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JP2004352923A - ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 Download PDF

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JP2004352923A
JP2004352923A JP2003154464A JP2003154464A JP2004352923A JP 2004352923 A JP2004352923 A JP 2004352923A JP 2003154464 A JP2003154464 A JP 2003154464A JP 2003154464 A JP2003154464 A JP 2003154464A JP 2004352923 A JP2004352923 A JP 2004352923A
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mol
polyarylene sulfide
sulfide resin
sulfidizing agent
crystallization
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Toshio Himori
俊男 檜森
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

【課題】ポリアリーレンスルフィド樹脂の結晶化遅延性を飛躍的に高めた新規なポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】スルフィド化剤とジハロ芳香族化合物(A)とを有機極性溶媒中でスルフィド化剤の消費率が90モル%以上に到達するまで反応させる工程Iと、次いで、電子求引性の共鳴効果を持つ置換基を芳香環上に有するポリハロ芳香族化合物(B)を添加し反応させて重合反応を終結する工程IIからなるポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、耐薬品性に優れ、遅延された結晶化時間を持ち、繊維やフィルム用途等にも幅広く利用可能なポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンスルフィド樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐熱性、耐薬品性等に優れ、最近では繊維、フィルム用途等に幅広く利用されている。ポリアリーレンスルフィドの製造方法としては、有機極性溶媒中でアルカリ金属硫化物とポリハロ芳香族化合物とを反応させる方法などがある。
【0003】
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂を繊維やフィルムなどの用途に用いようとした場合、溶融状態から製品に加工するまでの時間(加工時間)を制御することが必要である。ポリアリーレンスルフィド樹脂は結晶性樹脂で固化すると同時に結晶化する為、固化するまでの時間は即ち、結晶化時間を意味する。この結晶化時間の遅延化特性(本発明では「結晶化遅延性」という)が大きければ、加工時間を長くすることが出来、作業性が向上するので、その為重要な特性となっている。ポリアリーレンスルフィド樹脂に結晶化遅延性を付与する技術としては、分子末端へのトリクロルベンゼン等のポリハロ芳香化合物の導入による方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この製造方法で得られるPASの結晶化遅延性は不十分であった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−212292号公報(第2−6頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ポリアリーレンスルフィド樹脂の結晶化遅延性を飛躍的に高めた新規なポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
(1)ポリアリーレンスルフィド樹脂末端に、電子求引性の共鳴効果を持つ置換基を導入すると、結晶化遅延性が向上する。
(2)ポリアリーレンスルフィド樹脂末端に電子求引性の共鳴効果を持つ置換基を導入する有効な手段としては、スルフィド化剤とポリハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する際に、スルフィド化剤とポリハロ芳香族化合物をスルフィド化剤の消費率が90モル%以上に到達する迄反応した後、電子求引性の共鳴効果を持つ置換基を芳香環上に有するポリハロ芳香族化合物を添加して反応させる、2段階で重合反応を行なうことである。
(3)前記の重合反応を1段階で行なうと、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂は、分子量が高くならず、電子求引性の共鳴効果を持つ置換基が分子末端に導入できず結晶化遅延性に効果がない。
【0007】
本発明は、このような知見に基づくものである。即ち、スルフィド化剤とジハロ芳香族化合物(A)とを有機極性溶媒中でスルフィド化剤の消費率が90モル%以上に到達するまで反応させる工程Iと、次いで、電子求引性の共鳴効果を持つ置換基を芳香環上に有するポリハロ芳香族化合物(B)を添加し反応させて重合反応を終結する工程IIからなるポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、ポリフェニレンスルフィド樹脂はPPS、ポリアリーレンスルフィド樹脂はPASと略記する。
