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JP2004236266A - シンボルタイミング検出回路 - Google Patents

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JP2004236266A
JP2004236266A JP2003025568A JP2003025568A JP2004236266A JP 2004236266 A JP2004236266 A JP 2004236266A JP 2003025568 A JP2003025568 A JP 2003025568A JP 2003025568 A JP2003025568 A JP 2003025568A JP 2004236266 A JP2004236266 A JP 2004236266A
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聰 黒崎
Takatoshi Sugiyama
隆利 杉山
Masahiro Umehira
正弘 梅比良
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Abstract

【課題】MIMO(多重入力/多重出力)とOFDM(直交周波数分割多重)との組み合わせにおいて、復調時のシンボルタイミングずれによるシンボル間干渉を低減させる。
【解決手段】N系統のOFDM信号が空間多重されたN系統の受信信号それぞれからシンボルタイミングを推定し、推定された複数のシンボルタイミングの平均値を求め、この平均値をN系統すべての受信信号に共通のシンボルタイミングとする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式と多入力多出力(MIMO:Multiple−Input Multiple−Output)方式とを組み合わせた無線通信システムにおける受信装置のシンボルタイミング検出回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
広帯域移動体通信では、限られた周波数資源を用いて大容量化を図るための周波数利用効率の向上とともに、周波数選択性フェージングに対する耐性を高める対策が必要である。
【0003】
周波数利用効率の向上への対策としては、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとを用いて同一周波数帯の空間上にMIMOチャネルを構成し、複数の送信アンテナからそれぞれ異なる複数系統のOFDM信号を送信することによって、送受信アンテナの数だけ周波数利用効率を向上させる空間分割多重(SDM:SpaceDivision Multiplexing)技術が提案されている。一方、周波数選択フェージングに対する対策としては、送信信号を互いに直交する複数のサブキャリアに分割してマルチキャリア伝送を行う直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal FrequencyDivision Multiplexing)方式が広く知られている。SDM技術とOFDM方式とを組み合わせたSDM−OFDM方式は、周波数選択性フェージングに対する耐性および高い周波数利用効率を両立することが可能となり、注目を集めている。
【0004】
以下、SDM−OFDM方式について簡単に説明する。
送信側において、N系統の送信情報信号には、シンボルタイミング同期や伝達係数推定のための複数のパイロット信号が多重化される。パイロット信号が多重化された信号は、サブキャリア毎にデータが割り当てられ信号点マッピングされる。信号点マッピングされた各サブキャリア信号は、逆高速フーリエ変換により時間領域のN系統のOFDM送信信号に変換され、N本の送信アンテナから送信される。
【0005】
