JP2004351363A - 金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法及び処理装置 - Google Patents
金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法及び処理装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】金属イオンを含む有機化合物含有水を電解処理する際に、電解電極表面に析出物が生成されるのを抑制して、安定継続して電解処理することを可能にする。
【解決手段】対となる電解電極60、61を備える電解反応槽60と、電解処理水の金属イオン濃度を測定するイオン濃度測定装置8と、測定装置8による測定結果に基づいて電解電極に対する給電を転極させる転極手段11を備える。
【効果】金属イオン濃度を測定することによって電解電極への給電転極を的確に行う。電解電極への析出物の生成によって処理能力が極端に低下したり、運転不能状態になるのを未然に防止する。また、析出物の生成を抑制し、長期に亘り、安定継続して電解処理が行える。
【選択図】 図1
【解決手段】対となる電解電極60、61を備える電解反応槽60と、電解処理水の金属イオン濃度を測定するイオン濃度測定装置8と、測定装置8による測定結果に基づいて電解電極に対する給電を転極させる転極手段11を備える。
【効果】金属イオン濃度を測定することによって電解電極への給電転極を的確に行う。電解電極への析出物の生成によって処理能力が極端に低下したり、運転不能状態になるのを未然に防止する。また、析出物の生成を抑制し、長期に亘り、安定継続して電解処理が行える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場排水中には汚染物質として、様々な有機化合物が含まれており、排出が許容されるレベルまで低減する必要がある。このため、様々な排水処理方法が開発されている。その中でも電気化学的な処理方法は、活性汚泥法などの生物分解処理やオゾン酸化法などに比べて、操作性が容易で装置を小型化できるという利点がある。このような観点から、白金、酸化鉛あるいは導電性ダイヤモンドといったさまざまな陽極材料を活用した電解処理法が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
【0003】
ところで、排水中に金属イオンを含む場合、この排水を電解反応槽で継続して電解処理すると、電解反応槽で用いられる陰極上に、次第に金属イオンからの析出物が堆積し、電解処理効果を悪化させたり、陽極と陰極の間のギャップを完全に閉塞してしまうという問題がある。このため、有機化合物含有水に含まれる金属イオン量を予め検出しておくことによって上記弊害の発生を予測し、電極の清掃などの対策を講じることで未然に問題発生を回避することが考えられる。
排水中の金属イオンの検出方法としては、従来、原子吸光法やICP法などの化学分析が広く行われている。また、導電性ダイヤモンド電極を用いた反応を利用して、水中に溶存している金属イオンを精度良く検出する分析方法も提案されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−299467号公報
【特許文献2】
特開2001−21521公報
【非特許文献1】
藤嶋ら,”Electrochemistry”,Vol.67(1999)p389
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、原子吸光法やICP法などの化学分析方法は、分析にかなりの時間を要するという問題がある。一方、導電性ダイヤモンド電極を用いた分析方法では、比較的短時間で分析を行うことができる。しかし、有機化合物含有水中の金属イオン濃度を分析して電極清掃などの対策を講じるとしても、その予測は必ずしも正確とはいえない。また、上記対策では電解処理を一旦停止して作業を行うことが必要になり、処理効率が低下するとともに、作業自体が処理コストを増大させる要因になってしまう。
【0006】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、金属イオンを含む有機化合物含有水を処理する電解処理方法および装置に関し改良が望まれる課題を解決し、特別な作業負担を負うことなく、電解電極への析出物の堆積により処理能力の大幅に低下したり運転不能状態になることなく継続して電解処理を行うことができる電解処理方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法のうち請求項1記載の発明は、金属イオンを含む有機化合物含有水を電解反応槽で電解処理する際に、電解に伴う有機化合物含有水中の金属イオン濃度変化を測定し、その測定結果に基づいて電解反応槽における電解電極への給電を転極させることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法の発明は、請求項1記載の発明において、測定結果における前記金属イオン濃度の低下量または低下速度によって、前記電解電極への当該金属イオンからの析出物量または析出速度を推定することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記測定により金属イオン濃度が所定値以下に低下した場合、または前記で推定される析出量が所定量以上になった場合に、前記転極を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法は、請求項2に記載の発明において、前記で推定される析出物量または析出速度に基づいて定期的な転極を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置の発明は、対となる電解電極を備える電解反応槽と、電解処理水の金属イオン濃度を測定するイオン濃度測定装置と、前記測定装置による測定結果に基づいて前記電解電極に対する給電を転極させる転極手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置の発明は、請求項5記載の発明において、前記イオン濃度測定装置が、作用電極および参照電極と、ポテンショスタットとを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置の発明は、請求項5または6に記載の発明において、前記イオン濃度測定装置は前記作用電極と参照電極とを備える測定槽を有しており、該測定槽は、前記電解反応槽の下流側に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置の発明は、請求項5〜7のいずれかに記載の発明において、有機化合物含有水を貯水する貯水槽を有しており、該貯水槽と前記電解反応槽との間で有機化合物含有水を循環させる循環手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置の発明は、請求項5〜8のいずれかに記載の発明において、前記作用電極が導電性ダイヤモンド電極を用いたものであることを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置の発明は、請求項5〜9のいずれかに記載の発明において、前記電解電極が導電性ダイヤモンド電極を用いたものであることを特徴とする。