前記工程Iで使用するジハロ芳香族化合物(A)としては、例えば、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、o−ジハロベンゼン、2,5−ジハロトルエン、1,4−ジハロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジハロベンゼン、4,4’−ジハロビフェニル、3,5−ジハロ安息香酸、2,4−ジハロ安息香酸、2,5−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロアニソール、p,p’−ジハロジフェニルエーテル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、4,4’−ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジハロジフェニルスルフィド等が挙げられる。
【0009】
また、ジハロ芳香族化合物の適当な選択な組合せによって2種以上の異なる反応単位を含む共重合体を得ることも出来る。具体的な組み合わせは特に制限されるものでなく、前記ジハロ芳香族化合物の中から任意に選択した2種以上のものを適宜組み合わせることが出来るが、これらの中でも、p−ジクロルベンゼンと4,4’−ジクロルベンゾフェノンとを組み合わせるか又はp−ジクロルベンゼンと4,4’−ジクロルジフェニルスルホンとを組み合わせて使用することが種々の物性に優れたポリアリーレンスルフィドが得られるので特に好ましい。
【0010】
前記工程Iでのジハロ芳香族化合物の使用量は、使用するスルフィド化剤中の硫黄源1モル当たり0.8〜1.3モルの範囲が好ましく、特に好ましくは0.9〜1.1モルの範囲である。ジハロ芳香族化合物の使用量がこの範囲であれば、物性の優れた高分子量のPASを得ることが可能である。
【0011】
前記工程IIで使用する電子求引性の共鳴効果を持つ置換基を芳香環上に有するポリハロ芳香族化合物(B)としては、電子求引性の共鳴効果を持つ置換基を有するジハロ化合物であれば、特に制限されるものではないが、例えば、2,6−ジハロベンゾニトリル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、2,4−ジハロベンゾフェノン、2’,4’−ジハロアセトフェノン、4’−ハロアセトフェノン、4−ハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、2、6−ジハロベンズアミド、2−ハロ安息香酸メチル、2,5−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロニトロベンゼン、2,4,5−トリハロニトロベンゼン、4−ハロベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
【0012】
これらの中でも2,6−ジハロベンゾニトリル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホンが好適に使用される。
【0013】
前記のポリハロ芳香族化合物(A)および(B)中のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子であることが望ましい。また、前記のポリハロ芳香族化合物(A)および(B)は、芳香環上の置換基として炭素原子数1〜18のアルキル基を有するものも好ましく使用出来る。
【0014】
工程Iで使用するスルフィド化剤は、特に制限されるものではなく、アルカリ金属硫化物の無水物又は含水物又は水溶液を用いることが出来る。これらの化合物の例としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウムおよび硫化セシウム、又はこれらの水和物が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。前記アルカリ金属硫化物の中でも、反応性に優れる点から硫化ナトリウムと硫化カリウムが好ましく、中でも硫化ナトリウムが特に好ましい。
【0015】
また、前記アルカリ金属硫化物は、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物、または硫化水素とアルカリ金属水酸化物とを反応させて得ることとが出来るが、反応容器内にあらかじめこれらの材料を挿入しておき、工程Iのスルフィド化の始まる前に予め反応させて金属硫化物を作っておくことも、又、これらの材料を工程Iの有機極性溶媒やポリハロ芳香族化合物と一緒に入れておき、工程Iの反応と並行させる事も出来る。また、別の反応器で予め金属硫化物を作っておいて使用しても良い。
【0016】
前記アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられるが、中でも水酸化リチウムと水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましく、更に水酸化ナトリウムが特に好ましい。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物は共に、固体状態でも液体状態でも溶融状態などどのような形態で反応に用いてもよく、特に制限はない。
【0017】
尚、通常、硫化アルカリ金属中に微量存在する水硫化アルカリ金属、チオ硫酸アルカリ金属と反応させるために、少量の水酸化アルカリ金属を加えても差し支えない。
【0018】
アルカリ金属水硫化物は、特に制限されるものではなく、アルカリ金属水硫化物の無水物又は含水物又は水溶液として用いることが出来る。アルカリ金属水硫化物としては、例えば、水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム及び水硫化セシウム、またはこれらの水和物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
