製作所社製、US−300)によって破砕した。この菌体破砕液から遠心分離によって菌体残渣を取り除き、無細胞抽出液70 mL を得た。
この無細胞抽出液に30% 飽和となるように硫酸アンモニウムを添加して硫酸アンモニウムを溶解させ、次に遠心分離によって沈殿を分離し、この上清にさらに50% 飽和となるように硫酸アンモニウムを添加し溶解させ、遠心分離によって沈殿を分離した。この沈殿部分を10 mM リン酸緩衝液 (pH 6) で1g/10mL になるように溶解し、分画分子量12,000の透析膜を用いて、1 L の10 mM リン酸緩衝液 (pH 6) の透析液で16時間、4℃で透析した。上記透析終了液を10 mM リン酸緩衝液 (pH 6) で平衡化してあるDEAE Sepharose担体(ファルマシア・バイオテク社製、容量 10 mL)に供し 0〜1 M NaClのグラジエントでタンパク質を溶出、活性画分を分画分子量12,000の透析膜を用いて、1Lの10 mM リン酸緩衝液 (pH 6) の透析液で16時間、4℃で透析した。
活性測定方法には下記のような測定方法を使用した。100 mMリン酸緩衝液 (pH 6.0) に、基質として 0.02%(重量%)2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼン、補酵素として0.2 mM NADPHおよび酵素溶液(20〜200 μL/mL反応溶液)を添加し25℃で波長340nm の吸光度の増減を測定することにより行った。この反応条件において、1分間に 1μmol のNADPH をNADPに酸化する酵素活性を1 unitと定義した。
上記DEAE Sepharose処理−透析終了液を10 mM リン酸緩衝液 (pH 6) で平衡化してあるBlue Sepharose(ファルマシア・バイオテク社製、容量 5mL)に供し、3倍容量の10 mM リン酸緩衝液 (pH 6) で洗浄、1M のNaClで活性画分を溶出。溶出液を分画分子量12,000の透析膜を用いて、1L の10 mM リン酸緩衝液 (pH 6) の透析液で16時間、4℃で透析した。
上記Blue Sepharose−透析終了溶液をMono Q HR 5/5 (アマシャム・ファルマシアバイオテク製FPLCシステム)カラムに供し、10 mM リン酸緩衝液 (pH 7) 、 0〜1 M NaClのグラジエントで活性画分を溶出し精製酵素標品を得た。
【0078】
〔実施例2:酵素の性質〕
実施例1において得られた酵素の性質について検討した。酵素活性の測定方法は実施例1に記した測定方法と同様である。
(1)作用:2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し、光学純度99% e.e.以上の3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成した。
(2)基質特異性:2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンおよび4−クロロアセト酢酸エチルを基質として、実施例1と同様の方法で酵素活性を測定したところ、共に高い活性を示した。なお、2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンを基質としたときの活性:0.0543 Uを100%としたときの4−クロロアセト酢酸エチルを基質としたときの活性は0.0999 U、184%であった。
(3)補酵素:NADPH およびNADHの両方を補酵素として利用できる。
上記活性測定方法でそれぞれの補酵素を用いて測定したとき、NADPH を補酵素として測定したときの活性を100%とするとNADHを補酵素として測定したときの活性は216%であった。
(4)至適pH:本酵素を実施例1に記載の活性測定法において緩衝液のpHを 5〜7 の範囲で測定したとき、pH 6での活性を100%とした場合の各pHでの活性は下記の通りであった。pH 5 : 27.6%、 pH 5.5 : 87.0%、pH 6 : 100% 、pH 6.5 : 52.2%、pH 7 : 24.9%。その結果、至適pHは 5.5〜6.0 であった。
(5)pH安定性:本酵素溶液のpHを 3〜9 まで変化させ、25℃で2時間経過したときの残存活性を検討したところ、表1のようにpH 5.5〜9 の間で酵素活性が安定であった。
【0079】
【表1】
Figure 2004313033
【0080】
(6)至適反応温度:本酵素を実施例1に記載の活性測定法において反応液の温度を20〜60℃の範囲で測定したとき、20℃での活性を100% (0.0687 U) とした場合の各温度での活性は下記の通りであった。20℃:100%、30℃:116.6%、40℃:109.3%、50℃:150.8%、60℃:126.9%。その結果、至適反応温度は約50℃であった。
(7)阻害剤:本酵素の活性測定法において阻害剤を以下の表の濃度で添加したときの残存活性は以下の表2の通りであった。硫酸銅、クエルセチンでは阻害されなかった。