【0017】
すなわち、本発明によれば、金属イオンを含む有機化合物含有水を電解処理する際に、電解に伴う有機化合物含有水中の金属イオン濃度の変化を測定するので、電極に金属イオンによって析出物が生成されるのに伴う金属イオン濃度の変化を把握することができる。したがって金属イオン濃度の変化測定によって、これに相関する析出物の量(積算量を含む)や析出速度を把握することができる。該把握においては、上記相関関係を予め数式やグラフ、表などによって得ておき、実際に得られる金属イオン濃度の変化によって析出物の量や析出速度を推定することができる。
【0018】
したがって、金属イオン濃度の変化によって析出状況が把握されるので、その状況に合わせて適切な時期に、電解電極への給電転極を行うことができる。転極によって一方の電極(陰極)への析出は停止し、他方の電極への析出が開始される。そして転極前に析出が進行していた電極では、転極に伴って析出物が再度溶解する現象が起こり、両極全体として析出物の増加量を抑制することができ、析出に伴う処理能力の低下を極力小さくし、電極間の閉塞を防止する。これにより安定した電解処理効果を長期間に渡って継続することができる。
【0019】
なお給電転極は、手動で行ってもよく、また上記検出結果に従って自動的に行ってもよい。転極は、例えば金属イオン濃度の低下量によって析出量を推定し、その析出量が許容量を超える前に実行するようにできる。また。金属イオン濃度の低下速度から析出速度を推定することができる。この析出速度から析出量が許容量に至るまでの時間が把握されるので、当該時間に達するまでに転極を行うようにすることもできる。上記許容量や所定の金属イオン濃度などを予め設定しておくことにより、該許容量や所定の金属イオンを目途にして自動的に転極を行うように制御することができる。
【0020】
本発明の金属イオンを含む機化合物含有水の処理装置によれば、上記処理方法を容易かつ確実に実現することができる。転極手段は、電源と電解電極との間に設けた転極スイッチなどによって行ってもよく、電源自体に転極機能を有するものであってもよい。また、本発明の処理装置では、転極を自動的に行う場合には、転極手段を制御する制御部を設ける。制御部では、金属イオン濃度の測定結果を受け、基準値等と比較して転極の要否を判定し、転極が必要であるとの判定を行った場合に、転極手段に対し転極指示を行うことができる。
【0021】
また、金属イオン濃度検出装置は、金属イオン濃度を速やかに測定できるものであればよく、好適には電気化学的測定法によるものが挙げられる。例えば少なくとも作用電極と参照電極とポテンショスタットとを有するものを示すことができ、作用電極、参照電極の他に対極を有する3極のものでもよい。上記電極(特に作用電極)には導電性ダイヤモンドを用いたものが好適である。該装置は、金属イオン濃度をリアルタイムに検出することが可能であり、特に、作用電極に導電性ダイヤモンドを用いることにより、分析対象である金属イオンを高精度に分析するすることできる。そして、作用極としてのダイヤモンド電極には、処理対象となる排水中に含まれている金属を電着や擦り付けなどの任意の手段で付着させる。検出対象となる金属イオンは、あらかじめ排水に対して電解処理を行い、電極に金属を析出させ、これを分析することで金属種を特定することができる。
【0022】
該金属イオン濃度検出装置では、予め求められた電流値と金属イオン濃度との相関関係に基づいて、測定電流値に基づいて金属イオン濃度を知ることができる。上記相関関係は、データとして適宜の記憶手段(DRAM、フラッシュメモリ、ROM、HDD等)に記憶しておき、当該データを適宜取りだして測定した電流値から金属イオン濃度を算出することができる。これら一連の動作は、例えばCPUとこれを制御するプログラムとにより実行することができる。
【0023】
なお、上記処理方法および処理装置においては、電解に用いる電解電極には、導電性ダイヤモンド電極を用いるのが望ましい。導電性ダイヤモンド電極は、従来の白金等の金属電極に比べると、電位窓が極めて広く水の電気分解による水素発生や酸素発生を抑えながら、目的の有機物質のみを効率的に酸化分解処理できる。また、金属イオン濃度検出手段として導電性ダイヤモンドを作用電極に用いれば、さまざまな電解質水溶液中において、バックグラウンド電流が小さく、水中の微量物質の検出が迅速に行え、金属イオンの電気化学的分析を高精度、高感度及び短時間で行うことが可能となる。
【0024】
なお、本発明で使用する導電性ダイヤモンド電極は、Nb、Ta、Ti、Mo、W、Zr等の導電性金属材料を基盤とし、これらの基盤の表面に導電性ダイヤモンド薄膜を析出させたものや、シリコンウエハ等の半導体材料を基盤とし、このウエハ表面に導電性ダイヤモンド薄膜を合成させたもの、さらに、基盤を用いない条件で板状に析出合成した導電性多結晶ダイヤモンドや単結晶種として成長させた単結晶ダイヤモンドを挙げることができる。
また、導電性ダイヤモンド薄膜は、ダイヤモンド薄膜の合成の際にボロンまたは窒素の所定量をドープして導電性を付与したものであり、通常はボロンをドープしたものが一般的である。これらのドープ量は、少なすぎると技術的意義が発生せず、多すぎてもドープ効果が飽和するため、ダイヤモンド薄膜の炭素量に対して、50〜20,000ppmの範囲のものが適している。
【0025】
また、本発明において、電解反応装置内に組み込む導電性ダイヤモンド電極は、通常は板状のものを使用するが、網目構造物を板状にしたものも使用できる。また、炭素粉末などにダイヤモンドをコーティングした粉末を電解液によって流動させて、流動床を構成することもできる。さらに、三次元構造の基質にダイヤモンド粉末を担持させ、高表面積を有する固定床を構成し、反応速度を大きくすることもできる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態の処理装置および処理方法を図1に基づいて説明する。