本発明の工程I及び工程IIにおいて用いられる有機極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する。)、N−シクロヘキシルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、ホルムアミド、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチル尿素、N−ジメチルプロピレン尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン酸のアミド尿素、及びラクタム類;スルホラン、ジメチルスルホラン等のスルホラン類;ベンゾニトリル等のニトリル類;メチルフェニルケトン等のケトン類及びこれらの混合物などを挙げることが出来る。これらの有機極性溶媒の中でも、N−メチル−2−ピロリドンはスルフィド化剤の反応性を向上させる点から特に好ましい。
【0020】
本発明における有機極性溶媒の使用量は、使用する溶媒の種類及び系内の溶媒に対する水分量によって異なるため、特に制限されるものではないが、反応系を攪拌可能な状態に維持するためには、重合に用いる有機極性溶媒の使用量はスルフィド化剤中の硫黄源1モル当り1.0〜6.0モルとなる範囲であることが好ましく、スルフィド化剤中の硫黄源1モル当り2.5〜4.5モルの範囲がより好ましい。
【0021】
本発明の工程I及び工程IIにおける重合条件としては、特に制限されるものではないが、それぞれ200〜300℃の範囲が好ましく、より好ましくは220〜260℃の範囲である。
【0022】
本発明の工程IIにおいて、ポリハロ芳香族化合物(B)の添加時期は、ポリマーの分子末端にポリハロ芳香族化合物(B)を導入する目的から、反応が実質的に完了した後が好ましく、スルフィド化剤の消費率が90モル%以上の段階での添加が必要であり、特に好ましくはスルフィド化剤の消費率が93モル%以上の段階である。また、このスルフィド化剤の消費率の上限は、高い程好ましいが、通常93〜99.1モル%の範囲であれば、結晶化遅延性が良好なPASを得ることができる。尚、ここで言う「スルフィド化剤の消費率」とは、スルフィド化剤物の残存量と仕込量の割合から導かれるものである。
【0023】
工程IIにおいて使用し得るポリハロ芳香族化合物(B)の使用量は、工程Iで仕込んだスルフィド化剤中の硫黄源に対して0.01〜10モル%の範囲となることが好ましく、特に好ましくは0.1〜5モル%の範囲である。工程IIでのポリハロ芳香族化合物の使用量がこのような範囲内にあるならば、本発明の目的とする結晶化が遅延されたPASを得ることが可能となる。
【0024】
また、工程I及び工程IIの反応で使用する反応容器は、特に限定されるものではないが、接液部がチタンあるいはクロムあるいはジルコニウム等で作られた耐腐食性にすぐれた反応容器を用い、また、何れの反応においても、不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。使用する不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等が挙げられ、中でも経済性及び取扱いの容易さの面から窒素が好ましい。
【0025】
重合反応にて得られたPASを含有する反応混合物は、常圧または減圧下での濾濾などにより液体と固体を分離して液体部より溶媒を回収し、固体部より食塩などの複生成物や未反応原料などを除去する為、水洗や溶剤洗浄を繰り返して行い最後に乾燥してPASを取り出す事が通常行われる。
【0026】
具体的な重合反応後のPASを含む反応混合物の後処理方法としては、例えば、下記の▲1▼〜▲3▼の後処理方法が挙げられる。
▲1▼重合反応終了後、先ず反応混合物をそのまま、あるいは酸または塩基を加えた後、減圧下または常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に中和、水洗、濾過および乾燥してPASを分離して取り出す方法;
【0027】
▲2▼重合反応終了後、反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(工程Iに使用した有機極性溶媒に可溶であり、且つ少なくともPASに対しては貧溶媒である溶媒)を沈降剤として添加して、PASや無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾過してPASを含む固形分を分離し、洗浄、乾燥してPASを分離、取得する;
【0028】
▲3▼重合反応終了後、反応混合物に最初に加えたのと同じ有機極性溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて攪拌した後、濾過して低分子量重合体、有機極性溶剤とその溶解物を除いた後、PASの入った固形物を水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、その後中和、水洗、濾過および乾燥をしてPASを取り出す方法。
【0029】
尚、上記▲1▼〜▲3▼に例示したような後処理方法において、PASの乾燥は真空中で行なってもよいし、空気中あるいは窒素のような不活性ガス雰囲気中で行なってもよく、特に限定はしない。
【0030】
この様にして得られたPASは、そのまま各種成形材料に利用可能であるが、更に、空気あるいは酸素富化空気中あるいは減圧条件下で熱処理することにより、溶融時の粘度を上昇させることが可能であり、必要に応じてこのような増粘操作(通常、このような操作を「架橋」という)を行なった後、各種成形材料等に利用してもよい。