【0081】
【表2】
Figure 2004313033
【0082】
(8)分子量:本酵素の分子量測定はHi Load 16/60 Superdex 200 PG (アマシャム・ファルマシアバイオテク製FPLCシステム)を使用して0.1 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝液 (pH 7) を用いて測定した場合、分子量約70,000であった。酵素のサブユニットの分子量は2% (V/V) 2−メルカプトエタノール存在下の10%−SDS ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、標準タンパク質の移動度から算出した結果、約29,000であった。
【0083】
〔実施例3:カルボニル還元酵素遺伝子のクローニング〕
(DNAライブラリーの作製)
レイフソニア・ナガノエンシス (Leifsonia naganoensis) JCM 10592の培養菌体(培養方法は実施例1と同様)からキアゲン・ゲノミックチップ(キアゲン社製)を利用してゲノムDNAを抽出した。抽出したゲノムDNAを制限酵素Sau3A1で限定分解し15〜23 kb のDNA断片をλFIXTMIIファージベクタ−(Stratagene 社製)のBamHI 部位に挿入した。得られた組換えファージベクターをGigapack III Gold (Stratagene社製)を用いてインビトロパッケージングした後、これを大腸菌XL1−Blue MRAに感染させ約5千個からなるゲノミックDNAライブラリーを作製した。
【0084】
(合成オリゴヌクレオチドプローブの作製)
実施例1のようにして得られたカルボニル還元酵素を Native−PAGE(10% アクリルアミド、375mM トリス−塩酸(pH 8.9)) 10〜20 mA で電気泳動し、そのゲルを以下の組成の発色液でザイモグラフィーアッセイを行った(室温、30分)。
発色液:
40mMトリス−塩酸 (pH 6.8) 、0.1 mM NAD、5 mM R−HPNB 、0.2 mg/mL フェナジン・メトサルファート、0.3 mg/mL ヨードニトロ・テトラゴリウム・バイオレット
この発色反応で赤くなったバンドと同じ位置のゲルを切り出し、モデル422 電気溶出装置(バイオラッド社)を用いて溶出溶液(0.3%トリス、1.44% グリシン)中で目的活性バンドを電気溶出した。上記抽出液を 2% (V/V) 2−メルカプトエタノール存在下の 10%−SDSポリアクリルアミドゲルで電気泳動しニトロセルロースメンブレンに転写した。上記ニトロセルロースメンブレンより目的酵素のバンドを切り出し、タンパク質一次配列解析装置(PPSQ−21) (島津製作所社)を用いて目的酵素のN末端アミノ酸配列を解析し、配列番号:1 (SEQ ID NO: 1) のハイブリダイゼーション用DNAプローブを設計した。なお、解析の結果、実施例1で得られた精製カルボニル還元酵素のN末端アミノ酸配列は、Met−Gly−Glu−His−Gln−Gly−Asp−Gly−Leu−Arg−Lys−Phe−Ala−Val−Glu−Gln−Arg 〔配列番号:11〕であった。
【0085】
ハイブリダイゼーション用DNAプローブ配列〔配列番号:1〕
GCN CAR TAY GAY GTN WSN AAY MGN WSN GCN ATH GTN ACN GGN GCN CAY WSN GGN ATH GGN GCN CAY GAR GAR GCN GAY GAY GAR GCN
(ただし、R=A/G, Y=C/T, M=A/C, K=G/T, S=C/G, W=A/T, B=C/G/T, D=A/G/T, H=A/C/T, V=A/C/G 及び N=A/G/C/T)
【0086】
(ゲノムDNAライブラリーからのカルボニル還元酵素遺伝子のクローニング)
作製したゲノミックDNAライブラリーと、ジゴキシゲニン標識・検出キット(ロッシュダイアグノシティック社製)を用いて標識したハイブリダイゼーション用DNAプローブで、プラークハイブリダイゼーションを行った (Cell. Mol. Biol. 41, 883 (1995))。その結果得られたポジティブプラークから、ファージDNAをキアゲンラムダキット(キアゲン社製)を用いて精製した。