本発明の一実施形態である有機化合物含有水処理装置1は、電解貯槽3と、電解反応槽6と、金属イオン濃度検出装置8と、これら槽および装置間で処理水を循環させる送液ポンプ4および循環ライン5、7、9を有している。送液ポンプ4および循環ライン5、7、9は、本発明の循環手段を構成している。
【0027】
電解貯槽3には、開閉弁2aを有する含有水注入ライン2が接続され、電解貯槽3内には、攪拌装置3aが設けられている。また、電解貯槽3には、電解貯槽3から有機化合物含有水を送液するための循環ライン5が接続されており、該循環ライン5は、送液ポンプ4を介して電解反応槽6に他端が接続されている。また、電解貯槽3には、有機化合物含有水の処理水が戻る循環ライン9が接続されている。
【0028】
電解反応槽6は、循環ライン5から送液される有機化合物含有水を電解処理する装置であり、所定の距離を隔て配置された導電性ダイヤモンド電極60、61を備えている。導電性ダイヤモンド電極60、61には、転極手段である転極スイッチ11を介して電源10に接続されており、導電性ダイヤモンド電極60、61に対する給電電流方向をそれぞれ逆転することが可能になっている。転極スイッチ11には、制御部12が接続されており、転極スイッチ11の動作を制御部12からの制御指令によって制御することができる。また、制御部12は、後述する金属イオン濃度測定装置8による電流の測定値を連続または間欠的に受けて電流値の変化データが取得されており、該電流値変化に基づいては転極の要否を判定し、転極が必要と判定される場合に、上記転極スイッチ11に対し転極指令を行うように構成されている。
また、電解反応槽6の排液側には、循環ライン7が接続されており、該循環ライン7の他端側は、金属イオン濃度検出装置8の測定槽80に接続されている。
【0029】
金属イオン濃度検出装置8は、上記測定槽80と、測定槽80内に備わり所定の距離を隔て配置された、導電性ダイヤモンドからなる作用電極81と、対極82及び参照電極83とを有している。作用電極81には、測定対象となる金属イオンの基となる金属が付着されている。また特に限定されないが、対極としては、例えば白金電極が使用でき、参照電極としては、例えばAg/AgCl電極が使用できる。さらに該作用電極81、対極82及び参照電極83のそれぞれと電気的に接続されるポテンショスタット85を備えている。なお、金属イオン濃度検出装置8は、作用電極80、対極81及び参照電極82を有するものとして説明したが、対極を有さず、電極として作用電極と参照電極のみを備えるものであってもよい。
【0030】
測定槽80には、排液側に循環ライン9が接続されており、該循環ライン9には、その中途において開閉弁90aを介して排水ライン90が分岐している。循環ライン9の先端側は、前記したように、貯水槽3に接続されている。
【0031】
次に、上記有機化合物含有水処理装置1の動作について以下に説明する。
まず、排水注入ライン2に備わる開閉弁2aを開き、有機化合物含有水を電解貯槽3に注入する。電解貯槽3では、所望により、硫酸ナトリウムなどの電解質を添加して電導度の低い有機化合物を含有する場合でも、効率のよい電気分解を可能にする。電解貯槽3中の有機化合物含有水は、送液ポンプ4により、循環ライン5、電解反応槽6、循環ライン7、金属イオン濃度検出装置8及び循環ライン9を経て電解貯槽3に還流されるように圧送する。また、電解貯槽3では、攪拌装置3aによって内部攪拌され、循環ライン9によって返流される処理水と内部に収容した金属イオンを含む有機化合物含有水とを攪拌混合できるようにされている。
【0032】
送液ポンプ4により電解反応槽6に圧送された有機化合物含有水は、転極スイッチ11を介して電源10により給電される導電性ダイヤモンド電極60、61により電解処理される。電解反応槽6で電解処理された有機化合物含有水は、循環ライン7を介して金属イオン濃度検出装置8に送られる。
【0033】
金属イオン濃度検出装置8では、金属イオンを含む有機化合物含有水が測定槽80内に注入され、作用電極81、対電極82及び参照電極83のそれぞれが、有機化合物含有水に浸されることになる。作用電極81は、ポテンショスタット85により電圧走査されており、測定される電流値は、図2に示すように測定対象となる金属イオン種に因る電位においてピークを示す。該ピークでの電流値は、水中の金属イオン濃度に依存する。ポテンショスタット85では、該ピーク値が金属イオン濃度に相関するデータとして制御部12に出力されている。
上記電流値や電流密度のピーク値と、金属イオン濃度との相関関係は予め測定データなどにより求めておき、適宜の記憶手段に記憶しておく。例えば、図3に示すように金属イオン濃度と検出ピーク値との関係を示す検量線をデータとして得ておく。制御部12では、ポテンショスタット85から出力されるピーク値および上記相関関係に従って金属イオン濃度を算出することができる。また、制御部12では、予め転極指令を発行するための条件を定めておく。例えば、金属イオン濃度が設定値以下に低下した場合に、その都度、電極への析出物量が許容上限に達したものとして転極指令を発する。また、この他に、金属イオン濃度の低下速度を把握して、上記析出物量が許容上限に達する時期を予測し、該時期に至る前の適宜のタイミングで転極指令を発行することができる。また、該タイミングにおいて定期的に転極指令を発行するように定めることもできる。
【0034】
制御部12において転極指令が発行されると、該指令は転極スイッチ11に伝達され、転極動作がなされる。この結果、電解反応槽6のダイヤモンド電極60、61への給電の転極がなされる。この転極の結果、転極前の陰極側に析出した析出物は、電流方向が逆転されることによって再溶解し、析出物量を減じる。その一方では、転極後に陰極となる他方の電極では、金属イオンによって徐々に析出が生じるものの、両極全体では、析出物量の増大は抑制され、良好な電解処理が継続される。
なお、金属イオン濃度検出装置8の測定槽80から排液される処理水は、循環ライン9を通って前記電解貯槽3へと返流される。
上記動作を繰り返し行うことにより金属イオンを含む有機化合物含有水を循環させつつ継続して電解処理を行うことができる。循環処理は、有機化合物含有水の有機化合物の量が許容されるレベルに低減するまで継続され、有機化合物の量が許容レベルに達した後に、弁90aを開いて排水ライン90より排水が系外に放出される。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を比較例と対比しつつ説明する。
実施例1