受信側において、N系統のOFDM送信信号が空間において多重化された信号が、N本の受信アンテナに受信される。N系統の受信信号は、高速フーリエ変換によって時間領域の信号から周波数領域のサブキャリア信号に変換される。ここで、高速フーリエ変換の時間窓(以下、FFT(Fast Fourier Transform)ウィンドウと呼ぶ。)は、N系統の受信信号に含まれるパイロット信号を用いて検出されたシンボルタイミングに基づいて設定される。ついで、サブキャリア毎に、受信信号に含まれる伝達係数推定用のパイロット信号により各送信アンテナと各受信アンテナとの間の伝達係数を要素とする伝達係数行列が推定され、この伝達係数行列によってN系統の受信信号に対して干渉キャンセルが行われ、系統間の相互干渉がキャンセルされる。ここで、伝達係数行列の推定については、特願2001−203360や特願2001−246408に記載されている。また、干渉キャンセルの手法としては、伝達係数行列の逆行列を用いる手法や(特願2001−203360参照)、伝達係数行列の逆行列を用いて干渉キャンセルを行い、キャンセル後の信号を復号して再符号化し、干渉成分を減算する手法等がある(特願2002−149013参照)。最後に、干渉キャンセルが行われた各サブキャリア信号は、ビット列に復号される。
【0006】
図7は、非特許文献1に開示されている従来のシンボルタイミング検出回路の構成を示すブロック図である。図7を参照して、非特許文献2に記載のシンボルタイミング検出の手法について説明する。なお、N系統の送信情報信号には、それぞれ図8に示されるシンボルタイミング同期用のパイロット信号が付加されているものとする。このパイロット信号では、信号C64という部分が2回繰り返されている。
【0007】
図7において、N本の受信アンテナにより受信されたN系統の受信信号は、はじめにN個の自己相関演算回路5−1−1〜5−1−Nに入力され、信号C64の繰り返しの周期と同じ時間だけ遅延が与えられた自身の信号との自己相関が計算される。具体的には、受信信号と当該受信信号が信号C64の繰り返しの周期だけ遅延させられた信号の複素共役との積を信号C64の周期と同じ離散時間にわたって累積加算したものを自己相関値として算出する。すなわち、k個目の自己相関演算回路5−1−kでは、k個目の受信信号をr(t)、自己相関値をA(t)とすると、
【0008】
【数1】
Figure 2004236266
【0009】
を計算する。ここで、受信信号はA/Dコンバータにより離散時刻でサンプリングされているものとする。(1)式において、Tはサンプリング間隔であり、時間N・T(N=64)は信号C64の周期である。また、信号C64は互いに隣接しているので、信号C64の繰り返し周期もN・Tである。また、r (t)はr(t)の複素共役を表す。(1)式における信号r(t+i・T)と信号r(t+(i−N)T)との関係および自己相関をとる区間の先頭時刻tと自己相関値A(t)との関係を図9に示す。時刻tが2回目の信号C64の先頭のサンプル点(図9におけるt=t)に位置した場合に、信号C64の周期性により、累積加算する区間全体にわたってサンプリング番号iの値に関係なくr(t+i・T)とr(t+(i−N)T)とが同一の振幅、位相成分を持つことになる。したがって、この場合に、自己相関値A(t)は、同じ位相を持った2つの複素数の積の累積加算値の絶対値となるため極大値となる。時刻tがtより小さい場合は、自己相関をとる区間すなわち累積加算する区間の前方において隣接シンボルの遅延波の影響を受け、遅延波の影響を受けた項は位相がランダムとなるため、自己相関値は小さくなる。逆に、時刻tがtより大きい場合は、累積加算する区間の後方において隣接するデータシンボルの影響を受けるため、同様の理由で自己相関値は小さくなる。
【0010】
シンボルタイミング推定回路5−2−1〜5−2−Nは、自己相関値A(t)が予め設定された時間範囲(図9のT)で単調減少であり、かつ、単調減少区間の先頭の自己相関値A(t)が予め設定された閾値(図9のAth)よりも大きな値を持つ、という条件の区間を探し、その区間の先頭時刻をシンボルタイミングとし、シンボルタイミング設定回路5−3に通知する。上記の条件より、図9においてシンボルタイミングとされるのは時刻tである。ここで、シンボルタイミングの通知方法としては、シンボルタイミングが確定した時点でトリガ信号で通知する手法が考えられる。なお、マルチパスフェージング環境下では、検出されたパイロット信号の自己相関値のピークは、遅延波の影響のため、本来のシンボルタイミングに対して後方にシフトする傾向がある(非特許文献2を参照)。このため、自己相関値のピークをそのままシンボルタイミングとして利用すると、FFTウィンドウが後方にシフトしてしまう。そこで、上記の非特許文献2に記載の手法等では、上記の条件を満たす区間の先頭時刻に対して予め決められた時間だけ前方にシフトする操作を行っている。
【0011】