上記方法で精製したファージDNAを制限酵素Sal I で切断し、ジゴキシゲニン標識・検出キット(ロッシュダイアグノシティック社製)を用いて標識したハイブリダイゼーション用DNAプローブとのサザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、約2.5 kbのDNA 断片がハイブリダイゼーション用DNA プローブで検出できた。この2.5 kbのDNA 断片をプラスミドpUC18 (TOYOBO 社製) のSal I 切断部位にLigation High (TOYOBO 社製) を使用してライゲーションし、形質転換用大腸菌JM109 (TAKARA 社製) に42℃、90秒の温度刺激を加えて形質転換した。この大腸菌をLBプレート培地 (1%トリプシン、0.5%酵母抽出物、1% NaCl 、水道水(pH 7)、 1% 寒天パウダー、オートクレープ 121℃、20分、選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL) において37℃で培養し、出現したコロニーをLB培地(1% トリプシン、0.5%酵母抽出物、1% NaCl 、水道水(pH 7)、オートクレープ 121℃、20分、選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL) を用いて37℃で培養し、GFX マイクロ・プラスミドプレップキット(アマシャム・ファルマシア社製)を用いて大腸菌からプラスミドを精製した。このプラスミドを ”pAFN3”と命名した。
【0087】
(塩基配列の決定)
上記、プラスミドpAFN3 の挿入遺伝子部分(2.5 kb)をBigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit Ver. 3(アプライドバイオシステムズ社製)とABI プリズム310 ジェネティックアナライザー(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて解析した。その結果、配列番号:2 (SEQ ID NO: 2) に示した目的酵素の遺伝子配列を確認した。配列番号:2の遺伝子配列から推定されるアミノ酸配列を配列番号:3 (SEQ ID NO: 3) に示す。
【0088】
〔実施例4:カルボニル還元酵素遺伝子を導入した組換えプラスミドの作製〕
大腸菌において上記カルボニル還元酵素遺伝子を発現させるための組換えプラスミドの作製を行った。配列番号: 4 及び 5 (SEQ ID NOs: 4 & 5)に示すプライマーを使用してプラスミドpAFN3 を鋳型にPCR によってAFN 遺伝子を増幅し、その開始コドンにSph I 終始コドンにHind III制限酵素配列を付加した。PCR 条件は以下の通りである。PCR 反応液(0.2 mM dNTPs、1 mM MgSO0.3 μM プライマー、10〜200ng 鋳型DNA 、KOD−Plus−DNA Polymerase (TOYOBO 社製) 1 unit/50μL−反応溶液、10×PCR buffer for KOD−Plus 1/10− 反応溶液、滅菌水)をPCR 装置:マスターサイクラーグラディエント(エッペンドルフ社製)を使用して94℃・15秒→[ 55℃・30秒→68℃・1分] ×30サイクルでPCR 反応を行った。
【0089】
5’−GTCCGTGGGCGCATGCGCGAGCACCAGGGCG−3’ 〔配列番号:4〕
5’−GACCGCAAGCTTCGATCAGGCGCCGACCACG−3’ 〔配列番号:5〕
【0090】
上記方法で増幅したカルボニル還元酵素遺伝子を制限酵素Sp hI 、HindIII で切断し、プラスミドpQE70 (キアゲン社製)のSph I−Hind III部位(T5プロモータ下流)にLigation High (TOYOBO 社製) を使用してライゲーションし、形質転換用大腸菌JM109 (TAKARA 社製) に42℃、90秒の温度刺激を加えて形質転換した。この大腸菌をLBプレート培地(選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL)を使用して37℃で培養し、出現したコロニーをLB培地(選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL)を用いて37℃で培養し、GFX マイクロ・プラスミドプレップキット(アマシャム・ファルマシア社製)を用いて大腸菌からプラスミドを精製した。このプラスミドを ”pAFN11” と命名した。
【0091】
実施例5:カルボニル還元酵素遺伝子を形質転換した組換え大腸菌の作製
実施例4で作製した組換えプラスミドを大腸菌M15(pREP4)(キアゲン社製)に形質転換し大腸菌M15(pREP4, pAFN11)を作製した。この形質転換体M15(pREP4, pAFN11)は受託番号 FERM P−19276 として平成15年3月28日付けで独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(IPOD)に寄託されている。
【0092】
〔実施例6:カルボニル還元酵素遺伝子を形質転換した組換え大腸菌によるカルボニル還元酵素活性の測定〕