ボロンドープ法を用いて気相析出合成した積層状多結晶導電性ダイヤモンド板(10cm×10cm×0.05cm)2枚を電極に用い、極間距離を3mmに設定して電解反応槽とした。また、電解反応槽の後段には、測定槽を設け、導電性ダイヤモンド電極からなる作用電極と、参照電極と、対極となる白金電極とを配置し、これら電極にポテンショスタットを接続して金属イオン濃度検出装置を構成した。なお、上記作用電極である導電性ダイヤモンド電極には銅を電着させた。また、金属イオンを含む有機化合物含有水を収容する電解貯槽を用意し、これら槽および装置を図1に示すように循環ラインによって接続し処理装置を構成した。
この電解処理による排水処理装置において、Cuイオン10mg/Lを含んだDMSO含有排水(DMSO 3,200mg/L、TOC 1,000mg/L、5L)に硫酸ナトリウムを14,200mg/L添加して電解貯槽に入れた。電解貯槽内をスターラーで攪拌しながら送液ポンプを用いて電解反応槽に7L/minの流速で有機化合物含有水を通液させ循環処理した。
【0036】
電解反応槽の投入電気量は電流密度が0.5A/cm2(5000A/m2)となるように設定した。電解処理を5時間継続して、電解反応槽出口水の水を採取して全有機体炭素(TOC)の分析を行ったところ、表1の結果のようにTOCが効率良く除去できた。
【0037】
【表1】
【0038】
また、電解反応装置の後段の金属イオン濃度検出装置によって、図2のように作用電極の電位変化に対する電流密度変化を測定し、最大電流密度である検出ピーク値Imaxを検出した。なお、予め、既知のCuイオン濃度の水溶液を用いて、Cuイオン濃度と電流密度検出ピーク値との関係が図3に示す検量線として作成されており、検出ピーク値より排水中のCuイオン濃度を知ることができる。図2のピーク値からはCuイオン濃度が1mg/L程度になっていることがわかったので、電解反応装置の電解電極への転極を行った。上述の電解処理を1バッチとして数ヶ月継続した。その結果、その間において安定した電解処理効果が得られることが確認された。
【0039】
比較例1
ボロンドープ法を用いて気相析出合成した積層状多結晶導電性ダイヤモンド板(10cm×10cm×0.05cm)2枚を電極に用い、極間距離3mmに設定して電解反応槽とした。また、金属イオンを含む有機化合物含有水を収容する電解貯槽を用意し、上記電解反応と電解貯槽とを循環ラインによって接続し処理装置を構成した。
この排水処理装置において、Cuイオン10mg/Lを含んだDMSO含有排水(DMSO 3,200mg/L、TOC l,000mg/L、5L)に硫酸ナトリウムを14,200mg/L添加して電解貯槽に入れた。電解貯槽内をスターラーで攪拌しながら送液ポンプを用いて電解反応槽に7L/minの流速で金属イオンを含む有機化合物含有水を通液させ循環処理した。
【0040】
電解反応槽の投入電気量は電流密度が0.5A/cm2(5000A/m2)となるように設定した。電解処理を5時間継続して、電解反応槽出口水の水を採取して全有機体炭素(TOC)の分析を行ったところ、表2の結果のようにTOCが効率良く除去できた。
【0041】
【表2】
【0042】
このように初期の電解処理効果については、実施例1と同様であった。しかし、排水中のCuイオン濃度の検出は行わず、転極も行わないで、上記の処理を1バッチとして、数ヶ月継続したところ、陰極へのCuの析出が進み、電極間が閉塞して、電解処理が行えなくなった。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法によれば、金属イオンを含む有機化合物含有水を電解反応槽で電解処理する際に、電解に伴う有機化合物含有水中の金属イオン濃度変化を測定し、その測定結果に基づいて電解反応槽における電解電極への給電を転極させるので、電解電極において析出物によって処理能力が極端に低下したり、電極間ギャップの閉塞によって処理不能となるのを未然に防ぐことができ、さらに継続して良好な電解処理を行うことが可能になる。
【0044】
また、本発明の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置によれば、対となる電解電極を備える電解反応槽と、電解処理水の金属イオン濃度を測定するイオン濃度測定装置と、前記測定装置による測定結果に基づいて前記電解電極に対する給電を転極させる転極手段とを備えるので、上記方法を確実かつ容易に行うことができる。また、電解反応槽の電極に対する保守作業を大幅に低減することができる。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における処理装置の概略を示す図である。
【図2】同じく、金属イオンとしてCuイオンを含む有機化合物含有水に対し金属イオン濃度検出装置で測定した電流密度値を示すグラフである。
【図3】Cuイオン濃度と電流密度のピーク値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 排水処理装置
3 電解貯槽
4 送液ポンプ
6 電解反応槽
60、61 導電性ダイヤモンド電極
8 金属イオン濃度測定装置
80 測定槽
81 作用電極
82 対極
83 参照電極
85 ポテンショスタット
10 電源
11 転極スイッチ
12 制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場排水中には汚染物質として、様々な有機化合物が含まれており、排出が許容されるレベルまで低減する必要がある。このため、様々な排水処理方法が開発されている。その中でも電気化学的な処理方法は、活性汚泥法などの生物分解処理やオゾン酸化法などに比べて、操作性が容易で装置を小型化できるという利点がある。このような観点から、白金、酸化鉛あるいは導電性ダイヤモンドといったさまざまな陽極材料を活用した電解処理法が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
【0003】
ところで、排水中に金属イオンを含む場合、この排水を電解反応槽で継続して電解処理すると、電解反応槽で用いられる陰極上に、次第に金属イオンからの析出物が堆積し、電解処理効果を悪化させたり、陽極と陰極の間のギャップを完全に閉塞してしまうという問題がある。このため、有機化合物含有水に含まれる金属イオン量を予め検出しておくことによって上記弊害の発生を予測し、電極の清掃などの対策を講じることで未然に問題発生を回避することが考えられる。
排水中の金属イオンの検出方法としては、従来、原子吸光法やICP法などの化学分析が広く行われている。また、導電性ダイヤモンド電極を用いた反応を利用して、水中に溶存している金属イオンを精度良く検出する分析方法も提案されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−299467号公報