上記のとおり、N個のシンボルタイミング推定回路5−2−1〜5−2−Nにより、N系統の受信信号に基づいてN個のシンボルタイミングが得られる。しかし、N系統の受信信号それぞれに対して、個別のシンボルタイミングで高速フーリエ変換を行うと、それぞれのシンボルタイミング推定誤差によりFFTウィンドウの位置が受信信号の系統毎に異なることとなり、シンボル毎、サブキャリア毎の伝達係数推定および推定された伝達係数を用いた干渉キャンセルを正しく行うことができなくなる。このため、N系統の受信信号は、同じシンボルタイミングで高速フーリエ変換されなければならない。また、シンボルタイミングが本来のタイミングより1サンプル時間でも後方にシフトすると、隣接するシンボルからのシンボル間干渉を受ける。これに対して、シンボルタイミングがある程度前方にシフトしても、ガードインターバル(図8の信号GI)が挿入されているため、遅延波の影響を受けない。以上を考慮して、シンボルタイミング設定回路5−3は、シンボルタイミングの後方シフトによるシンボル間干渉を防止し、かつ、すべての受信信号に対して共通のシンボルタイミングで高速フーリエ変換するために、最も早い時刻に通知されたシンボルタイミングをすべての受信信号に共通のシンボルタイミングとする。
【0012】
このように検出されたシンボルタイミングを基準として、OFDMシンボル時間を1周期とした周期的なトリガが、各受信信号に対応するN個の高速フーリエ変換器に対して供給される。高速フーリエ変換器は、上記のトリガに基づいてFFTウィンドウを設定する。なお、OFDMシンボル時間は、ガードインターバル(図8の信号GI)の時間とデータシンボル(図8の信号DATA)の時間との合計時間である。
【0013】
【非特許文献1】
浅井他,「SDM−COFDMに適したAFC方式の検討」,信学技報RCS2001−200
【非特許文献2】
Takeshi ONIZAWA, et al.,「A Fast Synchronization Scheme of OFDM Signals for High−Rate Wireless LAN」IEICE Trans. Commun., Vol. E82−B, No.2 Feb 1999, pp.455−463
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のシンボルタイミングの検出手法には、以下の問題がある。
OFDM方式では、マルチパスフェージング伝搬路において重畳される遅延波によるシンボル間干渉の影響を防ぐために、シンボルに遅延波の広がりに対して十分広いガードインターバルを設けている。しかし、シンボルタイミングが前方にシフトすればするほど、前方シンボルの遅延波によるシンボル間干渉の影響を受けやすくなる。
【0015】
従来のシンボルタイミング検出回路では、シンボルタイミングが後方にシフトすることを防ぐために、複数系統の受信信号に基づいて得られた複数のシンボルタイミングの中で最も前方のタイミングをすべての受信信号に共通のシンボルタイミングとして検出している。このため、従来のシンボルタイミング検出回路では、単一のシンボルタイミングが得られるSISO(Single Input Single Output)チャネルの場合と比べて、シンボルタイミングが前方にシフトする確率が高くなり、前方シンボルの遅延波によるシンボル間干渉の影響を強く受け、誤り率特性が劣化してしまう。
【0016】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、SDM−OFDM方式において、シンボルタイミングのシフトによるシンボル間干渉を抑制し、通信の高品質化を図ることができるシンボルタイミング検出回路を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決し、目的を達成するための第1の発明は、N系統(Nは2以上の整数)のOFDM送信信号が空間多重されN本の受信アンテナによって受信されたN系統の受信信号に共通のシンボルタイミングを検出するシンボルタイミング検出回路であって、前記受信信号毎に、各受信信号に含まれるパイロット信号を用いてシンボルタイミングを推定するシンボルタイミング推定手段と、当該シンボルタイミング推定手段によって推定されたN個のシンボルタイミングの平均値を算出し、当該平均値を前記N系統の受信信号に共通のシンボルタイミングとして出力する平均値算出手段と、を有することを特徴とする。
【0018】
また、第2の発明は、N系統(Nは2以上の整数)のOFDM送信信号が空間多重されN本の受信アンテナによって受信されたN系統の受信信号に共通のシンボルタイミングを検出するシンボルタイミング検出回路であって、前記受信信号毎に、各受信信号に含まれるパイロット信号を用いてシンボルタイミングを推定するシンボルタイミング推定手段と、当該シンボルタイミング推定手段によって最初に推定されたシンボルタイミングおよび当該シンボルタイミングを基準として予め設定された時間内に推定されたシンボルタイミングの平均値を算出し、当該平均値を前記N系統の受信信号に共通のシンボルタイミングとして出力する平均値算出手段と、を有することを特徴とする。