【0031】
前記架橋を行う際の温度、即ち架橋温度は、目標とする架橋を行う為の熱処理時間や熱処理する雰囲気によっても異なるので一概に規定出来ないが、通常は180℃以上で行われる。
【0032】
また、架橋を押出機等で行う場合、PASの融点以上の溶融状態で行ってもよいが、PASの熱劣化を避ける為、融点よりも100℃以上低い温度で行ってもよい。
【0033】
前記の製造方法によって得られたPASは、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形等の成形方法により、耐熱性、加工性、寸法安定性等に優れた成形物に加工することが出来る。更に、シランカップリング剤と添加した組成物は、成型品の靱性を飛躍的に向上させることも出来る。
【0034】
前記シランカップリング剤は、特に制限されるものではないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0035】
また前記シランカップリング剤の使用量は、特に制限されるものではないが、成型品の靱性改善効果が顕著である点からPAS100重量部に対して、0.01〜2重量部使用することが好ましい。
【0036】
また、前記組成物は、更に強度、耐熱性、寸法安定性等の性能を改善するために、本発明の目的を損なわない範囲で各種充填材と組み合わせて使用することも出来る。本発明で用いられる充填材としては、特に制限されるものではないが、例えば、繊維状充填材、無機充填材等が挙げられる。繊維状充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、シランガラス繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、金属繊維、チタン酸カリウム繊維、炭化珪素繊維、硫酸カルシウム繊維、珪酸カルシウム繊維、及びウォラストナイト繊維等の繊維が使用出来る。また無機充填材としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、クレー、バイロフェライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、雲母、タルク、アタルパルジャイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ等が使用出来る。
【0037】
また、成形加工の際に添加剤として本発明の目的を逸脱しない範囲で離型剤、着色剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤、滑剤等の各種添加剤を含有させることが出来る。
【0038】
更に、同様に下記の合成樹脂類及びエラストマー類を混合して使用出来る。本発明で用いられる合成樹脂としては、特に制限されるものではないが、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ四弗化エチレン、ポリ二弗化エチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。また、エラストマーとしては、特に制限されるものではないが、ポリオレフィン系ゴム、弗素ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0039】
本発明の製造方法で得られるPASとシランカップリング剤、各種充填剤、合成樹脂、及び/又はエラストマーとを含有する組成物は、PASの本来有する耐熱性、寸法安定性等の諸性能も具備しているので、例えば、コネクタ、プリント基板及び封止成形品等の電気・電子部品、ランプリフレクター及び各種電装品部品などの自動車部品、各種建築物、航空機及び自動車などの内装用材料、あるいはOA機器部品、カメラ部品及び時計部品などの精密部品等の射出成形若しくは圧縮成形、若しくはコンポジット、シート、パイプなどの押出成形、又は引抜成形などの各種成形加工用の材料として、或いは繊維若しくはフィルム用の材料として幅広く有用である。
【0040】
【実施例】
以下に、本発明を実施例と比較例により、具体的に説明する。尚、部及び%は、特にことわりのない限り、全て重量基準である。
【0041】
〔溶融粘度の測定方法〕
後述する実施例と比較例の製造方法で得られたポリフェニレンスルフィドの溶融粘度ηは、高化式フローテスターを用いて、300℃、剪断速度100sec−1、ノズル孔径0.5mm、長さ1.0mmで測定した。
【0042】
結晶化遅延性の評価方法は、結晶化温度の測定方法を下記の方法で測定し、結晶化速度の高低で判定した。
結晶化温度は、示差走査型熱量計を用いて、窒素雰囲気中、350℃にて3分間溶融後、20℃/分のスピードで120℃まで冷却する。結晶化時の発熱ピークの頂点温度を結晶化温度として求めた。(結晶化速度の差は結晶化温度の差として出てくる事になり、結晶化温度の低い方が、結晶化速度が遅く、結晶化遅延性が高いことになる。)
【0043】
実施例1
(工程I)温度センサー、冷却塔、滴下槽、滴下ポンプを連結した攪拌翼付チタンライニングステンレス製4リットルオートクレーブに、硫化ナトリウム水和物(以下NaS・HOと略す)804.2g(5.0モル)と、NMP1586g(16モル)を室温で仕込み、攪拌しながら窒素雰囲気下で205℃まで昇温して、水315.0gを留出させた。その後、反応系を密閉し、更に220℃まで昇温し、p−ジクロルベンゼン(以下p−DCBと略す)735.0g(5.0モル)とNMP396g(4モル)の混合液を滴下し、220℃で3時間攪拌した後、250℃まで昇温し、1時間攪拌した。この時点で、スルフィド化剤の残存量を測定して、スルフィド化剤の消費率が95モル%であることを確認した。(工程II)次いで、2,6−ジクロロベンゾニトリル4.30g(0.025モル;工程Iで仕込んだスルフィド化剤中の硫黄源に対して0.5モル%)とNMP30.0gの混合液を系内に添加し、250℃で1時間攪拌した。