【特許文献2】
特開2001−21521公報
【非特許文献1】
藤嶋ら,”Electrochemistry”,Vol.67(1999)p389
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、原子吸光法やICP法などの化学分析方法は、分析にかなりの時間を要するという問題がある。一方、導電性ダイヤモンド電極を用いた分析方法では、比較的短時間で分析を行うことができる。しかし、有機化合物含有水中の金属イオン濃度を分析して電極清掃などの対策を講じるとしても、その予測は必ずしも正確とはいえない。また、上記対策では電解処理を一旦停止して作業を行うことが必要になり、処理効率が低下するとともに、作業自体が処理コストを増大させる要因になってしまう。
【0006】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、金属イオンを含む有機化合物含有水を処理する電解処理方法および装置に関し改良が望まれる課題を解決し、特別な作業負担を負うことなく、電解電極への析出物の堆積により処理能力の大幅に低下したり運転不能状態になることなく継続して電解処理を行うことができる電解処理方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法のうち請求項1記載の発明は、金属イオンを含む有機化合物含有水を電解反応槽で電解処理する際に、電解に伴う有機化合物含有水中の金属イオン濃度変化を測定し、その測定結果に基づいて電解反応槽における電解電極への給電を転極させることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法の発明は、請求項1記載の発明において、測定結果における前記金属イオン濃度の低下量または低下速度によって、前記電解電極への当該金属イオンからの析出物量または析出速度を推定することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記測定により金属イオン濃度が所定値以下に低下した場合、または前記で推定される析出量が所定量以上になった場合に、前記転極を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法は、請求項2に記載の発明において、前記で推定される析出物量または析出速度に基づいて定期的な転極を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置の発明は、対となる電解電極を備える電解反応槽と、電解処理水の金属イオン濃度を測定するイオン濃度測定装置と、前記測定装置による測定結果に基づいて前記電解電極に対する給電を転極させる転極手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置の発明は、請求項5記載の発明において、前記イオン濃度測定装置が、作用電極および参照電極と、ポテンショスタットとを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置の発明は、請求項5または6に記載の発明において、前記イオン濃度測定装置は前記作用電極と参照電極とを備える測定槽を有しており、該測定槽は、前記電解反応槽の下流側に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置の発明は、請求項5〜7のいずれかに記載の発明において、有機化合物含有水を貯水する貯水槽を有しており、該貯水槽と前記電解反応槽との間で有機化合物含有水を循環させる循環手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置の発明は、請求項5〜8のいずれかに記載の発明において、前記作用電極が導電性ダイヤモンド電極を用いたものであることを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置の発明は、請求項5〜9のいずれかに記載の発明において、前記電解電極が導電性ダイヤモンド電極を用いたものであることを特徴とする。
【0017】
すなわち、本発明によれば、金属イオンを含む有機化合物含有水を電解処理する際に、電解に伴う有機化合物含有水中の金属イオン濃度の変化を測定するので、電極に金属イオンによって析出物が生成されるのに伴う金属イオン濃度の変化を把握することができる。したがって金属イオン濃度の変化測定によって、これに相関する析出物の量(積算量を含む)や析出速度を把握することができる。該把握においては、上記相関関係を予め数式やグラフ、表などによって得ておき、実際に得られる金属イオン濃度の変化によって析出物の量や析出速度を推定することができる。
【0018】
したがって、金属イオン濃度の変化によって析出状況が把握されるので、その状況に合わせて適切な時期に、電解電極への給電転極を行うことができる。転極によって一方の電極(陰極)への析出は停止し、他方の電極への析出が開始される。そして転極前に析出が進行していた電極では、転極に伴って析出物が再度溶解する現象が起こり、両極全体として析出物の増加量を抑制することができ、析出に伴う処理能力の低下を極力小さくし、電極間の閉塞を防止する。これにより安定した電解処理効果を長期間に渡って継続することができる。
【0019】
なお給電転極は、手動で行ってもよく、また上記検出結果に従って自動的に行ってもよい。転極は、例えば金属イオン濃度の低下量によって析出量を推定し、その析出量が許容量を超える前に実行するようにできる。また。金属イオン濃度の低下速度から析出速度を推定することができる。この析出速度から析出量が許容量に至るまでの時間が把握されるので、当該時間に達するまでに転極を行うようにすることもできる。上記許容量や所定の金属イオン濃度などを予め設定しておくことにより、該許容量や所定の金属イオンを目途にして自動的に転極を行うように制御することができる。
【0020】
本発明の金属イオンを含む機化合物含有水の処理装置によれば、上記処理方法を容易かつ確実に実現することができる。転極手段は、電源と電解電極との間に設けた転極スイッチなどによって行ってもよく、電源自体に転極機能を有するものであってもよい。また、本発明の処理装置では、転極を自動的に行う場合には、転極手段を制御する制御部を設ける。制御部では、金属イオン濃度の測定結果を受け、基準値等と比較して転極の要否を判定し、転極が必要であるとの判定を行った場合に、転極手段に対し転極指示を行うことができる。