【0019】
また、第3の発明は、上記第1または第2の発明に係るシンボルタイミング検出回路において、前記パイロット信号は、同一信号が繰り返される信号であり、前記シンボルタイミング推定手段は、前記受信信号と当該受信信号が前記繰り返しの周期だけ遅延させられた信号とによる自己相関値を算出し、当該自己相関値の時間変化に基づいてシンボルタイミングを推定することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るシンボルタイミング検出回路についての好適な実施形態を詳細に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
本実施形態に係るシンボルタイミング検出回路は、N系統(Nは2以上の整数)のOFDM送信信号が空間多重されN本の受信アンテナによって受信されたN系統の受信信号それぞれに基づいてN個のシンボルタイミングを推定し、当該N個のシンボルタイミングの平均値を算出し、当該平均値をN系統すべての受信信号に共通のシンボルタイミングとして出力するものである。以下、本実施形態に係るシンボルタイミング検出回路について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係るシンボルタイミング検出回路を用いるOFDM信号送受信装置の構成を示すブロック図である。図1において、OFDM信号送受信装置は、OFDM信号送信装置1とOFDM信号受信装置2とを備えている。
【0023】
OFDM信号送信装置1では、N系統(Nは2以上の整数)の送信情報信号T、T、・・・、Tが、それぞれパイロット信号多重化器1−2−1〜1−2−Nに入力される。このパイロット信号多重化器1−2−1〜1−2−Nにおいては、各系統の送信情報信号とパイロット信号発生器1−1−1〜1−1−Nで生成された既知のパイロット信号とが時間軸上、周波数軸上において多重化される。ここで、パイロット信号発生器1−1−1〜1−1−Nは、シンボルタイミング推定や伝達係数推定といったそれぞれ目的の異なる複数のパイロット信号を作成する。本実施形態では、図8に示される同一信号C64が繰り返されるシンボルタイミング推定用パイロット信号と伝達係数推定用パイロット信号が多重化される。なお、同一信号は繰り返されていればよく、必ずしも互いに隣接していなくてもよい。パイロット信号が多重化されたN系統の信号は、各系統に対応するN個のサブキャリア変調器1−3−1〜1−3−Nにより、サブキャリア毎のデータに分割され、信号点マッピングされる。信号点マッピングされた各サブキャリア信号は、N個の逆高速フーリエ変換器1−4−1〜1−4−Nにより、周波数領域の信号から時間領域のN系統のOFDM送信信号に変換される。このN系統のOFDM送信信号は、N本の送信アンテナ1−5−1〜1−5−Nにより、OFDM信号受信装置2に対して送信される。
【0024】
OFDM信号受信装置2では、N系統のOFDM送信信号が空間において多重化された信号が、N本の受信アンテナ2−1−1〜2−1−Nによって受信される。シンボルタイミング検出回路2−2は、N本の受信アンテナ2−1−1〜2−1−Nにより受信されたN系統の受信信号に含まれるシンボルタイミング推定用パイロット信号を用いて、シンボルタイミングを検出する。一方、N個の遅延回路2−3−1〜2−3−Nは、シンボルタイミング検出回路2−2の処理時間に相当する遅延時間を対応する受信信号に与える。N個の高速フーリエ変換器2−4−1〜2−4−Nは、遅延させられたN系統の受信信号を高速フーリエ変換し、時間波形からサブキャリア信号に変換する。ここで、FFTウィンドウは、シンボルタイミング検出回路2−2により検出されたシンボルタイミングに基づいて設定される。具体的には、シンボルタイミング検出回路2−2によって検出されたシンボルタイミングはシンボルタイミングトリガ生成回路2−5に供給され、シンボルタイミングトリガ生成回路2−5は、シンボルタイミング検出回路2−2から受けたシンボルタイミングを基準として、OFDMシンボル時間を1周期とした周期的なトリガを生成し、N個の高速フーリエ変換器2−4−1〜2−4−Nに共通に供給する。このように供給される周期的なトリガに同期して、高速フーリエ変換器2−4−1〜2−4−NはFFTウィンドウを設定する。すなわち、シンボルタイミング検出回路2−2とシンボルタイミングトリガ生成回路2−5とにより、高速フーリエ変換器2−4−1〜2−4−Nのための同期回路が構成されている。