【0044】
冷却後、得られたスラリーを濾過し、このケーキ(濾取物)を再び5リットルのNMPで1時間攪拌し、洗浄した後、濾過した。次に、このケーキを20リットルの水に注いで80℃で1時間攪拌した後、濾過した。このケーキを再び5リットルの湯で1時間攪拌し、洗浄した後、濾過した。この操作を4回繰り返し、濾過後、熱風乾燥機内で120℃で一晩乾燥して白色の粉末状のPPSを508g(収率94%)得た。得られたPPSの溶融粘度は47Pa・sであった。次いで、前述の結晶化遅延性の評価方法で得られた結晶化遅延性の評価結果を表1に示した。
【0045】
実施例2
工程IIで、2,6−ジクロロベンゾニトリル4.30g(0.025モル)の代わりに、4,4’−ジクロロベンゾフェノン6.28g(0.025モル;工程Iで仕込んだスルフィド化剤中の硫黄源に対して0.5モル%)にした以外は実施例1と同じ操作を行った。得られたPPSの溶融粘度は42Pa・sであった。次いで、前述の結晶化遅延性の評価方法で得られた結晶化遅延性の評価結果を表1に示した。
【0046】
実施例3
工程IIにおいて、2,6−ジクロロベンゾニトリル4.30g(0.025モル)の代わりに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン7.18g(0.025モル;工程Iで仕込んだスルフィド化剤中の硫黄源に対して0.5モル%)にした以外は実施例1と同じ操作を行った。得られたPPSの溶融粘度は40Pa・sであった。次いで、前述の結晶化遅延性の評価方法で得られた結晶化遅延性の評価結果を表1に示した。
【0047】
比較例1
(工程I)温度センサー、冷却塔、滴下槽、滴下ポンプを連結した攪拌翼付チタンライニングステンレス製4リットルオートクレーブに、硫化ナトリウム水和物(以下NaS・HOと略記する。)804.2g(5.0モル)と、NMP1983g(20モル)を室温で仕込み、攪拌しながら窒素雰囲気下で205℃まで昇温して、水315.0gを留出させた。その後、反応系を密閉し、更に220℃まで昇温し、p−DCB735.0g(5.0モル)を滴下し、220℃で3時間攪拌した後、250℃まで昇温し、1時間攪拌した。(工程2)次いで、1,2,4−トリクロルベンゼン(以下1,2,4−TCBと略す)4.54g(0.025モル;工程Iで仕込んだスルフィド化剤中の硫黄源に対して0.5モル%)とNMP5.0gとの混合液を系内に添加し、250℃で1時間攪拌した。
【0048】
冷却後、得られたスラリーを濾過し、このケーキ(濾取物)を再び5リットルのNMPで1時間攪拌し、洗浄した後、濾過した。次に、このケーキを20リットルの水に注いで80℃で1時間攪拌した後、濾過した。このケーキを再び5リットルの湯で1時間攪拌し、洗浄した後、濾過した。この操作を4回繰り返し、濾過後、熱風乾燥機内で120℃で一晩乾燥して白色の粉末状のポリフェニレンスルフィドを508g(収率94%)得た。得られたポリマーの溶融粘度は45Pa・sであった(特開2002−212292号公報実施例3記載の操作)。次いで、前述の結晶化遅延性の評価方法で得られた結晶化遅延性の評価結果を表1に示した。
【0049】
比較例2
工程Iで、2,6−ジクロロベンゾニトリル4.30g(0.025モル;スルフィド化剤中の硫黄源に対して0.5モル%))をp−DCBと同時に滴下した以外は、実施例1の工程Iと同様の条件で反応し、次いで、冷却後、得られたスラリーを濾過し、このケーキ(濾取物)を再び5リットルのNMPで1時間攪拌し、洗浄した後、濾過した。次に、このケーキを20リットルの水に注いで80℃で1時間攪拌した後、濾過した。このケーキを再び5リットルの湯で1時間攪拌し、洗浄した後、濾過した。この操作を4回繰り返し、濾過後、熱風乾燥機内で120℃で一晩乾燥して白色の粉末状のPPSを得た。得られたポリマーの溶融粘度は23Pa・sであり、本発明の2段階反応で得られたPPSと分子量が低かった。次いで、前述の結晶化遅延性の評価方法で得られた結晶化遅延性の評価結果を表1に示した。
【0050】
【表1】
Figure 2004352923
【0051】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、PASの結晶化時間を飛躍的に遅延させることが可能となり、耐熱性、耐薬品性に優れ、特に繊維やフィルム用途等に幅広く利用可能なPASを提供することが出来る。

Claims (3)

  1. スルフィド化剤とジハロ芳香族化合物(A)とを有機極性溶媒中でスルフィド化剤の消費率が90モル%以上に到達するまで反応させる工程Iと、次いで、電子求引性の共鳴効果を持つ置換基を芳香環上に有するポリハロ芳香族化合物(B)を添加し反応させて重合反応を終結する工程IIからなるポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  2. 前記ポリハロ芳香族化合物(B)の添加量が、工程Iのスルフィド化剤の仕込量に対して、0.01〜10モル%の範囲である請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  3. 前記ポリハロ芳香族化合物(B)が2,6−ジハロベンゾニトリル、4,4’−ジハロベンゾフェノン及び4,4’−ジハロジフェニルスルホンからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項1または2に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
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