実施例5で作製した組換え大腸菌をLB培地(1%トリプトン、 0.5% 酵母抽出物、1% NaCl 、水道水(pH 7)、オートクレーブ 121℃、20分、選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL、カナマイシン25μg/mL)で培養し、OD610 が 0.4〜0.6 の間で 1 mM IPTGを添加し、OD610>1 に達したら遠心分離で菌体を沈殿させた。さらに、10 mM リン酸緩衝液(pH 6)で菌体を懸濁し超音波破砕機(日本精機製作所社製、US−300)で破砕し、遠心分離で細胞残渣を取り除いた無細胞抽出液を得た。この抽出液の活性を実施例1に記した活性測定方法を使用して測定した。この方法で測定したときの値は、カルボニル還元酵素遺伝子を形質転換していない大腸菌M15(pREP4)の活性を100%とすると、大腸菌M15(pREP4, pAFN11)の活性は 240〜490%であった。
【0093】
〔実施例7:カルボニル還元酵素遺伝子および補酵素再生系酵素(グルコースデヒドロゲナーゼ、GDH)遺伝子を挿入したプラスミドの作製〕
(補酵素再生遺伝子(グルコースデヒドロゲナーゼ、GDH)のクローニング)
すでに発表されているGDH 遺伝子 (DDBJ accession No. M12276)の遺伝子配列をもとに配列番号: 6 及び 7 (SEQ ID NOs: 6 & 7)に示したプライマーを用いて、Bacillus subtilis IFO 3026株からキアゲン・ゲノミックチップ(キアゲン社製)を使用して抽出したゲノムDNA を鋳型としてGDH 遺伝子をPCR で増幅した。PCR 条件は以下の通りである。PCR 反応液(0.2 mM dNTPs、1 mM MgSO、0.3 μM プライマー、10〜200ng 鋳型DNA 、KOD−Plus−DNA Polymerase (TOYOBO 社製) 1unit/50μL−反応溶液、10×PCR buffer for KOD−Plus 1/10− 反応溶液、滅菌水)をPCR 装置:マスターサイクラーグラディエント(エッペンドルフ社製)を使用して94℃・15秒→[ 55℃・30秒→68℃・1分] ×30サイクルでPCR 反応を行った。
【0094】
5’−GAGGGAATTCATACATGTATCCAGATTTA−3’〔配列番号:6〕
5’−GGTAAGCTTTCATTAACCGCGGCCTGCC−3’ 〔配列番号:7〕
【0095】
増幅したGDH 遺伝子には、開始コドンにEcoRI、終始コドンにHindIIIの制限酵素切断配列が付加されている。増幅したGDH 遺伝子をEcoRI、HindIIIで切断し、プラスミドpUC18 のEcoR I−Hind III 部位にLigation High (TOYOBO 社製) を使用してライゲーションし、形質転換用大腸菌JM109 (TAKARA 社製) に42℃、90秒の温度刺激を加えて形質転換した。この大腸菌をLBプレート培地(選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL)を使用して37℃で培養し、出現したコロニーをLB培地(選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL)を用いて37℃で培養し、GFX マイクロ・プラスミドプレップキット(アマシャム・ファルマシア社製)を用いて大腸菌からプラスミドを精製した。このプラスミドを ”pUC−GDH1” と命名した。上記方法でクローニングしたGDH 遺伝子の遺伝子配列をABI PRISM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit Ver. 3 (アプライドバイオシステムズ社製)と ABIプリズム310 ジェネティックアナライザー(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて解析した。その結果、図1及び配列番号: 8 (SEQ ID NO: 8)に示したGDH 酵素の遺伝子配列を確認した。
【0096】
(GDH 遺伝子組換え大腸菌の作製)
上記GDH 遺伝子を導入したプラスミドpUC−GDH1を形質転換用大腸菌M15 (pREP4) (キアゲン社製)に42℃、90秒の温度刺激を加えて形質転換しLBプレート培地(選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL、カナマイシン 25 μg/mL)を使用して37℃で培養し、出現したコロニーをLB培地(選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL、カナマイシン 25 μg/mL)を用いて37℃で培養し大腸菌M15 (pREP4、pUC−GDH1) を作製した。この大腸菌をLB培地(選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL、カナマイシン 25 μg/mL)で培養し(37℃)、OD610 が 0.4〜0.6 の間に 1 mM IPTG(イソプロピル−β−D(−)−チオガラクトピラノシド)を添加しOD610>1になるまで培養した。