【0021】
また、金属イオン濃度検出装置は、金属イオン濃度を速やかに測定できるものであればよく、好適には電気化学的測定法によるものが挙げられる。例えば少なくとも作用電極と参照電極とポテンショスタットとを有するものを示すことができ、作用電極、参照電極の他に対極を有する3極のものでもよい。上記電極(特に作用電極)には導電性ダイヤモンドを用いたものが好適である。該装置は、金属イオン濃度をリアルタイムに検出することが可能であり、特に、作用電極に導電性ダイヤモンドを用いることにより、分析対象である金属イオンを高精度に分析するすることできる。そして、作用極としてのダイヤモンド電極には、処理対象となる排水中に含まれている金属を電着や擦り付けなどの任意の手段で付着させる。検出対象となる金属イオンは、あらかじめ排水に対して電解処理を行い、電極に金属を析出させ、これを分析することで金属種を特定することができる。
【0022】
該金属イオン濃度検出装置では、予め求められた電流値と金属イオン濃度との相関関係に基づいて、測定電流値に基づいて金属イオン濃度を知ることができる。上記相関関係は、データとして適宜の記憶手段(DRAM、フラッシュメモリ、ROM、HDD等)に記憶しておき、当該データを適宜取りだして測定した電流値から金属イオン濃度を算出することができる。これら一連の動作は、例えばCPUとこれを制御するプログラムとにより実行することができる。
【0023】
なお、上記処理方法および処理装置においては、電解に用いる電解電極には、導電性ダイヤモンド電極を用いるのが望ましい。導電性ダイヤモンド電極は、従来の白金等の金属電極に比べると、電位窓が極めて広く水の電気分解による水素発生や酸素発生を抑えながら、目的の有機物質のみを効率的に酸化分解処理できる。また、金属イオン濃度検出手段として導電性ダイヤモンドを作用電極に用いれば、さまざまな電解質水溶液中において、バックグラウンド電流が小さく、水中の微量物質の検出が迅速に行え、金属イオンの電気化学的分析を高精度、高感度及び短時間で行うことが可能となる。
【0024】
なお、本発明で使用する導電性ダイヤモンド電極は、Nb、Ta、Ti、Mo、W、Zr等の導電性金属材料を基盤とし、これらの基盤の表面に導電性ダイヤモンド薄膜を析出させたものや、シリコンウエハ等の半導体材料を基盤とし、このウエハ表面に導電性ダイヤモンド薄膜を合成させたもの、さらに、基盤を用いない条件で板状に析出合成した導電性多結晶ダイヤモンドや単結晶種として成長させた単結晶ダイヤモンドを挙げることができる。
また、導電性ダイヤモンド薄膜は、ダイヤモンド薄膜の合成の際にボロンまたは窒素の所定量をドープして導電性を付与したものであり、通常はボロンをドープしたものが一般的である。これらのドープ量は、少なすぎると技術的意義が発生せず、多すぎてもドープ効果が飽和するため、ダイヤモンド薄膜の炭素量に対して、50〜20,000ppmの範囲のものが適している。
【0025】
また、本発明において、電解反応装置内に組み込む導電性ダイヤモンド電極は、通常は板状のものを使用するが、網目構造物を板状にしたものも使用できる。また、炭素粉末などにダイヤモンドをコーティングした粉末を電解液によって流動させて、流動床を構成することもできる。さらに、三次元構造の基質にダイヤモンド粉末を担持させ、高表面積を有する固定床を構成し、反応速度を大きくすることもできる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態の処理装置および処理方法を図1に基づいて説明する。
本発明の一実施形態である有機化合物含有水処理装置1は、電解貯槽3と、電解反応槽6と、金属イオン濃度検出装置8と、これら槽および装置間で処理水を循環させる送液ポンプ4および循環ライン5、7、9を有している。送液ポンプ4および循環ライン5、7、9は、本発明の循環手段を構成している。
【0027】
電解貯槽3には、開閉弁2aを有する含有水注入ライン2が接続され、電解貯槽3内には、攪拌装置3aが設けられている。また、電解貯槽3には、電解貯槽3から有機化合物含有水を送液するための循環ライン5が接続されており、該循環ライン5は、送液ポンプ4を介して電解反応槽6に他端が接続されている。また、電解貯槽3には、有機化合物含有水の処理水が戻る循環ライン9が接続されている。
【0028】
電解反応槽6は、循環ライン5から送液される有機化合物含有水を電解処理する装置であり、所定の距離を隔て配置された導電性ダイヤモンド電極60、61を備えている。導電性ダイヤモンド電極60、61には、転極手段である転極スイッチ11を介して電源10に接続されており、導電性ダイヤモンド電極60、61に対する給電電流方向をそれぞれ逆転することが可能になっている。転極スイッチ11には、制御部12が接続されており、転極スイッチ11の動作を制御部12からの制御指令によって制御することができる。また、制御部12は、後述する金属イオン濃度測定装置8による電流の測定値を連続または間欠的に受けて電流値の変化データが取得されており、該電流値変化に基づいては転極の要否を判定し、転極が必要と判定される場合に、上記転極スイッチ11に対し転極指令を行うように構成されている。
また、電解反応槽6の排液側には、循環ライン7が接続されており、該循環ライン7の他端側は、金属イオン濃度検出装置8の測定槽80に接続されている。
【0029】
金属イオン濃度検出装置8は、上記測定槽80と、測定槽80内に備わり所定の距離を隔て配置された、導電性ダイヤモンドからなる作用電極81と、対極82及び参照電極83とを有している。作用電極81には、測定対象となる金属イオンの基となる金属が付着されている。また特に限定されないが、対極としては、例えば白金電極が使用でき、参照電極としては、例えばAg/AgCl電極が使用できる。さらに該作用電極81、対極82及び参照電極83のそれぞれと電気的に接続されるポテンショスタット85を備えている。なお、金属イオン濃度検出装置8は、作用電極80、対極81及び参照電極82を有するものとして説明したが、対極を有さず、電極として作用電極と参照電極のみを備えるものであってもよい。
【0030】
測定槽80には、排液側に循環ライン9が接続されており、該循環ライン9には、その中途において開閉弁90aを介して排水ライン90が分岐している。循環ライン9の先端側は、前記したように、貯水槽3に接続されている。
【0031】
次に、上記有機化合物含有水処理装置1の動作について以下に説明する。