【0025】
ついで、伝達係数行列演算器2−6は、高速フーリエ変換後の受信信号に含まれる伝達係数行列推定用のパイロット信号を用いて、サブキャリア毎に、各送信アンテナと各受信アンテナとの間の伝達係数を要素とする伝達係数行列を算出する。ここで、伝達係数行列の算出方法としては、例えば特願2001−203360や特願2001−246408に記載の方法が挙げられるが、特に限定されない。干渉キャンセラ2−7は、伝達係数行列を用いて、サブキャリア毎に、各受信信号に含まれる系統間の相互干渉成分をキャンセルし、OFDM送信信号の各系統に対応するN系統の信号を出力する。ここで、干渉キャンセルの方法としては、例えば特願2001−203360や特願2002−149013に記載の方法が挙げられるが、特に限定されない。N個の復調器2−8−1〜2−8−Nは、干渉キャンセル後のN系統の信号を復調し、N系統の送信情報信号に対応するN系統の復調信号を出力する。
【0026】
以下、シンボルタイミング検出回路2−2について詳細に説明する。
図2は、シンボルタイミング検出回路2−2の構成を示すブロック図である。図2において、シンボルタイミング検出回路2−2は、N個の自己相関演算回路3−1−1〜3−1−N、N個のシンボルタイミング推定回路3−2−1〜3−2−N、N個のシンボルタイミング推定値記憶回路3−3−1〜3−3−N、およびシンボルタイミング推定値平均化回路3−4を備えている。
【0027】
N個の自己相関演算回路3−1−1〜3−1−Nは、各回路に対応する受信信号と当該受信信号が信号C64の繰り返しの周期だけ遅延させられた信号とによる自己相関値を算出する。具体的には、受信信号と当該受信信号が信号C64の繰り返しの周期だけ遅延させられた信号の複素共役との積を信号C64の周期と同じ離散時間にわたって累積加算したものを自己相関値として算出する。すなわち、k個目の自己相関演算回路3−1−kでは、k個目の受信信号r(t)を用いて、(1)式に従って自己相関値A(t)を算出する。ここで、受信信号はA/Dコンバータにより離散時刻でサンプリングされているものとする。また、(1)式において、Tはサンプリング間隔であり、N・T(N=64)は信号C64の周期である。また、r (t)はr(t)の複素共役を表す。
【0028】
N個のシンボルタイミング推定回路3−2−1〜3−2−Nは、対応する自己相関演算回路3−1−1〜3−1−Nから受けた自己相関値A(t)の時間変化に基づいてシンボルタイミングを推定する。本実施形態では、自己相関値A(t)が予め設定された時間範囲で単調減少であり、かつ、単調減少区間の先頭の自己相関値A(t)が予め設定された閾値よりも大きな値を持つ、という条件の区間を探し、その区間の先頭時刻をシンボルタイミングと推定する。各シンボルタイミング推定回路3−2−1〜3−2−Nは、推定されたシンボルタイミング推定値を対応するシンボルタイミング推定値記憶回路3−3−1〜3−3−Nに出力する。
【0029】
N個のシンボルタイミング推定値記憶回路3−3−1〜3−3−Nは、N個のシンボルタイミング推定値すべてが求められるまで、供給されたシンボルタイミング推定値を記憶し続ける。N個のシンボルタイミング推定値が求められた後に、シンボルタイミング推定値平均化回路3−4は、N個のシンボルタイミング推定値記憶回路3−3−1〜3−3−NからN個のシンボルタイミング推定値を読み込み、これらの平均値を計算する。そして、シンボルタイミング推定値平均化回路3−4は、N系統の受信信号共通のFFTウィンドウ設定用のシンボルタイミングとして、得られた平均値をシンボルタイミングトリガ生成回路2−5に出力する。
【0030】
なお、離散時間で処理を行うデジタル回路の場合、シンボルタイミング推定値平均化回路3−4は、得られた平均値に最も近い離散値をシンボルタイミングトリガ生成回路2−5に出力する。例えば、図3に示されるように、N=3の場合において、3個のシンボルタイミング推定値t,t−2T,t−3Tが得られたときを考える。3個のシンボルタイミング推定値の平均値は、約t−1.67Tである。ところが、シンボルタイミングは離散値で与えられる必要があるため、最も近い離散時間であるt−2Tが受信信号の全系統共通のシンボルタイミングとされる。
【0031】