この大腸菌を超音波破砕機(日本精機製作所社製、US−300)を使用して破砕し遠心分離で細胞残渣を取り除いた無細胞抽出液を用いて活性を測定した。
【0097】
(GDH 活性測定方法)
GDH 活性の測定は100 mMリン酸緩衝液(pH 6.0)に、基質としてグルコース 0.1 M, 補酵素として2.5 mM NADおよび無細胞抽出液(20μL/mL反応溶液)を添加し25℃で波長340nm の吸光度の増加を測定することにより行った。この反応条件において、1分間に 1μmol の NADをNADHに還元する酵素活性を1 unitと定義した。測定の結果、大腸菌M15(pREP4, pUC−GDH1)のGDH 活性はコントロールとなるGDH 遺伝子導入プラスミドが形質転換されていないM15(pREP4)に比べて5倍以上になった。
【0098】
(カルボニル還元酵素遺伝子、GDH 遺伝子共発現組換えプラスミドの作製)
上記方法でクローニングしたGDH 遺伝子をカルボニル還元酵素遺伝子と共発現させるためのプラスミドを作製した。GDH 遺伝子をクローニングしたプラスミドpUC−GDH1を鋳型にして配列番号: 9 及び 10 (SEQ ID NOs: 9 & 10)で示したプライマーを作製しPCR によって、GDH の開始コドンと終始コドンにそれぞれHind III制限酵素切断配列を付加した。PCR の条件は以下の通りである。PCR 反応液(0.2 mM dNTPs、1 mM MgSO、 0.3μM プライマー、10〜200ng 鋳型DNA 、KOD−Plus−DNA Polymerase (TOYOBO 社製) 1unit/50μL−反応溶液、10×PCR buffer for KOD−Plus 1/10− 反応溶液、滅菌水)をPCR 装置:マスターサイクラーグラディエント(エッペンドルフ社製)を使用して94℃・15秒→[ 62℃・30秒→68℃・1分] ×30サイクルでPCR 反応を行った。
【0099】
5’−AAAAAGCTTATGTATCCGGATTTA−3’ 〔配列番号:9〕
5’−GCCCAAGCTTTTAACCGCGGCCTGCCTG−3’〔配列番号:10〕
【0100】
増幅したGDH 遺伝子をHindIII で切断したDNA断片を、カルボニル還元酵素遺伝子を導入した組換えプラスミドpAFN11のHind III部位にLigation High (TOYOBO 社製) を使用してライゲーションし、形質転換用大腸菌JM109 (TAKARA 社製) に42℃、90秒の温度刺激を加えて形質転換した。この大腸菌をLBプレート培地(選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL)を使用して37℃で培養し、出現したコロニーをLB培地(選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL)を用いて37℃で培養し、GFX マイクロ・プラスミドプレップキット(アマシャム・ファルマシア社製)を用いて大腸菌からプラスミドを精製した。このプラスミドのGDH 遺伝子の挿入向きを配列番号:9及び14で示したプライマーを用いてPCR によって確認した。PCR の条件は以下の通り。PCR 反応液(0.2 mM dNTPs、1 mM MgSO、0.3 μMプライマー、10〜200ng 鋳型DNA 、KOD−Plus−DNA Polymerase (TOYOBO 社製) 1unit/50μL−反応溶液、10×PCR buffer for KOD−Plus 1/10− 反応溶液、滅菌水)をPCR 装置:マスターサイクラーグラディエント(エッペンドルフ社製)を使用して94℃・15秒→[ 62℃・30秒→68℃・1分] ×30サイクルでPCR 反応を行った。このPCR によって約0.8 kbのDNA 断片が増幅されるプラスミドを、カルボニル還元酵素遺伝子、補酵素再生遺伝子(GDH 遺伝子)共発現組換えプラスミド ”pAFN−GDH” と命名した。
5’−GTTCTGAGGTCATTACTGG−3’ 〔配列番号:14〕
【0101】
〔実施例8:カルボニル還元酵素およびGDH 酵素遺伝子を有する形質転換体の作製〕
上記方法で作製した組換えプラスミドpAFN−GDHを形質転換用大腸菌M15 (pREP4) (キアゲン社製)に42℃、90秒の温度刺激を加えて形質転換しLBプレート培地(選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL、カナマイシン 25 μg/mL)を使用して37℃で培養し、出現したコロニーをLB培地(選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL)を用いて37℃で培養し大腸菌M15 (pREP4、pAFN−DH)を作製した。この形質転換体M15(pREP4、pAFN−GDH) は受託番号 FERM P−19277 として平成15年3月28日付けで独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(IPOD)に寄託されている。