まず、排水注入ライン2に備わる開閉弁2aを開き、有機化合物含有水を電解貯槽3に注入する。電解貯槽3では、所望により、硫酸ナトリウムなどの電解質を添加して電導度の低い有機化合物を含有する場合でも、効率のよい電気分解を可能にする。電解貯槽3中の有機化合物含有水は、送液ポンプ4により、循環ライン5、電解反応槽6、循環ライン7、金属イオン濃度検出装置8及び循環ライン9を経て電解貯槽3に還流されるように圧送する。また、電解貯槽3では、攪拌装置3aによって内部攪拌され、循環ライン9によって返流される処理水と内部に収容した金属イオンを含む有機化合物含有水とを攪拌混合できるようにされている。
【0032】
送液ポンプ4により電解反応槽6に圧送された有機化合物含有水は、転極スイッチ11を介して電源10により給電される導電性ダイヤモンド電極60、61により電解処理される。電解反応槽6で電解処理された有機化合物含有水は、循環ライン7を介して金属イオン濃度検出装置8に送られる。
【0033】
金属イオン濃度検出装置8では、金属イオンを含む有機化合物含有水が測定槽80内に注入され、作用電極81、対電極82及び参照電極83のそれぞれが、有機化合物含有水に浸されることになる。作用電極81は、ポテンショスタット85により電圧走査されており、測定される電流値は、図2に示すように測定対象となる金属イオン種に因る電位においてピークを示す。該ピークでの電流値は、水中の金属イオン濃度に依存する。ポテンショスタット85では、該ピーク値が金属イオン濃度に相関するデータとして制御部12に出力されている。
上記電流値や電流密度のピーク値と、金属イオン濃度との相関関係は予め測定データなどにより求めておき、適宜の記憶手段に記憶しておく。例えば、図3に示すように金属イオン濃度と検出ピーク値との関係を示す検量線をデータとして得ておく。制御部12では、ポテンショスタット85から出力されるピーク値および上記相関関係に従って金属イオン濃度を算出することができる。また、制御部12では、予め転極指令を発行するための条件を定めておく。例えば、金属イオン濃度が設定値以下に低下した場合に、その都度、電極への析出物量が許容上限に達したものとして転極指令を発する。また、この他に、金属イオン濃度の低下速度を把握して、上記析出物量が許容上限に達する時期を予測し、該時期に至る前の適宜のタイミングで転極指令を発行することができる。また、該タイミングにおいて定期的に転極指令を発行するように定めることもできる。
【0034】
制御部12において転極指令が発行されると、該指令は転極スイッチ11に伝達され、転極動作がなされる。この結果、電解反応槽6のダイヤモンド電極60、61への給電の転極がなされる。この転極の結果、転極前の陰極側に析出した析出物は、電流方向が逆転されることによって再溶解し、析出物量を減じる。その一方では、転極後に陰極となる他方の電極では、金属イオンによって徐々に析出が生じるものの、両極全体では、析出物量の増大は抑制され、良好な電解処理が継続される。
なお、金属イオン濃度検出装置8の測定槽80から排液される処理水は、循環ライン9を通って前記電解貯槽3へと返流される。
上記動作を繰り返し行うことにより金属イオンを含む有機化合物含有水を循環させつつ継続して電解処理を行うことができる。循環処理は、有機化合物含有水の有機化合物の量が許容されるレベルに低減するまで継続され、有機化合物の量が許容レベルに達した後に、弁90aを開いて排水ライン90より排水が系外に放出される。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を比較例と対比しつつ説明する。
実施例1
ボロンドープ法を用いて気相析出合成した積層状多結晶導電性ダイヤモンド板(10cm×10cm×0.05cm)2枚を電極に用い、極間距離を3mmに設定して電解反応槽とした。また、電解反応槽の後段には、測定槽を設け、導電性ダイヤモンド電極からなる作用電極と、参照電極と、対極となる白金電極とを配置し、これら電極にポテンショスタットを接続して金属イオン濃度検出装置を構成した。なお、上記作用電極である導電性ダイヤモンド電極には銅を電着させた。また、金属イオンを含む有機化合物含有水を収容する電解貯槽を用意し、これら槽および装置を図1に示すように循環ラインによって接続し処理装置を構成した。
この電解処理による排水処理装置において、Cuイオン10mg/Lを含んだDMSO含有排水(DMSO 3,200mg/L、TOC 1,000mg/L、5L)に硫酸ナトリウムを14,200mg/L添加して電解貯槽に入れた。電解貯槽内をスターラーで攪拌しながら送液ポンプを用いて電解反応槽に7L/minの流速で有機化合物含有水を通液させ循環処理した。
【0036】
電解反応槽の投入電気量は電流密度が0.5A/cm2(5000A/m2)となるように設定した。電解処理を5時間継続して、電解反応槽出口水の水を採取して全有機体炭素(TOC)の分析を行ったところ、表1の結果のようにTOCが効率良く除去できた。
【0037】
【表1】
【0038】
また、電解反応装置の後段の金属イオン濃度検出装置によって、図2のように作用電極の電位変化に対する電流密度変化を測定し、最大電流密度である検出ピーク値Imaxを検出した。なお、予め、既知のCuイオン濃度の水溶液を用いて、Cuイオン濃度と電流密度検出ピーク値との関係が図3に示す検量線として作成されており、検出ピーク値より排水中のCuイオン濃度を知ることができる。図2のピーク値からはCuイオン濃度が1mg/L程度になっていることがわかったので、電解反応装置の電解電極への転極を行った。上述の電解処理を1バッチとして数ヶ月継続した。その結果、その間において安定した電解処理効果が得られることが確認された。
【0039】
比較例1
ボロンドープ法を用いて気相析出合成した積層状多結晶導電性ダイヤモンド板(10cm×10cm×0.05cm)2枚を電極に用い、極間距離3mmに設定して電解反応槽とした。また、金属イオンを含む有機化合物含有水を収容する電解貯槽を用意し、上記電解反応と電解貯槽とを循環ラインによって接続し処理装置を構成した。
この排水処理装置において、Cuイオン10mg/Lを含んだDMSO含有排水(DMSO 3,200mg/L、TOC l,000mg/L、5L)に硫酸ナトリウムを14,200mg/L添加して電解貯槽に入れた。電解貯槽内をスターラーで攪拌しながら送液ポンプを用いて電解反応槽に7L/minの流速で金属イオンを含む有機化合物含有水を通液させ循環処理した。
【0040】
電解反応槽の投入電気量は電流密度が0.5A/cm2(5000A/m2)となるように設定した。電解処理を5時間継続して、電解反応槽出口水の水を採取して全有機体炭素(TOC)の分析を行ったところ、表2の結果のようにTOCが効率良く除去できた。
【0041】
【表2】
【0042】