以下、本実施形態に係るシンボルタイミング検出回路を用いた場合と、従来のシンボルタイミング検出回路を用いた場合とのパケット誤り率(PER:Packet Error Rate)特性の比較について説明する。ここでいう従来のシンボルタイミング検出回路は、複数系統の受信信号から推定された複数のシンボルタイミング推定値のうち、最も時刻の早いものを全受信信号共通のシンボルタイミングとするものである。
【0032】
図4は、計算機シミュレーションにより得られた上記2つの場合に対応するパケット誤り率特性を示す図である。シミュレーション諸元は、以下の表1のとおりである。
【0033】
【表1】
Figure 2004236266
【0034】
図4から分かるように、本実施形態によれば、フェージング通信路の遅延分散が100nsの場合は、PER≦10−3を実現するために必要となる搬送波対雑音電力比(CNR:Carrier to Noise Rate)で比較して1dB程度の利得が得られている。また、遅延分散が150nsの場合は、PERのフロアが50%に低減されている。いずれの特性改善も、複数のシンボルタイミングを平均化することにより、シンボルタイミング誤差が低減し、シンボル間干渉が低減することによる。
【0035】
以上のとおり、本実施形態によれば、複数系統の受信信号から得られる複数のシンボルタイミング推定値の平均値を全受信信号共通のシンボルタイミングとすることにより、シンボルタイミングずれに起因するシンボル間干渉を低減させることができ、高品質の無線通信を実現することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
遅延波の影響が大きい場合、すなわち遅延分散が大きい場合は、自己相関値のピークが本来のシンボルタイミングよりも後方に位置する確率が上がるため、早い時期に推定されたシンボルタイミング推定値が適切であり、遅い時期に推定されたシンボルタイミング推定値は本来のシンボルタイミングよりも遅れていることが多い。このような場合、本来より遅れているシンボルタイミング推定値を平均化の対象に含めるとシンボルタイミングが後方にシフトしてしまう。すると、FFTウィンドウの後方に隣接シンボルが入力され、シンボル間干渉となり誤り率特性が大きく劣化してしまう。
【0037】
また、OFDM方式ではガードインターバルをシンボルの前方に挿入しているので、シンボルタイミングが後方にシフトした場合、前方にシフトした場合よりもシンボル間干渉量が大きくなる。このため、シンボルタイミングの後方シフトは、同じ量の前方シフトよりも誤り率特性を大きく劣化させてしまう。
【0038】
そこで、本実施形態に係るシンボルタイミング検出回路では、最も時刻の早いシンボルタイミング推定値を基準として、予め設定された時間内に推定されたシンボルタイミング推定値のみを平均化の対象とし、予め設定された時間よりも遅い時刻のシンボルタイミング推定値を、遅延波の影響により後方にシフトしているものとみなし、平均化の対象から除外することとしている。
【0039】
すなわち、本実施形態に係るシンボルタイミング検出回路は、第1の実施形態に係るシンボルタイミング検出回路とほとんど同じであるが、シンボルタイミング推定回路によって最初に推定されたシンボルタイミング推定値および当該推定値から所定時間内に推定されたシンボルタイミングの平均値を算出し、これを全受信信号に共通のシンボルタイミングとすることを特徴とするものである。以下、図面を用いて本実施形態について説明するが、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0040】
図5は、本実施形態に係るシンボルタイミング検出回路の構成を示すブロック図である。図5において、シンボルタイミング検出回路4は、N個の自己相関演算回路4−1−1〜4−1−N、N個のシンボルタイミング推定回路4−2−1〜4−2−N、N個のシンボルタイミング推定値記憶回路4−3−1〜4−3−N、タイミング制御回路4−4、および選択型シンボルタイミング推定値平均化回路4−5を備えている。N個の自己相関演算回路4−1−1〜4−1−NおよびN個のシンボルタイミング推定回路4−2−1〜4−2−Nの機能や動作は、第1の実施形態のものとほとんど同じであるので説明を省略する。シンボルタイミング推定値記憶回路4−3−1〜4−3−N、タイミング制御回路4−4、および選択型シンボルタイミング推定値平均化回路4−5によって、第2の発明に係る平均値算出手段が実現される。
【0041】
以下、シンボルタイミング推定値記憶回路4−3−1〜4−3−N、タイミング制御回路4−4、および選択型シンボルタイミング推定値平均化回路4−5について詳しく説明する。