【0102】
〔実施例9:本酵素遺伝子を挿入したプラスミドを導入した形質転換体による不斉還元反応〕
実施例5および8で作製した組換え大腸菌M15(pREP4, pAFN11)およびM15(pREP4 、pAFN−GDH) をLB培地(選択マーカー:アンピシリン 100μg/mL、カナマイシン 25 μg/mL)で培養、OD610 が 0.4〜0.6 の間で 1 mM IPTGを添加し、OD610 >1に達した後、遠心分離で菌体を沈殿させ、10 mM リン酸緩衝液(pH 6)で菌体を懸濁し超音波破砕機(日本精機製作所社製、US−300) で破砕した。遠心分離で細胞残渣を取り除いた無細胞抽出液、または細胞を破砕する前の菌体懸濁液を用いて以下の組成で反応を実施させた。
組成;0.1% 2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼン、2 mM NADPH、100 mMリン酸緩衝液(pH 6)、無細胞抽出液、または菌体懸濁液酵素溶液(30℃、3時間〜一晩)
生成物を酢酸ブチルで抽出しヘキサン/IPA/TFA=100/2/0.1 の移動相を用いてダイセル:キラルセルOJカラム、0.8 mL/minの流速でHPLCによる反応生成物の評価を行った。上記方法で2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンを基質としたときの3,4−ジフルオロ−2−(R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンの生成をHPLCで確かめたところ、標準品の3,4−ジフルオロ−2−(R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンとほぼ同じ溶出時間に生成産物のピークが認められた。
【0103】
【発明の効果】
本発明は、特徴的な性状を示すカルボニル還元酵素を同定し、さらに該酵素をコードする遺伝子をクローニングし、工業的に該酵素を利用するための技術を提供している。本発明で、組換え酵素あるいは該酵素遺伝子で形質転換された宿主細胞を利用することで、カルボニル基含有化合物を還元してアルコール化合物を製造するための工業的に有利な方法が提供される。本発明の酵素を利用して、光学純度の高い光学活性アルコール化合物を効率的に生産できる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
<配列表フリーテキスト>
SEQ ID NO: 1, Oligonucleotide to act as a DNA probe, wherein n stands for A or G or C or T
SEQ ID NO: 4, Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO: 5, Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO: 6, Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO: 7, Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO: 9, Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO: 10, Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO: 14, Oligonucleotide to act as a primer for PCR
【配列表】
Figure 2004313033
Figure 2004313033
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【図面の簡単な説明】
【図1】クローニングしたグルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子並びにそれによりコードされるアミノ酸配列を示す。

Claims (10)

  1. レイフソニア属微生物由来で、不斉還元活性を示し、且つ少なくとも2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用して3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを特異的に生成する活性を示すことを特徴とするカルボニル還元酵素。
  2. 次に示す理化学的性質:
    (1)作用:
    2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し、3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成し、且つ、不斉還元の高い選択性を示す
    (2)基質特異性:
    2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンおよび4−クロロアセト酢酸エチルに対して高い還元活性を有する
    (3)分子量:
    ゲルろ過分析において約70,000、SDS ポリアクリルアミド電気泳動分析において約29,000
    を有することを特徴とするカルボニル還元酵素。
  3. (A) 配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有し、且つ2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する酵素活性を有するタンパク質、及び
    (B) 配列番号:3に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は、付加されたアミノ酸配列を有し、且つ2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する活性と同等の不斉還元選択性を示す酵素活性を有するタンパク質
    から成る群から選ばれたものであることを特徴とするカルボニル還元酵素活性を有するタンパク質。
  4. (A) 配列番号:2に記載の塩基配列によってコードされるタンパク質、
    (B) 配列番号:2に記載の塩基配列中の任意の少なくとも20個の連続した配列からなるDNAとストリンジェントな条件下にハイブリダイズすることができるDNAによってコードされ、且つ2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する酵素活性を有するタンパク質、
    (C) 配列番号:3に記載のアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、且つ2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する酵素活性を有するタンパク質、及び
    (D) 配列番号:2に記載の塩基配列と70%以上の相同性を有する塩基配列からなるDNAによってコードされ、且つ2−アセトニルオキシ−3,4−ジフルオロニトロベンゼンに作用し3,4−ジフルオロ−2−((R)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ニトロベンゼンを生成する酵素活性を有するタンパク質
    から成る群から選ばれたものであることを特徴とするカルボニル還元酵素活性を有するタンパク質。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の酵素又はタンパク質をコードすることを特徴とするDNAなどの核酸。
  6. 請求項5記載のDNAなどの核酸を組み込んだことを特徴とする組換えプラスミド又はベクター。
  7. さらに、補酵素再生系酵素遺伝子が挿入してあることを特徴とする請求項6記載の組換えプラスミド又はベクター。
  8. 請求項5記載のDNAなどの核酸又は請求項6又は7記載の組換えプラスミド又はベクターで形質転換されたことを特徴とする形質転換体。
  9. 請求項8記載の形質転換体を培養する工程を含む請求項1又は2記載のカルボニル還元酵素または請求項3又は4記載のタンパク質の製造方法。
  10. 一般式(I):
    Figure 2004313033
    (式中、Xa 及びXb は、同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子である)で表されるフェノキシアセトン誘導体を、請求項1〜4のいずれかに記載の酵素、あるいは該酵素の産生能を有し且つ形質転換された微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたものの存在下に処理することを特徴とする光学活性な一般式(II):
    Figure 2004313033
    (式中、Xa 及びXb は、上記と同様の意味を有する)で表されるフェノキシプロパン誘導体の製法、または、一般式(III):
    Figure 2004313033
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、Rは置換又は非置換のアルキル基又はアリール基である)で表されるアセト酢酸エステル誘導体を、請求項1〜4のいずれかに記載の酵素、あるいは該酵素の産生能を有し且つ形質転換された微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたものの存在下に処理することを特徴とする光学活性な一般式(IV):
    Figure 2004313033
    (式中、R、R及びRは、上記と同様の意味を有する)で表される3−ヒドロキシ酪酸エステル誘導体の製法。
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