このように初期の電解処理効果については、実施例1と同様であった。しかし、排水中のCuイオン濃度の検出は行わず、転極も行わないで、上記の処理を1バッチとして、数ヶ月継続したところ、陰極へのCuの析出が進み、電極間が閉塞して、電解処理が行えなくなった。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法によれば、金属イオンを含む有機化合物含有水を電解反応槽で電解処理する際に、電解に伴う有機化合物含有水中の金属イオン濃度変化を測定し、その測定結果に基づいて電解反応槽における電解電極への給電を転極させるので、電解電極において析出物によって処理能力が極端に低下したり、電極間ギャップの閉塞によって処理不能となるのを未然に防ぐことができ、さらに継続して良好な電解処理を行うことが可能になる。
【0044】
また、本発明の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置によれば、対となる電解電極を備える電解反応槽と、電解処理水の金属イオン濃度を測定するイオン濃度測定装置と、前記測定装置による測定結果に基づいて前記電解電極に対する給電を転極させる転極手段とを備えるので、上記方法を確実かつ容易に行うことができる。また、電解反応槽の電極に対する保守作業を大幅に低減することができる。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における処理装置の概略を示す図である。
【図2】同じく、金属イオンとしてCuイオンを含む有機化合物含有水に対し金属イオン濃度検出装置で測定した電流密度値を示すグラフである。
【図3】Cuイオン濃度と電流密度のピーク値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 排水処理装置
3 電解貯槽
4 送液ポンプ
6 電解反応槽
60、61 導電性ダイヤモンド電極
8 金属イオン濃度測定装置
80 測定槽
81 作用電極
82 対極
83 参照電極
85 ポテンショスタット
10 電源
11 転極スイッチ
12 制御部
Claims (10)
- 金属イオンを含む有機化合物含有水を電解反応槽で電解処理する際に、電解に伴う有機化合物含有水中の金属イオン濃度変化を測定し、その測定結果に基づいて電解反応槽における電解電極への給電を転極させることを特徴とする金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法。
- 測定結果における前記金属イオン濃度の低下量または低下速度によって、前記電解電極への当該金属イオンからの析出物量または析出速度を推定することを特徴とする請求項1記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法。
- 前記測定により金属イオン濃度が所定値以下に低下した場合、または前記で推定される析出量が所定量以上になった場合に、前記転極を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法。
- 前記で推定される析出物量または析出速度に基づいて定期的な転極を行うことを特徴とする請求項2に記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理方法。
- 対となる電解電極を備える電解反応槽と、電解処理水の金属イオン濃度を測定するイオン濃度測定装置と、前記測定装置による測定結果に基づいて前記電解電極に対する給電を転極させる転極手段とを備えることを特徴とする金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置。
- 前記イオン濃度測定装置は、作用電極および参照電極と、ポテンショスタットとを備えることを特徴とする請求項5記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置。
- 前記イオン濃度測定装置は前記作用電極と参照電極とを備える測定槽を有しており、該測定槽は、前記電解反応槽の下流側に設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置。
- 有機化合物含有水を貯水する貯水槽を有しており、該貯水槽と前記電解反応槽との間で有機化合物含有水を循環させる循環手段を備えることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置。
- 前記作用電極が導電性ダイヤモンド電極を用いたものであることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置。
- 前記電解電極が導電性ダイヤモンド電極を用いたものであることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の金属イオンを含む有機化合物含有水の処理装置。
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Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008294020A (ja) * | 2007-05-22 | 2008-12-04 | Kurita Water Ind Ltd | 洗浄液供給システムおよび洗浄システム |
| JP2018184626A (ja) * | 2017-04-25 | 2018-11-22 | 栗田工業株式会社 | 洗浄システム |
| WO2022038817A1 (ja) * | 2020-08-19 | 2022-02-24 | 栗田工業株式会社 | 過硫酸成分を含む硫酸溶液中の過硫酸成分の濃度低下抑制方法及び過硫酸成分の濃度低下抑制装置 |
-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003154197A patent/JP2004351363A/ja active Pending
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| JP2018184626A (ja) * | 2017-04-25 | 2018-11-22 | 栗田工業株式会社 | 洗浄システム |
| WO2022038817A1 (ja) * | 2020-08-19 | 2022-02-24 | 栗田工業株式会社 | 過硫酸成分を含む硫酸溶液中の過硫酸成分の濃度低下抑制方法及び過硫酸成分の濃度低下抑制装置 |
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