【0042】
N個のシンボルタイミング推定値記憶回路4−3−1〜4−3−Nのうち最初にシンボルタイミング推定値を受けたものが、タイミング制御回路4−4に対して当該シンボルタイミング推定値を通知する。タイミング制御回路4−4は、通知されたシンボルタイミング推定値を基準として、タイミングウィンドウTだけ時間が経過したときに選択型シンボルタイミング推定値平均化回路4−5に終了通知信号を出力する。ここで、タイミングウィンドウTは、予め設定される時間であって、送受信装置が使用される環境や送受信装置の構成に応じて適宜設定されるものである。選択型シンボルタイミング推定値平均化回路4−5は、タイミング制御回路4−4から終了通知信号を受けると、タイミングウィンドウT経過時にシンボルタイミング推定値が格納されているシンボルタイミング推定値記憶回路4−3−1〜4−3−Nからのみシンボルタイミング推定値を読み込み、これらの平均値を計算する。すなわち、選択型シンボルタイミング推定値平均化回路4−5は、最初のシンボルタイミング推定値からタイミングウィンドウTが経過するまでに得られなかったシンボルタイミング推定値を平均化の対象から除外する。
【0043】
そして、選択型シンボルタイミング推定値平均化回路4−5は、N系統の受信信号に共通のFFTウィンドウ設定用のシンボルタイミングとして、得られた平均値をシンボルタイミングトリガ生成回路に出力する。なお、デジタル回路の場合であれば、得られた平均値に最も近い離散値を出力する。
【0044】
本実施形態でのシンボルタイミング平均化の操作について、図6を用いて具体的に説明する。送受信アンテナ数Nは4であり、タイミングウィンドウTは4Tであるとする。また、図6に示されるとおり、4個のシンボルタイミング推定回路により推定されたシンボルタイミング推定値は、t,t−T,t−3T,t+6Tであるとする。これら4個のシンボルタイミング推定値すべてを平均化の対象とした場合、平均値はt+2Tとなる。これは正しいシンボルタイミングよりも後方にシフトしているため、シンボル間干渉による誤り率特性が劣化してしまう。これに対し、本実施形態では、4個のシンボルタイミング推定値のうち最も早い時刻のものはt−3Tであるので、この時刻を基準として4Tの区間(t=t−3T,t−2T,t−T,t,t+T)に推定されたシンボルタイミング推定値を対象として平均化する。すなわち、t=t,t−T,t−3Tの3個のシンボルタイミング推定値を平均化の対象とし、平均値としてt−1.33Tを算出する。そして、デジタル回路の場合であれば、この平均値に最も近い離散値であるt−Tを平均化の結果とする。
【0045】
以上のとおり、本実施形態によれば、最初に推定されたシンボルタイミング推定値および当該シンボルタイミング推定値を基準としてタイミングウィンドウT内に推定されたシンボルタイミング推定値を平均化の対象としているので、遅延波の影響等により後方にシフトしたシンボルタイミング推定値を平均化の対象から除外でき、シンボルタイミングおよびFFTウィンドウの後方シフトを回避することができる。この結果、FFTウィンドウに後方シンボルの成分が含まれる事により発生するシンボル間干渉を低減することができ、高品質の通信を実現することが可能となる。
【0046】
また、雑音やフェージングの影響により、一部のシンボルタイミング推定回路においてシンボルタイミング推定値が正常に推定されない場合であっても、最初のシンボルタイミング推定値の時刻から所定時間経過後に平均化を行うので、シンボルタイミング推定値の平均化を行うことができないという事態を回避することができる。
【0047】
さらに、全系統のシンボルタイミング推定値が得られるのを待つことなく、最初のシンボルタイミング推定値の時刻から所定時間経過後に平均化を行ってシンボルタイミングを検出するので、処理の高速化を図ることができる。
【0048】
なお、本発明は、上記の各実施の形態に限定されないことは言うまでもない。
【0049】
【発明の効果】
第1の発明によれば、N系統の受信信号毎に推定されたN個のシンボルタイミングの平均値を算出し、この平均値をN系統すべての受信信号に共通のシンボルタイミングとして検出するので、シンボルタイミングの前方シフトを抑制することができ、遅延波によるシンボル間干渉を抑制することができ、通信の高品質化を図ることができる。
【0050】
また、第2の発明によれば、最初に推定されたシンボルタイミングを基準として予め設定された時間内に推定されたシンボルタイミングの平均値を算出し、この平均値をN系統すべての受信信号に共通のシンボルタイミングとして検出するので、一定時間以上後方にシフトしたシンボルタイミングは平均化の対象から除外され、平均化によるシンボルタイミングの後方シフトを軽減でき、シンボル間干渉を抑制することができ、通信の高品質化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るシンボルタイミング検出回路を用いるOFDM信号送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るシンボルタイミング検出回路2−2の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態における平均化の操作を説明するための図である。
【図4】計算機シミュレーションにより得られたパケット誤り率特性を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係るシンボルタイミング検出回路の構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態における平均化の操作を説明するための図である。
【図7】従来のシンボルタイミング検出回路の構成を示すブロック図である。
【図8】シンボルタイミング推定用のパイロット信号を示す図である。
【図9】(1)式におけるr(t+i・T)とr(t+(i−N)T)との関係および自己相関値A(t)の時間推移を示す図である。
【符号の説明】
1 OFDM信号送信装置
1−1−1〜1−1−N パイロット信号発生器
1−2−1〜1−2−N パイロット信号多重化器
1−3−1〜1−3−N サブキャリア変調器
1−4−1〜1−4−N 逆高速フーリエ変換器
1−5−1〜1−5−N 送信アンテナ
2 OFDM信号受信装置
2−1−1〜2−1−N 受信アンテナ
2−2 シンボルタイミング検出回路
2−3−1〜2−3−N 遅延回路
2−4−1〜2−4−N 高速フーリエ変換器
2−5 シンボルタイミングトリガ生成器
2−6 伝達係数行列演算器
2−7 干渉キャンセラ
2−8−1〜2−8−N 復調器
3−1−1〜3−1−N 自己相関演算回路
3−2−1〜3−2−N シンボルタイミング推定回路
3−3−1〜3−3−N シンボルタイミング推定値記憶回路
3−4 シンボルタイミング推定値平均化回路
4 シンボルタイミング検出回路
4−1−1〜4−1−N 自己相関演算回路
4−2−1〜4−2−N シンボルタイミング推定回路
4−3−1〜4−3−N シンボルタイミング推定値記憶回路
4−4 タイミング制御回路
4−5 選択型シンボルタイミング推定値平均化回路

Claims (3)

  1. N系統(Nは2以上の整数)の直交周波数分割多重(OFDM)送信信号が空間多重されN本の受信アンテナによって受信されたN系統の受信信号に共通のシンボルタイミングを検出するシンボルタイミング検出回路であって、
    前記受信信号毎に、各受信信号に含まれるパイロット信号を用いてシンボルタイミングを推定するシンボルタイミング推定手段と、
    当該シンボルタイミング推定手段によって推定されたN個のシンボルタイミングの平均値を算出し、当該平均値を前記N系統の受信信号に共通のシンボルタイミングとして出力する平均値算出手段と、
    を有することを特徴とするシンボルタイミング検出回路。
  2. N系統(Nは2以上の整数)の直交周波数分割多重(OFDM)送信信号が空間多重されN本の受信アンテナによって受信されたN系統の受信信号に共通のシンボルタイミングを検出するシンボルタイミング検出回路であって、
    前記受信信号毎に、各受信信号に含まれるパイロット信号を用いてシンボルタイミングを推定するシンボルタイミング推定手段と、
    当該シンボルタイミング推定手段によって最初に推定されたシンボルタイミングおよび当該シンボルタイミングを基準として予め設定された時間内に推定されたシンボルタイミングの平均値を算出し、当該平均値を前記N系統の受信信号に共通のシンボルタイミングとして出力する平均値算出手段と、
    を有することを特徴とするシンボルタイミング検出回路。
  3. 前記パイロット信号は、同一信号が繰り返される信号であり、前記シンボルタイミング推定手段は、前記受信信号と当該受信信号が前記繰り返しの周期だけ遅延させられた信号とによる自己相関値を算出し、当該自己相関値の時間変化に基づいてシンボルタイミングを推定することを特徴とする請求項1または2に記載のシンボルタイミング検出回路。
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